JP2013032822A - 内燃機関のバランサ装置及び該バランサ装置の誤組付判定方法 - Google Patents

内燃機関のバランサ装置及び該バランサ装置の誤組付判定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】従動側バランサシャフトの端部にオイルポンプが設けられても、両バランサシャフトの相対回転位置の判別が可能なバランサ装置を提供する。
【解決手段】ハウジング7の外側から目視できる従動側バランサシャフト9の小径軸部9cに設けられた2面幅部と、内周に2面幅が形成された駆動用孔27aに小径軸部9cが嵌挿されることによって回転力が伝達されるインナーロータ27と、駆動側バランサシャフトの一端外周を切欠して形成された第1の切欠部と、小径軸部9cの一方の円弧部先端に設けられた第2の切欠部9fと、第2の切欠部9fと駆動用孔27aとの間に形成された空間部40と、を備え、検出治具38の検出突部38bを、ハウジング7の大径孔39と嵌合孔26aを介して前記空間部に挿入できた場合は、両バランサシャフトを正しい回転位相と判定し、挿入できない場合は回転位相がずれていると判定する。
【選択図】図13

Description

本発明は、内燃機関の二次振動を低減させるバランサ装置及び該バランサ装置の誤組付判定方法の技術に関する。
一般的な内燃機関のバランサ装置は、クランクシャフトから回転力が伝達される駆動軸と、該駆動軸からギアを介して回転力が伝達される従動軸のそれぞれにアンバランスウエイトを設けることによって、回転中に上下方向の振動を発生させつつ左右方向の振動を互いに打ち消して内燃機関の二次振動を効果的に抑制するようになっている。
しかしながら、前記駆動軸に対する従動軸の回転位相がずれてしまうと左右方向の振動が打ち消されずに所望の振動特性が得られないおそれがある。
そこで、以下の特許文献1に記載されている装置は、前記各ギアのそれぞれに、位置合わせマークを設け、該位置合わせマーク同士を一致させて噛み合わせることにより、駆動軸に対する従動軸の回転位相がずれないようにしている。また、前記ハウジングの外面と従動軸の端部に、位置合わせマークを設けることによって、チェーンを掛ける際に、ハウジングの外面側からも駆動軸に対する従動軸の回転位相のずれを確認することが可能になっている。
特開2001−295892号公報
前記公報記載のバランサ装置にあっては、前記従動軸の端部が軸受部に軸受けされているから、位置合わせマークを設ける領域を十分に確保することができるものの、前記従動軸の端部にオイルポンプを設けた場合には、該端部を軸受部の径よりも小径に形成してオイルポンプのインナーロータに嵌合するようになっている。このため、従動軸の端部に位置合わせマークを設けることが困難になる。
本発明は、従動軸の端部にオイルポンプが設けられても、従動軸の回転位置の判別が可能な内燃機関のバランサ装置及びその誤組付判定方法を提供するものである。
請求項1に記載の発明は、内部に収容空間を有するハウジングと、一端側のみが前記ハウジングの外側から目視できるように前記ハウジング内に回転自在に軸受けされると共に、それぞれアンバランスウエイトが設けられた駆動軸及び従動軸と、前記駆動軸に設けられ、クランクシャフトの2倍の回転数となる回転力が伝達される回転伝達部材と、前記ハウジングの収容空間内で互いに噛み合うように前記駆動軸と従動軸とにそれぞれ設けられた伝達ギアと、前記従動軸の前記ハウジングの外側から目視できる一端外周に設けられた2面幅部と、ポンプボディ内に設けられていると共に、内周に2面幅が形成された駆動用孔に前記従動軸の2面幅部が挿入されることによって前記従動軸から回転力が伝達されるインナーロータを有し、該インナーロータの回転によりオイルを吐出するオイルポンプと、前記駆動軸の前記ハウジングの外側から目視できる一端外周の少なくとも一部を切り欠いた第1の切欠部と、前記2面幅部の2つの平面部位以外の一対の円弧部位のうち、一方側に設けられた第2の切欠部と、該第2の切欠部と前記インナーロータの駆動用孔の内周面との間に形成された空間部と、を備えたことを特徴としている。
本発明によれば、従動軸の端部にオイルポンプが設けられていても、駆動軸に対する従動軸の回転位置の判別が可能になる。
本発明の実施形態にかかるバランサ装置を示す図10のC−C線に沿った断面図である。 同バランサ装置が機関に取り付けられた状態を示す部分断面図である。 本実施形態のバランサ装置の側面図である。 図2のA−A線に沿った断面図である。 本実施形態に供される駆動側バランサシャフトの斜視図である。 本実施形態に供されるバランサスプロケットの斜視図である。 図2のB−B線に沿った断面図である。 本実施形態に供される従動側バランサシャフトの斜視図である。 本実施形態に供されるインナーロータの斜視図である。 本実施形態のバランサ装置の底面図である。 図10のD−D線断面図である。 本実施形態に供される検出治具を示す斜視図である。 同検出治具を用いて両バランサシャフトに回転位相を検出している状態を示す縦断面図である。
以下、本発明に係るバランサ装置を、例えば自動車の直列4気筒の内燃機関に適用した実施形態を図面に基づいて説明する。
内燃機関のシリンダブロック1の下部には、図2に示すように、クランクシャフト2を軸支する軸受部を有するアルミ合金材からなるラダーフレーム3が固定されていると共に、該ラダーフレーム3の下部に、内部のエンジンオイルOを貯留したオイルパン4が取り付けられている。また、前記内燃機関は、エンジンルーム内のレイアウトの関係から図2中、左側が下がった傾斜状に形成されて、前記オイルパン4の傾斜状下面4aが水平になるように配置されている。
前記クランクシャフト2は、シリンダブロック1の下部に、図外のベアリングボルトによって結合されたベアリングキャップなどからなる複数の軸受によって回転自在に支持されていると共に、前端側に一体的に有する軸2aに大径なクランクスプロケット5が取り付けられている。
このクランクスプロケット5は、リング状に形成され、中央部に形成された挿通孔5aを介してクランクシャフト2の軸部2aに焼きばめによって結合されていると共に、外周にギア部5bを有している。なお、前記焼きばめに代えてボルトによって締結固定することも可能である。
前記シリンダブロック1の下部とラダーフレーム3及びオイルパン4によって囲まれた空間内には、機関の二次振動を抑制するバランサ装置6が収容配置されている。このバランサ装置6は、図1に示すように、前記内燃機関の傾斜角度と同じ角度で傾斜して配置され、後述する従動側バランサシャフト9側が駆動側バランサシャフト8よりも重力方向の下方側となるように配置されている。
そして、このバランサ装置6は、図1〜図9に示すように、ラダーフレーム3の下面に固定されたバランサハウジング7と、該バランサハウジング7の内部の収容空間36に回転自在に支持されて、機関前後方向に並行に配置された駆動軸である駆動側バランサシャフト8及び従動軸である従動側バランサシャフト9と、該両バランサシャフト8,9にそれぞれ設けられて、各歯部が互いに噛合した伝達ギアであるヘリカル型の駆動側ギア10及び従動側ギア11と、前記バランサハウジング7の前記従動側バランサシャフト9側の前端部に設けられたオイルポンプ12と、を備えている。
前記バランサハウジング7は、全体がアルミニュウム合金材や球状黒鉛鋳鉄などから形成され、オイルパン4側のロアーハウジング13と、該ロアーハウジング13の上部に配置されたアッパーハウジング14とから構成され、この両ハウジング13,14は、複数のボルト15によって上下方向から締結固定されている。
なお、図3に示すように、前記各ボルト15の先端部15aは、パイロット先となっているが、噛み合い長さを十分にするために、ロアーハウジング13から飛び出した構造になっている。
前記駆動側バランサシャフト8は、図4及び図5に示すように、軸先端8cの前端部8dに環状凸部8eが一体に設けられていると共に、該環状凸部8eの外周縁に第1の回転位置認識部である第1の切欠部8fがエンドミル加工によって背面部21eとほぼ平行に形成されている。また、この駆動側バランサシャフト8の軸先端8cの前端部8dから内部軸方向には、ボルトねじ孔8gが形成されていると共に、前端部8dには、回転伝達部材であるバランサスプロケット17が前記ボルトねじ孔8gに軸方向から螺着した固定用ボルト16によって固定されている。
このバランサスプロケット17は、図6にも示すように、内部のボルト挿通孔17cを有する円環状のスプロケット本体17aと、該スプロケット本体17aの外周に一体に設けられて、前記クランクスプロケット5との間に駆動チェーン31が巻装される歯車17bとから構成されている。また、スプロケット本体17aの後端部に円環部17dが一体に設けられており、この円環部17dの外周に、二面幅状の切欠部17e、17eが形成されていると共に、内周に駆動軸嵌合穴17fが形成されている。また、この駆動軸嵌合穴17fの内周に、前記第1の切欠部8fが嵌合する嵌合凸部17gが一体に設けられている。前記歯車17bに巻装された駆動チェーン31を介してクランクシャフト2からの回転力が伝達されて、前記両バランサシャフト8,9が、前記駆動側ギア10と従動側ギア11を介して互いに反対方向へ回転されるようになっている。なお、前記両シャフト8,9は、クランクシャフト2の1回転当たり2回転するように設定されている。
また、前記駆動側バランサシャフト8は、図4及び図5に示すように、軸方向の前端側と後端側にジャーナル部8a、8bが形成されていると共に、該ジャーナル部8a、8bが前記ロアーハウジング13とアッパーハウジング14の対応する位置にそれぞれ設けられた2つの軸受部19a、19bに回転自在に支持されている。なお、後部側の軸受部19b側には半割円環状のプレーンベアリング20が介装されている。
更に、前記各ハウジング13,14内には、各軸受部19a、19bの内周面に形成された半円弧状の油溝19c、19dを介して後述する油通路から潤滑油が供給されるようになっている。
また、駆動側バランサシャフト8の後側ジャーナル8bを挟んだ前後位置には、半円形状の2つのアンバランスウエイトであるカウンターウエイト21a、21bが一体に設けられている。このカウンターウエイト21a、21bは、平坦な面である各2つの背面部21eを有し、これがセンター穴開けなどの加工時の衝になっている。このため、鍛造または鋳造時の型は、前記各背面部21eを境に分割される。したがって、反ジャーナル側の端面21c、21dは約3°程度の抜き勾配を有するが、正確なアンバランス量を確保しつつ取り代を一定にするために抜き勾配と同様の角度によって円錐面状に旋盤加工されている。
前記駆動側ギア10は、駆動側バランサシャフト8に圧入などによって固定されていると共に、図4に示すように、ロアーハウジング13の対向するスラスト壁13a、13bによって挟まれて軸方向への移動が規制されるようになっている。また、駆動側ギア10の前面には、従動側ギア11との回転位相を目視によって決める位置決めマーク10aが形成されている。
また、前記各ハウジング13,14は、図2及び図7に示すように、両者の合わせ面における前記従動側バランサシャフト9の軸方向位置に、後述するポンプボディ26の嵌合孔26aに臨む大径孔39が形成されている。
一方、前記従動側バランサシャフト9は、図7及び図8に示すように、その軸長が駆動側バランサシャフト8よりも短尺に形成され、軸方向の2個所に形成されたジャーナル部9a、9bが前記両ハウジング13、14の間に設けられた2つの軸受部22a、22bを介して回転自在に支持されている。
また、従動側バランサシャフト9は、前端側のジャーナル部9aの先端側に小径軸部9cを一体に有している。この小径軸部9cは、外周に平坦な対称形状の2面幅部9d、9dが形成されていると共に、該2面幅部9d、9d以外の円弧部9e、9eの一方の先端には第2の回転位置認識部である第2の切欠部9fが形成されている。この第2の切欠部9fは、背面部24eとほぼ平行に形成されている。
また、前記第2の切欠部9fは、図2に示すように、従動側バランサシャフト9の小径軸部9cが前記インナーロータ27の駆動用孔27aに挿入された状態で、前記大径孔39と嵌合孔26aを介してハウジング7の外側から目視できるようになっている。
なお、後部側の軸受部22b側には半割円環状のプレーンベアリング23が介装されている。
さらに、各ハウジング13,14の軸受部22a、22bの内周面に形成された半円弧状の油溝22c、22dを介して図外の油通路から潤滑油が供給されるようになっている。
従動側バランサシャフト9の前記後部側のジャーナル部9bを挟んだ前後位置には、2つの半円形状のアンバランスウエイトであるカウンターウエイト24a、24bが一体に設けられており、この端面24c、24dも、駆動側バランサシャフト8と同じく同様の円錐面となっている。
前記従動側ギア11は、従動側バランサシャフト9に圧入などによって固定されていると共に、図7に示すように、ロアーハウジング13の対向するスラスト壁13c、13dにより挟まれて軸方向への移動が規制されるようになっている。また、従動側ギア11の前面には、駆動側ギア10との回転位相を目視によって決める第2位置決めマーク11aが形成されている。
前記オイルポンプ12は、一般的なトロコイド型であって、図7及び図10に示すように、バランサハウジング7の前端側に複数のボルト25によって結合固定されたポンプボディ26と、該ポンプボディ26の内部に回転自在に収容されたインナーロータ27及びアウターロータ28とを備えている。
前記インナーロータ27は、図9にも示すように、軸心方向に貫通形成された駆動用孔27aに前記従動側バランサシャフト9の小径軸部9cが貫通する共に、内周には小径軸部9cの面幅部9d、9dと各円弧部9e、9eがそれぞれ対応して嵌合固定する2面幅27c、27cと各円弧面27d、27dがそれぞれ形成されている。これによって、インナーロータ27が、前記従動側バランサシャフト9の回転力によって回転駆動されるようになっている。なお、前記インナーロータ27は、図5に示すように、中央から突出した円筒部27bが前記ポンプボディ26に形成された嵌合孔26aに嵌合して前記小径軸部9cと一緒に回転自在に軸受けされている。
また、前記従動側バランサシャフト9の小径軸部9cは、その長さがインナーロータ27の円筒部27bの軸方向ほぼ中央位置まで延設され、これによって円筒部27bがねじり荷重を受けないようになっていると共に、加工時の剛性を確保するために、円筒部27bから前方へ突出しない長さに設定されている。
さらに、前記小径軸部9cの第2の切欠部9fの外面とインナーロータ27の駆動用孔27aの内周面との間には、空間部40が形成されている。
また、前記従動側バランサシャフト9の2面幅部9d、9dは、対称形状に形成されていることから、各ハウジング13,14が閉塞構造になっている場合には、バランサ装置の外側からの目視により位相が180°ずれていないことを確認することができないが、本実施形態では、前記大径孔39と嵌合孔26aを介して第2の切欠部9fをハウジング7の外側から目視により確認でき、つまり両バランサシャフト8,9の回転位相を確認することが可能になる。
また、前記ポンプボディ26内には、図7に示すように、ロアーハウジング13の下部内に形成されたオイル吸入通路29に連通する吸入ポート30が形成されていると共に、前記両ロータ27,28の回転に伴うポンプ作用によって前記吸入ポート30から吸入したオイルを吐出する図外の吐出ポートが形成されている。この吐出ポートから吐出されたオイルは、吐出通路を介して機関の各摺動部や駆動部に供給されるようになっている。
前記ポンプボディ26は、図11に示すように、剛性を上げるためのリブ26cが一体に設けられているが、これはリリーフバルブ穴37内の図示しないリリーフバルブの円滑な摺動を確保する呼吸孔26dを避けるように配置されている。
また、前記アッパーハウジング14の駆動側バランサシャフト8側の上壁部14aには、図1及び図3に示すように、バランサハウジング7内に貯留されたオイルOを前記オイルパン4内に排出する2つのオイル排出孔32、32が形成されている。
すなわち、この2つのオイル排出孔32、32は、重力方向の上側に位置する駆動側バランサシャフト8側のほぼ平坦な前記上壁部14aに前記2つのカウンターウエイト21a、21bと対応した位置に形成されていると共に、前記カウンターウエイト21a、21bの外周縁回転方向の接線方向に沿ってほぼ直線状に形成されている。つまり、バランサハウジング7の内部に臨む各一端開口32a、32aが延長部である前記上壁部14aに沿って形成されていると共に、他端開口32b、32bがカウンターウエイト21a、21bの外周縁回転方向の接線方向に直線状に形成されてオイルパン4内に臨んでいる。
前記アッパーハウジング14の前記従動側バランサシャフト9側、つまり従動側カウンターウエイト24a、24b側の円弧状上壁部14bは、開口されることなく閉塞された状態になっている。
前記バランサハウジング7の内部には、図1に示すように、オイルパン4に貯留されたオイルの一部が機関の駆動停止時において貯留された状態になっており、このオイルOの油面レベルLの下に、カウンターウエイト24a、24bを含む従動側バランサシャフト9の全体が配置されていると共に、駆動側バランサシャフト8の全体とカウンターウエイト21a、21bの一部が配置されている。
また、前記ロアーハウジング13には、図1及び図7に示すように、前記オイルポンプ12の駆動時に前記オイルパン4内に貯留されたオイルOを濾過して前記オイル吸入通路29内に流入させるオイルストレーナ33が設けられている。
このオイルストレーナ33は、受け皿状の金属製リテーナ34と、該リテーナ34に保持されたメッシュ状の濾過部材35とから構成されている。前記リテーナ34は、外周縁の前記ロアーハウジング13の下端部に一体に有する円筒壁13eの内周面の円環状の保持溝に圧入またはかしめによって固定されるフランジ部34aが形成されていると共に、底壁にほぼ半円形状の開口部34bが形成されている。また、前記底壁には、外周部側とほぼ中央部側に、オイルパン4の内底面との所定の隙間を形成するための5つの突部34cが設けられている。
そして、このオイルストレーナ33の配置構成としては、図1に示すように、前記ロアーハウジング13の従動側バランサシャフト9側に偏倚して配置されている。つまり、両バランサシャフト8,9の間の中心線Xよりも従動側バランサシャフト9側寄りに形成された円筒壁13eに配置固定されて、重力方向の最下方に位置している。
また、後述するバランサ装置6の各構成部材の組付時に、前記駆動側ギア10と従動側ギア11の回転位相を検出するための検出治具38が用いられる。
具体的に説明すると、この検出治具38は、図12に示すように、横断面ほぼ楕円状に形成された軸状の治具本体38aと、該治具本体38の上端部先端縁に一体に設けられた検出突部38bとから主として構成されている。
前記治具本体38aは、両側面38c、38cが前記インナーロータ27の駆動用孔27aの2面幅27c、27cに対応して2面幅状に形成されていると共に、該両側面38c、38c以外の上下面38d、38dが前記駆動用孔27aの両円弧面27d、27dに対応した円弧面に形成されている。また、前端面38eは、前記従動側バランサシャフト9の小径軸部9cの平坦な先端面に対応して平坦面に形成されている。
前記検出突部38bは、前記前端面38eの上端縁から前方へ前記第2切欠部9fの軸方向長さよりも僅かに短く突出しており、下面38fが平坦な前記第2の切欠部9fの上面に対応して平坦状に形成されていると共に、上端面38gが駆動用孔27aの上側の円弧面27dに対応して円弧面状に形成されている。
〔バランサ装置の組立方法〕
次に、バランサ装置6の各構成部材の組立方法について説明する。まず、前記各ボルト15によってロアーハウジング13とアッパーハウジング14を上下方向から締結固定した状態で、前記軸受部19a、19b、22a、22bを共加工する。
その後、両ハウジング13,14を分解、洗浄して、かかる分解された両ハウジング13、14の軸受部19b、22bに、各プレーンベアリング20,23を嵌合固定する。
次に、前記両バランサシャフト8,9は、駆動側ギア10及び従動側ギア11が圧入された状態で、図5、図8に示す各ギア10,11の両位置合わせマーク10a、11aを合わせるようにジャーナル部8a、9aがロアーハウジング13の軸受部19a、22aに、ジャーナル部8b、9bがプレーンベアリング20,23の位置になるように配置する。その上からアッパーハウジング14を被せるように配置し、その後、各ボルト15によって再度両ハウジング13,14を締結固定する。
一方、ポンプボディ26には、その嵌合孔26a及びポンプ穴26bにインナーロータ27の円筒部27bの外周面及びアウターロータ28の外周面が印籠ばめされた状態で配置される。
その後、前記インナーロータ27の駆動用孔27aに、前記従動側バランサシャフト9の小径軸部9cを挿通して、該小径軸部9cの2面幅部9d、9dがインナーロータ27の2面幅27c、27cに嵌合させて連結する。
その後、ポンプボディ26を、ハウジング7に複数のボルト25によって締結固定する。
このように、バランサ装置6の各構成部材が組み付けられた後に、最終確認として、前記両位置合わせマーク10a、11aが合っていることを確認するが、前述したように、ハウジング7が閉構造になっていることから、各ギア10,11はもとより両バランサシャフト8,9の回転位相を確認することができない。
このため、本実施形態では、前記駆動側バランサシャフト8にバランサスプロケット17を取り付ける前に、駆動側バランサシャフト8の第1の切欠部8fを介して図外のスパナなどで規定の位置に回転固定した上で、図13に示すように、前記検出治具38の先端側を、前記大径孔39を介して嵌合孔26aに挿通しつつ検出突部38bを駆動用孔27aと第2の切欠部9fとの間の空間部40に挿入して、該検出治具38の検出突部38bが前記空間部40に挿入できるか否かで、両ギア10,11の回転位相を検出する。
すなわち、前記治具本体38aの先端部、つまり両側面38c、38cと上下面38d、38dが駆動用孔27aの2面幅27c、27cと円弧面27d、27dに嵌入できたことによって、前記回転位相のずれがない、または180°位相になっていると判断でき、またさらに前記検出突部38bが、空間部40に挿入できた場合は、回転位相のずれがなく前記両ギア10,11の回転位相が正しいと判断できる。
また、検出治具38が挿入できない場合は、回転位相が合っていないとして、つまり誤組付であると判定して、再度、各構成部材を組付直して回転位相の位置合わせ作業を行う。
〔バランサ装置の作動〕
以下、前記各ギア10,11の回転位相を含めた各構成部材の組付作業が完了したバランサ装置6の作動について説明する。
機関が始動されてクランクシャフト2が回転駆動すると、クランクスプロケット5と駆動チェーン31及びバランサスプロケット17を介して駆動側バランサシャフト8が一方向へ前記クランクシャフト2の2倍の速度で回転する。これによって、従動側バランサシャフト9が、駆動側ギア10と従動側ギア11の噛み合い回転伝達を経て駆動側バランサシャフト8と反対方向へ同速度で回転する。
よって、それぞれのカウンターウエイト21a、21b、24a、24bも互いに反対方向へ回転しながらバランサシャフト自体の左右の遠心力をキャンセルする。
このとき、バランサハウジング7は、オイルパン4内に滞留するオイルOと各バランサシャフト8,9の干渉を防止し、該各バランサシャフト8,9が回転する際に発生する起振力を受けると同時に起振力を機関に伝達する。
また、前記従動側バランサシャフト9の回転に伴ってインナーロータ27とアウターロータ28が回転してオイルポンプ12がポンプ作動して、オイルパン4内のオイルOを、オイルストレーナ33を介して吸入すると共に、機関の各摺動部などへ吐出する。
そして、前述のように、従動側バランサシャフト9の回転に伴いカウンターウエイト24a、24aが回転してバランサハウジング7内のオイルOを掻き上げると、この掻き上げられたオイルOは、各オイル排出孔32,32からオイルパン4内に効率良く排出される。つまり、前記オイル排出孔32,32は、カウンターウエイト24a、24aの外周縁回転方向の接線方向に沿って形成されていることから、掻き上げられたオイルOはそのままカウンターウエイト24a、24aの外周縁から遠心力によって各オイル排出孔32,32方向へ飛散することから効率良く排出させることができる。
このため、両バランサシャフト8,9のオイルOによる攪拌抵抗、つまり回転フリクションを十分に低下させることが可能になり、この結果、機関の回転負荷を低減させることができる。
特に、前記オイル排出孔32,32は、前記カウンターウエイト24a、24aの遠心力が作用する方向に開口しているため、バランサハウジング7内のオイルOがカウンターウエイト24a、24aによって掻き上げられて遠心方向へそのまま飛散されることをから、オイル排出孔32,32からオイルパン4内へ排出されやすくなる。
また、前記カウンターウエイト24a、24aによって掻き上げられてオイル排出孔32,32方向に飛散したオイルOの一部は、前記上壁部14aの下面に当たってそのままオイルパン4内へ案内されることから、オイルOの排出性がさらに向上する。
しかも、前記オイルストレーナ33は、ハウジングの重力方向の下方側に配置された従動側バランサシャフト9側に偏倚した位置で、かつ重力方向の最下方位置に設けられていることから、前記各カウンターウエイト21a、21b24a、24bの攪拌作用によってたとえオイルパン4内のオイルに気泡が混入していたとしても、該気泡のオイルストレーナ33方向への回り込みを抑制できる。したがって、前記オイルポンプ12に吸入されるオイルO内の気泡が大幅に減少してキャビティーションの発生や吐出油圧の低下を抑制することができる。
以上のように、本実施形態では、検出治具38によって駆動側ギア10と従動側ギア11の回転位相を外部から検出することができるので、オイルポンプ12が設けられていても駆動側バランサシャフト8と従動側バランサシャフト9の回転位相を検出(識別)することが可能になる。
また、前記各バランサシャフト8,9の回転位相の検出方法としては、前記検出治具38に代えて画像判定装置やレーザーセンサなどを用いて、前記駆動用孔27aの2面幅27c、27cの角度や空間部40を検出することによって回転位相を検出することも可能である。
前記実施形態から把握される前記請求項以外の発明の技術的思想について以下に説明する。
〔請求項a〕 請求項1に記載の内燃機関のバランサ装置において、
前記2面幅部の先端は、前記駆動用孔内に位置していることを特徴とする内燃機関のバランサ装置。
この発明によれば、前記駆動用孔を介して治具を2面幅部先端まで挿入が可能になる。
〔請求項b〕 請求項1に記載の内燃機関のバランサ装置において、
前記第1の切欠部は、前記駆動軸の一端外周を平坦状に切欠形成されていることを特徴とする内燃機関のバランサ装置。
切欠部を簡単かつ容易に形成することができる。
〔請求項c〕請求項bに記載の内燃機関のバランサ装置において、
前記駆動軸の第1の切欠部の側端部には、クランクシャフトから回転力が伝達されるスプロケットがボルトによって固定されていることを特徴とする内燃機関のバランサ装置。
〔請求項d〕請求項cに記載の内燃機関のバランサ装置おいて、
前記スプロケットの駆動軸駆動用孔は、前記第1の切欠部の断面と対比する形状に開口していることを特徴とする内燃機関のバランサ装置。
〔請求項e〕請求項1に記載の内燃機関のバランサ装置において、
前記第2の切欠部は、前記従動軸の一端外周を平坦状に切欠形成したものであることを特徴とする内燃機関のバランサ装置。
〔請求項f〕請求項1に記載の内燃機関のバランサ装置において、
前記オイルポンプは、内接式トロコイドによって構成され、インナーロータの側面が前記ハウジングの外側から目視できるように構成されていることを特徴とする内燃機関のバランサ装置。
〔請求項g〕請求項3に記載の内燃機関のバランサ装置の誤組付判定方法において、
前記第2の回転位置認識部に検出治具を挿入した際に、該検出治具が挿入できた場合には正常な組付と判定し、挿入できなかった場合には、誤組付と判定することを特徴とする内燃機関のバランサ装置の誤組付判定方法。
〔請求項h〕請求項gに記載の内燃機関のバランサ装置の誤組付判定方法において、
前記ハウジングの外側から目視できる前記従動軸の一端面は、前記インナーロータの駆動用孔の内部に位置し、前記検出治具が前記インナーロータの駆動用孔によってガイドされながら挿入されることを特徴とする内燃機関のバランサ装置の誤組付判定方法。
1…シリンダブロック
2…クランクシャフト
3…ラダーフレーム
4…オイルパン
5…クランクスプロケット
6…バランサ装置
7…バランサハウジング
8…駆動側バランサシャフト(駆動軸)
8e…環状凸部
8f…第1の切欠部(第1の回転位置認識部)
9…従動側バランサシャフト(従動軸)
9c…小径軸部
9d…2面幅部
9e…円弧部
9f…第2の切欠部(第2の回転位置認識部)
10…駆動側ギア(伝達ギア)
11…従動側ギア(伝達ギア)
12…オイルポンプ
13…ロアーハウジング
14…アッパーハウジング
17…バランサスプロケット(回転伝達部材)
19a、19b…軸受部
21a・21b…駆動側カウンターウエイト(アンバランスウエイト)
24a・24b…従動側カウンターウエイト(アンバランスウエイト)
27…インナーロータ
27a…駆動用孔
27c…2面幅
27d…円弧面
28…アウターロータ
38…検出治具
38a…治具本体
38b…検出突部
40…空間部

Claims (3)

  1. 内部に収容空間を有するハウジングと、
    一端側のみが前記ハウジングの外側から目視できるように前記ハウジング内に回転自在に軸受けされると共に、それぞれアンバランスウエイトが設けられた駆動軸及び従動軸と、
    前記駆動軸に設けられ、クランクシャフトの2倍の回転数となる回転力が伝達される回転伝達部材と、
    前記ハウジングの収容空間内で互いに噛み合うように前記駆動軸と従動軸とにそれぞれ設けられた伝達ギアと、
    前記従動軸の前記ハウジングの外側から目視できる一端外周に設けられた2面幅部と、
    前記ハウジング内に設けられていると共に、内周に2面幅が形成された駆動用孔に前記従動軸の2面幅部が挿入されることによって前記従動軸から回転力が伝達されるインナーロータを有し、該インナーロータの回転によりオイルを吐出するオイルポンプと、
    前記駆動軸の前記ハウジングの外側から目視できる一端外周の少なくとも一部を切り欠いた第1の切欠部と、
    前記2面幅部の2つの平面部位以外の一対の円弧部位のうち、一方側に設けられた第2の切欠部と、
    該第2の切欠部と前記インナーロータの駆動用孔の内周面との間に形成された空間部と、
    を備えたことを特徴とする内燃機関のバランサ装置。
  2. 内部に収容空間を有するハウジングと、
    一端側のみが前記ハウジングの外側から目視できるように前記ハウジング内に回転自在に軸受けされると共に、それぞれアンバランスウエイトが設けられた駆動軸及び従動軸と、
    前記駆動軸に設けられ、クランクシャフトの2倍の回転数となる回転力が伝達される回転伝達部材と、
    前記ハウジングの収容空間内で互いに噛み合うように前記駆動軸と従動軸とにそれぞれ設けられた伝達ギアと、
    前記従動軸の前記ハウジングの外側から目視できる一端外周に設けられた2面幅部と、
    前記ハウジング内に設けられていると共に、内周に2面幅が形成された駆動用孔に前記従動軸の2面幅部が挿入されることによって前記従動軸から回転力が伝達されるインナーロータを有し、該インナーロータの回転によりオイルを吐出するオイルポンプと、
    前記駆動軸及び/または前記回転伝達部材に設けられた第1の回転位置認識部と、
    前記ハウジングの外側から目視できる一端外周の少なくとも一部を切り欠くことにより、前記インナーロータの駆動用孔の内周面との間に空間を形成し、この空間部で回転位置認識を行う第2の回転位置認識部と、
    を備えたことを特徴とする内燃機関のバランサ装置。
  3. 内部に収容空間を有するハウジングと、
    一端側のみが前記ハウジングの外側から目視できるように前記ハウジング内に回転自在に軸受けされると共に、それぞれアンバランスウエイトが設けられた駆動軸及び従動軸と、
    前記駆動軸に設けられ、クランクシャフトの2倍の回転数となる回転力が伝達される回転伝達部材と、
    前記ハウジングの収容空間内で互いに噛み合うように前記駆動軸と従動軸とにそれぞれ設けられた伝達ギアと、
    前記従動軸の前記ハウジングの外側から目視できる一端外周に設けられた2面幅部と、
    前記ハウジング内に設けられていると共に、内周に2面幅が形成された駆動用孔に前記従動軸の2面幅部が挿入されることによって前記従動軸から回転力が伝達されるインナーロータを有し、該インナーロータの回転によりオイルを吐出するオイルポンプと、
    前記駆動軸の回転位置を規定する第1の回転位置認識部と、
    前記ハウジングの外側から目視できる前記従動軸の端部外周の少なくとも一部を切り欠くことにより、前記インナーロータの駆動用孔の内周面との間に空間を形成し、この空間部で回転位置を規定した第2の回転位置認識部と、を備えたことを特徴とする内燃機関のバランサ装置の誤組付判定方法であって、
    前記第1の回転位置認識部が規定の位置となるように、前記駆動軸の回転位置を規制した状態で、前記第2の回転位置認識部が規定の位置となるか否かによって、正常な組付が行われていることを判定することを特徴とする内燃機関のバランサ装置の誤組付判定方法。
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