JP2013030379A - 非水系二次電池用正極材料 - Google Patents
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Abstract
【課題】導電性および充放電容量が高い非水系二次電池用正極材料を提供すること。
【解決手段】組成式NiSx(xは1<x≦2の範囲にある正数である)で表される結晶性硫化ニッケル組成物を含有する非水系二次電池用正極材料。
【選択図】なし
【解決手段】組成式NiSx(xは1<x≦2の範囲にある正数である)で表される結晶性硫化ニッケル組成物を含有する非水系二次電池用正極材料。
【選択図】なし
Description
本発明は、非水系二次電池用正極材料、特にリチウムイオン二次電池に適した非水系二次電池用正極材料に関する。
近年、電子機器のポータブル化、コードレス化が急速に進んでおり、これらの駆動用電源として、小型、軽量で高エネルギー密度を有する二次電池への要望が強まっている。また二次電池は電気自動車用バッテリーとしても期待されている。そのため、高電圧、高エネルギー密度を有する非水系二次電池、特にリチウムイオン二次電池への期待が高まっている。かかる要求の実現には、正極、負極それぞれの単位質量あたりの充放電容量を高める必要があり、特に正極の充放電容量の改善がより大きな課題である。正極は通常、正極材料、導電助剤、結合剤などから構成され、上記課題の解決は、充放電容量が高い正極材料の開発が求められる。
リチウムイオン二次電池用正極材料の一つとして提案されている硫黄単体は、理論上は1675mAh/gの充放電容量を有するが、導電性が低く、導電助剤を大量に添加する必要があるので、正極の単位質量あたりの充放電容量は低くなってしまう。また、リチウムイオン二次電池の電解質としてLiPF6を溶解させた電解液を用いた場合、放電時に硫黄単体がリチウムイオンと反応して電解液中に溶解してしまうので、正極の寿命が短いという問題がある。
一方、充放電容量が高いリチウムイオン二次電池用正極材料として組成式(CSx)n(xは2.5〜50、nは2以上)で表されるポリカーボンスルフィドが提案されている(特許文献1参照)。しかし、ポリカーボンスルフィドは、充放電の繰り返しに伴いスルフィド結合が切断されて電解液中に溶解してしまい、正極の寿命が短いという問題がある。
一方、充放電容量が高いリチウムイオン二次電池用正極材料として組成式(CSx)n(xは2.5〜50、nは2以上)で表されるポリカーボンスルフィドが提案されている(特許文献1参照)。しかし、ポリカーボンスルフィドは、充放電の繰り返しに伴いスルフィド結合が切断されて電解液中に溶解してしまい、正極の寿命が短いという問題がある。
さらにニッケル硫化物(NiSx;x≧1)を用いたリチウムイオン二次電池用正極材料が提案されている(特許文献2参照)。かかる材料は、正極1gあたり496〜613mAh/gの放電容量を示すと記載されている。
しかしながら、特許文献2のニッケル硫化物は結晶性ではなく、また硫黄を多く含み、導電性が低いので、グラファイト等の導電助剤を加える必要がある。例えば特許文献2ではニッケル硫化物1質量部に対して0.2質量部の導電助剤を加えることが記載されている。
したがって本発明の目的は、導電性が高く、高い充放電容量を示す非水系二次電池用正極材料を提供することである。
本発明者らは、液体硫化剤中で二つのニッケル電極間でプラズマ放電させると、高い充放電容量を有し、結晶性硫化ニッケル組成物が効率よく得られ、かかる結晶性硫化ニッケル組成物は導電性が高く、非水系二次電池用正極材料として有用であることを見出した。
すなわち本発明は、組成式NiSx(xは1<x≦2の範囲にある正数である)で表される結晶性硫化ニッケル組成物を含有する非水系二次電池用正極材料である。
本発明によれば、導電性が高く、高い充放電容量を有する非水系二次電池用正極材料が簡便かつ効率的に得られる。
以下、本発明を詳細に説明する。本明細書において「〜」はその両端の値を含む。
本発明の非水系二次電池用正極材料は、組成式NiSx(xは1<x≦2の範囲にある正数である)で表される結晶性硫化ニッケル組成物を含有する。かかる結晶性硫化ニッケル組成物は、好適には、液体硫化剤中に配置した二つのニッケル電極間に電圧を印加してプラズマ放電を発生させることで、ニッケル電極と液体硫化剤との反応により簡便かつ効率的に得ることができる。
二つのニッケル電極の形状は、棒状、針金状、板状などいずれの形態でもよく、形状および大きさも、同一でも異なっていてもよい。
液体硫化剤としては、硫黄単体や硫黄元素が含まれる化合物が挙げられ、プラズマ放電させる
温度条件で液体状態を保っていればよい。例えば、液体硫化剤として硫黄単体を使用する場合は、溶融硫黄として流動性を保つ観点から、プラズマ放電させる温度条件は120〜160℃の範囲が好ましく、130〜150℃の範囲がより好ましい。液体硫化剤として二硫化炭素;または硫黄の二硫化炭素溶液(本明細書中、「二硫化炭素等」と称する)を使用する場合は、プラズマ放電させる温度条件は二硫化炭素の沸点である46℃以下とすることができる。液体硫化剤として硫黄の二硫化炭素溶液を用いる場合には、二硫化炭素に対する硫黄の溶解度を考慮して、液体硫化剤の温度は20℃以上46℃以下であることが好ましい。二硫化炭素等を液体硫化剤として使用する場合、炭素材料(例えばアモルファスカーボン)が結晶性硫化ニッケル組成物とともに生成し、炭素材料を含む非水系二次電池用正極材料を得られる。
温度条件で液体状態を保っていればよい。例えば、液体硫化剤として硫黄単体を使用する場合は、溶融硫黄として流動性を保つ観点から、プラズマ放電させる温度条件は120〜160℃の範囲が好ましく、130〜150℃の範囲がより好ましい。液体硫化剤として二硫化炭素;または硫黄の二硫化炭素溶液(本明細書中、「二硫化炭素等」と称する)を使用する場合は、プラズマ放電させる温度条件は二硫化炭素の沸点である46℃以下とすることができる。液体硫化剤として硫黄の二硫化炭素溶液を用いる場合には、二硫化炭素に対する硫黄の溶解度を考慮して、液体硫化剤の温度は20℃以上46℃以下であることが好ましい。二硫化炭素等を液体硫化剤として使用する場合、炭素材料(例えばアモルファスカーボン)が結晶性硫化ニッケル組成物とともに生成し、炭素材料を含む非水系二次電池用正極材料を得られる。
液体硫化剤には添加物を加えてもよい。例えば、ニッケル以外の金属の塩を添加すると、銅、亜鉛、スズなどの異種金属を含む非水系二次電池用正極材料を得られる。
二硫化炭素等を液体硫化剤として使用する場合、二硫化炭素の揮発性、引火性を考慮して、二硫化炭素より比重が小さく、かつ非混和性の液体で二硫化炭素等の揮発を液封した状態でプラズマ放電させることが好ましい。かかる液封に使用できる液体としては、例えば水が挙げられる。二硫化炭素等を液封するために水を使用する場合、その量は、通常、二硫化炭素の0.01〜10体積倍の範囲である。
プラズマ放電の態様は、直流プラズマ放電、交流プラズマ放電のいずれでもよく、また連続プラズマ放電、パルスプラズマ放電のいずれでもよいが、プラズマ放電を行う間の温度制御および生成する結晶性硫化ニッケル組成物の安定性の観点から、直流パルスプラズマ放電が好ましい。プラズマ放電を発生させる電圧は、50〜500Vの範囲であり、60〜400Vの範囲であることが好ましく、80〜300Vの範囲であることがより好ましい。
プラズマ放電を発生させる電流は、0.1〜100Aの範囲が好ましく、エネルギー効率の観点から0.2〜30Aの範囲の値がより好ましい。
パルスプラズマ放電を行う場合、放電休止時間は、生成する結晶性硫化ニッケル組成物の安定性の観点から2マイクロ秒以上とすることが好ましく、生産効率の観点から20ミリ秒以下とすることが好ましい。
パルスプラズマ放電を行う場合、放電休止時間は、生成する結晶性硫化ニッケル組成物の安定性の観点から2マイクロ秒以上とすることが好ましく、生産効率の観点から20ミリ秒以下とすることが好ましい。
パルスプラズマ放電1回あたりの持続時間は、1〜8000マイクロ秒の範囲が好ましく、2〜500マイクロ秒の範囲であることがより好ましい。
使用するニッケル電極の一方または両方に振動を与えるのが好ましい。ニッケル電極に振動を与えることで、生成する結晶性硫化ニッケル組成物のニッケル電極表面への滞留が解消され、反応が促進される。振動は、プラズマ放電時にニッケル電極に連続的に与えても、断続的に与えてもよい。
プラズマ放電を行う系の雰囲気は、窒素、アルゴンなどの不活性ガスであることが好ましい。
生成する結晶性硫化ニッケル組成物は、液体硫化剤中に分散または堆積するので、慣用の固液分離方法(例えば濾過、単蒸留、減圧蒸留等)により分離・回収できる。
このようにして得られる結晶性硫化ニッケル組成物は、組成式NiSx(xは1<x≦2の範囲にある正数である)で表され、リチウムイオンなどの活物質を多くドープでき、さらに結晶性であるため、かかる結晶性硫化ニッケル組成物を含有する本発明の非水系二次電池用正極材料は導電性が高く多量の導電助剤を必要としない。このことから充放電容量の高い正極として有用である。なお硫化ニッケルの結晶性はXRDチャートのピーク形状によって評価できる。具体的には、各種硫化ニッケルの標準チャートと一致するピークのうち、他のピークとの重なりがない任意のピークの半値幅を測定し、2以下であれば結晶性であると判断できる。
本発明の非水系二次電池用正極材料を用いた正極は、例えば、非水系二次電池用正極材料を必要に応じて平均粒径約0.1〜10μmの微粒子とした後、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン等の結合剤を溶媒に溶解させた溶液中に分散してスラリーとし、円形あるいは矩形の金属板等からなる導電性の集電材に接合して一定の厚さの正極層(例えば10〜200μmの層)を形成する等の方法により製造することができる。結合剤の添加量は、好ましくは非水系二次電池用正極材料に対して1〜20質量%の範囲である。結合剤が多すぎると、得られる正極の電気抵抗が増加し、電池の内部抵抗が大きくなり電池特性が低下する傾向となる。結合剤が少なすぎると、正極と集電材との接合強度が低下する傾向となる。結合剤を溶解する溶媒としてはN−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフランが挙げられる。かかる溶媒の使用量は、非水系二次電池用正極材料に対して2〜50質量倍の範囲が好ましい。
上記で作製される正極は、グラファイト等の導電助剤を含有してもよい。導電助剤を含有させる場合、その量は結晶性硫化ニッケル組成物1質量部に対して0.15質量部以下が好ましく、0.06質量部以下がより好ましい。導電助剤が多すぎると、正極の単位質量あたりの充放電容量が低下するので好ましくない。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
各実施例において、ニッケル電極は株式会社ニラコ製のものを用いた。また、プラズマ放電発生中にニッケル電極を振動させるための振動発生装置として、アクチュエーター(旭製作所製 WaveMaker SL-0105)を用いた。
XRD測定は、粉末X線回折装置(リガク社製MiniFlex II)を用いた。
得られた非水系二次電池用正極材料の組成および組成式NiSx中のxの値は、有機炭素分析および熱質量分析によって算出した。有機炭素分析はパーキンエルマー社製、2400CHNSにて行った。熱質量分析は、熱質量測定装置(SII社製 TG/DTA6300 EXSTAR6000)を用いて、空気下、10℃/分で1000℃まで加熱しながら行った。
XRD測定は、粉末X線回折装置(リガク社製MiniFlex II)を用いた。
得られた非水系二次電池用正極材料の組成および組成式NiSx中のxの値は、有機炭素分析および熱質量分析によって算出した。有機炭素分析はパーキンエルマー社製、2400CHNSにて行った。熱質量分析は、熱質量測定装置(SII社製 TG/DTA6300 EXSTAR6000)を用いて、空気下、10℃/分で1000℃まで加熱しながら行った。
[実施例1](電極/液体硫化剤/電極の組み合わせがNi/S/Niである場合)
(1)非水系二次電池用正極材料の作製
100mlビーカーに硫黄100gを入れ、140℃に加熱して融解させた。正極および負極として、直径5mm、長さ100mmの円柱状のニッケル電極(純度99%以上)2本を液体硫黄に浸漬し、電極間の距離を1mmとなるよう配置した。振動発生装置で両方のニッケル電極に振動(毎秒約100回の振動数)を与えて、ニッケル電極の表面に反応生成物が堆積することを防止した。各ニッケル電極を電源に接続し、200V、60Aで、休止時間10ミリ秒、1回あたりの持続時間250マイクロ秒となるように直流にて電圧を印加して矩形パルスプラズマ放電を30分間継続した。矩形パルスプラズマ放電後の正極の質量減少は0.55g,負極の質量減少は0.52gであった。減圧蒸留により硫黄を除去し、粉末として1.71gの非水系二次電池用正極材料(「非水系二次電池用正極材料1」と称する)を得た。XRD測定の結果、2θ=31.8度等において半値幅2以下のシャープなピークが見られ、結晶性硫化ニッケル組成物を含有することが裏付けられた。XRDの測定結果を図1に示す。
また、非水系二次電池用正極材料1の熱質量測定の結果を図2に示す。250℃にかけて観測された8%の質量減少は、水などの揮発分に基づくと推定しており、250℃〜900℃にかけて観測された26%の質量減少は、硫化ニッケルの酸化に伴う硫黄分の揮発に基づくと推定している。かかる熱質量分析から算出した組成式NiSxのxの値は1.4であった。
(1)非水系二次電池用正極材料の作製
100mlビーカーに硫黄100gを入れ、140℃に加熱して融解させた。正極および負極として、直径5mm、長さ100mmの円柱状のニッケル電極(純度99%以上)2本を液体硫黄に浸漬し、電極間の距離を1mmとなるよう配置した。振動発生装置で両方のニッケル電極に振動(毎秒約100回の振動数)を与えて、ニッケル電極の表面に反応生成物が堆積することを防止した。各ニッケル電極を電源に接続し、200V、60Aで、休止時間10ミリ秒、1回あたりの持続時間250マイクロ秒となるように直流にて電圧を印加して矩形パルスプラズマ放電を30分間継続した。矩形パルスプラズマ放電後の正極の質量減少は0.55g,負極の質量減少は0.52gであった。減圧蒸留により硫黄を除去し、粉末として1.71gの非水系二次電池用正極材料(「非水系二次電池用正極材料1」と称する)を得た。XRD測定の結果、2θ=31.8度等において半値幅2以下のシャープなピークが見られ、結晶性硫化ニッケル組成物を含有することが裏付けられた。XRDの測定結果を図1に示す。
また、非水系二次電池用正極材料1の熱質量測定の結果を図2に示す。250℃にかけて観測された8%の質量減少は、水などの揮発分に基づくと推定しており、250℃〜900℃にかけて観測された26%の質量減少は、硫化ニッケルの酸化に伴う硫黄分の揮発に基づくと推定している。かかる熱質量分析から算出した組成式NiSxのxの値は1.4であった。
(2)試験用正極の作製と評価
上記で得られた非水系二次電池用正極材料1から試験用正極を作製した。90質量部の非水系二次電池用正極材料1およびアセチレンブラック5質量部を、ポリフッ化ビニリデン5質量部をN−メチル−2−ピロリドン400質量部に溶解した溶液に添加した後、室温にて撹拌してスラリーを作製した。得られたスラリーを、圧延アルミ箔(宝泉株式会社製 リチウムイオン二次電池電極用アルミ箔 50μm)箔の上に、厚みが150μmになるように塗布し、80℃で1時間乾燥させた後、圧延ロール機を用いて電極厚みが100μmになるように圧延処理を行い、最後に減圧下、80℃で12時間乾燥させて試験用正極を作製した。
上記で得られた非水系二次電池用正極材料1から試験用正極を作製した。90質量部の非水系二次電池用正極材料1およびアセチレンブラック5質量部を、ポリフッ化ビニリデン5質量部をN−メチル−2−ピロリドン400質量部に溶解した溶液に添加した後、室温にて撹拌してスラリーを作製した。得られたスラリーを、圧延アルミ箔(宝泉株式会社製 リチウムイオン二次電池電極用アルミ箔 50μm)箔の上に、厚みが150μmになるように塗布し、80℃で1時間乾燥させた後、圧延ロール機を用いて電極厚みが100μmになるように圧延処理を行い、最後に減圧下、80℃で12時間乾燥させて試験用正極を作製した。
上述の手順で作製した正極のほか、負極としてリチウム金属、電解液として1MのLiPF6を溶解したエチレンカーボネート/ジエチルカーボネート3/7(質量比)溶液、セパレータとして多孔質ポリオレフィンセパレータ(宝泉株式会社製 セルガード 50μm)をそれぞれ使用して、アルゴン雰囲気下でリチウムイオン二次電池のコイン型セルを作製した。リチウムイオンのドーピングのために、0.5mA/cm2 の電流密度で1時間通電したのち2時間休止する操作を、端子間の平衡電圧が5mVに達するまで繰り返し行った。端子間の平衡電圧が5mVに達するまでに流れた電気量を使用した非水系二次電池用正極材料の質量で除した値を充電容量とした。
次に負極にドープされたリチウムイオンを脱ドープするために、逆方向に電流を流して0.5mA/cm2 の電流密度で1時間通電したのち2時間休止する操作を、端子間の電圧が1.5Vに達するまで繰り返し行った。端子間の電圧が1.5Vに達するまでに流れた電気量を使用した非水系二次電池用正極材料の質量で除した値を放電容量とした。
放電容量を充電容量で除した値に100を乗じて放電効率(%)を求めた。得られた結果を表1に示す。
次に負極にドープされたリチウムイオンを脱ドープするために、逆方向に電流を流して0.5mA/cm2 の電流密度で1時間通電したのち2時間休止する操作を、端子間の電圧が1.5Vに達するまで繰り返し行った。端子間の電圧が1.5Vに達するまでに流れた電気量を使用した非水系二次電池用正極材料の質量で除した値を放電容量とした。
放電容量を充電容量で除した値に100を乗じて放電効率(%)を求めた。得られた結果を表1に示す。
[実施例2](電極/液体硫化剤/電極の組み合わせがNi/CS2/Niである場合)
(1)非水系二次電池用正極材料の作製
140℃の硫黄の代わりに、20℃の二硫化炭素100gを用いたこと以外は、実施例1と同様の条件で矩形パルスプラズマ放電を30分間継続した。矩形パルスプラズマ放電終了後の正極の質量減少は0.25g、負極の質量減少は0.19gであった。単蒸留により二硫化炭素を除去し、粉末として0.81gの非水系二次電池用正極材料(「非水系二次電池用正極材料2」と称する)を得た。XRD測定の結果、2θ=31.8度等において半値幅2以下のシャープなピークが見られ、結晶性硫化ニッケル組成物を含有することが裏付けられた。XRDの測定結果を図1に示す。
また、得られた非水系二次電池用正極材料2を有機炭素分析したところ、炭素含有量は7質量%であった。これら炭素はアモルファスカーボンとして硫化ニッケル中に含まれていると推定している。また、非水系二次電池用正極材料2の熱質量測定の結果を図3に示す。250℃にかけて観測された9%の質量減少は水などの揮発分の減少に基づくと推定しており、250℃〜900℃にかけて観測された23%の質量減少は炭素分の酸化に伴う揮発および硫化ニッケルの酸化に伴う硫黄分の揮発に基づくと推定している。有機炭素分析および熱質量分析の測定結果から算出したNiSxのxの値は1.1であった。
(1)非水系二次電池用正極材料の作製
140℃の硫黄の代わりに、20℃の二硫化炭素100gを用いたこと以外は、実施例1と同様の条件で矩形パルスプラズマ放電を30分間継続した。矩形パルスプラズマ放電終了後の正極の質量減少は0.25g、負極の質量減少は0.19gであった。単蒸留により二硫化炭素を除去し、粉末として0.81gの非水系二次電池用正極材料(「非水系二次電池用正極材料2」と称する)を得た。XRD測定の結果、2θ=31.8度等において半値幅2以下のシャープなピークが見られ、結晶性硫化ニッケル組成物を含有することが裏付けられた。XRDの測定結果を図1に示す。
また、得られた非水系二次電池用正極材料2を有機炭素分析したところ、炭素含有量は7質量%であった。これら炭素はアモルファスカーボンとして硫化ニッケル中に含まれていると推定している。また、非水系二次電池用正極材料2の熱質量測定の結果を図3に示す。250℃にかけて観測された9%の質量減少は水などの揮発分の減少に基づくと推定しており、250℃〜900℃にかけて観測された23%の質量減少は炭素分の酸化に伴う揮発および硫化ニッケルの酸化に伴う硫黄分の揮発に基づくと推定している。有機炭素分析および熱質量分析の測定結果から算出したNiSxのxの値は1.1であった。
(2)試験用正極の作製と評価
非水系二次電池用正極材料1(90質量部)の代わりに、非水系二次電池用正極材料2(90質量部)を用いた以外は、実施例1と同様に試験用正極の作製と評価を行った。得られた結果を表1に示す。
非水系二次電池用正極材料1(90質量部)の代わりに、非水系二次電池用正極材料2(90質量部)を用いた以外は、実施例1と同様に試験用正極の作製と評価を行った。得られた結果を表1に示す。
[実施例3](電極/液体硫化剤/電極の組み合わせがNi/(S+CS2)/Niである場合)
(1)非水系二次電池用正極材料の作製
140℃の硫黄の代わりに、20℃の10質量%の硫黄の二硫化炭素溶液100gを用いたこと以外は、実施例1と同様の条件で矩形パルスプラズマ放電を30分間継続した。矩形パルスプラズマ放電終了後の正極の質量減少は0.23g、負極の質量減少は0.18gであった。単蒸留により二硫化炭素を除去し、次いで減圧蒸留により硫黄を除去して、粉末として0.69gの非水系二次電池用正極材料(「非水系二次電池用正極材料3」と称する)を得た。XRD測定の結果、2θ=31.6度等において半値幅2以下のシャープなピークが見られ、結晶性硫化ニッケル組成物が得られていることが裏付けられた。XRDの測定結果を図1に示す。
また、得られた非水系二次電池用正極材料3を有機炭素分析したところ、炭素含有量は3質量%であった。これら炭素はアモルファスカーボンとして硫化ニッケル中に含まれていると推定している。また、大気雰囲気下における熱質量測定の結果を図4に示す。250℃にかけて観測された10%の質量減少は水などの揮発分に基づくと推定しており、250℃〜900℃にかけて観測された32%の質量減少は炭素分の酸化に伴う揮発および硫化ニッケルの酸化に伴う硫黄分の揮発に基づくと推定している。有機炭素分析および熱質量分析の測定結果から算出したNiSxのxの値は1.7であった。
(1)非水系二次電池用正極材料の作製
140℃の硫黄の代わりに、20℃の10質量%の硫黄の二硫化炭素溶液100gを用いたこと以外は、実施例1と同様の条件で矩形パルスプラズマ放電を30分間継続した。矩形パルスプラズマ放電終了後の正極の質量減少は0.23g、負極の質量減少は0.18gであった。単蒸留により二硫化炭素を除去し、次いで減圧蒸留により硫黄を除去して、粉末として0.69gの非水系二次電池用正極材料(「非水系二次電池用正極材料3」と称する)を得た。XRD測定の結果、2θ=31.6度等において半値幅2以下のシャープなピークが見られ、結晶性硫化ニッケル組成物が得られていることが裏付けられた。XRDの測定結果を図1に示す。
また、得られた非水系二次電池用正極材料3を有機炭素分析したところ、炭素含有量は3質量%であった。これら炭素はアモルファスカーボンとして硫化ニッケル中に含まれていると推定している。また、大気雰囲気下における熱質量測定の結果を図4に示す。250℃にかけて観測された10%の質量減少は水などの揮発分に基づくと推定しており、250℃〜900℃にかけて観測された32%の質量減少は炭素分の酸化に伴う揮発および硫化ニッケルの酸化に伴う硫黄分の揮発に基づくと推定している。有機炭素分析および熱質量分析の測定結果から算出したNiSxのxの値は1.7であった。
(2)試験用正極の作製と評価
非水系二次電池用正極材料1(90質量部)の代わりに、非水系二次電池用正極材料3(90質量部)を用いた以外は、実施例1と同様に試験用正極の作製と評価を行った。得られた結果を表1に示す。
非水系二次電池用正極材料1(90質量部)の代わりに、非水系二次電池用正極材料3(90質量部)を用いた以外は、実施例1と同様に試験用正極の作製と評価を行った。得られた結果を表1に示す。
[比較例1]
(1)正極材料の作製
特許文献2にしたがって、硫化ナトリウム9水和物6gをエタノール:水=1:1(質量比)混合液10gに溶解させ、溶剤を減圧下で一旦除去した後、残留物にN,N−ジメチルホルムアミド25mlを添加し、次いで硝酸ニッケル6水和物7.3gを添加して、室温で1時間攪拌した。混合液に水10gを添加して、析出した黒色固体を遠心分離で回収し、減圧下で乾燥することで、2.1gの硫化ニッケルを得た。得られた硫化ニッケルのXRDの測定結果を図5に示す。2θ=31.8度付近のピークの半値幅が6程度と大きいため、結晶性ではないといえる。
(1)正極材料の作製
特許文献2にしたがって、硫化ナトリウム9水和物6gをエタノール:水=1:1(質量比)混合液10gに溶解させ、溶剤を減圧下で一旦除去した後、残留物にN,N−ジメチルホルムアミド25mlを添加し、次いで硝酸ニッケル6水和物7.3gを添加して、室温で1時間攪拌した。混合液に水10gを添加して、析出した黒色固体を遠心分離で回収し、減圧下で乾燥することで、2.1gの硫化ニッケルを得た。得られた硫化ニッケルのXRDの測定結果を図5に示す。2θ=31.8度付近のピークの半値幅が6程度と大きいため、結晶性ではないといえる。
(2)比較用正極の作製と評価
非水系二次電池用正極材料1(90質量部)の代わりに、比較例1で調製した硫化ニッケル(90質量部)を用いたこと以外は、実施例1と同様に比較用正極の作製と評価を行った。得られた結果を表1に示す。
非水系二次電池用正極材料1(90質量部)の代わりに、比較例1で調製した硫化ニッケル(90質量部)を用いたこと以外は、実施例1と同様に比較用正極の作製と評価を行った。得られた結果を表1に示す。
比較例1の硫化ニッケルは、結晶性ではなく、導電性が低いために、リチウムイオン二次電池の正極材料に用いた際の充放電容量および放電効率が小さくなることが確認された。
Claims (1)
- 組成式NiSx(xは1<x≦2の範囲にある正数である)で表される結晶性硫化ニッケル組成物を含有する非水系二次電池用正極材料。
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