JP2013028888A - 液晶ポリエステル繊維およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高強度、高弾性率、高耐熱性であり、かつ耐摩耗性、工程通過性、さらに後加工性に優れる液晶ポリエステル繊維およびその製造方法の提供。
【解決手段】液晶ポリエステル繊維に、無機粒子(A)およびリン酸系化合物(B)を塗布し、固相重合した後、無機粒子(A)およびリン酸系化合物(B)が付着した繊維を、該繊維の融点+50℃以上の温度で熱処理することを特徴とする液晶ポリエステル繊維の製造方法、ならびにその製造方法により得られた液晶ポリエステル繊維、ならびにその液晶ポリエステル繊維からなるメッシュ織物によって達成できる。
【選択図】なし

Description

本発明は高強度、高弾性率、高耐熱性であり、かつ耐摩耗性、工程通過性に優れ、さらに後加工性に優れる液晶ポリエステル繊維およびその製造方法に関するものである。
液晶ポリエステルは剛直な分子鎖からなるポリマーであり、溶融紡糸においてはその分子鎖を繊維軸方向に高度に配向させ、さらに熱処理(固相重合)を施すことにより溶融紡糸で得られる繊維の中では最も高い強度、弾性率が得られることが知られている。また液晶ポリエステルは固相重合により分子量が増加し、融点が上昇するため耐熱性、寸法安定性が向上することも知られている(例えば、非特許文献1参照)。このように液晶ポリエステル繊維においては固相重合を施すことにより高強度、高弾性率、優れた耐熱性、熱寸法安定性が発現する。
その一方で、液晶ポリエステル繊維は剛直な分子鎖が繊維軸方向へ高配向しており緻密な結晶が生成されるため、繊維軸垂直方向への相互作用が低く、耐摩耗性に劣るため、高次加工工程、製織工程での摩擦によりフィブリルが発生しやすいという欠点も持つ。近年、モノフィラメントからなるフィルター、スクリーン印刷用紗等のメッシュ織物に対しては、性能向上のため織密度の高密度化(高メッシュ化)、開口部(オープニング)の大面積化の要望が強まっている。これを達成するために単繊維繊度の細繊度化、高強度、高弾性率化が強く要求されており、液晶ポリエステル繊維は高強度、高弾性率であるため期待が集まっている。同時に高性能化のためフィブリル等の欠点減少も強く要求されており、液晶ポリエステル繊維の耐摩耗性、工程通過性改善が望まれている。
さらに、メッシュ織物を製品として用いる場合、メッシュと他の部材との接着性も要求される。例えば、スクリーン印刷用紗であれば、製版用の枠や印刷用の乳剤との接着性が劣ると印刷耐久性が劣り、フィルター用メッシュ織物では支持体となる部材との接着性が劣るのでフィルター機能を損なう。この観点から、メッシュ織物の後加工性、特に接着性が要求されている。
液晶ポリエステル繊維の耐摩耗性改善については、液晶ポリエステル繊維を、示差熱量測定において50℃から20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm1)+10℃以上の温度で熱処理する技術が提案されている(特許文献1参照)。
この技術は耐摩耗性、工程通過性改善の点では優れているが、後加工性の点では不十分であった。特許文献1では固相重合用の油剤としてジメチルポリシロキサンの水エマルジョンを主体とし、これに塩や水膨潤性のスメクタイトを添加した混合油剤を用いている。さらに固相重合後に繊維を洗浄し、固相重合用油剤の付着量を減少させているが、ジメチルポリシロキサンに課題があることが分かった。
すなわち、ポリシロキサンは固相重合条件下では、界面活性剤(ポリシロキサンの水分散に必要である)の分解物や液晶ポリエステルの固相重合時の副生物から酸素ラジカルが生成し、ポリシロキサン同士が架橋反応するためゲル化を起こすのである。このゲル化物が繊維表面に強固に付着するため、界面活性剤による洗浄の他、超音波洗浄などの力学的洗浄を加えたとしても繊維上に残存することが明らかになった。これが繊維の後加工性、特に接着性を悪化させるという課題が明らかになった。
なお、固相重合用油剤として、無機粒子を用いる技術が開示されている(特許文献2参照)。しかし特許文献2においては他の添加剤については、界面活性剤等の成分が含まれていても何等差し支えないと記載があるのみであり、リン酸系化合物との併用による効果については示唆がない。
また固相重合時に有機リン化合物を付着させる技術が開示されている(特許文献3参照)。しかし特許文献3における有機リン化合物付着の目的は短時間で強度を向上させることであり、融着抑制に関する記載が見られず、さらに無機粒子と併用した際の効果については示唆が見られない。
特開2010−248681号公報(第22頁〜第24頁) 特開2004−107826号公報(第6頁) 特開平1−207319号公報(第1頁)
技術情報協会編、「液晶ポリマーの改質と最新応用技術」(2006)(第235頁〜第256頁)
本発明の課題は、高強度、高弾性率、高耐熱性であり、かつ耐摩耗性、工程通過性に優れ、さらに後加工性に優れる液晶ポリエステル繊維およびその製造方法を提供することにある。
前記した本発明の課題は以下の手段により達成される。
(1)液晶ポリエステル繊維に、無機粒子(A)およびリン酸系化合物(B)を塗布し、固相重合した後、無機粒子(A)およびリン酸系化合物(B)が付着した繊維を、該繊維の融点+50℃以上の温度で熱処理することを特徴とする液晶ポリエステル繊維の製造方法。
(2)前記(1)項記載の製造方法により得られた液晶ポリエステル繊維。
(3)前記(2)項記載の液晶ポリエステル繊維からなるメッシュ織物。
本発明の液晶ポリエステル繊維は、耐摩耗性、工程通過性に優れ、さらに後加工性に優れるため、メッシュ織物等の製品を生産する際の製織性を高めることができ、欠点の少ない製品を得ることができる。また製品とした後、洗浄することにより優れた後加工性が得られることから、製品の寿命延長や高機能化が達成できる。また本発明の製造方法により、本発明の液晶ポリエステル繊維を効率良く製造できる。
以下、本発明の液晶ポリエステル繊維の製造方法について詳細に説明する。
本発明で用いられる液晶ポリエステルとは、溶融時に異方性溶融相(液晶性)を形成し得るポリエステルである。この特性は例えば、液晶ポリエステルからなる試料をホットステージにのせ、窒素雰囲気下で昇温加熱し、試料の透過光を偏光下で観察することにより確認できる。
本発明に用いられる液晶ポリエステルとしては、例えば(i)芳香族オキシカルボン酸の重合物、(ii)芳香族ジカルボン酸と芳香族ジオール、脂肪族ジオールの重合物、(iii)(i)と(ii)の共重合物等が挙げられ、中でも芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオールのみで構成された重合物が好ましい。芳香族のみで構成された重合物は、繊維にした際に優れた強度および弾性率を発現する。また、液晶ポリエステルの重合処方は従来公知の方法を用いることができる。
ここで、芳香族オキシカルボン酸としては、例としてヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシナフトエ酸等、またはこれらのアルキル、アルコキシ、ハロゲン置換体等が挙げられる。
また、芳香族ジカルボン酸としては、例としてテレフタル酸、イソフタル酸、ジフェニルジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、ジフェニルエタンジカルボン酸等、またはこれらのアルキル、アルコキシ、ハロゲン置換体等が挙げられる。
更に、芳香族ジオールとしては、例としてヒドロキノン、レゾルシン、ジヒドロキシビフェニル、ナフタレンジオール等、またはこれらのアルキル、アルコキシ、ハロゲン置換体等が挙げられ、脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール等が挙げられる。
本発明に用いる液晶ポリエステルは、上記モノマー以外に、液晶性を損なわない程度の範囲で更に他のモノマーを共重合させることができ、例としてアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸等の脂肪族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸、ポリエチレングリコール等のポリエーテル、ポリシロキサン、芳香族イミノカルボン酸、芳香族ジイミン、および芳香族ヒドロキシイミン等が挙げられる。
本発明に用いる前記モノマー等を重合した液晶ポリエステルの好ましい例としては(I)p−ヒドロキシ安息香酸成分と6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸成分が共重合された液晶ポリエステル、(II)p−ヒドロキシ安息香酸成分と4,4’−ジヒドロキシビフェニル成分とイソフタル酸成分および/またはテレフタル酸成分が共重合された液晶ポリエステル等が挙げられ、特に好ましくは(III)p−ヒドロキシ安息香酸成分と4,4’−ジヒドロキシビフェニル成分とイソフタル酸成分とテレフタル酸成分とヒドロキノン成分が共重合された液晶ポリエステルが挙げられる。
上記(I)(II)(III)のような組み合わせにより、分子鎖は適切な結晶性と非直線性、すなわち溶融紡糸可能な融点を有するようになる。したがって、ポリマーの融点と熱分解温度の間で設定される紡糸温度において良好な製糸性を有するようになり長手方向に均一な繊維が得られ、かつ適度な結晶性を有するため繊維の強度、弾性率を高めることができる。特に(III)の組み合わせは直線性が高いため、弾性率を高めることができ、最も好ましい。
また、本発明に用いる液晶ポリエステルには、本発明の効果を損なわない範囲で他のポリマーを添加もしくは併用することができる。添加・併用とは、ポリマー同士を混合する場合や、2成分以上の複合紡糸において一方の成分、乃至は複数の成分に他のポリマーを部分的に混合使用すること、あるいは全面的に使用することをいう。他のポリマーとしては、例としてポリエステル、ポリオレフィンやポリスチレン等のビニル系重合体、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、芳香族ポリケトン、脂肪族ポリケトン、半芳香族ポリエステルアミド、ポリエーテルエーテルケトン、フッ素樹脂等のポリマーを添加しても良く、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46、ナイロン6T、ナイロン9T、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリシクロヘキサンジメタノールテレフタレート、ポリエステル99M等が好適な例として挙げられる。なお、これらのポリマーを添加・併用する場合、その融点は液晶ポリエステルの融点±30℃以内にすることが製糸性を損なわないために好ましく、また得られる繊維の強度、弾性率を向上させるためには添加・併用する量は50重量%以下が好ましく、5重量%以下がより好ましく、実質的に他のポリマーを添加もしくは併用しないことが最も好ましい。
本発明に用いられる液晶ポリエステルには、本発明の効果を損なわない範囲内で、各種金属酸化物、カオリン、シリカ等の無機物、着色剤、艶消剤、難燃剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、結晶核剤、蛍光増白剤、末端基封止剤、相溶化剤等の添加剤を少量含有していても良い。
本発明に用いる液晶ポリエステルの融点は、溶融紡糸可能な温度範囲を広くするため好ましくは200〜380℃であり、紡糸性を高めるためにより好ましいのは250〜360℃である。なお液晶ポリエステルポリマーの融点は実施例記載の方法で測定される値(Tm2)を指す。
本発明に用いる液晶ポリエステルのポリスチレン換算の重量平均分子量(以下、分子量と記載)は3万以上が好ましい。分子量を3万以上とすることで紡糸温度において適切な粘度を持ち製糸性を高めることができる。分子量が高いほど得られる繊維の強度、伸度、弾性率は高まるため、分子量は5万以上がより好ましく、7万以上がさらに好ましい。一方、分子量が高すぎると粘度が高くなり流動性が悪くなり、ついには流動しなくなるため分子量は25万以下が好ましく、20万以下がより好ましい。ここでいう、ポリスチレン換算の重量平均分子量は実施例記載の方法で測定される値をいう。
本発明に用いる液晶ポリエステルは溶融紡糸に供する前に乾燥することが水分混入による発泡を抑え、製糸性を高めるうえで好ましい。また真空乾燥を行うことで、液晶ポリエステルに残存するモノマーも除去できるため、製糸性をさらに高めることができ、より好ましい。乾燥条件としては100〜200℃にて、8〜24時間の真空乾燥が通常用いられる。
溶融紡糸において、液晶ポリエステルの溶融押出は公知の手法を用いることができるが、重合時に生成する秩序構造をなくすためにエクストルーダー型の押出機を用いることが好ましい。押し出されたポリマーは配管を経由し、ギアーポンプなど公知の計量装置により計量され、異物除去のフィルターを通過した後、口金へと導かれる。このときポリマー配管から口金までの温度(紡糸温度)は流動性を高めるため液晶ポリエステルの融点以上とすることが好ましく、液晶ポリエステルの融点+10℃以上がより好ましい。ただし紡糸温度が過度に高いと液晶ポリエステルの粘度が増加し、流動性の悪化、製糸性の悪化を招くため500℃以下とすることが好ましく、400℃以下がより好ましい。なお、ポリマー配管から口金までの温度をそれぞれ独立して調整することも可能である。この場合、口金に近い部位の温度をその上流側の温度より高くすることで吐出が安定する。
吐出においては口金孔の孔径を小さくするとともに、ランド長(口金孔の孔径と同一の直管部の長さ)を長くすることが製糸性を高め、繊度の均一性を高める点で好ましい。ただし孔径が過度に小さいと孔の詰まりが発生しやすくなるため直径0.05mm以上0.50mm以下が好ましく、0.10mm以上0.30mm以下がより好ましい。ランド長は過度に長いと圧力損失が高くなるため、ランド長Lを孔径Dで除した商で定義されるL/Dは1.0以上3.0以下が好ましく2.0以上2.5以下がより好ましい。
また均一性を維持するために1つの口金の孔数は50孔以下が好ましく、20孔以下がより好ましい。なお、口金孔の直上に位置する導入孔はストレート孔とすることが圧力損失を高めない点で好ましい。導入孔と口金孔の接続部分はテーパーとすることが異常滞留を抑制する上で好ましい。
口金孔より吐出されたポリマーは保温、冷却領域を通過させて固化した後、一定速度で回転するローラー(ゴデットローラー)により引き取られる。保温領域は過度に長いと製糸性が悪くなるため口金面から200mmまでとすることが好ましく、100mmまでとすることがより好ましい。保温領域は加熱手段を用いて雰囲気温度を高めることも可能であり、その温度範囲は100℃以上500℃以下が好ましく、200℃以上400℃以下がより好ましい。冷却は不活性ガス、空気、水蒸気等を用いることができるが、平行あるいは環状に噴き出す室温(20〜30℃)の空気流を用いることが環境およびエネルギー負荷を低くする点から好ましい。
引き取り速度は生産性向上、単糸細繊度化のため50m/分以上が好ましく、500m/分以上がより好ましい。本発明で好ましい例として挙げた液晶ポリエステルは紡糸温度において好適な曳糸性を有することから引き取り速度を高速にでき、上限は特に制限されないが、曳糸性の点から2000m/分程度となる。
引き取り速度を吐出線速度で除した商で定義される紡糸ドラフトは1以上500以下とすることが好ましく製糸性を高め、繊度の均一性を高める点で10以上100以下とすることがより好ましい。
溶融紡糸においてはポリマーの冷却固化から巻き取りまでの間に油剤を付与することが繊維の取り扱い性を向上させる上で好ましい。油剤は公知のものを使用できるが、固相重合前の巻き返しにおいては、溶融紡糸で得られた繊維(以下、紡糸原糸と記載する)を解舒する際の解舒性を向上させる点で一般的な紡糸油剤や後述の無機粒子(A)およびリン酸系化合物(B)の混合油剤を用いることが好ましい。
巻き取りは公知の巻取機を用いパーン、チーズ、コーンなどの形態のパッケージとすることができるが、巻き取り時にパッケージ表面にローラーが接触しないパーン巻きとすることが繊維に摩擦力を与えずフィブリル化させない点で好ましい。
溶融紡糸して得られる繊維の単繊維繊度は18.0dtex以下が好ましい。ここでいう単繊維繊度とは実施例記載の手法により求める値である。単繊維繊度を18.0dtex以下と細くすることで、繊維状態で固相重合した際に、繊維を構成する高分子の分子量が増加しやすく、強度、伸度、弾性率が向上する。さらに表面積が増加するため無機粒子(A)およびリン酸系化合物(B)の付着量を多くできると言った特性を有する。単繊維繊度はより好ましくは10.0dtex以下、さらに好ましくは7.0dtex以下である。なお、単繊維繊度の下限は特に限定されないが、本方法により達し得る下限としては1.0dtex程度である。
溶融紡糸して得られる繊維の強度は、次工程である固相重合前の巻き返し工程での糸切れを防ぎ、工程通過性を高めるため3.0cN/dtex以上が好ましく、5.0cN/dtex以上がより好ましい。強度の上限は、本発明においては10cN/dtex程度である。
溶融紡糸して得られる繊維の伸度は、次工程である固相重合前の巻き返し工程での糸切れを防ぎ、工程通過性を高めるため0.5%以上が好ましく、1.0%以上がより好ましい。伸度の上限は、本発明においては5.0%程度である。
溶融紡糸して得られる繊維の弾性率は、次工程である固相重合前の巻き返し工程での糸切れを防ぎ、工程通過性を高めるため300cN/dtex以上が好ましく、500cN/dtex以上がより好ましい。弾性率の上限は、本発明においては800cN/dtex程度である。
本発明でいう、強度、伸度、弾性率は実施例記載の方法で求める値である。
溶融紡糸して得られる繊維の分子量は3万以上が好ましい。分子量を3万以上とすることで高い強度、伸度、弾性率が得られ、工程通過性に優れる。分子量が高いほど強度、伸度、弾性率は高まるため、分子量は5万以上がより好ましく、7万以上がさらに好ましい。
また分子量が高すぎると固相重合が進みにくくなり、到達できる分子量を高くできないため、分子量は25万以下が好ましく、20万以下がより好ましい。ここでいう、ポリスチレン換算の重量平均分子量は実施例記載の方法で測定される値をいう。なお、本発明においては溶融紡糸において分子量の変化は小さい。
本発明においては、液晶ポリエステル繊維に無機粒子(A)およびリン酸系化合物(B)を塗布した後に固相重合を施すことを特徴とする。無機粒子(A)およびリン酸系化合物(B)を塗布することで固相重合時に繊維間で発生する融着を抑制する効果に加え、該成分が固相重合工程において熱変性することで、後工程での工程通過性に優れ、さらに製品にする際の後加工性に優れる。なお、本発明においては固相重合用油剤として無機粒子(A)およびリン酸系化合物(B)を用いるため、オイル分を使用しないが、無機粒子(A)およびリン酸系化合物(B)も「固相重合用油剤」として表記する。
本発明における無機粒子(A)とは、公知の無機粒子であり、例として鉱物、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物、シリカやアルミナ等の金属酸化物、炭酸カルシウムや炭酸バリウム等の炭酸塩化合物、硫酸カルシウムや硫酸バリウム等の硫酸塩化合物の他、カーボンブラック等が挙げられる。このような耐熱性の高い無機粒子を繊維上へ塗布することで単糸間の接触面積を減らし、固相重合時に発生する融着を回避することが可能となる。
無機粒子(A)は、塗布工程を考慮して取扱いが容易であり環境負荷低減の観点から水分散が容易であることが好ましく、かつ、固相重合条件下において不活性であることが望ましい。これら観点からシリカやケイ酸塩鉱物を用いることが好ましい。ケイ酸塩鉱物の場合は特に層状構造を持つフィロケイ酸塩が好ましい。なおフィロケイ酸塩とは、カオリナイト、ハロイ石、蛇紋石、珪ニッケル鉱、スメクタイト族、葉ろう石、滑石、雲母などが挙げられるが、これらの中でも入手の容易性を考慮して滑石、雲母を用いることが最も好ましい。
また、無機粒子(A)のメディアン径(D50)としては、10μm以下が好ましい。D50を10μm以下とすることで無機粒子(A)が繊維間に保持される確率が高まり、融着抑制効果が顕著となるためである。同様の理由により、より好ましくはD50が5μm以下である。また、D50の下限としてはコスト面、また固相重合後の洗浄工程における洗浄性を考慮すると、0.01μm以上が好ましい。なお、ここでいうメディアン径(D50)とは実施例記載の方法により測定される値をいう。
また本発明におけるリン酸系化合物(B)としては、下記化学式(1)〜(3)で示される化合物が使用できる。
Figure 2013028888
ここで、R,Rは炭化水素、Mはアルカリ金属、Mはアルカリ金属、水素、炭化水素、含酸素炭化水素のいずれかを指す。なお、nは1以上の整数を表す。
としては、固相重合時の熱分解による発生ガスを考慮し、環境負荷を低減する観点から構造中にフェニル基を含まないことが好ましく、アルキル基で構成されることがより好ましい。Rの炭素数としては、繊維表面への親和性の観点から2以上が好ましく、かつ、固相重合に伴う有機成分の分解による重量減量率を押さえ、繊維同士の融着を防ぐ観点から20以下が好ましい。また、Rとしては、水への溶解性の観点から炭素数5以下の炭化水素が好ましく、炭素数2または3がより好ましい。Mとしては安価であり入手しやすい点からナトリウム、カリウムが好ましい。
本発明において重要な点は、リン酸系化合物(B)を無機粒子(A)と併用することである。リン酸系化合物(B)を併用することで無機粒子(A)の水等の媒体への分散性を高め、繊維への均一塗布を可能とし、優れた融着抑制効果を発現するだけでなく、リン酸系化合物(B)が固相重合中に熱変性する、すなわち脱水反応およびリン酸系化合物(B)に含まれる有機成分の分解によりリン酸塩の縮合塩が形成されることによる相乗効果を見出したのである。
この効果の1つは、固相重合後の繊維表面に均一に無機粒子とリン酸塩の縮合塩が付着することによる、工程通過性向上である。繊維表面に粉体である塩と粒子がコーティングされることで、粉体離型の作用により走行抵抗は低下し、繊維の擦過によるフィブリル化を防ぐことができる。一方、従来技術として知られているポリシロキサン系化合物では、ポリシロキサンのゲル状物が生成するため表面の粘着性が高く、走行抵抗は高いため工程通過性は安定化できないのである。
もう一つの効果は、無機粒子とリン酸塩の縮合塩が共存することで、水により容易に両者とも洗浄除去できることである。この効果により、製品とした後に水洗することで繊維表面の付着物が実質的にない状態を作り出し、薬液や樹脂との接着性を高めることができるのである。この洗浄性向上のメカニズムは無機粒子(A)を併用することにより、無機粒子(A)が吸湿性を持つため、リン酸系化合物(B)の縮合塩が自然に吸湿し潮解することを防ぎ、水と接した際にのみリン酸系化合物(B)の縮合塩が吸水することで膨張し、無機粒子(A)と共に繊維表面から層状にはがれ落ちるためと推測している。なお、リン酸系化合物(B)を単独塗布した場合、縮合塩の潮解性により通常の繊維の保管条件においても繊維表面でリン酸塩が吸湿、潮解し粘性を帯びるため洗浄性は低下する。また、従来技術として知られているポリシロキサン系化合物では、ポリシロキサンのゲル状物が生成するため、表面にゲル状物が残ってしまうのである。
無機粒子(A)およびリン酸系化合物(B)の付着量を適性化しつつ均一塗布するためにはリン酸系化合物(B)の希釈液に無機粒子(A)を添加した混合油剤を用いることが好ましく、希釈液としては安全性の観点から水を用いることが好ましい。なお、融着抑制の観点から希釈液中の無機粒子(A)の濃度は高いことが望ましく0.01重量%以上、より好ましくは0.1重量%以上であり、上限としては均一分散の観点から10重量%以下が好ましく、より好ましく5重量%以下である。また、希釈液中のリン酸系化合物(B)の濃度は無機粒子(A)の均一分散の観点からは高いことが望ましく、0.1重量%以上、より好ましくは1.0重量%以上である。なおリン酸系化合物(B)の濃度の上限には特に制限はないが、混合油剤の粘度上昇による付着過多、粘度の温度依存性増大による付着斑を避ける目的で50重量%以下が好ましく、より好ましくは30重量%以下である。
また、繊維への無機粒子(A)およびリン酸系化合物(B)の塗布方法としては、溶融紡糸から巻き取りまでの間に行っても良いが、付着効率を高めるためには紡糸原糸を巻き返しながら塗布する、あるいは溶融紡糸で少量を付着させ、巻き返しながら追加塗布することが好ましい。付着方法はガイド給油法でも良いが、モノフィラメントなど総繊度の細い繊維に均一に付着させるためには金属製あるいはセラミック製のキスロール(オイリングロール)による付着が好ましい。なお、繊維がカセ状、トウ状の場合は混合油剤へ浸漬することで塗布できる。
なお、繊維への無機粒子(A)の付着率を(a)重量%、リン酸系化合物(B)の付着率を(b)重量%としたとき、以下条件を満たすことが好ましい。
条件1. 30≧a+b≧2.0
条件2. a≧0.05
条件3. b/a≧1
上記条件1において、固相重合油剤の油分付着率(a+b)が多いほど融着は抑制できるため、2.0重量%以上が好ましい一方で、多すぎると繊維がべたつきハンドリング性が低下するため30重量%以下が好ましい。より好ましくは4.0重量%以上20重量%以下である。なお繊維への固相重合油剤の油分付着率(a+b)は固相重合油剤塗布後の繊維について実施例に記載した手法により求められる油分付着率の値を指す。
条件2において、無機粒子(A)の付着率(a)は0.05重量%以上とすることで無機粒子による融着抑制効果が顕著となる。付着率(a)の上限としては均一付着の観点から5重量%以下が目安である。
条件3において、リン酸系化合物(B)の付着率(b)を無機粒子(A)の付着率(a)以上とすることでリン酸系化合物(B)の固相重合時の縮合塩形成に由来した優れた洗浄性がより顕著に現れ、また無機粒子(A)と繊維間の固着を抑制する観点からも好ましい。
なお、ここでいう無機粒子(A)の付着率(a)および、リン酸系化合物(B)の付着率(b)とは、下式にて算出される値を指す。
(無機粒子(A)の付着率(a))=(a+b)×Ca÷(Ca+Cb)
(リン酸系化合物(B)の付着率(b))=(a+b)×Cb÷(Ca+Cb)
ここで、Caは固相重合油剤中の無機粒子(A)の濃度、Cbは固相重合油剤中のリン酸系化合物(B)の濃度を指す。
本発明においては、無機粒子(A)およびリン酸系化合物(B)を塗布した後に固相重合を行う。固相重合を行うことで分子量が高まり、これにより強度、弾性率、伸度が高まる。固相重合はカセ状、トウ状(例えば金属網等にのせて行う)、あるいはローラー間で連続的に糸条として処理することも可能であるが、設備が簡素化でき、生産性も向上できる点から繊維を芯材に巻き取ったパッケージ状で行うことが好ましい。
パッケージ状で固相重合を行う場合、融着防止のためには固相重合を行う際の繊維パッケージの巻密度が重要であり、巻き崩れを防ぐために巻き密度を0.01g/cc以上とし、かつ融着を回避するためには巻き密度を1.00g/cc以下とすることが好ましく、0.80g/cc以下とすることがより好ましい。ここで巻密度とは、パッケージ外寸法と心材となるボビンの寸法から求められるパッケージの占有体積Vf(cc)と繊維の重量Wf(g)からWf/Vfにより計算される値である。また巻密度が過度に小さいとパッケージが巻き崩れるため0.03g/cc以上とすることが好ましい。なお占有体積Vfはパッケージの外形寸法を実測するか、写真を撮影し写真上で外形寸法を測定し、パッケージが回転対称であることを仮定し計算することで求められる値であり、Wfは繊度と巻取長から計算される値、もしくは巻取前後での重量差により実測される値である。
このような巻密度が小さいパッケージは、溶融紡糸における巻き取りで形成した場合には、設備生産性、生産効率化が向上するために望ましく、一方、溶融紡糸で巻き取ったパッケージを巻き返して形成した場合には、巻き張力を小さくすることができ、巻密度をより小さくできるため好ましい。巻き返しにおいては巻き張力を小さくするほど巻き密度は小さくできるので、巻き張力は0.30cN/dtex以下が好ましく、0.20cN/dtex以下がより好ましい。なお下限は特に定められるものではないが、本発明で到達し得る下限は0.01cN/dtex程度である。
巻き密度を低くするためには巻き返し速度を500m/分以下とすることが好ましく、400m/分以下とすることがより好ましい。一方、巻き返し速度は生産性のためには高い方が有利であり、50m/分以上、特に100m/分以上とすることが好ましい。
また低張力でも安定したパッケージを形成するためには巻き形態は両端にテーパーがついたテーパーエンド巻き取りとすることが好ましい。この際、テーパー角は70°以下が好ましく、60°以下がより好ましい。またテーパー角が小さい場合、繊維パッケージを大きくすることができず長尺の繊維が必要な場合には1°以上が好ましく、5°以上がより好ましい。なお本発明で言うテーパー角とは以下の式で定義される。
Figure 2013028888
さらにパッケージ形成にはワインド数も重要である。ワインド数とはトラバースが半往復する間にスピンドルが回転する回数であり、トラバース半往復の時間(分)とスピンドル回転数(rpm)の積で定義され、ワインド数が大きいことは綾角が小さいことを示す。ワインド数は小さい方が繊維間の接触面積が小さく融着回避には有利であるが、ワインド数が高いほど端面での綾落ち、パッケージの膨らみが軽減でき、パッケージ形状が良好となる。これらの点からワインド数は2以上20以下が好ましく、5以上15以下がより好ましい。
繊維パッケージを形成するために用いられるボビンは円筒形状のものであればいかなるものでも良く、繊維パッケージとして巻き取る際に巻取機に取り付けこれを回転させることで繊維を巻き取り、パッケージを形成する。固相重合に際しては繊維パッケージをボビンと一体で処理することもできるが、繊維パッケージからボビンのみを抜き取って処理することもできる。ボビンに巻いたまま処理する場合、該ボビンは固相重合温度に耐える必要があり、アルミや真鍮、鉄、ステンレスなどの金属製であることが好ましい。またこの場合、ボビンには多数の穴の空いていることが、重合反応副生物を速やかに除去でき固相重合を効率的に行えるため好ましい。また繊維パッケージからボビンを抜き取って処理する場合には、ボビン外層に外皮を装着しておくことが好ましい。また、いずれの場合にもボビンの外層にはクッション材を巻き付け、その上に液晶ポリエステル溶融紡糸繊維を巻き取っていくことが、パッケージ最内層の繊維とボビン外層との融着を防ぐ点で好ましい。クッション材の材質は、有機繊維または金属繊維からなるフェルトが好ましく、厚みは0.1mm以上、20mm以下が好ましい。前述の外皮を該クッション材で代用することもできる。
繊維パッケージの糸長としては1万m以上200万m以下が好ましい範囲である。
固相重合は窒素等の不活性ガス雰囲気中や、空気のような酸素含有の活性ガス雰囲気中または減圧下で行うことが可能であるが、設備の簡素化および繊維あるいは芯材の酸化防止のため窒素雰囲気下で行うことが好ましい。この際、固相重合の雰囲気は露点が−40℃以下の低湿気体が好ましい。
固相重合温度は、固相重合に供する液晶ポリエステル繊維の吸熱ピーク温度をTm1(℃)とした場合、最高到達温度がTm1−60℃以上であることが好ましい。このような融点近傍の高温とすることで固相重合が速やかに進行し、繊維の強度を向上させることができる。なお、ここで言うTm1は液晶ポリエステル繊維の融点であり、本発明においては実施例記載の測定方法により求められた値を指す。なお最高到達温度はTm1(℃)未満とすることが融着防止のために好ましい。また固相重合温度を時間に対し段階的にあるいは連続的に高めることは、融着を防ぐと共に固相重合の時間効率を高めることができ、より好ましい。この場合、固相重合の進行と共に液晶ポリエステル繊維の融点は上昇するため、固相重合温度は、固相重合前の液晶ポリエステル繊維のTm1+100℃程度まで高めることができる。ただしこの場合においても固相重合での最高到達温度は固相重合後の繊維のTm1−60(℃)以上Tm1(℃)未満とすることが固相重合速度を高めかつ融着を防止できる点から好ましい。
固相重合時間は、繊維の分子量すなわち強度、弾性率、伸度を十分に高くするためには最高到達温度で5時間以上とすることが好ましく、10時間以上がより好ましい。一方、強度、弾性率、伸度増加の効果は経過時間と共に飽和するため、生産性を高めるためには50時間以下とすることが好ましい。
次に、固相重合した液晶ポリエステル繊維をパッケージから解舒するが、固相重合で生じる軽微な融着を剥がす際のフィブリル化を抑制するためには固相重合パッケージを回転させながら、回転軸と垂直方向(繊維周回方向)に糸を解舒する、いわゆる横取りにより解舒することが好ましい。固相重合パッケージの回転について、モーター等を用いて回転数一定で積極駆動すると、解舒に伴い巻き径が減少し速度が徐々に遅くなるため、解舒以降の工程を連続して行う場合に速度一定での処理ができなくなるという問題がある。このため固相重合パッケージの回転は、ダンサーローラーを用いて回転数を制御する調速解舒方式とすることもできるが、耐摩耗性に劣る固相重合糸がダンサーローラーを通過するとフィブリル化するため、固相重合パッケージは積極駆動を行わず、フリーロールに固相重合パッケージをかけて、調速ローラーにより繊維を引っ張りつつ解舒することが、固相重合糸のフィブリル化を抑制しつつ解舒できるため好ましい。フリーロールは、軸とベアリング、並びに外層部の構成となるが、ベアリングの摺動抵抗によりブレーキ作用が働くため、回転数はほぼ一定ながらもわずかに変化し、解舒張力の変動を抑えることができるのである。
解舒された固相重合繊維には無機粒子とリン酸塩の縮合塩が表面に付着しているが、これを洗浄等の手法で除去しないことが好ましい。本技術では固相重合後の繊維表面に粉体である塩と粒子がコーティングされることで、粉体離型の作用により走行抵抗は低下し、繊維の擦過によるフィブリル化を防ぐことができる。一方、従来技術として知られているポリシロキサン系化合物では、ポリシロキサンのゲル状物が生成するため表面の粘着性が高く、走行抵抗は高いため工程通過性は安定化できないのである。無機粒子(A)およびリン酸系化合物(B)も走行時のガイド等との擦過により繊維から欠落するが、粉体のためガイド等に堆積しにくく、走行性に支障を与えないのである。
次に固相重合した繊維に融点+50℃以上の温度で熱処理を施す。なお、ここで言う融点とは実施例記載の測定方法により求められるTm1を指す。以後、繊維の融点をTm1と記載する。液晶ポリエステル繊維にTm1+50℃以上もの高温で熱処理を施すことで耐摩耗性は大きく向上する。なお単繊維繊度が小さい場合にその効果は顕著となる。
液晶ポリエステルのように剛直な分子鎖は緩和時間が長く、表層が緩和する時間のうちに内層も緩和し繊維が溶融してしまう。このため、液晶ポリエステル繊維に適した耐摩耗性向上技術を検討したところ、液晶ポリエステルの場合、分子鎖を緩和させるのではなく加熱により繊維全体の結晶化度、結晶の完全性を低下させることで耐摩耗性を向上できることを見出した。
さらに結晶性を低下させるためには繊維を融点以上に加熱する必要があるが、熱可塑性合成繊維においてはこのような高温では、特に単繊維繊度が小さい場合には強度、弾性率が低下し、さらには熱変形、溶融(溶断)してしまう。液晶ポリエステルでもこのような挙動は見られるが、本発明者らは液晶ポリエステルの融点とは、結晶から液晶に転移する温度であることに着目し、固相重合した液晶ポリエステル繊維では分子量増加により緩和時間は非常に長くなっているため液晶の分子運動性が低く、融点以上の高温で熱処理しても短時間であれば、分子鎖の配向を高いレベルで維持したまま結晶化度を低下させることができ、強度、弾性率の低下が小さいことを見出した。これらのことから特に単糸繊度が小さい液晶ポリエステル繊維に対し、Tm1+50℃以上の高温熱処理を短時間行うことで、液晶ポリエステル繊維の強度、弾性率、耐熱性を大きく損なうことなく耐摩耗性を向上できることを見出したのである。
高温熱処理温度は繊維の結晶化度の低下、結晶の完全性の低下のために固相重合した繊維のTm1+60℃以上とすることがより好ましく、Tm1+80℃以上とすることがさらに好ましい。処理温度の上限は繊維が溶断する温度であり、張力、速度、単繊維繊度、処理長で異なるがTm1+300℃程度である。
なお、従来でも液晶ポリエステル繊維の熱処理を行う例はあるが、液晶ポリエステルは融点以下の温度でも応力により熱変形(流動)するため融点以下で行うことが一般的である。熱処理という点では液晶ポリエステル繊維の固相重合があるが、この場合でも処理温度は繊維の融点以下としないと繊維が融着、溶断してしまう。固相重合の場合、処理に伴い繊維の融点が上昇するため、最終の固相重合温度は処理前の繊維の融点以上となることがあるが、その場合でも処理温度は処理されている繊維の融点、すなわち熱処理後の繊維の融点よりも低い。
本発明における高温熱処理は固相重合を行うことではなく、固相重合によって形成された緻密な結晶部分と非晶部分の構造差を減少させること、つまり結晶化度、結晶の完全性を低下させることで耐摩耗性を高めるものである。したがって処理温度は熱処理により融点が変化しても、変化後の繊維のTm1+50℃以上とすることが好ましく、この点から処理温度は処理後の繊維のTm1+50℃以上とすることが好ましく、Tm1+60℃以上がより好ましく、Tm1+80℃以上とすることがさらに好ましい。
また、別の熱処理として液晶ポリエステル繊維の熱延伸があるが、熱延伸は高温で繊維を緊張させるものであり、繊維構造は分子鎖の配向が高くなり、強度、弾性率は増加し、結晶化度、結晶の完全性は維持したまま、すなわちΔHm1は高いまま、融点のピーク半値幅は小さいままである。したがって耐摩耗性に劣る繊維構造となり、結晶化度を低下(ΔHm1減少)、結晶の完全性を低下(ピーク半値幅増加)させて耐摩耗性を向上させることを目的とする本発明の熱処理とは異なる。なお本発明で言う高温熱処理では結晶化度が低下するため、強度、弾性率は増加しない。
高温熱処理は、繊維を連続的に走行させながら行うことが繊維間の融着を防ぎ、処理の均一性を高められるため好ましい。このときフィブリルの発生を防ぎ、かつ均一な処理を行うため、非接触熱処理を行うことが好ましい。加熱手段としては雰囲気の加熱、レーザーや赤外線を用いた輻射加熱などがあるがブロックまたはプレートヒーターを用いたスリットヒーターによる加熱は雰囲気加熱、輻射加熱の両方の効果を併せ持ち、処理の安定性が高まるため好ましい。
処理時間は結晶化度、結晶の完全性を低下させるためには長い方が好ましく、0.01秒以上が好ましく、0.05秒以上がより好ましく、0.1秒以上がさらに好ましい。また処理時間の上限は、設備負荷を小さくするため、また処理時間が長いと分子鎖の配向が緩和し強度、弾性率が低下するため5.0秒以下が好ましく、3.0秒以下がより好ましく、2.0秒以下とすることがさらに好ましい。
処理する際の繊維の張力は過度に高いと溶断が発生しやすく、また過度の張力がかかった状態で熱処理を行う場合、結晶化度の低下が小さく耐摩耗性の向上効果が低くなるため、できるだけ低張力にすることが好ましい。この点において熱延伸とは明らかに異なる。しかしながら、張力が低いと繊維の走行が不安定となり処理が不均一になることから、0.001cN/dtex以上1.0cN/dtex以下が好ましく、0.1cN/dtex以上0.3cN/dtex以下がより好ましい。
また走行させつつ高温熱処理する場合、張力はできるだけ低いほうが好ましいが、適宜ストレッチおよびリラックスを加えても良い。しかしながら、張力が低すぎると繊維の走行が不安定となり処理が不均一になることから、リラックス率は2%以下(延伸倍率0.98倍以上)が好ましい。また、張力が高いと熱による溶断が発生しやすく、また過度の張力がかかった状態で熱処理を行う場合、結晶化度の低下が小さく耐摩耗性の向上効果が低くなるため、ストレッチ率は熱処理温度にもよるが、10%(延伸倍率1.10倍)未満が好ましい。より好ましくは5%(延伸倍率1.05倍)未満、さらに好ましくは3%(1.03倍)未満である。
処理速度は処理長にもよるが高速であるほど高温短時間処理が可能となり、耐摩耗向上効果が高まり、さらに生産性も向上するため100m/分以上が好ましく、200m/分以上がより好ましく、300m/分以上がさらに好ましい。処理速度の上限は繊維の走行安定性から1000m/分程度である。
処理長は加熱方法にもよるが、非接触加熱の場合には均一な処理を行うために100mm以上が好ましく、500mm以上がさらに好ましい。また処理長が過度に長いとヒーター内部での糸揺れにより処理ムラ、繊維の溶断が発生するため3000mm以下が好ましく、1000mm以下がさらに好ましい。
ここで高温熱処理での繊維構造変化について処理前後での繊維特性の違いから述べる。
この熱処理は、液晶ポリエステル繊維の融点(結晶−液晶転移温度)以上の高温で短時間の熱処理を施すものであり、結晶化度は低下するが配向は緩和しない。このことは熱処理によりΔHm1は減少、Tm1における半値幅は増加するが、Δnはほとんど変化しないという構造変化に示されている。また処理時間が短いため分子量は変化しない。結晶化度の低下は力学特性の大幅な低下を引き起こすことが一般的であり、本発明の熱処理においても強度、弾性率は増加することはなく低下するものの、本発明の方法では高い分子量と配向を維持するために、高いレベルで強度、弾性率を維持し、かつ高い融点(Tm1)、耐熱性を維持するのである。また熱処理により圧縮弾性率は低下する。耐摩耗性向上は結晶性低下により繊維全体が柔軟化し、かつ破壊の起点となる結晶/非晶の構造差が減少することが要因であるが、圧縮弾性率の低下による荷重分散効果によって、さらに耐摩耗性は高まるのである。
次に、本発明の液晶ポリエステル繊維について詳細に説明する。
本発明の液晶ポリエステル繊維は、液晶ポリエステル繊維に、無機粒子(A)およびリン酸系化合物(B)を塗布し、固相重合した後、無機粒子(A)およびリン酸系化合物(B)が付着した繊維を、該繊維の融点+50℃以上の温度で熱処理して得られるものであり、その製造方法の要件は上述した通りである。
本発明の繊維のポリスチレン換算の重量平均分子量(以下、分子量と記載する)は25.0万以上200.0万以下であることが好ましい。25.0万以上の高い分子量を有することで高い強度、弾性率、伸度を有する。分子量は高いほど強度、弾性率、伸度が向上するため、30.0万以上が好ましく、35.0万以上がより好ましい。分子量の上限は特に限定されないが、本発明で達し得る上限としては200.0万程度である。なお本発明で言う分子量とは実施例記載の方法により求められた値とする。
本発明の繊維は、示差熱量測定において、50℃から20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク(Tm1)におけるピーク半値幅が15℃以上であることが好ましい。この測定法におけるTm1は繊維の融点を表し、ピーク形状はその面積が広いほど、即ち融解熱量ΔHm1が大きいほど結晶化度が高く、またその半値幅が狭いほど結晶の完全性は高いと言える。液晶ポリエステルは紡糸した後固相重合を施すことでTm1が上昇、ΔHm1が増加、半値幅は減少し、結晶化度、結晶の完全性が高くなることで繊維の強度、伸度、弾性率が増加、耐熱性が向上する。一方で耐摩耗性が悪化するが、これは結晶の完全性が高まることにより、結晶部と非晶部の構造差が顕著となるため、その界面で破壊が起こるためと考えられる。そこで本発明の繊維では固相重合した繊維の特徴である高いTm1、高い強度、伸度、弾性率を維持したまま、ピーク半値幅を、固相重合していない液晶ポリエステル繊維のような15℃以上という値に増加させることで、結晶性を低下させて破壊の起点となる結晶/非晶の構造差を減少させ、フィブリル構造を乱し、繊維全体を柔軟化させることで耐摩耗性を高めることができるのである。Tm1におけるピーク半値幅は、高い方が耐摩耗性は高いため、好ましくは20℃以上である。なお、上限は特に制限されないが、工業的に達し得る上限は80℃程度である。
なお、本発明の液晶ポリエステル繊維においては、吸熱ピークは1つであるが、固相重合が不十分な場合など繊維構造によっては2つ以上のピークが観測されることがある。この場合のピーク半値幅はそれぞれのピークの半値幅を合計した値とする。
本発明の繊維の融点(Tm1)は290℃以上が好ましく、300℃以上がより好ましく、310℃以上がさらに好ましい。このような高い融点を有することで繊維としての耐熱性が優れる。繊維の高融点化を達成するためには、高融点の液晶ポリエステルポリマーを製糸するなどの方法があるが、特に高い強度、弾性率を有し、さらに長手方向の均一性に優れる繊維を得るためには溶融紡糸した繊維を固相重合することが好ましい。なお、融点の上限は特に限定されないが、本発明で達しえる上限としては400℃程度である。
また融解熱量ΔHm1の値は、液晶ポリエステルの構成単位の組成により変化するが、6.0J/g以下であることが好ましい。ΔHm1が6.0J/g以下に低下することで結晶化度は低下し、フィブリル構造が乱れ、繊維全体が柔軟化し、かつ破壊の起点となる結晶/非晶の構造差が減少することで耐摩耗性が向上する。ΔHm1は低いほど耐摩耗性は向上するため5.0J/g以下がより好ましい。なおΔHm1の下限は特に限定されないが、高い強度、弾性率を得るためには0.2J/g以上が好ましい。
分子量が25.0万以上と高いにも関わらず、ΔHm1が6.0J/g以下と低いことは驚くべきことである。分子量が25.0万以上の液晶ポリエステルは融点を超えても粘度が著しく高く流動せず溶融紡糸が困難であり、このような高分子量の液晶ポリエステル繊維は低分子量の液晶ポリエステルを溶融紡糸し、この繊維を固相重合することで得られる。液晶ポリエステル繊維を固相重合すると分子量が増加し強度、伸度、弾性率、耐熱性は向上し、同時に結晶化度も高まりΔHm1が増加する。結晶化度が高まると強度、伸度、弾性率、耐熱性はさらに向上するが、結晶部と非晶部の構造差が顕著となり、その界面が破壊されやすくなり耐摩耗性は低下してしまう。これに対し本発明では固相重合した繊維の1つの特徴である高い分子量を持つことで高い強度、伸度、弾性率、耐熱性を保持すると共に、固相重合をしていない液晶ポリエステル繊維のような低い結晶化度すなわち低いΔHm1を有することで耐摩耗性を向上できるのである。本発明では実質的に液晶ポリエステルのみからなる繊維を、構造変化すなわち結晶化度を低下させることにより耐摩耗性向上を達成した点で技術的進歩がある。
また本発明の繊維のTm2は組成により変化するが、耐熱性を高めるためには300℃以上が好ましい。Tm2の上限は特に制限されないが、本発明で到達し得る上限としては400℃程度である。
ΔHm2は過度に大きいとポリマーそのものの結晶性が高くなり、耐摩耗性の向上が難しくなるため5.0J/g以下が好ましく、2.0J/g以下がより好ましい。なお、本発明の液晶ポリエステル繊維においては上記した測定条件における冷却後の再昇温時の吸熱ピークは1つであるが、2つ以上のピークが観測されることがある。この場合のΔHm2はそれぞれのピークのΔHm2を合計した値とする。
本発明の繊維の強度は織物の強度を高めるため12.0cN/dtex以上が好ましく、14.0cN/dtex以上がより好ましく、15.0cN/dtex以上がさらに好ましい。強度の上限は特に限定されないが、本発明で達し得る上限としては30.0cN/dtex程度である。
また弾性率は織物の弾性率を高めるため500cN/dtex以上が好ましく、600cN/dtex以上がより好ましく、700cN/dtex以上がさらに好ましい。弾性率の上限は特に限定されないが、本発明で達しえる上限としては弾性率1200cN/dtex程度である。
本発明の繊維の伸度は1.0%以上が好ましく2.0%以上がより好ましい。伸度が1.0%以上あることで繊維の衝撃吸収性が高まり、高次加工工程での工程通過性、取り扱い性に優れる他、衝撃吸収性が高まるため耐摩耗性も高まる。なお、伸度の上限は特に限定されないが、本発明で達しえる上限としては10.0%程度である。本発明の繊維においては分子量が25.0万以上であることで高い伸度が得られる。
本発明でいう、強度、伸度、弾性率は実施例記載の方法で求める値である。
強度、弾性率が高いことにより印刷用スクリーン紗、フィルター用メッシュ等の用途に好適に使用できる他、細繊度でも高い強力を発現させ得るため繊維材料の軽量化、薄物化が達成でき、製織など高次加工工程での糸切れも抑制できる。本発明の繊維においては分子量が25.0万以上であることで高い強度、弾性率が得られる。
本発明の繊維の単繊維繊度は18.0dtex以下が好ましい。単繊維繊度を18.0dtex以下と細くすることで、繊維状態で固相重合した際に分子量が増加しやすく、強度、伸度、弾性率が向上する。さらに繊維のしなやかさが向上し繊維の加工性が向上する、表面積が増加するため接着剤などの薬液との密着性が高まると言った特性を有することに加え、モノフィラメントからなる紗とする場合は厚みを薄くできる、織密度を高くできる、オープニング(開口部の面積)を広くできるという利点を持つ。単繊維繊度はより好ましくは10.0dtex以下、さらに好ましくは7.0dtex以下である。なお、単繊維繊度の下限は特に限定されないが、本発明で達しえる下限としては1.0dtex程度である。
本発明の繊維の複屈折率(Δn)は0.250以上0.450以下が好ましい。Δnがこの範囲であれば繊維軸方向の分子配向は十分に高く、高い強度、弾性率が得られる。
本発明で得られる繊維には、無機粒子とリン酸塩の縮合塩が表面に付着していることが好ましい。繊維表面に粉体である塩と粒子がコーティングされることで、粉体離型の作用により走行抵抗は低下し、繊維の擦過によるフィブリル化を防ぐことができるため工程通過性が高まり、かつ水により容易に両者とも洗浄除去できるため、メッシュ等の製品とした後に水洗することで繊維表面の付着物が実質的にない状態を作り出し、接着性を高めることができるため、後加工性に優れる。これらの付着量の繊維に対する総量は、工程通過性を高めるためには3.0重量%を超えることが好ましい。また付着量が過度に多いと洗浄除去の効率が低下するため20重量%以下が好ましい。
本発明の繊維の耐摩耗性Cは60秒以上が好ましく、90秒以上がより好ましく、180秒以上がさらに好ましい。本発明で言う耐摩耗性Cとは実施例記載の手法により測定された値を指す。耐摩耗性Cが60秒以上であることで液晶ポリエステル繊維の高次加工工程でのフィブリル化が抑制でき、フィブリル堆積による工程通過性や製織性の悪化、堆積したフィブリルが織り込まれることによる開口部の目詰まりが抑制できる他、ガイド類へのフィブリルの堆積が減ずることから洗浄、交換周期を長くできる。
本発明の繊維のフィラメント数は、繊維製品の薄物化、軽量化のためにはフィラメント数50以下が好ましく、20以下がより好ましい。特にフィラメント数が1であるモノフィラメントは細繊度、高強度、高弾性率、単繊維繊度の均一性が強く望まれる分野であるため本発明の繊維は特に好適に用いることができる。
本発明の液晶ポリエステル繊維は高強度、高弾性率、高耐熱の特徴を有しながら、耐摩耗性、工程通過性に優れ、さらに後加工性に優れるものであり、一般産業用資材、土木・建築資材、スポーツ用途、防護衣、ゴム補強資材、電気材料(特に、テンションメンバーとして)、音響材料、一般衣料等の分野で広く用いられる。有効な用途としては、スクリーン紗、フィルター、ロープ、ネット、魚網、コンピューターリボン、プリント基板用基布、抄紙用のカンバス、エアーバッグ、飛行船、ドーム用等の基布、ライダースーツ、釣糸、各種ライン(ヨット、パラグライダー、気球、凧糸)、ブラインドコード、網戸用支持コード、自動車や航空機内各種コード、電気製品やロボットの力伝達コード等が挙げられ、特に有効な用途として工業資材用織物等に用いるモノフィラメントが挙げられ、中でも高強度、高弾性率、細繊度化の要求が強く、製織性向上、織物品位向上のため耐摩耗性を必要とし、かつ後加工で各種材料との密着性が要求される印刷用スクリーン紗用、フィルター用モノフィラメントに最も好適である。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明する。なお実施例中の各特性値は次の方法で求めた。
A.総繊度、単繊維繊度
検尺機にて繊維を100mカセ取りし、その重量(g)を100倍し、1水準当たり3回の測定を行い、平均値を総繊度(dtex)とした。これをフィラメント数で除した商を単繊維繊度(dtex)とした。
B.強度、伸度、弾性率
JIS L1013:1999記載の方法に準じて、試料長100mm、引張速度50mm/分の条件で、オリエンテック社製テンシロンUCT−100を用い1水準当たり10回の測定を行い、平均値を強力(cN)、強度(cN/dtex)、伸度(%)、弾性率(cN/dtex)とした。なお、弾性率とは初期引張抵抗度のことである。
C.複屈折率(Δn)
偏光顕微鏡(OLYMPUS社製BH−2)を用いコンペンセーター法により試料1水準当たり5回の測定を行い、平均値として求めた。
D.耐摩耗性C
1.23cN/dtexの荷重をかけた繊維を垂直に垂らし、繊維に対して垂直になるように直径4mmのセラミック棒ガイド(湯浅糸道工業(株)社製、材質YM−99C)を接触角2.7°で押し付け、ストローク長30mm、ストローク速度600回/分でガイドを繊維軸方向に擦過させ、30秒おきに実体顕微鏡観察を行い、棒ガイド上もしくは繊維表面上に白粉またはフィブリルの発生が確認されるまでの時間を測定し、7回の測定のうち最大値および最小値を除いた5回の平均値を求め耐摩耗性Cとした。なお360秒の擦過後でも白粉またはフィブリルの発生が見られなかった場合は360秒とした。また、耐摩耗性Cの評価はマルチフィラメントでも同様の試験法で行った。
E.熱特性(Tm1、Tm2、Tm1ピーク半値幅、ΔHm1、ΔHm2)
TA instruments社製DSC2920により示差熱量測定を行い、50℃から20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピークの温度をTm1(℃)とし、Tm1での融解熱量をΔHm1(J/g)とした。Tm1の観測後、Tm1+20℃の温度で5分間保持した後、20℃/分の降温条件で50℃まで一旦冷却し、再度20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピークの温度をTm2とし、Tm2での融解熱量をΔHm2(J/g)とした。繊維、樹脂とも同様の測定を行った。
F.ポリスチレン換算の重量平均分子量(分子量)
溶媒としてペンタフルオロフェノール/クロロホルム=35/65(重量比)の混合溶媒を用い、液晶ポリエステルの濃度が0.04〜0.08重量/体積%となるように溶解させGPC測定用試料とした。なお、室温24時間の放置でも不溶物がある場合は、さらに24時間静置し、上澄み液を試料とした。これを、Waters社製GPC測定装置を用いて測定し、ポリスチレン換算により重量平均分子量(Mw)を求めた。
カラム:ShodexK−806M 2本、K−802 1本
検出器:示差屈折率検出器RI(2414型)
温度 :23±2℃
流速 :0.8mL/分
注入量:200μL
G.メディアン径(D50)
島津製作所製レーザー回折式粒度分布測定装置SALD−2000で粒径測定を行い、メディアン径(D50)を求めた。
H.繊維重量に対する付着率
100mg以上の繊維を採取し、60℃にて10分間乾燥させた後の重量を測定し(W0)、繊維重量に対し100倍以上の水にドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを繊維重量に対し2.0重量%添加した溶液に繊維を浸漬させ、室温にて20分超音波洗浄し、洗浄後の繊維を水洗し、60℃にて10分間乾燥させた後の重量を測定し(W1)、次式により油分付着率を算出した。
(付着率(重量%))=(W0−W1)×100/W1
I.工程通過性
液晶ポリエステル繊維を解舒しつつ、400m/分で回転するセパレートローラー付きの第1ローラーに6周回させ、引き続き401m/分で回転するセパレートローラー付きの第1ローラーに6周回させた後、サクションガンにより吸引した。この操作を30分間行った後の、1分間の走行状態での糸揺れ回数(ローラーに走行糸が取られそうになる回数)から以下の基準により工程通過性を評価した。
◎:糸揺れ0回
○:糸揺れ2回以下
×:糸揺れ3回以上。
J.後加工性
繊維重量に対する付着率を測定した後の繊維を、光学顕微鏡を用い、同一視野にて単繊維5本の表面を観察し、繊維表面の付着物から以下の基準により後加工性を評価した。
◎:繊維表面の付着物2個以下
○:繊維表面の付着物3〜10個
×:繊維表面の付着物11個以上
参考例1
攪拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸870重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル327重量部、ヒドロキノン89重量部、テレフタル酸292重量部、イソフタル酸157重量部および無水酢酸1460重量部(フェノール性水酸基合計の1.10当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら室温から145℃まで30分で昇温した後、145℃で2時間反応させた。その後、335℃まで4時間で昇温した。
重合温度を335℃に保持し、1.5時間で133Paに減圧し、更に40分間反応を続け、トルクが28kgcmに到達したところで重縮合を完了させた。次に反応容器内を0.1MPaに加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズした。
得られた液晶ポリエステルの組成、融点、重量平均分子量は表1に記載の通りである。
参考例2
攪拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器に p−ヒドロキシ安息香酸907重量部と6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸457重量部および無水酢酸946重量部(フェノ−ル性水酸基合計の1.03モル当量)を攪拌翼、留出管を備えた反応容器に仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら室温から145℃まで30分で昇温した後、145℃で2時間反応させた。その後、325℃まで4時間で昇温した。
重合温度を325℃に保持し、1.5時間で133Paに減圧し、更に20分間反応を続け、所定トルクに到達したところで重縮合を完了させた。次に反応容器内を0.1MPaに加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズした。
得られた液晶ポリエステルの組成、融点、重量平均分子量は表1に記載の通りである。
Figure 2013028888
実施例1
参考例1の液晶ポリエステルを用い、160℃、12時間の真空乾燥を行った後、大阪精機工作株式会社製φ15mm単軸エクストルーダーにて溶融押し出しし、ギアーポンプで計量しつつ紡糸パックにポリマーを供給した。紡糸パックでは金属不織布フィルターを用いてポリマーを濾過し、表2記載の条件にてポリマーを吐出した。なお口金孔の直上に位置する導入孔はストレート孔とし、導入孔と口金孔の接続部分はテーパーとしたものを用いた。吐出したポリマーは40mmの保温領域を通過させた後、25℃、空気流の環状冷却風により糸条の外側から冷却し固化させ、その後、脂肪酸エステル化合物を主成分とする紡糸油剤を付与し、全フィラメントを表2記載の紡糸速度で第1ゴデットロールに引き取った。これを同じ速度である第2ゴデットロールを介した後、全フィラメント中の1本以外はサクションガンにて吸引し、残りのフィラメント数1の繊維はダンサーアームを介しパーンワインダー(神津製作所社製EFT型テークアップワインダー、巻取パッケージに接触するコンタクトロール無し)にてパーンの形状に巻き取った。巻取中、糸切れは発生せず製糸性は良好であった。得られた紡糸繊維物性を表2に示す。
Figure 2013028888
この紡糸繊維パッケージから神津製作所社製SSP−MV型リワインダー(接触長200mm、ワインド数8.7、テーパー角45°)を用いて巻き返しを行った。紡糸繊維の解舒は、縦方向(繊維周回方向に対し垂直方向)に行い、調速ローラーは用いず、オイリングローラー(梨地仕上げのステンレスロール)を用いてリン酸系化合物(B)として下記化学式(4)で示されるリン酸系化合物(B)を6.0重量%含有する水溶液に、無機粒子(A)として表3に滑石1として示すタルク、SG−2000(日本タルク株式会社製)を1.0重量%分散させた固相重合用油剤の給油を行った。
Figure 2013028888
巻き返しの芯材にはステンレス製の穴あきボビンにケブラーフェルト(目付280g/m、厚み1.5mm)を巻いたものを用い、面圧は100gfとした。巻き返し後の繊維への固相重合油剤の油分付着率、ならびに巻き返し条件を表3に示す。
次に巻き返したパッケージからステンレスの穴あきボビンを外し、ケブラーフェルトに繊維を巻き取ったパッケージの状態として固相重合を行なった。固相重合は、密閉型オーブンを用い、室温から240℃までは約30分で昇温し、240℃にて3時間保持した後、4℃/時間で表3に示す最高到達温度まで昇温し、表3に示す保持時間の間保持し、固相重合を行った。なお、雰囲気は除湿窒素を流量20NL/分にて供給し、庫内が加圧にならないよう排気口より排気させた。得られた固相重合後繊維物性を表3に示す。なお、固相重合後繊維の耐摩耗性Cは30秒であり、耐摩耗性に劣るものであった。
Figure 2013028888
最後に、固相重合後のパッケージから繊維を解舒し、連続して高温非接触熱処理を行なった。固相重合後のパッケージをフリーロールクリール(軸およびベアリングを有し、外層部は自由に回転できる。ブレーキおよび駆動源なし。)にはめ、ここから糸を横方向(繊維周回方向)に引き出し、繊維を洗浄することなく、セパレートローラー付きの第1ローラーに通した。なお、クリールはフリーロールであるため、このローラーにより繊維を引っ張ることで、固相重合パッケージからの解舒を行ない、繊維を走行させることになる。ローラーを通過した繊維をスリットヒーターに通し、高温熱処理を行なった。スリットヒーター内にはガイド類を設けず、またヒーターと繊維も非接触としている。ヒーター通過後の繊維はセパレートローラー付きの第2ローラーに通した。第1ローラーと第2ローラーは同速度とした。第2ローラーを通過した繊維は、追油を行うことなく、パーンワインダー(神津製作所社製EFT型テークアップワインダー、巻取パッケージに接触するコンタクトロール無し)にてパーンの形状に巻き取った。高温熱処理の条件、および高温熱処理後の繊維物性を表4に示す。なお、この液晶ポリエステル繊維のΔnは0.35であり高い配向を有していた。得られた繊維の特性評価結果も表4に示すが、工程通過性、後加工性ともに優れることが分かる。
Figure 2013028888
実施例2、3
ここでは固相重合用油剤の付着率の影響を評価した。
実施例1と同様の方法で溶融紡糸を行い、紡糸繊維を得て、巻き返し時のオイリングローラーの回転数を変え、固相重合油剤の付着率を表3の通り変えた以外は実施例1と同様にして巻き返し、固相重合を行い、液晶ポリエステル繊維を得た。得られた固相重合後繊維物性を表3に示す。得られた固相重合後繊維を実施例1と同様の方法で高温熱処理を行った。
得られた繊維の物性、特性評価結果を表4に示す。工程通過性、後加工性ともに優れるものの、実施例2では付着量が少ないため工程通過性にやや劣り、実施例3では付着量が多いため、後加工性にやや劣ることが分かる。
実施例4、5
ここでは無機粒子(A)の影響を評価した。
実施例1と同様の方法で溶融紡糸を行い、紡糸繊維を得て、無機粒子(A)としてシリカである富士シリシア化学株式会社製サイリシア310P(実施例4)、タルクである日本タルク株式会社製ミクロエースP−2(実施例5)を用いた以外は実施例1と同様にして巻き返し、固相重合を行い、液晶ポリエステル繊維を得た。得られた固相重合後繊維物性を表3に示す。
得られた固相重合後繊維を実施例1と同様の方法で高温熱処理を行った。得られた繊維の物性、特性評価結果を表4に示す。工程通過性、後加工性ともに優れるものの、メディアン径が大きくなるに伴い、工程通過性、後加工性がやや悪化することが分かる。
実施例6
ここでは無機粒子(A)とリン酸系化合物(B)の重量比の影響を評価した。
実施例1と同様の方法で溶融紡糸を行い、紡糸繊維を得て、固相重合油剤中の無機粒子(A)の分散量を変え、繊維への無機粒子の付着率(a)を表3の通り変えた以外は実施例1と同様にして巻き返し、固相重合を行い、液晶ポリエステル繊維を得た。得られた固相重合後繊維物性を表3に示す。
得られた固相重合後繊維を実施例1と同様の方法で高温熱処理を行った。得られた繊維の物性、特性評価結果を表4に示す。工程通過性、後加工性ともに優れるものの、(b/a)が小さい場合には、後加工性がやや悪化することが分かる。
実施例7、8
ここではリン酸系化合物(B)の影響を評価した。
実施例1と同様の方法で溶融紡糸を行い、紡糸繊維を得て、リン酸系化合物(B)として、下記化学式(5)で示されるリン酸系化合物(B)、下記化学式(6)で示されるリン酸系化合物(B)に変更した以外は実施例1と同様にして巻き返し、固相重合を行い、液晶ポリエステル繊維を得た。得られた固相重合後繊維物性を表3に示す。分子量他の数値から分かるようにBでは固相重合がやや進んでおらず、Bでは進んでいる傾向である。
Figure 2013028888
Figure 2013028888
得られた固相重合後繊維を実施例1と同様の方法で高温熱処理を行った。得られた繊維の物性、特性評価結果を表4に示す。工程通過性、後加工性ともに優れるものの、Bでは含酸素炭化水素基が多いためか後加工性にやや劣り、Bではカリウムが多いため固重が進むことからか工程通過性にやや劣ることが分かる。
比較例1〜4
ここでは無機粒子(A)およびリン酸系化合物(B)併用の効果を評価した。
比較例1では、固相重合用油剤として無機粒子(A)のみを用い、リン酸系化合物(B)を用いなかったこと以外は実施例1と同様にして溶融紡糸、固相重合を行ったところ、繊維同士が融着し、解舒時にフィブリルが多発しため、固相重合後の繊維が得られなかった。このことから無機粒子のみでは融着抑制効果が不十分であることが分かる。
比較例2では固相重合用油剤としてリン酸系化合物(B)の代わりにポリジメチルシロキサン(PDMS)の水分散液を用い、比較例3では無機粒子を用いず、リン酸系化合物のみ用い、比較例4ではポリジメチルシロキサンの分散液のみを用い、それぞれオイリングローラーの回転数を調整し固相重合油剤の付着量を表5のように変更したこと以外は実施例1と同様にして溶融紡糸、固相重合を行い、液晶ポリエステル繊維を得た。得られた繊維の物性を表5に示す。
Figure 2013028888
得られた固相重合後繊維を実施例1と同様の方法で高温熱処理を行った。得られた繊維の物性、特性評価結果を表6に示す。比較例2では無機粒子とポリシロキサンの併用により優れた融着抑制効果が発現しているが、繊維表面の付着物が多く、後加工性に劣ることが分かる。また比較例3ではリン酸系化合物のみであるため融着抑制効果が不十分であり、工程通過性が劣ることが分かる。なお比較例3では熱処理中に糸切れが発生した。比較例4ではポリシロキサンのみの使用では工程通過性、後加工性に劣ることが分かる。
Figure 2013028888
実施例9
ここでは高温熱処理条件の影響について評価した。
実施例1と同様にして溶融紡糸、固相重合を行い、高温熱処理条件を表6のように変更した以外は、実施例1と同様にして液晶ポリエステル繊維を得た。得られた繊維の物性、特性評価結果を表6に示す。工程通過性、後加工性ともに優れるものの、処理温度が低いため工程通過性にやや劣ることが分かる。
実施例10〜13
ここでは紡糸繊維の影響について評価した。
液晶ポリエステルポリマー、紡糸温度他の紡糸条件を表2に示すように変化させたこと以外は実施例1と同様の方法で溶融紡糸を行い、紡糸繊維を得た。なお、実施例12においては、5ホールの口金より吐出した糸条を、吸引除外することなく全て巻き取った。得られた繊維物性も表2に合わせて示す。参考例2のポリマーを用いた実施例13、ならびに単糸繊度4.0dtexでの紡糸を行った実施例11では紡糸中に糸切れが生じた。
得られた紡糸繊維を用い、実施例1と同様の方法で巻き返し、固相重合を行った。得られた固相重合後繊維物性を表5に示す。
得られた固相重合後繊維を、高温熱処理条件を表6のように変更した以外は、実施例1と同様の方法で高温熱処理を行った。得られた繊維の物性、特性評価結果を表6に示す。紡糸繊維の違いにより差があるものの工程通過性、後加工性ともに優れることが分かる。なお液晶ポリエステルポリマーが異なる実施例13では耐摩耗性がやや劣ることが分かる。

Claims (3)

  1. 液晶ポリエステル繊維に、無機粒子(A)およびリン酸系化合物(B)を塗布し、固相重合した後、無機粒子(A)およびリン酸系化合物(B)が付着した繊維を、該繊維の融点+50℃以上の温度で熱処理することを特徴とする液晶ポリエステル繊維の製造方法。
  2. 請求項1記載の製造方法により得られた液晶ポリエステル繊維。
  3. 請求項2記載の液晶ポリエステル繊維からなるメッシュ織物。
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