JP2013028775A - インクジェット記録装置用インク、及び画像形成方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】インクジェット記録装置用インクに、水、及び顔料と、それぞれ、特定の種類、及び量の高浸透剤、浸透剤、及び保湿剤とを含有させる。
【選択図】なし
Description
前記高浸透剤は、炭素原子数8である、アルキル置換1,3−ヘキサンジオール、又はアルキル置換1,3−ペンタンジオールであり、
インクにおける前記高浸透剤の含有量は、0.5〜2.5質量%であり、
前記浸透剤は、多価アルコールのC1〜C4モノアルキルエーテル、多価アルコールのC6〜C8モノアルキルエーテル、又は多価アルコールジブチルエーテルであり、
インクにおける前記高浸透剤と前記浸透剤との含有量の総量は、前記浸透剤が、多価アルコールのC1〜C4モノアルキルエーテルである場合、2〜5.5質量%であり、前記浸透剤が、多価アルコールのC6〜C8モノアルキルエーテル、又は多価アルコールジブチルエーテルである場合、1.5〜2.5質量%であり、
前記保湿剤は、グリセリン、及び1,3−プロパンジオールであり、
インクにおける前記グリセリンの含有量は5質量%以上であり、前記1,3−プロパンジオールの含有量は10〜30質量%である、インクジェット記録装置用インク。
第1実施形態は、少なくとも、水と、顔料と、高浸透剤と、浸透剤と、保湿剤とを含む、インクジェット記録装置用インクであって、高浸透剤として、炭素原子数8である、アルキル置換1,3−ヘキサンジオール、又はアルキル置換1,3−ペンタンジオールを含み、浸透剤として、多価アルコールのC1〜C4モノアルキルエーテル、多価アルコールのC6〜C8モノアルキルエーテル、又は多価アルコールジブチルエーテルを含み、高浸透剤の含有量と、高浸透剤、及び浸透剤の含有量の総量が特定の範囲であり、保湿剤として、特定量の、グリセリン、及び1,3−プロパンジオールを含むインクジェット記録装置用インクに関する。
インクジェット記録装置用インクは、水性インクであり、水を必須に含む。インクに含まれる水は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、従来から、水性インクの製造に使用されている水から、所望の純度の水を適宜選択して使用できる。インクジェット記録装置用インクにおける水の含有量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。水の含有量は、後述する、他の成分の使用量に応じて適宜変更される。インクにおける典型的な水の含有量としては、インクの全質量に対して20〜70質量%が好ましく、30〜60質量%がより好ましい。
インクジェット記録装置用インクは、顔料を含む。インクジェット記録装置用インクは、通常、樹脂により顔料が分散された顔料分散体として顔料を含む。顔料分散体中に含有させることができる顔料は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、従来からインクジェット記録装置用インクにおいて着色剤として使用されている顔料から適宜選択して使用できる。好適な顔料の具体例は、C.I.ピグメントイエロー93、95、109、110、120、128、138、139、151、154、155、173、180、185、193等の黄色顔料、C.I.ピグメントオレンジ34、36、43、61、63、71等の橙色顔料、C.I.ピグメントレッド122、202等の赤色顔料、C.I.ピグメントブルー15等の青色顔料、C.I.ピグメントバイオレット19、23、33等の紫色顔料、C.I.ピグメントブラック7等の黒色顔料等を挙げることができる。
インクジェット記録装置用インクは、高浸透剤を含む。高浸透剤は、炭素原子数8である、アルキル置換1,3−ヘキサンジオール、又はアルキル置換1,3−ペンタンジオールである。
インクジェット記録装置用インクは、高浸透剤に加えて、浸透剤を含む。浸透剤は、多価アルコールのC1〜C4モノアルキルエーテル、多価アルコールのC6〜C8モノアルキルエーテル、又は多価アルコールジブチルエーテルである。
保湿剤は、インクから液体成分の揮発を抑制してインクの粘性を安定化させる成分である。インクジェット記録装置用インクは、保湿剤としてグリセリンと、1,3−プロパンジオールとを含む。インクにおけるグリセリンの含有量は、インクの全質量に対して、5質量%以上であり、5〜10質量%がより好ましい。また、インクにおける1,3−プロパンジオールの含有量はインクの全質量に対して10〜30質量%であり、15〜25質量%がより好ましい。
溶解安定剤は、インクに含まれる成分を相溶化してインクの溶解状態を安定化させる成分である。溶解安定剤の具体例としては、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、及びγ−ブチロラクトン等が挙げられる。これらの溶解安定剤は2種以上を組み合わせて用いることができる。インクが溶解安定剤を含有する場合、溶解安定剤の含有量は、インクの全質量に対して1〜20質量%が好ましく、3〜15質量%がより好ましい。
インクジェット記録装置用インクの製造方法は、水、顔料分散体、高浸透剤、浸透剤、及び保湿剤に対して、必要に応じて溶解安定剤を加えた後に、これらのインク成分を均一に混合することができれば特に限定されない。インクジェット記録装置用インクの製造方法の具体例としては、インクの各成分を混合機により均一に混合した後、孔径10μm以下のフィルターにより異物や粗大粒子を除去する方法が挙げられる。なお、インクジェット記録装置用インクを製造する際には、水、顔料分散体、浸透剤、及び保湿剤に対して、必要に応じて、界面活性剤、酸化防止剤、粘度調整剤、pH調整剤、防腐防カビ剤等の、従来、インクジェット記録装置用インクに加えられている種々の添加剤を加えることができる。
第2実施形態は、第1実施形態にかかるインクジェット記録装置用インクを用いて、インクジェット記録装置により画像を形成する、画像形成方法に関する。第2実施形態にかかる画像形成方法において用いるインクジェット記録装置の記録方式は、特に限定されず、記録ヘッドが被記録媒体上を走査しながら記録を行うシリアル型であっても、装置本体に固定された記録ヘッドにより記録を行うラインヘッド型であってもよい。第2実施形態にかかる画像形成方法において用いるインクジェット記録装置としては、画像形成の高速性の点からラインヘッド型の記録ヘッドを備える記録装置が好ましく、被記録媒体を搬送する方向に対して垂直方向に設置された長尺のラインヘッドを備える記録装置がより好ましい。
容量1000mlの四つ口フラスコに、スターラー、窒素導入管、コンデンサー、及び滴下ロートを取り付け、イソプロピルアルコール100g、及びメチルエチルケトン300gをフラスコに加えた。次いで、窒素バブリングをしながら、フラスコ内の溶媒が還流開始するまで加熱した。滴下ロートに、メタクリル酸メチル30g、スチレン80g、アクリル酸ブチル42g、及びメタクリル酸(MAA)48g、及び開始剤(アゾビスイソブチロニトリル(AIBN))0.3gからなる溶液を入れ、四つ口フラスコを70℃に加熱して還流させた状態で、2時間かけて、単量体と開始剤とを滴下した。滴下終了後、さらに6時間、加熱、還流を行った。6時間還流後、AIBN0.1gを含むメチルエチルケトンを15分かけて滴下した。滴下終了後、さらに6時間、加熱、還流を行い、重量平均分子量53000のスチレン−アクリル樹脂を得た。また、得られたスチレン−アクリル樹脂の酸価を測定したところ、160mgKOH/gであった。
(顔料分散体の調製)
スチレン−アクリル樹脂7.5質量%、シアン色顔料(P.B−15:3)25質量%、0.5質量%の2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、及び残余の量のイオン交換水をダイノミル(株式会社シンマルエンタープライゼス社製)に仕込み、0.5mm径のジルコニアビーズをダイノミルのベッセルに充填した後、分散処理を行い、シアン色顔料分散体を得た。なお、ジルコニアビーズはベッセル容量に対して6割の充填率で、ベッセルに充填した。参考例2で用いたダイノミルのベッセル量は1.4Lである。得られた顔料分散体をイオン交換水にて300倍に希釈して、動的光散乱式粒径分布測定装置(ゼータサイザー ナノ、シスメックス株式会社製)により顔料の体積平均粒径D50を測定し、顔料の体積平均粒径が70〜130nmの範囲となっていることを確認した。
表1、及び表2に記載の量の、参考例2で調製した顔料分散体、高浸透剤、浸透剤、溶解安定剤(2−ピロリドン)、グリセリン、1,3−プロパンジオール(PDO)、及びイオン交換水を撹拌機(スリーワンモーター BL−600(アズワン株式会社製))により回転数400rpmで撹拌して均一に混合した後、孔径5μmのフィルターによりろ過して、実施例1〜10、及び比較例1〜7のインクを得た。
A:ジエチレングリコールモノメチルエーテル
B:トリエチレングリコールモノブチルエーテル
C:ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル
D:ジエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル
E:ジエチレングリコールジブチルエーテル
排出ローラーに最も近い位置の記録ヘッド(図1における11Kに相当)にインクを充填し、ノズル形成面から出ている余剰液をワイプブレードによりかきとった。記録ヘッドのノズル面と記録用紙Pとの距離を1mmに固定し、記録用紙Pの給紙部から排出部までの記録用紙Pの搬送速度を846.7mm/秒に設定した。記録用紙Pとして用紙(IJW(王子製紙株式会社製))をA4サイズにカットしたものを用い、記録ヘッドから、記録用紙Pへのインクの打ち込み量が15g/m2となるように吐出して、10cm×10cmのベタ画像を連続10枚印画した。10枚目に印画された記録用紙Pについて、オフセットによる記録用紙Pの汚れの評価を以下の方法に従って行った。
(オフセット面積率算出式)
オフセット面積率(%)=100×黒色画素数/全体の画素数
ヘッド内部に保温可能なヒーター及び温度検知機能を有した記録ヘッドにおいて、保温設定温度を25℃として、10℃15%RH環境下における間欠吐出性の評価を行った。具体的には、ヘッド長手方向のライン画像を印字させた後に、21mm以上の任意の非印字区間を経た後に、再度ヘッド長手方向のライン画像を印字させ、ライン画像の印字状態を顕微鏡観察して間欠吐出性を評価した。A3縦ライン相当の非印字区間(420mm)を隔ててライン画像を形成した場合にライン画像に乱れが生じない場合を100%として間欠吐出性を数値化した。例えば、先に形成したライン画像との間に420mmの非印字区間を設けたライン画像に乱れが無く、441mmの非印字区間を設けたライン画像に乱れが生じる場合、間欠吐出性の数値は100%となり、336mmの非印字区間を設けたライン画像に乱れが無く、357mmの非印字区間を設けたライン画像に乱れが生じる場合、間欠吐出性の数値は80%となる。間欠吐出性が100%以上である場合を○と判定し、間欠吐出性が100%未満である場合を×と判定した。
被記録媒体として普通紙(A4、PPC用紙)を用い、記録ヘッド1個から吐出されるインクの量を11pLとなるように10cm×10cmのベタ画像を印画した。画像が形成された普通紙を一昼夜、常温常湿環境下に保存した後、画像部の印字濃度をポータブル反射濃度計RD−19(グレタグマクベス社製)により測定し、ベタ画像内の10箇所の印字濃度の平均値を印字濃度とした。印字濃度1.0以上を○と判定し、印字濃度1.0未満を×と判定した。
表4、及び表5に記載の量の、参考例2で調製した顔料分散体、高浸透剤、浸透剤、溶解安定剤(2−ピロリドン)、グリセリン、1,3−プロパンジオール、及びイオン交換水を撹拌機(スリーワンモーター BL−600(アズワン株式会社製))により回転数400rpmで撹拌して均一に混合した後、孔径5μmのフィルターによりろ過して、実施例11〜14、及び比較例8〜12のインクを得た。表4、及び表5に記載の「PG」は、プロピレングリコールを意味する。
インクを記録ヘッドに充填して、パージとワイプとをセットで3度行った後、記録ヘッドにキャップをすることなく一ヶ月間放置した。なお、パージ量については1回当たり2ccである。一ヶ月放置後、パージとワイプとを3度行った後、記録ヘッドの全ノズルの吐出状況を確認できるチェックパターンを印字した。全ノズルの吐出を確認できた場合を○と判定し、不吐出ノズルが確認された場合を×と判定した。
表7、及び表8に記載の量の、参考例2で調製した顔料分散体、高浸透剤、浸透剤、溶解安定剤(2−ピロリドン)、グリセリン、1,3−プロパンジオール、及びイオン交換水を撹拌機(スリーワンモーター BL−600(アズワン株式会社製))により回転数400rpmで撹拌して均一に混合した後、孔径5μmのフィルターによりろ過して、実施例15、実施例16、及び比較例13〜19のインクを得た。
バブルプレッシャー動的表面張力計(BP−100(三洋貿易株式会社製))を用いて、寿命10〜1000msecまでの表面張力値を測定し、表面寿命10msecの表面張力値を、インクの動的表面張力とした。
表9、及び表10に記載の量の、参考例2で調製した顔料分散体、高浸透剤、浸透剤、溶解安定剤(2−ピロリドン)、グリセリン、1,3−プロパンジオール、及びイオン交換水を撹拌機(スリーワンモーター BL−600(アズワン株式会社製))により回転数400rpmで撹拌して均一に混合した後、孔径5μmのフィルターによりろ過して、実施例17〜23、及び比較例20〜24のインクを得た。
表11に記載の量の、参考例2で調製した顔料分散体、高浸透剤、浸透剤、溶解安定剤(2−ピロリドン)、グリセリン、1,3−プロパンジオール、及びイオン交換水を撹拌機(スリーワンモーター BL−600(アズワン株式会社製))により回転数400rpmで撹拌して均一に混合した後、孔径5μmのフィルターによりろ過して、実施例24〜28、比較例25、及び比較例26のインクを得た。
3 給紙ローラー
4 従動ローラー
5 搬送ベルト
6 ベルト駆動ローラー
7 ベルトローラー
8 排出部
8a 排出ローラー
8b 従動ローラー
10 排紙トレイ
11C、11M、11Y、11K ラインヘッド
12a〜12p、12a’〜12p’ ノズル
20 制御部
30 検出手段
100 インクジェット記録装置
D1〜D4 ドット列(行方向)
L1〜L16 ドット列(搬送方向)
N1、N2 ノズル列
P 記録用紙
Claims (5)
- 少なくとも、水と、顔料と、高浸透剤と、浸透剤と、保湿剤とを含む、インクジェット記録装置用インクであって、
前記高浸透剤は、炭素原子数8である、アルキル置換1,3−ヘキサンジオール、又はアルキル置換1,3−ペンタンジオールであり、
インクにおける前記高浸透剤の含有量は、0.5〜2.5質量%であり、
前記浸透剤は、多価アルコールのC1〜C4モノアルキルエーテル、多価アルコールのC6〜C8モノアルキルエーテル、又は多価アルコールジブチルエーテルであり、
インクにおける前記高浸透剤と前記浸透剤との含有量の総量は、前記浸透剤が、多価アルコールのC1〜C4モノアルキルエーテルである場合、2〜5.5質量%であり、前記浸透剤が、多価アルコールのC6〜C8モノアルキルエーテル、又は多価アルコールジブチルエーテルである場合、1.5〜2.5質量%であり、
前記保湿剤は、グリセリン、及び1,3−プロパンジオールであり、
インクにおける前記グリセリンの含有量は5質量%以上であり、前記1,3−プロパンジオールの含有量は10〜30質量%である、インクジェット記録装置用インク。 - インクにおける前記顔料の含有量が4〜9.5質量%である、請求項1記載のインクジェット記録装置用インク。
- 請求項1、又は2記載のインクジェット記録装置用インクを用いて、インクジェット記録装置により画像を形成する、画像形成方法。
- 前記インクジェット記録装置において、被記録媒体に前記インクジェット記録装置用インクの液滴が着弾してから、被記録媒体上の当該着弾箇所が前記被記録媒体を排出する排出部に到達するまでの時間が1秒以内である、請求項3記載の画像形成方法。
- 前記インクジェット記録装置が、被記録媒体を搬送する方向に対して垂直方向に設置された長尺のラインヘッドを備える記録装置である、請求項3、又は4記載の画像形成方法。
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