図1は、本発明を適用可能な印刷システムの一例を示す模式図である。なお、図1や以下の図面では必要に応じて、装置各部の配置関係を明確にするために、Z軸を鉛直軸とするXYZ直交座標が併記されている。以下の説明では、各座標軸(の矢印)が向く方向を正方向とし、その反対方向を負方向とし、Z軸の正側を上側とし、Z軸の負側を下側として適宜取り扱う。
印刷システム100は、パーソナルコンピューター等の外部装置から受信した画像データに基づいて印刷データを生成するホスト装置200と、ホスト装置200から受信した印刷データに基づいて画像を印刷するプリンター300とを備える。このプリンター300は、ロール状に巻かれた長尺なシートSを繰り出しつつ、このシートSに対してインクジェット方式を用いて画像を印刷するものである。
図1に示すように、プリンター300は、略直方体形状を有する本体ケース1を備える。本体ケース1内部には、シートSを巻いたロールR1から引き出したシートSを繰り出す繰出部2と、繰り出されたシートSにインクを噴射して印刷を行う印刷室3と、インクが付着したシートSを乾燥させる乾燥部4と、乾燥後のシートSをロールR2として巻き取る巻取部5とが配置されている。
より詳しくは、本体ケース1内は、XY平面に平行に(すなわち水平に)配置された平板状の基台6によってZ軸方向へ上下に区画されており、基台6の上側が印刷室3となっている。印刷室3内の略中央部では、プラテン30が基台6の上面に固定されている。プラテン30は矩形状を有しており、XY平面に平行なその上面によって、シートSを下側から支持する。そして、記録ユニット31が、プラテン30上に支持されたシートSに対して印刷を行う。
一方、基台6の下側には、繰出部2、乾燥部4および巻取部5が配置されている。繰出部2は、プラテン30に対してX軸負方向の下側(図1の左斜め下)に配置されており、シートSを巻いたロールR1を保持する回転自在な保持軸21を備えている。さらに、繰出部2は、保持軸21の上側においてX軸方向に並ぶローラー22および繰出ローラー23を備える。そして、保持軸21のロールR1から引き出されたシートSは、ローラー22および繰出ローラー23にこの順番で張架される。繰出ローラー23は、ゴムで形成された周面を有しており、繰出モーターMb(図4)からの回転駆動力を受けて回転する駆動ローラーである。そして、繰出ローラー23は、保持軸21から引き出されたシートSを巻き掛けた状態で回転することで、シートSを繰り出す機能を果たす。ちなみに、繰出ローラー23によるシートSの繰り出しを確実に実行できるように、繰出部2では、繰出ローラー23へ向けて付勢された押圧ローラー24が設けられており、この押圧ローラー24がシートSを挟んで繰出ローラー23を押圧している。
また、後述するステアリングユニットSUの蛇行制御機能を機能させるために必要となる張力を付与するために、保持軸21には制動力が付与されている。具体的には、
・保持軸21そのものにブレーキを設ける。
・ロールR1の紙管を保持軸21の固定フランジに対して軸方向に圧迫固定する。
・保持軸21側に付勢されて回転自在なブレーキローラーを、保持軸21に保持されたロールR1の外周面に圧接する。
のいずれかによって、保持軸21に制動力を付与することができる。
一方、巻取部5は、プラテン30に対してX軸正方向の下側(図1の右斜め下)に配置されており、回転自在な巻取軸51を備えている。そして、この巻取軸51にシートSが巻き取られて、ロールR2が支持されている。具体的には、巻取軸51を駆動するモーターが、後述する搬送ローラー73のシートSの間欠搬送に同期して巻取軸51を回転させ、これにより、間欠搬送されたシートSが順次ロールR2として巻取軸51に巻き取られる。また、乾燥部4は、X軸方向における繰出部2と巻取部5との間で、プラテン30の直下に配置されている。なお、乾燥部4は、繰出部2および巻取部5に対してはやや上側にある。そして、繰出部2から巻取部5へと搬送されるシートSが、10本のローラー70〜79で構成されるシート搬送系により案内されながら、印刷室3と乾燥部4とを順番に通過する。具体的に説明すると次の通りである。
繰出部2の繰出ローラー23により繰り出されたシートSは、可動ローラー70およびローラー71、72にこの順番で張架される。可動ローラー70は回転フレーム701(揺動アーム)の一端に回転自在に枢支されている。また、この回転フレーム701はその他端に設けられた回転軸702を中心として回転自在に構成されている。したがって、可動ローラーは回転フレーム701と一体的に、回転軸702を中心に回転自在となっている。そして、このように構成された可動ローラー70が、繰出ローラー23とローラー71の間に張架されたシートSに対して、自重により上側から当接している。こうして、可動ローラー70は、シートSから受ける反作用に応じて上下方向に変位する。つまり、可動ローラー70は、繰出ローラー23からローラー71までの領域(バッファー領域)におけるシートSの長さの変化に伴って変位しつつ当該バッファー領域でシートSを巻き掛けて、シートSに張力を与えるダンサーローラーとしての機能を果たす。
ちなみに、可動ローラー70の変位を検出するために、回転フレーム701が回転に伴って移動する経路中には、3つの変位センサーS1〜S3がこの順番で下側からZ軸方向に並んでいる。これらの変位センサーS1〜S3は、通常時はハイ信号を出力する一方、それぞれの対向する位置に来た回転フレーム701を検出してロー信号を出力する。そして、これら変位センサーS1〜S3の出力に基づいて、繰出ローラー23や後述の搬送ローラー73の動作が制御される。なお、この制御の詳細については、後に図5および図6を用いて説明する。
一方、ローラー71、72は、シートSの蛇行を制御するステアリングユニットSUを構成する。図2は、ステアリングユニットの構成を示す模式図である。ローラー71、72はそれぞれの回転軸が互いに平行に配置された状態で、可動テーブル(図示を省略)により支持されている。この可動テーブルは、シートSの移動方向上流側のローラー71の中央部を回転中心Ccyとして回転可能に構成されている。したがって、ステアリングモーターMc(図4)の駆動力を受けて可動テーブルが回転すると、ローラー71、72の配列方向DrがシートSの移動方向に対して角度θだけ傾斜する。そのため、ローラー71からローラー72までの範囲では、シートSが角度θだけ傾いて移動する。その結果、この傾き角度θを適宜調整することで、シートSの蛇行を制御することが可能となっている。
こうして、繰出ローラー23により繰り出されてステアリングユニットSUを経由したシートSは、ローラー72から上側へと案内される。一方、ローラー72の上側であって印刷室3の内部には、2本のローラー73、74がX軸正方向にこの順に並んでいる。これらのローラー73、74のうち、ローラー73は微小な金属製の突起を周面に複数有するとともに、搬送モーターMsからの回転駆動力を受けて回転する駆動ローラーである。そして、搬送ローラー73は、繰出ローラー23から繰り出されてステアリングユニットSUを経由したシートSを巻き掛けた状態で回転することで、プラテン30上にシートSを搬送する機能を果たす。ちなみに、搬送ローラー73によるシートSの繰り出しを確実に実行できるように、印刷室3では、搬送ローラー73へ向けて付勢された押圧ローラー79が設けられており、この押圧ローラー79がシートSを挟んで搬送ローラー73を押圧している。
そして、この搬送ローラー73とローラー74とが、プラテン30を挟むようにしてX軸方向にまっすぐ並んで(すなわち水平に)配置されており、それぞれの頂部がプラテン30の上面(シートSを支持する面)と同一の高さとなるように位置調整されている。したがって、搬送ローラー73に巻き掛けられたシートSは、ローラー74に到るまでの間、プラテン30の上面に摺接しつつ水平(X軸方向)に移動する。そして、ローラー74に巻き掛けられたシートSは、下へと案内される。
ローラー74の下側(基台6より下側)には、2本のローラー75、76がX軸負方向にこの順に並んでいる。ローラー75とローラー76とに巻き掛けられたシートSは、両ローラー75、76の間においてX軸方向に平行に(すなわち水平に)案内される。また、ローラー75、76の間には乾燥部4が配置されている。したがって、ローラー75に巻き掛けられたシートSは、X軸負方向に向きを変えるとともに、ローラー76に到るまでの間に乾燥部4の内部を通過する。
ローラー76の下側では、2本のローラー77、78がX軸正方向にこの順に並んでいる。そして、ローラー77に巻き掛けられたシートSは、X軸正方向に向きを変えてローラー78に到る。また、ローラー78に巻き掛けられたシートSは、ローラー78のX軸正方向に配置された巻取部5の巻取軸51に巻き取られる。
このように、繰出部2から繰り出されたシートSは、印刷室3や乾燥部4を通過して巻取部5に巻き取られる。そして、このシートSに対して、印刷室3での印刷処理や乾燥部4の乾燥処理が施される。
印刷室3での印刷処理は、プラテン30の上側に配置された記録ユニット31により実行される。この記録ユニット31は、印刷室3内のX軸負方向の端部(図1の左端部)に配置されたインクカートリッジCRから図示しないインク供給機構によって供給されたインクを、インクジェット方式によりシートSに噴射して印刷を行う。具体的には、この記録ユニット31は、キャリッジ32と、キャリッジ32の下面に取り付けられた平板状の支持板33と、支持板33の下面に取り付けられた複数の記録ヘッド34とを備える。
図3は、記録ユニットの構成を部分的に示す平面図である。図2に示すように、支持板33の下面では、15個の記録ヘッド34がY軸方向に等ピッチで2行千鳥で並んでいる。これらの記録ヘッド34は、ノズル35からインクを噴射するものであり、互いに同一の構成を備えている。そこで以下では、1つの記録ヘッド34で代表して、その構成の詳細について説明する。
記録ヘッド34の下面では、複数(例えば180個)のノズル35がY軸方向に等ピッチで直線状に並んで1つのノズル列35Lが構成されるとともに、複数のノズル列35LがX軸方向に等ピッチで並んでいる。記録ヘッド34の下面で並ぶ複数のノズル列35Lは、互いに異なるインク色に対応しており、例えば8色のインクを用いた場合は、8列のノズル列35Lが記録ヘッド34の下面に並ぶ。そして、同じノズル列35Lに属するノズル35は互いに同じ色のインクを噴射する一方、異なるノズル列35Lに属するノズル35は互いに異なる色のインクを噴射する。なお、ノズル35は、インクの詰まった微細管に取り付けられたピエゾ素子に電圧を印加して変形させることで、インクを管外に噴射するピエゾ方式によるものである。
図1に戻って説明を続ける。上述のように構成された記録ユニット31のキャリッジ32は、支持板33および記録ヘッド34と一体的に移動自在となっている。具体的には、印刷室3内には、X軸方向に延びる第1ガイドレール36が設けられており、キャリッジ32は、第1CRモーターMx(図4)の駆動力を受けると、第1ガイドレール36に沿ってX軸方向に移動する。さらに、印刷室3内には、Y軸方向に延びる第2ガイドレール(図示省略)が設けられており、キャリッジ32は、第2CRモーターMy(図4)の駆動力を受けると、第2ガイドレールに沿ってY軸方向に移動する。
そして、プラテン30の上面で停止するシートSに対して、記録ユニット31のキャリッジ32をXY面内で二次元的に移動させて、印刷が実行される。具体的には、記録ユニット31は、キャリッジ32をX軸方向(主走査方向)に移動させつつ記録ヘッド34の各ノズル35からシートSにインクを噴射する動作(主走査)を実行する。この主走査では、1つのノズルが噴射するインクにより形成されたX軸方向に延びる1ライン分の画像(ライン画像)が、Y軸方向に間隔を空けつつ複数並んで、二次元の画像が印刷される。そして、この主走査と、キャリッジ32をY軸方向(副走査方向)に移動させる副走査とが交互に実行されて、複数回の主走査が実行される(ラテラルスキャン方式)。
つまり、記録ユニット31は1回の主走査を完了すると、副走査を行なってキャリッジ32をY軸方向に移動させる。続いて、記録ユニット31は、この副走査によって移動した位置から、キャリッジ32をX軸方向(の先程の主走査とは反対向き)に移動させる。これによって、先程の主走査により既に形成された複数のライン画像それぞれの間に、新たな主走査によるライン画像が形成される。そして、これら主走査と副走査とが交互に実行される。つまり、このプリンター300では、キャリッジ32をX軸方向に移動させつつノズル35からインクを噴射して、複数のライン画像から成る中間生成画像を形成する動作(主走査)を、Y軸方向への位置を変えながら(副走査)、複数回数実行することで、中間生成画像を重ね合わせた画像が形成される。
このように、複数回の主走査を実行することで、1回の印刷が実行される。ここで、1回の主走査を「パス」と称することとし、複数回のパスにより実行される1回の印刷を「フレーム」と称することとする。また、1回のパスでシートSに形成される中間生成画像を「1パス画像」と称することとする。
このような主走査と副走査を交互に繰り返して行う理由は、解像度を向上させるためである。つまり、M回のパスを実行して、M個の1パス画像を重ね合わせることで、1パス画像のM倍の解像度を有する1フレーム分の画像を得ることが可能となる。そこで、記録ユニット31は、印刷すべき画像の解像度に応じた回数のパスを実行して1フレームの印刷を実行する。
ちなみに、キャリッジ32は、X軸方向に往復移動可能である。そこで、記録ユニット31は、キャリッジ32の往路および復路のそれぞれでパスを実行することで、複数のパスを効率的に実行している。
上述のような1フレームの印刷は、シートSをX軸方向に間欠的に移動させながら繰り返し実行される。具体的には、プラテン30の上面のほぼ全域にわたる所定範囲が印刷領域となっている。そして、この印刷領域のX軸方向への長さに対応する距離(間欠搬送距離Ls)を単位として、シートSをX軸方向へ間欠的に搬送するとともに、間欠搬送中にプラテン30の上面に停止するシートSに対して1フレームの印刷が行われる。具体的に言えば、プラテン30に停止するシートSに1フレームの印刷が終わると、搬送モーターMsからの駆動力を受けて搬送ローラー73が回転し、シートSが間欠搬送距離だけX軸方向に搬送される。こうして、シートSの未印刷の面がプラテン30に停止する。続いて、この未印刷面に新たに1フレームの印刷が実行され、これが完了すると、再び搬送ローラー73が回転して、シートSが間欠搬送距離だけX軸方向に搬送される。そして、これら一連の動作が繰り返し実行される。
なお、間欠搬送中にプラテン30の上面に停止しているシートSを平坦に保つために、プラテン30は、その上面に停止しているシートSを吸引する機構を備える。具体的には、プラテン30の上面には、図示しない多数の吸引孔が開口するとともに、プラテン30の下面には、吸引部37が取り付けられている。そして、吸引部37が動作することで、プラテン30の上面の吸引孔に負圧が発生して、シートSがプラテン30の上面に吸引される。そして、吸引部37は、印刷のためにシートSがプラテン30上に停止している間は、シートSを吸引することで、シートSを平坦に保つ一方、印刷が終了すると、シートSの吸引を止めて、シートSのスムーズな搬送を可能とする。
さらに、プラテン30の下面には、ヒーター38が取り付けられている。このヒーター38は、プラテン30を所定温度(例えば45度)に加熱するものである。これにより、シートSは、記録ヘッド34から印刷処理を受けるのと並行して、プラテン30の熱によって1次乾燥されることとなる。そして、この1次乾燥により、シートSに着弾したインクの乾燥が促進される。
こうして、プラテン30の上面において、1フレームの印刷を受けるとともに1次乾燥されたシートSは、シートSの間欠搬送に伴って移動して乾燥部4へ到達する。この乾燥部4は、乾燥用に加熱した空気により、シートSに着弾したインクを完全に乾燥させる乾燥処理を実行する。そして、この乾燥処理を受けたシートSは、シートSの間欠搬送に伴って巻取部5に到達して、ロールR2として巻き取られる。
以上のようにして、記録ユニット31および乾燥部4によって、シートSに対して印刷・乾燥処理が施される。また、プリンター300は、上述した記録ユニット31や乾燥部4ほかに、メンテナンスユニット9を備える。このメンテナンスユニット9は、プラテン30からX軸負方向に外れた位置に設けられており、非印刷時にホームポジション(メンテナンスユニットの直上位置)に退避する記録ヘッド34に対してメンテナンスを行う。このメンテナンスユニット9は、15個の記録ヘッド34に対して一対一の対応関係で設けられた15個のキャップ91と、キャップ91を昇降する昇降部93とを有する。
このメンテナンスユニット9で実行されるメンテナンスとしては、キャッピング、クリーニングおよびワイピングがある。キャッピングは、昇降部93によりキャップ91を上昇させて、ホームポジションにある記録ヘッド34をキャップ91で覆う処理である。このキャッピングにより、記録ヘッド34が有するノズル35内でインクの粘性が増大するのを抑制することができる。また、クリーニングは、記録ヘッド34をキャッピングした状態で、キャップ91内に負圧を発生させることにより、ノズル35から強制的にインクを排出する処理である。このクリーニングにより、粘性が増大したインクやインク中の気泡等をノズル35から除去することができる。ワイピングは、記録ヘッド34においてノズル35の開口が並ぶ面(ノズル開口形成面)を、図示しないワイパーにより拭く処理である。このワイピングにより、記録ヘッド34のノズル開口形成面からインクを拭き取ることができる。
以上が、印刷システム100が備える装置構成の概要である。続いて、上述した図1に図4を加えて、図1の印刷システムが備える電気的構成について詳述する。ここで、図4は、図1の印刷システムが備える電気的構成を模式的に示すブロック図である。
上述したとおり、印刷システム100は、プリンター300のほか、これを制御するホスト装置200を備える。このホスト装置200は、例えばパーソナルコンピューターにより構成されており、プリンター300の動作を制御するプリンタードライバー210を内蔵するほか、プリンター300との通信機能を司る転送制御部220を備える。なお、プリンタードライバー210は、ホスト装置200の備えるCPU(Central Processing Unit)がプリンタードライバー210用のプログラムを実行することで構築される。
また、ホスト装置200は、プリンタードライバー用のプログラムが記憶されたメディア230にアクセスして、当該プログラムを読み出すメディア駆動部240を備える。このメディア230としては、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、USB(Universal Serial Bus)メモリー等の種々のメディアを用いることができる。
さらに、ホスト装置200は、作業者とのインターフェースとして、液晶ディスプレイ等で構成されるモニター250と、キーボードやマウス等で構成される操作部260とを備える。なお、タッチパネル式のディスプレイをモニター250として用いて、このモニター250のタッチパネルで操作部260を構成しても良い。モニター250には、印刷対象の画像のほかにメニュー画面が表示されている。したがって、作業者は、モニター250を確認しつつ操作部260を操作することで、メニュー画面から印刷設定画面を開いて、印刷媒体の種類、印刷媒体のサイズ、印刷品質、版数等の各種の印刷条件を設定することができる。
印刷媒体(すなわちシートS)の種類は、紙系とフィルム系に大別される。具体例を挙げると、紙系には上質紙、キャスト紙、アート紙、コート紙等があり、フィルム系には合成紙、PET(Polyethylene terephthalate)、PP(polypropylene)等がある。印刷媒体のサイズとしては、シートSの幅(Y軸方向の幅)が設定される。印刷品質は、印刷する解像度に応じて用意された複数の印刷モードから1つの印刷モードを選択することで、設定することができる。例を挙げれば次のとおりである。つまり、上記プリンター300では、1フレームで実行されるパスの数を変えることで解像度を変化できる。そこで、1フレームで実行されるパスの数が異なる複数の印刷モードを用意しておき、印刷する解像度に応じたパス数の印刷モードを選択できるように構成すれば良い。これにより、選択した印刷モードのパス数に応じた解像度で印刷を実行することができる。なお、印刷モードに代えて解像度を直接入力することで、印刷品質を設定するように構成しても良い。版数は、印刷媒体の同一エリアに複数の版(画像)を重ねて印刷する際に設定されるものであり、具体的には、重ねて印刷する版の数が設定される。ちなみに、複数の版が設定されている場合は、モニター250に版毎の画像を表示することができる。
そして、プリンタードライバー210は、上述のような、モニター250の表示や、操作部260からの入力の処理を制御するホスト制御部211を備える。つまり、ホスト制御部211は、メニュー画面や印刷設定画面等の各種画面をモニター250表示させるともに、各種画面において操作部260から入力された内容に応じた処理を行う。これにより、ホスト制御部211は、作業者からの入力に応じてプリンター300を制御するために必要な制御信号を生成する。
また、プリンタードライバー210は、外部装置から受信した画像データに対して画像処理を施して、印刷データを生成する画像処理部213を備える。具体的には、解像度変換処理、色変換処理、ハーフトーン処理等といった画像処理が実行される。
そして、ホスト制御部211で生成された制御信号や、画像処理部213で生成された印刷データは転送制御部220を介して、プリンター300の本体ケース1内に設けられたプリンター制御部400に転送される。この転送制御部220は、プリンター制御部400との間で双方向のシリアル通信が可能となっており、プリンター制御部400に制御信号や印刷データを転送するとともに、その応答信号をプリンター制御部400から受信してホスト制御部211に送信する。
プリンター制御部400は、ヘッドコントローラー410とメカコントローラー420とを備える。ヘッドコントローラー410は、プリンタードライバー210から送信されてきた印刷データに基づいて、記録ヘッド34を制御する機能を司る。具体的には、ヘッドコントローラー410は、記録ヘッド34のノズル35からのインク噴射を、印刷データに基づいて制御する。この際、ノズル35からインクを噴射するタイミングは、キャリッジ32のX軸方向への移動に基づいて制御される。つまり、印刷室3内には、キャリッジ32のX軸方向の位置を検出するリニアエンコーダーE32が設けられている。そして、ヘッドコントローラー410は、リニアエンコーダーE32の出力を参照することで、キャリッジ32のX軸方向への移動に応じたタイミングで、ノズル35からインクを噴射させる。
一方、メカコントローラー420は、シートSの繰り出し・搬送やキャリッジ32の駆動を制御する機能を主として司る。具体的には、メカコントローラー420は、繰出ローラー23および搬送ローラーMsの回転を駆動して、繰出ローラー23によるシートSの繰り出しや、搬送ローラー73によるシートSの間欠搬送を制御する。また、搬送モーターMsに対してはこれの回転を検出するエンコーダーEmcが設けられており、メカコントローラー420はこのエンコーダーEmcの出力を参照することで、シートSの間欠搬送を高精度に実行する。また、メカコントローラー420は、第1CRモーターMxを制御することで、主走査のためのX軸方向への移動をキャリッジ32に実行させるとともに、第2CRモーターMxを制御することで、副走査のためのY軸方向への移動をキャリッジ32に実行させる。
そして、ヘッドコントローラー410とメカコントローラー420とが同期を取りつつ、これらの制御を適宜実行することで、間欠搬送されるシートSに対して、解像度に応じた回数のパスが実行されて、1フレーム分の印刷が実行される。これにより、所望の解像度を有する1フレーム分の画像がシートSに印刷される。
また、メカコントローラー420は、印刷処理のための上記制御のほかに種々の制御を実行できる。具体的には、メカコントローラー420は、電源スイッチSWのオン/オフを検出して、電源スイッチSWがオンした場合には、プリンター300の各部の起動処理を実行する。また、メカコントローラー420は、プラテン30上面の温度を検出する温度センサーS30の出力に基づいて、ヒーター38をフィードバック制御したり、乾燥部4の内部の温度を検出する温度センサーS4の出力に基づいて、乾燥部4をフィードバック制御したりといった温度制御を実行する。また、メカコントローラー420は、吸引部37を制御してプラテン30の吸引孔に発生する負圧を調整したり、メンテナンスユニット9を制御して所定のメンテナンスを実行したり、放電バイアス発生部84を制御して放電バイアスの値を調整したりといった各動作を実行可能である。また、メカコントローラー420は、ステアリングモーターMcを制御して、シートSの蛇行を抑制する機能も担っている。
上述のとおり、メカコントローラー420は、繰出ローラー23によるシートSの繰り出しや、搬送ローラー73によるシートSの間欠搬送を制御する。続いては、メカコントローラー420の制御により実行される、繰出ローラー23および搬送ローラー73の動作について説明する。
図5は、繰出ローラーおよび搬送ローラーの動作説明図である。図6は、繰出ローラーおよび搬送ローラーの動作のタイミングチャートである。図6では、搬送モーターMxの動作、変位センサーS1の出力、変位センサーS2の出力、繰出モーターMbの回転速度および繰出ローラー23の繰出速度を示すグラフが、横軸に時間をとって示されている。
搬送ローラー73によるシートSの間欠搬送が開始される前(つまり、間欠停止中)の時刻t0では、ステップS1の状態にある。この状態では、繰出ローラー23からローラー71までのバッファー領域Rbに、次に実行される間欠搬送に十分な長さLbのシートSが存在する。ここで、バッファー領域Rbは、繰出ローラー23の頂部からローラー71の頂部までの領域であり、このバッファー領域LbにあるシートSの長さLbは、繰出ローラー23の頂部からローラー71の頂部までのシートSの周長である。このステップS1の状態では、可動ローラー70はバッファー領域RbのシートSbの長さLbに応じて比較的下方に位置しており、回転フレーム701は変位センサーS1の下側に位置する。そして、搬送ローラー73による間欠搬送が開始されるまで、ステップS1の状態が継続する。
時刻t1において搬送モーターMxがオンすると、搬送ローラー73が回転を開始して、シートSがバッファー領域Rbからプラテン30側(搬送ローラー73側)へ向けて速度Vsで搬送される。これに伴って、バッファー領域RbにあるシートSの周長が減少して、可動ローラー70と回転フレーム701の一端が上昇する。そして、時刻t2において回転フレーム701が変位センサーS1の前を横切ると(ステップS2)、変位センサーS1の出力がハイからローに切り換わる。
この変位センサーS1のロー信号を受信したメカコントローラー420は、繰出モーターMbに速度Vaで回転するように指令を出す。この指令を受けた繰出モーターMbは、時刻t1から若干の時間をかけて速度Vaまで回転を加速させる。これに伴って、繰出ローラー23はシートSをバッファー領域Rbに速度V1で繰り出す(高速繰出動作)。こうして、繰出ローラー23が速度V1でバッファー領域Rbに繰り出したシートSは、進行中の間欠搬送によってバッファー領域Rbから順次搬出される。つまり、この高速繰出動作では、繰出ローラー23が、進行中の間欠搬送によってバッファー領域Rbからプラテン30側に搬送されるシートSを、バッファー領域Rbに速度V1で繰り出して供給する。
ちなみに、繰出ローラー23がバッファー領域RbへシートSを繰り出す速度V1は、搬送ローラー73がバッファー領域RbからシートSを搬出する速度Vsよりも低い。したがって、繰出ローラー23がシートSの繰り出しを開始する時刻t2以後も、バッファー領域RbのシートSの周長は減少する。その結果、時刻t2以後も可動ローラー70と回転フレーム701の一端は上昇を続ける。
そして、時刻t3において回転フレーム701が変位センサーS2の前を横切ると(ステップS3)、変位センサーS2の出力がハイからローに切り換わる。この変位センサーS2の位置は、進行中の間欠搬送に必要なシートSを高速繰出動作がバッファー領域Rbに繰り出し終えた時点での回転フレーム701の位置に対応している。したがって、変位センサーS2のロー信号を受信したメカコントローラー420は、高速繰出動作を停止するために、繰出モーターMbに対して速度Vb(<Va)まで回転を減速するよう指令を出す。
この指令を受けた繰出モーターMbは、時刻t3より若干の時間をかけて速度Vbまで回転を減速する。これに伴い、繰出ローラー23は、速度V1での高速繰出動作を停止するとともに、速度V2(<V1)でシートSを繰り出す低速繰出動作を開始する。この低速繰出動作は、次の間欠搬送でバッファー領域Rbから搬出されるシートSを、予めバッファー領域Rbに速度V2で繰り出して供給するものである。
その後、時刻t4で搬送モーターMxがオフして、搬送ローラー73によるシートSの間欠搬送が停止するまで、可動ローラー70と回転フレーム701の一端は若干上昇する。そして、時刻t4において、搬送モーターMxは、間欠搬送距離LsだけシートSを間欠搬送し終えると、回転を停止して間欠搬送を終了する(ステップS4)。
なお、ここでは、変位センサーS2の上側に変位センサーS3が設けられている。この変位センサーS3は、何らかの原因で、間欠搬送の完了後も搬送モーターMxが停止しなかった場合に備えて設けられたものである。つまり、間欠搬送の完了後も搬送モーターMxが回転を続けることで、可動ローラー70が上昇して変位センサーS3を横切ると、変位センサーS3から出力されるハイ信号を受けて、メカコントローラー420が搬送モーターMxを強制停止する。
一方、無事に搬送モーターMxがオフして、搬送ローラー73によるシートSの間欠搬送が停止すると、その後は、繰出ローラー23が速度V2でシートSをバッファー領域Rbに繰り出すのに伴って、バッファー領域RbのシートSの周長が増大する。これによって、可動ローラー70と回転フレーム701の一端が下降する。
一方、この下降する回転フレーム701を検出して、時刻t5で変位センサーS2がハイ信号を出力するとともに、これに続いて、時刻t6で変位センサーS1がハイ信号を出力する。そして、変位センサーS1のハイ信号を受け取ったメカコントローラー420は、繰出モーターMbに停止するように指令を出す。この指令を受けて、繰出モーターMbは時刻t6より若干の時間をかけて停止する。これにより、繰出ローラー23がバッファー領域RbへのシートSの繰り出しを停止して、低速繰出動作が完了する。
以上説明したように、この実施形態では、繰出ローラー23からプラテン30までの間に設けられたバッファー領域Rbへ、繰出ローラー23がシートSを繰り出す。この繰出ローラー23は、速度V1でシートSをバッファー領域Rbに繰り出す高速繰出動作と、速度V1より低い速度V2でシートSをバッファー領域Rbに繰り出す低速繰出動作とを選択的に実行可能である。
これらのうち、高速繰出動作は、搬送ローラー73がシートSの間欠搬送を開始すると実行され、当該間欠搬送によってバッファー領域Rbからプラテン30側に搬送されるシートSをバッファー領域Rbに繰り出すものである。一方、低速繰出動作は、次に実行される間欠搬送でバッファー領域Rbからプラテン30側に搬送されるシートSをバッファー領域Rbに繰り出すものであり、言わば、次に実行される間欠搬送のために必要となる長さΔLbのバッファーを形成する動作である。ちなみに、バッファーの長さΔLbは、間欠搬送開始前(ステップS1)におけるバッファー領域RbのシートSの周長Lbから、間欠搬送完了時(ステップ)におけるバッファー領域RbのシートSの周長を引いたものである。
つまり、この繰出ローラー23は、次の間欠搬送に先立って予めバッファー領域RbにシートSを繰り出すバッファー形成(低速繰出動作)の他に、搬送ローラー73がシートSの間欠搬送を開始すると当該間欠搬送によってバッファー領域Rbからプラテン30側に搬送されるシートSをバッファー領域Rbに繰り出す動作(高速繰出動作)を実行可能である。したがって、後者の動作を実行することで、間欠搬送によりバッファー領域Rbからプラテン30側に搬送されるシートSを、当該間欠搬送の開始後にバッファー領域Rbに繰り出すことができる。そのため、図5のステップ1の欄に示すように、間欠搬送の開始前にバッファー領域Rbに予め繰り出すシートSの長さLbを短くできる。具体的に言えば、例えばバッファー長さΔLbが間欠搬送距離Ls未満となるように、この長さLbを設定することができる。その結果、可動ローラー70へのシートSへの巻き掛け角度θ70を小さくして、シートの巻きぐせを抑制することが可能となっている。
さらに、この実施形態は、バッファー領域Rbにバッファーを形成する動作を、比較的低い速度V2で実行しており(低速繰出動作)、これによって巻きぐせをさらに効果的に抑制することが可能となっている。つまり、バッファー形成の完了後から次の間欠搬送までの期間が長いほど、可動ローラー70がバッファー領域RbにあるシートSの一部に張力を与え続ける時間が長くなり、巻きぐせが顕著となる傾向にある。これに対して、比較的低い速度V2でバッファーを形成することで、バッファー形成の完了を遅らせて、バッファー形成の完了後から次の間欠搬送までの期間を短縮することができる。その結果、シートSの巻きぐせをより効果的に抑制することができる。
なお、上述の高速繰出動作や低速繰出動作は、バッファー領域RbにあるシートSの周長に応じて、適切なタイミングで実行することが好適となる。これに対して、可動ローラー70は、バッファー領域RbにおけるシートSの周長の変化に伴って変位するものである。そこで、この実施形態では、可動ローラー50の変位を検出する変位センサーS1〜S3が設けられている。これにより、バッファー領域RbにあるシートSの周長に応じて、適切なタイミングで上述の高速繰出動作や低速繰出動作を実行することができる。具体的には、この実施形態は、次のような構成を備えている。
つまり、搬送ローラー73によるシートSの間欠搬送の開始後にバッファー領域RbのシートSの周長が減少するのに伴って移動する可動ローラー50の変位が、変位センサーS1により検出される。そして、この検出をきっかけに、高速繰出動作が開始される。これにより、シートSの間欠搬送が開始されて、バッファー領域RbにあるシートSの長さが短くなった場合には、速やかに高速繰出動作を開始して、間欠搬送に必要となるシートSをバッファー領域Rbに繰り出すことが可能となる。
また、この実施形態では、高速繰出動作での速度V1は、間欠搬送の速度V2よりも低い。そのため、高速繰出動作の開始後も、搬送ローラー73による間欠搬送に伴って、バッファー領域RbのシートSの長さが減少する。このような構成では、バッファー領域RbにあるシートSの長さの減少程度が、高速繰出動作が開始されてからの時間、言い換えれば高速繰出動作でバッファー領域Rbに繰り出されたシートSの長さを反映する。そこで、進行中の間欠搬送に必要なシートSをバッファー領域Rbに繰り出し終えたことを、バッファー領域RbにあるシートSの長さの減少程度から判断して、高速繰出動作から低速繰出動作に切り換えるタイミングを制御することができる。
つまり、高速繰出動作の開始後にバッファー領域RbのシートSの長さが減少するのに伴って移動する可動ローラー50の変位が、変位センサーS2により検出される。そして、この検出をきっかけに、高速繰出動作から低速繰出動作へと動作が切り換えられる。これにより、高速繰出動作が一定時間実行されて、搬送ローラー73による間欠搬送にとって十分なシートSがバッファー領域Rbに繰り出された場合には、速やかに低速繰出動作を開始して、次の間欠搬送のためにバッファーを形成する動作に移ることができる。
また、この実施形態では、低速繰出動作の開始後にバッファー領域RbのシートSの周長が増大するのに伴って移動する可動ローラー50の変位を検出した結果に基づいて、低速繰出動作を停止している。このような構成では、低速繰出動作が一定時間実行されて、次の間欠搬送にとって十分なバッファーが形成された場合には、速やかに低速繰出動作を停止して、不必要に長いバッファーを形成することを抑制することができる。
ちなみに、上述のように、繰出ローラー23を駆動する繰出モーターMbを制御して、高速繰出動作および低速繰出動作を実行する場合、この実施形態のように構成することで、次のような利点がある。つまり、この繰出モーターMbは、停止命令を受けても直ちに停止するわけでなく、惰性である程度回転する。このとき、惰性で回転する量は、直前の回転速度が速いほど大きくなる。これに対して、この実施形態では、繰出ローラー23の停止前は、繰出ローラー23を比較的低い速度Vbで駆動する低速駆動動作が実行されているため、繰出モーターMbが惰性で回転する量を小さく抑えることができるといった利点がある。
その他
以上のように、上記実施形態では、プリンター300が本発明の「画像記録装置」に相当し、シートSが本発明の「記録媒体」に相当し、保持軸21が本発明の「保持部」に相当し、プラテン30が本発明の「支持部」に相当し、繰出ローラー23が本発明の繰出ローラーに相当し、搬送ローラー73が本発明の「搬送部」に相当し、記録ヘッド34が本発明の「記録部」に相当し、可動ローラー70が本発明の「可動ローラー」に相当し、メカコントローラー420が本発明の「制御部」として機能し、変位センサーS1〜S3が本発明の「センサー」に相当し、バッファー領域Rbが本発明の「バッファー領域」に相当し、速度V1が本発明の「第1速度」に相当し、速度V2が本発明の「第2速度」に相当する。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したものに対して種々の変更を加えることが可能である。例えば、上記実施形態では、複数のパス(主走査)を繰り返して1フレーム分の印刷を実行する。このような構成では、1フレームを構成する主走査の回数が多いほど、シートSが間欠停止する時間が長くなり、言い換えれば、間欠搬送が実行される間隔が長くなる。そのため、バッファー形成の完了後から次の間欠搬送までの期間も長くなる傾向にある。そこで、例えば、1フレームを構成する主走査の回数が多いほど、低速繰出動作での速度V2を低く設定するようにしても良い。これによって、1フレームを構成する主走査の回数が多い場合であっても、それに応じてバッファー形成の完了を遅らせることができる。その結果、バッファー形成の完了後から次の間欠搬送までの期間を短縮して、シートSの巻きぐせを効果的に抑制することができる。
また、上記実施形態では、可動ローラー70は、自重によりシートSに張力を与えるものであって。しかしながら、可動ローラー70についても適宜変更が可能である。具体的には、可動ローラー70は、バネ等の付勢部材からの付勢力によりシートSに張力を与えるものであっても良い。
また、上述したとおり、シートSとしては種々のものを使用可能であるが、印刷面の反対側の面に接着剤層を介してシールを貼り付けた構成を具備するシートSを用いる場合、上記の実施形態のように構成することが特に好適である。つまり、このようなシートSでは、巻きぐせが付いた部分において印刷面とシールとが剥離してしまい、シートSが盛り上がってしまうことがある。その結果、印刷実行時に、シートの盛り上がった部分がノズル35と衝突して、ノズル35に損傷を与えるおそれがある。これに対して、上記実施形態のように構成しておけば、巻きぐせを抑制することができ、延いては、上記のようなノズル35の損傷を抑えることができる。
また、上記実施形態では、画像記録装置として、インクジェット式のプリンター300が採用されているが、インク以外の他の流体を噴射したり吐出したりする流体噴射装置を採用しても良い。また、微小量の液滴を吐出させる液体噴射ヘッド等を備える各種の液体噴射装置全般に本発明を適用可能である。この場合、液滴とは、液体噴射装置から吐出される液体の状態を指し、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含む。また、ここで言う液体とは、液体噴射装置が噴射させることができるような材料であれば良い。例えば、液相の状態にある物質が液体に含まれ、粘性の高いあるいは低い液状態、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)のような流状体が液体に含まれる。また、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散あるいは混合されたものが液体に含まれる。また、液体の代表的な例としては、上記実施形態で説明したようなインクや液晶等が挙げられる。ここで、インクとは、一般的な水性インク、油性インク、ジェルインク、ホットメルトインク等の各種液体組成物を包含するものとする。
また、上記実施形態では、ピエゾ方式を用いたインクジェットプリンターに対して本発明を適用した場合について説明した。しかしながら、サーマル方式を用いたインクジェットプリンターに対しても本発明を適用可能であることは言うまでもない。
また、上記実施形態では、キャリッジ32をX軸方向に往復走査させて印刷動作を行う場合を例示して説明を行った。しかしながら、キャリッジ32をX軸方向の片方向にのみ走査させて印刷動作を行う構成に対しても、本発明を適用可能である。