JP2013027915A - プレス装置用の材料搬送装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】実加工前に加工動作を確認検証できるプレス装置用の材料搬送装置を提供する。
【解決手段】加工型の種類とその配列及び配置ピッチの情報を含み入力手段(キーボード105、マウス104)により入力される型データを記憶する型データ記憶手段(ハードディスク装置107等)と、製品の加工ピッチ及びその加工型の情報を含み入力手段により入力される製品データを記憶する製品データ記憶手段と、前記型データ及び前記製品データに基づいて、製品の加工結果が視認可能な画像を描画して表示手段(ディスプレイ106)に表示する描画機能を有する制御手段(コンピュータ100)と、を備えた構成とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、プレス装置用の材料搬送装置に関する。
プレス装置に複数配置された金型を使い、送り長さと作用させる金型を指定しながら加工を行う場合に、面倒なデータ設定を無くした搬送装置は特許文献1で公開された。
特開平9−201632号公報 特表2004−521750号公報
しかし、入力された製品と金型に関するデータの確認をするための装置の機能としては、例えば特許文献2にあるように、正に入力した数値そのものを表示する機能しか無かった。そして、その数値から加工する製品形状等をイメージすることや実際の機械動作を予想する事は困難であった。その為、入力データのミスが有り、これに気付くことなく実機での試し加工を行った場合、加工不良発生時の対応作業が複雑となり多くの時間が掛かることも多かった。入力データの不良なのか金型や搬送装置の不良なのかの見極めも困難だった。
そこで本発明は、実加工前に加工動作を確認及び検証できるプレス装置用の材料搬送装置を提供することを目的としている。
本願発明は、
所定の加工タイミングに、材料送り方向に一つ又は複数ある加工型のうち所定の加工型を作動させて、材料をプレス加工するプレス装置において、前記加工型に対して材料を順次所定長さ送り出して送給するプレス装置用の材料搬送装置であって、
加工型の種類とその配列及び配置ピッチの情報を含み入力手段により入力される型データを記憶する型データ記憶手段と、
製品の加工ピッチ及びその加工型の情報を含み入力手段により入力される製品データを記憶する製品データ記憶手段と、
前記型データ及び前記製品データに基づいて、製品の加工結果が視認可能な画像を描画して表示手段に表示する描画機能を有する制御手段と、
を備えたことを特徴とする。
ここで、「所定の加工タイミング」とは、例えば、加工型を押圧するためのプレス装置の昇降ヘッドの下降時である。また、「製品の加工結果」には、一つの製品について複数の加工がある場合、一部の加工のみが終了した加工途中の結果と、全ての加工が終了した最終加工結果とが有り得る。「製品の加工結果」とは、これら加工途中の結果と最終加工結果のうちの何れか一つでもよいし、両方でもよい。
また、本願発明の他の好ましい態様としては、請求項2に記載のように、
製品の加工数及び加工順の情報を含み前記入力手段により入力される生産スケジュールデータを記憶する生産スケジュールデータ記憶手段と、
前記型データ、前記製品データ、及び前記生産スケジュールデータに基づいて、製品端の切断加工を含む各加工箇所の加工順を決定し、この加工順と各加工から次の加工までの必要送り量とからなる運転データを作成する運転データ作成手段と、をさらに備え、
前記制御手段は、前記描画機能として、前記運転データに基づく製品の加工開始から加工終了までの加工状況が視認可能な加工状況画像を描画して前記表示手段に表示する加工状況描画機能を有する構成でもよい。
また、本願発明の他の好ましい態様としては、請求項3に記載のように、
前記加工状況描画機能は、少なくとも、前記加工タイミングの1回分に対応するプレス加工の1サイクル毎に、前記加工状況画像を更新して表示し、
前記加工状況描画機能には、オペレータの更新指令操作が行われる度に前記加工状況画像の更新を行う逐次表示モードと、オペレータの更新指令操作が行われなくても、前記プレス装置の規定の運転速度に対応した周期で前記加工状況画像の更新を自動的に行う連続表示モードと、が設けられており、
オペレータが、前記逐次表示モードと前記連続表示モードの何れかを選択可能である構成でもよい。
また、本願発明の他の好ましい態様としては、請求項4に記載のように、
前記描画機能では、作動した前記加工型による加工形状を表す加工図形が、画像中の加工位置に相当する位置に表示され、オペレータが、この加工図形のうちの一つ又は複数を選択する操作をすると、選択された加工の属性が前記表示手段で表示される構成でもよい。ここで、「加工の属性」とは、例えば、加工に使用される加工型の種類、名称、又は番号等、加工位置の座標データ(例えば、原点や基準位置からの送り方向の距離)などである。
また、本願発明の他の好ましい態様としては、請求項5に記載のように、
前記描画機能では、作動した前記加工型による加工形状を表す加工図形が、画像中の加工位置に相当する位置に表示され、オペレータが、この加工図形のうちの少なくとも二つを選択する操作をすると、選択された加工間距離が前記表示手段で表示される構成でもよい。
本願発明の材料搬送装置は、製品の加工結果が視認可能な画像を描画して表示手段に表示する描画機能を有する。この描画機能を利用すれば、実加工前に、加工後の製品形状等を明確にイメージしつつ、実際の機械動作を視覚的に確認及び検証できる。このため、例えばデータ入力のミスが有った場合、これを実機械での試し加工の前に、この描画機能によって予め発見して修正できる可能性が格段に高まる。その結果、入力データの信頼性は向上し、実機械での試し加工の負荷を大幅に低減することができる。
また、請求項2に記載の態様によれば、加工状況描画機能により、製品の加工開始から加工終了までの加工状況が視覚的に確認及び検証できる。
また、請求項3に記載の態様では、逐次表示モードと連続表示モードのうち、何れかを選択可能であるため、確認及び検証の作業が多面的かつ効率的に行える。例えば、製品の複雑な部分(データ入力のミスがおきやすい部分)の加工を逐次表示モードで細かく時間をかけて確認し、残りを連続表示モードで短時間に確認する。或いは、各加工を逐次表示モードで細かく時間をかけて確認した後、連続表示モードで全体をもう一度最終確認する。といったように、確認及び検証の作業を多面的かつ効率的に行える。
また請求項4に記載の態様では、加工図形を選択する操作をすると、選択された加工の属性が表示されるため、各加工の属性を容易に確認できる。
また請求項5に記載の態様では、複数の加工図形を選択する操作をすると、選択された加工間距離(即ち、加工ピッチ)が表示されるため、加工間距離が容易に確認できる。
材料搬送装置の構成を示すブロック図である。 (a)はプレス装置の要部を示す側面図、(b)はプレス装置の要部を示す正面図である。 (a)はプレス装置の全体構成を示す図、(b)はプレス装置のクランク回転サイクルを示す図、(c)はプレス装置の金型の具体例を示す図である。 (a)はプレス装置のワークの具体例を示す図、(b)は運転データの具体例を示す図である。 材料搬送装置の処理(運転データ作成処理)を示すフローチャートである。 材料搬送装置の処理(運転データ作成処理)を示すフローチャートである。 (a)は型ユニット詳細画面、(b)は製品詳細画面の一例を示す図である。 (a)はスケジュール運転画面、(b)は運転データ画面の一例を示す図である。 製品描画画面の一例を示す図である。 加工状況描画画面の具体例を示す図である。 加工状況描画画面の具体例を示す図である。 加工状況描画画面の具体例を示す図である。 加工状況描画画面の具体例を示す図である。 加工状況描画画面の具体例を示す図である。 製品描画機能のための処理内容の概略を示すフローチャートである。 加工状況描画機能のための処理内容の概略を示すフローチャートである。 運転データ作成処理における計算テーブルの具体例を示す図である。 運転データ作成処理における計算テーブルの具体例を示す図である。 運転データ作成処理における計算テーブルの具体例を示す図である。
以下、本発明の実施例1を図面に基づいて説明する。
(A.プレス装置の構成)
まず、プレス装置の一例について説明する。図2(a)はこのプレス装置の要部側面図、図2(b)は同プレス装置の要部正面図、図3(a)は同プレス装置の全体構成図である。
図3(a)に示すように、巻出ローラ1から所定の巻出し速度(ラインスピード)VLで巻き出されたコイル材2(材料)は、一対のフィードローラ3により繰り出され、メジャーリングローラ4を通過して、加工ステージであるベッド5上に導入される。そしてこのベッド5上には、図2に示す如く、下型6が固定され、さらにこの下型6の上方には上型7が配置されている。上型7は、コイル材2の送り方向に分割され、複数の加工型7a,7b,7cとなっている。また、下型6には、これら加工型に対応する位置に、メス側の加工型凹部6a,6b,6cが形成されている。なお、複数の加工型の全体を型ユニットという。
ここで、図2,図3(c)では、これら加工型及び加工型凹部が送り方向に3組ある例を示しているが、さらに複数あってもよいし、1組でもよい。後述する搬送装置の説明(特に制御処理の説明)においては、これら加工型及び加工型凹部の数を一般化して、送り方向入口側からC1,C2,C3なる符号を付している。図3(c)では、加工型7a及び加工型凹部6a(C1)が略円形のもの、加工型7b及び加工型凹部6b(C2)が四角形のもの、加工型7c及び加工型凹部6c(C3)が切断型である場合を例示している。
また、各加工型及び加工型凹部の間のピッチ寸法も、後述の説明においては、図3(c)に示す如く送り方向入口側からM1,M2なる符号を付している。図3(c)に例示したものでは、このピッチ寸法は、M1,M2の二つとなる。
上型7の各加工型7a,7b,7cは、それぞれが図2に示すような昇降フレーム8a,8b,8cに上面側を支持されて独立に上下動可能となっている。すなわち、例えば昇降フレーム8aは、図2(a)に示すようにベッド5上に立設された支柱9aにより両側を挿通状態に支持されて上下動可能となっている。そして昇降フレーム8aは、支柱9aの外周に装着されたコイルバネ(図示省略)により上方に付勢され、開放状態(自由状態)においては、支柱9aの上端位置に保持され、加工型7aが下型6の加工型凹部6aから上方に離れた状態に保持される構成となっている。
そして、昇降フレーム8a,8b,8cの上方位置には、昇降ヘッド10が支持フレーム11に支持されて昇降可能に配設されている。また、この昇降ヘッド10の下面側には、横方向に進退自在なように複数のストライカ12a,12b,12cが配設されている。各ストライカは、それぞれが、昇降ヘッド10の片面側に設けられたエアシリンダ(例えば図2(a)に示すエアシリンダ13a)により支持駆動されて動作する。そして各ストライカは、前進状態においては前記各昇降フレームの真上に位置するように、各エアシリンダのストローク等が設定されている。
また、いずれかのストライカが前進し対応する昇降フレームの真上に位置する状態で、昇降ヘッド10が下死点まで下降すると、昇降ヘッド10がそのストライカ及び昇降フレームを介して対応する加工型を押し下げて、対応する加工型及び加工型凹部によるプレス加工がなされるように、昇降ヘッド10の昇降ストローク等が設定されている。
各エアシリンダは、図示省略した圧縮空気源と、この圧縮空気源からの圧縮空気を。当該エアシリンダのいずれかの作動室に切替えて送り込む電磁弁等によりオンオフ動作するように構成されている。前記電磁弁等は、例えば後述するシリンダドライバ124を介して後述するシーケンサ110により制御される。
昇降ヘッド10は、図3(a)に示すクランク14の回転に伴って昇降する構成とされている。クランク14は、クランク軸15,プーリ16,17及びベルト18を介して主モータ19により駆動されて、一般的には、一方向に略一定速度で回転する。
そして、昇降ヘッド10が下降して加工型及び加工型凹部が噛み合ってプレス加工が行われている最中には、コイル材2を送ることが当然不可能であり、クランク14の回転の1サイクルにおいて常にコイル材2の送り動作が可能となる範囲(以下、送り可能範囲という。)は、図3(b)に示すように一定角度範囲θ1(例えば180度,240度,270度等)に制限される。このため、クランク軸15或いはプーリ16等には、この送り可能範囲がスタートする材料送給開始回転角度を検出するロータリーカムスイッチ20(図1に示す)が設けられている。
なお、この種のプレス装置においては、昇降ヘッド10が下降して加工型及び加工型凹部が噛み合う際に、嵌合して上下の型を位置決めるパイロットピン(図示省略)や、コイル材を押える材料押え部材(図示省略)が設けられることがある。またさらには、加工中にコイル材2をフリーにするために、フィードローラ3によりコイル材2を挟持している状態を解除するリリース動作がなされる構成とされることがある。そして、これらの構成によっても上記送り可能範囲θ1は制限されるので、上記送り可能範囲θ1の具体的数値は、実際にはプレス装置の機種によりさまざまである。
また、クランク14の回転の1サイクルにおける上記送り可能範囲以外の範囲θ2(以下、加工範囲という。)は、前述したエアシリンダの全てが非作動とされ、全ての加工型が後退位置にある非作動状態であれば、コイル材2の送り動作が可能となる機種もある。しかし、上記パイロットピンや材料押え部材が設けられた機種等においては、上記加工範囲θ2では常にコイル材2の送り動作が不可能となる。
このため、このようなプレス装置においては、基本的には、上記送り可能範囲θ1に対応する送り可能期間おいて材料搬送装置のフィードローラ3を作動させてコイル材2を所定量送り、上記加工範囲θ2に対応する加工期間おける所定タイミング(昇降ヘッド10の下降時)に、何れかのエアシリンダを作動させることによって所定の加工型を作動させて加工を行う、という動作を周期的に繰り返して製品を製造する。本願では、クランク14の1回転分に相当するこのような動作の一回分を、プレス加工の1サイクルと称している。なお、このプレス加工の1サイクルにおいては、何れの加工型も作動させない空打ちが行われる場合もある。この1サイクル中の送り可能期間だけでは、材料であるコイル材2の所定の送り量を実現できない場合があるからである。なお、後述する加工状況描画機能を利用すれば、この空打ちが適正になされるか否かについても、実機での試し加工の前に、容易に確認及び検証できる。
(B.材料搬送装置の構成)
次に、材料搬送装置の構成について、図1により説明する。
この例の材料搬送装置は、コンピュータ100と、シーケンサ110とを備える。
コンピュータ100は、本発明の制御手段及び運転データ作成手段等を構成するもので、例えばCPU101,ROM102,RAM103及びハードディスク装置107等を内蔵する一般のパーソナルコンピュータ(PC)である。本例の場合、このコンピュータ100には、入力操作用のマウス104及びキーボード105、表示器としてのディスプレイ106、及び、印刷用のプリンタ109が接続されている。なお、RAM103、或いはハードディスク装置107が、本発明の型データ記憶手段、製品データ記憶手段、及び生産スケジュールデータ記憶手段を構成している。また、マウス104及びキーボード105がオペレータ用の入力手段を構成している。また、ディスプレイ106がオペレータ向けの表示手段を構成している。
また、コンピュータ100には、インターフェースボード108が接続され、このインターフェースボード108を介してシーケンサ110と信号の授受が行われる。
そして、CPU101は、ROM102或いはハードディスク装置107に記憶されたソフト(プログラム)に基づいて、後述する図5,6或いは図15,16に示す処理を行って、図4(b)に示す運転データを作成する機能(運転データ作成手段としての機能)や、製品の加工結果が視認可能な画像を描画してディスプレイ106に表示する機能(描画機能)を実現する。なおこのCPU101の処理動作については、後述する。
シーケンサ110は、この場合CPU111,ROM112,RAM113等を内蔵し、ROM112に記憶された動作プログラムが容易に書換え可能な、いわゆるプログラマブルロジックコントローラである。シーケンサ110は、作成された運転データに基づいて、サーボモータ120を制御してコイル材2を所定の加速度及び送り速度で繰出し、所定の加工型を作動させる制御を行う材料送り制御手段として機能する。
このシーケンサ110には、前述のフィードローラ3を駆動するサーボモータ120、サーボモータ120のパルスジェネレータ121、及びサーボアンプ122よりなるサーボ駆動系が接続されている。そして、メジャーリングローラ4の回転を検出するパルスジェネレータ123の出力に基づいて位置検知及び速度検知がなされ、位置(モータの回転量)及び速度(モータの回転速度)のデータがシーケンサ110にフィードバックされて、シーケンサ110のCPU111の指令によりサーボモータ120の速度及び回転量が制御される構成となっている。
なおシーケンサ110には、パルスジェネレータ123が故障したときの予備検出器として、前述のパルスジェネレータ121も接続されている。そして、図示省略したスイッチ等によりパルスジェネレータ123に代ってパルスジェネレータ121が前記サーボ制御の検出器として働くように切替え可能となっている。
また、シーケンサ110には、前述のエアシリンダ(例えばエアシリンダ13a)の電磁弁に対して駆動電流を出力する回路であるシリンダドライバ124が接続され、CPU111の指令によりこのシリンダドライバ124を介して前述のエアシリンダが制御される。
さらに、シーケンサ110には、プレスインターフェース125を介して前述のロータリーカムスイッチ20が接続され、プレス装置のクランク14が前述の材料送給開始回転角度になったことを示す信号がリアルタイムに入力される。そしてCPU111は、ROM112に記憶されたプログラムと、コンピュータ100から送られた運転データとに基づいて、コイル材2を所定の加速度及び送り速度で繰出し、所定の加工型を作動させるために、サーボモータ120及び各エアシリンダを制御する機能を有する。なお、コイル材2の送り速度は、例えば、巻出ローラ1の巻出し速度(ラインスピード)VLを超えないように制御される。
(C.材料搬送装置の機能及び動作)
次に、本例の材料搬送装置の特徴的な機能及び動作について、図3(c)〜図19により説明する。
(a)データ入力操作
まず、本装置の動作の前提となるオペレータによるデータ入力操作について説明する。本装置では、オペレータが、予め型データと製品データと生産スケジュールデータをコンピュータ100のいずれかの記憶手段に入力する必要があり、また同様にプレス装置の仕様、例えば巻出ローラ1の巻出し速度(ラインスピード)VLや前述の送り可能範囲(例えば180度,240度,270度等)を設定入力する。
ここでいう型データとは、少なくとも各加工型の種類C1,C2,C3等とその加工形状や加工位置、さらにはその配列及び配置ピッチの情報を含むもので、例えば図3(c)に示すような内容となる。なおここで、加工型の加工位置の情報には、コイル材2の送り方向(図3(c)における左右方向)に直交する幅方向の位置の情報(例えば図3(c)における寸法Y1、Y2の値)も含まれる。またこの型データは、下型6と上型7よりなる型ユニットが別種のものに交換される毎に入力する必要があるが、予め使用される複数種についてそれぞれ型ユニットの名称や番号を付してその情報登録しておき、型交換時にはこの名称や番号を指定することにより設定入力ができるようにしてもよい。なお、型ユニットの属性の一つに、使用材料の幅があり、この材料の幅のデータも、型データとして入力される。
また、ここでいう製品データとは、製品の加工後の形状寸法を特定できる情報であり、例えば製品の加工ピッチL1,L2,…(具体例を図4(a)に示す)と、その加工型の情報と、を少なくとも含むものである。
また、生産スケジュールデータとは、製品の加工数(生産する数量)及び加工順の情報を少なくとも含むものである。
そして、この製品データ及び生産スケジュールデータは、後述の運転データ作成処理において、図4(b)に示すような運転データに変換されて使用される。図4(b)に示す運転データは、図4(a)に示すように各製品を加工する数だけ加工する順番に一列に並べ、各製品のそれぞれの加工を、各製品の間に切断という加工が存在する一連の連続した加工としてとらえ、この一連の連続した加工を実現するためのデータである。そして運転データは、この一連の連続した加工を実現すべく、図4(b)に示すように、必要送り量と、この必要送り量だけコイル材2を送った直後に作動させる加工型のデータ(この場合C1,C2,C3のいずれか)との組み合わせを、順次設定したものである。図4において。符号K1,K2,…は、各加工箇所を示すものであり、各製品の境界を越えて各加工箇所に連続して付与した符号である。前述した製品データに基づいて、各加工箇所K1,K2,…には、その加工を実現する加工型のデータ(この場合C1,C2,C3のいずれか)が、1対1で対応する。
なお、これら型データ、製品データ、生産スケジュールデータ、或いは巻出し速度VLや前述の送り可能範囲のデータは、ハードディスク装置107等に保存されコンピュータ100によって実行可能なソフトの機能により、ディスプレイ106の画面に表示されたメニューを選択したり、表示されたガイダンスに従って、キーボード105或いはマウス104を操作して容易に入力することができるように構成されている。
例えば、オペレータが、マウス104及びキーボード105を使用して、コンピュータ100のディスプレイ106の表示画面において、加工型の加工形状や加工位置(例えば、図3(c)に示すような線画)を描画し、その描画情報に対する加工型の名称等(例えば、C1、C2…)を入力して保存することによって、容易に各加工型の情報(各加工型の名称等と、それに対応する加工形状や加工位置)を入力できる構成となっている。
また、複数の加工型よりなる型ユニット全体の情報(加工型の種類と配置ピッチや配列)の入力も、例えば図7(a)に示すような画面(型ユニット詳細画面)をディスプレイ106に表示させる操作を行うことで、オペレータが容易に実行できる構成となっている。なお、図7(a)の画面では、図3(c)に示した加工型C1、C2、C3よりなる型ユニット(名称;U1)について、切断型の厚さ寸法(切断型の材料送り方向の寸法)と、各加工型の名称(図では型名)と、材料送り方向における型ユニットU1の原点位置(この場合、加工型C1の中心位置)からの各加工型の絶対距離又は相対距離と、各加工型が切断型であるか否か等の情報と、が入力されている。また、図7(a)では図示省略しているが、この型ユニット詳細画面において、型ユニットの属性の一つである使用材料の幅のデータも入力可能である。こうして、少なくとも1個の型ユニットについての型データが入力され、前述の記憶手段に保存される。
ここで、各加工型の絶対距離又は相対距離は、何れか一方のデータを入力すれば他方は自動計算されて表示される構成となっている。また、切断型の欄に「1」を入力すれば、その加工型が切断型であると把握される構成となっている。ちなみに、型ユニットU1では加工型C3が切断型であるので「1」と入力され、他の加工型C1、C2は切断型でないので「0」が入力されている。切断型は、材料(本例ではコイル材2)の幅方向の加工長さが材料の幅よりも大きく、材料を切断する機能を持つ加工型である。なお、ここでは簡単な具体例(加工型が3個だけの例)を示しているが、加工型の種類がさらに多い場合には、No4、No5…の欄に順次入力すればよい。また、型ユニットの原点位置は、本例のように特定の加工型の中心位置でもよいが、これに限られない。例えば、下型6の材料送り方向における端縁の位置を、型ユニットの原点位置に設定してもよい。
また本例では、前述した製品データの情報(加工型の種類と配置ピッチや配列)の入力も、例えば図7(b)に示すような画面(製品詳細画面(型別入力))をディスプレイ106に表示させる操作を行うことで、オペレータが容易に実行できる構成となっている。なお、図7(b)に示した例は、図4(a)に示した製品P1の製品データを、加工型を指定する方式で入力する場合である。即ち、製品P1は、製品の原点位置(先端の切断中心)からL1(=30.00mm)の位置で加工型C1による加工(穴加工)を行い、そこからL2(=70.00mm)の位置で加工型C2による加工(切り欠き加工)を行い、そこからL3(=50.00mm)の位置で加工型C2による加工(切り欠き加工)を行い、そこからL4(=40.00mm)の位置で加工型C3による加工(切断加工)を行ったものである。
そこで、図7(b)の画面では、使用する加工型と、各加工型で加工する絶対位置又は相対位置(材料送り方向の位置)を入力することによって、製品データを入力する構成となっている。図7(b)において、例えば「C1」とある下の欄に「30.00」と入力されているのは、製品の原点位置からの距離データ(加工型C1で加工する送り方向の位置のデータ)である。なお、「絶」とある下の欄に、「×」を入力すると、その右隣りに入力した前記距離データが原点位置からの絶対的距離として把握され、「絶」とある下の欄が空欄のままの場合には、その右隣りに入力した前記距離データが一つ上の欄に入力された加工位置からの相対的距離として把握される構成となっている。このため、図7(b)において、例えば「C2」とある下の欄に「100.00」と入力され、さらにその下の欄に「50.00」と入力されている数値は、左隣りに「×」が入力されていないため、相対的距離であり、図4(a)に示したL3の値となっている。このように加工位置の入力は、絶対的距離で入力することもできるし、相対的距離で入力することもできる。
なお、ここでは簡単な具体例(加工型が3個だけの例)を示しているが、加工型の種類がさらに多い場合には、C4、C5…の下欄に順次入力すればよい。また図7(b)は、加工型を指定する方式で製品データを入力する場合であるが、製品データは、製品の最終加工結果の寸法形状のデータを直接入力することによって入力することもできる構成となっている。また、製品の原点位置は、本例のように先端の切断中心でもよいが、これに限られない。例えば、製品の先端位置を、製品の原点位置に設定してもよい。また、製品の端の切断中心は、製品の端位置よりも、切断型(加工型C3)の材料送り方向の寸法(厚さ寸法)の半分だけずれる。そのため、例えば図4(a)におけるL1の値は、製品P1の先端から加工箇所K2の中心までの寸法に、この切断型の厚さ寸法の半分の値を加算した値である。但し、図3(c)及び図4(a)は切断型(加工型C3)の厚さ寸法が0(ゼロ)の場合を表している。即ち、図3(c)及び図4(a)は、加工型C3が、シャー(押し切り型の切断型)である場合を表している。
また本例では、前述した生産スケジュールデータの情報(製品の加工数及び加工順の情報)の入力も、例えば図8(a)に示すような画面をディスプレイ106に表示させる操作を行うことで、オペレータが容易に実行できる構成となっている。なお、図8(a)に示した例は、図4(a)に示した生産スケジュールS1のデータを入力した場合である。生産スケジュールS1は、製品P1(製品番号1)を2個生産し、これに続いて製品P2(製品番号2)を1個生産する計画である。そこで、図8(a)のNo1の右欄には、製品番号1と製品名称P1と予定数2を入力し、No2の右欄には、製品番号2と製品名称P2と予定数1を入力している。ここでは、簡単な具体例を示しているが、製品の種類がさらに多い場合には、No3、No4…の欄に順次入力すればよい。
また、例えば図7(a)、図7(b)、図8(a)の画面等を利用して入力した各データは、例えば画面最下部に表示されたファンクションキーボタンF1〜F8のうちの何れかをクリックすることによって、ハードディスク装置107や、コンピュータ100に装着された図示しない記憶媒体(例えば、フラッシュメモリ)に保存することができる構成となっている。
そして、以上説明した型データ、製品データ、及び生産スケジュールデータの入力が完了した状態で、例えば、図8(a)に示すスケジュール運転画面において、最下部に表示されたファンクションキーボタンF1〜F8のうちの他の特定のボタンを、例えばマウス104を使ってクリックすると、後述の運転データ作成処理が実行されて運転データが自動作成され、例えば図8(b)に示すような画面(運転データ画面)が表示されて運転データが表示される。この図8(b)の画面に表示された運転データの内容は、前述の図4(b)に対応するものである。
オペレータは、このように、型データ、製品データ、及び生産スケジュールデータを容易に入力できるとともに、めんどうな運転データの作成を本搬送装置のコンピュータ100にやらせて瞬時に表示させ、運転データの作成結果を容易に確認することもできる。また、この運転データも、例えば図8(b)の画面最下部に表示されたファンクションキーボタンF1〜F8のうちの何れかをクリックすることによって、ハードディスク装置107や、コンピュータ100に装着された図示しない記憶媒体(例えば、フラッシュメモリ)に保存することができる構成となっている。
(b)運転データ作成処理
次に、コンピュータ100のCPU101が行う運転データ作成処理について説明する。なおこの処理は、前述の入力操作がなされた直後に自動的になされるプログラムとしてもよいし、加工作業が実際になされる直前に行われる態様でもよいし、前述したようなオペレータの操作によって実行される態様でもよい。
この処理では、図5に示すように、前記型データ、製品データ及び生産スケジュールデータに基づいて、図4(a)に示す各加工箇所K1,K2,…のうち少なくとも金型の全長(図3(c)の場合にはM1+M2=150)の範囲にあるものについて、相対的な送り量(移動量Kという)を算出し、これに基づいてどの加工箇所(K1〜K13)を次に加工するか、又はどの加工型を次に作動させるかの選択がなされ、運転データが作成される。相対的な送り量(移動量K)は、図4(a)に示すワークが金型に対して一定の基準位置にあると仮定した場合に、この一定の基準位置にある状態から材料送りを開始して、各加工箇所を対応する加工型の位置まで送るための仮想の送り量である。
本例の場合、図3(c)に示す型ユニットU1の原点位置(加工型C1の位置)とワーク上の原点位置(加工箇所K1の位置)が、運転開始時に同位置にあると仮定し、これら原点位置を上記基準位置(ステップS2における当初の基準位置)としている。このため、前記移動量Kは、K=Z+Z′となる。これは、図5のステップS2或いは図6のS12により、製品Xの製品座標位置Zを求め、更に金型Yの金型内座標位置Z′を求め、ステップS4でそれらの和を求めて得られる。
具体的には、図3(c)に示す型ユニットU1(M1=50mm、M2=100mm)で図4(a)に示すようなワークを加工する場合には、図17〜図19の(a)〜(j)に示すように、移動量Kが計算され、これに基づいて例えば図4(b)に示すような運転データが作成される。
すなわち、図17(a)の計算テーブルに示すように、まずステップS2,S4の処理により、加工箇所K2〜K5について移動量Kが求められる。
次いでステップS6の処理により、図17(a)の計算テーブルにおいて移動量Kが最少の加工箇所K2が判定され、1回目の送り量(図4(b)で番号S1の必要送り量)がこの加工箇所K2の移動量(即ち30mm)となり、またこの加工箇所K2が1回目の加工箇所(図4(b)で加工番号W1の加工箇所)となり、さらに製品データに登録されたこの加工箇所K2に対応する加工型C1が1回目に作動させる加工型となる。
次に、図17(b)の計算テーブルに示すように、ステップS8〜S12と、ステップS14の分岐処理により再度実行されるステップS4の処理により、加工箇所K1,K3〜K5について移動量Kが求められる。
次いでステップS6の処理により、図17(b)の計算テーブルにおいて移動量Kが最少の加工箇所K1及びK3が判定され、2回目の送り量(図4(b)で番号S2の必要送り量)がこの加工箇所K1又はK3の移動量K(即ち120mm)となり、またこの加工箇所K1及びK3が2回目の加工箇所(図4(b)で加工番号W2の加工箇所)となり、さらに製品データに登録されたこれらの加工箇所K1及びK3に対応する加工型C3及びC2が2回目に作動させる加工型となる。
次に、図17(c)の計算テーブルに示すように、ステップS8〜S12と、ステップS14の分岐処理により再度実行されるステップS4の処理により、加工箇所K4〜K7について移動量Kが求められる。
次いでステップS6の処理により、図17(c)の計算テーブルにおいて移動量Kが最少の加工箇所K4が判定され、3回目の送り量(図4(b)で番号S3の必要送り量)がこの加工箇所K4の移動量(即ち50mm)となり、またこの加工箇所K4が3回目の加工箇所(図4(b)で加工番号W3の加工箇所)となり、さらに製品データに登録されたこの加工箇所K4に対応する加工型C2が3回目に作動させる加工型となる。
次に、図17(d)の計算テーブルに示すように、ステップS8〜S12と、ステップS14の分岐処理により再度実行されるステップS4の処理により、加工箇所K5〜K8について移動量Kが求められる。
次いでステップS6の処理により、図17(d)の計算テーブルにおいて移動量Kが最少の加工箇所K6が判定され、4回目の送り量(図4(b)で番号S4の必要送り量)がこの加工箇所K6の移動量(即ち20mm)となり、またこの加工箇所K6が4回目の加工箇所(図4(b)で加工番号W4の加工箇所)となり、さらに製品データに登録されたこの加工箇所K6に対応する加工型C1が4回目に作動させる加工型となる。
次に、図18(e)の計算テーブルに示すように、ステップS8〜S12と、ステップS14の分岐処理により再度実行されるステップS4の処理により、加工箇所K5,K7〜K9について移動量Kが求められる。
次いでステップS6の処理により、図18(e)の計算テーブルにおいて移動量Kが最少の加工箇所K5及びK7が判定され、5回目の送り量(図4(b)で番号S5の必要送り量)がこの加工箇所K5又はK7の移動量(即ち120mm)となり、またこの加工箇所K5及びK7が5回目の加工箇所(図4(b)で加工番号W5の加工箇所)となり、さらに製品データに登録されたこれらの加工箇所K5及びK7に対応する加工型C3及びC2が5回目に作動させる加工型となる。
次に、図18(f)の計算テーブルに示すように、ステップS8〜S12と、ステップS14の分岐処理により再度実行されるステップS4の処理により、加工箇所K8〜K11について移動量Kが求められる。
次いでステップS6の処理により、図18(f)の計算テーブルにおいて移動量Kが最少の加工箇所K8が判定され、6回目の送り量(図4(b)で番号S6の必要送り量)がこの加工箇所K8の移動量(即ち50mm)となり、またこの加工箇所K8が6回目の加工箇所(図4(b)で加工番号W6の加工箇所)となり、さらに製品データに登録されたこの加工箇所K8に対応する加工型C2が6回目に作動させる加工型となる。
次に、図18(g)の計算テーブルに示すように、ステップS8〜S12と、ステップS14の分岐処理により再度実行されるステップS4の処理により、加工箇所K9〜K12について移動量Kが求められる。
次いでステップS6の処理により、図18(g)の計算テーブルにおいて移動量Kが最少の加工箇所K10が判定され、7回目の送り量(図4(b)で番号S7の必要送り量)がこの加工箇所K10の移動量(即ち70mm)となり、またこの加工箇所K10が7回目の加工箇所(図4(b)で加工番号W7の加工箇所)となり、さらに製品データに登録されたこの加工箇所K10に対応する加工型C2が7回目に作動させる加工型となる。
次に、図18(h)の計算テーブルに示すように、ステップS8〜S12と、ステップS14の分岐処理により再度実行されるステップS4の処理により、加工箇所K9,K11〜K13について移動量Kが求められる。
次いでステップS6の処理により、図18(h)の計算テーブルにおいて移動量Kが最少の加工箇所K11が判定され、8回目の送り量(図4(b)で番号S8の必要送り量)がこの加工箇所K11の移動量(即ち50mm)となり、またこの加工箇所K11が8回目の加工箇所(図4(b)で加工番号W8の加工箇所)となり、さらに製品データに登録されたこの加工箇所K11に対応する加工型C2が8回目に作動させる加工型となる。
次に、図19(i)の計算テーブルに示すように、ステップS8〜S12と、ステップS14の分岐処理により再度実行されるステップS4の処理により、加工箇所K9,K12,K13について移動量Kが求められる。
次いでステップS6の処理により、図19(i)の計算テーブルにおいて移動量Kが最少の加工箇所K9及びK12が判定され、9回目の送り量(図4(b)で番号S9の必要送り量)がこれらの加工箇所K9又はK12の移動量(即ち20mm)となり、またこれらの加工箇所K9及びK12が9回目の加工箇所(図4(b)で加工番号W9の加工箇所)となり、さらに製品データに登録されたこれらの加工箇所K9及びK12に対応する加工型C3及びC1が9回目に作動させる加工型となる。
次に、図19(j)の計算テーブルに示すように、ステップS8〜S12と、ステップS14の分岐処理により再度実行されるステップS4の処理により、加工箇所K13について移動量Kが求められる。
次いでステップS6の処理により、図19(j)の計算テーブルにおいて移動量Kが最少の加工箇所K13が判定され、10回目の送り量(図4(b)で番号S10の必要送り量)がこの加工箇所K13の移動量(即ち190mm)となり、またこの加工箇所K13が10回目の加工箇所(図4(b)で加工番号W10の加工箇所)となり、さらに製品データに登録されたこの加工箇所K13に対応する加工型C3が10回目に作動させる加工型となる。
そして、次のステップS14では、全ての加工箇所が処理されたので、この処理(運転データ作成処理)を終了し、例えばプログラムのメインルーチンにリターンする。
こうして、前述のステップS4〜S12の処理が、未処理加工箇所がなくなるまで繰返されて、基準位置が順次変更されつつ送り量が相対的に最も小さい加工箇所が順次選出されることにより、図4(b)に示すような洩れのない運転データが作成される。
なお、図4(b)のように作成された運転データは、既述したように、ハードディスク装置107等に保存可能であり、例えば図8(b)の如く画面に表示させて、オペレータが確認可能である。また、この運転データは、シーケンサ110に送信可能であり、シーケンサ110による連続運転制御(実際にプレス加工を行うための前述したサーボモータ120や各エアシリンダの制御)に使われる。なお、この連続運転制御の内容については、本願では説明を省略する。連続運転制御の内容は、例えば特許文献1(特開平9−201632号公報)に記載された内容と同じ構成でよい。上記運転データに基づいて連続運転制御を行えば、必要な全ての送り動作及び加工作業が自動的にしかも洩れなく効率的に実行され、しかもこの連続運転の途中では端材がでることはない。
(c)製品描画機能
次に、コンピュータ100(本発明の制御手段)の描画機能の一つである製品描画機能について説明する。図15は、この製品描画機能のための処理内容の概略を示すフローチャートである。製品描画機能は、製品の最終加工結果が視認可能な製品画像を描画してディスプレイ106(表示手段)に表示する機能である。
図15に示すルーチンは、例えば、図7(b)に示す画面(製品詳細画面)が表示されている状態において、周期的に繰り返し開始されるように、プログラムの例えばメインルーチンが構成されている。この処理が開始されると、ステップS51で、製品描画指令がオペレータによって入力されたか判定し、入力されたならステップS52に進み、入力されていない場合には、この処理を終了してリターンする。ここで、製品描画指令は、例えば図7(b)に示す製品詳細画面において、最下部に表示されたファンクションキーボタンF1〜F8のうちの特定のボタンを、例えばマウス104を使ってオペレータがクリックする操作である。
この製品描画指令の操作が行われ、ステップS52に進むと、例えば図9に示すような製品描画画面が表示される処理が行われ、その後ステップS53に進む。この図9に示す製品描画画面は、図7(b)の製品詳細画面において製品データが入力された製品P1についてのものである。この製品描画画面の左側には、製品P1の最終加工結果が視認可能な製品画像が表示される。この場合の製品画像は、材料であるコイル材2に対して、各加工箇所K1〜K5に対応する加工型による加工形状を表す加工図形D1〜D5が所定の加工位置に表示されたものとなっている。ここで、この製品画像(図9)におけるコイル材2の画像は、型ユニットの属性としての使用材料の幅に相当する幅寸法に描画されており、材料の質感を視認できるような色又は模様等が付けられていてもよい(後述する加工状況画像でも同様)。なお、製品描画画面における製品画像は、このような態様(上記加工図形を表示したもの)に限られず、例えば図4(a)に示すような実際の製品P1の形状を描画したものであってもよい。また、図9における加工図形D1、D5は、切断型(加工型C3)の厚さ寸法が0(ゼロ)の場合、材料送り方向の幅寸法が実際は0となり、実際には線状の図形となる。但し、図9では、図の見やすさを考慮して、加工図形D1、D5を材料送り方向に一定の幅を持つ図形(切断型の厚さ寸法が0でない場合の図形)として描いている(後述する図11〜14でも同様である)。
また、図9に示す製品描画画面の右側には、各種のボタン類や表示部が表示され、オペレータがこの製品描画画面について各種の操作を行うことが可能となっている。例えば、「画像調整」と表示されたボタンをクリックすると、製品全体が表示されるように描画比率と描画中心を調整して製品画像を描画する。「再描画」をクリックすると、後述の選択矢印A1等を消去して現在の設定で再描画する。「金型編集」をクリックすると、加工型の形状や加工位置の情報を入力するための型図形編集画面を開く。「縮小」をクリックすると、描画比率を小さくして再描画する。「拡大」をクリックすると、描画比率を大きくして再描画する。「左」をクリックすると、描画中心座標を変更して、製品を左にずらして再描画する。「右」をクリックすると、描画中心座標を変更して、製品を右にずらして再描画する。「製品」をクリックすると、このボタンの下方に製品情報(製品名や製品番号などの情報)を表示する。「金型」をクリックすると、このボタンの下方に型ユニット情報(型ユニットの名称等)を表示する。「表示」をクリックすると、このボタンの下方に表示設定の情報を表示するようになっている。
なお図9は、「表示」がクリックされ、「製品」と表示されたボタン等の下方(画面右下)に、表示設定の情報が表示された状態を図示している。表示設定の情報が表示された状態では、図9に示すように、「色切替」、「矢印」、「形状」のチェックボックスが表示される。そして、「色切替」にチェックを入れると、選択された加工型の加工図形を選択金型色で表示し、その他の加工型の加工図形を加工位置標準色で表示する。選択金型色と加工位置標準色は、図9の画面の右下にあるコンボボックスにおいて多数の色の中から選択して設定できる。また、「矢印」にチェックを入れると、加工位置に選択矢印(例えば図9に符号A1,A2で示すもの)を表示可能にする。また、「形状」にチェックを入れると、加工位置に加工図形を表示可能にする。これら「矢印」、「形状」にチェックが入っていないと、選択矢印も加工図形も表示されない。なお図9は、これら「矢印」、「形状」にチェックが入っている場合を例示している。
また、図9の製品描画画面における左側の製品画像において、何れかの加工図形が選択される加工図形選択が為されると、その加工位置の加工図形が選択金型色で表示され、その加工位置に前述した選択矢印が表示される。この加工図形選択は、例えば、何れかの加工位置(何れかの加工図形が表示された位置)にマウス104のカーソルを近づけて、キーボード105の「ALT」キーを押しながらマウス104をクリックする操作によって可能となる。例えば図9は、上記操作で最初に加工図形D2(加工箇所K2、加工型C1)を選択して選択矢印A1が表示され、次いで加工図形D4(加工箇所K4、加工型C2)を選択して選択矢印A2が表示された場合を図示している。なお図9で、四角形の中に(1)がある図形と、四角形の中に(2)がある図形は、この選択の順番を示している。
次に、図15に戻って、ステップS53では、上述した加工図形選択の操作が為されたか否か判定される。そして、加工図形選択の操作が為されている場合には、ステップS54に進み、されていない場合にはステップS57に進む。ステップS54では、選択された加工図形に対応する加工の属性を表示する制御処理が実行される。即ち、例えば図9の画面で、加工形状D2がまず選択された時には、図9の画面の右上の加工位置1の右側に、選択された加工図形D2(加工箇所K2)に対応する加工番号W1と加工型名称C1とその加工座標「30.00」(送り方向における原点位置からの距離、図4(a)のL1の値)が表示される。その後、図9の画面で、次に加工図形D4が選択された時には、加工位置1の右側に表示されていたデータが加工位置2の右側に移動するように表示が変更され、その代りに加工位置1の右側には、選択された加工図形D4(加工箇所K4)に対応する加工番号W3と加工型名称C2とその加工座標「150.00」(送り方向における原点位置からの距離、図4(a)のL1+L2+L3の値)が表示される。なお、加工図形選択によって表示される加工の属性のデータとしては、その他のデータも表示されてもよい。例えば、製品中心位置を基準とした加工位置の座標値などが、この加工の属性として表示されてもよい。
次に、ステップS54を経るとステップS55に進み、加工図形が複数選択されているか否か判定され、複数選択されていればステップS56に進み、複数選択されていなければステップS57に進む。そして、ステップS56では、選択された加工位置のうちの最新の二つの加工位置間の距離を計算して表示する。例えば図9の場合には、加工図形D2(加工箇所K2)と加工図形D4(加工箇所K4)の中心間距離である「120.00」(=150.00−30.00)が、図9の画面の比較的右上の位置(「加工位置間距離」という表示の右側)に表示されている。
次に、ステップS57では、その他の処理、即ち、前述した「画像調整」、「再描画」、「金型編集」、「縮小」、「拡大」、「左」、「右」、「製品」、「金型」、「表示」などのボタン操作に応じた動作を実現するための処理などを行う。そして、ステップS57を経ると、ステップS58に進み、この製品描画画面の終了を指令する操作(例えば、この製品描画画面を閉じるボタン(図示省略)に対するクリック操作)があったか否か判定し、この操作があればステップS59でこの製品描画画面を閉じる処理をしてリターンする。ステップS58で、前記操作が無ければステップS53に戻って処理を繰り返す。
このように本搬送装置では、例えば図15に示す処理によって、例えば図9に示すような製品描画画面が表示される製品描画機能が実現される。そして、この製品描画機能によってオペレータは、製品の最終加工結果を視覚によって容易かつリアルに確認することができ、各加工位置の確認、加工間距離の確認、各加工位置に対する加工型の種類の確認など、或いは入力したデータの検算などが、容易かつ確実に行える。
(d)加工状況描画機能
次に、コンピュータ100の加工状況描画機能について説明する。
図16は、この加工状況描画機能のための処理内容の概略を示すフローチャートである。加工状況描画機能は、前記運転データに基づく製品の加工開始から加工終了までの加工状況が視認可能な加工状況画像を描画してディスプレイ106(表示手段)に表示する機能である。
図16に示すルーチンは、例えば、図8(a)に示す画面(スケジュール運転画面)が表示されている状態において、周期的に繰り返し開始されるように、プログラムの例えばメインルーチンが構成されている。この処理が開始されると、ステップS61で、加工状況描画指令がオペレータによって入力されたか判定し、入力されたならステップS62に進み、入力されていない場合には、この処理を終了してリターンする。
ここで、加工状況描画機能には、オペレータの更新指令操作が行われる度に加工状況画像の更新を行う逐次表示モードと、オペレータの更新指令操作が行われなくても、プレス装置の規定の運転速度(例えば、主モータ19が標準的な一定の回転速度で作動した場合の運転速度)に対応した周期で加工状況画像の更新を自動的に行う連続表示モードと、が設けられている。また、加工状況描画指令は、例えば図8(a)に示す製品詳細画面において、「ライン動作」というボタンか、「STEP」というボタンを、例えばマウス104を使ってオペレータがクリックする操作である。この場合、「STEP」というボタンは、その左側にあるチェックボックスにチェックを入れた状態でのみ有効となる。そして、「ライン動作」というボタンを操作すると連続表示モードになり、「STEP」というボタンを操作すると逐次表示モードになる。
この製品描画指令の操作が行われ、ステップS62に進むと、図8(a)の画面で表示されているスケジュール名称に対応する運転データを生成するために、前述の運転データ作成処理を実行し、次のステップS63に進む。なお、この運転データが既に作成されている場合には、ステップS62では何も実行せずにステップS63に進む。ステップS63では、例えば図10に示すような加工状況描画画面が表示される処理が行われ、その後ステップS64に進む。なお、ステップS63の時点では、後述するような加工状況画像はまだ表示されない。但し、未加工の材料(コイル材2)を、最初の送り動作の実行前の位置に描画した画像を表示してもよい。
この図10に示す加工状況描画画面は、図8(a)のスケジュール運転画面において生産スケジュールデータが入力された図4(a)に示すワーク(製品P1を2個生産し、続いて製品P2を1個生産する作業)についてのものである。この加工状況描画画面の左側には、作成された運転データ(図4(b))に基づく製品の加工開始から加工終了までの加工状況が視認可能な加工状況画像が表示される。図10に示す加工状況画像は、1回目のサイクル(加工番号W1)での加工結果の状況を表示しており、1回目に作動する加工型C1による加工図形D2のみが表示された状態を図示している。この1回目の加工状況画像は、図4(b)の運転データから分かるように、30mm材料を送って加工型C1を作動させ、加工箇所K2を加工する動作(加工番号W1)を行った結果を表している。
なお、図10〜14における符号C1、C2、C3と一点鎖線は、説明の便宜上、各加工型C1、C2、C3の位置を示したものである。このような各加工型の位置の表示は、実際に行われてもよいが、行われなくてもよい。また、図10〜14における符号W1、W2…と白抜き矢印は、説明の便宜上、そのサイクルで実行された加工箇所を示したものである。このような加工箇所の位置の表示は、実際に行われてもよいが、行われなくてもよい。また、図10〜14においては、コイル材2の送り動作の状況が分かり易くなるように、コイル材2の先端を表示しているが、このようなコイル材2の先端の表示は、実際に行われてもよいが、行われなくてもよい。また、図10では、材料(この場合、コイル材2)の送り方向が左から右となっているが、これとは逆であってもよい。また、この加工状況描画画面における加工状況画像は、このような態様(加工型による加工形状である加工図形を表示したもの)に限られず、例えば図4(a)に示すような実際の製品P1等の形状を描画したものであってもよい。
また、図10に示す加工状況描画画面の右側には、製品描画画面(図9)と同様に、各種のボタン類や表示部が表示され、オペレータがこの製品描画画面について各種の操作を行うことが可能となっている。特にこの場合、「色切替」にチェックを入れると、各サイクルで実行された加工箇所の加工図形の色を、他の加工図形と異なる色(例えば、選択金型色)で表示する。また、図10の加工状況描画画面における左側の加工状況画像において、何れかの加工図形が選択される加工図形選択が為されると、製品描画画面の場合と同様に、その加工の属性や、加工間距離が表示される。
次に、図16に戻って、ステップS64では、加工状況描画指令によって逐次表示モードが指令されたか否か判定し、逐次表示モードならばステップS65に進み、そうでないなら(即ち、連続表示モードが指令されたならば)ステップS66に進む。そして、ステップS65では、最初の加工状況画像、即ち、例えば1回目のサイクル(加工番号W1)での加工結果の状況を描画した加工状況画像(例えば、図10に示すもの)を加工状況描画画面の左側に表示する。但し、最初の加工状況画像を表示する場合でないとき、即ち、ステップS70からステップS64を経てこのステップS65に進んだ際には、その時点で表示している加工状況画像の表示を維持する。
次にステップS67では、逐次表示モードにおいてオペレータの更新指令操作が為されたか否か判定される。オペレータの更新指令操作は、どのようなものでもよいが、例えば、図10に示すような加工状況描画画面における左側の領域(加工状況画像が表示される領域)の中にマウス104のカーソルを移動させた状態でマウス104をクリックする操作である。この更新指令操作があればステップS68に進み、この更新指令操作が無ければステップS69に進む。そしてステップS68では、加工状況画像を次のサイクルのものに更新する。
即ち、更新前が1回目のサイクル(加工番号W1)であれば、2回目のサイクル(加工番号W2)での加工結果の状況を描画した加工状況画像(例えば図11に示す)に切り替えて表示する。この加工状況画像(図11)は、1回目に作動した加工型C1による加工図形D2に加え、2回目に作動した加工型C2、C3による加工図形D1、D3が表示された状態を図示している。この2回目の加工状況画像は、図4(b)の運転データから分かるように、1回目のサイクル後に120mm材料を送って加工型C2、C3を作動させ、加工箇所K1、K3を加工する動作(加工番号W2)を行った結果を表している。
また、ステップS68では、更新前が2回目のサイクルであれば、3回目のサイクル(加工番号W3)での加工結果の状況を描画した加工状況画像(例えば図12に示す)に切り替えて表示する。また、更新前が3回目のサイクルであれば、4回目のサイクル(加工番号W4)での加工結果の状況を描画した加工状況画像(例えば図13に示す)に切り替えて表示する。また、更新前が4回目のサイクルであれば、5回目のサイクル(加工番号W5)での加工結果の状況を描画した加工状況画像(例えば図14に示す)に切り替えて表示する。このようにステップS68では、最後のサイクル(この場合、加工番号W10)になるまで、順次、加工状況画像を次のサイクルのものに切り替えて表示する。なお、次のサイクルに進む毎に、表示されていた加工図形の位置や材料の先端の位置は、各サイクルで実行される必要送り量分だけ、材料送り方向に位置を移動して描画され、これによって必要送り量の材料の送りが実行されたことが視覚的に表現される。
一方、連続表示モードが前述の操作によって指令され、ステップS64からステップS66に進んだ場合には、連続表示モードによる加工状況描画機能が実行される。即ち、例えば、上述した逐次表示モードで順次表示される加工状況画像が、自動的に所定周期で更新され、動画のように加工状況が連続的に表示される。図4(b)の運転データの場合には、加工番号W1〜W10までの各加工状況を表す各加工状況画像が所定周期で最後まで順次自動的に表示される。ここで、この逐次表示モードで順次表示される加工状況画像の表示が動画とすれば、図10〜12に例示した各加工状況画像は、この動画の1コマ1コマである。なお、以上説明した加工状況描画機能は一例であり、例えば、さらに細かく加工状況画像の1コマ1コマを更新するようにしてもよい。即ち、材料の送り動作の途中を描画して加工状況画像の1コマとして表示するようにしてもよい。また、ステップS70からステップS64を経てこのステップS66に進んだ際には、上述した連続表示モードによる加工状況画像の表示を自動的に繰り返し実行してもよいが、オペレータによる再実行を指令するなんらかの操作(例えば、図10における「再描画」ボタンのクリック操作)を必要条件として、上述した連続表示モードによる加工状況画像の表示を再実行する構成としてもよい。
次に、ステップS68又はS66を経るとステップS69に進む。ステップS69では、その他の処理を行い、その後ステップS70に進む。その他の処理としては、前述した「画像調整」、「再描画」、「金型編集」、「縮小」、「拡大」、「左」、「右」、「製品」、「金型」、「表示」などのボタン操作に応じた動作を実現するための処理などに加え、選択された加工の属性を表示するための処理や、選択された加工間距離を表示するための処理が実行される。そして、ステップS70では、この加工状況描画画面の終了を指令する操作(例えば、この加工状況描画画面を閉じるボタン(図示省略)に対するクリック操作)があったか否か判定し、この操作があればステップS71でこの加工状況描画画面を閉じる処理をしてリターンする。ステップS70で、前記操作が無ければステップS64に戻って処理を繰り返す。
このように本搬送装置では、例えば図16に示す処理によって、例えば図10〜14に示すような加工状況描画画面が表示される加工状況描画機能が実現される。そして、この加工状況描画機能によってオペレータは、製品の加工開始から加工終了までの加工状況(少なくとも、各サイクル毎の加工結果)を視覚によって容易かつリアルに確認することができ、少なくとも各サイクル毎に、各加工位置の確認、加工間距離の確認、各加工位置に対する加工型の種類の確認など、或いは入力したデータの検算などが、容易かつ確実に行える。
以上説明したように、本例の材料搬送装置は、少なくとも製品の加工結果が視認可能な画像を描画して表示手段に表示する描画機能(製品描画機能と加工状況描画機能)を有する。この描画機能を利用すれば、実加工前に、加工後の製品形状等を明確にイメージしつつ、実際の機械動作を視覚的に確認及び検証できる。つまり、実際の機械を動かすことなく、ディスプレイに表示された画像により材料の搬送と作動する型状況をビジュアルに確認できる。このため、例えばデータ入力のミスが有った場合、これを実機械での試し加工の前に、この描画機能によって予め発見して修正できる可能性が格段に高まる。その結果、入力データの信頼性は向上し、また実機械での試し加工の負荷を大幅に低減することができる。即ち、上記描画機能によって入力データに誤りがないことは事前に信頼性高く確認でき、誤りがあれば事前に修正できる。このため、例えば、実機械での試し加工においてトラブルが発生した場合、そのトラブルの原因をテータ入力ミス以外に絞って対処でき、試し加工の時間短縮が図れる。
また本例では、加工状況描画機能において、逐次表示モードと連続表示モードのうち、何れかを選択可能であるため、確認及び検証の作業が多面的かつ効率的に行える。例えば、製品の複雑な部分(データ入力のミスがおきやすい部分)の加工を逐次表示モードで細かく時間をかけて確認し、残りを連続表示モードで短時間に確認する。或いは、各加工を逐次表示モードで細かく時間をかけて確認した後、連続表示モードで全体をもう一度最終確認する。といったように、確認及び検証の作業を多面的かつ効率的に行える。
また本例では、加工図形を選択する操作をすると、選択された加工の属性が表示されるため、各加工の属性を容易に確認できる。また本例では、複数の加工図形を選択する操作をすると、選択された加工間距離(即ち、加工ピッチ)が表示されるため、加工間距離が容易に確認できる。
なお、本発明は上述した実施例に限られず、各種の変形や応用があり得る。
例えば、プレス装置は、加工型を作動させ加工対象物に打ち抜きや切断、エンボス加工など塑性加工を与える装置の総称であり、加圧の方式は問わない。即ち、プレス装置の加圧の方式は、前述した実施例の態様に限定されるものではない。また、加工材料はコイル材や長尺材などの形状で、材質や材料の加工前の形態は問わない。また、材料の搬送は、前記実施例のように複数のロールで挟みロールの回転を使う方法以外にも、加工材料をクランプ把持して搬送する方法がある。
また、前記実施例1では、設定された生産スケジュールデータに基づく全ての目標加工位置について運転データを計算し(図6のステップS14参照)、この全ての運転データの計算を行った後に、プレス機械の運転制御、或いは描画機能による描画を行う態様としている。しかし、本発明はこのような態様に限定されない。例えば、図5及び図6に示した処理のうちのステップS2〜S10の処理を、加工完了フラグがセットされていない目標加工位置について、計算開始条件が成立する度に実行する構成として、運転データを1サイクル分毎に計算するようにしてもよい。ここで、運転データの1サイクル分とは、例えば図4(b)に示す運転データの1行分である。また、計算開始条件の成立とは、プレス機械の運転制御において1サイクル分の加工が終了して次のサイクル(即ち、次の加工タイミング)の加工を開始する状態になったこと、又は前述の描画機能において1サイクル分の描画が終了して次のサイクルの描画を開始する状態になったことを意味する。このような態様であると、例えば前述の加工状況描画機能における逐次表示モードでは、オペレータの更新操作が行われると、次のサイクルの分の運転データが計算され、その計算が行われた後に、加工状況画像の更新が行われることになる。また、プレス機械の運転制御においては、一つのサイクルの加工が終了した後、次のサイクルの材料送りや加工が行われる直前に、次のサイクル分の運転データがその都度計算されることになる。このため、プレス機械の運転途中や、前述の描画機能の途中でも、その後の生産スケジュールの変更(即ち、その後に行われる運転や描画についての生産スケジュールデータの変更)が可能となるという効果がある。
また、本発明の入力手段は、前述したようなキーボードやマウスの他、シートキー、タッチパネル、ポインティングデバイスのスタイラスペン等、そしてOCR付きスキャナや音声認識機能付きマイクロフォンなどでもよく、特に限定されない。
また、本発明の表示手段は、CRTや液晶表示器でもよいし、プロジェクタ等視角的に表現可能なものであれば、特に限定されない。即ち、入力または生成したデータの表示やグラフィカルな描画が行える手段であれば、どのような態様でもよい。
また、本発明の記憶手段は、ハードディスクやRAMなどのメモリの他、フラッシュメモリや光磁気ディスクなど、制御手段を構成するコンピュータ等で使用できる媒体であれば、特に限定はされない。
また、前記実施例では、搬送装置の制御処理手段として、コンピュータ100とシーケンサ110とを備える構成を例示したが、このような構成に限定されない。例えば、コンピュータ100とシーケンサ110のうちの一方のみを備え、その一方が、全ての制御処理を行う態様も有り得る。また、前記実施例のようにコンピュータとシーケンサとを備える構成において、本発明の描画機能をシーケンサにおいて行う態様もあり得る。或いは、コンピュータとシーケンサのどちらでも、本発明の描画機能が実行できる態様もあり得る。また、コンピュータ100とシーケンサ110との間の通信は、無線通信でもよい。
また、本発明の制御手段は、図1に示したようなコンピュータ100で構成される態様に限られない。例えば、コンピュータ100の代りに、持ち運び可能なタブレットPCや携帯情報端末を材料搬送装置の付属品として設け、これらタブレットPCや携帯情報端末において各データの入力や運転データの作成、及び前述した描画機能を実行する態様でもよい。この場合、これらタブレットPCや携帯情報端末が、本発明の入力手段、表示手段、及び制御手段を構成する。
また、例えば事務所にあるコンピュータ(例えば図1のコンピュータ100)において、入力された型データや製品データなどのデータ、生成された運転データ、或いは描画機能によって描画された製品画像や加工状況画像などは、プレス装置を運転する上で重要な情報であるので、他の場所(例えば、図3(a)に示すようなプレス機械のある現場)や他のシステムや他のオペレータに提供可能とすることが望ましい。提供の方法としては、まず、プリンタ(例えば図1のプリンタ109)に出力して紙に印刷して提供する方法がある。また、有線通信又は無線通信によってデータを送信する方法や、持ち運び可能な記憶媒体(カード型フラッシュメモリなど)に保存して提供する方法でも当然よい。持ち運び可能なコンピュータやタブレットPCや携帯情報端末などに、これらのデータを転送し、現場等にこれら機器を持って行って各種データや描画された製品画像や加工状況画像などを確認可能としてもよい。
また、加工状況描画機能における連続表示モードでの更新周期(コマ送りの速度)は、例えば複数設定された更新周期からオペレータが選択できるようにしてもよいし、オペレータが任意の更新周期を設定できるようにしてもよい。また、この連続表示モードでの表示の途中でオペレータが特定の操作をすると、加工状況画像の更新を停止するように構成してもよい。或いは、この連続表示モードでの表示の途中でオペレータが特定の操作をすると、加工状況画像の更新を停止し、逐次表示モードに切り替わる構成としてもよい。
また本発明において、加工型は必ずしも金属性であるとは限らない。この意味で、本願では、なるべく「金型」という表記を用いないようにしているが、本願の図面や明細書において「金型」とある場合でも、単に加工型を意味しているに過ぎず、金属製であることを限定しているわけではない。
2 コイル材(材料)
6 下型
7 上型
6a,6b,6c 加工型
7a,7b,7c 加工型
10 昇降ヘッド
100 コンピュータ(運転データ作成手段、制御手段)
103 RAM(型データ記憶手段、製品データ記憶手段、生産スケジュールデータ記 憶手段)
104 マウス(入力手段)
105 キーボード(入力手段)
106 ディスプレイ(表示手段)
107 ハードディスク装置(型データ記憶手段、製品データ記憶手段、生産スケジュ ールデータ記憶手段)
110 シーケンサ
120 サーボモータ
C1,C2,C3 加工型
D1〜D7 加工図形

Claims (5)

  1. 所定の加工タイミングに、材料送り方向に一つ又は複数ある加工型のうち所定の加工型を作動させて、材料をプレス加工するプレス装置において、前記加工型に対して材料を順次所定長さ送り出して送給するプレス装置用の材料搬送装置であって、
    加工型の種類とその配列及び配置ピッチの情報を含み入力手段により入力される型データを記憶する型データ記憶手段と、
    製品の加工ピッチ及びその加工型の情報を含み入力手段により入力される製品データを記憶する製品データ記憶手段と、
    前記型データ及び前記製品データに基づいて、製品の加工結果が視認可能な画像を描画して表示手段に表示する描画機能を有する制御手段と、
    を備えたことを特徴とするプレス装置用の材料搬送装置。
  2. 製品の加工数及び加工順の情報を含み前記入力手段により入力される生産スケジュールデータを記憶する生産スケジュールデータ記憶手段と、
    前記型データ、前記製品データ、及び前記生産スケジュールデータに基づいて、製品端の切断加工を含む各加工箇所の加工順を決定し、この加工順と各加工から次の加工までの必要送り量とからなる運転データを作成する運転データ作成手段と、をさらに備え、
    前記制御手段は、前記描画機能として、前記運転データに基づく製品の加工開始から加工終了までの加工状況が視認可能な加工状況画像を描画して前記表示手段に表示する加工状況描画機能を有することを特徴とする請求項1に記載のプレス装置用の材料搬送装置。
  3. 前記加工状況描画機能は、少なくとも、前記加工タイミングの1回分に対応するプレス加工の1サイクル毎に、前記加工状況画像を更新して表示し、
    前記加工状況描画機能には、オペレータの更新指令操作が行われる度に前記加工状況画像の更新を行う逐次表示モードと、オペレータの更新指令操作が行われなくても、前記プレス装置の規定の運転速度に対応した周期で前記加工状況画像の更新を自動的に行う連続表示モードと、が設けられており、
    オペレータが、前記逐次表示モードと前記連続表示モードの何れかを選択可能であることを特徴とする請求項2に記載のプレス装置用の材料搬送装置。
  4. 前記描画機能では、作動した前記加工型による加工形状を表す加工図形が、画像中の加工位置に相当する位置に表示され、オペレータが、この加工図形のうちの一つ又は複数を選択する操作をすると、選択された加工の属性が前記表示手段で表示されることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のプレス装置用の材料搬送装置。
  5. 前記描画機能では、作動した前記加工型による加工形状を表す加工図形が、画像中の加工位置に相当する位置に表示され、オペレータが、この加工図形のうちの少なくとも二つを選択する操作をすると、選択された加工間距離が前記表示手段で表示されることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載のプレス装置用の材料搬送装置。
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