JP2013023636A - インクジェットプリンタ用インク - Google Patents

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佐々木  洋
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雅彦 荻野
Tomoko Maejima
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Tatsunosuke Suzuki
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Abstract

【課題】濡れ性の高いアルミ缶やガラス瓶等にインクジェットプリンタで印字した場合でも、にじみにくく、且つ長期保管でも析出物を生じにくくする。
【解決手段】着色剤、樹脂、シリコーン系添加剤、導電剤、溶媒を含む帯電制御方式のインクジェットプリンタ用インクにおいて、前記樹脂がスチレンアクリル樹脂とポリビニルブチラール樹脂であり、前記シリコーン系添加剤がジメチルシロキサン鎖とポリアルコキシ基を有する構造であり、前記溶媒がエタノールである。
【選択図】 なし

Description

本発明は、帯電制御式インクジェットプリンタに用いるエタノール溶媒のインクに関する。
帯電制御式インクジェットプリンタのインクは基本組成が、樹脂、着色剤、帯電制御剤、溶媒からなる。これに印字ドットの形状を制御するためのレベリング剤等の添加剤が加えられる。着色剤は、印字の発色のため、帯電制御剤はインク滴が適正なチャージを得るため添加される。また樹脂は着色剤等の部材を印字部分に保持するために添加される。例えば特許文献1ではレベリング剤としてシリコーン系の化合物を用いている。
インクの粘度は20℃で概ね2〜10mPa・s程度に制御され、これより高粘度の場合はインクがプリンタヘッドから吐出しにくくなる。またこれより低粘度の場合は、ヘッドからの液漏れ等が発生する。
溶媒は従来、メチルエチルケトン(MEK)等の溶媒が多く使われてきた。これは多くの樹脂を溶解しやすいことに加えて、蒸気圧が大きいので、印字後の乾燥が早く、印字後すぐ別のものを重ねても印字がかすれにくいという特徴がある。そのため、食品等短時間に多くの製品に印字する場合に好適である。
ドットのサイズは概ね300〜400μmであり、フィルムやPETボトル等の樹脂表面では疎水性が高いため約300〜350μmと小型である。これらに比べて親水性の高いアルミ缶、ガラス瓶表面では約350〜400μmである。
また、MEKは樹脂、着色剤、帯電制御剤、レベリング剤等の添加物と相溶性が高いので、インク調合後の長期貯蔵でも、これら添加物の析出が抑えられる。
特開2002−322398号公報
しかし、MEKは労働安全衛生法の第2種有機溶剤に該当し、規制対象となっているため、印字の際は局所排気設備を設ける等対策が必要である。また被印字物がパンの包装袋、或いはハム、ソーセージ等の包装フィルムの場合、袋やフィルムを通してMEKの蒸気が食品に触れる可能性もあるので、できればMEKよりも低毒性の溶媒に代えることが望ましい。
低毒性の溶媒としては水、或いはエタノールが挙げられる。しかし、インクに用いるバインダーが水溶性の場合、水がかかると印字がにじんだり消えてしまう不具合があるので、溶媒としてはエタノールが好ましい。ただ、エタノールの場合も、溶解するバインダーが少なく、また、蒸気圧が小さいので印字が乾燥しにくい。そのため、印字後すぐに他の物質が触れたりすると、印字がかすれる等の問題が発生する。また、ドットが広がり、近接するドット同士が融合し、結果として細かい文字がにじむという問題が生じる。PETボトルや、食品包装用のフィルム等の樹脂表面は疎水性が高いためにじみは小さいが、アルミ缶やガラス瓶表面は樹脂に比べて親水性のためにじみやすい。後述の実施例で示すがドットの広がりを抑制するレベリング剤を加えない場合、ドットサイズとしては450μm以上になるため、ドットが近接しているとお互いが会合し、目視では大きなにじみとなるため、視認性が低下する。
このように溶媒がエタノールの場合は蒸気圧が小さいので、ドットの乾燥に時間がかかる、或いはにじみやすいといった課題があり、これらを克服しなければエタノールを溶媒とするインクの多方面への展開が困難である。
また、エタノールはシリコーン系化合物との相溶性が高くないので、長期貯蔵では樹脂、着色剤、帯電制御剤、レベリング剤等が析出しやすくなるという課題がある。
本発明の目的は、アルミ缶やガラス瓶等に印字した場合でもにじみにくく、且つ長期保管でも析出物を生じにくくすることにある。
上記課題を解決するための本発明は、着色剤、樹脂、シリコーン系添加剤、導電剤、溶媒を含む帯電制御方式のインクジェットプリンタ用インクにおいて、前記樹脂がスチレンアクリル樹脂とポリビニルブチラール樹脂であり、前記シリコーン系添加剤がジメチルシロキサン鎖とポリアルコキシ基を有する構造であり、前記溶媒がエタノールであることを特徴とする。
本発明によれば、アルミ缶やガラス瓶等に印字した場合でもにじみにくく、且つ長期保管でも析出物を生じにくくすることができる。
インクドット表面の模式図である。 インクジェットプリンタのインク吐出、着弾プロセスの模式図である。
以下、図面等を用いて、本発明の実施形態について説明する。
1.インクの構成材料
インクの構成材料は大雑把には、樹脂、染料、溶媒、添加剤からなる。これらをオーバーヘッドスターラ等により攪拌しお互いを相溶させ、インクが形成される。
(1)樹脂
A)混合割合
本発明のインクの樹脂材料は2種類の樹脂の混合物からなる。一つはスチレンアクリル酸樹脂であり、もう一つはポリビニルブチラール樹脂である。
混合物中のポリビニルブチラール樹脂比率は概ね10〜50重量%である。インクがインクジェットプリンタから正常に吐出できる粘度である2.0〜4.0mPa・s(20℃)に入るようポリビニルブチラール樹脂の混合比率を調整する。
これ以外に、用いる樹脂の平均分子量、及びポリビニルブチラール樹脂の水酸基価により調整することでも粘度はある程度は制御可能である。
B)スチレンアクリル酸樹脂
スチレンアクリル酸樹脂はインクに同じ割合添加した場合、平均分子量が低いほど粘度が低くなり、逆に平均分子量が大きいほど粘度が高くなる。そのため平均分子量は用いる装置に合わせて調整する。
また樹脂はエタノールに溶解できるようにし、且つ結露による溶解を防ぐため水に対する溶解性を極僅かとするためには、スチレンユニット数とアクリル酸ユニット数の比率は3:1〜1:3の比率に調整する必要がある。すなわちスチレンユニット数とアクリル酸ユニット数の総和に対するアクリル酸ユニット数の比率は25〜75%に調整が必要ということである。これが25%未満の場合、エタノールへの溶解性が著しく低下し、インク中で樹脂の析出が生じ、これがインクジェットプリンタのノズル詰まりを引き起こす恐れがある。また75%を超えると、水に対する溶解性が著しく増大する。そのため要冷蔵の食品に印字した場合、結露で発生した水によって印字が溶解し、文字の判別が不可能になる恐れが出てくる。
アクリル酸ユニット数の適正値である25〜75%をアクリル酸ユニット中のカルボキシル基の割合で考えた場合を樹脂の酸価で示すと、130〜500のものが好適となる。
C)ポリビニルブチラール樹脂
ポリビニルブチラール樹脂は印字ドットの密着性を向上させるため添加する。ただ、樹脂は最低でも染料より多めに加えなければ、ドットの物理的強度が実用に程遠いほど低くなる。しかしポリビニルブチラール樹脂のみで、染料と同程度添加すると、インクの粘度が高くなりすぎ、インクジェットプリンタでの吐出が困難になる。そこで上記のスチレンアクリル酸樹脂との混合物としている。
ポリビニルブチラール樹脂は分子内にブチラール基、アセチル基、水酸基を有する。このうち、溶媒としてエタノールを用いる場合は水酸基の割合が大きいものが好ましい。これはエタノールに対する溶解性が向上するためである。また、帯電制御式インクジェットプリンタの場合、インクを回収する際に空気中の水分をインク中に取り込みやすい。すると、インク中の水分割合が上昇し、染料、樹脂、添加剤等種々の有機物が析出する恐れがある。しかしブチラール基、アセチル基、水酸基数を合わせたうちの水酸基の割合が高くなると、水に対する溶解性が向上するので、上記のような有機物の析出が抑制できる。
平均分子量は比較的低分子量、具体的には5,000〜20,000程度のものが好適である。これより小さな分子量は合成できないことは無いがロットにより分子量の違いが大きくなる傾向がある。平均分子量が大きくなるとポリビニルブチラール樹脂を用いたインクは粘度が高くなり、また平均分子量の低いポリビニルブチラール樹脂を用いた場合は粘度が小さくなる。そのため合成のロット間での分子量のばらつきが大きくなると、インクの組成をそのつど検討する必要があり、インク製造面での大きなデメリットになる。そこで、ポリビニルブチラール樹脂の分子量は安定したものを用いる必要がある。つまりある程度安定した分子量を得られる5,000以上のものを用いる。
ところで、平均分子量の大きなポリビニルブチラール樹脂を用いるとインクの粘度が上昇するので、それほどインクには添加できなくなる。こうなると、染料やその他の添加剤の保持体でもある樹脂割合が減るのでインクのドットの物理的強度が低下し、印字が擦れ等により脱落する恐れがある。また、インクジェットプリンタのノズルから吐出される際、複数のインク滴が切れずに飛翔する現象が起こりやすくなる。これは、つまり複数のインク滴が結合してインクドットを形成する現象が起こるということである。こうなると、印字がにじんで不鮮明となる。
これは平均分子量の高いポリビニルブチラール樹脂を用いた場合に顕著であり、具体的には平均分子量が20,000を超えるものであった。よってポリビニルブチラール樹脂の平均分子量は20,000以下が望ましい。
ブチラール基、アセチル基の割合が大きくなると、水酸基が大きくなる場合と逆にエタノールに対する溶解性が低下し、水分含有率が大きくなった場合の有機物の析出の課題が顕著になる。そこで、水酸基の割合は20mol%以上に調整する。
ところで、水酸基の割合が大きくなると、インクの粘度が高くなり、インクが吐出しにくくなる傾向がある。水酸基の割合が40mol%以上になると、インクに対して僅か加えただけで粘度が大きく上昇するため、インク製造時の添加ばらつきをなるべく抑制するようにしなければならない。
具体的には水酸基の割合が40mol%以上のポリビニルブチラール樹脂をインクに対して1%程度加えただけで粘度が5mPa・s程度上昇する。そのため、水酸基の割合は適切に制御する必要がある。
具体的には水酸基の割合は20〜36mol%が好ましい。この程度であれば、インク製造時に添加率が多少ばらついても同じ程度の粘度のインクを製造することが可能となる。
なお、ブチラール基、アセチル基の割合が大きくなると、水酸基が大きくなる場合と逆にエタノールに対する溶解性が低下し、水分含有率が大きくなった場合の有機物の析出の課題が顕著になる。
(2)染料
染料はエタノールに溶解する材料であれば特に限定は無い。
具体的には以下の染料が挙げられる。
黒色系染料としては、オイルブラックHBB(C.I.ソルベントブラック3)、バリファストブラック3804(C.I.ソルベントブラック34)、スピリットブラックSB(C.I.ソルベントブラック5)、オレオゾルファストブラックRL(C.I.ソルベントブラック27)、アイゼンゾットブラック8(C.I.ソルベントブラック7)、オラゾールブラックCN(C.I.ソルベントブラック28)等が挙げられる。
赤色系染料としては、オイルレッド5B(C.I.ソルベントレッド27)、バリファストレッド1306(C.I.ソルベントレッド109)、オレオゾルファストレッドBL(C.I.ソルベントレッド132)、アイゼンゾットレッド1(C.I.ソルベントレッド24)、オラゾールレッド3GL(C.I.ソルベントレッド130)、フィラミッドレッドGR(C.I.ソルベントレッド225)等が挙げられる。
黄色系染料としては、オイルイエロー129(C.I.ソルベントイエロー29)、オレオゾルブリリアントイエロー5G(C.I.ソルベントイエロー150)、アイゼンゾットイエロー1(C.I.ソルベントイエロー56)、オラゾールイエロー3R(C.I.ソルベントイエロー25)等が挙げられる。
青色系染料としては、オイルブルー2N(C.I.ソルベントブルー35)、バリファストブルー1605(C.I.ソルベントブルー38)、オレオゾルファストブルーELN(C.I.ソルベントブルー70)、アイゼンゾットブルー1(C.I.ソルベントブルー25)、オラゾールブルーGN(C.I.ソルベントブルー67)等が挙げられる。
(3)溶媒
溶媒はエタノールを用いる。この場合、純粋なエタノールだけでなく工業用エタノールでも可能である。工業用エタノールでもメタノールと2−プロパノールの合計量が5重量%未満になるように制御することにより有機溶剤予防規則対象外として、局所排気設備を不要にする等インクの取り扱いを容易にすることが可能である。
(4)添加剤
A)導電剤
本発明のインクは帯電制御方式のインクジェットプリンタで用いるので、導電性が求められる。そのため、染料に高い導電性を付与できる構造の化合物、具体的には金属塩構造の化合物を選択するか、或いは別途導電剤を添加する。
通常、帯電制御方式のインクジェットプリンタ用インクは溶媒がメチルエチルケトンを用い、導電性の高い染料を用いれば、導電剤は不要である。しかし、溶媒をエタノールにした場合、溶解できる染料であるソルベントブラック23、或いは27、29では十分な導電性が確保できない。そのため本発明のインクでは導電剤を添加する。添加量はインクジェットプリンタとして必要な導電性を確保できるだけ添加する。我々の検討の結果、インクに対して0.1重量%〜0.5重量%程度添加すれば十分であった。添加量が少なすぎると導電性を確保できず、また多すぎると、吸湿性が高まるので、後述するガターにより回収されたインクに水分が多く含まれ、インク中の水に難溶な物質の析出等問題を生じる可能性がある。
導電剤としては、金属の塩構造のものが挙げられる。ただし、溶媒であるエタノールに溶解する必要があり、且つインクジェットプリンタ内部のポンプ、ホース部材を腐食、溶解、膨潤させないものが望まれる。これらを考慮すると、硝酸塩が望ましい。その他、過塩素酸塩、テトラフェニルホウ酸塩もエタノールに対する溶解性が高いので好適である。塩酸の塩はSUS、鉄等の腐食を引き起こす可能性があるので好ましくない。硫酸塩はエタノールに対する溶解性が低い傾向がある。
また金属種は金属塩のエタノールに対する溶解性が高いアルカリ金属、特にリチウム、ナトリウムが望ましい。カリウム、ルビジウム、セシウムの塩はエタノールに対する溶解性が低くなる傾向がある。またアンモニウムイオン、テトラメチルアンモニウムイオンも溶解性が高い傾向があるので好適である。
以上をまとめると、硝酸リチウム、硝酸ナトリウム、硝酸アンモニウム、硝酸テトラメチルアンモニウム、過塩素酸リチウム、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸アンモニウム、過塩素酸テトラメチルアンモニウム、テトラフェニルホウ酸リチウム、テトラフェニルホウ酸ナトリウム、テトラフェニルホウ酸アンモニウム、テトラフェニルホウ酸テトラメチルアンモニウム等が好ましい。
なお、過塩素酸塩はバルクの場合は衝撃により爆発する可能性もある。インクに溶解すれば爆発性は大幅に低減するので、実用上問題になるレベルにはならないが、インク製造時に注意を要する。
B)レベリング剤
レベリング剤はインクのドットを平坦化する、或いはドットが広がらないようにすることにより、平坦で小型のドットを形成するのに効果がある。本発明ではこれら効果をまとめてレベリング性と記述する。
レベリング性の中でも、特にドットの端部が盛り上がる現象(コーヒーステイン現象)、及びドットの中央、及びその近傍が低くなり、下地の色が見える現象(中抜け現象)に効果を発揮する。
本発明ではレベリング剤としてジメチルシロキサン鎖とポリアルコキシ基を有する化合物を用いる。この化合物の一般式(化合物群1〜6)は下記である。
化合物群1はジメチルシロキサン鎖の片末端にポリエトキシ基を有する化合物群、化合物群2はジメチルシロキサン鎖の片末端にポリプロポキシ基を有する化合物群である。
化合物群3はジメチルシロキサン鎖の両末端にポリエトキシ基を有する化合物群、化合物群4はジメチルシロキサン鎖の両末端にポリプロポキシ基を有する化合物群である。
化合物群5はジメチルシロキサン鎖の途中にポリエトキシ基を有する化合物群、化合物群6はジメチルシロキサン鎖の途中にポリプロポキシ基を有する化合物群である。
これらの構造の材料を用いることで僅かな添加量で高いレベリング性能を発揮する。
これらの構造のうち、ジメチルシロキサン鎖がレベリング性を発揮する。またポリアルコキシ基がインクに対する相溶性を向上させる。
インクに対して化合物群1〜6を添加することで上記コーヒーステイン現象、及び中抜け現象を抑制するのに効果を発揮する。
レベリング剤の表面での存在状態について図1を使って説明する。
インクは被印字物1に付着後、溶媒が揮発し、ドット2を形成する。その際レベリング剤はドットの表面、及びその近傍に局在化する。インクに用いる樹脂等との相溶性が低いレベリング剤中のジメチルシロキサン鎖3が表面、及びその近傍に、またインクに用いる樹脂等との相溶性が高いレベリング剤中のポリアルコキシ基4がドット内部に入り込む形となり中抜け現象を抑制すると推定される。
この際、図1の(A)に示すようにポリアルコキシ基が片末端を有する化合物(この構造に該当するのは具体的には化合物群1、2)の例である。ポリアルコキシ基がインクへの固定部位としてインクドットに入り込み、ジメチルシロキサン鎖はドット内部に入り込まず、ドット表面に浮いたような形になり、ドット表面全体に広がりコーヒーステイン現象、及び中抜け現象を抑制すると推定される。
(B)は両末端にポリアルコキシ基を有する化合物(この構造に該当するのは具体的には化合物群3、4)の例で、これはジメチルシロキサン鎖全体が表面を覆うような形でドット表面全体に広がりコーヒーステイン現象、及び中抜け現象を抑制すると推定される。
(C)はジメチルシロキサン鎖の途中にポリエトキシ基を有する化合物(この構造に該当するのは具体的には化合物群5、6)の例で、これはジメチルシロキサン鎖全体が表面を覆うような形で特にドット端部に局在化することでコーヒーステイン現象、及び中抜け現象を抑制すると推定される。
以上のように、レベリング剤は構造によってドット表面での状態が異なるので、種々の構造のレベリング剤を混合することにより適切な効果を発揮させることが可能となる。
ところで、ジメチルシロキサン鎖はエタノールに対して溶解性が低い構造であるため、この部分の分子量が大きい化合物をインクに添加した場合、常温(約20℃)で数日放置すると染料や樹脂が析出する傾向がある。一方ポリアルコキシ基はエタノールに対する溶解性が高い構造であるため、ポリアルコキシ基の分子量が大きいほどエタノール溶媒下での染料や樹脂の析出が抑制できる。
分子量の指標としてジメチルシロキサン鎖中のケイ素の数(これをSとする)、及びポリアルコキシ基中の炭素の数(これをCとする)の比率で考えると、下記の不等式の範囲にすることで染料、樹脂等の析出が抑制できる。
0.3C≦S≦3C
なお、インクへの添加割合が大きくなると、上記不等式の範囲の化合物であっても染料や樹脂等の析出が生じやすくなり、これがインクのノズル詰まりの原因になる問題がある。この問題の発生を抑制するにはレベリング剤の添加率はインクに対して0.02重量%から0.5重量%が好ましい。添加率が0.02重量%未満の場合は、添加率が少なすぎるためと考えられるがレベリング剤添加の効果が認められない。一方、添加率が0.5重量%を超えると1週間程度の放置で染料、樹脂等の析出が認められる。
2.インクジェットプリンタ
上記で説明したインクをインクジェットプリンタに入れて、印字を行い、所望の印字を与えることが可能である。
帯電制御式のインクジェットプリンタのインク吐出、着弾までのプロセスを図2に示す。
ノズル5から吐出したインク滴6は帯電電極7で電荷を付与され、その後、偏向電極8で方向を制御され、被印字物9に着弾する。印字されないインクはガター10から回収され、インクタンク(図2では図示省略)に戻される。
本発明の実施例を以下に示す。
染料としてC.I.ソルベントブラック28を24g、レベリング剤として化合物群1の構造で、xが21、mが14の化合物12を1g、導電剤として硝酸リチウムを2g、工業用エタノール(成分は、エタノール:85.5重量%、1−プロパノール:9.6重量%、2−プロパノール:4.9重量%)437gに溶解する。
これにスチレンアクリル樹脂(平均分子量:8,000、酸価:160)を22.5g、更にポリビニルブチラール樹脂(平均分子量:10,000、水酸基:21mol%)を7.5g加え、良く攪拌し、溶解させる。こうして本発明のインクを調製する。
このインクを図2のプロセスを有する帯電制御方式のインクジェットプリンタのインクタンクに充填し、印字を試みた。基板はアルミ板である。
その結果、印字のドットサイズは390μmであった。
レベリング剤として化合物12の代わりに表1に示す化合物11、13〜15、21〜25、31〜33、41〜45、51〜55、61〜63のいずれかを1g用いる以外は実施例1と同様にしてそれぞれインクを調製する。
このインクを実施例1と同様の方法でアルミ基板に印字したところ、印字のドットサイズは表1に示す通りであった。
レベリング剤分子中のジメチルシロキサン鎖中のケイ素数(S)、及びポリアルコキシ基中の炭素数(C)の比率で考えると以下のようになる。
インクのドットサイズは用いたレベリング剤のS/Cが0.3未満の場合(化合物11、21、41、51の場合)は430〜440μmと大きく、そのため、ドット密集部分では隣り合ったドット同士が結合し、にじみを発生させた。しかしS/Cが0.3以上の場合はドットサイズが350〜390μmと小型化したため、密集部分での隣り合ったドット同士の結合もほとんど起こらず、結果としてにじみを抑制することが可能となった。
一方、試作したインクを20℃で1週間放置した後、目のサイズが1μmのフィルターでろ過し、その後フィルターをエタノールで洗浄した。するとほとんどのインクはフィルター上に目視で確認できる異物は残らなかったが、一部のインクではフィルター上に染料、樹脂等の固形物の残渣が残った。これら残渣はエタノールでは溶解しなかった。これらが発生するとインクジェットプリンタのノズル詰まりを生じるので好ましくない。析出物の生じたインクはレベリング剤として化合物15、25、45、55を用いたものであり、これら化合物のジメチルシロキサン鎖中のケイ素数(S)、及びポリアルコキシ基中の炭素数(C)の比率S/Cはいずれも3を超えていた。言い換えればS/Cが3以下のレベリング剤を用いた場合は析出が生じなかった。
以上より、インクドットを適切なサイズまで小型化し、且つ20℃放置での析出物発生を抑制するには、S/Cが0.3以上、且つ3以下、即ち下記不等式を満たす必要のあることがわかった。
0.3C≦S≦3C
〔比較例1〕
用いるスチレンアクリル樹脂の酸価が160ではなく120、或いは130、140の樹脂を用いる以外は実施例1と同様にしてインクを調製した。次にそれぞれのインクをメッシュサイズ100μmのスチール製ふるいを通した。すると酸価が130、140の樹脂を用いたインクはふるいの上に固形分の残渣が見られなかった。しかし、酸価が120の樹脂を用いたインクはふるいの上に樹脂と思われる固形分の残渣が見られた。残渣をエタノールで洗浄し、1H−NMR、及びIR測定を行ったところ、スチレンアクリル酸樹脂であることが判明した。試しにエタノールに酸価が120、或いは130、140の樹脂を溶解しようと試みたところ、酸価が130、140の樹脂は溶解したが、酸価が120の樹脂は溶解しなかった。よってインク調製に用いるスチレンアクリル樹脂の酸価は130以上必要であることが判った。
スチレンアクリル酸樹脂は酸価が大きくなるとエタノールに溶解しやすくなる。これは酸価が大きくなることにより、分子内の親水性のカルボキシル基が増え、極性の高いエタノールに溶解しやすくなるためと考えられる。よって酸価が小さい場合はエタノールに対する溶解性が低くなり、インク内に析出物が生じる。これがノズル詰まり等の不具合を発生させるので、用いるスチレンアクリル樹脂の酸価は130以上必要と言える。
〔比較例2〕
用いるスチレンアクリル樹脂の酸価が160ではなく400、或いは490、530、570の樹脂を用いる以外は実施例1と同様にしてインクを調製した。これらのインクを用いてアルミ板上にドット形成後、アルミ板を20℃の水の中に10分間浸したところ、酸価が530、及び570の樹脂で調製したインクで形成したドットは水に溶解し、印字が残っていなかったが、酸価が400、及び490の樹脂で調製したインクで形成したドットは水には溶解せず残っていた。
樹脂の酸価が大きくなるということは樹脂中の親水性のカルボキシル基の割合が増え、水に対する溶解性が高まることである。アルミ缶は飲料容器として使用されているため冷蔵庫等で冷やされた後、室内に移動すると、表面が結露してしまうため、印字のドットは耐水性が求められる。よって印字ドットの耐水性を確保するためには用いるスチレンアクリル酸樹脂の酸価は500以下にする必要があることがわかった。
比較例1、及び本比較例を考慮すると、用いるスチレンアクリル酸樹脂の酸価は130以上、500以下にする必要があることが明らかになった。
1、9 被印字物
2 ドット
3 ジメチルシロキサン鎖
4 ポリアルコキシ基
5 ノズル
6 インク滴
7 帯電電極
8 偏向電極
10 ガター

Claims (6)

  1. 着色剤、樹脂、シリコーン系添加剤、導電剤、溶媒を含む帯電制御方式のインクジェットプリンタ用インクにおいて、
    前記樹脂がスチレンアクリル樹脂とポリビニルブチラール樹脂であり、
    前記シリコーン系添加剤がジメチルシロキサン鎖とポリアルコキシ基を有する構造であり、
    前記溶媒がエタノールである
    ことを特徴とするインクジェットプリンタ用インク。
  2. 請求項1において、
    前記スチレンアクリル樹脂の酸価が130以上500未満である
    ことを特徴とするインクジェットプリンタ用インク。
  3. 請求項1において、
    前記ポリビニルブチラール樹脂の平均分子量が5,000〜20,000である
    ことを特徴とする帯電制御方式のインクジェットプリンタ用インク。
  4. 請求項1において、
    前記ポリビニルブチラール樹脂の水酸基価が20〜36mol%である
    ことを特徴とするインクジェットプリンタ用インク。
  5. 請求項1において、
    前記導電剤がアルカリ金属の硝酸塩である
    ことを特徴とするインクジェットプリンタ用インク。
  6. 請求項1において、
    前記シリコーン系添加剤がジメチルシロキサン鎖とポリイソプロポキシ基を有する構造である
    ことを特徴とするインクジェットプリンタ用インク。
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