JP2013146952A - インクジェット記録用メンテナンス液、インクジェット記録用インクセット、画像形成方法、及びメンテナンス方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】経時でのpH低下に伴うインク凝集を防止し、且つ配線基板に用いる金属の腐食性及び撥液膜への接液性を改善させたインクジェット記録用メンテナンス液を提供する。
【解決手段】pKa値が6.0〜8.5である分子内にフェニル基を含まない塩基性の含窒素化合物と、下記一般式(I)で表される含窒素へテロ環化合物とを含有し、前記塩基性の含窒素化合物に対する前記含窒素ヘテロ環化合物のモル比が0.02〜2であり、pHが5.0〜9.0であるインクジェット記録用メンテナンス液である。
【選択図】なし
【解決手段】pKa値が6.0〜8.5である分子内にフェニル基を含まない塩基性の含窒素化合物と、下記一般式(I)で表される含窒素へテロ環化合物とを含有し、前記塩基性の含窒素化合物に対する前記含窒素ヘテロ環化合物のモル比が0.02〜2であり、pHが5.0〜9.0であるインクジェット記録用メンテナンス液である。
【選択図】なし
Description
本発明は、インクジェット記録用メンテナンス液、インクジェット記録用インクセット、画像形成方法、及びメンテナンス方法に関する。
インクジェット法を利用した記録方法は、例えばインクジェットヘッドに設けられた多数のノズル孔からインクを液滴状に吐出することにより、多種多様な記録媒体に対して高品位の画像を記録できること等から広く利用されている。
例えば、インクの含有成分の1つである着色剤には顔料が広く用いられており、該顔料は、水等の媒質中に分散されて用いられている。
顔料を含有する顔料インクは、インク中の溶媒成分が蒸発するに伴って増粘しやすく、次第に固化する。顔料インクは、固化してしまうとその後に再溶解し難い。そのため、インクの増粘、固化が進行すると、インクジェットヘッドのノズル先端部等に徐々に堆積し、結果的にノズルの孔を狭めたり目詰まりを来たし、ひいてはインクの吐出方向が曲がったり、あるいは不吐出を引き起こす等の支障を来たす。インクが付着し堆積していくにつれ、ノズルキャップやワイプ部等による性能維持が困難になり、経時での画像形成性は悪化する。
顔料を含有する顔料インクは、インク中の溶媒成分が蒸発するに伴って増粘しやすく、次第に固化する。顔料インクは、固化してしまうとその後に再溶解し難い。そのため、インクの増粘、固化が進行すると、インクジェットヘッドのノズル先端部等に徐々に堆積し、結果的にノズルの孔を狭めたり目詰まりを来たし、ひいてはインクの吐出方向が曲がったり、あるいは不吐出を引き起こす等の支障を来たす。インクが付着し堆積していくにつれ、ノズルキャップやワイプ部等による性能維持が困難になり、経時での画像形成性は悪化する。
さらに、例えば形成画像の擦過耐性や剥がれの防止等のために、インク中にポリマーやワックスなどの高分子成分を含有する組成では、上記のようなインクの固化、堆積がより起こりやすくなる。
このような問題に対して、インクの洗浄を行うための洗浄液(いわゆるメンテナンス液)に関する検討が種々行われている。しかしながら、メンテナンス液の中には、保存中にpHの低下が観察されるものがある。メンテナンス液のpHが低下すると、メンテナンス液の洗浄能の低下をもたらすだけでなく、顔料やポリマー粒子を用いたインクジェットインクと併用した場合、該インクを凝集しやすくする。該インクを用いてインクジェット記録後、吐出ヘッドをpHの低下したメンテナンス液で洗浄すると、インクの凝集を引き起こし洗浄性が顕著に悪化する。
このような問題に対して、インクの洗浄を行うための洗浄液(いわゆるメンテナンス液)に関する検討が種々行われている。しかしながら、メンテナンス液の中には、保存中にpHの低下が観察されるものがある。メンテナンス液のpHが低下すると、メンテナンス液の洗浄能の低下をもたらすだけでなく、顔料やポリマー粒子を用いたインクジェットインクと併用した場合、該インクを凝集しやすくする。該インクを用いてインクジェット記録後、吐出ヘッドをpHの低下したメンテナンス液で洗浄すると、インクの凝集を引き起こし洗浄性が顕著に悪化する。
そのため、メンテナンス液のpHを安定化させるための検討が行われている。具体的な例として、塩基性化合物、有機溶媒及び酸性化合物を含有したpHが6.0〜8.5であるインクジェット記録用メンテナンス液が開示されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、塩基性化合物に酢酸等の酸性化合物を併用することにより、pH安定化効果を示すインクジェット記録用メンテナンス液が得られることが記載されている。
また、塩基性化合物と酸化防止剤とを含有したpHが6〜9であるインクジェット記録用メンテナンス液が開示されている(例えば、特許文献2参照)。特許文献2には、塩基性化合物と酸化防止剤とを含むことにより、pH安定化効果に優れるインクジェット記録用メンテナンス液が得られることが記載されている。
また、塩基性化合物と酸化防止剤とを含有したpHが6〜9であるインクジェット記録用メンテナンス液が開示されている(例えば、特許文献2参照)。特許文献2には、塩基性化合物と酸化防止剤とを含むことにより、pH安定化効果に優れるインクジェット記録用メンテナンス液が得られることが記載されている。
しかしながら、上記特許文献1及び上記特許文献2に記載のインクジェット記録用メンテナンス液を用いた場合には、インクジェット記録装置のヘッドを電気的に制御するための回路が短絡する現象が生じることが明らかになった。これは、インクジェット記録用メンテナンス液を経時させた場合に生じるpHの低下に伴うインク凝集を防止するために添加される塩基性化合物が、長期使用により、インクジェット記録装置のヘッドの中に浸透することにより、金属、特に銅の配線基板の腐食を促進させてしまうために生じたものと考えられる。
また、上記特許文献1及び上記特許文献2に記載のインクジェット記録用メンテナンス液を用いた場合には、インクジェット記録装置のヘッドを保護するためにヘッドに付与された撥液膜の剥れが生じやすいということが明らかになった。
また、上記特許文献1及び上記特許文献2に記載のインクジェット記録用メンテナンス液を用いた場合には、インクジェット記録装置のヘッドを保護するためにヘッドに付与された撥液膜の剥れが生じやすいということが明らかになった。
本発明は、上記状況に鑑みなされたものであり、経時でのpH低下に伴うインク凝集を防止し、且つ金属の腐食性及び吐出ヘッドに配された撥液膜への接液性(撥液性の低下)が改善されたインクジェット記録用メンテナンス液、インクの吐出曲がりや不吐出等の吐出不良を抑えて、所望の画像が安定的に形成されるインクジェット記録用インクセット及び画像形成方法、並びに、インク除去性の高いメンテナンス方法を提供することを目的とし、該目的を達成することを課題とする。
前記課題を達成するための具体的手段は以下の通りである。
<1> pKa値が6.0〜8.5である分子内にフェニル基を含まない塩基性の含窒素化合物と、下記一般式(I)で表される含窒素へテロ環化合物とを含有し、前記塩基性の含窒素化合物に対する前記含窒素ヘテロ環化合物のモル比が0.02〜2であり、pHが5.0〜9.0であるインクジェット記録用メンテナンス液。
<1> pKa値が6.0〜8.5である分子内にフェニル基を含まない塩基性の含窒素化合物と、下記一般式(I)で表される含窒素へテロ環化合物とを含有し、前記塩基性の含窒素化合物に対する前記含窒素ヘテロ環化合物のモル比が0.02〜2であり、pHが5.0〜9.0であるインクジェット記録用メンテナンス液。
(一般式(I)中、Wは含窒素ヘテロ環を表わし、Ra、Rb、Rc及びRdはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、メルカプト基、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基又はアミノ基を表わす。)
<2> さらに、下記一般式(II)又は下記一般式(III)で表される化合物を含有する<1>に記載のインクジェット記録用メンテナンス液。
<2> さらに、下記一般式(II)又は下記一般式(III)で表される化合物を含有する<1>に記載のインクジェット記録用メンテナンス液。
(一般式(II)中、R1は炭素数8〜20の直鎖若しくは分岐のアルキル基、炭素数8〜20の直鎖若しくは分岐のアルケニル基、又はアリール基を表わし、mは1〜5の整数を表わす。)
(一般式(III)中、R2は炭素数10〜20の直鎖若しくは分岐のアルキル基、炭素数10〜20の直鎖若しくは分岐のアルケニル基、アリール基を表わし、mは2〜10の整数、nは1〜9の整数をそれぞれ表わし、かつm>nを満たす。)
<3> さらに、下記一般式(IV)で表される水溶性有機溶媒を含有する<1>又は<2>に記載のインクジェット記録用メンテナンス液。
(一般式(IV)中、R4はエチレン基又はプロピレン基を表し、R3及びR5はそれぞれ独立に水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表し、xは1〜4の整数を表す。)
<4> 顔料、ポリマー粒子及び水を含有するインク組成物と、<1>〜<3>のいずれか1つに記載のインクジェット記録用メンテナンス液とを有するインクジェット記録用インクセット。
<5> さらに、前記インク組成物中の成分を凝集させる凝集成分を含有する処理液を有する<4>に記載のインクジェット記録用インクセット。
<6> <4>又は<5>に記載のインクジェット記録用インクセットが用いられ、
インク組成物をインクジェット記録用ヘッドから吐出することで、インク組成物を記録媒体に付与するインク付与工程と、
前記インクジェット記録用ヘッドに付着したインク組成物をインクジェット記録用メンテナンス液により除去するインク除去工程と、
を有する画像形成方法。
<7> さらに、前記インク組成物中の成分を凝集させる凝集成分を含有する処理液を記録媒体に付与する処理液付与工程を有する<6>に記載の画像形成方法。
<8> インク組成物が付着したインクジェット記録用インク吐出ヘッドに対して、<1>〜<3>のいずれか1つに記載のインクジェット記録用メンテナンス液をインクジェットヘッドに付与し、前記インクジェット記録用ヘッド上のインク組成物を除去するメンテナンス方法。
<5> さらに、前記インク組成物中の成分を凝集させる凝集成分を含有する処理液を有する<4>に記載のインクジェット記録用インクセット。
<6> <4>又は<5>に記載のインクジェット記録用インクセットが用いられ、
インク組成物をインクジェット記録用ヘッドから吐出することで、インク組成物を記録媒体に付与するインク付与工程と、
前記インクジェット記録用ヘッドに付着したインク組成物をインクジェット記録用メンテナンス液により除去するインク除去工程と、
を有する画像形成方法。
<7> さらに、前記インク組成物中の成分を凝集させる凝集成分を含有する処理液を記録媒体に付与する処理液付与工程を有する<6>に記載の画像形成方法。
<8> インク組成物が付着したインクジェット記録用インク吐出ヘッドに対して、<1>〜<3>のいずれか1つに記載のインクジェット記録用メンテナンス液をインクジェットヘッドに付与し、前記インクジェット記録用ヘッド上のインク組成物を除去するメンテナンス方法。
本発明における「メンテナンス」には、インクジェット記録用のインク組成物を吐出するインクジェット記録用ヘッド及びその吐出性能を所期の状態もしくはそれに近い状態に保ち、持続すること(保守)に加え、記録用ヘッドを洗浄(クリーニング)して、より良好な状態に整備、維持することが含まれる。メンテナンス液には、インク組成物を洗浄する洗浄液が含まれる。
本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本明細書においては、例えば、「アルキル基」は特に言及しない場合には、「直鎖、分岐及び環状」のアルキル基を示す。また、本明細書における基(原子団)の表記において、置換及び無置換を記していない表記は置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本明細書においては、例えば、「アルキル基」は特に言及しない場合には、「直鎖、分岐及び環状」のアルキル基を示す。また、本明細書における基(原子団)の表記において、置換及び無置換を記していない表記は置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
本発明によれば、経時でのpH低下に伴うインク凝集を防止し、且つ金属の腐食性及び吐出ヘッドに配された撥液膜への接液性が改善されたインクジェット記録用メンテナンス液が提供される。また、本発明によれば、インクの吐出曲がりや不吐出等の吐出不良を抑えて、所望の画像が安定的に形成されるインクジェット記録用インクセット及び画像形成方法が提供される。さらに、本発明によれば、インク除去性の高いメンテナンス方法が提供される。
以下、本発明のインクジェット記録用メンテナンス液、並びにこれを用いたインクジェット記録用インクセット、画像形成方法及びメンテナンス方法について詳細に説明する。
<インクジェット記録用メンテナンス液>
本発明のインクジェット記録用メンテナンス液は、pHが5.0〜9.0であり、少なくとも、pKa値が6.0〜8.5である分子内にフェニル基を含まない塩基性の含窒素化合物と、後述する一般式(I)で表される含窒素へテロ環化合物とを含有し、前記塩基性の含窒素化合物に対する前記含窒素ヘテロ環化合物のモル比が0.02〜2となるように構成されている。本発明のインクジェット記録用メンテナンス液は、必要に応じて、更に、有機溶剤、保湿剤、及びその他添加剤などを用いて構成することができる。
本発明のインクジェット記録用メンテナンス液は、pHが5.0〜9.0であり、少なくとも、pKa値が6.0〜8.5である分子内にフェニル基を含まない塩基性の含窒素化合物と、後述する一般式(I)で表される含窒素へテロ環化合物とを含有し、前記塩基性の含窒素化合物に対する前記含窒素ヘテロ環化合物のモル比が0.02〜2となるように構成されている。本発明のインクジェット記録用メンテナンス液は、必要に応じて、更に、有機溶剤、保湿剤、及びその他添加剤などを用いて構成することができる。
インクジェット記録用ヘッド(以下、単に「ヘッド」又は「吐出ヘッド」ともいう。)からインクを吐出して画像を形成する場合、その吐出時にミスト状の微粒のインクが発生し、この微粒のインクが吐出ヘッドに付着すると、ヘッド上で乾燥により固形化した粒状の固形物(乾燥インク)を含んで堆積することがある。吐出ヘッドにメンテナンス液を付与する場合、従来のメンテナンス液では、長期の使用により、メンテナンス液がヘッドの中に浸透し、ヘッド内に配置されている金属部材(例えば、電気的に制御するために組み込まれている金属配線を有する配線基板)の腐食を促進させるおそれがある。また、ヘッドを保護するために付与され撥液層を溶解し剥れさせるおそれがある。
本発明においては、pKa値が6.0〜8.5である分子内にフェニル基を含まない塩基性の含窒素化合物と、後述する一般式(I)で表される含窒素へテロ環化合物とを組み合わせ、さらに、前記塩基性の含窒素化合物に対する前記含窒素ヘテロ環化合物のモル比を0.02〜2の範囲にしたことにより、従来のメンテナンス液に比べて、金属の腐食性を防ぎながら、経時でのpHの低下が抑制されるとともに、吐出ヘッドに配された撥液膜への接液性が改善されるものである。
本発明においては、pKa値が6.0〜8.5である分子内にフェニル基を含まない塩基性の含窒素化合物と、後述する一般式(I)で表される含窒素へテロ環化合物とを組み合わせ、さらに、前記塩基性の含窒素化合物に対する前記含窒素ヘテロ環化合物のモル比を0.02〜2の範囲にしたことにより、従来のメンテナンス液に比べて、金属の腐食性を防ぎながら、経時でのpHの低下が抑制されるとともに、吐出ヘッドに配された撥液膜への接液性が改善されるものである。
以下、本発明のインクジェット記録用メンテナンス液(以下、単に「メンテナンス液」ともいう。)を構成する成分等について詳述する。
(フェニル基を含まない塩基性の含窒素化合物)
本発明のインクジェット記録用メンテナンス液は、pKa値が6.0〜8.5である分子内にフェニル基を含まない塩基性の含窒素化合物(以下、単に「塩基性の含窒素化合物」ともいう。)を含有する。そのため、メンテナンス液が保管等で経時した場合に、含有成分の分解などでpHが低下するのを防ぐための緩衝作用を持たせることができる。
前記塩基性の含窒素化合物は、本発明に係るメンテナンス液のpH(pH5.0〜pH9.0、より好ましくはpH6.0〜pH8.5、特に好ましくはpH6.5〜pH8.0)の範囲で有効にpH緩衝能を有する点で、pKa値が6.0〜8.5の範囲とする。pKa値が6.0より小さい場合にはメンテナンス液を特に好ましいpH範囲に安定化させるのに不十分であり、pKa値が8.5より大きい場合には、メンテナンス液を特に好ましいpH範囲に安定化させるのに不十分でありかつ、経時でのpH低下に対し効果が不十分であり、従ってpH緩衝能という観点より好ましくない。
本発明における塩基性の含窒素化合物は、より好ましくはpKa値が6.5〜8.3であり、特に好ましくはpKa値が6.8〜8.0である。
本発明における塩基性の含窒素化合物は、より好ましくはpKa値が6.5〜8.3であり、特に好ましくはpKa値が6.8〜8.0である。
pKa値が6.0〜8.5となる条件を満たす塩基性の含窒素化合物であれば、公知のものを用いることができる。具体的には、ニトロ基又はアミノ基を有する化合物、アミン系化合物、ピロリン環、ピロリジン環、イミダゾール環、イミダゾリン環、イミダゾリジン環、ピラゾール環、ピラゾリン環、ピラゾリジン環、トリアゾール環、テトラゾール環などの5員の複素環化合物、ピラン環、ピリジン環、ピペリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピペラジン環、モルホリン環などの6員の複素環化合物が挙げられる。
前記5員の複素環化合物及び前記6員の複素環化合物は、置換されていても無置換であってもよい。置換されている場合の置換基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、スルホ基、カルボキシル基、水酸基、ホスホン酸基、シアノ基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基などが挙げられる。
前記5員の複素環化合物及び前記6員の複素環化合物は、置換されていても無置換であってもよい。置換されている場合の置換基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、スルホ基、カルボキシル基、水酸基、ホスホン酸基、シアノ基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基などが挙げられる。
前記塩基性の含窒素化合物としては、好ましくはアミン系化合物、イミダゾール環、イミダゾリン環、イミダゾリジン環、ピペラジン環、モルホリン環が挙げられ、より好ましくは、イミダゾール環が挙げられる。
前記塩基性の含窒素化合物の具体例としては以下のものが挙げられる。しかし、これに限定されるものではない。
前記塩基性の含窒素化合物の具体例としては以下のものが挙げられる。しかし、これに限定されるものではない。
・2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−2,2’,2”−ニトリロトリエタノール(pKa:6.5)
・ピペラジン−N,N’−ビス−(2−エタン硫酸)(pKa:6.8)
・イミダゾール(pKa:7.0)
・N’−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N’,2−エタン硫酸(pKa:7.6)
・N−メチルモルホリン(pKa:7.8)
・トリエタノールアミン(pKa:7.8)
・ヒドラジン(pKa:8.11)
・トリスヒドロキシメチルアミノメタン(pKa:8.3)
・ピペラジン−N,N’−ビス−(2−エタン硫酸)(pKa:6.8)
・イミダゾール(pKa:7.0)
・N’−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N’,2−エタン硫酸(pKa:7.6)
・N−メチルモルホリン(pKa:7.8)
・トリエタノールアミン(pKa:7.8)
・ヒドラジン(pKa:8.11)
・トリスヒドロキシメチルアミノメタン(pKa:8.3)
この中で、pH安定化の効果が大きいものとして、ピペラジン−N,N’−ビス−(2−エタン硫酸)、イミダゾール、N’−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N’,2−エタン硫酸、N−メチルモルホリン、トリエタノールアミンが好ましく、イミダゾールがより好ましい。
前記塩基性の含窒素化合物の好ましい添加量は、1mmol/L〜1000mmol/Lであり、より好ましくは5mmol/L〜200mmol/Lであり、さらに好ましくは10mmol/L〜100mmol/Lである。
前記塩基性の含窒素化合物の添加量が少ないとpH緩衝能が十分に維持されず、多過ぎると溶解性及び銅腐食性の観点から好ましくない。
前記塩基性の含窒素化合物の添加量が少ないとpH緩衝能が十分に維持されず、多過ぎると溶解性及び銅腐食性の観点から好ましくない。
(一般式(I)で表される含窒素へテロ環化合物)
本発明のインクジェット記録用メンテナンス液は、下記一般式(I)で表される含窒素へテロ環化合物(以下、単に「含窒素へテロ環化合物」ともいう。)を含有する。
本発明のインクジェット記録用メンテナンス液は、下記一般式(I)で表される含窒素へテロ環化合物(以下、単に「含窒素へテロ環化合物」ともいう。)を含有する。
(一般式(I)中、Wは含窒素ヘテロ環を表わし、Ra、Rb、Rc及びRdはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、メルカプト基、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基又はアミノ基を表わす。)
本発明のインクジェット記録用メンテナンス液は、前記含窒素ヘテロ環化合物を含有するため、ヘッドの配線基板等に用いられる金属の腐食性を改善することができる。さらに、本発明のインクジェット記録用メンテナンス液は、前記塩基性の含窒素化合物と前記含窒素ヘテロ環化合物とを含有するため、ヘッドに付与された撥液膜への接液性を改善することができる。
一般式(I)中、Wは含窒素ヘテロ環を表す。
前記含窒素ヘテロ環としては、金属腐食性及び撥液膜への接液性の観点より、炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子及びセレン原子からなる原子より選択された原子で構成された含窒素ヘテロ環が好ましい。また、同上の観点より、前記含窒素ヘテロ環としては、5員含窒素ヘテロ環又は6員含窒素へテロ環であることが好ましく、5員含窒素へテロ環が特に好ましい。
前記含窒素ヘテロ環としては、金属腐食性及び撥液膜への接液性の観点より、炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子及びセレン原子からなる原子より選択された原子で構成された含窒素ヘテロ環が好ましい。また、同上の観点より、前記含窒素ヘテロ環としては、5員含窒素ヘテロ環又は6員含窒素へテロ環であることが好ましく、5員含窒素へテロ環が特に好ましい。
前記5員又は6員の含窒素ヘテロ環としては、例えばテトラゾール環、トリアゾール環、イミダゾール環、チアジアゾール環、オキサジアゾール環、セレナジアゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ベンズオキサゾール環、ベンズチアゾール環、ベンズイミダゾール環、ピリミジン環、トリアザインデン環、テトラアザインデン環、ペンタアザインデン環等が挙げられる。
また、前記5員又は6員の含窒素ヘテロ環は、さらに炭素芳香環又は複素芳香環とともに縮合し、縮合環を形成してもよい。
また、前記5員又は6員の含窒素ヘテロ環は、さらに炭素芳香環又は複素芳香環とともに縮合し、縮合環を形成してもよい。
前記5員又は6員の含窒素ヘテロ環は、置換されていても無置換であってもよい。置換されている場合の置換基としては、例えばニトロ基、ハロゲン原子(例えば塩素原子、臭素原子)、メルカプト基、シアノ基、それぞれ置換もしくは無置換のアルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、t−ブチル、シアノエチルの各基)、アリール基(例えばフェニル、4−メタンスルホンアミドフェニル、4−メチルフェニル、3,4−ジクロルフェニル、ナフチルの各基)、アルケニル基(例えばアリル基)、アラルキル基(例えばベンジル、4−メチルベンジル、フェネチルの各基)、スルホニル基(例えばメタンスルホニル、エタンスルホニル、p−トルエンスルホニルの各基)、カルバモイル基(例えば無置換カルバモイル、メチルカルバモイル、フェニルカルバモイルの各基)、スルファモイル基(例えば無置換スルファモイル、メチルスルファモイル、フェニルスルファモイルの各基)、
カルボンアミド基(例えばアセトアミド、ベンズアミドの各基)、スルホンアミド基(例えばメタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、p−トルエンスルホンアミドの各基)、アシルオキシ基(例えばアセチルオキシ、ベンゾイルオキシの各基)、スルホニルオキシ基(例えばメタンスルホニルオキシ)、ウレイド基(例えば無置換ウレイド、メチルウレイド、エチルウレイド、フェニルウレイドの各基)、アミノ基、アシル基(例えばアセチル、ベンゾイルの各基)、オキシカルボニル基(例えばメチキシカルボニル、フェノキシカルボニルの各基)、オキシカルボニルアミノ基(例えばメトキシカルボニルアミノ、フェノキシカルボニルアミノ、2−エチルヘキシルオキシカルボニルアミノの各基)、ヒドロキシル基などが挙げられる。なお、前記ヘテロ環を構成する前記原子は、それぞれが同一又は異なる置換基で置換されていてもよく、無置換であってもよい。
一般式(I)中、Ra、Rb、Rc及びRdはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、メルカプト基、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基又はアミノ基を表わし、好ましくは水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、ハロゲン原子を表わす。
金属腐食性及び撥液膜への接液性の観点より、Ra、Rb、Rc及びRdが、いずれも水素原子を表すことが特に好ましい。
なお、前記Ra、前記Rb、前記Rc又は前記Rdがアルキル基を示す場合、該アルキル基、置換されていてもよく無置換でもよい。置換されている場合の置換基としては、前記5員又は6員の含窒素ヘテロ環において説明した置換基と同様の置換基が挙げられる。
金属腐食性及び撥液膜への接液性の観点より、Ra、Rb、Rc及びRdが、いずれも水素原子を表すことが特に好ましい。
なお、前記Ra、前記Rb、前記Rc又は前記Rdがアルキル基を示す場合、該アルキル基、置換されていてもよく無置換でもよい。置換されている場合の置換基としては、前記5員又は6員の含窒素ヘテロ環において説明した置換基と同様の置換基が挙げられる。
前記含窒素ヘテロ環化合物としては、金属腐食性及び撥液膜への接液性の観点より、含窒素5員環化合物又は含窒素6員環化合物が好ましく、具体例としては以下のものが挙げられる。
即ち、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾインダゾール環、ベンゾトリアゾール環、テトラゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ピリジン環、キノリン環、ピリミジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、キノキサリン環、モルホリン環等を分子以内に含む化合物が挙げられる。
また、これらの含窒素ヘテロ環化合物は、前記5員又は6員の含窒素ヘテロ環の置換基で説明した、前記アルキル基、前記カルボキシル基、前記スルホ基、前記アミノ基などの置換基で置換されていることが好ましい。
即ち、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾインダゾール環、ベンゾトリアゾール環、テトラゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ピリジン環、キノリン環、ピリミジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、キノキサリン環、モルホリン環等を分子以内に含む化合物が挙げられる。
また、これらの含窒素ヘテロ環化合物は、前記5員又は6員の含窒素ヘテロ環の置換基で説明した、前記アルキル基、前記カルボキシル基、前記スルホ基、前記アミノ基などの置換基で置換されていることが好ましい。
前記含窒素5員環化合物としては、イミダゾール環、テトラゾール環、トリアゾール環を分子内に有する化合物が好ましく、中でもイミダゾール環又はトリアゾール環を有する分子内に化合物が好ましい。
これらの含窒素5員環化合物は、さらに置換基を有していてもよい。その場合の置換基としては炭素数1〜6のアルキル基(より好ましくは1〜3のアルキル基)、炭素数1〜6のアルコキシ基(より好ましくは1〜3のアルコキシ基)、水酸基、カルボキシル基、メルカプト基、炭素数1〜6のアルコキシアルキル基(より好ましくは炭素数1〜3のアルコキシアルキル基)、炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基(より好ましくは炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基)、ハロゲン原子、又はアミノ基等が挙げられる。
前記含窒素5員環化合物の具体例としては、ベンゾトリアゾール、5−メチルベンゾトリアゾール、5−アミノベンゾトリアゾール、5−クロロベンゾトリアゾールが好ましく、ベンゾトリアゾールが特に好ましい。
これらの含窒素5員環化合物は、さらに置換基を有していてもよい。その場合の置換基としては炭素数1〜6のアルキル基(より好ましくは1〜3のアルキル基)、炭素数1〜6のアルコキシ基(より好ましくは1〜3のアルコキシ基)、水酸基、カルボキシル基、メルカプト基、炭素数1〜6のアルコキシアルキル基(より好ましくは炭素数1〜3のアルコキシアルキル基)、炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基(より好ましくは炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基)、ハロゲン原子、又はアミノ基等が挙げられる。
前記含窒素5員環化合物の具体例としては、ベンゾトリアゾール、5−メチルベンゾトリアゾール、5−アミノベンゾトリアゾール、5−クロロベンゾトリアゾールが好ましく、ベンゾトリアゾールが特に好ましい。
前記含窒素6員環化合物としては、トリアジン環、ピリミジン環、ピリジン環、ピロリン環、ピペリジン環、ピリダジン環又はピラジン環を分子内に有する化合物が好ましく、中でもトリアジン環又はピリミジン環を有する分子内に化合物が好ましい。
これらの6員の前記含窒素ヘテロ環化合物は、さらに置換基を有していてもよい。その場合の置換基としては炭素数1〜6のアルキル基(より好ましくは1〜3のアルキル基)、炭素数1〜6のアルコキシ基(より好ましくは1〜3のアルコキシ基)、水酸基、カルボキシル基、メルカプト基、炭素数1〜6のアルコキシアルキル基(より好ましくは炭素数1〜3のアルコキシアルキル基)、炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基(より好ましくは炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基)が挙げられる。
前記含窒素6員環化合物の具体例としては、トリアジン、メチルトリアジン、ジメチルトリアジン、ヒドロキシエチルトリアジン、ピリミジン、4−メチルピリミジン、ピリジン又はピロリンが挙げられる。
これらの6員の前記含窒素ヘテロ環化合物は、さらに置換基を有していてもよい。その場合の置換基としては炭素数1〜6のアルキル基(より好ましくは1〜3のアルキル基)、炭素数1〜6のアルコキシ基(より好ましくは1〜3のアルコキシ基)、水酸基、カルボキシル基、メルカプト基、炭素数1〜6のアルコキシアルキル基(より好ましくは炭素数1〜3のアルコキシアルキル基)、炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基(より好ましくは炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基)が挙げられる。
前記含窒素6員環化合物の具体例としては、トリアジン、メチルトリアジン、ジメチルトリアジン、ヒドロキシエチルトリアジン、ピリミジン、4−メチルピリミジン、ピリジン又はピロリンが挙げられる。
前記含窒素ヘテロ環化合物は、単独で用いてもよいし、又は2種以上を併用して用いることができる。
前記含窒素ヘテロ環化合物は、の添加量は、特に限定されないが、好ましい添加量としては、本発明のインクジェット記録用メンテナンス液1リットル中、0.01mmol〜10000mmolの濃度、より好ましくは0.05mmol〜2000mmolの濃度、特に好ましくは0.1mmol〜1000mmolの濃度である。0.01mmol以下の添加量であると本発明の効果が見られなくなり、1000mmol以上にすると溶解し切れず析出が発生する。
前記含窒素ヘテロ環化合物は、の添加量は、特に限定されないが、好ましい添加量としては、本発明のインクジェット記録用メンテナンス液1リットル中、0.01mmol〜10000mmolの濃度、より好ましくは0.05mmol〜2000mmolの濃度、特に好ましくは0.1mmol〜1000mmolの濃度である。0.01mmol以下の添加量であると本発明の効果が見られなくなり、1000mmol以上にすると溶解し切れず析出が発生する。
前記塩基性の含窒素化合物に対する前記一般式(I)で表わされる含窒素ヘテロ環化合物のモル比は0.02〜2(すなわち、前記塩基性の含窒素化合物:前記一般式(I)で表わされる含窒素ヘテロ環化合物=1:0.02〜1:2)であり、より好ましくは0.05〜1.5、特に好ましくは0.1〜1である。前記塩基性の含窒素化合物に対する前記一般式(I)で表わされる含窒素ヘテロ環化合物のモル比が、0.02より小さい場合には、十分な金属腐食抑制効果が得られず、且つ撥液膜に対する損傷も抑制されず好ましくない。前記モル比が2より大きい場合には、メンテナンス液のpH安定性が損なわれ、また低温保管時の析出などが発生するため好ましくない。
(一般式(II)又は一般式(III)で表される化合物)
本発明のインクジェット記録用メンテナンス液は、以下に示す一般式(II)又は一般式(III)で表される化合物(界面活性剤)の少なくとも一種を含有することが好ましい。これらの化合物は、インク固形物に浸透してインク固形物の溶解性を促進する。これにより、吐出時に発生したミスト状のインクが吐出ヘッドに付着、乾燥したインク固形物による吐出不良が防止される。
本発明のインクジェット記録用メンテナンス液は、以下に示す一般式(II)又は一般式(III)で表される化合物(界面活性剤)の少なくとも一種を含有することが好ましい。これらの化合物は、インク固形物に浸透してインク固形物の溶解性を促進する。これにより、吐出時に発生したミスト状のインクが吐出ヘッドに付着、乾燥したインク固形物による吐出不良が防止される。
前記一般式(II)において、R1は炭素数8〜20の直鎖若しくは分岐のアルキル基、炭素数8〜20の直鎖若しくは分岐のアルケニル基、又はアリール基を表わし、mは1〜5の整数を表わす。
前記R1で表されるアルキル基は、炭素数が8〜20であり、直鎖状又は分岐状のいずれの構造でもよい。アルキル基の例としては、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、セチル(ヘキサデシル)基、ステアリル(オクタデシル)基、ノナデシル基、イコシル基、等が挙げられる。中でも、炭素数10〜18のアルキル基が好ましく、炭素数16〜18のアルキル基がより好ましい。
前記R1で表されるアルケニル基は、炭素数が8〜20であり、直鎖状又は分岐状のいずれの構造でもよい。アルケニル基の例としては、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ヘキサデセニル基、オレイル(オクタデセニル)基、ノナデセニル基、イコセニル基、等が挙げられる。中でも、炭素数10〜18のアルケニル基が好ましく、炭素数16〜18のアルケニル基がより好ましい。
前記R1で表されるアリール基は、炭素数10〜20のアリール基が好ましく、炭素数12〜16のアリール基がより好ましい。アリール基の例としては、ノニルフェニル基、オクチルフェニル基等が挙げられる。前記R1で表されるアリール基は、置換されていてもよく無置換でもよい。置換されている場合の置換基としては、前記5員又は6員の含窒素ヘテロ環において説明した置換基と同様の置換基が挙げられる。
また、前記一般式(II)中、mは、1〜5の整数を表し、中でも、インク固形物の溶解性の点で、1〜3の整数が好ましく、より好ましくは2である。
一般式(II)で表される化合物のHLB値は、2.8〜10であり、好ましくは2.8〜7である。HLB値が2.8〜10の範囲内であることで、乾燥により固形化したインク固形物に対する溶解性に優れる。具体的には、HLB値が2.8未満であると、該化合物自身のメンテナンス液中への溶解が悪くなり、またHLB値が10を超えると、インク固形物の溶解性が低下し、洗浄能が悪くなる。
本発明における「HLB値」とは、下記式1により算出される値である。
HLB=20×(ポリエチレンオキシド基の式量)/(分子量) ・・・式1
HLB=20×(ポリエチレンオキシド基の式量)/(分子量) ・・・式1
以下、前記一般式(II)で表される化合物の具体例を示す。なお、「PEO」は「CH2CH2O」を、カッコ内の数値は「m」の値を示す。
また、前記一般式(II)で表される化合物は、上市されている市販品を用いてもよい。その具体例としては、竹本油脂(株)製のパイオニンD−1502、D−1504、東京化成工業(株)製のポリエチレングリコールモノオレイルエーテルn=2等を挙げることができる。
前記一般式(III)において、R2は炭素数10〜20の直鎖若しくは分岐のアルキル基、炭素数10〜20の直鎖若しくは分岐のアルケニル基、アリール基を表わし、mは2〜10の整数、nは1〜9の整数をそれぞれ表わし、かつm>nを満たす。
前記R2で表されるアリール基は、炭素数10〜20のアリール基が好ましく、炭素数12〜16のアリール基がより好ましい。アリール基の好ましい例としては、ノニルフェニル基、オクチルフェニル基等が挙げられる。前記R2で表されるアリール基は、置換されていてもよく無置換でもよい。置換されている場合の置換基としては、前記5員又は6員の含窒素ヘテロ環において説明した置換基と同様の置換基が挙げられる。
また、前記一般式(III)中、mは、2〜10の整数を表し、中でも、インク固形物の溶解性の点で、4〜8の整数が好ましい。
前記一般式(III)中、nは、1〜9の整数を表し、中でも、インク固形物の溶解性の点で、1〜5の整数が好ましい。
前記一般式(III)、m及びnは、m>nの関係を満たすように選択される値であるが、インク固形物の溶解性向上の観点からは、m−n≧3である場合がより好ましい。
前記一般式(III)中、nは、1〜9の整数を表し、中でも、インク固形物の溶解性の点で、1〜5の整数が好ましい。
前記一般式(III)、m及びnは、m>nの関係を満たすように選択される値であるが、インク固形物の溶解性向上の観点からは、m−n≧3である場合がより好ましい。
前記一般式(III)のうち、「C3H6O」のアルキル部位は、直鎖よりも分岐鎖である場合が好ましく、下記一般式(IIIa)で表される構造が好ましい。
なお、前記一般式(IIIa)において、R2は、アリール基を表す。また、mは1〜10の整数を表し、nは1〜10の整数を表し、m及びnは、m>nの関係を満たす。
一般式(IIIa)中のR2、m、nは、前記一般式(III)におけるR2、m、nと同義である。
一般式(IIIa)中のR2、m、nは、前記一般式(III)におけるR2、m、nと同義である。
前記一般式(III)で表される化合物のうち、インク固形物の溶解性により優れる観点から、R2が炭素数15〜17のアルキル基を置換基として有するフェニル基であり、mが4〜8の整数であり、nが1〜5の整数であり、m−n≧3の関係を満たす化合物が好ましい。
以下、前記一般式(III)で表される化合物の具体例を示す。
なお、一般式(II)で表される化合物と、一般式(III)で表される化合物とを比較すると、インク固形物の溶解性の点で、一般式(II)で表される化合物がより好ましい。
また、前記(III)で表される化合物は、上市されている市販品を用いてもよい。その具体例としては、竹本油脂(株)製のパイオニンD−1305P等を挙げることができる。
前記一般式(II)又は(III)で表される化合物のインクジェット記録用メンテナンス液中における含有量としては、インクジェット記録用メンテナンス液全量に対して、0.1質量%〜10質量%が好ましく、0.5質量%〜5質量%がより好ましい。一般式(II)又は(III)で表される化合物の含有量が0.1質量%以上であることで、吐出ヘッド上に付着したインク固形物(例えばミスト状インクが乾燥固化した粒状インク)に対する溶解性が良好になる。また、該化合物の含有量が10質量%以下であることで、メンテナンス液への溶解性の点で有利であり、析出、濁り等の問題がおき難くなる。
前記一般式(II)又は(III)で表される化合物は、必要に応じて2種以上を混合して用いることも可能である。
前記一般式(II)又は(III)で表される化合物は、必要に応じて2種以上を混合して用いることも可能である。
(水溶性有機溶剤)
本発明のインクジェット記録用メンテナンス液は、下記一般式(IV)で表される水溶性有機溶剤の少なくとも一種を含有していることが好ましい。この水溶性有機溶剤を含有することにより、インク固形物に対する溶解性がより向上する。
本発明のインクジェット記録用メンテナンス液は、下記一般式(IV)で表される水溶性有機溶剤の少なくとも一種を含有していることが好ましい。この水溶性有機溶剤を含有することにより、インク固形物に対する溶解性がより向上する。
前記一般式(IV)において、R3及びR5は、各々独立に、水素原子、又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、R4はエチレン基又はプロピレン基を表す。但し、R3とR5が同時に水素原子であることはない。xは、1〜4の整数を表す。
前記R3及びR5で表される炭素数1〜4のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基が挙げられる。
前記一般式(IV)で表される水溶性有機溶剤の例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングルコールモノメチルエーテル(DEGmME/SP値:23.0)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(DEGmEE/SP値:22.4)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(DEGmBE/SP値:21.5)、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(TEGmME/SP値:19.6)、トリエチレングリコールモノエチルエーテル(TEGmEE/SP値:19.4)、トリエチレングリコールモノブチルエーテル(TEGmBE/SP値:21.1)、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(DPGmME/SP値:21.3)、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(TPGmME/SP値:21.3)、並びに、nC4H9O(AO)4−H(AO=EO又はPO、EO:PO[質量比]=1:1、SP値:20.1)、HO(PO)3−H(SP値:24.7)、等が挙げられる。インク固形物の溶解性と前記一般式(III)の溶解性を高めるという観点から、ジエチレングリコールモノブチルエーテルが最も好ましい。
前記一般式(IV)で表される水溶性有機溶剤は、1種単独で用いるほか、2種以上を併用してもよい。
一般式(IV)で表される水溶性有機溶剤のインクジェット記録用メンテナンス液中における含有量としては、前記塩基性の含窒素化合物及び前記含窒素ヘテロ環化合物の総量に対して、10質量%〜40質量%が好ましく、16質量%〜30質量%がより好ましい。一般式(II)で表される水溶性有機溶剤の含有量が前記範囲内であると、インク固形物の溶解性の向上効果がより大きい。
一般式(IV)で表される水溶性有機溶剤のインクジェット記録用メンテナンス液中における含有量としては、前記塩基性の含窒素化合物及び前記含窒素ヘテロ環化合物の総量に対して、10質量%〜40質量%が好ましく、16質量%〜30質量%がより好ましい。一般式(II)で表される水溶性有機溶剤の含有量が前記範囲内であると、インク固形物の溶解性の向上効果がより大きい。
前記一般式(IV)で表される水溶性有機溶剤と既述の一般式(II)又は(III)で表される界面活性剤との含有比(水溶性有機溶剤:界面活性剤/質量比)は、2:1〜30:1が好ましく、5:1〜20:1がより好ましい。含有比が前記範囲内にあることで、インク固形物に対する溶解性をより向上させることができ、更に一般式(II)又は(III)で表される化合物のメンテナンス液中への溶解性も向上させることができる。
水溶性有機溶剤としては、上記のほか、本発明の効果を損なわない範囲で、下記構造式(1)で表される化合物を含有することができる。
構造式(1)において、l、m、及びnは、それぞれ独立に1以上の整数を表し、l+m+n=3〜15を満たす。中でも、l+m+nは、3以上であると洗浄性、カール抑制効果が良好になり、15以下であると吐出性を良好に保てる。中でも、3〜12が好ましく、3〜10がより好ましい。AOは、エチレンオキシ(EO)基及び/又はプロピレンオキシ(PO)基を表し、中でもプロピレンオキシ基が好ましい。構造式中の(AO)l、(AO)m、及び(AO)nの各AOは、それぞれ同一でも異なってもよい。
前記構造式(1)で表される化合物の例としては、下記の化合物が挙げられる。なお、カッコ内の数値は、溶解度パラメーター(SP値)を示す。
前記構造式(1)で表される化合物としては、上市されている市販品を用いてもよく、例えば、ポリオキシプロピル化グリセリン(ポリプロピレングリコールとグリセリンとのエーテル)として、サンニックスGP−250(平均分子量250)、同GP−400(平均分子量400)、同GP−600(平均分子量600)〔以上、三洋化成工業(株)製〕等を挙げることができる。
本発明では、前記一般式(IV)で表される水溶性有機溶剤以外の他の有機溶剤を含有する場合、他の有機溶媒は、インク固形物の溶解性の観点からSP値が27.5以下の有機溶剤であることが好ましい。
本発明のメンテナンス液では、SP値が27.5以下の有機溶剤を、全有機溶媒量に対して、50質量%以上含有していることが好ましい。SP値が27.5以下の有機溶剤の含有量が50質量%以上であることで、吐出ヘッドのインク固着物の溶解性がより向上し、洗浄性をより高めることができる。中でも、該有機溶剤の含有量は、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上が更に好ましく、特に好ましくは80質量%以上である。更には、前記一般式(IV)で表される水溶性有機溶剤を前記範囲で含有していることが好ましい。
また、SP値は、インク固形物の溶解性の向上の観点から、24以下が好ましく、22以下が更に好ましい。
また、SP値は、インク固形物の溶解性の向上の観点から、24以下が好ましく、22以下が更に好ましい。
前記一般式(IV)で表される水溶性有機溶剤及び前記構造式(1)で表される化合物以外の他の有機溶媒を含んでもよい。該有機溶媒としては、アルコール類、後述の保湿剤として使用可能なポリオール類、エーテル類等の水溶性有機溶剤が挙げられる。アルコール類の具体例として、エタノール、ブタノール、イソプロパノールなどの直鎖又は分岐アルキルアルコール類が挙げられる。エーテル類の具体例として、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、エチルメチルエーテル、ジヘキシルエーテル、フラン等のアルキルエーテル類が挙げられる。また、後述の保湿剤として使用可能なラクタム類、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルスルホキシド、ソルビット、ソルビタン、アセチン、ジアセチン、トリアセチン、スルホラン等も水溶性有機溶剤として挙げることができる。
これら水溶性有機溶剤は、1種単独であるいは複数を組み合わせて用いてもよい。
これら水溶性有機溶剤は、1種単独であるいは複数を組み合わせて用いてもよい。
前記溶解度パラメーター(SP値)とは、分子凝集エネルギーの平方根で表される値であり、R.F.Fedors,Polymer Engineering Science,14,p.147〜154(1967)に記載の方法で計算される値である。
本発明のインクジェット記録用メンテナンス液中における有機溶剤の総含有量としては、洗浄性の点で、メンテナンス液の全質量に対して、1質量%〜50質量%の範囲が好ましい。このうち、前記一般式(IV)で表される水溶性有機溶剤の全有機溶剤に対する比率が50質量%以上であることが、インク固形物の溶解性向上の点で好ましい。
(水)
本発明のインクジェット記録用メンテナンス液は、溶媒として水を含有する。
好ましい水は、イオン性の不純物を極力低減することを目的として、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、又は超純水を用いることができる。
水のメンテナンス液の全質量に占める割合は、40質量%〜90質量%の範囲が好ましく、50質量%〜80質量%の範囲がさらに好ましい。
本発明のインクジェット記録用メンテナンス液は、溶媒として水を含有する。
好ましい水は、イオン性の不純物を極力低減することを目的として、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、又は超純水を用いることができる。
水のメンテナンス液の全質量に占める割合は、40質量%〜90質量%の範囲が好ましく、50質量%〜80質量%の範囲がさらに好ましい。
(保湿剤)
本発明のインクジェット記録用メンテナンス液は、保湿剤の少なくとも一種を含有することが好ましい。保湿剤を含有することで、メンテナンス液の水分蒸発による乾燥を抑制し、長期放置時のメンテナンス液の組成の変質を抑制することができる。
保湿剤とは、低揮発性で保水能力が比較的高い水溶性化合物をいう。
本発明のインクジェット記録用メンテナンス液は、保湿剤の少なくとも一種を含有することが好ましい。保湿剤を含有することで、メンテナンス液の水分蒸発による乾燥を抑制し、長期放置時のメンテナンス液の組成の変質を抑制することができる。
保湿剤とは、低揮発性で保水能力が比較的高い水溶性化合物をいう。
保湿剤としては、例えば、ポリオール類(例:グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ペンタエリスリトール等)、ラクタム類(例:2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン等)等、並びに水溶性の固体保湿剤(例:尿素、チオ尿素、N−エチル尿素等の窒素化合物、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール等のジオール類、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等、グルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、アルドン酸、グルシトール(ソルビット)、マルトース、セロビオース、ラクトース、スクロース、トレハロース、マルトトリオース等の単糖類、二糖類、オリゴ糖類、及び多糖類、並びにこれら糖類の還元糖、酸化糖、アミノ酸及びチオ糖等の誘導体)などが挙げられる。本発明に用いられる保湿剤としては、ポリオール類が好ましく、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールがより好ましく、ジエチレングリコールが最も好ましい。
保湿剤のインクジェット記録用メンテナンス液中における含有量としては、メンテナンス液全量に対して、1〜20質量%の範囲が好ましい。保湿剤の含有量が1質量%以上であることで、メンテナンス液の水分蒸発による乾燥が抑制される。また、保湿剤の含有量が20質量%以下であることで、粘度上昇による流動性の低下を防ぐと共に、良好な洗浄性を確保することができる。
中でも、保湿剤の含有量は、同様の理由から、5質量%〜16質量%が好ましい。
中でも、保湿剤の含有量は、同様の理由から、5質量%〜16質量%が好ましい。
(水溶性珪酸塩)
本発明に係るインクジェット記録用メンテナンス液は、水溶性珪酸塩の少なくとも1種を含有することが好ましい。
本発明に係るインクジェット記録用メンテナンス液が、水溶性珪酸塩を含有することで、ノズル部材及びインク供給経路部材の腐食を防止する効果を高めるほか、吐出ヘッドに配された撥液膜への接液性を改善し、色材を含むインクと混じったときでも、インクの安定性に影響を及ぼすことがなくこのましい。即ち、本発明のメンテナンス液をヘッドの洗浄に用いた際に、ノズル部材及びインク供給経路部材の腐食を防止するほか、撥液膜への影響が無く、ノズル部材及びインク供給経路中のインクと混じった場合であっても、インクの凝集やノズルでの目詰りを起こすことがなく好ましい。
水溶性珪酸塩としては、一般式(2)で表される珪酸アルカリ金属塩が挙げられる。
本発明に係るインクジェット記録用メンテナンス液は、水溶性珪酸塩の少なくとも1種を含有することが好ましい。
本発明に係るインクジェット記録用メンテナンス液が、水溶性珪酸塩を含有することで、ノズル部材及びインク供給経路部材の腐食を防止する効果を高めるほか、吐出ヘッドに配された撥液膜への接液性を改善し、色材を含むインクと混じったときでも、インクの安定性に影響を及ぼすことがなくこのましい。即ち、本発明のメンテナンス液をヘッドの洗浄に用いた際に、ノズル部材及びインク供給経路部材の腐食を防止するほか、撥液膜への影響が無く、ノズル部材及びインク供給経路中のインクと混じった場合であっても、インクの凝集やノズルでの目詰りを起こすことがなく好ましい。
水溶性珪酸塩としては、一般式(2)で表される珪酸アルカリ金属塩が挙げられる。
一般式(2) xM2O・ySiO2
(式中、MはK又はNaを表し、xは1又は2を示し、yは1〜5の整数を示す。)
(式中、MはK又はNaを表し、xは1又は2を示し、yは1〜5の整数を示す。)
前記一般式(2)で表される珪酸のアルカリ金属塩は、x=1、y=1の場合はメタ珪酸アルカリ金属塩と、x=2、y=1の場合はオルト珪酸アルカリ金属塩とそれぞれ呼ばれ、いずれも水溶性を有する珪酸アルカリ金属塩である。
一般には珪酸アルカリ金属塩は、前記一般式(2)で表される化合物の2種以上からなる混合物であることが多いが、本発明において用いられる珪酸アルカリ金属塩は、前記一般式(2)で表される化合物の1種であっても、前記一般式(2)で表される化合物の2種以上からなる混合物であってもよい。
前記水溶性珪酸塩の具体的な化合物としては、例えば、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム等の珪酸アルカリ金属塩が挙げられる。
前記水溶性珪酸塩の中でも、インクジェット記録装置に使用される部材の腐食を防止し、且つ色材を含む水性インクに対し良好な洗浄性を発揮する観点から、珪酸ナトリウムが好ましい。
本発明に係るインクジェット記録用メンテナンス液の水溶性珪酸塩の含有量としては特に制限はないが、ノズル部材やインク流路部材の腐食を防止する効果が維持できて、インク組成物の性能への影響を及ぼさないためには、メンテナンス液全量に対して、水溶性珪酸塩及び後述のコロイダルシリカの合計の添加量が0.001質量%〜2質量%であることが好ましく、0.005質量%〜1質量%であることがより好ましく、0.01質量%〜0.5質量%であることがさらに好ましい。
前記0.001質量%〜1質量%の範囲内とすることで、ノズル部材やインク流路部材の腐食を防止する効果が維持できて、インク組成物の性能への影響を及ぼさない。
前記0.001質量%〜1質量%の範囲内とすることで、ノズル部材やインク流路部材の腐食を防止する効果が維持できて、インク組成物の性能への影響を及ぼさない。
さらに本発明に係るメンテナンス液は、インクジェットヘッドノズル部材、インク流路部材の腐食を防止撥液性低下抑制とインク洗浄性の観点から、前記一般式(2)で表される水溶性珪酸塩の少なくとも1種をインク組成物総量に対して0.001質量%〜1質量%含有することが好ましく、ノズル部材やインク流路部材の腐食防止と、メンテナンス後の吐出回復性及び吐出安定性の観点から、珪酸ナトリウム、及び珪酸カリウムから選ばれる少なくとも1種をインク組成物総量に対して0.01質量%〜0.5質量%含有することがより好ましい。
(コロイダルシリカ)
本発明に係るインクジェット記録用メンテナンス液は、コロイダルシリカを含有することが好ましい。
本発明に係るインクジェット記録用メンテナンス液が、コロイダルシリカを含有することで、ノズル部材及びインク供給経路部材の腐食を防止することができる。
前記コロイダルシリカは、平均粒子径が1nm〜100nm以下のケイ素を含む無機酸化物の微粒子からなるコロイドであることが好ましい。
前記コロイダルシリカは、主成分として二酸化ケイ素(その水和物を含む)を含み、少量成分としてアルミン酸塩を含んでいてもよい。少量成分として含まれることがあるアルミン酸塩としては、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウムなどが挙げられる。
また前記コロイダルシリカには、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化アンモニウム等の無機塩類やテトラメチルアンモニウムヒドロキシド等の有機塩類が含まれていてもよい。これらの無機塩類および有機塩類は、例えば、コロイドの安定化剤として作用する。
本発明に係るインクジェット記録用メンテナンス液は、コロイダルシリカを含有することが好ましい。
本発明に係るインクジェット記録用メンテナンス液が、コロイダルシリカを含有することで、ノズル部材及びインク供給経路部材の腐食を防止することができる。
前記コロイダルシリカは、平均粒子径が1nm〜100nm以下のケイ素を含む無機酸化物の微粒子からなるコロイドであることが好ましい。
前記コロイダルシリカは、主成分として二酸化ケイ素(その水和物を含む)を含み、少量成分としてアルミン酸塩を含んでいてもよい。少量成分として含まれることがあるアルミン酸塩としては、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウムなどが挙げられる。
また前記コロイダルシリカには、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化アンモニウム等の無機塩類やテトラメチルアンモニウムヒドロキシド等の有機塩類が含まれていてもよい。これらの無機塩類および有機塩類は、例えば、コロイドの安定化剤として作用する。
前記コロイダルシリカの分散媒としては特に制限はなく、水、有機溶剤、およびこれらの混合物のいずれであってもよい。前記有機溶剤は水溶性有機溶剤であっても非水溶性有機溶剤であってもよいが、水溶性有機溶剤であることが好ましい。具体的には例えば、メタノール、エタノ−ル、イソプロピルアルコール、n−プロパノール等を挙げることができる。
前記コロイダルシリカの製造方法には特に制限はなく、通常用いられる方法で製造することができる。例えば、四塩化ケイ素の熱分解によるアエロジル合成や水ガラスから製造することができる。あるいは、アルコキシドの加水分解といった液相合成法(例えば、「繊維と工業」、Vol.60、No.7(2004)P376参照)などによっても製造することができる。
前記コロイダルシリカに含まれる粒子の平均粒子径としては特に制限はない。例えば、1nm〜200nmとすることができ、上記の通り、1nm〜100nmが好ましく、3nm〜50nmがより好ましく、3nm〜25nmがさらに好ましく、特に好ましくは5nm〜20nmである。
前記コロイダルシリカに含まれる粒子の平均粒子径が100nm以下であることで、インクジェットヘッドを構成する部材、例えば、基材、保護膜、撥液膜等に対するインクによるダメージ(例えば、腐食による劣化、撥液性の低下等)をより効果的に抑制することができる。これは例えば、平均粒子径が小さいことで、粒子の総表面積が大きくなり、インクジェットヘッドを構成する部材に対するダメージを、より効果的に抑制するためと考えることができる。また、1nm以上の平均粒径であることで、生産性が向上し、また性能のバラツキの少ないコロイダルシリカを得ることができる。
前記コロイダルシリカの平均粒子径は、体積平均粒子径で表される。体積平均粒子径は、分散粒子の一般的な測定である光散乱法、レーザ回折法などの手法により求めることができる。
前記コロイダルシリカの平均粒子径は、メンテナンス液をイオン交換水で10倍〜20倍に希釈し、分散媒のイオン交換水の屈折率は1.333として、粒度分布計(FPAR−1000:大塚電子(株)製)を用いて測定した値を採用する。
また前記コロイダルシリカの形状は、インクの吐出性能を妨げない限り、特に限定されない。例えば、球状、長尺の形状、針状、数珠状のいずれであってもよい。中でも、インクの吐出性の観点から、球状であることが好ましい。
前記コロイダルシリカの平均粒子径は、メンテナンス液をイオン交換水で10倍〜20倍に希釈し、分散媒のイオン交換水の屈折率は1.333として、粒度分布計(FPAR−1000:大塚電子(株)製)を用いて測定した値を採用する。
また前記コロイダルシリカの形状は、インクの吐出性能を妨げない限り、特に限定されない。例えば、球状、長尺の形状、針状、数珠状のいずれであってもよい。中でも、インクの吐出性の観点から、球状であることが好ましい。
前記コロイダルシリカは、上記製造方法で製造されたものであっても、市販品であってもよい。市販品の具体例としては例えば、 Ludox AM、Ludox AS、Ludox LS、Ludox TM、Ludox HSなど(以上、E.I.Du Pont de Nemouvs & Co製);スノーテックスS、スノーテックスXS、スノーテックス20、スノーテックス30、スノーテックス40、スノーテックスN、スノーテックスC、スノーテックスOなど(以上、日産化学社製);Syton C−30、SytonZOO など(以上、Mons anto Co製);Nalcoag−1060 、Nalcoag−ID21〜64(以上、Nalco Chem Co製);メタノールゾル、IPAゾル、MEKゾル、およびトルエンゾル(以上、扶桑化学工業製);Cataloid−S、Cataloid−F120、Cataloid SI−350、Cataloid SI−500、Cataloid SI−30、Cataloid S−20L、Cataloid S−20H、CataloidS−30L、Cataloid S−30H、Cataloid SI−40、OSCAL−1432(イソプロピルアルコールゾル)など(以上、日揮触媒化成製);アデライト(旭電化社製);数珠状のコロイダルシリカとして、例えば、スノーテックスST−UP、同PS−S、同PS−M、同ST−OUP、同PS−SO、同PS−MO(以上、日産化学社製)などの商品名で市販されているものを挙げることができ、これらは容易に入手することが出来る。
前記市販のコロイダルシリカ分散液のpHは、酸性またはアルカリ性に調整されているものが多い。これは、コロイダルシリカの安定分散領域が酸性側またはアルカリ性側に存在するためであり、市販のコロイダルシリカ分散液を調製中のメンテナンス液に添加する場合は、コロイダルシリカの安定分散領域のpHと調製中のメンテナンス液のpHとを考慮して添加する必要がある。
前記コロイダルシリカの含有量には特に制限はない。好ましくは、ノズル部材やインク流路部材の腐食を防止する効果が維持できて、インク組成物の性能への影響を及ぼさないために、メンテナンス液全量に対して、水溶性珪酸塩及び後述のコロイダルシリカの合計の添加量が0.001質量%〜1質量%であることが好ましく、0.005質量%〜0.5質量%であることがより好ましく、0.01質量%〜0.2質量%であることがさらに好ましい。
前記0.001質量%〜1質量%の範囲内とすることで、ノズル部材やインク流路部材の腐食を防止する効果が維持できて、インク組成物の性能への影響を及ぼさない。
前記0.001質量%〜1質量%の範囲内とすることで、ノズル部材やインク流路部材の腐食を防止する効果が維持できて、インク組成物の性能への影響を及ぼさない。
なお、本発明に係るメンテナンス液においては、前記水溶性珪酸塩を使用せずに前記コロイダルシリカのみを用いても、また、その逆に前記コロイダルシリカを使用せずに前記水溶性珪酸塩のみを用いても、前記水溶性珪酸塩及び前記コロイダルシリカを共に用いてもよい。
前記水溶性珪酸塩及び前記コロイダルシリカを共に用いる場合は、前記水溶性珪酸塩及び前記コロイダルシリカの各質量の好ましい組合せとしては、1:9〜9:1である。
前記水溶性珪酸塩及び前記コロイダルシリカのメンテナンス液中の全含有量が、前記0.01質量%〜10質量%の範囲内とすることで、ノズル部材やインク流路部材の腐食を防止する効果が維持できて、インク組成物の性能への影響を及ぼさない傾向となり好ましい。
前記水溶性珪酸塩及び前記コロイダルシリカを共に用いる場合は、前記水溶性珪酸塩及び前記コロイダルシリカの各質量の好ましい組合せとしては、1:9〜9:1である。
前記水溶性珪酸塩及び前記コロイダルシリカのメンテナンス液中の全含有量が、前記0.01質量%〜10質量%の範囲内とすることで、ノズル部材やインク流路部材の腐食を防止する効果が維持できて、インク組成物の性能への影響を及ぼさない傾向となり好ましい。
(その他添加剤)
本発明のインクジェット記録用メンテナンス液は、上記の成分に加え、必要に応じて、例えば、褪色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、表面張力調整剤(ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、ベタイン系界面活性剤等)、消泡剤、粘度調整剤などのその他の添加剤を含むことができる。
本発明のインクジェット記録用メンテナンス液は、上記の成分に加え、必要に応じて、例えば、褪色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、表面張力調整剤(ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、ベタイン系界面活性剤等)、消泡剤、粘度調整剤などのその他の添加剤を含むことができる。
本発明のインクジェット記録用メンテナンス液は、表面張力調整剤として、既述の一般式(II)又は(III)で表される化合物以外の界面活性剤を更に含んでもよい。
該界面活性剤としては、例えば、脂肪酸塩、アルキルカルボン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等のアニオン系界面活性剤や、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アセチレンジオール誘導体、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー等のノニオン系界面活性剤が好ましい。このような界面活性剤を含む場合、そのメンテナンス液中における含有量は、洗浄性の点で、メンテナンス液全量に対して0.5〜10質量%が好ましい。
該界面活性剤としては、例えば、脂肪酸塩、アルキルカルボン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等のアニオン系界面活性剤や、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アセチレンジオール誘導体、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー等のノニオン系界面活性剤が好ましい。このような界面活性剤を含む場合、そのメンテナンス液中における含有量は、洗浄性の点で、メンテナンス液全量に対して0.5〜10質量%が好ましい。
本発明のメンテナンス液は、本発明におけるインク組成物と混合した際に凝集を起こさない液であることが好ましい。凝集を起こしてしまうと、インク組成物中の顔料等の成分が更に吐出ヘッド等に固着して本発明の効果を低減させてしまうためである。
メンテナンス液の25℃での粘度は、作業性の観点から、1mPa・s以上100mPa・s以下であることが好ましく、より好ましくは1mPa・s以上10mPa・s未満、更に好ましくは2mPa・s以上5mPa・s未満である。
粘度は、VISCOMETER TV−22(TOKI SANGYO CO.LTD製)を用いて25℃で測定される値である。
粘度は、VISCOMETER TV−22(TOKI SANGYO CO.LTD製)を用いて25℃で測定される値である。
本発明のメンテナンス液は、顔料を含まない無色の液体であることが好ましい。
また、メンテナンス液における固形分含量(25℃)としては、特に制限はないが、洗浄後の固形物残留を防ぐ観点から、5質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましい。
また、メンテナンス液における固形分含量(25℃)としては、特に制限はないが、洗浄後の固形物残留を防ぐ観点から、5質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましい。
<インクジェット記録用インクセット>
本発明のインクジェット記録用インクセットは、顔料とポリマー粒子と水とを含有するインク組成物と、既述の本発明のインクジェット記録用メンテナンス液とを設けて構成されている。本発明のインクジェット記録用インクセットは、更に、インク組成物中の成分を凝集させる凝集成分を含有する処理液を設けて好適に構成することができる。
本発明のインクジェット記録用インクセットは、顔料とポリマー粒子と水とを含有するインク組成物と、既述の本発明のインクジェット記録用メンテナンス液とを設けて構成されている。本発明のインクジェット記録用インクセットは、更に、インク組成物中の成分を凝集させる凝集成分を含有する処理液を設けて好適に構成することができる。
本発明のインクジェット記録用インクセットは、既述のインクジェット記録用メンテナンス液を備えた構成であることで、顔料及びポリマー粒子を含むためにインク吐出ヘッドの表面に付着しやすく、乾燥後には溶解、除去し難いインク、特に乾燥により固形化したインク固形物の溶解性に優れるので、長期に亘り安定した画像形成性が保持される。すなわち、例えばミスト状の微粒のインクが付着、乾燥固化することで、粒状インクがヘッド表面に存在する場合であっても、洗浄後ふき取る等の過程で吐出孔を閉塞したり、吐出孔付近に堆積する等の現象が防止される。
−インク組成物−
本発明におけるインク組成物は、顔料とポリマー粒子と水とを含有し、必要に応じて、更に、尿素やその誘導体、ワックス、又は界面活性剤等の添加剤などを用いて構成することができる。
本発明におけるインク組成物は、顔料とポリマー粒子と水とを含有し、必要に応じて、更に、尿素やその誘導体、ワックス、又は界面活性剤等の添加剤などを用いて構成することができる。
(顔料)
本発明における顔料としては、その種類に特に制限はなく、従来公知の有機及び無機顔料を用いることができる。例えば、アゾレーキ、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、ジケトピロロピロール顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等の多環式顔料や、塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ等の染料レーキや、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料等の有機顔料、並びに、酸化チタン、酸化鉄系、カーボンブラック系等の無機顔料が挙げられる。また、カラーインデックスに記載されていない顔料であっても水相に分散可能であれば、いずれも使用できる。更に、前記顔料を界面活性剤や高分子分散剤等で表面処理したものや、グラフトカーボン等も勿論使用可能である。前記顔料のうち、特に、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、カーボンブラック系顔料を用いることが好ましい。具体的には特開2007−100071号公報記載の顔料などが挙げられる。
本発明における顔料としては、その種類に特に制限はなく、従来公知の有機及び無機顔料を用いることができる。例えば、アゾレーキ、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、ジケトピロロピロール顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等の多環式顔料や、塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ等の染料レーキや、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料等の有機顔料、並びに、酸化チタン、酸化鉄系、カーボンブラック系等の無機顔料が挙げられる。また、カラーインデックスに記載されていない顔料であっても水相に分散可能であれば、いずれも使用できる。更に、前記顔料を界面活性剤や高分子分散剤等で表面処理したものや、グラフトカーボン等も勿論使用可能である。前記顔料のうち、特に、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、カーボンブラック系顔料を用いることが好ましい。具体的には特開2007−100071号公報記載の顔料などが挙げられる。
(分散剤)
インク組成物においては、色材として含有される顔料の少なくとも一部が分散剤によって被覆された色材粒子として水系溶媒に分散されていることが好ましい。具体的には、顔料の一部又は全部を、水不溶性樹脂で被覆して液中に分散させることが好ましい。この場合、顔料は必ずしも粒子表面の全体が被覆されている必要はなく、場合により粒子表面の少なくとも一部が被覆された状態であってもよい。
インク組成物においては、色材として含有される顔料の少なくとも一部が分散剤によって被覆された色材粒子として水系溶媒に分散されていることが好ましい。具体的には、顔料の一部又は全部を、水不溶性樹脂で被覆して液中に分散させることが好ましい。この場合、顔料は必ずしも粒子表面の全体が被覆されている必要はなく、場合により粒子表面の少なくとも一部が被覆された状態であってもよい。
分散剤としては、ポリマー分散剤でも低分子の界面活性剤型分散剤でもよい。ポリマー分散剤としては、水不溶性ポリマーの分散剤が好ましい。この水不溶性ポリマーは、顔料の分散が可能であれば特に制限はなく、従来公知の水不溶性ポリマーを用いることができる。水不溶性ポリマーとしては、例えば、疎水性の構成単位と親水性の構成単位との両方を含んで構成することができる。
なお、「水不溶性」とは、25℃の水系媒体にポリマーを混合したときに、水系媒体に溶解するポリマーの量が、混合した全ポリマーに対する質量比で10質量%以下であることをいう。
なお、「水不溶性」とは、25℃の水系媒体にポリマーを混合したときに、水系媒体に溶解するポリマーの量が、混合した全ポリマーに対する質量比で10質量%以下であることをいう。
前記水不溶性ポリマーは、下記一般式(1)で表される繰り返し単位(a)とイオン性基を有する繰り返し単位(b)とを含むポリマーであってもよい。このポリマーは、必要に応じて、更に、繰り返し単位(a)以外の他の疎水性繰り返し単位や非イオン性の官能基を持つ親水性繰り返し単位などの他の構造単位を含むことができる。
<(a)一般式(1)で表される繰り返し単位>
一般式(1)において、R1は水素原子、メチル基、又はハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)を表し、L1は、*−COO−、*−OCO−、*−CONR2−、*−O−、又は置換もしくは無置換のフェニレン基を表し、R2は水素原子、又は炭素数1〜10のアルキル基を表す。なお、L1で表される基中の*印は、主鎖に連結する結合手を表す。L2は、単結合、又は2価の連結基を表す。Arは、芳香環から誘導される1価の基を表す。
前記一般式(1)において、R1は水素原子、メチル基、又はハロゲン原子を表し、好ましくはメチル基を表す。
L1は、*−COO−、*−OCO−、*−CONR2−、*−O−、又は置換もしくは無置換のフェニレン基を表す。L1がフェニレン基を表す場合、無置換が好ましい。R2は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基を表す。
L2は、単結合、又は2価の連結基を表す。前記2価の連結基としては、好ましくは炭素数1〜30の連結基であり、より好ましくは炭素数1〜25の連結基であり、更に好ましくは炭素数1〜20の連結基であり、特に好ましくは炭素数1〜15の連結基である。
中でも、最も好ましくは、炭素数1〜25(より好ましくは1〜10)のアルキレンオキシ基、イミノ基(−NH−)、スルファモイル基、及び、炭素数1〜20(より好ましくは1〜15)のアルキレン基やエチレンオキシド基[−(CH2CH2O)n−,n=1〜6]などの、アルキレン基を含む2価の連結基等、並びにこれらの2種以上を組み合わせた基などである。
中でも、最も好ましくは、炭素数1〜25(より好ましくは1〜10)のアルキレンオキシ基、イミノ基(−NH−)、スルファモイル基、及び、炭素数1〜20(より好ましくは1〜15)のアルキレン基やエチレンオキシド基[−(CH2CH2O)n−,n=1〜6]などの、アルキレン基を含む2価の連結基等、並びにこれらの2種以上を組み合わせた基などである。
Arは、芳香環から誘導される1価の基を表す。Arで表される1価の基の芳香環としては、特に限定されないが、ベンゼン環、炭素数8以上の縮環型芳香環、又はヘテロ環が縮環した芳香環が挙げられる。
前記「炭素数8以上の縮環型芳香環」は、少なくとも2以上のベンゼン環が縮環した芳香環、少なくとも1種の芳香環と該芳香環に縮環して脂環式炭化水素で環が構成された炭素数8以上の芳香族化合物である。具体的な例としては、ナフタレン、アントラセン、フルオレン、フェナントレン、アセナフテンなどが挙げられる。
前記「ヘテロ環が縮環した芳香環」とは、ヘテロ原子を含まない芳香族化合物(好ましくはベンゼン環)と、ヘテロ原子を有する環状化合物とが縮環した化合物である。ここで、ヘテロ原子を有する環状化合物は、5員環又は6員環であることが好ましい。ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子が好ましい。ヘテロ原子を有する環状化合物は、複数のヘテロ原子を有していてもよい。この場合、ヘテロ原子は互いに同じでも異なっていてもよい。
芳香環が縮環したヘテロ環の具体例としては、フタルイミド、アクリドン、カルバゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾールなどが挙げられる。
芳香環が縮環したヘテロ環の具体例としては、フタルイミド、アクリドン、カルバゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾールなどが挙げられる。
前記一般式(1)で表される繰り返し単位を形成するモノマーの具体例としては、(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリルアミド類、スチレン類、及びビニルエステル類などのビニルモノマー類を挙げることができる。
本発明において、主鎖をなす原子に連結基を介して芳香環を有する疎水性の構造単位では、芳香環は連結基を介して水不溶性樹脂の主鎖をなす原子と結合され、水不溶性樹脂の主鎖をなす原子に直接結合しない構造を有するので、疎水性の芳香環と親水性構造単位との間に適切な距離が維持されるため、水不溶性樹脂と顔料との間で相互作用が生じやすく、強固に吸着して分散性がさらに向上する。
更には、前記一般式(1)で表される繰り返し単位を形成するモノマーの具体例としては、下記のモノマーなどを挙げることができる。但し、本発明においては、これらに限定されるものではない。
前記(a)一般式(1)で表される繰り単位中のArとしては、被覆された顔料の分散安定性の観点から、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、アクリドン、又はフタルイミドから誘導される1価の基であることが好ましい。
前記繰り返し単位は、1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
前記一般式(1)で表される繰り返し単位のポリマー中における含有割合は、ポリマーの全質量に対して、5〜25質量%の範囲が好ましく、より好ましくは10〜18質量%の範囲である。この含有割合は、5質量%以上であると、白抜け等の画像故障の発生を顕著に抑制できる傾向となり、また、25質量%以下とするとポリマーの重合反応溶液(例えば、メチルエチルケトン)中での溶解性低下による製造適性上の問題が生じない傾向となり好ましい。
前記一般式(1)で表される繰り返し単位のポリマー中における含有割合は、ポリマーの全質量に対して、5〜25質量%の範囲が好ましく、より好ましくは10〜18質量%の範囲である。この含有割合は、5質量%以上であると、白抜け等の画像故障の発生を顕著に抑制できる傾向となり、また、25質量%以下とするとポリマーの重合反応溶液(例えば、メチルエチルケトン)中での溶解性低下による製造適性上の問題が生じない傾向となり好ましい。
<他の疎水性繰り返し単位>
水不溶性ポリマーは、疎水性構造単位として、前記一般式(1)で表される繰り返し単位以外の他の疎水性繰り返し単位を更に有してもよい。他の疎水性繰り返し単位としては、例えば、親水性構造単位に属しない(例えば親水性の官能基を有しない)例えば(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリルアミド類、スチレン類、及びビニルエステル類などのビニルモノマー類、主鎖をなす原子に連結基を介して芳香環を有する疎水性構造単位、等に由来の構造単位を挙げることができる。これらの構造単位は、1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
水不溶性ポリマーは、疎水性構造単位として、前記一般式(1)で表される繰り返し単位以外の他の疎水性繰り返し単位を更に有してもよい。他の疎水性繰り返し単位としては、例えば、親水性構造単位に属しない(例えば親水性の官能基を有しない)例えば(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリルアミド類、スチレン類、及びビニルエステル類などのビニルモノマー類、主鎖をなす原子に連結基を介して芳香環を有する疎水性構造単位、等に由来の構造単位を挙げることができる。これらの構造単位は、1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
前記(メタ)アクリレート類としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレートが挙げられ、これらのうち(メタ)アクリル酸の炭素数1〜4のアルキルエステルが好ましい。中でも、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートが好ましく、特にメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレートが好ましい。
また、(メタ)アクリルアミド類、スチレン類、及びビニルエステル類については、特開2001−162692号公報の段落番号[0063]〜[0065]に記載の化合物が挙げられる。
また、(メタ)アクリルアミド類、スチレン類、及びビニルエステル類については、特開2001−162692号公報の段落番号[0063]〜[0065]に記載の化合物が挙げられる。
<(b)イオン性基を有する繰り返し単位>
イオン性基を有する繰り返し単位としては、カルボキシル基、スルホ基、ホスホネート基などのイオン性基を有するモノマーに由来する繰り返し単位が挙げられる。例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリルアミド類、及びビニルエステル類等の、イオン性官能基を有するビニルモノマー類を挙げることができる。イオン性基を有する繰り返し単位は、対応するモノマーの重合により導入できるが、重合後のポリマー鎖にイオン性基を導入したものでもよい。これらのうち、アクリル酸、メタクリル酸に由来の繰り返し単位が好ましく、アクリル酸由来の構造単位もしくはメタクリル酸由来の構造単位のいずれか又は両方を含むことが好ましい。
イオン性基を有する繰り返し単位としては、カルボキシル基、スルホ基、ホスホネート基などのイオン性基を有するモノマーに由来する繰り返し単位が挙げられる。例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリルアミド類、及びビニルエステル類等の、イオン性官能基を有するビニルモノマー類を挙げることができる。イオン性基を有する繰り返し単位は、対応するモノマーの重合により導入できるが、重合後のポリマー鎖にイオン性基を導入したものでもよい。これらのうち、アクリル酸、メタクリル酸に由来の繰り返し単位が好ましく、アクリル酸由来の構造単位もしくはメタクリル酸由来の構造単位のいずれか又は両方を含むことが好ましい。
このポリマーは、(b)イオン性基を有する繰り返し単位の割合がポリマー全質量の15質量%以下であって、イオン性基を有する繰り返し単位として少なくとも(メタ)アクリル酸由来の構造単位を含む態様が好ましい。(b)イオン性基を有する繰り返し単位の含有量がポリマー全質量の15質量%以下であると、分散安定性に優れる。中でも、(b)イオン性基を有する繰り返し単位の割合は、分散安定性の観点から、5質量%以上15質量%以下が好ましく、7質量%以上13質量%以下がより好ましい。
このポリマーは、水性のインク組成物中において安定的に存在することができ、例えばインクジェットヘッド等での凝集物の付着、堆積を緩和し、付着した凝集物の除去性にも優れる。このような観点から、前記(a)一般式(1)で表される繰り返し単位以外の疎水性構造単位、及び前記「(b)イオン性基を有する繰り返し単位」以外の他の親水性構造単位をさらに有していてもよい。
<親水性繰り返し単位>
前記他の親水性構成単位としては、非イオン性の親水性基を有するモノマーに由来の繰り返し単位が挙げられ、例えば、親水性の官能基を有する(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリルアミド類、及びビニルエステル類等の、親水性の官能基を有するビニルモノマー類を挙げることができる。
「親水性の官能基」としては、水酸基、アミノ基、(窒素原子が無置換の)アミド基、及び後述のポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のアルキレンオキシドが挙げられる。
前記他の親水性構成単位としては、非イオン性の親水性基を有するモノマーに由来の繰り返し単位が挙げられ、例えば、親水性の官能基を有する(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリルアミド類、及びビニルエステル類等の、親水性の官能基を有するビニルモノマー類を挙げることができる。
「親水性の官能基」としては、水酸基、アミノ基、(窒素原子が無置換の)アミド基、及び後述のポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のアルキレンオキシドが挙げられる。
非イオン性の親水性基を有する親水性繰り返し単位を形成するモノマーは、エチレン性不飽和結合等の重合体を形成しうる官能基と非イオン性の親水性の官能基とを有していれば、特に制限はなく、公知のモノマーから選択することができる。具体的な例としては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、アミノエチルアクリレート、アミノプロピルアクリレート、アルキレンオキシド重合体を含有する(メタ)アクリレートを好適に挙げることができる。
非イオン性の親水性基を有する親水性繰り返し単位は、対応するモノマーの重合により形成することができるが、重合後のポリマー鎖に親水性の官能基を導入してもよい。
非イオン性の親水性基を有する親水性繰り返し単位は、対応するモノマーの重合により形成することができるが、重合後のポリマー鎖に親水性の官能基を導入してもよい。
非イオン性の親水性基を有する親水性繰り返し単位は、アルキレンオキシド構造を有する親水性の構造単位がより好ましい。アルキレンオキシド構造のアルキレン部位としては、親水性の観点から、炭素数1〜6のアルキレンが好ましく、炭素数2〜6のアルキレンがより好ましく、炭素数2〜4のアルキレンが特に好ましい。また、アルキレンオキシド構造の重合度としては、1〜120が好ましく、1〜60がより好ましく、1〜30が特に好ましい。
また、非イオン性の親水性基を有する親水性繰り返し単位は、水酸基を含む親水性の繰り返し単位であることも好ましい態様である。繰り返し単位中の水酸基数としては、特に制限はなく、水不溶性樹脂の親水性、重合時の溶媒や他のモノマーとの相溶性の観点から、1〜4が好ましく、1〜3がより好ましく、1〜2が特に好ましい。
また、非イオン性の親水性基を有する親水性繰り返し単位は、水酸基を含む親水性の繰り返し単位であることも好ましい態様である。繰り返し単位中の水酸基数としては、特に制限はなく、水不溶性樹脂の親水性、重合時の溶媒や他のモノマーとの相溶性の観点から、1〜4が好ましく、1〜3がより好ましく、1〜2が特に好ましい。
ポリマーとしては、親水性繰り返し単位と疎水性繰り返し単位(前記一般式(1)で表される構造繰り返しを含む)との組成は各々の親水性、疎水性の程度にも影響するが、親水性繰り返し単位の割合が15質量%以下であることが好ましい。このとき、疎水性繰り返し単位は、水不溶性樹脂の質量全体に対して、80質量%を超える割合であるのが好ましく、85質量%以上であるのがより好ましい。親水性繰り返し単位の含有量が15質量%以下であると、単独で水性媒体中に溶解する成分量が抑えられ、顔料の分散などの諸性能が良好になり、インクジェット記録時には良好なインク吐出性が得られる。親水性繰り返し単位の好ましい含有割合は、水不溶性樹脂の全質量に対して、0質量%を超え15質量%以下であり、より好ましくは5〜15質量%であり、特に好ましくは8〜12質量%である。
芳香環の水不溶性樹脂中に含まれる含有割合は、水不溶性樹脂の全質量に対して、27質量%以下であるのが好ましく、25質量%以下であるのがより好ましく、20質量%以下であることが更に好ましい。中でも、15〜20質量%であるのが好ましく、17〜20質量%の範囲がより好ましい。芳香族環の含有割合が前記範囲内であると、耐擦過性が向上する。
以下、ポリマーの具体例を列挙する。但し、下記に限定されるものではない。
・フェノキシエチルアクリレート/メチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(50/45/5[質量比])
・フェノキシエチルアクリレート/ベンジルメタクリレート/イソブチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(30/35/29/6[質量比])
・フェノキシエチルメタクリレート/イソブチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(50/44/6[質量比])
・フェノキシエチルアクリレート/メチルメタクリレート/エチルアクリレート/アクリル酸共重合体(30/55/10/5[質量比])
・ベンジルメタクリレート/メチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(60/30/10[質量比])
・フェノキシエチルアクリレート/メチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(50/45/5[質量比])
・フェノキシエチルアクリレート/ベンジルメタクリレート/イソブチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(30/35/29/6[質量比])
・フェノキシエチルメタクリレート/イソブチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(50/44/6[質量比])
・フェノキシエチルアクリレート/メチルメタクリレート/エチルアクリレート/アクリル酸共重合体(30/55/10/5[質量比])
・ベンジルメタクリレート/メチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(60/30/10[質量比])
本発明における水不溶性樹脂の酸価としては、顔料分散性、保存安定性の観点から、30mgKOH/g以上100mgKOH/g以下であることが好ましく、30mgKOH/g以上85mgKOH/g以下であることがより好ましく、50mgKOH/g以上85mgKOH/g以下であることが特に好ましい。
酸価とは、水不溶性樹脂の1gを完全に中和するのに要するKOHの質量(mg)で定義され、JIS規格(JIS K 0070、1992)記載の方法により測定されるものである。
酸価とは、水不溶性樹脂の1gを完全に中和するのに要するKOHの質量(mg)で定義され、JIS規格(JIS K 0070、1992)記載の方法により測定されるものである。
本発明における水不溶性樹脂の分子量としては、重量平均分子量(Mw)で3万以上が好ましく、3万〜15万がより好ましく、更に好ましくは3万〜10万であり、特に好ましくは3万〜8万である。
水不溶性樹脂は、種々の重合方法、例えば溶液重合、沈澱重合、懸濁重合、沈殿重合、塊状重合、乳化重合により合成することができる。重合反応は、回分式、半連続式、連続式等の公知の操作で行なうことができる。重合の開始方法は、ラジカル開始剤を用いる方法、光又は放射線を照射する方法等がある。これらの重合方法、重合の開始方法は、例えば、鶴田禎二「高分子合成方法」改定版(日刊工業新聞社刊、1971)や大津隆行、木下雅悦共著「高分子合成の実験法」化学同人、昭和47年刊、124〜154頁に記載されている。
顔料のインク組成物中における含有量としては、インク組成物の全質量に対して、0.1質量%〜15質量%の範囲が好ましく、1質量%〜10質量%の範囲がより好ましい。
(ポリマー粒子)
本発明におけるインク組成物は、ポリマー粒子の少なくとも一種を含有する。水に対して非水溶性又は難水溶性のポリマー粒子を、顔料を被う前記樹脂とは別に含有することによって、インク組成物の記録媒体への定着性、及び形成画像の耐擦過性がより向上する。その一方、インクの吐出ヘッドへの付着、堆積が起きやすくなるが、本発明のインクセットは既述のメンテナンス液を用いて構成されるので、長期に亘りインクの吐出曲がりや不吐出等の吐出不良の発生を抑え、良好な画像形成性を保持することができる。
本発明におけるインク組成物は、ポリマー粒子の少なくとも一種を含有する。水に対して非水溶性又は難水溶性のポリマー粒子を、顔料を被う前記樹脂とは別に含有することによって、インク組成物の記録媒体への定着性、及び形成画像の耐擦過性がより向上する。その一方、インクの吐出ヘッドへの付着、堆積が起きやすくなるが、本発明のインクセットは既述のメンテナンス液を用いて構成されるので、長期に亘りインクの吐出曲がりや不吐出等の吐出不良の発生を抑え、良好な画像形成性を保持することができる。
ポリマーが「非水溶性又は難水溶性」であるとは、樹脂を105℃で2時間乾燥させた後、25℃の水100g中に溶解させたときに、その溶解量が15g以下であることをいう。インクの連続吐出性及び吐出安定性が向上する観点から、前記溶解量は好ましくは10g以下であり、更に好ましくは5g以下であり、特に好ましくは1g以下である。前記溶解量は、水不溶性ポリマーの塩生成基の種類に応じて、水酸化ナトリウム又は酢酸で100%中和した時の溶解量である。
水不溶性のポリマー粒子としては、例えば、熱可塑性、熱硬化性あるいは変性のアクリル系、エポキシ系、ポリウレタン系、ポリエーテル系、ポリアミド系、不飽和ポリエステル系、フェノール系、シリコーン系、又はフッ素系の樹脂、塩化ビニル、酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、又はポリビニルブチラール等のポリビニル系樹脂、アルキド樹脂、フタル酸樹脂等のポリエステル系樹脂、メラミン樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、アミノアルキド共縮合樹脂、ユリア樹脂、尿素樹脂等のアミノ系材料、あるいはそれらの共重合体又は混合物などの樹脂の粒子が挙げられる。これらのうち、アニオン性のアクリル系樹脂は、例えば、アニオン性基を有するアクリルモノマー(アニオン性基含有アクリルモノマー)及び必要に応じて該アニオン性基含有アクリルモノマーと共重合可能な他のモノマーを溶媒中で重合して得られる。前記アニオン性基含有アクリルモノマーとしては、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、及びホスホン酸基からなる群より選ばれる1以上を有するアクリルモノマーが挙げられる。中でも、カルボキシル基を有するアクリルモノマー(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、エタアクリル酸、プロピルアクリル酸、イソプロピルアクリル酸、イタコン酸、フマル酸等)が好ましく、特にはアクリル酸又はメタクリル酸が好ましい。
水不溶性のポリマー粒子としては、吐出安定性及び顔料を含む系の液安定性(特に分散安定性)の観点から、自己分散性ポリマー粒子が好ましい。自己分散性樹脂とは、界面活性剤の不存在下、転相乳化法により分散状態としたとき、ポリマー自身の官能基(特に酸性基又はその塩)により、水性媒体中で分散状態となりうる水不溶性ポリマーをいう。
ここで分散状態とは、水性媒体中に水不溶性ポリマーが液体状態で分散された乳化状態(エマルション)、及び、水性媒体中に水不溶性ポリマーが固体状態で分散された分散状態(サスペンジョン)の両方の状態を含むものである。
自己分散性樹脂においては、インク組成物に含有されたときのインク定着性の観点から、水不溶性ポリマーが固体状態で分散された分散状態となりうる自己分散性樹脂であることが好ましい。
ここで分散状態とは、水性媒体中に水不溶性ポリマーが液体状態で分散された乳化状態(エマルション)、及び、水性媒体中に水不溶性ポリマーが固体状態で分散された分散状態(サスペンジョン)の両方の状態を含むものである。
自己分散性樹脂においては、インク組成物に含有されたときのインク定着性の観点から、水不溶性ポリマーが固体状態で分散された分散状態となりうる自己分散性樹脂であることが好ましい。
自己分散性樹脂の乳化又は分散状態、すなわち自己分散性樹脂の水性分散物の調製方法としては、転相乳化法が挙げられる。転相乳化法としては、例えば、自己分散性樹脂を溶媒(例えば、水溶性有機溶剤等)中に溶解又は分散させた後、界面活性剤を添加せずにそのまま水中に投入し、自己分散性樹脂が有する塩生成基(例えば、酸性基)を中和した状態で、攪拌、混合し、前記溶媒を除去した後、乳化又は分散状態となった水性分散物を得る方法が挙げられる。
また、自己分散性樹脂における安定な乳化又は分散状態とは、水不溶性ポリマー30gを70gの有機溶剤(例えば、メチルエチルケトン)に溶解した溶液、該水不溶性ポリマーの塩生成基を100%中和できる中和剤(塩生成基がアニオン性であれば水酸化ナトリウム、カチオン性であれば酢酸)、及び水200gを混合、攪拌(装置:攪拌羽根付き攪拌装置、回転数200rpm、30分間、25℃)した後、該混合液から該有機溶剤を除去した後でも、乳化又は分散状態が、25℃で、少なくとも1週間安定に存在し、沈殿の発生が目視で確認できない状態であることをいう。
また、自己分散性樹脂における乳化又は分散状態の安定性は、遠心分離による沈降の加速試験によっても確認することができる。遠心分離による、沈降の加速試験による安定性は、例えば、上記の方法により得られたポリマー粒子の水性分散物を、固形分濃度25質量%に調整した後、12000rpmで一時間遠心分離し、遠心分離後の上澄みの固形分濃度を測定することによって評価できる。
遠心分離前の固形分濃度に対する遠心分離後の固形分濃度の比が大きければ(1に近い数値であれば)、遠心分離によるポリマー粒子の沈降が生じない、すなわち、ポリマー粒子の水性分散物がより安定であることを意味する。本発明においては、遠心分離前後での固形分濃度の比が0.8以上であることが好ましく、0.9以上であることがより好ましく、0.95以上であることが特に好ましい。
遠心分離前の固形分濃度に対する遠心分離後の固形分濃度の比が大きければ(1に近い数値であれば)、遠心分離によるポリマー粒子の沈降が生じない、すなわち、ポリマー粒子の水性分散物がより安定であることを意味する。本発明においては、遠心分離前後での固形分濃度の比が0.8以上であることが好ましく、0.9以上であることがより好ましく、0.95以上であることが特に好ましい。
自己分散性樹脂は、分散状態としたときに水溶性を示す水溶性成分の含有量が10質量%以下であることが好ましく、8質量%以下であることがより好ましく、6質量%以下であることがさらに好ましい。水溶性成分を10質量%以下とすることで、ポリマー粒子の膨潤やポリマー粒子同士の融着を効果的に抑制し、より安定な分散状態を維持することができる。また、インク組成物の粘度上昇を抑制でき、例えば、インク組成物をインクジェット法に適用する場合に、吐出安定性がより良好になる。
ここで水溶性成分とは、自己分散性樹脂に含有される化合物であって、自己分散性樹脂を分散状態にした場合に水に溶解する化合物をいう。前記水溶性成分は自己分散性樹脂を製造する際に、副生又は混入する水溶性の化合物である。
ここで水溶性成分とは、自己分散性樹脂に含有される化合物であって、自己分散性樹脂を分散状態にした場合に水に溶解する化合物をいう。前記水溶性成分は自己分散性樹脂を製造する際に、副生又は混入する水溶性の化合物である。
水不溶性樹脂の主鎖骨格としては、特に制限はなく、例えば、ビニルポリマー、縮合系ポリマー(エポキシ樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、セルロース、ポリエーテル、ポリウレア、ポリイミド、ポリカーボネート等)が挙げられる。中でも、特にビニルポリマーが好ましい。
ビニルポリマー及びビニルポリマーを構成するモノマーの好適な例としては、特開2001−181549号公報及び特開2002−88294号公報に記載されているものを挙げることができる。また、解離性基(あるいは解離性基に誘導できる置換基)を有する連鎖移動剤や重合開始剤、イニファーターを用いたビニルモノマーのラジカル重合や、開始剤或いは停止剤のどちらかに解離性基(あるいは解離性基に誘導できる置換基)を有する化合物を用いたイオン重合によって高分子鎖の末端に解離性基を導入したビニルポリマーも使用できる。
また、縮合系ポリマーと縮合系ポリマーを構成するモノマーの好適な例としては、特開2001−247787号公報に記載されているものを挙げることができる。
また、縮合系ポリマーと縮合系ポリマーを構成するモノマーの好適な例としては、特開2001−247787号公報に記載されているものを挙げることができる。
自己分散性樹脂の粒子は、自己分散性の観点から、親水性の構成単位と芳香族基含有モノマー又は環状脂肪族基含有モノマーに由来する構成単位とを含む水不溶性ポリマーを含むことが好ましい。
前記「親水性の構成単位」は、親水性基含有モノマーに由来するものであれば特に制限はなく、1種の親水性基含有モノマーに由来するものであっても、2種以上の親水性基含有モノマーに由来するものであってもよい。前記親水性基としては、特に制限はなく、解離性基であってもノニオン性親水性基であってもよい。前記親水性基は、自己分散促進の観点、形成された乳化又は分散状態の安定性の観点から、解離性基であることが好ましく、アニオン性の解離基であることがより好ましい。前記解離性基としては、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基などが挙げられ、中でも、インク組成物を構成した場合の定着性の観点から、カルボキシル基が好ましい。
親水性基含有モノマーは、自己分散性と凝集性の観点から、解離性基含有モノマーであることが好ましく、解離性基とエチレン性不飽和結合とを有する解離性基含有モノマーであることが好ましい。解離性基含有モノマーとしては、例えば、不飽和カルボン酸モノマー、不飽和スルホン酸モノマー、不飽和リン酸モノマー等が挙げられる。
前記不飽和カルボン酸モノマーの具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、2−メタクリロイルオキシメチルコハク酸等が挙げられる。また、前記不飽和スルホン酸モノマー及び前記不飽和リン酸モノマーの具体例については、特開2001−162692号公報の段落番号[0063]〜[0065]に記載されている。
前記解離性基含有モノマーの中では、分散安定性、吐出安定性の観点から、不飽和カルボン酸モノマーが好ましく、アクリル系モノマーがより好ましく、特にはアクリル酸及びメタクリル酸が好ましい。
前記解離性基含有モノマーの中では、分散安定性、吐出安定性の観点から、不飽和カルボン酸モノマーが好ましく、アクリル系モノマーがより好ましく、特にはアクリル酸及びメタクリル酸が好ましい。
自己分散性樹脂の粒子は、自己分散性と処理液を用いて画像形成する際の処理液接触時における凝集速度の観点から、カルボキシル基を有するポリマーを含むことが好ましく、カルボキシル基を有し、酸価が25mgKOH/g〜100mgKOH/gであるポリマーを含むことがより好ましい。更に、前記酸価は、自己分散性の観点から、30mgKOH/g〜90mgKOH/gであることがより好ましく、35mgKOH/g〜65mgKOH/gであることが特に好ましい。特に、酸価は、25mgKOH/g以上であると、自己分散性の安定性が良好になり、100mgKOH/g以下であると凝集性が向上する。
前記芳香族基含有モノマーは、芳香族基と重合性基とを含む化合物であれば特に制限はない。前記芳香族基は芳香族炭化水素に由来する基であっても、芳香族複素環に由来する基であってもよい。本発明においては水性媒体中での粒子形状安定性の観点から、芳香族炭化水素に由来する芳香族基であることが好ましい。
また、前記重合性基は、縮重合性の重合性基でも付加重合性の重合性基でもよい。本発明においては水性媒体中での粒子形状安定性の観点から、付加重合性の重合性基であることが好ましく、エチレン性不飽和結合を含む基であることがより好ましい。
また、前記重合性基は、縮重合性の重合性基でも付加重合性の重合性基でもよい。本発明においては水性媒体中での粒子形状安定性の観点から、付加重合性の重合性基であることが好ましく、エチレン性不飽和結合を含む基であることがより好ましい。
芳香族基含有モノマーは、芳香族炭化水素に由来する芳香族基とエチレン性不飽和結合とを有するモノマーであることが好ましい。芳香族基含有モノマーは、1種単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。芳香族基含有モノマーとしては、例えば、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、スチレン系モノマー等が挙げられる。中でも、ポリマー鎖の親水性と疎水性のバランスとインク定着性の観点から、芳香族基含有(メタ)アクリレートモノマーが好ましく、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、及びフェニル(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも1種がより好ましく、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートが更に好ましい。
なお、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
なお、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
前記環状脂肪族基含有モノマーは、環状脂肪族炭化水素に由来する環状脂肪族基とエチレン性不飽和結合とを有するモノマーであることが好ましく、環状脂肪族基含有(メタ)アクリレートモノマー(以下、脂環式(メタ)アクリレートということがある)がより好ましい。
脂環式(メタ)アクリレートとは、(メタ)アクリル酸に由来する構造部位と、アルコールに由来する構造部位とを含み、アルコールに由来する構造部位に、無置換又は置換された脂環式炭化水素基(環状脂肪族基)を少なくとも1つ含む構造を有しているものである。尚、前記脂環式炭化水素基は、アルコールに由来する構造部位そのものであっても、連結基を介してアルコールに由来する構造部位に結合していてもよい。
脂環式(メタ)アクリレートとは、(メタ)アクリル酸に由来する構造部位と、アルコールに由来する構造部位とを含み、アルコールに由来する構造部位に、無置換又は置換された脂環式炭化水素基(環状脂肪族基)を少なくとも1つ含む構造を有しているものである。尚、前記脂環式炭化水素基は、アルコールに由来する構造部位そのものであっても、連結基を介してアルコールに由来する構造部位に結合していてもよい。
脂環式炭化水素基としては、環状の非芳香族炭化水素基を含むものであれば特に限定はなく、単環式炭化水素基、2環式炭化水素基、3環式以上の多環式炭化水素基が挙げられる。脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基や、シクロアルケニル基、ビシクロヘキシル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、ジシクロペンタニル基、ジシクロペンテニル基、アダマンチル基、デカヒドロナフタレニル基、ペルヒドロフルオレニル基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニル基、及びビシクロ[4.3.0]ノナン等を挙げることができる。前記脂環式炭化水素基は、更に置換基を有してもよい。脂環式炭化水素基は、さらに縮合環を形成していてもよい。本発明における脂環式炭化水素基としては、粘度や溶解性の観点から、脂環式炭化水素基部分の炭素数が5〜20であることが好ましい。
脂環式(メタ)アクリレートの具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
単環式(メタ)アクリレートとしては、シクロプロピル(メタ)アクリレート、シクロブチル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘプチル(メタ)アクリレート、シクロオクチル(メタ)アクリレート、シクロノニル(メタ)アクリレート、シクロデシル(メタ)アクリレート等のシクロアルキル基の炭素数が3〜10のシクロアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。2環式(メタ)アクリレートとしては、イソボルニル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。3環式(メタ)アクリレートとしては、アダマンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
単環式(メタ)アクリレートとしては、シクロプロピル(メタ)アクリレート、シクロブチル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘプチル(メタ)アクリレート、シクロオクチル(メタ)アクリレート、シクロノニル(メタ)アクリレート、シクロデシル(メタ)アクリレート等のシクロアルキル基の炭素数が3〜10のシクロアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。2環式(メタ)アクリレートとしては、イソボルニル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。3環式(メタ)アクリレートとしては、アダマンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
これらのうち、自己分散性ポリマー粒子の分散安定性と定着性、ブロッキング耐性の観点から、2環式又は3環式以上の(メタ)アクリレートであることが好ましく、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、及びジシクロペンタニル(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも1種であることがより好ましい。
自己分散性樹脂は、(メタ)アクリレートモノマーに由来する構成単位を含むアクリル系樹脂が好ましく、芳香族基含有(メタ)アクリレートモノマー又は脂環式(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含むアクリル系樹脂が好ましく、更には、芳香族基含有(メタ)アクリレートモノマー又は脂環式(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含み、その含有量が10質量%〜95質量%であることが好ましい。芳香族基含有(メタ)アクリレートモノマー又は脂環式(メタ)アクリレートの含有量が10質量%〜95質量%であることで、自己乳化又は分散状態の安定性が向上し、更にインク粘度の上昇を抑制することができる。
自己分散状態の安定性、芳香環同士の疎水性相互作用による水性媒体中での粒子形状の安定化、粒子の適度な疎水化による水溶性成分量の低下の観点から、15質量%〜90質量%であることがより好ましく、15質量%〜80質量%であることがより好ましく、25質量%〜70質量%であることが特に好ましい。
自己分散状態の安定性、芳香環同士の疎水性相互作用による水性媒体中での粒子形状の安定化、粒子の適度な疎水化による水溶性成分量の低下の観点から、15質量%〜90質量%であることがより好ましく、15質量%〜80質量%であることがより好ましく、25質量%〜70質量%であることが特に好ましい。
自己分散性樹脂は、例えば、芳香族基含有モノマー又は環状脂肪族基含有モノマー(好ましくは脂環式(メタ)アクリレート)に由来する構成単位と、解離性基含有モノマーに由来する構成単位とを用いて構成することができる。更に、必要に応じて、その他の構成単位を更に含んでもよい。
前記その他の構成単位を形成するモノマーとしては、前記芳香族基含有モノマーと解離性基含有モノマーと共重合可能なモノマーであれば特に制限はない。中でも、ポリマー骨格の柔軟性やガラス転移温度(Tg)制御の容易さの観点から、アルキル基含有モノマー(例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート)であることが好ましい。
自己分散性樹脂の粒子を構成する水不溶性ポリマーの分子量としては、重量平均分子量で3000〜20万であることが好ましく、5000〜15万であることがより好ましく、10000〜10万であることが更に好ましい。重量平均分子量を3000以上とすることで水溶性成分量を効果的に抑制することができる。また、重量平均分子量を20万以下とすることで、自己分散安定性を高めることができる。
なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で測定される。GPCの詳細については、既述した通りである。
なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で測定される。GPCの詳細については、既述した通りである。
自己分散性樹脂の粒子を構成する水不溶性ポリマーは、ポリマーの親疎水性制御の観点から、芳香族基含有(メタ)アクリレートモノマーに由来する構造単位あるいは環状脂肪族基含有モノマー(好ましくは脂環式(メタ)アクリレート)を共重合比率として自己分散性ポリマー粒子の全質量の15質量%〜80質量%を含むことが好ましい。
更には、水不溶性ポリマーは、ポリマーの親疎水性制御の観点から、芳香族基含有(メタ)アクリレートモノマーに由来する構成単位(好ましくは、フェノキシエチル(メタ)アクリレート由来の構造単位及び/又はベンジル(メタ)アクリレート由来の構造単位)又は脂環式(メタ)アクリレートに由来する構成単位(好ましくは、イソボルニル(メタ)アクリレート由来の構造単位及び/又はアダマンチル(メタ)アクリレート由来の構造単位及び/又はジシクロペンタニル(メタ)アクリレート)由来の構造単位)を共重合比率として15〜80質量%と、カルボキシル基含有モノマーに由来する構成単位と、アルキル基含有モノマーに由来する構成単位(好ましくは(メタ)アクリル酸の(炭素数1〜4の)アルキルエステルに由来する構造単位)とを含むことが好ましい。
更には、水不溶性ポリマーは、ポリマーの親疎水性制御の観点から、芳香族基含有(メタ)アクリレートモノマーに由来する構成単位(好ましくは、フェノキシエチル(メタ)アクリレート由来の構造単位及び/又はベンジル(メタ)アクリレート由来の構造単位)又は脂環式(メタ)アクリレートに由来する構成単位(好ましくは、イソボルニル(メタ)アクリレート由来の構造単位及び/又はアダマンチル(メタ)アクリレート由来の構造単位及び/又はジシクロペンタニル(メタ)アクリレート)由来の構造単位)を共重合比率として15〜80質量%と、カルボキシル基含有モノマーに由来する構成単位と、アルキル基含有モノマーに由来する構成単位(好ましくは(メタ)アクリル酸の(炭素数1〜4の)アルキルエステルに由来する構造単位)とを含むことが好ましい。
ポリマー粒子を形成する水不溶性樹脂の具体例としては、フェノキシエチルアクリレート/メチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(50/45/5)、フェノキシエチルアクリレート/ベンジルメタクリレート/イソブチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(30/35/29/6)、フェノキシエチルメタクリレート/イソブチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(50/44/6)、フェノキシエチルアクリレート/メチルメタクリレート/エチルアクリレート/アクリル酸共重合体(30/55/10/5)、ベンジルメタクリレート/イソブチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(35/59/6)、スチレン/フェノキシエチルアクリレート/メチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(10/50/35/5)、ベンジルアクリレート/メチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(55/40/5)、フェノキシエチルメタクリレート/ベンジルアクリレート/メタクリル酸共重合体(45/47/8)、スチレン/フェノキシエチルアクリレート/ブチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(5/48/40/7)、ベンジルメタクリレート/イソブチルメタクリレート/シクロヘキシルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(35/30/30/5)、フェノキシエチルアクリレート/メチルメタクリレート/ブチルアクリレート/メタクリル酸共重合体(12/50/30/8)、ベンジルアクリレート/イソブチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(93/2/5)、メチルメタクリレート/メトキシエチルアクリレート/ベンジルメタクリレート/アクリル酸共重合体(44/15/35/6)、スチレン/ブチルアクリレート/アクリル酸共重合体(62/35/3)、メチルメタクリレート/フェノキシエチルアクリレート/アクリル酸共重合体(45/51/4)、メチルメタクリレート/イソボルニルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(20/72/8)、メチルメタクリレート/イソボルニルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(40/52/8)、メチルメタクリレート/イソボルニルメタクリレート/ジシクロペンタニルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(20/62/10/8)、メチルメタクリレート/ジシクロペンタニルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(20/72/8)、等が挙げられる。なお、括弧内は、共重合成分の質量比を表す。
ポリマー粒子を形成する不溶性樹脂は、有機溶媒中で合成されたポリマーを含み、該ポリマーはアニオン性基(例えばカルボキシル基)を有し、該ポリマーのアニオン性基(例えばカルボキシル基)の一部又は全部は中和され、水を連続相とするポリマー分散物(分散体)として調製されたものであることが好ましい。すなわち、水不溶性ポリマー粒子の製造は、有機溶媒中でポリマーを合成する工程と、前記ポリマーのアニオン性基(例えばカルボキシル基)の少なくとも一部が中和された水性分散物とする分散工程とを設けて行なうことが好ましい。前記分散工程は、次の工程(1)及び工程(2)を含むことが好ましい。
・工程(1):ポリマー(水不溶性ポリマー)、有機溶媒、中和剤、及び水性媒体を含有する混合物を、攪拌する工程
・工程(2):前記混合物から前記有機溶媒を除去する工程
・工程(1):ポリマー(水不溶性ポリマー)、有機溶媒、中和剤、及び水性媒体を含有する混合物を、攪拌する工程
・工程(2):前記混合物から前記有機溶媒を除去する工程
前記工程(1)は、まずポリマー(水不溶性ポリマー)を有機溶媒に溶解させ、次に中和剤と水性媒体を徐々に加えて混合、攪拌して分散体を得る処理であることが好ましい。このように、有機溶媒中に溶解した水不溶性ポリマー溶液中に中和剤と水性媒体を添加することで、強いせん断力を必要とせずに、より保存安定性の高い粒径の自己分散性ポリマー粒子を得ることができる。混合物の攪拌方法に特に制限はなく、一般に用いられる混合攪拌装置や、必要に応じて超音波分散機や高圧ホモジナイザー等の分散機を用いることができる。また、前記工程(2)においては、前記工程(1)で得られた分散体から、減圧蒸留等の常法により有機溶剤を留去して水系へと転相することで自己分散性ポリマー粒子の水性分散物を得ることができる。得られた水性分散物中の有機溶媒は実質的に除去されており、有機溶媒の量は、好ましくは0.2質量%以下、更に好ましくは0.1質量%以下である。
前記有機溶媒としては、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒及びエーテル系溶媒が好ましく挙げられる。有機溶媒としては、特開2010−188661号公報の段落0059に例示された有機溶媒を用いることができる。
前記中和剤としては、特開2010−188661号公報の段落0060〜0061に例示された中和剤を用いることができる。
前記中和剤としては、特開2010−188661号公報の段落0060〜0061に例示された中和剤を用いることができる。
自己分散性樹脂の粒子の平均粒子径は、体積平均粒子径で10nm〜400nmの範囲が好ましい。また、自己分散性樹脂の粒子の粒径分布に関しては、特に制限はなく、広い粒径分布を持つもの又は単分散の粒径分布を持つもののいずれでもよい。また、水不溶性粒子を2種以上混合して使用してもよい。
ポリマー粒子のインク組成物中における含有量としては、インク組成物の全量(質量基準)に対して、0.5質量%〜10質量%が好ましく、1質量%〜9質量%がより好ましい。ポリマー粒子の含有量が0.5質量%以上であると、画像の耐擦過性が向上する。また、ポリマー粒子の含有量が10質量%以下であると、インク組成物を調整したときに長期に亘る吐出安定性の点で有利である。
(水)
本発明におけるインク組成物は、水を用いて構成することができる。水の量には、特に制限はないが、安定性及び吐出信頼性の確保の点で、好ましくは10質量%以上99質量%以下である。
本発明におけるインク組成物は、水を用いて構成することができる。水の量には、特に制限はないが、安定性及び吐出信頼性の確保の点で、好ましくは10質量%以上99質量%以下である。
(尿素又はその誘導体)
本発明のインク組成物は、尿素又はその誘導体を含有することが好ましい。尿素及びその誘導体は、顔料を含むインク組成物が付着した場合のワイピング等によるクリーニング性が向上する。特に前記ポリマー粒子を含有する場合に、乾燥固化したときの拭き取り性(ワイピング性)が改善される。
本発明のインク組成物は、尿素又はその誘導体を含有することが好ましい。尿素及びその誘導体は、顔料を含むインク組成物が付着した場合のワイピング等によるクリーニング性が向上する。特に前記ポリマー粒子を含有する場合に、乾燥固化したときの拭き取り性(ワイピング性)が改善される。
尿素の誘導体の例としては、尿素の窒素上の水素をアルキル基もしくはアルカノールで置換した化合物、チオ尿素、チオ尿素の窒素上の水素をアルキル基もしくはアルカノールで置換した化合物等が挙げられ、具体的には、N,N−ジメチル尿素、チオ尿素、エチレン尿素、ヒドロキシエチル尿素、ヒドロキシブチル尿素、エチレンチオ尿素、ジエチルチオ尿素等が挙げられる。
尿素及びその誘導体のインク組成物中における含有量としては、インク組成物の全質量に対して、1.0質量%以上20.0質量%以下が好ましく、2.0質量%以上15.0質量%以下がより好ましい。
尿素及びその誘導体の含有量が1.0質量%以上であると、インクが付着した場合により拭き取り易くなり、メンテナンス性が向上する。また、尿素及びその誘導体の含有量が20.0質量%以下であると、画像中に含まれる尿素及びその誘導体の吸湿によるベタツキ防止、ブロッキング防止の点で有利である。
尿素及びその誘導体の含有量が1.0質量%以上であると、インクが付着した場合により拭き取り易くなり、メンテナンス性が向上する。また、尿素及びその誘導体の含有量が20.0質量%以下であると、画像中に含まれる尿素及びその誘導体の吸湿によるベタツキ防止、ブロッキング防止の点で有利である。
(他の成分)
本発明におけるインク組成物は、前記成分のほか、必要に応じて、その他の成分を含むことができる。その他の成分としては、例えば、界面活性剤、紫外線吸収剤、褪色防止剤、防黴剤、pH調整剤、防錆剤、酸化防止剤、乳化安定剤、防腐剤、消泡剤、粘度調整剤、分散安定剤、キレート剤等の公知の添加剤が挙げられる。
本発明におけるインク組成物は、前記成分のほか、必要に応じて、その他の成分を含むことができる。その他の成分としては、例えば、界面活性剤、紫外線吸収剤、褪色防止剤、防黴剤、pH調整剤、防錆剤、酸化防止剤、乳化安定剤、防腐剤、消泡剤、粘度調整剤、分散安定剤、キレート剤等の公知の添加剤が挙げられる。
本発明におけるインク組成物のpHは、特に限定されるものではないが、インク組成物中に含まれる色材の凝集を防ぎ、かつ洗浄性の観点から、25℃におけるpHはpH6.5〜12の範囲が好ましく、pH7〜10の範囲がより好ましい。インク組成物のpHを上記範囲に調整するために、必要に応じて上述の水溶性塩基性物質などのpH調整剤を使用することができる。
本発明のインクセットは、顔料を含むインク組成物と既述の本発明のメンテナンス液とを設けて構成される。メンテナンス液の構成は、既述の本発明のメンテナンス液と同義であり、好ましい例も同様である。
本発明のインクジェット記録用メンテナンス液及びインクセットは、インクジェット記録に用いられるものであり、具体的には、インクジェット記録用のインクにエネルギーを供与して、公知の受像材料(例えば、普通紙、樹脂コート紙、インクジェット専用紙、フィルム、電子写真共用紙、布帛、ガラス、金属、陶磁器等)に画像を記録する場合に用いられる。
<画像形成方法>
本発明の画像形成方法は、既述の本発明のインクジェット記録用インクセットが用いられ、インク組成物をインクジェット記録用ヘッドから吐出することで、インク組成物を記録媒体に付与するインク付与工程と、インクジェット記録用ヘッドに付着したインク組成物をインクジェット記録用メンテナンス液により除去するインク除去工程とを設けて構成されている。本発明の画像形成方法は、更に、インク組成物中の成分を凝集させる凝集成分を含有する処理液を記録媒体に付与する処理液付与工程を設けて好適に構成することができる。
本発明の画像形成方法は、既述の本発明のインクジェット記録用インクセットが用いられ、インク組成物をインクジェット記録用ヘッドから吐出することで、インク組成物を記録媒体に付与するインク付与工程と、インクジェット記録用ヘッドに付着したインク組成物をインクジェット記録用メンテナンス液により除去するインク除去工程とを設けて構成されている。本発明の画像形成方法は、更に、インク組成物中の成分を凝集させる凝集成分を含有する処理液を記録媒体に付与する処理液付与工程を設けて好適に構成することができる。
本発明の画像形成方法は、本発明のインクジェット記録用メンテナンス液を用いた構成であることで、既述のように、顔料及びポリマー粒子を含むためにインク吐出ヘッドの表面に付着しやすく、乾燥後には溶解、除去し難いインク、特に乾燥により固形化したインク固形物の溶解性に優れるので、長期に亘り安定した画像形成性が保持される。これにより、洗浄後ふき取る等の過程で、例えばミスト状の微粒のインクが乾燥固化したようなインク固化物によって、吐出孔が閉塞され、吐出孔付近に堆積物が発生する等の現象が防止される。
−インク付与工程−
本発明におけるインク付与工程は、インク組成物をインクジェット記録用ヘッドから吐出することで、インク組成物を記録媒体に付与し、記録媒体上に画像形成する。本工程では、記録媒体上にインク組成物を付与でき、所望の可視画像を形成できる。なお、インク組成物の詳細については既述の通りである。
本発明におけるインク付与工程は、インク組成物をインクジェット記録用ヘッドから吐出することで、インク組成物を記録媒体に付与し、記録媒体上に画像形成する。本工程では、記録媒体上にインク組成物を付与でき、所望の可視画像を形成できる。なお、インク組成物の詳細については既述の通りである。
インクジェット法は、特に制限はなく、公知の方式、例えば、静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、電気信号を音響ビームに変えインクに照射して放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット方式、及びインクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット(バブルジェット(登録商標))方式等のいずれであってもよい。インクジェット法としては、特に、特開昭54−59936号公報に記載の方法で、熱エネルギーの作用を受けたインクが急激な体積変化を生じ、この状態変化による作用力によって、インクをノズルから吐出させるインクジェット法を有効に利用することができる。
尚、前記インクジェット法には、フォトインクと称する濃度の低いインクを小さい体積で多数射出する方式、実質的に同じ色相で濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式や無色透明のインクを用いる方式が含まれる。
尚、前記インクジェット法には、フォトインクと称する濃度の低いインクを小さい体積で多数射出する方式、実質的に同じ色相で濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式や無色透明のインクを用いる方式が含まれる。
インクジェット法で用いるインクジェットヘッドは、オンデマンド方式でもコンティニュアス方式でも構わない。また、吐出方式としては、電気−機械変換方式(例えば、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型、シェアードウォール型等)、電気−熱変換方式(例えば、サーマルインクジェット型、バブルジェット(登録商標)型等)、静電吸引方式(例えば、電界制御型、スリットジェット型等)及び放電方式(例えば、スパークジェット型等)などを具体的な例として挙げることができるが、いずれの吐出方式を用いてもよい。なお、前記インクジェット法により記録を行う際に使用するインクノズル等については特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができる。
インクジェットヘッドとしては、単尺のシリアルヘッドを用い、ヘッドを記録媒体の幅方向に走査させながら記録を行なうシャトル方式と、記録媒体の1辺の全域に対応して記録素子が配列されているラインヘッドを用いたライン方式とがある。ライン方式では、記録素子の配列方向と直交する方向に記録媒体を走査させることで記録媒体の全面に画像記録を行なうことができ、短尺ヘッドを走査するキャリッジ等の搬送系が不要となる。また、キャリッジの移動と記録媒体との複雑な走査制御が不要になり、記録媒体だけが移動するので、シャトル方式に比べて記録速度の高速化が実現できる。
本発明の画像形成方法は、これらのいずれにも適用可能であるが、一般にダミージェットを行なわないライン方式に適用した場合に、吐出精度及び画像の耐擦過性の向上効果が大きい。
本発明の画像形成方法は、これらのいずれにも適用可能であるが、一般にダミージェットを行なわないライン方式に適用した場合に、吐出精度及び画像の耐擦過性の向上効果が大きい。
インク付与工程では、高精細印画の観点から、付与(打滴)されるインク滴の液滴量が1.5pL〜3.0pLであることが好ましく、1.5pL〜2.5pLであることがより好ましい。
なお、インク滴の液滴量は、打滴するインク組成物に応じて、インクジェット法における吐出条件を適宜選択することで調整することができる。
なお、インク滴の液滴量は、打滴するインク組成物に応じて、インクジェット法における吐出条件を適宜選択することで調整することができる。
−インク除去工程−
本発明におけるインク除去工程は、前記インク付与工程でインク組成物を吐出することにより、インクジェット記録用ヘッドに付着したインク組成物(例えば乾燥により固形化したインク固形物)をインクジェット記録用メンテナンス液により除去する。本工程で用いるメンテナンス液の構成及び好ましい態様などの詳細については、既述した通りである。
本発明におけるインク除去工程は、前記インク付与工程でインク組成物を吐出することにより、インクジェット記録用ヘッドに付着したインク組成物(例えば乾燥により固形化したインク固形物)をインクジェット記録用メンテナンス液により除去する。本工程で用いるメンテナンス液の構成及び好ましい態様などの詳細については、既述した通りである。
インク除去工程では、ヘッドのノズル面からインク組成物を除去するために、ヘッド(例えば、ヘッド周辺及びインク流路等;以下、「ヘッド等」ともいう。)にメンテナンス液を付与する。メンテナンス液をヘッド等に付与することにより、インク組成物は溶解、膨潤等する。
メンテナンス液の付与は、例えば、インクジェット法による吐出、ローラを用いた塗布、噴霧などにより行なえるが、例えば特開2011−73295号公報や特開2011−73339号公報等に記載の水頭差を利用してメンテナンス液(洗浄液)塗布ユニット上にメンテナンス液柱を形成させ、そこをインクジェット記録用ヘッドが通過する際に、ヘッドとメンテナンス液塗布ユニット間に液膜が形成され、ヘッドにメンテナンス液が付与されることが好ましい。
また、メンテナンス液を付与する前又は後に、ブレードによる掻き取り、布や紙類での払拭により、インク組成物を除去することが好ましい。好ましい方法としては、メンテナンス液を付与後にワイパブレードを用いてノズル面を擦って(ワイピングして)インク組成物を掻き落とす方法、風圧やメンテナンス液等の液圧等によりインク組成物を取り除く方法、布や紙類でインク組成物を払拭する方法が挙げられ、特に布や紙類でインク組成物を払拭する方法が好ましい。常に新しい布で払拭する方法として、例えば特開2010−241127号公報により、払拭部材の交換頻度を低減し装置をコンパクトにする方法が開示されている。
前記ワイパブレードの材質は、弾性を有するゴムが好ましい。具体的な材質としては、ブチルゴム、クロプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム、ニトリルゴム等が挙げられる。ワイパブレードに撥インク性を付与するため、フッ素樹脂等によりコーティングを施したワイパブレードを用いてもよい。
メンテナンス液の付与量としては、インク組成物を溶解、膨潤等できる量であれば特に制限はないが、好ましくは、1g/m2〜100g/m2である。
−処理液付与工程−
本発明における処理液付与工程は、インク組成物中の成分を凝集させる凝集成分を含有する処理液を記録媒体に付与する。記録媒体上でインク組成物と凝集成分とが混合することで、インク組成物中で安定的に分散している顔料等の凝集が促進される。
本発明における処理液付与工程は、インク組成物中の成分を凝集させる凝集成分を含有する処理液を記録媒体に付与する。記録媒体上でインク組成物と凝集成分とが混合することで、インク組成物中で安定的に分散している顔料等の凝集が促進される。
処理液の付与は、塗布法、インクジェット法、浸漬法などの公知の方法を適用して行なうことができる。塗布法としては、バーコーター、エクストルージョンダイコーター、エアードクターコーター、ブレッドコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、リバースロールコーター、バーコーター等を用いた公知の塗布方法によって行なうことができる。インクジェット法の詳細については、既述の通りである。
凝集成分としては、画像品質の観点から、カチオンポリマー、酸性化合物、及び多価金属塩から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
前記カチオンポリマーとしては、カチオン性基として、第1級〜第3級アミノ基、又は第4級アンモニウム塩基を有するポリマーが好適に用いられる。カチオンポリマーは、第1級〜第3級アミノ基及びその塩、又は第4級アンモニウム塩基を有する単量体(カチオン性モノマー)の単独重合体や、該カチオン性モノマーと他のモノマー(非カチオン性モノマー)との共重合体又は縮重合体として得られるものが好ましい。これらポリマーは、水溶性ポリマー又は水分散性ラテックス粒子のいずれの形態で用いてもよい。具体的には、ポリ(ビニルピリジン)塩、ポリアルキルアミノエチルアクリレート、ポリアルキルアミノエチルメタクリレート、ポリ(ビニルイミダゾール)、ポリエチレンイミン、ポリビグアニド、ポリグアニド、及びエピハロヒドリン誘導体とアミン誘導体とを含むコポリマー、及びそれらの組み合わせ等から選択される。
処理液は、カチオンポリマーに加え、水系溶媒(例えば水)を用いて構成できる。
処理液中のカチオンポリマーの含有率は、凝集効果の点で、処理液全量に対して、5〜95質量%が好ましく、10質量%〜80質量%がより好ましい。
処理液中のカチオンポリマーの含有率は、凝集効果の点で、処理液全量に対して、5〜95質量%が好ましく、10質量%〜80質量%がより好ましい。
前記酸性化合物としては、インク組成物のpHを変化させ得る化合物が挙げられる。酸性化合物としては、リン酸基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基、硫酸基、スルホン酸基、スルフィン酸基、又はカルボキシル基を有する化合物又はその塩(例えば多価金属塩)が挙げられる。中でも、インク組成物の凝集速度の観点から、リン酸基又はカルボキシル基を有する化合物が好ましく、カルボキシル基を有する化合物が更に好ましい。カルボキシル基を有する化合物としては、ポリアクリル酸、酢酸、グリコール酸、マロン酸、リンゴ酸、マレイン酸、アスコルビン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、スルホン酸、オルトリン酸、ピロリドンカルボン酸、ピロンカルボン酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ピリジンカルボン酸、クマリン酸、チオフェンカルボン酸、ニコチン酸、若しくはこれらの化合物の誘導体、又はこれらの塩(例えば多価金属塩)等が挙げられる。
前記酸性化合物を用いる場合、処理液のpH(25℃)は、インク組成物の凝集速度の観点から、0.5〜3.0の範囲が好ましく、0.6〜2.0の範囲がより好ましく、0.7〜1.5の範囲が更に好ましい。このとき、インク組成物のpH(25℃)は、7.5以上(好ましくは8以上)であることが好ましい。中でも、画像濃度、解像度、及び記録の高速化の点で、インク組成物のpH(25℃)≧7.5かつ処理液のpH(25℃)=0.7〜1.5である場合が好ましい。
処理液中における酸性化合物の含有量は、凝集効果の点で、処理液全量に対して、5〜95質量%が好ましく、10質量%〜80質量%がより好ましい。
前記多価金属塩としては、周期表の第2属のアルカリ土類金属(例えば、マグネシウム、カルシウム)、周期表の第3属の遷移金属(例えば、ランタン)、周期表の第13属からのカチオン(例えば、アルミニウム)、及びランタニド類(例えば、ネオジム)の塩を挙げることができる。金属の塩としては、カルボン酸塩(蟻酸、酢酸、安息香酸塩など)、硝酸塩、塩化物、及びチオシアン酸塩が好適である。中でも、好ましくは、カルボン酸(蟻酸、酢酸、安息香酸塩など)のカルシウム塩又はマグネシウム塩、硝酸のカルシウム塩又はマグネシウム塩、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、及びチオシアン酸のカルシウム塩又はマグネシウム塩である。
多価金属塩の処理液中における含有量は、1質量%〜10質量%が好ましく、より好ましくは1.5質量%〜7.0質量%であり、更に好ましくは2質量%〜6質量%である。
多価金属塩の処理液中における含有量は、1質量%〜10質量%が好ましく、より好ましくは1.5質量%〜7.0質量%であり、更に好ましくは2質量%〜6質量%である。
処理液の粘度は、インク組成物の凝集速度の観点から、1mPa・s〜30mPa・sが好ましく、1mPa・s〜20mPa・sがより好ましく、2mPa・s〜15mPa・sが更に好ましく、2mPa・s〜10mPa・sが特に好ましい。粘度は、VISCOMETER TV−22(TOKI SANGYO CO.LTD製)を用いて20℃で測定される値である。また、処理液の表面張力は、インク組成物の凝集速度の観点から、20mN/m〜60mN/mが好ましく、20mN/m〜45mN/mがより好ましく、25mN/m〜40mN/mが更に好ましい。表面張力は、Automatic Surface Tensiometer CBVP−Z(協和界面科学(株)製)を用いて25℃で測定される値である。
処理液付与工程は、インク組成物を用いたインク付与工程の前後のいずれに設けられてもよいが、インク付与工程前に設けられた態様が好ましい。記録媒体上に、インク組成物を付与(打滴)する前に、予めインク組成物中の成分(樹脂粒子など)を凝集させるための処理液を付与しておき、記録媒体上に付与された処理液に接触するようにインク組成物を打滴して画像化する。これにより、インクジェット記録をより高速化することができ、高速記録しても濃度、解像度の高い画像が得られる。
また、処理液を記録媒体上に付与した後、インク組成物が付与されるまでの間に、記録媒体上の処理液を加熱乾燥することが好ましい。これにより、にじみ防止などのインク着色性が良好になり、色濃度及び色相の良好な可視画像を記録できる。
加熱乾燥は、ヒータ等の公知の加熱手段やドライヤー等の送風を利用した送風手段、あるいはこれらを組み合わせた手段により行なえる。
加熱方法としては、例えば、記録媒体の処理液の付与面と反対側からヒータ等で熱を与える方法や、記録媒体の処理液の付与面に温風又は熱風をあてる方法、赤外線ヒータを用いた加熱法などが挙げられ、これらの複数を組み合わせて加熱してもよい。
加熱方法としては、例えば、記録媒体の処理液の付与面と反対側からヒータ等で熱を与える方法や、記録媒体の処理液の付与面に温風又は熱風をあてる方法、赤外線ヒータを用いた加熱法などが挙げられ、これらの複数を組み合わせて加熱してもよい。
<メンテナンス方法>
本発明のメンテナンス法は、インク組成物が付着したインクジェット記録用インク吐出ヘッドに対し、既述の本発明のインクジェット記録用メンテナンス液を付与し、インクジェット記録用インク吐出ヘッド上のインク組成物を除去する構成としたものである。メンテナンス液の構成及び好ましい態様などの詳細については、既述の通りである。
本発明のメンテナンス法は、インク組成物が付着したインクジェット記録用インク吐出ヘッドに対し、既述の本発明のインクジェット記録用メンテナンス液を付与し、インクジェット記録用インク吐出ヘッド上のインク組成物を除去する構成としたものである。メンテナンス液の構成及び好ましい態様などの詳細については、既述の通りである。
既述したように、本発明のインクジェット記録用メンテナンス液は、インク固形物の溶解性が高いので、インクジェット記録用インク吐出ヘッドにメンテナンス液を付与することで、溶解除去しやすく、その後に拭き取る等の操作によって、吐出孔の閉塞や吐出孔付近の堆積助長等の弊害を招来することがない。
インク組成物の除去は、ヘッドのノズル面に付着するインク組成物を除去するため、ヘッド(例えばヘッド周辺及びインク流路等(ヘッド等))にメンテナンス液を付与する。メンテナンス液をヘッド等に付与することにより、インク組成物は溶解、膨潤等する。
メンテナンス液の付与は、例えば、インクジェット法による吐出、ローラを用いた塗布、噴霧などにより行なえる。具体的な一例として、特開2011−73295号や特開2011−73339号等の公報に記載の水頭差を利用してメンテナンス液(洗浄液)塗布ユニット上にメンテナンス液柱を形成させ、そこをインクジェット記録用ヘッドが通過する際に、ヘッドとメンテナンス液塗布ユニット間に液膜が形成され、ヘッドにメンテナンス液が付与される方法でもよい。
メンテナンス法は、既述の本発明の画像形成方法におけるインク除去工程と同様の操作により行なうことができる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明の範囲は以下に示す実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で測定した。GPCは、HLC−8020GPC(東ソー(株)製)を用い、カラムとして、TSKgel、Super Multipore HZ−H(東ソー(株)製、4.6mmID×15cm)を3本用い、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いた。また、条件としては、試料濃度を0.35%、流速を0.35mL/min、サンプル注入量を10μL、測定温度を40℃とし、RI検出器を用いて行なった。また、検量線は、東ソー(株)製「標準試料TSK standard,polystyrene」:「F−40」、「F−20」、「F−4」、「F−1」、「A−5000」、「A−2500」、「A−1000」、「n−プロピルベンゼン」の8サンプルから作製した。
また、ポリマーの酸価は、JIS規格(JIS K0070:1992)記載の方法により求めた。
また、ポリマーの酸価は、JIS規格(JIS K0070:1992)記載の方法により求めた。
(実施例1)
−メンテナンス液の調製−
下記組成の成分を混合して、メンテナンス液を調製した。
−メンテナンス液の調製−
下記組成の成分を混合して、メンテナンス液を調製した。
「メンテナンス液の組成」
・DEGmBE(一般式(IV)で表される水溶性有機溶剤) 20.0%
・DEG(保湿剤) 10.0%
・下記表1に記載の化合物1(塩基性の含窒素化合物) 100mM
・下記表1に記載の化合物2(含窒素ヘテロ環化合物) 20mM
・イオン交換水 全体で100質量%としたときの残量
(硝酸にてpH7.5に調整)
・DEGmBE(一般式(IV)で表される水溶性有機溶剤) 20.0%
・DEG(保湿剤) 10.0%
・下記表1に記載の化合物1(塩基性の含窒素化合物) 100mM
・下記表1に記載の化合物2(含窒素ヘテロ環化合物) 20mM
・イオン交換水 全体で100質量%としたときの残量
(硝酸にてpH7.5に調整)
−評価−
得られたメンテナンス液について、下記の評価を行なった。評価結果は、下記表1に示す。
(1)メンテナンス液のpH安定性
各メンテナンス液を60℃に調温されたインキュベーター内で14日間保存し、保存後のpH(25℃)を測定し、調整直後(調製から3時間以内)のpH(25℃)と比較した。下記式で求められるpH変化量に基づき、下記評価基準に従ってpH安定性を評価した。
ΔpH=(調製直後のpH)−(保存後のpH)
〜評価基準〜
A:ΔpHの絶対値が0.2以内
B:ΔpHの絶対値が0.2より大きく0.5以下
C:ΔpHの絶対値が0.5より大きく1.0以下
D:ΔpHの絶対値が1.0より大きい
得られたメンテナンス液について、下記の評価を行なった。評価結果は、下記表1に示す。
(1)メンテナンス液のpH安定性
各メンテナンス液を60℃に調温されたインキュベーター内で14日間保存し、保存後のpH(25℃)を測定し、調整直後(調製から3時間以内)のpH(25℃)と比較した。下記式で求められるpH変化量に基づき、下記評価基準に従ってpH安定性を評価した。
ΔpH=(調製直後のpH)−(保存後のpH)
〜評価基準〜
A:ΔpHの絶対値が0.2以内
B:ΔpHの絶対値が0.2より大きく0.5以下
C:ΔpHの絶対値が0.5より大きく1.0以下
D:ΔpHの絶対値が1.0より大きい
(2)メンテナンス液の銅腐食性
各メンテナンス液に同じ大きさの銅板を浸漬し、室温で1週間放置後、液の着色と銅板の腐食具合を目し評価した。
〜評価基準〜
A:液の着色もなく、銅板の腐食も見られない。
B:液がごく薄く着色するが、銅板の腐食は見られず、実害なし。
C:液は着色し、銅板の腐食もわずかに確認される。
D:液は激しく着色し、銅板の腐食も大きい。
各メンテナンス液に同じ大きさの銅板を浸漬し、室温で1週間放置後、液の着色と銅板の腐食具合を目し評価した。
〜評価基準〜
A:液の着色もなく、銅板の腐食も見られない。
B:液がごく薄く着色するが、銅板の腐食は見られず、実害なし。
C:液は着色し、銅板の腐食もわずかに確認される。
D:液は激しく着色し、銅板の腐食も大きい。
(3)メンテナンス液のFDTS接液性
パーフルオロデシルトリクロロシラン(FDTS)を付与して撥水性を持たせたインクジェットヘッドと同じようにFDTSを付与したテスト部材を作成し、各メンテナンス液に浸漬し、60℃環境下に10日後に取り出し、上記インクにて接触角を測定し、浸漬前の接触角との差(Δ=浸漬前の接触角−浸漬後の接触角)を求め、以下のように撥液性の劣化を評価した。
A: Δ≦8 変化が小さく非常に好ましいレベル。
B: 8<Δ≦15 長期使用に耐えうる好ましいレベル。
C: 15<Δ≦25 実用上許容できるレベル。
D: 25<Δ 撥液性能が劣り問題となってしまうレベル。
パーフルオロデシルトリクロロシラン(FDTS)を付与して撥水性を持たせたインクジェットヘッドと同じようにFDTSを付与したテスト部材を作成し、各メンテナンス液に浸漬し、60℃環境下に10日後に取り出し、上記インクにて接触角を測定し、浸漬前の接触角との差(Δ=浸漬前の接触角−浸漬後の接触角)を求め、以下のように撥液性の劣化を評価した。
A: Δ≦8 変化が小さく非常に好ましいレベル。
B: 8<Δ≦15 長期使用に耐えうる好ましいレベル。
C: 15<Δ≦25 実用上許容できるレベル。
D: 25<Δ 撥液性能が劣り問題となってしまうレベル。
この結果から、本願発明に係るインクジェット記録用メンテナンス液は、pH安定性に優れるだけではなく、銅腐食性及び撥液膜への接液性を改善することができることが明らかとなった。また、塩基性の含窒素化合物としてイミダゾールを用いたメンテナンス液は、例えばメンテナンス液25のようにトリエタノールアミンを用いたメンテナンス液に比べて、保管時の安定性に優れ、FDTSを接液した際の接液性により優れていた。更に、メンテナンス液29では、本発明の塩基性化合物でないpKa=7.2を有するリン酸二水素ナトリウムを用いた場合、FDTS接液性が悪く、本発明の効果が得られない。
(実施例2)
−メンテナンス液の調製−
実施例1のメンテナンス液8の組成のうち、組成中の溶剤であるDEGmBEを表2に記載の各溶剤に変更した以外は、実施例1と同様にしてメンテナンス液を調液し、実施例1と同様にして各種評価を行った。評価結果を表2に示す。
−メンテナンス液の調製−
実施例1のメンテナンス液8の組成のうち、組成中の溶剤であるDEGmBEを表2に記載の各溶剤に変更した以外は、実施例1と同様にしてメンテナンス液を調液し、実施例1と同様にして各種評価を行った。評価結果を表2に示す。
下記表2における各溶剤種は以下のとおりである。
DEGmBE…ジエチレングリコールモノブチルエーテル
TEGmBE…トリエチレングリコールモノブチルエーテル
DEGmEE…ジエチレングリコールモノエチルエーテル
DPGmME…ジプロピレングリコールモノメチルエーテル
DEGmBE…ジエチレングリコールモノブチルエーテル
TEGmBE…トリエチレングリコールモノブチルエーテル
DEGmEE…ジエチレングリコールモノエチルエーテル
DPGmME…ジプロピレングリコールモノメチルエーテル
(実施例3)
実施例1のメンテナンス液8の組成に加え、さらにスノーテックスXS(日産化学(株)製、コロイダルシリカの20%水溶液)を0.1%添加すると、FDTS接液性がAとなり、特に好ましくなることを確認した。
実施例1のメンテナンス液8の組成に加え、さらにスノーテックスXS(日産化学(株)製、コロイダルシリカの20%水溶液)を0.1%添加すると、FDTS接液性がAとなり、特に好ましくなることを確認した。
(実施例4)
−自己分散性ポリマー粒子A−01の調製−
攪拌機、温度計、還流冷却管及び窒素ガス導入管を備えた2リットル三口フラスコに、メチルエチルケトン360.0gを仕込んで、75℃まで昇温した。これにメチルメタクリレート162.0g、イソボルニルメタクリレート126.0g、「PME−100」(メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(n=2)、日油(株)製)50.4g、メタクリル酸21.6g、メチルエチルケトン72g、及び「V−601」(和光純薬工業(株)製)1.44gからなる混合溶液を、2時間で滴下が完了するように等速で滴下した。滴下完了後、「V−601」0.72g及びメチルエチルケトン36.0gからなる溶液を加え、75℃で2時間攪拌した後、さらに「V−601」0.72g及びメチルエチルケトン36.0gからなる溶液を加え、75℃で2時間攪拌した。その後、85℃に昇温してさらに2時間攪拌を続け、メチルメタクリレート/イソボルニルメタクリレート/PME−100/メタクリル酸共重合体(=45/35/14/6[質量比])の樹脂溶液を得た。
得られた共重合体の重量平均分子量(Mw)は、65000(GPCによりポリスチレン換算で算出)、酸価は39mgKOH/g、ガラス転移温度(Tg)は92℃であった。
−自己分散性ポリマー粒子A−01の調製−
攪拌機、温度計、還流冷却管及び窒素ガス導入管を備えた2リットル三口フラスコに、メチルエチルケトン360.0gを仕込んで、75℃まで昇温した。これにメチルメタクリレート162.0g、イソボルニルメタクリレート126.0g、「PME−100」(メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(n=2)、日油(株)製)50.4g、メタクリル酸21.6g、メチルエチルケトン72g、及び「V−601」(和光純薬工業(株)製)1.44gからなる混合溶液を、2時間で滴下が完了するように等速で滴下した。滴下完了後、「V−601」0.72g及びメチルエチルケトン36.0gからなる溶液を加え、75℃で2時間攪拌した後、さらに「V−601」0.72g及びメチルエチルケトン36.0gからなる溶液を加え、75℃で2時間攪拌した。その後、85℃に昇温してさらに2時間攪拌を続け、メチルメタクリレート/イソボルニルメタクリレート/PME−100/メタクリル酸共重合体(=45/35/14/6[質量比])の樹脂溶液を得た。
得られた共重合体の重量平均分子量(Mw)は、65000(GPCによりポリスチレン換算で算出)、酸価は39mgKOH/g、ガラス転移温度(Tg)は92℃であった。
次に、得られた樹脂溶液668.3gを秤量し、これにイソプロパノール388.3g及び1mol/LのNaOH水溶液145.7mLを加え、反応容器内温度を80℃に昇温した。次に、蒸留水720.1gを20mL/minの速度で滴下し、水分散化した。その後、大気圧下にて反応容器内温度80℃で2時間、85℃で2時間、90℃で2時間保った後、反応容器内を減圧にし、イソプロパノール、メチルエチルケトン、及び蒸留水を合計で913.7g留去し、固形分濃度28.0%の自己分散性ポリマー粒子A−01の水分散物(エマルション)を得た。
−水不溶性ポリマー分散剤P−1の調製−
攪拌機、冷却管を備えた1000mLの三口フラスコにメチルエチルケトン88gを加え窒素雰囲気下で72℃に加熱し、ここにメチルエチルケトン50gにジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート0.85g、ベンジルメタクリレート60g、メタクリル酸10g、及びメチルメタクリレート30gを溶解した溶液を3時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに1時間反応した後メチルエチルケトン2gにジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート0.42gを溶解した溶液を加え、78℃に昇温し4時間加熱した。得られた反応溶液は大過剰量のヘキサンに2回再沈殿し、析出した樹脂を乾燥して、ベンジルメタクリレート/メタクリル酸/メチルメタクリレート共重合体(=60/10/30[質量比])(水不溶性ポリマー分散剤P−1)を96g得た。
得られた共重合体の組成は1H−NMRで確認し、GPCにより求めた重量平均分子量(Mw)は44600であった。酸価は65.2mgKOH/gであった。
攪拌機、冷却管を備えた1000mLの三口フラスコにメチルエチルケトン88gを加え窒素雰囲気下で72℃に加熱し、ここにメチルエチルケトン50gにジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート0.85g、ベンジルメタクリレート60g、メタクリル酸10g、及びメチルメタクリレート30gを溶解した溶液を3時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに1時間反応した後メチルエチルケトン2gにジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート0.42gを溶解した溶液を加え、78℃に昇温し4時間加熱した。得られた反応溶液は大過剰量のヘキサンに2回再沈殿し、析出した樹脂を乾燥して、ベンジルメタクリレート/メタクリル酸/メチルメタクリレート共重合体(=60/10/30[質量比])(水不溶性ポリマー分散剤P−1)を96g得た。
得られた共重合体の組成は1H−NMRで確認し、GPCにより求めた重量平均分子量(Mw)は44600であった。酸価は65.2mgKOH/gであった。
−シアン顔料分散液Cの調製−
上記で得られた水不溶性ポリマー分散剤P−1を5.0g、ピグメント・ブルー15:3(大日精化(株)製)10.0g、メチルエチルケトン40.0g、1mol/L水酸化ナトリウム8.0g、イオン交換水82.0g、0.1mmジルコニアビーズ300gをベッセルに供給し、レディーミル分散機(アイメックス社製)で1000rpm、6時間分散した。得られた顔料分散液をエバポレーターでメチルエチルケトンが充分に留去できるまで減圧濃縮し、顔料濃度が約12質量%になるまで濃縮した。
その後、顔料分散液に対して8000rpm、30分間の遠心処理を行い、沈殿物として残留した粗大粒子を除去した。上澄みの吸光度を測定し、顔料濃度を決定した。
上記のようにして、シアン顔料分散液Cを調液した。平均粒径は97nmであった。
上記で得られた水不溶性ポリマー分散剤P−1を5.0g、ピグメント・ブルー15:3(大日精化(株)製)10.0g、メチルエチルケトン40.0g、1mol/L水酸化ナトリウム8.0g、イオン交換水82.0g、0.1mmジルコニアビーズ300gをベッセルに供給し、レディーミル分散機(アイメックス社製)で1000rpm、6時間分散した。得られた顔料分散液をエバポレーターでメチルエチルケトンが充分に留去できるまで減圧濃縮し、顔料濃度が約12質量%になるまで濃縮した。
その後、顔料分散液に対して8000rpm、30分間の遠心処理を行い、沈殿物として残留した粗大粒子を除去した。上澄みの吸光度を測定し、顔料濃度を決定した。
上記のようにして、シアン顔料分散液Cを調液した。平均粒径は97nmであった。
−インクの調製−
上記のようにして得たシアン顔料分散液C、自己分散性ポリマー粒子A−01の水分散物を用いて、下記のインク組成となるように各成分を混合した。次いで、プラスチック製のディスポーザブルシリンジに詰め、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)製の孔径5μmフィルタ(ミリポア社製のMillex−SV、直径25mm)にて濾過し、インク組成物を得た。なお、インク組成物(原液)のpH(25℃)は8.3とした。
上記のようにして得たシアン顔料分散液C、自己分散性ポリマー粒子A−01の水分散物を用いて、下記のインク組成となるように各成分を混合した。次いで、プラスチック製のディスポーザブルシリンジに詰め、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)製の孔径5μmフィルタ(ミリポア社製のMillex−SV、直径25mm)にて濾過し、インク組成物を得た。なお、インク組成物(原液)のpH(25℃)は8.3とした。
「インク組成」
・ピグメント・ブルー15:3(シアン顔料) 2.5%
・水不溶性ポリマー分散剤P−1(固形分) 1.25%
・自己分散性ポリマー粒子A−01(固形分) 8.0%
・GP250(サンニックス250(三洋化学工業(株)製、オキシプロピレングリセリルエ−テル、SP値=26.4) 10.0%
・トリプロピレンプリコールモノメチルエーテル(以下、TPGmME) 5.0%
・ジエチレングリコール(以下、DPG) 3.0%
・オルフィンE1010(界面活性剤、日信化学工業(株)製) 1.5%
・尿素 3.0%
・イオン交換水 65.75%
・ピグメント・ブルー15:3(シアン顔料) 2.5%
・水不溶性ポリマー分散剤P−1(固形分) 1.25%
・自己分散性ポリマー粒子A−01(固形分) 8.0%
・GP250(サンニックス250(三洋化学工業(株)製、オキシプロピレングリセリルエ−テル、SP値=26.4) 10.0%
・トリプロピレンプリコールモノメチルエーテル(以下、TPGmME) 5.0%
・ジエチレングリコール(以下、DPG) 3.0%
・オルフィンE1010(界面活性剤、日信化学工業(株)製) 1.5%
・尿素 3.0%
・イオン交換水 65.75%
−処理液の調製−
下記組成の成分を混合して、処理液を調製した。処理液の物性は、粘度2.3mPa・s、表面張力41.3mN/m、pH(25℃)1.0であった。
なお、粘度は、VISCOMETER TV−22(TOKI SANGYO CO.LTD製)を用いて20℃の条件下で測定した。表面張力は、Automatic Surface Tensiometer CBVP−Z(協和界面科学(株)製)を用いて25℃の条件下で測定した。
下記組成の成分を混合して、処理液を調製した。処理液の物性は、粘度2.3mPa・s、表面張力41.3mN/m、pH(25℃)1.0であった。
なお、粘度は、VISCOMETER TV−22(TOKI SANGYO CO.LTD製)を用いて20℃の条件下で測定した。表面張力は、Automatic Surface Tensiometer CBVP−Z(協和界面科学(株)製)を用いて25℃の条件下で測定した。
「処理液の組成」
・TPGmME 4.0%
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル(以下、DEGmBE) 4.0%
・マロン酸 7.6%
・リンゴ酸 6.5%
・燐酸85% 6.0%
・ベンゾトリアゾール 0.5%
・イオン交換水 74.0%
・TPGmME 4.0%
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル(以下、DEGmBE) 4.0%
・マロン酸 7.6%
・リンゴ酸 6.5%
・燐酸85% 6.0%
・ベンゾトリアゾール 0.5%
・イオン交換水 74.0%
−メンテナンス液の調製−
下記組成の成分を混合して、メンテナンス液33〜メンテナンス液37を調製した。これらのメンテナンス液について、pH安定性、銅腐食性及びインク固形物の溶解性について評価した。評価結果を表3に示す。pH安定性及び銅腐食性については、実施例1と同様の評価基準を用いて評価した。
「メンテナンス液の組成」
・DEGmBE 20.0%
・DEG 10.0%
・下記表3に記載の化合物1(塩基性の含窒素化合物) 50mM
・下記表3に記載の化合物2(含窒素ヘテロ環化合物) 25mM
・下記表3に記載の界面活性剤 2.0%
・スノーテックスXS 0.2%
・イオン交換水 残量
(硝酸にてpH7.5に調整)
−評価−
(4)インク固形物の溶解性
パーフルオロデシルトリクロロシラン(FDTS)を付与して撥水性を持たせたインクジェット記録用ヘッド表面に、強制的に上記インクをスプレーで吹き付け、室温で1時間乾燥させた。ヘッド面上の乾燥した固形物をマイクロスコープで観察、記録し、インクの直径を求めた。その後、特開2011−73295号公報に記載の、洗浄液の液柱(洗浄液のコート層)を発生させるメンテナンス液(洗浄液)塗布ユニットを用意し、その上にメンテナンス液柱を形成した。このメンテナンス液柱に吐出ヘッドを80mm/秒の速度で通過させメンテナンス液を付着させ、ヘッド表面にメンテナンス液を付着させた。このヘッド表面におけるインク固形物の具合をマイクロスコープで観察し、洗浄前の前記直径の各インクが洗浄後に溶解して消失したかどうかに基づいてインク固形物の溶解性を評価した。
通常はヘッドにメンテナンス液を付着させた後、布などで拭き取るが、解け残ったインクが存在すると、拭き取る際にインクの吐出口に移動し、出孔を閉塞したり孔付近に堆積する等して吐出不安定化の要因になるため、拭き取らずに以下の評価基準にしたがってインク固形物の溶解性を評価した。
〜評価基準〜
A: 直径15μm以下のインク固形物を完全に溶解する。
B: 直径10μm以下のインク固形物を完全に溶解する。
(10μmより大きいインク固形物で溶け残りが確認される)
C: 直径10μm以下のインク固形物で溶け残りが確認される。
下記組成の成分を混合して、メンテナンス液33〜メンテナンス液37を調製した。これらのメンテナンス液について、pH安定性、銅腐食性及びインク固形物の溶解性について評価した。評価結果を表3に示す。pH安定性及び銅腐食性については、実施例1と同様の評価基準を用いて評価した。
「メンテナンス液の組成」
・DEGmBE 20.0%
・DEG 10.0%
・下記表3に記載の化合物1(塩基性の含窒素化合物) 50mM
・下記表3に記載の化合物2(含窒素ヘテロ環化合物) 25mM
・下記表3に記載の界面活性剤 2.0%
・スノーテックスXS 0.2%
・イオン交換水 残量
(硝酸にてpH7.5に調整)
−評価−
(4)インク固形物の溶解性
パーフルオロデシルトリクロロシラン(FDTS)を付与して撥水性を持たせたインクジェット記録用ヘッド表面に、強制的に上記インクをスプレーで吹き付け、室温で1時間乾燥させた。ヘッド面上の乾燥した固形物をマイクロスコープで観察、記録し、インクの直径を求めた。その後、特開2011−73295号公報に記載の、洗浄液の液柱(洗浄液のコート層)を発生させるメンテナンス液(洗浄液)塗布ユニットを用意し、その上にメンテナンス液柱を形成した。このメンテナンス液柱に吐出ヘッドを80mm/秒の速度で通過させメンテナンス液を付着させ、ヘッド表面にメンテナンス液を付着させた。このヘッド表面におけるインク固形物の具合をマイクロスコープで観察し、洗浄前の前記直径の各インクが洗浄後に溶解して消失したかどうかに基づいてインク固形物の溶解性を評価した。
通常はヘッドにメンテナンス液を付着させた後、布などで拭き取るが、解け残ったインクが存在すると、拭き取る際にインクの吐出口に移動し、出孔を閉塞したり孔付近に堆積する等して吐出不安定化の要因になるため、拭き取らずに以下の評価基準にしたがってインク固形物の溶解性を評価した。
〜評価基準〜
A: 直径15μm以下のインク固形物を完全に溶解する。
B: 直径10μm以下のインク固形物を完全に溶解する。
(10μmより大きいインク固形物で溶け残りが確認される)
C: 直径10μm以下のインク固形物で溶け残りが確認される。
(実施例5)
特開2011−46908号公報の段落番号[0221]及び表2〜表3に記載のマゼンタインク(M−21)、シアンインク(C−21)、イエローインク(Y−21)及びブラックインク(K−21)の調製をした。
図1に示すインクジェット記録装置を用意し、上記4色の着色インクを用いて下記のように打滴して、画像を形成した。記録媒体としては、坪量104g/m2〜154g/m2のOKトップコート+(王子製紙(株)製)を用いた。また、画像形成条件は、解像度が1200dpi×1200dpi、吐出液滴量3pL相当とした。
特開2011−46908号公報の段落番号[0221]及び表2〜表3に記載のマゼンタインク(M−21)、シアンインク(C−21)、イエローインク(Y−21)及びブラックインク(K−21)の調製をした。
図1に示すインクジェット記録装置を用意し、上記4色の着色インクを用いて下記のように打滴して、画像を形成した。記録媒体としては、坪量104g/m2〜154g/m2のOKトップコート+(王子製紙(株)製)を用いた。また、画像形成条件は、解像度が1200dpi×1200dpi、吐出液滴量3pL相当とした。
図1に示すインクジェット記録装置に、あらかじめ調製しておいた4色の着色インク、処理液、及びメンテナンス液を装填した。インクジェット記録装置を起動し、給紙部10から描画ドラム70上に繰り出された記録媒体22に対して、処理液ドラム54(直径450mm)上で、処理液塗布装置56によって処理液を全面に薄膜塗布(2μm厚)した。このとき、処理液塗布装置56としてグラビアローラを使用した。
次いで、処理液を塗布した記録媒体22を温風噴出しノズル58(70℃温風9m3/分の吹き付け)とIRヒータ60(180℃)によって乾燥処理し、処理液中の溶媒の一部を乾燥させた。
この記録媒体22を第1の中間搬送部24を介して描画部14に搬送し、各色ベタ画像用の画像信号に応じてCMY(シアン・マゼンダ・イエロー)のそれぞれの着色インクをヘッド72Y、72M、72Cからそれぞれ吐出して打滴した。インク吐出体積はハイライト部では1.4pl、高濃度部では3pl(2drops)で、記録密度は主走査・副走査方向共に1200dpiで記録されるようにした。その際、不吐出ノズルが発生した場合は、不吐出ノズルの隣接ノズルにおいて5pl(3drops)吐出できるようにし、不吐出によるスジムラを見え難くする処理を行った。また、処理液ドラム54、乾燥ドラム76を描画ドラム70と別に設けたことにより、処理液の乾燥を高速で行なう場合にも、その熱や風の悪影響が描画部に及ぶ事が無く、安定吐出が達成された。
次いで、処理液を塗布した記録媒体22を温風噴出しノズル58(70℃温風9m3/分の吹き付け)とIRヒータ60(180℃)によって乾燥処理し、処理液中の溶媒の一部を乾燥させた。
この記録媒体22を第1の中間搬送部24を介して描画部14に搬送し、各色ベタ画像用の画像信号に応じてCMY(シアン・マゼンダ・イエロー)のそれぞれの着色インクをヘッド72Y、72M、72Cからそれぞれ吐出して打滴した。インク吐出体積はハイライト部では1.4pl、高濃度部では3pl(2drops)で、記録密度は主走査・副走査方向共に1200dpiで記録されるようにした。その際、不吐出ノズルが発生した場合は、不吐出ノズルの隣接ノズルにおいて5pl(3drops)吐出できるようにし、不吐出によるスジムラを見え難くする処理を行った。また、処理液ドラム54、乾燥ドラム76を描画ドラム70と別に設けたことにより、処理液の乾燥を高速で行なう場合にも、その熱や風の悪影響が描画部に及ぶ事が無く、安定吐出が達成された。
次いで、乾燥ドラム76上で第1のIRヒータ78(表面温度180℃)、温風噴出しノズル80(70℃温風×12m3/分の風量)、及び第2のIRヒータ82(表面温度180℃)で乾燥させた。乾燥時間は約2秒である。
次に、画像が形成された記録媒体22を、50℃の定着ドラム84と、80℃の第1定着ローラ86及び第2定着ローラ88とによって、0.30MPaのニップ圧で加熱定着した。このとき、第1定着ローラ86、第2定着ローラ88としては、金属製の心金に硬度30°のシリコーンゴムを6mmの厚さで設け、その上にソフトPFA被覆(50μm厚)を施し、インク画像に対する密着性及び剥離性に優れたものを使用した。
記録媒体22は、各ドラム54、70、76、84によるドラム搬送によって535mm/sの搬送速度で搬送されるようにした。
以上の工程を経て、画像形成された記録媒体の評価サンプルを得た。
次に、吐出を完了した後、インクジェット記録装置にメンテナンス液34、35及び36をそれぞれ装填し、ヘッドのノズル面にメンテナンス液塗布ユニットから付与した後、トレシーを用いて吐出ヘッドの複数の吐出孔が配列されたノズル面をワイピングした。
次に、画像が形成された記録媒体22を、50℃の定着ドラム84と、80℃の第1定着ローラ86及び第2定着ローラ88とによって、0.30MPaのニップ圧で加熱定着した。このとき、第1定着ローラ86、第2定着ローラ88としては、金属製の心金に硬度30°のシリコーンゴムを6mmの厚さで設け、その上にソフトPFA被覆(50μm厚)を施し、インク画像に対する密着性及び剥離性に優れたものを使用した。
記録媒体22は、各ドラム54、70、76、84によるドラム搬送によって535mm/sの搬送速度で搬送されるようにした。
以上の工程を経て、画像形成された記録媒体の評価サンプルを得た。
次に、吐出を完了した後、インクジェット記録装置にメンテナンス液34、35及び36をそれぞれ装填し、ヘッドのノズル面にメンテナンス液塗布ユニットから付与した後、トレシーを用いて吐出ヘッドの複数の吐出孔が配列されたノズル面をワイピングした。
その結果、本発明に係るメンテナンス液は、メンテナンス性が非常に優れていることを確認した。
1…インクジェット記録装置、10…給紙部、12…処理液付与部、14…描画部、16…乾燥部、18…定着部、20…排出部、22…記録媒体、24…第1の中間搬送部、26…第2の中間搬送部、28…第3の中間搬送部、30…中間搬送体、32…搬送ガイド、34…搬送ガイド、36…送風口、38…ブロワ、40…送風規制ガイド、42…吸引孔、43…ポンプ、70…描画ドラム、72C,72M,72Y,72K…インクヘッド、73…保持手段、74…吸引孔、76…乾燥ドラム、84…定着ドラム、86…第1定着ローラ、88…第2定着ローラ、143…送風制御部、147…負圧制御部
Claims (8)
- pKa値が6.0〜8.5である分子内にフェニル基を含まない塩基性の含窒素化合物と、下記一般式(I)で表される含窒素へテロ環化合物とを含有し、前記塩基性の含窒素化合物に対する前記含窒素ヘテロ環化合物のモル比が0.02〜2であり、pHが5.0〜9.0であるインクジェット記録用メンテナンス液。
(一般式(I)中、Wは含窒素ヘテロ環を表わし、Ra、Rb、Rc及びRdはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、メルカプト基、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基又はアミノ基を表わす。) - さらに、下記一般式(II)又は下記一般式(III)で表される化合物を含有する請求項1に記載のインクジェット記録用メンテナンス液。
(一般式(II)中、R1は炭素数8〜20の直鎖若しくは分岐のアルキル基、炭素数8〜20の直鎖若しくは分岐のアルケニル基、又はアリール基を表わし、mは1〜5の整数を表わす。)
(一般式(III)中、R2は炭素数10〜20の直鎖若しくは分岐のアルキル基、炭素数10〜20の直鎖若しくは分岐のアルケニル基、アリール基を表わし、mは2〜10の整数、nは1〜9の整数をそれぞれ表わし、かつm>nを満たす。) - さらに、下記一般式(IV)で表される水溶性有機溶媒を含有する請求項1又は請求項2に記載のインクジェット記録用メンテナンス液。
(一般式(IV)中、R4はエチレン基又はプロピレン基を表し、R3及びR5はそれぞれ独立に水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表し、xは1〜4の整数を表す。) - 顔料、ポリマー粒子及び水を含有するインク組成物と、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のインクジェット記録用メンテナンス液とを有するインクジェット記録用インクセット。
- さらに、前記インク組成物中の成分を凝集させる凝集成分を含有する処理液を有する請求項4に記載のインクジェット記録用インクセット。
- 請求項4又は請求項5に記載のインクジェット記録用インクセットが用いられ、
インク組成物をインクジェット記録用ヘッドから吐出することで、インク組成物を記録媒体に付与するインク付与工程と、
前記インクジェット記録用ヘッドに付着したインク組成物をインクジェット記録用メンテナンス液により除去するインク除去工程と、
を有する画像形成方法。 - さらに、前記インク組成物中の成分を凝集させる凝集成分を含有する処理液を記録媒体に付与する処理液付与工程を有する請求項6に記載の画像形成方法。
- インク組成物が付着したインクジェット記録用インク吐出ヘッドに対して、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のインクジェット記録用メンテナンス液をインクジェットヘッドに付与し、前記インクジェット記録用ヘッド上のインク組成物を除去するメンテナンス方法。
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JP6067168B1 (ja) * | 2016-05-30 | 2017-01-25 | 株式会社ニイタカ | 自動洗浄機用洗浄剤組成物 |
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JP2019196425A (ja) * | 2018-05-08 | 2019-11-14 | 日本化薬株式会社 | クリアインク |
WO2020175034A1 (ja) * | 2019-02-26 | 2020-09-03 | 日本化薬株式会社 | 洗浄液及びインクジェットプリンタの洗浄方法 |
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-
2012
- 2012-01-20 JP JP2012010172A patent/JP2013146952A/ja active Pending
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