JP2013023631A - 活性エネルギー線硬化型ハードコート剤組成物、硬化塗膜及び成形品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明のハードコート剤組成物は、1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能ウレタン(メタ)アクリレート(a)、植物油変性(メタ)アクリレート(b)、及び光重合開始剤(c)を含有することを特徴とする。
【選択図】なし
Description
1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能ウレタン(メタ)アクリレート(a)、植物油変性(メタ)アクリレート(b)、及び光重合開始剤(c)を含有するハードコート剤組成物を提供する。
1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能ウレタン(メタ)アクリレート(a)、
植物油変性(メタ)アクリレート(b)、及び
光重合開始剤(c)を含有するが、
以下に、これらの成分(a)、(b)、(c)等について詳細に説明する。
成分(a)である多官能ウレタン(メタ)アクリレートとしては、脂肪族ウレタン(メタ)アクリレートであってもよいし、芳香族ウレタン(メタ)アクリレートであってもよい。
ポリオール(A)は必要に応じて導入される。ポリオール(A)により成分(a)の分子量や、分子の柔軟性を調整することができる。ポリオール(A)としては、特に限定されないが、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ビスフェニールAのエチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加物、グリセリン、オキシエチレン/オキシプロピレンの共重合体、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸等の公知のポリオールが挙げられる。
ポリイソシアネート(B)としては、特に限定されないが、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−キシレンジイソシアネート、1,4−キシレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジベンジルジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、あるいはこれらジイソシアネート化合物のうち芳香族のイソシアネート類を水添して得られるジイソシアネート化合物(例えば水添キシリレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート等のジイソシアネート化合物)、トリフェニルメタントリイソシアネート、ジメチレントリフェニルトリイソシアネート等のような2価又は3価のポリイソシアネート化合物や、これらを多量化させて得られる多量化ポリイソシアネート化合物等のイソシアネート基含有化合物が挙げられる。
水酸基含有(メタ)アクリレート(C)としては、特に限定されないが、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−メトキシプロピル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシ(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。これらのラクトン付加物[例えば、ダイセル化学工業社製のPCL−FA又はPCL−FMシリーズ等]も使用することができる。
成分(a)の製法としては、以下のような製法が挙げられる。
(製法1)水酸基含有(メタ)アクリレート(C)とポリイソシアネート(B)とを反応させる製法。
(製法2)水酸基含有(メタ)アクリレート(C)とポリイソシアネート(B)とポリオール(A)とを反応させる製法。
(製造ルート1)
製造ルート1は、以下の第1ステップと第2ステップとを含む製造ルートである。
[第1ステップ](A)と(B)とを反応させ、イソシアネート基末端のウレタンプレポリマー(UP1)を合成する。
[第2ステップ](UP1)と(C)とを反応させる。
(製造ルート2)
製造ルート2は、以下の第1ステップと第2ステップとを含む製造ルートである。
[第1ステップ](B)と(C)とを反応させ、イソシアネート基末端のウレタンプレポリマー(UP2)を合成する。
[第2ステップ](UP2)と(A)とを反応させる。
次に、本発明のハードコート剤組成物中の成分(b)について述べる。成分(b)である植物油変性(メタ)アクリレートは、植物油をエポキシ化し、その後、エポキシ化植物油と(メタ)アクリル酸とを反応させることにより得られる。その際、エポキシ化植物油中のエポキシ基と(メタ)アクリル酸とのモル比(前者:後者)を、0.9:1.0〜1.0:0.9とすることができる。前記モル比は、1:1〜1:1.02とすることが好ましい。
(1)エポキシ化植物油と(メタ)アクリル酸とを混合する。
(2)エポキシ化植物油の中に(メタ)アクリル酸を滴下する。
(3)(メタ)アクリル酸の中にエポキシ化植物油を滴下する。
なかでも、作業性の観点から(2)を選択することが好ましい。また、反応の終点は、反応液中のエポキシ基の消失によって確認する。
成分(c)である光重合開始剤としては、特に限定されないが、例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ジエトキシアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインn−ブチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、ベンジルジメチルケタール、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、チオキサンソン、2−クロルチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、2,4−ジメチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、2,4−ジクロロチオキサンソン、2,4−ジエチルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフインオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、カンファーキノン等が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明のハードコート剤組成物には、必要に応じて種々の添加剤を配合することができる。このような添加剤としては、特に限定されないが、例えば、フィラー、染顔料、レベリング剤、紫外線吸収剤、光安定剤、消泡剤、分散剤、チクソトロピー性付与剤等が挙げられる。これらの添加物の添加量は、特に限定されないが、例えば、ハードコート剤組成物100量部に対して0〜10重量部、好ましくは0.05〜5重量部である。
(ブランク値の測定)
15mLのTHFにジブチルアミンのTHF溶液(0.1N)15mLを加え、さらにブロモフェノールブルー(1%メタノール希釈液)を3滴加えて加えて青色に着色させた後、規定度が0.1NであるHCl水溶液を変色がみられるまで滴下した。このHCl水溶液の滴定量をブランク値(mL)とした。
(実測NCO濃度の測定)
計量された反応溶液[サンプル量(g)]を15mLのTHFに溶解させ、ジブチルアミンのTHF溶液(0.1N)を15mL加えた。溶液化したことを確認した後、ブロモフェノールブルー(1%メタノール希釈液)を3滴加えて青色に着色させた後、規定度が0.1NであるHCl水溶液を変色がみられるまで滴下し、滴定量をA値(mL)とした。得られた値を下記の式に当てはめNCO濃度を算出した。
NCO濃度(重量%)=
(ブランク値−A値)×1.005×0.42÷サンプル量(g)
温度計、攪拌装置を備えたセパラブルフラスコに、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを主成分とするジペンタエリスリトールポリアクリレートの混合物(CYTEC社製;DPHA、OH価;56.3KOHmg/g)を250部充填し、内温を70℃にした後、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート由来のヌレート化合物(三井武田ケミカル社製;D170N)を46部、ジブチルスズジラウート100ppm(得られるウレタンアクリレートに対する添加量)、ハイドロキノンモノメチルエーテル800ppm(得られるウレタンアクリレートに対する添加量)を3時間かけて滴下した。さらに3時間反応を継続し、残存イソシアネート基濃度が0.1%以下になったことを確認して反応を終了させ、活性エネルギー線硬化性多官能ウレタンアクリレート(UA−1)を得た。本ウレタンアクリレートの理論最大官能基数は15官能である。
温度計、攪拌装置を備えたセパラブルフラスコに、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを主成分とするジペンタエリスリトールポリアクリレートの混合物(CYTEC社製;DPHA、OH価;56.3KOHmg/g)を250部充填し、内温を70℃にした後、イソホロンジイソシアネート由来のヌレート化合物(デグサジャパン社製;IPDI−T1890T、30重量%酢酸ブチル希釈品)を80部、ジブチルスズジラウート100ppm(得られるウレタンアクリレートに対する添加量)、ハイドロキノンモノメチルエーテル800ppm(得られるウレタンアクリレートに対する添加量)を3時間かけて滴下した。さらに3時間反応を継続し、残存イソシアネート基濃度が0.1%以下になったことを確認して反応を終了させ、活性エネルギー線硬化性多官能ウレタンアクリレート(UA−2)を得た。本ウレタンアクリレートの理論最大官能基数は15官能である。
温度計、攪拌装置を備えたセパラブルフラスコに、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを主成分とするジペンタエリスリトールポリアクリレートの混合物(CYTEC社製;DPHA、OH価;56.3KOHmg/g)を250部充填し、内温を70℃にした後、ポリカプロラクトン変性ポリオールと1,6−ヘキサメチレンジイソシアナートの反応から得られたポリイソシアネート(B)(旭化成ケミカルズ社製;デュラネートE402−100)を110部、ジブチルスズジラウート100ppm(得られるウレタンアクリレートに対する添加量)、ハイドロキノンモノメチルエーテル800ppm(得られるウレタンアクリレートに対する添加量)を3時間かけて滴下した。さらに3時間反応を継続し、残存イソシアネート基濃度が0.1%以下になったことを確認して反応を終了させ、活性エネルギー線硬化性多官能ウレタンアクリレート(UA−3)を得た。本ウレタンアクリレートの理論最大官能基数は15官能である。
本実施例では上記ウレタンアクリレートに加え、成分(a)として、以下の製品を使用した。
KRM8452;ダイセル・サイテック製 10官能ウレタンアクリレート
KRM7804;ダイセル・サイテック製 9官能ウレタンアクリレート
KRM8200;ダイセル・サイテック製 6官能ウレタンアクリレート
DPHA;ダイセル・サイテック製 ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(製品中に一部水酸基を含有した化合物を有している)
また、成分(b)として、以下の製品を使用した。
EBECRYL 860(以下、EB860と記載することがある);ダイセル・サイテック製
合成例1で得られた多官能ウレタンアクリレート(UA−1)を90重量部、EB860を10重量部、光開始剤Irgacure 184(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、BASFジャパン社製:以下、Irg184と記載することがある)を3重量部、MEKを80重量部、シクロヘキサノンを20重量部混合し、均一な溶液を調製した。その後、300メッシュフィルターでろ過することでハードコート剤組成物を調製した。
合成例1で得られた多官能ウレタンアクリレート(UA−1)を99重量部、EB860を1重量部とした以外、実施例1と同様にしてハードコート剤組成物を調製した。
多官能ウレタンアクリレート(UA−1)の代わりに、合成例2で得られた多官能ウレタンアクリレート(UA−2)を使用した以外、実施例1と同様にしてハードコート剤組成物を調製した。
多官能ウレタンアクリレート(UA−1)の代わりに、合成例2で得られた多官能ウレタンアクリレート(UA−2)を使用した以外、実施例2と同様にしてハードコート剤組成物を調製した。
多官能ウレタンアクリレート(UA−1)の代わりに、合成例3で得られた多官能ウレタンアクリレート(UA−3)を使用した以外、実施例1と同様にしてハードコート剤組成物を調製した。
多官能ウレタンアクリレート(UA−1)の代わりに、合成例3で得られた多官能ウレタンアクリレート(UA−3)を使用した以外、実施例2と同様にしてハードコート剤組成物を調製した。
多官能ウレタンアクリレート(UA−1)の代わりに、KRM8452(10官能脂肪族ウレタンアクリレート、ダイセル・サイテック製)を使用した以外、実施例1と同様にしてハードコート剤組成物を調製した。
多官能ウレタンアクリレート(UA−1)の代わりに、KRM8452(10官能脂肪族ウレタンアクリレート、ダイセル・サイテック製)を使用した以外、実施例2と同様にしてハードコート剤組成物を調製した。
多官能ウレタンアクリレート(UA−1)の代わりに、KRM7804(9官能脂肪族ウレタンアクリレート、ダイセル・サイテック製)を使用した以外、実施例1と同様にしてハードコート剤組成物を調製した。
多官能ウレタンアクリレート(UA−1)の代わりに、KRM7804(9官能脂肪族ウレタンアクリレート、ダイセル・サイテック製)を使用した以外、実施例2と同様にしてハードコート剤組成物を調製した。
多官能ウレタンアクリレート(UA−1)の代わりに、KRM8200(6官能脂肪族ウレタンアクリレート、ダイセル・サイテック製)を使用した以外、実施例1と同様にしてハードコート剤組成物を調製した。
多官能ウレタンアクリレート(UA−1)の代わりに、KRM8200(6官能脂肪族ウレタンアクリレート、ダイセル・サイテック製)を使用した以外、実施例2と同様にしてハードコート剤組成物を調製した。
多官能ウレタンアクリレート(UA−1)の代わりに、DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ダイセル・サイテック製)を使用した以外、実施例1と同様にしてハードコート剤組成物を調製した。
多官能ウレタンアクリレート(UA−1)の代わりに、DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ダイセル・サイテック製)を使用した以外、実施例2と同様にしてハードコート剤組成物を調製した。
EB860を用いず、且つ、合成例1で得られた多官能ウレタンアクリレート(UA−1)を100重量部とした以外、実施例1と同様にしてハードコート剤組成物を調製した。
EB860を用いず、且つ、合成例2で得られた多官能ウレタンアクリレート(UA−2)を100重量部とした以外、実施例3と同様にしてハードコート剤組成物を調製した。
EB860を用いず、且つ、合成例3で得られた多官能ウレタンアクリレート(UA−3)を100重量部とした以外、実施例5と同様にしてハードコート剤組成物を調製した。
EB860を用いず、且つ、KRM8452(10官能脂肪族ウレタンアクリレート、ダイセル・サイテック製)を100重量部とした以外、実施例7と同様にしてハードコート剤組成物を調製した。
EB860を用いず、且つ、KRM7804(9官能脂肪族ウレタンアクリレート、ダイセル・サイテック製)を100重量部とした以外、実施例9と同様にしてハードコート剤組成物を調製した。
EB860を用いず、且つ、KRM8200(6官能脂肪族ウレタンアクリレート、ダイセル・サイテック製)を100重量部とした以外、実施例11と同様にしてハードコート剤組成物を調製した。
EB860を用いず、且つ、DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ダイセル・サイテック製)を100重量部とした以外、実施例13と同様にしてハードコート剤組成物を調製した。
実施例及び比較例で得られた配合物の外観を目視により観察し、下記の基準で相溶性を評価し、結果を下記表1〜3の「相溶性」の欄に示した。
配合物の外観が透明と認められた:○(相溶性良好)
配合物の外観に濁りが認められた:×(相溶性不良)
実施例及び比較例で得られたハードコート剤組成物を、硬化後の塗膜の厚さが15ミクロンになるように、バーコーターを用いて、透明ポリカーボネート板に塗布し、80℃で10分間乾燥させた後、高圧水銀灯を用いて、紫外線照射(高圧水銀灯、照射強度:1000J/cm2)を行い、硬化塗膜を作製した。前記硬化塗膜を用いた耐指紋性の評価は、耐指紋付着性と拭き取り性の2つの観点から行った。耐指紋付着性については、前記硬化塗膜に指紋を付着させる前のヘイズ値と、前記硬化塗膜に指紋を付着させた直後のヘイズ値とのヘイズ差(耐指紋付着性を示すヘイズ差)を測定することにより行った。拭き取り性については、指紋付着前のヘイズ値と、指紋付着後にウエスで1回拭き取った後のヘイズ値とのヘイズ差(拭き取り性を示すヘイズ差)を測定することにより行った。前記硬化塗膜のヘイズ値(Hz)は、Haze Meter(型式:NDH2000、日本電色社製)を用いて測定した。
耐指紋付着性を示すヘイズ差が2未満であり、且つ、拭き取り性を示すヘイズ差が0.5未満であった:○(耐指紋性良好)
耐指紋付着性を示すヘイズ差が5以上であり、且つ、拭き取り性を示すヘイズ差が1以上であった:×(耐指紋性不良)
上記のいずれにも該当しない:△(使用可能なレベルの耐指紋性)
実施例及び比較例で得られたハードコート剤組成物を、アクリル板、ポリカーボネート板、ABS板に塗布した以外は、上記と同様にして、硬化塗膜を作製した。前記硬化塗膜の表面に1mm間隔で切れ込みを入れ、1mm2の碁盤目を100個作り、その上にセロテープ(登録商標)を貼り付けた後、これを一気に引き剥がし、剥離した碁盤目を数えた。
剥離した碁盤目は確認できなかった:○(密着性良好)
剥離した碁盤目が1個以上確認された:×(密着性不良)
実施例及び比較例で得られたハードコート剤組成物を、ポリカーボネート板(日本テストパネル社製、板の厚み1mm)に塗布した以外は、上記と同様にして、硬化塗膜を作製した。前記硬化塗膜をテーバー磨耗試験機[安田精機製作所社製、磨耗輪CS10F、荷重1kg]にセットして100回(回転数)磨耗後におけるグロス(60°)値、及び、300回磨耗後におけるグロス(60°)値を測定し、0回におけるグロス値との比率を計算して、耐磨耗性の指標とした。なお、光沢度(グロス)の測定は、JIS Z 8741に準じて、日本電色工業社製「SZ−Σ90」を用いて、測定角度60°で行った。耐磨耗性(100回磨耗時)及び耐磨耗性(300回磨耗時)は、下記式により求めることとした。
耐磨耗性(100回磨耗時)=(100回磨耗後のグロス値)/(磨耗0回におけるグロス値)×100
耐磨耗性(300回磨耗時)=(300回磨耗後のグロス値)/(磨耗0回におけるグロス値)×100
耐磨耗性(100回磨耗時)が90%以上、且つ、耐磨耗性(300回磨耗時)が85%以上であった:○(耐摩耗性良好)
耐磨耗性(100回磨耗時)が90%以上、且つ、耐磨耗性(300回磨耗時)が80%以上85%未満であった:△(使用可能なレベルの耐摩耗性)
耐磨耗性(100回磨耗時)が90%未満、又は、耐磨耗性(300回磨耗時)が80%未満であった:×(耐摩耗性不良)
実施例及び比較例で得られたハードコート剤組成物を、ガラス板に塗布した以外は、上記と同様にして、硬化塗膜を作製した。前記硬化塗膜の表面にスチールウール(#0000)を接触させ、1kg重の荷重をかけてスチールウールでフィルム表面を100往復させた。傷の有無については、目視にて判定した。
傷が全く確認できなかった:○(耐擦傷性良好)
傷がわずかに見られた:△(使用可能レベルの耐擦傷性)
傷が多数見られた:×(耐擦傷性不良)
耐擦傷性試験の場合と同様にして、硬化塗膜を作製した。鉛筆硬度測定には鉛筆硬度計[東洋精機製作所社製の鉛筆硬度試験器]及び三菱鉛筆社製の硬度測定用鉛筆を用いた。
Claims (10)
- 1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能ウレタン(メタ)アクリレート(a)、植物油変性(メタ)アクリレート(b)、及び光重合開始剤(c)を含有するハードコート剤組成物。
- 多官能ウレタン(メタ)アクリレート(a)が、1分子中に6個以上の(メタ)アクリロイル基を有する請求項1記載のハードコート剤組成物。
- 多官能ウレタン(メタ)アクリレート(a)の重量平均分子量が、500〜3,000の範囲である請求項1又は2に記載のハードコート剤組成物。
- 植物油変性(メタ)アクリレート(b)が、植物油をエポキシ化して得られたエポキシ化植物油と、(メタ)アクリル酸との反応により得られることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のハードコート剤組成物。
- 植物油が、大豆油、亜麻仁油、サフラワー油、ヒマワリ油、トウモロコシ油、ラッカセイ油、ゴマ油、オリーブ油、パーム油、綿実油、米糠油、ひまし油、エノ油、トール油、桐油からなる群より選択された少なくとも一種である請求項4に記載のハードコート剤組成物。
- 植物油が、大豆油である請求項5に記載のハードコート剤組成物。
- (メタ)アクリル酸がアクリル酸である請求項4〜6のいずれか1項に記載のハードコート剤組成物。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載のハードコート剤組成物からなる塗膜を硬化して得られる硬化塗膜。
- 成形品上に請求項1〜7のいずれか1項に記載のハードコート剤組成物からなる塗膜を硬化して得られる硬化塗膜が形成された、硬化塗膜を有する成形品。
- 成形品が、(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、ポリエステル樹脂からなる群より選択された少なくとも1つの樹脂で成形された成形品である請求項9記載の硬化塗膜を有する成形品。
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