JP4587196B2 - ウレタン(メタ)アクリレート、その製造方法、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物及びその硬化物 - Google Patents
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一般に、紫外線硬化樹脂組成物は、光照射によって液状から固形へ変化する樹脂であり、光重合性プレポリマー(反応性オリゴマー)、光重合性モノマー(反応性希釈剤)、光重合開始剤、増感剤、着色剤、およびその他の添加剤(粘性改良剤、酸化防止剤、重合禁止剤、湿潤助剤、分散剤、乾燥剤など)などの混合物からなっている。また、電子線照射によって硬化させる場合には、光重合開始剤、増感剤なしで、紫外線の場合と同様に硬化させることもできる。
これらの紫外線または電子線などの特定波長の光線等を照射することによって硬化する樹脂組成物は、塗料、接着剤をはじめ、印刷インキ用ビヒクル、ソルダーレジストインキ、凸版材、モルタル床ライニング材、塩ビタイルコーティング材、さらに、光ファイバー被覆材、プラスチックコーティング材などの用途に用いられている。
紫外線または電子線で硬化した樹脂製品(塗料、インキ、フィルムなど)の基本的物性に大きな影響を与えるものは、光重合性プレポリマーであり、このものはベースレジンとも言われている。また、通常、光重合性プレポリマーは、ポリマーと呼称されてはいるものの、重合度が小さく、射出成形、押出成形などの成形に供されるような、成形用ポリマー(樹脂)の範疇に含まれる程度のものではないため、別名オリゴマーとも言われ、その分子構造中に官能基を1個〜数個有するものが一般的である。
このプレポリマー(オリゴマー)は、骨格を構成する分子構造の種類により、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、ポリウレタンアクリレート、ポリエーテルアクリレート、オリゴアクリレート、アルキッドアクリレート、ポリオールアクリレートなどに分類することができ、それぞれの骨格に従って、特徴のある硬化物を形成することが知られている。
上記アクリレートオリゴマーとしては、ポリエステルアクリレート型、エポキシアクリレート型、ウレタンアクリレート型等があり、機能・用途に合ったオリゴマーが適宜使用されている。これを骨格成分として使用して得た硬化物は強靭性、硬度、耐薬品性、柔軟性、密着性、耐光性、耐酸素性、低温特性などに優れた性能を発揮し、広い分野で応用されている。
中でもウレタンアクリレート型は、特公昭48−41708号公報、特公昭55−8013号公報で指摘されているように、他のオリゴマーに比べ空気硬化性がよく、強靭な塗膜を形成し、鉄やガラスに対する密着性に優れること、又、一方では、イソシアネート基の反応性によって種々の違った構造を持つウレタンオリゴマーの開発が期待できる等の理由で、将来的にも有望視されている。例えば、特開平8−188630号公報には、3価以上の多価アルコールを使用した同カーボネート変性ウレタン(メタ)アクリレートが開示されているが、これは硬化塗膜が硬くなりすぎて、柔軟性を有する用途には使用できないなどの問題がある。
特開平4−74735号公報には、ポリエーテルポリオール成分として、ポリオキシブチレングリコールを含有するウレタン(メタ)アクリレート、特開2000−86302号公報には、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールを含むポリオールを含有するウレタン(メタ)アクリレートが開示されており、いずれも耐熱性の改良が行われているが、十分な性能を有していない。
で表されるカーボネート変性ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(C)とを反応させて得られるカーボネート変性ウレタン(メタ)アクリレートを提供する。
本発明の第2は、(1)分子量が62〜146の低分子量ジオールと二塩基酸成分とからなるポリエステル系ジオール類、(2)ポリエーテルジオール類、(3)環状エステル化合物を開環重合して得られるポリエステルジオール類、(4)ポリカーボネートジオール類、(5)ポリブタジエングリコール類、及び(6)ビスフェノールAに酸化エチレンもしくは酸化プロピレンを付加して得られたグリコール類から選択され、数平均分子量が300〜5000の範囲にある2価の高分子ポリオール(A)、ポリイソシアネート(B)、および下記一般式(I)
で表されるカーボネート変性ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(C)を反応させることを特徴とするカーボネート変性ウレタン(メタ)アクリレートの製造方法を提供する。
本発明の第3は、(A)と(B)を反応させ、次いで、(C)を反応させる前記発明2に記載のカーボネート変性ウレタン(メタ)アクリレートの製造方法を提供する。
本発明の第4は、(B)と(C)を反応させ、次いで、(A)を反応させる前記発明2に記載のカーボネート変性ウレタン(メタ)アクリレートの製造方法を提供する。
本発明の第5は、前記発明1に記載のカーボネート変性ウレタン(メタ)アクリレート、光重合開始剤および必要に応じて添加されるエチレン性不飽和基を有するモノマーおよび/またはオリゴマーを含有することを特徴とする活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を提供する。
本発明の第6は、前記発明5に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を活性エネルギー線により硬化してなるウレタン(メタ)アクリレート系硬化物を提供する。
2価のポリオール(A)としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、1,4−ブチンジオール、ジプロピレングリコールなどの分子量が62〜146の低分子量ジオールと例えば、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、しゅう酸、マロン酸、グルタル酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、スベリン酸などの二塩基酸もしくはこれらに対応する酸無水物やダイマー酸などの二塩基酸成分からなるポリエステル系ジオール類、または酸化エチレン、酸化プロピレン、テトラヒドロフランなどの重合体もしくは共重合体などのポリエーテルジオール類、環状エステル化合物を開環重合して得られるポリエステルジオール類、その他、ポリカーボネートジオール類、ポリブタジエングリコール類、ビスフェノールAに酸化エチレンもしくは酸化プロピレンを付加して得られたグリコール類などの一般にウレタン(メタ)アクリレートの製造に用いられる各種公知の高分子ポリオールを使用することができる。上記のポリオールの数平均分子量は、300〜5000、好ましくは500〜3000の範囲内である。
で示される。R3、R4のアルキル基としては、炭素数1〜4のもの、特にメチル基が好ましく、アルキレン基R2としては炭素数2〜4の、特にエチレン基が好ましい。カーボネート変性ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートは、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類への環状脂肪族カーボネート化合物の付加反応により製造することができる(例えば、特開平8−157426号公報に記載の方法)。
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、フェノキシヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のアルキル基に置換基があってもよいヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等があるが、入手が容易なヒドロキシエチルメタクリレートが好ましい。
具体的には、各種カーボネート変性ヒドロキシアルキルアクリレートまたはメタクリレートは、ヒドロキシエチルアクリレートまたはヒドロキシエチルメタクリレート1モルにネオペンチルグリコールカーボネートを0.5〜10モル付加したものが好ましく使用できる。
例えば、(A)および(B)を反応させて、1分子当たり1個以上のイソシアネート基を含有するウレタンプレポリマーを形成した後、該プレポリマーと(C)を反応させる方法(方法1)、または、(B)および(C)を反応させて、1分子当たり1個以上のイソシアネート基を含有するウレタンイソシアネートプレポリマーを形成した後、該プレポリマーと(A)を反応させる方法(方法2)、さらには、(A)、(B)、(C)を一括混合して反応させる方法(方法3)などが挙げられる。中でも、方法1が好ましい。
その理由は、(メタ)アクリロイル基を有していないウレタンプレポリマーや分子量の低い(メタ)アクリレート化合物、さらには、(メタ)アクリロイル基が重合することにより生じる副生物等の生成量が少なく、目的物であるカーボネート変性ウレタン(メタ)アクリレートの品質のコントロールがしやすいからである。
同様の理由から、本反応は分子状酸素含有ガス雰囲気下で行うことが好ましい。酸素濃度は安全面を考慮して適宜選択される。
これらの触媒の量はカーボネート変性ウレタン(メタ)アクリレートに対して、通常、1〜3000ppm、好ましくは50〜1000ppmである。触媒量が1ppmより少ない場合には十分な反応速度が得られないことがあり、3000ppmより多く加えると生成物の諸物性に悪影響を及ぼす恐れがある。
必要に応じて配合される各種の(メタ)アクリロイル基を有するモノマーまたはオリゴマーの配合量は本発明のカーボネート変性ウレタン(メタ)アクリレート100重量部に対して1〜1000重量部、好ましくは1〜500重量部、さらに好ましくは1〜100重量部である。1重量部より少ないと溶剤としても添加する意味がなく、1000重量部より多くなると本発明のカーボネート変性ウレタン(メタ)アクリレートを用いることによる特徴が出なくなる。
上記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、これを対象物に適用した後、紫外線または電子線等の活性エネルギー線を照射することにより硬化して硬化物が得られるが、紫外線(UV)照射を行うことが好ましい。
紫外線照射後は、必要に応じて加熱を行って硬化の完全を図ることもできる。電子線照射の場合は、50〜1,000KeVの範囲のエネルギーを持つ電子線を用い、2〜5Mradの照射量とすることが好ましい。通常、ランプ出力80〜300W/cm程度の照射源が用いられる。硬化物の厚さは通常、20〜200μm程度である。
以下、実施例および比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
攪拌機、温度計およびコンデンサーを備えた2Lのフラスコに水添ジフェニルメタンジイソシアネート(B)524g(2モル)を仕込み、内温70℃にした後、ポリプロピレングリコール(A)1000g(1モル)を加え、反応させ残存イソシアネート基が5.5%となった時点でヒドロキシエチルアクリレート1モルに対してネオペンチルグリコールカーボネートを1モル付加反応させたものを492g(2モル)、ジブチルスズラウリレート0.25g(150ppm、ウレタンアクリレートに対する添加量)およびハイドロキノンモノメチルエーテル0.84g(500ppm、ウレタンアクリレートに対する添加量)を加え残存イソシアネート基が0.1%以下になるまで反応を行い、カーボネート変性ウレタンアクリレート(UA1)を得た。
主原料として、水添ジフェニルメタンジイソシアネート(B)を524g(2モル)、
ポリプロピレングリコール(A)を1000g(1モル)、ヒドロキシエチルメ
タクリレート1モルに対してネオペンチルグリコールカーボネートを1モル付加反応させ
たもの(C)を520g(2モル)を用いた以外は、実施例1と同様に行って、カーボネ
ート変性ウレタンメタクリレート(UA2)を得た。
主原料として、水添ジフェニルメタンジイソシアネートを524g(2モル)、ポリプ
ロピレングリコール(A)を1000g(1モル)、2−ヒドロキシエチルアク
リレートを232g(2モル)用いた以外は、実施例1と同様に行って、ウレタンアクリ
レート(UA3)を得た。
(実施例3〜4、比較例2)
下記引っ張り試験、耐熱水試験に用いた硬化物(フィルム)はウレタン(メタ)アクリレート100部にチバスペシャルティーケミカル社製光開始剤 Darocure1173を3部配合し、硬化条件として、高圧水銀灯(出力:120W/cm)照射下、コンベア速度5m/minで硬化させた。実施例3、比較例2においては、照射回数2回、実施例4においては、照射回数6回で硬化物(フィルム)を得た。
<耐熱水試験>
(1)UV硬化塗膜を沸騰水中に1ヵ月間浸漬したものと初期の物性について、引っ張り試験を行い、評価した。
(2)UV硬化前のウレタン(メタ)アクリレートを80℃の熱水に1ヶ月間浸漬し、GPCにより分子量測定を行った。なお、GPC測定では標準サンプルとしてポリスチレンを用いた。
<引っ張り試験>
UV硬化により100ミクロンのフィルムを作成し、これをJIS規格ダンベル3号で打ち抜き、引っ張り速度100mm/minで引っ張り試験を行った。
Claims (6)
- (1)分子量が62〜146の低分子量ジオールと二塩基酸成分とからなるポリエステル系ジオール類、(2)ポリエーテルジオール類、(3)環状エステル化合物を開環重合して得られるポリエステルジオール類、(4)ポリカーボネートジオール類、(5)ポリブタジエングリコール類、及び(6)ビスフェノールAに酸化エチレンもしくは酸化プロピレンを付加して得られたグリコール類から選択され、数平均分子量が300〜5000の範囲にある2価の高分子ポリオール(A)と、ポリイソシアネート(B)と、次の一般式(I)
で表されるカーボネート変性ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(C)とを反応させて得られるカーボネート変性ウレタン(メタ)アクリレート。 - (1)分子量が62〜146の低分子量ジオールと二塩基酸成分とからなるポリエステル系ジオール類、(2)ポリエーテルジオール類、(3)環状エステル化合物を開環重合して得られるポリエステルジオール類、(4)ポリカーボネートジオール類、(5)ポリブタジエングリコール類、及び(6)ビスフェノールAに酸化エチレンもしくは酸化プロピレンを付加して得られたグリコール類から選択され、数平均分子量が300〜5000の範囲にある2価の高分子ポリオール(A)、ポリイソシアネート(B)、および下記一般式(I)
で表されるカーボネート変性ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(C)を反応させることを特徴とするカーボネート変性ウレタン(メタ)アクリレートの製造方法。 - (A)と(B)を反応させ、次いで、(C)を反応させる請求項2に記載のカーボネート変性ウレタン(メタ)アクリレートの製造方法。
- (B)と(C)を反応させ、次いで、(A)を反応させる請求項2に記載のカーボネート変性ウレタン(メタ)アクリレートの製造方法。
- 請求項1に記載のカーボネート変性ウレタン(メタ)アクリレート、光重合開始剤および必要に応じて添加されるエチレン性不飽和基を有するモノマーおよび/またはオリゴマーを含有することを特徴とする活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
- 請求項5に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を活性エネルギー線により硬化してなるウレタン(メタ)アクリレート系硬化物。
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