JP4033253B2 - 紫外線吸収性官能基含有ウレタン(メタ)アクリレート及びその組成物 - Google Patents

紫外線吸収性官能基含有ウレタン(メタ)アクリレート及びその組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主として塗料、コーティング剤用途で特に耐候性が要求される屋外用途において有用なウレタン(メタ)アクリレートおよび同ウレタン(メタ)アクリレートを硬化成分として含有する組成物に関するものである。
【従来技術】
【0002】
近年、環境汚染問題、省エネルギー化などにより有機溶剤系の塗料に代わって、活性エネルギー線により硬化する無溶剤系の活性エネルギー線硬化型塗料が多用されるようになった。これは活性エネルギー線により硬化可能な樹脂及び硬化可能なモノマーを含有し、硬化可能なモノマーが溶剤の機能を兼ねていることから、塗膜形成時に溶剤を揮散させる必要がないという利点がある。この活性エネルギー線により硬化可能な樹脂及び硬化可能なモノマーとしては、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレートなどの、分子末端に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有するオリゴマーや各種(メタ)アクリル系のモノマーなどが利用されている。このような塗料、コーティング剤が屋外で使われ始めた。
【0003】
しかし、従来のものは硬化した塗膜が日光等の紫外線を含む光に晒されると、紫外線によって劣化や変色を受け、分子量低下ひいては強度低下を起こすという欠点を有している。
塗料およびコーティング剤の紫外線に対する耐候性を向上させるために、紫外線吸収剤を添加することが通常行なわれている。このような紫外線吸収剤としては、例えば2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、5−クロロ−2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール類や2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン等が知られている(たとえば、特開昭62-181360号公報、特開平2-173163号公報、同3-2 81685号公報、および同9-157315号公報等)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これら従来の紫外線吸収剤は低分子量の低沸点化合物であるため、これらを塗料またはコーティング剤にただ単に添加しただけでは種々の不都合を生ずる。例えば、これら低分子量の紫外線吸収剤を多量に添加すると、紫外線硬化時に阻害を起こし、硬化しにくくなる。そこで紫外線吸収剤の添加を極力少量に止めているが、その場合には塗料またはコーティング剤の耐候性を満足できる程度には向上しない。
また、紫外線吸収剤をただ添加しただけでは経時的にブリードアウトして、塗膜表面から滲み出すため紫外線吸収効果が小さくなり、長期にわたって安定な耐候性を維持することが不可能になる。
【0005】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者は、上記問題を解決するため鋭意検討を行った結果、紫外線吸収剤を単に添加するのではなく、それをウレタン(メタ)アクリレート化合物の分子中に化学的に結合させることにより、紫外線吸収剤がブリードや蒸発などで失われることなく耐候性を長期間維持することができることを見出し、本発明に至った。
【0006】
すなわち、本発明は、「下記式(1)で示される紫外線吸収剤(A)、必要に応じて添加されるポリオール(B)、ポリイソシアネート(C)および、2−ヒドロキシエチルアクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシエチルアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートから選ばれた少なくとも1つのヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート(D)とを、成分(C)2.0モルに対して、成分(A)が0.1〜1.0モル、成分(B)が0〜2.0モル、成分(D)が0.5〜4.0モルの混合比率で混合して、反応温度50℃〜130℃で反応させて得られた紫外線吸収性官能基含有ウレタン(メタ)アクリレート
【化2】
Figure 0004033253
<式(1)において、R1およびR2は水素原子であり、mおよびm’がいずれも0、又は、nおよびn’が、mおよびm’はそれぞれ0〜10の整数であり、m+m’が6または10であり、nm個、n’m’個またはnm+n’m’個のR1およびR2は互いに同一または異なっていてもよい。>」、および「上記の紫外線吸収性官能基含有ウレタン(メタ)アクリレートおよび(メタ)アクリロイル基含有モノマーおよび/または(メタ)アクリロイル基含有オリゴマー(E)を含有することを特徴とする紫外線吸収性官能基含有活性エネルギー線硬化型ウレタン(メタ)アクリレート組成物」、「上記の紫外線吸収性官能基含有活性エネルギー線硬化型ウレタン(メタ)アクリレート組成物に活性エネルギー線を照射することにより硬化させてなる硬化物」である。
【0007】
本発明で用いる紫外線吸収剤(A)は、前記式(1)で示される化合物である。
前記式(1)において、R1およびR2は水素原子または炭素数1から10のアルキル基である。nおよびn’はそれぞれ4から8の整数、mおよびm’はぞれぞれ0または1から20、好ましくは、0〜10の整数である。ここで、nm個、n’m’個はもちろん、nm+n’m’個のR1およびR2は互いに同一または異なっていてもよい。特に、前記式(1)において、R1およびR2が水素原子で、nおよびn’はそれぞれ5、m+m’が1から4のもの、またはmおよびm’がいずれも0のものが好ましい。
それらが上記範囲内にある限り、特に制限なく使用することができる。
【0008】
前記式(1)で表される紫外線吸収剤(A)には、式(1)におけるmおよびm’が0で表される化合物であるアルコール性水酸基を有する化合物に下記式(2)
【化3】
Figure 0004033253
<式(2)において、R1およびR2は水素原子または炭素数1から10のアルキル基で、n個のR1およびR2は互いに同一または異なっていてもよい。nは4から8の整数>
で表されるラクトン類を開環付加重合させて得られるものも同時に含まれる。この紫外線吸収剤の製造方法は、たとえば、特開平10−265557号公報、特開2000−95849号公報および特開2000−327736号公報等に記載されている。この式(1)におけるmおよびm’が0で表される化合物であるアルコール性水酸基を有する化合物はビス[3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシ−ベンゼンエタノール]メタンであり、合成物や市販品(たとえば、大塚化学製、商品名「MBEP」等)を用いることができる。
【0009】
前記式(2)で表わされるラクトン類としてはε−カプロラクトン、トリメチル−ε−カプロラクトン、モノメチル−ε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン等が挙げられる。中でも、式(2)におけるR1およびR2が水素原子、nが5のε−カプロラクトンが工業的に量産されており、入手しやすい点で好ましい。なお、ε−カプロラクトンのみを用いた場合は、式(1)におけるnおよびn’は共に5である。
前記式(1)で表わされるmおよびmの少なくともどちらか一方が0でない紫外線吸収剤は合成物や市販品(たとえば、ダイセル化学工業製、商品名「UVA103」や「UVA 105」)を用いることができる。
【0010】
紫外線吸収性官能基含有ウレタン(メタ)アクリレート中で紫外線吸収剤(A)成分の占める比率としては、ポリイソシアネートに対するヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート(D)の付加モル数の0.1〜50%を置き換えた量であり、好ましくは1〜30%である。
0.1%未満では、耐候性の性能が発揮できず、50%を越えるとアクリル基含有量が少なくなり、硬化性と塗膜強度が低下する。
【0011】
本発明に用いる必要に応じて添加されるポリオール(B)としては、ポリエステルジオール、ポリエーテルジオール、ポリアジペートジオール、ポリブタジエンジオール、ポリカーボネートジオール、エトキシ化ビスフェノールAなどが挙げられ、特に制限なく市販品を用いることができる。ポリオール(B)の分子量は200〜10,000、好ましくは、500〜3000である。より具体的にはポリカプロラクトン系ポリオール、芳香族ポリエーテル系ポリオール、脂肪族ポリエーテル系ポリオールなどが挙げられる。
【0012】
ポリカプロラクトン系ポリオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール等にε−カプロラクトンを反応させて得られたものである。トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコールなども同様に使用し得る。
この中でも特にポリカプロラクトン系ポリオールが好ましい。これらは1種、または2種以上併用してもよい。また、同じ種類のものを2モル以上用いてもよい。
【0013】
本発明に用いるポリイソシアネート(C)としては、芳香族系、脂肪族系または脂環式ポリイソシアネートまたはその混合物、付加物、変性物、重合物など公知のポリイソシアネート類が使用できる。中でも、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、水添化ジフェニルメタンジイソシアネート(H12MDI)、ポリフェニルメタンポリイソシアネート(クルードMDI)、変性ジフェニルメタンジイソシアネート(変性MDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、水添化キシリレンジイソシアネート(H−XDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMXDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ノルボルネンジイソシアネート(NDI)などのポリイソシアネート或いはこれらのイソシアネートの三量体化合物が挙げられる。
【0014】
本発明に用いるヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート(D)としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、グリセロールメタクリレートアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートのような多価アルコールの多価もしくは混基(メタ)アクリレート;カプロラクトン変性2−ヒドロキシ(メタ)アクリレートのような上記ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート類のカプロラクトン変性物などが挙げられる。
なお、本発明において、(メタ)アクリレートの記載は、アクリレート及び/又はメタクリレートを意味する。
【0015】
本発明のウレタン(メタ)アクリレートの製造方法としては、上記の紫外線吸収剤(A)、必要に応じて添加されるポリオール(B)、ポリイソシアネート(C)、及びヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート(D)を反応させる方法であれば、特に限定されず、公知の方法で製造できる。例えば、(A)、(B)、(C)、(D)を一括混合して反応させる方法、(B)および(C)を反応させて、1分子当たり1個以上のイソシアネート基を含有するウレタンイソシアネートプレポリマーを形成した後、該プレポリマーと(A)および(D)を反応させる方法、または、(C)および(D)を反応させて、1分子当たり1個以上のイソシアネート基を含有するウレタンイソシアネートプレポリマーを形成した後、該プレポリマーと(A)および(B)を反応させる方法などが挙げられる。
【0016】
反応の順序によって以下の構造の化合物の混合物となる。
すなわち、上記成分(A)、(B)、(C)、(D)を一括混合して反応させるとD-(-C-B-)n-C-DおよびD-(-C-B-)n'-C-Aで表される化合物の混合物が得られる[nおよびn’は1〜15]。
【0017】
分(A)の混合比率が成分(C)2.0モルに対して0.005モルより小さいと、紫外線吸収性官能基の量が相対的に小さくなるため、耐候性に劣るので、好ましくない。逆に成分(A)の比率を2.0モルより大にしても紫外線吸収効果はそれほど向上せず硬化塗膜の物性に悪影響が出るので、好ましくない。成分(B)の比率を成分(C)の2.0モルに対して2.0モルより大にすると硬化特性が低下するので、好ましくない。成分(D)の比率を成分(C)の2.0モルに対して0.5モルより小さいと、硬化特性が低下するので、好ましくない。逆に成分(D)の比率を4.0モルより大にすると遊離の成分(D)の量が大になり、硬化塗膜の物性に悪影響が出るので、好ましくない。上記成分(B)を使用せずに(A)、(C)、(D)を一括混合して反応させるとD-C-D、D-C-AおよびD-(-C-A-)m-C-Dの混合物が得られる。
【0018】
反応には、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、フェノチアジンなどの重合禁止剤存在下で行うことが好ましい。これらの重合禁止剤の量は生成するウレタン(メタ)アクリレートに対して1〜10000ppm、好ましくは、100〜1000ppm、さらに好ましくは、400〜500ppmである。重合禁止剤の量がウレタン(メタ)アクリレートに対して1ppm未満であると十分な重合禁止効果が得られないことがあり、10000ppmを超えると生成物の諸物性に悪影響を及ぼす恐れがある。
【0019】
同様の理由から、本付加反応は分子状酸素含有ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
酸素濃度は安全性等を考慮して空気や不活性ガスと混合することにより適宜選択される。
本反応において、十分な反応速度を得るために、本反応は触媒を用いて行うことが好ましい。触媒としては、ジブチルスズジラウレート、オクチル酸スズ、塩化スズ、ジブチルスズジエチルヘキソエートなどを用いることができるが、反応速度面からジブチルスズジラウレートおよびジブチルスズジエチルヘキソエートが好ましい。
これらの触媒の量はウレタン(メタ)アクリレートに対して、通常、1〜3000ppm、好ましくは50〜1000ppmである。触媒量が1ppmより少ない場合には十分な反応速度が得られないことがあり、3000ppmより多く加えると生成物の諸物性に悪影響を及ぼす恐れがある。
【0020】
反応は温度50℃〜130℃で行う。50℃より低いと実用上十分な反応速度が得られないことがあり、130℃より高いと熱によるラジカル重合によって二重結合部が架橋し、ゲル化物が生じることがある。反応は、通常、残存イソシアネート基が0.1%以下になるまでガスクロマトグラフィーおよび滴定法等で分析しながら行なう。
【0021】
本発明の紫外線吸収性官能基を含有する活性エネルギー線硬化型ウレタン(メタ)アクリレート組成物は、上記各構造の化合物であるウレタン(メタ)アクリレートを硬化性成分として含有するものである。この組成物を電子線照射により硬化させる際には、必ずしも光重合開始剤を用いる必要はないが、紫外線照射により硬化させる時は、光重合開始剤を配合する。光重合開始剤としては、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ジエトキシアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインn−ブチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、ベンジルジメチルケタール、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、チオキサンソン、2−クロルチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、2,4−ジメチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、2,4−ジクロロチオキサンソン、2,4−ジエチルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフインオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、カンファーキノンなどが挙げられる。この光重合開始剤の配合量は、組成物全体に対して1〜10重量%、好ましくは、1〜5重量%、さらに好ましくは、3重量%程度である。1重量%未満では硬化速度が遅く、逆に10重量%を超える量使用しても硬化速度の向上はみられず、硬化物の物性を損なうので好ましくない。
【0022】
本発明の活性エネルギー線硬化型ウレタン(メタ)アクリレート組成物は、上記ウレタン(メタ)アクリレートに(メタ)アクリロイル基含有モノマーまたは(メタ)アクリロイル基含有オリゴマー(以下、両者を(メタ)アクリロイル基含有モノマー(E)と略すことがある。)を配合することにより得られる。(メタ)アクリロイル基含有モノマー(E)としては特に限定されず、公知の(メタ)アクリロイル基を含有するモノマーが使用できる。(メタ)アクリロイル基含有モノマー(E)としては、例えば、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ポリカプロラクトン変性ヒドロキシエチルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、アクリロイルモルフォリン、1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンの3モルプロピレンオキサイド付加物のトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンの6モルプロピレンオキサイド付加物のトリ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのカプロラクトン変性物のヘキサ(メタ)アクリレートなどの多官能モノマーが挙げられる。また、代表的なオリゴマーとしては、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、アクリル(メタ)アクリレート、不飽和ポリエステルなどが挙げられる。
(メタ)アクリロイル基含有モノマー(E)の配合量は紫外線吸収性官能基含有ウレタン(メタ)アクリレート100重量部に対して1〜1000重量部、好ましくは1〜500重量部、さらに好ましくは1〜100重量部である。1重量部より少ないと溶剤としても添加する意味がない。逆に、1000重量部より多くなると組成物から形成された硬化塗膜において、耐候性が悪くなるので、好ましくない。
【0023】
本発明においては、必要に応じて粘度調整などのために、有機溶剤などを添加することも可能である。この様な有機溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸メトキシエチルなどのエステル系溶剤;ジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエーテル、ジオキサンなどのエーテル系溶剤;トルエン、キシレンなどの芳香族溶剤;ペンタン、ヘキサンなどの脂肪族系溶剤;塩化メチレン、クロロベンゼン、クロロホルムなどのハロゲン系溶剤;イソプロパノール、ブタノールなどのアルコール系溶剤などが挙げられる。この有機溶剤の配合量は、組成物全体に対して0〜30重量%が好ましい。
【0024】
また、このウレタン(メタ)アクリレート組成物には、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物としてのウレタン(メタ)アクリレート組成物の特性を損なわない範囲内でこのほかの種々の添加剤を配合することができる。このような添加剤としては、例えば、フィラー、染顔料、レベリング剤、紫外線吸収剤、光安定剤、消泡剤、分散剤、チクソトロピー性付与剤などが挙げられる。
これらの添加物の添加量は樹脂組成物に対して0〜10重量部、好ましくは0.05〜5重量部である。上記ウレタン(メタ)アクリレート組成物は、これを対象物に適用した後、紫外線または電子線等の活性エネルギー線を照射することにより硬化する。
【0025】
紫外線照射を行う時の光源としては、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、キセノン灯、メタルハライド灯などが用いられる。照射時間は、光源の種類、光源と塗布面との距離、その他の条件により異なるが、長くとも数十秒であり、通常は数秒である。紫外線照射後は、必要に応じて加熱を行って硬化の完全を図ることもできる。電子線照射の場合は、50〜1,000KeVの範囲のエネルギーを持つ電子線を用い、2〜5Mradの照射量とすることが好ましい。通常、ランプ出力80〜300W/cm程度の照射源が用いられる。硬化塗膜の厚さは通常、50〜300μm程度である。
【0026】
被塗布物としては、ポリエチレンテレフタレート(PET),ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ABS樹脂、塩化ビニル樹脂などのプラスチックスおよび前記プラスチックスに金属蒸着を行ったもの、ガラス、木材、金属板、紙等が挙げられる。本発明のウレタン(メタ)アクリレート樹脂組成物が塗料またはコーティング剤として用いられた上記プラスチックス類、ガラス、木材、金属、紙などは、外装および内装の各種建築材料、住居、輸送機器などの窓ガラス、採光ガラスおよびプラスチックレンズ、コンタクトレンズ、インキ、自動車のヘッドランプカバー用などにおいて有用である。本発明のウレタン(メタ)アクリレート組成物は、特に耐候性に優れた塗料およびコーティング剤用に有用である。
【0027】
【実施例】
以下、実施例および比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本実施例では、前記式(1)で表される紫外線吸収剤の内、mとm’がいずれも0のものであるビス[3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシ−ベンゼンエタノール]メタン(大塚化学製、商品名「MBEP」)を使用した。前記式(1)におけるR1およびR2が水素原子、nおよびn’が5、m+m’が6のものとして、ダイセル化学工業(株)製紫外線吸収剤(商品名「UVA 103」)を、前記式(1)におけるR1およびR2が水素原子、nおよびn’が5、m+m’が10のものとしてダイセル化学工業製紫外線吸収剤(商品名「UVA 105」)を使用した。
【0028】
実施例1
<ウレタンアクリレート(1)の合成>
攪拌機、温度計およびコンデンサーを備えた3Lのフラスコにイソホロンジイソシアネート444g(2モル)を仕込み、内温70℃にした後、数平均分子量1000のポリカプロラクトンジオール(商品名プラクセル210、ダイセル化学工業製)1000g(1モル)を加え、反応させ残存イソシアネート基が5.7%となった時点で紫外線吸収剤[式(1)におけるmおよびm’がいずれも0の化合物]104g(0.2モル)、2−ヒドロキシエチルアクリレート209g(1.8モル)、ジブチルスズラウリレート0.25g(150ppm、ウレタンアクリレートに対する添加量)およびハイドロキノンモノメチルエーテル0.84g(500ppm、ウレタンアクリレートに対する添加量)を加え残存イソシアネート基が0.1%以下になるまで反応を行い、ウレタンアクリレート(1)を得た。
【0029】
実施例2
<ウレタンアクリレート(2)の合成>
主成分の仕込み量のみを下記に示す。なお、触媒、重合禁止剤は実施例1と同ppm数であり、反応条件は実施例1と同様に行う。イソホロンジイソシアネート:444g(2モル)、数平均分子量1000のポリカプロラクトンジオール(プラクセル210、ダイセル化学工業製)1000g(1モル)、紫外線吸収剤[式(1)におけるR1およびR2が水素原子、nおよびn’が5、m+m’が6の化合物、ダイセル化学工業製、商品名「UVA 103」]:240g(0.2モル)、2−ヒドロキシエチルアクリレート:209g(1.8モル)を用いてウレタンアクリレート(2)を得た。
【0030】
実施例3
<ウレタンアクリレート(3)の合成>
主成分の仕込み量のみを下記に示す。なお、触媒、重合禁止剤は実施例1と同ppm数であり、反応条件は実施例1と同様に行う。イソホロンジイソシアネート:444g(2モル)、数平均分子量1000のポリカプロラクトンジオール(プラクセル210、ダイセル化学工業製)1000g(1モル)、紫外線吸収剤[式(1)におけるR1およびR2が水素原子、nおよびn’が5、m+m’が10の化合物、ダイセル化学工業製、商品名「UVA 105」]:332g(0.2モル)、2−ヒドロキシエチルアクリレート:209g(1.8モル)を用いてウレタンアクリレート(3)を得た。
【0031】
実施例4
<ウレタンアクリレート(4)の合成>
主成分の仕込み量のみを下記に示す。なお、触媒、重合禁止剤は実施例1と同ppm数であり、反応条件は実施例1と同様に行う。イソホロンジイソシアネート:444g(2モル)、数平均分子量1000のポリカプロラクトンジオール(プラクセル210、ダイセル化学工業製)1000g(1モル)、紫外線吸収剤[式(1)におけるR1およびR2が水素原子、nおよびn’が5、m+m’が6の化合物、ダイセル化学工業製、商品名「UVA 103」]:120g(0.1モル)、2−ヒドロキシエチルアクリレート:220.4g(1.9モル)を用いてウレタンアクリレート(4)を得た。
【0032】
実施例5
<ウレタンアクリレート(5)の合成>
主成分の仕込み量のみを下記に示す。なお、触媒、重合禁止剤は実施例1と同ppm数であり、反応条件は実施例1と同様に行う。イソホロンジイソシアネート:444g(2モル)、数平均分子量1000のポリカプロラクトンジオール(プラクセル210、ダイセル化学工業製)1000g(1モル)、紫外線吸収剤[式(1)におけるR1およびR2が水素原子、nおよびn’が5、m+m’が6の化合物、ダイセル化学工業製、商品名「UVA 103」]:480g(0.4モル)、2−ヒドロキシエチルアクリレート:185.6g(1.6モル)を用いてウレタンアクリレート(5)を得た。
【0033】
実施例6
<ウレタンアクリレート(6)の合成>
主成分の仕込み量のみを下記に示す。なお、触媒、重合禁止剤は実施例1と同ppm数であり、反応条件は実施例1と同様に行う。イソホロンジイソシアネート:444g(2モル)、数平均分子量1000のポリカプロラクトンジオール(プラクセル210、ダイセル化学工業製)1000g(1モル)、紫外線吸収剤[式(1)におけるR1およびR2が水素原子、nおよびn’が5、m+m’が6の化合物]ダイセル化学工業製、商品名「UVA 103」:240g(0.2モル)、カプロラクトン変性ヒドロキシエチルアクリレート(プラクセルFA2D、ダイセル化学工業製):619g(1.8モル)を用いてウレタンアクリレート(6)を得た。
【0034】
実施例7
<ウレタンアクリレート(7)の合成>
主成分の仕込み量のみを下記に示す。なお、触媒、重合禁止剤は実施例1と同ppm数であり、反応条件は実施例1と同様に行う。イソホロンジイソシアネート:444g(2モル)、数平均分子量1000のポリカプロラクトンジオール(プラクセル210、ダイセル化学工業製)1000g(1モル)、紫外線吸収剤[式(1)におけるR1およびR2が水素原子、nおよびn’が5、m+m’が6の化合物、ダイセル化学工業製、商品名「UVA 103」]:240g(0.2モル)、ペンタエリスルトールトリアクリレート:538.2g(1.8モル)を用いてウレタンアクリレート(7)を得た。
【0035】
実施例8
<ウレタンアクリレート(8)の合成>
主成分の仕込み量のみを下記に示す。なお、触媒、重合禁止剤は実施例1と同ppm数であり、反応条件は実施例1と同様に行う。イソホロンジイソシアネート:222g(1モル)、紫外線吸収剤[式(1)におけるR1およびR2が水素原子、nおよびn’が5、m+m’が6の化合物、ダイセル化学工業製、商品名「UVA 103」]:240g(0.2モル)、2−ヒドロキシエチルアクリレート:209g(1.8モル)を用いてウレタンアクリレート(8)を得た。
【0036】
参考例1
<ウレタンアクリレート(9)の合成>主成分の仕込み量のみを下記に示す。なお、触媒、重合禁止剤は実施例1と同ppm数であり、反応条件は実施例1と同様に行う。ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性タイプ(タケネートD−170N、武田薬品工業製):603g(1モル)、紫外線吸収剤[式(1)におけるR1およびR2が水素原子、nおよびn’が5、m+m’が6の化合物、ダイセル化学工業製、商品名「UVA 103」]:360g(0.3モル)、2−ヒドロキシエチルアクリレート:313.2g(2.7モル)を用いてウレタンアクリレート(9)を得た。
【0037】
実施例10
<ウレタンアクリレート(10)の合成>
主成分の仕込み量のみを下記に示す。なお、触媒、重合禁止剤は実施例1と同ppm数であり、反応条件は実施例1と同様に行う。紫外線吸収剤[式(1)におけるR1およびR2が水素原子、nおよびn’が5、m+m’が6の化合物、ダイセル化学工業製、商品名「UVA 103」]:1200g(1モル)、イソホロンジイソシアネート:444g(2モル)、2−ヒドロキシエチルアクリレート:232g(2モル)を用いてウレタンアクリレート(10)を得た。
【0038】
比較例1
<ウレタンアクリレート(11)の合成>
主成分の仕込み量のみを下記に示す。なお、触媒、重合禁止剤は実施例1と同ppm数であり、反応条件は実施例1と同様に行う。数平均分子量1000のポリカプロラクトンジオール(プラクセル210、ダイセル化学工業製)1000g(1モル)、イソホロンジイソシアネート:444g(2モル)、2−ヒドロキシエチルアクリレート:232g(2モル)を用いてウレタンアクリレート(11)を得た。
上記実施例1〜10および比較例1で得られたウレタンアクリレート1〜11について、下記の要領で硬化塗膜の耐候性を調べた。
【0039】
実施例11、比較例2
上記実施例および比較例で得られた各ウレタンアクリレート100重量部および光開始剤(イルガキュア184、チバ・スペシャリティ・ケミカル製)3重量部を配合し、膜厚100ミクロンとなるように塗布した後、ランプ出力120W/cmの高圧水銀灯を用いて、コンベアスピード5m/minで3回照射して、硬化塗膜フィルムを得た。
【0040】
実施例12
上記実施例および比較例で得られた各ウレタンアクリレート80重量部、トリプロピレングリコールジアクリレート(TPGDA)20重量部および光開始剤(イルガキュア184、チバ・スペシャリティ・ケミカル製)3重量部を配合し、膜厚100ミクロンとなるように塗布した後、ランプ出力120W/cmの高圧水銀灯を用いて、コンベアスピード5m/minで2回照射して、硬化塗膜フィルムを得た。
【0041】
試験例
まず、初期のデータとして、各塗膜フィルムの破断伸度、色差(ΔYI)の測定を行った。
耐候性試験として、サンシャインウェザーメーターで3000時間行った。
試験条件を以下に示した。
使用機種:デューサイクルサンシャインウェザーメーターWEL−SUN−DC、スガ試験機(株)製、光源:カーボンアーク、降雨サイクル:120分毎に18分間降雨、温度:ブラックパネル80℃
各ウレタンアクリレートの破断伸度を調べ、保持率を計算した。保持率は以下の式で計算した。保持率(%)=サンシャインウェザーメーターで3000時間後の破断伸度/初期の破断伸度*100。評価結果は以下で示した。
◎:100%〜90%、○:90%〜80%、△:80%〜60%、×:60%以下。
また、各ウレタンアクリレートおよび各ウレタンアクリレートを含んだ配合物について、サンシャインウエザオメーターで3000時間試験した前後の色差(ΔYI)、ヘーズ(ΔH)を示し、評価結果は以下で示した。
色差、ヘーズについて
◎:5%以下、 ○:5%〜10%、 △:10%〜15%、 ×:15%以上
上記実施例11、12の結果を表1、2に示した。
【0042】
【表1】
Figure 0004033253
【0043】
【表2】
Figure 0004033253
【0044】
【発明に効果】
本発明の紫外線吸収性官能基含有ウレタン(メタ)アクリレートおよびその組成物から、特に長期間にわたって耐候性に優れた塗膜が形成される。

Claims (3)

  1. 下記式(1)で示される紫外線吸収剤(A)、必要に応じて添加されるポリオール(B)、ポリイソシアネート(C)および、2−ヒドロキシエチルアクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシエチルアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートから選ばれた少なくとも1つのヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート(D)とを、成分(C)2.0モルに対して、成分(A)が0.1〜1.0モル、成分(B)が0〜2.0モル、成分(D)が0.5〜4.0モルの混合比率で混合して、反応温度50℃〜130℃で反応させて得られた紫外線吸収性官能基含有ウレタン(メタ)アクリレート。
    Figure 0004033253
    <式(1)において、R1およびR2は水素原子であり、mおよびm’がいずれも0、又は、nおよびn’が、mおよびm’はそれぞれ0〜10の整数であり、m+m’が6または10であり、nm個、n’m’個またはnm+n’m’個のR1およびR2は互いに同一または異なっていてもよい。>
  2. 請求項1に記載の紫外線吸収性官能基含有ウレタン(メタ)アクリレートおよび(メタ)アクリロイル基含有モノマーおよび/または(メタ)アクリロイル基含有オリゴマー(E)を含有することを特徴とする紫外線吸収性官能基含有活性エネルギー線硬化型ウレタン(メタ)アクリレート組成物。
  3. 請求項2に記載の紫外線吸収性官能基含有活性エネルギー線硬化型ウレタン(メタ)アクリレート組成物に活性エネルギー線を照射することにより硬化させてなる硬化物。
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