JP2013018822A - エポキシ化リグニン樹脂又はエポキシ化リグノフェノール樹脂、その樹脂組成物、ワニス及び硬化物 - Google Patents
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Abstract
【課題】分解性の良いエポキシ化リグニン樹脂またはエポキシ化リグノフェノール樹脂を提供すること。
【解決手段】リグニン又はリグノフェノールにエポキシ基を有するカップリング剤を結合させたエポキシ化リグニン樹脂又はエポキシ化リグノフェノール樹脂、該エポキシ化リグニン樹脂又はエポキシ化リグノフェノール樹脂とエポキシ樹脂硬化剤とを含むエポキシ樹脂組成物、ワニス、プリプレグ及び硬化物。
【選択図】図1
【解決手段】リグニン又はリグノフェノールにエポキシ基を有するカップリング剤を結合させたエポキシ化リグニン樹脂又はエポキシ化リグノフェノール樹脂、該エポキシ化リグニン樹脂又はエポキシ化リグノフェノール樹脂とエポキシ樹脂硬化剤とを含むエポキシ樹脂組成物、ワニス、プリプレグ及び硬化物。
【選択図】図1
Description
本発明は、エポキシ化リグニン樹脂又はエポキシ化リグノフェノール樹脂、該エポキシ化リグニン樹脂又はエポキシ化リグノフェノール樹脂とエポキシ樹脂硬化剤とを含むエポキシ樹脂組成物、ワニス、プリプレグ及び硬化物に関する。
地球温暖化を防止する材料として、カーボンニュートラルの観点から、植物性バイオマスの利用が期待されている。中でも、国内に多く存在する木質廃棄物、即ち、未利用の樹木を原料とするバイオマス由来の樹脂化が期待されている。具体的には、樹木から抽出することができる、耐熱性に優れたポリフェノール骨格のリグニンやリグノフェノールをエポキシ化したエポキシ樹脂として用いたエポキシ樹脂硬化物が期待されている。
また、地球環境保全のため、従来、埋め立て処理、焼却処理により処分されていたエポキシ樹脂硬化物を分解し、エポキシ樹脂硬化物の原料として再利用することが求められている。
エポキシ樹脂の再利用への要求に対して、エポキシ樹脂硬化物中のエステル結合のエステル交換反応を利用してエポキシ樹脂硬化物を分解する方法が知られている(特許文献1)。
一方、リグニンやリグノフェノールをエポキシ樹脂として利用することの要求に対して、リグニンをエポキシ化してエポキシ樹脂として利用すべく、リグニンにエピクロルヒドリンやグリシジルエーテルを加えて得られるリグニン由来エポキシ樹脂化合物や、前記リグニン由来エポキシ樹脂化合物を石油由来エポキシ樹脂硬化剤と反応させることにより得られるエポキシ樹脂硬化物が知られている(特許文献2)。
しかし、リグニンにエピクロルヒドリンやグリシジルエーテルを加えて得られるリグニン由来エポキシ樹脂を硬化剤と反応させることにより形成したエポキシ樹脂硬化物は化学的安定性が高く、これを容易に分解することができず、エポキシ樹脂原料として再利用することは困難である。エポキシ樹脂を分解し、原料を再利用することができるのは硬化物中にエステル結合を有している硬化剤として酸無水物を用いた場合のみである。しかし、エステル交換反応によりエポキシ樹脂原料を回収するには100℃以上で5時間以上も反応させる必要がある。
さらにリグニンやリグノフェノールをエポキシ樹脂として利用すべく、リグニンまたはリグノフェノールが有するフェノール性水酸基による硬化反応を利用することにより、石油由来エポキシ樹脂硬化剤に代わり、リグニンをエポキシ樹脂硬化剤として用いることが知られている(特許文献2)。しかし、この場合、分解に利用するエステル結合を硬化物中に有しておらず、分解、再利用することが困難である。
そこで、無水トリメリット酸などの酸無水物によりリグニンを化学修飾したリグニン由来エポキシ化合物を硬化剤として用いることが知られている。前記硬化剤を用いて硬化させた硬化物はエステル結合を有するため、エステル交換反応により分解し、リグニンを回収することができる(特許文献3)。
この場合、硬化剤は分子内に酸無水物を有しており、前記硬化剤を用いて硬化させた硬化物は分子内にエステル結合を有しているため、エステル交換反応により分解し、リグニンを回収することができる。しかし、エステル交換反応によりエポキシ樹脂原料を回収するには100℃以上で5時間以上も反応させる必要がある。
本発明は上記問題を解決するためになされたもので、リグニンまたはリグノフェノール由来エポキシ樹脂化合物とエポキシ樹脂硬化剤との反応により形成したリグニンまたはリグノフェノール由来エポキシ樹脂硬化物の分解性改善を目的とする。
上記目的を達成するために、本発明のリグニン由来エポキシ樹脂は、リグニンまたはリグノフェノールの水酸基に結合する官能基とエポキシ基を有する化合物を結合させたことを特徴とするエポキシ化リグニン樹脂又はエポキシ化リグノフェノール樹脂に関する。また、本発明は、上記エポキシ化リグニン樹脂又はエポキシ化リグノフェノール樹脂をエポキシ樹脂の硬化剤又は硬化触媒を含む樹脂組成物、その樹脂組成物を溶媒に溶解したワニス、そのワニスを繊維基材に含侵して乾燥したプリプレグ、そのプリプレグ又は樹脂組成物を用いたプリント基板、電子機器、回転電機に関する。
本発明においては、上記化合物としてはカップリング剤が好ましく、カップリング剤のX−O−R(X=Si,Ti,Zr,Al)がリグニン又はリグノフェノールと脱水又は脱アルコール反応し、X−O−C結合を形成する。このX−O−Cが、酸又は塩基水溶液又はアルコール溶液と接触すると、分解して、エポキシ樹脂を分解することができる。
本発明のエポキシ基を有する化合物をリグニンまたはリグノフェノールと反応させて形成したエポキシ化リグニン樹脂またはエポキシ化リグノフェノール樹脂の硬化物は分解性にすぐれ、種々の用途に利用でき、かつ廃エポキシ樹脂の再利用が可能になる。
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明のエポキシ樹脂はリグニンまたはリグノフェノールにエポキシ基を有するカップリング剤を結合させたことを特徴とする。
本発明のリグニンまたはリグノフェノール由来エポキシ樹脂は、エポキシ基を有する置換基がリグニンまたはリグノフェノール骨格とSi−O−C結合などのX−O−C結合(ここでXはSi,Ti,Zr及びAlのいずれかである。)で結合していることを特徴とする。
本発明で使用することのできるリグニンは、植物性バイオマスであり、プロピルフェノールを基本骨格とした強固なポリマである。リグニンには、樹木より抽出する方法により、アルカリリグニン、クラソン(klason)リグニン、水蒸気爆砕リグニンなどがある。本発明の出発原料となる上記いずれも用いることができ、リグニンは植物種や抽出方法により限定されない。
また、本発明においては、植物性バイオマスの一つのリグノフェノールを用いることができる。リグノフェノールは特許文献4に記載されているように、リグノセルロース系物質をリグノフェノール系物質と炭水化物とに分離する技術から生まれたものである。
エポキシ基を導入する前のリグニンまたはリグノフェノールの分子量は低分子量のものが望ましい。低分子量であると、溶解性や成形性に優れるためである。ワニス中に未溶解物が存在すると、それがエポキシ樹脂組成物である場合、エポキシ樹脂化合物及び硬化剤の部分的な配合割合が化学量論比と異なるため、硬化物の耐熱性や、安定性や耐吸水性などが低下し、好ましくない。そのため、有機溶媒に溶解することが好ましい。
具体的にはポリスチレン換算において、重量平均分子量Mw(以下Mwとする)が300〜10000が好ましい。Mwが300より小さい場合、耐熱性が低く、好ましくない。また、10000より大きい場合、溶解性が低下するため好ましくない。十分な耐熱性及び溶解性の観点から、Mwの範囲は、1200〜10000であることがさらに好ましい。
本発明に用いるリグニンは、式(1)で簡略化して示す。実際のリグニンの構造は極めて複雑であるが、本発明ではリグニンの詳細構造それ自体は発明対象ではないので省略して示す。リグノフェノールは式(2)で示されるがこれも詳細構造は省略している。詳細構造は特許文献3などに示されている。
式(1)、(2)は出発原料であるリグニンまたはリグノフェノールである。式中のOHは水酸基であり、リグニンまたはリグノフェノールの水酸基当量はJIS K 6755に準拠して測定する。この値は、50〜500g/eqが好ましい。
本発明に用いることのできるカップリング剤は分子内に有機材料と結合しうる官能基と−OH基または−OR基を持った化合物である。有機材料と結合する官能基としては、エポキシ基を用いる。
本発明に用いることのできるカップリング剤としてはシラン系、チタネート系、アルミネート系およびジルコネート系カップリング剤からなる群より選ばれる1種以上のカップリング剤を用いることができる。好ましくは、式(3)及び式(4)に示す構造を有するシランカップリング剤である。
本発明において特に好ましいカップリング剤は、式(3)及び式(4)で示されるエポキシ基を官能基として有するシランカップリング剤である。
本発明において特に好ましいカップリング剤は、式(3)及び式(4)で示されるエポキシ基を官能基として有するシランカップリング剤である。
式(3)及び式(4)中、a=0〜3、b=0〜5の整数を示す。
式(3)及び式(4)のようなエポキシ基を官能基として有すシランカップリング剤の具体例として、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
本発明に用いることのできるシランカップリング剤は水と反応する恐れがあるため使用する有機溶媒は含有する水分を除くために十分に乾燥する必要がある。本発明に用いることのできるシランカップリング剤の添加量は、リグニンの水酸基当量から算出した物質量に対して、5〜10倍当量が好ましい。
式(3)及び(4)はa、bの値の違いにより、反応中のリグニンに対する立体障害が変化する。式(3)及び(4)がより嵩高い構造である場合は、反応温度を高くして反応させる必要がある。
本発明のリグニン由来エポキシ樹脂は式(1)と(3)又は(4)を反応させることで作られる。また、本発明のリグノフェノール由来エポキシ樹脂アミン硬化剤は、式(2)と式(3)又は(4)を反応させることで作られる。
本発明のリグニンまたはリグノフェノール由来エポキシ樹脂は、エポキシ基を有する置換基がリグニンまたはリグノフェノール骨格とSi−O−C結合で結合している。すなわち、カップリング剤のOH基又はOR基がリグニン又はリフノフェノールのOHと反応して、脱水又は脱アルコール反応してリグニン及びリグノフェノールをエポキシ化する。カップリング剤のエポキシ基はエポキシ樹脂の硬化剤と反応し、又は硬化触媒或いは硬化促進剤(本明細書ではこれらをまとめて硬化触媒と言う)により反応し、硬化物を形成する。
本発明のリグニンまたはリグノフェノール由来エポキシ樹脂とアミン硬化剤からなる組成物とその硬化物の製造方法について図1を参照して説明する。まず、木材試料から抽出したリグニンまたはリグノフェノールを出発原料として、乾燥させた有機溶媒に溶解させ、式(3)又は(4)を加えて反応させる。式(3)又は(4)はシランカップリング剤であり、水と反応する恐れがあるため有機溶媒は含有する水分を除いた乾燥状態で使用する。反応後、溶液中からリグニンまたはリグノフェノール由来エポキシ樹脂を単離精製する。
エポキシ化前のリグニンまたはリグノフェノールの分子量は低分子量のものが望ましい。溶解性や成形性に優れるためである。特に、特許文献1に記載のエポキシ化リグニンまたはエポキシ化リグノフェノールが好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物を溶媒に溶解させ、ワニスとして使用してもよい。本発明のエポキシ樹脂ワニスとは、上記のエポキシ化リグニン樹試又はエポキシ化リグノフェノール樹脂とその硬化剤又は硬化触媒或いは硬化促進剤からなる組成物と、このエポキシ樹脂組成物を溶解するための有機溶剤とを含む。本発明のエポキシ樹脂ワニスには、上記のエポキシ樹脂組成物が10%以上含まれていることが好ましい。
本発明のエポキシ樹脂ワニスに用いることのできる有機溶剤はアルコール類、ケトン類、芳香族類などである。本発明のエポキシ樹脂ワニスに用いることのできるアルコール類としては、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−プロピロキシエタノール、2−ブトキシエタノールなどであり、ケトン類としてはメチルエチルケトン、イソブチルエチルケトン、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルホルムアミドなどであり、芳香族類としてはトルエン、キシレンなどを用いることができる。
本発明のプリプレグとは、上記のエポキシ樹脂ワニスをガラスクロスなどの基材に含侵させ、乾燥して作製したことを特徴とする。上記のプリプレグを用いて、プリント配線板、電子機器、回転電気を作製することができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物には一般的に使用されている公知の硬化促進剤を、単体あるいは二種類以上を組み合わせて、必要に応じて配合することができる。この硬化促進剤としては、三級アミン化合物、イミダゾール類、有機スルフィン類、リン化合物、テトラフェニルボロン塩及びこれらの誘導体等を挙げることができる。硬化促進剤の配合量は、硬化促進効果が達成される量であれば特に限定されない。
また、本発明のエポキシ樹脂組成物に、公知のカップリング剤を、単体あるいは二種類以上を組み合わせて、必要に応じて配合することができる。このカップリング剤としては、エポキシシラン、アミノシラン、ウレイドシラン、ビニルシラン、アルキルシラン、有機チタネート、アルミニウムアルキレート等を挙げることができる。
また、難燃剤として、赤燐、燐酸、燐酸エステル、メラミン、メラミン誘導体、トリアジン環を有する化合物、シアヌル酸誘導体、イソシアヌル酸誘導体の窒素含有化合物、シクロホスファゼン等の燐窒素含有化合物、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化モリブデン、フェロセン等の金属化合物、三酸化アンチモン、四酸化アンチモン、五酸化アンチモン等の酸化アンチモン、ブロム化エポキシ樹脂等を単独或いは二種類以上を組合せて配合することができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物には、一般的に用いられる無機充填剤を混合しても良い。無機充填剤は、吸湿性、熱伝導性及び強度の向上、熱膨張係数の低減のために配合されるものである。具体的には、溶融シリカ、結晶シリカ、アルミナ、ジルコン、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、チタン酸カリウム、炭化珪素、窒化アルミ、窒化ホウ素、ベリリア、ジルコン、フォステライト、ステアライト、スピレル、ムライト、チタニア等の粉体、また、これらを球形化したビーズ、ガラス繊維等が挙げられる。
さらに、難燃効果のある無機充填剤としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、珪酸亜鉛、モリブデン酸亜鉛などが挙げられる。これらの無機充填剤は単体でも二種類以上組み合わせても良い。
さらに、エポキシ樹脂組成物には、必要に応じて、他の樹脂を加えても良いし、反応を促進するための触媒、難燃剤、レベリング剤、消泡剤などの添加剤を加えても良い。
本発明のエポキシ樹脂組成物には、電子機器の耐湿性、高温放置特性(耐熱性)を向上させるためのイオントラッパー剤も配合することができる。イオントラッパー剤の種類に特に制限はなく、公知の物質を使用できる。具体的には、ハイドロタルサイト類、マグネシウム、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、ビスマス等の元素の含水酸化物などが挙げられる。単体でも二種類以上組み合わせてもよい。
さらに、本発明のエポキシ樹脂組成物には、その他の添加剤として、シリコーンゴム粉末の応力緩和剤、染料、カーボンブラック等の着色剤、レベリング剤、消泡剤等を必要に応じて配合することができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、混合した構成要素(材料)を均一に分散混合できる手段であれば、いかなる手段を用いて混合してもよい。一般的には、所定量を秤量した後、ボールミル、三本ロールミル、真空雷潰機、ポットミル、ハイブリットミキサー等を用いて分散混合を行う。
銅張積層板の作製にあたっても、エポキシ樹脂組成物ワニスをガラスクロス等の基材に含侵させる工程が不可欠なため、エポキシ樹脂組成物を溶媒(有機溶媒)に溶解させる必要がある。
本発明のエポキシ樹脂組成物を用いる製品としては、以下のものが挙げられる。プリプレグを用いた銅張積層板、これを内蔵する各種コンピュータ及び携帯電話、並びにコイル部をプリプレグで絶縁した各種モータ、このモータを搭載する産業用ロボット及び回転電機などである。また、本発明の樹脂組成物を用いて封止したチップサイスパッケージ、上記バイオマス由来エポキシ樹脂組成物を用いた接着性及び塗料などである。
本発明のエポキシ樹脂硬化物の分解方法としては一般的なシリルエーテルの分解方法を用いることができる。例えば、酸性もしくは塩基性の水溶液またはアルコール溶液を加える方法や、フッ化テトラn−ブチルアンモニウム、フッ化カリウム、トリフルオロボランエーテル錯体などのフッ化物類を用いる方法が挙げられる。
エポキシ樹脂硬化物の分解に酸性又は塩基性水溶液またはアルコール溶液を用いる場合、加える塩基の例としては炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムなどの炭酸塩類、酸の例として酢酸、ギ酸、プロピオン酸、アクリル酸、メタクリル酸、安息香酸などのカルボン酸類や塩化アンモニウム、イオン交換樹脂、フェノール、ナフトール、希塩酸などを挙げることができる。
エポキシ樹脂硬化物の分解に脱シリル化に塩基性水溶液またはアルコール溶液を用いる場合に加える塩基の例として、アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリn−ブチルアミンなどのアミン類、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムなどの水酸化物塩類などを挙げることができる。
エポキシ樹脂硬化物の分解に酸性又は塩基性アルコール溶液を用いる場合、用いるアルコールの例としてはメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、エチレングリコールモノアルキルエーテル、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル、トリエチレングリコールモノアルキルエーテル、テトラエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、グリセロールなどが挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂硬化物の分解反応を行う際の温度は−80℃〜150℃が好ましい。
本発明のエポキシ樹脂を用いて形成したエポキシ樹脂硬化物はエポキシ樹脂と金属、エポキシ樹脂とセラミックス等、エポキシ樹脂と接着している異種材を剥離するのが従来に比べ容易である。すなわち、樹脂を完全に分解することなく、接着界面でのエポキシ樹脂の分解反応が進行し易ければ、従来よりも短時間でエポキシ樹脂と異種材を剥離することができる。この場合、エポキシ樹脂硬化物に含まれる本発明のエポキシ樹脂は10%以上であることが好ましい。
以下、本発明の実施例について具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に特に限定されない。
実施例で用いた供試材料を示す。
(1)低分子リグニン:杉リグニンを原料とするMw1500(水酸基当量140g/eq)リグノフェノール:Mw4400(水酸基当量:160g/eq)東洋樹脂(株)製
(2)シランカップリング剤:信越化学工業(株)製 KBM−402(3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン)、KBM−403(3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)、KBE−402(3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン)、KBE−403(3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン)
(3)エポキシ樹脂:ジャパンエポキシレジン(株)製 JER828:(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量190g/eq)
(4)硬化剤:無水グルタル酸(和光純薬製)
(5)硬化促進剤:P200=イミダゾール系硬化促進剤 軟化温度97℃(ジャパンエポキシレジン製)
(6)無水トリメリット酸クロライド(和光純薬製)
(7)2−メトキシエタノール(和光純薬製)
(8)メチルエチルケトン(和光純薬製)
(実施例1)
(1)エポキシ樹脂1の製造
木材試料を水蒸気爆砕により加水分解し、リグニンを抽出した。抽出したリグニンから有機溶媒を除去した後、リグニンの水分を除去し、リグニンを得た。
得られたリグニン100gを60℃に加熱したバキュームオーブンで12時間乾燥させた。攪拌羽、冷却管および温度計を付した2L用の四つ口フラスコを窒素雰囲気にし、乾燥させたリグニン100gに脱水テトラヒドロフラン500mlを加え30分攪拌して溶解した。KBM−402(3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン)45gを4つ口フラスコに加え、オイルバスを75℃に加熱して、1時間加熱還流した。そして、反応溶液を室温まで放冷し、酢酸エチル1Lおよび水1Lを加えて希釈し、分離した。有機層を水1Lで2回洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤を除去した後、エバポレーターで溶剤を除去した。さらに真空乾燥を行い、エポキシ樹脂1を得た。
(2)シランカップリング剤:信越化学工業(株)製 KBM−402(3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン)、KBM−403(3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)、KBE−402(3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン)、KBE−403(3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン)
(3)エポキシ樹脂:ジャパンエポキシレジン(株)製 JER828:(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量190g/eq)
(4)硬化剤:無水グルタル酸(和光純薬製)
(5)硬化促進剤:P200=イミダゾール系硬化促進剤 軟化温度97℃(ジャパンエポキシレジン製)
(6)無水トリメリット酸クロライド(和光純薬製)
(7)2−メトキシエタノール(和光純薬製)
(8)メチルエチルケトン(和光純薬製)
(実施例1)
(1)エポキシ樹脂1の製造
木材試料を水蒸気爆砕により加水分解し、リグニンを抽出した。抽出したリグニンから有機溶媒を除去した後、リグニンの水分を除去し、リグニンを得た。
得られたリグニン100gを60℃に加熱したバキュームオーブンで12時間乾燥させた。攪拌羽、冷却管および温度計を付した2L用の四つ口フラスコを窒素雰囲気にし、乾燥させたリグニン100gに脱水テトラヒドロフラン500mlを加え30分攪拌して溶解した。KBM−402(3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン)45gを4つ口フラスコに加え、オイルバスを75℃に加熱して、1時間加熱還流した。そして、反応溶液を室温まで放冷し、酢酸エチル1Lおよび水1Lを加えて希釈し、分離した。有機層を水1Lで2回洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤を除去した後、エバポレーターで溶剤を除去した。さらに真空乾燥を行い、エポキシ樹脂1を得た。
1H−NMRによりCH3O−Si−由来の3.4〜3.7ppmのシグナルを、またFT−IRによりCH3O−Si−由来の1100〜1020cm−1の吸収を得たことから、リグニンへのシランカップリング反応によるエポキシ基の導入を確認した。
(2)エポキシ樹脂硬化物1の作製
得られたエポキシ樹脂1に対し、硬化剤として無水グルタル酸を化学量論比で配合し、樹脂分の2wt%の硬化促進剤P200を加えた後、2−メトキシエタノール及びメチルエチルケトンの等重量の混合溶媒を樹脂分濃度50wt%になるように加えて混合し、エポキシ樹脂組成物ワニス得た。
得られたエポキシ樹脂1に対し、硬化剤として無水グルタル酸を化学量論比で配合し、樹脂分の2wt%の硬化促進剤P200を加えた後、2−メトキシエタノール及びメチルエチルケトンの等重量の混合溶媒を樹脂分濃度50wt%になるように加えて混合し、エポキシ樹脂組成物ワニス得た。
得られたエポキシ樹脂組成物ワニスをポリイミドフィルム上に塗布して、硬化条件60℃/1h+120℃/1h/160℃/1h+200℃/1hで熱硬化し、厚さ100〜1000μmのエポキシ樹脂硬化物を得た。
(3)積層板の形成
厚さ100μmのガラスクロス(30cm角)にエポキシ樹脂組成物ワニスに含侵させ、130℃で8分間温風乾燥機内において、エポキシ樹脂組成物を中間硬化状態(Bステージ)にし、ベとつかないプリプレグを6枚得た。この6枚を重ね、さらに、上下に厚さ35μmの銅箔を重ねて、真空プレスで220℃まで加熱(昇温速度6℃/分)し、更に完全に硬化(220℃で1時間)した状態(Cステージ)の銅張積層板1を得た。
厚さ100μmのガラスクロス(30cm角)にエポキシ樹脂組成物ワニスに含侵させ、130℃で8分間温風乾燥機内において、エポキシ樹脂組成物を中間硬化状態(Bステージ)にし、ベとつかないプリプレグを6枚得た。この6枚を重ね、さらに、上下に厚さ35μmの銅箔を重ねて、真空プレスで220℃まで加熱(昇温速度6℃/分)し、更に完全に硬化(220℃で1時間)した状態(Cステージ)の銅張積層板1を得た。
(4)フリップチップ型ボールグリットアレイ(FC−BGA)への適用
三本ロールと真空雷潰機により混錬し、樹脂封止剤を作製した。組成は次の通りである。
三本ロールと真空雷潰機により混錬し、樹脂封止剤を作製した。組成は次の通りである。
エポキシ樹脂1に硬化剤として無水グルタル酸を化学量論比で配合し、樹脂分の2wt%の硬化促進剤 P200を加えた。さらにイオントラッパー、IWE500(東亜合成(株)製)を1.0wt%加えた。また、高純度球状フィラー3種類を混合して上記のエポキシ樹脂組成物に対して50vol%配合した。3種類の高純度球状フィラーは、SP−4B(扶桑化学(株)製、平均粒径5.1μm)、QS4F2(三菱レイヨン(株)製)、平均粒径4.6μm)、SO25R((株)龍森製、平均粒径0.68μm)である。
樹脂封止材の溶融粘度は、25℃で120Pa・s、120℃で0.08Pa・sである。Tgは180℃で、せん断強度は7.8MPaであった。
これを、図2に示すフリップチップ型ボールグリットアレイ(FC−BGA)に適用した。本図において、1は配線回路基板、2は金メッキ、3は金バンプ(半田バンプ)、4は半導体素子、5は半田ボール、6はエポキシ樹脂組成物をそれぞれ示す。配線回路基板1の金メッキ2と半導体素子4とは、金バンプ3を用いて接続される。配線回路基板1と半導体素子4との間のギャップにエポキシ樹脂組成物6を塗布してキャピラリーフロー法を適用し加熱(150℃)して封止した。このギャップは、100μm、バンプピッチ(金バンプ3のピッチ)は150μmである。
このように、本発明のリグニン由来エポキシ樹脂アミン硬化剤は、FC−BGAに適用できることが分かる。
(5)エポキシ樹脂2〜4の作製
KBM−403(3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)、KBE−402(3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン)、KBE−403(3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン)を用いて、上記実施例と同様の手順により、エポキシ樹脂2〜4を得た。
KBM−403(3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)、KBE−402(3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン)、KBE−403(3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン)を用いて、上記実施例と同様の手順により、エポキシ樹脂2〜4を得た。
(6)エポキシ樹脂硬化物2〜4の作製
得られたエポキシ樹脂2〜4に対し、前記と同様にして硬化物2〜4をそれぞれ得た。
得られたエポキシ樹脂2〜4に対し、前記と同様にして硬化物2〜4をそれぞれ得た。
(7)エポキシ樹脂硬化物1〜4の分解
硬化物1〜4について、5mm×5mm×1mmのサイズの試験片とし、試験管に試験片を入れ、THF30mL、水5mL、触媒量の硫酸存在下、ジメチルスルホキシドを溶媒として酸性触媒の下、還流し、試験片が目視できなくなった時間を確認した。結果は表1に示した。表1は実施例1と比較例1−3におけるエポキシ樹脂の原料の組み合わせ、硬化剤又は硬化触媒及び硬化物の分解時間の結果を示す。表1に示す通り、本発明によるエポキシ樹脂硬化物1〜4は分解性に優れていることが確認できた。
硬化物1〜4について、5mm×5mm×1mmのサイズの試験片とし、試験管に試験片を入れ、THF30mL、水5mL、触媒量の硫酸存在下、ジメチルスルホキシドを溶媒として酸性触媒の下、還流し、試験片が目視できなくなった時間を確認した。結果は表1に示した。表1は実施例1と比較例1−3におけるエポキシ樹脂の原料の組み合わせ、硬化剤又は硬化触媒及び硬化物の分解時間の結果を示す。表1に示す通り、本発明によるエポキシ樹脂硬化物1〜4は分解性に優れていることが確認できた。
(実施例2)
(1)エポキシ樹脂5〜8の製造
バイオマス剤にリグノフェノール、シランカップリング剤にKBM−402(3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン)、KBM−403(3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)、KBE−402(3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン)、またはKBE−403(3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン)を用いて、実施例1と同様の手順により、エポキシ樹脂5〜8をそれぞれ得た。
(1)エポキシ樹脂5〜8の製造
バイオマス剤にリグノフェノール、シランカップリング剤にKBM−402(3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン)、KBM−403(3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)、KBE−402(3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン)、またはKBE−403(3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン)を用いて、実施例1と同様の手順により、エポキシ樹脂5〜8をそれぞれ得た。
(2)エポキシ硬化物5〜8の作製
得られたエポキシ樹脂5〜8に対し、実施例1と同様の方法により硬化物5〜8をそれぞれ得た。
得られたエポキシ樹脂5〜8に対し、実施例1と同様の方法により硬化物5〜8をそれぞれ得た。
(3)エポキシ樹脂硬化物5〜8の分解
硬化物5〜8について、実施例1と同様の方法により、試験片の分解時間を確認した。結果は表1に示した。表1に示す通り、硬化物は5〜8分解性に優れていることが確認できた。
硬化物5〜8について、実施例1と同様の方法により、試験片の分解時間を確認した。結果は表1に示した。表1に示す通り、硬化物は5〜8分解性に優れていることが確認できた。
(実施例3)
(1)エポキシ樹脂硬化物9の作製
実施例1で形成したエポキシ樹脂1に対し、硬化剤として無水グルタル酸を化学量論比で配合し、樹脂分の2wt%の硬化促進剤P200を加えた後、2−メトキシエタノール及びメチルエチルケトンの等重量の混合溶媒を樹脂分濃度50wt%になるように加えて混合し、エポキシ樹脂組成物ワニスを得た。
(1)エポキシ樹脂硬化物9の作製
実施例1で形成したエポキシ樹脂1に対し、硬化剤として無水グルタル酸を化学量論比で配合し、樹脂分の2wt%の硬化促進剤P200を加えた後、2−メトキシエタノール及びメチルエチルケトンの等重量の混合溶媒を樹脂分濃度50wt%になるように加えて混合し、エポキシ樹脂組成物ワニスを得た。
得られたエポキシ樹脂組成物ワニスをポリイミドフィルム上に塗布して、硬化条件60℃/1h+120℃/1h/160℃/1h+200℃/1hで熱硬化し、厚さ100〜1000μmのエポキシ樹脂硬化物9を得た。
(2)エポキシ樹脂硬化物10の作製
エポキシ樹脂2、5、6を用いて、エポキシ樹脂硬化物9と同様の方法によりエポキシ樹脂硬化物10〜12を得た。
エポキシ樹脂2、5、6を用いて、エポキシ樹脂硬化物9と同様の方法によりエポキシ樹脂硬化物10〜12を得た。
(3)エポキシ樹脂硬化物9〜12の分解
硬化物9〜12について、実施例1と同様の方法により、試験片の分解時間を確認した。結果は表1に示した。表1に示す通り、硬化物9〜12は分解性に優れていることが確認できた。
硬化物9〜12について、実施例1と同様の方法により、試験片の分解時間を確認した。結果は表1に示した。表1に示す通り、硬化物9〜12は分解性に優れていることが確認できた。
(実施例4)
(1)エポキシ樹脂硬化物13の作製
乾燥した無水トリメリット酸クロライド3.0g(0.0143mol)とNMP10gをフラスコに入れ攪拌した。これに乾燥したリグニン2.0g(水酸基当量107g/eq,0.019mol)を加え溶解後、ピリジン1.2g(0.015mol)を20分かけて加える。滴下終了後、液温20℃で8時間攪拌した。その後、減圧ろ過して、ピリジン塩酸塩を除き、エステルを介して酸無水物が付加したリグニンを得た。エポキシ樹脂として実施例1で用いたエポキシ樹脂1を用いて、酸無水物が付加したリグニンを化学量論比で配合し、硬化促進剤P200を樹脂分の2wt%加え樹脂ワニスを作製した。得られたエポキシ樹脂組成物ワニスを硬化条件は60℃/1h+120℃/1h/160℃/1h+200℃/1hで熱硬化し、厚さ100〜1000μmのエポキシ樹脂硬化物13を得た。
(1)エポキシ樹脂硬化物13の作製
乾燥した無水トリメリット酸クロライド3.0g(0.0143mol)とNMP10gをフラスコに入れ攪拌した。これに乾燥したリグニン2.0g(水酸基当量107g/eq,0.019mol)を加え溶解後、ピリジン1.2g(0.015mol)を20分かけて加える。滴下終了後、液温20℃で8時間攪拌した。その後、減圧ろ過して、ピリジン塩酸塩を除き、エステルを介して酸無水物が付加したリグニンを得た。エポキシ樹脂として実施例1で用いたエポキシ樹脂1を用いて、酸無水物が付加したリグニンを化学量論比で配合し、硬化促進剤P200を樹脂分の2wt%加え樹脂ワニスを作製した。得られたエポキシ樹脂組成物ワニスを硬化条件は60℃/1h+120℃/1h/160℃/1h+200℃/1hで熱硬化し、厚さ100〜1000μmのエポキシ樹脂硬化物13を得た。
(2)エポキシ樹脂硬化物14〜16の作製
エポキシ樹脂2、5、6を用いて、エポキシ樹脂硬化物13と同様の方法によりエポキシ樹脂硬化物14〜16を得た。
エポキシ樹脂2、5、6を用いて、エポキシ樹脂硬化物13と同様の方法によりエポキシ樹脂硬化物14〜16を得た。
(3)エポキシ樹脂硬化物13〜16の分解
硬化物9〜12について、実施例1と同様の方法により、試験片の分解時間を確認した。結果は表1に示した。表1に示す通り、硬化物13〜16は従来のエステル交換反応よりも低温、短時間で分解でき、分解性に優れていることが確認できた。
硬化物9〜12について、実施例1と同様の方法により、試験片の分解時間を確認した。結果は表1に示した。表1に示す通り、硬化物13〜16は従来のエステル交換反応よりも低温、短時間で分解でき、分解性に優れていることが確認できた。
(比較例1)
(1)エポキシ樹脂9の製造
攪拌羽根、冷却管及び温度計の付した2L(リットル)用の四ツ口フラスコに、リグニン100g及び10%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液300gを加え、30分攪拌して溶解した。さらに、エピクロルヒドリン300gを加え、オイルバスにより120℃に加熱して1時間還流した。そして、液を室温まで冷却後、分液ロートに移し、純粋で油層が中性になるまで洗浄した。水を除去した後、20%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液50gを加え、120℃で1時間還流し、水洗した。
(1)エポキシ樹脂9の製造
攪拌羽根、冷却管及び温度計の付した2L(リットル)用の四ツ口フラスコに、リグニン100g及び10%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液300gを加え、30分攪拌して溶解した。さらに、エピクロルヒドリン300gを加え、オイルバスにより120℃に加熱して1時間還流した。そして、液を室温まで冷却後、分液ロートに移し、純粋で油層が中性になるまで洗浄した。水を除去した後、20%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液50gを加え、120℃で1時間還流し、水洗した。
これをロータリーエバポレーターでエピクロルヒドリン、水及び副生成物を8割程蒸発させて除去し、2Lのエチルアルコール、ブチルアルコール、ペンチルアルコール、ヘキシルアルコールなどでもよい。ろ過後、真空乾燥して、エポキシ樹脂9を得た。
得られたエポキシ樹脂は、1H−NMRにより2.6ppm及び2.8ppmのシグナルを得、またFT−IRにより914cm−1の吸収を得たことから、リグニンへのエポキシ基の導入を確認した。
(2)エポキシ樹脂10の製造
リグノフェノールを用いて、エポキシ樹脂9と同様の手順によりエポキシ樹脂10を合成した。1H−NMR及びFT−IRからエポキシ基の導入を確認した。
リグノフェノールを用いて、エポキシ樹脂9と同様の手順によりエポキシ樹脂10を合成した。1H−NMR及びFT−IRからエポキシ基の導入を確認した。
(2)エポキシ硬化物9、10の作製
得られたエポキシ樹脂9、10に対し、実施例1と同様の方法により硬化物17及び18を得た。
得られたエポキシ樹脂9、10に対し、実施例1と同様の方法により硬化物17及び18を得た。
(3)エポキシ樹脂硬化物17、18の分解
硬化物17、18について、実施例1と同様の方法により。試験片の分解を試みたが硬化物17,18は実施例1〜4と同様の条件では分解することができなかった。
硬化物17、18について、実施例1と同様の方法により。試験片の分解を試みたが硬化物17,18は実施例1〜4と同様の条件では分解することができなかった。
(比較例2)
(1)エポキシ樹脂硬化物19の作製
比較例1で形成したエポキシ樹脂9に対し、実施例3と同様の方法によりエポキシ樹脂硬化物19を得た。
(1)エポキシ樹脂硬化物19の作製
比較例1で形成したエポキシ樹脂9に対し、実施例3と同様の方法によりエポキシ樹脂硬化物19を得た。
(2)エポキシ樹脂硬化物20の作製
比較例2で形成したエポキシ樹脂10に対し、実施例3と同様の方法によりエポキシ樹脂硬化物20を得た。
比較例2で形成したエポキシ樹脂10に対し、実施例3と同様の方法によりエポキシ樹脂硬化物20を得た。
(2)エポキシ樹脂硬化物19、20の分解
硬化物19、20について、実施例1と同様の方法により、3時間後試験片の有無を確認した。結果は表1に示した。硬化物19,20は実施例1〜4と同様の条件では分解することができなかった。
硬化物19、20について、実施例1と同様の方法により、3時間後試験片の有無を確認した。結果は表1に示した。硬化物19,20は実施例1〜4と同様の条件では分解することができなかった。
(比較例3)
(1)エポキシ硬化物21の作製
エポキシ樹脂としてJER828(エポキシ当量195g/eq)を用いて、実施例4で形成した酸無水物が付加したリグニンを化学量論比で配合し、硬化促進剤P200を樹脂分の2wt%加え樹脂ワニスを作製し、硬化条件60℃/1h+120℃/1h/160℃/1h+200℃/1hで硬化物21を得た。
(1)エポキシ硬化物21の作製
エポキシ樹脂としてJER828(エポキシ当量195g/eq)を用いて、実施例4で形成した酸無水物が付加したリグニンを化学量論比で配合し、硬化促進剤P200を樹脂分の2wt%加え樹脂ワニスを作製し、硬化条件60℃/1h+120℃/1h/160℃/1h+200℃/1hで硬化物21を得た。
(2)エポキシ樹脂硬化物21の分解
硬化物21について、実施例1と同様の方法により、3時間後試験片の有無を確認した。結果は表1に示した。硬化物21は実施例1〜4と同様の条件では分解することができなかった。
硬化物21について、実施例1と同様の方法により、3時間後試験片の有無を確認した。結果は表1に示した。硬化物21は実施例1〜4と同様の条件では分解することができなかった。
1:配線回路基板、2:金メッキ、3:金バンプ、4:半導体素子、5:半田ボール、6:エポキシ樹脂組成物。
Claims (12)
- リグニンまたはリグノフェノールの水酸基に反応する官能基とエポキシ基を有する化合物を結合させたことを特徴とするエポキシ化リグニン樹脂又はエポキシ化リグノフェノール樹脂。
- 請求項1に記載のリグニンまたはリグノフェノールが重量平均分子量300〜10000であることを特徴とするエポキシ化リグニン樹脂又はエポキシ化リグノフェノール樹脂。
- 請求項1〜4のいずれかに記載のエポキシ化リグニン樹脂又はエポキシ化リグノフェノール樹脂とエポキシ樹脂を含有する樹脂組成物。
- 更にエポキシ樹脂の硬化剤又は硬化触媒を含む請求項5に記載の樹脂組成物。
- 請求項1〜4のいずれかに記載のエポキシ化リグニン樹脂又はエポキシ化リグノフェノール樹脂、エポキシ樹脂硬化剤又は硬化触媒及び溶媒を含むことを特徴とするワニス。
- 請求項7に記載のワニスを基材に含侵、乾燥して作製したことを特徴とするプリプレグ。
- 請求項8のプリプレグを用いたことを特徴とするプリント基板。
- リグニン又はリグノフェノールとエポキシ基を有する化合物とを反応して得られたエポキシ化リグニン樹脂又はエポキシ化リグノフェノール樹脂と該エポキシ樹脂の硬化剤又は硬化触媒を含む組成物を硬化したものであって、酸性又は塩基性水溶液又はアルコール溶液に分解性を示すことを特徴とするエポキシ化リグニン樹脂又はエポキシ化リグノフェノール樹脂の硬化物。
- 請求項1〜4のいずれかに記載のエポキシ化リグニン樹脂又はエポキシ化リグノフェノール樹脂を用いて形成したことを特徴とする電子機器。
- 請求項1〜4のいずれかに記載のエポキシ化リグニン樹脂又はエポキシ化リグノフェノールエポキシ樹脂を用いて形成したことを特徴とする回転電機。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2011151417A JP2013018822A (ja) | 2011-07-08 | 2011-07-08 | エポキシ化リグニン樹脂又はエポキシ化リグノフェノール樹脂、その樹脂組成物、ワニス及び硬化物 |
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Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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Country | Link |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US9856346B2 (en) | 2014-10-14 | 2018-01-02 | Industrial Technology Research Institute | Lignin-based biomass epoxy resin, method for manufacturing the same, and compositions including the same |
JPWO2022004254A1 (ja) * | 2020-06-30 | 2022-01-06 | ||
CN115466375A (zh) * | 2022-09-05 | 2022-12-13 | 天津中航百慕新材料技术有限公司 | 一种低粘度固化剂与轻合金涂料及涂料制备方法 |
-
2011
- 2011-07-08 JP JP2011151417A patent/JP2013018822A/ja not_active Withdrawn
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WO2022004254A1 (ja) * | 2020-06-30 | 2022-01-06 | 住友ベークライト株式会社 | サンドイッチパネル |
JP7088424B2 (ja) | 2020-06-30 | 2022-06-21 | 住友ベークライト株式会社 | サンドイッチパネル |
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