JP2013018692A - ダイヤモンド膜及びその製造方法 - Google Patents

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【課題】ダイヤモンドが本来有する物性の高いダイヤモンド膜、及びその製造方法を提供する。
【解決手段】熱抵抗が1.0×10−8(m・K/W)以下のダイヤモンド膜であって、その製造方法は、(1)一次粒子径が1〜20nmのナノダイヤモンド粒子を準備する工程、(2)前記ナノダイヤモンド粒子を基材に付着させる工程、(3)前記ナノダイヤモンド粒子付着基材を熱処理又はプラズマ処理する工程、及び(4)前記処理したナノダイヤモンド粒子付着基材のナノダイヤモンド粒子をCVD法により成長させ、ダイヤモンド膜を形成する工程、とを含む。
【選択図】なし

Description

本発明はダイヤモンド膜及びその製造方法に関する。
ダイヤモンドは物質で最高の熱伝導率を有しており、絶縁破壊強度も10MV/cmと非常に高いため、電子素子等の放熱基板として有利である。近年、熱フィラメントCVDやマイクロ波CVDなどの化学気相蒸着法(CVD)を用いて、低圧で高品質のダイヤモンド膜を合成することが可能となった。
例えば、本願発明者らは、一次粒子径が約5nmのナノダイヤモンド粒子を種結晶として使用し、CVD法でダイヤモンドを成長させることで、ダイヤモンド膜を作製することが可能であることを提案した(特許文献1)。
特開2009−209027号公報
この方法によれば、確かにダイヤモンド膜を作製することができたが、この方法により作製したダイヤモンド膜は熱伝導率、絶縁破壊強度、硬度、弾性率など、ダイヤモンドが本来有する物性の低いものであった。
本発明はこのような問題点を解決するためになしたものであり、ダイヤモンドが本来有する物性の高いダイヤモンド膜、及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、ナノダイヤモンド粒子を種結晶として使用し、CVD法でダイヤモンドを成長させて形成したダイヤモンド膜の熱伝導率等の物性が悪いのは、ダイヤモンド構造が少ないことに起因すると考えた。また、そのダイヤモンド構造が少ないのは、種結晶として使用しているナノダイヤモンド粒子の純度が低いためであると考えた。つまり、ナノダイヤモンド表面にはsp炭素が存在しているためであると考えた。本発明は、このような知見に基づいてなされたものである。
本発明の請求項1にかかる発明は、「熱抵抗が1.0×10−8(m・K/W)以下のダイヤモンド膜。」である。
本発明の請求項2にかかる発明は、「(1)一次粒子径が1〜20nmのナノダイヤモンド粒子を準備する工程、(2)前記ナノダイヤモンド粒子を基材に付着させる工程、(3)前記ナノダイヤモンド粒子付着基材を熱処理又はプラズマ処理する工程、及び(4)前記処理したナノダイヤモンド粒子付着基材のナノダイヤモンド粒子をCVD法により成長させ、ダイヤモンド膜を形成する工程、とを含む、ダイヤモンド膜の製造方法。」である。
本発明の請求項1にかかる発明は、熱抵抗が1.0x10−8(m・K/W)以下のダイヤモンド膜という、熱抵抗の低いダイヤモンド膜である。つまり、熱抵抗が低いということは、ダイヤモンド構造が多いことを意味するため、熱伝導率は勿論のこと、絶縁破壊強度、硬度、弾性率などダイヤモンドが本来有する性能に優れている。
本発明の請求項2にかかる発明は、ナノダイヤモンド粒子をCVD法で成長させてダイヤモンド膜を形成する前に、ナノダイヤモンド粒子付着基材を熱処理又はプラズマ処理することによって、ナノダイヤモンド粒子表面のsp炭素を取り除き、ナノダイヤモンド粒子の純度を高めた上で、ダイヤモンドを成長させているため、ダイヤモンド構造が多く、熱伝導率、絶縁破壊強度、硬度、弾性率などダイヤモンドが本来有する性能に優れているダイヤモンド膜を形成することができる。
本発明のダイヤモンド膜は熱抵抗が1.0×10−8(m・K/W)以下と熱抵抗の低い、ダイヤモンド構造が多い膜であるため、熱伝導性は勿論のこと、絶縁破壊強度、硬度、弾性率などダイヤモンドが本来有する性能に優れるものである。熱抵抗の値が小さければ小さい程、ダイヤモンド構造が多いため、前記熱抵抗は9.0×10−9(m・K/W)以下であるのが好ましく、8.0×10−9(m・K/W)以下であるのがより好ましく、7.0×10−9(m・K/W)以下であるのが更に好ましい。
この「熱抵抗」は次式より算出した値である。
R=d/λ
ここで、Rは熱抵抗(単位:m・K/W)、dは膜厚(単位:m)、λは熱伝導率(単位:W/m・K)をそれぞれ意味する。
この「熱伝導率」は、ダイヤモンド膜表面に反射膜(モリブデン膜、厚さ100nm)を成膜した後、パルス光加熱サーモリフレクタンス法により、薄膜の断面方向における熱拡散時間を計測し、熱拡散率を算出する。より具体的には、次の手順により熱拡散率を算出する。
(1)パルス光加熱サーモリフレクタンス法により得られた温度履歴曲線から、モリブデン膜と多結晶ダイヤモンド膜の2層膜の面積熱拡散時間を算出;
モリブデン膜と多結晶ダイヤモンド膜を一体として2層全体の熱拡散と石英ガラス基板への熱浸透を解析する。
得られた温度履歴曲線を下記に示す表面加熱時の表面温度応答の理論式にてフィッティングを行い、時定数τより2層全体(モリブデン膜と多結晶ダイヤモンド膜)の面積熱拡散時間Aを求める。
Figure 2013018692
(2)2層膜の面積熱拡散時間から多結晶ダイヤモンド膜の熱拡散率を算出;
面積熱拡散時間法では、層間の界面熱抵抗を考慮した場合、面積熱拡散時間Aは、次式で表わされる。
Figure 2013018692
ここで、Cは体積熱容量(比熱容量と密度の積で表される)、dは膜厚、kは熱拡散率、Rは層間の界面熱抵抗をそれぞれ意味する。なお、添え字DとMoはそれぞれ多結晶ダイヤモンド膜とモリブデン膜を表す。
ここで、多結晶ダイヤモンド膜とモリブデン膜間の界面熱抵抗の値Rは、全膜厚の熱抵抗より相当小さいと予想されるので、R=0と仮定して、多結晶ダイヤモンド薄膜の熱拡散率kを算出する。
そして、次式より多結晶ダイヤモンドの熱伝導率を算出する。
λ=k・C
ここで、λは熱伝導率(単位:W/mK)、kはダイヤモンドの熱拡散率(単位:m/s)、Cはダイヤモンドの体積熱容量(比熱容量と密度の積)(単位:J/mK)である。
なお、比熱容量と密度は以下の値を用いる。
多結晶ダイヤモンド膜の密度:3515(kg/m
多結晶ダイヤモンド膜の比熱容量:706[J/(kg・K)]
モリブデン膜の密度:10200(kg/m
モリブデン膜の比熱容量:249[J/(kg・K)]
また、「膜厚」は、ダイヤモンド膜の厚さ方向断面における電子顕微鏡写真を撮影し、10点における厚さの計測値を算術平均した値である。
本発明のダイヤモンド膜はダイヤモンド構造が多く、熱伝導性、絶縁破壊強度、硬度、弾性率などに優れているように、ラマンスペクトルによるダイヤモンドピークの面積比率が7%以上であるのが好ましく、8%以上であるのがより好ましく、9%以上であるのが更に好ましく、10%以上であるのが更に好ましく、11%以上であるのが更に好ましい。
この「ラマンスペクトルによるダイヤモンドピークの面積比率」は、ダイヤモンド膜のラマンスペクトル(励起波長:325nm)を、ガウス関数を用いてピーク分離し、全体のピーク面積に占めるダイヤモンドピーク(波数:1333cm−1)の面積の割合を算出したものである。
本発明のダイヤモンド膜の膜厚は特に限定するものではないが、10nm以上であることができる。好ましくは、50nm〜10μmである。
このような本発明のダイヤモンド膜は、例えば、(1)一次粒子径が1〜20nmのナノダイヤモンド粒子を準備する工程、(2)前記ナノダイヤモンド粒子を基材に付着させる工程、(3)前記ナノダイヤモンド粒子付着基材を熱処理又はプラズマ処理する工程、及び(4)前記処理したナノダイヤモンド粒子付着基材のナノダイヤモンド粒子をCVD法により成長させ、ダイヤモンド膜を形成する工程、により製造することができる。このように、ナノダイヤモンド粒子をCVD法で成長させてダイヤモンド膜を形成する前に、ナノダイヤモンド粒子付着基材を熱処理又はプラズマ処理することによって、ナノダイヤモンド粒子表面のsp炭素を取り除き、ナノダイヤモンド粒子の純度を高めた上で、ダイヤモンドを成長させているため、ダイヤモンド構造が多く、熱伝導率、絶縁破壊強度、硬度、弾性率などダイヤモンドが本来有する性能に優れているダイヤモンド膜を形成することができる。
まず、(1)一次粒子径が1〜20nmのナノダイヤモンド粒子を準備する。本発明においては、このような非常に細かいナノダイヤモンド粒子を使用しているため、基材上に付着させた場合の密度を高めることができる。その結果、ピンホールが発生しにくく、熱伝導性に優れ、しかも表面平滑性の高いダイヤモンド膜を製造することができる。
ナノダイヤモンド粒子は上述のような作用を奏するように、一次粒子径は1〜20nmであるが、より前記作用を奏するように、一次粒子径は1〜10nmであるのが好ましく、2〜7nmであるのがより好ましく、3〜5nmであるのが更に好ましい。なお、「一次粒子径」はナノダイヤモンド粒子の大きさのことをいい、濃度が2mass%のナノダイヤモンド粒子分散溶液を調製し、濃厚系粒径アナライザーFPAR−1000(大塚電子株式会社製)を用い、動的光散乱による粒度分布測定により得られる値をいう。
このようなナノダイヤモンド粒子は、例えば、爆発法により製造したナノダイヤモンド粗凝膠体を、セラミックビーズ又は金属ビーズを用いる高速回転湿式ミリングによって解砕する方法によって得ることができる。
なお、「爆発法」とは酸素欠如型の軍事用爆薬組成物CompositionBを水などの不活性媒体中で爆発させて生成した煤を集め、熱濃硝酸による酸化によって無定形炭素を取り除く方法である。そのため、ナノダイヤモンドが溶液に分散している場合の溶媒は、ナノダイヤモンド粗凝膠体を製造する際に使用した水などの不活性媒体である。このようにナノダイヤモンドが溶液に分散している場合、その濃度は、分散溶液が安定に存在するように、10mass%以下であるのが好ましく、5mass%以下であるのがより好ましく、1mass%以下であるのが更に好ましい。また、ナノダイヤモンド粒子を基材に対して高密度で付着させることができるように、0.001mass%以上であるのが好ましく、0.01mass%以上であるのがより好ましく、0.05mass%以上であるのが更に好ましい。
なお、ナノダイヤモンド粒子は溶液に分散していないドライの状態にあっても良い。このようなドライのナノダイヤモンド粒子はナノダイヤモンド分散溶液から溶媒を除去することによって得ることができる。
次いで、(2)ナノダイヤモンド粒子を基材に付着させる工程を実施する。この工程は、ナノダイヤモンド粒子が溶液に分散している場合、例えば、基材を分散溶液に浸漬した後に乾燥する方法、引き上げ法などにより分散溶液を基材にコーティングした後に乾燥する方法、分散溶液を基材に散布した後に乾燥する方法により実施することができる。基材にナノダイヤモンド粒子を高密度に付着させるという点から、基材を分散溶液に浸漬した後に乾燥する方法により付着させるのが好ましい。なお、乾燥はナノダイヤモンド粒子が高密度で付着した状態を維持したまま行うことができる方法であれば良く、特に限定するものではないが、例えば、スピン乾燥装置、熱風乾燥機、オーブン、真空オーブン、マイクロ波照射により実施することができる。
なお、基材を分散溶液に浸漬した際には、ナノダイヤモンド分散溶液におけるナノダイヤモンド粒子の分散状態を維持できるように、超音波を作用させるのが好ましい。この超音波はナノダイヤモンド粒子の分散状態を維持できるものであれば良く、特に限定するものではないが、例えば、超音波洗浄装置、ホーン形高出力超音波装置などを使用できる。
他方、ナノダイヤモンド粒子がドライの状態にある場合、ナノダイヤモンド粒子を布等により基材に擦り付けて付着させることができる。
この工程において使用できる基材としては、例えば、シリコンウエハやシリカガラスなど耐熱性の平面基板を使用することができる。このような耐熱性平面基板を使用することにより、後述のナノダイヤモンド粒子からsp炭素を取り除く際や、CVD法によりダイヤモンド膜を成長させる際に熱が加わったとしても、悪影響を及ぼすことなく、ダイヤモンド膜を製造することができる。
続いて、(3)上述のナノダイヤモンド粒子付着基材を熱処理又はプラズマ処理する。通常、上述のようなナノダイヤモンド粒子の表面には、sp炭素が存在しているため、このsp炭素を取り除き、ダイヤモンドの純度を高めるために、ナノダイヤモンド粒子付着基材を熱処理又はプラズマ処理する。
この熱処理はダイヤモンド粒子表面のsp炭素を取り除くことができる限り、特に限定するものではないが、酸素、オゾン、二酸化窒素などの酸化性ガス存在下の酸化雰囲気下(特には、空気存在下)で実施するのが好ましい。特に、酸化雰囲気下、400℃〜450℃で熱処理するのが好ましい。400℃未満であると、十分にsp炭素を取り除くことができず、ダイヤモンドの純度を十分に高めることができない傾向があるためである。一方で、450℃を超えると、ナノダイヤモンド自体のエッチングが進み、種となるナノダイヤモンドが減少してしまい、ダイヤモンド膜を形成できない傾向があるためである。なお、熱処理時間は十分にsp炭素を取り除くことができる時間であり、熱処理温度によって異なるため特に限定するものではないが、熱処理温度が低い程長くして、sp炭素を取り除くのが好ましい。例えば、熱処理温度が400℃の場合、5時間以上熱処理するのが好ましく、10時間以上熱処理するのがより好ましい。また、熱処理温度が425℃の場合、1時間以上熱処理するのが好ましく、10時間以上熱処理するのがより好ましい。更に、熱処理温度が450℃の場合、1時間以上熱処理するのが好ましく、5時間以上熱処理するのがより好ましい。
なお、このような熱処理は例えば、電気炉、ヒートガン、赤外線加熱、レーザー加熱等により実施することができる。
一方、プラズマ処理はナノダイヤモンド粒子表面のsp炭素を取り除くことができれば良く、特に限定するものではないが、例えば、酸素プラズマ、水素プラズマ等により実施することができる。
そして、(4)熱処理又はプラズマ処理したナノダイヤモンド粒子付着基材のナノダイヤモンド粒子をCVD法により成長させて、ダイヤモンド膜を形成する。本発明においては、熱処理又はプラズマ処理によってダイヤモンド粒子の純度が高くなった状態でCVD法によりダイヤモンドを成長させているため、ダイヤモンド構造が多く、熱伝導率、絶縁破壊強度、硬度、弾性率などダイヤモンドが本来有する性能に優れているダイヤモンド膜を形成することができる。また、本発明の製造方法によれば、一次粒子径が1〜20nmのナノダイヤモンド粒子を核として成長するため、ピンホールが発生しにくく、熱伝導性に優れ、しかも表面平滑性の高いダイヤモンド膜を製造することができる。
この工程におけるCVD法はダイヤモンドを成長させ、ダイヤモンド膜を製造できる限り、特に限定するものではないが、例えば、熱フィラメント法、プラズマ法(例えば、直流、交流、高周波、マイクロ波など)、電子サイクロトロン共鳴プラズマ法、パルスプラズマ法、表面波プラズマ法などであることができる。
以上の方法によれば、基材表面にダイヤモンド膜が形成された膜被覆基材を製造することができるが、ダイヤモンド膜単体で使用する場合には、膜被覆基材からダイヤモンド膜を剥離する。この剥離方法としては、例えば、基材がシリコンからなる場合、フッ硝酸(フッ酸と硝酸の混合液)溶液中に浸漬し、基材がシリカからなる場合、フッ酸溶液中に浸漬することで、基材を除去し、ダイヤモンド膜単体とすることができる。
以上は、ナノダイヤモンド粒子を使用する本発明のダイヤモンド膜の製造方法であるが、本発明のダイヤモンド膜はナノダイヤモンド粒子を使用する方法に限らず、例えば、ナノダイヤモンド粒子に替えて、粒径0.05〜0.5μmのミクロダイヤモンド粒子を基材に付着させ、熱処理又はプラズマ処理を実施した後に、CVD法により成長させても、本発明のダイヤモンド膜を製造することができる。
以下に、本発明の実施例を記載するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
(1) 4.6±0.8nmの一次粒子を98.8mass%、59.4±22.8nmの凝集体を1.2mass%含む水分散ナノダイヤモンドコロイド(株式会社 ナノ炭素研究所製 ナノアマンド5.0mass%)を100倍希釈し、0.05mass%のナノダイヤモンド水分散液を調製した。
(2) 次いで、このナノダイヤモンド水分散液中に、石英ガラス基板(大きさ:1cm角)を浸漬し、超音波洗浄装置(本多電子製、W−113)により30分間超音波を作用させた。その後、ナノダイヤモンド水分散液から基板を取り出し、純水で洗浄し、更にスピン乾燥を行い、ナノダイヤモンド粒子を基板に付着させた。付着密度は2.0×1011個/cmであった。
(3) このダイヤモンド粒子付着基板を電気炉に入れ、空気中で室温から450℃まで、3.5℃/min.の速度で昇温し、温度450℃で1時間保持する熱処理を実施した。
(4) この熱処理した基板をマイクロ波プラズマCVD装置[(株)アリオス製]内にセットし、次の条件で3時間処理して、膜厚300nmのダイヤモンド膜を形成した。
(条件)
水素ガス:99sccm、メタンガス:1sccm、圧力:1.5kPa、基板温度:900℃、出力:220W
(実施例2)
(3)ダイヤモンド粒子付着基板を電気炉に入れ、空気中で室温から425℃まで、3.5℃/min.の速度で昇温し、温度425℃で1時間保持する熱処理を実施したこと以外は実施例1と同様にして、膜厚300nmのダイヤモンド膜を形成した。
(実施例3)
(3)ダイヤモンド粒子付着基板を電気炉に入れ、空気中で室温から425℃まで、3.5℃/min.の速度で昇温し、温度425℃で5時間保持する熱処理を実施したこと以外は実施例1と同様にして、膜厚300nmのダイヤモンド膜を形成した。
(実施例4)
(3)ダイヤモンド粒子付着基板を電気炉に入れ、空気中で室温から400℃まで、3.5℃/min.の速度で昇温し、温度400℃で5時間保持する熱処理を実施したこと以外は実施例1と同様にして、膜厚300nmのダイヤモンド膜を形成した。
(実施例5)
(3)ダイヤモンド粒子付着基板をCVD装置内に入れ、水素ガス:100sccm、圧力:1.5kPa、基板温度:600℃、出力:150Wで、0.1時間の水素プラズマ処理をしたこと以外は実施例1と同様にして、膜厚300nmのダイヤモンド膜を形成した。
(比較例1)
(3)の熱処理を実施しなかったこと以外は実施例1と同様にして、膜厚300nmのダイヤモンド膜を形成した。
(比較例2)
(3)ダイヤモンド粒子付着基板を電気炉に入れ、空気中で室温から375℃まで、3.5℃/min.の速度で昇温し、温度375℃で1時間保持する熱処理を実施したこと以外は実施例1と同様にして、膜厚300nmのダイヤモンド膜を形成した。
(比較例3)
(3)ダイヤモンド粒子付着基板を電気炉に入れ、空気中で室温から475℃まで、3.5℃/min.の速度で昇温し、温度475℃で1時間保持する熱処理を実施したこと以外は実施例1と同様にして、膜厚300nmのダイヤモンド膜を形成した。
(比較例4)
(3)ダイヤモンド粒子付着基板を電気炉に入れ、空気中で室温から400℃まで、3.5℃/min.の速度で昇温し、温度400℃で1時間保持する熱処理を実施したこと以外は実施例1と同様にして、膜厚300nmのダイヤモンド膜を形成した。
(熱伝導率の測定)
ダイヤモンド膜表面に反射膜(モリブデン膜、厚さ100nm)を成膜した後、パルス光加熱サーモリフレクタンス法[装置として、PicoTR(株式会社ピコサーム製)使用]により、薄膜の断面方向における熱拡散時間を計測し、熱拡散率を算出した。そして、次式よりダイヤモンドの熱伝導率を算出した。
λ=K・C
ここで、λは熱伝導率(単位:W/mK)、Kは熱拡散率(単位:m/s)、Cは体積熱容量(比熱容量と密度の積)(単位:J/mK)である。
これらの結果は表1に示す通りであった。
(ラマンスペクトルの測定)
顕微レーザーラマン分光測定装置(株式会社堀場製作所製)を用いて、ダイヤモンド膜のラマン測定を行った。なお、励起波長には、325nmのHe−Cdレーザーを使用した。得られたラマンスペクトルを、ガウス関数を用いてピーク分離し、全体のピーク面積に占めるダイヤモンドピーク(波数:1333cm−1)の面積の割合を算出した。
これらの結果は表1に示す通りであった。
Figure 2013018692
表1中、Aは熱処理条件で、順に温度(単位:℃)、時間(単位:Hr)を表し、Bはダイヤモンド膜の厚さ(単位:nm)を表し、Cは熱伝導率(単位:W/mK)を表し、Dは熱抵抗(単位:m・K/W)を表し、Eはダイヤモンドピーク面積百分率(単位:%)を表す。また、表1中、#1は水素プラズマ処理の条件[順に、温度(単位:℃)−時間(単位:Hr)]、#2は熱処理をしていないこと、#3はダイヤモンド膜が得られなかったため測定不能であったことを、それぞれ意味する。
表1から明らかなように、本発明の実施例1〜5のダイヤモンド膜は熱抵抗の低いものであり、また、ダイヤモンドピーク面積百分率が高いことから、ダイヤモンド構造が多いものであった。そのため、本発明のダイヤモンド膜は絶縁破壊強度、硬度、弾性率などダイヤモンドが本来有する性能に優れるものであることが推定できるものであった。
また、ナノダイヤモンド粒子を使用した場合、CVD法でダイヤモンドを成長させる前に、熱処理、プラズマ処理のいずれの方法であっても、ナノダイヤモンド粒子表面のsp炭素を取り除き、ダイヤモンド粒子の純度を高めると、ダイヤモンド構造を多くできることも判明した。
本発明のダイヤモンド膜は熱伝導性、絶縁破壊強度、硬度、弾性率などに優れているため、放熱材料、電気絶縁材料、窓材、低摩擦コーティング材料、電極などとして好適に使用できる。

Claims (2)

  1. 熱抵抗が1.0×10−8(m・K/W)以下のダイヤモンド膜。
  2. (1)一次粒子径が1〜20nmのナノダイヤモンド粒子を準備する工程、
    (2)前記ナノダイヤモンド粒子を基材に付着させる工程、
    (3)前記ナノダイヤモンド粒子付着基材を熱処理又はプラズマ処理する工程、及び
    (4)前記処理したナノダイヤモンド粒子付着基材のナノダイヤモンド粒子をCVD法により成長させ、ダイヤモンド膜を形成する工程、
    とを含む、ダイヤモンド膜の製造方法。
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