JP2013018353A - シミュレーション方法及びシミュレーション装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ビード部の構造を変更した場合であっても、ビード拡張力を短時間で予測する。
【解決手段】本発明に係るシミュレーション方法は、タイヤを有限個の要素10に分割することによってタイヤモデル1を生成する工程と、冶具モデル2を生成する工程と、冶具モデル2をタイヤモデル1のビード部1Aに組み合わせる工程と、冶具モデル2をタイヤモデル1の径方向Fに移動させた場合の変位及び反力に基づいて、タイヤのビード部の拡張力を評価する工程とを有する。
【選択図】図1
【解決手段】本発明に係るシミュレーション方法は、タイヤを有限個の要素10に分割することによってタイヤモデル1を生成する工程と、冶具モデル2を生成する工程と、冶具モデル2をタイヤモデル1のビード部1Aに組み合わせる工程と、冶具モデル2をタイヤモデル1の径方向Fに移動させた場合の変位及び反力に基づいて、タイヤのビード部の拡張力を評価する工程とを有する。
【選択図】図1
Description
本発明は、シミュレーション方法及びシミュレーション装置に関する。
従来、タイヤでは、ビード部の拡張力が大きすぎると、リム組性が悪化するという問題点があり、ビード部の拡張力が小さすぎると、制駆動時等に、リムとホイールとの間で、すべりが発生するという問題点があった。
したがって、適切なビード部の拡張力を決定するためのビード拡張力試験が行われることが知られている。
しかしながら、従来、上述のビード拡張力試験は、実測によって行われている。したがって、実験用のタイヤのビード部の構造を変更した場合、実験用のタイヤを作成してビード部の拡張力を計測するには、非常に時間が掛かってしまうという問題点があった。
そこで、本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、ビード部の構造を変更した場合であっても、ビード拡張力を短時間で予測することができるシミュレーション方法及びシミュレーション装置を提供することを目的とする。
本発明の第1の特徴は、シミュレーション方法であって、タイヤを有限個の要素に分割することによってタイヤモデルを生成する工程と、冶具モデルを生成する工程と、前記冶具モデルをタイヤモデルのビード部に組み合わせる工程と、前記冶具モデルを前記タイヤモデルの径方向に移動させた場合の変位及び反力に基づいて、前記タイヤのビード部の拡張力を評価する工程とを有することを要旨とする。
本発明の第1の特徴において、前記冶具モデルは、前記タイヤに接触する可能性のある部分についてのみシェル要素としてモデル化されてもよい。
本発明の第2の特徴は、シミュレーション装置であって、上述の特徴を有するシミュレーション方法を実行することを要旨とする。
以上説明したように、本発明によれば、ビード部の構造を変更した場合であっても、ビード拡張力を短時間で予測することができるシミュレーション方法及びシミュレーション装置を提供することができる。
(本発明の第1の実施形態に係るシミュレーション方法)
図1乃至図8を参照して、本発明の第1の実施形態に係るシミュレーション方法について説明する。
図1乃至図8を参照して、本発明の第1の実施形態に係るシミュレーション方法について説明する。
図1に示すように、ステップS101において、タイヤを有限個の要素10に分割することによってタイヤモデル1を生成する。図2に、タイヤモデル1の斜視図を示す。
例えば、タイヤモデル1は、有限要素法(FEM:Fenite Element Method)に対応した要素分割、すなわち、メッシュ分割を用いて、タイヤを複数の要素10に分割することによって、コンピュータ装置によって取り扱い可能な形式に数値化されたものである。
具体的には、タイヤモデル1を生成する際には、タイヤモデル1を構成する要素10の各々に対して、節点座標値や形状や材料定数(例えば、密度や弾性率や減衰係数や損失係数(tanσ)等)を設定する。
例えば、タイヤモデル1において、トレッドやサイド部や内部ゴム等のゴム部材等は、ソリッド要素としてモデル化されてもよいし、ベルトやプライ等の補強部材は、シェル要素や膜要素やリバー要素や異方性ソリッド要素としてモデル化されてもよいし、ビードワイヤは、ソリッド要素やビーム要素としてモデル化されてもよい。なお、トレッドには、周方向の溝だけではなく、幅方向の溝があってもよい。
ゴム部材の材料モデルは、Mooney-Rivlinz材料やOgden材料等の超弾性体や粘性を考慮した粘弾性体としてモデル化されてもよい。ここで、 粘性としては、線形粘弾性やProny級数を使ったモデルが利用可能である。
補強部材は、異方性を持った材料モデルとしてモデル化されてもよいし、線形弾性体としてモデル化されてもよい。また、補強部材は、引張側と圧縮側とで剛性が異なる場合、非線形弾性体としてモデル化されてもよい。
また、ビードワイヤの全体について、まとめてモデル化してもよいし、ビードワイヤのそれぞれについて、モデル化してもよい。また、ビードワイヤは、予め解析されたビードワイヤ単体の剛性に基づいて、異方性弾性体としてモデル化されてもよい。さらに、ビードワイヤは、弾塑性体としてモデル化されてもよい。
タイヤモデル1は、周方向に沿って均一の要素が並ぶようにモデル化されてもよいし、実物のタイヤのように、各部材の小さな重なりや厚みの変化や剛性の変化を考慮して、周方向に不均一な要素が並ぶようにモデル化されてもよい。
また、タイヤモデル1の形状は、CADの図面データや製造金型の形状データや実際のタイヤの形状データ等に基づいて設定されてもよい。ここで、製造金型の形状データに基づいてタイヤモデル1の形状を設定する場合は、熱収縮や残留応力による形状変化を考慮することが望ましい。
タイヤモデル1のビード部1Aでは、冶具と接触する可能性がある部分において接触要素を定義して、実物同様に、冶具及びタイヤが重なり合わずに接触するようにする。
ステップS102において、冶具モデル2を生成する。図3(a)及び図3(b)に、ホフマン式拡張力試験機の冶具をモデル化した冶具モデル2の斜視図を示す。かかる冶具は、図4に示すように、8個の扇形からなる。
図3(a)は、かかる扇形のそれぞれをソリッド要素としてモデル化した冶具モデル2の例を示し、図3(b)は、タイヤに接触する可能性がある部分のみを8個に分割されたシェル要素としてモデル化した冶具モデル2の例を示す。
図3(b)に示す冶具モデル2の方が、図3(a)に示す冶具モデル2と比較して、モデルサイズが小さくできるため、結果としてモデル作成及び計算にかかる時間を短縮することができる。
なお、冶具モデル2のタイヤモデル2のビード部1Aに当たる部分Xの外径は、JATMAやETRTOの基準リム径より小さい状態を初期形状とする。
かかる外径が大きすぎると、冶具モデル2にタイヤモデル1が嵌らない。一方、かかる外径が小さすぎると、冶具モデル2にタイヤモデル1は嵌るが、冶具モデル2とタイヤモデル1との間の隙間が大きくなりすぎてしまい解析時間が長くなる。そこで、かかる外径は、基準リム径より3〜5mm程度小さいことが好ましい。
ステップS103において、図5に示すように、冶具モデル2をタイヤモデル1のビード部1Aに組み合わせる。
その後、図6に示すように、冶具モデル2をタイヤモデル1の径方向Fに移動させる。
具体的には、冶具モデル2の8個の扇形のそれぞれに対して変位、速度又は加速度を与えて径方向Fに移動させ、その際の変位及び反力を記録する。
かかる変位は、冶具モデル2のタイヤモデル1のビード部1Aに当たる部分Xの外径が、JATMAやETRTOの基準リム径より同じか大きくなるまで行う。ここで、かかる外径が大きくなりすぎると、解析時間が増えるので、基準リム径より2mm大きい程度が好ましい。
なお、解析結果を安定させるため、タイヤモデル1を弱いバネで少なくとも1方向から支持してもよい。かかる場合、図7(a)乃至図7(B)に示すように、8個の扇形同士の隙間が増えていることが分かる。また、図7(c)に示すように、右側ビード部1Aが径方向Fに拡大していることがわかる。
ステップS104において、ステップS103において記録された変位及び反力に基づいて、タイヤのビード部の拡張力を評価する。ここで、反力として、8個の扇形における反力の総和を用いてもよいし、タイヤモデル1の周方向のばらつきを見るために、8個の扇形における反力の各々を用いてもよい。
なお、図8に示すように、本実施形態に係るシミュレーション方法を実行するシミュレーション装置は、コンピュータ装置によって実現されてもよいし、かかるコンピュータ装置のプロセッサによって実行されるソフトウェアモジュールによって実施されてもよいし、両者の組み合わせによって実施されてもよい。
ソフトウェアモジュールは、RAM(Random Access Memory)や、フラッシュメモリや、ROM(Read Only Memory)や、EPROM(Erasable Programmable ROM)や、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable ROM)や、レジスタや、ハードディスクや、リムーバブルディスクや、CD-ROMといった任意形式の記憶媒体内に設けられていてもよい。
本発明の第1の実施形態に係るシミュレーション方法によれば、実際のタイヤを試作することなく、構造や形状や材料についての検討を行うことができるので、適切なビード部における拡張力を算出するためにかかる時間を短縮することができる。
また、本発明の第1の実施形態に係るシミュレーション方法によれば、タイヤの周方向に定量的なばらつきを含むタイヤモデル1を作成することで、容易に製品内でのばらつきを考慮したビード部の拡張力を評価することができる。
(比較評価)
次に、本発明の効果を更に明確にするために、実測、発明例1及び発明例2を用いて行った比較評価について説明する。なお、本発明は、これらの例によって何ら限定されるものではない。
次に、本発明の効果を更に明確にするために、実測、発明例1及び発明例2を用いて行った比較評価について説明する。なお、本発明は、これらの例によって何ら限定されるものではない。
本比較評価では、タイヤサイズPSR245/45R17のタイヤ及び17インチ用の冶具を組み合わせた。冶具のビード部に当たる部分Xの外径(初期状態)を「433.1mm」とし、タイヤのビードワイヤの断面の中心の半径を「223.5mm」及びと「223mm」の2種類とした。
実測では、冶具のビード部に当たる部分のXの外径を「433.1mm」から「437.6mm」まで変位させて「436.6mm」の時のビード部の拡張力を評価した。
また、発明例1では、冶具の8個の扇形をソリッド要素としてモデル化し、冶具モデル2のビード部に当たる部分Xの外径を「433.1mm」からJATMA基準の「436.6+1mm」まで変位させ、かかる変位及び反力に基づいて、かかる外径が「436.6mm」である時のビード部1Aの拡張力を評価した。
さらに、発明例2では、冶具の8個の扇形をシェル要素としてモデル化し、タイヤに接触する可能性がある部分及び当該部分の周囲のみをモデル化した。そして、冶具モデル2のビード部に当たる部分Xの外径を「433.1mm」からJATMA基準の「436.6+1mm」まで変位させ、かかる変位及び反力に基づいて、かかる外径が「436.6mm」である時のビード部1Aの拡張力を評価した。
かかる比較評価の結果から分かるように、本発明に係るシミュレーション方法(発明例1及び発明例2)によれば、実測の場合と比べて、解析時間が短縮される。なお、発明例2を用いた方が、発明例1を用いる場合よりも、解析時間が更に短縮される。
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。従って、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
1…タイヤモデル、1A…タイヤモデルのビード部、10…要素、2…冶具モデル
Claims (3)
- タイヤを有限個の要素に分割することによってタイヤモデルを生成する工程と、
冶具モデルを生成する工程と、
前記冶具モデルをタイヤモデルのビード部に組み合わせる工程と、
前記冶具モデルを前記タイヤモデルの径方向に移動させた場合の変位及び反力に基づいて、前記タイヤのビード部の拡張力を評価する工程とを有することを特徴とするシミュレーション方法。 - 前記冶具モデルは、前記タイヤに接触する可能性のある部分についてのみシェル要素としてモデル化されることを特徴とする請求項1に記載のシミュレーション方法。
- 請求項1又は2に記載のシミュレーション方法を実行することを特徴とするシミュレーション装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2011152928A JP2013018353A (ja) | 2011-07-11 | 2011-07-11 | シミュレーション方法及びシミュレーション装置 |
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Cited By (2)
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---|---|---|---|---|
JP2016004484A (ja) * | 2014-06-18 | 2016-01-12 | 住友ゴム工業株式会社 | タイヤのシミュレーション方法 |
CN108664707A (zh) * | 2018-04-17 | 2018-10-16 | 西南交通大学 | 一种基于有限元模拟的车轮-轨道接触循环加-卸载仿真分析方法 |
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2011
- 2011-07-11 JP JP2011152928A patent/JP2013018353A/ja not_active Withdrawn
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