JP2013014559A - エポキシ化合物付加物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】多価アルコール化合物とエポキシ化合物とを下記一般式(4)の活性水素を有しないエーテル系溶媒の存在下にて固体触媒を用い、加熱して反応させるエポキシ化合物付加物の製造方法。
R2−O−〔(PO)m/(EO)n〕−R3 (4)
〔式中、R2、R3は、炭素数1〜8のアルキル基であり、POとEOはそれぞれプロピレンオキシ基とエチレンオキシ基であり、m、nはPO又はEOの付加モル数を示し、それぞれ0〜10であり、mとnの合計は2〜20である。POとEOの付加順序は問わない。また、“/”は、POとEOの付加形態がブロックでもランダムでもよいことを意味する。〕
【選択図】なし
Description
洗浄剤の用途において前記の付加物を使用する場合、1分子の多価アルコールに1分子のエポキシ化合物が付加した1:1付加物が優れた洗浄性能を示し、過剰にエポキシ化合物が付加した化合物は、洗浄性能や曇点が低下することが知られている。
このような課題を克服するために、触媒の観点から検討が行われている。例えば、特許文献2には、焼成マグネシウム‐アルミニウム複合酸化物を触媒として用いて反応することで、過剰のエポキシ化合物付加を抑制することが記載されている。
また、特許文献3には、ヒドロキシ化合物とエポキシ化合物の付加反応において、酸性又は塩基性を有する固体触媒を使用することで、生成するヒドロキシエーテル化合物へのグリシジルエーテルの過剰付加反応が抑制できることが記載されている。
しかし、触媒による抑制効果は限られており、多価アルコール化合物とエポキシ化合物の1:1付加生成物の収率は十分ではなかった。また、溶媒として、非プロトン性溶媒が例示されているが、反応温度より低沸点の溶媒のみの例示であり、溶媒の現実的な使用態様及び効果については例示されていない。
R2−O−〔(PO)m/(EO)n〕−R3 (4)
〔式中、R2、R3は、炭素数1〜8のアルキル基であり、POとEOはそれぞれプロピレンオキシ基とエチレンオキシ基であり、m、nはPO又はEOの付加モル数を示し、それぞれ0〜10であり、mとnの合計は2〜20である。POとEOの付加順序は問わない。また、“/”は、POとEOの付加形態がブロックでもランダムでもよいことを意味する。〕
また、この方法で得られたエポキシ化合物付加物は、洗浄剤、可溶化剤、乳化剤、分散剤や起泡剤として香粧品、医薬品などの分野で利用することができ、洗浄剤として使用する場合、1:1付加物は高い曇点を有し、高い洗浄性能を発揮することができる。
本発明で反応原料として用いる多価アルコール化合物は、エポキシ化合物付加物を洗浄剤として使用したときの洗浄力の観点から、炭素数2〜30且つヒドロキシル基数2〜30のポリオール類やアセタール、ケタール類、及びポリオキシアルキレンアルキルエーテル類が好ましい。
より好ましくは炭素数2〜18且つヒドロキシル基数2〜18のポリオール類及びそのアセタール、ケタール類であり、更に好ましくはエチレングリコール、プロパンジオール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ポリグリセリン、ソルビトール、グルコース、スクロース及びグリセリンケタール類であり、更に好ましくはグリセリン及び/又はポリグリセリンであり、特に好ましくはポリグリセリンである。
HO−(Gly−O)r−H (1)
〔式中、Glyはグリセリンから2つの水酸基を除いた残基を示し、rは平均付加モル数で1.01〜10の数を示す。〕
一般式(1)において、エポキシ化合物付加物を洗浄剤として使用したときの洗浄力の観点から、rは1.1〜5が好ましく、2〜4がより好ましい。
本発明で反応原料として用いるエポキシ化合物は、下記一般式(2)で表されるエポキシ化合物が好ましい。
R4−O―CH2− (3)
(式中、R4は炭素数1〜22の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基若しくはアルケニル基、又は炭素数5〜22のアリール基である)
で表される基である。)
また、一般式(2)においては、エポキシ化合物付加物を洗浄剤として使用したときの洗浄力の観点から、Aは、アルコキシル基、アルケニルオキシル基、アリールオキシル基、又は一般式(3)で表される基が好ましく、一般式(3)で表される基がより好ましい。より好ましいエポキシ化合物として具体的には、グリシジルエーテルが挙げられる。
このようなエポキシ化合物は、例えば、特許3544134号公報に記載されているように、酸触媒の存在下、アルコールとα−エピハロヒドリンとを反応させた後、得られるハロヒドリンエーテルをアルカリ処理により閉環させて得ることができる。
本発明で用いる活性水素を有しないエーテル系溶媒は、1:1付加物の選択性及び収率を高めることができる。
1:1付加物の選択性が向上する原因は必ずしも明らかではないが、触媒以外の反応原料の相溶性の向上、及び付加生成物の溶媒和現象が原因として考えられる。
R2−O−〔(PO)m/(EO)n〕−R3 (4)
〔式中、R2、R3は、炭素数1〜8のアルキル基であり、POとEOはそれぞれプロピレンオキシ基とエチレンオキシ基であり、m、nはPO又はEOの付加モル数を示し、それぞれ0〜10であり、mとnの合計は2〜20である。POとEOの付加順序は問わない。また、“/”は、POとEOの付加形態がブロックでもランダムでもよいことを意味する。〕
m、及びnの合計は、1:1付加物の選択性及び収率を高める観点から、好ましくは2〜20であり、より好ましくは2〜10であり、更に好ましくは3〜5、特に好ましくは3〜4である。
また、m、及びnの合計が上記範囲内であれば、1:1付加物の選択性及び収率を高める観点から、mは0であることが好ましい。
具体的にはジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ペンタエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、又はペンタエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられ、1:1付加物の選択性及び収率を高める観点から、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、又はペンタエチレングリコールジメチルエーテルが好ましく、トリエチレングリコールジメチルエーテル、又はテトラエチレングリコールジメチルエーテルがより好ましい。
活性水素を有しないエーテル系溶媒の沸点は具体的には設備負荷の観点から、好ましくは100℃〜500℃であり、より好ましくは150℃〜400℃であり、更に好ましくは160℃〜350℃であり、特に好ましくは180℃〜300℃である。
本発明に用いられる固体触媒は、1:1付加物の選択性を高める観点から、アルミニウム、マグネシウム又は亜鉛を含有する固体触媒が好ましい。なお、選択性、反応速度の向上、その他の触媒の性能を向上させる目的で、他の元素を含んでいても良い。
単一又は複合金属酸化物としては、多価アルコール化合物とエポキシ化合物の1:1付加物の選択性を高める観点から、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛又はアルミニウムとマグネシウムの複合酸化物が好ましい。
また、選択性、反応速度の向上、その他の触媒の性能を向上させる目的で、他の元素の酸化物を含んでいても良い。
本発明の製造方法は、多価アルコール化合物とエポキシ化合物とを活性水素を有しないエーテル系溶媒の存在下にて固体触媒を用いて反応させることができる方法であればよいが、好ましくは次の2つの方法を挙げることができる。
方法1:反応容器内に、多価アルコール化合物、エポキシ化合物、活性水素を有しないエーテル系溶媒、触媒を入れ、反応させる方法。
方法2:反応容器内に、多価アルコール化合物、活性水素を有しないエーテル系溶媒及び固体触媒を入れて混合し、脱水処理をした後にエポキシ化合物を添加し、反応させる方法。
脱水方法は特に限定されず、例えば反応原料、溶媒及び触媒を反応装置に入れた後に、所定の温度、圧力にて脱水操作を行うことができる。また、金属水素化物等の乾燥剤を用いる等の常法により脱水乾燥することができる。
また、本反応は、付加物の着色及び/又は臭いの観点から、不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましく、アルゴンガス、又は窒素ガス雰囲気下において行うことがより好ましい。
バッチ式の場合、多価アルコール化合物、エポキシ化合物、溶媒及び触媒を反応開始前に反応容器内に投入する一括式、及び、原料の何れかを、他の原料が既に投入されている反応容器内に滴下する滴下方式のいずれでも良い。
その他の反応方式として滴下式を採用する場合は、1:1付加物の選択性を高める観点から、エポキシ化合物を反応系に滴下することが好ましい。
反応時間の短縮ができる点で、反応方式は一括式の方が好ましい。
得られたエポキシ化合物付加物は、そのままの混合物として、又は精製操作により1:1付加物の純度を更に上げたものとして、洗浄剤、可溶化剤、乳化剤、分散剤や起泡剤として香粧品、医薬品などの分野で利用することができる。
表1に示す実施例及び比較例における反応終了後混合物中に含まれる各化合物の組成は、試料にテトラデカンを内部標準として添加し、トリメチルシリル化剤(GLサイエンス社製、TMSI−H)を添加し混合し、固形分をろ別後、以下の条件のガスクロマトグラフィーにて定量分析した。モノアルキルエーテル(1:1付加物)の選択性は、下記の式から算出した。
モノアルキルエーテル選択性=反応生成物中のモノアルキルエーテル濃度(質量%)÷(反応生成物中のモノアルキルエーテル濃度(質量%)+反応生成物中のジアルキルエーテル濃度(質量%))×100
・カラム:DB1-HT(J&W社製、内径0.25 mm、長さ15 m、膜厚 0.1mm)
・キャリアガス:He、1.0 mL/分
・注入口温度:300℃
・検出:FID方式、300℃
・カラム温度条件:60℃(2分保持)→10℃上昇/分→350℃(5分保持)
ジグリセリン(東京化成社製)25.1gと触媒1.25g、溶媒27.8gを160℃、攪拌下混合した後に、1mmHgの減圧下で脱水処理を1時間行った。
脱水処理後、窒素ガス雰囲気下200℃に昇温し、ラウリルグリシジルエーテル29.3gを攪拌下混合した後、4時間反応を行った。ジグリセリン転化率は66%、ラウリルモノアルキルエーテル(1:1付加物)の選択性は83%であった。
ジグリセリン(東京化成社製)30.0gと触媒1.50gを160℃、攪拌下混合した後に、1mmHgの減圧下で脱水処理を1時間行った。
脱水処理後、窒素ガス雰囲気下200℃に昇温し、ラウリルグリシジルエーテル35.0gを攪拌下混合した後、2時間反応を行った。ジグリセリン転化率は66%、モノアルキルエーテルの選択性は74%であった。
ジグリセリン(東京化成社製)18.0gと触媒0.900g、ラウリルグリシジルエーテル21.1g、溶媒20.0gを攪拌下混合した後に、窒素ガス雰囲気下200℃に昇温し、4.5時間反応を行った。ジグリセリン転化率は48%、モノアルキルエーテルの選択性は81%であった。
ジグリセリン(東京化成社製)60.0gと触媒3.00g、溶媒104gを攪拌下混合した後、窒素ガス雰囲気下200℃に昇温し、ラウリルグリシジルエーテルを10.5g/時間で1時間滴下した。その後、200℃で熟成し、ラウリルグリシジルエーテルの消失を確認した後、再びラウリルグリシジルエーテルを10.5g/時間で1時間滴下し、熟成した。ジグリセリン転化率は28%、モノアルキルエーテルの選択性は96%であった。
ジグリセリン(東京化成社製)19.4gと触媒0.900g、ラウリルグリシジルエーテル22.6g、溶媒17.1gを攪拌下混合した後に、窒素ガス雰囲気下180℃に昇温し、10時間反応を行った。ジグリセリン転化率は48%、モノアルキルエーテルの選択性は78%であった。
ジグリセリン(東京化成社製)20.5gと触媒0.960g、ラウリルグリシジルエーテル23.9g、溶媒14.6gを攪拌下混合した後に、窒素ガス雰囲気下180℃に昇温し、7.2時間反応を行った。ジグリセリン転化率は49%、モノアルキルエーテルの選択性は77%であった。
ジグリセリン(東京化成社製)25.8gと触媒1.30g、ラウリルグリシジルエーテル30.1gを攪拌下混合した後に、窒素ガス雰囲気下200℃に昇温し、2.5時間反応を行った。ジグリセリン転化率は48%、モノアルキルエーテルの選択性は72%であった。
ジグリセリン(東京化成社製)9.10gと触媒0.440g、ラウリルグリシジルエーテル10.4g、溶媒19.7gを攪拌下混合した後に、窒素ガス雰囲気下200℃に昇温し、5.5時間反応を行った。モノアルキルエーテル体の生成は確認できなかった。
ジグリセリン(東京化成社製)60.0gと触媒3.00gを攪拌下混合した後、窒素ガス雰囲気下200℃に昇温し、ラウリルグリシジルエーテルを10.5g/時間で1時間滴下した。その後、200℃で熟成し、ラウリルグリシジルエーテルの消失を確認した後、再びラウリルグリシジルエーテルを10.5g/時間で1時間滴下し、熟成し、これを2回繰りかえした。ジグリセリン転化率は30%、モノアルキルエーテルの選択性は85%であった。
ジグリセリン(東京化成社製)25.0gと三フッ化ホウ素ジエチルエーテル(和光純薬工業社製)0.250g、ラウリルグリシジルエーテル29.3g、溶媒27.8gを攪拌下混合した後に、窒素ガス雰囲気下90℃に昇温し、3時間反応を行った。ガスクロマトグラフィーによる分析の結果、ジグリセリン転化率は26%、モノアルキルエーテルの選択性は55%であった。
ジグリセリン(東京化成社製)30.0gと三フッ化ホウ素ジエチルエーテル(和光純薬製)0.310g、ラウリルグリシジルエーテル35.1gを攪拌下混合した後に、窒素ガス雰囲気下90℃に昇温し、3時間反応を行った。ガスクロマトグラフィーによる分析の結果、ジグリセリン転化率は25%、モノアルキルエーテルの選択性は57%であった。
また、実施例3と比較例4の結果から、選択性面で有利な滴下式反応においても活性水素を有しないエーテル系溶媒存在下にて1:1付加物の選択性が高いことが確認でき、反応形式を問わず、本発明の有用性が確認できた。
比較例5及び比較例6の結果から、均一触媒を用いて多価アルコール化合物とエポキシ化合物とを反応させた場合は、本発明に係る活性水素を有しないエーテル系溶媒存在下であっても、1:1付加物の選択性の向上は認められなかった。
(2)γ-アルミナ:水澤化学社から購入した
(3)KW2000:キョーワード2000(組成式:Mg0.7Al0.3O1.15)、協和化学社製
(4)TEG-DME:テトラエチレングリコールジメチルエーテル(沸点275℃),和光純薬工業社製
(5)N−メチルピロリドン:(沸点202℃),和光純薬工業社製
(6)TrEG-DME:トリエチレングリコールジメチルエーテル(沸点216℃),和光純薬工業社製
Claims (6)
- 多価アルコール化合物とエポキシ化合物とを下記一般式(4)の活性水素を有しないエーテル系溶媒の存在下にて固体触媒を用い、加熱して反応させるエポキシ化合物付加物の製造方法。
R2−O−〔(PO)m/(EO)n〕−R3 (4)
〔式中、R2、R3は、炭素数1〜8のアルキル基であり、POとEOはそれぞれプロピレンオキシ基とエチレンオキシ基であり、m、nはPO又はEOの付加モル数を示し、それぞれ0〜10であり、mとnの合計は2〜20である。POとEOの付加順序は問わない。また、“/”は、POとEOの付加形態がブロックでもランダムでもよいことを意味する。〕 - 多価アルコール化合物、一般式(4)の活性水素を有しないエーテル系溶媒及び固体触媒を混合し、脱水処理をした後にエポキシ化合物を添加し、加熱して反応させる請求項1記載のエポキシ化合物付加物の製造方法。
- 固体触媒が、アルミニウム、マグネシウム又は亜鉛を含有するものである請求項1又は2記載のエポキシ化合物付加物の製造方法。
- 多価アルコール化合物がグリセリン及び/又はポリグリセリンである請求項1〜3のいずれか1項記載の製造方法。
- エポキシ化合物がグリシジルエーテルである請求項1〜4のいずれか1項記載のエポキシ化合物付加物の製造方法。
- 一般式(4)の活性水素を有しないエーテル系溶媒の沸点が100℃以上である請求項1〜5のいずれか1項記載のエポキシ化合物付加物の製造方法。
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