JP2013009623A - 無細胞系タンパク質合成系に関する迅速化法 - Google Patents

無細胞系タンパク質合成系に関する迅速化法 Download PDF

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Abstract

【課題】昆虫培養細胞抽出液を使用して無細胞系でタンパク質を製造する方法であって、鋳型DNAの直鎖化とmRNAの精製を省略したハイスループット化可能な新規な無細胞系タンパク質合成方法を提供する。
【解決手段】環状DNAを直鎖化せずにインビトロで転写反応を行う工程と、前記転写反応後の転写反応液、翻訳反応用溶液、及び、マグネシウムイオンと錯体を形成するキレート剤を混合し、得られた翻訳反応液中で翻訳反応を行う工程とを含み、前記キレート剤は、前記翻訳反応液中の遊離マグネシウムイオンの最終濃度が10mM以下となるように混合される、無細胞系タンパク質合成法。インビトロで行う転写反応に用いる鋳型DNAを環状プラスミドのまま用い、mRNAの精製を省略することにより、既存法よりもさらにハイスループット化を可能にした。
【選択図】図1

Description

本発明は、無細胞系タンパク質合成方法(無細胞系でタンパク質を製造する方法)に関する。
近年、ヒトゲノムを始め多くの生物の遺伝情報が解読されてきている。このような中、ポストゲノム研究として、これらの遺伝情報に対応するタンパク質の機能解析やゲノム創薬が注目を集めている。これらの遺伝情報に対応するタンパク質を医薬品などに応用、利用するには、莫大な種類のタンパク質を短時間で簡単に合成することが必要となってくる。
現在、タンパク質の生産方法には、遺伝子組換え技術によって酵母や昆虫細胞などの生細胞を用いる発現系(以下、「細胞系」ということがある) が広く利用されている。しかし、細胞系においては、生細胞が自己機能を維持するために外来タンパク質を排除する傾向があること、また生細胞で細胞毒性タンパク質を発現すると細胞が生育しないなどの制約があるため、発現が困難なタンパク質も多い。
一方、細胞系を使用しないタンパク質の生産方法として、細胞破砕液や抽出液に基質や酵素などを加えるなどして生物の遺伝情報翻訳系または遺伝情報転写/翻訳系を試験管内に取り揃え、目的タンパク質をコードするmRNAまたは鋳型DNAを用いて、アミノ酸を望みの順番に必要な残基数結合させることのできる合成系を再構築する、無細胞系のタンパク質合成が知られている。このような無細胞系タンパク質合成では、上記細胞系のタンパク質合成のような制約を受けにくく、生物の命を断つことなくタンパク質の合成を行うことができ、またタンパク質の生産に培養などの操作を伴わないため細胞系と比較して短時間にタンパク質の合成を行うことができる。さらに無細胞系タンパク質合成では、生命体が利用していないアミノ酸配列からなるタンパク質の大量生産も可能となることから、有望な発現方法であると期待されている。このような無細胞系のタンパク質合成に供する細胞破砕液や抽出液として、種々の生物由来のものを使用することが検討され、研究が進められている。
無細胞系タンパク質合成用抽出液としては、小麦胚芽、ウサギ網状赤血球、大腸菌、昆虫培養細胞などに由来するものが、従来知られている。本発明者らは、これまで、昆虫培養細胞由来の抽出液や哺乳動物培養細胞由来の抽出液を使用した無細胞系タンパク質合成方法を提案してきている(たとえば、特許文献1、特許文献2)。本発明者らが提案する昆虫培養細胞由来の抽出液(昆虫培養細胞抽出液)を用いた無細胞系タンパク質合成方法では、従来の方法と比較して、抽出液の調製が格段に容易であり、真核生物由来であるため糖タンパク質の合成も可能であるという利点があり、非常に有用である。
上記本発明者らが提案する無細胞系タンパク質合成方法は、DNAもしくはmRNAを鋳型として、コードされているタンパク質を合成するものである。すなわち、DNA よりmRNA を転写する転写反応と、転写反応で得られたmRNA の情報を読み取ってタンパク質を合成する翻訳反応とを、上記抽出液を用いて連続的に行う方法(転写/翻訳系、1ステップ法) 、あるいは、mRNAを鋳型として翻訳反応のみを、上記抽出液を用いて行う方法(翻訳系、3ステップ法)の二通りの方法で、無細胞系のタンパク質合成を行う。しかしながら、DNA を鋳型とする方法(転写/翻訳系)では、最終的なタンパク質合成量が非常に低くなってしまっていた。また、mRNAを鋳型とする方法(翻訳系) では、インビトロ転写反応、及び転写反応で得られたmRNAの精製を行うため、抽出液を用いた翻訳反応に至るまでの工程数が多く、煩雑な手間を要する。従って、全工程を鑑みると、1ステップ法と同程度のタンパク質合成量を得るまでに長時間を要する。このように、これまでの方法では、無細胞系タンパク質合成を多検体処理のようなハイスループットな技術とするには大きな障壁があった。
このように昆虫培養細胞抽出液を使用して、ハイスループットにタンパク質を合成し得るべく、DNAを鋳型とする場合よりもタンパク質合成量が向上されつつも、mRNAを鋳型とする場合よりも簡略化されたステップでタンパク質を合成し得る、新規な無細胞系タンパク質合成方法の開発が望まれていた。そこで本発明者らは、これらの問題点を改善すべく、インビトロで転写反応を行う工程と、インビトロで転写反応を行った後の転写反応液を、マグネシウムが特定の濃度以下となるようことを特徴とする手法を発明した(特許文献3)。この手法により、mRNA を鋳型とする場合よりも簡略化されたステップでタンパク質を合成可能となったが、鋳型とする環状DNAの直鎖化は省略することができないステップであった。
また、特許文献4に記載の方法は、インビトロで転写反応を行う工程と、インビトロで転写反応を行った後の転写反応液を、キレート剤添加によってマグネシウムが特定の濃度以下となるように調節され、抽出物を含有する翻訳反応用溶液に添加して調製した翻訳反応液を用いて翻訳反応を行う工程とを含むことを特徴とする(以下、この従来法をリンク法と呼ぶ)。リンク法では、十分な量のmRNAを含む転写反応液を添加する事ができ、タンパク質合成量を向上させることができ、多検体処理などのようなハイスループットを要する無細胞系タンパク質合成に非常に有用である。しかしながら、リンク法においても転写鋳型としては直鎖化DNAを用いるため、環状DNAの直鎖化のステップは必須であり、ハイスループット性には乏しかった。
特開2004−215651号公報 国際公開第2004/111203号パンフレット 特開2005−6539号公報 特開2007−143435号公報
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、昆虫培養細胞抽出液を使用して無細胞系でタンパク質を製造する方法であって、ハイスループット化可能な新規な無細胞系タンパク質合成方法、及びその方法を行うためのキットを提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を行った結果、本発明を完成するに至った。本発明は、以下の発明を含む。
(1)環状DNAを直鎖化せずに鋳型としてインビトロで転写反応を行う工程と、前記転写反応後の転写反応液、翻訳反応用溶液、及び、マグネシウムイオンと錯体を形成するキレート剤を混合し、得られた翻訳反応液中で翻訳反応を行う工程とを含み、前記キレート剤は、前記翻訳反応液中の遊離マグネシウムイオンの最終濃度が10mM以下となるように混合される、無細胞系タンパク質合成法。
(2)前記翻訳反応液は、節足動物から抽出された抽出液を含む、(1)に記載の方法。
(3)前記節足動物は、昆虫培養細胞又はカイコ組織である、(2)に記載の方法。
(4)前記昆虫培養細胞は、Trichoplusia ni卵細胞、及び/又はSpodoptera frugiperda卵巣細胞に由来する培養細胞である、(3)に記載の方法。
(5) (1)〜(4)のいずれかに記載の方法を用いて無細胞系タンパク質合成を行うための、マグネシウムイオンと錯体を形成するキレート剤を少なくとも含む試薬キット。
本発明によれば、昆虫培養細胞抽出液を使用して無細胞系でタンパク質を製造する方法であって、ハイスループット化可能な新規な無細胞系タンパク質合成方法、及びその方法を行うためのキットを提供することができる。
昆虫培養細胞由来抽出物を用いた実験例3、5、6、7、8によって得られたタンパク質合成量を示した図である。
本発明は、環状DNAを直鎖化せずに鋳型としてインビトロで転写反応を行う工程と、前記転写反応後の転写反応液、翻訳反応用溶液、及びマグネシウムイオンと錯体を形成するキレート剤を混合して、翻訳反応を行う工程とを含むことを特徴とする本発明の無細胞系タンパク質合成方法を提供する。インビトロの転写反応の際に、環状DNAを用いることにより、DNAからタンパク質合成にいたるまでのステップを1チューブ内で行いかつ高効率で合成タンパク質を得る方法を提供する。以下、本明細書中において、この本発明の方法を「プラスミドリンク法」と呼ぶことがある。
プラスミドリンク法によれば、反応槽内で転写反応、翻訳反応を連続的に行ってDNA からタンパク質を合成する従来法( 以下、この従来法を「1ステップ法」と呼ぶ) とは異なり、転写反応と翻訳反応とで好適な塩濃度の範囲が異なるために、結果として合成タンパク質の量が少なくなってしまうということがない。さらに、転写反応に用いる環状DNAの直鎖化につづく転写反応にてmRNAを合成し、精製後のmRNAを鋳型として翻訳反応を行ってタンパク質を合成する従来法(以下、この従来法を「3ステップ法」と呼ぶ)とは異なり、環状DNAの直鎖化およびmRNAの精製のステップを要することなく上記の如き合成量にて効率よくタンパク質を合成することができる。
また、プラスミドリンク法によれば、特許文献4に記載の方法のリンク法に比べ、リンク法で必要なステップであった鋳型DNAの直鎖化のステップも省略可能となり、さらなるハイスループット化が望める。
本発明のプラスミドリンク法では、まずインビトロ転写反応を行い、転写反応液を得る。この際に、環状DNAを直鎖化せずにそのまま鋳型として転写反応を行う。環状DNAとしては、環状プラスミドを用いることができる。次に、得られた転写反応液と、翻訳反応用溶液と、マグネシウムイオンと錯体を形成するキレート剤とを混合し、翻訳反応液を得る。
本発明における転写反応液は、インビトロで転写反応を行い得る従来公知の適宜の組成のものを使用でき、特に制限されるものではない。たとえば、鋳型DNA 、RNA ポリメラーゼ、NTPs(ATP、GTP、CTP、UTP)、マグネシウム塩を少なくとも含有する転写反応液が例示される。
従来、転写反応の鋳型として使用される鋳型DNAは、直鎖状であるほうがmRNAの合成効率が高いため、プラスミドDNAなどの環状DNAは、PCR法や制限酵素による消化によって直鎖化されていることが望まれていた。しかし、本発明者らは、環状DNAを直鎖化せずに鋳型として用いたmRNA合成によっても、タンパク質合成に必要な量のmRNAを効率よく合成することができることを見出し、本発明を成すにいたった。即ち本発明における「環状DNAを直鎖化せずに鋳型としてインビトロで転写反応を行う」とは、環状DNAを先述のPCR法や制限酵素による消化等の操作をせずに、環状を維持した状態のDNAを鋳型として用いてインビトロで転写反応を行うことを意味する。
上記環状DNAは、目的タンパク質をコードする塩基配列と、その5'上流側に位置するプロモーター配列とを少なくとも有する。本発明の転写鋳型に用いる環状DNA(以下、単に鋳型DNAともいう)は、コードするタンパク質(ペプチドを含む)に特に制限はなく、生細胞で細胞毒となるタンパク質をコードする塩基配列を有するものであってもよいし、また糖タンパク質をコードする塩基配列を有するものであってもよい。また鋳型DNAにおけるプロモーター配列としては、環状DNAを用いたmRNA合成において最も安定したプロトコルが提供されているT7プロモーター配列が望ましいが、SP6 プロモーター配列、T3プロモーター配列なども利用可能である。
また、本発明に用いる鋳型DNAは、上記目的タンパク質をコードする塩基配列の3'下流側に転写を終結させる機能を有するターミネーター配列、および/または、合成されたmRNAの安定性などの観点からポリA配列を有しているのが好ましい。上記ターミネーター配列としては、たとえば、従来公知のT7ターミネーター配列、SP6ターミネーター配列、T3ターミネーター配列などが挙げられる。なお本発明に用いる鋳型DNA は、塩基数に特に制限はなく、目的とするタンパク質を合成し得るならば全てが同じ塩基数でなくともよい。また、目的とするタンパク質を合成し得る程度に相同な配列であれば、各鋳型DNA は、複数個の塩基が欠失、置換、挿入または付加されたものであってよい。
鋳型DNA は、転写反応液中において、1μg/mL〜200μg/mL含有されることが好ましく、10μg/mL〜100μg/mL含有されることがより好ましい。鋳型DNA が1μg/mL未満または200μg/mLを越えると、本発明のプラスミドリンク法にて充分な量のタンパク質を合成し得る量のmRNA をインビトロ転写反応により得られない傾向にあるためである。
転写反応液中におけるRNAポリメラーゼは、鋳型DNAが有するプロモーター配列に応じて適宜選択することができる。たとえば、鋳型DNAがT7プロモーター配列を有している場合は、その配列を認識するT7 RNAポリメラーゼを使用することが好ましい。また、外来鋳型DNAが、SP6またはT3プロモーター配列を有している場合は、それぞれ、SP6 RNAポリメラーゼまたはT3 RNAポリメラーゼを使用することが好ましい。RNAポリメラーゼは、mRNA合成の速度の観点から、転写反応液中に0.1U/μL〜10U/μL含有されることが好ましく、0.5U/μL〜5U/μL含有されることがより好ましい。RNAポリメラーゼが0.1U/μL未満または10U/μLを越えると、本発明のプラスミドリンク法にて充分な量のタンパク質を合成し得る量のmRNAをインビトロ転写反応により得られにくい傾向にあるためである。
転写反応液中におけるNTPs(ATP、GTP、CTP、UTP)の含有量に特に制限はないが、1mM〜20mM含有されるのが好ましく、2mM〜10mM含有されるのがより好ましい。NTPsの含有量が1mM未満または20mMを越えると、本発明のプラスミドリンク法にて充分な量のタンパク質を合成し得る量のmRNA がインビトロ転写反応により得られにくくなる傾向にあるためである。当該NTPs は、通常、ATP 、GTP 、CTP およびUTP を概ね等量ずつ含有してなる。
転写反応液中におけるマグネシウム塩としては、インビトロ転写反応および翻訳反応を阻害するものでなければ特に制限はなく、たとえば酢酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、クエン酸マグネシウム、リン酸水素マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、乳酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、シュウ酸マグネシウムなど一般的な形態で使用することができ、中でも酢酸マグネシウムを使用するのが好ましい。転写反応液中におけるマグネシウム塩の含有量に特に制限はないが、たとえば酢酸マグネシウムなど2価の塩である場合、1mM〜200mM含有されることが好ましく、10mM〜100mM含有されることがより好ましい。マグネシウム塩が1mM未満または200mMを越えると、本発明のプラスミドリンク法にて充分な量のタンパク質を合成し得る量のmRNAがインビトロ転写反応により得られにくくなる傾向にあるためである。
転写反応液は、さらに、ジチオトレイトール(DTT)、RNaseインヒビターおよびスペルミジンを含有するのが好ましい。DTTは、酸化防止の目的で配合されるものであり、転写反応液中において1mM〜200mM含有されることが好ましく、10mM〜100mM含有されることがより好ましい。RNaseインヒビターは、インビトロ転写反応にて合成したmRNA がRNaseによって不所望に消化されるのを防止する目的で添加されるものであり、転写反応液中において0.1U/μL〜20U/μL含有されることが好ましく、0.2U/μL〜10U/μL含有されることがより好ましい。またスペルミジンは、転写における伸長反応を促進する目的で添加されるものであり、0.1mM〜20mM含有されることが好ましく、0.5mM〜10mM含有されることがより好ましい。
また転写反応液は、通常、緩衝剤を含有する。緩衝剤としては、特に制限はなく、たとえば、HEPES‐KOH 、Tris‐HCl 、酢酸−酢酸ナトリウム、クエン酸−クエン酸ナトリウム、リン酸、ホウ酸、MES、PIPESなどを使用することができる。緩衝剤は、転写反応液のpHが4〜10に保持されるようなものを使用するのが好ましく、pH が6〜8に保持されるようなものを使用するのがより好ましい。このような観点より、上記中でもHEPES−KOH(pH6〜8)を使用するのが特に好ましい。当該転写反応液中における緩衝剤の含有量に特に制限はないが、好適な緩衝能を保持する観点から、10mM〜400mM含有されることが好ましく、20mM〜200mM含有されることがより好ましい。緩衝剤が10mM未満であると、酸性または塩基性物質の添加によりpHの急激な変動を引き起こす傾向にあるためであり、また緩衝剤が400mMを越えると、塩濃度が高くなり過ぎる傾向にあるためである。
すなわち、本発明に用いる転写反応液は、1μg/mL〜200μg/mLの鋳型DNA、0.1U/μL〜10U/μLのRNA ポリメラーゼ、1mM〜20mMのNTPs、1mM〜200mMの酢酸マグネシウム、1mM〜200mMのDTT、0.1U/μL〜20U/μLのRNaseインヒビター、0.1mM〜20mMのスペルミジン、10mM〜400mMのHEPES−KOH(pH6〜8)を含有するように実現されるのが好ましい。
本発明において、上述したような転写反応液を用いたインビトロ転写反応は、従来公知のたとえば低温恒温槽にて行えばよい。転写工程の反応温度は、通常、10℃〜60℃、好ましくは20℃〜50℃の範囲内である。転写工程の反応温度が10℃未満であると、転写の速度が低下する傾向にあり、また転写工程の反応温度が60℃を越えると、反応に必須な成分が変性する傾向にあるためである。反応の時間は、全工程あわせて、通常、1時間〜8時間、好ましくは3時間〜5時間である。
本発明のプラスミドリンク法における翻訳反応用溶液としては、生細胞由来の抽出物を含有しており、無細胞系で翻訳反応を行い得るものであれば特に制限されるものではない。生細胞由来の抽出物は、翻訳鋳型を翻訳して該鋳型にコードされるタンパク質を生成させ得るものであれば如何なるものであってもよく、従来公知の大腸菌、コムギ、オオムギ、イネ、コーン等のイネ科の植物、及びホウレンソウなど植物種子の胚芽、ウサギ網状赤血球などから抽出された抽出物、抽出液を特に制限なく使用することができる。これらは市販のものを用いることもできるし、それ自体既知の方法、具体的には、大腸菌、小麦胚芽またはウサギ網状赤血球由来の抽出液の場合には、「生物化学実験法43、遺伝子発現研究法」(学会出版センター)に記載の方法等に準じて調製することもできる。市販のタンパク質合成用細胞抽出液としては、大腸菌由来ではRTS100E.coliHYKit(ロシュ・ダイアグノスティックス社製)などが挙げられ、ウサギ網状赤血球由来ではRabbit Reticulocyte Lysate System,Nuclease Treated(プロメガ社製)など、コムギ胚芽由来ではPROTEIOS set(東洋紡績社製)などが挙げられる。さらに酵母由来の抽出液は、Gasiorらの方法(Gasior,E.ら、J.Biol.Chem.、254、3965−3969、1979)あるいはHussainらの方法(Hussain、I.ら、Gene、46、13−23、1986)に準じて調製することができる。また本発明者らが提案する方法に準じて調製することもできる(特開2004−208640号公報)。
本発明において用いられる生細胞由来の抽出物としては、上述のような公知の抽出物が含まれていてもよいが、本発明者らが提案してきている節足動物由来の抽出物や哺乳動物培養細胞由来の抽出物が含まれているものであってもよい。
ここで「節足動物」とは、後生動物の一門であって、左右相称、裂体腔を有する旧口動物を指し、鋏角亜門、大顎亜門のいずれに属するものであってもよく、たとえば、昆虫綱、クモ綱などに属する動物を包含する。中でも、昆虫綱またはクモ綱( 特に、クモ亜綱)に属する節足動物が好ましく、昆虫綱に属する節足動物が特に好ましい。昆虫綱に属する節足動物としては、たとえば、鱗翅目(チョウ目)、直翅目、双翅目、膜翅目、鞘翅目、甲虫目、脈翅目、半翅目などに属するものが挙げられ、特に制限されるものではないが、中でも、カイコガ科、ヤガ科などの鱗翅目に属するものが好適に使用される。
本発明において上記の節足動物に由来する抽出物を用いる場合、その抽出物は、節足動物における成長段階のいずれを問わずいかなる組織から抽出されたものであってもよく、また、節足動物のいずれの組織由来の培養細胞より抽出されたものであってもよい。中でも、カイコ組織または昆虫培養細胞から抽出されたものであるのが特に好ましい。
「カイコ」は、カイコガ科に属する鱗翅目昆虫(絹糸昆虫)と同義であり、その一生において「卵(胚)」(産卵直後より孵化直前までの間)、「幼虫」(孵化直後から繭の形成終了直前(1齢期〜5齢期に分けられる))、「蛹」(繭の形成終了直前から羽化する直前までの間)、ならびに「成虫(蛾)」(羽化直後より死亡までの間)の各状態を経るものであり、その一生にわたる形態のいずれをも含むものとする。カイコは、卵より孵化した後の幼虫の状態では、桑を食べて発育する期間(齢)と、食べずに脱皮の準備をする期間(眠)を交互に繰り返す。カイコの幼虫において、孵化してから1回目の脱皮までを1齢期、1回目の脱皮から2回目の脱皮までを2齢期といい、通常、4回脱皮して5齢期で成熟する(この成熟した状態のカイコ幼虫は「熟蚕」とも呼ばれる)。カイコの幼虫は、熟蚕になると体が透明になり絹糸を吐いて繭を形成し、蛹化する。蛹の後、羽化して成虫となる。
翻訳反応用溶液がカイコ組織由来の抽出物を含有する場合、組織としてはカイコの一生のうちのどの状態(卵、幼虫(1齢期〜5齢期)、蛹、成虫)のいずれの組織でもよい。またカイコ組織は、単一の状態における単一の組織(たとえば、5齢期のカイコ幼虫における後部絹糸腺のみ)に限らず、単一の状態における複数の組織(たとえば、5齢期のカイコ幼虫における後部絹糸腺および脂肪体)であってもよく、複数の状態における単一の組織(たとえば、3齢期、4齢期、5齢期の各カイコ幼虫における後部絹糸腺)であってもよいものとする。無論、複数の状態における複数の組織であってもよい。なおカイコ組織は、カイコ組織の全体(たとえば、後部絹糸腺全体)である必要はない。
ここで、カイコ組織の「絹糸腺」とは、カイコ幼虫の両体側において、頭部の下唇先端に位置する吐出口から盲管にまで連なる一対の管状の外分泌腺であり、前部絹糸腺、中部絹糸腺および後部絹糸腺に大きく分けられる。後部絹糸腺は、絹糸の中心部を為すフィブロインを分泌する。また中部絹糸腺は、セリシンを分泌する。フィブロインは中部絹糸腺に蓄積されるとともに、セリシンによってその外周を覆われて、ゲル状の絹物質となる。この絹物質は、前部絹糸腺を通って吐出口から排出され、固体化して絹糸となる。またカイコ組織の「脂肪体」とは、カイコ幼虫において、体内の至るところに分布し、白色の柔らかい扁平な帯状、ひも状あるいは葉状の組織である。脂肪体は、ヒトの肝臓に似て栄養、エネルギー源を貯蔵する役目を果たしているので、細胞内には脂肪球、タンパク質、グリコーゲンその他の新陳代謝に関係する種々の物質を含んでいる。また「胚」は、カイコの卵の状態の組織を指す。
またカイコ組織に由来する抽出物を含有する場合、カイコ幼虫の絹糸腺、脂肪体およびカイコの胚から選ばれる少なくともいずれか由来の抽出物であるのが好ましい。カイコ幼虫の絹糸腺(特に、後部絹糸腺)より調製を行うと、短時間で大量のタンパク質が合成可能であるという特に優れた利点がある。またカイコ幼虫の脂肪体から抽出液を調製すると、脂肪体が柔らかい組織であるために、すり潰す作業が短時間で済み、結果として容易に抽出液を調製できる利点がある。さらに、カイコの胚から調製を行うと、胚が1 つの個体であるために他の組織とは異なり摘出する作業を要さず、結果として容易に抽出液を調製できるという利点がある。
カイコを抽出対象とする場合、カイコは1齢期〜5齢期の幼虫であればよいが、5齢期のカイコ幼虫が好ましい。これは、カイコ幼虫は繭の形成期に近づくにつれて組織が成熟し、特に5齢期のカイコ幼虫においては組織が1齢期〜5齢期のうちで最も成熟しているため、同量の抽出物を得るために要する数は少なくて済むためである。中でも、5齢期のカイコ幼虫の絹糸腺または脂肪体(好ましくは5齢期のカイコ幼虫の後部絹糸腺、より好ましくは5齢期の3日〜7日のカイコ幼虫の後部絹糸腺) からの抽出物を含有すると、他の齢期のものと比べて短時間で大量のタンパク質が合成可能な無細胞系タンパク質合成用抽出液が得られるという利点もあり、特に好ましい。
また、上述したように翻訳反応用溶液に節足動物由来の抽出物を含有させる場合は、従来公知の節足動物を由来とする培養細胞から得られたものであってもよい。かかる培養細胞としては、培養細胞株が多く樹立されており、また、多くの哺乳類系の培養細胞と異なり二酸化炭素雰囲気下での培養を必要とせず、無血清培地においても培養が可能であることから、鱗翅目、半翅目などの昆虫由来の培養細胞(昆虫培養細胞)を使用するのが好ましい。昆虫培養細胞も、いかなる組織由来の細胞であってもよく、たとえば、血球細胞、生殖巣由来細胞、脂肪体由来細胞、胚由来細胞、孵化幼虫由来細胞などを特に制限なく使用することができるが、中でも、タンパク質生産能が高いと考えられる生殖巣由来の昆虫培養細胞を使用するのが好ましい。特には、細胞系においてタンパク質合成能が高く、また無血清培地にて培養が可能である、Trichoplusia niの卵細胞由来の細胞High Five(Invitrogen社製)や、Spodoptera frugiperda卵巣細胞由来の細胞が好適な昆虫培養細胞として例示される。
一方、哺乳動物培養細胞としては、特に制限はなく、たとえば、ヒト、ラット、マウス、サルなど、従来公知の哺乳動物由来の培養細胞が好適に使用される。また、哺乳動物培養細胞としては、いかなる組織由来の細胞であってもよく、たとえば、血球細胞、生殖巣由来細胞、リンパ腫(リンホーマ)由来細胞、その他の腫瘍細胞、幹細胞などを特に制限なく使用することができる。中でも浮遊培養が可能であるため、培養および継代が容易であることから、リンパ腫由来細胞を使用するのが好ましい。また、CHO(チャイニーズハムスター卵巣)細胞の樹立株の中には、浮遊培養が可能であるだけでなく、無血清培地にて培養が可能であるものもあり、より培養および継代が容易である。さらに、細胞系において広く利用され、高いタンパク質合成能を有しており、無細胞系においても同様のことが期待できることから、CHO細胞を使用するのが好ましい。
生細胞由来の抽出物を含有する翻訳反応用溶液は、従来公知の適宜の組成の抽出用液を用いて、生物の組織または培養細胞より抽出操作を行って得られた抽出液(抽出液=抽出用液+抽出物)を調製し、これに後述するような翻訳反応に要する成分(カリウム塩、マグネシウム塩、DTT、ATP、GTP、クレアチンリン酸、クレアチンキナーゼ、アミノ酸成分、RNaseインヒビター、tRNA、緩衝剤など)を適宜添加することで、調製することができる。
抽出操作に用いられる抽出用液としては、特には制限されるものではないが、プロテアーゼインヒビターを少なくとも含有するのが好ましい。プロテアーゼインヒビターを含有する抽出用液を用いると、抽出物に含有されるプロテアーゼの活性が阻害され、当該プロテアーゼによる抽出物中の活性タンパクの不所望な分解を防止でき、結果として生細胞由来の抽出物が有するタンパク質合成能を有効に引き出すことができるようになるという利点がある。上記プロテアーゼインヒビターとしては、プロテアーゼの活性を阻害し得るものであるならば特に制限はなく、たとえば、フェニルメタンスルホニルフルオリド(以下、「PMSF」ということがある。)、アプロチニン、ベスタチン、ロイペプチン、ペプスタチンA、E−64(L−trans−エポキシスクシニルロイシルアミド−4−グアニジノブタン)、エチレンジアミン四酢酸、ホスホラミドンなどを使用することができるが、生細胞由来の抽出物にはセリンプロテアーゼが含まれることが多いことから、上記中でもセリンプロテアーゼに対して特異性の高いインヒビターとして働くPMSFを使用するのが好ましい。また、1種類のプロテアーゼインヒビターのみならず、数種類の混合物(プロテアーゼインヒビターカクテル)を用いてもよい。
当該抽出用液中におけるプロテアーゼインヒビターの含有量に特に制限はないが、無細胞系タンパク質合成に必須な酵素類の分解阻害能を好適に発揮できる観点から、1μM〜50mM含有されることが好ましく、0.01mM〜5mM含有されることがより好ましい。プロテアーゼインヒビターが1μM未満であると、プロテアーゼの分解活性を充分抑えることができない傾向にあるためであり、またプロテアーゼインヒビターが50mMを越えると、タンパク質合成反応を阻害する傾向にあるためである。
また本発明に用いる抽出用液は、上記プロテアーゼインヒビターに加えて、カリウム塩、マグネシウム塩、DTTおよび緩衝剤を少なくとも含有するのが好ましい。
上記カリウム塩としては、たとえば酢酸カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、塩化カリウム、リン酸水素二カリウム、クエン酸水素二カリウム、硫酸カリウム、リン酸二水素カリウム、ヨウ化カリウム、フタル酸カリウムなど一般的な形態で使用することができ、中でも酢酸カリウムを使用するのが好ましい。カリウム塩は、タンパク質合成反応における補助因子として作用する。当該抽出用液中におけるカリウム塩の含有量に特に制限はないが、保存安定性の観点から、たとえば酢酸カリウムなど1価のカリウム塩である場合、10mM〜500mM含有されることが好ましく、50mM〜300mM含有されることがより好ましい。カリウム塩が10mM未満または500mMを越えると、タンパク質合成に必須な成分が不安定になる傾向にあるためである。
上記マグネシウム塩としては、たとえば酢酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、クエン酸マグネシウム、リン酸水素マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、乳酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、シュウ酸マグネシウムなど一般的な形態で使用することができ、中でも酢酸マグネシウムを使用するのが好ましい。マグネシウム塩も、タンパク質合成反応における補助因子として作用する。当該抽出用液中におけるマグネシウム塩の含有量に特に制限はないが、保存安定性の観点から、たとえば酢酸マグネシウムなど2価の塩である場合、0.1mM〜10mM含有されることが好ましく、0.5mM〜5mM含有されることがより好ましい。マグネシウム塩が0.1mM未満または10mMを越えると、タンパク質の合成に必須な成分が不安定になる傾向にあるためである。
上記DTTは、酸化防止の目的で配合されるものであり、当該抽出用液中において0.1mM〜10mM含有されることが好ましく、0.5mM〜5mM含有されることがより好ましい。DTTが0.1mM未満または10mMを越えると、タンパク質の合成に必須な成分が不安定になる傾向にあるためである。
上記緩衝剤は、抽出用液に緩衝能を付与し、たとえば酸性または塩基性物質の添加などによって起こる抽出液のpHの急激な変化による抽出物の変性を防止する目的で配合される。このような緩衝剤としては特に制限はなく、たとえば、HEPES−KOH、Tris−HCl、酢酸−酢酸ナトリウム、クエン酸−クエン酸ナトリウム、リン酸、ホウ酸、MES、PIPESなどを使用することができる。緩衝剤は、得られた抽出液のpHが4〜10に保持されるようなものを使用するのが好ましく、pHが6.5〜8.5に保持されるようなものを使用するのがより好ましい。抽出液のpHが4未満またはpHが10を越えると、本発明の反応に必須な成分が変性する虞があるためである。このような観点より、上記中でもHEPES−KOH(pH6.5〜8.5)を使用するのが特に好ましい。
当該抽出用液中における緩衝剤の含有量に特に制限はないが、好適な緩衝能を保持する観点から、5mM〜200mM含有されることが好ましく、10mM〜100mM含有されることがより好ましい。緩衝剤が5mM未満であると、酸性または塩基性物質の添加によりpHの急激な変動を引き起こし、抽出物が変性する傾向にあるためであり、また緩衝剤が200mMを越えると、塩濃度が高くなり過ぎ、タンパク質合成に必須な成分が不安定になる傾向にあるためである。
また抽出対象である生物が培養細胞である場合、上記組成に加えて、塩化カルシウムおよびグリセロールをさらに含有してなる抽出用液を用いると、タンパク質合成能がより向上された培養細胞抽出液を得ることができるため好ましい。この場合、塩化カルシウムの含有量は特に制限されないが、上記タンパク質合成能の向上の効果を有効に発揮し得る観点より、0.1mM〜10mMであるのが好ましく、0.5mM〜5mMであるのがより好ましい。また、グリセロールの添加量についても特に制限されるものではないが、上記タンパク質合成能の向上の効果を有効に発揮し得る観点より、5(v/v)%〜80(v/v)%となるように添加されるのが好ましく、10(v/v)%〜50(v/v)%となるように添加されるのがより好ましい。
抽出液を抽出する方法についても特に制限はなく、従来公知の適宜の方法にて行うことができる。たとえば、生細胞由来の抽出物として、カイコ組織由来の抽出物、昆虫培養細胞由来の抽出物、または哺乳動物培養細胞由来の抽出物を使用する場合、上述したような組成の抽出用液を使用して、本発明者らが提案している抽出方法にて抽出液を調製するのが、好適である。以下、それぞれの場合について詳述する。
〔A〕カイコ組織由来の抽出物を含有する抽出液の調製方法
まず、常法にしたがって、たとえばハサミ、ピンセット、メスなどの器具を使用して、カイコより所望の組織を摘出する。この摘出によって得る後述の抽出に使用する組織量としては、特に制限はないが、通常、1g〜100gの範囲内である。次に、摘出した組織を、たとえば液体窒素で凍結した後−80℃で凍結させた乳鉢中ですり潰し、これに上述した抽出用液を添加して抽出操作を行う。あるいは、上記抽出用液の添加後、一旦抽出用液も凍結させた後、シャーベット状になるまで(具体的には、ウェットな黄色いシャリシャリ状態の氷になるまで)、薬さじで攪拌しながら溶解する。その後、再度液体窒素で完全に凍結させた後、シャーベット状になるまで(具体的には、ウェットな黄色いシャリシャリ状態の氷になるまで)薬さじで攪拌しながら溶解させる。かかる方法によれば、タンパク質合成に関与する成分が効率的に抽出され且つ安定化されるという利点がある。このようにして、まず、カイコの組織からの抽出物を含有する液状物を得る。
次に、上記抽出処理で得られた液状物を遠心分離にかける。該遠心分離は、当分野において通常行われている条件(10,000×g〜50,000×g、0℃〜10℃、10分間〜60分間)で行う。該遠心分離を1回行った後の上清(上清A1)をそのまま用いて抽出液とするようにしてもよいし、また、該上清A1に上記と同様の条件にて再度の遠心分離を行い、得られた上清(上清A2)を抽出液としてもよい。また、上記上清A1と、上記1回目の遠心分離後の沈殿から上記抽出用液を用いてさらに抽出を行った後に、上記と同様の条件にて遠心分離して得られた上清(上清A3) とを混合して、抽出液として調製するようにしてもよい。このように上清A1と上清A3とを混合して抽出液を調製することで、上清A1、上清A3を単独で抽出液とする場合と比較して、タンパク質合成効率が向上するという利点がある。またさらに、上清A2を、上清A3と混合して抽出液を調製してもよい。これにより上記効果はさらに増強される。勿論、上記上清A1〜上清A3を混合して、抽出液を調製するようにしてもよい。この場合、調製される混合物(抽出液)における上清A1および/または上清A2(両方混合する場合には、その総量)と上清A3との混合割合に特に制限はないが、タンパク質の合成効率の観点からは、体積比で10:90〜90:10であるのが好ましく、20:80〜80:20であるのがより好ましい。
なお上述のようにそれぞれ調製した後に、ゲル濾過を施し、ゲル濾過後の濾液より280nmにおける吸光度が最も高い画分付近を分取して抽出液として調製するようにしてもよい。しかしながらタンパク質の合成効率の観点からは、当該ゲル濾過および画分の分取を経ずに抽出液として調製するのが好ましい。
なお、上記ゲル濾過を施し、ゲル濾過後の濾液より280nmにおける吸光度が最も高い画分付近を分取する場合には、具体的には以下の手順にて行えばよい。たとえば脱塩カラムPD−10(GE ヘルスケア社製)を使用し、常法にしたがって、ゲル濾過用緩衝液にてカラムを平衡化した後、試料を供給し、上記抽出用液にて溶出する、というような条件にて行う。上記ゲル濾過用緩衝液は、上記抽出用液に、グリセロールをさらに添加したものであることが好ましい。グリセロールは、通常、5(v/v)%〜40(v/v)%(好ましくは、20(v/v)%)となるように添加すればよい。ゲル濾過して得られる濾液は、通常のゲル濾過で行われているように、0.1mL〜1mLを1画分とすればよく、高いタンパク質合成能を有する画分を効率よく分取するという観点より、0.4mL〜0.6mLを1画分とするのが好ましい。次に、ゲル濾過後の濾液より280nmにおける吸光度が10以上の画分を分取する。当該処理は、たとえばBio−spec mini(島津製作所社製)などの機器を用いて、各画分について上記280nmにおける吸光度を測定し、この吸光度が最も高い画分付近を分取し、これを抽出液とする。
〔B〕昆虫培養細胞由来又は哺乳動物培養細胞由来の抽出物を含有する抽出液の調製方法
昆虫培養細胞又は哺乳動物培養細胞から抽出液を調製する場合、本発明者らが提案する、抽出用液中に懸濁した昆虫培養細胞又は哺乳動物培養細胞を急激に凍結させる工程を少なくとも含有する方法によって調製するのが好ましい。ここで「急激に凍結」とは、10秒以下、好ましくは2秒以下にて、昆虫培養細胞又は哺乳動物培養細胞を凍結させることを指す。また昆虫培養細胞又は哺乳動物培養細胞を急激に凍結させる温度としては、通常−80℃以下であり、好ましくは−150℃ 以下である。上記昆虫培養細胞又は哺乳動物培養細胞の急激な凍結は、たとえば、液体窒素や液体ヘリウムなどの不活性ガスを使用することなどによって実現できるが、入手が容易であり安価な液体窒素を用いて行うのが好ましい。かかる方法によって昆虫培養細胞又は哺乳動物培養細胞からの抽出を行うことにより、緩和な状態で細胞の破砕を行うことができ、無細胞系タンパク質合成に必須な成分を破壊することなく細胞外に取り出すことができ、従来よりもタンパク質の合成量の高い無細胞系タンパク質合成用抽出液を容易に調製することができる。さらに、使用器具などからのRNaseなどの混入も防ぐことができ、また、界面活性剤などの試薬を用いた細胞破砕法の場合に懸念される翻訳反応を阻害するような物質の持込みもない。
上記本発明者らが提案する抽出液の調製方法では、上述した急激に凍結させる工程を少なくとも含有しているならば、その他の工程について特に制限はない。たとえば、乳鉢中で乳棒を用いてすり潰す方法、ダウンスホモジナイザーを用いる方法、ガラスビーズを用いる方法など、大腸菌や小麦胚芽などから無細胞系タンパク質合成用抽出液を得る際に従来行われていた種々の手法にて昆虫培養細胞又は哺乳動物培養細胞を破砕し、抽出を行えばよい。中でも、上記昆虫培養細胞又は哺乳動物培養細胞を急激に凍結させた後、解凍し、遠心分離することによって昆虫培養細胞又は哺乳動物培養細胞を破砕するのが好ましい。
上記急激に凍結した昆虫培養細胞又は哺乳動物培養細胞を、解凍した後、遠心分離する場合、解凍は、たとえば−10℃〜20℃の水浴または氷水浴中での解凍、室温(25℃)にての放置などによって実現できるが、タンパク質合成に必須な成分の失活を防止し、タンパク質合成能の低下を確実に防ぐことから、0℃〜20℃(特には、4℃〜10℃)の水浴または氷水浴中で解凍を行うのが好ましい。解凍した昆虫培養細胞又は哺乳動物培養細胞の遠心分離は、当分野において通常行われている条件(10,000×g〜50,000×g、0℃〜10℃、10分間〜60分間)で行えばよい。かかる遠心分離後の上清には、目的とする昆虫培養細胞又は哺乳動物培養細胞の抽出物が含有される。
細胞破砕後、上記遠心分離後の上清(上清B1)をそのまま抽出液としてもよいし、上清B1をさらに遠心分離(10,000×g〜100,000×g、0℃〜10℃、10分間〜120分間)にかけて、得られた上清(上清B2)を抽出液としてもよい。さらに、上記上清B1または上清B2をゲル濾過し、ゲル濾過後の濾液より280nmにおける吸光度が10以上の画分(吸収の大きな画分)を分取して、これを抽出液としてもよい。この場合、具体的には以下の手順にて行う。まず、上清B1または上清B2についてゲル濾過を行うが、ゲル濾過は、たとえば脱塩カラムPD−10(GEヘルスケア社製)を好適に使用することができ、常法にしたがって、ゲル濾過用緩衝液にてカラムを平衡化した後、試料を供給し、上記ゲル濾過用緩衝液にて溶出する、というような条件にて行えばよい。上記ゲル濾過用緩衝液としては、従来公知の適宜の組成のものを特に制限なく使用することができ、たとえば、10mM〜100mMのHEPES−KOH(pH6.5〜8.5)、50mM〜300mMの酢酸カリウム、0.5mM〜5mMの酢酸マグネシウム、0.5mM〜5mMのDTT、0.01mM〜5mMのPMSFを含有するゲル濾過用緩衝液を用いることができる。ゲル濾過して得られる濾液は、通常のゲル濾過で行われているように、0.1mL〜1mLを1画分とすればよく、高いタンパク質合成能を有する画分を効率よく分取するという観点より、0.4mL〜0.6mLを1画分とするのが好ましい。続いて、たとえばBio−spec mini(島津製作所社製)などの機器を用いて、280nmにおける吸光度が30以上の画分(吸収の大きな画分)をゲル濾過後の濾液より分取して、これを抽出液とする。
また上記ゲル濾過で得られた吸収の大きな画分を、さらに遠心分離にかけて、得られた上清(上清B3)を抽出液とするようにしてもよい。このゲル濾過後の遠心分離は、翻訳反応を阻害する不溶性の成分を除去するという理由から、30,000×g〜100,000×g、0℃〜10℃、10分間〜60分間の条件で行うのが、好ましい。
なお、本発明の調製方法に供する昆虫培養細胞又は哺乳動物培養細胞は、培養に用いる培地の翻訳反応液への持込みを避けるため、上記急激な凍結を行う前に、プロテアーゼインヒビターおよびグリセロールを含有しない以外は、上述した昆虫培養細胞又は哺乳動物培養細胞用の好適な抽出用液と同じ組成の洗浄液にて予め洗浄しておくのが好ましい。洗浄液での洗浄は、昆虫培養細胞又は哺乳動物培養細胞に洗浄液を添加し、これを遠心分離(たとえば、700×g、10分間、4℃という条件)することによって行う。洗浄に用いる洗浄液の量は、培地を完全に洗い流すという理由から、湿重量1gの昆虫培養細胞又は哺乳動物培養細胞に対し5mL〜100mLであるのが好ましく、10mL〜50mLであるのがより好ましい。洗浄回数は、1回〜5回行うのが好ましく、2回〜4回行うのがより好ましい。
本発明の抽出液中における生細胞由来の抽出物の含有量に特に制限はないが、タンパク質濃度で1mg/mL〜200mg/mLであるのが好ましく、中でも10mg/mL〜100mg/mLであるのがより好ましい。当該抽出物の含有量がタンパク質濃度で1mg/mL未満であると、無細胞系タンパク質合成に必須な成分の濃度が低くなり、充分な合成反応が行えなくなる虞があるためであり、また当該抽出物の含有量がタンパク質濃度で200mg/mLを越えると、抽出液自体が高い粘性を有し、操作しづらい虞があるためである。
なお上記範囲の量の生細胞由来の抽出物を含有する抽出液は、抽出液のタンパク質濃度測定を利用して、調製できる。当該タンパク質濃度測定は、当分野において通常行われているように、たとえばBCA Protein assay Kit(PIERCE社製)を使用し、反応試薬2mLに対してサンプルを0.1mL加え、37℃で30分間反応させ、562nmにおける吸光度を測定する、といった手順によって行う。分光光度計(Bio−spec mini、島津製作所社製)を用いて、562nmにおける吸光度を測定する。コントロールとしては、通常、ウシ血清アルブミン(BSA)を使用する。
本発明における翻訳反応用溶液は、上記抽出液を10(v/v)%〜80(v/v)%、特には30(v/v)%〜60(v/v)%含有するように調製されたものであるのが好ましい。すなわち、翻訳反応用溶液の全体において、生細胞由来の抽出物の含有量が、タンパク質濃度で0.1mg/mL〜160mg/mLとなるように調製されるのが好ましく、3mg/mL〜60mg/mLとなるように調製されるのがより好ましい。当該抽出物の含有量がタンパク質濃度で0.1mg/mL未満または160mg/mLを越えると、タンパク質の合成速度が低下する傾向にあるためである。翻訳反応用溶液は、上記抽出液を除く成分として、カリウム塩、マグネシウム塩、DTT、ATP、GTP、クレアチンリン酸、クレアチンキナーゼ、アミノ酸成分、RNase インヒビター、tRNA、緩衝剤を少なくとも含有するのが好ましい。かかる翻訳反応用溶液を使用して翻訳反応を行うことで、短時間で大量のタンパク質の合成が可能である。
翻訳反応用溶液中におけるカリウム塩としては、抽出用液の成分として上述した各種のカリウム塩、好適には酢酸カリウムを好ましく使用できる。カリウム塩は、上述した抽出用液におけるカリウム塩の場合と同様の観点から、当該翻訳反応用溶液中において10mM〜500mM含有されることが好ましく、20mM〜300mM含有されることがより好ましい。
翻訳反応用溶液中におけるマグネシウム塩としては、抽出用液の成分として上述した各種のマグネシウム塩、好適には酢酸マグネシウムを好ましく使用できる。マグネシウム塩は、上述した抽出用液におけるマグネシウム塩の場合と同様の観点から、当該翻訳反応用溶液中において0.1mM〜10mM含有されることが好ましく、0.5mM〜5mM含有されることがより好ましい。
翻訳反応用溶液中におけるDTTは、上述した抽出用液におけるDTTの場合と同様の観点から、0.1mM〜10mM含有されることが好ましく、0.2mM〜5mM含有されることがより好ましい。
翻訳反応用溶液中におけるATPは、タンパク質合成の速度の観点から、0.01mM〜10mM含有されることが好ましく、0.1mM〜5mM含有されることがより好ましい。ATPが0.01mM未満または10mMを越えると、タンパク質の合成速度が低下する傾向にあるためである。
翻訳反応用溶液中におけるGTPは、タンパク質合成の速度の観点から、0.01mM〜10mM含有されることが好ましく、0.1mM〜5mM含有されることがより好ましい。GTPが0.01mM未満または10mMを越えると、タンパク質合成の速度が低下する傾向にあるためである。
翻訳反応用溶液中におけるクレアチンリン酸は、タンパク質を継続的に合成するための成分であって、ATPとGTPを再生する目的で配合される。クレアチンリン酸は、タンパク質合成の速度の観点から、当該反応液中において1mM〜200mM含有されることが好ましく、10mM〜100mM含有されることがより好ましい。クレアチンリン酸が1mM未満であると、充分な量のATPとGTPが再生されにくく、結果としてタンパク質の合成速度が低下する傾向にあるためであり、またクレアチンリン酸が200mMを越えると、阻害物質として働き、タンパク質の合成速度が低下する傾向にあるためである。
翻訳反応用溶液中におけるクレアチンキナーゼは、タンパク質を継続的に合成するための成分であって、クレアチンリン酸と共にATPとGTPを再生する目的で配合される。クレアチンキナーゼは、タンパク質合成の速度の観点から、当該反応液中において1μg/mL〜1000μg/mL含有されることが好ましく、10μg/mL〜500μg/mL含有されることがより好ましい。クレアチンキナーゼが1μg/mL未満であると、充分な量のATPとGTPが再生されにくく、結果としてタンパク質の合成速度が低下する傾向にあるためであり、またクレアチンキナーゼが1000μg/mLを越えると、阻害物質として働き、タンパク質の合成速度が低下する傾向にあるためである。
翻訳反応用溶液中におけるアミノ酸成分は、20種類のアミノ酸、すなわち、バリン、メチオニン、グルタミン酸、アラニン、ロイシン、フェニルアラニン、グリシン、プロリン、イソロイシン、トリプトファン、アスパラギン、セリン、トレオニン、ヒスチジン、アスパラギン酸、チロシン、リシン、グルタミン、シスチン、アルギニン、の20種類のアミノ酸を少なくとも含有する。このアミノ酸には、ラジオアイソトープ標識されたアミノ酸も含まれる。さらに、必要に応じて、修飾アミノ酸を含有していてもよい。当該アミノ酸成分は、通常、各種類のアミノ酸を概ね等量ずつ含有してなる。本発明においては、タンパク質合成の速度の観点から、当該反応液中において上記のアミノ酸成分が1μM〜1000μM含有されることが好ましく、10μM〜200μM含有されることがより好ましい。アミノ酸成分が1μM未満または1000μMを越えると、タンパク質の合成速度が低下する傾向にあるためである。
翻訳反応用溶液中におけるRNaseインヒビターは、抽出液に混在する節足動物又は哺乳動物培養細胞由来のRNaseによって、無細胞系タンパク質合成の際にmRNAやtRNAが不所望に消化されて、タンパク質の合成を妨げるのを防ぐ目的で配合されるものであり、当該反応液中において0.1U/μL〜100U/μL含有されることが好ましく、0.5U/μL〜10U/μL含有されることがより好ましい。RNaseインヒビターが0.1U/μL未満であると、RNaseの分解活性を充分抑えることができない傾向にあるためであり、またRNaseインヒビターが100U/μLを越えると、タンパク質合成反応を阻害する傾向にあるためである。
翻訳反応用溶液中におけるtRNAは、上記20種類のアミノ酸に対応した種類のtRNAを概ね等量ずつ含有してなる。本発明においては、タンパク質合成の速度の観点から、当該反応液中において1μg/mL〜1000μg/mL含有されることが好ましく、10μg/mL〜500μg/mL含有されることがより好ましい。tRNAが1μg/mL未満または1000μg/mLを越えると、タンパク質合成の速度が低下する傾向にあるためである。
翻訳反応用溶液に含有される緩衝剤としては、上述した抽出用液に用いたものと同様のものが好適に使用でき、同様の理由から、HEPES−KOH(pH6.5〜8.5)を使用するのが好ましい。また、緩衝剤は、上述した抽出用液における緩衝剤の場合と同様の観点から、5mM〜200mM含有されることが好ましく、10mM〜100mM含有されることがより好ましい。
また翻訳反応用溶液は、さらにグリセロールを添加されたものであるのがより好ましい。グリセロールを添加すると、翻訳系合成反応においてタンパク質合成に必須な成分を安定化できるという利点があるためである。グリセロールを添加する場合、通常、5(v/v)%〜20(v/v)%となるように添加する。
さらに、カイコ組織由来の抽出物または昆虫培養細胞由来の抽出物を用いる場合は、翻訳反応用溶液は、エチレングリコールビス(2−アミノエチルエーテル)四酢酸(以下、「EGTA」ということがある。) を含有するのが好ましい。EGTAを含有すると、EGTAが抽出液中の金属イオン、主にカルシウムイオンと選択的にキレートを形成することでリボヌクレアーゼ、プロテアーゼなどを不活化させることにより、無細胞系タンパク質合成に必須な成分の分解を阻害することができるためである。該EGTAは、上記反応液中において、上記分解阻害能を好適に発揮し得る観点から0.01mM〜10mM含有されることが好ましく、0.1mM〜5mM含有されることがより好ましい。EGTAが0.01mM未満であると必須な成分の分解活性を充分に抑えることができない傾向にあるためであり、また、10mMを越えるとタンパク質合成反応を阻害する傾向にあるためである。
また、哺乳動物培養細胞由来の抽出物を含有する抽出液を用いる場合は、翻訳反応用溶液は、翻訳反応速度を向上させる目的で、スペルミジンがさらに添加されたものであるのが好ましい。スペルミジンは、翻訳反応用溶液において0.01mM〜10mM含有されることが好ましく、0.05mM〜5mM含有されることがより好ましい。スペルミジンが0.01mM未満であると、十分な翻訳促進能が認められない傾向にあるためであり、また、スペルミジンが10mMを越えると、タンパク質合成反応を阻害する傾向にあるためである。さらに、哺乳動物培養細胞由来の抽出物を含有する抽出液を用いる場合は、翻訳反応用溶液は、カルシウム塩がさらに添加されたものであるのが好ましい。カルシウム塩としては、抽出用液の成分として上述した各種のカルシウム塩、好適には、塩化カルシウム、を好ましく使用できる。カルシウム塩は、上述した抽出用液におけるカルシウム塩の場合と同様の観点から、当該翻訳反応用溶液中において、0.05mM〜10mM含有されることが好ましく、0.1mM〜5mM含有されることがより好ましい。
すなわち、翻訳反応用溶液としては、生細胞由来抽出物を含有する抽出液を30(v/v)%〜60(v/v)%含有するとともに、20mM〜300mMの酢酸カリウム、0.5mM〜5mMの酢酸マグネシウム、0.2mM〜5mMのDTT、5(v/v)%〜20(v/v)%のグリセロール、0.1mM〜5mMのATP、0.1mM〜5mMのGTP、10mM〜100mMのクレアチンリン酸、10μg/mL〜500μg/mLのクレアチンキナーゼ、10μM〜200μMのアミノ酸成分、0.5U/μL〜10U/μLのRNaseインヒビター、10μg/mL〜500μg/mLのtRNA、10mM〜100mMのHEPES−KOH(pH6.5〜8.5)を含有するように実現されるのが好ましい。
カイコ組織由来の抽出物または昆虫培養細胞由来の抽出物を用いる場合は、上記に加えてさらに0.1mM〜5mMのEGTAを含有するように実現されるのがより好ましい。哺乳動物培養細胞由来の抽出物を含有する抽出液を用いる場合は、上記に加えてさらに0.05mM〜5mMのスペルミジン、0.1mM〜5mMの塩化カルシウムを含有するように実現されるのがより好ましい。
本発明のプラスミドリンク法に用いる翻訳反応液は、インビトロ転写反応を行った後の転写反応液と、マグネシウムイオンと錯体を形成するキレート剤と、翻訳反応用溶液とを混合することによって得る。本発明で用いることができるキレート剤としては、マグネシウムイオンとの錯体形成能を有するものであれば特に限定されない。例えば、EDTA等が挙げられる。
キレート剤は、翻訳反応液中のマグネシウムイオンの最終濃度が10mM以下、好ましくは5mM以下となるように混合させる。上記マグネシウムイオンの最終濃度が510mMを越える場合には、翻訳反応を行うにはマグネシウムイオンの濃度が高すぎる条件となり、翻訳反応の効率が低下してしまう。
さらに、上記翻訳反応液中におけるマグネシウムイオンの最終濃度は0.1mM以上であるのが好ましく、1mM以上であるのがより好ましい。上記マグネシウムイオンの最終濃度が0.1mM未満であると、翻訳反応の効率が極端に低下してしまう傾向にあるためである。
翻訳反応液中のマグネシウムイオンを上記範囲内に調製するためのキレート剤の使用量は、生細胞由来抽出物の種類によって異なる。例えば、生細胞由来抽出物として昆虫培養細胞由来抽出物を用いた場合は、キレート剤の使用量は、翻訳反応液1mL に対して100mMのキレート剤水溶液1〜50μL程度の量を目安にすると良い。また、生細胞由来抽出物として哺乳動物培養細胞由来抽出物を用いた場合は、キレート剤の使用量は、翻訳反応液1mLに対して100mMのキレート剤水溶液0.5〜25μL程度の量を目安にすると良い。
このような翻訳反応液を用いた翻訳反応(無細胞系タンパク質合成反応)は、従来公知のたとえば低温恒温槽にて行う。反応温度は、通常、10℃〜40℃、好ましくは20℃〜30℃の範囲内である。反応温度が10℃未満であると、タンパク質の合成速度が低下する傾向にあり、また反応温度が40℃を越えると、必須な成分が変性する傾向にあるためである。反応の時間は、通常、1時間〜72時間、好ましくは3時間〜24時間である。
本発明のプラスミドリンク法にて合成できるタンパク質に特に制限はない。合成されたタンパク質の量は、酵素の活性の測定、SDS−PAGE、免疫検定法などによって測定できる。
本発明はまた、上記のプラスミドリンク法を行うために好適に用いることができるキットを提供する。本発明のキットは、マグネシウムイオンと錯体を形成するキレート剤を少なくとも含む。キレート剤は、水溶液の形態でキットに含ませることができる。キレート剤水溶液としては、例えば10mM〜200mM程度の濃度のものを含んでいることが好ましい。
本発明のキットはまた、昆虫細胞由来の抽出液を含んでいることが好ましい。具体的には、Trichoplusia niの卵細胞由来の細胞抽出液や、Spodoptera frugiperda卵巣細胞由来の細胞抽出液などを含ませることができる。さらに本発明のキットには、カリウム塩、マグネシウム塩、DTT、ATP、GTP、クレアチンリン酸、クレアチンキナーゼ、アミノ酸成分、RNaseインヒビター、tRNA、緩衝剤などから選ばれる1種又は複数種の成分を選択して含ませることができる。これらの成分は、固体状態又は液体状態でキットに含ませることができる。上記成分から複数種の成分が選択される場合、それら成分は混合状態でキットに含ませることができる。
以下、参考例1により調製した、昆虫培養細胞由来抽出液を含有する翻訳反応用溶液を用いた無細胞系タンパク質合成を行った実験例1〜8;参考例1 により調製した、昆虫培養細胞由来抽出液を含有する翻訳反応用溶液を用い、且つ精製mRNA を用いた無細胞系タンパク質合成を行った比較例1〜5を示す。これらのうち実験例1〜8は、本発明による無細胞系タンパク質合成の実施例である。しかしながら、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
<参考例1:昆虫培養細胞由来の抽出物を含有する翻訳反応用溶液の調製>
(1)昆虫培養細胞の培養
細胞数2.1×10個の昆虫培養細胞Sf21(Invitrogen社製)を、Sf900−II無血清培地(Invitrogen社製)を入れた培養フラスコ(600cm)内にて27℃で6日間培養した。結果、細胞数1.0×10個、湿重量1.21gとなった。
(2)昆虫培養細胞抽出液の調製
まず、上記(1)で培養した昆虫培養細胞を集菌し、下記組成の洗浄液で3回洗浄(700×g、4℃、10分間の条件で遠心分離)した。
〔洗浄液の組成〕
・40mM HEPES−KOH(pH7.9)
・100mM 酢酸カリウム
・2mM 酢酸マグネシウム
・2mM 塩化カルシウム
・1mM DTT
洗浄後の昆虫培養細胞に、下記組成の抽出用液を1mL加え、懸濁した。
〔抽出用液の組成〕
・40mM HEPES−KOH(pH7.9)
・100mM 酢酸カリウム
・2mM 酢酸マグネシウム
・2mM 塩化カルシウム
・20(v/v)% グリセロール
・1mM DTT
・0.5mM PMSF
この懸濁液を液体窒素中にて急速に凍結させた。充分に凍結させた後、約4℃の氷水浴中で解凍した。完全に解凍した後、30,000×g、4℃で10分間遠心分離(himacCR20B3、日立工機社製) し、上清を回収した。この上清をさらに45,000×g、4℃で30分間遠心分離し、その上清を回収した。回収した上清2.5mLを下記組成のゲル濾過用緩衝液で平衡化したPD−10脱塩カラム(GEヘルスケア社製)にアプライした。
〔ゲル濾過用緩衝液の組成〕
・40mM HEPES−KOH(pH7.9)
・100mM 酢酸カリウム
・2mM 酢酸マグネシウム
・1mM DTT
・0.5mM PMSF
アプライした後、ゲル濾過用緩衝液4mLにて溶出し、分光光度計(Bio−spec mini、島津製作所社製)を用いて、280nmにおける吸光度が30以上の画分を回収し、昆虫培養細胞抽出液とした。
(3)翻訳反応用溶液の調製
上記(2)で調製した昆虫培養細胞抽出液を用いて、以下の組成の翻訳反応用溶液を調製した。
〔翻訳反応用溶液の組成〕
・50(v/v)% 昆虫培養細胞抽出液
・40mM HEPES−KOH(pH7.9)
・100mM 酢酸カリウム
・1.5mM 酢酸マグネシウム
・2mM DTT
・0.25mM ATP
・0.1mM GTP
・20mM クレアチンリン酸
・200μg/mL クレアチンキナーゼ
・80μM アミノ酸(20種)
・0.1mM EGTA
・1U/μL RNaseインヒビター(ヒト胎盤由来)
・200μg/mL tRNA
ATP(シグマ社製)、GTP(シグマ社製)、アミノ酸(20種)(シグマ社製)、RNaseインヒビター(宝酒造社製)、tRNA(ロシュ・ダイアグノスティックス社製)をそれぞれ用いた。
<実験例1:プラスミドリンク法による無細胞系タンパク質合成(昆虫培養細胞)>
(1)インビトロ転写反応
鋳型としてアルカリフォスファターゼ(AP)をコードする島津製作所社製のプラスミドベクターを用い、それぞれインビトロ転写反応を行った。転写反応液としては、以下の組成のものを用いた。
〔反応液量20μLにおける転写反応液の組成〕
・環状プラスミドベクター溶液(69ng/μL) 14.5μL
・ 10×Basal reaction buffer(Tris-HCl(pH8.0)、NaCl、MgCl2、DTT)2μL
・25mM NTPs 2μL
・Thermo T7 RNA Polymerase 1μL
・RNase inhibitor 0.5μL
プラスミドベクター溶液以外の試薬は、東洋紡社製ScriptMAXTM Thermo T7 Transcription Kit包装のものをそれぞれ用いた。反応装置として定温アルミブロック恒温槽MG−1 0 0 0(東京理化器械社製)を用いた。転写反応は40℃、4時間で行った。
(2)翻訳反応
上記(1)の転写反応後の転写反応液を、参考例1で調製した翻訳反応用溶液に1/10体積量添加して、翻訳反応を行った。その際、反応液に25mM EDTA水溶液を0.5uL添加(最終濃度0.25mM)した。反応装置として定温アルミブロック恒温槽MG−1000(東京理化器械社製) を用いた。翻訳反応は反応温度25℃で5時間行い、反応液量は50μLとした。合成されたタンパク質はSDS−PAGEを行い、検出した。
<実験例2:プラスミドリンク法による無細胞系タンパク質合成(昆虫培養細胞)>
翻訳反応の際に、反応液に25mM EDTA水溶液を1uL添加(最終濃度0.5mM)した以外は、実験例1と同様にして行った。
<実験例3:プラスミドリンク法による無細胞系タンパク質合成(昆虫培養細胞)>
翻訳反応の際に、反応液に25mM EDTA水溶液を2uL添加(最終濃度1mM)した以外は、実験例1と同様にして行った。
<実験例4:プラスミドリンク法による無細胞系タンパク質合成(昆虫培養細胞)>
翻訳反応の際に、反応液に25mM EDTA水溶液を3uL添加(最終濃度1.5mM)した以外は、実験例1と同様にして行った。
実験例1から4の結果、翻訳反応用溶液に25mM EDTA水溶液を最終濃度1mMとなるように2μL添加した場合(実験例3)においてタンパク質合成量が最も高いことが判明した。この結果は、転写反応液から持ち込まれたマグネシウムがEDTAによりキレートされ、翻訳反応液中の有効なマグネシウム濃度が翻訳反応の至適濃度に近づいたためと考えられる。以下の実験例5から8においては、プラスミドリンク法を用いた4種のタンパク質の合成を実施するが、実験例3の条件を採用した。
<実験例5:プラスミドリンク法による無細胞系タンパク質合成(昆虫培養細胞)>
鋳型としてβガラクトシダーゼ(β−Gal)をコードする島津製作所社製のプラスミドベクターを用いた以外は、実験例3と同様にして行った。
<実験例6:プラスミドリンク法による無細胞系タンパク質合成(昆虫培養細胞)>
鋳型としてルシフェラーゼ(Luc)をコードする島津製作所社製のプラスミドベクターを用いた以外は、実験例3と同様にして行った。
<実験例7:プラスミドリンク法による無細胞系タンパク質合成(昆虫培養細胞)>
鋳型としてリゾチーム(Lyz)をコードする島津製作所社製のプラスミドベクターを用いた以外は、実験例3と同様にして行った。
<実験例8:プラスミドリンク法による無細胞系タンパク質合成(昆虫培養細胞)>
鋳型としてSalt Overly Sensitive 3(SOS3)をコードする島津製作所社製のプラスミドベクターを用いた以外は、実験例3と同様にして行った。
<比較例1:3ステップ法による無細胞系タンパク質合成(昆虫培養細胞)>
(1)インビトロ転写反応
鋳型としてアルカリフォスファターゼ(AP)をコードする島津製作所社製のプラスミドベクターを直鎖化して用い、それぞれインビトロ転写反応を行った。転写反応液としては、以下の組成のものを用いた。
〔反応液量20μLにおける転写反応液の組成〕
・直鎖プラスミドベクター溶液(125ng/μL) 8μL
・10×Basal reaction buffer(Tris-HCl(pH8.0)、NaCl、MgCl2、DTT)2μL
・5×Accelerator solution 4μL
・25m M NTPs 4.5μL
・Thermo T7 RNA Polymerase 1μL
・RNase inhibitor 0.5μL
鋳型プラスミドベクター溶液以外の試薬は、東洋紡社製ScriptMAXTM Thermo T7Transcription Kit包装のものをそれぞれ用いた。反応装置として定温アルミブロック恒温槽M G−1000(東京理化器械社製)を用いた。転写反応は40℃、2時間で行った。
(2)mRNAの精製
上記(1)でインビトロ転写反応を行った後の転写反応液20μLを80μLの滅菌水に溶解し、Nick Column(GEヘルスケア社製)にアプライした。滅菌水400μLで溶出を行った。溶出画分を回収し、酢酸カリウムを終濃度0.3Mとなるように添加し、エタノール沈殿を行った。合成された外来mRNAの定量は、260nmの吸光度を測定して行った。その結果、20μLスケールの反応で約120μgの外来mRNAが合成された。
(3)翻訳反応
3ステップ法による翻訳反応は、上述したとおり、上記(2)で精製したmRNA を、参考例1で調製した翻訳反応用溶液に最終濃度320μg/mLとなるように添加して調製した翻訳反応液を用いて翻訳反応を行った。反応装置として定温アルミブロック恒温槽MG−1000(東京理化器械社製)を用いた。翻訳反応は反応温度25℃で5時間行い、反応液量は50μLとした。合成されたタンパク質はSDS−PAGEを行い、検出した。
<比較例2:3ステップ法による無細胞系タンパク質合成(昆虫培養細胞)>
鋳型としてβガラクトシダーゼ(β−Gal)をコードする島津製作所社製のプラスミドベクターを用いた以外は、比較例1と同様にして行った。
<比較例3:3ステップ法による無細胞系タンパク質合成(昆虫培養細胞)>
鋳型としてルシフェラーゼ(Luc)をコードする島津製作所社製のプラスミドベクターを用いた以外は、比較例1と同様にして行った。
<比較例4:3ステップ法による無細胞系タンパク質合成(昆虫培養細胞)>
鋳型としてリゾチーム(Lyz)をコードする島津製作所社製のプラスミドベクターを用いた以外は、比較例1と同様にして行った。
<比較例5:3ステップ法による無細胞系タンパク質合成(昆虫培養細胞)>
鋳型としてSalt Overly Sensitive 3(SOS3)をコードする島津製作所社製のプラスミドベクターを用いた以外は、比較例1と同様にして行った。
図1に、実験例3、5、6、7、8の実験結果を示す。それぞれを比較例1、2、3、4、5の合成量を100%とした時のタンパク質合成量の割合(相対合成量:%)で表している。結果、5種類のいずれのタンパク質においても従来法と比較し、67%以上のタンパク質合成量となった。これはプラスミドリンク法が特定のタンパク質に対してのみでなく、広く利用可能な方法であることを示している。

Claims (2)

  1. 環状DNAを直鎖化せずに鋳型としてインビトロで転写反応を行う工程と、前記転写反応後の転写反応液、翻訳反応用溶液、及び、マグネシウムイオンと錯体を形成するキレート剤を混合し、得られた翻訳反応液中で翻訳反応を行う工程とを含み、前記キレート剤は、前記翻訳反応液中の遊離マグネシウムイオンの最終濃度が10mM以下となるように混合される、無細胞系タンパク質合成法。
  2. 前記翻訳反応液は、Trichoplusia ni卵細胞、及び/又はSpodoptera frugiperda卵巣細胞に由来する昆虫培養細胞から抽出された抽出液を含む、請求項1に記載の方法。
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