JP4400687B2 - 翻訳反応促進DNA断片およびそれを用いた鋳型DNA、mRNA、ならびに無細胞系タンパク質合成用反応液 - Google Patents
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Description
た。即ち、本発明は以下のとおりである。
〔1〕無細胞系タンパク質合成において翻訳反応促進のために使用される、合成するタンパク質をコードする構造遺伝子の5’上流側に順方向に1個組み込まれ、前記合成するタンパク質がルシフェラーゼの場合にルシフェラーゼコントロールRNAに対するルシフェラーゼの相対合成量が300%以上となる翻訳反応促進活性を有する、以下の(a)または(b)のDNA断片。
(a)配列表の配列番号4に示される塩基配列からなるDNA断片、
(b)配列表の配列番号4に示される塩基配列の1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入または付加された塩基配列からなるDNA断片。
〔2〕無細胞系タンパク質合成において翻訳反応促進のために使用される、合成するタンパク質をコードする構造遺伝子の5’上流側に逆方向に1個組み込まれ、前記合成するタンパク質がルシフェラーゼの場合にルシフェラーゼコントロールRNAに対するルシフェラーゼの相対合成量が300%以上となる翻訳反応促進活性を有する、以下の(a)または(b)のDNA断片。
(a)配列表の配列番号6に示される塩基配列からなるDNA断片、
(b)配列表の配列番号6に示される塩基配列の1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入または付加された塩基配列からなるDNA断片。
〔3〕無細胞系タンパク質合成において翻訳反応促進のために使用される、合成するタンパク質をコードする構造遺伝子の5’上流側に逆方向に2個組み込まれ、前記合成するタンパク質がルシフェラーゼの場合にルシフェラーゼコントロールRNAに対するルシフェラーゼの相対合成量が300%以上となる翻訳反応促進活性を有する、以下の(a)または(b)のDNA断片。
(a)配列表の配列番号6に示される塩基配列からなるDNA断片、
(b)配列表の配列番号6に示される塩基配列の1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入または付加された塩基配列からなるDNA断片。
〔4〕昆虫培養細胞由来抽出物を含有する無細胞系タンパク質合成反応液を用いた無細胞系タンパク質合成において翻訳反応促進のために使用される、合成するタンパク質をコードする構造遺伝子の5’上流側に順方向に1個組み込まれ、前記合成するタンパク質がルシフェラーゼの場合にルシフェラーゼコントロールRNAに対するルシフェラーゼの相対合成量が300%以上となる翻訳反応促進活性を有する、以下の(a)または(b)のDNA断片。
(a)配列表の配列番号7に示される塩基配列からなるDNA断片、
(b)配列表の配列番号7に示される塩基配列の1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入または付加された塩基配列からなるDNA断片。
〔5〕無細胞系タンパク質合成において翻訳反応促進のために使用される、合成するタンパク質をコードする構造遺伝子の5’上流側に逆方向に1個組み込まれ、前記合成するタンパク質がルシフェラーゼの場合にルシフェラーゼコントロールRNAに対するルシフェラーゼの相対合成量が300%以上となる翻訳反応促進活性を有する、以下の(a)または(b)のDNA断片。
(a)配列表の配列番号7に示される塩基配列からなるDNA断片、
(b)配列表の配列番号7に示される塩基配列の1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入または付加された塩基配列からなるDNA断片。
〔6〕無細胞系タンパク質合成において翻訳反応促進のために使用される、合成するタンパク質をコードする構造遺伝子の5’上流側に逆方向に1個組み込まれ、前記合成するタンパク質がルシフェラーゼの場合にルシフェラーゼコントロールRNAに対するルシフェラーゼの相対合成量が300%以上となる翻訳反応促進活性を有する、以下の(a)または(b)のDNA断片。
(a)配列表の配列番号8に示される塩基配列からなるDNA断片、
(b)配列表の配列番号8に示される塩基配列の1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入または付加された塩基配列からなるDNA断片。
〔7〕無細胞系タンパク質合成において翻訳反応促進のために使用される、合成するタンパク質をコードする構造遺伝子の5’上流側に順方向に1個組み込まれ、前記合成するタンパク質がルシフェラーゼの場合にルシフェラーゼコントロールRNAに対するルシフェラーゼの相対合成量が300%以上となる翻訳反応促進活性を有する、以下の(a)または(b)のDNA断片。
(a)配列表の配列番号10に示される塩基配列からなるDNA断片、
(b)配列表の配列番号10に示される塩基配列の1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入または付加された塩基配列からなるDNA断片。
〔8〕タンパク質をコードする構造遺伝子と、前記構造遺伝子の5'上流側に組み込まれたDNA断片とを有する無細胞系タンパク質合成用の鋳型DNAであって、前記タンパク質がルシフェラーゼの場合にルシフェラーゼコントロールRNAに対するルシフェラーゼの相対合成量が300%以上となる翻訳反応促進活性を有する以下の(a)または(b)のDNA断片が、前記構造遺伝子の5'上流側に順方向に1個組み込まれたものである鋳型DNA。
(a)配列表の配列番号4に示される塩基配列からなるDNA断片、
(b)配列表の配列番号4に示される塩基配列の1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入または付加された塩基配列からなるDNA断片。
〔9〕タンパク質をコードする構造遺伝子と、前記構造遺伝子の5'上流側に組み込まれたDNA断片とを有する無細胞系タンパク質合成用の鋳型DNAであって、前記タンパク質がルシフェラーゼの場合にルシフェラーゼコントロールRNAに対するルシフェラーゼの相対合成量が300%以上となる翻訳反応促進活性を有する以下の(a)または(b)のDNA断片が、前記構造遺伝子の5'上流側に逆方向に1個組み込まれたものである鋳型DNA。
(a)配列表の配列番号6に示される塩基配列からなるDNA断片、
(b)配列表の配列番号6に示される塩基配列の1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入または付加された塩基配列からなるDNA断片。
〔10〕タンパク質をコードする構造遺伝子と、前記構造遺伝子の5'上流側に組み込まれたDNA断片とを有する無細胞系タンパク質合成用の鋳型DNAであって、前記タンパク質がルシフェラーゼの場合にルシフェラーゼコントロールRNAに対するルシフェラーゼの相対合成量が300%以上となる翻訳反応促進活性を有する以下の(a)または(b)のDNA断片が、前記構造遺伝子の5'上流側に逆方向に2個組み込まれたものである鋳型DNA。
(a)配列表の配列番号6に示される塩基配列からなるDNA断片、
(b)配列表の配列番号6に示される塩基配列の1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入または付加された塩基配列からなるDNA断片。
〔11〕タンパク質をコードする構造遺伝子と、前記構造遺伝子の5'上流側に組み込まれたDNA断片とを有する、昆虫培養細胞由来抽出物を含有する無細胞系タンパク質合成反応液を用いた無細胞系タンパク質合成用の鋳型DNAであって、前記タンパク質がルシフェラーゼの場合にルシフェラーゼコントロールRNAに対するルシフェラーゼの相対合成量が300%以上となる翻訳反応促進活性を有する以下の(a)または(b)のDNA断片が、前記構造遺伝子の5'上流側に順方向に1個組み込まれたものである記載の鋳型DNA。
(a)配列表の配列番号7に示される塩基配列からなるDNA断片、
(b)配列表の配列番号7に示される塩基配列の1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入または付加された塩基配列からなるDNA断片。
〔12〕タンパク質をコードする構造遺伝子と、前記構造遺伝子の5'上流側に組み込まれたDNA断片とを有する無細胞系タンパク質合成用の鋳型DNAであって、前記タンパク質がルシフェラーゼの場合にルシフェラーゼコントロールRNAに対するルシフェラーゼの相対合成量が300%以上となる翻訳反応促進活性を有する以下の(a)または(b)のDNA断片が、前記構造遺伝子の5'上流側に逆方向に1個組み込まれたものである鋳型DNA。
(a)配列表の配列番号7に示される塩基配列からなるDNA断片、
(b)配列表の配列番号7に示される塩基配列の1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入または付加された塩基配列からなるDNA断片。
〔13〕タンパク質をコードする構造遺伝子と、前記構造遺伝子の5'上流側に組み込まれたDNA断片とを有する無細胞系タンパク質合成用の鋳型DNAであって、タンパク質がルシフェラーゼの場合にルシフェラーゼコントロールRNAに対するルシフェラーゼの相対合成量が300%以上となる翻訳反応促進活性を有する以下の(a)または(b)のDNA断片が、前記構造遺伝子の5'上流側に逆方向に1個組み込まれたものである鋳型DNA。
(a)配列表の配列番号8に示される塩基配列からなるDNA断片、
(b)配列表の配列番号8に示される塩基配列の1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入または付加された塩基配列からなるDNA断片。
〔14〕タンパク質をコードする構造遺伝子と、前記構造遺伝子の5'上流側に組み込まれたDNA断片とを有する無細胞系タンパク質合成用の鋳型DNAであって、タンパク質がルシフェラーゼの場合にルシフェラーゼコントロールRNAに対するルシフェラーゼの相対合成量が300%以上となる翻訳反応促進活性を有する以下の(a)または(b)のDNA断片が、前記構造遺伝子の5'上流側に順方向に1個組み込まれたものである鋳型DNA。
(a)配列表の配列番号10に示される塩基配列からなるDNA断片、
(b)配列表の配列番号10に示される塩基配列の1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入または付加された塩基配列からなるDNA断片。
〔15〕無細胞系タンパク質合成における転写鋳型として使用される、請求項8〜10及び12〜14のいずれかに記載の鋳型DNA。
〔16〕 〔8〕〜〔10〕及び〔12〕〜〔14〕のいずれかに記載の鋳型DNAより転写して得られるmRNAであって、無細胞系タンパク質合成における翻訳鋳型として使用されるmRNA。
〔17〕 〔8〕〜〔10〕及び〔12〕〜〔14〕のいずれかに記載の鋳型DNAまたはそれを転写して得られるmRNAを含有する無細胞系タンパク質合成用反応液。
〔18〕節足動物由来の抽出物を含有する、〔17〕に記載の反応液。
〔19〕節足動物由来の抽出物が昆虫組織から抽出されたものである、請求項18に記載の反応液。
〔20〕昆虫組織が、カイコ組織である〔19〕に記載の反応液。
〔21〕 カイコ組織が、カイコ幼虫の後部絹糸腺を少なくとも含有するものである、〔20〕に記載の反応液。
〔22〕節足動物由来の抽出物が昆虫培養細胞から抽出されたものである、〔18〕に記載の反応液。
〔23〕昆虫培養細胞がTrichoplusia ni卵細胞由来の培養細胞である、〔22〕に記載の反応液。
本発明のDNA断片は、キャップ構造に依存することなく、無細胞系タンパク質合成において翻訳反応を促進する機能を有するものである。ここで「翻訳反応を促進」とは、本発明のDNA断片を使用して無細胞系タンパク質合成反応を行うことで、このDNA断片を使用しなかった場合と比較して、1.2倍以上(好適には、2倍以上)に向上されることを指す。
配列表の配列番号1〜11に示す塩基配列は、それぞれ、カイコまたはバキュロウイルスにおける5'非翻訳領域(5'UTR)として公知の塩基配列である。具体的には、配列番号1に示す塩基配列はカイコのフィブロインL鎖遺伝子の5'UTRの塩基配列、配列番号2に示す塩基配列はカイコのセリシン遺伝子の5'UTRの塩基配列、配列番号3に示す塩基配列はAcNPV(Autographa californica nuclear polyhedrosis virus)のポリヘドリン遺伝子の5'UTRの塩基配列、配列番号4に示す塩基配列はBmCPV(Bombyx mori cytoplasmic polyhedrosis virus)のポリヘドリン遺伝子の5'UTRの塩基配列、配列番号5に示す塩基配列はEsCPV(Euxoa scandes cytoplasmic polyhedrosis virus)のポリヘドリン遺伝子の5'UTRの塩基配列、配列番号6に示す塩基配列はHcNPV(Hyphantria cunea nuclear polyhedrosis virus)のポリヘドリン遺伝子の5'UTRの塩基配列、配列番号7に示す塩基配列はCrNPV(Choristoneura rosaceana nucleopolyhedrovirus)のポリヘドリン遺伝子の5'UTRの塩基配列、配列番号8に示す塩基配列はEoNPV(Ecotropis oblique nuclear polyhedrosis virus)のポリヘドリン遺伝子の5'UTRの塩基配列、配列番号9に示す塩基配列はMnNPV(Malacosma neustria nucleopolyhedrovirus)のポリヘドリン遺伝子の5'UTRの塩基配列、配列番号10に示す塩基配列はSfNPV(Spodoptera frugiperda nucleopolyhedrovirus)のポリヘドリン遺伝子の5'UTRの塩基配列、配列番号11に示す塩基配列はWsNPV(Wiseana signata nucleopolyhedrovirus)のポリヘドリン遺伝子の5'UTRの塩基配列として、それぞれ公知である。本発明は、これらの塩基配列を有するDNA断片、あるいは機能を損なわない範囲で均等なDNA断片が、無細胞系タンパク質合成において、特に有用な翻訳反応促進活性を発揮することを見出したものである。なお、本発明におけるDNA断片は、カイコまたはバキュロウイルスの5'UTRに由来するものであれば、上記塩基配列を必ずしも有してなくともよい。
本発明のDNA断片は従来公知のいかなる方法により得られてもよい。たとえば、公知のDNA合成機を用いて合成することができる。
(1)配列番号2に示される塩基配列からなるDNA断片、またはそれと均等な塩基配列を有し且つ翻訳反応促進活性を有するDNA断片が、構造遺伝子の5'上流側に順方向に1個組み込まれた鋳型DNA;
(2)配列番号3に示される塩基配列からなるDNA断片、またはそれと均等な塩基配列を有し且つ翻訳反応促進活性を有するDNA断片が、構造遺伝子の5'上流側に順方向に1個組み込まれた鋳型DNA;
(3)配列番号4に示される塩基配列からなるDNA断片、またはそれと均等な塩基配列を有し且つ翻訳反応促進活性を有するDNA断片が、構造遺伝子の5'上流側に順方向に1個組み込まれた鋳型DNA;
(4)配列番号5に示される塩基配列からなるDNA断片、またはそれと均等な塩基配列を有し且つ翻訳反応促進活性を有するDNA断片が、構造遺伝子の5'上流側に逆方向に2個組み込まれた鋳型DNA;
(5)配列番号6に示される塩基配列からなるDNA断片、またはそれと均等な塩基配列を有し且つ翻訳反応促進活性を有するDNA断片が、構造遺伝子の5'上流側に逆方向に1個組み込まれた鋳型DNA;
(6)配列番号6に示される塩基配列からなるDNA断片、またはそれと均等な塩基配列を有し且つ翻訳反応促進活性を有するDNA断片が、構造遺伝子の5'上流側に逆方向に2個組み込まれた鋳型DNA;
(7)配列番号7に示される塩基配列からなるDNA断片、またはそれと均等な塩基配列を有し且つ翻訳反応促進活性を有するDNA断片が、構造遺伝子の5'上流側に順方向に1個組み込まれた鋳型DNA;
(8)配列番号7に示される塩基配列からなるDNA断片、またはそれと均等な塩基配列を有し且つ翻訳反応促進活性を有するDNA断片が、構造遺伝子の5'上流側に逆方向に1個組み込まれた鋳型DNA;
(9)配列番号8に示される塩基配列からなるDNA断片、またはそれと均等な塩基配列を有し且つ翻訳反応促進活性を有するDNA断片が、構造遺伝子の5'上流側に逆方向に1個組み込まれた鋳型DNA;
(10)配列番号9に示される塩基配列からなるDNA断片、またはそれと均等な塩基配列を有し且つ翻訳反応促進活性を有するDNA断片が、構造遺伝子の5'上流側に順方向に2個組み込まれた鋳型DNA;
(11)配列番号9に示される塩基配列からなるDNA断片、またはそれと均等な塩基配列を有し且つ翻訳反応促進活性を有するDNA断片が、構造遺伝子の5'上流側に逆方向に1個組み込まれた鋳型DNA;
(12)配列番号10に示される塩基配列からなるDNA断片、またはそれと均等な塩基配列を有し且つ翻訳反応促進活性を有するDNA断片が、構造遺伝子の5'上流側に順方向に1個組み込まれた鋳型DNA;
(13)配列番号11に示される塩基配列からなるDNA断片、またはそれと均等な塩基配列を有し且つ翻訳反応促進活性を有するDNA断片が、構造遺伝子の5'上流側に順方向に1個組み込まれた鋳型DNA。
本発明における翻訳反応用溶液中に含有される上記抽出物は、上記節足動物由来であるならば、成長段階のいずれを問わずいかなる組織から抽出されたものであってもよく、また、節足動物のいずれの組織由来の培養細胞より抽出されたものであってもよい。中でも、カイコ組織または昆虫培養細胞から抽出されたものであるのが特に好ましい。
またカイコ組織の「脂肪体」とは、カイコ幼虫において、体内の至るところに分布し、白色の柔らかい扁平な帯状、ひも状あるいは葉状の組織である。脂肪体は、ヒトの肝臓に似て栄養、エネルギー源を貯蔵する役目を果たしているので、細胞内には脂肪球、タンパク質、グリコーゲンその他の新陳代謝に関係する種々の物質を含んでいる。
また「胚」は、カイコの卵の状態の組織を指す。
当該抽出用液中におけるプロテアーゼインヒビターの含有量に特に制限はないが、無細胞系タンパク質合成に必須な酵素類の分解阻害能を好適に発揮できる観点から、1μM〜50mM含有されることが好ましく、0.01mM〜5mM含有されることがより好ましい。プロテアーゼインヒビターが1μM未満であると、プロテアーゼの分解活性を充分抑えることができない傾向にあるためであり、またプロテアーゼインヒビターが50mMを越えると、タンパク質合成反応を阻害する傾向にあるためである。
当該抽出用液中におけるカリウム塩の含有量に特に制限はないが、保存安定性の観点から、たとえば酢酸カリウムなど1価のカリウム塩である場合、10mM〜500mM含有されることが好ましく、50mM〜300mM含有されることがより好ましい。カリウム塩が10mM未満または500mMを越えると、タンパク質合成に必須な成分が不安定になる傾向にあるためである。
当該抽出用液中におけるマグネシウム塩の含有量に特に制限はないが、保存安定性の観点から、たとえば酢酸マグネシウムなど2価の塩である場合、0.1mM〜10mM含有されることが好ましく、0.5mM〜5mM含有されることがより好ましい。マグネシウム塩が0.1mM未満または10mMを越えると、タンパク質の合成に必須な成分が不安定になる傾向にあるためである。
緩衝剤は、得られた抽出液のpHが4〜10に保持されるようなものを使用するのが好ましく、pHが6.5〜8.5に保持されるようなものを使用するのがより好ましい。抽出液のpHが4未満またはpHが10を越えると、本発明の反応に必須な成分が変性する虞があるためである。このような観点より、上記中でもHEPES−KOH(pH6.5〜8.5)を使用するのが特に好ましい。
当該抽出用液中における緩衝剤の含有量に特に制限はないが、好適な緩衝能を保持する観点から、5mM〜200mM含有されることが好ましく、10mM〜100mM含有されることがより好ましい。緩衝剤が5mM未満であると、酸性または塩基性物質の添加によりpHの急激な変動を引き起こし、抽出物が変性する傾向にあるためであり、また緩衝剤が200mMを越えると、塩濃度が高くなり過ぎ、タンパク質合成に必須な成分が不安定になる傾向にあるためである。
この場合、塩化カルシウムの含有量は特に制限されないが、上記タンパク質合成能の向上の効果を有効に発揮し得る観点より、0.1mM〜10mMであるのが好ましく、0.5mM〜5mMであるのがより好ましい。また、グリセロールの添加量についても特に制限されるものではないが、上記タンパク質合成能の向上の効果を有効に発揮し得る観点より、5(v/v)%〜80(v/v)%となるように添加されるのが好ましく、10(v/v)%〜50(v/v)%となるように添加されるのがより好ましい。
たとえば、節足動物由来の抽出物として、カイコ組織由来の抽出物または昆虫培養細胞由来の抽出物を使用する場合、上述したような組成の抽出用液を使用して、本発明者らが提案している抽出方法にて抽出液を調製するのが、好適である。
以下、それぞれの場合について詳述する。
まず、常法にしたがって、たとえばハサミ、ピンセット、メスなどの器具を使用して、カイコより所望の組織を摘出する。この摘出によって得る後述の抽出に使用する組織量としては、特に制限はないが、通常、1g〜100gの範囲内である。
次に、摘出した組織を、たとえば液体窒素で凍結した後、−80℃で凍結させた乳鉢中ですり潰し、これに上述した抽出用液を添加して抽出操作を行う。
あるいは、上記抽出用液の添加後、一旦抽出用液も凍結させた後、シャーベット状になるまで(具体的には、ウェットな黄色いシャリシャリ状態の氷になるまで)、薬さじで攪拌しながら溶解する。その後、再度液体窒素で完全に凍結させた後、シャーベット状になるまで(具体的には、ウェットな黄色いシャリシャリ状態の氷になるまで)薬さじで攪拌しながら溶解させる。かかる方法によれば、タンパク質合成に関与する成分が効率的に抽出され且つ安定化されるという利点がある。
このようにして、まず、カイコの組織からの抽出物を含有する液状物を得る。
また、上記上清A1と、上記1回目の遠心分離後の沈殿から上記抽出用液を用いてさらに抽出を行った後に、上記と同様の条件にて遠心分離して得られた上清(上清A3)とを混合して、抽出液として調製するようにしてもよい。このように上清A1と上清A3とを混合して抽出液を調製することで、上清A1、上清A3を単独で抽出液とする場合と比較して、タンパク質合成効率が向上するという利点がある。またさらに、上清A2を、上清A3と混合して抽出液を調製してもよい。これにより上記効果はさらに増強される。勿論、上記上清A1〜上清A3を混合して、抽出液を調製するようにしてもよい。
この場合、調製される混合物(抽出液)における上清A1および/または上清A2(両方混合する場合には、その総量)と上清A3との混合割合に特に制限はないが、タンパク質の合成効率の観点からは、体積比で10:90〜90:10であるのが好ましく、20:80〜80:20であるのがより好ましい。
たとえば脱塩カラム PD−10(アマシャム バイオサイエンス社製)を使用し、常法にしたがって、ゲル濾過用緩衝液にてカラムを平衡化した後、試料を供給し、上記抽出用液にて溶出する、というような条件にて行う。上記ゲル濾過用緩衝液は、上記抽出用液に、グリセロールをさらに添加したものであることが好ましい。グリセロールは、通常、5(v/v)%〜40(v/v)%(好ましくは、20(v/v)%)となるように添加すればよい。ゲル濾過して得られる濾液は、通常のゲル濾過で行われているように、0.1mL〜1mLを1画分とすればよく、高いタンパク質合成能を有する画分を効率よく分取するという観点より、0.4mL〜0.6mLを1画分とするのが好ましい。
次に、ゲル濾過後の濾液より280nmにおける吸光度が10以上の画分を分取する。当該処理は、たとえばUltrospec3300pro(アマシャムバイオサイエンス社製)などの機器を用いて、各画分について上記280nmにおける吸光度を測定し、この吸光度が最も高い画分付近を分取し、これを抽出液とする。
昆虫培養細胞から抽出液を調製する場合、本発明者らが提案する、抽出用液中に懸濁した昆虫培養細胞を急激に凍結させる工程を少なくとも含有する方法によって調製するのが好ましい。ここで「急激に凍結」とは、10秒以下、好ましくは2秒以下にて、昆虫培養細胞を凍結させることを指す。また昆虫培養細胞を急激に凍結させる温度としては、通常−80℃以下であり、好ましくは−150℃以下である。上記昆虫培養細胞の急激な凍結は、たとえば、液体窒素や液体ヘリウムなどの不活性ガスを使用することなどによって実現できるが、入手が容易であり安価な液体窒素を用いて行うのが好ましい。
かかる方法によって昆虫培養細胞からの抽出を行うことにより、緩和な状態で細胞の破砕を行うことができ、無細胞系タンパク質合成に必須な成分を破壊することなく細胞外に取り出すことができ、従来よりもタンパク質の合成量の高い無細胞系タンパク質合成用抽出液を容易に調製することができる。さらに、使用器具などからのRNaseなどの混入も防ぐことができ、また、界面活性剤などの試薬を用いた細胞破砕法の場合に懸念される翻訳反応を阻害するような物質の持込みもない。
まず、上清B1または上清B2についてゲル濾過を行うが、ゲル濾過は、たとえば脱塩カラム PD−10(アマシャム バイオサイエンス社製)を好適に使用することができ、常法にしたがって、ゲル濾過用緩衝液にてカラムを平衡化した後、試料を供給し、上記ゲル濾過用緩衝液にて溶出する、というような条件にて行えばよい。上記ゲル濾過用緩衝液としては、従来公知の適宜の組成のものを特に制限なく使用することができ、たとえば、10mM〜100mMのHEPES−KOH(pH6.5〜8.5)、50mM〜300mMの酢酸カリウム、0.5mM〜5mMの酢酸マグネシウム、0.5mM〜5mMのDTT、0.01mM〜5mMのPMSFを含有するゲル濾過用緩衝液を用いることができる。ゲル濾過して得られる濾液は、通常のゲル濾過で行われているように、0.1mL〜1mLを1画分とすればよく、高いタンパク質合成能を有する画分を効率よく分取するという観点より、0.4mL〜0.6mLを1画分とするのが好ましい。
続いて、たとえばUltrospec3300pro(アマシャム バイオサイエンス社製)などの機器を用いて、280nmにおける吸光度が30以上の画分(吸収の大きな画分)をゲル濾過後の濾液より分取して、これを抽出液とする。
なお上記範囲の量の節足動物由来の抽出物を含有する抽出液は、抽出液のタンパク質濃度測定を利用して、調製できる。当該タンパク質濃度測定は、当分野において通常行われているように、たとえばBCA Protein assayKit(PIERCE社製)を使用し、反応試薬2mLに対してサンプルを0.1mL加え、37℃で30分間反応させ、562nmにおける吸光度を測定する、といった手順によって行う。分光光度計(Ultrospec3300pro、アマシャムバイオサイエンス社製)を用いて、562nmにおける吸光度を測定する。コントロールとしては、通常、ウシ血清アルブミン(BSA)を使用する。
以下、節足動物由来の抽出物を含有する抽出液を用いた場合における(1)翻訳系用反応液、(2)転写/翻訳系用反応液について、それぞれ説明する。
翻訳系用反応液は、上記節足動物由来抽出液を除く成分として、翻訳鋳型(上述した本発明のDNA断片を組み込んだ鋳型DNAを転写して得られたmRNA)、カリウム塩、マグネシウム塩、DTT、アデノシン三リン酸、グアノシン三リン酸、クレアチンリン酸、クレアチンキナーゼ、アミノ酸成分、RNaseインヒビター、tRNA、緩衝剤を少なくとも含有するのが好ましい。かかる翻訳系用反応液を使用して翻訳系合成反応を行うことで、短時間で大量のタンパク質の合成が可能である。
翻訳系用反応液中において、翻訳鋳型は、タンパク質合成の速度の観点から、1μg/mL〜2000μg/mL含有されることが好ましく、10μg/mL〜1000μg/mL含有されることがより好ましい。mRNAが1μg/mL未満または2000μg/mLを越えると、タンパク質合成の速度が低下する傾向にあるためである。
本発明においては、タンパク質合成の速度の観点から、当該反応液中において上記のアミノ酸成分が1μM〜1000μM含有されることが好ましく、10μM〜200μM含有されることがより好ましい。アミノ酸成分が1μM未満または1000μMを越えると、タンパク質の合成速度が低下する傾向にあるためである。
転写/翻訳系用反応液は、上記抽出液および節足動物由来tRNAを除く成分として、転写鋳型(上述した本発明のDNA断片を組み込んでなる鋳型DNA)、RNAポリメラーゼ、ATP、GTP、シチジン5'−三リン酸、ウリジン5'−三リン酸、クレアチンリン酸、クレアチンキナーゼ、アミノ酸成分およびtRNAを少なくとも含有するのが好ましい。かかる転写/翻訳系用反応液を使用して転写/翻訳系合成反応を行うことで、短時間で大量のタンパク質の合成が可能である。
転写鋳型は、転写/翻訳系用反応液中において、0.1μg/mL〜8000μg/mL含有されることが好ましく、3μg/mL〜600μg/mL含有されることがより好ましい。転写鋳型が0.1μg/mL未満または8000μg/mLを越えると、タンパク質合成の速度が低下する傾向にあるためである。
RNAポリメラーゼを使用することが好ましい。
RNAポリメラーゼは、mRNA合成の速度およびタンパク質合成の速度の観点から、転写/翻訳系用反応液中に0.01U/μL〜100U/μL含有されることが好ましく、0.1U/μL〜10U/μL含有されることがより好ましい。RNAポリメラーゼが0.01U/μL未満であると、mRNAの合成量が少なくなり、結果としてタンパク質合成の速度が低下する傾向にあるためであり、またRNAポリメラーゼが100U/μLを越えると、タンパク質合成反応を阻害する傾向にあるためである。
タンパク質合成の速度の観点からは、転写/翻訳系用反応液中において上記のアミノ酸成分が1μM〜1000μM含有されることが好ましく、10μM〜500μM含有されることがより好ましい。アミノ酸成分が1μM未満または1000μMを越えると、タンパク質の合成速度が低下する傾向にあるためである。
転写/翻訳系合成反応では、転写、翻訳工程を連続して実施し得るという観点から両工程に好適な20℃〜30℃の範囲で反応を行うことが特に好ましい。反応の時間は、全工程あわせて、通常、1時間〜72時間、好ましくは3時間〜24時間である。
参考例1
:ベクターpTNT−Lucの構築
ルシフェラーゼをコードする構造遺伝子を有するpGEM−Luc Vector(プロメガ社製)5ngを鋳型とし、配列表配列番号12に示す塩基配列を有するプライマー(Luc T7−F3−Kpn)と、配列表配列番号13に示す塩基配列を有するプライマー(Luc T7−R4−Kpn)と、KOD plus(東洋紡績社製)を用い、96℃2分で鋳型を変性させた後、96℃15秒、50℃30秒、68℃120秒、30サイクルのPCRを行い、構造遺伝子のオープンリーディングフレーム(ORF)を増幅した。エタノール沈殿によりPCR産物を精製した後、KpnIで消化した。これとは別に、pTNT Vector(プロメガ社製)をKpnIで消化した。これらの反応液をアガロースゲル電気泳動で分離した後、Gen Elute Gel Purification Kit(シグマ社製)を用いて精製した。Ligation High(東洋紡績社製)を用いて、これらをライゲーションした後、大腸菌DH5α(東洋紡績社製)を形質転換した。形質転換した大腸菌からアルカリ−SDS法により調製したプラスミドを、配列表配列番号14に示す塩基配列を有するプライマー(T7 promoter)およびBig Dye TerminatorCycle Sequencing FS(アプライドバイオシステムズ社製)を用いてシークエンシング反応(96℃10秒、50℃5秒、60℃4分、25サイクル)を行った。この反応液をABI PRISM 310 Genetic Analyzer(アプライドバイオシステムズ社製)に供し、塩基配列解析を行った。pTNT Vector由来の5'−βグロビンリーダー配列の下流にルシフェラーゼ遺伝子の開始コドンが挿入されたプラスミドをpTNT−Lucと命名した。
:鋳型DNA(ベクターpFib−Luc)の作製
上記参考例1で作成したプラスミドベクターpTNT−Lucを鋳型にして、配列表配列番号15に示す塩基配列を有するプライマー(T7p Rv)と、配列表配列番号16に示す塩基配列を有するプライマー(Luc−ATG)を用い、96℃15秒、50℃30秒、68℃5分、30サイクルのPCRを行った。反応終了後、電気泳動でPCR産物を分離した後、Gen Elute GelPurification Kit(シグマ社製)を用いて精製し、これをライゲーション反応に用いた。このようにして、5'UTRの挿入の効果を確認すべく、プラスミドベクターpTNT−LucからSP6プロモーター配列、5'−βグロビンリーダー配列およびルシフェラーゼをコードする構造遺伝子の5'上流側マルチクローニングサイトを欠失せしめたプラスミドベクターを得た。
配列表配列番号1に示す塩基配列を有するカイコのフィブロインL鎖遺伝子の5'UTRのセンス鎖、アンチセンス鎖をDNA合成機で合成し、T4 Polynucleotide Kinase(東洋紡績社製)によってその5'末端のリン酸化を行った。反応終了後、センス鎖とアンチセンス鎖とを混合し、95℃5分間熱処理した。これを室温になるまで静置しセンス鎖とアンチセンス鎖とをアニーリングさせた。エタノール沈殿により精製した後、水に溶解させた。SigmaSpin Post Reaction Purification Columns(シグマ社製)によって、過剰のATPを取り除いた後、再度エタノール沈殿により精製した。得られた二本鎖DNA断片をインサートとし、上記SP6プロモーター配列、βグロビンリーダー配列および構造遺伝子の5'上流側マルチクローニングサイトを欠失したpTNT−Luc由来のベクターとライゲーションし、大腸菌DH5αを形質転換させた。得られた大腸菌よりプラスミドを調製した後、塩基配列解析を行った。このようにして、カイコのフィブロインL鎖遺伝子の5'UTRが順方向(5'→3')に1個組み込まれたベクターを選択した。このようにして、T7プロモーター配列と構造遺伝子との間にカイコのフィブロインL鎖遺伝子の5'UTRが順方向に1個組み込まれたベクター(鋳型DNA)を作製した。得られた鋳型DNAを、pFib−Lucと名付けた。
:鋳型DNA(ベクターpSer−Luc)の作製
配列表配列番号2に示す塩基配列を有するカイコのセリシン遺伝子の5'UTRを用いた以外は実施例1と同様にして、T7プロモーター配列と構造遺伝子との間に、配列表配列番号2に示す塩基配列を有するカイコのセリシン遺伝子の5'UTRが順方向(5'→3')に1個組み込まれたベクター(鋳型DNA)を作製した。得られた鋳型DNAを、pSer−Lucと名付けた。
:鋳型DNA(ベクターpAphd−Luc)の作製
配列表配列番号3に示す塩基配列を有するAcNPV(Autographa californica nuclear polyhedrosis virus)のポリへドリン遺伝子の5'UTRを用いた以外は実施例1と同様にして、T7プロモーター配列と構造遺伝子との間に、配列表配列番号3に示す塩基配列を有するAcNPVのポリへドリン遺伝子の5'UTRが順方向(5'→3')に1個組み込まれたベクター(鋳型DNA)を作製した。得られた鋳型DNAを、pAphd−Lucと名付けた。
:鋳型DNA(ベクターpFAphd−Luc)の作製
実施例1にてカイコのフィブロインL鎖遺伝子の5'UTRより調製した二本鎖DNA断片と、実施例3にてAcNPV(Autographa californica nuclear polyhedrosis virus)のポリへドリン遺伝子の5'UTRより調製した二本鎖DNA断片とを共にインサートとして用い、上記SP6プロモーター配列、βグロビンリーダー配列および構造遺伝子の5'上流側マルチクローニングサイトを欠失したpTNT−Luc由来のベクターとライゲーションし、大腸菌DH5αを形質転換させた。得られた大腸菌よりプラスミドを調製した後、塩基配列解析を行った。このようにして、5'側から順にカイコのフィブロインL鎖遺伝子の5'UTRおよびAcNPVのポリへドリン遺伝子の5'UTRがそれぞれ順方向(5'→3')に1個ずつ組み込まれたベクター(鋳型DNA)を選択した以外は、実施例1と同様にして行った。得られた鋳型DNAを、pFAphd−Lucと名付けた。
:鋳型DNA(ベクターpBphd−Luc)の作製
配列表配列番号4に示す塩基配列を有するBmCPV(Bombyx mori cytoplasmic polyhedrosis virus)のポリへドリン遺伝子の5'UTRを用いた以外は実施例1と同様にして、T7プロモーター配列とルシフェラーゼ遺伝子との間に、配列表配列番号4に示す塩基配列を有するBmCPVのポリへドリン遺伝子の5'UTRが順方向(5'→3')に1個組み込まれたベクター(鋳型DNA)を作製した。得られた鋳型DNAを、pBphd−Lucと名付けた。
:鋳型DNA(ベクターpBphd−R−Luc)の作製
BmCPVのポリへドリン遺伝子の5'UTRが逆方向(3'→5')に1個組み込まれたベクター(鋳型DNA)を選択した以外は、実施例5と同様にして行った。得られた鋳型DNAを、pBphd−R−Lucと名付けた。
:鋳型DNA(ベクターpEphd−FF−Luc)の作製
配列表配列番号5に示す塩基配列を有するEsCPV(Euxoa scandes cytoplasmic polyhedrosis virus)のポリへドリン遺伝子の5'UTRを用いた以外は、実施例1と同様にして作製した二本鎖DNA断片をインサートとし、上記SP6プロモーター配列、βグロビンリーダー配列および構造遺伝子の5'上流側マルチクローニングサイトを欠失したpTNT−Luc由来のベクターとライゲーションし、大腸菌DH5αを形質転換させた。得られた大腸菌よりプラスミドを調製した後、塩基配列解析を行った。このようにして、5'側から順にEsCPVのポリへドリン遺伝子の5'UTRがそれぞれ順方向(5'→3')に2個組み込まれたベクター(鋳型DNA)を選択した以外は、実施例1と同様にして行った。得られた鋳型DNAを、pEphd−FF−Lucと名付けた。
:鋳型DNA(ベクターpEphd−RR−Luc)の作製
5'側から順にEsCPVのポリへドリン遺伝子の5'UTRがそれぞれ逆方向(3'→5')に2個組み込まれたベクター(鋳型DNA)を選択した以外は、実施例7と同様にして行った。得られた鋳型DNAを、pEphd−RR−Lucと名付けた。
:鋳型DNA(ベクターpHphd−Luc)の作製
配列表配列番号6に示す塩基配列を有するHcNPV(Hyphantria cunea nuclear polyhedrosis virus)のポリへドリン遺伝子の5'UTRを用いた以外は、実施例1と同様にして作製した二本鎖DNA断片をインサートとし、上記SP6プロモーター配列、βグロビンリーダー配列および構造遺伝子の5'上流側マルチクローニングサイトを欠失したpTNT−Luc由来のベクターとライゲーションし、大腸菌DH5αを形質転換させた。得られた大腸菌よりプラスミドを調製した後、塩基配列解析を行った。このようにして、HcNPVのポリへドリン遺伝子の5'UTRが順方向(5'→3')に1個組み込まれたベクター(鋳型DNA)を選択した以外は、実施例1と同様にして行った。得られた鋳型DNAを、pHphd−Lucと名付けた。
:鋳型DNA(ベクターpHphd−R−Luc)の作製
HcNPVのポリへドリン遺伝子の5'UTRが逆方向(3'→5')に1個組み込まれたベクター(鋳型DNA)を選択した以外は、実施例9と同様にして行った。得られた鋳型DNAを、pHphd−R−Lucと名付けた。
:鋳型DNA(ベクターpHphd−RR−Luc)の作製
5'側から順にHcNPVのポリへドリン遺伝子の5'UTRがそれぞれ逆方向(3'→5')に2個組み込まれたベクター(鋳型DNA)を選択した以外は、実施例9と同様にして行った。得られた鋳型DNAを、pHphd−RR−Lucと名付けた。
:鋳型DNA(ベクターpCphd−Luc)の作製
配列表配列番号7に示す塩基配列を有するCrNPV(Choristoneura rosaceana nucleopolyhedrovirus)のポリへドリン遺伝子の5'UTRを用いた以外は、実施例1と同様にして作製した二本鎖DNA断片をインサートとし、上記SP6プロモーター配列、βグロビンリーダー配列および構造遺伝子の5'上流側マルチクローニングサイトを欠失したpTNT−Luc由来のベクターとライゲーションし、大腸菌DH5αを形質転換させた。得られた大腸菌よりプラスミドを調製した後、塩基配列解析を行った。このようにして、CrNPVのポリへドリン遺伝子の5'UTRが順方向(5'→3')に1個組み込まれたベクター(鋳型DNA)を選択した以外は、実施例1と同様にして行った。得られた鋳型DNAを、pCphd−Lucと名付けた。
:鋳型DNA(ベクターpCphd−R−Luc)の作製
CrNPVのポリへドリン遺伝子の5'UTRが逆方向(3'→5')に1個組み込まれたベクター(鋳型DNA)を選択した以外は、実施例9と同様にして行った。得られた鋳型DNAを、pCphd−R−Lucと名付けた。
:鋳型DNA(ベクターpEophd−R−Luc)の作製
配列表配列番号8に示す塩基配列を有するEoNPV(Ecotropis oblique nuclear polyhedrosis virus)のポリへドリン遺伝子の5'UTRを用いた以外は、実施例1と同様にして作製した二本鎖DNA断片をインサートとし、上記SP6プロモーター配列、βグロビンリーダー配列および構造遺伝子の5'上流側マルチクローニングサイトを欠失したpTNT−Luc由来のベクターとライゲーションし、大腸菌DH5αを形質転換させた。得られた大腸菌よりプラスミドを調製した後、塩基配列解析を行った。このようにして、EoNPVのポリへドリン遺伝子の5'UTRが逆方向(3'→5')に1個組み込まれたベクター(鋳型DNA)を選択した以外は、実施例1と同様にして行った。得られた鋳型DNAを、pEophd−R−Lucと名付けた。
:鋳型DNA(ベクターpMphd−FF−Luc)の作製
配列表配列番号9に示す塩基配列を有するMnNPV(Malacosma neustria nucleopolyhedrovirus)のポリへドリン遺伝子の5'UTRを用いた以外は、実施例1と同様にして作製した二本鎖DNA断片をインサートとし、上記SP6プロモーター配列、βグロビンリーダー配列および構造遺伝子の5'上流側マルチクローニングサイトを欠失したpTNT−Luc由来のベクターとライゲーションし、大腸菌DH5αを形質転換させた。得られた大腸菌よりプラスミドを調製した後、塩基配列解析を行った。このようにして、MnNPVのポリへドリン遺伝子の5'UTRが順方向(5'→3')に2個組み込まれたベクター(鋳型DNA)を選択した以外は、実施例1と同様にして行った。得られた鋳型DNAを、pMphd−FF−Lucと名付けた。
:鋳型DNA(ベクターpMphd−R−Luc)の作製
MnNPVのポリへドリン遺伝子の5'UTRが逆方向(3'→5')に1個組み込まれたベクター(鋳型DNA)を選択した以外は、実施例15と同様にして行った。得られた鋳型DNAを、pMphd−R−Lucと名付けた。
:鋳型DNA(ベクターpSphd−Luc)の作製
配列表配列番号10に示す塩基配列を有するSfNPV(Spodoptera frugiperda nucleopolyhedrovirus)のポリへドリン遺伝子の5'UTRを用いた以外は、実施例1と同様にして作製した二本鎖DNA断片をインサートとし、上記SP6プロモーター配列、βグロビンリーダー配列および構造遺伝子の5'上流側マルチクローニングサイトを欠失したpTNT−Luc由来のベクターとライゲーションし、大腸菌DH5αを形質転換させた。得られた大腸菌よりプラスミドを調製した後、塩基配列解析を行った。このようにして、SfNPVのポリへドリン遺伝子の5'UTRが順方向(5'→3')に1個組み込まれたベクター(鋳型DNA)を選択した以外は、実施例1と同様にして行った。得られた鋳型DNAを、pSphd−Lucと名付けた。
:鋳型DNA(ベクターpWphd−Luc)の作製
配列表配列番号11に示す塩基配列を有するWsNPV(Wiseana signata nucleopolyhedrovirus)のポリへドリン遺伝子の5'UTRを用いた以外は、実施例1と同様にして作製した二本鎖DNA断片をインサートとし、上記SP6プロモーター配列、βグロビンリーダー配列および構造遺伝子の5'上流側マルチクローニングサイトを欠失したpTNT−Luc由来のベクターとライゲーションし、大腸菌DH5αを形質転換させた。得られた大腸菌よりプラスミドを調製した後、塩基配列解析を行った。このようにして、WsNPVのポリへドリン遺伝子の5'UTRが順方向(5'→3')に1個組み込まれたベクター(鋳型DNA)を選択した以外は、実施例1と同様にして行った。得られた鋳型DNAを、pWphd−Lucと名付けた。
:カイコ抽出液の調製
5齢期4日目のカイコ幼虫15匹よりハサミ、ピンセット、メス、スパーテルを使用して、後部絹糸腺3.07gを摘出し、これを−80℃で凍結させた乳鉢ですり潰し、下記組成の抽出用液を用いて、抽出を行った。
〔抽出用液の組成〕
・20mM HEPES−KOH(pH7.4)
・100mM 酢酸カリウム
・2mM 酢酸マグネシウム
・2mM DTT
・0.5mM PMSF
抽出後、得られた液状物を遠心分離機(himacCR20B3(日立工機社製))にて、30,000×g、30分間、4℃の条件にて遠心分離を行った。
遠心分離後、上清のみを単離し、再び30,000×g、10分間、4℃の条件にて遠心分離を行った。遠心分離後、上清のみを単離した。脱塩カラム PD−10(アマシャム バイオサイエンス社製)に、20%グリセロールを含む抽出用液を加えカラムを平衡化した後、上清を供給し、上記抽出用液にて溶出することによりゲル濾過を行った。
ゲル濾過後の濾液の画分を、分光光度計(Ultrospec3300pro、アマシャム バイオサイエンス社製)を用いて、280nmにおける吸光度が10以上の画分を分取して、5齢期のカイコ幼虫の後部絹糸腺由来の無細胞系タンパク質合成用抽出液を得た。
得られた抽出液について、BCA Protein assay Kit(PIERCE社製)を用い、タンパク質濃度を測定した。まず反応試薬2mLに対してサンプルを0.1mL加え、37℃で30分間反応させ、分光光度計(Ultrospec3300pro、アマシャム バイオサイエンス社製)を用いて、562nmにおける吸光度を測定した。コントロールとして、BSAを用い、検量線を作成した。
抽出液中におけるカイコ幼虫の後部絹糸腺の含有量は、タンパク質濃度で17.5mg/mLであった。
:カイコ組織由来の抽出物を含有する翻訳系用反応液を用いた無細胞系タンパク質合成
(1)インビトロ転写反応およびmRNAの精製
上記実施例1〜18で作製した各ベクターを、BamHIまたはBglIIで消化した後、フェノール−クロロホルム抽出、エタノール沈殿により精製した。得られたベクター1μgを鋳型として、RiboMax Large Scale RNA production System−T7(プロメガ社製)を用い20μlスケールで37℃4時間のインビトロ転写反応を行い、mRNAを合成した。
転写反応終了後、1UのRQ1 RNase Free DNase(プロメガ社製)を添加し、37℃15分インキュベートし、鋳型を消化した。フェノール−クロロホルム抽出によりタンパク質を除去した後、エタノール沈殿を行った。得られた沈殿を100μlの滅菌水に溶解し、Nick column(アマシャムバイオサイエンス社製)にアプライした後、滅菌水で溶出した。溶出画分に酢酸カリウムを終濃度0.3Mとなるように添加し、エタノール沈殿を行った。合成されたmRNAの定量は260nmと280nmの吸光度を測定して行った。
(2)翻訳反応
参考例2で調製したカイコ抽出液を用い、上記(1)で得られた各mRNAそれぞれについて、下記組成の翻訳系用反応液を調製し、翻訳反応を行った。
〔翻訳系用反応液の組成〕
・50(v/v)% カイコ抽出液
・160μg/mL mRNA
・30mM HEPES−KOH(pH7.4)
・100mM 酢酸カリウム
・1.0mM 酢酸マグネシウム
・0.5mM DTT
・10(v/v)% グリセロール
・0.5mM ATP
・0.5mM GTP
・0.25mM EGTA
・25mM クレアチンリン酸
・200μg/mL クレアチンキナーゼ
・40μM アミノ酸(20種)
・2U/μL RNaseインヒビター
・200μg/mL tRNA
ATP(シグマ社製)、GTP(シグマ社製)、アミノ酸(20種)(シグマ社製)、RNaseインヒビター(宝酒造社製)、tRNA(ロシュ・ダイアグノスティックス社製)をそれぞれ用いた。外来mRNAとしては、ルシフェラーゼをコードするmRNA(ルシフェラーゼコントロールRNA、プロメガ社製)を用いた。
反応装置として低温アルミブロック恒温槽MG−1000(東京理化器械社製)を用いた。翻訳反応は反応温度25℃で6時間行い、反応液量は25μLとした。合成されたルシフェラーゼはルシフェラーゼアッセイキット(E−1500、プロメガ社製)を用いて定量した。ルシフェラーゼアッセイ試薬50μLに反応液2.5μLを添加し、ルミノメーター(Tuner Designs TD−20/20、プロメガ社製)を用いて、ルシフェラーゼによる発光を測定した。
:昆虫培養細胞抽出液の調製
(1)昆虫培養細胞の培養
細胞数2.1×107個の昆虫培養細胞High Five(Invitrogen社製)を、L−グルタミンを添加したExpress Five無血清培地(Invitrogen社製)を入れた培養フラスコ(600cm2)内で27℃で6日間培養した。結果、細胞数1.0×108個、湿重量1.21gとなった。
まず、上記(1)で培養した昆虫培養細胞を集菌し、下記組成の洗浄液で3回洗浄(700×g、4℃、10分間の条件で遠心分離)した。
〔洗浄液の組成〕
・60mM HEPES−KOH(pH7.9)
・200mM 酢酸カリウム
・4mM 酢酸マグネシウム
・4mM DTT
洗浄後の昆虫培養細胞に、下記組成の抽出用液を1mL加え、懸濁した。
〔抽出用液の組成〕
・40mM HEPES−KOH(pH7.9)
・100mM 酢酸カリウム
・2mM 酢酸マグネシウム
・2mM 塩化カルシウム
・20(v/v)% グリセロール
・1mM DTT
・1mM PMSF
この懸濁液を液体窒素中にて急速に凍結させた。充分に凍結させた後、約4℃の氷水浴中で解凍した。完全に解凍した後、30,000×g、4℃で10分間遠心分離(himacCR20B3、日立工機社製)し、上清を回収した。回収した上清1.5mLを下記組成のゲル濾過用緩衝液で平衡化したPD−10脱塩カラム(アマシャム バイオサイエンス社製)にアプライした。
〔ゲル濾過用緩衝液の組成〕
・40mM HEPES−KOH(pH7.9)
・100mM 酢酸カリウム
・2mM 酢酸マグネシウム
・1mM DTT
・1mM PMSF
アプライした後、ゲル濾過用緩衝液4mLにて溶出し、分光光度計(Ultrospec3300pro、アマシャム バイオサイエンス社製)を用いて、280nmにおける吸光度が30以上の画分を回収し、昆虫培養細胞抽出液とした。
:昆虫培養細胞由来の抽出物を含有する翻訳系用反応液を用いた無細胞系タンパク質合成
(1)インビトロ転写反応およびmRNAの精製
上記実施例1〜6、8、10〜18で作製した各ベクターを、BamHIまたはBglIIで消化した後、フェノール−クロロホルム抽出、エタノール沈殿により精製した。得られたベクター1μgを鋳型として、RiboMax Large Scale RNA production System−T7(プロメガ社製)を用い20μlスケールで37℃4時間のインビトロ転写反応を行い、mRNAを合成した。
転写反応終了後、1UのRQ1 RNase Free DNase(プロメガ社製)を添加し、37℃15分インキュベートし、鋳型を消化した。フェノール−クロロホルム抽出によりタンパク質を除去した後、エタノール沈殿を行った。得られた沈殿を100μlの滅菌水に溶解し、Nick column(アマシャムバイオサイエンス社製)にアプライした後、滅菌水で溶出した。溶出画分に酢酸カリウムを終濃度0.3Mとなるように添加し、エタノール沈殿を行った。合成されたmRNAの定量は260nmと280nmの吸光度を測定して行った。
(2)翻訳反応
参考例3で調製した昆虫培養細胞抽出液を用い、上記(1)で得られた各mRNAそれぞれについて、下記組成の翻訳系用反応液を調製し、翻訳反応を行った。
〔翻訳系用反応液の組成〕
・50(v/v)% 昆虫培養細胞抽出液
・320μg/mL mRNA
・30mM HEPES−KOH(pH7.9)
・100mM 酢酸カリウム
・2mM 酢酸マグネシウム
・2mM DTT
・0.5mM ATP
・0.25mM GTP
・20mM クレアチンリン酸
・200μg/mL クレアチンキナーゼ
・40μM アミノ酸(20種)
・0.25mM EGTA
・1U/μL RNaseインヒビター(ヒト胎盤由来)
・200μg/mL tRNA
ATP(シグマ社製)、GTP(シグマ社製)、アミノ酸(20種)(シグマ社製)、RNaseインヒビター(宝酒造社製)、tRNA(ロシュ・ダイアグノスティックス社製)をそれぞれ用いた。
反応装置として低温アルミブロック恒温槽MG−1000(東京理化器械社製)を用いた。翻訳反応は反応温度25℃で8時間行い、反応液量は25μLとした。
合成されたルシフェラーゼはルシフェラーゼアッセイキット(E−1500、プロメガ社製)を用いて定量した。ルシフェラーゼアッセイ試薬50μLに反応液2.5μLを添加し、ルミノメーター(Tuner Designs TD−20/20、プロメガ社製)を用いて、ルシフェラーゼによる発光を測定した。
カイコフィブロインL鎖遺伝子5'UTRの塩基配列
配列番号2:
カイコセリシン遺伝子5'UTRの塩基配列
配列番号3:
AcNPVポリヘドリン遺伝子5'UTRの塩基配列
配列番号4:
BmCPVポリヘドリン遺伝子5'UTRの塩基配列
配列番号5:
EsCPVポリヘドリン遺伝子5'UTRの塩基配列
配列番号6:
HcNPVポリヘドリン遺伝子5'UTRの塩基配列
配列番号7:
CrNPVポリヘドリン遺伝子5'UTRの塩基配列
配列番号8:
EoNPVポリヘドリン遺伝子5'UTRの塩基配列
配列番号9:
MnNPVポリヘドリン遺伝子5'UTRの塩基配列
配列番号10:
SfNPVポリヘドリン遺伝子5'UTRの塩基配列
配列番号11:
WsNPVポリヘドリン遺伝子5'UTRの塩基配列
配列番号12:
プライマー Luc T7−F3−Kpn
配列番号13:
プライマー Luc T7−R4−Kpn
配列番号14:
プライマー T7 promoter
配列番号15:
プライマー T7p Rv
配列番号16:
プライマー LUC−ATG
Claims (23)
- 無細胞系タンパク質合成において翻訳反応促進のために使用される、合成するタンパク質をコードする構造遺伝子の5’上流側に順方向に1個組み込まれ、前記合成するタンパク質がルシフェラーゼの場合にルシフェラーゼコントロールRNAに対するルシフェラーゼの相対合成量が300%以上となる翻訳反応促進活性を有する、以下の(a)または(b)のDNA断片。
(a)配列表の配列番号4に示される塩基配列からなるDNA断片、
(b)配列表の配列番号4に示される塩基配列の1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入または付加された塩基配列からなるDNA断片。 - 無細胞系タンパク質合成において翻訳反応促進のために使用される、合成するタンパク質をコードする構造遺伝子の5’上流側に逆方向に1個組み込まれ、前記合成するタンパク質がルシフェラーゼの場合にルシフェラーゼコントロールRNAに対するルシフェラーゼの相対合成量が300%以上となる翻訳反応促進活性を有する、以下の(a)または(b)のDNA断片。
(a)配列表の配列番号6に示される塩基配列からなるDNA断片、
(b)配列表の配列番号6に示される塩基配列の1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入または付加された塩基配列からなるDNA断片。 - 無細胞系タンパク質合成において翻訳反応促進のために使用される、合成するタンパク質をコードする構造遺伝子の5’上流側に逆方向に2個組み込まれ、前記合成するタンパク質がルシフェラーゼの場合にルシフェラーゼコントロールRNAに対するルシフェラーゼの相対合成量が300%以上となる翻訳反応促進活性を有する、以下の(a)または(b)のDNA断片。
(a)配列表の配列番号6に示される塩基配列からなるDNA断片、
(b)配列表の配列番号6に示される塩基配列の1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入または付加された塩基配列からなるDNA断片。 - 昆虫培養細胞由来抽出物を含有する無細胞系タンパク質合成反応液を用いた無細胞系タンパク質合成において翻訳反応促進のために使用される、合成するタンパク質をコードする構造遺伝子の5’上流側に順方向に1個組み込まれ、前記合成するタンパク質がルシフェラーゼの場合にルシフェラーゼコントロールRNAに対するルシフェラーゼの相対合成量が300%以上となる翻訳反応促進活性を有する、以下の(a)または(b)のDNA断片。
(a)配列表の配列番号7に示される塩基配列からなるDNA断片、
(b)配列表の配列番号7に示される塩基配列の1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入または付加された塩基配列からなるDNA断片。 - 無細胞系タンパク質合成において翻訳反応促進のために使用される、合成するタンパク質をコードする構造遺伝子の5’上流側に逆方向に1個組み込まれ、前記合成するタンパク質がルシフェラーゼの場合にルシフェラーゼコントロールRNAに対するルシフェラーゼの相対合成量が300%以上となる翻訳反応促進活性を有する、以下の(a)または(b)のDNA断片。
(a)配列表の配列番号7に示される塩基配列からなるDNA断片、
(b)配列表の配列番号7に示される塩基配列の1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入または付加された塩基配列からなるDNA断片。 - 無細胞系タンパク質合成において翻訳反応促進のために使用される、合成するタンパク質をコードする構造遺伝子の5’上流側に逆方向に1個組み込まれ、前記合成するタンパク質がルシフェラーゼの場合にルシフェラーゼコントロールRNAに対するルシフェラーゼの相対合成量が300%以上となる翻訳反応促進活性を有する、以下の(a)または(b)のDNA断片。
(a)配列表の配列番号8に示される塩基配列からなるDNA断片、
(b)配列表の配列番号8に示される塩基配列の1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入または付加された塩基配列からなるDNA断片。 - 無細胞系タンパク質合成において翻訳反応促進のために使用される、合成するタンパク質をコードする構造遺伝子の5’上流側に順方向に1個組み込まれ、前記合成するタンパク質がルシフェラーゼの場合にルシフェラーゼコントロールRNAに対するルシフェラーゼの相対合成量が300%以上となる翻訳反応促進活性を有する、以下の(a)または(b)のDNA断片。
(a)配列表の配列番号10に示される塩基配列からなるDNA断片、
(b)配列表の配列番号10に示される塩基配列の1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入または付加された塩基配列からなるDNA断片。 - タンパク質をコードする構造遺伝子と、前記構造遺伝子の5'上流側に組み込まれたDNA断片とを有する無細胞系タンパク質合成用の鋳型DNAであって、前記タンパク質がルシフェラーゼの場合にルシフェラーゼコントロールRNAに対するルシフェラーゼの相対合成量が300%以上となる翻訳反応促進活性を有する以下の(a)または(b)のDNA断片が、前記構造遺伝子の5'上流側に順方向に1個組み込まれたものである鋳型DNA。
(a)配列表の配列番号4に示される塩基配列からなるDNA断片、
(b)配列表の配列番号4に示される塩基配列の1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入または付加された塩基配列からなるDNA断片。 - タンパク質をコードする構造遺伝子と、前記構造遺伝子の5'上流側に組み込まれたDNA断片とを有する無細胞系タンパク質合成用の鋳型DNAであって、前記タンパク質がルシフェラーゼの場合にルシフェラーゼコントロールRNAに対するルシフェラーゼの相対合成量が300%以上となる翻訳反応促進活性を有する以下の(a)または(b)のDNA断片が、前記構造遺伝子の5'上流側に逆方向に1個組み込まれたものである鋳型DNA。
(a)配列表の配列番号6に示される塩基配列からなるDNA断片、
(b)配列表の配列番号6に示される塩基配列の1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入または付加された塩基配列からなるDNA断片。 - タンパク質をコードする構造遺伝子と、前記構造遺伝子の5'上流側に組み込まれたDNA断片とを有する無細胞系タンパク質合成用の鋳型DNAであって、前記タンパク質がルシフェラーゼの場合にルシフェラーゼコントロールRNAに対するルシフェラーゼの相対合成量が300%以上となる翻訳反応促進活性を有する以下の(a)または(b)のDNA断片が、前記構造遺伝子の5'上流側に逆方向に2個組み込まれたものである鋳型DNA。
(a)配列表の配列番号6に示される塩基配列からなるDNA断片、
(b)配列表の配列番号6に示される塩基配列の1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入または付加された塩基配列からなるDNA断片。 - タンパク質をコードする構造遺伝子と、前記構造遺伝子の5'上流側に組み込まれたDNA断片とを有する、昆虫培養細胞由来抽出物を含有する無細胞系タンパク質合成反応液を用いた無細胞系タンパク質合成用の鋳型DNAであって、前記タンパク質がルシフェラーゼの場合にルシフェラーゼコントロールRNAに対するルシフェラーゼの相対合成量が300%以上となる翻訳反応促進活性を有する以下の(a)または(b)のDNA断片が、前記構造遺伝子の5'上流側に順方向に1個組み込まれたものである記載の鋳型DNA。
(a)配列表の配列番号7に示される塩基配列からなるDNA断片、
(b)配列表の配列番号7に示される塩基配列の1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入または付加された塩基配列からなるDNA断片。 - タンパク質をコードする構造遺伝子と、前記構造遺伝子の5'上流側に組み込まれたDNA断片とを有する無細胞系タンパク質合成用の鋳型DNAであって、前記タンパク質がルシフェラーゼの場合にルシフェラーゼコントロールRNAに対するルシフェラーゼの相対合成量が300%以上となる翻訳反応促進活性を有する以下の(a)または(b)のDNA断片が、前記構造遺伝子の5'上流側に逆方向に1個組み込まれたものである鋳型DNA。
(a)配列表の配列番号7に示される塩基配列からなるDNA断片、
(b)配列表の配列番号7に示される塩基配列の1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入または付加された塩基配列からなるDNA断片。 - タンパク質をコードする構造遺伝子と、前記構造遺伝子の5'上流側に組み込まれたDNA断片とを有する無細胞系タンパク質合成用の鋳型DNAであって、タンパク質がルシフェラーゼの場合にルシフェラーゼコントロールRNAに対するルシフェラーゼの相対合成量が300%以上となる翻訳反応促進活性を有する以下の(a)または(b)のDNA断片が、前記構造遺伝子の5'上流側に逆方向に1個組み込まれたものである鋳型DNA。
(a)配列表の配列番号8に示される塩基配列からなるDNA断片、
(b)配列表の配列番号8に示される塩基配列の1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入または付加された塩基配列からなるDNA断片。 - タンパク質をコードする構造遺伝子と、前記構造遺伝子の5'上流側に組み込まれたDNA断片とを有する無細胞系タンパク質合成用の鋳型DNAであって、タンパク質がルシフェラーゼの場合にルシフェラーゼコントロールRNAに対するルシフェラーゼの相対合成量が300%以上となる翻訳反応促進活性を有する以下の(a)または(b)のDNA断片が、前記構造遺伝子の5'上流側に順方向に1個組み込まれたものである鋳型DNA。
(a)配列表の配列番号10に示される塩基配列からなるDNA断片、
(b)配列表の配列番号10に示される塩基配列の1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入または付加された塩基配列からなるDNA断片。 - 無細胞系タンパク質合成における転写鋳型として使用される、請求項8〜10及び12〜14のいずれかに記載の鋳型DNA。
- 請求項8〜10及び12〜14のいずれかに記載の鋳型DNAより転写して得られるmRNAであって、無細胞系タンパク質合成における翻訳鋳型として使用されるmRNA。
- 請求項8〜10及び12〜14のいずれかに記載の鋳型DNAまたはそれを転写して得られるmRNAを含有する無細胞系タンパク質合成用反応液。
- 節足動物由来の抽出物を含有する、請求項17に記載の反応液。
- 節足動物由来の抽出物が昆虫組織から抽出されたものである、請求項18に記載の反応液。
- 昆虫組織が、カイコ組織である請求項19に記載の反応液。
- カイコ組織が、カイコ幼虫の後部絹糸腺を少なくとも含有するものである、請求項20に記載の反応液。
- 節足動物由来の抽出物が昆虫培養細胞から抽出されたものである、請求項18に記載の反応液。
- 昆虫培養細胞がTrichoplusia ni卵細胞由来の培養細胞である、請求項22に記載の反応液。
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