JP4442535B2 - 翻訳反応促進dna断片を含む発現ベクター及びそれを用いたタンパク質合成方法 - Google Patents

翻訳反応促進dna断片を含む発現ベクター及びそれを用いたタンパク質合成方法 Download PDF

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Description

本発明は、翻訳反応を促進させるDNA断片を有するタンパク質発現ベクターに関する。
近年、ヒトゲノムを始め多くの生物の遺伝情報が解読されてきている。このような中、ポストゲノム研究として、これらの遺伝情報に対応するタンパク質の機能解析やゲノム創薬が注目を集めている。これらの遺伝情報に対応するタンパク質を医薬品などに応用、利用するには、莫大な種類のタンパク質を短時間で簡単に合成することが必要となってくる。
現在、タンパク質の生産方法には、遺伝子組換え技術によって酵母や昆虫細胞(昆虫培養細胞)などの生細胞を用いる発現系(以下、「細胞系」ということがある)が広く利用されている。しかし、生細胞は自己機能を維持するために外来タンパク質を排除する傾向があり、また生細胞で細胞毒タンパク質を発現すると細胞が生育しないなど発現が困難なタンパク質も多い。
一方、細胞系を使用しないタンパク質の生産方法として、細胞破砕液や抽出液に基質や酵素などを加えるなどして生物の遺伝情報翻訳系または遺伝情報転写/翻訳系を試験管内に取り揃え、反応鋳型として目的タンパク質をコードする構造遺伝子を有するDNA(転写鋳型)またはmRNA(翻訳鋳型)を用いて、アミノ酸を望みの順番に必要な残基数結合させることのできる合成系を再構築する、無細胞系のタンパク質合成が知られている。このような無細胞系タンパク質合成では、上記細胞系のタンパク質合成のような制約を受けにくく、生物の命を断つことなくタンパク質の合成を行うことができ、またタンパク質の生産に培養などの操作を伴わないため細胞系と比較して短時間にタンパク質の合成を行うことができる。さらに無細胞系タンパク質合成では、生命体が利用していないアミノ酸配列からなるタンパク質の大量生産も可能となることから、有望な発現方法であると期待されている。このような無細胞系のタンパク質合成に供する抽出液(無細胞系タンパク質合成用抽出液)として、種々の生物由来のものを使用することが検討され、研究が進められている。
ところで真核生物のmRNAは、DNAより転写された後、スプライシングやポリAテールの付加、5'キャップ構造の付加などの様々な修飾が行われていることが知られている。ポリAテールおよび5'キャップ構造の付加により、真核生物mRNAは、リボソームの40sサブユニットへの結合が促進される。したがって従来、真核生物由来の無細胞系タンパク質合成用抽出液を用いる場合、効率的な翻訳反応を行うために、転写反応系に市販のキャップアナログを添加してmRNAのキャッピングを行ってきた。しかし、キャップアナログは高価であり、転写効率を著しく減少させmRNAも少量しか得られないという問題があった。さらに、未反応のキャップアナログは翻訳反応も阻害するため、転写反応終了後にはこの未反応のキャップアナログをスピンカラムなどを用いて完全に除去する必要があり、ハイスループットにサンプルを処理していく上で大きな問題となっていた。
このような背景のもと、河原崎らはタバコモザイクウィルス由来の5'非翻訳領域(5' un translated region、以下「5'UTR」と略す)がキャップ非依存性の(キャップ構造をとることなく)翻訳促進活性を持つことを明らかとした(たとえば、非特許文献1を参照)。非特許文献1では、小麦胚芽抽出液を用いた無細胞系タンパク質合成において、タバコモザイクウィルス由来の5'UTRを、所望のタンパク質をコードする構造遺伝子の5'上流側に付加させたDNAより転写して得られたmRNAを翻訳鋳型として用いたところ、キャップ構造を付加させたmRNAと同様の翻訳効率が得られたことが報告されている。また、ウサギ網状赤血球由来の抽出液を用いた無細胞系タンパク質合成において、ラビットβ−グロビンの5'UTRが同様の作用を持つことも報告されている(たとえば、非特許文献2を参照)。
無細胞系タンパク質合成用抽出液としては、上記小麦胚芽、ウサギ網状赤血球の他、大腸菌、昆虫培養細胞など由来のものが、従来より知られている。我々は、これまでカイコ組織由来の抽出液(カイコ抽出液)や昆虫培養細胞由来の抽出液(昆虫培養細胞抽出液)哺乳動物培養細胞由来の抽出液(以下、哺乳動物培養細胞抽出液)を使用した無細胞系タンパク質合成方法を提案してきている(たとえば、特許文献3、特許文献4、特願2003−165390号明細書参照)。我々が提案するカイコ抽出液や昆虫培養細胞抽出液、哺乳動物培養細胞抽出液を用いた無細胞系タンパク質合成方法では、従来の方法と比較して、抽出液の調製が格段に容易であり、真核生物由来であるため糖タンパク質の合成も可能であるという利点があり、非常に有用である。したがってこのような抽出液を用いた無細胞系タンパク質合成においても、より迅速かつ高収量に無細胞系タンパク質合成を行い得るべく、キャップ構造に依存しない翻訳促進配列を見出し、さらに所望の遺伝子を簡便にクローニングできる発現ベクターを構築することは非常に重要な課題であった。
河原崎 et al, 「Biotechnol. Prog」Vol.3, p517-521(2000). Annweiler et al, 「Nucleic acids Res」Vol.3, p3750(1991). 特開2003−235598 特開2004−215651
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、所望の遺伝子を簡便にクローニングでき、さらに翻訳効率を向上し得るDNA断片を含むタンパク質発現ベクターを提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は以下のとおりである。
〔1〕翻訳反応促進活性を有する配列表の配列番号9に示される塩基配列からなるDNA断片を含む発現ベクター。
〔2〕 上記〔1〕に記載された発現ベクターを用いた、無細胞系タンパク質合成方法。
〔3〕 動物由来の抽出物を含有する無細胞系タンパク質合成反応液を用いた、上記〔2〕に記載の無細胞系タンパク質合成方法。
〔4〕 動物由来の抽出物が節足動物から抽出されたものである、上記〔3〕に記載の無細胞系タンパク質合成方法。
〔5〕 節足動物が昆虫組織である、上記〔4〕に記載の無細胞系タンパク質合成方法。
〔6〕 昆虫組織がカイコ組織である、上記〔5〕に記載の無細胞系タンパク質合成方法。
〔7〕 節足動物が昆虫培養細胞である、上記〔4〕に記載の無細胞系タンパク質合成方法。
〔8〕 昆虫培養細胞がTrichoplusia niの卵細胞由来及び/又はSpodoptera frugiperda卵巣細胞由来の細胞である、上記〔7〕に記載の無細胞系タンパク質合成方法。
〔9〕 動物由来の抽出物が哺乳動物細胞から抽出されたものである、上記〔3〕に記載の無細胞系タンパク質合成方法。
〔10〕 哺乳動物細胞が哺乳動物培養細胞である、上記〔9〕に記載の無細胞系タンパク質合成方法。
〔11〕 哺乳動物培養細胞が、Chinese hamster ovary細胞である上記〔10〕に記載の無細胞系タンパク質合成方法。
〔12〕 哺乳動物細胞がウサギ網状赤血球である、上記〔9〕に記載の無細胞タンパク質合成方法。
〔13〕 コムギ胚芽由来の抽出物を含有する無細胞系タンパク質合成反応液を用いた、上記〔2〕に記載の無細胞系タンパク質合成方法。
〔14〕 上記〔1〕から〔13〕のいずれかに記載の発現ベクター含む、無細胞系タンパク質合成用キット。
本発明のタンパク質発現ベクターによれば、所望の遺伝子を簡単にクローニングでき、さらに翻訳効率を向上することが可能である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の発現ベクターは、タンパク質発現系において、翻訳反応促進活性を有するDNA断片を含むものである。ここで「翻訳反応促進活性を有する」とは、本発明の発現ベクターを使用して無細胞系タンパク質合成反応を行うことで、この翻訳反応を促進するDNA断片を使用しなかった場合と比較して、タンパク質合成量が向上されることを指す。
上記翻訳反応を促進するDNA断片の効果を簡便に検出する手段として無細胞タンパク質合成系を用いているが、本発明の発現ベクターは無細胞系に限定されることはなく、従来公知の細胞系においても使用できる。
本発明の発現ベクターに含まれる翻訳反応促進活性を有するDNA断片としては、具体的には、配列表の配列番号1〜11のいずれかに示される塩基配列を有する二本鎖DNA断片が挙げられる。これらのDNA断片にはこれらと均等な(上記配列番号1〜11のいずれかに示される塩基配列より、1または数個の塩基が欠失、置換、挿入または付加された)塩基配列を有し、且つ翻訳反応促進活性を有する二本鎖DNA断片も含まれる。
配列表の配列番号1〜11に示す塩基配列は、それぞれ、カイコまたはバキュロウイルスにおける5'非翻訳領域(5'UTR)として公知の塩基配列である。具体的には、配列番号1に示す塩基配列はカイコのフィブロインL鎖遺伝子の5'UTRの塩基配列、配列番号2に示す塩基配列はカイコのセリシン遺伝子の5'UTRの塩基配列、配列番号3に示す塩基配列はAcNPV(Autographa californica nuclear polyhedrosis virus)のポリヘドリン遺伝子の5'UTRの塩基配列、配列番号4に示す塩基配列はBmCPV(Bombyx mori cytoplasmic polyhedrosis virus)のポリヘドリン遺伝子の5'UTRの塩基配列、配列番号5に示す塩基配列はEsCPV(Euxoa scandes cytoplasmic polyhedrosis virus)のポリヘドリン遺伝子の5'UTRの塩基配列、配列番号6に示す塩基配列はHcNPV(Hyphantria cunea nuclear polyhedrosis virus)のポリヘドリン遺伝子の5'UTRの塩基配列、配列番号7に示す塩基配列はCrNPV(Choristoneura rosaceana nucleopolyhedrovirus)のポリヘドリン遺伝子の5'UTRの塩基配列、配列番号8に示す塩基配列はEoNPV(Ecotropis oblique nuclear polyhedrosis virus)のポリヘドリン遺伝子の5'UTRの塩基配列、配列番号9に示す塩基配列はMnNPV(Malacosma neustria nucleopolyhedrovirus)のポリヘドリン遺伝子の5'UTRの塩基配列、配列番号10に示す塩基配列はSfNPV(Spodoptera frugiperda nucleopolyhedrovirus)のポリヘドリン遺伝子の5'UTRの塩基配列、配列番号11に示す塩基配列はWsNPV(Wiseana signata nucleopolyhedrovirus)のポリヘドリン遺伝子の5'UTRの塩基配列として、それぞれ公知である。本発明は、これらの塩基配列を有するDNA断片、あるいは機能を損なわない範囲で均等なDNA断片が、無細胞系タンパク質合成において、特に有用な翻訳反応促進活性を発揮することを見出したものである。なお、本発明における発現ベクターに含まれるDNA断片は、カイコまたはバキュロウイルスの5'UTRに由来するものであれば、上記塩基配列を必ずしも有してなくともよい。
本発明の発現ベクターに含まれるDNA断片は従来公知のいかなる方法により得られてもよい。たとえば、公知のDNA合成機を用いて合成することができる。
なお、本発明の発現ベクターに含まれる翻訳反応促進活性を有するDNA断片のうち、顕著な翻訳反応促進活性を発揮し、特に好適なものとして以下のものが例示される。
(1)配列番号2に示される塩基配列からなるDNA断片、またはそれと均等な塩基配列を有し且つ翻訳反応促進活性を有するDNA断片が、プロモーター配列の3’下流側に順方向に1個組み込まれた発現ベクター;
(2)配列番号3に示される塩基配列からなるDNA断片、またはそれと均等な塩基配列を有し且つ翻訳反応促進活性を有するDNA断片が、プロモーター配列の3’下流側に順方向に1個組み込まれた発現ベクター;
(3)配列番号4に示される塩基配列からなるDNA断片、またはそれと均等な塩基配列を有し且つ翻訳反応促進活性を有するDNA断片が、プロモーター配列の3’下流側に順方向に1個組み込まれた発現ベクター;
(4)配列番号5に示される塩基配列からなるDNA断片、またはそれと均等な塩基配列を有し且つ翻訳反応促進活性を有するDNA断片が、プロモーター配列の3’下流側に逆方向に2個組み込まれた発現ベクター;
(5)配列番号6に示される塩基配列からなるDNA断片、またはそれと均等な塩基配列を有し且つ翻訳反応促進活性を有するDNA断片が、プロモーター配列の3’下流側に逆方向に1個組み込まれた発現ベクター;
(6)配列番号6に示される塩基配列からなるDNA断片、またはそれと均等な塩基配列を有し且つ翻訳反応促進活性を有するDNA断片が、プロモーター配列の3’下流側に逆方向に2個組み込まれた発現ベクター;
(7)配列番号7に示される塩基配列からなるDNA断片、またはそれと均等な塩基配列を有し且つ翻訳反応促進活性を有するDNA断片が、プロモーター配列の3’下流側に順方向に1個組み込まれた発現ベクター;
(8)配列番号7に示される塩基配列からなるDNA断片、またはそれと均等な塩基配列を有し且つ翻訳反応促進活性を有するDNA断片が、プロモーター配列の3’下流側に逆方向に1個組み込まれた発現ベクター;
(9)配列番号8に示される塩基配列からなるDNA断片、またはそれと均等な塩基配列を有し且つ翻訳反応促進活性を有するDNA断片が、プロモーター配列の3’下流側に逆方向に1個組み込まれた発現ベクター;
(10)配列番号9に示される塩基配列からなるDNA断片、またはそれと均等な塩基配列を有し且つ翻訳反応促進活性を有するDNA断片が、プロモーター配列の3’下流側に順方向に1個または2個組み込まれた発現ベクター;
(11)配列番号9に示される塩基配列からなるDNA断片、またはそれと均等な塩基配列を有し且つ翻訳反応促進活性を有するDNA断片が、プロモーター配列の3’下流側に逆方向に1個組み込まれた発現ベクター;
(12)配列番号10に示される塩基配列からなるDNA断片、またはそれと均等な塩基配列を有し且つ翻訳反応促進活性を有するDNA断片が、プロモーター配列の3’下流側に順方向に1個組み込まれた発現ベクター;
(13)配列番号11に示される塩基配列からなるDNA断片、またはそれと均等な塩基配列を有し且つ翻訳反応促進活性を有するDNA断片が、プロモーター配列の3’下流側に順方向に1個組み込まれた発現ベクター。
本発明の発現ベクターは上記DNA断片の5'上流側に、通常プロモーター配列を少なくとも一つ有する。プロモーター配列としては、たとえば、従来公知のT7プロモーター配列、SP6プロモーター配列、T3プロモーター配列などが挙げられる。
本発明の発現ベクターは、上記DNA断片を一つまたは複数個含む。上記DNA断片は、プロモーター配列の3'下流側において、順方向(5'→3')に組み込まれてもよいし、逆方向に組み込まれてもよい。複数個の上記DNA断片を含む場合、上記DNA断片は同じものであっても互いに異なるものであってもよい。また、2個以上のDNA断片が組み込まれた場合、全てのDNA断片が同じ方向に組み込まれていなくともよい。
また、本発明の発現ベクターは、発現させるタンパク質をコードする構造遺伝子を挿入するための配列を有する。挿入させるための配列としては、従来公知のマルチクローニングサイトや、相同性組み換え反応を起こす配列などが挙げられる。かかるタンパク質をコードする構造遺伝子を挿入させるための配列は、上記翻訳反応促進活性を有するDNA断片の3'下流側に組み込まれる。かかる構造遺伝子を挿入するための配列に、発現させたタンパク質の精製を容易にするという観点から従来公知のヒスチジンタグや、GSTタグをコードする塩基配列などを付加させてもよい。
また、本発明の発現ベクターは上記タンパク質をコードする構造遺伝子を挿入させるための配列の3'下流側に、合成されたmRNAの安定性などの観点から3'非翻訳領域(3'UTR)およびポリA配列を有しているのが好ましい。
また、本発明の発現ベクターは上記ポリA配列の3'下流側に転写を終結させる機能を有するターミネーター配列を有していることが好ましい。上記ターミネーター配列としては、たとえば、従来公知のT7ターミネーター配列、SP6ターミネーター配列、T3ターミネーター配列などが挙げられる。
また、本発明の発現ベクターは、宿主内で安定に保持されるために薬剤耐性マーカーを有する。薬剤耐性マーカーとしては、たとえば従来公知のアンピシリン耐性遺伝子、カナマイシン耐性遺伝子などが挙げられる。
また、本発明の発現ベクターは、宿主内で自立複製を行うために複製起点を有する。複製起点としては、たとえば従来公知のpBR322 Ori、pUC Ori、SV40 Oriなどが挙げられる。また、シャトルベクターとして使用できるように、異なる宿主間で機能する複製起点を有していてもよい。
上記発現ベクターは、従来公知の遺伝子組み換え技術を用いて作製することができる。
上述してきた本発明の発現ベクターに、無細胞系にて合成させる目的タンパク質(ペプチドを含む)をコードする構造遺伝子を挿入する。構造遺伝子がコードするタンパク質(ペプチドを含む)に特に制限はなく、生細胞で細胞毒となるタンパク質をコードする塩基配列を有するものであってもよいし、糖タンパク質をコードする塩基配列を有するものであってもよいし、融合タンパク質をコードする塩基配列であってもよい。また発現させたタンパク質の精製を容易にするという観点から従来公知のヒスチジンタグや、GSTタグをコードする塩基配列などを付加させてもよい。これらのタグ配列は通常目的タンパク質のN末端またはC末端に付加される。
なお構造遺伝子は、その塩基数に特に制限はなく、目的とするタンパク質を合成し得るならば全てが同じ塩基数でなくともよい。また、目的とするタンパク質を合成し得る程度に相同な配列であれば、各構造遺伝子は、複数個の塩基が欠失、置換、挿入または付加されたものであってよい。
上記本発明の発現ベクターに、目的タンパク質(ペプチドを含む)をコードする構造遺伝子を挿入したベクター(以下鋳型DNA)は、細胞系および無細胞系において使用することができる。本発明は、上記本発明の発現ベクターを使用したタンパク質合成方法も含まれる。
細胞系において鋳型DNAを使用する場合、従来公知の方法で、宿主となる生物に鋳型DNAを導入し形質転換体を得る。この際に使用する宿主はいかなる生物種を用いてもよい。中でも本発現ベクターに含まれる翻訳促進作用を有するDNA断片は、カイコまたはバキュロウィルス由来であることから、バキュロウィルス発現系やカイコを用いた細胞系において特に好適に使用することができる。
無細胞系タンパク質合成は、一般に、mRNAの情報を読み取ってタンパク質を合成する無細胞翻訳系のみによるタンパク質合成(翻訳系)、ならびにDNAよりmRNAを転写する転写工程と、該転写工程で得られたmRNAの情報を読み取ってタンパク質を合成する翻訳工程とを含むタンパク質合成(転写/翻訳系)とに大きく分けられるが、上記鋳型DNAは、いずれの系においても好適に使用することができる。
上記鋳型DNAを用いた無細胞系タンパク質合成系において、使用される抽出液は、鋳型DNAにコードされるタンパク質を生成させ得るものであれば如何なるものであってもよく、従来公知の大腸菌、コムギ、オオムギ、イネ、コーン等のイネ科の植物、及びホウレンソウなど植物種子の胚芽、ウサギ網状赤血球などから抽出された抽出物、抽出液を特に制限なく使用することができる。これらは市販のものを用いることもできるし、それ自体既知の方法、具体的には、大腸菌抽出液の場合、Zubay G「Ann Rev Genet」Vol.7, p267−287(1973)などに記載の方法等に準じて調製することもできる。市販のタンパク質合成用細胞抽出液としては、大腸菌由来では、E. coli S30 extract for linear templates(プロメガ社製)などが挙げられ、ウサギ網状赤血球由来ではrabbit reticulocyte lysate systems(プロメガ社製)など、コムギ胚芽由来ではwheat germ extract(プロメガ社製)、PROTEIOS(東洋紡績社製)などが挙げられる。
このように上記鋳型DNAを用いた無細胞系タンパク質合成用反応液には、上述のような公知の抽出物、抽出液が含まれていてもよいが、本発明者らが提案してきている動物由来の抽出物が含まれているものであることが好ましい。動物由来の抽出物としては節足動物由来の抽出物、哺乳動物培養細胞由来の抽出物などが挙げられる。
上記節足動物由来の抽出液として、節足動物の成長段階のいずれを問わずいかなる組織から抽出されたものであってもよく、また、節足動物のいずれの組織由来の培養細胞より抽出されたものであってもよい。中でも、カイコ組織または昆虫培養細胞から抽出されたものであるのが好ましい。カイコ組織を抽出対象とする場合、5齢期の3日〜7日のカイコ幼虫の後部絹糸腺からの抽出物を含有すると、短時間で大量のタンパク質が合成可能な無細胞系タンパク質合成用反応液が得られるという利点もあり、特に好ましい(特開2003−235598明細書参照)。また、昆虫培養細胞を抽出対象とする場合、タンパク質合成能が高く、また無血清培地にて培養が可能である、Trichoplusia niの卵細胞由来の細胞High Five(Invitrogen社製)およびSpodoptera frugiperda卵巣細胞由来の細胞Sf21(Invitrogen社製)が好適な昆虫培養細胞として例示される(特開2004−215651明細書参照)。
また上記哺乳動物培養細胞由来の抽出液として、特に制限はなく、たとえば、ヒト、ラット、マウス、サルなどの従来公知の適宜の哺乳動物由来の培養細胞を使用することができる。
また、哺乳動物培養細胞としては、いかなる組織由来の細胞であってもよく、たとえば、血球細胞、生殖巣由来細胞、リンパ腫(リンホーマ)由来細胞、その他の腫瘍細胞、幹細胞などを特に制限なく使用することができる。中でも浮遊培養が可能であるため、培養および継代が容易であることから、リンパ腫由来細胞を使用するのが好ましい。また、Chinese hamster ovary(CHO) K1-SFM細胞は、浮遊培養が可能であるだけでなく、無血清培地にて培養が可能であり、より培養および継代が容易である。さらに、細胞系において広く利用され、高いタンパク質合成能を有しており、無細胞系においても同様のことが期待できることから、CHO K1-SFM細胞を使用するのが好ましい。
また単一種の哺乳動物における単一の組織由来の哺乳動物培養細胞に限らず、単一種の哺乳動物における複数種の組織由来の哺乳動物培養細胞より抽出を行ってもよく、複数種の哺乳動物における単一の組織由来の哺乳動物培養細胞より抽出を行ってもよく、無論、複数種の哺乳動物における複数種の組織由来の哺乳動物培養細胞より抽出を行ってもよい。
上記動物由来の組織または培養細胞からの抽出操作に用いられる抽出用液としては、特には制限されるものではないが、プロテアーゼインヒビターを少なくとも含有するのが好ましい。プロテアーゼインヒビターを含有する抽出用液を用いると、抽出物に含有されるプロテアーゼの活性が阻害され、当該プロテアーゼによる抽出物中の活性タンパクの不所望な分解を防止でき、抽出物が有するタンパク質合成能を有効に引き出すことができるようになるという利点がある。上記プロテアーゼインヒビターとしては、プロテアーゼの活性を阻害し得るものであるならば特に制限はなく、たとえば、フェニルメタンスルホニルフルオリド(以下、「PMSF」ということがある。)、アプロチニン、ベスタチン、ロイペプチン、ペプスタチンA、E−64(L−trans−エポキシスクシニルロイシルアミド−4−グアニジノブタン)、エチレンジアミン四酢酸、ホスホラミドンなどを使用することができるが、抽出物にはセリンプロテアーゼが含まれることが多いことから、上記中でもセリンプロテアーゼに対して特異性の高いインヒビターとして働くPMSFを使用するのが好ましい。また、1種類のプロテアーゼインヒビターのみならず、数種類の混合物(プロテアーゼインヒビターカクテル)を用いてもよい。
当該抽出用液中におけるプロテアーゼインヒビターの含有量に特に制限はないが、無細胞系タンパク質合成に必須な酵素類の分解阻害能を好適に発揮できる観点から、1μM〜50mM含有されることが好ましく、0.01mM〜5mM含有されることがより好ましい。プロテアーゼインヒビターが1μM未満であると、プロテアーゼの分解活性を充分抑えることができない傾向にあるためであり、またプロテアーゼインヒビターが50mMを越えると、タンパク質合成反応を阻害する傾向にあるためである。
また上記動物由来の組織または培養細胞に用いる抽出用液は、上記プロテアーゼインヒビターに加えて、カリウム塩、マグネシウム塩、ジチオトレイトール(以下DTT)および緩衝剤を少なくとも含有するのが好ましい。
上記カリウム塩としては、たとえば酢酸カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、塩化カリウム、リン酸水素二カリウム、クエン酸水素二カリウム、硫酸カリウム、リン酸二水素カリウム、ヨウ化カリウム、フタル酸カリウムなど一般的な形態で使用することができ、中でも酢酸カリウムを使用するのが好ましい。カリウム塩は、タンパク質合成反応における補助因子として作用する。
当該抽出用液中におけるカリウム塩の含有量に特に制限はないが、保存安定性の観点から、たとえば酢酸カリウムなど1価のカリウム塩である場合、10mM〜500mM含有されることが好ましく、20mM〜300mM含有されることがより好ましい。カリウム塩が10mM未満または500mMを越えると、タンパク質合成に必須な成分が不安定になる傾向にあるためである。
上記マグネシウム塩としては、たとえば酢酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、クエン酸マグネシウム、リン酸水素マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、乳酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、シュウ酸マグネシウムなど一般的な形態で使用することができ、中でも酢酸マグネシウムを使用するのが好ましい。マグネシウム塩も、タンパク質合成反応における補助因子として作用する。
当該抽出用液中におけるマグネシウム塩の含有量に特に制限はないが、保存安定性の観点から、たとえば酢酸マグネシウムなど2価の塩である場合、0.1mM〜10mM含有されることが好ましく、0.5mM〜5mM含有されることがより好ましい。マグネシウム塩が0.1mM未満または10mMを越えると、タンパク質の合成に必須な成分が不安定になる傾向にあるためである。
上記DTTは、酸化防止の目的で配合されるものであり、当該抽出用液中において0.1mM〜10mM含有されることが好ましく、0.5mM〜5mM含有されることがより好ましい。DTTが0.1mM未満または10mMを越えると、タンパク質の合成に必須な成分が不安定になる傾向にあるためである。
上記緩衝剤は、抽出用液に緩衝能を付与し、たとえば酸性または塩基性物質の添加などによって起こる抽出液のpHの急激な変化による抽出物の変性を防止する目的で配合される。このような緩衝剤としては特に制限はなく、たとえば、HEPES−KOH、Tris−HCl、酢酸−酢酸ナトリウム、クエン酸−クエン酸ナトリウム、リン酸、ホウ酸、MES、PIPESなどを使用することができる。
緩衝剤は、得られた抽出液のpHが4〜10に保持されるようなものを使用するのが好ましく、pHが6.0〜8.5に保持されるようなものを使用するのがより好ましい。抽出液のpHが4未満またはpHが10を越えると、本発明の反応に必須な成分が変性する虞があるためである。このような観点より、上記中でもHEPES−KOH(pH6.0〜8.5)を使用するのが特に好ましい。
当該抽出用液中における緩衝剤の含有量に特に制限はないが、好適な緩衝能を保持する観点から、5mM〜200mM含有されることが好ましく、10mM〜100mM含有されることがより好ましい。緩衝剤が5mM未満であると、酸性または塩基性物質の添加によりpHの急激な変動を引き起こし、抽出物が変性する傾向にあるためであり、また緩衝剤が200mMを越えると、塩濃度が高くなり過ぎ、タンパク質合成に必須な成分が不安定になる傾向にあるためである。
さらに、抽出対象が節足動物や哺乳動物由来の培養細胞である場合、得られる抽出液のタンパク質合成能向上を目的として、カルシウム塩およびグリセロールがさらに添加されたものであるのが好ましい。カルシウム塩としては特に制限はなく、例えば、塩化カルシウム、酢酸カルシウム、硫酸カルシウム、クエン酸カルシウム、ヨウ化カルシウム、乳酸カルシウム、硝酸カルシウム、シュウ酸カルシウムなど、一般的な形態で使用することができ、中でも塩化カルシウムを使用するのが好ましい。この場合、塩化カルシウムの含有量は特に制限されないが、タンパク質合成能の向上の効果を有効に発揮し得る観点より、0.1mM〜10mM含有されることが好ましく、0.5mM〜5mM含有されることがより好ましい。また、グリセロールの添加量についても特に制限されるものではないが、タンパク質合成能の向上の効果を有効に発揮し得る観点より、5(v/v)%〜80(v/v)%となるように添加されるのが好ましく、10(v/v)%〜50(v/v)%となるように添加されるのがより好ましい。
上記節足動物由来の抽出液は従来公知の適宜の抽出操作を行って得られることができるが、中でも抽出操作が簡便で高いタンパク質合成活性が得られるため、カイコ組織由来の抽出液は特開2003−235598明細書記載の方法、培養細胞由来の抽出液は特開2004−215651明細書記載の方法によって作製することが好ましい。
また哺乳動物培養細胞由来抽出液を作製する際における細胞破砕方法についても特に制限はなく、従来公知の適宜の方法にて行うことができる。中でも凍結・解凍によって細胞を破砕する方法が好ましい。上記方法は、従来の手法と比較して、より穏和な状態で細胞の破砕を行うことができるため、タンパク質合成に必須な成分を破壊することなく細胞外に取り出すことができるので、従来よりも無細胞系にてタンパク質の合成量の高い哺乳動物培養細胞抽出液を容易に調製することができる。
上記哺乳動物培養細胞の細胞破砕方法では、抽出用液中に懸濁した哺乳動物培養細胞を急激に凍結させることを要する。該破砕方法において、「急激に凍結」とは、10秒以下、好ましくは2秒以下にて、哺乳動物培養細胞を凍結させることを指す。哺乳動物培養細胞の凍結を急激に行わなかった場合には、タンパク質合成に必須な成分が不活化する虞があるため、該抽出方法の上記効果を達成することができない。
上記のように哺乳動物培養細胞を急激に凍結させる温度としては、通常−80℃以下であり、好ましくは−150℃以下である。−80℃を越える温度で急激に凍結させると、タンパク質合成に必須な成分が失活してタンパク質合成能が低下してしまう傾向にあるためである。
上記哺乳動物培養細胞の急激な凍結は、たとえば、液体窒素や液体ヘリウムなどの不活性ガスを使用することなどによって実現できるが、入手が容易であり安価な液体窒素を用いて行うのが好ましい。
上記急激に凍結した哺乳動物培養細胞を、解凍した後、遠心分離する場合、解凍は、たとえば−10℃〜20℃の水浴または氷水浴中での解凍、室温(25℃)にての放置などによって実現できるが、タンパク質合成に必須な成分の失活を防止し、タンパク質合成能の低下を確実に防ぐことから、0℃〜20℃(特には、4℃〜10℃)の水浴または氷水浴中で解凍を行うのが好ましい。
解凍した哺乳動物培養細胞の遠心分離は、当分野において通常行われている条件(10,000×g〜50,000×g、0℃〜10℃、10分間〜60分間)で行えばよい。
哺乳動物培養細胞抽出液の調製方法において、細胞破砕後から、無細胞系タンパク質合成用の哺乳動物培養細胞抽出液を得るまでの手順等については特に制限されるものではない。
たとえば、抽出用液中に懸濁した哺乳動物培養細胞を急激に凍結させる工程の後に、解凍し、遠心分離する場合には、この遠心分離後の上清(上清1)をそのまま哺乳動物培養細胞抽出液としてもよいし、また、上清1をさらに遠心分離して、得られた上清(上清2)を哺乳動物培養細胞抽出液としてもよい。上記上清1の遠心分離の条件としては、上述したのと同様の条件(10,000×g〜50,000×g、0℃〜10℃、10分間〜60分間)で行えばよい。
なお上述のようにそれぞれ調製した後に、ゲル濾過を施し、ゲル濾過後の濾液より280nmにおける吸光度が10以上の画分を分取して抽出液として調製するようにしてもよい。
なお、調製方法に供する哺乳動物培養細胞は、培養に用いる培地の翻訳反応液への持込みを避けるため、上記急激な凍結を行う前に、洗浄液にて予め洗浄しておくのが好ましい。洗浄液の組成としては、上述した抽出用液と同様の組成のものであればよい。洗浄液での洗浄は、哺乳動物培養細胞に洗浄液を添加し、これを遠心分離(たとえば、700×g、10分間、4℃という条件)することによって行う。
洗浄に用いる洗浄液の量は、培地を完全に洗い流すという理由から、湿重量1gの哺乳動物培養細胞に対し5mL〜100mLであるのが好ましく、10mL〜50mLであるのがより好ましい。
洗浄回数は、1回〜5回行うのが好ましく、2回〜4回行うのがより好ましい。
哺乳動物培養細胞の量は、特に制限されるものではないが、抽出効率を最適に保つため、抽出用液1mLに対して0.1g〜5gであるのが好ましく、0.5g〜2gであるのがより好ましい。
哺乳動物培養細胞由来の抽出液中における抽出物の含有量に特に制限はないが、タンパク質濃度で1mg/mL〜200mg/mLであるのが好ましく、中でも10mg/mL〜100mg/mLであるのがより好ましい。当該抽出物の含有量がタンパク質濃度で1mg/mL未満であると、無細胞系タンパク質合成に必須な成分の濃度が低くなり、充分な合成反応が行えなくなる虞があるためであり、また当該抽出物の含有量がタンパク質濃度で200mg/mLを越えると、抽出液自体が高い粘性を有し、操作しづらい虞があるためである。
なお上記範囲の量の抽出物を含有する抽出液は、抽出液のタンパク質濃度測定を利用して、調製できる。当該タンパク質濃度測定は、当分野において通常行われているように、たとえばBCA Protein assay Kit(PIERCE社製)を使用し、反応試薬2mLに対してサンプルを0.1mL加え、37℃で30分間反応させ、562nmにおける吸光度を測定する、といった手順によって行う。分光光度計(Ultrospec3300pro、アマシャム バイオサイエンス社製)を用いて、562nmにおける吸光度を測定する。コントロールとしては、通常、ウシ血清アルブミン(BSA)を使用する。
哺乳動物培養細胞由来の抽出液は、抽出物をタンパク質濃度で10mg/mL〜100mg/mL含有するとともに、20mM〜300mMの酢酸カリウム、0.5mM〜5mMの酢酸マグネシウム、0.5mM〜5mMのDTT、0.01mM〜5mMのPMSF、10mM〜100mMのHEPES−KOH(pH6〜8.5)を含有するように実現されるのが好ましい。また上記に加えて、さらに0.5mM〜5mMの塩化カルシウム塩および10(v/v)%〜50(v/v)%のグリセロールを含有することが好ましい。
無細胞系タンパク質合成反応液においては、たとえば上述したようにして調製された節足動物由来または哺乳動物培養細胞抽出液を用いて調製する。上記反応液は上記抽出液を10(v/v)%〜80(v/v)%、特には30(v/v)%〜60(v/v)%含有するように調製されたものであるのが好ましい。すなわち、反応液の全体において、上記節足動物由来または哺乳動物培養細胞由来の抽出物の含有量が、タンパク質濃度で0.1mg/mL〜160mg/mLとなるように調製されるのが好ましく、3mg/mL〜60mg/mLとなるように調製されるのがより好ましい。当該抽出物の含有量がタンパク質濃度で0.1mg/mL未満または160mg/mLを越えると、タンパク質の合成速度が低下する傾向にあるためである。
尚、当該抽出物の含有量が上記範囲なら、上記節足動物由来または哺乳動物細胞由来の抽出液を単独で用いてもよいし、異なる抽出液を混合してもよい。また異なる抽出液を混合する場合はいかなる割合であってもよい。
上記節足動物由来の抽出物を含有する抽出液を用いた場合における翻訳系用反応液、転写/翻訳系用反応液において、特に制限はなく従来公知の適宜の成分を含有していてもよい。中でも短時間で大量のタンパク質が合成できるという観点から翻訳系用反応液において、カイコ組織由来の翻訳系用反応液の場合、特開2003−235598明細書、培養細胞由来抽出液の場合、特開2004−215651明細書記載の成分が含有されることが好ましい。また転写/翻訳系用反応液の場合、例えば特開2003−245094明細書記載の成分が含有される。
上記哺乳動物培養細胞由来の抽出物を含有する抽出液を用いた無細胞系タンパク質合成反応液は、上記記載の哺乳動物培養細胞抽出液を除く成分として、外来mRNA、カリウム塩、マグネシウム塩、DTT、アデノシン三リン酸、グアノシン三リン酸、クレアチンリン酸、クレアチンキナーゼ、アミノ酸成分、緩衝剤を少なくとも含有するのが好ましい。かかる反応液を使用して翻訳反応を行うことで、短時間で大量のタンパク質の合成が可能である。
上記反応液に用いる外来mRNAとは、鋳型DNA(本発明の発現ベクターに目的タンパク質をコードする構造遺伝子が挿入されたもの)より転写したmRNAを指し、コードするタンパク質(ペプチドを含む)に特に制限はなく、毒性を有するタンパク質をコードするものであってもよいし、糖タンパク質をコードするものであってもよいし、融合タンパク質をコードする塩基配列であってもよいし、また発現させたタンパク質の精製を容易にするという観点から従来公知のヒスチジンタグや、GSTタグをコードする塩基配列などを付加させてもよい。これらのタグ配列は通常目的タンパク質のN末端またはC末端に付加される。
なお反応液に用いる外来mRNAは、その塩基数に特に制限はなく、目的とするタンパク質を合成し得るならばmRNA全てが同じ塩基数でなくともよい。また、目的とするタンパク質を合成し得る程度に相同な配列であれば、各mRNAは、複数個の塩基が欠失、置換、挿入または付加されたものであってよい。
反応液中において、外来mRNAは、タンパク質合成の速度の観点から、1μg/mL〜1000μg/mL含有されることが好ましく、10μg/mL〜500μg/mL含有されることがより好ましい。外来mRNAが1μg/mL未満または1000μg/mLを越えると、タンパク質合成の速度が低下する傾向にあるためである。
当該反応液中におけるカリウム塩としては、抽出用液の成分として上述した各種のカリウム塩、好適には酢酸カリウム、を好ましく使用できる。カリウム塩は、上述した抽出用液におけるカリウム塩の場合と同様の観点から、当該反応液中において、10mM〜500mM含有されることが好ましく、20mM〜300mM含有されることがより好ましい。
当該反応液中におけるマグネシウム塩としては、抽出用液の成分として上述した各種のマグネシウム塩、好適には酢酸マグネシウム、を好ましく使用できる。マグネシウム塩は、上述した抽出液におけるマグネシウム塩の場合と同様の観点から、当該反応液中において、0.1mM〜10mM含有されることが好ましく、0.5mM〜5mM含有されることがより好ましい。
当該反応液中におけるDTTは、上述した抽出用液におけるDTTの場合と同様の観点から、0.1mM〜10mM含有されることが好ましく、0.5mM〜5mM含有されることがより好ましい。
当該反応液中におけるアデノシン三リン酸(以下、「ATP」ということがある。)は、タンパク質合成の速度の観点から、当該反応液中において0.01mM〜10mM含有されることが好ましく、0.1mM〜5mM含有されることがより好ましい。ATPが0.01mM未満または10mMを越えると、タンパク質の合成速度が低下する傾向にあるためである。
当該反応液中におけるグアノシン三リン酸(以下、「GTP」ということがある。)は、タンパク質合成の速度の観点から、当該反応液中において0.01mM〜10mM含有されることが好ましく、0.05mM〜5mM含有されることがより好ましい。GTPが0.01mM未満または10mMを越えると、タンパク質合成の速度が低下する傾向にあるためである。
当該反応液中におけるクレアチンリン酸は、タンパク質を継続的に合成するための成分であって、ATPとGTPを再生する目的で配合される。クレアチンリン酸は、タンパク質合成の速度の観点から、当該反応液中において1mM〜200mM含有されることが好ましく、10mM〜100mM含有されることがより好ましい。クレアチンリン酸が1mM未満であると、充分な量のATPとGTPが再生されにくく、結果としてタンパク質の合成速度が低下する傾向にあるためであり、またクレアチンリン酸が200mMを越えると、阻害物質として働き、タンパク質の合成速度が低下する傾向にあるためである。
当該反応液中におけるクレアチンキナーゼは、タンパク質を継続的に合成するための成分であって、クレアチンリン酸と共にATPとGTPを再生する目的で配合される。クレアチンキナーゼは、タンパク質合成の速度の観点から、当該反応液中において1μg/mL〜1000μg/mL含有されることが好ましく、10μg/mL〜500μg/mL含有されることがより好ましい。クレアチンキナーゼが1μg/mL未満であると、充分な量のATPとGTPが再生されにくく、結果としてタンパク質の合成速度が低下する傾向にあるためであり、またクレアチンキナーゼが1000μg/mLを越えると、阻害物質として働き、タンパク質の合成速度が低下する傾向にあるためである。
当該反応液中におけるアミノ酸成分は、20種類のアミノ酸、すなわち、バリン、メチオニン、グルタミン酸、アラニン、ロイシン、フェニルアラニン、グリシン、プロリン、イソロイシン、トリプトファン、アスパラギン、セリン、トレオニン、ヒスチジン、アスパラギン酸、チロシン、リシン、グルタミン、シスチン、アルギニン、の20種類のアミノ酸を少なくとも含有する。このアミノ酸には、ラジオアイソトープ標識されたアミノ酸も含まれる。さらに、必要に応じて、修飾アミノ酸を含有していてもよい。当該アミノ酸成分は、通常、各種類のアミノ酸を概ね等量ずつ含有してなる。
タンパク質合成の速度の観点から、当該反応液中において上記のアミノ酸成分が1μM〜1000μM含有されることが好ましく、10μM〜200μM含有されることがより好ましい。アミノ酸成分が1μM未満または1000μMを越えると、タンパク質の合成速度が低下する傾向にあるためである。
反応液に含有される緩衝剤としては、上述した抽出液と同様のものが好適に使用でき、同様の理由から、HEPES−KOH(pH6〜8.5)を使用するのが好ましい。また、緩衝剤は、上述した抽出液における緩衝剤の場合と同様の観点から、5mM〜200mM含有されることが好ましく、10mM〜100mM含有されることがより好ましい。
さらに、反応液においては、RNaseインヒビターがさらに添加されたものであるのが好ましい。RNaseインヒビターは、抽出液に混在する哺乳動物培養細胞由来のRNaseによって、無細胞系タンパク質合成の際に外来mRNAやtRNAが不所望に消化されて、タンパク質の合成を妨げるのを防ぐ目的で配合されるものであり、当該反応液中において0.1U/μL〜100U/μL含有されることが好ましく、0.5U/μL〜10U/μL含有されることがより好ましい。
さらに、反応液においては、tRNAがさらに添加されたものであるのが好ましい。tRNAは、上記20種類のアミノ酸に対応した種類のtRNAを概ね等量ずつ含有してなる。タンパク質合成の速度の観点から、当該反応液中において1μg/mL〜1000μg/mL含有されることが好ましく、10μg/mL〜500μg/mL含有されることがより好ましい。
さらに、反応液においては、カルシウム塩がさらに添加されたものであるのが好ましい。カルシウム塩としては、抽出用液の成分として上述した各種のカルシウム塩、好適には、塩化カルシウム、を好ましく使用できる。カルシウム塩は、上述した抽出用液におけるカルシウム塩の場合と同様の観点から、当該反応液中において、0.05mM〜10mM含有されることが好ましく、0.1mM〜5mM含有されることがより好ましい。
すなわち、哺乳動物培養細胞由来の抽出液を使用した反応液としては、当該抽出液を30(v/v)%〜60(v/v)%含有するとともに、20mM〜300mMの酢酸カリウム、0.5mM〜5mMの酢酸マグネシウム、0.5mM〜5mMのDTT、0.1mM〜5mMのATP、0.05mM〜5mMのGTP、10mM〜100mMのクレアチンリン酸、10μg/mL〜500μg/mLのクレアチンキナーゼ、10μM〜200μMのアミノ酸成分、10μg/mL〜500μg/mLの外来mRNA、10mM〜100mMのHEPES−KOH(pH6〜8.5)を含有するように実現されるのが好ましい。また、上記に加えてさらに0.5U/μL〜10U/μLのRNaseインヒビター、10μg/mL〜500μg/mLのtRNA、0.1mM〜5mMの塩化カルシウムを含有するように実現されるのがより好ましい。
上記節足動物由来の抽出液または哺乳動物培養細胞抽出液を含有する反応液を用いた無細胞系タンパク質合成反応は、従来公知のたとえば低温恒温槽にて行う。反応温度は、通常、10℃〜40℃、好ましくは20℃〜30℃の範囲内である。反応温度が10℃未満であると、タンパク質の合成速度が低下する傾向にあり、また反応温度が40℃を越えると、必須な成分が変性する傾向にあるためである。反応の時間は、通常、1時間〜72時間、好ましくは3時間〜24時間である。
また、哺乳動物培養細胞抽出液を含有する反応液を用いた無細胞系タンパク質合成の場合、合成反応を行う前に、抽出液にmRNA以外の反応液組成の成分を加えた状態において、一定時間保温を行うのが好ましい。保温は、従来公知のたとえば低温恒温槽にて行う。保温時間は、通常、0℃〜50℃、好ましくは15℃〜37℃の範囲である。保温温度が0℃未満であると保温の効果が得られにくく、また保温温度が50℃を超えると必須な成分が変性する傾向にあるためである。保温の時間は、通常、1分〜120分、好ましくは、10分〜60分である。
また上記転写/翻訳系用反応液を用いた無細胞系タンパク質合成反応(転写/翻訳系合成反応)についても、上記翻訳系合成反応の場合と同様、従来公知のたとえば低温恒温槽にて行えばよい。転写工程の反応温度は、通常、10℃〜60℃、好ましくは20℃〜50℃の範囲内である。転写工程の反応温度が10℃未満であると、転写の速度が低下する傾向にあり、また転写工程の反応温度が60℃を越えると、反応に必須な成分が変性する傾向にあるためである。また翻訳工程の温度は、通常、10℃〜40℃、好ましくは20℃〜30℃の範囲内である。翻訳工程の反応温度が10℃未満であると、タンパク質の合成速度が低下する傾向にあり、また翻訳工程の反応温度が40℃を越えると、反応に必須な成分が変性する傾向にあるためである。
転写/翻訳系合成反応では、転写、翻訳工程を連続して実施し得るという観点から両工程に好適な20℃〜30℃の範囲で反応を行うことが特に好ましい。反応の時間は、全工程あわせて、通常、1時間〜72時間、好ましくは3時間〜24時間である。
上記翻訳系用反応液、転写/翻訳系用反応液を使用して合成できるタンパク質に特に制限はない。合成されたタンパク質の量は、酵素の活性の測定、SDS−PAGE、免疫検定法などによって測定できる。
また、本発明は、上述した本発明の発現ベクターを含む無細胞系合成用キットをも提供する。当該無細胞系タンパク質合成用キットには、無細胞系タンパク質合成反応液を含む。当該無細胞タンパク質合成用キットにおける好適な発現ベクター、無細胞系タンパク質合成反応液の組成、濃度、その他好適な組成については上述した通りである。かかる無細胞系タンパク質合成用キットは、発現ベクター、無細胞系タンパク質合成反応液を収容した適宜の容器と、その他の適当な要素で構成されていればよく、特に制限されるものではない。また、無細胞系タンパク質合成に用いる抽出物は、保存の点から、無細胞系タンパク質合成用反応液と分けて収容していてもよい。
以下に実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
参考例1:ベクターpTNT−Lucの構築
ルシフェラーゼをコードする構造遺伝子を有するpGEM−Luc Vector(プロメガ社製)5ngを鋳型とし、配列表配列番号12に示す塩基配列を有するプライマー(Luc T7−F3−Kpn)と、配列表配列番号13に示す塩基配列を有するプライマー(Luc T7−R4−Kpn)と、KOD plus(東洋紡績社製)を用い、96℃2分で鋳型を変性させた後、96℃15秒、50℃30秒、68℃120秒、30サイクルのPCRを行い、構造遺伝子のオープンリーディングフレーム(ORF)を増幅した。エタノール沈殿によりPCR産物を精製した後、KpnIで消化した。これとは別に、pTNT Vector(プロメガ社製)をKpnIで消化した。これらの反応液をアガロースゲル電気泳動で分離した後、Gen Elute Gel Purification Kit(シグマ社製)を用いて精製した。Ligation High(東洋紡績社製)を用いて、これらをライゲーションした後、大腸菌DH5α(東洋紡績社製)を形質転換した。形質転換した大腸菌からアルカリ−SDS法により調製したプラスミドを、配列表配列番号14に示す塩基配列を有するプライマー(T7 promoter)およびBig Dye Terminator Cycle Sequencing FS(アプライドバイオシステムズ社製)を用いてシークエンシング反応(96℃10秒、50℃5秒、60℃4分、25サイクル)を行った。この反応液をABI PRISM 310 Genetic Analyzer(アプライドバイオシステムズ社製)に供し、塩基配列解析を行った。pTNT Vector由来の5'−βグロビンリーダー配列の下流にルシフェラーゼ遺伝子の開始コドンが挿入されたプラスミドをpTNT−Lucと命名した。
参考例2:鋳型DNA(ベクターpFib−Luc)の作製
上記参考例1で作成したプラスミドベクターpTNT−Lucを鋳型にして、配列表配列番号15に示す塩基配列を有するプライマー(T7p Rv)と、配列表配列番号16に示す塩基配列を有するプライマー(Luc−ATG)を用い、96℃15秒、50℃30秒、68℃5分、30サイクルのPCRを行った。反応終了後、電気泳動でPCR産物を分離した後、Gen Elute Gel Purification Kit(シグマ社製)を用いて精製し、これをライゲーション反応に用いた。このようにして、5'UTRの挿入の効果を確認すべく、プラスミドベクターpTNT−LucからSP6プロモーター配列、5'−βグロビンリーダー配列およびルシフェラーゼをコードする構造遺伝子の5'上流側マルチクローニングサイトを欠失せしめたプラスミドベクターを得た。
配列表配列番号1に示す塩基配列を有するカイコのフィブロインL鎖遺伝子の5'UTRのセンス鎖、アンチセンス鎖をDNA合成機で合成し、T4 Polynucleotide Kinase(東洋紡績社製)によってその5'末端のリン酸化を行った。反応終了後、センス鎖とアンチセンス鎖とを混合し、95℃5分間熱処理した。これを室温になるまで静置しセンス鎖とアンチセンス鎖とをアニーリングさせた。エタノール沈殿により精製した後、水に溶解させた。SigmaSpin Post Reaction Purification Columns(シグマ社製)によって、過剰のATPを取り除いた後、再度エタノール沈殿により精製した。得られた二本鎖DNA断片をインサートとし、上記SP6プロモーター配列、βグロビンリーダー配列および構造遺伝子の5'上流側マルチクローニングサイトを欠失したpTNT−Luc由来のベクターとライゲーションし、大腸菌DH5αを形質転換させた。得られた大腸菌よりプラスミドを調製した後、塩基配列解析を行った。このようにして、カイコのフィブロインL鎖遺伝子の5'UTRが順方向(5'→3')に1個組み込まれたベクターを選択した。このようにして、T7プロモーター配列と構造遺伝子との間にカイコのフィブロインL鎖遺伝子の5'UTRが順方向に1個組み込まれたベクター(鋳型DNA)を作製した。得られた鋳型DNAを、pFib−Lucと名付けた。
参考例3:鋳型DNA(ベクターpSer−Luc)の作製
配列表配列番号2に示す塩基配列を有するカイコのセリシン遺伝子の5'UTRを用いた以外は参考例2と同様にして、T7プロモーター配列と構造遺伝子との間に、配列表配列番号2に示す塩基配列を有するカイコのセリシン遺伝子の5'UTRが順方向(5'→3')に1個組み込まれたベクター(鋳型DNA)を作製した。得られた鋳型DNAを、pSer−Lucと名付けた。
参考例4:鋳型DNA(ベクターpAphd−Luc)の作製
配列表配列番号3に示す塩基配列を有するAcNPV(Autographa californica nuclear polyhedrosis virus)のポリヘドリン遺伝子の5'UTRを用いた以外は参考例2と同様にして、T7プロモーター配列と構造遺伝子との間に、配列表配列番号3に示す塩基配列を有するAcNPVのポリヘドリン遺伝子の5'UTRが順方向(5'→3')に1個組み込まれたベクター(鋳型DNA)を作製した。得られた鋳型DNAを、pAphd−Lucと名付けた。
参考例5:鋳型DNA(ベクターpFAphd−Luc)の作製
参考例2にてカイコのフィブロインL鎖遺伝子の5'UTRより調製した二本鎖DNA断片と、参考例4にてAcNPV(Autographa californica nuclear polyhedrosis virus)のポリヘドリン遺伝子の5'UTRより調製した二本鎖DNA断片とを共にインサートとして用い、上記SP6プロモーター配列、βグロビンリーダー配列および構造遺伝子の5'上流側マルチクローニングサイトを欠失したpTNT−Luc由来のベクターとライゲーションし、大腸菌DH5αを形質転換させた。得られた大腸菌よりプラスミドを調製した後、塩基配列解析を行った。このようにして、5'側から順にカイコのフィブロインL鎖遺伝子の5'UTRおよびAcNPVのポリヘドリン遺伝子の5'UTRがそれぞれ順方向(5'→3')に1個ずつ組み込まれたベクター(鋳型DNA)を選択した以外は、参考例2と同様にして行った。得られた鋳型DNAを、pFAphd−Lucと名付けた。
参考例6:鋳型DNA(ベクターpBphd−Luc)の作製
配列表配列番号4に示す塩基配列を有するBmCPV(Bombyx mori cytoplasmic polyhedrosis virus)のポリヘドリン遺伝子の5'UTRを用いた以外は参考例2と同様にして、T7プロモーター配列とルシフェラーゼ遺伝子との間に、配列表配列番号4に示す塩基配列を有するBmCPVのポリヘドリン遺伝子の5'UTRが順方向(5'→3')に1個組み込まれたベクター(鋳型DNA)を作製した。得られた鋳型DNAを、pBphd−Lucと名付けた。
参考例7:鋳型DNA(ベクターpBphd−R−Luc)の作製
BmCPVのポリヘドリン遺伝子の5'UTRが逆方向(3'→5')に1個組み込まれたベクター(鋳型DNA)を選択した以外は、参考例6と同様にして行った。得られた鋳型DNAを、pBphd−R−Lucと名付けた。
参考例8:鋳型DNA(ベクターpEphd−FF−Luc)の作製
配列表配列番号5に示す塩基配列を有するEsCPV(Euxoa scandes cytoplasmic polyhedrosis virus)のポリヘドリン遺伝子の5'UTRを用いた以外は、参考例2と同様にして作製した二本鎖DNA断片をインサートとし、上記SP6プロモーター配列、βグロビンリーダー配列および構造遺伝子の5'上流側マルチクローニングサイトを欠失したpTNT−Luc由来のベクターとライゲーションし、大腸菌DH5αを形質転換させた。得られた大腸菌よりプラスミドを調製した後、塩基配列解析を行った。このようにして、5'側から順にEsCPVのポリヘドリン遺伝子の5'UTRがそれぞれ順方向(5'→3')に2個組み込まれたベクター(鋳型DNA)を選択した以外は、参考例2と同様にして行った。得られた鋳型DNAを、pEphd−FF−Lucと名付けた。
参考例9:鋳型DNA(ベクターpEphd−RR−Luc)の作製
5'側から順にEsCPVのポリヘドリン遺伝子の5'UTRがそれぞれ逆方向(3'→5')に2個組み込まれたベクター(鋳型DNA)を選択した以外は、参考例8と同様にして行った。得られた鋳型DNAを、pEphd−RR−Lucと名付けた。
参考例10:鋳型DNA(ベクターpHphd−Luc)の作製
配列表配列番号6に示す塩基配列を有するHcNPV(Hyphantria cunea nuclear polyhedrosis virusのポリヘドリン遺伝子の5'UTRを用いた以外は、参考例2と同様にして作製した二本鎖DNA断片をインサートとし、上記SP6プロモーター配列、βグロビンリーダー配列および構造遺伝子の5'上流側マルチクローニングサイトを欠失したpTNT−Luc由来のベクターとライゲーションし、大腸菌DH5αを形質転換させた。得られた大腸菌よりプラスミドを調製した後、塩基配列解析を行った。このようにして、HcNPVのポリヘドリン遺伝子の5'UTRが順方向(5'→3')に1個組み込まれたベクター(鋳型DNA)を選択した以外は、参考例2と同様にして行った。得られた鋳型DNAを、pHphd−Lucと名付けた。
参考例11:鋳型DNA(ベクターpHphd−R−Luc)の作製
HcNPVのポリヘドリン遺伝子の5'UTRが逆方向(3'→5')に1個組み込まれたベクター(鋳型DNA)を選択した以外は、参考例10と同様にして行った。得られた鋳型DNAを、pHphd−R−Lucと名付けた。
参考例12:鋳型DNA(ベクターpHphd−RR−Luc)の作製
5'側から順にHcNPVのポリヘドリン遺伝子の5'UTRがそれぞれ逆方向(3'→5')に2個組み込まれたベクター(鋳型DNA)を選択した以外は、参考例10と同様にして行った。得られた鋳型DNAを、pHphd−RR−Lucと名付けた。
参考例13:鋳型DNA(ベクターpCphd−Luc)の作製
配列表配列番号7に示す塩基配列を有するCrNPV(Choristoneura rosaceananucleopolyhedrovirus)のポリヘドリン遺伝子の5'UTRを用いた以外は、参考例2と同様にして作製した二本鎖DNA断片をインサートとし、上記SP6プロモーター配列、βグロビンリーダー配列および構造遺伝子の5'上流側マルチクローニングサイトを欠失したpTNT−Luc由来のベクターとライゲーションし、大腸菌DH5αを形質転換させた。得られた大腸菌よりプラスミドを調製した後、塩基配列解析を行った。このようにして、CrNPVのポリヘドリン遺伝子の5'UTRが順方向(5'→3')に1個組み込まれたベクター(鋳型DNA)を選択した以外は、参考例2と同様にして行った。得られた鋳型DNAを、pCphd−Lucと名付けた。
参考例14:鋳型DNA(ベクターpCphd−R−Luc)の作製
CrNPVのポリヘドリン遺伝子の5'UTRが逆方向(3'→5')に1個組み込まれたベクター(鋳型DNA)を選択した以外は、参考例13と同様にして行った。得られた鋳型DNAを、pCphd−R−Lucと名付けた。
参考例15:鋳型DNA(ベクターpEophd−R−Luc)の作製
配列表配列番号8に示す塩基配列を有するEoNPV(Ecotropis oblique nuclear polyhedrosis virus)のポリヘドリン遺伝子の5'UTRを用いた以外は、参考例2と同様にして作製した二本鎖DNA断片をインサートとし、上記SP6プロモーター配列、βグロビンリーダー配列および構造遺伝子の5'上流側マルチクローニングサイトを欠失したpTNT−Luc由来のベクターとライゲーションし、大腸菌DH5αを形質転換させた。得られた大腸菌よりプラスミドを調製した後、塩基配列解析を行った。このようにして、EoNPVのポリヘドリン遺伝子の5'UTRが逆方向(3'→5')に1個組み込まれたベクター(鋳型DNA)を選択した以外は、参考例2と同様にして行った。得られた鋳型DNAを、pEophd−R−Lucと名付けた。
参考例16:鋳型DNA(ベクターpMphd−FF−Luc)の作製
配列表配列番号9に示す塩基配列を有するMnNPV(Malacosma neustria nucleopolyhedrovirus)のポリヘドリン遺伝子の5'UTRを用いた以外は、参考例2と同様にして作製した二本鎖DNA断片をインサートとし、上記SP6プロモーター配列、βグロビンリーダー配列および構造遺伝子の5'上流側マルチクローニングサイトを欠失したpTNT−Luc由来のベクターとライゲーションし、大腸菌DH5αを形質転換させた。得られた大腸菌よりプラスミドを調製した後、塩基配列解析を行った。このようにして、MnNPVのポリヘドリン遺伝子の5'UTRが順方向(5'→3')に2個組み込まれたベクター(鋳型DNA)を選択した以外は、参考例2と同様にして行った。得られた鋳型DNAを、pMphd−FF−Lucと名付けた。
参考例17:鋳型DNA(ベクターpMphd−R−Luc)の作製
MnNPVのポリヘドリン遺伝子の5'UTRが逆方向(3'→5')に1個組み込まれたベクター(鋳型DNA)を選択した以外は、参考例16と同様にして行った。得られた鋳型DNAを、pMphd−R−Lucと名付けた。
参考例18:鋳型DNA(ベクターpSphd−Luc)の作製
配列表配列番号10に示す塩基配列を有するSfNPV(Spodoptera frugiperda nucleopolyhedrovirus)のポリヘドリン遺伝子の5'UTRを用いた以外は、参考例2と同様にして作製した二本鎖DNA断片をインサートとし、上記SP6プロモーター配列、βグロビンリーダー配列および構造遺伝子の5'上流側マルチクローニングサイトを欠失したpTNT−Luc由来のベクターとライゲーションし、大腸菌DH5αを形質転換させた。得られた大腸菌よりプラスミドを調製した後、塩基配列解析を行った。このようにして、SfNPVのポリヘドリン遺伝子の5'UTRが順方向(5'→3')に1個組み込まれたベクター(鋳型DNA)を選択した以外は、参考例2と同様にして行った。得られた鋳型DNAを、pSphd−Lucと名付けた。
参考例19:鋳型DNA(ベクターpWphd−Luc)の作製
配列表配列番号11に示す塩基配列を有するWsNPV(Wiseana signata nucleopolyhedrovirus)のポリヘドリン遺伝子の5'UTRを用いた以外は、参考例2と同様にして作製した二本鎖DNA断片をインサートとし、上記SP6プロモーター配列、βグロビンリーダー配列および構造遺伝子の5'上流側マルチクローニングサイトを欠失したpTNT−Luc由来のベクターとライゲーションし、大腸菌DH5αを形質転換させた。得られた大腸菌よりプラスミドを調製した後、塩基配列解析を行った。このようにして、WsNPVのポリヘドリン遺伝子の5'UTRが順方向(5'→3')に1個組み込まれたベクター(鋳型DNA)を選択した以外は、参考例2と同様にして行った。得られた鋳型DNAを、pWphd−Lucと名付けた。
参考例20:昆虫培養細胞(High Five)抽出液の調製
(1)昆虫培養細胞の培養
細胞数2.1×10個の昆虫培養細胞High Five(Invitrogen社製)を、L−グルタミンを添加したExpress Five無血清培地(Invitrogen社製)を入れた培養フラスコ(600cm2)内で27℃で6日間培養した。結果、細胞数1.0×10個、湿重量1.21gとなった。
(2)昆虫培養細胞抽出液の調製
まず、上記(1)で培養した昆虫培養細胞を収集し、下記組成の洗浄液で3回洗浄(700×g、4℃、10分間の条件で遠心分離)した。
〔洗浄液の組成〕
・60mM HEPES−KOH(pH7.9)
・200mM 酢酸カリウム
・4mM 酢酸マグネシウム
・4mM DTT
洗浄後の昆虫培養細胞に、下記組成の抽出用液を1mL加え、懸濁した。
〔抽出用液の組成〕
・40mM HEPES−KOH(pH7.9)
・100mM 酢酸カリウム
・2mM 酢酸マグネシウム
・2mM 塩化カルシウム
・20(v/v)% グリセロール
・1mM DTT
・1mM PMSF
この懸濁液を液体窒素中にて急速に凍結させた。充分に凍結させた後、約4℃の氷水浴中で解凍した。完全に解凍した後、30,000×g、4℃で10分間遠心分離(himacCR20B3、日立工機社製)し、上清を回収した。回収した上清1.5mLを下記組成のゲル濾過用緩衝液で平衡化したPD−10脱塩カラム(アマシャム バイオサイエンス社製)にアプライした。
〔ゲル濾過用緩衝液の組成〕
・40mM HEPES−KOH(pH7.9)
・100mM 酢酸カリウム
・2mM 酢酸マグネシウム
・1mM DTT
・1mM PMSF
アプライした後、ゲル濾過用緩衝液4mLにて溶出し、分光光度計(Ultrospec3300pro、アマシャム バイオサイエンス社製)を用いて、280nmにおける吸光度が30以上の画分を回収し、昆虫培養細胞抽出液とした。
参考例21:昆虫培養細胞(Sf21)抽出液の調製
(1)昆虫培養細胞の培養
昆虫細胞Sf21(Invitrogen社製)を、Sf900−II無血清培地(Invitrogen社製)中にて27℃で培養した。培地1mLあたりの細胞数6.0×10個のSf21を125mL三角フラスコ内の培地50mL中で27℃・130rpm・5日間懸濁培養を行った。結果、培地1mLあたりの細胞数1.0×10個、湿重量3gとなった。この細胞を用いて細胞抽出液を調製した。
(2)昆虫培養細胞抽出液の調製
まず、上記(1)で培養した昆虫培養細胞を収集し、下記組成の洗浄液で3回洗浄(700×g、4℃、10分間の条件で遠心分離)した。
〔洗浄液の組成〕
・40mM HEPES−KOH(pH7.9)
・100mM 酢酸カリウム
・2mM 酢酸マグネシウム
・2mM 塩化カルシウム
・1mM DTT
洗浄後の昆虫培養細胞に、下記組成の抽出用液を3mL加え、懸濁した。
〔抽出用液の組成〕
・40mM HEPES−KOH(pH7.9)
・100mM 酢酸カリウム
・2mM 酢酸マグネシウム
・2mM 塩化カルシウム
・20(v/v)% グリセロール
・1mM DTT
・0.5mM PMSF
この懸濁液を液体窒素中にて急速に凍結させた。充分に凍結させた後、約4℃の氷水浴中で解凍した。完全に解凍した後、30,000×g、4℃で10分間遠心分離(himacCR20B3、日立工機社製)し、上清を回収した。回収した上清をさらに45,000×g、4℃で30分間遠心分離して上清を回収した。回収した上清2.5mLを下記組成のゲル濾過用緩衝液で平衡化したPD−10脱塩カラム(アマシャム バイオサイエンス社製)にアプライした。
〔ゲル濾過用緩衝液の組成〕
・40mM HEPES−KOH(pH7.9)
・100mM 酢酸カリウム
・2mM 酢酸マグネシウム
・1mM DTT
・0.5mM PMSF
アプライした後、ゲル濾過用緩衝液3mLにて溶出し、分光光度計(Ultrospec3300pro、アマシャム バイオサイエンス社製)を用いて、280nmにおける吸光度が30以上の画分を回収し、昆虫培養細胞抽出液とした。
参考例22:カイコ抽出液の調製
5齢期4日目のカイコ幼虫15匹よりハサミ、ピンセット、メス、スパーテルを使用して、後部絹糸腺3.07gを摘出し、これを−80℃で凍結させた乳鉢ですり潰し、下記組成の抽出用液を用いて、抽出を行った。
〔抽出用液の組成〕
・20mM HEPES−KOH(pH7.4)
・100mM 酢酸カリウム
・2mM 酢酸マグネシウム
・2mM DTT
・0.5mM PMSF
抽出後、得られた液状物を遠心分離機(himacCR20B3(日立工機社製))にて、30,000×g、30分間、4℃の条件にて遠心分離を行った。
遠心分離後、上清のみを単離し、再び30,000×g、10分間、4℃の条件にて遠心分離を行った。遠心分離後、上清のみを単離した。脱塩カラム PD−10(アマシャム バイオサイエンス社製)に、20%グリセロールを含む抽出用液を加えカラムを平衡化した後、上清を供給し、上記抽出用液にて溶出することによりゲル濾過を行った。
ゲル濾過後の濾液の画分を、分光光度計(Ultrospec3300pro、アマシャム バイオサイエンス社製)を用いて、280nmにおける吸光度が10以上の画分を分取して、5齢期のカイコ幼虫の後部絹糸腺由来の無細胞系タンパク質合成用抽出液を得た。
参考例23:哺乳動物培養細胞(CHO)抽出液の調製
(1)哺乳動物培養細胞の培養
細胞濃度4.9×10cells/mLのチャイニーズハムスター卵巣細胞CHO K1-SFM(東北大学加齢医学研究所付属医用細胞資源センターより分譲)をCHO SERUM-FREE MEDIUM(SIGMA社製)200mLが入った三角フラスコ(500mL)内で130rpm・37℃・5%CO雰囲気下で120時間培養した。その結果、細胞濃度8.8×10cells/mL、湿重量3.2gとなった。
(2)哺乳動物培養細胞(CHO)抽出液の調製
まず、上記(1)で培養した動物培養細胞を遠心分離(700×g、10分間)により収集し、下記組成の洗浄用緩衝液で3回洗浄(700×g、10分間の条件で遠心分離)した。
〔洗浄用緩衝液の組成〕
・40mM HEPES−KOH(pH7.9)
・100mM 酢酸カリウム
・2mM 酢酸マグネシウム
・2mM 塩化カルシウム
・1mM DTT
洗浄後の哺乳動物培養細胞に、細胞湿重量1gあたり0.8mLの下記組成の抽出用液を添加し、細胞を懸濁した。
〔抽出用液の組成〕
・40mM HEPES−KOH(pH7.9)
・100mM 酢酸カリウム
・2mM 酢酸マグネシウム
・2mM 塩化カルシウム
・20(v/v)% グリセロール
・1mM DTT
この懸濁液を液体窒素中にて急速に凍結させた。充分に凍結させた後、約4℃の氷水浴中で解凍した。完全に解凍した後、30,000×g、4℃で10分間遠心分離(himacCR20B3、日立工機社製)し、上清を回収した。回収した上清をさらに30,000×g、4℃で30分間遠心分離して上清を回収した。回収した上清2.0mLを下記組成のゲル濾過用緩衝液で平衡化したPD−10脱塩カラム(アマシャム バイオサイエンス社製)にアプライした。
〔ゲル濾過用緩衝液の組成〕
・40mM HEPES−KOH(pH7.9)
・100mM 酢酸カリウム
・2mM 酢酸マグネシウム
・1mM DTT
アプライした後、ゲル濾過用緩衝液3mLにて溶出し、分光光度計(Ultrospec3300pro、アマシャム バイオサイエンス社製)を用いて、280nmにおける吸光度が30以上の画分を回収し、哺乳動物培養細胞抽出液とした。
実験例1:インビトロ転写反応およびmRNAの精製
上記参考例1−19で作製した各ベクター(鋳型DNA)を、BamHIまたはBglIIで消化した後、フェノール−クロロホルム抽出、エタノール沈殿により精製した。得られたベクター1μgを鋳型として、RiboMax Large Scale RNA production System−T7(プロメガ社製)を用い20μlスケールで37℃4時間のインビトロ転写反応を行い、mRNAを合成した。
転写反応終了後、1UのRQ1 RNase Free DNase(プロメガ社製)を添加し、37℃15分インキュベートし、鋳型を消化した。フェノール−クロロホルム抽出によりタンパク質を除去した後、エタノール沈殿を行った。得られた沈殿を100μlの滅菌水に溶解し、Nick column(アマシャム バイオサイエンス社製)にアプライした後、滅菌水で溶出した。溶出画分に酢酸カリウムを終濃度0.3Mとなるように添加し、エタノール沈殿を行った。合成されたmRNAの定量は260nmと280nmの吸光度を測定して行った。
実験例2:昆虫培養細胞(High Five)由来の抽出物を含有する翻訳系用反応液を用いた無細胞系タンパク質合成
参考例20で調製した昆虫細胞抽出液を用い、上記参考例2〜7、9、11〜19で作製した鋳型DNAより上記実験例1に記載の方法で作製した各mRNAそれぞれについて、下記組成の翻訳系用反応液を調製し、翻訳反応を行った。
〔翻訳系用反応液の組成〕
・50(v/v)% 昆虫培養細胞抽出液
・320μg/mL mRNA
・30mM HEPES−KOH(pH7.9)
・100mM 酢酸カリウム
・2mM 酢酸マグネシウム
・2mM DTT
・0.5mM ATP
・0.25mM GTP
・20mM クレアチンリン酸
・200μg/mL クレアチンキナーゼ
・40μM アミノ酸(20種)
・0.25mM EGTA
・1U/μL RNaseインヒビター(ヒト胎盤由来)
・200μg/mL tRNA
ATP(シグマ社製)、GTP(シグマ社製)、アミノ酸(20種)(シグマ社製)、RNaseインヒビター(宝酒造社製)、tRNA(ロシュ・ダイアグノスティックス社製)をそれぞれ用いた。
反応装置として低温アルミブロック恒温槽MG−1000(東京理化器械社製)を用いた。翻訳反応は反応温度25℃で5時間行い、反応液量は25μLとした。
合成されたルシフェラーゼはルシフェラーゼアッセイキット(E−1500、プロメガ社製)を用いて定量した。ルシフェラーゼアッセイ試薬50μLに反応液2.5μLを添加し、ルミノメーター(Tuner Designs TD−20/20、プロメガ社製)を用いて、ルシフェラーゼによる発光を測定した。
図1は、実験例2の結果を示すグラフであり、ルシフェラーゼコントロールRNA(プロメガ社製)を100%とした場合の相対合成量を縦軸に示している。
実験例3:昆虫培養細胞(Sf21)由来の抽出物を含有する翻訳系用反応液を用いた無細胞系タンパク質合成
参考例21で調製した昆虫細胞抽出液を用い、上記参考例2〜4、6〜16、18、19で作製した鋳型DNAより上記実験例1に記載の方法で作製した各mRNAそれぞれについて、下記組成の翻訳系用反応液を調製し、翻訳反応を行った。
〔翻訳系用反応液の組成〕
・50(v/v)% 昆虫培養細胞抽出液
・320μg/mL mRNA
・40mM HEPES−KOH(pH7.9)
・100mM 酢酸カリウム
・1.5mM 酢酸マグネシウム
・2mM DTT
・0.25mM ATP
・0.1mM GTP
・20mM クレアチンリン酸
・200μg/mL クレアチンキナーゼ
・80μM アミノ酸(20種)
・0.1mM EGTA
・1U/μL RNaseインヒビター(ヒト胎盤由来)
・200μg/mL tRNA
ATP(シグマ社製)、GTP(シグマ社製)、アミノ酸(20種)(シグマ社製)、RNaseインヒビター(宝酒造社製)、tRNA(ロシュ・ダイアグノスティックス社製)をそれぞれ用いた。
反応装置として低温アルミブロック恒温槽MG−1000(東京理化器械社製)を用いた。翻訳反応は反応温度25℃で5時間行い、反応液量は25μLとした。
合成されたルシフェラーゼはルシフェラーゼアッセイキット(E−1500、プロメガ社製)を用いて定量した。ルシフェラーゼアッセイ試薬50μLに反応液2.5μLを添加し、ルミノメーター(Tuner Designs TD−20/20、プロメガ社製)を用いて、ルシフェラーゼによる発光を測定した。
図2は、実験例3の結果を示すグラフであり、ルシフェラーゼコントロールRNA(プロメガ社製)を100%とした場合の相対合成量を縦軸に示している。
実験例4:カイコ組織由来の抽出物を含有する翻訳系用反応液を用いた無細胞系タンパク質合成
参考例22で調製したカイコ抽出液を用い、上記参考例2−19で作製した鋳型DNAより上記実験例1に記載の方法で作製した各mRNAそれぞれについて、下記組成の翻訳系用反応液を調製し、翻訳反応を行った。
〔翻訳系用反応液の組成〕
・50(v/v)% カイコ抽出液
・160μg/mL mRNA
・30mM HEPES−KOH(pH7.4)
・100mM 酢酸カリウム
・1.0mM 酢酸マグネシウム
・0.5mM DTT
・10(v/v)% グリセロール
・0.5mM ATP
・0.5mM GTP
・0.25mM EGTA
・25mM クレアチンリン酸
・200μg/mL クレアチンキナーゼ
・40μM アミノ酸(20種)
・2U/μL RNaseインヒビター
・200μg/mL tRNA
ATP(シグマ社製)、GTP(シグマ社製)、アミノ酸(20種)(シグマ社製)、RNaseインヒビター(宝酒造社製)、tRNA(ロシュ・ダイアグノスティックス社製)をそれぞれ用いた。外来mRNAとしては、ルシフェラーゼをコードするmRNA(ルシフェラーゼコントロールRNA、プロメガ社製)を用いた。
反応装置として低温アルミブロック恒温槽MG−1000(東京理化器械社製)を用いた。翻訳反応は反応温度25℃で5時間行い、反応液量は25μLとした。合成されたルシフェラーゼはルシフェラーゼアッセイキット(E−1500、プロメガ社製)を用いて定量した。ルシフェラーゼアッセイ試薬50μLに反応液2.5μLを添加し、ルミノメーター(Tuner Designs TD−20/20、プロメガ社製)を用いて、ルシフェラーゼによる発光を測定した。
図3は、実験例4の結果を示すグラフであり、ルシフェラーゼコントロールRNA(プロメガ社製)を100%とした場合の相対合成量を縦軸に示している。
実験例5:哺乳動物培養細胞(CHO)由来の抽出物を含有する翻訳系用反応液を用いた無細胞系タンパク質合成
参考例23で調製した哺乳動物培養細胞抽出液を用い、上記参考例1、5、6、8、11、12、14、15、16、18、19で作製した鋳型DNAより上記実験例1に記載の方法で作製した各mRNAそれぞれについて、下記組成の翻訳系用反応液を調製し、翻訳反応を行った。
〔翻訳系用反応液の組成〕
・50(v/v)% 哺乳動物培養細胞抽出液
・160μg/mL mRNA
・50mM HEPES−KOH(pH7.9)
・175mM 酢酸カリウム
・1mM 酢酸マグネシウム
・0.5mM 塩化カルシウム
・2mM DTT
・0.5mM ATP
・0.25mM GTP
・30mM クレアチンリン酸
・200μg/mL クレアチンキナーゼ
・80μM アミノ酸(20種)
・0.25mM EGTA
ATP(シグマ社製)、GTP(シグマ社製)、アミノ酸(20種)(シグマ社製)をそれぞれ用いた。
反応装置として低温アルミブロック恒温槽MG−1000(東京理化器械社製)を用いた。翻訳反応を開始するにあたり上記翻訳反応液中mRNAを含まない翻訳反応液をまず作製し、25℃で30分間インキュベートを行った。その後、mRNAを添加し翻訳反応を開始(25℃で4時間)した。反応液量は25μLとした。
合成されたルシフェラーゼはルシフェラーゼアッセイキット(E−1500、プロメガ社製)を用いて定量した。ルシフェラーゼアッセイ試薬50μLに反応液2.5μLを添加し、ルミノメーター(Tuner Designs TD−20/20、プロメガ社製)を用いて、ルシフェラーゼによる発光を測定した。
図4は、実験例5の結果を示すグラフであり、上記参考例1で作製したベクターpTNT−Lucより転写したmRANを100%とした場合の相対合成量を縦軸に示している。また、上記参考例1で作製したベクターpTNT−Lucは、哺乳類由来の抽出液において好適に翻訳反応を促進するDNA断片(5’β−グロビンリーダー配列)を有しているため、ここでは、参考例1に対して80%以上の合成量を示す上記DNA断片を翻訳反応を促進するDNA断片とした。
参考例24:発現ベクター(pTD1 Vector)の作製
配列表配列番号17に示す塩基配列を有するプライマー(T7pMn−Eco)およびそのアンチセンス鎖をDNA合成機で合成し、T4 Polynucleotide Kinaseによってその5'末端のリン酸化を行った。反応終了後、センス鎖とアンチセンス鎖とを混合し、95℃5分間熱処理した。これを室温になるまで静置しセンス鎖とアンチセンス鎖とをアニーリングさせた。エタノール沈殿により精製した後、水に溶解させた。SigmaSpin Post Reaction Purification Columnsによって、過剰のATPを取り除いた後、再度エタノール沈殿により精製した。得られた二本鎖DNA断片をEcoRI(東洋紡績社製)で消化し、これをインサートとした。これとは別にpUC19をEheI(東洋紡績社製)およびEcoRIで消化し、電気泳動で分離した後、Gen Elute Gel Purification Kitを用いて約2.5kbのDNA断片を精製した。pUC19由来のベクターとインサートをライゲーションし、大腸菌DH5αを形質転換させた。得られた大腸菌よりプラスミドを調製した後、配列表配列番号18に示すM13Reverseプライマーを用いて塩基配列解析を行った。得られたプラスミドDNAを、pUMと名付けた。
BD BaculoGold Linearized Baculovirus DNA(BD Biosciences社製)0.5μgを鋳型として、配列表配列番号19に示す塩基配列を有するプライマー(Phd3 Fw)と、配列表配列番号20に示す塩基配列を有するプライマー(Phd3 Rv−Hind)と、KOD plus(東洋紡績社製)を用い、96℃2分で鋳型を変性させた後、96℃15秒、50℃30秒、68℃30秒、30サイクルのPCRを行い、AcNPV(Autographa californica nuclear polyhedrosis virus)のポリヘドリン遺伝子の3'UTRを増幅した。T4 Polynucleotide KinaseによってDNA断片の5'末端のリン酸化を行った。反応液をエタノール沈殿により精製した後、HindIII(東洋紡績社製)で消化し、これをインサートとした。これとは別にpUMをHincII(東洋紡績社製)およびHindIIIで消化した。電気泳動で分離した後、Gen Elute Gel Purification Kitを用いて約2.7kbのDNA断片を精製した。pUM由来のベクターとインサートをライゲーションし、大腸菌DH5αを形質転換させた。得られた大腸菌よりプラスミドを調製した後、配列表配列番号18に示すM13Reverseプライマーを用いて塩基配列解析を行った。得られたプラスミドDNAを、pTMと名付けた。
配列表配列番号21に示す塩基配列を有するプライマー(A25T7t)のセンス鎖、アンチセンス鎖をDNA合成機で合成し、T4 Polynucleotide Kinaseによってその5'末端のリン酸化を行った。反応終了後、センス鎖とアンチセンス鎖とを混合し、95℃5分間熱処理した。これを室温になるまで静置しセンス鎖とアンチセンス鎖とをアニーリングさせた。エタノール沈殿により精製した後、水に溶解させた。SigmaSpin Post Reaction Purification Columnsによって、過剰のATPを取り除いた後、再度エタノール沈殿により精製し、これをインサートとした。これとは別にpTM 5ngを鋳型として、配列表配列番号22に示す塩基配列を有するプライマー(Not Fw)と、配列表配列番号23に示す塩基配列を有するプライマー(Phd3 Rv)と、KOD plus(東洋紡績社製)を用い、96℃2分で鋳型を変性させた後、96℃15秒、50℃30秒、68℃3分、30サイクルのPCRを行った。PCR産物を電気泳動で分離した後、Gen Elute Gel Purification Kitを用いて約3.0kbのDNA断片を精製した。精製したPCR産物とインサートをライゲーションし、大腸菌DH5αを形質転換させた。得られた大腸菌よりプラスミドを調製した後、配列表配列番号18に示すM13Reverseプライマーを用いて塩基配列解析を行った。AcNPVポリヘドリン3'UTR配列の下流にポリA尾部が順方向に挿入されたプラスミドDNAを、pTMA名付けた。
pTMA 5ngを鋳型として、配列表配列番号22に示す塩基配列を有するプライマー(Not Fw)と、配列表配列番号24に示す塩基配列を有するプライマー(Not Rv)と、KOD plus(東洋紡績社製)を用い、96℃2分で鋳型を変性させた後、96℃15秒、50℃30秒、68℃3分、30サイクルのPCRを行った。T4 Polynucleotide KinaseによってPCR産物の5'末端のリン酸化を行った。反応液を電気泳動で分離した後、Gen Elute Gel Purification Kitを用いて約3.0kbのDNA断片を精製した。精製したPCR産物をライゲーションし、大腸菌DH5αを形質転換させた。得られた大腸菌よりプラスミドを調製した後、配列表配列番号18に示すM13Reverseプライマーを用いて塩基配列解析を行った。得られたプラスミドDNAを、pTD1 Vectorと名付けた。作製したpTD1Vectorは、配列表配列番号29に示す塩基配列を有する。 図7に、作成したpTD1Vectorのマップを示す。図中T7はT7プロモーター、EnhancerはMnNPV由来のポリヘドリン遺伝子5’UTR(順方向)、MCSはマルチクローニングサイト、3’UTRはAcNPV由来のポリヘドリン遺伝子3’UTR、polyAはポリA尾部、terminatorはT7ターミネーター配列である。
参考例25:発現ベクター(pTD2 Vector)の作製
配列表配列番号25に示す塩基配列を有するプライマー(T7pEo−Eco)およびそのアンチセンス鎖をDNA合成機で合成し、T4 Polynucleotide Kinaseによってその5'末端のリン酸化を行った。反応終了後、センス鎖とアンチセンス鎖とを混合し、95℃5分間熱処理した。これを室温になるまで静置しセンス鎖とアンチセンス鎖とをアニーリングさせた。エタノール沈殿により精製した後、水に溶解させた。SigmaSpin Post Reaction Purification Columnsによって、過剰のATPを取り除いた後、再度エタノール沈殿により精製した。得られた二本鎖DNA断片をEcoRI(東洋紡績社製)で消化し、これをインサートとした。これとは別にpUC19をEheI(東洋紡績社製)およびEcoRIで消化し、電気泳動で分離した後、Gen Elute Gel Purification Kitを用いて約2.5kbのDNA断片を精製した。pUC19由来のベクターとインサートをライゲーションし、大腸菌DH5αを形質転換させた。得られた大腸菌よりプラスミドを調製した後、配列表配列番号18に示すM13Reverseプライマーを用いて塩基配列解析を行った。得られたプラスミドDNAを、pUEと名付けた。
BD BaculoGold Linearized Baculovirus DNA(BD Biosciences社製)0.5μgを鋳型として、配列表配列番号19に示す塩基配列を有するプライマー(Phd3 Fw)と、配列表配列番号20に示す塩基配列を有するプライマー(Phd3 Rv−Hind)と、KOD plus(東洋紡績社製)を用い、96℃2分で鋳型を変性させた後、96℃15秒、50℃30秒、68℃30秒、30サイクルのPCRを行い、AcNPV(Autographa californica nuclear polyhedrosis virus)のポリヘドリン遺伝子の3'UTRを増幅した。T4 Polynucleotide KinaseによってDNA断片の5'末端のリン酸化を行った。反応液をエタノール沈殿により精製した後、HindIII(東洋紡績社製)で消化し、これをインサートとした。これとは別にpUEをHincII(東洋紡績社製)およびHindIIIで消化した。電気泳動で分離した後、Gen Elute Gel Purification Kitを用いて約2.7kbのDNA断片を精製した。pUE由来のベクターとインサートをライゲーションし、大腸菌DH5αを形質転換させた。得られた大腸菌よりプラスミドを調製した後、配列表配列番号18に示すM13Reverseプライマーを用いて塩基配列解析を行った。得られたプラスミドDNAを、pTEと名付けた。
配列表配列番号21に示す塩基配列を有するプライマー(A25T7t)のセンス鎖、アンチセンス鎖をDNA合成機で合成し、T4 Polynucleotide Kinaseによってその5'末端のリン酸化を行った。反応終了後、センス鎖とアンチセンス鎖とを混合し、95℃5分間熱処理した。これを室温になるまで静置しセンス鎖とアンチセンス鎖とをアニーリングさせた。エタノール沈殿により精製した後、水に溶解させた。SigmaSpin Post Reaction Purification Columnsによって、過剰のATPを取り除いた後、再度エタノール沈殿により精製し、これをインサートとした。これとは別にpTE 5ngを鋳型として、配列表配列番号22に示す塩基配列を有するプライマー(Not Fw)と、配列表配列番号23に示す塩基配列を有するプライマー(Phd3 Rv)と、KOD plus(東洋紡績社製)を用い、96℃2分で鋳型を変性させた後、96℃15秒、50℃30秒、68℃3分、30サイクルのPCRを行った。PCR産物を電気泳動で分離した後、Gen Elute Gel Purification Kitを用いて約3.0kbのDNA断片を精製した。精製したPCR産物とインサートをライゲーションし、大腸菌DH5αを形質転換させた。得られた大腸菌よりプラスミドを調製した後、配列表配列番号18に示すM13Reverseプライマーを用いて塩基配列解析を行った。AcNPVポリヘドリン3'UTR配列の下流にポリA尾部が順方向に挿入されたプラスミドDNAを、pTEA名付けた。
pTEA 5ngを鋳型として、配列表配列番号22に示す塩基配列を有するプライマー(Not Fw)と、配列表配列番号24に示す塩基配列を有するプライマー(Not Rv)と、KOD plus(東洋紡績社製)を用い、96℃2分で鋳型を変性させた後、96℃15秒、50℃30秒、68℃3分、30サイクルのPCRを行った。T4 Polynucleotide KinaseによってPCR産物の5'末端のリン酸化を行った。反応液を電気泳動で分離した後、Gen Elute Gel Purification Kitを用いて約3.0kbのDNA断片を精製した。精製したPCR産物をライゲーションし、大腸菌DH5αを形質転換させた。得られた大腸菌よりプラスミドを調製した後、配列表配列番号18に示すM13Reverseプライマーを用いて塩基配列解析を行った。得られたプラスミドDNAを、pTD2 Vectorと名付けた。
作製したpTD2Vectorは、配列表配列番号30に示す塩基配列を有する。 図8に、作成したpTD1Vectorのマップを示す。図中T7はT7プロモーター、EnhancerはEoNPV由来のポリヘドリン遺伝子5’UTR(逆方向)、MCSはマルチクローニングサイト、3’UTRはAcNPV由来のポリヘドリン遺伝子3’UTR、polyAはポリA尾部、terminatorはT7ターミネーター配列である。
実施例1:pTD1 Vectorを用いた遺伝子のクローニングとそれを用いた無細胞タンパク質合成
(1)鋳型DNA(ベクターpTD1−Luc)の作製
ルシフェラーゼをコードする構造遺伝子を有するpGEM−Luc Vector(プロメガ社製)5ngを鋳型とし、配列表配列番号16に示す塩基配列を有するプライマー(Luc−ATG)と、配列表配列番号13に示す塩基配列を有するプライマー(Luc T7−R4−Kpn)と、KOD plus(東洋紡績社製)を用い、96℃2分で鋳型を変性させた後、96℃15秒、50℃30秒、68℃120秒、30サイクルのPCRを行い、オープンリーディングフレーム(ORF)を増幅した。T4 Polynucleotide KinaseによってPCR産物の5'末端のリン酸化を行った後、エタノール沈殿によりPCR産物を精製した。このDNA断片をKpnIで消化した後、電気泳動に供し、Gen Elute Gel Purification Kitを用いて約1.6kbのDNA断片を精製し、これをインサートとした。これとは別にpTD1 Vector 5ngを鋳型として、配列表配列番号26に示す塩基配列を有するプライマー(Eco−Kpn)と、配列表配列番号27に示す塩基配列を有するプライマー(Mn29 Rv)と、KOD plus(東洋紡績社製)を用い、96℃2分で鋳型を変性させた後、96℃15秒、50℃30秒、68℃3分、30サイクルのPCRを行った。PCR産物をエタノール沈殿により精製した後、KpnIで消化した。電気泳動で分離した後、Gen Elute Gel Purification Kitを用いて約3.0kbのDNA断片を精製した。pTD1 Vector由来のDNA断片とインサートをライゲーションし、大腸菌DH5αを形質転換させた。得られた大腸菌よりプラスミドを調製した後、配列表配列番号14に示す塩基配列を有するプライマー(T7 promoter)および配列表配列番号18に示すM13Reverseプライマーを用いて塩基配列解析を行った。得られたプラスミドDNAを、pTD1−Lucと名付けた。
(2)インビトロ転写反応およびmRNAの精製
インビトロ転写反応およびmRNAの精製は、上記実験例1に記載の方法と同様にして行った。
(3)翻訳反応
翻訳反応は、上記参考例21で作製した昆虫培養細胞(Sf21)抽出液を用いて、上記実験例3に記載の方法に従って翻訳反応を行った。合成されたルシフェラーゼは上記実験例3に記載の方法に従って定量した。
図5は、実施例1の結果を示すグラフであり、横軸が合成時間(時間)、縦軸がルシフェラーゼ合成量(μg/mL)を示す。また、比較例として参考例16で作製したpMphd−FF−Lucより転写したmRNAを用いた合成結果を示す。図5に示すとおり、参考例24において作製した、翻訳反応を促進するDNA断片として、配列表配列番号9に示す塩基配列を示すDNA断片を使用して作製したタンパク質発現ベクターは、鋳型DNAとして参考例16で作製したpMphd−FF−Lucを使用した場合と同程度の合成量を示すことがわかった。

実施例2:pTD2 Vectorを用いた遺伝子のクローニングとそれを用いた無細胞タンパク質合成
(1)鋳型DNA(ベクターpTD2−Luc)の作製
ルシフェラーゼをコードする構造遺伝子を有するpGEM−Luc Vector(プロメガ社製)5ngを鋳型とし、配列表配列番号16に示す塩基配列を有するプライマー(Luc−ATG)と、配列表配列番号13に示す塩基配列を有するプライマー(Luc T7−R4−Kpn)と、KOD plus(東洋紡績社製)を用い、96℃2分で鋳型を変性させた後、96℃15秒、50℃30秒、68℃120秒、30サイクルのPCRを行い、オープンリーディングフレーム(ORF)を増幅した。T4 Polynucleotide KinaseによってPCR産物の5'末端のリン酸化を行った後、エタノール沈殿によりPCR産物を精製した。このDNA断片をKpnIで消化した後、電気泳動に供し、Gen Elute Gel Purification Kitを用いて約1.6kbのDNA断片を精製し、これをインサートとした。これとは別にpTD2 Vector 5ngを鋳型として、配列表配列番号26に示す塩基配列を有するプライマー(Eco−Kpn)と、配列表配列番号28に示す塩基配列を有するプライマー(Eo21 Fw)と、KOD plus(東洋紡績社製)を用い、96℃2分で鋳型を変性させた後、96℃15秒、50℃30秒、68℃3分、30サイクルのPCRを行った。PCR産物をエタノール沈殿により精製した後、KpnIで消化した。電気泳動で分離した後、Gen Elute Gel Purification Kitを用いて約3.0kbのDNA断片を精製した。pTD2 Vector由来のDNA断片とインサートをライゲーションし、大腸菌DH5αを形質転換させた。得られた大腸菌よりプラスミドを調製した後、配列表配列番号14に示す塩基配列を有するプライマー(T7 promoter)および配列表配列番号18に示すM13Reverseプライマーを用いて塩基配列解析を行った。得られたプラスミドDNAを、pTD2−Lucと名付けた。
(2)インビトロ転写反応およびmRNAの精製
インビトロ転写反応およびmRNAの精製は、上記実験例1に記載の方法と同様にして行った。
(3)翻訳反応
翻訳反応は、上記参考例20で作製した昆虫培養細胞(HighFive)抽出液を用いて、上記実験例2に記載の方法に従って翻訳反応を行った。合成されたルシフェラーゼは上記実験例2に記載の方法に従って定量した。
図6は、実施例2の結果を示すグラフであり、横軸が合成時間(時間)、縦軸がルシフェラーゼ合成量(μg/mL)を示す。また、比較例として参考例15で作製したpEophd−R−Lucより転写したmRNAを用いた合成結果を示す。図6に示すとおり、参考例25において作製した、翻訳反応を促進するDNA断片として、配列表配列番号8に示す塩基配列を示すDNA断片を使用して作製したタンパク質発現ベクターは、鋳型DNAとして参考例15で作製したpEophd−R−Lucを使用した場合と同程度の合成量を示すことがわかった。
参考例26:鋳型DNA(ベクターpEU3-N2-Luc)の作製
ルシフェラーゼをコードする構造遺伝子を有するpGEM−Luc Vector(プロメガ社製)5ngを鋳型とし、配列表配列番号16に示す塩基配列を有するプライマー(Luc−ATG)と、配列表配列番号13に示す塩基配列を有するプライマー(Luc T7−R4−Kpn)と、KOD plus(東洋紡績社製)を用い、96℃2分で鋳型を変性させた後、96℃15秒、50℃30秒、68℃120秒、30サイクルのPCRを行い、オープンリーディングフレーム(ORF)を増幅した。T4 Polynucleotide KinaseによってPCR産物の5'末端のリン酸化を行った後、エタノール沈殿によりPCR産物を精製した。このDNA断片をKpnIで消化した後、電気泳動に供し、Gen Elute Gel Purification Kitを用いて約1.6 kbのDNA断片を精製し、これをインサートとした。これとは別にpEU3-N2 Vector(翻訳促進配列としてタバコモザイクウィルス由来のΩ配列を有するコムギ胚芽抽出液用の発現ベクター、東洋紡績社製)をEcoRVおよびKpnIで消化し、これに上記で作製したインサートをライゲーションした後、大腸菌DH5αを形質転換させた。得られた大腸菌よりプラスミドを調製した後、配列表配列番号14に示す塩基配列を有するプライマー(T7 promoter)およびM13 Reverseプライマーを用いて塩基配列解析を行った。得られたプラスミドDNAを、pEU3-N2-Lucと名付けた。本タンパク質発現用のプラスミドは、コムギ胚芽抽出液を用いた無細胞系タンパク質合成において、好適に発現されることが予想される。
実施例3:pTD1 Vectorを用いたコムギ胚芽抽出液での無細胞系タンパク質合成
(1)鋳型DNA
鋳型DNAとして、実施例1で作製したpTD1-Lucを用いた。
(2)インビトロ転写反応およびmRNAの精製
インビトロ転写反応およびmRNAの精製は、上記実験例1に記載の方法と同様にして行った。
(3)翻訳反応
翻訳反応は、上記(2)で作製したmRNAを鋳型として、コムギ胚芽抽出液を用いた無細胞系タンパク質合成を行った。コムギ胚芽抽出液としては、PROTEIOSTM ver.2(東洋紡績社製)を用いた。mRNAを終濃度240μg/mLとなるよう添加し、取り扱い説明書に従って50μLの反応スケール(バッチ反応)でタンパク質合成反応を行った。合成されたルシフェラーゼは上記実験例2に記載の方法に従って定量した。
図9が結果であり、縦軸にルシフェラーゼの相対合成量(%)を示す。参考として、鋳型DNAとして参考例26で作製したpEU3-N2-Lucを用い、コムギ胚芽抽出液を用いた無細胞系タンパク質合成を行った結果を示す(参考例26)。図9に示すとおり、実施例1で作製したpTD1-LucはpEU3-N2-Lucと比較して約170%の合成量を示すことがわかり、pTD1 Vectorがコムギ胚芽抽出液を用いた無細胞系タンパク質合成においても、翻訳反応を促進しうる発現ベクターとして好適に使用できることが明らかとなった。
実施例4:pTD1 Vectorを用いたウサギ網状赤血球抽出液での無細胞系タンパク質合成
(1)鋳型DNA
鋳型DNAとして、実施例1で作製したpTD1-Lucを用いた。
(2)インビトロ転写反応およびmRNAの精製
インビトロ転写反応およびmRNAの精製は、上記実験例1に記載の方法と同様にして行った。
(3)翻訳反応
翻訳反応は、上記(2)で作製したmRNAを鋳型として、ウサギ網状赤血球抽出液を用いた無細胞系タンパク質合成を行った。ウサギ網状赤血球抽出液としてRabbit Reticulocyte Lysate, Nuclease Treated(プロメガ社製)を用いた。mRNAを終濃度40μg/mLとなるよう添加し、取り扱い説明書に従って50μLの反応スケールでタンパク質合成反応を行った。合成されたルシフェラーゼは上記実験例2に記載の方法に従って定量した。
図10に結果を示す。縦軸にルシフェラーゼの相対合成量(%)を示す。参考として、鋳型DNAとして参考例1で作製したpTNT-Lucを用い、ウサギ網状赤血球抽出液を用いた無細胞系タンパク質合成を行った結果を示す(参考例1)。図10に示すとおり、ウサギ網状赤血球抽出液を用いた無細胞系タンパク質合成において、pTD1-LucはpTNT-Lucと同程度の合成量を示すことがわかり、pTD1 Vectorがウサギ網状赤血球抽出液を用いた無細胞系タンパク質合成においても、翻訳反応を促進しうる発現ベクターとして好適に使用できることが明らかとなった。
参考例24及び25では、翻訳反応活性を有するDNA断片として、各々配列表配列番号9及び8に示す塩基配列を有するDNA断片を使用してタンパク質発現ベクター作製したが、そのほかの配列番号に示す塩基配列を有するDNA断片を使用してタンパク質発現ベクターについても容易に作製し得る。
さらに、これらの発現ベクターを用いることによって無細胞系タンパク質合成において、タンパク質の合成量が向上することは実験例2から5及び実施例1から4、から明らかである。
配列番号1:
カイコフィブロインL鎖遺伝子5'UTRの塩基配列
配列番号2:
カイコセリシン遺伝子5'UTRの塩基配列
配列番号3:
AcNPVポリヘドリン遺伝子5'UTRの塩基配列
配列番号4:
BmCPVポリヘドリン遺伝子5'UTRの塩基配列
配列番号5:
EsCPVポリヘドリン遺伝子5'UTRの塩基配列
配列番号6:
HcNPVポリヘドリン遺伝子5'UTRの塩基配列
配列番号7:
CrNPVポリヘドリン遺伝子5'UTRの塩基配列
配列番号8:
EoNPVポリヘドリン遺伝子5'UTRの塩基配列
配列番号9:
MnNPVポリヘドリン遺伝子5'UTRの塩基配列
配列番号10:
SfNPVポリヘドリン遺伝子5'UTRの塩基配列
配列番号11:
WsNPVポリヘドリン遺伝子5'UTRの塩基配列
配列番号12:
プライマー Luc T7−F3−Kpn
配列番号13:
プライマー Luc T7−R4−Kpn
配列番号14:
プライマー T7 promoter
配列番号15:
プライマー T7p Rv
配列番号16:
プライマー Luc−ATG
配列番号17:
プライマー T7pMn−Eco
配列番号18:
プライマー M13Reverse
配列番号19:
プライマー Phd3 Fw
配列番号20:
プライマー Phd3 Rv−Hind
配列番号21:
プライマー A25T7t
配列番号22:
プライマー Not−Fw
配列番号23:
プライマー Phd3 Rv
配列番号24:
プライマー Not−Rv
配列番号25:
プライマー T7pEo−Eco
配列番号26:
プライマー Eco−Kpn
配列番号27:
プライマー Mn29 Rv
配列番号28:
プライマー Eo21 Fw
配列番号29:
pTD1 Vector
配列番号30:
pTD2 Vector
実験例2の結果を示すグラフである。 実験例3の結果を示すグラフである。 実験例4の結果を示すグラフである。 実験例5の結果を示すグラフである。 実施例1の結果を示すグラフである。 実施例2の結果の示すグラフである。 参考例24にて作製した発現ベクターpTD1のベクターマップである。 参考例25にて作製した発現ベクターpTD2のベクターマップである。 実施例3の結果を示すグラフである。 実施例4の結果を示すグラフである。

Claims (14)

  1. 翻訳反応促進活性を有する配列表の配列番号9に示される塩基配列からなるDNA断片を含む発現ベクター。
  2. 請求項1に記載された発現ベクターを用いた、無細胞系タンパク質合成方法。
  3. 動物由来の抽出物を含有する無細胞系タンパク質合成反応液を用いた、請求項2に記載の無細胞系タンパク質合成方法。
  4. 動物由来の抽出物が節足動物から抽出されたものである、請求項3に記載の無細胞系タンパク質合成方法。
  5. 節足動物が昆虫組織である、請求項4に記載の無細胞系タンパク質合成方法。
  6. 昆虫組織がカイコ組織である、請求項5に記載の無細胞系タンパク質合成方法。
  7. 節足動物が昆虫培養細胞である、請求項4に記載の無細胞系タンパク質合成方法。
  8. 昆虫培養細胞がTrichoplusia niの卵細胞由来及び/又はSpodoptera frugiperda卵巣細胞由来の細胞である、請求項7に記載の無細胞系タンパク質合成方法。
  9. 動物由来の抽出物が哺乳動物細胞から抽出されたものである、請求項3に記載の無細胞系タンパク質合成方法。
  10. 哺乳動物細胞が哺乳動物培養細胞である、請求項9に記載の無細胞系タンパク質合成方法。
  11. 哺乳動物培養細胞が、Chinese hamster ovary細胞である請求項10に記載の無細胞系タンパク質合成方法。
  12. 哺乳動物細胞がウサギ網状赤血球である、請求項9に記載の無細胞タンパク質合成方法。
  13. コムギ胚芽由来の抽出物を含有する無細胞系タンパク質合成反応液を用いた、請求項2に記載の無細胞系タンパク質合成方法。
  14. 請求項1から13のいずれかに記載の発現ベクター含む、無細胞系タンパク質合成用キット。
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