JP2006187275A - 翻訳反応促進dna断片を含む発現ベクター及びそれを用いたタンパク質合成方法 - Google Patents
翻訳反応促進dna断片を含む発現ベクター及びそれを用いたタンパク質合成方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2006187275A JP2006187275A JP2005262518A JP2005262518A JP2006187275A JP 2006187275 A JP2006187275 A JP 2006187275A JP 2005262518 A JP2005262518 A JP 2005262518A JP 2005262518 A JP2005262518 A JP 2005262518A JP 2006187275 A JP2006187275 A JP 2006187275A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- cell
- seq
- protein synthesis
- base sequence
- dna fragment
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Images
Landscapes
- Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
Abstract
【解決手段】翻訳反応促進のために使用される、特定の塩基配列を有するDNA断片を含むタンパク質発現ベクター、並びにそれを用いたタンパク質合成方法。
【選択図】図5
Description
〔1〕翻訳反応促進活性を有する以下の(a)から(k)よりなる群から選ばれた少なくとも1種のDNA断片を含む発現ベクター。
(a)配列表の配列番号1に示される塩基配列を有するDNA断片、
(b)配列表の配列番号2に示される塩基配列を有するDNA断片、
(c)配列表の配列番号3に示される塩基配列を有するDNA断片、
(d)配列表の配列番号4に示される塩基配列を有するDNA断片、
(e)配列表の配列番号5に示される塩基配列を有するDNA断片、
(f)配列表の配列番号6に示される塩基配列を有するDNA断片、
(g)配列表の配列番号7に示される塩基配列を有するDNA断片、
(h)配列表の配列番号8に示される塩基配列を有するDNA断片、
(i)配列表の配列番号9に示される塩基配列を有するDNA断片、
(j)配列表の配列番号10に示される塩基配列を有するDNA断片、
(k)配列表の配列番号11に示される塩基配列を有するDNA断片。
〔2〕 上記〔1〕に記載された発現ベクターを用いた、無細胞系タンパク質合成方法。
〔3〕 動物由来の抽出物を含有する無細胞系タンパク質合成反応液を用いた、上記〔2〕に記載の無細胞系タンパク質合成方法。
〔4〕 動物由来の抽出物が節足動物から抽出されたものである、上記〔3〕に記載の無細胞系タンパク質合成方法。
〔5〕 節足動物が昆虫組織である、上記〔4〕に記載の無細胞系タンパク質合成方法。
〔6〕 昆虫組織がカイコ組織である、上記〔5〕に記載の無細胞系タンパク質合成方法。
〔7〕 節足動物が昆虫培養細胞である、上記〔4〕に記載の無細胞系タンパク質合成方法。
〔8〕 昆虫培養細胞がTrichoplusia niの卵細胞由来及び/又はSpodoptera frugiperda卵巣細胞由来の細胞である、上記〔7〕に記載の無細胞系タンパク質合成方法。
〔9〕 動物由来の抽出物が哺乳動物細胞から抽出されたものである、上記〔3〕に記載の無細胞系タンパク質合成方法。
〔10〕 哺乳動物細胞が哺乳動物培養細胞である、上記〔9〕に記載の無細胞系タンパク質合成方法。
〔11〕 哺乳動物培養細胞が、Chinese hamster ovary細胞である上記〔10〕に記載の無細胞系タンパク質合成方法。
〔12〕 哺乳動物細胞がウサギ網状赤血球である、上記〔9〕に記載の無細胞タンパク質合成方法。
〔13〕 コムギ胚芽由来の抽出物を含有する無細胞系タンパク質合成反応液を用いた、上記〔2〕に記載の無細胞系タンパク質合成方法。
〔14〕 上記〔1〕から〔13〕のいずれかに記載の発現ベクター含む、無細胞系タンパク質合成用キット。
本発明の発現ベクターは、タンパク質発現系において、翻訳反応促進活性を有するDNA断片を含むものである。ここで「翻訳反応促進活性を有する」とは、本発明の発現ベクターを使用して無細胞系タンパク質合成反応を行うことで、この翻訳反応を促進するDNA断片を使用しなかった場合と比較して、タンパク質合成量が向上されることを指す。
上記翻訳反応を促進するDNA断片の効果を簡便に検出する手段として無細胞タンパク質合成系を用いているが、本発明の発現ベクターは無細胞系に限定されることはなく、従来公知の細胞系においても使用できる。
本発明の発現ベクターに含まれるDNA断片は従来公知のいかなる方法により得られてもよい。たとえば、公知のDNA合成機を用いて合成することができる。
(1)配列番号2に示される塩基配列からなるDNA断片、またはそれと均等な塩基配列を有し且つ翻訳反応促進活性を有するDNA断片が、プロモーター配列の3’下流側に順方向に1個組み込まれた発現ベクター;
(2)配列番号3に示される塩基配列からなるDNA断片、またはそれと均等な塩基配列を有し且つ翻訳反応促進活性を有するDNA断片が、プロモーター配列の3’下流側に順方向に1個組み込まれた発現ベクター;
(3)配列番号4に示される塩基配列からなるDNA断片、またはそれと均等な塩基配列を有し且つ翻訳反応促進活性を有するDNA断片が、プロモーター配列の3’下流側に順方向に1個組み込まれた発現ベクター;
(4)配列番号5に示される塩基配列からなるDNA断片、またはそれと均等な塩基配列を有し且つ翻訳反応促進活性を有するDNA断片が、プロモーター配列の3’下流側に逆方向に2個組み込まれた発現ベクター;
(5)配列番号6に示される塩基配列からなるDNA断片、またはそれと均等な塩基配列を有し且つ翻訳反応促進活性を有するDNA断片が、プロモーター配列の3’下流側に逆方向に1個組み込まれた発現ベクター;
(6)配列番号6に示される塩基配列からなるDNA断片、またはそれと均等な塩基配列を有し且つ翻訳反応促進活性を有するDNA断片が、プロモーター配列の3’下流側に逆方向に2個組み込まれた発現ベクター;
(7)配列番号7に示される塩基配列からなるDNA断片、またはそれと均等な塩基配列を有し且つ翻訳反応促進活性を有するDNA断片が、プロモーター配列の3’下流側に順方向に1個組み込まれた発現ベクター;
(8)配列番号7に示される塩基配列からなるDNA断片、またはそれと均等な塩基配列を有し且つ翻訳反応促進活性を有するDNA断片が、プロモーター配列の3’下流側に逆方向に1個組み込まれた発現ベクター;
(9)配列番号8に示される塩基配列からなるDNA断片、またはそれと均等な塩基配列を有し且つ翻訳反応促進活性を有するDNA断片が、プロモーター配列の3’下流側に逆方向に1個組み込まれた発現ベクター;
(10)配列番号9に示される塩基配列からなるDNA断片、またはそれと均等な塩基配列を有し且つ翻訳反応促進活性を有するDNA断片が、プロモーター配列の3’下流側に順方向に1個または2個組み込まれた発現ベクター;
(11)配列番号9に示される塩基配列からなるDNA断片、またはそれと均等な塩基配列を有し且つ翻訳反応促進活性を有するDNA断片が、プロモーター配列の3’下流側に逆方向に1個組み込まれた発現ベクター;
(12)配列番号10に示される塩基配列からなるDNA断片、またはそれと均等な塩基配列を有し且つ翻訳反応促進活性を有するDNA断片が、プロモーター配列の3’下流側に順方向に1個組み込まれた発現ベクター;
(13)配列番号11に示される塩基配列からなるDNA断片、またはそれと均等な塩基配列を有し且つ翻訳反応促進活性を有するDNA断片が、プロモーター配列の3’下流側に順方向に1個組み込まれた発現ベクター。
上記発現ベクターは、従来公知の遺伝子組み換え技術を用いて作製することができる。
なお構造遺伝子は、その塩基数に特に制限はなく、目的とするタンパク質を合成し得るならば全てが同じ塩基数でなくともよい。また、目的とするタンパク質を合成し得る程度に相同な配列であれば、各構造遺伝子は、複数個の塩基が欠失、置換、挿入または付加されたものであってよい。
細胞系において鋳型DNAを使用する場合、従来公知の方法で、宿主となる生物に鋳型DNAを導入し形質転換体を得る。この際に使用する宿主はいかなる生物種を用いてもよい。中でも本発現ベクターに含まれる翻訳促進作用を有するDNA断片は、カイコまたはバキュロウィルス由来であることから、バキュロウィルス発現系やカイコを用いた細胞系において特に好適に使用することができる。
無細胞系タンパク質合成は、一般に、mRNAの情報を読み取ってタンパク質を合成する無細胞翻訳系のみによるタンパク質合成(翻訳系)、ならびにDNAよりmRNAを転写する転写工程と、該転写工程で得られたmRNAの情報を読み取ってタンパク質を合成する翻訳工程とを含むタンパク質合成(転写/翻訳系)とに大きく分けられるが、上記鋳型DNAは、いずれの系においても好適に使用することができる。
また、哺乳動物培養細胞としては、いかなる組織由来の細胞であってもよく、たとえば、血球細胞、生殖巣由来細胞、リンパ腫(リンホーマ)由来細胞、その他の腫瘍細胞、幹細胞などを特に制限なく使用することができる。中でも浮遊培養が可能であるため、培養および継代が容易であることから、リンパ腫由来細胞を使用するのが好ましい。また、Chinese hamster ovary(CHO) K1-SFM細胞は、浮遊培養が可能であるだけでなく、無血清培地にて培養が可能であり、より培養および継代が容易である。さらに、細胞系において広く利用され、高いタンパク質合成能を有しており、無細胞系においても同様のことが期待できることから、CHO K1-SFM細胞を使用するのが好ましい。
また単一種の哺乳動物における単一の組織由来の哺乳動物培養細胞に限らず、単一種の哺乳動物における複数種の組織由来の哺乳動物培養細胞より抽出を行ってもよく、複数種の哺乳動物における単一の組織由来の哺乳動物培養細胞より抽出を行ってもよく、無論、複数種の哺乳動物における複数種の組織由来の哺乳動物培養細胞より抽出を行ってもよい。
当該抽出用液中におけるプロテアーゼインヒビターの含有量に特に制限はないが、無細胞系タンパク質合成に必須な酵素類の分解阻害能を好適に発揮できる観点から、1μM〜50mM含有されることが好ましく、0.01mM〜5mM含有されることがより好ましい。プロテアーゼインヒビターが1μM未満であると、プロテアーゼの分解活性を充分抑えることができない傾向にあるためであり、またプロテアーゼインヒビターが50mMを越えると、タンパク質合成反応を阻害する傾向にあるためである。
当該抽出用液中におけるカリウム塩の含有量に特に制限はないが、保存安定性の観点から、たとえば酢酸カリウムなど1価のカリウム塩である場合、10mM〜500mM含有されることが好ましく、20mM〜300mM含有されることがより好ましい。カリウム塩が10mM未満または500mMを越えると、タンパク質合成に必須な成分が不安定になる傾向にあるためである。
当該抽出用液中におけるマグネシウム塩の含有量に特に制限はないが、保存安定性の観点から、たとえば酢酸マグネシウムなど2価の塩である場合、0.1mM〜10mM含有されることが好ましく、0.5mM〜5mM含有されることがより好ましい。マグネシウム塩が0.1mM未満または10mMを越えると、タンパク質の合成に必須な成分が不安定になる傾向にあるためである。
緩衝剤は、得られた抽出液のpHが4〜10に保持されるようなものを使用するのが好ましく、pHが6.0〜8.5に保持されるようなものを使用するのがより好ましい。抽出液のpHが4未満またはpHが10を越えると、本発明の反応に必須な成分が変性する虞があるためである。このような観点より、上記中でもHEPES−KOH(pH6.0〜8.5)を使用するのが特に好ましい。
当該抽出用液中における緩衝剤の含有量に特に制限はないが、好適な緩衝能を保持する観点から、5mM〜200mM含有されることが好ましく、10mM〜100mM含有されることがより好ましい。緩衝剤が5mM未満であると、酸性または塩基性物質の添加によりpHの急激な変動を引き起こし、抽出物が変性する傾向にあるためであり、また緩衝剤が200mMを越えると、塩濃度が高くなり過ぎ、タンパク質合成に必須な成分が不安定になる傾向にあるためである。
上記のように哺乳動物培養細胞を急激に凍結させる温度としては、通常−80℃以下であり、好ましくは−150℃以下である。−80℃を越える温度で急激に凍結させると、タンパク質合成に必須な成分が失活してタンパク質合成能が低下してしまう傾向にあるためである。
解凍した哺乳動物培養細胞の遠心分離は、当分野において通常行われている条件(10,000×g〜50,000×g、0℃〜10℃、10分間〜60分間)で行えばよい。
たとえば、抽出用液中に懸濁した哺乳動物培養細胞を急激に凍結させる工程の後に、解凍し、遠心分離する場合には、この遠心分離後の上清(上清1)をそのまま哺乳動物培養細胞抽出液としてもよいし、また、上清1をさらに遠心分離して、得られた上清(上清2)を哺乳動物培養細胞抽出液としてもよい。上記上清1の遠心分離の条件としては、上述したのと同様の条件(10,000×g〜50,000×g、0℃〜10℃、10分間〜60分間)で行えばよい。
なお上述のようにそれぞれ調製した後に、ゲル濾過を施し、ゲル濾過後の濾液より280nmにおける吸光度が10以上の画分を分取して抽出液として調製するようにしてもよい。
なお、調製方法に供する哺乳動物培養細胞は、培養に用いる培地の翻訳反応液への持込みを避けるため、上記急激な凍結を行う前に、洗浄液にて予め洗浄しておくのが好ましい。洗浄液の組成としては、上述した抽出用液と同様の組成のものであればよい。洗浄液での洗浄は、哺乳動物培養細胞に洗浄液を添加し、これを遠心分離(たとえば、700×g、10分間、4℃という条件)することによって行う。
洗浄に用いる洗浄液の量は、培地を完全に洗い流すという理由から、湿重量1gの哺乳動物培養細胞に対し5mL〜100mLであるのが好ましく、10mL〜50mLであるのがより好ましい。
洗浄回数は、1回〜5回行うのが好ましく、2回〜4回行うのがより好ましい。
なお上記範囲の量の抽出物を含有する抽出液は、抽出液のタンパク質濃度測定を利用して、調製できる。当該タンパク質濃度測定は、当分野において通常行われているように、たとえばBCA Protein assay Kit(PIERCE社製)を使用し、反応試薬2mLに対してサンプルを0.1mL加え、37℃で30分間反応させ、562nmにおける吸光度を測定する、といった手順によって行う。分光光度計(Ultrospec3300pro、アマシャム バイオサイエンス社製)を用いて、562nmにおける吸光度を測定する。コントロールとしては、通常、ウシ血清アルブミン(BSA)を使用する。
尚、当該抽出物の含有量が上記範囲なら、上記節足動物由来または哺乳動物細胞由来の抽出液を単独で用いてもよいし、異なる抽出液を混合してもよい。また異なる抽出液を混合する場合はいかなる割合であってもよい。
なお反応液に用いる外来mRNAは、その塩基数に特に制限はなく、目的とするタンパク質を合成し得るならばmRNA全てが同じ塩基数でなくともよい。また、目的とするタンパク質を合成し得る程度に相同な配列であれば、各mRNAは、複数個の塩基が欠失、置換、挿入または付加されたものであってよい。
タンパク質合成の速度の観点から、当該反応液中において上記のアミノ酸成分が1μM〜1000μM含有されることが好ましく、10μM〜200μM含有されることがより好ましい。アミノ酸成分が1μM未満または1000μMを越えると、タンパク質の合成速度が低下する傾向にあるためである。
転写/翻訳系合成反応では、転写、翻訳工程を連続して実施し得るという観点から両工程に好適な20℃〜30℃の範囲で反応を行うことが特に好ましい。反応の時間は、全工程あわせて、通常、1時間〜72時間、好ましくは3時間〜24時間である。
ルシフェラーゼをコードする構造遺伝子を有するpGEM−Luc Vector(プロメガ社製)5ngを鋳型とし、配列表配列番号12に示す塩基配列を有するプライマー(Luc T7−F3−Kpn)と、配列表配列番号13に示す塩基配列を有するプライマー(Luc T7−R4−Kpn)と、KOD plus(東洋紡績社製)を用い、96℃2分で鋳型を変性させた後、96℃15秒、50℃30秒、68℃120秒、30サイクルのPCRを行い、構造遺伝子のオープンリーディングフレーム(ORF)を増幅した。エタノール沈殿によりPCR産物を精製した後、KpnIで消化した。これとは別に、pTNT Vector(プロメガ社製)をKpnIで消化した。これらの反応液をアガロースゲル電気泳動で分離した後、Gen Elute Gel Purification Kit(シグマ社製)を用いて精製した。Ligation High(東洋紡績社製)を用いて、これらをライゲーションした後、大腸菌DH5α(東洋紡績社製)を形質転換した。形質転換した大腸菌からアルカリ−SDS法により調製したプラスミドを、配列表配列番号14に示す塩基配列を有するプライマー(T7 promoter)およびBig Dye Terminator Cycle Sequencing FS(アプライドバイオシステムズ社製)を用いてシークエンシング反応(96℃10秒、50℃5秒、60℃4分、25サイクル)を行った。この反応液をABI PRISM 310 Genetic Analyzer(アプライドバイオシステムズ社製)に供し、塩基配列解析を行った。pTNT Vector由来の5'−βグロビンリーダー配列の下流にルシフェラーゼ遺伝子の開始コドンが挿入されたプラスミドをpTNT−Lucと命名した。
上記参考例1で作成したプラスミドベクターpTNT−Lucを鋳型にして、配列表配列番号15に示す塩基配列を有するプライマー(T7p Rv)と、配列表配列番号16に示す塩基配列を有するプライマー(Luc−ATG)を用い、96℃15秒、50℃30秒、68℃5分、30サイクルのPCRを行った。反応終了後、電気泳動でPCR産物を分離した後、Gen Elute Gel Purification Kit(シグマ社製)を用いて精製し、これをライゲーション反応に用いた。このようにして、5'UTRの挿入の効果を確認すべく、プラスミドベクターpTNT−LucからSP6プロモーター配列、5'−βグロビンリーダー配列およびルシフェラーゼをコードする構造遺伝子の5'上流側マルチクローニングサイトを欠失せしめたプラスミドベクターを得た。
配列表配列番号1に示す塩基配列を有するカイコのフィブロインL鎖遺伝子の5'UTRのセンス鎖、アンチセンス鎖をDNA合成機で合成し、T4 Polynucleotide Kinase(東洋紡績社製)によってその5'末端のリン酸化を行った。反応終了後、センス鎖とアンチセンス鎖とを混合し、95℃5分間熱処理した。これを室温になるまで静置しセンス鎖とアンチセンス鎖とをアニーリングさせた。エタノール沈殿により精製した後、水に溶解させた。SigmaSpin Post Reaction Purification Columns(シグマ社製)によって、過剰のATPを取り除いた後、再度エタノール沈殿により精製した。得られた二本鎖DNA断片をインサートとし、上記SP6プロモーター配列、βグロビンリーダー配列および構造遺伝子の5'上流側マルチクローニングサイトを欠失したpTNT−Luc由来のベクターとライゲーションし、大腸菌DH5αを形質転換させた。得られた大腸菌よりプラスミドを調製した後、塩基配列解析を行った。このようにして、カイコのフィブロインL鎖遺伝子の5'UTRが順方向(5'→3')に1個組み込まれたベクターを選択した。このようにして、T7プロモーター配列と構造遺伝子との間にカイコのフィブロインL鎖遺伝子の5'UTRが順方向に1個組み込まれたベクター(鋳型DNA)を作製した。得られた鋳型DNAを、pFib−Lucと名付けた。
配列表配列番号2に示す塩基配列を有するカイコのセリシン遺伝子の5'UTRを用いた以外は参考例2と同様にして、T7プロモーター配列と構造遺伝子との間に、配列表配列番号2に示す塩基配列を有するカイコのセリシン遺伝子の5'UTRが順方向(5'→3')に1個組み込まれたベクター(鋳型DNA)を作製した。得られた鋳型DNAを、pSer−Lucと名付けた。
配列表配列番号3に示す塩基配列を有するAcNPV(Autographa californica nuclear polyhedrosis virus)のポリヘドリン遺伝子の5'UTRを用いた以外は参考例2と同様にして、T7プロモーター配列と構造遺伝子との間に、配列表配列番号3に示す塩基配列を有するAcNPVのポリヘドリン遺伝子の5'UTRが順方向(5'→3')に1個組み込まれたベクター(鋳型DNA)を作製した。得られた鋳型DNAを、pAphd−Lucと名付けた。
参考例2にてカイコのフィブロインL鎖遺伝子の5'UTRより調製した二本鎖DNA断片と、参考例4にてAcNPV(Autographa californica nuclear polyhedrosis virus)のポリヘドリン遺伝子の5'UTRより調製した二本鎖DNA断片とを共にインサートとして用い、上記SP6プロモーター配列、βグロビンリーダー配列および構造遺伝子の5'上流側マルチクローニングサイトを欠失したpTNT−Luc由来のベクターとライゲーションし、大腸菌DH5αを形質転換させた。得られた大腸菌よりプラスミドを調製した後、塩基配列解析を行った。このようにして、5'側から順にカイコのフィブロインL鎖遺伝子の5'UTRおよびAcNPVのポリヘドリン遺伝子の5'UTRがそれぞれ順方向(5'→3')に1個ずつ組み込まれたベクター(鋳型DNA)を選択した以外は、参考例2と同様にして行った。得られた鋳型DNAを、pFAphd−Lucと名付けた。
配列表配列番号4に示す塩基配列を有するBmCPV(Bombyx mori cytoplasmic polyhedrosis virus)のポリヘドリン遺伝子の5'UTRを用いた以外は参考例2と同様にして、T7プロモーター配列とルシフェラーゼ遺伝子との間に、配列表配列番号4に示す塩基配列を有するBmCPVのポリヘドリン遺伝子の5'UTRが順方向(5'→3')に1個組み込まれたベクター(鋳型DNA)を作製した。得られた鋳型DNAを、pBphd−Lucと名付けた。
BmCPVのポリヘドリン遺伝子の5'UTRが逆方向(3'→5')に1個組み込まれたベクター(鋳型DNA)を選択した以外は、参考例6と同様にして行った。得られた鋳型DNAを、pBphd−R−Lucと名付けた。
配列表配列番号5に示す塩基配列を有するEsCPV(Euxoa scandes cytoplasmic polyhedrosis virus)のポリヘドリン遺伝子の5'UTRを用いた以外は、参考例2と同様にして作製した二本鎖DNA断片をインサートとし、上記SP6プロモーター配列、βグロビンリーダー配列および構造遺伝子の5'上流側マルチクローニングサイトを欠失したpTNT−Luc由来のベクターとライゲーションし、大腸菌DH5αを形質転換させた。得られた大腸菌よりプラスミドを調製した後、塩基配列解析を行った。このようにして、5'側から順にEsCPVのポリヘドリン遺伝子の5'UTRがそれぞれ順方向(5'→3')に2個組み込まれたベクター(鋳型DNA)を選択した以外は、参考例2と同様にして行った。得られた鋳型DNAを、pEphd−FF−Lucと名付けた。
5'側から順にEsCPVのポリヘドリン遺伝子の5'UTRがそれぞれ逆方向(3'→5')に2個組み込まれたベクター(鋳型DNA)を選択した以外は、参考例8と同様にして行った。得られた鋳型DNAを、pEphd−RR−Lucと名付けた。
配列表配列番号6に示す塩基配列を有するHcNPV(Hyphantria cunea nuclear polyhedrosis virusのポリヘドリン遺伝子の5'UTRを用いた以外は、参考例2と同様にして作製した二本鎖DNA断片をインサートとし、上記SP6プロモーター配列、βグロビンリーダー配列および構造遺伝子の5'上流側マルチクローニングサイトを欠失したpTNT−Luc由来のベクターとライゲーションし、大腸菌DH5αを形質転換させた。得られた大腸菌よりプラスミドを調製した後、塩基配列解析を行った。このようにして、HcNPVのポリヘドリン遺伝子の5'UTRが順方向(5'→3')に1個組み込まれたベクター(鋳型DNA)を選択した以外は、参考例2と同様にして行った。得られた鋳型DNAを、pHphd−Lucと名付けた。
HcNPVのポリヘドリン遺伝子の5'UTRが逆方向(3'→5')に1個組み込まれたベクター(鋳型DNA)を選択した以外は、参考例10と同様にして行った。得られた鋳型DNAを、pHphd−R−Lucと名付けた。
5'側から順にHcNPVのポリヘドリン遺伝子の5'UTRがそれぞれ逆方向(3'→5')に2個組み込まれたベクター(鋳型DNA)を選択した以外は、参考例10と同様にして行った。得られた鋳型DNAを、pHphd−RR−Lucと名付けた。
配列表配列番号7に示す塩基配列を有するCrNPV(Choristoneura rosaceananucleopolyhedrovirus)のポリヘドリン遺伝子の5'UTRを用いた以外は、参考例2と同様にして作製した二本鎖DNA断片をインサートとし、上記SP6プロモーター配列、βグロビンリーダー配列および構造遺伝子の5'上流側マルチクローニングサイトを欠失したpTNT−Luc由来のベクターとライゲーションし、大腸菌DH5αを形質転換させた。得られた大腸菌よりプラスミドを調製した後、塩基配列解析を行った。このようにして、CrNPVのポリヘドリン遺伝子の5'UTRが順方向(5'→3')に1個組み込まれたベクター(鋳型DNA)を選択した以外は、参考例2と同様にして行った。得られた鋳型DNAを、pCphd−Lucと名付けた。
CrNPVのポリヘドリン遺伝子の5'UTRが逆方向(3'→5')に1個組み込まれたベクター(鋳型DNA)を選択した以外は、参考例13と同様にして行った。得られた鋳型DNAを、pCphd−R−Lucと名付けた。
配列表配列番号8に示す塩基配列を有するEoNPV(Ecotropis oblique nuclear polyhedrosis virus)のポリヘドリン遺伝子の5'UTRを用いた以外は、参考例2と同様にして作製した二本鎖DNA断片をインサートとし、上記SP6プロモーター配列、βグロビンリーダー配列および構造遺伝子の5'上流側マルチクローニングサイトを欠失したpTNT−Luc由来のベクターとライゲーションし、大腸菌DH5αを形質転換させた。得られた大腸菌よりプラスミドを調製した後、塩基配列解析を行った。このようにして、EoNPVのポリヘドリン遺伝子の5'UTRが逆方向(3'→5')に1個組み込まれたベクター(鋳型DNA)を選択した以外は、参考例2と同様にして行った。得られた鋳型DNAを、pEophd−R−Lucと名付けた。
配列表配列番号9に示す塩基配列を有するMnNPV(Malacosma neustria nucleopolyhedrovirus)のポリヘドリン遺伝子の5'UTRを用いた以外は、参考例2と同様にして作製した二本鎖DNA断片をインサートとし、上記SP6プロモーター配列、βグロビンリーダー配列および構造遺伝子の5'上流側マルチクローニングサイトを欠失したpTNT−Luc由来のベクターとライゲーションし、大腸菌DH5αを形質転換させた。得られた大腸菌よりプラスミドを調製した後、塩基配列解析を行った。このようにして、MnNPVのポリヘドリン遺伝子の5'UTRが順方向(5'→3')に2個組み込まれたベクター(鋳型DNA)を選択した以外は、参考例2と同様にして行った。得られた鋳型DNAを、pMphd−FF−Lucと名付けた。
MnNPVのポリヘドリン遺伝子の5'UTRが逆方向(3'→5')に1個組み込まれたベクター(鋳型DNA)を選択した以外は、参考例16と同様にして行った。得られた鋳型DNAを、pMphd−R−Lucと名付けた。
配列表配列番号10に示す塩基配列を有するSfNPV(Spodoptera frugiperda nucleopolyhedrovirus)のポリヘドリン遺伝子の5'UTRを用いた以外は、参考例2と同様にして作製した二本鎖DNA断片をインサートとし、上記SP6プロモーター配列、βグロビンリーダー配列および構造遺伝子の5'上流側マルチクローニングサイトを欠失したpTNT−Luc由来のベクターとライゲーションし、大腸菌DH5αを形質転換させた。得られた大腸菌よりプラスミドを調製した後、塩基配列解析を行った。このようにして、SfNPVのポリヘドリン遺伝子の5'UTRが順方向(5'→3')に1個組み込まれたベクター(鋳型DNA)を選択した以外は、参考例2と同様にして行った。得られた鋳型DNAを、pSphd−Lucと名付けた。
配列表配列番号11に示す塩基配列を有するWsNPV(Wiseana signata nucleopolyhedrovirus)のポリヘドリン遺伝子の5'UTRを用いた以外は、参考例2と同様にして作製した二本鎖DNA断片をインサートとし、上記SP6プロモーター配列、βグロビンリーダー配列および構造遺伝子の5'上流側マルチクローニングサイトを欠失したpTNT−Luc由来のベクターとライゲーションし、大腸菌DH5αを形質転換させた。得られた大腸菌よりプラスミドを調製した後、塩基配列解析を行った。このようにして、WsNPVのポリヘドリン遺伝子の5'UTRが順方向(5'→3')に1個組み込まれたベクター(鋳型DNA)を選択した以外は、参考例2と同様にして行った。得られた鋳型DNAを、pWphd−Lucと名付けた。
(1)昆虫培養細胞の培養
細胞数2.1×107個の昆虫培養細胞High Five(Invitrogen社製)を、L−グルタミンを添加したExpress Five無血清培地(Invitrogen社製)を入れた培養フラスコ(600cm2)内で27℃で6日間培養した。結果、細胞数1.0×108個、湿重量1.21gとなった。
(2)昆虫培養細胞抽出液の調製
まず、上記(1)で培養した昆虫培養細胞を収集し、下記組成の洗浄液で3回洗浄(700×g、4℃、10分間の条件で遠心分離)した。
〔洗浄液の組成〕
・60mM HEPES−KOH(pH7.9)
・200mM 酢酸カリウム
・4mM 酢酸マグネシウム
・4mM DTT
洗浄後の昆虫培養細胞に、下記組成の抽出用液を1mL加え、懸濁した。
〔抽出用液の組成〕
・40mM HEPES−KOH(pH7.9)
・100mM 酢酸カリウム
・2mM 酢酸マグネシウム
・2mM 塩化カルシウム
・20(v/v)% グリセロール
・1mM DTT
・1mM PMSF
この懸濁液を液体窒素中にて急速に凍結させた。充分に凍結させた後、約4℃の氷水浴中で解凍した。完全に解凍した後、30,000×g、4℃で10分間遠心分離(himacCR20B3、日立工機社製)し、上清を回収した。回収した上清1.5mLを下記組成のゲル濾過用緩衝液で平衡化したPD−10脱塩カラム(アマシャム バイオサイエンス社製)にアプライした。
〔ゲル濾過用緩衝液の組成〕
・40mM HEPES−KOH(pH7.9)
・100mM 酢酸カリウム
・2mM 酢酸マグネシウム
・1mM DTT
・1mM PMSF
アプライした後、ゲル濾過用緩衝液4mLにて溶出し、分光光度計(Ultrospec3300pro、アマシャム バイオサイエンス社製)を用いて、280nmにおける吸光度が30以上の画分を回収し、昆虫培養細胞抽出液とした。
(1)昆虫培養細胞の培養
昆虫細胞Sf21(Invitrogen社製)を、Sf900−II無血清培地(Invitrogen社製)中にて27℃で培養した。培地1mLあたりの細胞数6.0×105個のSf21を125mL三角フラスコ内の培地50mL中で27℃・130rpm・5日間懸濁培養を行った。結果、培地1mLあたりの細胞数1.0×108個、湿重量3gとなった。この細胞を用いて細胞抽出液を調製した。
(2)昆虫培養細胞抽出液の調製
まず、上記(1)で培養した昆虫培養細胞を収集し、下記組成の洗浄液で3回洗浄(700×g、4℃、10分間の条件で遠心分離)した。
〔洗浄液の組成〕
・40mM HEPES−KOH(pH7.9)
・100mM 酢酸カリウム
・2mM 酢酸マグネシウム
・2mM 塩化カルシウム
・1mM DTT
洗浄後の昆虫培養細胞に、下記組成の抽出用液を3mL加え、懸濁した。
〔抽出用液の組成〕
・40mM HEPES−KOH(pH7.9)
・100mM 酢酸カリウム
・2mM 酢酸マグネシウム
・2mM 塩化カルシウム
・20(v/v)% グリセロール
・1mM DTT
・0.5mM PMSF
この懸濁液を液体窒素中にて急速に凍結させた。充分に凍結させた後、約4℃の氷水浴中で解凍した。完全に解凍した後、30,000×g、4℃で10分間遠心分離(himacCR20B3、日立工機社製)し、上清を回収した。回収した上清をさらに45,000×g、4℃で30分間遠心分離して上清を回収した。回収した上清2.5mLを下記組成のゲル濾過用緩衝液で平衡化したPD−10脱塩カラム(アマシャム バイオサイエンス社製)にアプライした。
〔ゲル濾過用緩衝液の組成〕
・40mM HEPES−KOH(pH7.9)
・100mM 酢酸カリウム
・2mM 酢酸マグネシウム
・1mM DTT
・0.5mM PMSF
アプライした後、ゲル濾過用緩衝液3mLにて溶出し、分光光度計(Ultrospec3300pro、アマシャム バイオサイエンス社製)を用いて、280nmにおける吸光度が30以上の画分を回収し、昆虫培養細胞抽出液とした。
5齢期4日目のカイコ幼虫15匹よりハサミ、ピンセット、メス、スパーテルを使用して、後部絹糸腺3.07gを摘出し、これを−80℃で凍結させた乳鉢ですり潰し、下記組成の抽出用液を用いて、抽出を行った。
〔抽出用液の組成〕
・20mM HEPES−KOH(pH7.4)
・100mM 酢酸カリウム
・2mM 酢酸マグネシウム
・2mM DTT
・0.5mM PMSF
抽出後、得られた液状物を遠心分離機(himacCR20B3(日立工機社製))にて、30,000×g、30分間、4℃の条件にて遠心分離を行った。
遠心分離後、上清のみを単離し、再び30,000×g、10分間、4℃の条件にて遠心分離を行った。遠心分離後、上清のみを単離した。脱塩カラム PD−10(アマシャム バイオサイエンス社製)に、20%グリセロールを含む抽出用液を加えカラムを平衡化した後、上清を供給し、上記抽出用液にて溶出することによりゲル濾過を行った。
ゲル濾過後の濾液の画分を、分光光度計(Ultrospec3300pro、アマシャム バイオサイエンス社製)を用いて、280nmにおける吸光度が10以上の画分を分取して、5齢期のカイコ幼虫の後部絹糸腺由来の無細胞系タンパク質合成用抽出液を得た。
(1)哺乳動物培養細胞の培養
細胞濃度4.9×105cells/mLのチャイニーズハムスター卵巣細胞CHO K1-SFM(東北大学加齢医学研究所付属医用細胞資源センターより分譲)をCHO SERUM-FREE MEDIUM(SIGMA社製)200mLが入った三角フラスコ(500mL)内で130rpm・37℃・5%CO2雰囲気下で120時間培養した。その結果、細胞濃度8.8×106cells/mL、湿重量3.2gとなった。
(2)哺乳動物培養細胞(CHO)抽出液の調製
まず、上記(1)で培養した動物培養細胞を遠心分離(700×g、10分間)により収集し、下記組成の洗浄用緩衝液で3回洗浄(700×g、10分間の条件で遠心分離)した。
〔洗浄用緩衝液の組成〕
・40mM HEPES−KOH(pH7.9)
・100mM 酢酸カリウム
・2mM 酢酸マグネシウム
・2mM 塩化カルシウム
・1mM DTT
洗浄後の哺乳動物培養細胞に、細胞湿重量1gあたり0.8mLの下記組成の抽出用液を添加し、細胞を懸濁した。
〔抽出用液の組成〕
・40mM HEPES−KOH(pH7.9)
・100mM 酢酸カリウム
・2mM 酢酸マグネシウム
・2mM 塩化カルシウム
・20(v/v)% グリセロール
・1mM DTT
この懸濁液を液体窒素中にて急速に凍結させた。充分に凍結させた後、約4℃の氷水浴中で解凍した。完全に解凍した後、30,000×g、4℃で10分間遠心分離(himacCR20B3、日立工機社製)し、上清を回収した。回収した上清をさらに30,000×g、4℃で30分間遠心分離して上清を回収した。回収した上清2.0mLを下記組成のゲル濾過用緩衝液で平衡化したPD−10脱塩カラム(アマシャム バイオサイエンス社製)にアプライした。
〔ゲル濾過用緩衝液の組成〕
・40mM HEPES−KOH(pH7.9)
・100mM 酢酸カリウム
・2mM 酢酸マグネシウム
・1mM DTT
アプライした後、ゲル濾過用緩衝液3mLにて溶出し、分光光度計(Ultrospec3300pro、アマシャム バイオサイエンス社製)を用いて、280nmにおける吸光度が30以上の画分を回収し、哺乳動物培養細胞抽出液とした。
上記参考例1−19で作製した各ベクター(鋳型DNA)を、BamHIまたはBglIIで消化した後、フェノール−クロロホルム抽出、エタノール沈殿により精製した。得られたベクター1μgを鋳型として、RiboMax Large Scale RNA production System−T7(プロメガ社製)を用い20μlスケールで37℃4時間のインビトロ転写反応を行い、mRNAを合成した。
転写反応終了後、1UのRQ1 RNase Free DNase(プロメガ社製)を添加し、37℃15分インキュベートし、鋳型を消化した。フェノール−クロロホルム抽出によりタンパク質を除去した後、エタノール沈殿を行った。得られた沈殿を100μlの滅菌水に溶解し、Nick column(アマシャム バイオサイエンス社製)にアプライした後、滅菌水で溶出した。溶出画分に酢酸カリウムを終濃度0.3Mとなるように添加し、エタノール沈殿を行った。合成されたmRNAの定量は260nmと280nmの吸光度を測定して行った。
参考例20で調製した昆虫細胞抽出液を用い、上記参考例2〜7、9、11〜19で作製した鋳型DNAより上記実験例1に記載の方法で作製した各mRNAそれぞれについて、下記組成の翻訳系用反応液を調製し、翻訳反応を行った。
〔翻訳系用反応液の組成〕
・50(v/v)% 昆虫培養細胞抽出液
・320μg/mL mRNA
・30mM HEPES−KOH(pH7.9)
・100mM 酢酸カリウム
・2mM 酢酸マグネシウム
・2mM DTT
・0.5mM ATP
・0.25mM GTP
・20mM クレアチンリン酸
・200μg/mL クレアチンキナーゼ
・40μM アミノ酸(20種)
・0.25mM EGTA
・1U/μL RNaseインヒビター(ヒト胎盤由来)
・200μg/mL tRNA
ATP(シグマ社製)、GTP(シグマ社製)、アミノ酸(20種)(シグマ社製)、RNaseインヒビター(宝酒造社製)、tRNA(ロシュ・ダイアグノスティックス社製)をそれぞれ用いた。
反応装置として低温アルミブロック恒温槽MG−1000(東京理化器械社製)を用いた。翻訳反応は反応温度25℃で5時間行い、反応液量は25μLとした。
合成されたルシフェラーゼはルシフェラーゼアッセイキット(E−1500、プロメガ社製)を用いて定量した。ルシフェラーゼアッセイ試薬50μLに反応液2.5μLを添加し、ルミノメーター(Tuner Designs TD−20/20、プロメガ社製)を用いて、ルシフェラーゼによる発光を測定した。
参考例21で調製した昆虫細胞抽出液を用い、上記参考例2〜4、6〜16、18、19で作製した鋳型DNAより上記実験例1に記載の方法で作製した各mRNAそれぞれについて、下記組成の翻訳系用反応液を調製し、翻訳反応を行った。
〔翻訳系用反応液の組成〕
・50(v/v)% 昆虫培養細胞抽出液
・320μg/mL mRNA
・40mM HEPES−KOH(pH7.9)
・100mM 酢酸カリウム
・1.5mM 酢酸マグネシウム
・2mM DTT
・0.25mM ATP
・0.1mM GTP
・20mM クレアチンリン酸
・200μg/mL クレアチンキナーゼ
・80μM アミノ酸(20種)
・0.1mM EGTA
・1U/μL RNaseインヒビター(ヒト胎盤由来)
・200μg/mL tRNA
ATP(シグマ社製)、GTP(シグマ社製)、アミノ酸(20種)(シグマ社製)、RNaseインヒビター(宝酒造社製)、tRNA(ロシュ・ダイアグノスティックス社製)をそれぞれ用いた。
反応装置として低温アルミブロック恒温槽MG−1000(東京理化器械社製)を用いた。翻訳反応は反応温度25℃で5時間行い、反応液量は25μLとした。
合成されたルシフェラーゼはルシフェラーゼアッセイキット(E−1500、プロメガ社製)を用いて定量した。ルシフェラーゼアッセイ試薬50μLに反応液2.5μLを添加し、ルミノメーター(Tuner Designs TD−20/20、プロメガ社製)を用いて、ルシフェラーゼによる発光を測定した。
図2は、実験例3の結果を示すグラフであり、ルシフェラーゼコントロールRNA(プロメガ社製)を100%とした場合の相対合成量を縦軸に示している。
参考例22で調製したカイコ抽出液を用い、上記参考例2−19で作製した鋳型DNAより上記実験例1に記載の方法で作製した各mRNAそれぞれについて、下記組成の翻訳系用反応液を調製し、翻訳反応を行った。
〔翻訳系用反応液の組成〕
・50(v/v)% カイコ抽出液
・160μg/mL mRNA
・30mM HEPES−KOH(pH7.4)
・100mM 酢酸カリウム
・1.0mM 酢酸マグネシウム
・0.5mM DTT
・10(v/v)% グリセロール
・0.5mM ATP
・0.5mM GTP
・0.25mM EGTA
・25mM クレアチンリン酸
・200μg/mL クレアチンキナーゼ
・40μM アミノ酸(20種)
・2U/μL RNaseインヒビター
・200μg/mL tRNA
ATP(シグマ社製)、GTP(シグマ社製)、アミノ酸(20種)(シグマ社製)、RNaseインヒビター(宝酒造社製)、tRNA(ロシュ・ダイアグノスティックス社製)をそれぞれ用いた。外来mRNAとしては、ルシフェラーゼをコードするmRNA(ルシフェラーゼコントロールRNA、プロメガ社製)を用いた。
反応装置として低温アルミブロック恒温槽MG−1000(東京理化器械社製)を用いた。翻訳反応は反応温度25℃で5時間行い、反応液量は25μLとした。合成されたルシフェラーゼはルシフェラーゼアッセイキット(E−1500、プロメガ社製)を用いて定量した。ルシフェラーゼアッセイ試薬50μLに反応液2.5μLを添加し、ルミノメーター(Tuner Designs TD−20/20、プロメガ社製)を用いて、ルシフェラーゼによる発光を測定した。
参考例23で調製した哺乳動物培養細胞抽出液を用い、上記参考例1、5、6、8、11、12、14、15、16、18、19で作製した鋳型DNAより上記実験例1に記載の方法で作製した各mRNAそれぞれについて、下記組成の翻訳系用反応液を調製し、翻訳反応を行った。
〔翻訳系用反応液の組成〕
・50(v/v)% 哺乳動物培養細胞抽出液
・160μg/mL mRNA
・50mM HEPES−KOH(pH7.9)
・175mM 酢酸カリウム
・1mM 酢酸マグネシウム
・0.5mM 塩化カルシウム
・2mM DTT
・0.5mM ATP
・0.25mM GTP
・30mM クレアチンリン酸
・200μg/mL クレアチンキナーゼ
・80μM アミノ酸(20種)
・0.25mM EGTA
ATP(シグマ社製)、GTP(シグマ社製)、アミノ酸(20種)(シグマ社製)をそれぞれ用いた。
反応装置として低温アルミブロック恒温槽MG−1000(東京理化器械社製)を用いた。翻訳反応を開始するにあたり上記翻訳反応液中mRNAを含まない翻訳反応液をまず作製し、25℃で30分間インキュベートを行った。その後、mRNAを添加し翻訳反応を開始(25℃で4時間)した。反応液量は25μLとした。
合成されたルシフェラーゼはルシフェラーゼアッセイキット(E−1500、プロメガ社製)を用いて定量した。ルシフェラーゼアッセイ試薬50μLに反応液2.5μLを添加し、ルミノメーター(Tuner Designs TD−20/20、プロメガ社製)を用いて、ルシフェラーゼによる発光を測定した。
図4は、実験例5の結果を示すグラフであり、上記参考例1で作製したベクターpTNT−Lucより転写したmRANを100%とした場合の相対合成量を縦軸に示している。また、上記参考例1で作製したベクターpTNT−Lucは、哺乳類由来の抽出液において好適に翻訳反応を促進するDNA断片(5’β−グロビンリーダー配列)を有しているため、ここでは、参考例1に対して80%以上の合成量を示す上記DNA断片を翻訳反応を促進するDNA断片とした。
配列表配列番号17に示す塩基配列を有するプライマー(T7pMn−Eco)およびそのアンチセンス鎖をDNA合成機で合成し、T4 Polynucleotide Kinaseによってその5'末端のリン酸化を行った。反応終了後、センス鎖とアンチセンス鎖とを混合し、95℃5分間熱処理した。これを室温になるまで静置しセンス鎖とアンチセンス鎖とをアニーリングさせた。エタノール沈殿により精製した後、水に溶解させた。SigmaSpin Post Reaction Purification Columnsによって、過剰のATPを取り除いた後、再度エタノール沈殿により精製した。得られた二本鎖DNA断片をEcoRI(東洋紡績社製)で消化し、これをインサートとした。これとは別にpUC19をEheI(東洋紡績社製)およびEcoRIで消化し、電気泳動で分離した後、Gen Elute Gel Purification Kitを用いて約2.5kbのDNA断片を精製した。pUC19由来のベクターとインサートをライゲーションし、大腸菌DH5αを形質転換させた。得られた大腸菌よりプラスミドを調製した後、配列表配列番号18に示すM13Reverseプライマーを用いて塩基配列解析を行った。得られたプラスミドDNAを、pUMと名付けた。
配列表配列番号25に示す塩基配列を有するプライマー(T7pEo−Eco)およびそのアンチセンス鎖をDNA合成機で合成し、T4 Polynucleotide Kinaseによってその5'末端のリン酸化を行った。反応終了後、センス鎖とアンチセンス鎖とを混合し、95℃5分間熱処理した。これを室温になるまで静置しセンス鎖とアンチセンス鎖とをアニーリングさせた。エタノール沈殿により精製した後、水に溶解させた。SigmaSpin Post Reaction Purification Columnsによって、過剰のATPを取り除いた後、再度エタノール沈殿により精製した。得られた二本鎖DNA断片をEcoRI(東洋紡績社製)で消化し、これをインサートとした。これとは別にpUC19をEheI(東洋紡績社製)およびEcoRIで消化し、電気泳動で分離した後、Gen Elute Gel Purification Kitを用いて約2.5kbのDNA断片を精製した。pUC19由来のベクターとインサートをライゲーションし、大腸菌DH5αを形質転換させた。得られた大腸菌よりプラスミドを調製した後、配列表配列番号18に示すM13Reverseプライマーを用いて塩基配列解析を行った。得られたプラスミドDNAを、pUEと名付けた。
作製したpTD2Vectorは、配列表配列番号30に示す塩基配列を有する。 図8に、作成したpTD1Vectorのマップを示す。図中T7はT7プロモーター、EnhancerはEoNPV由来のポリヘドリン遺伝子5’UTR(逆方向)、MCSはマルチクローニングサイト、3’UTRはAcNPV由来のポリヘドリン遺伝子3’UTR、polyAはポリA尾部、terminatorはT7ターミネーター配列である。
(1)鋳型DNA(ベクターpTD1−Luc)の作製
ルシフェラーゼをコードする構造遺伝子を有するpGEM−Luc Vector(プロメガ社製)5ngを鋳型とし、配列表配列番号16に示す塩基配列を有するプライマー(Luc−ATG)と、配列表配列番号13に示す塩基配列を有するプライマー(Luc T7−R4−Kpn)と、KOD plus(東洋紡績社製)を用い、96℃2分で鋳型を変性させた後、96℃15秒、50℃30秒、68℃120秒、30サイクルのPCRを行い、オープンリーディングフレーム(ORF)を増幅した。T4 Polynucleotide KinaseによってPCR産物の5'末端のリン酸化を行った後、エタノール沈殿によりPCR産物を精製した。このDNA断片をKpnIで消化した後、電気泳動に供し、Gen Elute Gel Purification Kitを用いて約1.6kbのDNA断片を精製し、これをインサートとした。これとは別にpTD1 Vector 5ngを鋳型として、配列表配列番号26に示す塩基配列を有するプライマー(Eco−Kpn)と、配列表配列番号27に示す塩基配列を有するプライマー(Mn29 Rv)と、KOD plus(東洋紡績社製)を用い、96℃2分で鋳型を変性させた後、96℃15秒、50℃30秒、68℃3分、30サイクルのPCRを行った。PCR産物をエタノール沈殿により精製した後、KpnIで消化した。電気泳動で分離した後、Gen Elute Gel Purification Kitを用いて約3.0kbのDNA断片を精製した。pTD1 Vector由来のDNA断片とインサートをライゲーションし、大腸菌DH5αを形質転換させた。得られた大腸菌よりプラスミドを調製した後、配列表配列番号14に示す塩基配列を有するプライマー(T7 promoter)および配列表配列番号18に示すM13Reverseプライマーを用いて塩基配列解析を行った。得られたプラスミドDNAを、pTD1−Lucと名付けた。
(2)インビトロ転写反応およびmRNAの精製
インビトロ転写反応およびmRNAの精製は、上記実験例1に記載の方法と同様にして行った。
(3)翻訳反応
翻訳反応は、上記参考例21で作製した昆虫培養細胞(Sf21)抽出液を用いて、上記実験例3に記載の方法に従って翻訳反応を行った。合成されたルシフェラーゼは上記実験例3に記載の方法に従って定量した。
実施例2:pTD2 Vectorを用いた遺伝子のクローニングとそれを用いた無細胞タンパク質合成
(1)鋳型DNA(ベクターpTD2−Luc)の作製
ルシフェラーゼをコードする構造遺伝子を有するpGEM−Luc Vector(プロメガ社製)5ngを鋳型とし、配列表配列番号16に示す塩基配列を有するプライマー(Luc−ATG)と、配列表配列番号13に示す塩基配列を有するプライマー(Luc T7−R4−Kpn)と、KOD plus(東洋紡績社製)を用い、96℃2分で鋳型を変性させた後、96℃15秒、50℃30秒、68℃120秒、30サイクルのPCRを行い、オープンリーディングフレーム(ORF)を増幅した。T4 Polynucleotide KinaseによってPCR産物の5'末端のリン酸化を行った後、エタノール沈殿によりPCR産物を精製した。このDNA断片をKpnIで消化した後、電気泳動に供し、Gen Elute Gel Purification Kitを用いて約1.6kbのDNA断片を精製し、これをインサートとした。これとは別にpTD2 Vector 5ngを鋳型として、配列表配列番号26に示す塩基配列を有するプライマー(Eco−Kpn)と、配列表配列番号28に示す塩基配列を有するプライマー(Eo21 Fw)と、KOD plus(東洋紡績社製)を用い、96℃2分で鋳型を変性させた後、96℃15秒、50℃30秒、68℃3分、30サイクルのPCRを行った。PCR産物をエタノール沈殿により精製した後、KpnIで消化した。電気泳動で分離した後、Gen Elute Gel Purification Kitを用いて約3.0kbのDNA断片を精製した。pTD2 Vector由来のDNA断片とインサートをライゲーションし、大腸菌DH5αを形質転換させた。得られた大腸菌よりプラスミドを調製した後、配列表配列番号14に示す塩基配列を有するプライマー(T7 promoter)および配列表配列番号18に示すM13Reverseプライマーを用いて塩基配列解析を行った。得られたプラスミドDNAを、pTD2−Lucと名付けた。
(2)インビトロ転写反応およびmRNAの精製
インビトロ転写反応およびmRNAの精製は、上記実験例1に記載の方法と同様にして行った。
(3)翻訳反応
翻訳反応は、上記参考例20で作製した昆虫培養細胞(HighFive)抽出液を用いて、上記実験例2に記載の方法に従って翻訳反応を行った。合成されたルシフェラーゼは上記実験例2に記載の方法に従って定量した。
図6は、実施例2の結果を示すグラフであり、横軸が合成時間(時間)、縦軸がルシフェラーゼ合成量(μg/mL)を示す。また、比較例として参考例15で作製したpEophd−R−Lucより転写したmRNAを用いた合成結果を示す。図6に示すとおり、参考例25において作製した、翻訳反応を促進するDNA断片として、配列表配列番号8に示す塩基配列を示すDNA断片を使用して作製したタンパク質発現ベクターは、鋳型DNAとして参考例15で作製したpEophd−R−Lucを使用した場合と同程度の合成量を示すことがわかった。
ルシフェラーゼをコードする構造遺伝子を有するpGEM−Luc Vector(プロメガ社製)5ngを鋳型とし、配列表配列番号16に示す塩基配列を有するプライマー(Luc−ATG)と、配列表配列番号13に示す塩基配列を有するプライマー(Luc T7−R4−Kpn)と、KOD plus(東洋紡績社製)を用い、96℃2分で鋳型を変性させた後、96℃15秒、50℃30秒、68℃120秒、30サイクルのPCRを行い、オープンリーディングフレーム(ORF)を増幅した。T4 Polynucleotide KinaseによってPCR産物の5'末端のリン酸化を行った後、エタノール沈殿によりPCR産物を精製した。このDNA断片をKpnIで消化した後、電気泳動に供し、Gen Elute Gel Purification Kitを用いて約1.6 kbのDNA断片を精製し、これをインサートとした。これとは別にpEU3-N2 Vector(翻訳促進配列としてタバコモザイクウィルス由来のΩ配列を有するコムギ胚芽抽出液用の発現ベクター、東洋紡績社製)をEcoRVおよびKpnIで消化し、これに上記で作製したインサートをライゲーションした後、大腸菌DH5αを形質転換させた。得られた大腸菌よりプラスミドを調製した後、配列表配列番号14に示す塩基配列を有するプライマー(T7 promoter)およびM13 Reverseプライマーを用いて塩基配列解析を行った。得られたプラスミドDNAを、pEU3-N2-Lucと名付けた。本タンパク質発現用のプラスミドは、コムギ胚芽抽出液を用いた無細胞系タンパク質合成において、好適に発現されることが予想される。
(1)鋳型DNA
鋳型DNAとして、実施例1で作製したpTD1-Lucを用いた。
(2)インビトロ転写反応およびmRNAの精製
インビトロ転写反応およびmRNAの精製は、上記実験例1に記載の方法と同様にして行った。
(3)翻訳反応
翻訳反応は、上記(2)で作製したmRNAを鋳型として、コムギ胚芽抽出液を用いた無細胞系タンパク質合成を行った。コムギ胚芽抽出液としては、PROTEIOSTM ver.2(東洋紡績社製)を用いた。mRNAを終濃度240μg/mLとなるよう添加し、取り扱い説明書に従って50μLの反応スケール(バッチ反応)でタンパク質合成反応を行った。合成されたルシフェラーゼは上記実験例2に記載の方法に従って定量した。
図9が結果であり、縦軸にルシフェラーゼの相対合成量(%)を示す。参考として、鋳型DNAとして参考例26で作製したpEU3-N2-Lucを用い、コムギ胚芽抽出液を用いた無細胞系タンパク質合成を行った結果を示す(参考例26)。図9に示すとおり、実施例1で作製したpTD1-LucはpEU3-N2-Lucと比較して約170%の合成量を示すことがわかり、pTD1 Vectorがコムギ胚芽抽出液を用いた無細胞系タンパク質合成においても、翻訳反応を促進しうる発現ベクターとして好適に使用できることが明らかとなった。
(1)鋳型DNA
鋳型DNAとして、実施例1で作製したpTD1-Lucを用いた。
インビトロ転写反応およびmRNAの精製は、上記実験例1に記載の方法と同様にして行った。
翻訳反応は、上記(2)で作製したmRNAを鋳型として、ウサギ網状赤血球抽出液を用いた無細胞系タンパク質合成を行った。ウサギ網状赤血球抽出液としてRabbit Reticulocyte Lysate, Nuclease Treated(プロメガ社製)を用いた。mRNAを終濃度40μg/mLとなるよう添加し、取り扱い説明書に従って50μLの反応スケールでタンパク質合成反応を行った。合成されたルシフェラーゼは上記実験例2に記載の方法に従って定量した。
図10に結果を示す。縦軸にルシフェラーゼの相対合成量(%)を示す。参考として、鋳型DNAとして参考例1で作製したpTNT-Lucを用い、ウサギ網状赤血球抽出液を用いた無細胞系タンパク質合成を行った結果を示す(参考例1)。図10に示すとおり、ウサギ網状赤血球抽出液を用いた無細胞系タンパク質合成において、pTD1-LucはpTNT-Lucと同程度の合成量を示すことがわかり、pTD1 Vectorがウサギ網状赤血球抽出液を用いた無細胞系タンパク質合成においても、翻訳反応を促進しうる発現ベクターとして好適に使用できることが明らかとなった。
さらに、これらの発現ベクターを用いることによって無細胞系タンパク質合成において、タンパク質の合成量が向上することは実験例2から5及び実施例1から4、から明らかである。
カイコフィブロインL鎖遺伝子5'UTRの塩基配列
配列番号2:
カイコセリシン遺伝子5'UTRの塩基配列
配列番号3:
AcNPVポリヘドリン遺伝子5'UTRの塩基配列
配列番号4:
BmCPVポリヘドリン遺伝子5'UTRの塩基配列
配列番号5:
EsCPVポリヘドリン遺伝子5'UTRの塩基配列
配列番号6:
HcNPVポリヘドリン遺伝子5'UTRの塩基配列
配列番号7:
CrNPVポリヘドリン遺伝子5'UTRの塩基配列
配列番号8:
EoNPVポリヘドリン遺伝子5'UTRの塩基配列
配列番号9:
MnNPVポリヘドリン遺伝子5'UTRの塩基配列
配列番号10:
SfNPVポリヘドリン遺伝子5'UTRの塩基配列
配列番号11:
WsNPVポリヘドリン遺伝子5'UTRの塩基配列
配列番号12:
プライマー Luc T7−F3−Kpn
配列番号13:
プライマー Luc T7−R4−Kpn
配列番号14:
プライマー T7 promoter
配列番号15:
プライマー T7p Rv
配列番号16:
プライマー Luc−ATG
配列番号17:
プライマー T7pMn−Eco
配列番号18:
プライマー M13Reverse
配列番号19:
プライマー Phd3 Fw
配列番号20:
プライマー Phd3 Rv−Hind
配列番号21:
プライマー A25T7t
配列番号22:
プライマー Not−Fw
配列番号23:
プライマー Phd3 Rv
配列番号24:
プライマー Not−Rv
配列番号25:
プライマー T7pEo−Eco
配列番号26:
プライマー Eco−Kpn
配列番号27:
プライマー Mn29 Rv
配列番号28:
プライマー Eo21 Fw
配列番号29:
pTD1 Vector
配列番号30:
pTD2 Vector
Claims (14)
- 翻訳反応促進活性を有する以下の(a)から(k)よりなる群から選ばれた少なくとも1種のDNA断片を含む発現ベクター。
(a)配列表の配列番号1に示される塩基配列を有するDNA断片、
(b)配列表の配列番号2に示される塩基配列を有するDNA断片、
(c)配列表の配列番号3に示される塩基配列を有するDNA断片、
(d)配列表の配列番号4に示される塩基配列を有するDNA断片、
(e)配列表の配列番号5に示される塩基配列を有するDNA断片、
(f)配列表の配列番号6に示される塩基配列を有するDNA断片、
(g)配列表の配列番号7に示される塩基配列を有するDNA断片、
(h)配列表の配列番号8に示される塩基配列を有するDNA断片、
(i)配列表の配列番号9に示される塩基配列を有するDNA断片、
(j)配列表の配列番号10に示される塩基配列を有するDNA断片、
(k)配列表の配列番号11に示される塩基配列を有するDNA断片。 - 請求項1に記載された発現ベクターを用いた、無細胞系タンパク質合成方法。
- 動物由来の抽出物を含有する無細胞系タンパク質合成反応液を用いた、請求項2に記載の無細胞系タンパク質合成方法。
- 動物由来の抽出物が節足動物から抽出されたものである、請求項3に記載の無細胞系タンパク質合成方法。
- 節足動物が昆虫組織である、請求項4に記載の無細胞系タンパク質合成方法。
- 昆虫組織がカイコ組織である、請求項5に記載の無細胞系タンパク質合成方法。
- 節足動物が昆虫培養細胞である、請求項4に記載の無細胞系タンパク質合成方法。
- 昆虫培養細胞がTrichoplusia niの卵細胞由来及び/又はSpodoptera frugiperda卵巣細胞由来の細胞である、請求項7に記載の無細胞系タンパク質合成方法。
- 動物由来の抽出物が哺乳動物細胞から抽出されたものである、請求項3に記載の無細胞系タンパク質合成方法。
- 哺乳動物細胞が哺乳動物培養細胞である、請求項9に記載の無細胞系タンパク質合成方法。
- 哺乳動物培養細胞が、Chinese hamster ovary細胞である請求項10に記載の無細胞系タンパク質合成方法。
- 哺乳動物細胞がウサギ網状赤血球である、請求項9に記載の無細胞タンパク質合成方法。
- コムギ胚芽由来の抽出物を含有する無細胞系タンパク質合成反応液を用いた、請求項2に記載の無細胞系タンパク質合成方法。
- 請求項1から13のいずれかに記載の発現ベクター含む、無細胞系タンパク質合成用キット。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005262518A JP4442535B2 (ja) | 2004-12-07 | 2005-09-09 | 翻訳反応促進dna断片を含む発現ベクター及びそれを用いたタンパク質合成方法 |
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004354553 | 2004-12-07 | ||
JP2005262518A JP4442535B2 (ja) | 2004-12-07 | 2005-09-09 | 翻訳反応促進dna断片を含む発現ベクター及びそれを用いたタンパク質合成方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2006187275A true JP2006187275A (ja) | 2006-07-20 |
JP4442535B2 JP4442535B2 (ja) | 2010-03-31 |
Family
ID=36795022
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2005262518A Active JP4442535B2 (ja) | 2004-12-07 | 2005-09-09 | 翻訳反応促進dna断片を含む発現ベクター及びそれを用いたタンパク質合成方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4442535B2 (ja) |
-
2005
- 2005-09-09 JP JP2005262518A patent/JP4442535B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP4442535B2 (ja) | 2010-03-31 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
CN106978349B (zh) | 一种体外蛋白质合成的试剂盒及其制备方法 | |
WO2019024379A1 (zh) | 新型融合蛋白的制备及其在提高蛋白质合成的应用 | |
CN113528575B (zh) | 信号肽相关序列及其在蛋白质合成中的应用 | |
CN110093284A (zh) | 一种在细胞中提高蛋白合成效率的方法 | |
US8080387B2 (en) | Method for preparing soluble and active recombinant proteins usins PDI as a fusion partner | |
CN110938649A (zh) | 一种提高外源蛋白表达量的蛋白合成体系及其应用方法 | |
JP4244625B2 (ja) | 無細胞系タンパク質合成用抽出液、およびそれを用いた無細胞系タンパク質合成方法、ならびに該抽出液の調製方法 | |
JP4243762B2 (ja) | 無細胞系タンパク質合成用抽出液の調製方法、およびカイコ組織用抽出キット | |
JP4324730B2 (ja) | 無細胞系タンパク質合成用昆虫細胞抽出液の調製方法および昆虫細胞抽出液、ならびに昆虫細胞抽出液を用いた無細胞系タンパク質合成方法 | |
KR100730875B1 (ko) | 번역반응 촉진 dna 단편 및 그것을 사용한 무세포계단백질 합성방법 | |
US7238513B2 (en) | Nucleic acid sequences encoding Conus protein disulfide isomerase | |
JP4442535B2 (ja) | 翻訳反応促進dna断片を含む発現ベクター及びそれを用いたタンパク質合成方法 | |
JP4400687B2 (ja) | 翻訳反応促進DNA断片およびそれを用いた鋳型DNA、mRNA、ならびに無細胞系タンパク質合成用反応液 | |
JP2013158342A (ja) | 翻訳促進配列およびそれを用いた無細胞タンパク質合成方法 | |
JP4389870B2 (ja) | 哺乳動物培養細胞抽出液を用いた無細胞系タンパク質合成方法 | |
JP4244628B2 (ja) | 無細胞系タンパク質合成方法およびそのための抽出液 | |
JP4091901B2 (ja) | 無細胞系タンパク質合成におけるミクロソーム膜添加による翻訳後修飾方法 | |
JP3965437B2 (ja) | 無細胞系タンパク質合成におけるミクロソーム膜添加による翻訳後修飾方法 | |
JP2007202491A (ja) | タンパク質への修飾基の導入を制御する無細胞タンパク質合成方法 | |
JP4385652B2 (ja) | 翻訳反応促進DNA断片およびそれを用いた鋳型DNA、mRNA、ならびに無細胞系タンパク質合成用反応液 | |
JP2007143435A (ja) | 無細胞系タンパク質合成方法 | |
JP2005073609A (ja) | 鋳型dnaの増幅方法、ならびに増幅された鋳型dnaを用いた無細胞系タンパク質合成方法 | |
CN115161306B (zh) | 绿盲蝽rna降解酶、其编码基因、载体、菌株及其应用 | |
JP2005006539A (ja) | 無細胞系タンパク質合成方法 | |
JPWO2008032659A1 (ja) | 効率向上型分泌シグナルペプチド及びそれらを利用したタンパク質生産方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20080422 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20090707 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20090901 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20091006 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20091130 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20091222 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20100104 |
|
R151 | Written notification of patent or utility model registration |
Ref document number: 4442535 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130122 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140122 Year of fee payment: 4 |