JP2005312436A - 無細胞タンパク質合成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】単一の合成反応槽を用いて従来のバッチ法よりも合成反応の時間を長く持続させ、高い合成量のタンパク質を簡便に且つ安価に得ることができる無細胞タンパク質合成方法を提供する。
【解決手段】リボゾーム、mRNA、目的タンパク質合成に必要な全ての基質のアミノ酸、ATP、GTP、マグネシウムイオン、クレアチンリン酸、及びクレアチンリン酸キナーゼを緩衝液中に含む無細胞タンパク質合成系において無細胞タンパク質合成を開始し、その後無細胞合成系を維持する間に、クレアチンリン酸又はその塩を前記合成系に供給する操作を行うことによってタンパク質の連続合成を行う、無細胞タンパク質合成方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、無細胞タンパク質合成方法に関する。また本発明は、無細胞タンパク質合成系を利用する学問及び産業の分野において貢献する。
タンパク質合成方法として、無細胞タンパク質合成系が知られている。無細胞タンパク質合成系では、生細胞を用いる場合のような細胞培養の必要がなく、利便性に優れる。また、生細胞を用いる場合には、生細胞が自己の細胞機能を維持するために外来タンパク質を排除する傾向が強いため、発現が困難なタンパク質も多いが、無細胞タンパク質合成系では、このような生体維持機構の制約を受けにくく、この観点からも優れている。
しかしながら、無細胞タンパク質合成系では、反応時間が1〜2時間程度と短く、生細胞を用いた場合に比べ合成量が低いという欠点があった。このため、バッチ法による無細胞タンパク質合成系は、タンパク質の大量合成には用いることができなかった。
スピリン(A.S.Spirin)らは、限外濾過装置に無細胞反応液を入れ、基質アミノ酸、ATP及びGTPを含む溶液をポンプを用いて反応液に連続的に供給し、同時に、基質の分解物や合成されたタンパク質を含む反応産物を反応液から除くことにより、十数時間にわたって無細胞タンパク質合成が持続し、従来の20倍を超えるタンパク質合成量を達成した(A.S.Spirin et al., Science, 242, 1162-1164 (1988)、特公平7−110236号公報)。しかしながら、このフロー法によれば、装置が大掛かりとなり、また、アミノ酸の供給量も多くなり、コストの点で不利である。
横山らは、タンパク質合成に必要な基質アミノ酸やATP、GTP等を含む基質溶液を入れた試験管中に、濃縮した大腸菌抽出液、基質アミノ酸、ATP及びGTP等を含む反応液を内部に入れた使い捨て透析装置Dispo/Dialyzer(Spectrum) を収め、インキベートして、連続無細胞タンパク質合成を行った。無細胞タンパク質合成が6時間以上持続し、1mlの反応液当たり3mg以上の目的タンパク質CATが得られた。反応開始6時間後に前記基質溶液を新しいものと交換すると、合成反応はさらに持続し、最終的に6mgの目的タンパク質が1mlの反応液を用いて合成された(Kigawa,T. et al., FEBS Lett., 442, 15-19, 1999)。この透析法によれば、合成の間に、ATP及びGTPのエネルギー源のみならず、基質アミノ酸も反応液中に追加供給され、コストの点で不利である。また、目的タンパク質のCATは、比較的小分子のものである。
A.S.スピリン(A.S.Spirin)ら著、「サイエンス(Science)」、第242巻、1988年、p.1162−1164 特公平7−110236号公報 キガワ.Tら著、「フェデレーション・オブ・ヨーロピアン・バイオケミカル・ソサイエティーズ・レターズ(Federation of European Biochemical Societies letters)」、第442巻、1999年、p.15−19
このような背景から、高いタンパク質合成量を簡便に且つ安価に得ることが可能であり、自動制御したときにも装置の簡便化が可能な無細胞タンパク質合成方法が望まれる。
そこで本発明の目的は、単一の合成反応槽を用いて従来のバッチ法よりも合成反応の時間を長く持続させ、高い合成量のタンパク質を簡便に且つ安価に得ることができる無細胞タンパク質合成方法を提供することにある。
本発明は、以下の発明を含む。
(1)リボゾーム、mRNA、目的タンパク質合成に必要な全ての基質のアミノ酸、ATP、GTP、マグネシウムイオン、クレアチンリン酸、及びクレアチンリン酸キナーゼを緩衝液中に含む反応液からなる無細胞タンパク質合成系において無細胞タンパク質合成を開始し、その後無細胞合成系を維持する間に、クレアチンリン酸又はその塩を前記合成系に供給する操作を行うことによってタンパク質の連続合成を行う、無細胞タンパク質合成方法。
(2)前記クレアチンリン酸の塩が、クレアチンリン酸ナトリウム又はクレアチンリン酸カリウムである、前記(1)に記載の無細胞タンパク質合成方法。
(3)添加すべき前記クレアチンリン酸又はその塩の量を、添加後の前記反応液中における濃度が2.5〜50mMとなる量とする、前記(1)又は(2)に記載の無細胞タンパク質合成方法。
(4)前記添加する操作を、0.5〜4時間毎に繰り返し行う、前記(1)〜(3)のいずれかに記載の無細胞タンパク質合成方法。
(5)単一の合成反応槽においてタンパク質の連続合成を行う、前記(1)〜(4)のいずれかに記載の無細胞タンパク質合成方法。
(6)前記反応液が小麦胚芽細胞抽出物又は昆虫細胞抽出物を含む、(1)〜(5)のいずれかに記載の無細胞タンパク質合成方法。
(7)前記反応液が昆虫細胞抽出物を含む場合、前記昆虫細胞が、Trichoplusia ni卵細胞由来の樹立培養細胞である、(6)に記載の無細胞タンパク質合成方法。
本発明によると、従来のバッチ法に比べて合成反応の時間を長く持続させることができ、高い合成量のタンパク質を、簡便に且つ安価に得ることができる無細胞タンパク質合成方法が提供される。本発明によると、無細胞タンパク質合成方法を自動制御した装置において、機構的にシンプルな構成とすることが可能となる。
本明細書においてタンパク質は、オリゴペプチド、ポリペプチドを含む意味で用いる。
本発明の無細胞タンパク質合成系には、リボゾーム、mRNA、基質のアミノ酸、ATP、GTP、マグネシウムイオン、クレアチンリン酸、及びクレアチンリン酸キナーゼを緩衝液中に含む系を、特に限定することなく用いることができる。本発明の無細胞タンパク質合成系には、特に限定することなく原核細胞又は真核細胞から調製することができる細胞抽出液を用いることによって、様々な無細胞タンパク質合成系を適用することができる。例えば、胚芽、大腸菌、家兎網状赤血球、昆虫等の既知の無細胞タンパク質合成系を用いることができる。胚芽としては、小麦、大麦、イネ、コーン、ホウレンソウの胚芽を用いることができる。本発明においては特に、小麦胚芽や昆虫の細胞抽出液を用いることが好ましい。これらは公知の方法によって無細胞タンパク質合成用細胞抽出物として調製することができる。調製された細胞抽出物には、通常少なくともリボゾーム及び翻訳因子が含まれる。翻訳因子としては、開始因子、伸長因子、翻訳終結因子などが含まれる。
本発明において好ましく用いられる昆虫細胞としては、特に制限はなく、たとえば、鱗翅目、直翅目、双翅目、膜翅目、鞘翅目、甲虫目、脈翅目、半翅目などの昆虫由来の細胞を使用することができる。中でも、培養細胞株が多く樹立されていることから鱗翅目、半翅目などの昆虫由来の細胞が好ましい。また、本発明における昆虫細胞としては、いかなる組織由来の細胞であってもよく、たとえば、血球細胞、生殖巣由来細胞、脂肪体由来細胞、胚由来細胞、孵化幼虫由来細胞などを特に制限なく使用することができる。中でも、タンパク質生産能が高いと考えられる生殖巣由来細胞を使用するのが好ましい。特に、細胞系においてタンパク質合成能が高く、また無血清培地にて培養が可能であることから、Trichoplusia niの卵細胞由来の細胞であるHigh Five(Invitrogen社製)やSpodoptera fruglperda卵巣細胞由来の細胞であるSf21(Invitrogen社製)を昆虫細胞として用いるのが好ましい。
なお本発明においては、単一種の昆虫における単一の組織由来の昆虫細胞に限らず、単一種の昆虫における複数種の組織由来であってよく、複数種の昆虫における単一の組織由来であってもよく、無論、複数種の昆虫における複数種の組織由来であってもよい。
この昆虫細胞抽出液の調製方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、特開2004−215651号公報に記載の方法、すなわち、抽出用液に懸濁した昆虫細胞を急激に凍結させた後に昆虫細胞を破砕し、抽出を行うという方法を用いることができる。この方法は、緩和な状態で細胞破砕を行うことから無細胞タンパク質合成に必須な成分を破壊することなく細胞外に取り出すことができる点、使用器具などからのRNaseなどの混入を防ぐことができる点、界面活性剤などの試薬を用いた細胞破砕の場合に懸念される翻訳反応阻害物質の持込がない点などから、好ましく用いられる。
細胞抽出液は、タンパク質濃度で1mg/mL〜200mg/mL、好ましくは10mg/mL〜100mg/mL含有するとともに、10mM〜500mM、好ましくは50mM〜300mMの酢酸カリウム、0.1mM〜10mM、好ましくは0.5mM〜5mMの酢酸マグネシウム、0.1mM〜10mM、好ましくは0.5mM〜5mMのDTT、1μM〜50mM、好ましくは0.01mM〜5mMのPMSF、及び、5mM〜200mM、好ましくは10mM〜100mMのHEPES−KOH(pH4〜10、好ましくは6.5〜8.5)を含有する水溶液として調製される。また、この細胞抽出液は、さらにヌクレアーゼ処理が施されていることが好ましい場合がある。
このような細胞抽出液は、特に昆虫細胞を用いる場合において好ましく用いられる。
本発明の無細胞タンパク質合成方法においては、通常、上記細胞抽出液に、無細胞系でのタンパク質合成に要する添加物を添加することによって調製された反応液を用いる。上記添加物に特に制限はなく、無細胞系のタンパク質合成の分野において従来より一般に使用されているものであれば特に制限はない。
なお上記反応液は、細胞抽出液が10(v/v)%〜80(v/v)%、特には30(v/v)%〜60(v/v)%含有されるように調製されるのが好ましい。すなわち、上記反応液の全体において、細胞由来の抽出物の含有量が、タンパク質濃度で0.1mg/mL〜160mg/mLとなるように調製されるのが好ましく、3mg/mL〜60mg/mLとなるように調製されるのがより好ましい。当該抽出物の含有量がタンパク質濃度で0.1mg/mL未満または160mg/mLを越えると、目的のタンパク質の合成速度が低下する虞があるためである。
通常、上記反応液としては、細胞抽出液を除く成分として、カリウム塩、マグネシウム塩、DTT、アデノシン三リン酸、グアノシン三リン酸、クレアチンリン酸、クレアチンキナーゼ、アミノ酸成分、RNaseインヒビター、tRNA、外来mRNA、緩衝剤を少なくとも含有するものを用いる。これにより、短時間で大量のタンパク質の合成が可能であるというような利点をさらに有する無細胞系タンパク質合成用の反応液を実現できる。
当該反応液中におけるカリウム塩としては、本発明の作用を阻害するようなものでなければ特に制限はなく、たとえば酢酸カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、塩化カリウム、リン酸水素二カリウム、クエン酸水素二カリウム、硫酸カリウム、リン酸二水素カリウム、ヨウ化カリウム、フタル酸カリウムなど一般的な形態で使用することができ、中でも酢酸カリウムを使用するのが好ましい。カリウム塩は、タンパク質合成反応における補助因子として作用する。
当該反応液中におけるカリウム塩の含有量に特に制限はないが、保存安定性の観点から、たとえば酢酸カリウムなど1価のカリウム塩である場合、反応液中に10mM〜500mM含有されることが好ましく、50mM〜150mM含有されることがより好ましい。カリウム塩が10mM未満または500mMを越えると、タンパク質合成に必須な成分が不安定になる傾向にあるためである。
上記マグネシウム塩としては、本発明の作用を阻害するようなものでなければ特に制限はなく、たとえば酢酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、クエン酸マグネシウム、リン酸水素マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、乳酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、シュウ酸マグネシウムなど一般的な形態で使用することができ、中でも酢酸マグネシウムを使用するのが好ましい。マグネシウム塩も、タンパク質合成反応における補助因子として作用する。
当該反応液中におけるマグネシウム塩の含有量に特に制限はないが、保存安定性の観点から、たとえば酢酸マグネシウムなど2価の塩である場合、反応液中0.1mM〜10mM含有されることが好ましく、0.5mM〜3mM含有されることがより好ましい。マグネシウム塩が0.1mM未満または10mMを越えると、タンパク質の合成に必須な成分が不安定になる傾向にあるためである。
上記ジチオトレイトール(以下、「DTT」ということがある。)は、酸化防止の目的で配合されるものであり、当該反応液中において0.1mM〜10mM含有されることが好ましく、0.2mM〜5mM含有されることがより好ましい。DTTが0.1mM未満または10mMを越えると、タンパク質の合成に必須な成分が不安定になる傾向にあるためである。
当該反応液中におけるアデノシン三リン酸(以下、「ATP」ということがある。)は、タンパク質合成の速度の観点から、当該反応液中において0.01mM〜10mM含有されることが好ましく、0.1mM〜5mM含有されることがより好ましい。ATPが0.01mM未満または10mMを越えると、タンパク質の合成速度が低下する傾向にあるためである。
当該反応液中におけるグアノシン三リン酸(以下、「GTP」ということがある。)は、タンパク質合成の速度の観点から、当該反応液中において0.01mM〜10mM含有されることが好ましく、0.05mM〜5mM含有されることがより好ましい。GTPが0.01mM未満または10mMを越えると、タンパク質合成の速度が低下する傾向にあるためである。
当該反応液中におけるクレアチンリン酸は、タンパク質を継続的に合成するための成分であって、ATPとGTPを再生する目的で配合される。クレアチンリン酸は、タンパク質合成の速度の観点から、当該反応液中において1mM〜200mM含有されることが好ましく、10mM〜100mM含有されることがより好ましい。クレアチンリン酸が1mM未満であると、充分な量のATPとGTPが再生されにくく、結果としてタンパク質の合成速度が低下する傾向にあるためであり、またクレアチンリン酸が200mMを越えると、阻害物質として働き、タンパク質の合成速度が低下する傾向にあるためである。
当該反応液中におけるクレアチンキナーゼは、タンパク質を継続的に合成するための成分であって、クレアチンリン酸と共にATPとGTPを再生する目的で配合される。クレアチンキナーゼは、タンパク質合成の速度の観点から、当該反応液中において1μg/mL〜1000μg/mL含有されることが好ましく、10μg/mL〜500μg/mL含有されることがより好ましい。クレアチンキナーゼが1μg/mL未満であると、充分な量のATPとGTPが再生されにくく、結果としてタンパク質の合成速度が低下する傾向にあるためであり、またクレアチンキナーゼが1000μg/mLを越えると、阻害物質として働き、タンパク質の合成速度が低下する傾向にあるためである。
当該反応液中におけるアミノ酸成分は、20種類のアミノ酸、すなわち、バリン、メチオニン、グルタミン酸、アラニン、ロイシン、フェニルアラニン、グリシン、プロリン、イソロイシン、トリプトファン、アスパラギン、セリン、トレオニン、ヒスチジン、アスパラギン酸、チロシン、リシン、グルタミン、シスチン、アルギニン、の20種類のアミノ酸を少なくとも含有する。このアミノ酸には、ラジオアイソトープ標識されたアミノ酸も含まれる。さらに、必要に応じて、修飾アミノ酸を含有していてもよい。当該アミノ酸成分は、通常、各種類のアミノ酸を概ね等量ずつ含有してなる。
本発明においては、タンパク質合成の速度の観点から、当該反応液中において上記のアミノ酸成分が1μM〜1000μM含有されることが好ましく、10μM〜200μM含有されることがより好ましい。アミノ酸成分が1μM未満または1000μMを越えると、タンパク質の合成速度が低下する傾向にあるためである。
当該反応液中におけるRNaseインヒビターは、抽出液に混在する抽出元細胞由来のRNaseによって、本発明の無細胞系タンパク質合成の際にmRNAやtRNAが不所望に消化されて、タンパク質の合成を妨げるのを防ぐ目的で配合されるものであり、当該反応液中において0.1U/μL〜100U/μL含有されることが好ましく、1U/μL〜10U/μL含有されることがより好ましい。RNaseインヒビターが0.1U/μL未満であると、RNaseの分解活性を充分抑えることができない傾向にあるためであり、またRNaseインヒビターが100U/μLを越えると、タンパク質合成反応を阻害する傾向にあるためである。
当該反応液中における外来mRNAにおいては、抽出元の細胞に由来しないmRNAであるならば、コードするタンパク質(ペプチドを含む)に特に制限はなく、毒性を有するタンパク質をコードするものであってもよいし、また糖タンパク質をコードするものであってもよい。反応液に含有されるmRNAが外来mRNAであるか抽出元細胞に由来するmRNAであるかは、まず、抽出液中より、mRNAを単離精製後、逆転写酵素によりcDNAを合成し、得られたcDNAの塩基配列を解析し、既知の外来mRNAの塩基配列と比較することで判別することができる。
なお用いる外来mRNAは、塩基数に特に制限はなく、目的とするタンパク質を合成し得るならば外来mRNA全てが同じ塩基数でなくともよい。また、目的とするタンパク質を合成し得る程度に相同な配列であれば、各外来mRNAは、複数個の塩基が欠失、置換、挿入または付加されたものであってよい。
本発明に用いる外来mRNAは、市販のものでもよいし、目的とするタンパク質のORF(Open reading frame)を市販のベクター、たとえば、pTT Vector(プロメガ社製)の5’−βグロビンリーダー配列の下流に挿入し、これを用いて転写反応で得られたmRNAを用いても構わない。また、転写反応の際にメチル化されたリボヌクレオチドなどを加えることにより付加されたキャップ構造を有する外来mRNAを用いてもよい。
当該反応液中において、外来mRNA(以下、「mRNA」ということがある。)は、タンパク質合成の速度の観点から、5μg/mL〜2000μg/mL含有されることが好ましく、20μg/mL〜1000μg/mL含有されることがより好ましい。mRNAが5μg/mL未満または2000μg/mLを越えると、タンパク質合成の速度が低下する傾向にあるためである。
当該反応液中におけるtRNAは、上記20種類のアミノ酸に対応した種類のtRNAを概ね等量ずつ含有してなる。本発明においては、タンパク質合成の速度の観点から、当該反応液中において1μg/mL〜1000μg/mL含有されることが好ましく、10μg/mL〜500μg/mL含有されることがより好ましい。tRNAが1μg/mL未満または1000μg/mLを越えると、タンパク質合成の速度が低下する傾向にあるためである。
上記緩衝剤は、反応液に緩衝能を付与し、たとえば酸性または塩基性物質の添加などによって起こる反応液のpHの急激な変化による抽出物及び/又は反応生成物の変性を防止する目的で配合される。このような緩衝剤としては、特に制限はなく、たとえば、HEPES−KOH、Tris−HCl、酢酸−酢酸ナトリウム、クエン酸−クエン酸ナトリウム、リン酸、ホウ酸、MES、PIPESなどを使用することができる。
緩衝剤は、当該反応液のpHが4〜10に保持されるようなものを使用するのが好ましく、pHが6.5〜8.5に保持されるようなものを使用するのがより好ましい。反応液のpHが4未満またはpHが10を越えると、本発明の反応に必須な成分が変性する虞があるためである。このような観点より、上記中でもHEPES−KOH(pH6.5〜8.5)を使用するのが特に好ましい。
当該反応液中における緩衝剤の含有量に特に制限はないが、好適な緩衝能を保持する観点から、5mM〜200mM含有されることが好ましく、10mM〜50mM含有されることがより好ましい。緩衝剤が5mM未満であると、酸性または塩基性物質の添加によりpHの急激な変動を引き起こし、抽出物及び/又は反応生成物が変性する傾向にあるためであり、また緩衝剤が200mMを越えると、塩濃度が高くなり過ぎ、タンパク質合成に必須な成分が不安定になる傾向にあるためである。
また上記反応液は、ヌクレアーゼ処理を行った細胞抽出液を用いた場合、EGTAを含有するのが好ましい。EGTAを含有すると、EGTAが抽出液中の金属イオンとキレートを形成することでリボヌクレアーゼ、プロテアーゼ等が不活化することにより、本発明のタンパク質合成に必須な成分の分解を阻害することができるためである。また上記のように抽出液にヌクレアーゼ処理を施した場合であっても、反応液がEGTAを含有することにより、ヌクレアーゼが無細胞系タンパク質合成に悪影響を及ぼすことを確実に防止することができる。該EGTAは、上記反応液中において、上記分解阻害能を好適に発揮し得る観点から0.01mM〜50mM含有されることが好ましく、0.1mM〜10mM含有されることがより好ましい。EGTAが0.01mM未満であると必須な成分の分解活性を充分に抑えることができない傾向にあるためであり、また、50mMを越えるとタンパク質合成反応を阻害する傾向にあるためである。
すなわち、本発明の無細胞系タンパク質合成方法に用いる反応液は、上記抽出液を30(v/v)%〜60(v/v)%含有するとともに、50mM〜150mMの酢酸カリウム、0.5mM〜3mMの酢酸マグネシウム、0.2mM〜5mMのDTT、0.1mM〜5mMのATP、0.05mM〜5mMのGTP、10mM〜100mMのクレアチンリン酸、10μg/mL〜500μg/mLのクレアチンキナーゼ、10μM〜200μMのアミノ酸成分、1U/μL〜10U/μLのRNaseインヒビター、10μg/mL〜500μg/mLのtRNA、20μg/mL〜1000μg/mLの外来mRNA、10mM〜50mMのHEPES−KOH(pH6.5〜8.5)を含有する水溶液として実現されるのが好ましい。また、上記に加えてさらに0.1mM〜10mMのEGTAを含有するように実現されるのがより好ましい場合がある。
このような反応液は、特に昆虫細胞抽出液を用いる場合において好ましく用いられる。
本発明の無細胞系タンパク質合成方法においては、上記のような反応液を調製し、適切な反応温度にて合成を開始する。
なお反応温度としては、通常、10℃〜40℃、好ましくは15℃〜30℃の範囲内である。反応温度が10℃未満であると、タンパク質の合成速度が低下する傾向にあり、また反応温度が40℃を越えると、必須な成分が変性する傾向にあるためである。
本発明においては、この無細胞合成系を維持する間に、クレアチンリン酸又はその塩を合成反応液中に供給する。クレアチンリン酸の塩としては、クレアチンリン酸ナトリウムやクレアチンリン酸カリウムなどを用いることができる。追加供給するクレアチンリン酸又はその塩は、100〜1000mM水溶液として用いることができる。100mM未満になると、添加すべき溶液の合計量が増加するとともに反応液自体の容量が増加し、好ましい反応液組成からのずれが極端に大きくなる傾向があるためである。
クレアチンリン酸又はその塩の追加供給量は、各細胞系によって異なるため特に限定されず、当業者が適宜決定することができる。細胞抽出液の組成、反応液の組成、その他さまざまな要因に拠るが、例えば、新たに追加されたクレアチンリン酸の反応液中の濃度が例えば2.5〜50mMとなるように設定することができる。
また、クレアチンリン酸又はその塩の添加のタイミングなども、各細胞系によって異なるため特に限定されず、当業者が適宜決定することができる。例えば、タンパク質合成の反応速度が落ち始めたときに追加するようなタイミングが好ましい。このようなタイミングは、細胞抽出液の組成、反応液の組成、追加供給する量、その他さまざまな要因に依るため特に限定されない。
また、上記と同様の理由で、追加供給する回数も特に限定されず、例えば目的とするタンパク質合成量に応じて当業者が適宜決定することができる。一回のみ追加供給を行う場合は、反応開始後0.5〜4時間後くらいに追加供給を行うことができる。複数回追加供給を行う場合は、2回目からは0.5〜4時間間隔で追加供給することができる。また、この場合の追加供給する回数は、目的とする合成量に応じて当業者が適宜決定することができる。このため、追加供給する回数の上限値は特に限定されない。
小麦胚芽細胞系などを用いる場合、1回の添加量としては、添加すべきクレアチンリン酸又はその塩が、添加後反応溶液中において2.5〜5mMの濃度となるように設定することができる。例えば、40μlの反応容量であれば、250mMのクレアチンリン酸又はその塩の溶液を1回につき約0.4μl加えるとよい。添加のタイミングとしては、反応開始から0.5〜1時間後に、添加の操作を0.5〜1時間の間隔で断続的に行うようにすると良い。好ましくは、添加すべきクレアチンリン酸又はその塩が、添加後反応溶液中において2.5mMの濃度となるように添加する操作を、1時間毎に行う。このような1時間毎の添加操作であれば、例えば3〜10回程度繰り返して行うとよい。
昆虫細胞系などを用いる場合、一回の添加量としては、添加すべきクレアチンリン酸又はその塩が、添加後反応溶液中において5〜50mM、好ましくは10〜40mMの濃度となるように設定することができる。例えば、40μlの反応容量であれば、1000mMのクレアチンリン酸又はその塩の溶液を1回につき0.8μl加えると良い。添加のタイミングとしては、反応開始後2〜4時間後に添加の操作を行うようにすると良い。添加の回数は、例えば1〜3回であり、複数回行う場合は、例えば2〜4時間間隔で行うことができる。
このように本発明においては、クレアチンリン酸キナーゼによって触媒されたクレアチンリン酸−クレアチンの系によってエネルギー源であるATPを再生して用いることにより、無細胞合成系中のATPの濃度を常に高い状態に保つことができる。これに対し、従来のバッチ法は、クレアチンリン酸の枯渇によってATP再生系が停止するため、ある時間でATPが枯渇し、合成反応が停止する。すなわち本発明は、クレアチンリン酸又はその塩を添加することによってATP再生時間を長くするため、従来のバッチ法よりも合成反応を長く持続させることができる。反応を持続させる時間、すなわち上記の添加操作を繰り返す回数は、すでに述べたように目的とする合成量に応じて当業者が適宜決定することができる。
また、ATPの減成生成物が合成系中に蓄積する量を抑えることができるため、ATPの減成生成物の除去操作を行わなくとも持続して合成を行うことができる。すなわち、従来の連続合成法よりも操作の簡略化を図ることが可能になる。さらに、単一合成反応槽においてクレアチンリン酸又はその塩を供給すれば反応を維持することができるため、タンパク質合成にかかるコストの削減を図ることが可能になる。
本発明においては、合成反応を維持する間に、反応液に対して上記のクレアチンリン酸又はその塩に加え、さらにmRNA及びマグネシウム塩のうちの少なくとも一方を合成反応液中に供給しても良い。このときマグネシウム塩としては、本発明の作用を阻害するようなものでなければ特に限定は無く、例えば、上記反応液中に含まれるものと同様のものを用いることができる。すなわち、酢酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、クエン酸マグネシウム、リン酸水素マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、乳酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、シュウ酸マグネシウムなど一般的な形態で使用することができ、中でも酢酸マグネシウムを使用するのが好ましい。
この場合、追加供給するmRNAやマグネシウム塩は、水溶液として用いることができる。
例えば、追加供給するmRNAは、5000〜50000μg/mL水溶液として用いることが好ましい。5000μg/mL未満になると、添加すべき溶液の合計量が増加するとともに反応液自体の容量が増加し、好ましい反応液組成からのずれが極端に大きくなる傾向があるためである。なお、マグネシウム塩と組み合わせて追加供給する場合は、上記濃度のクレアチンリン酸又はその塩及び後に記載する濃度のマグネシウム塩を含む混合溶液として用いることができる。
例えば、追加供給するマグネシウム塩は、100〜500mM水溶液として用いることができる。100mM未満になると、添加すべき溶液の合計量が増加するとともに反応液自体の容量が増加し、好ましい反応液組成からのずれが極端に大きくなる傾向があるためである。なお、mRNAと組み合わせて追加供給する場合は、上記濃度のmRNA及び上記濃度のクレアチンリン酸又はその塩を含む混合溶液として用いることができる。
mRNAの追加供給においては、反応液中に、新たに追加されたmRNAが5μg/mL〜2000μg/mL含有されるように追加供給されることが好ましく、20μg/mL〜1000μg/mL含有されるように追加供給されることがより好ましい。追加供給したmRNAが5μg/mL未満又は2000μg/mLを越えると、タンパク質合成の速度が低下する傾向にあるためである。このようにmRNAの追加供給を行うことによって、反応液中のmRNAの濃度を常に高い状態に保つことができる。
マグネシウム塩の追加供給においては、反応液中に、新たに追加されたマグネシウム塩が0.5〜3.0mM含有されるように追加供給されることが好ましく、1.0〜2.0mM含有されるように追加供給されることがより好ましい。追加供給したマグネシウム塩が0.5mM未満又は3.0mMを越えると、タンパク質合成の速度が低下する傾向にあるためである。このようにマグネシウム塩の追加供給を行うことによって、反応液中のマグネシウム塩の濃度を適度に保つことができる。
mRNA及びマグネシウム塩のうちの少なくとも一方を合成反応液中に追加供給する場合、それらの追加供給は、クレアチンリン酸又は塩の追加供給において述べたタイミングと同じタイミングで行うと良い。
本発明においては、前記添加の操作が自動制御されていても良い。本発明の無細胞タンパク質合成方法は簡便であるため、自動制御のための装置においてその機構を簡略化することができる。自動制御を行うことは、合成反応操作を確実にすると共にさらなる簡略化を図ることができる点で好ましい。
下記実施例1〜3においては、pEUベクターのΩ配列下流に、緑色蛍光タンパク質(GFP)遺伝子を挿入したプラスミドpEU−GFPを構築し、環状DNAを用いて(又はこれを鋳型としたPCR産物を用いてもよい。)mRNAを合成した後、小麦胚芽抽出液内にてタンパク質合成反応を行った。
(タンパク質合成反応)
[実施例1]
mRNAは、RNApolymerase(プロメガ社製)を用いて合成した後、エタノール沈殿及びゲルろ過を行い、紫外線吸収法にて定量することにより調製したものを35μg用いた。無細胞タンパク質合成反応は、40μlの反応容量において25℃で行い、その他の条件及び反応液組成は、市販の小麦胚芽抽出液PROTEIOS(東洋紡社製)のプロトコルに準じて行った。反応開始1時間後、250mMのクレアチンリン酸ナトリウム溶液0.4μlを添加し、反応液中における添加されたクレアチンリン酸ナトリウムの濃度が2.5mMとなるようにした。この後も1時間間隔で250mMのクレアチンリン酸ナトリウム溶液を添加し、添加する毎に、添加されたクレアチンリン酸ナトリウムの反応液中における濃度が2.5mMとなるようにした。
[実施例2]
反応開始40分後、250mMのクレアチンリン酸ナトリウム溶液0.4μlを添加し、反応液中における添加されたクレアチンリン酸ナトリウムの濃度が2.5mMとなるようにし、この後も40分間隔で250mMのクレアチンリン酸を添加した以外は、実施例1と同様にしてタンパク質の合成を行った。
[実施例3]
反応開始1時間後、500mMのクレアチンリン酸ナトリウム溶液0.4μlを添加し、反応液中における添加されたクレアチンリン酸ナトリウムの濃度が5mMとなるようにし、この後も1時間間隔で500mMのクレアチンリン酸を添加した以外は、実施例1と同様にしてタンパク質の合成を行った。
(結果)
合成されたGFPは、マイクロプレートリーダーGENios(TECAN社製)を用いて蛍光強度を測定した。別途既知濃度のGFP希釈系列を調製し蛍光強度を測定することによって作成したGFP濃度−蛍光強度の検量線から、合成されたGFP濃度を求めた。従来型のバッチ法によるGFP合成量と本発明の方法によるGFP合成量とを比較したものを図1に示す。図1においては、横軸に時間(分)(Time (min))、縦軸にGFP合成量(GFP Productions)(μg)を表す。クレアチンリン酸ナトリウム溶液を添加しない従来型のバッチ法による結果を「コントロール」、1時間間隔で、添加されたクレアチンリン酸ナトリウムの反応液中の濃度が2.5mMになるように溶液を添加した実施例1の結果を「60min 2.5mM」、40分間隔で、添加されたクレアチンリン酸ナトリウムの反応液中の濃度が2.5mMになるように溶液を添加した実施例2の結果を「40min 2.5mM」、1時間間隔で、添加されたクレアチンリン酸ナトリウムの反応液中の濃度が5mMになるように溶液を添加した実施例3の結果を「60min 5mM」として表す。特に、実施例1の結果においては、400分後の合成量をコントロールと比較すると、GFP合成量が約1.4倍向上したことが確認された。
下記実施例4においては、エンハンサー配列(バキュロウイルスポリヘドリン遺伝子5’非コード領域配列由来)の下流に、緑色蛍光タンパク質(GFP)遺伝子を挿入した発現プラスミドを構築し、mRNAを合成した後、昆虫細胞抽出液を用いてタンパク質合成反応を行った。
[実施例4]
(タンパク質合成反応)
mRNAは、RiboMAX Large Scale RNA Production System(プロメガ社)のプロトコルに従って合成した後、エタノール沈殿及びゲルろ過を行い、紫外線吸収法にて定量することにより調製した。一方、昆虫細胞抽出液は、昆虫細胞(Sf21、Invitrogen社製)を用いたこと以外は特開2004−215651号公報の実施例1に記載の方法と同様の方法によって調製した。
無細胞タンパク質合成用反応液は、水中に、40mM HEPES−KOH(pH7.9)、100mM 酢酸カリウム、2mM 酢酸マグネシウム、0.5mM ATP、0.25mM GTP、20mM クレアチンリン酸、200μg/ml クレアチンキナーゼ、2mM DTT、80μM アミノ酸(20種類)、0.25mM EGTA、1U/μL RNaseインヒビター、200μg/ml tRNA(ビール酵母由来)、50%(v/v)抽出液、及び320μg/ml mRNAを含む組成であり、この組成を有する反応液の全量は40μl(すなわちmRNA含有量は12.8μg)とした。このような反応液を合計14個作製した。それぞれ反応液(1)〜(14)とナンバリングした。この反応液を25℃で反応させた。
反応液(1)〜(10)を比較用のコントロールとし、反応液(1)については従来のバッチ法のように、反応開始後何も加えず、反応液(2)〜(10)については、mRNA及び/又は酢酸マグネシウム(以下、Mgと略する場合がある)の水溶液を、反応開始後160分後に1回追加供給した。一方、反応液(11)〜(14)については、mRNA水溶液、酢酸マグネシウム(以下、Mgと略する場合がある)水溶液、及びクレアチンリン酸(以下、CPと略する場合がある)の水溶液を、反応開始後160分後に1回追加供給した。追加供給した量は、反応液中の終濃度(すなわち新たに追加したものの反応液中の濃度)として、以下に示した。
反応液(1):0(コントロール)
反応液(2):mRNA(コントロール)
反応液(3):1mM Mg(コントロール)
反応液(4):1.5mM Mg(コントロール)
反応液(5):2mM Mg(コントロール)
反応液(6):2.5mM Mg(コントロール)
反応液(7):1mM Mg、mRNA(コントロール)
反応液(8):1.5mM Mg、mRNA(コントロール)
反応液(9):2mM Mg、mRNA(コントロール)
反応液(10):2.5mM Mg、mRNA(コントロール)
反応液(11):10mM CP、1.5mM Mg、mRNA
反応液(12):20mM CP、1.5mM Mg、mRNA
反応液(13):30mM CP、1.5mM Mg、mRNA
反応液(14):40mM CP、1.5mM Mg、mRNA
なお、追加供給したmRNAの終濃度は、すべて320μg/mlである。
(結果)
合成されたGFPは、マイクロプレートリーダーGENios(TECAN社製)を用いて蛍光強度を測定した。別途既知濃度のGFP希釈系列を調製し蛍光強度を測定することによって作成したGFP濃度−蛍光強度の検量線から、合成されたGFP濃度を求めた。
反応液(1)〜(10)において行った方法によるGFP合成量と、反応液(11)〜(14)すなわち本発明の方法によるGFP合成量とを比較したものを図2に示す。図2においては、縦軸にGFP合成量(GFP Productions)(μg/ml)を表す。図2が示すように、本発明の方法はより高い合成量を達成した。特に10mM CP、1.5mM Mg、及び320μg/ml mRNAを追加供給した反応液(11)の場合、従来のバッチ法(反応液(1))と比べると約1.3倍のGFP合成量を達成した。
実施例1〜3によるタンパク質合成の結果(40min 2.5mM、60min 2.5mM、及び60min 5mM)を、コントロールと比較して示した図である。 実施例4によるタンパク質合成の結果(10mM CP、1.5mM Mg、mRNA;20mM CP、1.5mM Mg、mRNA;30mM CP、1.5mM Mg、mRNA;及び40mM CP、1.5mM Mg、mRNA)を、コントロールと比較して示した図である。

Claims (7)

  1. リボゾーム、mRNA、目的タンパク質合成に必要な全ての基質のアミノ酸、ATP、GTP、マグネシウムイオン、クレアチンリン酸、及びクレアチンリン酸キナーゼを緩衝液中に含む反応液からなる無細胞タンパク質合成系において無細胞タンパク質合成を開始し、その後、
    無細胞合成系を維持する間に、クレアチンリン酸又はその塩を前記合成系に供給する操作を行うことによってタンパク質の連続合成を行う、無細胞タンパク質合成方法。
  2. 前記クレアチンリン酸の塩が、クレアチンリン酸ナトリウム又はクレアチンリン酸カリウムである、請求項1に記載の無細胞タンパク質合成方法。
  3. 添加すべき前記クレアチンリン酸又はその塩の量を、添加後の前記反応液中における濃度が2.5〜50mMとなる量とする、請求項1又は2に記載の無細胞タンパク質合成方法。
  4. 前記添加する操作を、0.5〜4時間毎に繰り返し行う、請求項1〜3のいずれか1項に記載の無細胞タンパク質合成方法。
  5. 単一の合成反応槽においてタンパク質の連続合成を行う、請求項1〜4のいずれか1項に記載の無細胞タンパク質合成方法。
  6. 前記反応液が小麦胚芽細胞抽出物又は昆虫細胞抽出物を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の無細胞タンパク質合成方法。
  7. 前記反応液が昆虫細胞抽出物を含む場合、前記昆虫細胞が、Trichoplusia ni卵細胞由来の樹立培養細胞である、請求項6に記載の無細胞タンパク質合成方法。
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