JP2013007571A - レーザ光コヒーレンス関数測定方法及び測定装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 線形に周波数掃引されたレーザ光を2系統に分岐し、一方の分岐光を光サーキュレータ4により光ファイバ5に入射し当該光ファイバ5に生じて反射されるレイリー散乱光を取り込み、そのレイリー散乱光と他方の分岐光とを合波し(3−2)、受光素子6にて合波光から光電流を検出し、検出された光電流の電流値をフーリエ変換し、そのパワースペクトルを解析する(7−11)。その解析は、2回連続して行うことにより前記パワースペクトルの自己相関関数を遅延τの関数として求め、各パワースペクトルのアンサンブル平均値で当該自己相関関数を割り、当該値のアンサンブル平均から1を引いた値が遅延τにおけるコヒーレンス関数γ(τ)の絶対値の4乗に比例することを利用して、コヒーレンス関数γ(τ)の絶対値を求める。
【選択図】 図1
Description
本発明は、上記の事情を鑑みてなされたもので、レーザ光のスペクトル線幅が狭く、コヒーレンス時間が長いレーザ光のコヒーレンス時間をより正確に測定可能とするレーザ光コヒーレンス関数測定方法及び測定装置を提供することを目的とする。
(1)遅延時間τの関数である被測定レーザ光のコヒーレンス関数γ(τm)を測定するレーザ光コヒーレンス測定方法であって、被測定レーザ光の周波数を線形に掃引し、前記周波数掃引されたレーザ光を2系統に分岐し、分岐された一方のレーザ光を光ファイバに入射して当該光ファイバで生じたレイリー散乱光を取り込み、前記レイリー散乱光と前記分岐された他方のレーザ光とを合波し、前記合波によって生じる光電流を検出し、前記検出された光電流の電流値をフーリエ変換してそのパワースペクトルaq(τm)を算出し、同様に、連続して光電流の検出ならびにそのパワースペクトルaS(τm)を算出し、次式
(2)(1)の方法において、前記被測定レーザ光のコヒーレンス時間は、遅延0の近傍のコヒーレンス関数と遅延τの付近でのコヒーレンス関数との解析によって求める態様とする。
(3)遅延時間τの関数である被測定レーザ光のコヒーレンス関数γ(τm)を測定するレーザ光コヒーレンス測定装置であって、前記被測定レーザ光の周波数を線形に掃引する周波数掃引手段と、前記周波数掃引されたレーザ光を2系統に分岐する光分岐手段と、前記分岐された一方のレーザ光を光ファイバに入射し当該光ファイバに生じるレイリー散乱光を取り込むレイリー散乱光取得手段と、前記光ファイバで生じたレイリー散乱光と前記光分岐手段で分岐された他方のレーザ光とを合波する光合波手段と、前記合波によって生じる光電流を検出する光電流検出手段と、前記検出された光電流の電流値をフーリエ変換し、そのパワースペクトルを算出するパワースペクトル算出手段と、前記光電流検出手段及びパワースペクトル算出手段それぞれの検出結果及び算出結果に基づいて前記レーザ光のコヒーレンス関数の絶対値を求める解析手段とを具備し、前記解析手段は、前記検出された光電流の電流値をフーリエ変換してそのパワースペクトルaq(τm)を算出し、同様に、連続して光電流の検出ならびにそのパワースペクトルaS(τm)を算出し、次式
第1に、本発明によれば、コヒーレンス時間と同程度の光ファイバ長により測定が可能な上、仮にコヒーレンス時間がそれよりもはるかに長かった場合には、そのこと自体が測定により明らかにされるので、より長い光ファイバに置き換えて測定をやり直すなどの処置を取ることができる。よって、本発明は、従来技術よりも信頼性に優れた測定結果を提供するといえる。
第3に、本発明によれば、2つの異なるパワースペクトルからコヒーレンス関数を決定することが可能になるので、リアルタイムに測定結果を提供することが可能となる。
図1は本実施形態のレーザ光コヒーレンス関数測定装置の構成を示すブロック図である。図1において、1は被測定レーザ光源であり、ここで発生された被測定レーザ光は周波数掃引装置2により、図2に示すように所定の期間内で規定幅の周波数掃引を受けた後、光分岐器3−1によって2系統に分岐される。分岐された一方の系統の伝送光は光サーキュレータ4によって光ファイバ5に導かれ、他方の系統の伝送光は光合波器3−2に導かれる。続いて、上記光ファイバ5内でレイリー散乱を受けた反射光は光サーキュレータ4を経て光合波器3−2に導かれ、他方の伝送光と合波された後、バランス型受光素子6に受光される。
まず、被測定レーザ光源1が発する時間長Tのレーザ光の電界振幅E’(t)を以下のように表すこととする。
ここで、式(2)で表される量が持つ意味を考察しておく。もともとのレーザ光の電界は式(1)で表わされるが、これは中心周波数ωiを中心として位相揺らぎθi(t)を持っている。しかるに、式(2)においては、中心周波数ωiは現われておらず、位相揺らぎθi(t)のみに関係する量であることがわかる。すなわち、電界振幅のいくつかのアンサンブルを集めたときに、仮にそのアンサンブル間で中心周波数ωiが変化(ドリフト)していたとしても、その効果は式(2)には現れず、1つのアンサンブルの中で観測される位相揺らぎθi(t)(すなわち発振周波数の揺らぎ)が測定されることになる。よって本実施形態で測量されるものは、レーザ光が一定時間Tだけ発振した時の位相もしくは周波数の揺らぎ幅を意味しており、これはレーザ光のスペクトルの広がりを評価する際には極めて有用な尺度になると考えられる。
C-OFDRでは、光ファイバの距離zmからの散乱光の強度は、式(7)で表現される光電流のパワースペクトルにより算出される。C-OFDRの距離分解能は、遅延時間τmに換算して1/ΔFであり、典型値として例えばΔF=10GHzと仮定すると、距離分解能に相当する遅延時間差は100psとなる。これは今考えているレーザのコヒーレンス時間(典型的には1μsまたはそれ以上)と比べて非常に小さいものである。C-OFDRが観測する距離zmにおける散乱光強度は、式(7)において、この距離分解能に相当する遅延時間差1/ΔFにわたる範囲で、mについて和を取ったものである。
ここで、上記において求められたパワースペクトルのアンサンブル平均と、本実施形態で測定される光源のコヒーレンス関数との関係を考察する。
まず式(8)より、Ii(τm)はEi(t)E* i(t-τm)の時間平均であることがわかる。よって、それらのアンサンブル平均は、適当な比例係数を除きお互いに等しい。すなわち、
一方、γ(τi),γ(τk)はqやsに依存しない、すなわち連続測定の間で一定の値をとる複素数である。式(13)を式(11)に代入し、Aの値は何であっても以下の説明に影響しないのでAを1とおくと、
以上の考察により、コヒーレンス関数解析装置10は、遅延τの付近でのコヒーレンス関数を測定し、遅延0の近傍のパワースペクトルのコヒーレンス関数と解析することでコヒーレンス時間を求めることができる。これより式(22)を用いて、任意の遅延τにおけるコヒーレンス関数の絶対値γ(τ)を求めることができる。また、本発明における自己相関関数は相互相関関数においても代替することが可能である。
第1に、コヒーレンス時間と同程度の光ファイバ長により測定が可能な上、仮にコヒーレンス時間がそれよりもはるかに長かった場合には、そのこと自体が測定により明らかにされるので、より長い光ファイバに置き換えて測定をやり直すなどの処置を取ることができる。よって、本発明は、従来技術よりも信頼性に優れた測定結果を提供することができる。
第3に、2つの異なるパワースペクトルからコヒーレンス関数を決定することが可能になる。したがって、リアルタイムな測定結果の提供が可能といえる。
Claims (4)
- 遅延時間τの関数である被測定レーザ光のコヒーレンス関数γ(τm)を測定するレーザ光コヒーレンス関数測定方法であって、
被測定レーザ光の周波数を線形に掃引し、
前記周波数掃引されたレーザ光を2系統に分岐し、
分岐された一方のレーザ光を光ファイバに入射して当該光ファイバで生じたレイリー散乱光を取り込み、
前記レイリー散乱光と前記分岐された他方のレーザ光とを合波し、
前記合波によって生じる光電流を検出し、
前記検出された光電流の電流値をフーリエ変換してそのパワースペクトルaq(τm)を算出し、
同様に、連続して光電流の検出ならびにそのパワースペクトルaS(τm)を算出し、
次式
を特徴とするレーザ光コヒーレンス関数測定方法。 - 前記被測定レーザ光のコヒーレンス時間は、遅延0の近傍のコヒーレンス関数と、遅延τの付近でのコヒーレンス関数との解析によって求めることを特徴とする請求項1に記載のレーザ光コヒーレンス関数測定方法。
- 遅延時間τの関数である被測定レーザ光のコヒーレンス関数γ(τm)を測定するレーザ光コヒーレンス測定装置であって、
前記被測定レーザ光の周波数を線形に掃引する周波数掃引手段と、
前記周波数掃引されたレーザ光を2系統に分岐する光分岐手段と、
前記分岐された一方のレーザ光を光ファイバに入射し当該光ファイバに生じるレイリー散乱光を取り込むレイリー散乱光取得手段と、
前記光ファイバで生じたレイリー散乱光と前記光分岐手段で分岐された他方のレーザ光とを合波する光合波手段と、
前記合波によって生じる光電流を検出する光電流検出手段と、
前記検出された光電流の電流値をフーリエ変換してそのパワースペクトルを算出するパワースペクトル算出手段と、
前記光電流検出手段及びパワースペクトル算出手段それぞれの検出結果及び算出結果に基づいて前記レーザ光のコヒーレンス関数の絶対値を求める解析手段と
を具備し、
前記解析手段は、前記検出された光電流の電流値をフーリエ変換してそのパワースペクトルaq(τm)を算出し、
同様に、連続して光電流の検出ならびにそのパワースペクトルaS(τm)を算出し、
次式
を特徴とするレーザ光コヒーレンス関数測定装置。 - 前記解析手段は、遅延0の近傍のコヒーレンス関数と、遅延τの付近でのコヒーレンス関数との解析によって前記被測定レーザ光のコヒーレンス時間を求めることを特徴とする請求項3に記載のレーザ光コヒーレンス関数測定装置。
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