JP2012229949A - レーザ光コヒーレンス長測定方法及び測定装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 被測定レーザ光の周波数を線形に掃引し(2)、周波数掃引されたレーザ光を2系統に分岐し(3−1)、分岐された一方のレーザ光を光サーキュレータ4により光ファイバ5に入射し当該光ファイバ5に生じるレイリー散乱光を取り込み、そのレイリー散乱光と分岐された他方のレーザ光とを合波し(3−2)、受光素子6にて合波光から光電流を検出し、検出された光電流の電流値をフーリエ変換しそのパワースペクトルを解析する(7−11)。その解析は、複数回繰り返し行うことによりパワースペクトルのアンサンブル平均を遅延τの関数として求め、パワースペクトルのアンサンブル平均の遅延τにおける標準偏差を算出し、この標準偏差が遅延τにおけるコヒーレンス関数γ(τ)の絶対値に比例することを利用してコヒーレンス関数γ(τ)の絶対値を求める。
【選択図】 図1
Description
本発明は、上記の事情に着目してなされたもので、レーザ光のスペクトル線幅が狭く、コヒーレンス時間が長いレーザ光のコヒーレンス時間をより正確に測定することのできるレーザ光コヒーレンス長測定方法及び測定装置を提供することを目的とする。
(1)遅延時間τの関数である被測定レーザ光のコヒーレンス関数γ(τ)を測定するレーザ光コヒーレンス測定方法であって、被測定レーザ光の周波数を線形に掃引し、前記周波数掃引されたレーザ光を2系統に分岐し、分岐された一方のレーザ光を光ファイバに入射して当該光ファイバで生じたレイリー散乱光を取り込み、前記レイリー散乱光と前記分岐された他方のレーザ光とを合波し、前記合波によって生じる光電流を検出し、前記検出された光電流の電流値をフーリエ変換してそのパワースペクトルを算出し、前記光電流の検出ならびにそのパワースペクトルの解析を複数回繰り返し行うことにより前記パワースペクトルのアンサンブル平均を遅延τの関数として求め、前記パワースペクトルのアンサンブル平均の遅延τにおける標準偏差を算出し、この標準偏差が遅延τにおけるコヒーレンス関数の絶対値に比例することを利用してコヒーレンス関数の絶対値を求める態様とする。
本発明に係るレーザ光コヒーレンス測定装置は、以下のような態様の構成とする。
(3)遅延時間τの関数である被測定レーザ光のコヒーレンス関数γ(τ)を測定するレーザ光コヒーレンス測定装置であって、前記被測定レーザ光の周波数を線形に掃引する周波数掃引手段と、前記周波数掃引されたレーザ光を2系統に分岐する光分岐手段と、前記分岐された一方のレーザ光を光ファイバに入射し当該光ファイバに生じるレイリー散乱光を取り込むレイリー散乱光取得手段と、前記光ファイバで生じたレイリー散乱光と前記光分岐手段で分岐された他方のレーザ光とを合波する光合波手段と、前記合波によって生じる光電流を検出する光電流検出手段と、前記検出された光電流の電流値をフーリエ変換してそのパワースペクトルを算出するパワースペクトル算出手段と、前記光電流検出手段及びパワースペクトル算出手段それぞれの検出結果及び算出結果に基づいて前記レーザ光のコヒーレンス関数の絶対値を求める解析手段とを具備し、前記解析手段は、前記光電流の検出ならびにそのパワースペクトルの解析を複数回繰り返し行うことにより前記パワースペクトルのアンサンブル平均を遅延τの関数として求め、前記パワースペクトルのアンサンブル平均の遅延τにおける標準偏差を算出し、この標準偏差が遅延τにおけるコヒーレンス関数の絶対値に比例することを利用して前記コヒーレンス関数の絶対値を求める態様とする。
第1に、本発明によれば、コヒーレンス時間と同程度の光ファイバ長により測定が可能な上、仮にコヒーレンス時間がそれよりもはるかに長かった場合には、そのこと自体が測定により明らかにされるので、より長い光ファイバに置き換えて測定をやり直すなどの処置を取ることができる。よって、本発明は、従来技術よりも信頼性に優れた測定結果を提供するといえる。
したがって、本発明によれば、レーザ光のスペクトル線幅が狭く、コヒーレンス時間が長いレーザ光のコヒーレンス時間をより正確に測定することのできるレーザ光コヒーレンス長測定方法及び測定装置を提供することができる。
図1は本実施形態のレーザ光コヒーレンス測定装置の構成を示すブロック図である。図1において、1は被測定レーザ光源であり、ここで発生された被測定レーザ光は周波数掃引装置2により、図2に示すように所定の期間内で規定幅の周波数掃引を受けた後、光分岐器3−1によって2系統に分岐される。分岐された一方の系統の伝送光は光サーキュレータ4によって光ファイバ5に導かれ、他方の系統の伝送光は光合波器3−2に導かれる。続いて、上記光ファイバ5内で生じた後方レイリー散乱光は光サーキュレータ4を経て光合波器3−2に導かれ、他方の伝送光と合波された後、バランス型受光素子6に受光される。
まず、被測定レーザ光源1が発する時間長Tのレーザ光の電界振幅E’(t)を以下のように表すこととする。
ここで、式(2)で表される量が持つ意味を考察しておく。もともとのレーザ光の電界は式(1)で表わされるが、これは中心周波数ωiを中心として位相揺らぎθi(t)を持っている。しかるに、式(2)においては、中心周波数ωiは現われておらず、位相揺らぎθi(t)のみに関係する量であることがわかる。すなわち、電界振幅のいくつかのアンサンブルを集めたときに、仮にそのアンサンブル間で中心周波数ωiが変化(ドリフト)していたとしても、その効果は式(2)には現れず、1つのアンサンブルの中で観測される位相揺らぎθi(t)(すなわち発振周波数の揺らぎ)が測定されることになる。よって本発明で測量されるものは、レーザ光が一定時間Tだけ発振した時の位相もしくは周波数の揺らぎ幅を意味しており、これはレーザ光のスペクトルの広がりを評価する際には極めて有用な尺度になると考えられる。
C-OFDRでは、光ファイバの距離zmからの散乱光の強度は、式(7)で表現される光電流のパワースペクトルにより算出される。C-OFDRの距離分解能は、遅延時間τmに換算して1/ΔFであり、典型値として例えばΔF=10GHzと仮定すると、距離分解能に相当する遅延時間差は100psとなり、これは今考えているレーザのコヒーレンス時間(典型的には1μsまたはそれ以上)と比べて非常に小さいものである。C-OFDRが観測する距離zmにおける散乱光強度は、式(7)において、この距離分解能に相当する遅延時間差1/ΔFにわたる範囲で、mについて和を取ったものである。
まず式(9)より、
次に、遅延τm=0、すなわち距離0におけるパワースペクトルを計算する。遅延0においては完全にコヒーレントであるので、繰り返し測定の間に観測されるパワースペクトルは常に同じでiには依存しない。従って、この場合はiによらず、
ここで式(16)と式(18)により求められた<ai(τm)>と<ai(0)>を比較する。これらのパワースペクトルは、ランダムな確率変数であるレイリー散乱係数rmの関数である。すなわち、光ファイバの観測点近傍の複数のランダムな反射の干渉によって与えられ、その結果このパワースペクトルは遅延τmによりランダムに変動する。この変動は、いわゆるスペックルと呼ばれて知られている現象であり、式(18)における右辺はこの変動を含むパワースペクトルを与えている。
以上のことから、式(16)の変動の振幅を見る限り、式(18)の|γ(τm)|2倍になっていることがわかる。よって、両者の標準偏差を、σ0とστとすると、
以上の考察により、コヒーレンス関数解析装置10は、遅延0の近傍のパワースペクトルの標準偏差と遅延τの付近での標準偏差とを解析する。これより式(19)または式(20)を用いて、任意の遅延τにおけるコヒーレンス関数の絶対値|γ(τ)|を求めることができる。さらに、その値が1/eに減ずるτを求めることにより、レーザ光のコヒーレンス時間を求めることも可能となる。
第1に、コヒーレンス時間と同程度の光ファイバ長により測定が可能な上、仮にコヒーレンス時間がそれよりもはるかに長かった場合には、そのこと自体が測定により明らかにされるので、より長い光ファイバに置き換えて測定をやり直すなどの処置を取ることができる。よって、本発明は、従来技術よりも信頼性に優れた測定結果を提供することができる。
尚、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成を削除してもよい。さらに、異なる実施形態例に亘る構成要素を適宜組み合わせてもよい。
Claims (4)
- 遅延時間τの関数である被測定レーザ光のコヒーレンス関数γ(τ)を測定するレーザ光コヒーレンス測定方法であって、
被測定レーザ光の周波数を線形に掃引し、
前記周波数掃引されたレーザ光を2系統に分岐し、
分岐された一方のレーザ光を光ファイバに入射して当該光ファイバで生じたレイリー散乱光を取り込み、
前記レイリー散乱光と前記分岐された他方のレーザ光とを合波し、
前記合波によって生じる光電流を検出し、
前記検出された光電流の電流値をフーリエ変換してそのパワースペクトルを算出し、
前記光電流の検出ならびにそのパワースペクトルの解析を複数回繰り返し行うことにより前記パワースペクトルのアンサンブル平均を遅延τの関数として求め、
前記パワースペクトルのアンサンブル平均の遅延τにおける標準偏差を算出し、
この標準偏差が遅延τにおけるコヒーレンス関数の絶対値に比例することを利用してコヒーレンス関数の絶対値を求めることを特徴とする光レーザコヒーレンス測定方法。 - 前記コヒーレンス関数の絶対値が1/eになる遅延τをもってコヒーレンス時間を求めることを特徴とする請求項1に記載のレーザ光コヒーレンス測定方法。
- 遅延時間τの関数である被測定レーザ光のコヒーレンス関数γ(τ)を測定するレーザ光コヒーレンス測定装置であって、
前記被測定レーザ光の周波数を線形に掃引する周波数掃引手段と、
前記周波数掃引されたレーザ光を2系統に分岐する光分岐手段と、
前記分岐された一方のレーザ光を光ファイバに入射し当該光ファイバに生じるレイリー散乱光を取り込むレイリー散乱光取得手段と、
前記光ファイバで生じたレイリー散乱光と前記光分岐手段で分岐された他方のレーザ光とを合波する光合波手段と、
前記合波によって生じる光電流を検出する光電流検出手段と、
前記検出された光電流の電流値をフーリエ変換してそのパワースペクトルを算出するパワースペクトル算出手段と、
前記光電流検出手段及びパワースペクトル算出手段それぞれの検出結果及び算出結果に基づいて前記レーザ光のコヒーレンス関数の絶対値を求める解析手段と
を具備し、
前記解析手段は、前記光電流の検出ならびにそのパワースペクトルの解析を複数回繰り返し行うことにより前記パワースペクトルのアンサンブル平均を遅延τの関数として求め、前記パワースペクトルのアンサンブル平均の遅延τにおける標準偏差を算出し、この標準偏差が遅延τにおけるコヒーレンス関数の絶対値に比例することを利用して前記コヒーレンス関数の絶対値を求めることを特徴とする光レーザコヒーレンス測定装置。 - 前記解析手段は、前記コヒーレンス関数の絶対値が1/eになる遅延τをもってコヒーレンス時間を求めることを特徴とする請求項3に記載のレーザ光コヒーレンス測定装置。
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JP2013007571A (ja) * | 2011-06-22 | 2013-01-10 | Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> | レーザ光コヒーレンス関数測定方法及び測定装置 |
JP2013152118A (ja) * | 2012-01-24 | 2013-08-08 | Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> | レーザ光特性測定方法及び測定装置 |
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