JP2013002095A - 梁・筋交い部材及びその架設方法 - Google Patents

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博 山田
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Abstract

【課題】一方の側のくさび片のみを叩き込むことで支柱に固定することができる梁・筋交い部材を提供すること。
【解決手段】パイプ材12の一端にくさび片を上方から叩き込むことで支柱の緊結ホルダーに固定されるくさび片13を設け、パイプ材12の他端に緊結ホルダーを上下方向から挟持する第1及び第2の挟持片23,24を備えた係合片21を設けるようにする。第1の挟持片23の前寄りには第2の挟持片24方向に突出する突出部25を形成するとともに、第1及び第2の挟持片23,24の間隔を緊結ホルダーの上下幅よりも若干広く構成し、突出部25の先端と第2の挟持片24との間隔を緊結ホルダーの上下幅よりも狭く構成するようにする。
【選択図】図1

Description

本発明は、建築足場を構築するために使用される布材やブラケット等の梁・筋交い部材及びその架設方法に関するものである。
一般に建築現場等に仮設される建築足場は、所定の間隔で立設された支柱と、梁部材(布材、ブラケット等)とを縦横に組み合わせ、梁部材に踏み板を架設することで基本的骨格が構築されている。作業者はこの踏み板上で作業をし、また踏み板上を移動する。建築足場における梁部材の一例として特許文献1及び2を挙げる。
例えば特許文献1の図1、図3及び図8等に示すように、架設材としての横架部15の両端部にくさび式係合部のくさび片としてのフック部14がその先端が側方に向かって突設されるように固定されて梁部材が構成されている。特許文献2でも同様に図3に示すように架設材としての腕木3の両端部にくさび式係合部のくさび片としてのくさび9が側方に向かって突設されるように固定されて梁部材が構成されている。
これら梁部材は隣り合って配置された特許文献1の図2に示すような支柱において対応する2つの緊結ホルダーに対してそれぞれくさび片(フック部14、くさび9)を上方から挿入させ、ハンマー等の道具によって叩き込んで固定するようにしている。
特開2000−160828号公報 特開2008−280742号公報
しかし、従来の梁部材では作業者は、すべての梁部材について必ず両側のくさび片を緊結ホルダーに対して叩き込む作業が必要となる。そのため、このような叩き込み作業を軽減させることが求められていた。また、梁部材だけでなく両端にくさび片が形成された筋交い部材についても同じ課題が生じていた。
本発明は、上記課題を解決するためのものである。その目的は、一方の側のくさび片のみを叩き込むことで支柱に固定することができる梁・筋交い部材を提供することにある。
上記課題を解決するために、請求項1の発明では、板片から構成され上下方向に連通する緊結ホルダーが形成された支柱を隣り合って配置した一対の前記緊結ホルダー間に係止させられる梁・筋交い部材であって、 架設材の一端にくさび片を上方から叩き込むことで前記緊結ホルダーに固定されるくさび式係合部と、前記架設材の他端に前記緊結ホルダーを上下方向から挟持する第1及び第2の挟持片を備えた係合片とを有し、前記架設材の他端に前記緊結ホルダーを上下方向から挟持する第1及び第2の挟持片を備えた係合片とを有し、前記第1の挟持片の前寄りには前記第2の挟持片方向に突出する突出部を備え、前記第1及び第2の挟持片の間隔は少なくとも前記緊結ホルダーの上下幅と同一あるいは上下幅よりも広く構成され、前記突出部の先端と前記第2の挟持片との間隔は前記緊結ホルダーの上下幅よりも狭く構成されていることをその要旨とする。
また、請求項2の発明では請求項1に記載の発明の構成に加え、前記係合片は本体の上下端部から前記第1及び第2の挟持片が互いに対向する内側部が平行となるように延出され、前記本体は前記緊結ホルダーの外側面に沿って当接可能な当接部を有することをその要旨とする。
また、請求項3の発明では請求項1又は2に記載の発明の構成に加え、前記第1の挟持片又は前記突出部の前端位置には前記支柱の外周面に係合させるための係合部が形成されていることをその要旨とする。
また、請求項4の発明では、板片から構成され上下方向に連通する緊結ホルダーが形成された支柱を隣り合って配置し、一対の前記緊結ホルダー間に梁・筋交い部材を架設させる架設方法であって、前記梁・筋交い部材が、架設材の一端にくさび片を備えたくさび式係合部を有するとともに、前記架設材の他端には前記緊結ホルダーを上下方向から挟持する第1及び第2の挟持片を備える係合片とを有し、前記第1の挟持片の前寄りには前記第2の挟持片方向に突出する突出部が形成され、前記第1及び第2の挟持片の間隔を少なくとも前記緊結ホルダーの上下幅と同一あるいは上下幅よりも広く構成し、前記突出部の先端と前記第2の挟持片との間隔を前記緊結ホルダーの上下幅よりも狭く構成したものである場合に、以下の(1)〜(3)の手順によって架設することをその要旨とする。
(1)一方の前記支柱の前記緊結ホルダーに対して斜め上方から前記係合片を前傾させた状態で前記緊結ホルダーの上部位置に前記第1の挟持片を誘導し、前記係合片を前記突出部が前記緊結ホルダーの内壁に面する位置まで下降させ、前記第1の挟持片の下縁を前記緊結ホルダーの上縁に当接させる。
(2)他方の前記支柱の前記緊結ホルダーに対して上方位置から前記くさび片の先端を誘導して下動させて挿入する。
(3)前記くさび片を前記緊結ホルダーに対して叩き込み下動させ、これに伴って前傾姿勢の前記係合片を前記第1の挟持片の基部を基準に後傾方向に回動させ前記第2の挟持片を前記緊結ホルダーの下方位置に配置させる。
また、請求項5の発明では請求項4に記載の発明の構成に加え、前記第1の挟持片又は前記突出部の前端位置には前記支柱の外周面に係合させるための係合部が形成されており、前記第1の挟持片又は前記突出部の前端を前記支柱に正対する方向に配置した状態で前記第2の挟持片を前記緊結ホルダーの下方位置に配置させることで前記係合部は前記支柱の外周面に係合することをその要旨とする。
また、請求項6の発明では請求項4又は5に記載の発明の構成に加え、前記くさび片は前記係合片の前記第1の挟持片の基部を支点として前記架設材を下方に向かって回動させることで下動させられることをその要旨とする。
このような構成においては、一対の緊結ホルダー間に梁・筋交い部材を架設させる際に、まず係合片側を固定させるための緊結ホルダー(第1の緊結ホルダーとする)に対して斜め上方から係合片を接近させ前傾させた状態でその第1の挟持片を第1の緊結ホルダーの上部位置に誘導する。これによって、平面視において第1の挟持片に形成された突出部は第1の緊結ホルダーに包囲された領域内に進出することとなる。このとき、梁・筋交い部材は係合片を前傾させるため、架設材の他端側に形成されているくさび式係合部は自身が固定される側の緊結ホルダー(第2の緊結ホルダーとする)から若干離間した上方位置に配置されることとなる。ここで、係合片を突出部が第1の緊結ホルダーの内壁と面する位置まで下降させるようにする。そして第1の挟持片の下縁を第1の緊結ホルダーの上縁に当接させる。この状態は係合片を第1の緊結ホルダーに仮留めした状態である。これで作業者は・筋交い部材の一端を第1の緊結ホルダーに支えさせることができる。
次いで、作業者は架設材の他端側を下降させ、第2の緊結ホルダーに対して上方からくさび片の先端を誘導させ挿入する。そして、くさび片を叩き込むことでしっかりとくさび式係合部を第2の緊結ホルダーに対して固定させる。くさび片の叩き込みによる下動によって前傾姿勢となっていた係合片は後傾方向に回動して第2の挟持片が第1の緊結ホルダーの下方位置に配置することとなる。これで梁・筋交い部材の架設が完了する。
この状態では係合片を上下方向に移動させようとしても第1及び第2の挟持片が緊結ホルダーの上下端に干渉するため係合片側を第1の緊結ホルダーから取り外すことはできない。取り外す際にはくさび片を第2の緊結ホルダーから叩き出し、くさび片側を持ち上げて架設材を斜めにして上記とは逆の工程で取り外すようにする。
ここに第1及び第2の緊結ホルダーが水平方向に配置されていれば梁部材の架設となり、第1及び第2の緊結ホルダーが上下方向にずれていれば筋交い部材の架設となる。
また「第1及び第2の挟持片の間隔を緊結ホルダーの上下幅と同一あるいは上下幅よりも広く」構成する場合に、理論的には第1及び第2の挟持片の間隔と緊結ホルダーの上下幅がまったく同じであれば第1及び第2の挟持片は緊結ホルダーと干渉してしまって、挟持することはできない。ここでは、多少無理嵌め風であっても第2の挟持片を第1の緊結ホルダーの下方位置に配置することができればよい程度の間隔(幅)の同一を意味しているものである。
また、上記構成において、くさび片を下動させる際には、係合片の前記第1の挟持片の基部を支点として架設材を下方に向かって回動させるようにすることが好ましい。このような構成であればくさび片(くさび式係合部)は自重で第2の緊結ホルダーに対して挿入されることとなるため、作業性が向上するからである。
また、上記構成において、更に係合片の当接部を緊結ホルダーの外側面に沿って当接させるように配置させることが、梁・筋交い部材の安定上好ましい。
更に上記作用において第1の挟持片又は突出部の前端を支柱に正対する方向に配置する場合には第1の挟持片又は突出部の前端位置には支柱の外周面に係合させるための係合部を形成し、第2の挟持片を緊結ホルダーの下方位置に配置させることに伴ってその係合部を支柱の外周面に係合させるようすることが好ましい。これによって、係合片がよりしっかりと固定されることとなるからである。
上記各請求項の発明のように構成すれば、梁・筋交い部材は1つのくさび式係合部のみを有することとなり、作業者は架設材の係合片のある側は緊結ホルダーに係合させ、くさび式係合部側のくさび片のみを緊結ホルダーに叩き込むように作業をすることで係合片側も緊結ホルダーに固定されることとなるため、作業性が極めて向上する。
(a)は本発明の実施の形態1の足場用布材の一部切り欠き斜視図、(b)は同じく側面図。 実施の形態1の足場用布材を緊結ホルダーに取り付けあるいは取り外す過程を説明する説明図であって、(a)は足場用布材が隣り合う一対の支柱間であって固定されるべき緊結ホルダーの上部位置に配置されている状態、(b)は係合片が緊結ホルダーに仮留めされた状態、(c)は足場用布材が隣り合う一対の支柱間の緊結ホルダーに固定された状態。 (a)は図2(b)の係合片付近の拡大説明図、(b)は図2(c)の係合片付近の拡大説明図。 (a)は本発明の実施の形態2の足場用布材の係合片側からの一部切り欠き斜視図、(b)は同じくくさび片側からの一部切り欠き斜視図。 実施の形態2の足場用布材を緊結ホルダーに取り付けあるいは取り外す過程を説明する説明図であって、(a)は足場用布材が隣り合う一対の支柱間であって固定されるべき緊結ホルダーの上部位置に配置されている状態、(b)は係合片が緊結ホルダーに仮留めされた状態、(c)は足場用布材が隣り合う一対の支柱間の緊結ホルダーに固定された状態。 (a)は図5(b)の係合片付近の拡大説明図、(b)は図5(c)の係合片付近の拡大説明図。 足場用支柱の斜視図。 実施の形態3の足場用布材の上端側の係合片を緊結ホルダーに取り付けた状態を説明する説明図。 実施の形態3の足場用布材の下端側のくさび式係合体を緊結ホルダーに取り付けあるいは取り外す過程を説明する説明図。 実施の形態3の足場用布材の下端側のくさび式係合体を緊結ホルダーに取り付けた状態を説明する説明図。 くさび式係合体の構造を説明するための分解斜視図。
(実施の形態1)
以下、本発明の梁・筋交い部材を具体化した実施の形態1について図面に基づいて説明する。
図1〜図3に示すように、足場用布材11を構成する架設材としてのパイプ材12の1端にはくさび片13がその先端が側方に向かって延出されるように溶接にて固着されくさび式係合部が形成されている。
パイプ材12は断面円形の合金製の中空体とされている。くさび片13は鋼板をプレス成型して形成されており、前壁14と前壁14の周縁を包囲する側壁15から構成されている。前壁14は上部の円形部分とその下方に向かって延びる円形部分に対して細幅の下垂部分から構成されている。くさび片13はその上部位置においてパイプ材12の端部が挿入されるパイプ材挿入部16と、パイプ材挿入部16から下垂するくさび本体17から構成されている。くさび本体17はチャンネル状の断面形状とされている。くさび片13は先端寄りほど前後方向(パイプ材12の長手方向)の厚みが薄く構成されている。くさび本体17の下端は半円状の緩やかなカーブ形状とされている。
パイプ材12の他端には係合片21が固着されている。図1に示すように、係合片21は合金製の板片を二つ折りして重ね合わせた屈曲体であって、折り曲げ先端21a側がパイプ材12の端部に溶接されている)。本実施の形態1の説明では折り曲げ基部21b側を前側とする。係合片21は折り曲げ基部21b側が切り欠かれており、二つ折りした状態で側面形状として半円形状の本体22を備えている。本体22の前方の直線部分は当接部22aとされている。当接部22aの長手方向は前記くさび片13の先端の延出方向と一致する。当接部22aの上端には第1の挟持片23が、下端には第2の挟持片24がそれぞれ前方に向かって延出するように形成されている。第1の挟持片23と第2の挟持片24の対向面は当接部22aに対して直交するように配置されている。第1の挟持片23と第2の挟持片24は互いに平行に延出され、当接部22aを基準として同じ長さに形成されている。第1の挟持片23の先端には第2の挟持片24方向に突出する突出部25が形成されている。突出部25と当接部22aとによって間隙26が形成されることとなる。間隙26は当接部22aに対面する突出部25側の内側部25aが斜状に形成されているため基部側が徐々に狭くなっている。この内側部25aは後述する架設作業において係合片21を緊結ホルダー33の上部位置に配置させる際の案内部の役割をする。
図3(b)に示すように、第1の挟持片23と第2の挟持片24との間隔L1は後述する緊結ホルダー33の高さHよりも若干長く(本実施の形態1では3mm)構成されている。一方、突出部25先端と第2の挟持片24との間隔L2は緊結ホルダー33の高さHよりも短く(本実施の形態1では5mm)構成されている。
次に、このような構成の足場用布材11の足場用支柱31への架設作業について説明する。まず、足場用支柱31について概略説明をする。
図7に示すように、足場用支柱31の支柱本体32には所定間隔で緊結ホルダー33が形成されている。180度対向した同高さ位置に一対の緊結ホルダー33が配置され、これらと上下にずれた位置であってかつ周方向に90度ずれた位置に他の一対の緊結ホルダー33が配置されている。すなわち、緊結ホルダー33は周方向に90度ずつずれて配置され、かつ隣接する緊結ホルダー33同士は干渉しないように上下方向にずれている。図3(a)(b)のように、各緊結ホルダー33は板片を屈曲形成させて2枚の側壁34と両側壁34が連結された係合壁35からなる構成としたものを足場用支柱31に溶接した、足場用支柱31の外周において上下方向に連通した枠体である。
このような構成の足場用支柱31において隣り合って配置された支柱31間の対応する緊結ホルダー33間に足場用布材11を架設する。ここで、係合片21が固定される側の緊結ホルダー33を第1の緊結ホルダー33Aとし、くさび片13が固定される側の緊結ホルダー33を第2の緊結ホルダー33Bとする。第1及び第2の緊結ホルダー33A,33Bは側壁34が正対する位置にある場合であって(係合壁35が正対するのではない)、足場用布材11は第1及び第2の緊結ホルダー33A,33Bの側壁34間に係合される場合である。
まず、足場用布材11を第1及び第2の緊結ホルダー33A,33Bの上方に配置する。そして、図2(a)に示すように係合片21が前下がり(前傾)となるように保持し、第2の挟持片24を第1の緊結ホルダー33Aに干渉させずに係合片21の第1の挟持片23を第1の緊結ホルダー33Aの上部位置に来るように誘導する。このように係合片21が前下がりになることで第2の挟持片24を第1の緊結ホルダー33Aに干渉させずに第1の挟持片23及び突出部25を第1の緊結ホルダー33Aの上部位置に配置させることが可能となる。
次いで、足場用布材11とともに係合片21を下降させる。下降に伴って、図2(b)に示すように第1の挟持片23の突出部25は第1の緊結ホルダー33内に進入し、前下がりの係合片21の第1の挟持片23の下縁の基部寄り位置が側壁34の上縁に配置されることとなる(図3(a)の状態)。この状態で足場用布材11は第1の緊結ホルダー33Aに仮留めされることとなる。係合片21はちょうど第1の挟持片23の下縁の基部と当接部22aとの交差位置において係合壁35上に支持されることとなり、仮留め状態であっても安定性がよい。
次いで、第1の挟持片23の基部寄り位置を支点にして足場用布材11を下方に回動させていく。くさび片13は自重で下動し、第2の緊結ホルダー33B内にその先端から挿入されることとなる。この段階では、未だくさび片13を叩き込んでいないため、パイプ材12は水平とはなっていない。ここで、ハンマーのような道具でくさび片13を叩き込んでいく。すると、パイプ材12は徐々に水平に配置されていく。同時に前下がりであった係合片21は第1の挟持片23の基部寄り位置を支点に後傾方向に回動していく。第2の挟持片24は回動に伴って徐々に側壁34の下位置に配置されていくようになる。図2(c)及び図3(b)に示すように、くさび片13の叩き込みが完了した状態で、ちょうど当接部22aは第1の緊結ホルダー33Aの側壁34の外面に押し付けられることとなる。第2の挟持片24が側壁34の下位置に配置されることによって係合片21の上下方向の移動が規制されることとなり、結果として係合片21が第1の緊結ホルダー33Aに固定(但し、間隔L1は緊結ホルダー33の高さHよりも若干長いため、若干の上下方向の移動が可能となっている)されることとなる。
このようにして、架設された足場用布材11を第1及び第2の緊結ホルダー33A,33Bから取り外す際には、まずくさび片17を第2の緊結ホルダー33Bから叩き出し、上方に移動させる。この段階で係合片21は再び前下がりとなり第2の挟持片24は側壁34の下位置から移動する(図2(b)の状態)。そして、上記と逆に係合片21を第1の緊結ホルダー33Aの上部位置に来るように誘導し取り外すようにする(図2(a)の状態)。
上記のように構成することにより本実施の形態1の足場用布材11は以下のような効果を奏する。
(1)足場用布材11について1つのくさび片13側を第2の緊結ホルダー33Bに叩きこむだけで、そのくさび片13を第2の緊結ホルダー33Bに固定させることができると同時に特別な操作なくくさび片13とは逆の端部側に形成された係合片21側を第1の緊結ホルダー33Aに固定させることができるため、足場用布材11の架設作業が軽減化される。
(2)当接部22aが第1の緊結ホルダー33Aの側壁34の外面に押し付けられるため、第1の緊結ホルダー33Aに対して若干上下方向への移動が可能な係合片21がその押し付けられた際の摩擦力で上下動せずに、固定されることとなる。
(実施の形態2)
実施の形態2は実施の形態1の足場用布材11の係合片21とは異なる形状の係合片としたもので、その他の構成は同様である。従って、主として異なる構成を中心に説明し、実施の形態1と同じ構成については図において同じ符号を振って説明は省略する。
図4(a)及び(b)に示すように、実施の形態2の足場用布材41の係合片42は合金製のブロック体を切削加工して構成されており、パイプ材12の端部に溶接によって固着されている。本体43は直方体形状をなし、本体43の前面に形成された平面部43aの上端には第1の挟持片44が、下端には第2の挟持片45がそれぞれ前方に向かって延出するように形成されている。第1の挟持片44と第2の挟持片45の配置方向は前記くさび片13の先端の延出方向と一致する。第1の挟持片44と第2の挟持片45の対向面は互いに平行に延出されている。ごく短く延出された第1の挟持片44の先端には突出部46が形成されている。突出部46は前方かつ第2の挟持片45方向(図において下方向)に向かって斜めに延出されている。突出部46は平面部43aを基準として第2の挟持片45よりも長く前方に向かって延出されている。突出部46の前端面には係合部としての係合凹部47が形成されている。係合凹部47は支柱31の縦横方向の形状、つまり縦方向に直線で周方向に湾曲したシリンダー様の外側面形状に対応する形状とされており、縦方向に直線で横断面が皿状とされている。突出部46の平面部43aとの間は間隙48が形成されることとなる。間隙48は突出部46側の内側部46aが斜状に形成されているため基部側が徐々に狭くなっている。内側部46aは後述する架設作業において係合片42を緊結ホルダー33の上部位置に配置させる際の案内部の役割をする。
図6(b)に示すように、第1の挟持片44と第2の挟持片45の間隔L1は緊結ホルダー33の高さHと同一に構成されている。一方、突出部46先端と第2の挟持片45との間隔L2は緊結ホルダー33の高さHよりも短く(本実施の形態2では25mm)構成されている。
次に、このような構成の足場用布材41の足場用支柱31への架設作業について説明する。実施の形態1と同様に係合片42が固定される側の緊結ホルダー33を第1の緊結ホルダー33Aとし、くさび片13が固定される側の緊結ホルダー33を第2の緊結ホルダー33Bとする。実施の形態2では図5(a)〜(c)及び図6(a)(b)に示すように足場用布材41を第1及び第2の緊結ホルダー33A,33Bの対向する係合壁35間に係合させる場合について説明する。
まず、足場用布材11を第1及び第2の緊結ホルダー33A,33Bの上方に配置する。そして、図5(a)に示すように係合片42が前下がり(前傾)になるように保持し、第2の挟持片45を第1の緊結ホルダー33Aに干渉させずに係合片42の第1の挟持片44を第1の緊結ホルダー33Aの上部位置に来るように誘導する。このように係合片42が前下がりになることで第2の挟持片45を第1の緊結ホルダー33Aに干渉させず、また第1の挟持片44を足場用支柱31に干渉させずに第1の挟持片44及び突出部46を第1の緊結ホルダー33Aの上部位置に配置させることが可能となる。
次いで、足場用布材11とともに係合片42を下降させる。下降に伴って突出部46は第1の緊結ホルダー33内に進入させられていく。突出部46は係合壁35の上縁に対して自身の内側部46aによって案内されて下降し、図6(a)に示すように間隙48の奥部分(第1の挟持片44の基部)において係合壁35の上縁位置に配置されることとなる。この状態で足場用布材11は第1の緊結ホルダー33Aに仮留めされることとなる。このとき係合片42は前下がりとなっているため、間隙48内における第1の挟持片44と平面部43aの交差する角位置において係合壁35上に支持されることとなり、仮留め状態であっても安定性がよい。
次いで、係合片42の基部寄り位置を支点にして足場用布材41を下方に回動させていく。くさび片13は自重で下動し、第2の緊結ホルダー33B内にその先端から挿入されることとなる。この段階では、未だくさび片13を叩き込んでいないため、パイプ材12は水平とはなっていない。ここで、ハンマーのような道具でくさび片13を叩き込んでいく。すると、パイプ材12は徐々に水平に配置されていく。同時に前下がりであった係合片42は基部寄り位置を支点に後傾方向に回動していく。図5(c)及び図6(b)に示すように、第2の挟持片45は回動に伴って徐々に係合壁35の下位置に配置されるようになる。本実施の形態2では第1の挟持片44と第2の挟持片45の間隔L1は緊結ホルダー33の高さHと同一であるため、第2の挟持片45は若干無理嵌め状に係合壁35の角部と接触しながら係合壁35の下位置に移動させられることとなる。
また、本実施の形態2では緊結ホルダー33の係合壁35前面から足場用支柱31までの間隔L3が平面部43aを基準とした係合凹部47までの長さと一致するため、くさび片13の叩き込みが完了した状態で、ちょうど突出部46の前端面に形成された係合凹部47が足場用支柱31の外周面に当接するようになっている。第2の挟持片45が係合壁35の下位置に配置されることによって係合片42の上下方向の移動が規制されることとなり、結果として係合片42が第1の緊結ホルダー33Aに固定されることとなる。
このようにして、架設された足場用布材41を第1及び第2の緊結ホルダー33A,33Bから取り外す際には、まずくさび片17を第2の緊結ホルダー33Bから叩き出し、上方に移動させる。この段階で係合片42は再び前下がりとなり第2の挟持片45は係合壁35の下位置から移動する(図5(b)の状態)。そして、上記と逆に係合片42を第1の緊結ホルダー33Aの上部位置に来るように誘導し取り外すようにする(図5(a)の状態)。
上記のように構成することにより本実施の形態2の足場用布材41は以下のような効果を奏する。
(1)足場用布材41について1つのくさび片13側を第2の緊結ホルダー33Bに叩きこむだけで、そのくさび片13を第2の緊結ホルダー33Bに固定させることができると同時に特別な操作なくくさび片13とは逆の端部側に形成された係合片42側も第1の緊結ホルダー33Aに固定させることができるため、足場用布材41の架設作業が軽減化される。
(2)突出部46は斜め前方方向に延出されているため、足場用支柱31に対して正対方向から係合片42を接近させても、突出部46が足場用支柱31に干渉することなく第1の緊結ホルダー33A内に突出部46を進入させることができる。
(3)係合片42の下降に伴って突出部46は係合壁35の上縁に対して自身の内側部46aによって案内されて下降し、係合片42をもっとも安定のよい、間隙48内奥の第1の挟持片44と平面部43aの交差する角位置に仮留め状態で配置させることができるため、作業性がよい。
(4)くさび片13の叩き込みが完了してパイプ材12がちょうど水平になると突出部46の前端面に形成された係合凹部47が足場用支柱31の外周面に当接するように構成されているため、足場用布材41が固定状態で係合片42がぐらつくことがない。
(実施の形態3)
実施の形態3は筋交い部材として応用した例である。実施の形態3では実施の形態1の足場用布材11と同じ係合片21を使用しているため、係合片21の詳しい構成は省略する。図8に示すように、足場用斜材51を構成するパイプ材12の一端(上端)には係合片21が固着されている。図9〜図11に示すように、パイプ材12の他端にはくさび式係合体52が形成されている。くさび式係合体52はパイプ材12の他端に固着された本体53と本体53に対して遊嵌されたくさび体54から構成されている。図11に示すように、本体53は1枚の板片を屈曲させて形成されており、内部に上下方向に連通する薄幅の連通孔55が形成されている。本体53の前方は上下方向の中央領域が切り欠かれることで上下位置に前方に突出する上部係合突起56と下部係合突起57が形成されている。くさび体54は連通孔55内に本体53から上下に露出するように遊嵌されている。くさび体54は下垂片59とくさび片60と叩打部61とから構成されている。下垂片59とくさび片60は上部寄りで一体化されており、叩打部61は下垂片59とくさび片60の上端位置に形成されており、下垂片59とくさび片60の肉厚よりも幅広とされている。その結果、くさび体54が下降した際に叩打部61が本体53の上端位置に係合してくさび体54の落下を防止している。くさび片60は下垂片59に対して短小に形成されており、下垂片59側の側面がテーパー形状とされ、先端から基部方向に向かって下垂片59との間隔が狭くなっている。下垂片59は上方への抜け出しを防止するために下方側の前後幅が大きく構成されている。くさび体54は連通孔55内に配置された状態でくさび片60が上下部係合突起56,57と交差するような配置とされている。
次にこのような足場用斜材51の足場用支柱31への架設作業について説明する。上記実施の形態1及び2とは異なり上下にずれたを第1及び第2の緊結ホルダー33A,33Bに対して架設させる。実施の形態3では上側の第1の緊結ホルダー33Aを係合片21を係合させる側とする。
まず、実施の形態1と同様の操作で係合片21側を第1の緊結ホルダー33Aに対して仮留めする。そして、図9及び図10のように第2の緊結ホルダー33B内に対してくさび式係合体52を固定させる。本体53は上部係合突起56を第2の緊結ホルダー33Bの上に配置するように、つまり上下部係合突起56,57間に第2の緊結ホルダー33Bが挟まれるようにしてくさび片60を第2の緊結ホルダー33B内に挿入させる。このとき、くさび式係合体52の本体53は上部係合突起56が第2の緊結ホルダー33Bの上端に干渉してそれ以上下降しないため、パイプ材12の取り付け位置は一義的に決定される。ここで、くさび片60をハンマーのような道具で叩き込んで固定する。
上記のように構成することにより本実施の形態3の足場用斜材51は以下のような効果を奏する。
(1)足場用斜材51について1つのくさび片60を第2の緊結ホルダー33Bに叩きこむだけで、くさび式係合体52を第2の緊結ホルダー33Bに固定させることができると同時に特別な操作なくくさび式係合体52とは逆の端部側に形成された係合片21側も第1の緊結ホルダー33Aに固定させることができるため、足場用斜材51の架設作業が軽減化される。
(2)くさび片60の打ち込んだ際にくさび式係合体52の本体53は上部係合突起56が第2の緊結ホルダー33Bの上端に干渉するため、打ち込み量にかかわらずパイプ材12の取り付け位置は常に一定とされる。
なお、この発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、次のように変更して具体化することも可能である。
・上記各実施の形態においてくさび片13の形状は一例であって、本発明が適用できるような形状のくさび片を有するくさび式係合部であれば他の形状で実現することも可能である。くさび片は緊結ホルダー33内に挿入されても挿入せずに、緊結ホルダー33の外位置に配置されるような場合であってもよい。
・上記各実施の形態において係合片21,42の形状は一例であって、本発明が適用できる形状の係合片であれば他の形状で実現することも可能である。例えば実施の形態2における平面部43a(係合部)を突出部46ではなく、係合片の形状によっては第1の挟持片44の前端に形成するような構成でもよい。
・実施の形態1において第1の挟持片23と第2の挟持片24の間隔L1は緊結ホルダー33の高さHよりも若干長く構成していたが、これは同じ長さであっても構わない。
・足場用支柱31は上記は一例であって、緊結ホルダー33の形状や位置等を変更した他の足場用支柱に応用することも可能である。
・実施の形態3のくさび式係合体52は足場用斜材51に応用したが足場用布材11に応用するようにしてもよい。
・上記実施の形態では溶接のビードが省略されている。また、実際にはこの種の足場用の部材はそれほどの精度が要求されないため、部材形状等に若干の変形や継ぎ目に隙間等が形成されることは許容される。
・その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更した態様で実施することは自由である。
11,41,51…梁・筋交い部材としての足場用布材、12…架設材としてのパイプ材、13…くさび式係合部としてのくさび片、23,44…第1の挟持片、24,45…第2の挟持片、25,46…突出部、31…足場用支柱、33…緊結ホルダー、52…くさび式係合部としてのくさび式係合体。

Claims (6)

  1. 板片から構成され上下方向に連通する緊結ホルダーが形成された支柱を隣り合って配置した一対の前記緊結ホルダー間に係止させられる梁・筋交い部材であって、
    架設材の一端にくさび片を上方から叩き込むことで前記緊結ホルダーに固定されるくさび式係合部と、前記架設材の他端に前記緊結ホルダーを上下方向から挟持する第1及び第2の挟持片を備えた係合片とを有し、
    前記第1の挟持片の前寄りには前記第2の挟持片方向に突出する突出部を備え、前記第1及び第2の挟持片の間隔は少なくとも前記緊結ホルダーの上下幅と同一あるいは上下幅よりも広く構成され、前記突出部の先端と前記第2の挟持片との間隔は前記緊結ホルダーの上下幅よりも狭く構成されていることを特徴とする梁・筋交い部材。
  2. 前記係合片は本体の上下端部から前記第1及び第2の挟持片が互いに対向する内側部が平行となるように延出され、前記本体は前記緊結ホルダーの外側面に沿って当接可能な当接部を有することを特徴とする請求項1に記載の梁・筋交い部材。
  3. 前記第1の挟持片又は前記突出部の前端位置には前記支柱の外周面に係合させるための係合部が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の梁・筋交い部材。
  4. 板片から構成され上下方向に連通する緊結ホルダーが形成された支柱を隣り合って配置し、一対の前記緊結ホルダー間に梁・筋交い部材を架設させる架設方法であって、
    前記梁・筋交い部材が、架設材の一端にくさび片を備えたくさび式係合部を有するとともに、前記架設材の他端には前記緊結ホルダーを上下方向から挟持する第1及び第2の挟持片を備える係合片とを有し、前記第1の挟持片の前寄りには前記第2の挟持片方向に突出する突出部が形成され、前記第1及び第2の挟持片の間隔を少なくとも前記緊結ホルダーの上下幅と同一あるいは上下幅よりも広く構成し、前記突出部の先端と前記第2の挟持片との間隔を前記緊結ホルダーの上下幅よりも狭く構成したものである場合に、以下の(1)〜(3)の手順によって架設することを特徴とする梁・筋交い部材の架設方法。
    (1)一方の前記支柱の前記緊結ホルダーに対して斜め上方から前記係合片を前傾させた状態で前記緊結ホルダーの上部位置に前記第1の挟持片を誘導し、前記係合片を前記突出部が前記緊結ホルダーの内壁に面する位置まで下降させ、前記第1の挟持片の下縁を前記緊結ホルダーの上縁に当接させる。
    (2)他方の前記支柱の前記緊結ホルダーに対して上方位置から前記くさび片の先端を誘導して下動させて挿入する。
    (3)前記くさび片を前記緊結ホルダーに対して叩き込み下動させ、これに伴って前傾姿勢の前記係合片を前記第1の挟持片の基部を基準に後傾方向に回動させ前記第2の挟持片を前記緊結ホルダーの下方位置に配置させる。
  5. 前記第1の挟持片又は前記突出部の前端位置には前記支柱の外周面に係合させるための係合部が形成されており、前記第1の挟持片又は前記突出部の前端を前記支柱に正対する方向に配置した状態で前記第2の挟持片を前記緊結ホルダーの下方位置に配置させることで前記係合部は前記支柱の外周面に係合することを特徴とすることを特徴とする請求項4に記載の梁・筋交い部材の架設方法。
  6. 前記くさび片は前記係合片の前記第1の挟持片の基部を支点として前記架設材を下方に向かって回動させることで下動させられることを特徴とする請求項4又は5に記載の梁・筋交い部材の架設方法。
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