JP2012533610A - グリセロールからバイオ資源起源のアクリル酸を製造する方法 - Google Patents

グリセロールからバイオ資源起源のアクリル酸を製造する方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の目的はグリセリンかバイオ資源起源のアクリル酸すなわち基本的にユーザの要求に対応する純度を有する天然根源物質の炭素源をベースにしたアクリル酸を製造することにある。
【解決手段】本発明方法はグリセリンから得られるアクリル酸を疎水性重質溶剤との向流吸収によって抽出した後に精製ラインから得られるアクリル酸の一つに分別結晶化でアクリル酸を精製する最終階段を有する。

Description

本発明は、出発原料としてのグリセロールからバイオ資源起源のアクリル酸を製造するプロセスに関するものである。「バイオ資源起源の酸」という用語は基本的に天然根源の炭素源をベースにしたアクリル酸であることを意味する。
アクリル酸はアクリル酸ポリマーを直接製造するか、アルコールでエステル化して対応するエステルのポリマーを製造するに用いることができる非常に重要な出発原料である。これらのポリマーはそのまままたは種々の分野、例えば衛生用品(例えば超吸収材の製造)、界面活性剤、ペイント、ニス、接着剤、紙、織物、レザーで使われるコポリマーとして使用される。
アクリル酸の合成プロセスは製造メーカによって古くから開発されてきた。第1世代の製造法は出発原料としてアセチレンタイプの三重結合を有する化合物を使用してニッケルベースの触媒の存在下で一酸化炭素と水との混合物とを反応させるものである。
第2世代の製造法は今日でも工業的に最も広く使われている方法で、酸素または酸素含有混合物を使用したプロピレンおよび/またはプロパンの接触酸化反応を用いるものである。この方法の出発材料は石油または天然ガスであるので、得られたアクリル酸は再生が不可能な化石燃料の炭素からなる。さらに、掘削プロセス、精製プロセス、一次原料の合成プロセスを必要とし、化石出発原料をベースに製造された生成物は使用寿命の終わりに二酸化炭素を生じる。
プロピレンの酸化でアクロレインを作る反応およびアクロレインからアクリル酸を作る反応では副産物として二酸化炭素が生じる。これらは大気中の温室効果ガスの濃度を増加させる。大多数の工業化された国では温室効果ガスの排ガス流を減らす努力をしており、再生可能な出発原料をベースにした新しい製造方法に代えることによって上記の環境効果を減らすことが特に重要である。
最近では、製造メーカは天然の再生可能な出発原料を使用した「バイオ資源起源の」合成プロセスに向けた研究開発をしている。特に、従来のプロセスが生態系に与える影響を制限するために、非化石植物を出発原料とする代替プロセスが開発されている。その例はバイオマスを原料とするグルコースまたは糖蜜の発酵で得られる2-ヒドロキシプロピオン酸(乳酸)を用いるプロセスである。その他のプロセスでは植物油のメタノール分解で生じるグリセロール(グリセリンともいわれる)を出発原料とするものと、ガスオイルおよび家庭用加熱燃料として使われるそのメチルエステルの開発である。このグリセロールは「グリーン」な天然物で、大規模に入手でき、貯蔵および輸送が容易である。
植物油または動物脂肪のメタノール分解は多くの公知プロセス、特にメタノール溶液で均一触媒、例えば水酸化ナトリウムまたはナトリウムメトキシドを使用するか、不均一触媒を使用して実行できる。この点に関しては非特許文献1が参照できる。
出発原料としてヒドロキシプロピオン酸を使用するプロセスは主として経済的観点から欠点がある。すなわち、発酵反応は必然的に水に高度に希釈した条件下で実行される。アクリル酸を得るためには極めて多量の水を蒸留で除去しなければならず、非常に大量のエネルギーコストを必要とする。この水を除去するために消費するエネルギは化石原料から製造される。この生物起源の出発原料からアクリル酸を製造するという利点はそのために失われる。特許文献1(国際特許第W02006/092271号公報)には酵素の経路で特に炭水化物から製造したアクリル酸からポリマーを製造するプロセスが記載されている。
化学経路でのグリセロールの転化方法としては特許文献2(米国特許第5387720号明細書)に記載のアクリル酸の二段合成方法が挙げられる。この方法ではグリセロールを脱水してアクロレインを製造し、次いでアクロレインを「従来の」酸化方法でアクリル酸を製造する。
グリセロールからアクリル酸を製造する最初の段階はプロピレンから同じ中間化合物すなわちアクロレインを製造する従来法の下記製造工程である。
CH2OH-CHOH-CH20H −> CH2=CH-CH0+2H20
この段階の後に従来の酸化段階でアクロレインをアクリル酸にする反応を行う:
CH2=CH-CHO+1/2 02 −> CH2=CH-COOH
特許文献3〜5にはアルミニウム、チタン、ジルコニウム、バナジウム等の無機酸化物(混合物または非混合物)をベースにした触媒の存在下でのグリセリンの気相脱水段階と鉄、モリブデン、銅等の酸化物をベースにした触媒の存在下でのクロレインの気相酸化段階とう組み合わせたアクリル酸の合成方法が記載されている。
アクリル酸はアクリル酸およびそのエステル誘導体の重合で工業的に製造されている。重合は懸濁重合、乳化重合または溶液重合で行われる。これらの重合プロセスは不純物、例えばアルデヒドまたは不飽和化合物の存在に極めて敏感で、時として予想された使用値が得られず、例えばモノマーのポリマーへの変換が制限され、ポリマーの鎖長が制限され、また、不飽和化合物は重合に干渉する。他の不純物、例えば重合不可能な飽和化合物は最終用途で悪さをし、生成物の性質を変成し、問題となることがある。また、ポリマーの製造時および/または完成品の段階で完成品を着色したり、毒性や腐食性を与えたりする危険がある。
アクリル酸またはそのエステルの品質規格に関してはユーザが厳しい要求をしており、不純物に関しては厳しい限度を満たさなければならない。すなわち、ポリマーを製造するアクリル酸またはアクリル酸エステルのユーザはプロピレンから製造したアクリル酸またはそのエステルの「標準」グレードからしかポリマーの生産ができない。ユーザ会社に対して明らかに不利な点を有するプロピレンからの従来方法とは異なるルートでアクリル酸またはそのエステルの異なる品質に合うようにプロセスが改良されている。化石材料または生物起源の材料(例えばグリセリン)のような出発物質に従ってアクリル酸やそのエステルの異なるグレードから同じ装置で一つのタイプのポリマーを生産すると、追加の研究開発コストの他に、生産設備に大きな変更とコストが必要になり、製造設備が複雑化する。
アクリル酸のグレードすなわち各種不純物の含有量は重合プロセスで大きな役割を演ずる。アクリル酸の製造メーカは一連の精製段階全体で一般に氷アクリル酸(glacial acrylic acid、GAA)といわれる「標準」グレードのアクリル酸を得ている。このGAAは公式に認められた規格に合ったものではなく、汎用の特性を有せず、各製造メーカが後の転化反応を実行するのに十分な純度レベルであるということを意味しているに過ぎない。例えば、イクス−プロピレンアクリル酸(ex-propylene acrylic acid)(以下、「旧プロピレンアクリル酸」という)の場合、反応装置出口からの流れをプロセスに応じた順番で各種段階:非凝縮化合物および軽質化合物の大部分、特に、アクリル酸合成のための中間アクロレイン(粗AA)の除去、水およびホルムアルデヒドを除去する脱水(脱水AA)、軽質化合物(特に酢酸)の除去、重質化合物の除去、オプションとして化学処理による残留不純物の除去を組み合わせて実施する。
本発明の目標は、出発原料としてグリセロールを使用し、上記2段階の脱水および酸化で変換して「標準」アクリル酸を製造するプロセスを、精製プロセス全体に取り入れた方法を提供することにある。
本発明方法はプロピレンからの合成プロセスと極めて類似している。すなわち、第1段階で中間生成物(アクロレイン)を合成し、第2段階を同じ操作条件下で実行するが、本発明方法の最初の段階の反応すなわち脱水反応が通常のプロピレンの酸化反応とは異なっている。この脱水反応は気相で実行され、プロピレンの酸化で使われるものとは異なる固体触媒を用いて行われる。第2段階でアクリル酸へアクロレインを酸化する反応へ送られる第1段階の脱水反応からのアクロレインリッチな流れは多量の水を含み、副産物に大きな相違がある。この副産物は2つのルートの各々で異なる選択性を有し、形成される材料が関与する反応機構によって大きく異なる。
この相違を示すために、粗アクリル酸中すなわち第2段階の反応装置からの液相中の各種酸の存在量に関するデータを[表1]に示す。
Figure 2012533610
不純物/AA比は使用する触媒、その「エージ」(選択性の経時劣化)および運転条件に依存する。[表1]で2-ブテン酸/AA比は旧プロピレンプロセスでは<0.001%である。本発明者が旧プロピレン/AA中にそれを検出したことは無かったが、0%(分析結果)と書くよりは、分析法に関連する検出限界問題を無くすために「<10ppm」と書くのが好ましい。
酸化反応装置から出ている液体流の成分に関する旧プロピレンプロセスと旧グリセロールプロセスとの間の主要な相違点が[表1]には示されている。[表1]には記載していないが、旧プロピレンプロセスでも旧グリセロールプロセスでも、それらで得られる粗アクリル酸は酸素含有化合物、アルコール、アルデヒド、ケトン、他の酸の全てを含んでおり、これらを分離する必要があるということは当業者に知られている。
アクリル酸およびアクリル酸エステルのポリマーの製造で一般に使用されるグレードの仕様を達成するにはアクリル酸中の不純物の含有量を[表2]に示す値以下に下げることが必要である。
Figure 2012533610
酢酸とプロピオン酸は飽和しており、重合されないため重合プロセスでは特に問題になる。これらの不純物は使用する重合プロセスおよびポリマーの最終用途によっては最終製品に残り、望ましくない腐食の問題を生じ、重合プロセスで液体または気体が生じ、望ましくない有機汚染を引き起こすことになる。
2-ブテン酸は旧プロピレンプロセスでは合成されないが旧グリセロールプロセスでは両方の形態(E、クロトン酸ともいわれるCAS番号:107-93-7およびZ、イソクロトン酸ともいわれるCAS番号:503-64-0)で存在する。これはその二重結合の部分が特に問題となる。すなわち、二重結合の部分が重合プロセスに関与し、最終ポリマーの特性および利用価値に影響する。
国際特許第W02006/092271号公報 米国特許第5387720号明細書 欧州特許第EP1710227号公報 国際特許第W02006/135336号公報 国際特許第W02006/092272号公報
D. Ballerini et al. in l'Actualite Chimique of Nov-Dec 200
本発明が解決しようとする課題は、プロピレンを酸化する従来のプロセスと比較して多量の水を含むという不利な点を有するグリセリンを出発原料として使用し、酸化反応装置の出口で各種不純物、例えば酢酸、プロピオン酸および2-ブテン酸を高い含有量で含むガス混合物が得られるアクリル酸合成プロセスを実行して、ユーザの要求に対応した純度、特に[表2]で与えられる仕様を満たすアクリル酸を製造することにある。
本発明者は、グリセリンの最初の脱水段階と、それに続くアクロレイン酸化の第2段階とを有するグリセリンからアクリル酸を合成するプロセスの酸化反応装置で得られたガス流を精製する方法を、酸化反応装置出口での重質溶剤によるアクリル酸の吸収段階と、最後の分別結晶でアクリル酸を分離する多段の精製相とを組み合わせて用いることによって、上記の不利な点は克服可能であるということを発見した。
重質溶剤によるアクリル酸の吸収段階を用いることによって、水相に可溶な不純物および軽質不純物の存在に起因する上記の問題の大部分を上流で解決でき、分別結晶による精製を行うことで、痕跡量の重質不純物および中間不純物すなわち基本的に脱水反応および酸化反応に起因する「重質」化合物、オプションとして含まれる重合抑制安定剤、残留軽質不純物、特にプロピオン酸を含む、アクリル酸と重質溶剤との間に沸点を有する全ての不純物を全て同時に除去することができる。
本発明の対象は、下記段階を有するグリセリンからバイオ資源起源のアクリル酸を製造する方法にある:
グリセロールを気相接触脱水してアクロレインを作る段階(1)、
段階(1)の反応媒体中に存在する水の一部と重質化合物を冷却して部分凝縮し、抽出する段階(1')、
アクロレインを気相接触酸化してアクリル酸を作る段階(2)、
酸化段階からの排出流中に存在するアクリル酸を冷却しながら重質疎水性溶剤と向流吸収させて抽出し、頂部で「非凝縮可能な」ガス化合物と凝縮可能な軽質化合物、例えば水、アセトアルデヒド、未変換アクロレイン、蟻酸または酢酸から成る軽質留分とを取り出す段階(3)、
段階(3)からの液相中に存在する残留軽質留分および重質溶剤を少なくとも一つの蒸留段階(4)、(5)および/または(6)で分離し、分離したアクリル酸留分を回収する段階、
上記段階からのアクリル酸留分中に存在するアクリル酸を分別結晶化で精製する段階。
本発明方法の最初の好ましい変形例では段階(3)からの液相に下記処理を実行する:
蒸留によるトッピングで頂部で水および残留軽質化合物を分離し(段階4)、底部留分は段階(5)へ送る、
得られたアクリル酸溶液を蒸留して、底部で重質溶剤を分離し、頂部で中間不純物から成るアクリル酸留分を分離(段階5)、
段階(5)からのアクリル酸溶液の蒸留で底部で最も重質な「中間」化合物を除去し、頂部でアクリル酸を除去(段階6)、
段階(6)からのアクリル酸の分別結晶による精製。
本発明方法の好ましい実施例を示す図。 本発明方法の変形実施例を示す図。 本発明方法の別の変形実施例を示す図。 本発明方法の別の変形実施例を示す図。
グリセリンはプロピレンから出発する化学合成または植物油または動物性脂肪のメタノール分解で副生物として得られる化学物質1,2,3-プロパントリオールである。
植物油または動物性脂肪のメタノール分解は均一系触媒、例えば水酸化ナトリウムまたはナトリウムメトキシドのメタノール溶液を使用するか、不均一系触媒を使用した各種の周知プロセスで実行できる。これに関しては非特許文献2を参照できる。
D. Ballerini et al. l'Actualite Chimique、Nov-Dec-2002
植物油のメタノール分解ではメチルエステルとグリセリンとが得られる。このメチルエステルはガス油および家庭燃料として使われる。再生可能な物質を起源燃料の開発、特に植物油メチルエステル(VOME)の開発によって、この生産ルートによるグリセリンの生産量が大幅に増加し、グリセリンは変換オイルの10重量%のオーダに達している。
グリセリンはグリセロールの水溶液を意味し、植物油または動物性脂肪から得られ、塩(NaCl、Na2SO4、KCI、K2S04等)を含む。この場合、塩を除去する予備段階がある。これは例えばイオン交換樹脂を用いるか、フランス特許第FR2 913 974号公報に記載のような流動床を用いる方法が一般的である。グリセリンの精製および蒸発方法に関する研究としては特に下記文献に記載のものが挙げられる。
G.B. D'Souza in J. Am. Oil Chemists' Soc., November 1979 (Vol 56) 812A, by Steinberner U et al. in Fat. Sci. Technol. (1987), 89 Jahrgang No. 8, pp 297-303 Anderson D.D. et al. in Soaps and Detergents: A Theoretical and Practical Review, Miami Beach, Fla., Oct 12-14 1994, chapter 6, pp 172-206. Ed: L Spitz, AOCS Press, Champaign
一般にグリセリン水溶液が使用される。その濃度は広範囲に変わり、例えば20〜99重量%、好ましくは30〜80重量%のグリセリン水溶液が使用される。
本発明方法を実行するには一般に段階(1)で水とグリセロールとのフィード流をグリセロール/水の重量比を0.04/1〜9/1の間、好ましくは0.7/1〜3/1の間で変えて使用する。
グリセリンからアクリル酸を得るためのプロセスの原理は連続した脱水および酸化反応をベースにする:
CH2OH−CHOH−CH2OH<−>CH2=CH−CHO+2H2
CH2=CH−CHO +1/2O2−>CH2=CH−COOH
このプロセスは2つの異なる触媒で2つの互いに分離した段階で実行できる。
段階(1)の脱水反応は平衡反応であるが、高い温度レベルで促進され、反応装置中で触媒の存在下、気相で一般に150℃〜500℃、好ましくは250℃〜350℃の温度で、1〜5絶対バール(100〜500kPa)で実行される。液相で実行することもできる。また、特許文献6、7に記載ように、酸素または酸素含有ガスの存在下で実行することもできる。
国際特許第WO06/087083号公報 国際特許第WO06/114506号公報
グリセロールの脱水反応は一般に固体酸触媒を用いて実行される。それに適した触媒は気相または液相の反応媒体中でヘテロ相で使用される物質で、ハメット酸度(H0で表される)は+2以下である。非特許文献2を引用した特許文献8に記載のように、ハメット酸性度は化学指示薬を使用したアミン滴定または気相での塩基吸着によって求められる。
米国特許第US 5 387 720号明細書 K. Tanabe et al. in "Studies in Surface Science and Catalysis", Vol. 51, 1989, chap. 1、2
この触媒は天然または合成の珪酸含有物質または酸性ゼオライト、モノ−、ジ−、トリ−またはポリ無機酸で被覆された無機担体、例えば酸化物、酸化物または混合酸化物またはヘテロポリ酸またはヘテロポリ酸塩から選択できる。
この触媒は一般に上記ヘテロポリ酸のプロトンが元素周期律表の第I族〜第XVI族に属する元素から選択される少なくとも一つのカチオンで置換されたヘテロポリ酸塩から成ることができる。このヘテロポリ酸塩はW、MoおよびVから成る群の中から選択される少なくとも一つの元素を含む。
特に混合酸化物、鉄およびリンをベースにした混合酸化物、セシウム、リンおよびタングステンをベースにした混合酸化物が挙げられる。
特に、触媒はゼオライト、ナフィオン(Nafion、登録商標)複合材料(フルオロポリマーのスルホン酸ベース)、塩素処理したアルミナ、ホスホタングステン酸(phosphotungstic acid)および/またはシリコタングステン酸(silicotungstic acid)および酸塩および酸官能基、例えばボラートBO3、サルフェートSO4、タングステートWO3、ホスフェートPO4、シリケートSiO2またはモリブデートMoO3官能基が含浸された金属酸化物、例えば酸化タンタルTa2O5、酸化ニオブNb2O5、アルミナAl2O3、酸化チタンTiO2、ジルコニアZrO2、酸化錫SnO2、シリカSiO2またはシリコアルミネート(silicoaluminate)SiO2/Al2O3から成る各種タイプの固形物またはこれら化合物の混合物から選択できる。
上記の触媒はさらに、促進剤、例えばAu、Ag、Cu、Pt、Rh、Pd、Ru、Sm、Ce、Yt、Sc、La、Zn、Mg、Fe、Co、Niまたはモンモリロナイトを含むことができる。好ましい触媒はホスフェート化ジルコニア、タングステート化ジルコニア、シリカジルコニア、タングステートまたはホスホタングステートが含浸されたチタンまたは錫の酸化物、ホスフェート化したアルミナまたはシリカ、ヘテロポリ酸またはヘテロポリ酸塩、鉄ホスフェート、プロモータを含む鉄ホスフェートである。
脱水反応装置から出ている反応媒体はグリセロール原料(水溶液)および反応自体に起因する高い含水率を有する。水の大部分は例えば本出願人の特許文献9(国際特許第WO 08/087315号公報)に記載の水の部分凝縮を行う追加の段階(1')で除去することができる。それによって、アクロレインを酸化してアクリル酸にする第2段階へ旧プロピレンプロセスと実質的に同じ組成のガスを送ることができる。
国際特許第WO 08/087315号公報
「実質的に同じ組成」という用語は特にアクロレイン、水および酸素の濃度が同じであることを意味する。この凝縮段階(1')は、凝縮相を除去した後に、水/アクロレインのモル比が1.5/1〜7/1の水とアクロレインを含むガス流が得られるような温度に冷却して実行しなければならない。この部分的凝縮を行うことでアクロレインを酸化してアクリル酸にする次の第2段階での触媒に損傷を防ぐことができ、次の脱水時に多量の水を除去する必要が無くなる。次の脱水時に多量の水を除去すると、コストがかかり、アクリル酸を失うリスクがある。さらに、脱水中に形成された「重質」不純物の一部を除去することもできる。
段階2の酸化反応は分子酸素の存在下または分子酸素を含む混合物の存在下で、200℃〜350℃、好ましくは250℃〜320℃の温度、1〜5バールの圧力下で、酸化触媒の存在下で実行される。
この反応に周知の触媒の任意タイプの酸化触媒を使用できる。一般には金属または酸化物の形、サルフェートまたはホスフェートの形をしたMo, V, W, Re, Cr, Mn, Fe, Co, Ni, Cu, Zn, Sn, Te, Sb, Bi, Pt, Pd, RuおよびRhの中から選択される少なくとも一つの元素を含む固形物を使用する。特に、主成分としてMoおよび/またはVおよび/またはWおよび/またはCuおよび/またはSbおよび/またはFeを含む配合物を使用する。
段階(2)からのガス混合物はアクリル酸の他に下記を含む:
(1)一般に使用される温度および圧力の条件下で凝縮不可能な軽質化合物:窒素、未変換酸素、一酸化炭素および二酸化炭素(最終酸化で少量形成される)
(2)凝縮可能な軽質化合物:特に脱水反応で生じるか、希釈剤として存在する水、未変換アクロレイン、軽質アルデヒド、例えば、ホルムアルデヒドおよびアセトアルデヒド、蟻酸、酢酸およびプロピオン酸、
(3)重質化合物:フルフラール、ベンズアルデヒド、マイレン酸、無水マレイン酸、2-ブテン酸、安息香酸、フェノールおよびプロトアネモニン。
段階(2)で得られるガス流は疎水性重質溶剤を使用した向流(countercurrentwise)吸収段階(3)へ送る。この吸収段階(3)は装置を冷却して行う。ガス流はカラム底部に導入し、重質溶剤はカラム頂部に導入する。カラム頂部に導入される溶剤の流速はアクリル酸のガス状フィード混合物の重量の3〜6倍である。重質溶媒溶液はカラム底部で集められ、そのアクリル酸含有量は15〜25重量%で、さらに、重質溶剤の沸点とアクリル酸の沸点との間の沸点を有する「中間」化合物も含む。この中間化合物は反応の重質生成物:フルフラール、ベンズアルデヒド、マイレン酸、無水マレイン酸、2-ブテン酸、安息香酸、フェノール、プロトアネモニンまたは重合反応を抑制するために媒体中に入れた安定剤化合物から成る。
頂部から出る軽質留分は温度および一般に使われる圧力条件の下に非凝縮可能である軽質化合物:窒素、未変換酸素、最終酸化で生じ少量の一酸化炭素および二酸化炭素と、凝縮可能な軽質化合物:特に脱水反応で生じる水または希釈剤中に存在する水、未変換アクロレイン、軽質アルデヒド、例えばホルムアルデヒドおよびアセトアルデヒド、蟻酸および酢酸から成る。
重質疎水性溶剤による抽出方法は周知で、プロピレンの酸化で合成されるアクリル酸の処理でも用いられている。その溶剤に関しては下記文献を参照できる。
フランス特許第No.1588432号公報 フランス特許第No.2146386号公報 ドイツ特許第No.4308087号公報 欧州特許第No.0 706 986号公報 フランス特許第No.2756280号公報
これらの溶剤は170℃以上の沸点、例えば200〜380℃、好ましくは270〜320℃の沸点を有する。特許文献10(フランス特許第No.1 588 432号公報)では高い沸点を有する脂肪族または芳香族酸エステルを使用する。これらの溶剤は一般に共融点を形成する二成分混合物、例えばジフェニル(DP)およびジフェニルエーテル(DPO)から成り、26.5-76.5の比率(特許文献11、特許文献13)共融点を形成するか、三元混合物(DP/DPO/フタル酸ジメチル(DMP)(特許文献12) から成る。
特許文献14(フランス特許第No.2756280号公報)では260℃以上の沸点を有する1〜4の炭素原子を有する少なくとも一つのアルキル基または一つのシクロアルキル基で置換された1つまたは2の芳香族環構造を有する芳香族溶剤、特にジトリルエーテル単独またはその異性体混合物またはジトリルエーテル(DTE)とフタル酸ジメチル混合物の使用を推薦している。
本発明方法はこれらの溶剤を用いて実行できるが、好ましい溶剤は特許文献14(フランス特許第No.2756280号公報)に記載のものであり、それは反応液中に存在する不純物からの分離性が良いということの他に、反応部へ再循環される非凝縮可能化合物流中への溶剤の痕跡量の随伴現象を減らし、重合禁止剤を有効に回収することができる。
本発明方法の好ましい変形例では、重質溶剤中のアクリル酸液体溶液が段階4でトッピング部へ送られ、その頂部で痕跡量の水と前段の吸収部底部の残留軽質凝縮可能化合物とが除去される。トッピング部の頂部には吸収部の底部流が送られる。軽質化合物が濃縮された頂部流は吸収部へ返されて、軽質化合物を頂部流で除去する。
その後、このトッピング部の底部で得られるアクリル酸の液体溶液は蒸留部へ送られて重質溶剤とアクリル酸が分離され(段階5)、重質溶剤は頂点から抽出され、処理後に最初の段階へ再循環される。大部分の中間化合物を含むアクリル酸溶液はこの蒸留部の頂部から出る。必要に応じてこの流れに溶剤の痕跡量を含めることもできる。
その後、アクリル酸溶液は中間化合物の分離部および精製アクリル酸(テクニカルアクリル酸)の分離部へ送られ(段階6)。中間化合物はこの分離部の底部から抽出され、テクニカルアクリル酸はこの分離部の頂部から抽出される。
その後、製造されたテクニカルアクリル酸は分別結晶部へ送られる。
吸収または蒸留で用いた各分離段階では、使用する熱力学条件から、プラントの運転に不利となる重質化合物の生成を防ぐために、処理される流れに重合禁止剤を添加する必要がある。アクリル酸の精製段階で一般に使われる重合禁止剤はフェノール化合物、例えばハイドロキノンまたはハイドロキノンジメチルエーテル、フェノチアジン誘導体、チオカルバミド酸エステルのファミリー化合物、例えば銅ジ(n- ブチル)ジチオカルバマート、アミノ誘導体、例えばヒドロキシルアミン誘導体、ヒドロキシジフェニルアミンまたはフェニレンジアミンのファミリー化合物の誘導体、4- ヒドロキシ-2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(TEMPO)のニトロオキシド誘導体、例えば4- ヒドロキシ-TEMPOまたは4- オキソ-TEMPOまたは金属塩、例えば酢酸マンガンである。これらの重合禁止剤は単独または組み合わせて使用でき、また、酸素-含有ガスと一緒に導入するのが好ましい。
これらの重合禁止剤は一般に重質化合物で、揮発性はアクリル酸以下であるが、溶剤より軽いものでもよい。溶剤より重質のインヒビターはカラムの底部から除去し、インヒビターが溶剤より軽いかそれに近い場合には頂部流と底部流とに分割する。蒸留塔内部の気相中でのその濃度は低く、ポリマーの開始を防ぐのは不充分である。ポリマーの発生および蓄積を防ぐために、一般には上記添加剤を液体流供給具中、カラムの頂部および各ポイントに導入して、装置の全ての部分で重合禁止剤リッチな溶液の還液が持続し、均一となるようにする。水溶性流の精製段階の場合には一般に液体溶液中、例えばアクリル酸中または溶剤中に供給される。
本発明方法でバイオ資源起源のアクリル酸を精製する最終段階は上記精製段階と組み合わせた分別結晶による分離段階である。
分別結晶は周知の分離技術で種々の形態、動的結晶化、静的結晶化または懸濁結晶化で実行できる。この点に関しては17/02/1977の特許文献14(フランス特許第7704510号公報)(BASF)、特許文献15(米国特許第US 5 504 247号明細書)(Sulzer)、特許文献16(米国特許第US 5831124号明細書)(BASF)および特許文献17(米国特許第US 6482981号明細書)(日本触媒)が挙げられる。これらのいくつかはプロピレン酸化によるアクリル酸合成での精製を目的としたものである。
フランス特許第7704510号公報 米国特許第US 5504247号明細書 米国特許第US 5831124号明細書 米国特許第US 6482981号明細書
最も広く使われている技術は流下フィルム分別結晶化および動力結晶化で、オプションとして溶融媒体静止結晶化と組み合わせられる。流下フィルム分別結晶化は一般に管状熱交換器、実際には多重管熱交換器で実行され、各チューブに(頂部から)下記が連続的に供給される:
(1)精製される化合物の液体流(溶液または溶融物)、この場合にはアクリル酸(AA)がフィルム状に、好ましくはチューブの内壁に沿って落下し、チューブ底部で回収し、オペレータが決めた化合物(AA)の量を結晶化するのに必要な時間だけ頂部へ再循環される(閉ループ)、
(2)熱交換流体の流れ、例えばエチレングリコール/水またはメタノール/水がフィルム状に、好ましくはチューブの外壁に沿って落下させる。チューブ内での結晶化中再循環し、各ステップの各段階の運転に必要な冷気または熱を導入する。
このプロセスは各々が下記の3つの段階から成る連続した段階の組合せである:
(1)結晶化:熱交換流体の温度は媒体中のアクリル酸の結晶化温度よりわずかに高い温度から負の温度傾度に従って14℃程度下げられる。結晶はチューブ表面上に少しづつ厚い層として形成される。循環されるAAの約30〜80%が結晶した時に、排水後に、残った液体留分(不純物リッチな母液)をレシーバへ送る。
(2)スエッティング(sweating):熱交換流体の温度を正の温度傾度に従って上げ、形成されたアクリル酸結晶層中に介在物の形で閉じ込められた不純物を溶融によって除去する。この不純物は不純物が少しづつリッチになる再循環流と接触する最外層中に主として位置している。スエッティングで最初に溶融する分子は不純物とAAの共融混合物である。結晶層中に位置する不純物は再循環流と接触する外側層へ向かってマイグレートする。結晶層中のこの小さい部分が溶融し、レシーバ、好ましくは結晶化段階で母液を回収したものと同じレシーバへ移される。このスエッティング段階を洗浄技術に代えることもできる。その場合には表面に存在する不純物を純粋なAAで洗って除去する。この純粋なAAはAA層の溶融点よりわずかに高い温度で導入するのが好ましい。しかし、この技術は効率が良くない。
(3)溶融:熱交換流体の温度をAAの融解点(14℃)以上に迅速に上昇させ且つ媒体の重合(爆発)の危険が考えラレル最高温度以下に止めるのが好ましい:この最高温度は精製済AAの結晶層の溶融で安全を確保するために35〜40℃程度にする。回収された精製済液体は第2のレシーバへ入れる。
被精製流から始めて上記の3つの段階の組合せが最初の精製段階を表す。この最初の段階で得られた精製済液体には第2の精製段階で上記の3つの段階を再び順行う(精製相)。この第2段階で得られる母液は上記段階からの母液より純粋であり、従って、第1段階で精製される新しいAA原料と一緒に混合物として使うことができる。第3の精製段階も同じ運転条件で実行できる。この第3段階からの母液を第2段階の原料として再循環し、結晶を溶融して回収する純粋化合物とすることもできる。一般に、「n」段階目の精製段階からの母液は「n-1」段階目の精製段階のフィード流と一緒に混合して再循環することができる。
精製相で被精製混合物中に存在する重合禁止剤は不純物として扱われ、従って母液中に除去される。溶融結晶化物中でのポリマーの生成を防ぐために、モノマーの最終用途に合った種類および濃度の重合禁止剤を加えるのが好ましい。この重合禁止剤の添加は特に重合禁止剤を含まない流れが供給される段階、例えば最終の「n」回目の精製段階には「n-I」段階からの精製された流れのみが供給される最終の溶融段階で実行される。
最初の精製段階の後に集められた母液は同じ3段階の方法に従った「-1」段階で処理できる。回収された結晶化物(crystallisate)は第1段階のフィード原料の添加物として使用できる。「−1」段階からの母液は新しい分離のために同じプロセスに従って処理され、その結晶化物はより大きな段階の原料として使用し、その母液には下側の「−2」段階のプロセスを再び受けさせる。「−1」、「−2」等の段階は濃度段階を構成する(一連の段階で母液流中の不純物を濃縮できる)。一般に、「n」回目の濃縮段階からの母液は次の「n−1」段階で同じ3段階プロセスに従って処理される。これらの操作(濃縮相)の繰返しで母液流中の不純物がますます濃縮され、不純物がリッチになり、純粋なアクリル酸留分が初期の段階へ戻される。従って、初期母液に随伴するアクリル酸が回収でき、回収収率が改善し、さらに、不純物が「濃縮された」混合物が得られる。
上記の一連の濃縮段階の特徴はこれらの段階を繰り返すことで母液流中の不純物の濃度が濃縮されることにある。これを行う時には上記混合物の結晶化温度を次第に下げる。これは冷却エネルギーのコストを増やす効果を有し、さらにアクリル酸の同じ量を結晶化させるのに必要な時間が長くし、同じ結晶化表面積に対して精製の生産性を低下させる結果になる。従って、一般に母液中の不純物の全濃度が流れ重量の50%を超える前に濃度段階の数を止めるのが好ましい。
出発原料の純度と予想される精製済み生成物の純度と要求されるAAの回収収率とに応じて、「テクニカル」グレードタイプのAAに対する完全プロセスは一般に1〜4回の精製段階と、1〜4回の不純物の濃縮段階とを有する。
回収収率をさらに改善するために、静的晶析装置で濃縮の最終段階を実行することもできる。この場合、結晶化すべき混合物を低温壁と接触させる。低温壁は例えば熱交換流体が通る金属シートから成る熱交換器にすることができ、この熱交換器を上記段階からの結晶化母液を収容した容器中に浸す。金属シートの壁上にAAの結晶層が形成される。母液は除去する。結晶化した層を溶融して、後の落下フィルム式動的結晶化段階で後処理する。
本発明方法は添付の[図1]〜[図4]を参照した以下の実施例の説明からより良く理解できよう。各図で主熱交換器を表すシンボルは下向き矢印で冷却段階を示し、上向き矢印で加熱段階を示す。
[図1]は本発明方法の好ましい実施例を示す。気体の反応流(1)は吸収塔Clの底部に導入される。吸収塔Clには重質疎水性溶剤または重質疎水性溶剤の混合物が向流(カウンターフロー)で供給される。カラム底部の液体流(2)は水および軽質化合物、特に酢酸を含む。これらは蒸留塔C2送られ、そこで水および軽質化合物(酢酸)を頂部(流れ(3))で回収し、それをカラムClへ戻す。カラムClの頂部の気体流(14)は全ての非凝縮可能化合物(窒素、酸素、CO、CO2)および軽質化合物(アセトアルデヒド、アクロレイン、酢酸、水等)を含む。この流れ(14)の一部は反応(15)へ酸循環され、一部または全部をバージできる(16)。
カラムC2の底部の液体混合物は溶剤中のAA(15%〜25%)溶液と、重質中間化合物(AAの沸点と溶剤(例えば無水マレイン酸、フルフラール、ベンズアルデヒド、プロトアネモニン、2-ブテン酸等)の沸点との間の沸点を有する)と、溶剤より重い任意成分の化合物とを含む。この流れ(4)をカラムC3の頂部へ送る。
このカラムでは下記が回収できる:
(1) 底部で、最少量のアクリル酸と、溶剤+痕跡)量の重質化合物(9)、
(2) 頂部で、AAおよび中間化合物の大部分と、少量(役1%)の濃縮溶から成る流れ(17)。
流れ(9)は吸収塔Clの頂部へ再循環され、必要に応じて溶剤より重質化合物の一部または全部を流れ(9)から蒸発器でパージ(10、11)した後に溶剤から成る蒸発器の頂部流用に回収(12)できる。
その後、流れ(17)を蒸留塔C4へ送って、頂部(6)からテクニカルグレードのAAを分離し、底部(5)で溶剤と中間体から成る「重質化合物」を分離できる。その後、この流れ(5)を追加のカラム(図示せず)で精製して、その頂部で重質中間化合物を除去し、その底部で溶剤、インヒビターを回収し、それを本発明プロセスの上流へ再循環することもできる。
旧−グリセロール法で製造した反応流(1)は酢酸含有量が高いため、カラムC2では不純物の全てを除去できない。テクニカルグレードのAA(6)の流れはプロピオン酸および2-ブテン酸とともに酢酸を含む。
この流れ(6)を分別結晶で精製することによって、酢酸、プロピオン酸および2-ブテン酸を同時に除去することができる。
[図2]は本発明の他の変形実施例を示し、この実施例では、段階(3)からの液相に対して下記の処理をする:
(1)蒸留によるトッピングによって、その頂部で水と残留軽質化合物を分離(段階4)し、底部留分を段階(5)へ送る。
(2)カラム底部と頂部との間の中間高さのプレートへフィードし、中間化合物のための側部流抜出し部、好ましくはフィード位置より低い位置に気相の側部流抜出し部備えたカラム蒸留による分画によって、頂部でアクリル酸を抜き出し、底部で溶剤を抜き出す(段階5)。
(3)分別結晶によって段階(5)からの頂部流からアクリル酸を精製する。
この変形例では、カラムC3へ送られる流れ(4)は頂部から下へ3つのセクションSi、S2およびS3から成る。この単一カラムは図1のカラムC3およびC4の機能を実行する。流れ4のフィードはセクションSIの底部へ行う。セクションS2とセクションSとの間でカラムから側部流抜き出しすることで、重質中間不純物がリッチな流れ(5)が回収され、それは溶剤と任意成分の少量の安定剤とを含む。
この流れを処理して、上記で述べたように、溶剤および安定剤をプロセスの上流側へ再循環することができる。カラム底部、S3の底部で、溶剤と重質化合物の流れ9が回収され、10、11、12、13で従来法の処理後に、吸収塔へ再循環される。
カラムC3の頂部で得られる流れ(6)はテクニカルグレードのAAである。これは分別結晶で精製できる。
[図3]に示す変形実施例では、段階(3)からの液相に下記の操作を行う:
(1)蒸留によるトッピンクによって、水と残留軽質化合物(段階4)を分離し、底部竜分を(段階5)へ送る。
(2)その間に、蒸留による分留によって、頂部でアクリル酸、底部で重質溶剤を分留し、
(3)分別結晶によって段階(5)からの頂部流からアクリル酸を精製する。
[図3]は[図1]のカラムC4を無くした、単純化したプロセスを示す。被精製流6は重質不純物がリッチである。この場合には母液が全ての他の不純物を含むので、AAが随伴した溶剤をC3の頂部で回収することは不可能である。
[図4]に示す変形実施例では、段階(3)からの液相に下記の処理を行う:
(1)頂部で水と残留軽質化合物を分離し、底部で重質溶剤を分離する2つのセクションを有し、側部流抜き出し部を有する帯域で蒸留による分画を行って、2つのセクションの境界でアクリル酸(段階4)を分離する。
(2)分別結晶によって、段階(4)の側部流抜き出部からのアクリル酸を精製する。
これはカラムC2の側部流抜き出部かから回収した気相のアクリル酸の他の形である。この流れ(6)を結晶化で精製する。カラムC2の底部流(4)はカラムC3へ送られて、その頂部で大部分の重質中間化合物と少量の溶剤とから成る流れ(5)を除去する。この流れ(5)は、上記のように、溶剤および任意成文の安定剤を回収するための後処理後にプロセスの上流側へ再循環できる。
本発明はさらに、アクリル酸の重合で製造されるホモポリマーおよびアクリル酸と他の不飽和モノマーとのコポリマー、例えば、部分的に中和された酸の重合し、得られたポリアクリル酸を不完全中和して製造する超吸収ポリマーの製造での、本発明方法で得られるバイオ資源起源のアクリル酸の使用にも関するものである。
本発明はさらに、バイオ資源起源のアクリル酸と任意成分の他のバイオ資源起源のモノマーまたは化石原料由来のモノマーとの重合によって得られるポリマーおよびコポリマーにも関するものである。
本発明はさらに、バイオ資源起源のアクリル酸の重合によって得られる超吸収材料に関するものである。
本発明はさらに、エステルまたはアミドの形をしたアクリル酸誘導体の重合によって得られるポリマーまたはコポリマーの製造でのバイオ資源起源のアクリル酸の使用にも関するものでもある。また、バイオ資源起源のアクリル酸のエステルまたアミド形誘導体の重合によって得られるポリマーまたはコポリマーにも関するものである。
以下、本発明方法の実施例を示す。
実施例1
グリセロールから粗アクリル酸の製造
予備段階では塩を除去して植物油から得られる天然のグリセロールを精製する。天然のグリセロール溶液は89.7重量%のグリセロールと、3.9重量%の水と、5.1重量%の塩化ナトリウムとから成る。この原料流(6400g)を外部加熱器で加熱された2リットル容の攪拌式反応装置に連続的にフィードとして供給する。グリセロールおよび水蒸気は還流凝縮器で凝縮し、レシーバに回収した。この精製操作は670Pa(5mmHg)の圧力下で実行した。塩化ナトリウムを含まない5710gのグリセロール溶液を得た。
本発明方法の段階(I)に移り、グリセロールを脱水してアクロレインにする反応と、水の一部を凝縮する段階(1')を実行する。脱水反応は固定層型反応器で気相でタングステン化(tungstated)ジルコニアZrO2/WO3から成る固体触媒の存在下で320℃の温度で大気圧下で実行した。グリセロール(20重量%)と水(80重量%)の混合物を、O2/グリセロールのモル比を0.6/1にした空気の存在下で蒸発器へ供給した。蒸発器から出ている290℃の気体媒体を直径が30mmのチューブから成る反応装置に供給する。反応装置は390mlの触媒が充填され、320℃の温度に維持された塩水浴(KNO3、NaNO3およびNaNO2共融混合物)中に浸した。
反応装置の出口で気体反応混合物を凝縮カラムの底部へ送る。このカラムはラシヒリングが充填された下側部分を有し、常温の熱交換流体が循環する凝縮器を上部に有する。熱交換器の冷却温度はカラム頂部で大気圧で72℃の蒸気温度が得られるように調整した。この条件下での凝縮カラム底部でのアクロレインのロスは5重量%以下である。
次の段階(2)では、空気(O2/アクロレインのモル比は0.8/1)および必要量の窒素を添加した後、6.5mol%のアクロレイン濃度を得るために、アクロレインを酸化してアクリル酸にする反応装置へガス混合物をフィードとして導入した。この酸化反応装置は30mmの直径を有するチューブから成り、アルミニウム、モリブデン、シリコン、バナジウムおよび銅の混合酸化物をベースにしたアクロレイン酸を酸化してアクリル酸にするための市販の触媒の480mlを充填し、250℃の温度に維持された上記と同じ塩水浴中に浸した。ガス混合物は触媒ベッド上へ導入する前に塩水浴に浸したチューブで予熱した。
追加の回収段階および精製段階は[図1]に関する説明である。
酸化反応装置の出口で得たガス混合物(1)は大気圧で運転される段階(3)の吸収塔C1の底部に導入した。このカラムにはProPakタイプのランダムなステンレス鋼パッキンを充填した。カラムの下部にはその高さの1/3の所に凝縮部を設け、カラム底部で回収した凝縮混合物の一部を外部熱交換器で70℃に冷却した後に再循環した。DTE(ジトリルエーテル)を含む流れ(14)は反応ガス中に存在するアクリル酸の溶剤/アクリル酸の重量比が4/1で、重合禁止剤としてのHQMEの0.5%を予め溶かしたものである。これをカラム頂部へ54℃の温度で送る。カラム頂部の蒸気温度は52℃で、カラム底部で得られるアクリル酸溶液の温度は84℃である。底部で得られる生成物(2)を35℃の温度に冷却してからポンプを使用して、15枚のダム付き多孔プレートを備えたカラムC2の頂部へ送る。蒸留はこのカラムで187hPaの圧力で実行する。カラム底部で測定された温度は113℃であり、カラム頂部温度は88℃である。頂部(3)で凝縮した蒸気の全てをカラムC1の外部冷却ループへ戻す。
このカラムの下部で抽出される流れ(4)が粗アクリル酸で、その分析値は20.2%のアクリル酸である。このアクリル酸流中純物濃度は0.72%の酢酸、0.81%のプロピオン酸、0.01%のフルフラール、0.02%のプロトアネモニン、0.03%のベンズアルデヒド、0.04%の2-ブテン酸および0.41%の無水マレイン酸である。
上記段階で得られた粗アクリル酸流をカラムC3にフィードとして送る。このカラムC3は117hPaの圧力で運転され、各々が堰を備えた4枚の多孔プレートを備えている。フィードは第2番目と第3番目のプレートの間に送る。
カラムC3の頂部で凝縮した流れの一部を上部プレートへ戻す。還流比(還流液体の流速/抜き出し液体の流速)は0.2/1である。リボイラで測定した温度は180℃で、頂部温度は119℃に達する。カラム底部で得られる流れ(9)お分析値は0.082%のAAである(すなわちカラム頂部でのモノマー回収率は99.7%)。
カラムC3の頂部で抜き出したAA流(17)は、不純物として主として0.67%の酢酸、0.78%のプロピオン酸、0.01%のフルフラール、0.02%のプロトアネモニン、0.03%のベンズアルデヒド、0.04%の2-ブテン酸、0.4%の無水マレイン酸および1.1%のジトリルエーテルを含む。これを16枚の堰付き多孔プレートを備えた第2カラムC4の第4プレート(底部から計算)のレベルへ送る。このカラムC4は226hPa(170mmHg)の圧力で運転し、その頂部へは安定剤混合物(AAの5% HQME)を入れる。頂部還流比(還流液体の流速/抜き出す液体の流速)は1.5/1である。底部温度は187℃、頂部温度は93℃である。テクニカルグレードのアクリル酸がカラム頂部で得られる。AAの分析値98%。この流れ中に存在する不純物は酢酸(0.68%)、プロピオン酸(0.76%)、フルフラール(0.005%)、プロトアネモニン(0.009%)、ベンズアルデヒド(0.012%)、2-ブテン酸(0.016%)、無水マレイン酸(0.12%)、水(0.21%)およびDTE(0.005%)である。
実施例2
旧グリセリンテクニカルグレードの結晶化によるAAの精製
実施例1において、得られるテクニカルグレードのアクリル酸の流れに本発明の一連の精製および分別結晶化による濃縮操作を行う。使用した装置は温度勾配がプログラムできる外部熱交器(ラウダクライオスタット浴)を介してポンプで閉回路中を循環する熱交換流体(エチレングリコール/水混合液)を充填した鉛直ステンレス鋼チューブから成る落下流晶析装置である。このチューブの最上部にはその外壁に沿って均一に流れる液膜の形で液を送る。結晶化すべき混合物から成る液体は底部の回収タンクに回収し、ループ回路を介してポンプで最上部へ再循環されて、再びチューブを流下する。
テクニカルアクリル酸流は下記の段階から成る一連の精製段階を受ける:
(1)結晶化:熱交換流体を迅速に冷却して、精製すべき混合物サンプルから求めた、混合物中のアクリル酸の結晶化温度までアクリル酸の流下フィルムの温度を下げ、次いで0.1〜0.5℃/分の負の温度勾配を熱交換流体に付ける。晶析装置の底部コンテナに集めた液体のレベルを評価して差を測定し、結晶化したアクリル酸の容積が初期混合物の70%に達した時に、被精製混合物の流下フィルムの再循環を停止し、チューブを排水し、得られた母液混合物を分離し、レシーバ中に保存する。
(2)スエッティニング:熱交換流体を再加熱してチューブ表面上に結晶化したアクリル酸層の一部(5%)を溶融させる。このスエッティニング段階で生じた母液を集め、上記段階で母液として集めたのと同じレシーバに保存する。
(3)溶融:結晶化した層が完全に溶けるまで熱交換流体を30℃の温度まで迅速に再加熱する。精製された液体流は別のレシーバに入れる。
最初の精製段階の最終の溶融で精製された生成物を第2の精製段階へ送り、同じ操作条件下に3回の精製段階の新しい生成シリーズを受けさせる。第2の精製段階からの母液は第1段階のテクニカルAAのフィード流の新しい原料と混合する。溶融した精製生成物で所望グレードが得られるまで上記プロセスを繰り返す。
最初の精製段階で濃縮した母液中のアクリル酸のロスを減らすために、精製段階と同じステップを表す一連の濃縮段階を実行して、「n-1」段階からの結晶化物を「n」段階のフィードと送り、この「n-1」段階からの母液は「n-2」段階のフィードとして送る。これらの段階は精製段階と同じ操作条件下で実行されるが、結晶化段階からスエッティニング段階へ通す前の目標とする結晶化アクリル酸の容積は供給された生成物の60%にする。
最後の結晶化段階は静的モードで実行する。被精製流は、予め測定で求めた結晶化温度に維持された媒体の結晶化温度の冷却液が循環するジャケットを備えたステンレス鋼の容器中に入れる。この容器中に熱交換流体(エチレングリコール/水混合液)を充填したステンレス鋼の垂直円管を浸す。上記熱交換流体は温度勾配がプログラムでき、外部熱交換器を介してポンプで閉回路中を循環する。
チューブ中の熱交換流体の温度は最初の段階で媒体の結晶化温度まで迅速に下げ、その後で0.1〜0.5℃/分の負の温度傾度を付ける。結晶化した容積が出発原料の約50%に達した時に母液を取り出し、スエッティニング段階を実行し、最後に上段の動的モードでの結晶化段階の溶融段階を実行する。
実施例1の精製段階終了時にグリセロールから得られるテクニカルアクリル酸には、一連の4回の精製段階と、静的モードの結晶化段階を含む3回の濃縮段階とを行う。それによって50ppmの酢酸、410ppmのプロピオン酸、1ppm以下の無水マレイン酸、80ppm以下の水、1ppm以下の2-ブテン酸、1ppm以下のフルフラール、1ppm以下のベンズアルデヒド、1ppm以下のプロトアネモネン(protoanemonine)、1ppm以下のアクロレインを含む「氷」グレードのアクリル酸を得ることができる。
最終濃縮段階から得られる母液中のアクリル酸濃度は71%である。この精製段階のAA回収収率は96.5%である。また、共沸乾燥段階(4)後に得られる流れからのAAの全回収収率は97.2%である。
追加の静的モードの濃縮段階を行った場合の最終母液のAA濃縮は54.3%であり、全精製収率は99.3%である。残留物は下記重量組成を有する:AA:54.3%、水:7.3%、無水マレイン酸:8.9%、プロトアネモニン:1%、ベンズアルデヒド:2%、酢酸:4.3%、プロピオン酸:16.7%、アクロレイン:1.6%、フルフラール:0.8%、2-ブテン酸:2%。
本発明方法で製造されるアクリル酸は非化石天然原料から製造されるバイオ資源起源の酸である。天然根源物質の非化石炭素-ベースの出発原料を使用したことは最終生産物の組成中の炭素原子で検出できる。すなわち、再生可能な出発原料から成る物質は、化石物質と違って、放射性同位元素14Cを含む。生物系(動物または植物)から採った全ての炭素サンプルは3つのアイソトープ:12C(98.892%)、13C(1.108%)および14C(痕跡量:1.2×10-10%)の混合物である。生物組織中の14C/12C比は空気のCO2のその比と同一である。生体系での14C/12Cの比は新陳代謝に関係し、絶えず空気と交換しており、不変である。植物の出発原料の収穫から最終生産物の製造まで14Cの含有量は実質的に一定であるので、14Cの崩壊定数は同じである。
本発明方法で得られるバイオ資源起源のアクリル酸の14Cの重量含有量は14C/12C比が0.8×10-12以上、好ましくは1×10-12以上となる量である。物質中の14Cの含有量の測定方法はASTM規格 D6866(特にD6866-06)およびASTM規格 D7026(特に7026-04)に記載されている。

Claims (10)

  1. 下記段階から成るグリセロールから生物起源のアクリル酸を製造する方法:
    グリセロールを気相接触脱水してアクロレインを作る段階(1)、
    段階(1)の反応媒体中に存在する水の一部と重質化合物を冷却して部分凝縮し、抜き出す段階(1')、
    アクロレインを気相接触酸化してアクリル酸を作る段階(2)、
    酸化段階からの排出流中に存在するアクリル酸を冷却しながら重質疎水性溶剤と向流吸収させて抽出し、頂部で「非凝縮可能な」ガス化合物と凝縮可能な軽質化合物、例えば水、アセトアルデヒド、未変換アクロレイン、蟻酸または酢酸から成る軽質留分とを取り出す段階(3)、
    段階(3)からの液相中に存在する残留軽質留分および重質溶剤を少なくとも一つの蒸留段階(4)、(5)および/または(6)で分離し、分離したアクリル酸留分を回収する段階、
    上記段階からのアクリル酸留分中に存在するアクリル酸を分別結晶化で精製する段階。
  2. 段階(3)からの液相に対して下記操作を行う請求項1に記載の方法:
    水および残留軽質化合物の頂部での分離蒸留によるトッピング(段階4)、底部留分は段階(5)へ送る、
    得られたアクリル酸溶液を蒸留して、底部で重質溶剤を分離し、頂部で中間不純物から成るアクリル酸留分を分離(段階5)、
    段階(5)からのアクリル酸溶液の蒸留で底部で最も重質「中間」化合物を除去し、頂部でアクリル酸を除去(段階6)、
    段階(6)からのアクリル酸の分別結晶による精製。
  3. 段階(3)からの液相に対して下記操作を行う請求項1に記載の方法:
    水および残留軽質化合物の頂部での分離蒸留によるトッピング(段階4)、底部留分は段階(5)へ送る、
    中間化合物の側部流抜き出し具を備えたカラムの底部と頂部の間の中間プレートの高さ位置でカラムへ、好ましくは気相で、供給して蒸留により分画し、フィードレベルより低い位置(フィードプレートとカラム底部との間の位置)、頂部でアクリル酸を抜き出し、底部で溶剤を抜き出す(段階5)、
    段階(5)の頂部流からのアクリル酸を分別結晶化によって精製。
  4. 段階(3)からの液相に対して下記操作を行う請求項1に記載の方法:
    水および残留軽質化合物の頂部での分離蒸留によるトッピング(段階4)、底部留分は段階(5)へ送る、
    頂部でのアクリル酸の蒸留による分画と、底部での重質溶剤の分画(段階5)、
    段階(5)の頂部流からのアクリル酸を分別結晶化によって精製。
  5. 段階(3)からの液相に対して下記操作を行う請求項1に記載の方法:
    2つのセクションを有する一つの帯域で蒸留により分画して、水と残留軽質化合物を頂部で分離し、底部で重質溶剤を分離し、二つのセクションの境界での側部流抜き出しによってアクリル酸を分離(段階4)、
    段階(4)の側部流抜き出しで得られたアクリル酸を分別結晶によって精製。
  6. 分別結晶段階を落下フィルム分別結晶技術で実行する請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 分別結晶段階が少なくとも2回の精製階段と、1〜4回の不純物濃縮階段とを有する請求項6に記載の方法。
  8. 分別結晶段階の他に静的結晶化による濃縮階段をさらに有する請求項6
    または7に記載の方法。
  9. 重質疎水性溶剤が260℃以上の沸点を有する芳香族溶剤から選択され、1〜4の炭素原子を有する少なくとも一つのアルキル基または一つのシクロアルキル基で置換された1つまたは2つの芳香族環系を有する請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 溶剤がジトリルエーテル単独か、その異性体混合物またはジトリルエーテルとフタル酸ジメチルとの混合物の形をしている請求項9に記載の方法。
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