JP2012531392A - 酸化的脱水素化またはエポキシ化のための貴金属含有担持触媒 - Google Patents

酸化的脱水素化またはエポキシ化のための貴金属含有担持触媒 Download PDF

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Abstract

a)コロイド溶液の形態のコロイド状貴金属を、場合により促進剤として作用する添加剤と混合して、担持材料に適用すること、b1)得られた生成物を150〜350℃で乾燥すること、またはb2)得られた生成物を150〜350℃で乾燥した後、350〜550℃で焼成することにより得ることができる、エポキシ化または酸化的脱水素化のための貴金属含有担持触媒。本発明はさらに、その製造方法、その使用、および担持触媒を製造するためのコロイド状貴金属の使用に関する。
【選択図】なし

Description

本発明は担持貴金属触媒、それを製造する方法、ならびにエポキシ化または酸化的脱水素化のためのその使用、特に酸化的脱水素化によりオレフィン性不飽和アルコールからオレフィン性不飽和カルボニル化合物を調製するための使用に関する。
本発明はさらに、貴金属含有担持触媒(特にエポキシ化または酸化的脱水素化のための)を製造するためのコロイド状貴金属の新規の使用に関する。
特に、本発明は、特定の方法により得ることができる担持貴金属触媒の、3-メチルブタ-3-エン-1-オール(MBE)から3-メチルブタ-2-エン-1-アール(MBA)を調製するための使用に関する。
好適な触媒を用いる酸化的脱水素化によるα,β-不飽和カルボニル化合物の調製は当業者に公知であり、文献に広く記載されている。
例えば、DE-B-20 20 865には、α,β-不飽和カルボニル化合物の調製方法が記載されており、そこでは、その記載によれば、脱水素化触媒として合金および金属化合物、特にいくつかの遷移元素の金属酸化物を使用することができる。さらに、この文書は、触媒を純粋な形態で、または担持物質を用いるもしくは用いない混合触媒の形態で使用することができると述べている。特に適切なものとして、酸化亜鉛、酸化カドミウムおよび酸化マンガンならびに金属Cu、Agおよび/またはZnを含む混合触媒が挙げられている。この文書には触媒の製造に関するそれ以上の情報は記載されていない。
EP-A 881 206には、シェルアンドチューブ反応器の中で不飽和脂肪族アルデヒドを工業規模で連続的に調製する方法が記載されている。この方法に好ましい触媒は、担持体の量に対して0.1〜20重量%の滑らかな耐摩耗性シェルの形態の金属銀の層によりコーティングされた不活性担持材料の球を含む担持銀触媒であると述べられている。さらに、好ましくは、コーティングされた触媒球の最大の直径と反応管の内径との比が特定の値となるようにしなければならない。
DE-A 27 15 209には、3-アルキルブテン-1-アールを調製する方法が開示されており、そこでは、層の厚さの合計が5〜35 mmとなるような2層以上の銀および/または銅結晶の層を有する触媒を使用する。貴金属の複数の層を有する触媒の製造は比較的複雑である。
EP-A 357 292には、エチレンオキシドを調製する方法が開示されている。この方法に使用される触媒は、BET法により測定された特定の比表面積を有する多孔性耐熱担持体に銀を適用した銀触媒である。この文書の情報によれば、銀は液体媒体(例えば水)中の銀または酸化銀の懸濁液として担持体に適用することができ、または銀化合物の溶液による担持体の含浸により適用することができる。次にこの銀化合物を熱処理により還元して元素銀とする。この文書は、この方法により製造された銀含有担持触媒をエチレン性不飽和カルボニル化合物を調製するために使用する可能性またはコロイド状銀の使用の可能性についての示唆を与えていない。
EP A 619 142には、エチレンからエチレンオキシドへの酸化のための銀触媒が開示されており、この触媒は銀塩の(コロイド)水溶液の含浸により得られる。この文書にはコロイド状銀の使用の可能性についての示唆は与えられていない。
さらに、ドイツ特許出願DE 10 2008 014 910.1(先行文献ではない)は、錯化した貴金属の難溶性化合物を懸濁液または溶液から担持体に適用し、次いで熱処理することにより得られる貴金属含有触媒が開示されている。
本出願において引用されたすべての文書は参照によりその全体を本開示に組み入れる。
3-メチルブタ-2-エン-1-アールは、慣用名プレナールとしても知られているが、シトラールの重要な前駆体であり、シトラールは多くの化学合成の重要な出発物質である。文献に記載されるプレナール(MBA、3-メチルブタ-2-エン-1-アール)の調製のための触媒は、比較的複雑な方法により、全般的に改良の必要がある製造条件下で製造される。したがって、簡単な方法により得ることができ、促進剤として作用する化合物を加えることによりその選択性を簡単な方法で制御することができる、イソプレノール(MBE、3-メチルブタ-3-エン-1-オール)からプレナールを合成するための貴金属含有担持触媒が存在することが望ましい。
さらに、製造が簡単で、非常に良い収率、変換率、選択性等を与える、エチレンからエチレンオキシドを調製するための触媒が存在することが望ましい。
DE-B-20 20 865 EP-A 881 206 DE-A 27 15 209 EP-A 357 292 EP A 619 142
したがって、本発明の目的は、先行技術から生じる不利益および要求に対処し、適切な触媒およびその製造方法および使用を利用可能にすることであった。
本発明によれば、この目的は、コロイド溶液の形態のコロイド状貴金属を、場合により促進剤として作用する添加剤と混合して、担持材料に適用した後、得られた生成物を熱処理することにより製造される貴金属含有担持触媒により達成される。
本発明はさらに、目的を達成するための別の態様において、エポキシ化または酸化的脱水素化のためのこの貴金属含有担持触媒を製造する方法であって、コロイド溶液の形態のコロイド状貴金属を、場合により促進剤として作用する添加剤と混合して、担持材料に適用した後、得られた生成物に熱処理をおこなう、前記方法を提供する。
同様に、本発明は、目的を達成するための別の態様において、コロイド溶液の形態のコロイド状貴金属を、場合により促進剤として作用する添加剤と混合して、担持材料に適用した後、得られた生成物を熱処理することにより製造された貴金属含有担持触媒の、エポキシ化または酸化的脱水素化、特に酸化的脱水素化によるオレフィン性不飽和アルコールからのオレフィン性不飽和カルボニル化合物の調製への使用を提供する。
前述のすべてに加えて、本発明は、コロイド状貴金属の適用により貴金属含有担持触媒を製造するための、コロイド状貴金属の新規の使用を提供する。
本発明の目的のために、すべての量は、他に指示しない限り重量で表す。
本発明の目的のために、用語「室温」は、23℃の温度を指す。指示された温度は、他に指示しない限り、セ氏温度(℃)である。
他に指示しない限り、記載される反応または工程は大気圧で実施される。
本発明の目的のために、球状とは、その一次粒子が球状であり、透過型電子顕微鏡(TEM)において、理論的球と同程度に、優先的方向または角(edges)を示さないことを意味する。
本発明の目的のために、用語「熱処理」は、
a) 乾燥、または
b) 乾燥および焼成
を指す。
本発明の目的のために、用語コロイドは溶媒中に微細に分散された粒子を指す。コロイドの平均粒径は約1 nm(ナノメートル)〜10,000 nm(10ミクロン)の範囲である。球状コロイドの場合、平均粒径は重量平均粒径を意味し、球の形状でないコロイドの場合には示された粒径は一次元にのみ関連する可能性がある(例えば、血小板様コロイドの場合)。
その特性に関して、コロイド溶液は真の(分子分散)溶液と懸濁液(粗い分散溶液)の間であり、コロイドの平均粒径が小さい程、それらの特性は真の溶液に近くなる。
したがって、コロイド溶液はそれらの特性に関して懸濁液とは異なる。
重量平均粒径は、W. Scholtan and H. Lange, Kolloid-Z. and Z.-Polymers 250 (1972), 782〜796ページの方法を用いて分析用超遠心分離により測定することができる。超遠心分離測定によりサンプルの粒子直径の積分質量分布が得られる。これにより、特定の大きさ以下の直径を有する粒子の重量パーセンテージを決定することが可能である。平均粒子直径は、積分質量分布のD50とも呼ばれるが、粒子の50重量%がその直径(D50に相当する)よりも小さい直径を有する粒子直径であると定義される。したがって、同様に、粒子の50重量%がD50よりも大きい直径を有する。
コロイド系は、それらの平均以上の表面積対体積の比のために、顕著な表面および界面化学の効果を示す。
粒子、表面の処理および液体の組成を選択することにより、コロイド系における個々のコロイド粒子間の相互作用に広い範囲で影響を与えることができる。
本発明の目的のために、コロイド状に溶解した貴金属、すなわち貴金属のコロイド溶液を担持触媒の製造に使用する。
本発明の貴金属含有担持触媒は、23℃で測定した場合、1000オームメートル(Ω・m)以下、好ましくは500オームメートル(Ω・m)以下、特に好ましくは100オームメートル(Ω・m)以下の比抵抗を有する。
本発明の目的のために、比抵抗は、底がステンレス鋼を含み、壁が絶縁プラスチックを含む測定セル(内径10 mm、高さ32 cm、触媒容積約25 ml)の中で測定する。触媒を導入し、均一な触媒床を達成するために軽くたたく。次にステンレス鋼のパンチを触媒床の上に置く。この測定配置において、パンチと底が測定電極として作用する。抵抗を測定するために、電流測定装置をサンプルと直列に接続し、10 mV〜5 Vの範囲の電圧を迷路装置(maze device)により設定する。それに伴う電流を記録し、比抵抗を計算する。測定は大気圧および50%以下の大気湿度で、23℃の温度で実施する。
本発明の好ましい実施形態は、従属クレームならびに以下の詳細な説明および実施例に記載されている。
本発明による使用において、コロイド溶液の形態のコロイド状貴金属を、場合により促進剤として作用する添加剤と混合して、担持材料に適用した後に、得られた生成物に熱処理をおこなうことにより得ることができる貴金属含有担持触媒を使用する。
コロイド状貴金属として、Cu、Au、Ag、Pd、Pt、Rh、Ru、W、IrもしくはOsまたはそれらの合金の混合物を使用することが好ましい。
コロイド状貴金属として、AuおよびAgまたはそれらの混合物もしくは合金を使用することが特に好ましい。
コロイド状銀の使用が格別好ましい。
コロイド状金およびコロイド状銀は昔から知られており、文献に記載されている。
コロイド状銀は、過去においてより有効な薬剤が手に入る前には、感染に対する治療にも使用されていた。このような製品は文献中で銀ゾルまたは銀水と呼ばれることもある。
一般に、コロイド状銀は、元素銀または難溶性銀化合物、好ましくは元素銀の溶媒中の液体系であって、1〜100 nm、好ましくは10〜80 nm(ナノメートル)の範囲の粒径を有する(ここで、粒径は元素銀または銀化合物に関する)。個々のコロイド粒子は、約1,000〜1,000,000,000個の銀原子またはそれぞれの銀化合物の分子を含む。
コロイド状銀は、例えば、コロイドミル中での機械的粉砕により、種々の電解プロセス(例えば、電極からの堆積)により、または化学プロセス(例えば、特定の銀化合物の還元)により、製造することができる。
コロイド状金または他のコロイド状貴金属は、銀もしくは銀塩を金もしくは金塩に置き換えることにより、またはそれぞれの他の貴金属もしくはその塩に置き換えることにより、同様の方法で製造することができる。
原則として、種々の貴金属の混合物をそれらのコロイド溶液の形態で使用することも可能であるが、この場合、予測困難で、望ましくない影響が生じる可能性があるコロイド粒子間の相互作用が起こる。したがって、上記の貴金属のうちの1種のコロイド溶液が好ましい。
上記のタイプの好適なコロイド状貴金属は市販されており(例えば、Sigma-Ardrich、VWR、Fluka)、コロイド状銀およびコロイド状金の製品の範囲が最も広範である。
コロイド状貴金属粒子を溶媒に加えた後、撹拌によりそれらを分散させることによりコロイド状貴金属粒子を溶媒中に導入する。これは好ましくは室温および大気圧で実施することができるが、同様に、個々の要求に合わせた温度および圧力とすることも可能である。
本発明の一つの変形例において、有機溶媒、特にC1〜C6-アルカノール、ジメチルスルフィド、ジメチルスルホキシド、N-メチルホルムアミド、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、アセトン、ベンゼン、トルエンを使用することができる。
さらなる変形例において、水混和性溶媒、特に好ましくはアセトン、C1〜C6-アルカノール、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、N-メチルホルムアミドなどの水混和性溶媒を、水と混合して溶媒として使用することが可能である。
本発明の目的のために、最も好ましくは水をコロイド状貴金属の溶媒として使用する。
好ましくは、貴金属は、溶液の総量に対する貴金属の割合として計算して、5〜35重量%の範囲、好ましくは10〜30重量%の範囲、特に好ましくは15〜25重量%の範囲で、それらを担持材料に適用する溶液中に存在する。
このコロイド状貴金属の溶液に、促進剤として好適なさらなる添加剤を加えることができる。一例に過ぎないが、ここでは、アルカリ金属、アルカリ土類金属および遷移金属(例えば、Li、Rb、Cs、Ca、Mg、V、Co、Ni、IrまたはRe)を挙げることができ、これらは、例えば、ハロゲン化物(フッ化物、塩化物)、カルボン酸塩または硝酸塩として、あるいは硫酸塩、亜硫酸塩または硫化物などの硫黄含有アニオンの形で使用することができる。リン酸塩、シアン化物および水酸化物ならびに炭酸塩またはそれらの混合物も同様に好適である。最後に、ヘテロポリ酸、特に周期表の第6族および第7族(1985年のIUPAC提案による表記法)の遷移元素のへテロポリ酸のアニオンを使用することも可能である。上記の促進剤は貴金属のコロイド溶液とは別に導入することも可能である。担持触媒系においてこのような促進剤を使用する方法はそれ自体当業者に公知であり、文献に記載されているので、ここではそれ以上の詳細は必要ない。
好適な担持材料はそれ自体当業者に公知であり、その一部は、例えばCeramTec、Saint-Gobain Norproより市販されており、文献にも記載されているので、さらなる詳細については前記文献を参照する。
好ましい担持材料は、ステアタイト、酸化アルミニウムまたはアルミノシリケートである。特に好ましい担持体は、球形のものであり、該球形担持粒子が0.5〜3 mmの範囲の平均直径を有するものである。本発明によれば、MBEからMBAを形成する反応には、球形担持粒子が0.5〜1.5 mmの範囲の平均直径を有する球形の担持材料を使用することが好ましい。一方、エポキシ化(特にエチレンのエポキシ化)には、担持材料は好ましくは中空リングの形状を有する。5〜10×5〜10×2〜5 mm、特に6×6×3または8×8×3 mm(中空リングの外部直径×長さ×穴の直径)の形状が好ましい。
とはいえ、担持体の正確な大きさは本発明にとって決定的に重要ではない。
本発明の好ましい実施形態において、MBEからMBAを形成する反応のための担持材料は非常に低い多孔性を有し、1 m2/g以下、好ましくは0.5 m2/g以下のBET表面積を有し、特に好ましい実施形態においてステアタイトを含む。
本発明の好ましい実施形態において、エポキシ化(特にエチレンのエポキシ化)のための担持材料は非常に低い多孔性を有し、10 m2/g未満、好ましくは3 m2/g未満、特に好ましくは1 m2/g未満のBET表面積を有し、特に好ましい実施形態においてAl2O3を含む。
本発明により使用することができる担持体のBET表面積は非常に低く、0.01 mm2/gまで、または0.001 m2/gまでの低い値であってもよい。
ある場合にはハイドロタルサイトが好適であることが見いだされている。
ハイドロタルサイトは、一般に[M(II)xM(III)1-x(OH)2](1-x)+ [A1-x/n](1-x)-・m H2Oの化学式を有するシート状物質であると理解される。ここで、M(II)は2価の金属であり、M(III)は3価の金属であり、Aは格子に組み込まれているアニオンであり、nはアニオンの価数であり、mは組み込まれている水分子の数であり、xはM(II)/[M(II) + M(III)]のモル比である。通常、xは0.2〜0.33の範囲であり、これはM(III)のM(II)に対するモル比が2〜4の範囲であることに相当する。2価の金属として、例として、Mg、Fe、Ni、Co、ZnおよびMnを挙げることができ、3価の金属として、Al、Ga、In、CoおよびMnを挙げることができる。複数の2価または3価の金属が異なるモル比で同時に存在すると、好適なハイドロタルサイトの構造の多様性が増大する。
ハイドロタルサイト群の鉱物として、一例に過ぎないが、マナセアイト(manasseite)、パイロオーライト(pyroaurite)、ショグレナイト(sjoegrenite)、スティヒタイト(stichtite)、バルベルトナイト(barbertonite)、デソーテルサイト(desautelsite)、メイクスネライト(meixnerite)またはタコバイト(takovite)を挙げることができる。これらは文献に記載されており、その組成は当業者に公知である。好ましいハイドロタルサイトは、Mg6Al2(CO3)(OH)16・4 H2Oの組成を有する。
特に好ましい担持材料はステアタイトである。これは天然原料に基づくセラミック材料であり、主成分として天然のケイ酸マグネシウムであるソープストーン(Mg(Si4O10)(OH)2)を含む。さらに粘土および長石または炭酸バリウムの添加が含まれてもよい。
さらなる好ましい担持材料はα-酸化アルミニウムである。
本発明による貴金属含有触媒の製造は以下の工程、
a) コロイド溶液の形態のコロイド状貴金属を、場合により促進剤として作用する添加剤と混合して、担持材料に適用すること、
b1) 得られた生成物を150〜350℃で乾燥すること、または
b2) 得られた生成物を150〜350℃で乾燥した後、350〜550℃で焼成すること
を含み、ここで、工程a)は、サブステップ
a1) 担持材料をコロイド状に溶解した貴金属と混合すること、
a2) 場合により、得られた混合物を、場合により連続的または中間的に攪拌しながら1〜90分、好ましくは30〜60分、特に好ましくは40〜50分の間、静置することにより熟成させること、
a3) 得られた生成物を、好ましくは濾過および/または蒸発により単離すること
を含んでもよい。
場合により工程a2)において実施される熟成は、それにより得られる特性の変化が望ましい場合に任意に実施される。
場合により工程a3)において実施される蒸発は、予備乾燥であり、一般に15〜80℃の範囲の温度および通常の大気圧で実施する。蒸発は濾過と共に実施することができる。
本発明の目的のために、工程a3)およびb1)またはb2)を互いに連続的におこなうことが可能であり、それによりこれらの工程の間に遅延時間がなくなる。
しかしながら、これらの工程の間に遅延時間を設けることも同様に可能である。けれども、遅延時間の長さは重要ではなく、単にそれぞれの場合の実施の環境により決定される。好ましい実施形態において、遅延時間は1〜120分の範囲である。
工程b1)およびb2)に示した選択的工程は、本発明の目的のために、総称「熱処理」とも記載される。
工程b2)において、個々の「乾燥」および「焼成」の工程の間に遅延時間を挿入することができる。けれども、遅延時間の長さは重要ではなく、単にそれぞれの場合の実施の環境により決定される。遅延時間は、好ましくは1〜300分の範囲である。
本発明の変形例において、乾燥した後に生成物を貯蔵して、所望の時間の後になってから焼成することも可能である(数か月後でもよい)。それにより触媒の性能は損なわれない。
本発明の一つの変形例において、工程b2)において言及した工程「乾燥」および「焼成」を互いに連続して実施すること、または工程a)において得られた生成物を直接焼成温度で加熱することにより乾燥を「クイックパス」により効果的におこなうことが可能である。
好ましい実施形態において、触媒をエポキシ化に使用する場合、特にエチレンからエチレンオキシドを調製するために使用する場合には、工程b1)の変形例を使用する。別の好ましい実施形態において、触媒を酸化的脱水素化に使用する場合、特にMBEからMBAを調製するために使用する場合には、工程b2)の変形例を使用する。
本発明の変形例において、調製はそれ以上の工程を含まず、上述の工程からなる。
この調製方法は、本発明の貴金属含有触媒および貴金属含有触媒を製造するための本発明の使用の両方、ならびに当然本発明の方法に関連するものである。
場合により促進剤を加えて、溶液から担持材料にコロイド状貴金属を適用した後、本発明の第1の変形例において、担持材料を150〜350℃、好ましくは200〜300℃、特に好ましくは225〜285℃の範囲の温度で乾燥させる。
本発明の第2の変形例において、場合により促進剤を加えて、溶液から担持材料にコロイド状貴金属を適用した後、担持材料を150〜350℃、好ましくは200〜300℃、特に好ましくは225〜285℃の範囲の温度で乾燥し、次いで350〜550℃、好ましくは400〜500℃、特に好ましくは425〜475℃の範囲の温度で焼成する。
両方の変形例において、乾燥は、好ましくは2〜45分、好ましくは5〜30分、特に好ましくは10〜20分の範囲の時間で実施する。
焼成は、好ましくは、15分〜3時間、好ましくは30分〜2時間、特に好ましくは45〜90分の範囲の時間で実施する。
乾燥は、好ましくは通常の補助的条件下、すなわち、大気圧(または装置に起因する低いゲージ圧 - 装置にガスを導入することによりわずかな背圧が生じ、装置内の圧力を作り出す)の窒素、希ガスまたは空気雰囲気下、好ましくは空気雰囲気下で実施する。
焼成は、好ましくは通常の条件下で、すなわち、大気圧(または装置に起因する低いゲージ圧 - 装置にガスを導入することによりわずかな背圧が生じ、装置内の圧力を作り出す)の窒素、希ガスまたは空気雰囲気下、好ましくは空気雰囲気下で実施する。
熱処置の結果として、コロイド状貴金属から、貴金属それ自体のコーティングが細孔の内部表面領域を含む担持材料の表面に形成され、その結果この貴金属コーティングが担持触媒の活性種となる。
熱処理後の貴金属含有量は、触媒(すなわち、担持体プラス貴金属)に対する重量%で測定して、一般に0.5〜40重量%の範囲、好ましくは0.8〜30重量%の範囲、特に好ましくは1.7〜20重量%の範囲である。
ある場合には、異なる担持体は異なる貴金属含有量を有することが有利であることが見いだされている。
触媒を酸化的脱水素化のために、特にMBEからMBAを調製するために使用する場合には、本発明によれば、貴金属含有量が触媒に対して0.5〜6.0重量%、特に0.8〜3重量%の範囲であることが好ましい。
触媒をエポキシ化のために、特にエチレンからエチレンオキシドを調製するために使用する場合には、本発明によれば、貴金属含有量が触媒に対して5〜40重量%、特に10〜30重量%の範囲であることが好ましい。
特に、1 m2/g未満のBET表面積を有するステアタイトを担持材料として使用する場合には、貴金属含有量は、触媒に対して、好ましくは0.5〜2.5重量%の範囲、特に好ましくは0.8〜2.2重量%の範囲、特に1.7〜2.2重量%の範囲である。
特に、10 m2/g未満のBET表面積を有するα-酸化アルミニウムを担持材料として使用する場合には、貴金属含有量は、触媒に対して、好ましくは5〜40重量%の範囲、特に好ましくは10〜30重量%の範囲、特に13〜20重量%の範囲である。
当業者は、当技術分野の知識に基づいて、コロイド溶液の貴金属含有量、コロイド溶液中の担持体の滞留時間および担持体の大きさおよび性質などの簡単な測定により正確な貴金属含有量を変化させることができ、また、それらを個々の目的に合致させることができる。
例えば、多孔性担持体の場合には、担持材料の細孔への水の吸収が役割を果たし、含浸溶液を担持体に合わせて調製し得るが、無孔性担持体の場合には、貴金属含有量は主に含浸溶液の濃度および粘度により制御し得る。
本発明によれば、上記の通りに得ることができる貴金属含有担持触媒は、3-メチルブタ-3-エン-1-オールから3-メチルブタ-2-エン-1-アールを調製するために特に有利に使用することができる。生成物は慣用名プレナール(MBA)としても知られており、出発物質は慣用名イソプレノール(MBE)として知られている。
この特に好ましい使用において、反応は、好ましくは、例えばEP A 881 206 A1に記載される通りのシェルアンドチューブ反応器の中で実施される。反応器の形状のさらなる詳細については、EP A 881 206 A1、2ページ37〜45行および5ページ40〜43行、ならびにEP A 244 632 A2、第1図〜第3図をここに明確に参照する。
上記の通りに得ることができる貴金属含有担持触媒を本発明に従って使用することにより、穏やかな温度条件下で、高い収率および高い選択性でイソプレノールからプレナールを得ることが可能になる。イソプレノールと上記の通りに得ることができる貴金属含有担持触媒との反応により、3-メチルブタ-3-エン-1-アール(IMBA)および3-メチルブタ-2-エン-1-アール(MBA)からなる反応混合物が形成される。
反応混合物の後処理において、第一段階で目的の反応生成物を蒸留により未反応の出発物質から分離する。この蒸留を経済的に有利な方法で実施できるようにするためには、70%の3-メチルブタ-3-エン-1-アールおよび30%の3-メチルブタ-2-エン-1-アールを含む共沸混合物を使用すると有利である。
上記の通りに得ることができる貴金属含有担持触媒を本発明に従って使用することにより、イソプレノールからプレナールを、低い温度で、高い収率および高い選択性で調製することが可能になる。
本発明の枠内で、例えばMBEからMBAを形成する反応において、350〜385℃の温度で、例えば45%よりも大きい、特に48%以上の収率、および75%よりも大きい、特に80%以上の選択性を達成することが可能である。
さらなる有利な変形例において、上記の方法により得ることができる貴金属含有担持触媒は、本発明に従って、エチレンからエチレンオキシドを調製するために使用することができる。
本発明の枠内で、例えばエチレンのエチレンオキシドへのエポキシ化において、245〜270℃の温度で、1回通過で5〜10%、特に6%よりも大きい(例えば、6.7%)、例えば6〜8%の収率、ならびに70%よりも大きい、特に73〜82%およびそれ以上の選択性を達成することが可能である。
当然ながら、本発明の触媒は、上に言及したもの以外の反応、特に酸化反応一般に使用することも可能である。
したがって、本発明は、本発明の触媒を一般に酸化反応に使用することをも含む。
本発明はさらに、貴金属含有担持触媒、特にエポキシ化または酸化的脱水素化のための貴金属含有担持触媒を製造するためのコロイド状貴金属の使用を含む。
この使用には、上記のすべての貴金属ならびにあらゆる担持材料(好ましくは上で言及したもの)が可能である。この使用は上記の製造方法に限定されないものの、上記の製造方法が好ましい。
したがって、本発明の利点は、触媒の製造を非常に簡単に、かつ十分に制御する(変化させる)ことができる点である。さらなる利点は、本発明の触媒により非常に高い収率および選択性が達成されることである。
本発明のさらなる利点は、気体の量が10%またはさらには20%の量で有意に増加した場合でさえも、性能の低下を示さず、一定の選択性および変換率を与える触媒が得られる点である。
本発明のさほど好ましくないが可能な変形例において、エポキシ化および酸化的脱水素化を同時に実施することができる。
当然ながら、本発明の触媒は、1回通過で実施する方法およびリサイクル方式で実施する方法の両方に使用することが可能である。
本発明のさまざまな実施形態(例えばさまざまな従属クレームのもの)はあらゆる方法で互いに組み合わせることが可能である。
ここで、本発明を以下の非限定的な実施例を参照して説明する。
実施例1:コロイド状銀の溶液の製造
30.02 gのコロイド状銀(Fluka、カタログ番号:85131)を120.01 gの蒸留水に、攪拌しながら一度に少しずつ加えて、さらに1時間攪拌した。約13.8重量%の銀の質量比率を有する緑褐色のコロイド溶液が形成された。
実施例2:本発明の担持触媒の製造
100 gの1.8〜2.2 mmの平均直径を有するステアタイト球(Ceramtec製)を250 mlのガラス製ビーカーの中に入れた。次に、実施例1の通りに製造された37.0 gの銀コロイド溶液を加えて、スパチュラにより混合した。それを時々スパチュラにより攪拌しながら45分間静置した後、コーティングされた球を、辺の長さ21.5 cm、メッシュの開口1.5 mmを有する正方形のメッシュに移し、250℃のオーブン(Horo, model 112)の中で、8 m3/hの空気流下、装置に起因する大気圧よりも1 mbar高いゲージ圧で12分間乾燥した。次に、コーティングされたステアタイト球をマッフル炉(Nabertherm)の中で、空気中、450℃で1時間焼成し、次いで室温に再冷却した。
触媒に適用された活性組成物の量は1.96%であった。
実施例3:触媒の試験 - プレナールの調製
実施例2の通りに製造された10 mlの触媒の床を溶融シリカ反応器の中に導入した。次に、反応(3-メチルブタ-3-エン-1-オールからの3-メチルブタ-2-エン-1-アールの調製)を、MBEの変換が60%になるように温度を設定して、薄膜エバポレーターにより110 g/hのMBEおよび50 l/hの空気を気化させることにより実施した。
コロイド状銀触媒は、1800時間の稼働時間および多くのバーニングオフ(burning-off)サイクルを通して、ならびに10%および20%のGHSV(時間あたりの気体空間速度)の増加に対して、MBA + IMBAに対する80%の選択性で60% MBE変換率および48%の収率の安定した性能データを示した。
したがって、実施例2の通りに製造した触媒は、45%の収率しか達成することができない従来の触媒と比較して有意に優れている。
実施例4:触媒の試験 - エチレンオキシドの調製
まず、上記の実施例1および2と類似の方法を用いて担持触媒を製造した。そこでは、さまざまな促進剤の塩を含む銀コロイド溶液を担持材料のα-酸化アルミニウム上に堆積させ、触媒を280℃で12分間熱処理し、その後の焼成はおこなわなかった。これにより、15.5重量%の銀含有量を有し、さまざまな促進剤(Li - 175 ppm、Cs - 430 ppm、W - 140 ppm、Re - 270 ppm、S - 38 ppm)により改変された担持触媒が得られた。
チューブ反応器として、6 mmの内径を有するステンレス鋼製の二重壁反応器を使用した。チューブ反応器の長さは2200 mmであった。29.2 gの、0.6〜0.9 mmの粒径を有する砕いた担持触媒を触媒床として使用した。床の長さは約110 cmであった。
以下の組成を有する反応ガス供給混合物:
35体積%のエチレン、
7体積%の分子酸素、
1体積%の二酸化炭素、
0.15体積%の水、
2.6〜2.9体積ppmの塩化エチル(減速材)、および
メタンを加えて100体積%とする
を上部から下に向けて、反応空間に導入した。
反応空間に導入する際の反応ガス混合物の吸気圧は、16 bar(絶対圧)であった。長さ約110 cmの砕いた触媒床を通る反応ガス供給混合物の空間速度は4750 h-1であった。熱伝導媒体として、AP 100シリコーンオイル型の熱伝導オイル(Wacker Chemie, Munich製)を2つの壁の間の媒介空間を通して搬送した。熱伝導オイルはチューブ反応器の下側の末端から入口温度TW inで導入され、底部から上に向かって流れて、上部で二重の壁の間の空間から流れ出した。TW inは、反応空間に残った反応ガス混合物のエチレンオキシド含有量が常に2.7体積%となるように選択され、連続的に調節された。反応ガス供給混合物の塩化エチレン含有量は稼働時間と共に増加し、それによりエチレンオキシド標的生成物の形成の最大の選択性が工程中のいずれの時点においても達成された。
150時間の工程の後、以下の実験結果が得られた。
TW in = 252℃; Sエチレンオキシド = 74% (Sエチレンオキシド = エチレンオキシドに対する選択性)

Claims (13)

  1. a) コロイド溶液の形態のコロイド状貴金属を、場合により促進剤として作用する添加剤と混合して、担持材料に適用すること、
    b1) 得られた生成物を150〜350℃で乾燥すること、または
    b2) 得られた生成物を150〜350℃で乾燥した後、350〜550℃で焼成すること
    により得ることができる貴金属含有担持触媒の、エポキシ化または酸化的脱水素化への使用。
  2. 酸化的脱水素化によりオレフィン性不飽和アルコールからオレフィン性不飽和カルボニル化合物を調製するための、請求項1に記載の使用。
  3. コロイド状貴金属として、Cu、Au、Ag、Pd、Pt、Rh、Ru、W、Osならびにそれらの混合物および合金からなる群より選択される貴金属を使用する、請求項1または2に記載の使用。
  4. 3-メチルブタ-3-エン-1-オールから3-メチルブタ-2-エン-1-アールおよび3-メチルブタ-3-エン-1-アールを調製する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の使用。
  5. エポキシ化または酸化的脱水素化のための貴金属含有担持触媒の製造方法であって、
    a) コロイド溶液の形態のコロイド状貴金属を、場合により促進剤として作用する添加剤と混合して、担持材料に適用し、
    b1) 得られた生成物を150〜350℃で乾燥し、または
    b2) 得られた生成物を150〜350℃で乾燥した後、350〜550℃で焼成する、
    前記方法。
  6. オレフィン性不飽和アルコールの酸化的脱水素化のための貴金属含有担持触媒を製造する、請求項5に記載の方法。
  7. 工程a)が、サブステップ、
    a1) 担持材料をコロイド状に溶解した貴金属と混合すること、
    a2) 場合により、得られた混合物を、場合により連続的または中間的に攪拌しながら1〜90分の間、静置することにより熟成させること、
    a3) 得られた生成物を、好ましくは濾過および/または蒸発により単離すること
    を含む、請求項5または6に記載の方法。
  8. コロイド状貴金属として、Cu、Au、Ag、Pd、Pt、Rh、Ru、W、Osおよびそれらの混合物からなる群より選択される貴金属を使用する、請求項5〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 担持材料として、塩基性または酸性の担持材料を使用する、請求項5〜8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 担持材料として、ステアタイト、酸化アルミニウム、アルミノシリケートおよびそれらの混合物からなる群より選択される担持材料を使用する、請求項9に記載の方法。
  11. a) コロイド溶液の形態のコロイド状貴金属を、場合により促進剤として作用する添加剤と混合して、担持材料に適用すること、
    b1) 得られた生成物を150〜350℃で乾燥すること、または
    b2) 得られた生成物を150〜350℃で乾燥した後、350〜550℃で焼成すること
    により得ることができる貴金属含有担持触媒。
  12. 貴金属含有担持触媒を製造するための、コロイド状貴金属の使用。
  13. 酸化反応、好ましくはエポキシ化または酸化的脱水素化のための貴金属含有担持触媒を製造するための、請求項12に記載の使用。
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