JP2012518990A - ヒマワリ種子から得られるタンパク質製剤、及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】感覚に訴えかけ、かつ広く使用可能なタンパク質製剤を製造するコスト効率の良い方法を提供する。
【解決手段】ヒマワリ種子からタンパク質製剤を製造する方法であって、次の工程を含む。ヒマワリ種子の皮を剥離して皮の残留量を5%重量以下にし、又は、皮の残留量が5重量%以下である皮が剥離されたヒマワリ種子を用意する。圧縮することにより、皮が剥離されたヒマワリ種子の機械的かつ部分的な脱脂を行う。少なくとも1の溶媒を用いて1以上の抽出工程を行って、タンパク質を含む脱脂粉末をタンパク質製剤として取得し、少なくとも1の抽出工程が、皮が剥離されかつ部分的に脱脂されたヒマワリ種子の更なる脱脂を行う。皮が剥離されたヒマワリ種子の油脂成分が10〜35重量%の範囲になるまで機械的な脱脂が行われる。
【選択図】図1
【解決手段】ヒマワリ種子からタンパク質製剤を製造する方法であって、次の工程を含む。ヒマワリ種子の皮を剥離して皮の残留量を5%重量以下にし、又は、皮の残留量が5重量%以下である皮が剥離されたヒマワリ種子を用意する。圧縮することにより、皮が剥離されたヒマワリ種子の機械的かつ部分的な脱脂を行う。少なくとも1の溶媒を用いて1以上の抽出工程を行って、タンパク質を含む脱脂粉末をタンパク質製剤として取得し、少なくとも1の抽出工程が、皮が剥離されかつ部分的に脱脂されたヒマワリ種子の更なる脱脂を行う。皮が剥離されたヒマワリ種子の油脂成分が10〜35重量%の範囲になるまで機械的な脱脂が行われる。
【選択図】図1
Description
この発明は、ヒマワリ種子からタンパク質製剤を得る方法、及び、使用特性が向上されたこの方法を用いて製造されたタンパク質製剤に関する。
タンパク質製剤は、栄養的・生理的な又は技術機能的な添加剤として、食品に広く用いられている。高品質の食品添加剤(ベビーフード、特殊食品、スポーツ栄養剤)として用いるためのタンパク値が特に高いタンパク質製剤がある。原理的に、これらは、タンパク質有効度の高さの保証が必要な動物性食品(動物飼料(animal food))の製剤も対象とする。他のタンパク質製剤は、良好な技術機能的性質を呈し、かつ、たとえば発泡剤若しくは乳剤の安定化又はゲルの生成に適している。これらのタンパク質製剤は、食品添加剤として極めて適しており、かつ、特殊飼料や技術的目的にも用いられる。
基本的に、動物由来及び植物由来のタンパク質製剤は区別される。動物由来のタンパク質製剤の例として、鶏卵、牛乳、乳清、又は屠殺場の廃棄物からなるカゼイン及びゼラチン製品によって製造されたものがある。そのようなタンパク質製剤の欠点は、それ自身特徴的な風味と匂いを持つことであり、その結果として用途が限られることである。それらはしばしば製造費が高価であり、かつ、アレルギーの点で問題があり、そして、それらは、倫理的背景を持つ一定の消費者から拒否される。
植物性のタンパク質製剤の場合、その製造法に基づき、主として濃縮タンパク質とタンパク質分離物とに区分される。60%〜90%のタンパク含有率を有する植物性濃縮タンパク質と比較して、タンパク質分離物は、少なくとも90%の非常に高いタンパク含有率を有する。タンパク質分離物の製造においては、タンパク質を水に溶解させ、水溶液からタンパク質を分離させている。それらは、抽出された植物種子と比較して、変性したアミノ酸プロファイルと、変性した栄養的及び技術機能的特性とを有する。
市場における主要な植物性タンパク質製剤は、大豆タンパク質製剤、つまり大豆濃縮タンパク質及び大豆タンパク質分離物並びに小麦グルテン製剤である。加えて、他のマメ科タンパク質からなるタンパク質製剤、たとえばエンドウ濃縮タンパク質が利用できる。
市場においては、植物性タンパク質製剤として、主に、菜種種子やヒマワリ種子等の油料種子を脱脂してなる濃縮タンパク質及びタンパク質分離物も知られている。現在、これらは、ほとんど専ら油の製造に用いられている。大豆とは対照的に、圧縮及び抽出により得られる残留物(油かす及びグリスト(grist))は、栄養的・機能的及び技術機能的な可能性の高さにも関わらず、食品分野ではこれまで使用されていなかった。その一つの理由は、製品の風味や色を損なうおそれのあるポリフェノール等の煩わしい二次的物質の割合である。
従来技術にしたがって、油料種子及びマメ科植物はヘキサンで脱脂される。マメ科種子は、皮(殻)を剥離され、薄片化され、抽出設備においてヘキサンによる抽出に供される。油料種子は、薄片化及び直接的な脱脂がなされるか、又は機械的・部分的な脱脂(前圧縮(pre−pressing))、及び抽出を通じて完全な脱脂がなされ、それにより、油かすは、抽出を可能にするために抽出前に分解されなければならない。油脂成分の残余が約5%に達し更なる抽出が不要になる完全な圧縮も実行され、それにより、エキスペラー(expellers)(油かす、グリスト)における油脂成分の残余が貯蔵安定性を低下させる。
これまで、ヒマワリ種子は、主として、その全体が又は脱脂のために最大で2/3皮が剥かれて使用されてきた。特に、圧縮、すなわち完全な圧縮又は部分的に脱脂としての前圧縮(pre−pressing)のために、皮の高含有率が必要と考えられる。油かす及びグリストは、これらの場合において黒ずんでおり、非常に高い生の繊維質を有する。したがって、それらは、高付加価値のタンパク質の粉末及び濃縮物には適さない。
ヒマワリ油の製造物からの残留物からタンパク質を分離する方法には様々ある。最先端の方法は、煩わしいポリフェノール、主としてヒマワリタンパク質分離物の色を損なうクロロゲン酸の除去である。現在まで、脱脂されたヒマワリの製粉用穀物からポリフェノールを除去するために、水及びアルコールを含む様々な溶媒を用いた抽出が提案されている。ヒマワリの種子及び油かす又は製粉用穀物からタンパク質分離物を得ることは、アルカリ又は塩の使用が要求されるヒマワリタンパク質の溶解性の低さにより、特に難しい。これにはタンパク質を調製(洗浄)するために特に多量の水の使用が要され、これは多くのタンパク質の損失を伴い、タンパク質分離物の製造コストの増大を招き、それにより応用範囲を狭くしている。
その次に行われるタンパク質を抽出し、そしてそのように予め処理されている原材料からタンパク質分離物を取得することを目的として、色の変化を生じさせるフェノール様物質を脱脂されたヒマワリ種子から除去するために、様々な水溶性アルコール混合物、特に、塩酸を含む水との様々な割合のブタノール、95%(v/v)の割合のエタノール、イソプロパノール(70%(v/v))、及びメタノール(80%(v/v))、が試験されてきている。これら溶媒を用いた抽出の欠点は、溶媒の扱いを通じた、タンパク質の溶解性を急激に低下させるようなタンパク質の大幅な変性である。その結果、タンパク質分離物の製造において続いて行われるタンパク質の抽出、更にそれらの機能的特性が、大きく制限される。
特許文献1には、タンパク質含有率が90%を超えるタンパク質分離物をヒマワリ種子から取得する方法が記載されている。このために、タンパク質を水性の方法で抽出し、低温のアルコールを用いた沈殿によりタンパク質を取得する。これらは冷却のために多くのエネルギーを消費するため高価であり、したがってその応用が制限される。
ヒマワリ種子からの濃縮タンパク質は乾湿処理を通じて取得され、それにより、そのタンパク質は残留物中に残存する。望ましくない二次的物質の割合の高さは、食品分野におけるそれの使用を制限する。精製度合が低い既知の植物性濃縮タンパク質は全て、その機能的特性の点で制限され、及び/又は、それらが含まれる食品の栄養価、色、匂い及び/又は風味に大きな負の影響を与える可能性がある煩わしい成分を或る割合で含有する。したがって、ヒマワリ種子からの濃縮タンパク質は、応用範囲が限られ、かつ、低い濃縮度合でしか使用することができない。
この発明の目的は、感覚に訴えかけ、かつ広く使用可能なタンパク質製剤を製造するコスト効率の良い方法を提供することにある。
この目的は、請求項1に係る方法により達成される。他の請求項は、この方法の好適な実施形態の例、この方法で製造可能なタンパク質製剤及びその実施形態の好適な形、そしてこのタンパク質製剤を用いて製造可能な製品を提示している。
ヒマワリ種子からタンパク質製剤を得る提案された方法においては、少なくとも次の工程が実行される。
・ヒマワリ種子の皮を剥離して皮の残留量を5%重量以下にするか、又は、皮の残留量が5%重量以下である皮が剥離されたヒマワリ種子を用意する(いずれの場合も、皮を剥離した直後に得られた種子片の総質量に関する)。
・皮が剥離されたヒマワリ種子に含有された油脂を10〜30重量%の範囲で圧縮することで、皮が剥離されたヒマワリ種子の機械的な脱脂を行う。
・少なくとも1の溶媒を用いて1以上の抽出工程を行い、タンパク質を含む脱脂粉末をタンパク質製剤として取得する。この方法における少なくとも1の抽出工程は、部分的に脱脂された皮が剥離されたヒマワリ種子の更なる脱脂を引き起こすようにして行われる。
皮の残留量が低い内容と、示された油の残留量が低い内容との組み合わせを通じて、食品及び動物性食品(動物飼料(animal food))への使用のために光学的にそして機能的に非常に有利な濃縮タンパク質が得られる。この方法はタンパク質を特に優しく扱うことができ、機械的な及び/又は更なる脱脂の間において、タンパク質の望ましくない変性や味の変化につながる過度な高温が回避される。
示された油の残留量へのヒマワリ種子の機械的な脱脂は、厚みが0.2〜4cm(好ましくは0.2〜4cm)の範囲の機械的に安定な油かすが得られるように実行されることが望ましい。これにより、油かすの空隙率(porosity)及び厚さの結果、更なる抽出が不要になるため、続いて行われる処理工程が簡略化される。
この発明に係る方法は、製剤の製造を優しく行うことができ、タンパク質の変性は規定された方法で許容される。部分的な脱脂及び1以上の抽出工程は、タンパク質を含む脱脂粉末(この方法を開始するときの製品に関連する)におけるタンパク質の変性の度合が最大で40%、好ましくは10%〜30%の間になるようにして実行される。これにより、応用範囲が広く、質的にも感覚的にも優れたタンパク質製剤が得られる。
好ましくは、この抽出は、親油性の溶媒又は溶媒の混合物を用いる少なくとも1つの親油性抽出段階と、親水性の溶媒又は溶媒の混合物を用いる少なくとも1つの親水性抽出段階を含むいくつかの抽出段階において、1つの溶媒又は溶媒の混合物を用いて行われる。加えて、最後の抽出段階における抽出溶媒の濃縮は、好ましくは、続いて行われる乾燥が特に簡略的にかつ優しく行われるような範囲で増進される。
この方法を用いてヒマワリ種子から製造可能なタンパク質製剤は、少なくとも50%のタンパク質成分を有する。タンパク質分離物の場合に要求される高度の精製を回避できることにより、コスト効率の高い製造が可能である。
驚くべきことに、非タンパク物質の高い割合にも関わらず、タンパク質製剤はこれら原材料から製造される既知のタンパク質分離物に類似した性質、又はこれらよりも多目的な性質を呈する。色が明るいこと、そして水和作用、油結合及び乳化の機能特性の形としての技術機能的にバランスのとれた範囲(spectrum)を理由として、タンパク質製剤は、水及び/又は油と結合するために、及び/又は乳剤を形成するために、食品及び動物性食品(動物飼料(animal food))を含み、広く用いることが可能である。タンパク質製剤は、これらの機能を得るために用いられる他の製剤及び動物又は植物由来の他の製剤(たとえば鶏卵、牛乳、大豆タンパク質分離物としての大豆など)と置換するのに適している。
たとえば方法により直接に得られる脱脂タンパク質を含む粉末のように、特に高コスト効率で製造可能なヒマワリ種子粉末の形をとっている場合でも、多数の食品及び動物性食品(動物飼料(animal food))に直接に用いることが可能な色及び機能的性質の点において、タンパク質製剤は驚くべき性質を有する。
タンパク質製剤が植物や種子自身の香りを持たない場合、特にそれが本質的に無香及び/又は無味である場合には、タンパク質製剤の使用範囲は更に広がる。これは、タンパク質製剤が食品や飼料製品に付加されるときの、味や香りの望ましくない変化を防止する。
泡のような食品を製造するためのたとえば卵白や他の発泡添加剤の代替物としてタンパク質製剤を用いられるようにする発泡機能によっても、使用範囲を拡大することが可能である。
好ましくは、タンパク質製剤は低脂肪であり、タンパク質製剤の良好な保存安定性が確保される。
好ましくは、タンパク質製剤は、フィタン酸、オリゴ糖及び/又はフェノール酸の含有量も少ない。このようにして、消化時における栄養物質の利用を損なう可能性がある物質の含有量が減少される。
提案された製造方法及び製造可能なタンパク質製剤は、以下において再度、図面とともにより詳細に説明される。
この発明に係る方法は、たとえば以下の要領で実施可能である。スタートポイントとして、好ましくは食用のヒマワリ種子又は明るい色の皮を持つヒマワリ種子が選択される。しかし、通常の及び高オレイン酸タイプのヒマワリ種子も使用可能である。
用意された原材料は、タンパク質が全く又は極めて微量しか溶解していない条件の下、異なる溶媒を用いて抽出装置で連続的に抽出される。これにより、タンパク質の損失と変性が最小化される。たとえばエタノール、プロパノール、イソプロパノールなどのアルコールを用いて溶媒抽出を行うことが特に有利である。
もちろん、様々な溶媒のためのいくつかの抽出設備を用いることが可能である。同じことは、乾燥設備についても当てはまる。
方法全体には、原材料の3段階の選択及び準備、機械的な脱脂と抽出が含まれ、その概略が図1に示されている。実施形態の更なる例は図3に示されている。
[1.原材料の選択及び準備]
適当な皮を剥離する技術により皮の多くが分離され、得られる皮が剥離された個片における皮の残留量は1重量%程度となる。容易に皮を剥離できるタイプ及び種の原材料を選択すれば特に有利であり、油タイプの種子の代わりに食用の種子がより有利である。この発明の応用においては、皮の残留量の詳細は、皮を剥離した直後に得られる種子個片の総質量に関する。
適当な皮を剥離する技術により皮の多くが分離され、得られる皮が剥離された個片における皮の残留量は1重量%程度となる。容易に皮を剥離できるタイプ及び種の原材料を選択すれば特に有利であり、油タイプの種子の代わりに食用の種子がより有利である。この発明の応用においては、皮の残留量の詳細は、皮を剥離した直後に得られる種子個片の総質量に関する。
[2.機械的・部分的な皮の剥離]
皮の残留量が低いヒマワリ種子をスクリュープレスを用いて圧縮し、温度を80℃未満、好ましくは60℃未満、より好ましくは50℃未満に制御する(冷却する)。これのようにして、メイラード反応及び他のタンパク質変性が減少され、タンパク質の他の二次的物質、たとえばポリフェノール、の反応も同様である。
皮の残留量が低いヒマワリ種子をスクリュープレスを用いて圧縮し、温度を80℃未満、好ましくは60℃未満、より好ましくは50℃未満に制御する(冷却する)。これのようにして、メイラード反応及び他のタンパク質変性が減少され、タンパク質の他の二次的物質、たとえばポリフェノール、の反応も同様である。
圧縮により残留油成分が10〜35重量%、好ましくは17〜25重量%となる。たとえばペレットや繊維の形態からなる安定的な、しかし強く圧縮され過ぎることなく或る空隙率(porosity)を呈する油かすの形成を可能とするプレス型(Press shape)又はノズルを用いて圧縮が行われる。
プレス構成の適当な選択により(特にノズル形状)、続いて行われる粉砕での溶媒を用いた更なる脱脂を可能とする皮の含有量の低さにも関わらず、ペレットは上記残留油成分が非常によく結合している。本発明者らは、スクリュープレスにおける上記機械的・部分的な脱脂により、抽出に好適な種子の浸軟(maceration)及び有利な製品形状が達成され、引き続き行われる抽出段階のための更なる粉砕又は準備が不要となることを見出した。図2に示すように、油かすが理想的な特性を有する最適な脱脂度合が得られるような機械的な特性に、達成された残留油成分が関連していることも見出された。この例では、最適な脱脂度合は、残留油成分が17〜20重量%程度とされる。
更なる抽出工程の効率を特に有利にするには、0.2〜4cmの範囲、好ましくは0.5〜2cmの範囲の厚みを有する安定的な油かすが圧縮を通じて得られる、皮が剥離されたヒマワリ種子中の油脂成分が存在するまで、機械的・部分的な脱脂が行われる。
圧縮は、たとえばペレット又は繊維の形状の安定的な油かすが形成されるプレス型又はノズルを用いて行われる。特に有利には、得られるプレス生成物が直径5〜20cmの円形断面を持つ繊維形状となるように、マトリクス状に配された円形の穴若しくはノズルを用いたスクリュープレス、又は円形ノズルを用いた押出機が、圧縮のために使用される。残留油成分が12〜25%の範囲になるような適当な圧縮度合を選択することにより、抽出により十分でありかつ好適な安定性を有するプレス生成物が得られる。かさ重量(bulk weight)が300〜500kg/m3での破壊強度が2〜10N/mm2の範囲、理想的には4〜9N/mm2の範囲である圧縮繊維が得られる。
[3.用意された種子又は油かすペレットの抽出]
好ましい更なる抽出は、異なる極性(polarity)を持つ少なくとも2つの抽出溶媒の組み合わせを通じて、得られる親水性2次的物質が油の前に、並行して又は後に抽出されるように行われる。以下、抽出に用いることが可能な全ての純粋な液体、溶液(たとえば有機溶媒、水、水溶液、超臨界ガス)及び混合液を、抽出溶媒と呼ぶ。抽出溶媒の遷移(succession)を通じて、少なくとも2つの極性変化が設定される。これは、前に用いた抽出溶媒が次のものと混合され又は置換されることを通じて、急激かつ連続的に起こるために設定される。したがって、食品法令に応じて認可された全ての溶媒及び混合物、より具体的な、水、酸、アルコール、エステル、ケトン、たとえばアセトン、エーテル、アルカン、たとえばノルマルヘキサン及びイソヘキサンを考慮することができ、水の極性又は溶解性は上記順序(sequence)(親水性から親油性まで)で減少し、同様に、最も臨界的な点で親油性の傾向があり、かつ圧力の上昇及び温度の上昇とともに親水性の方向に変化する超臨界液体及びガス、たとえばscCO2(超臨界CO2)を考慮できる。
好ましい更なる抽出は、異なる極性(polarity)を持つ少なくとも2つの抽出溶媒の組み合わせを通じて、得られる親水性2次的物質が油の前に、並行して又は後に抽出されるように行われる。以下、抽出に用いることが可能な全ての純粋な液体、溶液(たとえば有機溶媒、水、水溶液、超臨界ガス)及び混合液を、抽出溶媒と呼ぶ。抽出溶媒の遷移(succession)を通じて、少なくとも2つの極性変化が設定される。これは、前に用いた抽出溶媒が次のものと混合され又は置換されることを通じて、急激かつ連続的に起こるために設定される。したがって、食品法令に応じて認可された全ての溶媒及び混合物、より具体的な、水、酸、アルコール、エステル、ケトン、たとえばアセトン、エーテル、アルカン、たとえばノルマルヘキサン及びイソヘキサンを考慮することができ、水の極性又は溶解性は上記順序(sequence)(親水性から親油性まで)で減少し、同様に、最も臨界的な点で親油性の傾向があり、かつ圧力の上昇及び温度の上昇とともに親水性の方向に変化する超臨界液体及びガス、たとえばscCO2(超臨界CO2)を考慮できる。
このように、たとえば、以降の工程は実行可能であり、それにより親水的工程と親油的工程の順序は、抽出全体において産出が最大となるように(つまり、純粋な溶媒を用いて少なくとも90%の産出性が達成されるように)好適に選択される。
・タンパク質が全く溶解されていないか又は微量に溶解した濃度の適度に親水的な2次的物質、特に、アルコール(好ましくは、イソプロパノール、エタノール又はメタノール)を通じたフェノール酸及び芳香物質の抽出。このために、アルコール濃度が、60%を超えて、好ましくは60〜80%の間に設定される(抽出溶媒中のアルコールのv/v濃度)。scCO2を溶媒として使用することができ、このとき、好ましくは温度が40〜80℃とされ、圧力が300×105Paを超えるように、好ましくは350〜800×105Paの範囲とされ、それにより、圧力の上昇とともにより親水性を呈する。
・残留油成分がせいぜい5%となる脱脂完了までの、親油的な溶媒を用いた親油的成分の抽出(CaviezelにしたがうBuchi法)。たとえばヘキサン、純粋なアルコール(≧95%)又はscCO2を、温度31〜60℃の範囲かつ圧力74〜350×105Paの範囲で、親油的な溶媒として用いることが可能である。これにより、油、リン脂質、及び他の親油的成分(カロチノイド等)が、特に抽出される。
・必要に応じた、第2の抽出の後の第1の抽出の反復。
必要に応じ、親水的な抽出の前に親油的な抽出を行うことも可能である。
単一の溶媒を付加して行う抽出処理の間に実際の抽出混合物の異なる極性がもたらされるように、予備的な処理の後に、特に予備的な脱脂の後及び/又は油抽出の間に、存在する残留水を通じて溶媒の極性を変化させることも有利である。
超臨界ガス、特に超臨界二酸化炭素(scCO2)を使用する場合、更なる溶媒の追加を要することなく、圧力と温度を変化させるだけで極性を変化することができる。原材料に結合する水の継続的な置換を通じて、極性をいくぶん連続的に変化させることが可能である。
特に有利には、より親水的な極性を最初に設定することで、更なる水の付加を行うことなく(又は微量の水の付加により)親水的な物質が抽出されるように、原材料に結合する残留水を極性の変化に利用することができる。驚くべきことに、親油的なフェーズに移行する間に、残留水成分の減少がこれにより引き起こされ、親油的抽出が有利になる。第1の抽出の前又はその間における水の除去により、脱脂の前における別の通常の乾燥を不要にすることができる。油かす中の水の相対的な成分の増加のように圧縮後には通常の条件付けが必要であり、油成分の減少及びそれによる全体質量の低下によって、親油的な溶媒を用いた脱脂がより困難になる。
特に有利には、第1の溶媒又はその残留分、たとえばアルコール又はアルコールと水との混合物は、次の第2の溶媒により置換される。
水をアルコールで完全に置換することにより、次における水の悪影響を回避するようにしてもよい。第1の抽出において、アルコールがより親油的な溶媒に融解されるまで、アルコール濃度が増大される。scCO2を用いた様々な圧力の段階での選択的な分離により、アルコールフェーズでの分離を大きくすることができる。原材料、付加された水又は他の補助溶媒(co−solvent)に含まれる水により溶液特性が更に変化し、適度な極性物質が得られる。高圧(>500×105Pa)と、40〜60℃の間の温度とを組み合わせることにより、フェノール酸及び2次的油物質のより良い抽出率が達成される。第2の溶媒(水を除く)を超臨界フェーズに導入することにより、フェノール酸及び他の2次的物質、たとえば色素や芳香物質、の抽出を向上させることもできる。特に有利には、水とアルコールの双方の残留分が抽残液から継続的に除かれるように、そして高温での溶解が過剰になるように、scCO2に伴う条件が設定される。このようにして、たとえ添加溶剤(entrainer)/調整剤(modifier)として水を使用する場合であっても、引き続き行われる抽残液の乾燥を不要にすることができる。
水性アルコールを用いる場合、抽出溶媒を用いた抽出がいくつかの抽出工程で行われ、それにより、少なくとも1の抽出工程から次への最後の移行において、抽出溶媒中のアルコール成分が最大まで、つまり水性共沸混合物(aqueous azeotrope)の濃度まで(たとえばエタノールの場合には96%(v/v))増大され、抽出混合液中のアルコール濃度が90%(v/v)を超えるまで増大する。これによって、残留水の比率の減少による特に優しく引き続き行われる乾燥を除去することができ、それがアルコールよりもゆっくりとそして高い温度で蒸発する。
もちろん、タンパク質を含む脱脂粉末を得るために、たった1つの溶媒、特にヘキサンを用いて(機械的・部分的な脱脂の後に)更なる抽出を行うことも可能である。
抽出は、たとえばフェノール酸のメイラード反応(Maillard reaction)又はマイケル付加反応(Michael addition)など(たとえば、最大20%未満の測定可能な遊離フェノール酸、及び/又は、利用可能なリシン、及び/又は、再生可能な糖、及び/又は、最大10%のリシノアラニン又はメイラード生成物)、次のような条件で行われる:タンパク質は溶解していないか、又は微量のみ溶解している;タンパク質は損なわれていないか、又はその損傷は最小である;望ましくない化学反応は起こっていないか、又はわずかにのみ起こっている。更に、設定された温度において、抽出された物質について温度に起因する香りの変化が生じない。このために、温度が80℃未満、好ましくは60℃以下、理想的には40℃以下に維持される。ヘキサン脱脂が行われている場合、真空(100〜800hPa、好ましくは200〜500hPa、特に好ましくは200hPa)を適用することにより完全な脱溶媒が向上され、それにより最大60℃まで脱溶媒が可能となる。他の溶媒の場合においても、低温での脱溶媒を可能とするために真空の適用は有効である。
ヒマワリ種子タンパク質の場合、提案された方法の開始物(starting product)のタンパク質に関連し、5%〜40%の一定の変性、好ましくは10%〜30%(たとえば、タンパク質溶解性等の機能的特性に関して最大30%、好ましくは20%、より好ましくは10%の測定可能な偏差、DSC等の熱解析的方法で測定可能な最大30%大きなタンパク質変性)が、広い応用範囲を得るために特に有利である。
たとえば抽出物質が特定の応用に用いられる場合、抽出順序が逆になってもよい。第1の工程における十分な脱脂は、機能的食品添加剤を得る観点から、又は化粧品や技術応用のために有利である。超臨界CO2を用いた脱脂、次の(水性)アルコール溶媒の抽出、及び、同時に脱溶媒を行うための最後のscCO2処理と、乾燥とを組み合わせることは、最終製品の安定化に有利である。この組み合わせは、溶媒、温度及び圧力のみを変更しつつ全ての抽出を1つの容器内で連続的に行うように、好ましく設定される。
驚くべきことに、価値のあるタンパク質及びフェノール片は同時に取得可能であり、かつ様々な食品に適用可能である。アルコールに含まれる二次的物質は、直接に高価値の応用に用いられるか、又は更なる処理に供される。酸素の置換(除去:displacement)を通じて酸化が防止されるので、ポリフェノールの抽出の前又はその間のscCO2の使用も特に有利である。
驚くべきことに、アルコールを使用する場合、純粋なヘキサン抽出と比較してリン脂質の消耗が向上され、脱脂粉末の感覚的な品質が更に向上されることも示されている。
熱に起因する芳香物質がないタンパク質片が得られること、そして感覚的に中性な(sensory−neutral)タンパク質製品を通じて食品への使用が向上されることも示されている。同時に、タンパク質の機能的特性も維持されている。
上記の製造方法によれば、たとえば水性分別(aqueous fractionation)及び面倒な分離方法を通じて取得されるタンパク質分離物と比較して、バランスの取れた栄養価プロファイルと技術機能的範囲により特徴付けられたヒマワリタンパク質製剤が得られる。更なる処理を要することなく、たとえば高タンパク成分のタンパク質分離物を達成するために、食品又は動物飼料の添加剤としてもそれは適している。驚くべきことに、それはタンパク質分離物ではないにも関わらず、そのタンパク質製剤はタンパク質分離物の技術機能的特性を有している。それは中性、明るい色であり、そして感覚的に望ましくなく非栄養的な2次的物質をほとんど含まない。特に、そのヒマワリ濃縮タンパク質自体には匂いも味もほとんどない。
特に驚くべきことに、その脱脂ヒマワリタンパク質粉末(SFPF)は、非常に魅力的な色と非常に特徴的な機能的特性を有するが、食品及び動物飼料の多くの応用にも適している。
以下、製造されるタンパク質製剤の量的な特徴付けのために、次の定量法が用いられる。
[タンパク質成分]
タンパク質成分(protein content)は、窒素の定量と、因子6.25によるその乗算から計算される成分として測定される。タンパク質成分は、たとえば乾燥質量(dry mass)に関するパーセントとして示される。
タンパク質成分(protein content)は、窒素の定量と、因子6.25によるその乗算から計算される成分として測定される。タンパク質成分は、たとえば乾燥質量(dry mass)に関するパーセントとして示される。
[色]
知覚される色は、CIE−L*a*b*色測定(DIN 6417を参照)の方法により測定される。ここで、L*軸は明度を示し(ここで、黒が0で白が100である)、a*軸は赤及び緑の部分を示し、b*軸は青及び黄色の部分を示す。
知覚される色は、CIE−L*a*b*色測定(DIN 6417を参照)の方法により測定される。ここで、L*軸は明度を示し(ここで、黒が0で白が100である)、a*軸は赤及び緑の部分を示し、b*軸は青及び黄色の部分を示す。
[タンパク質溶解性]
タンパク質溶解性は、次のMorrら(1985)の文献に係る定量法を用いて決定される:Morr C.V.、German B.、Kinsella J.E.、Regenstein J.M.、Van Buren J.P.、Kilara A.、Luwis B.A.、Mangino M.E.“A Collaborative Study to Develop a Standardized Food Protein Solubility Procedure” Journal of Food Science、vol.50(1985)、pages 1715−1718。このために、タンパク質製剤は、室温において、質量/体積比率1:25〜1:50(w/v)(つまり、50mlの溶液に対して1〜2gのタンパク質製剤)で、0.1MのNaCl溶液に懸濁され、0.1MのHCl又はNaOH溶液の使用が、pH値がpH7で約60分間維持されかつ約200rpmで攪拌され、そして不溶解性の沈殿物が重力加速度の20000倍(20,000G)で遠心分離される。タンパク質溶解性は、たとえばパーセントで与えられる。ここで、上記方法が用いられる場合、タンパク質溶解性x%は、透明な脱離液(supernatant)において製剤中にx%のタンパク質が存在することを意味する。
タンパク質溶解性は、次のMorrら(1985)の文献に係る定量法を用いて決定される:Morr C.V.、German B.、Kinsella J.E.、Regenstein J.M.、Van Buren J.P.、Kilara A.、Luwis B.A.、Mangino M.E.“A Collaborative Study to Develop a Standardized Food Protein Solubility Procedure” Journal of Food Science、vol.50(1985)、pages 1715−1718。このために、タンパク質製剤は、室温において、質量/体積比率1:25〜1:50(w/v)(つまり、50mlの溶液に対して1〜2gのタンパク質製剤)で、0.1MのNaCl溶液に懸濁され、0.1MのHCl又はNaOH溶液の使用が、pH値がpH7で約60分間維持されかつ約200rpmで攪拌され、そして不溶解性の沈殿物が重力加速度の20000倍(20,000G)で遠心分離される。タンパク質溶解性は、たとえばパーセントで与えられる。ここで、上記方法が用いられる場合、タンパク質溶解性x%は、透明な脱離液(supernatant)において製剤中にx%のタンパク質が存在することを意味する。
[水和性]
水和能力は、次の文献に提示された測定方法(以下、AACC決定法と称する)により決定される:American Association of Cereal Chemists、“Approved Methods of the AACC”10th edition、AACC.St Paul、MN、2000b;Method 56−20.“Hydration Capacity of pregelatinized Cereal products”。水和能力はml/g、つまり製剤1グラム当たり結合水が何ミリリットルであるか、で示すことができ、AACC決定法にしたがい、約40mlの水に約2gのタンパク質製剤を加えて10分間かき混ぜ、20℃かつ1000Gで約15分間遠心分離した後の乾燥製剤の重量を、飽水沈殿物(water−saturated sediment)の重量から減算することで決定される。
水和能力は、次の文献に提示された測定方法(以下、AACC決定法と称する)により決定される:American Association of Cereal Chemists、“Approved Methods of the AACC”10th edition、AACC.St Paul、MN、2000b;Method 56−20.“Hydration Capacity of pregelatinized Cereal products”。水和能力はml/g、つまり製剤1グラム当たり結合水が何ミリリットルであるか、で示すことができ、AACC決定法にしたがい、約40mlの水に約2gのタンパク質製剤を加えて10分間かき混ぜ、20℃かつ1000Gで約15分間遠心分離した後の乾燥製剤の重量を、飽水沈殿物(water−saturated sediment)の重量から減算することで決定される。
[油結合]
油結合能力は、次の文献に提示された測定方法(以下、脂肪結合決定法と称する)にしたがって決定される:Ludwic I.、Ludwic E.、Pingel B.“A micromethod for determining the fat binding capacity”Nahrung/Food 1989、33(1)、99。
油結合能力は、次の文献に提示された測定方法(以下、脂肪結合決定法と称する)にしたがって決定される:Ludwic I.、Ludwic E.、Pingel B.“A micromethod for determining the fat binding capacity”Nahrung/Food 1989、33(1)、99。
油結合能力はml/g、つまり製剤1グラム当たり結合油が何ミリリットルであるか、で示すことができ、上記決定方法にしたがい、約15mlのトウモロコシ種子油に1.5gのタンパク質製剤を加えて1分間かき混ぜ、20℃かつ700Gで15分間遠心分離した後の油結合した沈殿物の体積として測定される。
[乳化能力]
乳化能力は、次の方法(以下、伝導性測定法と称する)で測定される:水エマルジョンにおける油の転相(phase inversion)が生じるまで、pH7のタンパク質製剤の1%懸濁液にトウモロコシ種子油を加える。乳化能力は、この懸濁液の最大吸油能力として決定され、これは、転送時における伝導性(conductivity)の自発的な減少によって測定され(参照:the journal article by Wasche A.、Muller K.、Knauf U.“New processing of lupin protein isolate and functional Properties”、Naurung/Food、2001、45、393−395)、ml oil/g、つまりタンパク質製剤1g当たり乳化油が何ミリグラムであるか、で示される。
乳化能力は、次の方法(以下、伝導性測定法と称する)で測定される:水エマルジョンにおける油の転相(phase inversion)が生じるまで、pH7のタンパク質製剤の1%懸濁液にトウモロコシ種子油を加える。乳化能力は、この懸濁液の最大吸油能力として決定され、これは、転送時における伝導性(conductivity)の自発的な減少によって測定され(参照:the journal article by Wasche A.、Muller K.、Knauf U.“New processing of lupin protein isolate and functional Properties”、Naurung/Food、2001、45、393−395)、ml oil/g、つまりタンパク質製剤1g当たり乳化油が何ミリグラムであるか、で示される。
[泡活性]
泡活性はパーセントで示される。これは、泡立て器(ワイヤー泡立て器)を有するホバート(Hobart)50Nスタンダードフードプロセッサー(容量5リットルの鋼製容器)の設定値3(591rpm)で8分間泡立てた場合における、pH7の5%溶液の体積の増加として測定される。
泡活性はパーセントで示される。これは、泡立て器(ワイヤー泡立て器)を有するホバート(Hobart)50Nスタンダードフードプロセッサー(容量5リットルの鋼製容器)の設定値3(591rpm)で8分間泡立てた場合における、pH7の5%溶液の体積の増加として測定される。
[泡密度]
泡密度はg/ml、つまり単位体積当たりの泡の質量として示され、泡立て器(ワイヤー泡立て器)を有するホバート(Hobart)50Nスタンダードフードプロセッサー(容量5リットルの鋼製容器)の設定値3(591rpm)で8分間、pH7の5%溶液を泡立てた後に測定される。
泡密度はg/ml、つまり単位体積当たりの泡の質量として示され、泡立て器(ワイヤー泡立て器)を有するホバート(Hobart)50Nスタンダードフードプロセッサー(容量5リットルの鋼製容器)の設定値3(591rpm)で8分間、pH7の5%溶液を泡立てた後に測定される。
[泡安定性]
泡安定性はパーセントで示され、泡立て器(ワイヤー泡立て器)を有するホバート(Hobart)50Nスタンダードフードプロセッサー(容量5リットルの鋼製容器)の設定値3(591rpm)で8分間、pH7の5%溶液を泡立てた後の1時間以内における、泡100mlの体積の減少として測定される。
泡安定性はパーセントで示され、泡立て器(ワイヤー泡立て器)を有するホバート(Hobart)50Nスタンダードフードプロセッサー(容量5リットルの鋼製容器)の設定値3(591rpm)で8分間、pH7の5%溶液を泡立てた後の1時間以内における、泡100mlの体積の減少として測定される。
[脂肪成分]
サンプルが浸溶されてその脂肪酸が鹸化された後に決定される。これは、たとえば、次に記載されたCaviezel法にしたがう:DGF“Method of Caviezel” DGF K−I 2c (00).In the Deutsche Gesellschaft fur Fettwissenschaft e.V. Munster.DGF standard methods、2nd edition、Stuttgart:WVG 2004。
サンプルが浸溶されてその脂肪酸が鹸化された後に決定される。これは、たとえば、次に記載されたCaviezel法にしたがう:DGF“Method of Caviezel” DGF K−I 2c (00).In the Deutsche Gesellschaft fur Fettwissenschaft e.V. Munster.DGF standard methods、2nd edition、Stuttgart:WVG 2004。
比較のために、次の市販の製品が使用された。
・エンドウタンパク質分離物Pisane(登録商標)(製造元Cosucra)
・大豆タンパク質分離物SUPRO(登録商標)EX33(製造元DuPont)
・カゼインナトリウム(噴霧乾燥粉乳)、RovitaによるFN5S
・エンドウタンパク質分離物Pisane(登録商標)(製造元Cosucra)
・大豆タンパク質分離物SUPRO(登録商標)EX33(製造元DuPont)
・カゼインナトリウム(噴霧乾燥粉乳)、RovitaによるFN5S
本発明に係る製造方法により、次の特性を有するタンパク質製剤がヒマワリ種子から製造できる。
[外観]
・たとえば薄片、粒状、粉状、又は他の粒子形態としての、注ぐことが可能な形態である。
・たとえば薄片、粒状、粉状、又は他の粒子形態としての、注ぐことが可能な形態である。
・色は、白からクリーム色、明るい灰色又は明るい黄色、最大5%w/w、好ましくは2%w/wの暗い色の粒子が配合されていてもよい。CIE−L*a*b*色測定にしたがって決定される明度L*は、少なくとも70、つまりL*≧70、の値を提示する。以下は、L*、a*、b*の値の典型的な例である。
L*≧80、−5<a*<+5、−5<b*<+20
好ましくは、L*≧85、−3<a*<+3、−2<b*<+15
特に好ましくは、L*≧90、−1<a*<+1、0<b*<+10
L*≧80、−5<a*<+5、−5<b*<+20
好ましくは、L*≧85、−3<a*<+3、−2<b*<+15
特に好ましくは、L*≧90、−1<a*<+1、0<b*<+10
[組成]
・タンパク質成分は、TSに関して、乾燥質量で90%未満、好ましくは80%未満である。典型的には、タンパク質成分は、TSに関して50〜70%である。
・タンパク質成分は、TSに関して、乾燥質量で90%未満、好ましくは80%未満である。典型的には、タンパク質成分は、TSに関して50〜70%である。
・全バルク材成分は、TSに関して10〜40%、好ましくはTSに関して10〜30%である。
・脂肪成分は、たとえばSoxhlet抽出の後の重力測定により決定され、TSに関して3パーセント未満、好ましくは1%未満である。
・糖成分全体は、TSに関して15パーセント未満、好ましくは5%未満、特に好ましくは2%未満である。
・望ましくない成分、より具体的には非栄養的な物質
・フィタン酸成分は、TSに関して5%未満、好ましくは2%未満、特に好ましくは1%未満
・ラフィノース成分は、TSに関して5%未満、好ましくは2.5%未満、特に好ましくは0.5%未満
・フェノール酸成分(決定されるクロロゲン酸)は、TSに関して5%未満、好ましくは2%未満、特に好ましくは0.5%未満。
・フィタン酸成分は、TSに関して5%未満、好ましくは2%未満、特に好ましくは1%未満
・ラフィノース成分は、TSに関して5%未満、好ましくは2.5%未満、特に好ましくは0.5%未満
・フェノール酸成分(決定されるクロロゲン酸)は、TSに関して5%未満、好ましくは2%未満、特に好ましくは0.5%未満。
・リグニン成分は、TSに関して6%未満、好ましくは4%未満、特に好ましくは3%未満である。
・一般的に、ヒマワリタンパク質粉末(SFPF)中のタンパク質とリグニン成分は、そこから生成されるヒマワリ濃縮タンパク質(SFPC)中よりも低く、脂肪、糖及びフェノール酸の成分は、SFPC中よりもSFPF中の方が高い。
[技術機能的特性]
・タンパク質溶解性
PNG決定法にしたがって決定されるタンパク質溶解性は、30%を超え、好ましくは40%を超える。典型的には、タンパク質溶解性は、30〜60%の範囲内である。
・タンパク質溶解性
PNG決定法にしたがって決定されるタンパク質溶解性は、30%を超え、好ましくは40%を超える。典型的には、タンパク質溶解性は、30〜60%の範囲内である。
・水和作用
水和作用は、AACC決定法にしたがって決定され、少なくとも2ml/g、好ましくは少なくとも3ml/gである。比較測定によれば、その製剤の水和作用が、AACC決定法にしたがって決定されるPisane(登録商標)の水和作用の少なくとも30%であることが示される。
水和作用は、AACC決定法にしたがって決定され、少なくとも2ml/g、好ましくは少なくとも3ml/gである。比較測定によれば、その製剤の水和作用が、AACC決定法にしたがって決定されるPisane(登録商標)の水和作用の少なくとも30%であることが示される。
・油結合
油結合は、脂肪結合決定法にしたがって決定され、少なくとも1ml/g、好ましくは少なくとも4ml/gである。比較測定によれば、その油結合が、同じ方法にしたがって決定されるPisane(登録商標)又はSupro(登録商標)EX33の油結合の少なくとも100%であることが示される。
油結合は、脂肪結合決定法にしたがって決定され、少なくとも1ml/g、好ましくは少なくとも4ml/gである。比較測定によれば、その油結合が、同じ方法にしたがって決定されるPisane(登録商標)又はSupro(登録商標)EX33の油結合の少なくとも100%であることが示される。
・乳化能力
導電性測定にしたがって決定される乳化能力は、少なくとも400ml oil/g、好ましくは少なくとも500ml oil/gである。比較測定によれば、その乳化能力が、同じ方法にしたがって決定されるカゼインナトリウムFN5Sの乳化能力の少なくとも40%であることが示される。
導電性測定にしたがって決定される乳化能力は、少なくとも400ml oil/g、好ましくは少なくとも500ml oil/gである。比較測定によれば、その乳化能力が、同じ方法にしたがって決定されるカゼインナトリウムFN5Sの乳化能力の少なくとも40%であることが示される。
・発泡特性
・泡活性
その泡活性は少なくとも1000%である。泡立て器を有するホバート50Nスタンダードフードプロセッサーの設定値3で生鶏卵白を3分間泡立てて行われる比較測定によれば、そのタンパク質製剤の泡活性が、鶏卵白の泡活性の少なくとも50%であるか又は少なくとも60%であってもよいことが示される。
・泡濃度
その泡濃度は80〜110g/lの範囲内である。泡立て器を有するホバート50Nスタンダードフードプロセッサーの設定値3で生鶏卵白を3分間泡立てて行われる比較測定によれば、その泡濃度が、泡立てられた鶏卵白の泡濃度の80〜110g/lの範囲内である。
・泡安定性
その泡安定性は少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%である。典型的には、泡立て器を有するホバート50Nスタンダードフードプロセッサーの設定値3で3分間泡立てられた後の1時間以内における、攪拌された鶏卵白100mlの体積の減少として測定された、攪拌された鶏卵白の泡安定性の少なくとも90%に相当する。
・泡活性
その泡活性は少なくとも1000%である。泡立て器を有するホバート50Nスタンダードフードプロセッサーの設定値3で生鶏卵白を3分間泡立てて行われる比較測定によれば、そのタンパク質製剤の泡活性が、鶏卵白の泡活性の少なくとも50%であるか又は少なくとも60%であってもよいことが示される。
・泡濃度
その泡濃度は80〜110g/lの範囲内である。泡立て器を有するホバート50Nスタンダードフードプロセッサーの設定値3で生鶏卵白を3分間泡立てて行われる比較測定によれば、その泡濃度が、泡立てられた鶏卵白の泡濃度の80〜110g/lの範囲内である。
・泡安定性
その泡安定性は少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%である。典型的には、泡立て器を有するホバート50Nスタンダードフードプロセッサーの設定値3で3分間泡立てられた後の1時間以内における、攪拌された鶏卵白100mlの体積の減少として測定された、攪拌された鶏卵白の泡安定性の少なくとも90%に相当する。
[感覚的特性]
明るい色に加え、そのタンパク質製剤、特にSFPCの形態のもの、は、本質的に無臭かつ無味である。特に、それには植物や種子本来の香りが無い。よって、豆のような又は草のような臭いや味は無く、かつ、苦味も知覚されない。
明るい色に加え、そのタンパク質製剤、特にSFPCの形態のもの、は、本質的に無臭かつ無味である。特に、それには植物や種子本来の香りが無い。よって、豆のような又は草のような臭いや味は無く、かつ、苦味も知覚されない。
感覚的な試験では、熟練の試験者が、タンパク質製剤及び適した参照物質の或る味や香りの印象を比較し、1〜10のスケールでそれを評価する(1=知覚できない、10=強く知覚できる)。ここで、参照物質は、試験される味や香りの印象が少なくとも8と評価されるように選択される。この試験により、タンパク質製剤が3又はそれ未満(典型的には値1)を達成していることが示される。
試験される味や香りの例
・豆のような味に関する大豆との比較
・青物ないし草のような味に関するピーマン又はグリーンピースとの比較
・苦味に関する0.1%の水性カフェイン溶液との比較。
・豆のような味に関する大豆との比較
・青物ないし草のような味に関するピーマン又はグリーンピースとの比較
・苦味に関する0.1%の水性カフェイン溶液との比較。
タンパク質製剤の色、固有の味及び固有の臭いは、食品や動物飼料に付加されたときの、その最終製剤の外観、臭い又は味に顕著な変化が無いようにされている。これは、通常の統計的方法を用いて否定的に評価することができる。
感覚的な試験によれば、タンパク質製剤を用いることで食品にもたらされた味や香りの変化が、タンパク質製剤が付加されていない食品との比較において、熟練の試験者により決定される上記味や香りの特徴の変化がスケール1〜10における最大3段階、好ましくは最大1段階(ほぼもはや知覚できない変化)になるような程度に制限されることが示される。
種子自体の水分と混合されるアルコール又はアルコール溶液を用いる提案された方法では、たとえばフェノール酸などの植物の芳香物質及び他の二次的植物性物質のほとんどが除去される。この方法により、明るく、変色について安定で、かつほとんど無臭・無味の粉末が得られる。
驚くべきことに、抽残液/抽残液/粉末(raffinate/raffinate/flour)のタンパク質成分の割合を、他の低分子成分、特に含有される糖、の同時抽出(joint extraction)により60%以上に増加させることができ、それにより、更なる処理段階を経ることなく高品質で安定的な濃縮タンパク質が得られる。
アルコールフェーズ、水性フェーズ又は水−アルコールフェーズでは、糖/オリゴ糖成分と二次的植物性物質(フェノール酸等)との混合物が生じる。特に有利には、他の応用形態の製造法において、たとえば引き続き行われる乾燥の間に、フェノール物質のキャリア物質(carrier substances)として糖物質を使用できる。選択的な吸収、結晶化又は沈殿を通じて、2つの片(fractions)が、更に精製され、又は双方の片を別々に使用できるように分離される。
本発明者らは、脱脂グリスト/脱脂粉末の更なる湿的な処理におけるscCO2を用いた抽出が特に有利であることも認識した。これは、引き続き行われる処理において製粉用穀物に含まれるCO2も安定化作用を有し、酸化処理が制限されることによる。
取得された製剤をscCO2処理の直後に包装すれば、更なる利点がある。驚くべきことに、それらは、付加的な保護的ガスを供給しなくても酸化から直接に保護される。しかしながら、部分的な通気又は他の保護ガスとの組み合わせも有利である。
粒子サイズを調整することでタンパク質製剤の機能的特性を変更できることも見出された。ヒマワリのタンパク質粉末又は濃縮タンパク質の粒子サイズ又は粒子濃度への適当な細かい粉砕又は分割を通じて、水和能力又は乳化能力を、異なる要求に合わせて明確に調製することができる。特に有利には、粒子サイズが500μm以下に設定され、又は粒子サイズ500μm以下になるよう片(fractions)に分割される。
この発明に係る方法によれば、最小量の水を用いることで、そのタンパク質成分の低さにも関わらず驚くべきことにタンパク質分離物と同等の特性を有する高品質のヒマワリタンパク質製剤の製造が可能である。記載された技術の助けにより、ヒマワリ種子はほぼ完全に分割され、タンパク質生産性が特に高く、栄養的にかつ技術機能的に価値のある食品材料、並びにエネルギー用途及び技術用途の片(fractions)となる。
取得されるアルコール溶液は糖を含み、バイオエタノールの発酵に直接に利用できることも見出された。
本発明者らは、無極性反応により得られかつヘキサンを含む油が、バイオディーゼルへの付加やその生産のための更なる処理を要さずに使用可能であり、また燃料として直接に使用可能であることも見出した。
この方法のより有利な実施形態では、超臨界CO2をグリスト中にて結合した残留アルコールが同時に抽出されるように複数の抽出が連続的に配置され、続いて行われる蒸留又は精製段階が不要とされる。本発明者らは、無極性抽出を通じて取得されアルコール残留物を含む油が、驚くべきことにバイオディーゼルへの更なる処理によく適しており、かつ、アルコールを用いた脂肪の酵素的な再エステル化に基づく処理に直接に使用可能であることを見出した。特に有利な方法では、油に同調された(entrained)任意のアルコール成分は除去されないが、依然としてそれに含まれており、かつ再エステル化処理の後における油のバイオディーゼルへの更なる処理に使用される。
[実施例]
例1:脱脂され皮が剥離されたヒマワリ種子からのアルコール抽出に基づくヒマワリ種子濃縮タンパク質。
例1:脱脂され皮が剥離されたヒマワリ種子からのアルコール抽出に基づくヒマワリ種子濃縮タンパク質。
純度99.8%の皮が剥離された食用種子(つまり皮成分0.1%未満)を、直径5mmのノズルを有するスクリュープレスにより温度約40℃(±5℃)で残留脂肪成分23%に脱脂し、得られた繊維様の圧縮された製品をSoxhletにおいてヘキサンで脱脂し、室温で乾燥させてヘキサン残留分を除去した。このようにして得られた、フェノール酸を含む皮が剥離された食用の塩からのヘキサン脱脂されたヒマワリグリストを、Soxhletにおいてメタノール(95%)で抽出し、それにより、アルコール濃度が水の抽出を通じて当初の約80%(v/v)から約95%に増加された。オイルバス(oil bath)の温度は約85℃であり、抽出温度は20℃(冷却器)から最大65℃(メタノールの沸点=65℃)の間であった。12サイクルの後、数サイクルがもはや黄色の抽出物を呈さなくなった後、抽出を終了した。
このようにして得られたヒマワリ濃縮タンパク質は、細かく、明るい色の粉末であり、そのタンパク質成分は60%を超える。その組成は次のテーブルに示す。
この濃縮タンパク質は、植物由来の芳香成分が低い。このヒマワリタンパク質粉末と、皮成分が低い濃縮物は、特に魅力的/中性であり、CIE−L*a*b*にしたがって次の値を有する。
このヒマワリ粉末は、以前には約0.5%のコーヒー酸誘導体(derivatives)を含み、これはHPLC(電気化学的検出)で検出され、測光測定法により定量化された。抽出されたヒマワリ粉末(以下、ヒマワリ濃縮タンパク質と呼ぶ)は微量のクロロゲン酸、つまり検出限界0.01%にて、を含むのみであった。したがって、90%のフェノール酸が、コーヒー酸として抽出され、同定され、定量化された。その抽出量は、抽出物全体において検出された。乾燥質量の損失(TS)は24%であった。抽出された乾燥塊の少ない成分はタンパク質、脂肪及びミネラルからなる。フェノール酸に加え、主として糖、オリゴ糖及びバルク材が含まれており、その63%は、最大限の抽出において最大30%を構成するラフィノース等のオリゴ糖が抽出された。驚くべきことに、したがって、他の二次的植物物質(特にフィタン酸)が抽出物に変化する。
フェノール酸はグリストからほぼ完全に抽出され、抽出物中に検出可能であった。グリストのミネラル成分はメタノールを用いた処理を通じてわずかに増加し、一方では、他の二次的物質が除去された。メタノールを用いた抽出は、やっかいな二次的物質(特にフェノール酸や二次的油物質)の大幅な除去を引き起こした。タンパク質成分は60%を超えるまで増加され、色的に安定した濃縮タンパク質が得られ、又は、引き続く高価値なタンパク質分離物の湿的製造はポリフェノールにより破壊されない(テーブルにおけるタンパク質分離物の色を参照)。
例2:皮が剥離されたヒマワリ種子の圧縮。
皮が剥離された食用の種子を、それぞれ直径6、5、4mmの3つの異なるノズルを有するスクリュープレスを用いて温度40〜50℃で脱脂した。得られた油かすは、脂肪の成分、構造及び色の観点で異なる(テーブル2−1)。その脂肪成分は2つの方法で決定され、(Caviezelにしたがう)Buchi法は脂肪成分の総量を示し、Soxhlet法は抽出可能な部分を決定する。
最も狭いノズルを用いた圧縮の間、圧縮における圧力はかなり増加され、約10%の低脂肪の非常に硬い油かすか得られた。しかし、これらの条件の下、油かすは黒ずんでいたが、これは酸化又はメイラード反応と思われる。より大きな5/6mmのノズルを用いたより優しい圧縮では、残留脂肪成分はそれぞれ約33及び35%とはるかに高かった。しかし、これは、続く抽出を通じて1%未満に減少されることが可能であった(テーブル2−1)。
機能的特性の決定の結果、後者2つの油かすにおいて当初の種子と比較してタンパク質溶解性及び乳化能力が向上していた、つまり、圧縮によってより良い細胞の破壊及び好適な多孔性(porosity)が達成された。多孔性は、圧縮の程度の上昇に伴い失われる。一方、好適な機械的安定性を持つ油かすの最適な強度を達成するには、続く抽出の間における圧縮度合をできるだけ高くするべきである。
ノズル形状に加え、圧縮温度も脱脂の程度及び圧縮製品の構造に影響を与える。円形の断面を有する圧縮製品の強さは、直径75mmの圧断機(stamp)を用いて圧断速度(stamp speed)1mm/sで放射状(radial)の圧力を負荷するテクスチャー解析(TA)により決定された。圧縮製品の破壊まで用いられた最大の力が測定された。その力は、圧断機による幅1mmの負荷表面及び圧縮製品の長さに関連していた。破壊圧力の平均値は、20のサンプルで決定された。
温度を70℃まで上昇させれば、直径8mmの大きなノズルを用いて11%と非常に低い残留脂肪成分も達成可能であった(テーブル2−2)。これら圧縮製品は、非常に高い度合の機械的安定性を呈したが、より高い注入密度(pouring density)及び低い多孔性を有し、40℃で得られた油かすよりもわずかに暗い色であった。60℃未満の低い温度を用いる場合、ほとんど固形物(しかしかなり高い多孔性を有する)が得られ(テーブル2−2)、これは、ほんの僅かな熱的損傷を呈し、非常に容易に抽出可能であった。一方、温度が70℃を超える場合には、異なるタンパク質損傷及び強い変色が測定された。
残留脂肪が約15%〜25%の範囲の残留脂肪成分の押圧の度合に伴い、油かすペレットが得られ、これは、皮が無いにも関わらず、以前として十分な多孔性とともに好適な機械的安定性を呈し、更なる構造化又は粉砕を行うことなく、続く抽出において完全な脱脂が可能である。驚くべきことに、油の除去に関連する構造を弱めるにも関わらず、脱脂の後であっても、ペレットは、他の溶媒を用いた抽出に供するために依然として十分な機械的安定性を呈し、それにより、崩壊することのない非タンパク物質の喪失を呈する。この多孔性の構造により、それらは、更なる抽出(つまりアルコール溶媒を用いる)のために非常に好ましい抽出特性を呈する。このようにして、抽出前の構造化又は粉砕(別の方法で通常通りに実行されなければならない)が不要になる。
圧縮装置の構造及び形状に依存して、残留脂肪成分が約15%〜25%となる最適な圧縮度合が達成される(図2を参照)。温度が60℃未満であっても、圧縮製品の十分な圧縮が達成されるとともに、タンパク質の機能的特性及び色が最適に維持される。
総合的に言えば、或る残留脂肪成分が残る圧縮を通じて、抽出前に油かすを破壊するために通常通りに行われる続く構造化又は粉砕がもはや不要であるように粒子が形成される。処理の簡略化に加え、これは、たとえばタンパク質の機能的特性及び最終製品の色が向上されるように油かすを保護する。
低減された圧縮度合を通じて、タンパク質が保護され、タンパク質の機能的特性がより良く維持される。同時に、最適な抽出を可能とする粒子形状が形成され、脱脂後の残留脂肪成分を更に減少させることができる。これもタンパク質製剤の色の向上に寄与する。
例3:ヘキサン、scCO2及びエタノールを用いた皮なし油かすの脱脂及び抽出を通じて得られたヒマワリ種子粉末及び濃縮タンパク質。
[製造]
1.ヒマワリ種子の皮(殻)を剥離し、種子と皮片とに分け、最大5%(w/w)の皮成分を有する種子片を使用する。
1.ヒマワリ種子の皮(殻)を剥離し、種子と皮片とに分け、最大5%(w/w)の皮成分を有する種子片を使用する。
2.機械的・部分的な脱脂を行い、例2と同様に圧縮することにより約36%の残留脂肪成分とする。
3.a)最大で60℃の温度の濾過器内でイソヘキサンを用いて、b)圧力を掛けた容器内で超臨界CO2を用いた抽出(設定は以下のテーブルを参照)を行うことで、ヒマワリ油かすを脱脂する。
4.Soxhlet装置(設定は以下のテーブルを参照)でエタノール及び/又はヘキサンを用いて、2による油かす又は3aによるタンパク質粉末を抽出する。
5.抽出3aの後に、真空(500hPa未満)内で過熱されたヘキサン蒸気を用いてヘキサンを置換(displacement)する。
6.真空(500hPa未満)内で過熱された水蒸気を用いてヘキサンの更なる置換(displacement)を行う。
7.真空(500hPa未満)内での60℃の加熱を通じて、6からの溶媒残留物を除去する。このように得られた抽残液(raffinate)は、以下、タンパク質粉末と呼ばれる。
8.抽出4の後、室温において空気流で溶媒を除去して濃縮タンパク質を得る。
9.回転蒸発器を用いてアルコールを蒸発させかつ処理工程8で得られた抽残液(raffinate)を乾燥させて、ヒマワリ濃縮タンパク質を得る。
10.0.5mmのシーブ・インサート(seive insert)を用いて、工程3b、7又は9で得られたヒマワリタンパク質粉末及び濃縮物をピン・ミル(pin mill)内で製粉して、細かい粉末としてのヒマワリタンパク質製剤を得る。
11.事前の又は続く粉砕を行うことなく、タンパク質粉末及び濃縮タンパク質を使用する。
スクリュープレス(例2の5mmノズル)からのペレットは、その後、2つの異なる方法で脱脂された:1.ヘキサンを用いる(60℃未満の温度で脱脂及び脱溶媒化);2.超臨界CO2を用いる。ヘキサンを用いる場合、完全な脱脂が達成され、800×105PaでのCO2を用いた抽出もほぼ完全になされ、しかし285×105Paでは約20%未満の油が抽出された(50℃、100kg/kg CO2)。両方の抽出から得られた油の酸価(acidic number)の試験により、根本的な違いが無いことが示された。また、このペレットが更なる粉砕又は調合が不要な抽出に非常に適していることが示された。
[特性]
このようにして得られたヒマワリタンパク質粉末及び濃縮物は、少なくとも50%(N×5.6)のタンパク質成分を有し、次のテーブルに提示された更なる組成及び機能的特性を有する。このようにして得られたヒマワリ濃縮タンパク質(no.6〜8)は、ヒマワリの芳香成分に由来するものを含まない。粉末(no.2)は、ナッツのようなヒマワリの味に由来するものを依然として有している。簡単な製粉及びふるい分け(263mm未満)の後、それは、卵を含まないサラダマヨネーズの乳化に用いられ、これは、植物タンパク質分離物と同等に等質的で安定的であり、感覚的な条件も良好と評価された。
このようにして得られたヒマワリタンパク質粉末及び濃縮物は、少なくとも50%(N×5.6)のタンパク質成分を有し、次のテーブルに提示された更なる組成及び機能的特性を有する。このようにして得られたヒマワリ濃縮タンパク質(no.6〜8)は、ヒマワリの芳香成分に由来するものを含まない。粉末(no.2)は、ナッツのようなヒマワリの味に由来するものを依然として有している。簡単な製粉及びふるい分け(263mm未満)の後、それは、卵を含まないサラダマヨネーズの乳化に用いられ、これは、植物タンパク質分離物と同等に等質的で安定的であり、感覚的な条件も良好と評価された。
皮なしヒマワリタンパク質粉末及びヒマワリ濃縮タンパク質の色は特に魅力的(つまり栄養的に)であり、CIE−L*a*b*にしたがって以下の値を有する。
例4:粒子サイズの調整を通じて変性された特性を有する、脱脂され、皮が剥離されたヒマワリ種子からのヒマワリ種子タンパク質粉末。
この例では、続く粒子サイズの調整によるヒマワリタンパク質製剤の機能的特性の変化について検討する。
[製造]
1.ヒマワリ種子の皮(殻)を剥離し、種子と皮片とに分ける。
1.ヒマワリ種子の皮(殻)を剥離し、種子と皮片とに分ける。
2.機械的・部分的な脱脂を行い、圧縮することにより約36%の残留脂肪成分とする(例2を参照)。
3.最大で60℃の温度の濾過器内でイソヘキサンを用いて、ヒマワリ油かすを脱脂する。
4.真空(500hPa未満)内で過熱されたヘキサン蒸気を用いてヘキサンを置換(displacement)する。
5.真空(500hPa未満)内で過熱された水蒸気を用いてヘキサンの更なる置換(displacement)を行う。
6.真空(500hPa未満)内での60℃の加熱を通じて、溶媒残留物を除去する。このように得られた抽残液(raffinate)は、以下、タンパク質粉末と呼ばれる。
7.ピン又はハンマー・ミル内で濃縮タンパク質の検査、ふるい分け及び/又は粉砕を行って、異なる粒子サイズに区分された片(fractions)を取得し、このようにして機能的特性を変更する。
8.事前の又は続く粉砕を行うことなく、タンパク質粉末及び濃縮タンパク質を使用する。
粉末(no.2)は単にふるい分け(263mm未満)がなされ、卵を含まないサラダマヨネーズの乳化に用いられ、これは植物タンパク質分離物によるものと同等に等質的で安定的であった。この粉末を製粉すれば、味及びきめの更なる向上が可能であった。
最後の第7工程で実行された明確な又は粒子サイズの処理を通じて、ヒマワリ種子タンパク質製剤の機能的特性を変更することが可能である。粒子サイズを減少させるには、純粋な製粉に加え、ふるい分けの視覚的な選択が、おそらく製粉とともに使用された。粒子の低減により水和性が増大する傾向があり、ヒマワリ濃縮タンパク質の場合には乳化能力も増大についても増大する傾向があり、その一方で、油結合能力は僅かに低減し又はほとんど変化しなかった。等質的な粒子サイズ分布を有する製剤は、大きな水和性を呈する。水和性の増大には分割(fractionation)及び粉砕の組み合わせが特に有利であることが示された。全体的に粒子サイズ分布の特定の処理により、機能的プロファイルの変更が可能である。
Claims (30)
- ヒマワリ種子からタンパク質製剤を製造する方法であって、
ヒマワリ種子の皮を剥離して皮の残留量を5%重量以下にし、又は、皮の残留量が5重量%以下である皮が剥離されたヒマワリ種子を用意し、
圧縮することにより、皮が剥離されたヒマワリ種子の機械的かつ部分的な脱脂を行い、
少なくとも1の溶媒を用いて1以上の抽出工程を行って、タンパク質を含む脱脂粉末をタンパク質製剤として取得し、少なくとも1の抽出工程が、皮が剥離されかつ部分的に脱脂されたヒマワリ種子の更なる脱脂を行い、
皮が剥離されたヒマワリ種子の油脂成分が10〜35重量%の範囲になるまで機械的な脱脂が行われる
タンパク質製剤の製造方法。 - 皮が剥離されたヒマワリ種子の油脂成分について、圧縮により得られる油かすの厚みが0.2〜4cmになるまで、好ましくは0.5〜2cmになるまで、前記部分的な脱脂が行われる請求項1に記載のタンパク質製剤の製造方法。
- 皮が剥離されたヒマワリ種子の油脂成分が12〜25重量%の範囲になるまで、好ましくは17〜25重量%になるまで、前記部分的な脱脂が行われる請求項1又は2に記載のタンパク質製剤の製造方法。
- 前記部分的な脱脂が、直径0.4〜4cm、好ましくは0.5〜2cmの範囲の略円形断面、又はエッジ長が0.4〜4cm、好ましくは0.5〜2cmの範囲の角ばった形状の断面を有する繊維状の油かすを生成し、前記油かすの破壊強度が2〜10N/mm2、好ましくは4〜8N/mm2である請求項1〜3のいずれか一項に記載のタンパク質製剤の製造方法。
- 皮の残留量が1重量%以下になるまでヒマワリ種子の皮の剥離が行われ、又は皮の残留量が1重量%以下である皮が剥離されたヒマワリ種子が用意される請求項1〜4のいずれか一項に記載のタンパク質製剤の製造方法。
- 食用のヒマワリ種子が使用される請求項1〜5のいずれか一項に記載のタンパク質製剤の製造方法。
- 前記部分的な脱脂及び更なる脱脂の間、皮が剥離されたヒマワリ種子の温度が10℃〜80℃の間に保たれる請求項1〜6のいずれか一項に記載のタンパク質製剤の製造方法。
- 前記部分的な脱脂及び更なる脱脂の間、皮が剥離されたヒマワリ種子の温度が70℃以下、好ましくは60℃以下に保たれる請求項1〜7のいずれか一項に記載のタンパク質製剤の製造方法。
- 前記部分的な脱脂及び前記1以上の抽出工程が行われ、タンパク質を含む脱脂粉末におけるタンパク質の変性の度合が最大で40%、好ましくは10%〜30%である請求項1〜8のいずれか一項に記載のタンパク質製剤の製造方法。
- いくつかの抽出工程が、親油性の溶媒を用いる少なくとも1の親油性抽出段階と、親水性の溶媒を用いる少なくとも1の親水性抽出段階を含む請求項1〜9のいずれか一項に記載のタンパク質製剤の製造方法。
- 前記親水性抽出工程を通じてタンパク質を含む粉末から非タンパク物質が枯渇され、最大10%のタンパク質の損失を伴いタンパク質が依然として大量に溶解しており、溶媒1リットル中のアルコール量が600〜800ミリリットルの間である水性アルコール溶媒が前記親水性溶媒として用いられる請求項10に記載のタンパク質製剤の製造方法。
- アルコールを含む溶媒を用いるいくつかの親水性抽出工程が行われ、ここで、1の抽出工程から次の工程への少なくとも1の移行において、アルコールを含む溶媒中のアルコール成分が増加される請求項10又は11に記載のタンパク質製剤の製造方法。
- 残留水成分が、第1の親水性抽出工程の後には20〜30%の間であり、親水性溶媒を用いる更なる抽出を通じて5〜10%に減少される請求項12に記載のタンパク質製剤の製造方法。
- タンパク質を含む粉末の機能的特性を変性するために、タンパク質を含む粉末の粒子サイズが変化され、又は、粒子サイズ若しくは粒子密度だけ分離される請求項1〜13のいずれか一項に記載のタンパク質製剤の製造方法。
- タンパク質を含む粉末の粒子サイズが500μmに減少されるか、又は、この粒子サイズの個片が分離される請求項14に記載のタンパク質製剤の製造方法。
- 抽出残留物に残る溶媒が、70℃未満の温度で真空を適用することにより除去される請求項1〜15のいずれか一項に記載のタンパク質製剤の製造方法。
- 真空が200〜800hPaの間であり、温度が40〜65℃の間である請求項16に記載のタンパク質製剤の製造方法。
- ヒマワリ種子から製造されるタンパク質製剤であって、乾燥質量に関して90%未満のタンパク質成分を有し、少なくとも70のCIE−L*a*b*色測定にしたがって決定される明度L*を有し、かつ、少なくとも水和、油結合及び乳化の機能的特性を呈するタンパク質製剤。
- 明度L*が少なくとも80、好ましくは少なくとも85、特に好ましくは少なくとも90であり、及び/又は、CIE−L*a*b*色測定にしたがうa*及びb*の値が、−5<a*<+5、−5<b*<+20の範囲、好ましくは−3<a*<+3、−2<b*<+15の範囲、特に好ましくは−1<a*<+1、0<b*<+10の範囲である請求項18に記載のタンパク質製剤。
- AACC決定法にしたがって決定された水和性が、乾燥重量で少なくとも2ml/g、好ましくは少なくとも3ml/gであり、及び/又は、脂肪結合決定法にしたがって決定された油結合が、少なくとも1ml/g、好ましくは少なくとも4ml/gであり、及び/又は、あらかじめ決定された伝導性測定法にしたがって決定された乳化能が、少なくとも400ml油/g、好ましくは少なくとも500ml油/gである請求項18又は19に記載のタンパク質製剤。
- Morrにしたがう前記方法を用いて決定されたタンパク質溶解性が、40%以上、好ましくは50%以上である請求項18〜20のいずれか一項に記載のタンパク質製剤。
- 発泡特性として少なくとも、鶏卵白の泡活性の少なくとも50%の泡活性を有し、攪拌された鶏卵白の泡密度の少なくとも50%及び/又は最大で200%の泡密度を有し、Hobartフードプロセッサーで泡立てた後に決定された攪拌された鶏卵白の泡安定性の少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、特に好ましくは少なくとも100%の泡安定性を有する請求項18〜21のいずれか一項に記載のタンパク質製剤。
- 乾燥質量に関する生の繊維成分が、少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%であり、及び/又は、最大で40%、好ましくは少なくとも30%である請求項18〜22のいずれか一項に記載のタンパク質製剤。
- CaviezelにしたがうBuchi法を用いて決定された乾燥質量に関する脂肪成分が、5%未満、好ましくは2%未満、特に好ましくは1%未満である請求項18〜22のいずれか一項に記載のタンパク質製剤。
- 少なくとも1の成分、好ましくは次の全ての物質の成分を有する請求項18〜24のいずれか一項に記載のタンパク質製剤:
乾燥質量で10%未満、好ましくは2%未満、特に好ましくは1%未満のフィタン酸成分;
乾燥質量で10%未満、好ましくは5%未満、特に好ましくは2%未満のオリゴ糖成分;
乾燥質量で8%未満、好ましくは3%未満、特に好ましくは0.5%未満のフェノール酸成分。 - 製剤に用いられるヒマワリ種子のアミノ酸組成と実質的に同等のアミノ酸組成を有する請求項18〜25のいずれか一項に記載のタンパク質製剤。
- 請求項1〜17のいずれか一項にしたがう方法で得られたタンパク質成分を、乾燥質量で50%〜70%(N×6.25)だけ有するタンパク質製剤。
- 請求項18〜27のいずれか一項にしたがう製剤を食品及び動物飼料の材料として使用する方法。
- 請求項18〜27のいずれか一項にしたがう製剤を、乳化若しくは泡安定性のための又は質感向上のための機能的材料として食品及び動物飼料に使用する方法。
- 請求項18〜29のいずれか一項にしたがうタンパク質製品を用いて、及び/又は、請求項1〜17のいずれか一項にしたがう方法で得られたタンパク質製剤を用いて製造された、ヒマワリ種子タンパク質粉末、濃縮タンパク質、乾燥質量で少なくとも90%のタンパク質成分を含むタンパク質分離物、食品、動物飼料、特に魚餌、食品及び/又は動物飼料の材料、又は、化粧品の形態からなる製品。
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