JP2023532314A - 非沈殿植物タンパク質単離物の生成 - Google Patents

非沈殿植物タンパク質単離物の生成 Download PDF

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Abstract

本発明は、80%を超える純度を示す植物部位由来のタンパク質単離物を調製するための方法であって、以下の連続的工程: a)該植物部位を酸性条件で洗浄することで酸洗浄植物部位を得る工程、b)該酸洗浄植物部位とアルカリ性溶液とを接触させる工程、及びc)液体画分を回収することで、80%を超える純度を示すタンパク質単離物を得る工程を含み、酸沈殿工程を含まない、方法に関する。

Description

本発明は、植物タンパク質単離物の調製に関する。
植物材料は汎用種由来の汎用的で多種多様な植物部位の群を含む。植物材料の一般的分類としては草、木、茎、根、種子、及び葉が挙げられる。各1種が多糖、タンパク質、脂質、及び他の微量成分で構成されていることから、基礎的な化学構造は構造間で類似している。代わりに、差異はこれらマクロ成分の間の割合、それらの種類、並びにそれらの生物活性、例えば構造 (木、茎、根)、呼吸活性(葉)、並びに植物のエネルギー貯蔵(デンプン及びタンパク質)(種子)において見られるはずである。したがって、タンパク質は、いくつかの種類の分子で構成される複雑で異なった構造に組み込まれている。
Osborneは種子タンパク質を溶解度に基づいて以下のように実験的に分類した:
・水で抽出可能(アルブミン);
・希塩類溶液中で抽出可能(グロブリン);
・水性アルコール中で抽出可能(プロラミン);
・弱酸性又はアルカリ性又は希釈SDS溶液で抽出可能(グルテリン)。
その後、種子タンパク質は、また沈降係数(S)に基づいて分類された(Mandal and Mandal (2000) Current Science 79:576-589)。
分類によって種子タンパク質は貯蔵タンパク質、構造タンパク質、及び生物活性タンパク質に分けられる。以下のTable 1(表1)に示すように、分類によって種子タンパク質は、多様な生物活性タンパク質(レクチン、酵素、及び酵素阻害剤)並びに種子発芽中に再動員される貯蔵タンパク質を構成する、アルブミン(2S)に分けられる。グロブリン(分子量が150~190kDaである7S及び分子量が300~360kDaである11/12S)は双子葉植物(例えば豆類及び油料種子豆)の主要な貯蔵タンパク質であり、一方、プロラミン及びグルテリンのファミリーは単子葉植物(例えば穀類)における主要な貯蔵タンパク質である。
種子由来のタンパク質濃縮物又はタンパク質単離物は、その栄養値及び機能的能力が理由で、食品産業の関心を集める成分となっている。一般に、最終製品の仕様に従って製造プロセスが開発される。実際、タンパク質成分の値はその純度及び機能性の関数として増加する。不溶性濃縮物の市場価格が低い一方で(2ユーロ/kg未満)、起泡するか、エマルジョンを安定化させるか、又はゲルを得ることが可能な可溶性タンパク質単離物は4~8ユーロ/kgという高い末端市場価格に達する。
湿式分画法は、タンパク質を他のマクロ成分、及びミクロ成分から分離及び単離するためにタンパク質の物理化学特性、例えば溶解度を利用することを目的とする単位操作の組み合わせである。この戦略を使用することで、グロブリンタンパク質画分に富んだタンパク質単離物を高純度レベル(乾物換算で90%超のタンパク質 - N x 6.25)で生成することが可能になる。
豆類種子又は油料種子ケークからタンパク質濃縮物又はタンパク質単離物を生成するために使用される最も単純な湿式分画法は、米国特許第2785155号に記載の2工程プロセスで構成される。このプロセスでは、原料をアルカリ性環境に懸濁させることで、タンパク質抽出(主にグロブリン及びアルブミンのファミリー)を可能にし、該タンパク質を溶媒中で可溶化し、他の不溶性成分(デンプン及び繊維)を同じ溶媒に分散させたままにする。
固液分離により上清を浄化した後、等電沈殿によってタンパク質精製を行う。塩酸のような酸化学物質の添加を管理することで、電荷が中和されるpH(通常はpH範囲4.0~5.0)に到達する。タンパク質と溶媒との間の相互作用が減少することで、タンパク質は相(溶液/懸濁液)を変化させ、沈殿するようになる。次に、固液分離によって沈殿タンパク質を収集することが可能になる。プロセスの終わりに沈殿タンパク質を中和し、乾燥させてもよい。
後に、プロセスは最適化され、タンパク質単離物を生成するための他のバージョン又は方法、例えば酸性環境中(Alli et al. (1993) J. Agr. Food Chem. 41:1830-1834)又は水中(Klamczynska et al. (2001) Int. J Food Sci. & Technol. 36:563-572)で抽出工程を行うことが提案された。得られた生成物の全体的純度を観察したところ、酸及び/又はアルカリ抽出は高い純度レベル(90%超)を示し、一方、水抽出タンパク質の純度レベルは50~65%である(Chereau et al. (2016) OCL 23:D406)。
或いは、酸沈殿の代わりに限外濾過法を使用してタンパク質を精製することもできる(Olsen et al. (1978) J. Sci. Food Agric. 29:323-331)。等電沈殿との主な差は、限外濾過アプローチを使用する場合に、溶解度及び技術的能力のようなタンパク質物理化学特性が一般的により高いレベルにあるということである。
古典的には、精製プロセス工程は最終単離物の収率及び純度を最大化するように設計される。通常、抽出及び可溶化はアルカリ性環境において実行される。というのも、抽出収率がより高くなり、フィチン酸とタンパク質との間の相互作用が減少することがあるからである(Ghodsvali et al. (2005) Food Res. Int. 38:223-231)。
しかし、極めてアルカリ性の条件(pH 11超)には欠点がある。というのも、極めてアルカリ性の条件がタンパク質を変性させることで、タンパク質の溶解度及び関連する技術機能特性が減少することがあるからである(Ma et al. (1990) J. Agric. Food Chem. 38:1707-1711; Manamperi et al. (2011) J. Food Sci. 76:E266-E273)。また、リジン、システイン、セリン、スレオニン、アルギニン、及びいくつかの他のアミノ酸残基のようなアミノ酸残基の損失が理由で、これらの条件によって消化率が影響されることがある。実際、アルカリ処理タンパク質は、いくつかの通常にはない化合物、例えばオルニチン、β-アミノアラニン、リジノアラニン、オルニチノアラニン、ランチオニン、メチルランチオニン、及びD-アロ-イソロイシン、並びに他のD-アミノ酸を含むことがある(Deng et al. (1990) Can. Inst. Food Sci. Technol. J. 23:140-142)。
更に、これらの酸化媒体中では、タンパク質とポリフェノールとの間の化学的に不可逆性の反応が促進される。高温、金属、及び酸素の存在も同様に酸化促進性因子であり、これにより、食品産業及び消費者には望まれない濃色の最終タンパク質単離物が生じる(Wanasundara (2011) Crit. Rev. Food Sci. Nutr. 51:635-677; Seczyk et al. (2019) Molecules 24:408)。
タンパク質単離物の香りを改善するために、いくつかの戦略が検討された。酸化環境に対抗するためにアルカリ性媒体に加えられる添加剤の使用がその1つである。例えば、ポリ酸、ヘキサメタリン酸ナトリウム(SHMP)、亜硫酸ナトリウム、又は亜硫酸水素ナトリウムのようないくつかの種類の抗酸化作用添加剤をこの段階で使用することができる。通常、添加剤の使用により、タンパク質及びポリフェノールの酸化現象、並びにそれらの相互作用が制限される。しかし、化学物質の添加はコストがかかり、これにより最終単離物の価格が増加する。更に、これらの分子の仕様は各国の規制により規制及び制限されることがある。
或いは、抽出工程及び可溶化工程の前に原料を洗浄することで異臭前駆体を除去することもできる。
通常、アルコール洗浄が粉及び脱脂ケークを浄化するための溶媒として使用される。というのも、アルコールには、アルコールに可溶性の材料、例えば単糖、オリゴ糖、脂質、及び灰分、並びに揮発物のような他の微量成分を試料から除去する能力があるからである。通常、この溶媒は大豆、ピーナッツ、及び落花生から豆の青臭さを除去することができる。したがって、食品グレードの両親媒性有機溶媒の使用は、原料を予備洗浄することで少量の脂質、及び異臭前駆体、例えばフェノール化合物を除去することを可能にする上でプラスとなりうる。しかし、予備洗浄に使用される溶媒とタンパク質との間の相互作用は、タンパク質3Dに対してマイナスの影響を示して、その構造を変性させることでその技術的機能性を減少させることがある(Roland et al. (2017) Cereal Chem. J. 94:58-65)。更に、エタノールの使用は技術的観点及びコストからの影響を示すことがある。実際、エタノールが可燃性及び爆発性であることは周知である。したがって、総所有コスト及び購入価格に関して比較的高価である爆発性雰囲気ゾーン(ATEX)環境及び機械/機器が、アルコールで予備洗浄された粉及びケークを処理するために必要になる。更に、このプロセスは、リサイクルするために、原料を脱溶媒する追加のプロセス及びエタノールを精製する追加のプロセスを必然的に伴う。
したがって、重要なことに、異臭の存在を制限し、匂い、色、及び機能的特性を向上させ、栄養阻害因子(anti-nutritional factors)を除去し、かつ/又は高価な機器を回避しながら、植物タンパク質単離物を高純度で調製するための新規方法が求められている。
米国特許第2785155号
Mandal and Mandal (2000) Current Science 79:576-589 Alli et al. (1993) J. Agr. Food Chem. 41:1830-1834 Klamczynska et al. (2001) Int. J Food Sci. & Technol. 36:563-572 Chereau et al. (2016) OCL 23:D406 Olsen et al. (1978) J. Sci. Food Agric. 29:323-331 Ghodsvali et al. (2005) Food Res. Int. 38:223-231 Ma et al. (1990) J. Agric. Food Chem. 38:1707-1711 Manamperi et al. (2011) J. Food Sci. 76:E266-E273 Deng et al. (1990) Can. Inst. Food Sci. Technol. J. 23:140-142 Wanasundara (2011) Crit. Rev. Food Sci. Nutr. 51:635-677 Seczyk et al. (2019) Molecules 24:408 Roland et al. (2017) Cereal Chem. J. 94:58-65
本発明は、植物材料に対して酸洗浄を行うことで、沈殿工程、特に酸沈殿工程を適用することなく、栄養阻害因子及び異臭を除去すること、及びアルカリ抽出によってタンパク質を直接的に単離することが可能であるという、本発明者らによる予想外の発見により生じる。この方法によって最終単離物の品質が向上される。というのも、この方法が異臭を除去し、望ましくない典型的な植物の匂いを減少させ、最終単離物の中性色を増加させることができるからである。また、栄養阻害因子であるα-ガラクトシドを除去することで、栄養品質が増加する。更に、沈殿工程、特に酸沈殿の実行を回避することで、タンパク質構造を維持し、それにより高品質タンパク質単離物を得ることが可能になる。また、有利なことに、前記方法により得られるタンパク質単離物は、向上された機能的特性、例えば向上された溶解度、向上されたゲル特性、向上された起泡性、及び低い粘度を示す。
したがって、タンパク質単離物を、食品組成物中で、特に従来の方法により得られるタンパク質単離物に比べて消化快適性(digestive comfort)を向上するタンパク質源として、かつ/又はその機能的特性のために、使用することができる。
したがって、本発明の第1の目的は、植物部位由来のタンパク質単離物、特にマメ科植物タンパク質単離物であって、乾物換算で少なくとも80%のタンパク質を含み、該タンパク質単離物の0.10重量%未満のα-ガラクトシドを含む、タンパク質単離物である。
本発明の別の目的は、上記定義の少なくとも1種のタンパク質単離物を含む組成物、特に食品組成物、飼料組成物、ペットフード組成物、化粧用組成物、栄養補助(nutraceutical)組成物、又は医薬組成物である。
本発明の別の目的は、上記定義のタンパク質単離物を調製するための方法であって、以下の連続的工程:
a) 前記植物部位を酸性条件で洗浄することで酸洗浄植物部位を得る工程、
b) 該酸洗浄植物部位とアルカリ性溶液とを接触させる工程、及び
c) 液体画分を回収することで、80%を超える純度を示すタンパク質単離物を得る工程を含む、方法である。
前記方法は酸沈殿工程を含まないことが好ましい。
したがって、本発明は特に、少なくとも80%、好ましくは85%以上の純度を示す植物部位由来のタンパク質単離物を調製するための方法であって、以下の連続的工程:
a) 該植物部位を酸性条件で洗浄することで酸洗浄植物部位を得る工程、
b) 該酸洗浄植物部位とアルカリ性溶液とを接触させる工程、及び
c) 液体画分を回収することで、少なくとも80%、好ましくは85%以上の純度を示すタンパク質単離物を得る工程を含み、
沈殿工程及び膜濾過工程を含まない、方法に関する。
本発明の別の目的は、特に上記定義の組成物中での、栄養成分、特に消化快適性を向上するための栄養成分、並びに/又は機能性成分、例えば起泡剤及び/若しくはゲル化剤としての、上記定義のタンパク質単離物の使用である。
植物及び植物部位
本明細書において、「植物」とは、すべての植物及び植物集団、例えば望ましい及び望ましくない野生植物、栽培品種、及び植物品種(植物品種権又は植物育成者の権利により保護可能な場合であれ、そうでない場合であれ)を意味する。本発明において使用可能な植物の例としてはマメ科植物、豆類、油料種子植物、穀類、根菜植物、及び微細藻類が挙げられる。
本明細書において、「豆類」とは、マメ科植物由来の食用種子を意味する。
豆類としては例えばルピナス、緑豆、バンバラ豆、イエローピー、大豆、空豆、ヒヨコ豆、レンズ豆、インゲン豆、及びクロヨナが挙げられる。
油料種子植物としては例えばキャノーラ、菜種、ヒマワリ、及びツバキが挙げられる。
穀類としては例えばトウモロコシ、エンバク、及び大麦が挙げられる。
根菜植物としては例えばジャガイモ及びキャッサバが挙げられる。
好ましい実施形態では、上記定義の植物は油料種子植物ではない。
特定の実施形態では、前記植物はマメ科植物である。
本明細書において、「マメ科植物」とは、以下の6つの亜科を含むマメ科(Fabaceae or Leguminosae family)の植物を意味する: ハナズオウ亜科(Cercidoideae)(ハカマカズラ(Bauhinia)属及びハナズオウ(Cercis)属を含む)、デタリウム亜科(Detarioideae)(ヨウラクボク(Amherstia)属、デタリウム(Detarium)属、及びタマリンド(Tamarindus)属を含む)、ドゥパルクエティア亜科(Duparquetioideae)(ドゥパルクエティア(Duparquetia)属を含む)、ディアリウム亜科(Dialioideae)(ディアリウム(Dialium)属を含む)、ジャケツイバラ亜科(Caesalpinioideae)(ジャケツイバラ(Caesalpinia)属、センナ(Senna)属、オジギソウ(Mimosa)属、及びアカシア(Acacia)属を含む)、並びにマメ亜科(Faboideae)(ゲンゲ(Astragalus)属、ルピナス(Lupinus)属、及びエンドウ(Pisum)属を含む)。
特定の実施形態では、前記植物はマメ亜科に、より特別にはヒヨコマメ(Cicer)属、グリシン(Glycine)属、レンリソウ(Lathyrus)属、レンズマメ(Lens)属、ルピナス(Lupinus)属、ウマゴヤシ(Medicago)属、インゲンマメ(Phaseolus)属、エンドウ(Pisum)属、ジャジクソウ(Trifolium)属、ソラマメ(Vicia)属、又はササゲ(Vigna)属である。
更に特定の実施形態では、前記植物はエンドウ豆、空豆、ヒヨコ豆、又は大豆である。
好ましい実施形態では、上記定義の植物は大豆ではなく、より好ましくはグリシンマックスではない。
好ましい実施形態では、上記定義の植物はマメ科植物であり、該マメ科植物は大豆ではなく、より好ましくはグリシンマックスではない。
1つの実施形態では、上記定義の植物、好ましくはマメ科植物は、グリシン属の植物ではない。
「植物部位」とは、植物のすべての地上及び地下の部位及び器官、例えば苗条、葉、花、及び根を意味し、例えば葉、針葉、茎、枝、花、子実体、果実、及び種子、並びに根、球茎、及び根茎が列挙される。作物並びに植生種苗及び繁殖種苗、例えば挿し木苗、球茎、根茎、匍匐根、及び種子も植物部位に属する。
本発明においては、植物部位は植物食品産業の副産物も包含する。
特定の実施形態では、前記植物部位は種子である。
特定の実施形態では、前記植物部位は、洗浄工程a)において、機械的に変換された形態、例えば粉(flour)又は殻むき種子として使用される。
特定の実施形態では、前記植物部位、特に前記種子は、本発明の方法の洗浄工程a)において、粉、殻むき種子、又はケークの形態で使用される。
しかし、本発明の方法の主な利点の1つが抽出中のタンパク質沈殿を回避することであることから、本発明の方法の洗浄工程a)中に使用される植物部位は先にタンパク質抽出に供されていないことが好ましい。
タンパク質単離物
本発明は特に、タンパク質単離物に関する。
通常、「タンパク質単離物」とは、乾物換算で少なくとも85%のタンパク質を含む生成物を意味する。通常、タンパク質単離物は、最大濃度のタンパク質を含むが食物繊維を含まないタンパク質生成物の最も精錬された形態に対応する。拡大解釈すれば、本明細書に定義の「タンパク質単離物」は、乾物換算で少なくとも80%のタンパク質を含む。
したがって、本発明のタンパク質単離物は乾物換算で少なくとも80%のタンパク質を含むことができ、このことは、タンパク質単離物が乾物換算で少なくとも80%の純度を示すことを意味している。
本明細書において、「純度」とは、乾物換算での単離物の総重量に対する単離物中のタンパク質の重量の比を意味する。
タンパク質単離物は、上記定義の方法、又は以下の「タンパク質単離物を調製するための方法」という節に定義の方法により得ることが好ましい。
したがって、本発明の方法は、少なくとも80%、好ましくは85%以上の純度を示すタンパク質単離物を調製することを可能にする。
本発明のタンパク質単離物は粉末の形態であることが好ましい。
好ましい実施形態では、タンパク質単離物はマメ科植物タンパク質単離物であり、該マメ科植物は好ましくは大豆ではなく、より好ましくはグリシンマックスではない。
上記定義のタンパク質単離物は殻むき種子又は粉から得ることが好ましい。
本発明のタンパク質単離物は、特に、本明細書では「標準的pHメトリック法」とも呼ばれる、第1のアルカリ抽出工程、続いて第2の酸沈殿工程を含む方法により得られるタンパク質抽出物、好ましくは市販のタンパク質単離物に比べて向上された色、向上された味、向上された匂い、向上された溶解度、ゲル化特性、向上された起泡性、低い粘度、及び減少したα-ガラクトシドの量からなる群から選択される少なくとも1つの特徴、好ましくは少なくとも2つの特徴、より好ましくは少なくとも3つ、4つ、5つ、6つ、又は7つの特徴を更に特徴とすることが好ましい。
上記定義のタンパク質単離物は、特に、本明細書では「標準的pHメトリック法」とも呼ばれる、第1のアルカリ抽出工程、続いて第2の酸沈殿工程を含む方法により得られるタンパク質抽出物、好ましくは市販のタンパク質単離物に比べて減少したα-ガラクトシドの量を有することが好ましく、かつ、向上された色、向上された味、向上された匂い、向上された溶解度、ゲル化特性、向上された起泡性、及び低い粘度からなる群から選択される少なくとも1つの特徴、好ましくは少なくとも2つの特徴、より好ましくは少なくとも3つ、4つ、5つ、又は6つの特徴を更に特徴とすることが好ましい。
例えば、標準的pHメトリック法は、例えば55℃で30分間のpH 9での第1のアルカリ抽出工程、及び例えば55℃で15分間のpH 4.5での第2の酸沈殿工程を含む。
標準的pHメトリック法は以下の工程を特に含みうる:
- 上清を得るための、好ましくは55℃での、好ましくはNaOHによる、好ましくは30分間の、pH 9での第1のアルカリ抽出工程、続いて1回又は2回の固液分離、
- 沈殿物を得るための、好ましくは55℃での、好ましくは硫酸による、好ましくは15分間の、得られた上清に対するpH 4.5での第2の酸沈殿工程、
- 場合によっては、得られた沈殿物の、好ましくは水による、pH 4.5での洗浄工程、続いて固液分離、
- 場合によっては、NaOHによるpH 6.8~7での中和工程、
- 場合によっては、例えば90℃で90秒間の熱処理工程、及び
- 場合によっては、好ましくは噴霧乾燥機中での乾燥工程。
標準的pHメトリック法を実施例5に示す。
標準的pHメトリック法は、特にタンパク質単離物の感覚受容特性、機能特性、及び/又は栄養特性を改善することを目的とする追加の工程を含まない。
色、味、及び匂いがタンパク質単離物の感覚受容品質を特に規定する。
本明細書において、「向上された色を示すタンパク質単離物」とは、粉末の形態で得られるタンパク質単離物が、特に標準的pHメトリック法により得られるタンパク質単離物粉末に比べて黄色味が少ない様相を示し(すなわち低いb*値)、好ましくは著しく明るい(すなわち高いL*値)ということを意味する。
本発明のタンパク質単離物は、15未満、好ましくは14未満、より好ましくは13未満のb値を示すことが好ましい。対照的に、標準的pHメトリック法により得られるタンパク質単離物、又は公知の市販のタンパク質単離物は、20を超える、時として30さえ超えるb*値を示す。
色は当業者に周知である任意の方法により評価されうる。例えば、Table 14(表14)に開示のL*a*b法に従って比色計により色を評価することができる。
粉末の粒度分布がL*値に影響することがあることから、同様の粒度分布を有する粉末に関して2種類の粉末間の色比較を行わなければならない。
本明細書において、「向上された匂いを示すタンパク質単離物」とは、タンパク質単離物が、特に標準的pHメトリック法により得られるタンパク質単離物粉末に比べて豆臭のない中性の臭気を示すことを意味する。
匂いは当業者に周知である任意の方法により評価されうる。例えば、乾燥形態又は液体形態のタンパク質単離物に対して官能パネルを使用することができる。
本明細書において、「向上された味を示すタンパク質単離物」とは、タンパク質単離物が、特に標準的pHメトリック法により得られるタンパク質単離物粉末に比べて中性的な味及び/又は良好な口内知覚を示すことを意味する。
本発明のマメ科植物タンパク質単離物は有利なことにナッツ、穀類、及び/又はミルクの風味を示し、一方、市販の基準物質又は標準的pHメトリック法により得られるタンパク質単離物はエンドウ豆又は生豆の後味を示す。
味は当業者に周知である任意の方法により評価することができる。例えば、乾燥形態又は液体形態のタンパク質単離物に対して官能パネルを使用することができる。
溶解度、ゲル化特性、起泡性、及び低い粘度がタンパク質単離物の機能特性を特に規定する。
本明細書において、「向上された溶解度を示すタンパク質単離物」とは、上記定義のタンパク質単離物の溶解度が、標準的pHメトリック法により得られるタンパク質単離物の溶解度よりも高いことを意味する。
本発明の単離物タンパク質の2%タンパク質溶液中での溶解度は、標準的pHメトリック法により得られるタンパク質単離物の溶解度よりもpH 6で少なくとも30%高く、pH 8で少なくとも10%高いことが好ましい。
溶解度は当業者に周知である任意の方法により評価されうる。例えば、標的pHでの2%タンパク質溶液の調製、及び遠心分離(15000g、10分)後の上清に関するケルダール法によるタンパク質含有量の推定である。
本明細書において、表現「x%タンパク質溶液」とは、溶液100mlについてタンパク質xgを含む溶液を意味する。
本発明のタンパク質単離物の溶解度は、好ましくはpH 8で50%超、より好ましくはpH 8で60%超、更に好ましくはpH 8で70%超である。
本明細書において、「ゲル化特性を示すタンパク質単離物」とは、タンパク質単離物のタンパク質が、特に標準的pHメトリック法により得られるタンパク質単離物とは対照的に、10%タンパク質溶液の加熱によりゲルを形成する能力を有することを意味する。
ゲル化特性は当業者に周知である任意の方法により評価されうる。例えば、pH 7の10%タンパク質溶液を2℃/分の勾配による25℃~90℃の温度勾配に供する。粘度測定を40mmプレート/プレート幾何形状を有するDHR-2レオメーター(TA社)によって行う。
本明細書において、「向上された起泡性を示すタンパク質単離物」とは、該タンパク質単離物の0.1%タンパク質溶液の起泡量が、標準的pHメトリック法により得られるタンパク質単離物のタンパク質溶液よりも、20秒後に少なくとも1.1倍高いこと、及び/又は600秒後に少なくとも15倍高いことを意味する。
起泡性は当業者に周知である任意の方法により評価されうる。例えば、pH 7の0.1%タンパク質溶液の起泡量及び安定性をFOAMSCAN(商標)装置によって測定する。
本明細書において、「低い粘度を示すタンパク質単離物」とは、該タンパク質単離物の10%タンパク質溶液の粘度が剪断速度100s-1で0.1Pa/s未満、好ましくは0.05Pa/s未満であることを意味する。
タンパク質単離物の10%タンパク質溶液の粘度は、同じ剪断速度、例えば剪断速度100s-1で、標準的pHメトリック法により得られるタンパク質単離物の同等の溶液よりも4倍低いことが有利であり、5倍低いことが好ましい。
粘度は当業者に周知である任意の方法により評価することができる。例えば、粘度を40mmプレート/プレート幾何形状を有するDHR-2レオメーター(TA社)によって測定する。
栄養阻害因子であるα-ガラクトシドの量の減少がタンパク質単離物の栄養品質を特に規定する。
α-ガラクトシドの量の減少によって消化快適性が特に改善される。
実際、α-ガラクトシドは消化不能な糖であり、これにより膨満感及び消化の問題が引き起こされることがある。α-ガラクトシドは種子、例えばエンドウ豆、レンズ豆、及びインゲン豆に存在する。
本発明において、「α-ガラクトシド」とは、α結合の存在を特徴とする、ガラクトースを含むグリコシドを意味する。マメ科植物種子に見られる主要なα-ガラクトシドはラフィノース、スタキオース、及びベルバスコースである。
したがって、本明細書において、「α-ガラクトシドの量」とは、ラフィノース、スタキオース、及びベルバスコースの量を意味する。
α-ガラクトシドは成熟マメ科植物種子の乾燥重量の約5~18%を構成する。
例示として、平均α-ガラクトシド含有量はエンドウ豆粉100g中5gであり、エンドウ豆濃縮物100g中10gである(IMPROVEデータ)。
本発明のタンパク質単離物は、タンパク質単離物の0.10重量%未満のα-ガラクトシドを含むことが好ましい。
対照的に、標準的pHメトリック法により得られるタンパク質単離物は、タンパク質単離物の1.7重量%超のα-ガラクトシドを含む。
上記定義のタンパク質単離物は、タンパク質単離物の0.10重量%未満のα-ガラクトシドを含み、かつ以下からなる群から選択される少なくとも1つの特徴、好ましくは少なくとも2つの特徴、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、又は7つの特徴を有することを特徴とすることが好ましい:
- 第1のアルカリ抽出工程、続いて第2の酸沈殿工程を含む方法により得られるタンパク質単離物に比べて黄色味が少ない色、
- 第1のアルカリ抽出工程、続いて第2の酸沈殿工程を含む方法により得られるタンパク質単離物に比べて向上された味、
- 豆臭のない中性の臭気、
- 2%タンパク質溶液中、pH8で50%を超える溶解度、
- 第1のアルカリ抽出工程、続いて第2の酸沈殿工程を含む方法により得られるタンパク質単離物に比べて向上された起泡性、
- ゲル化特性、及び
- 低い粘度。
上記定義の好ましいタンパク質単離物は、
- 乾物換算で少なくとも80%のタンパク質を含み、
- タンパク質単離物の0.10重量%未満のα-ガラクトシドを含み、
- (i) 第1のアルカリ抽出工程、続いて第2の酸沈殿工程を含む方法により得られるタンパク質単離物に比べて黄色味が少ない色、及び/又は(ii) 2%タンパク質溶液中、pH8で50%を超える溶解度を示し、
- 場合によっては、(i) 第1のアルカリ抽出工程、続いて第2の酸沈殿工程を含む方法により得られるタンパク質単離物に比べて向上された味、及び/又は(ii) 豆臭のない中性の臭気を示す、
ことを特徴とする。
より特別には、上記定義の好ましいタンパク質単離物は、
- 乾物換算で少なくとも80%のタンパク質を含み、
- タンパク質単離物の0.10重量%未満のα-ガラクトシドを含み、
- (i) 15よりも低い、好ましくは14よりも低い、より好ましくは13よりも低いb値、及び/又は(ii) 2%タンパク質溶液中、pH8で50%を超える溶解度を示し、
- 場合によっては、(i) ナッツ、穀類、及び/若しくはミルクの風味を特徴とする味、並びに/又は(ii) 豆臭のない中性の臭気を示す、
ことを特徴とする。
上記定義のマメ科植物タンパク質単離物、特に本発明のエンドウ豆タンパク質単離物又は空豆タンパク質単離物は、特にアルカリ抽出工程、続いて酸沈殿工程を含む方法により得られるタンパク質単離物に比べて向上された色、向上された味、向上された匂い、向上された溶解度、ゲル化特性、向上された起泡性、低い粘度、及び減少したα-ガラクトシドの量を特に特徴とする。
タンパク質単離物を含む組成物
本発明はまた、上記定義の少なくとも1種のタンパク質単離物を含む組成物に関する。
上記定義の組成物は0.01%~99%のタンパク質単離物を含むことができ、この割合は組成物の重量に対する比で表される。
特にタンパク質単離物が機能性剤として使用される場合、上記定義の組成物は、例えば0.01~5%のタンパク質単離物、好ましくは0.1%~5%のタンパク質単離物、より好ましくは1%~5%のタンパク質単離物を含み、この割合は組成物の重量に対する比で表される。
或いは、特にタンパク質単離物が栄養剤として使用される場合、上記定義の組成物は5%~90%のタンパク質単離物、好ましくは5%~80%のタンパク質単離物、より好ましくは5%~70%のタンパク質単離物、更に好ましくは5%~60%のタンパク質単離物、なお更に好ましくは5%~50%のタンパク質単離物、例えば5%~40%のタンパク質単離物又は5%~30%のタンパク質単離物を含むことができ、この割合は組成物の重量に対する比で表される。
少なくとも2種の上記定義のタンパク質単離物が組成物中で使用される場合、異なる属及び/又は種のマメ科植物に由来することが好ましい。
少なくとも2種の上記定義のタンパク質単離物が組成物中で使用される場合、上記割合は本発明のタンパク質単離物の総重量に対応する。
上記定義の組成物は食品組成物、飼料組成物(例えばアクアフィードであるがそれに限定されない)、ペットフード組成物、化粧用組成物、栄養補助組成物、又は医薬組成物であることが好ましい。
食品組成物、特にヒト消費用の食品組成物は、例えば、代用肉若しくは類似物、代用乳製品若しくは類似物、スナック、シリアル製品、又はスポーツ栄養に好適な機能性製品を含みうるか、或いはそれからなりうる。食品組成物は、例えば植物系ヨーグルト、植物系飲料、若しくは高タンパク質スナックを含みうるか、又はそれからなりうる。
タンパク質単離物の使用
上記定義のタンパク質単離物は、その栄養品質並びに機能特性、特にそのゲル化特性及びその起泡性が理由で、栄養成分、特に消化快適性を改善するための栄養成分、並びに/又は機能性成分、例えば起泡剤及び/若しくはゲル化剤として使用することができる。
したがって、本発明はまた、特に上記定義の組成物中での、栄養成分、例えば消化快適性を改善するための栄養成分、並びに/又は機能性成分、例えば起泡剤及び/若しくはゲル化剤としての、上記定義のタンパク質単離物の使用に関する。
タンパク質単離物を調製するための方法
したがって、本発明は、タンパク質単離物、特に上記定義のタンパク質単離物を調製するための方法であって、以下の連続的工程:
a) 該植物部位を酸性条件で洗浄することで酸洗浄植物部位を得る工程、
a') 場合によっては、該酸洗浄植物部位を水溶液でリンスする工程、
b) 工程a)又はa')において得られた該酸洗浄植物部位とアルカリ性溶液とを接触させる工程、及び
c) 液体画分を回収することで、少なくとも80%、好ましくは85%以上の純度を示すタンパク質単離物を得る工程を含む、方法に関する。
上記定義の方法は、特に少なくとも80%、好ましくは85%以上の純度を示すタンパク質単離物を工程c)において得るための酸沈殿、好ましくは沈殿工程を含まないことが好ましい。
上記定義の方法は沈殿工程を含まないことが好ましい。
上記定義の方法は膜濾過工程を含まないことが好ましい。
上記定義の方法は植物部位の脂質を除去する工程を含まないことが好ましい。
有利なことに、上記定義の方法は、デンプン変性なしにデンプンと繊維との分割のプロセスを可能にする。
洗浄工程a)、リンス工程a')、並びに抽出工程(工程b)及びc)を含む)は、具体的には以下に定義の通りである。
好ましい実施形態では、タンパク質単離物はマメ科植物であり、該マメ科植物は好ましくは大豆ではなく、より好ましくはグリシンマックスではない。
洗浄工程
本発明の方法の工程a)は、上記「植物及び植物部位」の節に定義の植物部位を酸性条件で洗浄することで酸洗浄植物部位を得ることで構成される。
植物部位は殻むき種子又は粉の形態で得られることが好ましい。
粉は、粒子の90%が粒径300μm未満を有する(D90-300μmとも呼ばれる)か又は粒径200μm未満を有する(D90-200μmとも呼ばれる)ことを特徴としうる。
植物部位は脱脂植物部位でないことが好ましい。
本明細書において、「酸性条件」とは、前記植物部位を洗浄する洗浄溶液がpH 7未満を有することを意味する。好ましくは、前記洗浄工程のpHは3.5~5、より特別には4~4.5である。
通常、前記洗浄溶液は酸性化水でありうる。前記酸性化水は、弱酸、例えばクエン酸を使用して、又は強酸、例えば硫酸を使用して得ることができる。
前記洗浄は当業者に周知である任意の技術により実行することができる。通常は前記植物部位を前記酸性化水と混合し、5分~30分間、特に10分~20分間インキュベートすることができる。
特定の実施形態では、前記洗浄工程を撹拌下で行う。
更に特定の実施形態では、前記洗浄工程を10℃~60℃、より特別には12℃~55℃、更に特別には20℃~50℃の温度で行う。特定の実施形態では、前記洗浄工程を10℃~20℃、より特別には12℃~15℃の温度で行う。代替的な実施形態では、前記洗浄工程を50℃~60℃、より特別には50℃~55℃の温度で行う。
好ましい実施形態では、洗浄工程を52℃~58℃、例えば約55℃の温度で行う。
特定の実施形態では、前記酸洗浄植物部位を前記洗浄工程の終わりに固液分離によって回収する。
固液分離技術は当業者に周知であり、浮上分離、沈降、遠心分離、ケーク濾過、スクリーニング、及び付着が挙げられる。特定の実施形態では、前記固液分離を遠心分離により行う。
当業者が理解するように、本発明の方法の工程a)において洗浄される植物部位に含まれる関心対象のタンパク質は酸性pHにおいて可溶性ではない。対照的に、潜在的な異臭の原因となる分子、及び前記植物部位のアルブミン画分は、これらの条件において通常は可溶性である。
予想外にも、工程a)の間にα-グルコシドも可溶化される。
したがって、関心対象のタンパク質は固液分離後に通常は固相中で回収され、一方、潜在的な異臭の原因となる分子、α-ガラクトシド、黄色の着色、及びアルブミンは固液分離後に通常は液相を通じて廃棄される。
特定の実施形態では、前記洗浄工程の終わりに回収される前記酸洗浄植物部位は、3.5~5、より特別には4~4.5のpHを有する。
特定の実施形態では、前記洗浄工程を繰り返すことがある。しかし、前記洗浄工程は1回のみ実行されることが好ましい。
リンス工程
特定の実施形態では、本発明の方法は、洗浄工程a)と接触工程b)との間に、前記酸洗浄植物部位を水溶液でリンスする工程を更に含む。
リンス工程によってタンパク質単離物の純度が増加する。
前記水溶液は水、特に超純水であることが好ましい。
前記リンスは当業者に周知である任意の技術により実行されうる。通常は前記酸洗浄植物部位を前記水溶液と混合し、5分~30分間、特に10分~20分間インキュベートすることができる。
特定の実施形態では、前記リンス工程を撹拌下で行う。
更に特定の実施形態では、前記リンス工程を10℃~60℃、より特別には12℃~55℃、更に特別には20℃~50℃の温度で行う。特定の実施形態では、前記リンス工程を10℃~20℃、より特別には12℃~15℃の温度で行う。代替的な実施形態では、前記リンス工程を50℃~60℃、より特別には50℃~55℃の温度で行う。
好ましい実施形態では、リンス工程を52℃~58℃、例えば約55℃の温度で行う。
特定の実施形態では、前記リンス済み酸洗浄植物部位を前記リンス工程の終わりに固液分離によって回収する。
固液分離技術は当業者に周知であり、浮上分離、沈降、遠心分離、ケーク濾過、スクリーニング、及び付着が挙げられる。特定の実施形態では、前記固液分離を遠心分離により行う。
特定の実施形態では、前記リンス工程の終わりに回収される前記リンス済み酸洗浄植物部位は、3.5~5、より特別には3.5~4のpHを有する。
特定の実施形態では、前記リンス工程を繰り返すことがある。前記リンス工程は2回実行されることが好ましい。
抽出工程
本発明の方法の工程b)は、酸洗浄植物部位(又は、リンス工程を行う場合はリンス済み酸洗浄植物部位)とアルカリ性溶液とを接触させることで構成される。
本明細書において、「アルカリ性溶液」とは、pH 7超、好ましくはpH 8超、より好ましくはpH 9を有する溶液を意味する。
特定の実施形態では、前記酸洗浄植物部位を水溶液、例えば水と混合した後、該混合物のpHをアルカリ性pH、特にpH 7超、好ましくはpH 8超、より好ましくはpH 9に調整する。
代替的な実施形態では、前記酸洗浄植物部位をpH 7~9、特にpH 7、8、又は9を有するアルカリ性溶液と混合する。
前記接触工程は当業者に周知である任意の技術により実行されうる。通常は前記酸洗浄植物部位を前記溶液と混合し、5分~30分間、特に10分~20分間インキュベートすることができる。
特定の実施形態では、前記接触工程を撹拌下で行う。
前記酸洗浄植物部位は前記接触工程中に懸濁液の形態ではないことが好ましい。
更に特定の実施形態では、前記接触工程を10℃~60℃、より特別には12℃~55℃、更に特別には20℃~50℃の温度で行う。特定の実施形態では、前記接触工程を10℃~20℃、より特別には12℃~15℃の温度で行う。代替的な実施形態では、前記接触工程を50℃~60℃、より特別には50℃~55℃の温度で行う。
本発明の方法の工程c)は、本発明の方法により調製されるタンパク質単離物に対応する液体画分を回収することで構成される。
実際、関心対象のタンパク質はアルカリ性pHで通常は可溶性であり、これにより、当該pHで通常は可溶性である植物部位の他の構成成分、例えばプロラミン画分及びグルテリン画分から該タンパク質を分離することが可能になる。
特定の実施形態では、前記回収工程を10℃~60℃、より特別には12℃~55℃、更に特別には20℃~50℃の温度で行う。特定の実施形態では、前記回収工程を10℃~30℃、好ましくは10℃~20℃、より特別には12℃~15℃の温度で行う。代替的な実施形態では、前記回収工程を50℃~60℃、より特別には50℃~55℃の温度で行う。
抽出工程、すなわち工程b)及び工程c)の両方は、30℃以下の温度で行うことが有利である。実際、30℃を超える温度により、デンプンが分解され、タンパク質単離物の品質が変化することがある。
特定の実施形態では、前記液体画分を前記回収工程の終わりに固液分離によって回収する。
固液分離技術は当業者に周知であり、浮上分離、沈降、遠心分離、ケーク濾過、スクリーニング、及び付着が挙げられる。特定の実施形態では、前記固液分離を遠心分離により行う。
本発明者らは、先行技術の抽出方法の収率と同様の収率である約65%の、植物部位に存在するタンパク質が、本発明の方法を使用して抽出されたことを実証した。更に、本発明の方法は、タンパク質単離物を実験室規模及び準工業規模の両方において純度80%超、好ましくは85%超で得ることを可能にする。
しかし、本発明の方法は、この純度レベルを示すタンパク質単離物を得るために、沈殿工程、特に酸沈殿工程、及び膜濾過工程を必要としない。したがって、本発明においては、通常、タンパク質単離物を前記回収工程c)において直接得る。当業者が理解するように、沈殿工程を適用しないという事実により、単離物に存在する抽出タンパク質の変性を回避することが可能により、したがってタンパク質単離物の品質が向上される。
本明細書において、「沈殿工程」とは、試料に存在するタンパク質を沈殿させることを目的とする工程を意味する。この沈殿工程は当業者に周知であり、通常は酸沈殿、有機溶媒沈殿、熱沈殿、イオン力沈殿、並びにそれらの組み合わせ、例えば酸及び熱沈殿が挙げられる。通常は、酸沈殿工程は、グロブリンの等電pHで、例えばpH 6以下、例えばpH 5又は4以下で、好ましくは塩酸(HCl)を使用して行われる。
本明細書において、「膜濾過工程」とは、液体試料からタンパク質を分離することを目的とする工程を意味する。この膜濾過工程は当業者に周知であり、微量濾過、ナノ濾過、限外濾過、逆浸透、膜クロマトグラフィー、高速接線流濾過、及び電気泳動膜接触器が挙げられる。
当業者により理解されるように、本発明の方法により純度80%超、好ましくは85%超を示すタンパク質単離物を得るために、沈殿工程(特に酸沈殿工程)又は膜濾過工程は適用されない。しかし、当業者が前記単離物のタンパク質を更に精製すること又は前記単離物の特定のタンパク質を更に抽出することを望むのであれば、この沈殿工程及び/又は膜濾過工程を、本発明の方法により得られるタンパク質単離物に適用してもよい。
更に、本発明の方法を、タンパク質を通常は異なるpHで順次抽出するために使用することができる。
当該の特定の実施形態では、前記抽出工程b)及びc)をより高いpHで少なくとも1回繰り返す。
この繰り返しによって、異なるアルカリ性pHで可溶性を示す異なるタンパク質を順次抽出することが可能になる。
更に、例えば、前記抽出工程b)をpH 7で行った後、前記回収工程c)の後にpH 8で繰り返し、そして例えばpH 9で再度繰り返すことができる。
タンパク質単離物を調製するための上記定義の方法は、例えば以下の連続的工程:
a) 前記植物部位を酸性条件で洗浄することで酸洗浄植物部位を得る工程、
a') 場合によっては、該酸洗浄植物部位を水溶液で例えば1回又は2回リンスする工程、
b) 工程a)又はa')において得られた該酸洗浄植物部位とアルカリ性溶液とを第1のpHで接触させる工程、
c) 液体画分を回収する工程、
b') 工程c)において得られた該液体画分とアルカリ性溶液とを第2のpHで接触させる工程、
c') 液体画分を回収する工程、
b'') 工程c')において得られた該液体画分とアルカリ性溶液とを第3のpH1で接触させる工程、及び
c'') 液体画分を回収することで、80%を超える純度を示すタンパク質単離物を得る工程を含むことができ、
第1のpHは第2のpH以下であり、第2のpHは第3のpH以下であり、
本方法は、酸沈殿工程、好ましくはいかなる沈殿工程を含まないこと、及び場合によってはいかなる膜濾過工程を含まないことが好ましい。
例えば、上記定義の方法において、第1のpHは7であり、第2のpHは8であり、第3のpHは9である。
追加の工程
本発明の方法は、前記回収工程c)の後に、任意的な追加の工程、典型的には、前記タンパク質単離物を安定化するか、保存するか、濃縮するか、又は包装するために有用な追加の工程を更に含みうる。
特定の実施形態では、本発明の方法は、前記回収工程c)の後に中和工程、熱処理工程、濃縮工程、及び/又は乾燥工程を更に含む。
中和工程は当業者に周知であり、通常は、タンパク質単離物のpHを約7の値に調整することを包含する。
熱処理工程は当業者に周知であり、タンパク質単離物を安定化することを目的とする。例えば、熱処理は管状熱交換器中にて例えば70℃を超える温度、例えば90℃で短期間、例えば30秒~2分間、通常は90秒間行うことができる。
濃縮工程は蒸発等の当業者に周知である任意の技術により行われうる。
乾燥工程は噴霧乾燥等の当業者に周知である任意の技術により行われうる。
本発明を以下の図面及び実施例によって更に説明する。
パイロット規模プロセスの記載である。 起泡性の評価を示す図である。 タンパク質の溶解度を示す図である。 標準的pHメトリックタンパク質のゲル化特性を示す図である。 本発明の方法により得られるタンパク質のゲル化特性を示す図である。 タンパク質溶液(10% DS)の粘度を示す図である。 DS含有量による粘度変化を示す図である。
(実施例1)
空豆に関するプロセスの開発
これら一連の予備試験の目的は、タンパク質の抽出及び精製のプロセスの主要工程を確定することにあった。殻むき空豆粉を用いて実験室規模で行った。
材料及び方法をTable 2(表2)に記載する。
結果及び考察
Table 3(表3)に示すように、酸洗浄と引き続くアルカリ抽出との組み合わせによってタンパク質濃縮物が生成された。抽出物の純度は沈殿なしで乾物基準でタンパク質80%超である。
第2の試験は、洗浄工程中のタンパク質損失を減少させるために、かつ最終抽出物の純度を増加させるために行われた。
分析結果及び物質収支をTable 3(表3)に示す。抽出物の最終純度は沈殿なしで85%超であった。更に、タンパク質抽出収率は標準的pHメトリック法と同等であった。
供給タンパク質の17%が洗浄及びリンスの上清中で回収された。この画分は、標準的pHメトリック法において沈殿物上清中で回収されるアルブミン画分に対応している。
供給タンパク質の11%は抽出後に不溶性のままであった。それは、標準的pHメトリック法でもやはり回収されないプロラミン画分及びグルテリン画分に対応している。
タンパク質の65%がアルカリ性条件下で抽出された。この収率はpHメトリック法と同等である。
結論
本発明の方法は非沈殿タンパク質単離物の生成を可能にする。抽出収率は先行技術のpHメトリック法に比べて変化しない。
(実施例2)
空豆に関するプロセスの改善
これら一連の試験の目的は、投入物(酸)の量を減少させることでプロセスを最適化することにあった。殻むき空豆粉を用いて実験室規模で行った。
材料及び方法をTable 4(表4)に記載する。
結果及び考察
Table 5(表5)に示すように、クエン酸及びクエン酸ナトリウムの比がどうであっても、タンパク質の抽出収率及び純度の有意差はなかった。更に、緩衝効果はクエン酸ナトリウムの添加によって改善されなかった。
これらの結果によれば、pHが4.45~4.86に維持されている限り、適切な純度及び抽出収率を実現することができた。
しかし、供給粉に関連する酸の消費量は相当に高かった。
投入物の量を減少させるために、強酸を用いて第2セットの試験を行った。
Table 6(表6)に示すように、抽出物の純度は硫酸の使用により変化しなかった。他方で、投入物の消費量は有意に減少した。
緩衝効果は強酸の使用により変化しなかった。リンス工程中、pHを4.6~4.7に維持することができた。
結論
酸予備洗浄、続いてアルカリ抽出を含む方法を、硫酸等の強酸を使用して、タンパク質抽出物の純度を変化させずに適用することができた。
酸性化ペレットの緩衝効果は、リンス工程中に低いpHを維持する上で十分に高かった。強酸の使用により投入物の消費量を有意に減少させることができた。
(実施例3)
順次抽出
本発明の方法をタンパク質の範囲拡張の基礎として使用することができた。酸洗浄の後に異なるpHで順次抽出することでタンパク質のクラッキングを行うことができる。
予備洗浄及び固液分離のための材料及び方法をTable 4(表4)に示す。
抽出工程及び脂質分析をTable 7(表7)に記載のように行った。
結果
Table 8(表8)に示すように、pH 7及びpH 9での抽出によってタンパク質単離物が生成された。pH 8では、タンパク質純度は85%未満であった。68%超のグロブリン画分がpH 7で抽出された。
pH 7での抽出の直後にpH 9での抽出を行う第2の試験を行った。
結果の概要をTable 9(表9)にまとめた。やはり、グロブリンの主要画分がpH 7で抽出された。また、タンパク質純度はこのpHでより高かった。更に、脂質含有量はpH 9での抽出後に有意により高かった。
結論
酸予備洗浄、続いてアルカリ抽出を含む方法により、異なるアルカリ性pHでの順次抽出が可能になった。
タンパク質画分の組成は抽出pHにより異なっていた。
更に、脂質は1つの特定のタンパク質画分に隔離可能であるようであった。また、タンパク質画分が同じpHにおいて可溶性ではないことから、異なる機能性が予想されうる。例えば、pH 7で抽出される画分は、飲料用途で可溶性タンパク質又はインスタントタンパク質として使用可能である。
(実施例4)
エンドウ豆タンパク質への適用
本発明の方法をイエローピー種子に適用した。材料及び方法をTable 5(表5)に記載する。したがって、種子は粉D90=300μm及びD50=100μmの形態となる。
アルカリ性抽出物の純度は乾物換算でタンパク質85%超であり、グロブリン回収収率は68%であった。これは空豆の結果と一致している。
したがって、本発明の方法はエンドウ豆タンパク質の生成に好適である。
(実施例5)
エンドウ豆タンパク質の品質の比較
従来のpHメトリック法と本発明の方法とを比較するために2つの試験をパイロット規模で行った。
両方法のプロセス図を図1に示す。
適用されるパラメータ及び分析方法をTables 10、11、及び12(表10、表11、及び表12)にまとめた。
結果
Table 13(表13)に示すように、両粉末間で色の有意差が存在する。
各生成物をそのまま、及び4%溶液中で6名の異なる人々(ナイーブパネル)により試験した。本発明の方法により得られるタンパク質の豆臭強度は、標準的pHメトリック法のタンパク質よりも有意に低いと評価された。
図2に示すように、本発明の方法により得られるタンパク質は沈殿タンパク質よりも高い起泡性を示し、泡は経時的に安定である。
図3及び以下のTable 14(表14)に示すように、タンパク質溶解度も本発明の方法によって有意に向上された。
Table 14(表14)は、本発明のタンパク質単離物の溶解度の市販品との比較を示す。
タンパク質溶解度を、異なるpHで試料を水中で可溶化させ、遠心分離後の上清中のタンパク質の割合を測定することで評価した。本発明のタンパク質単離物の試料(以下、バッチ1及びバッチ2と規定)は、pH 3、7、及び8で市販の単離物試料(以下、市販品1及び市販品2と規定)よりもはるかに高い溶解度を示す。
図4及び図5では、両方法により得られるタンパク質の熱処理によるゲル化特性が比較される。
本発明の方法により得られる10%のタンパク質を含む溶液は、標準的pHメトリック法とは対照的にゲルを形成可能である。この場合、レオロジー特性は溶液粘度によってのみ説明される。
図6は、剪断応力に応じた10%乾燥固体溶液の粘度の進捗を示す。本発明のタンパク質の溶液の粘度は、剪断応力にかかわらず沈殿タンパク質よりも低い。
この粘度は剪断速度100s-1について異なる濃度で測定された。結果をTable 15(表15)及び図7に示す。同等の剪断速度で、本発明の方法により得られる溶液は、任意の濃度について、沈殿タンパク質よりも低い粘度を示す。
結論
豆類タンパク質の機能性及び味は、酸洗浄、続いてアルカリ抽出を含む上記定義の方法によって有意に向上される。
これらの新規機能性は、タンパク質単離物の適用領域を拡張し、また、生成OPEXを減少させることができる。例えば、粘度低下により乾燥前の濃度上昇が可能になり、これによりエネルギー消費量が有意に減少しうる。
(実施例6)
他のタンパク質源
上記で開発した方法を異なるタンパク質源に適用した。結果の概要をTable 16(表16)にまとめた。
(実施例7)
栄養阻害因子α-ガラクトシドの除去
α-ガラクトシドの含有量を本発明のタンパク質単離物の2つの試料(バッチ1及びバッチ2)、2つの市販のタンパク質単離物の試料(市販品1及び市販品2)、並びに標準的pHメトリック法により得られるタンパク質単離物の試料中で測定した。
Table 17(表17)に示すように、2つの試料バッチ1及びバッチ2中ではα-ガラクトシドは検出されなかった(測定法の検出閾値は0.1%)。対照的に、試料市販品1及び市販品2はそれぞれ0.3g/100g及び1.7g/100gのα-ガラクトシドを含み、標準的pHメトリック法により得られるタンパク質単離物の試料では1.80g/100gである。
比較として、平均α-ガラクトシド含有量はエンドウ豆粉100g中5gであり、エンドウ豆濃縮物100g中10gである(IMPROVEデータ)。

Claims (18)

  1. 植物部位由来のマメ科植物タンパク質単離物であって、乾物換算で少なくとも80%のタンパク質を含み、該タンパク質単離物の0.10重量%未満のα-ガラクトシドを含む、タンパク質単離物。
  2. 以下からなる群から選択される少なくとも1つの特徴を有する、請求項1に記載のマメ科植物タンパク質単離物:
    - 第1のアルカリ抽出工程、続いて第2の酸沈殿工程を含む方法により得られるタンパク質単離物に比べて黄色味が少ない色、
    - 第1のアルカリ抽出工程、続いて第2の酸沈殿工程を含む方法により得られるタンパク質単離物に比べて向上された味、
    - 豆臭のない中性の臭気、
    - 2%タンパク質溶液中、pH8で50%を超える溶解度、
    - 第1のアルカリ抽出工程、続いて第2の酸沈殿工程を含む方法により得られるタンパク質単離物に比べて向上された起泡性、
    - ゲル化特性、及び
    - 低い粘度。
  3. 少なくとも1種の請求項1又は2に記載のマメ科植物タンパク質単離物を含む組成物。
  4. 食品組成物、飼料組成物、ペットフード組成物、化粧用組成物、栄養補助組成物、又は医薬組成物である、請求項3に記載の組成物。
  5. 請求項1又は2に記載の植物部位由来のマメ科植物タンパク質単離物を調製するための方法であって、以下の連続的工程:
    a) 該植物部位を酸性条件で洗浄することで酸洗浄植物部位を得る工程、
    b) 該酸洗浄植物部位とアルカリ性溶液とを接触させる工程、及び
    c) 液体画分を回収することで、80%を超える純度を示すタンパク質単離物を得る工程を含み、
    酸沈殿工程を含まない、方法。
  6. 前記洗浄工程のpHが3.5~5である、請求項5に記載の方法。
  7. 前記酸洗浄植物部位を前記洗浄工程の終わりに固液分離によって回収する、請求項5又は6に記載の方法。
  8. 前記酸洗浄植物部位が3.5~5のpHを有する、請求項5から7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 洗浄工程a)と接触工程b)との間に、前記酸洗浄植物部位を水溶液でリンスする工程を更に含む、請求項5から8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記酸洗浄植物部位が前記リンス工程の後に3.5~5のpHを有する、請求項9に記載の方法。
  11. 工程b)において使用される前記アルカリ性溶液が7~9のpHを有する、請求項5から10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記液体画分を工程c)において固液分離によって回収する、請求項5から11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記工程b)及びc)をより高いpHで繰り返す、請求項5から12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 前記タンパク質単離物を前記回収工程c)において直接得る、請求項5から13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 前記回収工程c)の後に中和工程、熱処理工程、濃縮工程、及び/又は乾燥工程を更に含む、請求項5から14のいずれか一項に記載の方法。
  16. 前記植物部位が種子である、請求項5から15のいずれか一項に記載の方法。
  17. 前記種子が前記洗浄工程a)において粉の形態で提供される、請求項16に記載の方法。
  18. 栄養成分、特に消化快適性を向上するための栄養成分、並びに/又は機能性剤、特に起泡剤及び/若しくはゲル化剤としての、請求項1若しくは2に記載のタンパク質単離物、又は請求項5から17のいずれか一項に記載の方法により得られるタンパク質単離物の使用。
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