図1は、実施例2に記載された化合物2Aの結晶型のX線粉末回折パターンを示す図である。
図2は、実施例4−1に記載された化合物4Aの結晶型のX線粉末回折パターンを示す図である。
図3は、実施例5−1に記載された化合物5Aの結晶型IのX線粉末回折パターンを示す図である。
図4は、実施例5−1に記載された化合物5Aの結晶型IIのX線粉末回折パターンを示す図である。
図5は、実施例6−1に記載された化合物6Aの結晶型のX線粉末回折パターンを示す図である。
発明の詳細な記載
本発明は、上記の式Iの化合物(その水和物及び溶媒和物を含む)、及びその薬学的に許容される塩を包含する。これらの化合物は、以下の実施例7ないし9に示した結果によって証明される通り、野生型HIVインテグラーゼ(例えば、HIV−1)及びその突然変異株の有効な阻害剤である。所定の化合物はまた、動物モデルにおいて、有利な薬物動態を示している。
本発明の第1の実施態様(或いは、本明細書では「実施態様E1」と称される)は、式Iの化合物(或いは、また、よりシンプルに、「化合物I」と称される)、又はその薬学的に許容される塩であり;ここで:
X1は、F又はCH3であり;
X2は、H、F、又はCH3であり、ただし:
(A)X1がFであるとき、X2は、H又はCH3であり、かつ
(B)X1がCH3であるとき、X2は、Fであり;
Yは、CH2又はOであり;
R1Aは、H又はCH3であり;
R1Bは、H、CH3、又はOCH3であり;
R2は、H、CH3、又はCH2CH3であり;かつ
R3は、CH3又はCH2CH3であり;
ただし:
(C)Yが、Oであるとき、R1A及びR1Bは、双方がHであり、R2は、CH3又はCH2CH3であり、かつR3は、CH3であり;かつ
(D)YがCH2であるとき、
(i)R2は、Hであり、R3は、CH3であり、R1Aは、CH3であり、かつR1Bは、CH3又はOCH3であり;
(ii)R2は、CH3であり、R3は、CH3であり、R1Aは、Hであり、かつR1Bは、Hであり;或いは
(iii)R2は、Hであり、R3は、CH2CH3であり、R1Aは、Hであり、かつR1Bは、OCH3である。
本発明の第2の実施態様(或いは、本明細書では「実施態様E2」と称される)は、式II:
[式中、
X1は、F又はCH3であり;
X2は、H、F、又はCH3であり、ただし:
(A)X1がFであるとき、X2は、H又はCH3であり、かつ
(B)X1がCH3であるとき、X2は、Fであり;
Yは、CH2又はOであり;
R1Aは、H又はCH3であり;
R1Bは、H、CH3、又はOCH3であり;かつ
R2は、H、CH3、又はCH2CH3であり;、
ただし:
(C)Yが、Oであるとき、R1A及びR1Bは、双方がHであり、R2は、CH3又はCH2CH3であり;かつ
(D)YがCH2であるとき、
(i)R2は、Hであり、R1Aは、CH3であり、かつR1Bは、CH3又はOCH3であり;或いは
(ii)R2は、CH3であり、かつR1Aは、Hであり、かつR1Bは、Hである]
の化合物(或いは、本明細書では「化合物II」と称される)、又はその薬学的に許容される塩である。
本発明の第3の実施態様(実施態様E3)は、式III:
[式中、
X1は、F又はCH3であり;
X2は、H、F、又はCH3であって、ただし:
(A)X1がFであるとき、X2は、H又はCH3であり、かつ
(B)X1がCH3であるとき、X2は、Fであり;かつ
R2は、H又はCH3である]
の化合物(若しくは「化合物III」)、又はその薬学的に許容される塩である。
実施態様E3の1つの態様においては、R2は、Hである。
本発明の第4の実施態様(実施態様E4)は、式Iの化合物(若しくは「化合物I」)又は化合物II又は化合物III、或いはその薬学的に許容される塩であり、ここで、X1は、Fであり、かつX2は、H又はCH3であり;かつ全ての他の変数は、最初に定義された通り(すなわち、「本発明の要旨」の項において定義された通り)であるか、或いは実施態様E1又は実施態様E2又は実施態様E3において定義された通りである。実施態様E4の1つの態様においては、X1は、Fであり、かつX2は、Hである。実施態様E4の別の態様においては、X1は、Fであり、かつX2は、CH3である。
本発明の第5の実施態様(実施態様E5)は、式I若しくは式II若しくは式IIIの化合物、又はその薬学的に許容される塩であり、ここで、X1は、CH3であり、かつX2は、Fであり;かつ全ての他の変数は、最初に定義された通りであるか、又は実施態様E1において定義された通りである。
本発明の第6の実施態様(実施態様E6)は、式IIの化合物、又はその薬学的に許容される塩であり、ここで、Yは、CH2であり;R2は、Hであり;R1Aは、CH3であり;かつR1Bは、CH3又はOCH3であり;かつ全ての他の変数は、実施態様E2において定義された通りである。
本発明の第7の実施態様(実施態様E7)は、式IIの化合物、又はその薬学的に許容される塩であり、ここで、Yは、CH2であり;R2は、CH3であり;R1Aは、Hであり;R1Bは、Hであり;かつ全ての他の変数は、実施態様E2において定義された通りである。
本発明の第8の実施態様(実施態様E8)は、式IIの化合物、又はその薬学的に許容される塩であり、ここで、Yは、Oであり;R1A及びR1Bは、双方がHであり;R2は、CH3又はCH2CH3であり;かつ全ての他の変数は、実施態様E2において定義された通りである。
本発明の第9の実施態様(実施態様E9)は、
からなる群より選択される、式Iの化合物、及びその薬学的に許容される塩である。
本発明の第10の実施態様(実施態様E10)は、式I若しくは式II若しくは式IIIの化合物、又はその薬学的に許容される塩であり、ここで、該化合物は、立体的に(Stereomerically)純粋な化合物である。
本発明の第11の実施態様(実施態様E11)は、式Iの化合物、又はその薬学的に許容される塩であり、ここで、該化合物は、実施例1ないし6のいずれかに示された化合物であり;すなわち、該化合物は、化合物1A、化合物1B、化合物2A、化合物2B、化合物2C、化合物2D、化合物3A、化合物3B、化合物4A、化合物4B、化合物4C、化合物4D、化合物5A、化合物5B、化合物5C、化合物5D、化合物6A、又は化合物6Bである。
本発明の第12の実施態様(実施態様E12)は、式Iの化合物、又はその薬学的に許容される塩であり、ここで、該化合物は、化合物1A、化合物2A、化合物2D、化合物4A、化合物4B、化合物4C、化合物5A、化合物5B、又は化合物6Aである。この実施態様の1つの態様においては、該化合物は、立体的に純粋である。上記の化合物の各々は、実施態様E12の個別の態様である。
本発明の第13の実施態様(実施態様E13)は、
である、式Iの化合物、又はその薬学的に許容される塩である。
この実施態様の1つの態様においては、該化合物は、化合物6A:
である。
この態様の1つの特徴においては、該化合物は、立体的に純粋である。
本発明の第14の実施態様(実施態様E14)は、
である、式Iの化合物、又はその薬学的に許容される塩である。
この実施態様の1つの態様においては、該化合物は、化合物5A:
である。
この態様の1つの特徴においては、該化合物は、立体的に純粋である。
本発明の第15の実施態様(実施態様E15)は、
である、式Iの化合物、又はその薬学的に許容される塩である。
この実施態様の1つの態様においては、該化合物は、化合物2A:
である。
この態様の1つの特徴においては、該化合物は、立体的に純粋である。
本発明の第16の実施態様(実施態様E16)は、
である、式Iの化合物、又はその薬学的に許容される塩である。
この実施態様の1つの態様においては、該化合物は、化合物4A:
である。
この態様の1つの特徴においては、該化合物は、立体的に純粋である。
本明細書で使用するとき、及び他に示さない限り、本発明の化合物に関する用語「立体的に純粋」は、化合物の1つの立体異性体であって、該化合物の他の立体異性体を実質的に含まないものを意味する。例えば、1つのキラル中心をもつ立体的に純粋な化合物は、該化合物の反対のエナンチオマーを実質的含まないものとなる。2つのキラル中心をもつ立体的に純粋な化合物は、該化合物の他のジアステレオマーを実質的に含まないものとなる。立体的に純粋な化合物は、該化合物の約75重量%より多くの1つの立体異性体と、該化合物の約25重量%未満の他の立体異性体とを(例えば、約80%より多い1つの立体異性体と、20%未満の他の立体異性体とを)含んでなり、好ましくは、該化合物の約90重量%より多くの1つの立体異性体と、該化合物の約10重量%未満の他の立体異性体とを、さらに好ましくは、該化合物の約95重量%より多くの1つの立体異性体と、該化合物の約5重量%未満の他の立体異性体とを、及び最も好ましくは、該化合物の約97重量%より多くの1つの立体異性体と、該化合物の約3重量%未満の他の立体異性体とを(例えば、約99%より多い1つの立体異性体と、1%未満の他の立体異性体とを)含んでなる。化合物及び塩の純度のレベルは、標準的な分析法を用いて測定し得る。2種以上の分析法が使用され、かつそれらの方法が、所与の試料において測定された立体的な純度に実験上の有意差を生じる場合、最高の純度レベルを示す方法が支配するものとする。
式Iの化合物の全ての異性体型が、単離された状態であれ混合物中の状態であれ、本発明の範囲内であることが理解される。立体的に純粋な化合物は、本発明の1つの局面を表わすに過ぎない。
本発明の第17の実施態様(実施態様E17)は、化合物2Aの結晶型であり、ここで、該結晶型は、以下の実施例2に示したXRPD、DSC、及びTGA分析によって特徴づけられる。この実施態様の1つの態様においては、結晶性化合物2Aは、約8.5、9.3、13.3、17.0、18.8、及び20.8度の2θ値(すなわち、2θ値における反射)を含んでなる、銅Kα放射線(すなわち、放射線源は、CuKα1及びKα2放射線の組合せである)を用いて得られたX線粉末回折パターンによって特徴づけられる。この実施態様、及び以下のいずれの類似の実施態様においても、用語「約」は、2θ値の各々を修飾するものと理解される。この実施態様の別の態様においては、結晶性化合物2Aは、約5.7、8.5、8.9、9.3、11.6、12.6、13.3、14.6、15.9、16.4、17.0、17.5、18.4、18.8、19.7、20.4、20.8、21.7、23.3、23.7、24.5、25.5、25.7、26.0、26.3、26.9、27.9、28.4、29.3、30.4、30.6、31.2、32.3、32.7、34.2、34.5、34.8、35.5、36.4、36.6、38.6、及び39.3度の2θ値を含んでなる、銅Kα放射線を用いて得られたX線粉末回折パターンによって特徴づけられる。
本発明の第18の実施態様(実施態様E18)は、化合物2Aの結晶型であり、ここで、その結晶型は、図1に示したそのX線回折パターンから得られたPDFトレースによって特徴づけられる。PDFトレースにより、結晶型を規定する原子間距離のフィンガープリントが得られる。PDFトレースは、WO2005/082050に記載された方法で得ることができる。この実施態様の1つの態様においては、結晶型は、XRPDにおける、約8.5、9.3、13.3、17.0、18.8、及び20.8度の2θ値に対応するPDFトレースの部分によって特徴づけられる。本実施態様の別の態様においては、結晶型は、XRPDにおける、約5.7、8.5、8.9、9.3、11.6、12.6、13.3、14.6、15.9、16.4、17.0、17.5、18.4、18.8、19.7、20.4、20.8、21.7、23.3、23.7、24.5、25.5、25.7、26.0、26.3、26.9、27.9、28.4、29.3、30.4、30.6、31.2、32.3、32.7、34.2、34.5、34.8、35.5、36.4、36.6、38.6、及び39.3度の2θ値に対応するPDFトレースの部分よって特徴づけられる。
本発明の第19の実施態様(実施態様E19)は、化合物4Aの結晶型であり、ここで、該結晶型は、以下の実施例4−1に示されたXRPD、DSC、及びTGA分析によって特徴づけられる。この実施態様の1つの態様においては、結晶性化合物4Aは、約6.1、10.4、12.9、13.7、19.4、及び22.9度の2θ値を含んでなる、銅Kα放射線を用いて得られたX線粉末回折パターンによって特徴づけられる。この実施態様の別の態様においては、化合物4Aの結晶型は、約6.1、10.0、10.3、10.4、12.2、12.9、13.7、14.5、15.1、15.5、17.5、17.7、18.3、18.6、19.2、19.4、20.0、20.6、20.9、21.7、22.0、22.3、22.9、23.5、24.0、25.6、25.9、26.5、27.1、27.5、28.5、29.3、30.2、31.1、31.5、32.4、33.1、33.7、34.1、35.8、及び37.4度の2θ値を含んでなる、銅Kα放射線を用いて得られたX線粉末回折パターンによって特徴づけられる。
本発明の第20の実施態様(実施態様E20)は、化合物5Aの第1の結晶型であり、ここで、該結晶型は、以下の実施例5−1に示されたXRPD、DSC、及びTGA分析によって特徴づけられる。この実施態様の1つの態様においては、I型の結晶性化合物5Aは、約8.4、8.6、18.0、20.5、20.8、25.2、26.1、及び27.2度の2θ値を含んでなる、銅Kα放射線を用いて得られたX線粉末回折パターンによって特徴づけられる。この実施態様の別の態様においては、I型の結晶性化合物5Aは、約8.4、8.6、10.4、14.8、16.0、16.8、18.0、19.5、20.5、20.8、23.0、24.5、25.2、26.1、及び27.2度の2θ値を含んでなる、銅Kα放射線を用いて得られたX線粉末回折パターンによって特徴づけられる。この実施態様の別の態様においては、I型の結晶性化合物5Aは、密封されたアルミニウムパン内で窒素下、10℃/分の加熱速度で測定されたDSC曲線における、約149℃のピーク温度によってさらに特徴づけられる。
本発明の第21の実施態様(実施態様E21)は、化合物5Aの第2の結晶型であり、ここで、該結晶型は、以下の実施例5−1に示されたXRPD、DSC、及びTGA分析によって特徴づけられる。この実施態様の1つの態様においては、II型の結晶性化合物5Aは、約8.4、8.6、18.0、20.4、20.8、25.9、26.2、及び27.1度の2θ値を含んでなる、銅Kα放射線を用いて得られたX線粉末回折パターンによって特徴づけられる。この実施態様の別の態様においては、II型の結晶性化合物5Aは、約8.4、8.6、10.3、14.8、16.0、16.7、18.0、19.4、20.4、20.8、23.0、24.4、25.1、25.9、26.2、及び27.1度の2θ値を含んでなる、銅Kα放射線を用いて得られたX線粉末回折パターンによって特徴づけられる。この実施態様の別の態様においては、II型の結晶性化合物5Aは、密封されたアルミニウムパン内で窒素下、10℃/分の加熱速度で測定されたDSC曲線における、約155℃のピーク温度によってさらに特徴づけられる。
本発明の第22の実施態様(実施態様E22)は、化合物6Aの結晶型であり、ここで、該結晶型は、以下の実施例6−1に示されたXRPD、DSC、及びTGA分析によって特徴づけられる。この実施態様の1つの態様においては、結晶性化合物6Aは、約10.6、14.2、17.4、18.8、及び20.4度の2θ値を含んでなる、銅Kα放射線を用いて得られたX線粉末回折パターンによって特徴づけられる。この実施態様の、別の態様においては、結晶性化合物6Aは、約5.6、7.0、9.9、10.6、12.8、14.2、15.0、16.0、16.2、16.6、17.4、18.0、18.4、18.8、19.8、20.0、20.4、20.6、21.2、21.7、22.1、22.7、23.1、23.2、24.1、24.8、25.1、25.5、26.1、26.2、26.6、27.9、28.5、29.2、29.3、30.1、30.6、31.0、31.5、32.0、32.3、32.6、33.1、33.9、34.5、及び35.5度の2θ値を含んでなる、銅Kα放射線を用いて得られたX線粉末回折パターンによって特徴づけられる。
本発明の実施態様E23ないしE26は、各々、実施例E19ないしE22に示された結晶性化合物4A、I型の結晶性化合物5A、II型の結晶性化合物5A、及び結晶性化合物6Aに対応し、ここで、その結晶型は、図2、3、4、及び5に示されたそのX線回折パターンから得られたPDFトレースによって特徴づけられる。
用語「約」は、物理的性質などの値を修飾する場合、例えば、物質又は組成物のキャラクタリゼーションにかかわる典型的な測定、取扱い、及び試料採取方法を介し;これらの方法における偶発的なエラーを介し;物質を調製するか又は手順を実行するために用いた成分の、製造、供給源、又は純度における差異などを介して起こり得る、数量における変異を指す。本明細書に記載されたXRPDにおける、度の単位での2θ値の具体的な場合では、用語「約」は、典型的には値±0.1を意味する。
本発明の別の実施態様は、任意の上記実施態様(例えば、実施態様E2における化合物II、又は実施態様E3における化合物III)又は態様において定義された、化合物I又はその薬学的に許容される塩であり、ここで、該化合物又はその塩は、実質的に純粋な形態にある。本明細書で用いる場合、「実質的に純粋」とは、式Iの化合物又はその塩を含有する生成物(例えば、前記化合物又は塩をもたらす反応混合物から単離された生成物)の、適切には少なくとも約75重量%、典型的には少なくとも約80重量%、好ましくは少なくとも約90重量%(例えば、約90重量%ないし約99重量%)、さらに好ましくは少なくとも約95重量%(例えば、約95重量%ないし約99重量%、又は約98重量%ないし100重量%)、及び最も好ましくは少なくとも約97重量%(例えば、約99重量%ないし100重量%)が、該化合物又は塩からなることを意味する。化合物及び塩の純度のレベルは、薄層クロマトグラフィー、ゲル電気泳動、高性能液体クロマトグラフィー、及び/又は質量分析法といった、標準的な分析法を使用して測定し得る。2種以上の分析法が使用され、かつそれらの方法が、所与の試料において測定された純度のレベルに実験上の有意差を生じる場合、最高の純度レベルを示す方法が支配するものとする。純度100%の化合物又は塩は、標準的な分析法によって測定された場合、検出可能な不純物がないものである。本発明の化合物は、1又は2個の不斉中心を有しており、したがって、立体異性体の混合物として生じ得る。実質的に純粋な化合物は、立体異性体の実質的に純粋な混合物、又は実質的に純粋な個々のジアステレオマー若しくはエナンチオマーのいずれかであってよいと理解される。実質的に純粋な個々のジアステレオマー若しくはエナンチオマーはまた、立体的に純粋である。
本発明の他の実施態様は、以下を包含する:
(a)有効量の化合物I又はその薬学的に許容される塩と、薬学的に許容される担体とを含んでなる医薬組成物。
(b)有効量の化合物I又はその薬学的に許容される塩と、薬学的に許容される担体とを組合せる(例えば、混合する)ことにより調製される生成物を含んでなる医薬組成物。
(c)HIV抗ウイルス剤、免疫調節剤、及び抗感染症剤からなる群より選択される抗HIV剤の有効量をさらに含んでなる、(a)又は(b)の医薬組成物。
(d)該抗HIV剤が、HIVプロテアーゼ阻害剤、非ヌクレオシドHIV逆転写酵素阻害剤、ヌクレオシドHIV逆転写酵素阻害剤、HIVインテグラーゼ阻害剤、HIV融合阻害剤、及びHIV侵入阻害剤からなる群より選択される抗ウイルス剤である、(c)の医薬組成物。
(e)(i)化合物I又はその薬学的に許容される塩と、(ii)HIV抗ウイルス剤、免疫調節剤、及び抗感染症剤からなる群より選択される抗HIV剤との組合せであって;式Iの化合物及び抗HIV剤が、各々、その組合せが、HIVインテグラーゼの阻害のため、HIVによる感染症の治療又は予防のため、或いはAIDSの治療、予防、又は発症若しくは進行の遅延のために有効となる量で使用される、該組合せ。
(f)該抗HIV剤が、HIVプロテアーゼ阻害剤、非ヌクレオシドHIV逆転写酵素阻害剤、ヌクレオシドHIV逆転写酵素阻害剤、HIVインテグラーゼ阻害剤、HIV融合阻害剤、及びHIV侵入阻害剤からなる群より選択される、(e)の組合せ。
(g)HIVインテグラーゼを、それを必要とする患者において阻害する方法であって、有効量の化合物I又はその薬学的に許容される塩を該患者に投与することを含んでなる該方法。
(h)HIVによる感染症を、それを必要とする患者において治療又は予防するための方法であって、有効量の化合物I又はその薬学的に許容される塩を該患者に投与することを含んでなる該方法。
(i)式Iの化合物が、HIVプロテアーゼ阻害剤、非ヌクレオシドHIV逆転写酵素阻害剤、ヌクレオシドHIV逆転写酵素阻害剤、HIVインテグラーゼ阻害剤、HIV融合阻害剤、及びHIV侵入阻害剤からなる群より選択される、少なくとも1つの抗ウイルス剤の有効量と組合せて投与される、(h)の方法。
(j)AIDSを、それを必要とする患者において治療、予防、又は発症若しくは進行を遅延するための方法であって、有効量の化合物I又はその薬学的に許容される塩を、該患者に投与することを含んでなる該方法。
(k)該化合物が、HIVプロテアーゼ阻害剤、非ヌクレオシドHIV逆転写酵素阻害剤、ヌクレオシドHIV逆転写酵素阻害剤、HIVインテグラーゼ阻害剤、HIV融合阻害剤、及びHIV侵入阻害剤からなる群より選択される、少なくとも1つの抗ウイルス剤の有効量と組合せて投与される、(j)の方法。
(l)HIVインテグラーゼ(例えば、HIV−1インテグラーゼ)を、それを必要とする患者において阻害する方法であって、(a)、(b)、(c)、若しくは(d)の医薬組成物、又は(e)若しくは(f)の組合せを、該患者に投与することを含んでなる該方法。
(m)HIV(例えば、HIV−1)による感染症を、それを必要とする患者において治療又は予防するための方法であって、(a)、(b)、(c)、若しくは(d)の医薬組成物、又は(e)若しくは(f)の組合せを、該患者に投与することを含んでなる該方法。
(n)AIDS(例えば、HIV−1に起因するAIDS)を、それを必要とする患者において治療、予防、又は発症若しくは進行を遅延するための方法であって、(a)、(b)、(c)、若しくは(d)の医薬組成物、又は(e)若しくは(f)の組合せを、該患者に投与することを含んでなる該方法。
本発明はまた(i)(a)療法(例えば、ヒトの身体の)、(b)医薬、(c)HIVインテグラーゼの阻害、(d)HIVによる感染症の治療又は予防、或いは(e)AIDSの治療、予防、又は発症若しくは進行の阻害における使用のため、(ii)(a)療法(例えば、ヒトの身体の)、(b)医薬、(c)HIVインテグラーゼの阻害、(d)HIVによる感染症の治療又は予防、或いは(e)AIDSの治療、予防、又は発症若しくは進行の阻害のための医薬としての使用のため、又は(iii)(a)療法(例えば、ヒトの身体の)、(b)医薬、(c)HIVインテグラーゼの阻害、(d)HIVによる感染症の治療又は予防、或いは(e)AIDSの治療、予防、又は発症若しくは進行の阻害のための医薬の調製又は製造における使用のための、本発明の化合物又はその薬学的に許容される塩も包含する。これらの使用において、本発明の化合物は、場合により、HIV抗ウイルス剤、抗感染症剤、及び免疫調節剤から選択される1種以上の抗HIV剤と組合せて使用し得る。
本発明のさらなる実施態様は、上記の(a)−(n)で示した医薬組成物、組合せ、及び方法と、上記の段落において示した(i)(a)−(e)ないし(iii)(a)−(e)の使用とを包含し、ここで、そこで使用される本発明の化合物は、上記記載の、実施態様(例えば、実施態様E2における化合物II、又は実施態様E3における化合物III)の1つ、又はその1つの態様の化合物である。これらの実施態様などの全てにおいて、該化合物は、場合により、薬学的に許容される塩の形態で使用してもよい。
本発明のさらなる実施態様は、上記の段落(複数)において示した医薬組成物、組合せ、方法、及び使用の各々を包含し、ここで、そこに使用される本発明の化合物又はその塩は、実質的に純粋である。化合物I又はその塩と、薬学的に許容される担体と、及び場合により、1種以上の賦形剤とを含んでなる医薬組成物については、用語「実質的に純粋」は、式Iの化合物又はその塩自体に関するものと理解される。
本発明のなお、さらなる実施態様は、上記の(a)−(n)で示した医薬組成物、組合せ、及び方法と、上記において示した(i)(a)−(e)ないし(iii)(a)−(e)の使用とを包含し、ここで、興味のHIVは、HIV−1である。したがって、例えば、医薬組成物(d)では、式Iの化合物は、HIV−1に対して有効な量で用いられ、かつ抗HIV剤は、HIV−1プロテアーゼ阻害剤、HIV−1逆転写酵素阻害剤、HIV−1インテグラーゼ阻害剤、HIV−1侵入阻害剤、及びHIV−1融合阻害剤からなる群より選択される、HIV−1抗ウイルス剤である。
当業者によって理解されるように、本発明の化合物は、以下:
のような、互変異性体として存在し得る。
該化合物の全ての互変異性体型は、単離されていようと混合物の状態であろうと、本発明の範囲内にある。
当業者はまた、本発明の化合物が、水和物及び/又は溶媒和物の形態であり得ることも理解するであろう。式Iによって包含される化合物及びその薬学的に許容される塩の、化学的に安定な水和物及び溶媒和物は、本発明の範囲内にある。
「安定な」化合物は、調製及び単離され得る化合物であり、かつその構造及び特性が、本明細書に記載された目的のために該化合物を使用させるのに充分な期間にわたり、残存するか、又は本質的に変わらない状態で残存させ得る化合物である。
本発明の化合物は、HIVインテグラーゼ(例えば、HIV−1インテグラーゼ)の阻害、HIVによる感染症の予防又は治療、結果として生じるAIDSのような病的状態の予防、治療、又は発症若しくは進行の遅延において有用である。AIDSの予防、AIDSの治療、AIDSの開始若しくは進行の遅延、HIVによる感染症の予防、又はHIVによる感染症の治療は、これに限定されないが、HIV感染症の広範囲の状態、即ち、AIDS、ARC(AIDS関連症候群)、症候性及び無症候性の双方、並びに実際及び潜在的なHIVへの暴露、の治療を包含するものとして定義される。例えば、本発明の化合物は、輸血、体液交換、咬傷、偶発的針穿刺、又は外科手術中の患者血液への暴露などにより、過去のHIVへの暴露が疑われた後の、HIVによる感染症の治療に有用である。
本発明の化合物は、抗ウイルス化合物のためのスクリーニングアッセイの調製及び実施に有用である。例えば、本発明の化合物は、より強力な抗ウイルス化合物のための優れたスクリーニングツールである、酵素突然変異体を単離するのに有用である。さらに、本発明の化合物は、HIVインテグラーゼに対する他の抗ウイルス剤の結合部位を、例えば拮抗阻害によって、証明又は決定することにおいて有用である。したがって、本発明の化合物は、これらの目的で販売される商品であり得る。
本発明の化合物は、薬学的に許容される塩の形態で投与し得る。用語「薬学的に許容される塩」は、親化合物の有効性を保有し、かつ生物学的に又は別の意味で望ましくないものではない(例えば、その受容者にとり毒性でもなければ有害でもない)塩を指す。適切な塩は、例えば、本発明の化合物の溶液を、塩酸、硫酸、酢酸、又は安息香酸といった薬学的に許容される酸の溶液と混合することによって形成してもよい酸付加塩を包含する。
本発明の化合物は、酸性基を有しており、したがって適切なその薬学的に許容される塩は、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム又はカリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム又はマグネシウム塩)、及び適切な有機リガンドを用いて形成された塩、例えば第四級アンモニウム塩を包含し得る。また、酸(−COOH)又はアルコール基が存在する場合には、薬学的に許容されるエステルを用いて、化合物の溶解性又は加水分解特性を修正し得る。
用語「投与」及びその変形(例えば、「投与された」又は「投与すること」)は、本発明の化合物に関しては、化合物又はその塩(又は水和物若しくは溶媒和物)を、治療又は予防を必要とする個体に与えることを意味する。本発明の化合物が、1種以上の他の活性薬剤(例えば、HIV感染症又はAIDSの予防若しくは治療に有用な抗ウイルス剤)と組合せて与えられる場合、「投与」及びその変形は、各々、該化合物と他の薬剤との、同じ時間、又は異なる時間における提供を包含するものと理解される。組合された薬剤が同時に投与される場合、それらを単一の組成物の状態で一緒に投与してもよく、又はそれらを別々に投与してもよい。
本明細書で用いるとき、用語「組成物」は、特定の成分を含んでなる生成物、並びに特性の成分の組合せから、結果として直接又は間接的に生じる任意の生成物を包含することが意図されている。
「薬学的に許容される」により、医薬組成物の成分が、互いに適合性であり、かつその受容者に対し何ら有害であってはならないことが意味される。
用語「患者(subject)」(又は、これに代えて「患者(patient)」)は、本明細書に用いるとき、治療、観察、又は実験の対象となっている動物、好ましくは哺乳類、最も好ましくはヒトを指す。
用語「有効量」は、本明細書で用いる場合、研究者、獣医師、医師、又は他の臨床家によって求められている、組織、系、動物、又はヒトにおける生物学的又は医学的応答を、誘起する活性化合物又は医薬の量を意味する。1つの実施態様においては、有効量は、治療される疾患又は症状の徴候の軽減のために「治療上有効な量」である。別の実施態様においては、有効量は、予防される疾患又は症状の徴候の予防のために「予防上有効な量」である。この用語はまた、本明細書では、HIVインテグラーゼを阻害し、それにより、求められていた応答を誘起するのに充分な活性化合物の量(すなわち、「阻害有効量」)も包含する。活性化合物(すなわち、活性成分)が塩として投与される場合、活性成分の量についての記載は、該化合物の遊離酸又は遊離塩基型に対するものである。
HIVインテグラーゼの阻害、HIV感染症の予防又は治療、或いはAIDSの予防、治療、又は発症若しくは進行の阻害を目的として、本発明の化合物を、場合により塩(又は水和物若しくは溶媒和物)の形態で、活性薬剤と該薬剤の作用部位との接触をもたらす任意の手段によって投与することができる。それらは、医薬品に関連する使用に利用し得る任意の通常の手段により、個別の治療剤として、又は治療剤の組合せのいずれかで投与することができる。それらは、単独で投与されるか、又は典型的には、選ばれた投与の経路、及び標準的な薬学のプラクティスに基づき選択された、医薬担体と共に投与される。本発明の化合物は、例えば、経口的、非経口的に(皮下注射、静脈内、筋肉内、胸骨内注射、又は輸液技術を包含する)、吸入スプレーにより、又は直腸内へ、有効量の該化合物と、通常の非毒性の薬学的に許容される担体、アジュバント、及びビヒクルとを含有する医薬組成物の単位剤形の形態で投与し得る。経口投与に適した液体製剤(例えば、懸濁液、シロップ、エリキシルなど)は、当該技術分野において公知の技術に従って調製してよく、水、グリコール、油、アルコールなどといった任意の通常の溶媒を用いてよい。経口投与に適した固形製剤(例えば、粉末、ピル、カプセル、及び錠剤)は、当該技術分野において公知の技術に従って調製してよく、デンプン、糖、カオリン、潤滑剤、結合剤、崩壊剤などといった固形賦形剤を用いてよい。非経口組成物は、当該技術分野において公知の技術に従って調製してよく、典型的には、滅菌水を担体として使用し、かつ場合により、溶解補助剤のような他の成分を使用する。注射用溶液は、当該技術分野において公知の方法に従って調製してよく、ここで、該担体は、生理食塩水、グルコース溶液、又は生理食塩水とグルコースとの混合物を含有する溶液を含んでなる。本発明の医薬組成物の調製における使用に適した方法についての、また前記組成物における使用に適した成分についての、さらなる記載は、「レミントンの薬学(Remington’s Pharmaceutical Sciences)」、第18版、A.R.Gennaro編、Mack Publishing Co.、1990年、及び「レミントン−薬学の科学と実践(Remington−The Science and Practice of Pharmacy)」、第21版、Lippincott Williams & Wilkins、2005年に提示されている。
本発明の化合物は、経口的に、1日当たり、哺乳動物(例えば、ヒト)の体重当たり、約0.001ないし約1000mg/kgの用量範囲内で、単一用量又は分割用量にて投与し得る。用量範囲の好適な一例は、単一用量又は分割用量で、経口的に、1日当たり、体重当たり約0.01ないし約500mg/kgである。用量範囲の別の好適な例は、単一用量又は分割用量で、経口的に、1日当たり、体重当たり約0.1ないし約100mg/kgである。経口投与用には、組成物は、治療されるべき患者に対する投与量の対症的な調整のため、約1.0ないし約500ミリグラムの活性成分、特に、1、5、10、15、20、25、50、75、100、150、200、250、300、400、及び500ミリグラムの活性成分を含有する、錠剤又はカプセルの形態で提供し得る。1つの実施態様においては、本発明の化合物は、成人に対し、便利な形態で(例えば、メトセル水溶液中の溶液として、又はカプセル若しくは錠剤の形態で)、約200mgないし約800mgの量で、1日1回又は1日2回、経口的に投与される。任意の特定の患者のための、具体的な用量レベル及び投薬頻度は、変更されてよく、使用する具体的な化合物の活性、その化合物の代謝安定性及び作用期間、年齢、体重、全身の健康、性別、食餌、投与の様式及び時間、排出率、薬剤の組合せ、特定の症状の重篤性、及び治療を受けている患者を包含する、様々な因子に依存するであろう。
上記に示したように、本発明はまた、本発明のHIVインテグラーゼ阻害剤化合物を、HIV感染症又はAIDSの治療において有用な1種以上の抗HIV剤とともに使用することも対象とする。「抗HIV剤」は、HIVの複製若しくは感染に必要なHIVインテグラーゼ若しくは他の酵素の阻害、HIV感染症の治療又は予防、及び/又は、AIDSの治療、予防、又は発症若しくは進行の遅延において、直接又は間接的に有用な任意の薬剤である。抗HIV剤が、HIV感染症又はAIDS、及び/又は、それから発生するか又はそれに随伴する疾患若しくは症状の、治療、予防、又は発症若しくは進行の遅延において有効であることが理解される。例えば、本発明の化合物は、暴露前(pre−exposure)の期間であれ、及び/又は暴露後(post−exposure)の期間であれ、WO01/38332の表1において、又はWO02/30930の表において示したものなどの、HIV感染症又はAIDSの治療に有用な、1種以上のHIV抗ウイルス剤、免疫調節剤、抗感染症剤、又はワクチンの有効量と組合せて、効果的に投与してもよい。本発明の化合物と組合せた使用に適したHIV抗ウイルス剤は、例えば、以下の表1にリストされたものを包含する:
本発明の化合物と抗HIV剤との組合せの範囲が、表1にリストされた、及び/又は、WO01/38332及びWO02/30930において上記で言及した表にリストされた、HIV抗ウイルス剤に限定されず、HIV感染症又はAIDSの治療若しくは予防に有用な、任意の医薬組成物との任意の組合せを原則的に包含することが理解される。HIV抗ウイルス剤及び他の薬剤は、典型的には、例えば、「Physician’s Desk Reference(医師用添付文書集)」、Thomson PDR、第57版(2003年)、第58版(2004年)、第59版(2005年)、及びその続版に記載された用量を含め、当該技術分野において報告された、その通常の投薬量範囲及び用法用量の中で、それらを組合せて用いることができる。これらの組合せにおける本発明の化合物の投薬量範囲は、上記に示したものと同様である。
本明細書で用いるとき、用語「アルキル」は、指定された範囲内の炭素原子数を有する、一価の直鎖又は分枝鎖の飽和脂肪族炭化水素基を指す。したがって、例えば、「C1−6アルキル」(又は「C1−C6アルキル」)は、任意のヘキシルアルキル及びペンチルアルキル異性体、並びにn−、iso−、sec−、及びt−ブチル、n−及びiso−プロピル、エチル、及びメチルを指す。別の例として、「C1−4アルキル」は、n−、iso−、sec−、及びt−ブチル、n−及びイソプロピル、エチル、及びメチルを指す。なお別の例として、「C1−3アルキル」は、n−及びイソプロピル、エチル、及びメチルを指す。
用語「ハロゲン」(又は「ハロ」)は、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素を指す(或いは、フルオロ、クロロ、ブロモ、及びヨードとも称される)。
用語「ハロアルキル」は、その1個以上の水素原子がハロゲン(すなわち、F、Cl、Br、及び/又はI)で置換されている、上記に定義されたアルキル基を指す。したがって、例えば、「C1−6ハロアルキル」(又は「C1−C6ハロアルキル」)は、1個以上のハロゲン置換基をもつ、上記に定義されたC1ないしC6の直鎖又は分枝鎖のアルキル基を指す。用語「フルオロアルキル」は、ハロゲン置換基がフルオロに限定されていることを除いて、同様の意味をもつ。適切なフルオロアルキルは、一連の、(CH2)0−4CF3(すなわち、トリフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、3,3,3−トリフルオロ−n−プロピルなど)を包含する。特別の興味のフルオロアルキルは、CF3である。
用語「シクロアルキル」は、指定された範囲内の炭素原子数を有するアルカンの、任意の一価の単環式の環を指す。したがって、例えば、「C3−6シクロアルキル」(又は「C3−C6シクロアルキル」)は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、及びシクロヘキシルを指す。
用語「C(O)」は、カルボニルを指す。
化学基中の開いた結合の末端の星印(「*」)は、化合物の残りの部分への該基の結合点を示す。
本発明はまた、式IV:
のアルキルアミノ置換テトラヒドロピリミドオキサゼピンカルボキサミドを調製するためのプロセス(方法)(或いはプロセスPとも称される)であって:
(C)式P−III:
の化合物を、R3NH2と接触させて、化合物P−IVを得ること、
を含んでなる該プロセスも包含し、ここで:
「a」は、R又はS立体配置にある、オキサゼピン環の立体中心を示し;
「b」は、R又はS立体配置にある、オキサゼピン環の立体中心を示し;
Wは、ハロゲン又はO−SO2RPであり;
RPは、
(1)C1−6アルキル、
(2)C1−6ハロアルキル、
(3)AryCで置換されたC1−6アルキル、又は
(4)AryCであり;
AryCは、フェニル及びナフチルからなる群より選択されるアリールであり、ここで該アリールは、その各々が、独立して、ハロゲン、C1−4アルキル、O−C1−4アルキル、CF3、OCF3、CN、又はニトロである1ないし4個の置換基で置換されていてもよく;
R2’は、C1−3アルキルであり;
R3は、C1−3アルキルであり;
AryAは、フェニルであり、ここで該フェニルは、その各々が、独立して:(1)C1−4アルキル、(2)C3−6シクロアルキル、(3)C1−4フルオロアルキル、(4)O−C1−4アルキル、(5)O−C1−4フルオロアルキル、(6)O−C3−6シクロアルキル、(7)ハロ、(8)CN、(9)N(H)−イソプロピル、(10)N(H)−t−ブチル、(11)N(−C1−4アルキル)2、(12)CH(O)、(13)C(O)−C1−4アルキル、(14)C(O)O−C1−4アルキル、(15)C(O)NH2、(16)C(O)N(H)−C1−4アルキル、(17)C(O)N(−C1−4アルキル)2、(18)置換されたC1−4アルキルであって:(a)O−C1−4アルキル、(b)O−C1−4フルオロアルキル、(c)O−C3−6シクロアルキル、(d)CN、(e)NO2、(f)N(H)−イソプロピル、(g)N(H)−t−ブチル、(h)N(−C1−4アルキル)2、(i)CH(O)、(j)C(O)−C1−4アルキル、(k)C(O)O−C1−4アルキル、(l)C(O)NH2、(m)C(O)N(H)−C1−6アルキル、若しくは(n)C(O)N(−C1−4アルキル)2で置換された、該C1−4アルキル、又は(19)フェニルである、1ないし3個の置換基で置換されていてもよく、ただし、任意の置換基の2個以上がフェニルであることはなく;かつ
AryBは、フェニルであり、ここで該フェニルは、その各々が、独立して、ハロゲン、C1−4アルキル、O−C1−4アルキル、CF3、OCF3、CN、又はニトロである、1ないし4個の置換基で置換されていてもよい。
上記のプロセスにおける、立体中心a及びbは、各々独立して、完全に又は実質的に、R又はS立体位置にある。用語「実質的に」は、化合物が、適切には、一方の立体配置について、他方に対し少なくとも約20%のエナンチオマー過剰率(ee)を有し、典型的には、少なくとも約40%のeeを有し、さらに典型的には、一方の立体配置について、他方に対し少なくとも80%のeeを、立体中心において有することを意味する。該化合物は、一方の立体配置について、他方に対し90%ないし99%のee、又はさらに100%のeeを、2つの立体中心a及びbの各々において有し得る。このプロセスの1つの実施態様においては、化合物P−IVにおける立体中心a及びbのは、双方とも完全に又は実質的にS立体配置にある。
化合物P−IIIにおける波線型の結合:
は、ジアステレオマーの混合物を意味する。
化合物P−IV及びプロセスPの特徴は、以下を包含する:
(1a)R2’は、メチル又はエチルであり;
(1b)R2’は、メチルであり;
(1c)R2’は、エチルであり;
(2a)R3は、メチル又はエチルであり;
(2b)R3は、メチルであり;
(3a)Wは、O−SO2RPであり、ここで、RPは、C1−3アルキル、CF3、CF2CF3、CH2CF3、CH2−AryC、又はAryCであって;
ここで、AryCは、フェニルであり、これは、その各々が、独立して、F、Cl、Br、C1−4アルキル、O−C1−4アルキル、CF3、OCF3、又はニトロである、1ないし3個の置換基で置換されていてもよく;
(3b)Wは、O−SO2RPであり、ここで、RPは、p−トルイル、フェニル、メチル、トリフルオロメチル、又はp−ニトロフェニルであり(すなわち、SO2RPは、p−トルエンスルホニル、ベンゼンスルホニル、メタンスルホニル、トリフルオロメタンスルホニル、又はp−ニトロベンゼンスルホニルである);
(3c)Wは、O−SO2RPであり、ここで、RPは、メチルであり(すなわち、SO2RPは、メタンスルホニルである);
(3d)Wは、ハロゲンであり;
(3e)Wは、Cl、Br、又はIであり;
(3f)Wは、Cl又はBrであり;
(3g)Wは、Brであり;
(4a)AryAは、
であり、ここで、T1、T2、及びT3は、各々、独立して、H、Cl、Br、F、CN、C1−4アルキル、C1−4フルオロアルキル、O−C1−4アルキル、O−C1−4フルオロアルキル、N(CH3)2、C(O)CH3、又はCO2CH3であり;
(4b)AryAは、フェニルであり、これは、その各々が、独立して、Cl、Br、F、CN、CH3、CF3、OCH3、OCF3、N(CH3)2、C(O)CH3、又はCO2CH3である、1ないし3個の置換基で置換されていてもよく;
(4c)AryAは、フェニルであり、これは、その各々が、独立して、Cl、Br、F、CH3、又はCF3である、1ないし3個の置換基で置換されていてもよく;
(5a)AryAは、フェニルであり、これは、その各々が、独立して、Cl、Br、F、又はCH3である、1又は2個の置換基で置換されていてもよく;
(5c)AryAは、
であり、ここで、T1及びT2は、各々、独立して、H、Cl、Br、F、及びCH3からなる群より選択され、ただし、T1及びT2の2個以上がHであることはない。
(6a)AryBは、フェニルであり、これは、その各々が、独立して、F、Cl、Br、C1−4アルキル、O−C1−4アルキル、CF3、OCF3、又はニトロから選択される、1ないし3個の置換基で置換されていてもよく;
(6b)AryBは、p−メチルフェニル、p−ニトロフェニル、又はフェニルであり;
(6c)AryBは、フェニルである。
これらの特徴(1)ないし(6)の1つ以上を、互いに、及び/又は、本明細書中の別の関連する特徴と組合せることができ、ここで、かかる組合せの各々は、化合物P−IV及びプロセスPの1つの態様である。
工程Cは、化合物P−III上の脱離基Wを、アミンで置換して、化合物P−IVを得ることを包含する。化合物P−IVを、式Iによって包含される所定の化合物(HIVインテグラーゼ阻害剤として有用な)を含む、薬理活性化合物の調製における、最後から2番目の中間体として用いることができる。工程Cにより、高いジアステレオマー過剰率をもつアミン生成物が、高収率で得られる。Cis−立体異性体の高いジアステレオマー過剰率を生じる、以下の実施例11の工程15、及び実施例12の工程13を参照されたい。
工程Cは、有機溶媒中で行なわれる。脱離基WがO−SO2RPであるとき、適切な溶媒は、C1−4アルキルアルコールのようなアルコールを包含する。溶媒はまた、アルコールと共溶媒との混合物であってよい。溶媒としての使用に適した混合物は、アルコールとエーテル、及び、アルコールとハロ炭化水素を包含する。代表的な溶媒は、MeOH、EtOH、IPA、n−プロパノール、MeOH−THF混合物、MeOH−MeTHF混合物、及びMeOH−DCM混合物を包含する。
脱離基Wがハロゲンであるとき、適切な溶媒は、アルコール、エーテル、ハロゲン化炭化水素、ニトリル、及びエステルを包含する。代表的な溶媒は、メタノール、エタノール、IPA、n−プロパノール、THF、MeTHF、DCE、DCM、ACN、EtOAc、及びIPAcを包含する。
脱離基WがO−SO2RPであるとき、工程Cにおける反応は、適切には約−20℃ないし約50℃の範囲内の温度において行なわれ、かつ典型的には、約−20℃ないし約25℃の範囲内の温度において行なわれる。
脱離基Wがハロゲンであるとき、工程Cにおける反応は、適切には約−10℃ないし約50℃の範囲内の温度において行なわれ、典型的には、約−5℃ないし約30℃の範囲内の温度において行なわれ、かつ、さらに典型的には、約0℃ないし約25℃の範囲内の温度において行なわれる。
脱離基WがO−SO2RPであるとき、アミンR3NH2は、典型的には、化合物P−IIIの当量当たり約2ないし約50当量の範囲内の量で用いられ、典型的には、化合物P−IIIの当量当たり、約2ないし約20当量の範囲内の量で用いられ、さらに典型的には、約5ないし約15当量の範囲内の量で用いられる。
脱離基Wがハロゲンであるとき、アミンR3NH2は、適切には、化合物P−IIIの当量当たり約3ないし約50当量の範囲内の量で用いられ、典型的には、約3ないし約10当量の範囲内の量で用いられ、さらに典型的には、約3ないし約7(例えば、約5)当量の範囲内の量で用いられる。
化合物P−IVは、過度の実験作業を伴わずに通常の技術を用いて、例えば、所望の化合物を適切な溶媒で抽出すること、化合物を沈殿させる(例えば、結晶スラリーとして)ことを目的として、濃縮すること、及び/又は、溶液中に所望の化合物を含有する抽出層に抗溶媒を添加すること、そして次に、濾過により所望の化合物を単離することで回収し得る。ある場合には、所望の化合物のより純粋な形態(すなわち、改善された立体化学及び/又は化学的純度)を、以下に記載されるように(プロセスPのサブ−実施態様SE3参照)、塩の形態で化合物を結晶化させることによって回収し得る。
プロセスPの1つの実施態様は、記載した通りの工程Cを含んでなり、かつ、
(B1)式P−IIa:
の化合物を、塩基の存在下、RPSO2−Gで処理して、化合物P−IIIa:
を得ることをさらに含んでなり、
ここで、Gは、ハロゲン又はOS(O)2RPである(すなわち、試薬RPSO2−Gは、ハロゲン化スルホニル又はスルホン酸無水物のいずれかである)。
工程B1は、有機溶媒中で行なわれる。適切な溶媒は、ハロゲン化炭化水素、エーテル、及びエステルといった、非求核性溶媒を包含する。代表的な溶媒は、DCM、THF、MeTHF、EtOAc、及びIPAcを包含する。工程B1の1つの態様においては、溶媒は、ジクロロメタン又はMeTHFである。
スルホン化剤RPSO2−G(例えば、塩化メタンスルホニル又はメタンスルホン酸無水物)は、典型的には、化合物P−IIaの当量当たり約1ないし約3当量の範囲内の量で用いられ、かつさらに典型的には、約1ないし約1.5当量の範囲内の量で用いられる。
塩基は、適切には、第三級アミンである。適切なアミンは、トリ−C1−4アルキルアミンを包含する。適切なアミンのクラスは、TEA、DIPEA、及びジエチルイソプロピルアミンからなる。このプロセスの1つの態様においては、塩基は、TEAである。塩基は、典型的には、化合物P−IIaの当量当たり約1ないし約10当量の範囲内の量で用いられ、かつさらに典型的には、約1ないし約2当量の範囲内の量で用いられる。
工程B1の反応は、適切には、約−40℃ないし約50℃(例えば、約−5℃ないし約25℃)の範囲内の温度で行なわれ、かつ典型的には、約0℃ないし約20℃の範囲内の温度で行なわれる。
プロセスPの別の実施態様は、記載した通りの工程C及びB1を含んでなり、かつ、
(A1)式P−Ia:
の化合物を、キラル二座又は単座ホスフィン配位子をもつカチオン性ロジウム若しくはルテニウム錯体の触媒量の存在下で水素化して、化合物P−IIaを得ることをさらに含んでなり;ここで、(i)双方のR2”は、CH3であるか、又は(ii)一方のR2”は、Hであり、他方のR2”は、H、CH3、又はCH2CH3である。
工程A1により、高いエナンチオマー過剰率と、高い純度及び収率とをもつ水素化生成物を得ることができる。生成物が高いeeをもつ、実施例11の工程13を参照されたい。
工程A1は、有機溶媒中で行なわれる。適切な溶媒は、アルコール、エーテル、エステル、ケトン、及びハロゲン化炭化水素を包含する。適切な溶媒のクラスは、メタノール、エタノール、IPA、MeTHF、シクロペンチルメチルエーテル、酢酸エチル、アセトン、及びジクロロメタンからなる。2種以上の個別の物質を、溶媒として用いてもよい。適当な溶媒は、例えば、アルコールとエーテル若しくはハロ炭化水素との二成分混合物、例えば、メタノールとジクロロメタンとの混合物(例えば、1:1混合物)でよい。
触媒は、例えば、1,2−ビス(2,5−ジ−i−プロピルホスホラノ)ベンゼン;[ジ(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィノ]−2−(4−ジフェニルホスフィノ−2,5−ジメチルチエン−3−イル)−1,7,7−トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン;1,2−ジメチル−2,3−ビス(ジフェニルホスフィノメチル)シクロペンチル]メタノール;4,4’−ジ−t−ブチル−4,4’,5,5’−テトラヒドロ−3,3’−ビ−3H−ジナフト[2,1−c;1’,2’−e]ホスフェピン;1−[2−(ビス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ホスフィノ)フェロセニル]エチルジシクロヘキシルホスフィン;1−[2−(ジ−2−フリルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ−tert−ブチルホスフィン;1−{2−[2−(ジフェニルホスフィノ)フェニル]−フェロセニル}エチルビス[3,5−ビス−(トリフルオロメチル)フェニル]ホスフィン;4,4’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−2,2’,5,5’−テトラメチルビ−3−チエニル;2,2’−ジ−tert−ブチル−2,3,2’,3’−テトラヒドロ−1H,1’H(1,1’)ビイソホスフィノインドリル;及び(6,6’−ジメトキシビフェニル−2,2’−ジイル)ビス[ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−メトキシフェニル)ホスフィン]といった配位子をを用いた、ビス(シクロオクタジエン)ロジウム(I)テトラフルオロボラート又はビス(ノルボルナジエン)ロジウム(I)テトラフルオロボラート[(NBD)2RhBF4]錯体でよい。
適切な触媒のクラスは、1,2−ビス(2,5−ジ−i−プロピルホスホラノ)ベンゼン;[ジ(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィノ]−2−(4−ジフェニルホスフィノ−2,5−ジメチルチエン−3−イル)−1,7,7−トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン;1,2−ジメチル−2,3−ビス(ジフェニルホスフィノメチル)シクロペンチル]メタノール;及び4,4’−ジ−t−ブチル−4,4’,5,5’−テトラヒドロ−3,3’−ビ−3H−ジナフト[2,1−c;1’,2’−e]ホスフェピンの、(NBD)2RhBF4錯体からなる。触媒は、適切には、化合物P−Iaの量を基準として(すなわち、P−Iaのモル(mol)当たりの触媒のモル数)、約0.1ないし約20モルパーセントの量で用いられ、典型的には、約0.5ないし約2モルパーセントの範囲内の量で用いられ、かつさらに典型的には、約0.5ないし約1molパーセントの量で用いられる。
工程A1における水素化は、約5℃ないし約60℃の範囲内の温度において行なわれ、典型的には、約10℃ないし約30℃の範囲内の温度において行なわれ、かつさらに典型的には、約20℃ないし約25℃の範囲内の温度において行なわれる。
工程A1における水素の供給源は、水素ガスであり、場合により、工程A1で用いる反応条件下では化学的に不活性なキャリアガス(例えば、窒素又は希ガス、例えばヘリウム若しくはアルゴン)との混合物の状態であってもよい。圧力は、工程A1では重大な観点ではない。圧力は、適切には、ほぼ雰囲気気圧ないし約500psigの範囲内でよく、かつ典型的には、約50psigないし約150psigの範囲内(例えば、約100psig)である。水素の取込みは、重大なプロセスパラメータではないが、少なくとも1つの化学量論的な量の水素ガスが典型的には用いられる。
プロセスPの1つのサブ実施態様(以降、「サブ実施態様P−SE1」)は、式P−4:
の化合物を調製するためプロセスであって、
(C)式P−3a:
の化合物を、R3NH2と接触させて、化合物P−4を得ることを含んでなり、ここで:
RPは、C1−3アルキルであり;
R2’は、CH3又はCH2CH3であり;
R3は、C1−3アルキルであり;
Lは、H、CH3、又はNO2であり;かつ
T1及びT2は、各々、独立して、H、Cl、Br、F、及びCH3からなる群より選択され、ただし、T1及びT2の2個以上がHであることはなく;
かつ、該プロセスは、場合により:
(B1)式P−2a:
の化合物を、塩基の存在下、RPSO2−Gで処理して、化合物P−IIIaを得ることを含んでなり;ここで、Gは、ハロゲン又はOS(O)2RPであり;かつ該プロセスは、場合により:
(A1)式P−1a:
の化合物を、キラル二座又は一座ホスフィン配位子をもつカチオン性ロジウム若しくはルテニウム錯体の触媒量の存在下で水素化して、化合物P−2aを得ることをさらに含んでなり;ここで、R2”は、H又はCH3である。
サブ実施態様P−SE1の特徴は、以下の特徴(c1)ないし(c8)、(b1)ないし(b5)、及び(a1)ないし(a4)の1つ以上を組入れて、該サブ実施例において最初に記載されたプロセスを包含する:
(c1)R2’は、CH3である;
(c2)RPは、CH3である;
(c3)R3は、CH3である;
(c4)Lは、Hである;
(c5)T1は、CH3であり、かつT2は、Fである;
(c6)工程Cは、MeOH、EtOH、IPA、n−プロパノール、MeOH−THF混合物、MeOH−MeTHF混合物、及びMeOH−DCM混合物からなる群より選択される溶媒中で行なわれる;
(c7)工程Cは、約−20℃ないし約25℃の範囲内の温度で行なわれる;
(c8)アミンR3NH2は、化合物P−3aの当量当たり、約2ないし約20当量の範囲内の量で用いられる;
(b1−a)Gは、Cl、Br、又はOS(O)2RPである;
(b1−b)Gは、Clである;
(b2−a)工程B1は、DCM、THF、MeTHF、EtOAc、及びIPAcからなる群より選択される溶媒中で行なわれる;
(b2−b)工程B1は、DCM及びMeTHFからなる群より選択される溶媒中で行なわれる;
(b3)工程B1は、約−5℃ないし約25℃の範囲内の温度で行なわれる。
(b4)工程B1における塩基は、トリC1−4アルキルアミン(例えば、TEA、DIPEA、又はジエチルイソプロピルアミン)である;
(b5)工程B1における塩基は、化合物P−2aの当量当たり、約1ないし約2当量の範囲内の量で用いられる。
(a1−a)工程A1における触媒は、1,2−ビス(2,5−ジ−イソプロピルホスホラノ)ベンゼン;ジ(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィノ]−2−(4−ジフェニルホスフィノ−2,5−ジメチルチエン−3−イル)−1,7,7−トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン;1,2−ジメチル−2,3−ビス(ジフェニルホスフィノメチル)シクロペンチル]メタノール;又は4,4’−ジ−t−ブチル−4,4’,5,5’−テトラヒドロ−3,3’−ビ−3H−ジナフト[2,1−c;1’,2’−e]ホスフェピンの、(NBD)2RhBF4錯体である。
(a1−b)工程A1における触媒は、(NBD)2RhBF4と(+)−1,2−ビス((2R,5R)−2,5−ジ−イソプロピルホスホラノ)ベンゼンとの錯体である;
(a2)工程A1における触媒は、約0.5ないし約2モルパーセントの範囲内の量で用いられる;
(a3)工程A1は、MeOH、EtOH、IPA、MeTHF、シクロペンチルメチルエーテル、酢酸エチル、アセトン、DCM、及び、MeOHとDCMとの混合物からなる群より選択される溶媒中で行なわれる;
(a4)工程A1における水素化は、約10℃ないし約30℃の範囲内の温度で行なわれる。
特徴(c1)ないし(c8)、(b1)ないし(b5)、及び(a1)ないし(a4)の各々が、単独で、又は任意の組合せにおいて複数で、上記記載のサブ実施態様P−SE1に組入れられてよいこと、及びかかる組入れの各々の結果として生じたプロセスが、該サブ実施態様の1つの態様であることが理解される。
プロセスPの別の実施態様は、記載した通りの工程Cを含んでなり、かつ、
(B2)式P−IIb:
のカルボキシラートを、式AryA−NH2のアミンと接触させて、化合物P−IIIb:
を得ることをさらに含んでなり、
ここで、W’は、ハロゲンであり、かつRSは、C1−4アルキルである。
工程B2の反応は、化合物P−IIIbを、アリールアミンAryA−NH2と、アルキルアルミニウム、例えば、トリエチルアルミニウム、トリメチルアルミニウム、又はクロロジメチルアルミニウムの存在下で接触させることによって行ない得る。1つの態様においては、アルキルアルミニウム及びアリールアミンを一緒に合わせて、アミン−Al錯体を形成し、これを次に、化合物P−IIbと接触させる。このカップリング反応は、有機溶媒中で行なわれる。適切な溶媒は、芳香族炭化水素及びハロゲン化炭化水素を包含する。代表的な溶媒は、DCM及びトルエンを包含する。反応は、適切には、約−10℃ないし約30℃の範囲内の温度で行なわれてよく、かつ典型的には、約0℃ないし約25℃の範囲内の温度で行なわれる。アリールアミンは、適切には、化合物P−IIbの当量当たり、約1ないし約10当量(例えば、約1ないし約5当量)の量で用いられ、かつ典型的には、化合物P−IIbの当量当たり、約1.4ないし約2当量(例えば、約1.5当量)の量で用いられる。アルキルアルミニウム及びアリールアミンは、典型的には、等モル量で用いられる。反応は、反応混合物を酸で処理することによってクエンチし得る。
工程B2の反応は、別法として、まず、エステル基−C(O)ORSを−COOHへ加水分解すること、及び次に、酸(又は、酸ハロゲン化物、例えば酸塩化物(これは、酸を、例えば塩化チオニル(SOCl2)、三塩化リン(PCl3)、又は五塩化リン(PCl5)で処理することによって得ることができる))を、アリールアミンと接触させることにより行なってもよい。反応は、有機溶媒中で行なわれる。適切な有機溶媒は、非プロトン性溶媒、例えばハロ炭化水素(注意−用語「ハロゲン化炭化水素」及び「ハロ炭化水素」は、本明細書では互換性に使用される)、エーテル、ニトリル、及び第三級アミドである。代表的な溶媒は、DCM、ジエチルエーテル、MTBE、DME、ジメトキシメタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、THF、MeTHF、ジオキソラン、ジオキサン、アセトニトリル、プロピオニトリル、DMF、DMAC、及びNMPを包含する。アリールアミンは、適切には、化合物P−IIbの当量当たり、約1ないし約10当量の量で用いられ、かつ典型的には、化合物P−IIbの当量当たり、約1.4ないし約2当量(例えば、約1.5当量)の量で用いられる。活性化剤(例えば、EDC、DCC、又はBOP−Cl)を、アリールアミンと組合せて用い得る。工程B2において用いるとき、活性化剤は、化合物P−IIbの当量当たり、少なくとも1当量の量で用いられ、かつ典型的には、化合物P−IIbの当量当たり、約1ないし1.5当量の範囲内の量で用いられる。酸ハロゲン化物を用いる場合、アリールアミンとのカップリングは、典型的には、結果として生じる酸副産物を中和することができる、塩基の存在下で行なわれる。適正な塩基は、アルカリ金属水酸化物及び第三級アミンを包含する。代表的な塩基は、LiOH、KOH、NaOH、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、NMM、NEM、TEA、DIPEA、及びDABCOを包含する。塩基は、適切には、化合物P−IIbの当量当たり、約1ないし約1.5当量の範囲内の量で用いられる。工程B2における反応は、適切には、約−10℃ないし約40℃の範囲内の温度で行なわれ、かつ典型的には、約0℃ないし約25℃の範囲内の温度で行なわれる。
プロセスPの別の実施態様は、記載された通りの工程C及びB2を含んでなり、かつ、
(A2)式P−Ib1及び式P−Ib2:
の化合物のハロゲン化物−ジハロゲン化物の混合物を、塩基の存在下、還元剤で処理して、化合物P−IIbを得ることをさらに含んでなる。
工程A2は、有機溶媒中で行なわれる。適切な溶媒は、炭化水素、ハロ炭化水素、アルコール、エーテル、ニトリル、環状スルホン、ジアルキルスルホキシド、N,N’−ジアルキル−N,N’−アルキレン尿素、及び第三級アミドを包含する。代表的な溶媒は、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、DCM、クロロベンゼン、MeOH、EtOH、IPA、MTBE、THF、ACN、スルホラン、DMSO、DMPU、DMF、DMAC、及びNMPを包含する。1つの態様においては、溶媒は、ジクロロメタン又はTHFである。
適切な還元剤は、還元性金属、水素化ホウ素、トリアルキルホスフィン、トリアリールホスフィン、ジアルキルホスフィン、及びハロゲン化水素を包含する。代表的な還元剤は、Zn、サマリウム、水素化ホウ素ナトリウム、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、亜リン酸ジメチル、亜リン酸ジエチル、及びHBrを包含する。工程A2の1つの態様においては、還元剤は、亜リン酸ジアルキルである。還元剤は、適切には、化合物P−Ib1及び化合物P−Ib2の当量当たり、約1ないし約10当量(例えば、約1ないし約5当量)の範囲内の量で用いてよく、かつ典型的には、約1ないし約1.5当量の範囲内の量で用いられる。
塩基は、適切には、第三級アミンである。適切なアミンは、トリアルキルアミン、ピリジン、及びN−アルキル化された環状アミンを包含する。適切なアミンのクラスは、TEA、DIPEA、ジエチルイソプロピルアミン、NMM、ピリジン、及びルチジンからなる。工程A2の1つの態様においては、塩基は、NMMである。塩基は、適切には、化合物P−Ib1+化合物P−Ib2の当量当たり、約0ないし約10当量(例えば、約0.5ないし約5当量)の範囲内の量で用いてよく、かつ典型的には、約0.5ないし約1.5当量の範囲内の量で用いられる。
工程A2における反応は、適切には、約−40℃ないし約150℃の範囲内の温度で行なわれてよく、かつ典型的には、約10℃ないし約50℃の範囲内の温度で行なわれる。
工程A2により、非臭素化化合物(すなわち、ここでは、W’がHによって置換されている)まで過還元することなく、高い収率で、モノハロゲン化物を得ることができる。実施例12の工程11を参照されたい。
プロセスPの別のサブ実施態様(サブ実施態様P−SE2)は、式P−4:
の化合物を調製するプロセスであって、該プロセスは、
(C)式P−3b:
の化合物を、R3NH2と接触させて、化合物P−4を得ることを含んでなり;ここで、
R2’は、CH3又はCH2CH3であり;
R3は、C1−3アルキルであり;
Lは、H、CH3、又はNO2であり;かつ
T1及びT2は、各々、独立して、H、Cl、Br、F、及びCH3からなる群より選択され、ただし、T1及びT2の2個以上がHであることはなく;
かつ該プロセスは、場合により、
(B2)式P−2b:
のカルボキシラートを、アルキルアルミニウムの存在下で、式:
のアリールアミンと接触させて、化合物P−3bを得ることをさらに含んでなり;かつ該プロセスは、場合により、
(A2)式P−1b1及び式P−1b2:
の化合物の、ハロゲン化物−二臭化物混合物を、塩基の存在下、亜リン酸ジアルキルで処理して、化合物P−2bを得ることをさらに含んでなる。
サブ実施態様P−SE2の特徴は、以下の特徴(c1)ないし(c8)、(b1)ないし(b5)、及び(a1)ないし(a6)の1つ以上を組入れて、該サブ実施例において最初に記載されたプロセスを包含する:
(c1)R2’は、CH2CH3である;
(c2)R3は、CH3である;
(c3)RSは、CH3である;
(c4)Lは、Hである;
(c5)T1は、Hであり、かつT2は、Fである;
(c6)工程Cは、メタノール、エタノール、IPA、n−プロパノール、THF、MeTHF、DCE、DCM、ACN、EtOAc、及びIPAcからなる群より選択される溶媒中で行なわれる;
(c7)工程Cは、約−5℃ないし約30℃の範囲内の温度で行なわれる;
(c8)アミンR3NH2は、化合物P−3bの当量当たり、約3ないし約10当量の範囲内の量で用いられる;
(b1−a)アルキルアルミニウムは、トリメチルアルミニウム又はトリエチルアルミニウムである;
(b1−b)アルキルアルミニウムは、トリメチルアルミニウムである;
(b2)工程B2におけるアリールアミンは、化合物P−2bの当量当たり、約1ないし約5当量の範囲内の量で用いられる;
(b3)アルキルアルミニウム及びアリールアミンは、工程B2において、等モル量で用いられる;
(b4)工程B2は、DCM及びトルエンからなる群より選択される溶媒中で行なわれる;
(b5)工程B2は、約−10℃ないし約30℃の範囲内の温度で行なわれる;
(a1−a)亜リン酸ジアルキルは、亜リン酸ジメチル又は亜リン酸ジエチルである;
(a1−b)亜リン酸ジアルキルは、亜リン酸ジエチルである;
(a2)工程A2における亜リン酸ジアルキルは、化合物P−1b1及びP−1b2の当量当たり、約1ないし約5当量の範囲内の量で用いられる;
(a3−a)工程A2は、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、DCM、クロロベンゼン、MeOH、EtOH、IPA、MTBE、THF、ACN、スルホラン、DMSO、DMPU、DMF、DMAC、及びNMPからなる群より選択される溶媒中で行なわれる;
(a3−b)工程A2は、DCM及びTHFからなる群より選択される溶媒中で行なわれる;
(a4)工程A2は、約10℃ないし約50℃の範囲内の温度で行なわれる;
(a5−a)工程A2における塩基は、第三級アミンである;
(a5−b)工程A2における塩基は、TEA、DIPEA、ジエチルイソプロピルアミン、NMM、ピリジン、及びルチジンからなる群より選択される;
(a6)工程A2における塩基は、化合物P−1b1及びP−1b2の当量当たり、約0.5ないし約5当量の範囲内の量で用いられる。
特徴(c1)ないし(c8)、(b1)ないし(b5)、及び(a1)ないし(a6)の各々が、単独で、又は任意の組合せにおいて複数で、上記記載のサブ実施態様P−SE2に組入れられてよいこと、及びかかる組入れの各々の結果として生じたプロセスが、該サブ実施態様の1つの態様であることが理解される。
プロセスPの別のサブ実施態様(サブ実施態様P−SE3)は、サブ実施態様P−SE1又はP−SE2のプロセスであり、該プロセスは、化合物P−4を、有機酸(例えば、アルキルスルホン酸、アリールスルホン酸、アルキルカルボン酸、ジカルボン酸などから選択される)と、化合物P−4の有機酸塩を形成するのに充分な量及び条件で接触させることをさらに含んでなる。このサブ実施態様の1つの特徴においては、化合物P−4は、化合物PN−4A:
であり、かつ有機酸は、ショウノウ酸(camphoric acid)であり、ここで、アルコール(例えば、MeOH)中のショウノウ酸の溶液を、アルコール(例えば、MeOH)中の化合物PN−4Aの溶液に添加してよく、合わせた溶液に、場合により、ショウノウ酸塩を接種してもよく、この溶液を次に、約15℃ないし約25℃の範囲内の温度で熟成させて、所望の塩のスラリーを得てもよく、これを濾過し、洗浄し、そして乾燥させて、単離された塩を得てもよい。この特徴の1つの態様においては、化合物PN−4Aのショウノウ酸塩は、化合物PN−4Aの結晶性2:1ショウノウ酸塩である。
サブ実施態様P−SE3の別の特徴においては、化合物P−4は、化合物PN−5A:
であり、かつ有機酸は、p−トルエンスルホン酸(PTSA)であり、ここで、酸の水溶液を、アルコール(例えば、MeOH)中の化合物PN−5Aの溶液に添加し、合わせた溶液に、場合により、PTSA塩を接種してもよく、次に溶液を約15℃ないし約25℃の範囲内の温度で熟成させて、所望の塩のスラリーを得てもよく、これを濾過し、洗浄し、そして乾燥させて、単離された塩を得てよく、これを適当な溶媒(例えば、EtOAc)中に再スラリー化し、次いで濾過し、洗浄し、そして乾燥させて、純度の改善された塩を得てもよい。この特徴の1つの態様においては、化合物PN−5AのPTSA塩は、化合物PN−5Aの結晶性PTSA塩である。
サブ実施態様P−SE3において示された塩形成の工程は、化合物P−4のジアステレオマー純度及び化学純度を改善し得る。
本発明はまた、式Q−II:
のピリミドオキサゼピン化合物を調製するためのプロセス(プロセスQ)も包含し、
該プロセスは、式Q−1:
の化合物を、(i)かさ高い単座ホスフィン配位子と組合せた触媒量のAu(I)塩又はAu(III)塩、及び(ii)Ag塩、と接触させることを含んでなり;ここで:
R4は、H又はC1−4アルキルであり;
R5Aは、OH又はOC(O)RQであり;
R5Bは、C(O)ORQ又はC(O)N(RK)RLであり;
RQは、C1−4アルキルであり;
RK及びRLは、各々、独立して、H又はC1−4アルキルであり;
R6は、H、O−PG1、又はN(CH3)−PG2であり;
PG1は、ヒドロキシ保護基であり;かつ
PG2は、アミン保護基である。
R6の定義におけるヒドロキシ保護基PG1は、化合物Q−IIの調製に用いる反応条件については安定であり、かつ適当なヒドロキシ脱保護剤との接触によって(例えば、酸で処理することにより)除去(切断)されるためには充分不安定であり、該化合物中に存在する任意の他の官能基をほとんど又は全く分解することなく遊離のOHを生じる、任意のヒドロキシ保護基であってよい。ヒドロキシ保護基は、当該技術分野において公知であり、それらについて、及びその形成及び切断については、例えば、「Protective Groups in Organic Chemistry(有機化学における保護基)」、マコーミー(J.F.W.McOmie)編、Plenum Press、New York、1973年、p.95−143;及びグリーン(T.W.Greene)及びウッツ(P.G.M.Wuts)著、「Protective Groups in Organic Synthesis(有機合成における保護基)」、第3版、John Wiley, New York、1999年、p.17−245(これらの開示は、参照により本明細書に組込まれる)に記載されている。
R6の定義におけるアミン保護基PG2は、化合物Q−IIの調製に用いる反応条件については安定であり、かつ適当なアミン脱保護剤との接触によって(例えば、酸で処理することにより、又は水素化分解により)除去(切断)されるためには充分不安定であり、該化合物中に存在する任意の他の官能基をほとんど又は全く分解することなく遊離のアミンを生じる、任意のアミン保護基であってよい。アミン保護基は、当該技術分野において公知であり、それらについて、及びその形成及び切断については、例えば、「Protective Groups in Organic Chemistry」、マコーミー(J.F.W.McOmie)編、Plenum Press、New York、1973年、p.43−75;及びグリーン(T.W.Greene)及びウッツ(P.G.M.Wuts)著、「Protective Groups in Organic Synthesis」、第3版、John Wiley, New York、1999年、p.494−653(これらの開示は、参照により本明細書に組込まれる)に記載されている。
化合物Q−II及びプロセスQの特徴は、以下を包含する:
(1a)R4は、H又はメチルである;
(1b)R4は、Hである;
(2a)R5Aは、OH、OC(O)−CH3(=アセテート)、又はOC(O)C(CH3)3(=ピバレート)である;
(2b)R5Aは、OHである;
(3a)R5Bは、C(O)OCH3、C(O)OCH2CH3、C(O)NH2、C(O)NHCH3、又はC(O)N(CH3)2である;
(3b)R5Bは、C(O)OCH3である;
(4a)R6は、Hである;
(4b)R6は、O−PG1であり、ここで、PG1は、シリル基又はスルホニル基である;
(4c)R6は、O−PG1であり、ここで、PG1は、(1)Si(C1−6アルキル)n(フェニル)3−n(ここで、nは、ゼロ、1、2、又は3に等しい整数である)、(2)SO2−C1−6アルキル、(3)SO2−C1−6ハロアルキル、又は(4)SO2−フェニルであって、ここで、(1)又は(4)におけるフェニルは、その各々が、独立して、ハロゲン、−C1−4アルキル、−O−C1−4アルキル、又はニトロである、1ないし3個の置換基で置換されていてもよい;
(4d)R6は、O−PG1であり、ここで、PG1は、トリメチルシリル(TMS)、t−ブチルジフェニルシリル(TBDPS)、t−ブチルジメチルシリル(TBS)、又はトリ−イソプロピルシリル(TIPS)である;
(4e)R6は、O−TBSである;
(4f)R6は、N(CH3)−PG2であり、ここで、PG2は、(1)C(=O)−O−(CH2)0−1−CH=CH2、
(2)C(=O)−O−CH2−フェニル(ここで、該フェニルは、その各々が、独立して、ハロ、−NO2、−C1−4アルキル、又は−O−C1−4アルキルである、1ないし3個の置換基で置換されていてもよい)、
(3)C(=O)−O−C1−4アルキル、である;
(4g)R6は、N(CH3)−PG2であり、ここでPG2は、t−ブチルオキシカルボニル(Boc)、アリルオキシカルボニル(Alloc)、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、p−メトキシベンジルオキシカルボニル、p−ニトロベンジルオキシカルボニル、p−ブロモベンジルオキシカルボニル、p−クロロベンジルオキシカルボニル、又は2,4−ジクロロベンジルオキシカルボニルである;
(4h)R6は、N(CH3)−Bocである。
これらの特徴(1)ないし(4)の1つ以上を互いに組合せてもよく、ここで、かかる組合せの各々は、化合物Q−II及びプロセスQの個別の態様である。
プロセスQは、ヒドロアミノ化反応により環化して、化合物Q−IIを得ることを包含し、該化合物を、式Iに含まれる化合物を包含する薬理活性化合物の調製における中間体として用いることができる。実施例11の工程9は、プロセスQを例示する。
プロセスQは、有機溶媒中で行なわれる。適切な溶媒は、炭化水素、ハロ炭化水素、エーテル、及びニトリルを包含する。代表的な溶媒は、ヘキサン、トルエン、DCM、DCE、トリフルオロトルエン、アセトニトリル、及びTHFを包含する。
プロセスQは、適切には、約0℃ないし約80℃の範囲内の温度で行なわれ、かつ典型的には、約30℃ないし約50℃の範囲内の温度で行なわれる。
適切なAu塩は、AuCl、Me2SAuCl、及びAuCl3を包含する。Au塩は、プロセスQにおいて、適切には、化合物Q−1の当量当たり、約0.01ないし約0.40当量の範囲内の量で用いられ、かつ典型的には、化合物Q−1の当量当たり、約0.02ないし約0.10当量の範囲内の量で用いられる。
かさ高い単座ホスフィン配位子は、適切には、3つの大きいヒドロカルビル基で置換された、単座ホスフィン配位子でよく、該ヒドロカルビル基は、(i)分枝鎖C3+アルキル基(ここで、「C3+」は、該基に3個以上の炭素があることを意味する)、(ii)1個以上の分枝鎖C3+アルキルで置換されていてもよい、C5+シクロアルキル基、(iii)1個以上の分枝鎖C3+アルキルで置換されていてもよい、C7+二環式及び三環式の飽和炭化水素シクリル基(ここで、炭化水素シクリル中の該環は、縮合されているか架橋されているか、及び/又は単結合によって結合されている)、及び(iv)1個以上の分枝鎖C3+アルキルで置換されている、C6+アリール基;から選択され、ここで、3個のヒドロカルビル基のうちの少なくとも2個は、典型的には(i)及び(ii)から選択される。
適切なかさ高い単座ホスフィン配位子は、式P(AkZ)3、P(AkZ)2((AryZ)1及びP(AkZ)2(HcyZ)1によって含まれるものから選択さる配位子を包含し、ここで、AkZは、1個以上(例えば、1ないし4個)の分枝鎖C3−6アルキル基で置換されていてもよい、分枝鎖(すなわち、第二級又は第三級の)C4−8アルキル又はC5−8シクロアルキルであり;AryZは、フェニル又はビフェニルであり、ここで、該フェニル又はビフェニルは、1個以上(例えば、1ないし4個)の分枝鎖C3−6アルキル基で置換されていてもよく;かつHcyZは、ビシクロヘキシル、又はC7−12の縮合若しくは架橋された、二環式若しくは三環式の飽和炭化水素シクリルであり、ここで、該ビシクロヘキシル又は該炭化水素シクリルは、1個以上(例えば、1ないし6個)の分枝鎖C3−6アルキル基で置換されていてもよい。代表的なAkZ基は、イソプロピル、sec−ブチル、イソブチル、t−ブチル、シクロヘキシル、及びシクロヘプチルを包含する。代表的なAryZ基は、2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル、及び2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニルを包含する。代表的なHcyZ基は、ビシクロヘキシル、デカリル、及びアダマンチルを包含する。典型的なかさ高い単座ホスフィン配位子は、t−ブチル−Xphos、Xphos、及びトリ−t−ブチルホスフィンを包含する。
適切なAg塩は、AgSbF6、AgBF4、及びAgOTfを包含する。Ag塩は、プロセスQにおいて、適切には、化合物Q−Iの当量当たり、約0.01ないし約1.2当量の範囲内の量で用いられ、かつ典型的には、化合物Q−Iの当量当たり、約0.02ないし約0.30当量の範囲内の量で用いられる。
ルイス酸付加物を、任意選択で用いて、選択性を増強してもよい。適切な任意選択のルイス酸は、LiOTf、Mg(OTf)2、及びZn(OTf)2を包含する。ルイス酸は、プロセスQにおいて適切には、化合物Q−Iの当量当たり、約0.1ないし約2当量の範囲内の量で用いてよく、かつ典型的には、化合物Q−Iの当量当たり、約0.5ないし約1当量の範囲内の量で用いてよい。
プロセスQにより、対応する8員環に対して高い選択性をもつ、化合物Q−II中の7員のオキサジン環を得ることができる。
本発明はまた、式R−II:
のピリミドオキサゼピン化合物を調製するためのプロセス(プロセスR)を包含し、
該プロセスは、式R−I:
の化合物を、C1−4アルキルホスフィン又はフェニルホスフィン配位子と組合せた、触媒量のPd触媒と接触させることを含んでなり;ここで:
R7は、C1−4アルキルであり;
R8は、ハロゲン又はOC(O)−C1−6アルキルであり;かつ
PG3は、ヒドロキシ保護基である。
プロセスQについて上記に示したヒドロキシ保護基PG1の記載及び定義は、プロセスRのPG3に対し等しく適用される。
化合物R−II及びプロセスRの特徴は、以下を包含する:
(1a)R7は、メチル又はエチルである;
(1b)R7は、メチルである;
(2a)R8は、ハロゲンである;
(2b)R8は、Br、Cl、又はFである。
(2c)R8は、Clである。
(2d)R8は、OC(O)−CH3(=アセテート)又はOC(O)C(CH3)3(=ピバレート)である;
(2e)R8は、OC(O)−CH3である;
(3a)PG3は、シリル基又はスルホニル基である;
(3b)PG3は、(1)Si(C1−6アルキル)n(フェニル)3−n(ここで、nは、ゼロ、1、2、又は3に等しい整数である)、(2)SO2−C1−6アルキル、(3)SO2−C1−6ハロアルキル、又は(4)SO2−フェニルであり、ここで、(1)又は(4)におけるフェニルは、その各々が、独立して、ハロゲン、C1−4アルキル、O−1−4アルキル、又はニトロである、1ないし3個の置換基で置換されていてもよい;
(3c)PG3は、ベンゼンスルホニル、p−トルエンスルホニル、メタンスルホニル、p−ニトロベンゼンスルホニル、又はトリフルオロメタンスルホニルである;
(3d)PG3は、ベンゼンスルホニルである。
これらの特徴(1)ないし(3)の1つ以上を互いに組合せてもよく、ここで、かかる組合せの各々は、化合物R−II及びプロセスRの個別の態様である。
プロセスRは、分子内アリル化反応によって環化して、化合物R−IIを生じることを包含し、該化合物を、式Iに含まれる化合物を包含する薬理活性化合物の調製の中間体として用いることができる。実施例12の工程8は、プロセスRを例示する。
プロセスRは、有機溶媒中で行なわれる。適切な溶媒は、炭化水素、ハロ炭化水素、エーテル、ニトリル、及び第三級アミドを包含する。代表的な溶媒は、ヘキサン、トルエン、DCM、DCE、クロロホルム、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、ACN、DMF、DMAC、NMP、スルホラン、及びDMPUを包含する。1つの態様においては、溶媒は、DCMである。
プロセスRは、適切には、約−20℃ないし約100℃の範囲内の温度で行なわれ、かつ典型的には、約10℃ないし約40℃の範囲内の温度で行なわれる。
触媒は、Pd触媒、例えば、未担持Pd金属;炭素、アルミナ、又は炭酸カルシウムといった担体上のPd金属;Pd塩、例えば、Pd(OAc)2、Pd(トリフルオロアセテート)2、PdCl2;又は、酸化状態0、1、又は2のPdを用いたPd錯体である。適切な錯化されたPd触媒は、Pd2(dba)3、Pd(dba)2、PdCl(アリル)二量体、PdCl2(PPh3)2を包含する。錯体中の配位子は、個別のものとして添加してもよく、又はそれをパラジウムに対して錯体形成させて、Pd及び配位子双方を含有する別個の化合物を形成してもよい。
Pdとの錯体形成に適切な配位子は、アルキルホスフィン及びアリールホスフィン;例えば、C1−4アルキルホスフィン及びフェニルホスフィンを包含する。1つの態様においては、配位子は、モノホス(Monophos)配位子、又はトロスト(Trost)配位子である。代表的な配位子は、1,2−ジアミノシクロヘキサン−N,N’−ビス(2−ジフェニルホスフィノ−1−ベンゾイル及び1,2−ジアミノシクロヘキサン−N,N’−ビス(2−ジフェニルホスフィノ−1−ナフトイルを包含し、ここで該配位子は、任意選択ではあるが好ましくは、テトラアルキル又はテトラアリールアンモニウムハロゲン化物、又は混合されたアルキル+アリールアンモニウムハロゲン化物、又は混合されたアルキルアリール+アルキルアンモニウムハロゲン化物の存在下で用いられる。適切なハロゲン化物は、テトラメチル−、テトラエチル−、テトラブチル−、テトラフェニル−、及びベンジルトリメチル−アンモニウムブロミド及びクロリドを包含する。1つの態様においては、該アンモニウムハロゲン化物は、テトラブチルアンモニウムブロミドである。
Pd触媒は、プロセスRにおいて、適切には、化合物R−Iの当量当たり、約0.001ないし約0.1当量の範囲内の量で用いられ、かつ典型的には、化合物R−Iの当量当たり、約0.01ないし約0.03当量の範囲内の量で用いられる。Pd触媒及び配位子は、典型的には、Pd:配位子=1:2の比で用いられる。
プロセスRにより、クリーンな選択的反応が得られ、7員環生成物を最低限の副反応とともに生じ得る。
本発明はまた、式S−III:
のヘキサヒドロピリミドアゼピン化合物を調製するためのプロセス(プロセスS)も包含し、該プロセスは、
(S−B)式S−II:
の化合物を、触媒量の、キラル二座又は単座ホスフィン配位子をもつカチオン性ロジウム錯体の存在下で、水素化することを含んでなり;かつ該プロセスは、場合により、
(S−Aa)式S−Ia:
の化合物を、まず、酸化剤と、そして次に第三級アミン塩基と接触させて、化合物S−IIを得ること;又は
(S−Ab)式S−Ib:
の化合物を、酸の存在下で、式R3−NH2のアミンと接触させること、
のいずれかをさらに含んでいてもよく;
ここで、
R3は、CH3又はCH2CH3であり;
R9は、CH3又はCH2CH3であり;
PG4は、ヒドロキシ保護基であり;かつ
T1及びT2は、各々、独立して、H、Cl、Br、F、及びCH3からなる群より選択され、ただし、T1及びT2の2個以上がHであることはない。
プロセスQについて上記に示したヒドロキシ保護基PG1の記載及び定義は、プロセスSのPG4に対し等しく適用される。
化合物S−III及びプロセスSの特徴は、以下を包含する:
(1a)R3は、メチルである;
(1b)R3は、エチルである;
(2a)R9は、メチルである;
(2b)R9は、エチルである;
(3a)PG4は、シリル基又はスルホニル基である;
(3b)PG4は、(1)Si(C1−6アルキル)n(フェニル)3−n(ここで、nは、ゼロ、1、2、又は3に等しい整数である)、(2)SO2−C1−6アルキル、(3)SO2−C1−6ハロアルキル、又は(4)SO2−フェニルであって、ここで、(1)又は(4)におけるフェニルは、その各々が、独立して、ハロゲン、−C1−4アルキル、−O−C1−4アルキル、又はニトロである、1ないし3個の置換基で置換されていてもよい;
(3c)PG4は、ベンゼンスルホニル、p−トルエンスルホニル、メタンスルホニル、p−ニトロベンゼンスルホニル、又はトリフルオロメタンスルホニルである;
(3d)PG4は、ベンゼンスルホニルである;
(4a)T1は、CH3であり、かつT2は、Fである;
(4b)T1は、Hであり、かつT2は、Fである。
これらの特徴(1)ないし(4)の1つ以上を互いに組合せてもよく、ここで、かかる組合せの各々は、化合物S−III及びプロセスSの個別の態様である。
プロセスSは、エナミンを不斉水素化して、化合物S−IIIを生じることを包含し、該化合物を、式Iに含まれる化合物を包含する薬理活性化合物の調製における中間体として用いることができる。実施例13の工程15及び16は、プロセスSにおけるその工程を例示する。
工程S−Bは、有機溶媒中で行なわれる。工程S−Bのための適切な溶媒は、アルコール及びフルオロアルコールを包含する。工程S−Bのための代表的な溶媒は、TFE、MeOH、及びEtOHを包含する。
工程S−Bは、適切には、約5℃ないし約60℃の範囲内の温度で行なわれてよく、かつ典型的には、約20℃ないし約25℃の範囲内の温度で行なわれる。
工程S−Bにおける水素化触媒は、適切には、例えば、
1−{2−[2−(ジフェニルホスフィノ)フェニル]−フェロセニル}エチルビス(2−ノルボルニル)ホスフィン;1−{2−[2−(ビス(3,5−ジメチル−4−メトキシフェニル)ホスフィノ)フェニル]−フェロセニル}エチルビス(2−ノルボルニル)ホスフィン;1−[2−(ジ−2−フリルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ−tert−ブチルホスフィン;1−[2−(ジ−2−フリルホスフィノ)フェロセニル]エチルジシクロヘキシルホスフィン;1−[2−(ジ−1−ナフチルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ−tert−ブチルホスフィン;1−[2−(ジ−p−トリルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ−tert−ブチルホスフィン;又は1−{2−[2−(ジフェニルホスフィノ)フェニル]−フェロセニル}エチルジシクロヘキシルホスフィン、といった配位子を用いた、ビス(シクロオクタジエン)ロジウム(I)テトラフルオロボラート又はビス(ノルボルナジエン)ロジウム(I)テトラフルオロボラート錯体であってよい。
1つの態様においては、触媒は、1−[2−(ジ−2−フリルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ−tert−ブチルホスフィン、又は1−{2−[2−(ジフェニルホスフィノ)フェニル]−フェロセニル}エチルビス(2−ノルボルニル)ホスフィンの、ビス(ノルボルナジエン)ロジウム(I)テトラフルオロボラート錯体である。
触媒は、適切には、工程S−Bにおいて、約0.1ないし約20モル%の範囲内の量で用いてよく、かつ典型的には、約0.5ないし1モル%(すなわち、化合物S−IIのモル当たりの触媒モル数)の範囲内の量で用いられる。
工程S−Bにおける水素の供給源は、水素ガスであり、場合により、工程S−Bで用いる反応条件下で化学的に不活性なキャリアガス(例えば、窒素又は、希ガス例えばヘリウム若しくはアルゴン)との混合物の状態であってもよい。圧力は、工程S−Bでは重大な点ではない。圧力は、適切には、ほぼ雰囲気気圧ないし約500psigの範囲内でよく、かつ典型的には、約50psigないし約150psigの範囲内(例えば、約100psig)である。水素の取込みは、重大なプロセスパラメータではないが、少なくとも1つの化学量論的な量の水素ガスが典型的には用いられる。
工程S−Bは、場合により、ブレンステッド酸、例えばテトラフルオロホウ酸、TFA、ジクロロ酢酸、クロロ酢酸、又はベンゼンスルホン酸の存在下で行なってもよい。1つの態様においては、酸は、TFA又はジクロロ酢酸である。別の態様においては、酸は、ジクロロ酢酸である。酸は、適切には、化合物S−IIの当量当たり、約0.25ないし約1当量の範囲内の量で用いてよく、かつ典型的には、約0.5ないし約0.8当量の量で用いられる。
工程S−Bはまた、場合により、金属又は非金属のオルトエステル、例えば、チタン(IV)イソプロポキシド、アルミニウムイソプロポキシド、オルトケイ酸テトラメチル、ホウ酸トリメチル、及びオルト酢酸エチルといった添加剤の存在下で行なってもよい。1つの態様においては、オルトエステルは、チタン(IV)イソプロポキシド又はアルミニウムイソプロポキシドである。オルトエステルは、適切には、化合物S−IIの当量当たり、約0.25ないし約2当量の範囲内の量で用いてよく、かつ典型的には、約1当量からの量で用いられる。
工程S−Aaは、有機溶媒中で行なわれる。工程S−Aaのための適切な溶媒は、エステルを包含する。工程S−Aaのための代表的な溶媒は、EtOAc及びIPAcを包含する。
工程S−Aaは、適切には、約−5℃ないし約25℃の範囲内の温度で行なわれてよく、かつ典型的には、約0℃ないし10℃の範囲内の温度で行なわれる。
工程S−Aaにおける酸化剤は、次亜塩素酸塩、アルコール、及びアルキルカルボン酸からなる。1つの態様においては、酸化剤は、NaOCl+t−ブチルアルコール+酢酸である。酸化剤は、適切には、工程S−Aaにおいて、化合物S−Iaの当量当たり、約0.5ないし約2当量の範囲内の量で用いてよく、かつ典型的には、化合物S−Iaの当量当たり、約0.5ないし約1.5当量の範囲内の量で用いられる。
工程S−Aaにおける第三級アミン塩基は、適切には、DBU、TEA、DABCO、又はDIPEAであってよい。1つの態様においては、塩基は、DBUである。第三級アミン塩基は、工程S−Aaにおいて、適切には、化合物S−Iaの当量当たり、約1ないし約2当量の範囲内の量で用いてよく、かつ典型的には、化合物S−Iaの当量当たり、約1ないし約1.5当量(例えば、約1ないし1.2当量)の範囲内の量で用いられる。
工程S−Abは、有機溶媒中で行なわれる。工程S−Abのための適切な溶媒は、ハロ炭化水素、エーテル、ニトリル、及びアミドを包含する。工程S−Abのための代表的な溶媒は、DCM、ACN、THF、及びDMFを包含する。
工程S−Abは、適切には、約10℃ないし約50℃の範囲内の温度で行なわれてよく、かつ典型的には、約20℃ないし約40℃の範囲内の温度で行なわれる。
工程S−Abにおける酸は、適切には、有機カルボン酸又は有機スルホン酸であってよい。代表的な酸は、酢酸及びメタンスルホン酸を包含する。酸は、工程S−Abにおいて、適切には、化合物S−Ibaの当量当たり、約4ないし約10当量の範囲内の量で用いてよく、かつ典型的には、化合物S−Ibの当量当たり、約5ないし約7当量の範囲内の量で用いられる。
プロセスP、Q、R、及びS、並びにその実施態様及びサブ実施態様について、上記記載の溶媒、薬剤、触媒、反応量、反応温度などが、例示のみを意図したものであって、該プロセスの範囲を限定するものではないことが理解されるべきである。例えば、特定の反応工程(例えば、プロセスRの工程A1、B1、A2、B2、及びCのいずれも)において用いられる溶媒は、興味の工程において用いた反応条件下で、液体相にあり、化学的に不活性であり、かつ反応物及び任意の試薬を溶解、懸濁、及び/又は分散させて、該反応物及び試薬を接触させるようにし、かつ反応を進行させ得る任意の有機物質であってよい。同様の考慮が、塩基、触媒、及びプロセス工程で用いる他の試薬の選択についても適用される。さらに、各工程は、所望の生成物を形成する反応が検出可能な程度に進行し得る、任意の温度において行なわれてよい。所与の工程における反応物、触媒、及び試薬は、所望の生成物の少なくともいくらかを形成する結果となる、任意の量で用いてよい。当然のことながら、出発物質の高い転換(例えば、少なくとも約60%、及び好ましくはさらに高い)が、所望の生成物の高い収率(例えば、少なくとも約50%、及び好ましくはさらに高い)と合わせて、典型的には、各工程の目標であって、相対的に良好な、反応物の変換及び生成物の収率を与え得る溶媒、薬剤、触媒、反応量、温度などを選択することが好ましく、最適の変換及び収率を与え得るものを選択することは、さらに好ましい。プロセスP、Q、R、及びS、並びにその実施態様及びサブ実施態様について、上記記載の特定の溶媒、薬剤、触媒、反応量、反応温度などは、良好から最適とされる程度の変換及び収率を提供することができる。
上記記載のプロセス工程のための反応時間は、以下のような因子に依存する:(i)出発物質及び他の試薬の、選択及び相対比、(ii)溶媒の選択、(iii)反応温度の選択、及び(iv)所望の変換レベル。反応は、典型的には、100%の変換を達成するのに充分な時間にわたり行なわれる。
本明細書に示した任意の反応工程の進行は、反応物(例えば、プロセスRの工程Cにおける化合物P−III)の消失、及び/又は所望の生成物(例えば、プロセスRの工程Cにおける化合物P−IV)の出現を、TLC、HPLC、IR、NMR、又はGCといった分析技術を用いてモニタリングすることにより追跡し得る。
すでに上記に記載されたものではない程度に、任意の上記の反応工程の生成物の回収及び単離が、典型的には、溶媒抽出、洗浄、濾過、結晶化、乾燥などといった通常の技術を用いて達成されることがあり得る。次に続く工程で出発物質として用いるための反応生成物は、別法として、(必要に応じて)所望の物質を含有する反応溶液からの副産物及び汚染物質の除去(例えば、洗浄、濾過など)、溶媒切換えといった、通常のプロセスを用いて適宜処理した後に、次の工程で直接(すなわち、反応混合物からの回収及び単離なしに)使用してもよい。
本発明はまた、化合物PN−4Aのショウノウ酸塩(例えば、結晶性ショウノウ酸塩)、化合物PN−5AのPTSA塩(例えば、結晶性PTSA塩)、化合物Q−II及びその実施態様、化合物R−II及びその実施態様、化合物S−II及びその実施態様も包含する。
本明細書で用いる略語は、以下を包含する:ACN=アセトニトリル;AcOH=酢酸;Barg=バーゲージ;Bn=ベンジル;Boc=t−ブチルオキシカルボニル;(Boc)2O=ジ−t−ブチルカルボナート;BOP=ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス−(ジメチルアミノ)ホスホニウム;DABCO=1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン;DBA(又はdba)=ジベンジリデンアセトン;DBU=1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン;DCC=ジシクロヘキシルカルボジイミド;DCE=1,2−ジクロロエタン;DCM=ジクロロメタン;DMAC=N,N−ジメチルアセトアミド;DMAD=ジメチルアセチレンジカルボキシラート;DMAP=4−ジメチルアミノピリジン;DMF=N,N−ジメチルホルムアミド;DMPU=N,N’−ジメチルプロピレン尿素;DMSO=ジメチルスルホキシド;EDC=1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド;ES MS=エレクトロスプレイ質量分析法;Et=エチル;EtNH2=エチルアミン;EtOAc=酢酸エチル;EtOH=エタノール;FBS=ウシ胎児血清;GC=ガスクロマトグラフィー;HDPE=高密度ポリエチレン;HMPA=ヘキサメチルホスホラミド;HOAT=1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール;HPLC=高性能液体クロマトグラフィー;HRMS=高分解能質量分析法;IPA=イソプロピルアルコール;IPAc=酢酸イソプロピル;LAH=水素化アルミニウムリチウム;LC−MS=液体クロマトグラフィー−質量分析法;LDA=リチウムジイソプロピルアミド;Me=メチル;MeOH=メタノール;MeTHF=2−メチルテトラヒドロフラン;MsCl=塩化メタンスルホニル(又はメシル);MTBE=メチルtert−ブチルエーテル;NBD=ノルボルナジン;NBS=N−ブロモスクシンイミド;NMM=N−メチルモルホリン;NMP=N−メチルピロリドン;NMR=核磁気共鳴;NOE=核オーバーハウザー効果;OBD=最適ベッド密度(クロマトグラフィーカラム);PTSA=p−トルエンスルホン酸;RB=丸底(フラスコ);TBAF=フッ化テトラブチルアンモニウム;TBS−Cl=tert−ブチルジメチルシリルクロリド;t−BuOK=カリウムtert−ブトキシド;TEA=トリエチルアミン;TEMPO=2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジン−1−オキシル;Tf=トリフラート(=トリフルオロメタンスルホナート);TFA=トリフルオロ酢酸;TFE=2,2,2−トリフルオロエタノール;THF=テトラヒドロフラン;TLC=薄層クロマトグラフィー;UV=紫外線;XRPD=X線粉末回折。
以下の実施例は、本発明及びその実施を例示する役割を果たすに過ぎない。実施例は、本発明の範囲又は趣旨を限定するものとして解釈されるべきではない。これらの実施例において、「室温」又は「周囲温度」は、約20℃ないし25℃の範囲内の温度を指す。実施例2−5における各標題生成物の相対的な立体化学は、異性体の比較NOE研究によって測定した。
実施例1
N−((10R)−2−{[(4−フルオロ−3−メチルベンジル)アミノ]カルボニル}−3−ヒドロキシ−7,7−ジメチル−4−オキソ−4,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロピリミド[1,2−a]アゼピン−10−イル)−N,N’,N’−トリメチルエタンジアミド(化合物1A)
N−((10S)−2−{[(4−フルオロ−3−メチルベンジル)アミノ]カルボニル}−3−ヒドロキシ−7,7−ジメチル−4−オキソ−4,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロピリミド[1,2−a]アゼピン−10−イル)−N,N’,N’−トリメチルエタンジアミド(化合物1B)
工程1:メチル2,2−ジメチル−3−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)プロパノアート
メチル−tert−ブチルエーテル 250mL中の、ヒドロキシピバリン酸メチルエステル(50.0g、378mmol)及びp−トルエンスルホン酸1水和物(1.439g、7.57mmol)の攪拌された混合物に、ジヒドロピラン(48.1mL、568mmol)を、冷却しながら徐々に添加した。混合物を室温で一晩攪拌し、飽和NaHCO3 50mLを添加し、混合物を振盪し、分離した。有機層をMgSO4上で乾燥し、濃縮した。残渣を、フラッシュクロマトグラフィーにより、330gのカラム、0%−5%酢酸エチル(ヘキサン中)を用いて精製し、メチル2,2−ジメチル−3−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)プロパノアートを、透明な油として得た:1H NMR(400MHz,CDCl3)δ4.5(s,1H),3.8−3.6(m,2H),3.6(m,3H),3.4(s,1H),3.25(m,1H),1.7(m,1H),1.6−1.18(m,5H),1.05(m,6H).
工程2:2,2−ジメチル−3−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)プロパン−1−オール
氷浴中で0℃に冷却された、THF(250mL)中のLiAlH4(397mL、397mmol)の溶液に、THF(250mL)中のメチル2,2−ジメチル−3−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)プロパノアート(82g、378mmol)を、内部温度を6℃未満に保ちながら、添加漏斗により添加した。添加が完了すれば、反応を室温に温め、一晩攪拌した。混合物を氷浴中で冷却し、H2O(16mL、888mmol)で、次に5分後に、10N NaOH(16mL、160mmol)で、さらに15分後、H2O(48mL、2664mmol)でクエンチした。混合物を30分間攪拌し、次にTHFですすぎながら濾過した。濾液を濃縮し、トルエンとの共沸により乾燥した。真空下でのさらなる乾燥により、2,2−ジメチル−3−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)プロパン−1−オールを、無色の液体として得た:1H NMR(400MHz,CDCl3)δ4.58(m,1H),3.85(m,1H),3.6(d,1H),3.5(m,2H),3.4(m,1H),3.2(d,1H),2.8(t,1H),1.8(m,2H),1.6(m,4H),0.85(s,6H).
工程3:2,2−ジメチル−3−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)プロパナール
氷浴中で0℃±5℃に冷却された、無水ジクロロエタン(300mL)中の、2,2−ジメチル−3−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)プロパン−1−オール
(20g、106mmol)及びTEA(44.4mL、319mmol)の攪拌溶液に、無水DMSO(300mL)中の三酸化硫黄ピリジン錯体(50.7g、319mmol)の溶液を、一度に添加した。27℃までの発熱があった。浴を除去し、混合物を室温で20分間攪拌し、その後、TLCにより変換が完了していた。反応を、飽和NaHCO3 225mLでクエンチし、ロータバップで濃縮してジクロロメタンを除去し、酢酸エチル3x200mLで抽出した。合わせた抽出物を、10%クエン酸 250mLで一回洗浄し、MgSO4上で乾燥し、濃縮した。真空下で乾燥させて、2,2−ジメチル−3−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)プロパナールを、油として得た。NMRで、約40%DMSOを含有:1H NMR(400MHz,CDCl3)δ9.6(s,1H),4.6(m,1H),3.8(d,1H),3.5(m,1H),3.38(d,1H),1.8−1.4(m,6H),1.06(s,3H),1.04(s,3H).
工程4:エチル(2E)−4,4−ジメチル−5−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ペンタ−2−エノアート
アセトニトリル(200mL)及び塩化リチウム(13.66g、322mmol)の混合物のスラリーに、窒素下で25℃において、トリエチルホスホノアセテート(64.5mL、322mmol)を、及び次にDBU(32.4mL、215mmol)を添加した。添加の間、反応温度は33℃に上昇し、次に30分間にわたって冷やし戻して25℃とした。この混合物を攪拌し、0℃に冷却し、CH3CNリンス 5mL入りのリアクタント(Reactant)1(20g、107mmol)を添加した。0℃で1時間攪拌した後、混合物を温め、25℃で2時間攪拌し、次にMTBE 250mL及び水 250mLで希釈し、分離し、有機層を水 100mLで洗浄した。合わせた水層を、MTBE 100mLで抽出し、合わせた有機抽出物を食塩水 200mLで洗浄し、MgSO4上で乾燥し、次に濃縮した。フラッシュクロマトグラフィーにより、0%−10% EtOAc(ヘキサン中)で溶出して精製し、エチル(2E)−4,4−ジメチル−5−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ペンタ−2−エノアートを、無色の油として得た:1H NMR(400MHz,CDCl3)δ7.0(d,1H),5.8(d,1H),4.58(t,1H),4.2(q,2H),3.8(m,1H),3.6(d,1H),3.5(m,1H),3.16,(d,1H),1.8−1.5(m,6H),1.3(t,3H),1.06(s,3H),1.05(s,3H).
工程4:エチル4,4−ジメチル−5−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ペンタノアート
エタノール(200mL)中の、エチル(2E)−4,4−ジメチル−5−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ペンタ−2−エノアート(23g、90mmol)及び5% 炭素上白金(3g、14.65mmol)の混合物を、パー(Parr)上で、45psiの水素下で、5日間振盪した(TLCで完全な変換:10% EtOAc/ヘキサンで、UV活性スポットなし)。触媒を濾去し、濾液を濃縮した。真空中で乾燥して、エチル4,4−ジメチル−5−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ペンタノアートを、無色の油として得た:1H NMR(400MHz,CDCl3)δ4.7(t,1H),4.12(q,2H),3.8(m,1H),3.5(m,1H),3.4(d,1H),3.0,(d,1H),2.3(m,2H),1.8(m,1H),1.7−1.5(m,6H),1.9(s,3H),1.88(s,3H).
工程5:4,4−ジメチル−5−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ペンタナール
−78℃に冷却されたトルエン(300mL)中の、エチル4,4−ジメチル−5−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ペンタノアート(11.3g、43.7mmol)の溶液に、窒素下で、ヘプタン中1.0Mの水素化ジイソブチルアルミニウム(53mL、52.5mmol)を、内部温度を−70℃未満に保ちながら徐々に添加した。混合物を、冷却状態で15分間攪拌した(TLC:20% EtOAc(ヘキサン中))。反応を、MeOH(3.00mL、161mmol)でクエンチし、−10℃に温め、酢酸エチル 500mL及び飽和NaCl 500mLで希釈した。混合物を温め、60分間攪拌してゲルを形成した。ゲル状の混合物を、珪藻土を通して濾過し、酢酸エチル 750mLで洗浄した。有機層を分離し、MgSO4上で乾燥し、濃縮した。真空下で乾燥して、4,4−ジメチル−5−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ペンタナールを、透明な油として得た:1H NMR(400MHz,CDCl3)δ9.8(s,1H),4.6(t,1H),3.8(m,1H),3.6(m,1H),3.5(d,1H),3.0,(d,1H),2.4(m,2H),1.8(m,1H),1.7−1.5(m,6H),0.93(s,3H),0.92(s,3H).
工程6:tert−ブチル[1−シアノ−4,4−ジメチル−5−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ペンチル]メチルカルバメート
粗4,4−ジメチル−5−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ペンタナール、MTBE(15mL)、メチルアミン塩酸塩(3.08g、45.7mmol)、シアン化ナトリウム(1.399mL、45.7mmol)、及び水(15.0mL)の混合物を、栓付きフラスコ中で24時間攪拌した。TLC(10% EA/ヘキサン)は、出発物質の完全な消費を示す。混合物を、酢酸エチル 25mLで抽出し、ロータバップで濃縮した。真空下で乾燥させて、透明な油を得た。粗アミノニトリルを、酢酸エチル 25mL中に取り、ジ−tert−ブチルジカルボナート(10.49mL、45.7mmol)を添加した。室温で週末の間攪拌した後、混合物を濃縮した。フラッシュクロマトグラフィーにより、10% EtOAc/ヘキサンで溶出して精製し、tert−ブチル[1−シアノ−4,4−ジメチル−5−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ペンチル]メチルカルバメートを得た:1H NMR(400MHz,CDCl3)δ4.7(dd,1H),3.8(t,1H),3.6(m,1H),3.5(dd,1H),3.0,(dd,1H),2.89,2.88(2s,3H),1.8(m,2H),1.5(m,6H),1.47(s,9H),1.3(m,2H),0.92(s,3H),0.915(s,3H).
工程7:tert−ブチル[1−[アミノ(ヒドロキシイミノ)メチル]−4,4−ジメチル−5−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ペンチル]メチルカルバメート
メタノール(5mL)中のtert−ブチル[1−シアノ−4,4−ジメチル−5−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ペンチル]メチルカルバメート(8.5g、23.98mmol)の攪拌溶液に、50% ヒドロキシルアミン(1.543mL、25.2mmol)を添加した。混合物を、60℃で3時間加熱し(LC−MSは、完全な変換を示す)、冷却し、濃縮した。過剰のヒドロキシルアミンを、メタノールとの共沸により除去して、tert−ブチル[1−[(Z)−アミノ(ヒドロキシイミノ)メチル]−4,4−ジメチル−5−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ペンチル]メチルカルバメートを得た:MS(ES+):388.26(M+H).
工程8:ジメチル(2−({[(1−アミノ−2−[(tert−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ]−5,5−ジメチル−6−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ヘキシリデン]アミノ}オキシ)ブタ−2−エンジオアート
−10℃に冷却された、MeOH(800mL)中の粗tert−ブチル[1−[アミノ(ヒドロキシイミノ)メチル]−4,4−ジメチル−5−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ペンチル]メチルカルバメート(98mmol)の攪拌溶液に、窒素下で、ジメチルアセチレンジカルボキシラート(12.09mL、98mmol)を、内部温度を−10℃に保ちながら徐々に添加した。得られた溶液を、−10℃以下(フリーザー内)で一晩熟成させ、次に25℃に温め、30時間攪拌した。混合物をトルエン 200mLで希釈し、濃縮した。真空下で一晩乾燥させて、濃稠な褐色の油を得たが、これはNMRではトルエンを含有しており、かつ異性体の混合物であった。粗生成物を、さらに精製することなく、次の工程に使用した:MS(ES+):530.2(M+H).
工程9:メチル2−[1−[(tert−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ]−4,4−ジメチル]−5−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ペンチル]−5−ヒドロキシ−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリミジン−4−カルボキシラート
粗ジメチル(2−({[(1−アミノ−2−[(tert−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ]−5,5−ジメチル−6−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ヘキシリデン)アミノ]オキシ}ブタ−2−エンジオアート(40.6g)を、o−キシレン(100mL)中に溶解し、115℃±5℃(120℃の油浴)で12時間加熱した。反応混合物は、115℃に達するとすぐに暗色に変わった。48時間後のTLC及びLC−MSアッセイは、一方の異性体は消費されたが、他方(マイナー)の異性体の約10%が残っていることを示した。加熱をさらに48時間継続し、その時点で、LC−MSで測定されたとき、完全な変換が見られた。混合物を室温に冷却し、EtOAc 100mLで希釈し、シリカゲルの4インチパッドを通して、EtOAcで溶出しながら濾過した。濾液を、減圧下で濃縮した。真空下で乾燥させて、標題化合物を褐色の泡沫として得た:MS(ES+):498.1(M+H).
工程10:メチル2−{1−[(tert−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ]−5−ヒドロキシ−4,4−ジメチルペンチル}−5−ヒドロキシ−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリミジン−4−カルボキシラート
粗メチル2−[1−[(tert−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ]−4,4−ジメチル]−5−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ペンチル]−5−ヒドロキシ−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリミジン−4−カルボキシラート(32g)及びp−トルエンスルホン酸一水和物 1gの混合物を、メタノール(100mL)中に溶解し、室温で2時間攪拌した。反応を、飽和NaHCO3 3mLでクエンチし、濃縮した。残渣を、EtOAc 500mL中に取り、飽和NaHCO3で洗浄し、Na2SO4上で乾燥した。溶媒を減圧下で除去して、標題化合物を褐色の泡沫として得た:MS(ES+):314.1(M+H).
工程11:tert−ブチル[1−(4−{[(4−フルオロ−3−メチルベンジル)アミノ]カルボニル}−5−ヒドロキシ−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリミジン−2−イル)−5−ヒドロキシ−4,4−ジメチルペンチル]メチルカルバメート
2−プロパノール(80mL)中の、メチル2−{1−[(tert−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ]−5−ヒドロキシ−4,4−ジメチルペンチル}−5−ヒドロキシ−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリミジン−4−カルボキシラート(5.11g、12.36mmol)、1−(4−フルオロ−3−メチルフェニル)メタンアミン(2.064g、14.83mmol)、及びTEA(3.45mL、24.72mmol)の混合物を、窒素下、80℃±2℃(82℃の油浴)で一晩加熱した。混合物を濃縮し、残渣をiPrOAc 100mL中に取り、1N HCl 2x50mL、水 2x25mL、飽和NaHCO3 25mLで洗浄し、そしてMgSO4上で乾燥した。溶液を、トルエン 50mLで希釈して濃縮した。真空下で乾燥させて、黄褐色の泡沫を得た:
MS(ES+):521.19(M+H).1H NMR(400MHz,CDCl3)δ9.3(br s,1H),7.2(m,2H),6.9(t,1H),5.4(br s,1H),4.8(d,1H),4.5(m,2H),3.3(m,1H),3.0,(s,3H),2.2(s,3H),2.0(m,1H),1.7(m,2H),1.2(s,9H),0.92(s,6H).
工程12:5−[(tert−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ]−5−(4−{[(4−フルオロ−3−メチルベンジル)アミノ]カルボニル}−5−ヒドロキシ−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリミジン−2−イル)−2,2−ジメチルペンチルメタンスルホナート
氷冷された(T=2℃±2℃)溶液(5.54g、10.47mmol)に、TEA(8.75mL、62.8mmol)を、次にMsCl(4.89mL、62.8mmol)を、内部温度を10℃未満に保持しながら滴下添加した。得られたスラリーを、2℃±2℃で2.5時間熟成させ、次いで5N NaOH(14.66mL、73.3mmol)を、冷たい反応混合物に徐々に添加した。反応混合物を次に、80℃±2℃(83℃の油浴)で20時間温めた。50℃に冷却した後、6N HCl(34.0mL、68.0mmol)を、pHが2.5−3.0になるまで(pH試験紙及びストリップ)、1時間にわたり滴下添加した。濾液を、水 100mLで希釈し、2N HClでpHを2に(約8から)調整し、酢酸イソプロピル 3x500mLで抽出した。抽出物を合わせてNa2SO4上で乾燥し、減圧下で濃縮した。得られた黄褐色の固体生成物を、真空下で乾燥させた:MS(ES+):599.1(M+H).
工程13:tert−ブチル(2−{[(4−フルオロ−3−メチルベンジル)アミノ]カルボニル}−3−ヒドロキシ−7,7−ジメチル−4−オキソ−4,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロピリミド[1,2−a]アゼピン−10−イル)メチルカルバメート
5−[(tert−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ]−5−(4−{[(4−フルオロ−3−メチルベンジル)アミノ]カルボニル}−5−ヒドロキシ−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリミジン−2−イル)−2,2−ジメチルペンチルメタンスルホナート(7.8g、13.03mmol)、炭酸セシウム(11g、33.8mmol)、及びジオキサン 75mLの混合物を、80℃で一晩加熱した。室温に冷却した後、混合物を、EtOAc 100mLで希釈し、水(150mL)、飽和NaCl(50mL)で洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、濃縮した。得られた黄褐色の固体生成物を、真空下で乾燥させた:MS(ES+):503.3(M+H);1H NMR(400MHz,CDCl3)δ7.8(br s,1H),7.6(br s,1H),7.17(m,2H),7.0(m,1H),4.9(m,1H),4.5(m,2H),3.3(dd,1H),2.8(s,3H),2.3,(s,3H),1.6(錯体 m,6H),1.3(s,9H),1.1(s,3H),0.83(s,3H).
工程14:N−(4−フルオロ−3−メチルベンジル)−3−ヒドロキシ−7,7−ジメチル−10−(メチルアミノ)−4−オキソ−4,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロピリミド[1,2−a]アゼピン−2−カルボキサミド塩酸塩
tert−ブチル(2−{[(4−フルオロ−3−メチルベンジル)アミノ]カルボニル}−3−ヒドロキシ−7,7−ジメチル−4−オキソ−4,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロピリミド[1,2−a]アゼピン−10−イル)メチルカルバメート(6.1g、12.14mmol)を、ジオキサン中の4N HCl(15.17mL、60.7mmol)で処理した。混合物を、室温で1.5時間攪拌し(LC−MSで完全な変換)、次に濃縮した。真空下で乾燥させて、N−(4−フルオロ−3−メチルベンジル)−3−ヒドロキシ−7,7−ジメチル−10−(メチルアミノ)−4−オキソ−4,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロピリミド[1,2−a]アゼピン−2−カルボキサミド塩酸塩を、黄褐色の結晶性固体として得た:MS(ES+):403.2(M+H).
工程15:N−(2−{[(4−フルオロ−3−メチルベンジル)アミノ]カルボニル}−3−ヒドロキシ−7,7−ジメチル−4−オキソ−4,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロピリミド[1,2−a]アゼピン−10−イル)−N,N’,N’−トリメチルエタンジアミド
ジクロロメタン(5mL)中の、N−(4−フルオロ−3−メチルベンジル)−3−ヒドロキシ−7,7−ジメチル−10−(メチルアミノ)−4−オキソ−4,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロピリミド[1,2−a]アゼピン−2−カルボキサミド塩酸塩
(200mg、0.421mmol)、HOAt(68.7mg、0.5mmol)、N,N−ジメチルオキサミン酸(oxamic acid)(74mg、0.631mmol)、及びトリエチルアミン(0.235mL,1.683mmol)の混合物に、EDC(224mg、1.262mmol)を添加した。混合物を、室温で窒素下で、一晩攪拌し、EtOAc 25mLで希釈し、各々10mLの、飽和NaHCO3溶液、H2O、及び食塩水で洗浄し、Na2SO4上で乾燥した。濃縮により、粗標題生成物を得て、これを分取用逆相クロマトグラフィー(勾配溶出 0.1%AcOH(水/アセトニトリル中)により精製して、標題化合物を固体として得た:HRMS(ES+):502.2484(M+H);1H NMR(400MHz,CDCl3)δ9.35(br s,3H),7.2(m,2H),6.9(t,J=9Hz,1H),5.34(br s,1H),4.8(d,J=14Hz,1H),4.5(m,21H),4.5(m,2H),3.3(d,J=14Hz,1H),3.0(s,3H),2.98,(s,3H),2.96(s,3H),2.2(s,3H),2.0(m,2H),1.9(m,1H),1.7(s,2H),1.12(s,3H),0.83(s,3H).
キラルカラムでの分割:
1A.N−((10R)−2−{[(4−フルオロ−3−メチルベンジル)アミノ]カルボニル}−3−ヒドロキシ−7,7−ジメチル−4−オキソ−4,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロピリミド[1,2−a]アゼピン−10−イル)−N,N’,N’−トリメチルエタンジアミド:[α]D23℃=+67.6°(c=0.5,MeOH);HRMS(ES+):502.2482(M+H);1H NMR(400MHz,CDCl3)δ9.35(br s,3H),7.2(m,2H),6.9(t,J=9Hz,1H),5.34(br s,1H),4.8(d,J=14Hz,1H),4.5(m,21H),4.5(m,2H),3.3(d,J=14Hz,1H),3.0(s,3H),2.98,(s,3H),2.96(s,3H),2.2(s,3H),2.0(m,2H),1.9(m,1H),1.7(s,2H),1.12(s,3H),0.83(s,3H).
1B.N−((10S)−2−{[(4−フルオロ−3−メチルベンジル)アミノ]カルボニル}−3−ヒドロキシ−7,7−ジメチル−4−オキソ−4,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロピリミド[1,2−a]アゼピン−10−イル)−N,N’,N’−トリメチルエタンジアミド:[α]D23℃=−72.4°(c=0.5,MeOH);HRMS(ES+):502.2481(M+H);1H NMR(400MHz,CDCl3)δ9.35(br s,3H),7.2(m,2H),6.9(t,J=9Hz,1H),5.34(br s,1H),4.8(d,J=14Hz,1H),4.5(m,21H),4.5(m,2H),3.3(d,J=14Hz,1H),3.0(s,3H),2.98,(s,3H),2.96(s,3H),2.2(s,3H),2.0(m,2H),1.9(m,1H),1.7(s,2H),1.12(s,3H),0.83(s,3H).
実施例2
N−(2−{[(4−フルオロ−3−メチルベンジル)アミノ]カルボニル}−3−ヒドロキシ−7−メトキシ−7−メチル−4−オキソ−4,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロピリミド[1,2−a]アゼピン−10−イル)−N,N’,N’−トリメチルエタンジアミドの単離された立体異性体
工程1:メチル2−メトキシ−2−メチルペンタ−4−エノアート
THF(6L)中のジイソプロピルアミン(2.34L、16.4mol)の溶液に、−48℃で、n−ブチルリチウム(5.78L、14.5mol)を、添加漏斗により、35分間にわたり添加し、得られた混合物を−15℃まで、20分間にわたり温め、−15℃で10分間保持し、次いで−40℃に冷却した。この溶液に、メチル2−メトキシプロピオナート(1.85kg、12.4mol)を、添加漏斗により1.75時間で添加した。30分間攪拌した後、臭化アリル(1.4L、16.4mol)を、添加漏斗により添加した。得られた溶液を、30分間攪拌し、0℃まで1時間にわたって温め、次いで、3N HCl(7L)でクエンチし、MTBE(2x4L)で抽出した。合わせた有機層を、食塩水で洗浄し、MgSO4上で乾燥し、濾過し、真空中で濃縮した。粗残渣を、さらに精製することなく、次の反応に使用した。
工程2:tert−ブチル[(2−メトキシ−2−メチルペンタ−4−エン−1−イル)オキシ]ジメチルシラン
THF(6L)中のLAH(ペレット、251.4g、6.29mol)の懸濁液に、<10℃で、メチル2−メトキシ−2−メチルペンタ−4−エノアート(1.9kg、粗生成物)を、反応温度を23℃未満に維持しながら、添加漏斗により添加した。得られた混合物を、約5℃で1時間攪拌し、次に、水(250mL、13.9mol)、15% NaOH(250mL、12.4mol)、及び水(750mL、41.6mol)でクエンチし;次いでMTBE 8Lで希釈し;MgSO4 500g上で一晩乾燥し;真空濾過によって濾過した。得られたフィルターケークを、THF及びMTBEで洗浄した。濾液を合わせ、真空下で濃縮して、粗アルコールを得た。
DCM(23L)中のTBS−Cl(4.06kg、26.1mol)の溶液に、DMAP(74g、0.606mol)、及び粗アルコール(2.6kg、20.08mol)及びTEA(3.94L、28.1mol)を添加した。得られた混合物を、周囲温度で一晩攪拌し、そして水(6L)でクエンチした。有機層を収集し、1M HCl(6L)で、及び食塩水(4L)で洗浄し、次いでMgSO4上で乾燥し、濾過し、真空中で濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(バイオタージ(Biotage)150L、5kg シリカ)により、DCMで溶出して、TBSエーテル誘導体を得た。この物質を、さらに精製することなく、次の工程に進めた。
工程3:5−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−4−メトキシ−4−メチルペンタン−1−オール
THF(3.5L)中のtert−ブチル[(2−メトキシ−2−メチルペンタ−4−エン−1−イル)オキシ]ジメチルシラン(2.45kg、10.04mol)の溶液に、<5℃で、THF中のBH3(1M溶液、11.05L、11.05mol)を、反応温度を<15℃に維持しながら、漏斗により添加した。反応混合物を、30分間攪拌し、水(11.75L、652mol)でクエンチした。攪拌された混合物に、過ホウ酸ナトリウム四水和物(4.64kg、30.2mol)を添加し、混合物を周囲温度で一晩攪拌した。次いで、反応混合物を濾過し、フィルターケークをMTBE 14Lで洗浄した。合わせた有機層を、食塩水/水(7L/3L)で洗浄した。水層を、MTBE(14L)で抽出した。合わせた有機層を、18.75Lの、5% チオ硫酸ナトリウム/食塩水/水(10L/5L/3.75L)で順次洗浄し、次に真空中で濃縮して、粗生成物を得た。フラッシュカラムクロマトグラフィー(複数回のラン)により、0%−100% DCM(ヘプタン中)で、次に1%−50% EtOAc(DCM中)で溶出して、所望のアルコールを得た。1H NMR(300MHz,CDCl3):δ3.65−3.59(m,2H);3.47(dd,J=23.9,10.1Hz,2H);3.24(s,3H);2.21−2.07(m,1H);1.63−1.54(m,4H);1.05−0.70(m,9H);0.04(s,6H).
工程4:5−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−4−メトキシ−4−メチルペンタナール
水(20L)中の、重炭酸ナトリウム(627g、74.6mol)及び臭化カリウム(672g、56.5mol)の溶液に、5−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−4−メトキシ−4−メチルペンタン−1−オール(3.5kg、11.2mol)、DCM(10L)、TEMPO(17.6g、113mol)を添加した。得られた混合物を、<5℃に冷却し、NaOCl(13% 溶液、全6.7L、14.6mol)を、反応温度を<5℃に維持しながら、漏斗により分割添加した。混合物を、周囲温度に温めながら、6時間攪拌した。有機層を収集した。水層を、DCM 4Lで抽出した。合わせた有機層を、MgSO4上で乾燥し、濾過し、真空中で濃縮した。粗生成物、4.2kgを、さらに精製することなく、次の工程に使用した。1H NMR(300MHz,CDCl3):δ9.75(t,J=1.8Hz,1H);3.43(q,J=10.4Hz,2H);3.17(s,3H);2.43(t,J=1.8Hz,2H);2.02−1.65(m,2H);0.99−0.71(s,9H);0.14(s,6H).
工程5:tert−ブチル(5−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−1−シアノ−4−メトキシ−4−メチルペンチル)メチルカルバメート
水(14.66L)中のメチルアミン塩酸塩(0.83kg、12.34mol)の溶液に、ジオキサン(24.43L)及び5−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−4−メトキシ−4−メチルペンタナール(粗、2.9kg、11.22mol)、及びNaCN(0.605kg、12.34mol)を、反応温度を15℃に維持しながら、10分間にわたり添加した。反応混合物を、一晩攪拌し、次いでNaCl(1.7kg)を添加し、層を分離した。水層を、EtOAc(2x4L)で抽出した。合わせた有機層を、Na2SO4上で乾燥し、濾過し、濃縮して、5.63kg(>100%)の粗生成物を得た。EtOAc(20L)中の粗残渣の溶液に、6℃で、EtOAc 1.5L中のジ−tert−ブチルジカルボナート(2.57kg、11.78mol)を、添加漏斗により5分間にわたり添加した。反応混合物を、15℃で一晩攪拌し、真空中で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィーにより、0−30% EtOAc(ヘプタン中)で溶出して、所望の生成物を得た。
工程6:tert−ブチル{5−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−1−[(ヒドロキシアミノ)(イミノ)メチル]−4−メトキシ−4−メチルペンチル}メチルカルバメート
MeOH(28L)中のtert−ブチル(5−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−1−シアノ−4−メトキシ−4−メチルペンチル)メチルカルバメート(4.37kg、10.91mol)の溶液に、30℃で、ヒドロキシルアミン水溶液(水中50%、1.2L、19.63mol)を添加した。得られた混合物を、40℃で一晩加熱し、次に冷却し、真空中で濃縮した。粗残渣を、トルエン 1.5L中に溶解し、減圧下で濃縮し、真空中で乾燥した。粗生成物を、さらに精製することなく、次の工程に使用した。LC−MS:434.3.
工程7:メチル2−(1−[(tert−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ]−5−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−4−メトキシ−4−メチルペンチル)−5−ヒドロキシ−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリミジン−4−カルボキシラート
MeOH(26L)中のtert−ブチル{5−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−1−[(ヒドロキシアミノ)(イミノ)メチル]−4−メトキシ−4−メチルペンチル}メチルカルバメート(4.17kg、96.18mol)の溶液に、0℃で、アセチレンジカルボン酸ジメチル(1.3L、10.7mol)を、反応温度を8℃未満に維持しながら、40分間にわたり添加した。反応混合物を、30℃で一晩加熱した。追加のアセチレンジカルボン酸ジメチル(合計0.454L、3.7mol)を添加した。反応混合物を、30℃で一晩攪拌し、冷却し、真空中で濃縮し、キシレンから濃縮して、所望のジエステル誘導体を得た。LC−MS:576.2.
キシレン(24L)中のジエステル誘導体(4.15kg、7.21mol)の溶液を、140℃で20時間加熱し、次いで冷却し、反応混合物をヘプタン 4Lで希釈し、セライト(Celite)545のパッドを通して濾過した。濾液のフラッシュクロマトグラフィー(バイオタージ・フラッシュ(Flash)Si 150L、5.0kg シリカ)により、まずヘプタンで、次に100% EtOAcで60分間、そして最後にEtOAc(1%酢酸入り)で溶出して、標題化合物を得た。LC−MS:544.1.
工程8:tert−ブチル[1−(4−{[(4−フルオロ−3−メチルベンジル)アミノ]カルボニル}−5−ヒドロキシ−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリミジン−2−イル)−5−ヒドロキシ−4−メトキシ−4−メチルペンチル]メチルカルバメート
2−プロパノール(10.23L)中のメチル2−(1−[(tert−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ]−5−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−4−メトキシ−4−メチルペンチル)−5−ヒドロキシ−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリミジン−4−カルボキシラート(1.73kg、5.11mol)の溶液に、4−フルオロ−3−メチルベンジルアミン(0.854kg、6.14mol)を添加した。得られた混合物を、75℃で一晩加熱し、次に冷却し、真空中で濃縮した。残渣を、EtOAc(8L)で希釈し、10% クエン酸水溶液(5L)で洗浄した。白色の固体を、濾過により除去した。水層を、EtOAc(2x2L)で抽出した。合わせた有機層を、50% 飽和重炭酸ナトリウム(1x5L)、及び食塩水(1x5L)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、真空中で濃縮して、粗アミドを得た。LC−MS:651.1.
THF(0.75L)中の粗アミド(1.75kg、2.69mol)の溶液に、25℃で、TBAF(THF中1M、7.26L、7.26mol)及び、粉末状の活性化した3Åのモレキュラーシーブ(500g)を添加した。反応混合物を、25℃で一晩回転させ、真空中で濃縮し、次いで追加のTBAF(THF中1M、1.076L、1.076mol)及び、粉末状の活性化した3Åのモレキュラーシーブ(300g)を添加した。反応混合物を、30℃で一晩回転させ、次に濾過して、モレキュラーシーブを除去した。フィルターケークをMeOH(3L)で洗浄し、濾液を真空中で濃縮した。残渣を、DCM 6L中に溶解し、30% 飽和NaHCO3(4x4L)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、真空中で濃縮して、粗標題生成物を得て、これをさらに精製することなく、次の工程に使用した。LC−MS:537.1.
工程9:tert−ブチル(2−{[(4−フルオロ−3−メチルベンジル)アミノ]カルボニル}−3−ヒドロキシ−7−メトキシ−7−メチル−4−オキソ−4,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロピリミド[1,2−a]アゼピン−10−イル)メチルカルバメート
無水アセトニトリル(5.37L)中のtert−ブチル[1−(4−{[(4−フルオロ−3−メチルベンジル)アミノ]カルボニル}−5−ヒドロキシ−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリミジン−2−イル)−5−ヒドロキシ−4−メトキシ−4−メチルペンチル]メチルカルバメート(1.44kg、2.68mol)の溶液に、0℃で、TEA(1.87L、13.42mol)及び塩化メタンスルホニル(0.836L、10.73mol)を、反応温度を5℃未満に維持しながら、45分間にわたり滴下添加した。得られた混合物を、0℃で14時間攪拌し、30% 飽和NaHCO3(10L)で希釈し、MTBE(4x2L)で抽出した。合わせた有機層を、5% クエン酸及び食塩水で洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、濾過し、真空中で濃縮して、粗メシラートを得た。
LC−MS:670.1(M+1−Boc).
DMF(7.94L)中の前工程からの粗メシラート(1.53kg、1.985mol)の溶液に、Cs2CO3(2.59kg、7.94mol)を添加した。反応混合物を、100℃で15時間加熱し、次いで冷却し、真空中で濃縮した。残渣を、EtOAc(4L)で希釈し、10%クエン酸でpH4に酸性化した。層を分離した。水層を、EtOAc(3x2L)で抽出した。合わせた有機層を、50% 食塩水(10L)で、次に食塩水(5L)で洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、濾過し、真空下に濃縮した。粗標題生成物を、さらに精製することなく、次の反応に使用した。
LC−MS:519.1.
工程10:10−[(tert−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ]−2−{[(4−フルオロ−3−メチルベンジル)アミノ]カルボニル}−7−メトキシ−7−メチル−4−オキソ−4,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロピリミド[1,2−a]アゼピン−3−イルメタンスルホナート
無水アセトニトリル(8L)中のtert−ブチル(2−{[(4−フルオロ−3−メチルベンジル)アミノ]カルボニル}−3−ヒドロキシ−7−メトキシ−7−メチル−4−オキソ−4,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロピリミド[1,2−a]アゼピン−10−イル)メチルカルバメート(1.029kg、1.98mol)の溶液に、15℃で、MsCl(0.27L、3.47mol)を添加した。反応混合物を、−60℃で1時間攪拌し、EtOAc(4L)、硫酸水素カリウム(1.08kg、7.94mol、H2O 8L中)、食塩水 4L、及びEtOAc 6Lで希釈した。有機層を収集し、食塩水(2x5L)で洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、濾過し、真空下で濃縮した。粗残渣を、DCM(1.5L)及びヘプタン(1L)中に溶解し、固体を濾過によって除去した。濾液を濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(バイオタージ150L、5kg シリカ)により、50% ヘプタン(DCM中)で、次に100% DCMで、最後に12% アセトン(DCM中)で溶出して精製し、所望のメシラートを得た。LC−MS:597.2.
工程11:N−(2−{[(4−フルオロ−3−メチルベンジル)アミノ]カルボニル}−3−ヒドロキシ−7−メトキシ−7−メチル−4−オキソ−4,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロピリミド[1,2−a]アゼピン−10−イル)−N,N’,N’−トリメチルエタンジアミド
EtOAc(3.2L)中の10−[(tert−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ]−2−{[(4−フルオロ−3−メチルベンジル)アミノ]カルボニル}−7−メトキシ−7−メチル−4−オキソ−4,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロピリミド[1,2−a]アゼピン−3−イルメタンスルホナート(0.291kg、0.488mol)の懸濁液に、0℃で、HCl(ガス)を飽和するまでバブリングした。反応混合物を、0℃で1時間攪拌し、15℃で15分間温め、次いで0℃に冷却して、0℃で2時間攪拌した。反応混合物を、N2ガスで20分間パージし、真空中で濃縮した。残渣を、EtOAc(1.5L)から2回抽出して、HClを除去し、EtOAc 1L及びMTBE 500mLで結晶化した。濾過により、明黄褐色の固体を得て、これを500mLの1:1 EtOAc/MTBEで、続いてMTBE 1Lですすいだ。固体を、真空中50℃で、30分間乾燥させて、HCl塩を得た。LC−MS:497.1.
DCM(2L)中の該HCl塩(197.9g、371mol)の溶液に、周囲温度で、N,N−ジメチルオキサミン酸(87g、743mol)、EDC(157g、817mol)、及びHOAt(50.5g、371mol)を添加した。反応混合物を、9℃に冷却した。この冷却溶液に、N−メチルモルホリン(0.204L、18.56mol)を、2分間にわたり添加した。追加のN,N−ジメチルオキサミン酸(21.74g、186mol)、EDC(36.6g、189mol)、及びHOAT(25.3g、186mol)を添加した。得られた混合物を、H2O(2L)及び食塩水(1L)で希釈した。層を分離した。水層を、DCM(1L)で抽出した。合わせた有機層を、50%食塩水(2x2L)で洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、濾過し、真空中で濃縮した。生成物を、DCMから結晶化させた。結晶化混合物を、酢酸イソプロピルで希釈した。濾過により、白色固体を得て、これを真空オーブン中で、30℃で乾燥させた。LC−MS:596.2.
2−プロパノール(1.5L)中のメシラート生成物(148.9g、250mmol)の溶液に、1M NaOH(375mL、375mmol)を添加した。得られた混合物を、加熱なしで超音波処理した。3時間後、追加の1M NaOH(125mL、125mmol)を添加し、混合物を加熱なしで1時間超音波処理した。反応混合物を濾過し、真空中で濃縮した。粗生成物を、1M HCl(500mL、500mmol)の添加によって結晶化させ、濾過した。フィルターケークを、50% EtOHc/H2O及びEtOHで洗浄し、次いで真空中50℃で18時間乾燥させた。混合物を、キラルSFC(AD−Hカラム、40%IPA、試料を1:1 クロロホルム:IPA中に60mg/mLで溶解、1mLを注入、50mL/分、サイクルタイム:3.5分間)により精製した:
化合物2A−2番目に溶出するピーク:7−OMeは、10−アミド側鎖に対しtransであり、絶対立体化学の判定は以下に記載される:LC−MS:M+1=518.2.HR MS ESI:M+1 理論値518.2409,実測値518.2436.1H NMR(399MHz,CDCl3):δ12.20(s,1H);9.45−9.31(m,1H);7.23(dd,J=7.5,2.1Hz,1H);6.95−6.88(m,1H);5.17(d,J=14.1Hz,1H);4.56(dd,J=14.5,6.6Hz,1H);4.46(dd,J=14.5,6.3Hz,1H);3.39−3.29(m,4H);3.03(s,3H);3.00(s,3H);2.98(s,3H);2.24(d,J=1.9Hz,3H);2.22−2.16(m,1H);2.00−1.90(m,3H);1.12(s,3H).
化合物2B−3番目に溶出するピーク:7−OMeは、10−アミド側鎖に対しtransであり、絶対立体化学は以下に記載される:LC−MS:M=1=518.2.HR MS ESI:M+1 理論値518.2409,実測値518.2435.1H NMRは、2番目に溶出するピークと同じである。
化合物2C−4番目に溶出するピーク:7−OMeは、10−アミド側鎖に対しcisであり、絶対立体化学は測定されていない:LC−MS:M+1=518.2.HR MS ESI:M+1 理論値518.2409,実測値518.2436.1H NMRは、最初に溶出するピークと同じである。
化合物2D−最初に溶出するピーク:7−OMeは、10−アミド側鎖に対しcisであり、絶対立体化学は測定されていない:LC−MS:M+1=518.2,HR MS ESI:M+1 理論値518.2409,実測値518.2437.1H NMR(399MHz,CDCl3):δ12.10(s,1H);9.28(s,1H);7.22(d,J=7.5Hz,1H);6.97−6.87(m,1H);5.35(s,1H);5.27(dd,J=14.9,2.0Hz,1H);4.58(dd,J=14.5,6.6Hz,1H);4.49−4.40(m,1H);3.36(d,J=14.8Hz,1H);3.20(s,3H);3.04−2.97(m,10H);2.24(s,3H);2.16(d,J=15.0Hz,2H);1.88(d,J=13.2Hz,1H);1.81−1.70(m,1H);1.46−1.24(m,3H).
結晶性化合物2A
調製
上記記載のクロマトグラフィーによる分離から得られた、アモルファス化合物2A物質を、完全な溶解に必要な最小量の、沸騰中の無水エタノール中に溶解し、ひだ付き濾紙を通して濾過した。熱い溶液を、徐々に周囲温度に冷やし、この間に、微細な針が溶液から結晶化した。冷却された結晶化混合物を、3時間熟成させ、結晶性化合物を濾過により単離し、氷冷された無水エタノール 10mLで洗浄し、真空下で乾燥させた。
キャラクタリゼーション
結晶性化合物2AのX線粉末回折(XRPD)パターンは、PW3050/60コンソールを備えた、フィリップス・アナリティカル(Phylips Analytical)エキスパート・プロ(X’Pert PRO)X線回折システムで、4から40度までの2θ(2シータ)の連続スキャンを使用して生成した。銅K−アルファ1(Kα1)及びK−アルファ2(Kα2)照射を、線源として使用した。実験は、周囲条件下で行なった。回折ピーク位置は、2θ値 28.443度をもつシリコンによって参照した。XRPDパターンを、図1に示す。2θ値及び、XRPDパターンにおいて対応する格子面間隔(d−spacing)は、以下を包含する:
結晶性化合物2Aはまた、TAインスツルメンツ(Instrument)DSC Q1000示差走査熱量計(DSC)を用いて、解放型アルミニウムパン内で窒素雰囲気下、25℃から350℃まで、10℃/分の加熱速度で分析した。DSC曲線は、197℃の開始温度及び198℃のピーク温度をもつ吸熱を示した。エンタルピー変化は、84J/gであった。吸熱は、融解によるものと考えられる。
結晶性化合物の熱重量分析(TGA)は、TAインスツルメンツ TGA Q500を用いて、窒素下、25℃から350℃まで、10℃/分の加熱速度で分析した。TG曲線は、100℃までの、0.21wt%の重量消失を示し、水和水及び溶媒和溶媒が存在しないことを示した。
化合物2AのX線結晶学的研究を、上記記載の通り調製された結晶性化合物2Aについて実施した。この研究は、オックスフォード・ディフラクション(Oxford Diffraction)CrysAlis Proソフトウェアによりコントロールされた、オックスフォード・ディフラクションからのCCD回折計(放射線源:エンハンス−ウルトラ(Enhance−Ultra)Cu、検出器モデル:ルビー(Ruby))を用いて行なった。データ収集は、Cu放射線を用いて、100Kで行ない、熱運動及び動的な乱れを制限するとともに、回折測定を改善するようにした。選択された結晶は、バルク試料の標本であった。100Kにおける結晶データ:
a=5.49010(12)Å α=90.00° V=2467.40(11)Å3
b=20.4635(6) β=90.00 空間群=P212121,#19
c=21.9624(6) γ=90.00 Z=4
全20038の反射を、0.84Å−1の解像度まで測定して、4297の固有の反射を得た。リファインメントは、SHELXLソフトウェアを使用して、全4297の反射を用いて、R1=5.04%、及びwR2=13.6%で完了した。C7及びC10における絶対配置(以下の構造を参照)は、分子中の6個の酸素原子から生じる異常分散により、測定された場合、双方ともRである。異常分散効果の分析は、その双方が絶対立体配置の選択を裏付ける、精密化されたフラック(Flack)パラメータ −0.1(2)、及びフーフト(Hooft)パラメータ −0.05(4)を使用して実施した。したがって、化合物2Aは、N−((7R,10R)−2−{[(4−フルオロ−3−メチルベンジル)アミノ]カルボニル}−3−ヒドロキシ−7−メトキシ−7−メチル−4−オキソ−4,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロピリミド[1,2−a]アゼピン−10−イル)−N,N’,N’−トリメチルエタンジアミドである。
化合物2Aに割り当てられた立体化学を考慮すれば、消去法により、化合物2Bは、N−((7S,10S)−2−{[(4−フルオロ−3−メチルベンジル)アミノ]カルボニル}−3−ヒドロキシ−7−メトキシ−7−メチル−4−オキソ−4,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロピリミド[1,2−a]アゼピン−10−イル)−N,N’,N’−トリメチルエタンジアミドである。
実施例3−1
Racemic−trans−N−(2−{[(3−フルオロ−4−メチルベンジル)アミノ]カルボニル}−3−ヒドロキシ−6−メチル−4−オキソ−4,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロピリミド[1,2−a]アゼピン−10−イル)−N,N’,N’−トリメチルエタンジアミド(化合物3A)
工程1:6−メチルテトラヒドロ−2H−ピラン−2−オール
塩化メチレン(1M、420mL)中の水素化ジイソブチルアルミニウムの溶液を、塩化メチレン(1000mL)中のδ−ヘキサノラクトン(40g、350mmol)の−78℃の溶液に、1時間にわたり徐々に添加した。得られた薄い白色の懸濁液を、2時間にわって徐々に温め、その結果、−40℃で透明な溶液を得た。メタノール(105mL)を、30分間にわたり徐々に分割添加することで、反応混合物を慎重にクエンチした。これを次に、15分間攪拌し、その後、酒石酸ナトリウムカリウム飽和水溶液(350mL)を添加した。次に反応混合物を、室温に一晩温めた。有機相を除去し、食塩水で洗浄し、次に硫酸マグネシウム上で乾燥した。水相を、酢酸エチルで抽出し、抽出物を次に、食塩水で洗浄して、同様に乾燥した。濾過及び濃縮により、ジアステレオマーのラクトールの混合物を、無色の油として得た:1H NMR(400MHz,CDCl3)ジアステレオマーA,δ5.28(s,1H),4.07(m,1H),2.42(br m,1H),1.13−1.87(m,6H),1.11(d,J=6.2Hz,3H).ジアステレオマーB,δ4.70(m,1H),3.56(m,1H),2.86(br m,1H),1.13−1.87(m,6H),1.21(d,J=6.2Hz,3H).
工程2:6−ヒドロキシ−2−(メチルアミノ)ヘプタンニトリル
6−メチルテトラヒドロ−2H−ピラン−2−オール(42g、350mmol)を、ジオキサン(300mL)中に溶解し、メチルアミン(水中40%、32mL、350mmol)、続いてメチルアミンHCl(19g、280mmol)で、そして次にシアン化ナトリウム(17g、350mmol)、続いて水(50mL)で処理した。室温で一晩攪拌した後、有機相をデカンテーションにより除去し、濃縮した。残渣を、酢酸エチル中に溶解した。最初の水性懸濁液(取り分けてあったもの)に、溶解が完了するまで水を添加し、その後に、双方の相を合わせ、抽出した。このようにして得た有機相を、濃縮した。水相は、新鮮な酢酸エチルでさらに2回抽出し、抽出物を濃縮した。合わせた残渣を、エーテル中に溶解し、濾過して、残留する固体を除去した。濃縮により、生成物を無色の油として得た:1H NMR(400MHz,CDCl3)δ3.81(m,1H),3.46(t,J=7Hz,1H),2.53(s,3H),1.76(m,2H),1.34−1.65(m,4H),1.19(d,J=6.2Hz,3H).
工程3:tert−ブチル(1−シアノ−5−ヒドロキシヘキシル)メチルカルバメート
酢酸イソプロピル(350mL)中の6−ヒドロキシ−2−(メチルアミノ)ヘプタンニトリル(76g)の溶液を、30℃に温め、次いで、酢酸イソプロピル(150mL)中のジ−tert−ブチルジカルボナートの溶液を、滴下添加した。反応の内部温度が35℃を超えて上昇した場合は常に、加熱を中断するか、又は添加の速度を遅くして、内部温度を、この設定点の数度以内に保持するようにした。必要な全添加時間は、約1時間であった。次に、加熱を再開して、温度を35℃で一晩保持した。反応混合物を次に、室温に冷却し、塩化アンモニウム(7g)、水(50mL)、及び濃アンモニア水(13g)で処理し、得られた混合物を、室温で一晩攪拌した。ついで反応混合物を、0℃に冷却し、有機相を分離し、冷却された(0℃)1M NaOHで、次に10% 塩化アンモニウムで、次に20% NaClで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。濾過及び濃縮により、生成物を非常に濃稠な不透明な油として得たが、これは、未測定量のt−ブタノールを含有していた:1H NMR(400MHz,CDCl3)δ5.20(m,1H),3.78(br s,1H),2.87(s,3H),1.81(m,2H),1.25−1.63(m,4H),1.45(s,9H),1.18(d,J=6.2Hz,3H).
工程4:tert−ブチル{1−[(Z)−アミノ(ヒドロキシイミノ)メチル]−5−ヒドロキシヘキシル}メチルカルバメート
未測定量のt−ブタノールを含有する、tert−ブチル(1−シアノ−5−ヒドロキシヘキシル)メチルカルバメート(129g)を、メタノール(250mL)中に溶解し、50% ヒドロキシルアミン水溶液(33mL)で処理した。混合物を次に、60℃で3時間加熱した。次いで、反応混合物を冷却し、溶媒を真空中で除去した。残渣を、トルエンで2回(各回200mL)共沸脱水し、50℃で真空乾燥して、生成物を非常に濃稠な透明な油として得たが、これはt−ブタノールで汚染されていた:ESMS M+1=290.0.
工程5:ジメチル(2E)−2−[({(1Z)−1−アミノ−2−[(tert−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ]−6−ヒドロキシヘプチリデン}アミノ)オキシ]ブタ−2−エンジオアート
tert−ブチル{1−[(Z)−アミノ(ヒドロキシイミノ)メチル]−5−ヒドロキシヘキシル}メチルカルバメート(161g、重量超過)を、メタノール(250mL)中に溶解し、−10℃に冷却した。DMAD(65mL)は、反応温度が−5℃を超えて上昇しないようにしながら滴下添加し、次いで反応混合物を、−10℃のフリーザー中で2日間貯蔵した。この反応混合物を、次に濃縮乾燥した。これをトルエンで2回共沸脱水し、そして30℃で、恒量になるまで真空乾燥させて、標題化合物を得た:ESMS M+1=431.9.
工程6:メチル2−{1−[(tert−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ]−5−ヒドロキシヘキシル}−5−ヒドロキシ−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリミジン−4−カルボキシラート
ジメチル(2E)−2−[({(1Z)−1−アミノ−2−[(tert−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ]−6−ヒドロキシヘプチリデン}アミノ)オキシ]ブタ−2−エンジオアート(239g、重量超過)を、o−キシレン(1000mL)中に溶解し、得られた溶液を、120℃で48時間加熱した。得られた濃いワインレッドの溶液を、室温に冷却し、溶媒を真空中で濃縮した。濃稠な暗色の残渣を、酢酸エチル(400mL)及びジクロロメタン(100mL)中に溶解し、氷浴中で冷却し、1M 水酸化ナトリウム(400mL)で処理した。混合物を分液漏斗に移したが、2つの層が暗褐色であるという特徴から、何らかの分離を見ることは難しかった。それ故、400mLの水相を流し出した。残った混合物を1M 水酸化ナトリウム(100mL)で洗浄し、次に300mLの液体を流し出した。400mL及び300mLの流出液を合わせ、エーテル(300mL)で抽出した。相間の分離は、今回は可視であった。水相を分離し、氷浴中で、かつ迅速に攪拌しながら冷却し、これを6M HCl(85mL)で酸性化した。得られた混合物を、次に、塩化メチレンで抽出し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。濃縮及び真空下の乾燥により、標題生成物を粘着性の褐色のスポンジとして得た(140g):ESMS M+1=399.8.
工程7:メチル2−{1−[(tert−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ]−5−[(メチルスルホニル)オキシ]ヘキシル}−5,6−ビス[(メチルスルホニル)オキシ]ピリミジン−4−カルボキシラート
工程6からの、メチル2−{1−[(tert−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ]−5−ヒドロキシヘキシル}−5−ヒドロキシ−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリミジン−4−カルボキシラートを、アセトニトリル(500mL)で共沸脱水した。得られた濃稠のワインレッドの粘着性のスポンジ(39g)を、アセトニトリル(500mL)中に再度溶解し、15−20℃に冷却した。トリエチルアミン(54mL)を添加し、続いて塩化メシル(27mL)を、30分間にわたり滴下添加した。同じ温度でさらに30分間攪拌した後、LC−MSによって測定すると、トリ−メシラート及びジ−メシラートの2:1混合物への完全な変換があった。反応混合物を濾過して、トリエチルアミン 塩化水素を除去し、フィルターケークを塩化メチレンで充分に洗浄した。濾液を濃縮し、次いで、塩化メチレンと半飽和食塩水との間で分配した。有機相を除去し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。濾過及び濃縮により、暗赤色の泡沫を得て、これをアセトニトリル(500mL)で共沸脱水して、トリ−メシラートであるワインレッドのガムを得た。
工程8:メチルtrans−rac−10−[(tert−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ]−6−メチル−3−[(メチルスルホニル)オキシ]−4−オキソ−4,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロピリミド[1,2−a]アゼピン−2−カルボキシラート
DMF(400mL)中の、メチル2−{1−[(tert−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ]−5−[(メチルスルホニル)オキシ]ヘキシル}−5,6−ビス[(メチルスルホニル)オキシ]ピリミジン−4−カルボキシラート(62g、98mmol)及び炭酸セシウム(64g、196mmol)の混合物を、100℃で一晩加熱した。反応混合物を室温に冷却し、次にさらに0℃に冷却した。追加の炭酸セシウム(60g)を、続いてMsCl(10mL)を添加して、攪拌を1時間継続した。反応混合物を濾過して、固体を除去し、固体を次に塩化メチレンで、透明な濾液が流れるまで洗浄した。次いで、濾液をストリップ処理し、最後に35℃の高真空下でDMFを除去した。濃稠な暗赤色の残留スラッジを、エーテルで希釈し、濾過した。フィルターケークを、エーテルで洗浄した。得られたクリーム色の固体を、塩化メチレン中に溶解し、冷却した半飽和食塩水で1回洗浄し、溶液を硫酸ナトリウム上で乾燥した。濾過及び濃縮により、NMR及びLC−MSで測定される、racemic transジアステレオマーを得た:1H NMR(400MHz,CDCl3)δ5.74(m,1H),5.41(dd,J=1.6,13.5Hz,1H),3.92(s,3H),3.50(s,3H),2.95(s,3H),1.60−2.94(m,6H),1.57(d,J=7.3Hz,3H),1.44(s,9H).ESMS M+1=460.12.
工程9:メチルtrans−rac−6−メチル−10−(メチルアミノ)−3−[(メチルスルホニル)オキシ]−4−オキソ−4,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロピリミド[1,2−a]アゼピン−2−カルボキシラート
ジオキサン(25mL)中のメチルtrans−rac−10−[(tert−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ]−6−メチル−3−[(メチルスルホニル)オキシ]−4−オキソ−4,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロピリミド[1,2−a]アゼピン−2−カルボキシラート(3.5g)の溶液に、0℃で、ジオキサン中4M HCl(25mL)を添加した。30分間攪拌した後、反応混合物を室温に温め、そこで4時間攪拌した。溶媒をストリップ処理し、残渣を水中に溶解して、過剰の炭酸ナトリウムで処理した。得られた混合物を、塩化メチレンで、次にクロロホルムで抽出し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。濾過及び濃縮により、アミンを、暗褐色の粘性の油として得た。
工程10:Trans−rac−メチル 10−[[(ジメチルアミノ)(オキソ)アセチル](メチル)アミノ]−6−メチル−3−[(メチルスルホニル)オキシ]−4−オキソ−4,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロピリミド[1,2−a]アゼピン−2−カルボキシラート
エチルクロロホルマート(0.4mL)を、テトラヒドロフラン(15mL)中のジメチルオキサミン酸(0.49g)の溶液に、−15℃で添加した。N−メチルモルホリン(0.52mL)を、−5℃未満の温度を維持しながら、徐々に分割添加した。添加が進むにつれ、アミン塩は白色固体として崩壊した。攪拌を90分間継続し、次に塩を濾去して、得られた低温の溶液を直接使用した。工程9からの、メチルtrans−rac−6−メチル−10−(メチルアミノ)−3−[(メチルスルホニル)オキシ]−4−オキソ−4,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロピリミド[1,2−a]アゼピン−2−カルボキシラートを、THF(5mL)中に溶解し、上記で調製された混合無水物に、冷水浴中で冷却しながら添加した。添加が完了すれば、反応混合物を徐々に室温に温め、そこで、クリーム色の固体が沈殿した。沈殿した固体を濾過して、エーテルで充分洗浄し、次に真空下で乾燥させた。得られた白色固体は、所望の標題化合物であった:1H NMR(400MHz,CDCl3)δ5.69−5.79(m,2H),3.91(s,3H),3.51(s,3H),3.12(s,3H),3.03(s,3H),3.00(s,3H),1.82−2.14(m,6H),1.61(d,J=7.3Hz,3H).
工程11:Racemic−trans−N−(2−{[(3−フルオロ−4−メチルベンジル)アミノ]カルボニル}−3−ヒドロキシ−6−メチル−4−オキソ−4,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロピリミド[1,2−a]アゼピン−10−イル)−N,N’,N’−トリメチルエタンジアミド
工程10からのtrans−rac−メチル 10−[[(ジメチルアミノ)(オキソ)アセチル](メチル)アミノ]−6−メチル−3−[(メチルスルホニル)オキシ]−4−オキソ−4,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロピリミド[1,2−a]アゼピン−2−カルボキシラート(50mg)を、DMSO(2mL)中に溶解し、4−メチル−3−フルオロベンジルアミン(0.1mL)を添加した。得られた混合物を、100℃で30分間加熱した。LC−MSで測定された場合、生成物への変換は完了しており、該生成物を逆相ギルソン(Gilson)クロマトグラフィーにより精製した:1H NMR(400MHz,CDCl3)δ9.46(br s,1H),7.05(m,3H),5.96(m,1H),5.56(br s,1H),4.47(qd,J=6.8,14.5Hz,2H),3.02(s,3H),2.99(s,3H),2.94(s,3H),2.21(s,3H),1.61−2.24(m,6H),1.47(d,J=7.5Hz,3H).ESMS M+1=487.8.
実施例3−2
N−(2−{[(3−フルオロ−4−メチルベンジル)アミノ]カルボニル}−3−ヒドロキシ−6−メチル−4−オキソ−4,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロピリミド[1,2−a]アゼピン−10−イル)−N,N’,N’−トリメチルエタンジアミドの単離されたcisエナンチオマー(化合物3B)
工程1:メチルcis−10−[(tert−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ]−6−メチル−3−[(メチルスルホニル)オキシ]−4−オキソ−4,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロピリミド[1,2−a]アゼピン−2−カルボキシラート
この化合物は、反応混合物を100℃で一晩の代わりに4時間加熱したことを除いて、実施例3−1、工程8に記載の方法に従って調製した。反応時間を減らした結果、生成物をジアステレオマーのcis−transラセミ混合物として単離した。この混合物を、キラル超臨界液体クロマトグラフィーにより、4つのジアステレオマー的に純粋な成分に分離した:1H NMR(400MHz,CDCl3)未知の絶対配置のcisジアステレオマーδ5.45(m,1H),4.77(m,1H),3.90(s,3H),3.49(s,3H),2.81(s,3H),1.58−2.07(m,6H),1.55(d,J=6.8Hz,3H),1.45(s,9H).ESMS M+1=460.10.
工程2:Cis−N−(2−{[(3−フルオロ−4−メチルベンジル)アミノ]カルボニル}−3−ヒドロキシ−6−メチル−4−オキソ−4,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロピリミド[1,2−a]アゼピン−10−イル)−N,N’,N’−トリメチルエタンジアミド
工程1からのメチルcis−10−[(tert−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ]−6−メチル−3−[(メチルスルホニル)オキシ]−4−オキソ−4,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロピリミド[1,2−a]アゼピン−2−カルボキシラートを、実施例3−1、工程8−11に記載の方法に従って、標題化合物に変換した。絶対立体化学−(6R、10S)又は(6S,10R)のいずれか−は、測定しなかった。
1H NMR(400MHz,CDCl3)δ9.66(br s,1H),7.05(m,3H),5.67(br s,1H),5.00(br s,1H),4.54(qd,J=6.6,14.5Hz,2H),3.06(s,3H),3.01(s,3H),2.83(s,3H),2.21(s,3H),1.92−2.23(m,6H),1.49(d,J=6.3Hz,3H).ESMS M+1=488.11.
実施例4−1
N−((6S,10S)−2−{[(4−フルオロ−3−メチルベンジル)アミノ]カルボニル}−3−ヒドロキシ−6−メチル−4−オキソ−6,7,9,10−テトラヒドロ−4H−ピリミド[1,2−d][1,4]オキサゼピン−10−イル)−N,N’,N’−トリメチルエタンジアミド(化合物4A)
N−((6S,10R)−2−{[(4−フルオロ−3−メチルベンジル)アミノ]カルボニル}−3−ヒドロキシ−6−メチル−4−オキソ−6,7,9,10−テトラヒドロ−4H−ピリミド[1,2−d][1,4]オキサゼピン−10−イル)−N,N’,N’−トリメチルエタンジアミド(化合物4B)
工程1:2(R)−1−(アリルオキシ)プロパン−2−オール
氷浴中で冷却された、無水N,N−ジメチルホルムアミド 300mL中のアリルアルコール(55.0g、947mmol)の攪拌溶液に、水素化ナトリウムの油中60%分散液(37.9g、947mmol)を、4回に分けて30分間にわたり添加した。混合物を周囲温度に温め、30分後、混合物を氷浴中で冷却し、(R)−1,2−エポキシプロパン(50g、861mmol)を、30分間にわたって徐々に添加した。反応混合物を室温に温め、72時間攪拌した。反応混合物を、氷浴中で冷却し、水で希釈し、酢酸エチル(4X)で抽出した。合わせた有機抽出物を、水(3X)、食塩水(1X)で洗浄し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥した。減圧下で濃縮して、粗生成物を油として得て、これを精製することなく、次の工程に使用した:1H NMR(400MHz,CDCl3):δ5.92(ddt,J=17.2,10.4,5.6Hz,1H);5.26(dq,J=17.2,1.6Hz,1H);5.20(dq,J=10.3,1.3Hz,1H);4.03(dt,J=5.6,1.4Hz,2H);3.95(m,1H);3.4−3.5(m,1H);3.24(dd,J=9.4,8.2Hz,1H);2.4(br s,1H);1.15(d,J=6.4Hz,3H).
工程2:6(R)−6−メチル−1,4−ジオキサン−2−オール:
ジクロロメタン(400mL)中の2(R)−1−(アリルオキシ)プロパン−2−オール(84g、723mmol)の、冷却された(初期T=−78℃)攪拌溶液に、オゾン流を、青色が残存するまで分散させた(4時間を要した)。この溶液に、透明な無色の溶液が得られるまで窒素をパージした。硫化ジメチル(134mL、1.8mol)及びトリエチルアミン(302mL、2.17mol)を添加した。攪拌された混合物を、60分間にわたり室温に温めた。湿らせたデンプン−ヨウ化物紙による、過酸化物用の試験は、陰性であった。混合物を、減圧下、周囲温度で濃縮して、粗標題化合物を得て、これを精製することなく、直接次の工程に使用した。
工程3:tert−ブチル(1−シアノ−2−{[(2)−2−ヒドロキシプロピル]オキシ}エチル)メチルカルバメート:
ジオキサン及び水(3:1、400mL)中の6(R)−6−メチル−1,4−ジオキサン−2−オール(100g、847mmol)の攪拌溶液に、メチルアミン塩酸塩(114g、1.69mol)及びシアン化ナトリウム(83g、1.69mol)を添加した。この溶液を、72時間攪拌した。生成物を、酢酸エチル(3X)中に抽出し、合わせた有機層を、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、溶媒を減圧下で除去した。残渣を酢酸エチル(100mL)中に溶解し、この溶液に、ジ−tert−ブチルジカルボナート(369g、1.69mol)を添加した。溶液を室温で18時間攪拌し、酢酸エチルで希釈し、水(1X)、及び食塩水(1X)で洗浄した。硫酸ナトリウム上で乾燥した後、粗生成物溶液を濾過し、減圧下で濃縮した。シリカゲル上での中圧クロマトグラフィーにより、30−50% 酢酸エチル(ヘキサン中)勾配を用いて精製して、標題生成物を得た。
1H NMR(399MHz,CDCl3):δ5.5−5.1(br m,1H);3.9(m,1H);3.8(m,2H);3.53(td,J=9.5,3.0Hz,1H);3.34(ddd,J=14.1,9.5,7.4Hz,1H);2.96(s,1.5H);2.96(s,1.5H);1.48(s,9H);1.16(d,J=6.4Hz,3H).
工程4:tert−ブチル[(2)−2−アミノ−1−({[(2R)−2−ヒドロキシプロピル]オキシ}メチル)−2−(ヒドロキシイミノ)エチル]−メチルカルバメート:
メタノール(100mL)中のtert−ブチル(1−シアノ−2−{[(2)−2−ヒドロキシプロピル]オキシ}エチル)メチルカルバメート(20g、77mmol)の溶液に、50% ヒドロキシルアミン水溶液(5.63g、85mmol)を添加し、混合物を40℃で18時間攪拌した。溶液を減圧下で濃縮し、残渣を、シリカゲル上での中圧クロマトグラフィーにより、10−90% 酢酸エチル(ヘキサン中)勾配を用いて精製し、標題化合物を黄色の油として得た。ESMS=292.2(M+1).
工程5:ジメチル(2)−2−{[((1)−1−アミノ−2−[(tert−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ]−3−{[(2R)−2−ヒドロキシプロピル]オキシ}プロピリデン)アミノ]オキシ}ブタ−2−エンジオアート
メタノール中のtert−ブチル[(2)−2−アミノ−1−({[(2R)−2−ヒドロキシプロピル]オキシ}メチル)−2−(ヒドロキシイミノ)エチル]−メチルカルバメート(123.5g、424mmol)の攪拌溶液に、0℃で、ジメチルアセチレンジカルボキシラート(52.4mL、424mmol)を添加した。添加の後、反応混合物を室温に温めた。攪拌を、18時間継続した。溶媒を、減圧下で除去した。粗生成物を、シリカゲル上での中圧クロマトグラフィーにより、10−85% 酢酸エチル(ヘキサン中)勾配を用いて精製し、標題化合物を得た。ESMS=435.4(M+1).
工程6:メチル2−(1−[(tert−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ]−2−{[(2R)−2−ヒドロキシプロピル]オキシ}エチル)−5,6−ジヒドロキシピリミジン−4−カルボキシラート
o−キシレン(1000mL)中のジメチル(2)−2−{[((1)−1−アミノ−2−[(tert−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ]−3−{[(2R)−2−ヒドロキシプロピル]オキシ}プロピリデン)アミノ]オキシ}ブタ−2−エンジオアート(140g、323mol)の溶液を、120℃で18時間加熱した。次に、溶液の温度を140℃に6時間昇温させて、最後の基質を変換させた。混合物を周囲温度に冷却させ、そして減圧下で濃縮した。粗残渣を、シリカゲル上での中圧液体クロマトグラフィーにより、40% 酢酸エチル(ヘキサン中)を用いて精製して、極性の低い成分を除去し、生成物を10%エタノール(ジクロロメタン中)で溶出して、標題化合物を得た。ESMS=402.4(M+1).
工程7:tert−ブチル(1−(4−{[(4−フルオロ−3−メチルベンジル)アミノ]カルボニル}−5,6−ジヒドロキシピリミジン−2−イル)−2−{[(2)−2−ヒドロキシプロピル]オキシ}エチル)メチルカルバメート
2−プロパノール(400mL)中のメチル2−(1−[(tert−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ]−2−{[(2R)−2−ヒドロキシプロピル]オキシ}エチル)−5,6−ジヒドロキシピリミジン−4−カルボキシラート(40g、100mmol)の攪拌溶液に、4−フルオロ−3−メチルベンジルアミン(20.8g、149mmol)を、2つの同時並行のランで添加した。混合物を、60℃で16時間加熱した。LC−MSで測定されたとき、多少の基質エステルが残留している場合には、加熱浴の温度を、80℃まで3時間にわたって上昇させた。溶液を冷却し、合わせ、そして溶媒を減圧下で除去した。粗生成物を、酢酸エチル中に溶解し、10% クエン酸水溶液(2X)、飽和炭酸水素ナトリウム(1X)、及び食塩水(1X)で洗浄した。有機層を分離し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、溶媒を減圧下で除去した。粗生成物を、さらに精製することなく次の工程に使用した:ESMS=509.5(M+1).
工程8:(6S,10S)及び(6S,10R)tert−ブチル((6,10)−2−{[(4−フルオロ−3−メチルベンジル)アミノ]カルボニル}−3−ヒドロキシ−6−メチル−4−オキソ−6,7,9,10−テトラヒドロ−4−ピリミド[1,2−][1,4]オキサゼピン−10−イル)メチルカルバメート
tert−ブチル(1−(4−{[(4−フルオロベンジル)アミノ]カルボニル}−5,6−ジヒドロキシピリミジン−2−イル)−2−{[(2)−2−ヒドロキシブチル]オキシ}エチル)メチルカルバメート(40g、79mmol)を、2つの同時並行のランで、無水アセトニトリル(200mL)中に溶解し、窒素下、氷浴中で冷却した。この攪拌溶液に、トリエチルアミン(99mL、472mmol)を添加し、続いて無水塩化メチレン 73mL中の塩化メタンスルホニル(36.8mL、472mmol)を滴下添加した。混合物を30分間攪拌し、次いで脱イオン水で処理した。混合物を合わせ、クロロホルムで抽出した。有機層を分離し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣を、340gのバイオタージSNAPカートリッジ上で、10%−90% 酢酸エチル(ヘキサン中)の勾配を用いて、2ランでクロマトグラフ処理し、粗トリメシラートを得た:ESMS:m/z=743.5(M+1).
ジメチルアセトアミド(500mL)中のトリメシラート(25g、33.7mmol)の攪拌溶液を、窒素ガスで10分間パージし、炭酸セシウム(43.9g、135mmol)で処理し、100℃の油浴中で、15時間激しく攪拌した。反応混合物を周囲温度に冷却させ、濾過した。濾液を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。有機層を水(3X)、食塩水(1X)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、減圧下濃縮した。粗生成物を、エーテル(200mL)中に懸濁し、30分間攪拌し、不溶性の暗色の物質を濾過により除去した。この物質を、再度エーテル(600mL)中に懸濁し、48時間攪拌し、濾過した。合わせた濾液を減圧下で濃縮して、粗生成物を得た。1H NMR分析により、cis:transジアステレオマーの1:2混合物が示された。ESMS=491.2(M+1)
工程9:(6S,10S)及び(6S,10R)−N−(4−フルオロ−3−メチルベンジル)−3−ヒドロキシ−6−メチル−10−(メチルアミノ)−4−オキソ−6,7,9,10−テトラヒドロ−4−ピリミド[1,2−][1,4]オキサゼピン−2−カルボキサミド塩酸塩
前工程からのcis及びtransジアステレオマー混合物、(6S,10S)及び(6S,10R)tert−ブチル((6,10)−2−{[(4−フルオロ−3−メチルベンジル)アミノ]カルボニル}−3−ヒドロキシ−6−メチル−4−オキソ−6,7,9,10−テトラヒドロ−4−ピリミド[1,2−][1,4]オキサゼピン−10−イル)メチルカルバメート(13.5g、27.5mmol)を、ジオキサン中の4M HCl(206mL)中に溶解した。30分後、沈殿した固体を濾過により収集し、真空下で乾燥させた。この固体の1H NMR分析は、標題化合物のtrans:cisジアステレオマーの3:2混合物を検出した。濾液は、主にtransジアステレオマーを含有することが判明した。ESMS:m/z=391.2(M+1)
工程10:N−((6S,10S)−2−{[(4−フルオロ−3−メチルベンジル)アミノ]カルボニル}−3−ヒドロキシ−6−メチル−4−オキソ−6,7,9,10−テトラヒドロ−4H−ピリミド[1,2−d][1,4]オキサゼピン−10−イル)−N,N’,N’−トリメチルエタンジアミド(化合物4A)、及びN−((6S,10R)−2−{[(4−フルオロ−3−メチルベンジル)アミノ]カルボニル}−3−ヒドロキシ−6−メチル−4−オキソ−6,7,9,10−テトラヒドロ−4H−ピリミド[1,2−d][1,4]オキサゼピン−10−イル)−N,N’,N’−トリメチルエタンジアミド(化合物4B)
無水ジクロロメタン(10mL)中の、前工程からのジアステレオマー混合物、(6S,10S)及び(6S,10R)−N−(4−フルオロ−3−メチルベンジル)−3−ヒドロキシ−6−メチル−10−(メチルアミノ)−4−オキソ−6,7,9,10−テトラヒドロ−4−ピリミド[1,2−][1,4]オキサゼピン−2−カルボキサミド塩酸塩(3.5g、9.0mmol)、エチル−(ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(5.16g、26.9mmol)、1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール(3.66g、26.9mmol)、N,N−ジメチルオキサミン酸(1.58g、13.5mmol)、及びトリエチルアミン(2.56mL、44.8mmol)の溶液を、室温で18時間攪拌した。混合物を水(6X)で、そして食塩水(1X)で洗浄した。水性洗浄液を、クロロホルム(3X)で逆抽出し、合わせた有機層を、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。粗生成物を、まず、エクステラ(Xterra)(ウォーターズ(Waters))Prep MS C18 OBD 50X250mmカラム上での逆相分取HPLCにより、10−75% CH3CN/H2O(0.1% TFA)の45分間の勾配を用いて、85mL/分の流速で精製した。減圧下で濃縮して、trans:cisジアステレオマーの3:2混合物を、アモルファスな白色固体として得た。この物質を、OJ−Hカラム(キラルセル(Chiralcel))上での超臨界液体クロマトグラフィーを使用して、二酸化炭素中の15% エタノールを移動相として分離し、cis−(6S,10S)及びtrans−(6S,10R)標題ジアステレオマーを得た。最初に溶出するピークは、transジアステレオマーであり、2番目に溶出するピークは、cisジアステレオマーであった:
化合物4A−cisジアステレオマー(標題化合物、(6S,10S):1H NMR(400MHz,CDCl3):δ9.59(t,J=6.4Hz,1H);7.21(dd,J=7.5,2.1Hz,1H);7.20−7.13(m,1H);6.91(t,J=9.0Hz,1H);5.81(s,1H);4.99−4.90(m,1H);4.51(d,J=6.5Hz,2H);4.46(t,J=10.6Hz,1H);4.31(d,J=14.1Hz,1H);4.15(dd,J=11.8,2.5Hz,1H);4.05(dd,J=14.1,5.3Hz,1H);3.07(s,3H);3.02(s,3H);2.87−2.84(m,3H);2.28−2.21(m,3H);1.62(d,J=6.9Hz,3H).HRMS:ESI=490.2086(M+1);計算値490.2096(M+1).
化合物4B−transジアステレオマー(6S,10R):1H NMR(回転異性体の2:1混合物として出現)(400MHz,CDCl3):δ12.6−12.2(br m,1H);9.7−9.5(m,1H);7.2(m,2H);6.9(t,J=9.0Hz,1H);5.8−5.7(m,2H);4.5−4.1(m,5H);3.8−3.6(m,2H);3.1(s,3H);3.1(s,3H);3.0−2.8(m,3H);2.2(d,J=1.8Hz,3H);1.6−1.5(m,2H)
HRMS:ESI=490.2086(M+1);計算値490.2096(M+1).
別法
工程1:工程8のジアステレオマー混合物を、エクステラ(ウォーターズ)Prep MS C18 OBD 50X250mmカラム上での逆相液体クロマトグラフィーにより、10−75% CH3CN/H2O(0.1% TFA)の45分間の勾配を用いて、85mL/分の流速で分離した。最初及び2番目に溶出する生成物を含有する分画を凍結乾燥して、cis及びtransジアステレオマーを、各々、黄褐色のアモルファスな固体として得た:
Cisジアステレオマー(6S,10S):1H NMR(400MHz,CDCl3):δ12.2−11.8(br.s,1H),7.77(br s,1H);7.12(m,2H);6.97(t,J=8.9Hz,1H);5.3−.5.0(br m,1H);4.90(t,J=6.5Hz,1H);4.51(d,J=6.4Hz,2H);4.36(t,J=9.5Hz,1H);4.12(m,2H);4.01(dd,J=13.9,5.5Hz,1H);2.80(br s,3H);2.23(d,J=1.8Hz,3H);1.62(d,J=6.9Hz,3H);1.27(s,9H):ESMS:m/z=491.1(M+1)
Transジアステレオマー(6S,10R):1H NMR(回転異性体の2:1混合物として出現)(400MHz,CDCl3):δ12.2−11.8(br.s,1H),7.83(br s,2/3H);7.59(br s,1/3H);7.14(m,2H);6.98(m,1H);5.65(m,4/3H);5.38(m,2/3H);4.47(m,およそ2H);4.29−4.10(m,およそ2H);3.59(d,J=13.4Hz,およそ2H);2.79(s)2.76(s)(3H);2.26(s,3H);1.56(d,J=7.3Hz,1H);1.50(d,J=7.1Hz,2H);1.29(s,3H);1.25(s,6H):ESMS=491.2(M+1).
工程2:前工程からのcis異性体、(6S,10S)tert−ブチル((6,10)−2−{[(4−フルオロ−3−メチルベンジル)アミノ]カルボニル}−3−ヒドロキシ−6−メチル−4−オキソ−6,7,9,10−テトラヒドロ−4−ピリミド[1,2−][1,4]オキサゼピン−10−イル)メチルカルバメート(1.7g、3.5mmol)を、酢酸エチル(69mL)中に溶解し、氷浴中で攪拌しながら冷却し、この溶液を、無水HClガスで5分間にわたり飽和させた。混合物を氷浴中で1時間攪拌し、次に減圧下で濃縮した。残渣を、酢酸エチル中に溶解して酢酸エチルから濃縮することを、2回以上行ない、次いで真空下で乾燥させて、(6S,10S)−N−(4−フルオロ−3−メチルベンジル)−3−ヒドロキシ−6−メチル−10−(メチルアミノ)−4−オキソ−6,7,9,10−テトラヒドロ−4−ピリミド[1,2−][1,4]オキサゼピン−2−カルボキサミド塩酸塩を、固体として得た。
1H NMR(399MHz,d6DMSO):δ12.45(s,1H);9.95(t,J=6.5Hz,1H);9.54(brd,J=24.7Hz,2H);7.21(m,2H);7.10(t,J=9.0Hz,1H);5.03(s,1H);4.75(td,J=6.8,2.7Hz,1H);4.47(d,J=6.4Hzm,2H);4.1(m,2H);3.88(m,2H);2.65(s,3H);2.21(d,J=1.6Hz,3H);1.53(d,J=6.8Hz,3H):ESMS:m/z=391.1(M+1).
工程3:無水N,N−ジメチルホルムアミド(32mL)中の、(6S,10S)−N−(4−フルオロ−3−メチルベンジル)−3−ヒドロキシ−6−メチル−10−(メチルアミノ)−4−オキソ−6,7,9,10−テトラヒドロ−4−ピリミド[1,2−][1,4]オキサゼピン−2−カルボキサミド塩酸塩(1.38g、3.2mmol)、エチル−(ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(1.24g、6.5mmol)、1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール(0.44g、3.2mmol)、N,N−ジメチルオキサミン酸(0.57g、4.9mmol)、及びN−メチルモルホリン(1.42mL、12.9mmol)の溶液を、室温で18時間攪拌した。混合物を、酢酸エチル及び5%硫酸水素カリウムで希釈した。層を分離し、水層を、酢酸エチル(4X)で抽出した。合わせた有機抽出物を、食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。粗生成物を、エクステラ(ウォーターズ)Prep MS C18 OBD 50X250mmカラム上での逆相分取HPLCにより、10−75% CH3CN/H2O(0.1% TFA)の45分間の勾配を用いて、85mL/分の流速で精製した。生成物分画を合わせ、一晩凍結乾燥して、化合物4A(cis−(6S,10S)ジアステレオマー)を得た。
化合物4Aの結晶化
上記記載のクロマトグラフィーによる分離法を用いて調製したアモルファスな化合物4Aを、塩化メチレン中に再度溶解し、NaHCO3でpH3に調整した水を用いて分配した。水層を、塩化メチレンで3回抽出した。合わせた有機物質を、Na2SO4上で乾燥し、濾過し、そして減圧下で濃縮した。得られた固体を、温MeOH中に溶解し、ナイロンシリンジフィルタを通して、ガラスバイアル中へ濾過した。この溶液入りのバイアルを、EtOAcを含有するビーカー内に、開放したまま静置した。一晩で、MeOH入りバイアルの底に、大きい結晶が形成された。この固体を、氷冷MeOHで、そして次にEt2Oで洗浄して、化合物4Aを結晶性固体として得た。
キャラクタリゼーション。 結晶性化合物4AのXRPDパターンは、PW3050/60コンソールを備えた、フィリップス・アナリティカル・エキスパート・プロX線回折システムで、4から40度までの2θの連続スキャンを使用して生成した。銅Kα1及びKα2照射を、線源として使用した。実験は、周囲条件下で行なった。回折ピーク位置は、2θ値 28.443度をもつシリコンによって参照した。XRPDパターンを、図2に示す。2θ値及び、XRPDパターンにおいて対応する格子面間隔は、以下を包含する:
結晶性化合物4Aはまた、TAインスツルメンツDSC Q1000示差走査熱量計を用いて、解放型アルミニウムパン内で窒素雰囲気下、25℃から350℃まで、10℃/分の加熱速度で分析した。DSC曲線は、139℃の開始温度及び144℃のピーク温度をもつ吸熱を示した。エンタルピー変化は、67J/gであった。吸熱は、融解によるものと考えられる。
結晶性化合物の熱重量分析(TGA)は、TAインスツルメンツ TGA Q500を用いて、窒素下、25℃から350℃まで、10℃/分の加熱速度で分析した。TG曲線は、100℃までの、0.03wt%の重量消失を示し、水和水及び溶媒和溶媒が存在しないことを示した。
実施例4−2
N−((6R,10R)−2−{[(4−フルオロ−3−メチルベンジル)アミノ]カルボニル}−3−ヒドロキシ−6−メチル−4−オキソ−6,7,9,10−テトラヒドロ−4H−ピリミド[1,2−d][1,4]オキサゼピン−10−イル)−N,N’,N’−トリメチルエタンジアミド(化合物4C)
N−((6R,10S)−2−{[(4−フルオロ−3−メチルベンジル)アミノ]カルボニル}−3−ヒドロキシ−6−メチル−4−オキソ−6,7,9,10−テトラヒドロ−4H−ピリミド[1,2−d][1,4]オキサゼピン−10−イル)−N,N’,N’−トリメチルエタンジアミド(化合物4D)
標題化合物は、工程1で、(R)−1,2−エポキシプロパンの代わりに、(S)−1,2−エポキシプロパンを用いたことを除いて、実施例4−1に示した方法を使用して調製した。
Cisジアステレオマー(6R,10R):1H NMR(399MHz,CDCl3):δ12.6−12.1(br s,1H)9.60(t,J=5.9Hz,1H);7.21(d,J=7.5,Hz,1H);7.20−7.16(m,1H);6.91(t,J=9.0Hz,1H);5.81(s,1H);4.94(m,1H);4.51(d,J=6.4Hz,2H);4.45(t,J=10.7Hz,1H);4.31(d,J=14.1Hz,1H);4.15(dd,J=11.7,2.4Hz,1H);4.04(dd,J=14.1,5.3Hz,1H);3.07(s,3H);3.02(s,3H);2.85(s,3H);2.24(d,J=1.5Hz,3H);1.62(d,J=6.8Hz,3H).
HRMS:ESI=490.2088(M+1);計算値490.2096(M+1).
Transジアステレオマー(6R,10S):1H NMR(回転異性体の2:1混合物として出現)(399MHz,CDCl3):δ9.7(br s,1/3H);9.54(br s,2/3H);7.21(d,J=7.3Hz,1H);7.19−7.15(m,1H);6.91(t,J=8.9Hz,1H);5.80(brd,J=6.4Hz,2/3H)5.69(br s,4/3H);4.58−4.36(m,およそ3H);4.27(d,J=11.7Hz,およそ1H);4.15(m,およそ.1H);3.78−3.60(m,2H);3.07(s,3H);3.02(s,3H);3.97−2.82(m,3H);2.24(d,J=1.8Hz,3H);1.56(m,2H)
HRMS:ESI=490.2098(M+1);計算値490.2096(M+1).
実施例5−1
N−((6S,10S)−6−エチル−2−{[(4−フルオロベンジル)アミノ]カルボニル}−3−ヒドロキシ−4−オキソ−6,7,9,10−テトラヒドロ−4−ピリミド[1,2−d][1,4]オキサゼピン−10−イル)−N,N’,N’−トリメチルエタンジアミド(化合物5A)
工程1:(2R)−1−(アリルオキシ)ブタン−2−オール
オーブン乾燥された1リットルの丸底フラスコに、水素化ナトリウム(30.5g、763mmol)及びDMF(433mL)を添加した。混合物を氷浴中で冷却し、アリルアルコール(51.9mL、763mmol)を、6℃未満の温度を保持しながら滴下添加した。添加完了後、反応混合物を、氷浴中に維持しながら15分間、次に室温で45分間攪拌した。混合物を、次に氷浴中で再度冷却し、(R)−1,2−エポキシブタン(50g、760mmol)を、DMF(30mL)溶液として、30分間にわたり徐々に添加した。反応混合物を、室温に温め、72時間攪拌した。反応混合物を、次に冷却し、水(500mL)及びエーテル(200mL)で希釈した。層を分離し、生成物を、水層からジエチルエーテル(200mL)で2回以上抽出した。合わせた有機抽出物を、無水硫酸ナトリウム上で乾燥した。濃縮して、黄色の油を得た。粗生成物を、精製することなく次の工程に使用した:1H NMR(400MHz,CDCl3):δ5.92(ddt,J=17.2,10.4,5.6Hz,1H);5.28(dq,J=17.2,1.6Hz,1H);5.20(dq,J=10.4,1.3Hz,1H);4.03(dt,J=5.6,1.3Hz,2H);3.76−3.68(m,1H);3.48(dd,J=9.5,3.0Hz,1H);3.29(dd,J=9.5,8.0Hz,1H);2.34(d,J=3.3Hz,1H);1.56−1.41(m,2H);0.97(t,J=7.5Hz,3H).
工程2:6(R)−6−エチル−1,4−ジオキサン−2−オール:
メタノール(200mL)中の2(R)−1−(アリルオキシ)ブタン−2−オール(50g、384mmol)の、冷却された(初期T=−78℃)攪拌溶液に、オゾン流を、青色が残存するまで分散させた(2時間を要した)。この溶液に、透明な無色の溶液が得られるまで窒素を10分間パージした。硫化ジメチル(45.5mL、615mmol)及びトリエチルアミン(30mL)を添加した。攪拌された混合物を、60分間にわたり室温に温めた。(湿らせたデンプン−ヨウ化物紙による、過酸化物用の試験は、陰性であった。)混合物を、減圧下、周囲温度で濃縮して、粗標題生成物を得て、これを精製することなく、直接次の工程に使用した。
工程3:tert−ブチル(1−シアノ−2−{[(2)−2−ヒドロキシブチル]オキシ}エチル)メチルカルバメート:
メタノール及び水(1:1、300mL)中の6(R)−6−エチル−1,4−ジオキサン−2−オール(50g、378mmol)の攪拌溶液に、メチルアミン塩酸塩(51g、757mmol)及びシアン化ナトリウム(28g、568mmol)を添加した。この溶液を、24時間攪拌した。溶液を、飽和炭酸ナトリウム水溶液(50mL)で、塩基性(pH=9)とした。生成物を、酢酸エチル(3X200mL)中に抽出した。酢酸エチル層を合わせ、食塩水(100mL)で洗浄し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥した。溶媒を、減圧下で除去した。残渣をジクロロメタン(300mL)中に溶解し、この攪拌溶液に、ジ−tert−ブチルジカルボナート(83g、378mmol)を添加した。溶液を室温で18時間攪拌し、次に塩酸(50mL、1M)で酸性化した。有機層を分離し、水(50mL)、及び食塩水溶液(50mL)で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過し、溶媒を減圧下で除去した。シリカゲル(750gカートリッジ)上でのフラッシュクロマトグラフィーにより、5−50% 酢酸エチル(ヘキサン中)勾配を用いて精製して、所望の生成物を得た(Rf=0.5、40% EtOAc/ヘキサン)。
1H NMR(400MHz,CDCl3):δ5.44−5.37(m,1H);3.77(dd,J=10.6,10.5Hz,1H);3.76(dd,J=13.4,6.6Hz,2H);3.61−3.53(m,1H);3.39(ddd,J=14.1,9.5,7.4Hz,1H);2.96(s,3H);1.51−1.47(m,2H),1.48(s,9H);0.97(t,J=7.5Hz,3H).ESMS=273.3(M+1).
工程4:tert−ブチル[(2)−2−アミノ−1−({[(2R)−2−ヒドロキシブチル]オキシ}メチル)−2−(ヒドロキシイミノ)エチル]−メチルカルバメート:
メタノール(80mL)中のtert−ブチル(1−シアノ−2−{[(2)−2−ヒドロキシブチル]オキシ}エチル)メチルカルバメート(5.1g、18.7mmol)の溶液に、50% ヒドロキシルアミン水溶液(1.62mL、26.4mmol)を添加し、混合物を60℃で18時間攪拌した。溶液を減圧下で濃縮し、メタノール(2x50mL)で共沸脱水して、微量のヒドロキシルアミン及び水を除去した。粗生成物を、精製することなく次の工程に使用した:ESMS=306.2(M+1).
工程5:ジメチル(2)−2−{[(1)−1−アミノ−2−[(tert−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ]−3−{[(2R)−2−ヒドロキシブチル]オキシ}プロピリデン)アミノ]オキシ}ブタ−2−エンジオアート
メタノール(100mL)中のtert−ブチル[(2)−2−アミノ−1−({[(2R)−2−ヒドロキシブチル]オキシ}メチル)−2−(ヒドロキシイミノ)エチル]−メチルカルバメート(5.7g、18.7mmol)の攪拌溶液に、窒素下、−20℃で、ジメチルアセチレンジカルボキシラート(2.5mL、20.6mmol)を添加した。反応混合物を、−20℃で2時間攪拌し、次に18時間攪拌しながら室温に温めた。溶媒を、減圧下で除去した。粗生成物を、トルエン(50mL)で共沸脱水させ、精製することなく次の工程に使用した:ESMS=448.2(M+1)
工程6:メチル2−(1−[(tert−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ]−2−{[(2R)−2−ヒドロキシブチル]オキシ}エチル)−5,6−ジヒドロキシピリミジン−4−カルボキシラート
o−キシレン(700mL)中のジメチル(2)−2−{[((1)−1−アミノ−2−[(tert−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ]−3−{[(2R)−2−ヒドロキシブチル]オキシ}プロピリデン)アミノ]オキシ}ブタ−2−エンジオアート(8.4g、18.7mol)の攪拌溶液に、窒素下で、ジイソプロピルエチルアミン(4.9mL、28mmol)を添加した。混合物を、120℃で24時間加熱した。この溶液を冷却し、EtOAc(500mL)、水(100mL)、及び塩酸(30mL、1M)で希釈した。水層を分離し、酢酸エチル(2x100mL)で抽出した。有機層を合わせ、アセトニトリル 50mLで希釈して、粒子状物質を溶解し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、溶媒を減圧下で除去した。粗生成物をエーテル中に溶解し、ヘキサンの添加により生成物を沈殿させた。濾過し、減圧下で乾燥させて、赤色の固体(7.4グラム、95%)を得た:ESMS=416.2(M+1).
工程7:tert−ブチル(1−(4−{[(4−フルオロベンジル)アミノ]カルボニル}−5,6−ジヒドロキシピリミジン−2−イル)−2−{[(2)−2−ヒドロキシブチル]オキシ}エチル)メチルカルバメート
2−プロパノール(160mL)中のメチル2−(1−[(tert−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ]−2−{[(2R)−2−ヒドロキシブチル]オキシ}エチル)−5,6−ジヒドロキシピリミジン−4−カルボキシラート(7.4g、18mmol)の攪拌溶液に、4−フルオロベンジルアミン(8.1mL、71mmol)を添加した。混合物を、60℃で24時間加熱した。溶液を冷却し、溶媒を減圧下で除去した。粗生成物を、酢酸エチル(150mL)中に取り、塩酸水溶液(2x50mL、0.5M)、及び食塩水(50mL)で洗浄した。有機層を分離し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、溶媒を減圧下で除去した。粗生成物を、精製することなく次の工程に使用した:ESMS=509.1(M+1).
工程8:(6S,10S)及び(6S,10R)tert−ブチル((6,10)−6−エチル−2−{[(4−フルオロベンジル)アミノ]カルボニル}−3−ヒドロキシ−4−オキソ−6,7,9,10−テトラヒドロ−4−ピリミド[1,2−][1,4]オキサゼピン−10−イル)メチルカルバメート
tert−ブチル(1−(4−{[(4−フルオロベンジル)アミノ]カルボニル}−5,6−ジヒドロキシピリミジン−2−イル)−2−{[(2)−2−ヒドロキシブチル]オキシ}エチル)メチルカルバメート(7.7g、15mmol)を、無水アセトニトリル(150mL)中に溶解し、窒素下、氷浴中で冷却した。この攪拌溶液に、トリエチルアミン(8.4mL、60mmol)を、続いて塩化メタンスルホニル(3.9mL、50mmol)を添加した。混合物を1時間攪拌し、次に、溶媒を減圧下で除去した。粗生成物を、酢酸エチル(200mL)中に溶解し、塩酸水溶液(50mL、0.5M)、炭酸水素ナトリウム水溶液(50mL)、及び食塩水(50mL)で洗浄した。有機層を、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、濃縮した。残渣を、トルエン(500mL)中で攪拌し、これによりこの物質のほとんどが溶解した。未溶解の固体を濾過し、トルエン(2x100mL)ですすいだ。トルエン溶液を濃縮して、粗トリメシラートを得た:ESMS:m/z=743.1(M+1).
ジメチルアセトアミド(190mL)中のトリメシラート(9.4g、12.6mmol)の攪拌溶液を、窒素ガスでパージした。この溶液を、それぞれが炭酸カリウム(615mg、4.5mmol)を含有する、10個のマイクロウェーブ反応容器に分けた。各反応容器を攪拌し、マイクロウェーブオーブン内で、140℃で7分間加熱した。全10個の反応容器の反応混合物を合わせ、酢酸エチル(400mL)及び水で希釈した。有機層を、塩酸水溶液(2x100mL、0.5M)、食塩水(50mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。粗生成物を、エーテル(700mL)中に懸濁し、18時間攪拌した。黒色の沈殿を、濾過により除去した。濾液溶媒を、減圧下で濃縮し、残渣を、逆相HPLC(C18、エクステラ)により、水:アセトニトリル(0.1% TFA含有)移動相勾配(30−75% アセトニトリル、40分間、85mL/分)を用いて精製した。最初及び2番目に溶出する生成物を含有する分画を、凍結乾燥して、cis及びtransジアステレオマーを、それぞれ、白色のアモルファスな固体として得た:Cisジアステレオマー(6S,10S):1H NMR(399MHz,CDCl3):δ11.80(br.s,1H),7.80(s,1H);7.31(dd,J=8.4,5.3Hz,2H);7.04(t,J=8.4Hz,2H);5.25(br.s,1H);4.62−4.54(m,3H);4.33(m,1H);4.16(dd,J=14.1,5.9Hz,1H);4.08(dd,J=12.2,3.1Hz,1H);4.02(d,J=14.8Hz,1H);2.82−2.75(m,3H);2.17−1.80(m,2H);1.27(m,9H);1.12(t,J=7.4Hz,3H):ESMS:m/z=491.2(M+1).
Transジアステレオマー(6S,10R):1H NMR(400MHz,CDCl3):δ11.90(br.s,1H),7.90−7.60(m,1H);7.33(m,2H);7.04(m,2H);5.50−5.30(m,2H);4.55(m,2H);4.25(m,2H);3.55(d,J=13.3Hz,2H);2.75(m,3H);2.10−1.85(m,2H);1.28(m,9H);0.98(m,3H).ESMS=491.2(M+1)
工程9:(6S,10S)−6−エチル−(4−フルオロベンジル)−3−ヒドロキシ−10−(メチルアミノ)−4−オキソ−6,7,9,10−テトラヒドロ−4−ピリミド[1,2−][1,4]オキサゼピン−2−カルボキサミド塩酸塩
(6S,10S)tert−ブチル((6,10)−6−エチル−2−{[(4−フルオロベンジル)アミノ]カルボニル}−3−ヒドロキシ−4−オキソ−6,7,9,10−テトラヒドロ−4−ピリミド[1,2−][1,4]オキサゼピン−10−イル)メチルカルバメート(1.8g、3.67mmol)を、HCl−ジオキサン(50mL、4M)中に溶解した。3時間後、溶媒を減圧下で濃縮し、次にメタノール及びトルエンで共沸脱水した。粗生成物を、高真空下で乾燥させ、精製することなく次の工程に使用した:
ESMS:m/z=391.2(M+1)
工程10:N−((6S,10S)−6−エチル−2−{[(4−フルオロベンジル)アミノ]カルボニル}−3−ヒドロキシ−4−オキソ−6,7,9,10−テトラヒドロ−4−ピリミド[1,2−d][1,4]オキサゼピン−10−イル)−N,N’,N’−トリメチルエタンジアミド
無水ジクロロメタン(5mL)中の、(6S,10S)6−エチル−(4−フルオロベンジル)−3−ヒドロキシ−10−(メチルアミノ)−4−オキソ−6,7,9,10−テトラヒドロ−4−ピリミド[1,2−][1,4]オキサゼピン−2−カルボキサミド塩酸塩(200mg、0.46mmol)、EDC(99mg、0.51mmol)の攪拌溶液に、窒素下で、HOAT(70mg、0.51mmol)、N,N−ジメチルオキサミン酸(82mg、0.71mmol)、及びN−メチルモルホリン(155uL、1.4mmol)を添加した。反応を、室温で1時間攪拌し、次に1M HCl(5mL)でクエンチした。水層を、ジクロロメタン(3x20mL)で抽出した。有機層を合わせ、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。粗生成物を、逆相HPLC(C18、エクステラ)により、水:アセトニトリル(0.1% TFA含有)移動相勾配(20−70% アセトニトリル、30分間、50mL/分)を用いて精製した。濃縮により、所望の生成物をアモルファスな白色固体として得た:1H NMR(399MHz,CDCl3):δ11.90(br.s,1H);9.62(t,J=6.2Hz,1H);7.37(dd,J=8.4,5.5Hz,2H);6.98(d,J=8.6Hz,2H);5.83(m,1H);4.63(m,1H);4.54(d,J=6.4Hz,2H);4.43(t,J=10.4Hz,1H);4.21(d,J=3.3Hz,2H);4.13(dd,J=11.8,2.8Hz,1H);3.07(s,3H);3.02(s,3H);2.84(s,3H);2.07(m,1H);1.83(m,1H);1.14(t,J=7.3Hz,3H).HRMS:ESI=490.2119(M+1);計算値490.2096(M+1).
化合物5AのI型の結晶化
上記記載のようにして得られ、ジクロロメタン中に溶解された、アモルファスな化合物5Aを、イソプロパノールに溶媒切換えして、イソプロパノール 1mL当たり、化合物5Aを約150−200mg含有する混合物を得た。混合物を次に、60℃に加熱して、褐色の均一な溶液を生成した。熱い溶液を次に、室温に冷却させ、この間に溶液はスラリーを形成した。スラリーを濾過し、得られた結晶を、まずイソプロパノールとn−ヘプタンとの(1:1)混合物で、次にn−ヘプタンで洗浄し、真空下で乾燥させて、化合物5AのI型結晶を得た。
キャラクタリゼーション. I型結晶性化合物5AのXRPDパターンは、PW3050/60コンソールを備えた、フィリップス・アナリティカル・エキスパート・プロX線回折システムで、2から40度までの2θの連続スキャンを使用して生成した。銅Kα1及びKα2照射を、線源として使用した。実験は、周囲条件下で行なった。回折ピーク位置は、2θ値 28.443度をもつシリコンによって参照した。XRPDパターンを、図3に示す。2θ値及び、XRPDパターンにおいて対応する格子面間隔は、以下を包含する:
化合物5Aの結晶型Iを、TAインスツルメンツDSC 2920示差走査熱量計を用いて、閉鎖型アルミニウムパン内で窒素雰囲気下、25℃から350℃まで、10℃/分の加熱速度で分析した。DSC曲線は、142℃の開始温度及び149℃のピーク温度をもつ吸熱を示した。エンタルピー変化は、52J/gであった。吸熱は、融解によるものと考えられる。
結晶性化合物のTGAは、パーキン・エルマー(Perkin Elmer)TGA 7を用いて、窒素下、25℃から300℃まで、10℃/分の加熱速度で実施した。TG曲線は、80℃までの、0.3wt%の重量消失と、溶解時のイソプロパノールの消失による174℃までの0.4wt%の第2の重量消失とを示した。
DSC及びTGAの結果は、結晶型Iが無水物であることを示した。
化合物5AのII型の結晶化
上記記載のようにして得たアモルファスな化合物5Aを、塩化メチレン中に再度溶解し、NaHCO3でpH3に調整した水を用いて分配した。水層を、塩化メチレンで3回抽出した。合わせた有機物質を、Na2SO4上で乾燥し、濾過し、そして減圧下で濃縮した。得られた固体を、熱イソプロパノール中に、70mg/mLの濃度で溶解した。熱い溶液を、徐々に周囲温度に冷却させ、その間に、微細な針が溶液から結晶化した。冷却された結晶化混合物を、一晩熟成させ、濾過、イソプロパノールによる洗浄、及び真空下の乾燥により、結晶化合物を単離した。
キャラクタリゼーション。 II型結晶性化合物5AのXRPDパターンは、PW3050/60コンソールを備えた、フィリップス・アナリティカル・エキスパート・プロX線回折システムで、2から40度までの2θの連続スキャンを使用して生成した。銅Kα1及びKα2照射を、線源として使用した。実験は、周囲条件下で行なった。回折ピーク位置は、2θ値 28.443度をもつシリコンによって参照した。XRPDパターンを、図4に示す。2θ値及び、XRPDパターンにおいて対応する格子面間隔は、以下を包含する:
結晶型IIを、TAインスツルメンツDSC 2920示差走査熱量計を用いて、閉鎖型アルミニウムパン内で窒素雰囲気下、25℃から250℃まで、10℃/分の加熱速度で分析した。DSC曲線は、149℃の開始温度及び155℃のピーク温度をもつ吸熱を示した。エンタルピー変化は、73J/gであった。吸熱は、融解によるものと考えられる。
結晶性化合物のTGAは、パーキン・エルマーTGA 7を用いて、窒素下、25℃から300℃まで、10℃/分の加熱速度で実施した。TG曲線は、126℃までの、0.1wt%の重量消失と、溶解時のイソプロパノールの消失による171℃までの0.1wt%の第2の重量消失とを示した。
DSC及びTGAの結果は、結晶型IIが無水物であることを示した。
実施例5−2
N−((6S,10R)−6−エチル−2−{[(4−フルオロベンジル)アミノ]カルボニル}−3−ヒドロキシ−4−オキソ−6,7,9,10−テトラヒドロ−4H−ピリミド[1,2−d][1,4]オキサゼピン−10−イル)−N,N’,N’−トリメチルエタンジアミド(化合物5B)
実施例5−1、工程9及び10に記載の方法に従い、実施例5−1、工程8からの(6S,10R)tert−ブチル((6,10)−6−エチル−2−{[(4−フルオロベンジル)アミノ]カルボニル}−3−ヒドロキシ−4−オキソ−6,7,9,10−テトラヒドロ−4−ピリミド[1,2−][1,4]オキサゼピン−10−イル)メチルカルバメート異性体を用いて、N−((6S,10R)−6−エチル−2−{[(4−フルオロベンジル)アミノ]カルボニル}−3−ヒドロキシ−4−オキソ−6,7,9,10−テトラヒドロ−4H−ピリミド[1,2−d][1,4]オキサゼピン−10−イル)−N,N’,N’−トリメチルエタンジアミドを得た:
1H NMR(399MHz,CDCl3):δ11.90(br.s,1H);9.82−9.55(m,1H);7.38(dd,J=8.4,5.5Hz,2H);6.98(t,J=8.7Hz,2H);5.82−5.43(m,2H);4.62−4.20(m,4H);3.78−3.52(m,2H);3.06(s,3H);3.01(s,3H);2.87(m,3H);2.13−1.80(m,2H);0.99(t,J=7.5Hz,3H).HRMS:ESI=490.2119(M+1);計算値490.2096(M+1).
実施例5−2A
化合物5A及び5Bの調製のための別法
実施例5−1の工程8で得た粗生成物を、個々のcis及びtransジアステレオマーに分離せず、代わりに、実施例5−1に記載の工程9及び10を、ジアステレオマーの混合物として行なった。工程9では、先に記載のように、混合物をジオキサン中4NのHClで処理した。LC−MSでアッセイされる反応の完了時に、エーテルを添加し、これにより褐色の固体の沈殿を生じた。この固体を、濾過により収集し、2:1 MeOH−水中で攪拌した。不溶性の黄褐色の固体(tan solid)を、濾過により収集し、真空下で乾燥させて、trans:cisジアステレオマーの3:2混合物を得た。この固体を次に、工程10の方法を用いて、N,N−ジメチルオキサミン酸と結合させた。生成物混合物を、キラルパック(ChiralPak)ADカラム上で、0.1% TFA入りのエタノールを移動相として用いて分離した。最初に溶出するピークは、transジアステレオマー(化合物5B)であり、2番目に溶出するピークは、cisジアステレオマー(化合物5A)であった。
実施例5−3
N−((6R,10R)−6−エチル−2−{[(4−フルオロベンジル)アミノ]カルボニル}−3−ヒドロキシ−4−オキソ−6,7,9,10−テトラヒドロ−4H−ピリミド[1,2−d][1,4]オキサゼピン−10−イル)−N,N’,N’−トリメチルエタンジアミド(化合物5C)
(6R,10R)異性体は、実施例5−1に記載の方法を利用し、(S)−1,2−エポキシブタンから出発して合成した。実施例5−1の工程8からの対応するcis中間体(6R,10R)を、工程9及び10のようにさらに仕上げて、所望の生成物を得た。HRMS:ESI=490.2107(M+1);計算値490.2096(M+1).
実施例5−4
N−((6R,10S)−6−エチル−2−{[(4−フルオロベンジル)アミノ]カルボニル}−3−ヒドロキシ−4−オキソ−6,7,9,10−テトラヒドロ−4H−ピリミド[1,2−d][1,4]オキサゼピン−10−イル)−N,N’,N’−トリメチルエタンジアミド(化合物5D)
(6R,10S)異性体は、実施例5−1に記載の方法を利用し、(S)−1,2−エポキシブタンから出発して合成した。実施例5−1の工程8からの対応するtrans中間体(6R,10S)を、工程9及び10のようにさらに仕上げて、所望の生成物を得た。
HRMS:ESI=490.2112(M+1);計算値490.2096(M+1).
実施例6−1
N−エチル−N−((7S,10R)−2−{[(4−フルオロベンジル)アミノ]カルボニル}−3−ヒドロキシ−7−メトキシ−4−オキソ−4,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロピリミド[1,2−a]アゼピン−10−イル)−N’,N’−ジメチルエタンジアミド(化合物6A)
工程1:(2S)−1−(ベンジルオキシ)ヘキサ−5−エン−2−オール
THF(1500mL)中の(2S)−2−[(ベンジルオキシ)メチル]オキシラン(50g、305mmol)の溶液に、0℃で、臭化銅(4.37g、30.5mmol)を添加した。得られた溶液を、0℃で10分間攪拌し、臭化アリルマグネシウム(THF中1M、335mL、335mmol)を添加した。反応を、0℃で2時間攪拌し、次に飽和NH4Cl水溶液で、0℃でクエンチし、DCMで希釈した。混合物を周囲温度で20分間攪拌し、濾過して、不溶性物質を除去した。濾液を、DCM(3x)で抽出し、合わせた有機相を、MgSO4上で乾燥し、濾過し、真空中で濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィーにより、10−40% EtOAc/ヘキサンで溶出して、(2S)−1−(ベンジルオキシ)ヘキサ−5−エン−2−オールを得た。1H NMR(400MHz,CDCl2):δ7.37−7.26(m,5H);5.88−5.74(m,1H);5.08−4.93(m,2H);4.54(s,2H);3.83(s,2H);3.53−3.44(m,1H);3.33(dd,J=9.1,8.2Hz,1H);2.49(s,1H);2.30−2.00(m,2H);1.64−1.39(m,2H).
工程2:({[(2S)−2−メトキシヘキサ−5−エン−1−イル]オキシ}メチル)ベンゼン
DMF(500mL)中の(2S)−1−(ベンジルオキシ)ヘキサ−5−エン−2−オール(71g、344mmol)の攪拌溶液に、0℃で、水素化ナトリウム(16.52g、413mmol)を、30分間にわたり分割添加した。得られた懸濁液を、0℃で15分間、次に周囲温度で15分間攪拌した。混合物を、0℃に冷却し、ヨウ化メチル(43mL、688mmol)を添加した。反応混合物を、周囲温度で一晩攪拌した。混合物を0℃に冷却し、水でクエンチした。混合物を、DCM(3x)で抽出した。有機層を合わせ、水(2x)で洗浄し、MgSO4上で乾燥し、濾過し、真空中で濃縮した。粗残渣を、さらに精製することなく次の反応に使用した。1H NMR(400MHz,CDCl2):δ7.34(s,5H);5.85−5.74(m,1H);5.06−4.89(m,2H);4.55(s,2H);3.49(d,J=4.7Hz,2H);3.41(s,3H);3.37(m,1H);2.16−2.04(m,2H).
工程3:(4S)−5−(ベンジルオキシ)−4−メトキシペンタナール
ジクロロメタン(1800mL)中の({[(2S)−2−メトキシヘキサ−5−エン−1−イル]オキシ}メチル)ベンゼン(40g、182mmol)の、冷却された(初期T=−78℃)の攪拌溶液に、オゾン流を、青色が残存するまで分散させた。この溶液に、透明な無色の溶液が得られるまで窒素をパージした。硫化ジメチル(67.2mL、908mmol)及びトリエチルアミン(76mL、545mmol)を添加した。攪拌された混合物を、60分間にわたり室温に温めた。(湿らせたデンプン−ヨウ化物紙による、過酸化物用の試験は、陰性であった。)混合物を、減圧下で濃縮して、粗標題生成物を得て、これを精製することなく次の工程に使用した。
工程4:tert−ブチル[(4S)−5−(ベンジルオキシ)−1−シアノ−4−メトキシペンチル]エチルカルバメート
ジオキサン(500mL)中の(4S)−5−(ベンジルオキシ)−4−メトキシペンタナール(109g、490mmol)の溶液に、室温で、EtNH2.HCl(60g、736mmol)、NaCN(36g、736mmol)、及びH2O(500mL)を添加した。反応混合物を、2日間攪拌し、次に飽和NaHCO3水溶液で希釈し、EtOAc(3x)で抽出した。合わせた有機層を、Na2SO4上で乾燥し、濾過し、真空中で濃縮した。EtOAc(500mL)中の粗残渣の溶液に、(Boc)2O(107g、492mmol)を添加した。得られた混合物を、40℃で2日間攪拌した。反応混合物を、周囲温度に冷却し、水で希釈し、EtOAc(3x)で抽出した。合わせた有機層を、Na2SO4上で乾燥し、濾過し、真空中で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィーにより、10−40% EtOAc(ヘキサン中)で溶出して、tert−ブチル[(4S)−5−(ベンジルオキシ)−1−シアノ−4−メトキシペンチル]エチルカルバメートを得た。LC−MS:377.4(M+1).
工程5:tert−ブチル{[(4S)−5−(ベンジルオキシ)−1−[(ヒドロキシアミノ)(イミノ)メチル]−4−メトキシペンチル}エチルカルバメート
EtOH(1000mL)中のtert−ブチル[(4S)−5−(ベンジルオキシ)−1−シアノ−4−メトキシペンチル]エチルカルバメート(74g、197mmol)の溶液に、TEA(54.8mL、393mmol)及びNH2OH(水中50%、14.45mL、236mmol)を添加した。得られた溶液を、40℃で一晩攪拌し、次に真空中で濃縮した。残渣を、MeOH中に溶解し、溶媒を減圧下で除去して(3x)、水を除去した。粗残渣を、さらに精製することなく次の反応に使用した。LC−MS:410.5(M+1).
工程6:メチル2−{(4S)−5−(ベンジルオキシ)−1−[(tert−ブトキシカルボニル)(エチル)アミノ]−4−メトキシペンチル}−5−ヒドロキシ−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリミジン−4−カルボキシラート
MeOH(1773ml)中のtert−ブチル{[(4S)−5−(ベンジルオキシ)−1−[(ヒドロキシアミノ)(イミノ)メチル]−4−メトキシペンチル]エチルカルバメート(72.6g、177mmol)の溶液に、0℃で、ジメチルアセチレンジカルボキシラート(26.3mL、213mmol)を添加した。反応混合物を、周囲温度で一晩攪拌し、次に真空中で濃縮した。残渣を、トルエン中に溶解し、真空中で濃縮して(3x)、MeOHを除去した。粗生成物を、精製することなく次の反応に使用した。LC−MS:553.5(M+1).
o−キシレン(500mL)中の前工程からの粗生成物(104g、189mmol)の溶液を、11時間加熱還流し、次に冷却し、真空中で濃縮した。粗残渣を、さらに精製することなく次の工程に使用した。LC−MS:520.5(M+1).
工程7:メチル2−{(4S)−1−[(tert−ブトキシカルボニル)(エチル)アミノ]−5−ヒドロキシ−4−メトキシペンチル}−5−ヒドロキシ−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリミジン−4−カルボキシラート
EtOAc(30mL)及びMeOH(30mL)中のメチル2−{(4S)−5−(ベンジルオキシ)−1−[(tert−ブトキシカルボニル)(エチル)アミノ]−4−メトキシペンチル}−5−ヒドロキシ−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリミジン−4−カルボキシラート(13g、25.02mmol)の溶液に、酢酸(20mL)及び炭素上パラジウム(デグサ(Degussa)、10質量%、13g、122mmol)を添加した。反応混合物を、パール(Parr)装置上で、水素ガス(50psi)下で4日間振盪し、次にセライトのパッドを通して濾過した。フィルターケークを、MeOHで洗浄した。濾液を、真空中で濃縮した。粗残渣を、さらに精製することなく次の反応に使用した。LC−MS:429.89(M+1).
工程8:tert−ブチル エチル[(4S)−1−(4−{[(4−フルオロベンジル)アミノ]カルボニル}−5−ヒドロキシ−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリミジン−2−イル)−5−ヒドロキシ−4−メトキシペンチル]カルバメート
MeOH(1118mL)中のメチル2−{(4S)−1−[(tert−ブトキシカルボニル)(エチル)アミノ]−5−ヒドロキシ−4−メトキシペンチル}−5−ヒドロキシ−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリミジン−4−カルボキシラート(48g、112mmol)の溶液に、4−フルオロ−ベンジルアミン(28g、224mmol)及びトリエチルアミン(31.2mL、224mmol)を添加した。得られた混合物を、密封し、80℃で一晩加熱した。反応混合物を周囲温度に冷却し、10% クエン酸(約100mL)で希釈し、DCM(3x)で抽出した。合わせた有機層を、Na2SO4上で乾燥し、濾過し、真空下で濃縮した。粗残渣を、アセトニトリル中に溶解し、減圧下で濃縮して(3x)、MeOHを除去した。残渣を、高真空下で2日間乾燥させて、精製することなく次の反応に使用した。LC−MS:523.5(M+1).
工程9:2−{(4S)−1−[(tert−ブトキシカルボニル)(エチル)アミノ]4−メトキシ−5−[(メチルスルホニル)オキシ]ペンチル}−6−{[(4−フルオロベンジル)アミノ]カルボニル}ピリミジン−4,5−ジイルジメタンスルホナート
AcCN(500mL)中のtert−ブチル エチル[(4S)−1−(4−{[(4−フルオロベンジル)アミノ]カルボニル}−5−ヒドロキシ−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリミジン−2−イル)−5−ヒドロキシ−4−メトキシペンチル]カルバメート(30g、57.4mmol)の攪拌溶液に、0℃で、TEA(48mL、344mmol)を添加し、続いてDCM(15mL)中のMsCl(22.37mL、287mmol)の溶液を滴下添加した。得られた混合物を、0℃で30分間攪拌し、次にH2O(約100mL)で希釈し、EtOAc(3x)で抽出した。合わせた有機層を、Na2SO4上で乾燥し、濾過し、真空中で濃縮した。粗残渣を、さらに精製することなく次の工程に使用した。LC−MS:757.5(M+1).
工程10:(7S)−10−[(tert−ブトキシカルボニル)(エチル)アミノ]−2−{[(4−フルオロベンジル)アミノ]カルボニル}−7−メトキシ−4−オキソ−4,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロピリミド[1,2−a]アゼピン−3−イルメタンスルホナート
DMF(288mL)中の前工程からのトリメシラート(21.8g、28.8mmol)の溶液に、Cs2CO3(28.2g、86mmol)を添加した。攪拌された反応混合物を、100℃で1時間加熱し、次に0℃に冷却し、MsCl(6.73mL、86mmol)を添加し、混合物を0℃で20分間攪拌した。混合物をDCMで希釈し、不溶性物質を、濾過により除去した。濾液を、真空下で濃縮した。残渣を、水で希釈し、DCM(3x)で抽出した。有機層を合わせ、Na2SO4上で乾燥し、濾過し、真空中で濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィーにより、30−70% EtOAc(ヘキサン中)で溶出した。
最初に溶出するピークは、7,10−trans異性体:(7S,10S)−10−[(tert−ブトキシカルボニル)(エチル)アミノ]−2−{[(4−フルオロベンジル)アミノ]カルボニル}−7−メトキシ−4−オキソ−4,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロピリミド[1,2−a]アゼピン−3−イルメタンスルホナート(1.5g)であった。1H NMR(599MHz,DMSO,50oC):δ8.34(t,J=6.1Hz,1H);7.35(dd,J=8.3,5.5Hz,2H);7.13(t,J=8.7Hz,2H);5.17(d,J=10.0Hz,1H);4.96(d,J=14.0Hz,1H);4.50−4.35(m,2H);3.72−3.61(m,1H);3.49(s,3H);3.60−3.10(m,1H);3.22(s,3H);3.19−3.07(m,2H);2.09(d,J=11.3Hz,2H);2.02−1.93(m,1H);1.91−1.82(m,1H);1.27(s,9H);1.13−1.04(m,3H).
2番目に溶出するピークは、7,10−cis異性体:(7S,10R)−10−[(tert−ブトキシカルボニル)(エチル)アミノ]−2−{[(4−フルオロベンジル)アミノ]カルボニル}−7−メトキシ−4−オキソ−4,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロピリミド[1,2−a]アゼピン−3−イルメタンスルホナート(935mg)であった。1H NMR(599MHz,DMSO,50oC):δ8.44(t,J=6.1Hz,1H);7.35−7.29(m,2H);7.13−7.04(m,2H);5.23(dd,J=15.0,5.7Hz,1H);4.46−4.39(m,1H);4.35(dd,J=15.1,5.9Hz,1H);3.79(d,J=14.9Hz,1H);3.70−3.63(m,1H);3.43(s,3H);3.33−3.28(m,1H);3.18(s,3H);3.13−3.08(m,1H);1.98−1.85(m,3H);1.23(s,9H);1.10−1.04(m,3H).
工程11:(7S,10R)−10−(エチルアミノ)−2−{[(4−フルオロベンジル)アミノ]カルボニル}−7−メトキシ−4−オキソ−4,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロピリミド[1,2−a]アゼピン−3−イルメタンスルホナート
EtOAc(154mL)中の前工程からの2番目に溶出する成分、(7S,10R)−10−[(tert−ブトキシカルボニル)(エチル)アミノ]−2−{[(4−フルオロベンジル)アミノ]カルボニル}−7−メトキシ−4−オキソ−4,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロピリミド[1,2−a]アゼピン−3−イルメタンスルホナート(9g、15.45mmol)の攪拌溶液に、0℃で、HCl(ガス)を5分間バブリングした。反応混合物を、室温で10分間攪拌し、真空中で濃縮した。残渣を、飽和NaHCO3水溶液中で希釈し、DCM(3x)で抽出した。合わせた有機層を、Na2SO4上で乾燥し、濾過し、真空中で濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィーにより、0−7% MeOH(DCM中)で溶出して、(7S,10R)−10−(エチルアミノ)−2−{[(4−フルオロベンジル)アミノ]カルボニル}−7−メトキシ−4−オキソ−4,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロピリミド[1,2−a]アゼピン−3−イルメタンスルホナートを得た。LC−MS:483.4(M+1).1H NMR(599MHz,CDCl3):δ7.84(s,1H);7.32(dd,J=13.0,6.9Hz,2H);7.03(t,J=8.6Hz,2H);5.26(dd,J=14.3,6.9Hz,1H);4.62(dd,J=14.9,6.3Hz,1H);4.52(dd,J=14.9,5.6Hz,1H);4.00(d,J=14.3Hz,1H);3.81(d,J=8.1Hz,1H);3.54(s,3H);3.46(d,J=7.8Hz,1H);3.35(s,3H);2.59(q,J=7.1Hz,2H);2.11−2.03(m,1H);1.95−1.83(m,3H);1.04(t,J=7.1Hz,3H).
工程12:(7S,10R)−10−[[(ジメチルアミノ)(オキソ)アセチル](エチル)アミノ]−2−{[(4−フルオロベンジル)アミノ]カルボニル}−7−メトキシ−4−オキソ−4,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロピリミド[1,2−a]アゼピン−3−イルメタンスルホナート
DCM(100mL)中の(7S,10R)−10−(エチルアミノ)−2−{[(4−フルオロベンジル)アミノ]カルボニル}−7−メトキシ−4−オキソ−4,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロピリミド[1,2−a]アゼピン−3−イルメタンスルホナート(4.8g、9.99mmol)の溶液に、室温で、TEA(8.35mL、59.9mmol)、N,N−ジメチルオキサミン酸(2.34g、19.98mmol)、EDC(5.74g、30mmol)、及びHOAt(4.62g、30mmol)を添加した。得られた混合物を、室温で一晩攪拌し、次いでH2Oで希釈し、DCM(3x)で抽出した。合わせた有機層を、Na2SO4上で乾燥し、濾過し、真空中で濃縮した。ACN(159mL)中の粗生成物(8g、15.89mmol)の溶液に、0℃で、TEA(6.64mL、47.7mmol)及びMsCl(3.64g、31.8mmol)を滴下添加した。反応混合物を、0℃で20分間攪拌し、次に水で希釈し、EtOAc(3x)で抽出した。合わせた有機抽出物を、真空中で濃縮し、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィーにより、0−7% MeOH(DCM中)で溶出して精製し、(7S,10R)−10−[[(ジメチルアミノ)(オキソ)アセチル](エチル)アミノ]2−{[(4−フルオロベンジル)アミノ]カルボニル}−7−メトキシ−4−オキソ−4,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロピリミド[1,2−a]アゼピン−3−イルメタンスルホナートを得た。LC−MS:582.5(M+1).
工程13:N−エチル−N−((7S,10R)−2−{[(4−フルオロベンジル)アミノ]カルボニル}−3−ヒドロキシ−7−メトキシ−4−オキソ−4,6,7,8,9,10−へキサヒドロピリミド[1,2−a]アゼピン−10−イル)−N’,N’−ジメチルエタンジアミド(化合物6A)
2−プロパノール(17mL)中の(7S,10R)−10−[[(ジメチルアミノ)(オキソ)アセチル](エチル)アミノ]−2−{[(4−フルオロベンジル)アミノ]カルボニル}−7−メトキシ−4−オキソ−4,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロピリミド[1,2−a]アゼピン−3−イルメタンスルホナート(1g、1.72mmol)の攪拌溶液に、2M NaOH(2.58mL、5.16mmol)を添加した。得られた混合物を、周囲温度で30分間攪拌し、HCl(1M、5.16mL、5.16mmol)でクエンチし、EtOAc(3x)で抽出した。3つの追加の反応を、同じスケールで、並行して実施した。全4つの反応からの合わせた有機層を、Na2SO4上で乾燥し、濾過し、真空中で濃縮した。残渣を、逆相HPLC(C18サンファイア(Sunfire)カラム)により、水/アセトニトリル移動相勾配(0.5% TFA含有)を用いて、又は水からの沈殿により精製して、N−エチル−N−((7S,10R)−2−{[(4−フルオロベンジル)アミノ]カルボニル}−3−ヒドロキシ−7−メトキシ−4−オキソ−4,6,7,8,9,10−へキサヒドロピリミド[1,2−a]アゼピン−10−イル)−N’,N’−ジメチルエタンジアミドを得た。LC−MS:504.5(M+1).1H NMR(599MHz,DMSO,50oC):δ11.89(s,1H);9.45(s,1H);7.37−7.30(m,2H);7.14−7.08(m,2H);5.22(dd,J=15.0,5.4Hz,1H);4.93(bs,1H);4.50−4.42(m,2H);3.71−3.66(m,2H);2.92(s,3H);2.88(s,3H);2.05−1.99(m,1H);1.97−1.86(m,2H);1.08(t,J=7.1Hz,3H).LC−MS:HRMS:計算値:504.2253,実測値:504.2273.
化合物6Aの再結晶化
すぐ上に記した工程13に記載された方法において(すなわち、逆相HPLCによる精製の前)、有機層の濃縮によって得られた残留油性物質を、最小量の温かい無水メタノール中に溶解した。得られた溶液を、−10℃で保持したフリーザー内に数日間置き、次いで徐々に周囲温度に温めた。それによって得られた微細な結晶性の針を、濾過により単離し、無水メタノールで洗浄し、真空中で乾燥させた。
キャラクタリゼーション。 結晶性化合物6AのXRPDパターンは、PW3050/60コンソールを備えた、フィリップス・アナリティカル・エキスパート・プロX線回折システムで、4から40度までの2θの連続スキャンを使用して生成した。銅Kα1及びKα2照射を、線源として使用した。実験は、周囲条件下で行なった。回折ピーク位置は、2θ値 28.443度をもつシリコンによって参照した。XRPDパターンを、図5に示す。2θ値及び、XRPDパターンにおいて対応する格子面間隔は、以下を包含する:
結晶性化合物6Aもまた、TAインスツルメンツDSC Q1000示差走査熱量計を用いて、開放型アルミニウムパン内で窒素雰囲気下、25℃から350℃まで、10℃/分の加熱速度で分析した。DSC曲線は、170℃の開始温度及び173℃のピーク温度をもつ吸熱を示した。エンタルピー変化は、84J/gであった。吸熱は、融解によるものと考えられる。
結晶性化合物のTGAは、TAインスツルメンツTGA Q500を用いて、窒素下、25℃から350℃まで、10℃/分の加熱速度で実施した。TG曲線は、100℃までの、0.05wt%の重量消失を示し、水和物の水及び溶媒和物の溶媒がないことを示した。
実施例6−2
N−エチル−N−((7S,10S)−2−{[(4−フルオロベンジル)アミノ]カルボニル}−3−ヒドロキシ−7−メトキシ−4−オキソ−4,6,7,8,9,10−へキサヒドロピリミド[1,2−a]アゼピン−10−イル)−N’,N’−ジメチルエタンジアミド(化合物6B)
標題化合物は、実施例6−1の工程10で、最初に溶出するピークから、実施例6−1の工程11−13に示した方法を使用して調製した。1H NMR(599MHz,DMSO,50oC):δ12.45−11.65(m,1H);9.47(s,1H);7.39−7.31(m,2H);7.18−7.09(m,2H);5.05(bs,1H);4.94(d,J=13.9Hz,1H);4.51−4.42(m,2H);3.58(dd,J=16.6,11.1Hz,1H);3.44−3.26(s,3H);3.34−3.26(m,3H);3.19(t,J=9.7Hz,1H);2.95(s,3H);2.91(s,3H);2.30(d,J=13.7Hz,1H);2.23−2.18(m,1H);2.11(d,J=13.3Hz,1H);1.85−1.77(m,1H);1.10(t,J=7.1Hz,3H).LC−MS:HRMS:計算値:504.2253.実測値:504.2271.
実施例7
HIV−1インテグラーゼアッセイ:組換えインテグラーゼにより触媒される鎖転移(strand transfer)
インテグラーゼの鎖転移活性についてのアッセイは、組換えインテグラーゼに関するWO02/30930に従って行なった。本発明の代表的な化合物は、このアッセイにおいて、鎖転移活性の阻害を示す。例えば、実施例1ないし5で調製された化合物を、インテグラーゼアッセイにおいて試験して、表7のIC50値をもつことが判明した。(化合物6A及び6Bは、このアッセイでは試験されなかった。)
組立て済みの複合体を使用したアッセイの実施についてのさらなる記載は、ウォルフェ(Wolfe,A.L.)ら著、「J.Virol.」、1996年、第70巻、p.1424−1432;ハツダ(Hazuda)ら著、「J.Virol.」、1997年、第71巻、p.7005−7011;ハツダ(Hazuda)ら著、「Drug Design and Discovery」、1997年、第15巻、p.17−24;及びハツダ(Hazuda)ら著、「Science」、2000年、第287巻、p.646−650に見られる。
実施例8
HIV−1複製の阻害に関するアッセイ
Tリンパ球細胞の急性HIV−1感染の阻害に関するアッセイは、ヴァッカ(Vacca,JP.)ら著、「Proc.Natl.Acad.Sci.USA」、1994年、第91巻、p.4096に従って実施した。本発明の代表的な化合物は、このアッセイ(本明細書において「スプレッドアッセイ」とも称される)において、HIV複製の阻害を示す。例えば、実施例1ないし6の化合物を、このアッセイにおいて試験して、表8のIC95値をもつことが判明した。
実施例9
HIVインテグラーゼ突然変異体ウイルス複製の阻害に関するアッセイ
急性HIV感染の阻害を、ヒーラ(HeLa)P4−2細胞を用いて単サイクルの感染力アッセイで測定するためのアッセイは、ジョイス(Joyce)ら著、「J.Biol.Chem.」、2002年、第277巻、p.45811、ハツダ(Hazuda)ら著、「Science」、2000年、第287巻、p.646、及びキンプトン(Kimpton)ら著、「J.Virol.」、1992年、第66巻、p.2232に記載された方法を用いて実施した。インテグラーゼ遺伝子中に特異的な突然変異(N155H、Q148R、Y143R、E92Q、又はG140S/Q148H)を含有するウイルスをコードしたプロウイルスプラスミドは、部位特異的突然変異誘発によって発生させ、適当なプロウイルスプラスミドを293T細胞にトランスフェクトすることにより、ウイルスを産生した。本発明の代表的な化合物は、突然変異アッセイにおいて、HIV複製の阻害を示す。例えば、実施例1ないし6の化合物は、これらのアッセイにおいて、表9に示したIC50値をもつことが判明した。
実施例10
細胞毒性
細胞毒性は、スプレッドアッセイにおいて、各ウェル中の細胞の顕微鏡検査によって測定し、これにおいて、訓練された分析者が、各培養物について、以下の任意の形態学的変化をコントロールの培養物と比較して観察した:pH不均衡、細胞異常、細胞増殖抑制、細胞変性、又は結晶化(すなわち、化合物が可溶性ではない、又はウェル内で結晶を形成する)。所与の化合物に割り当てられた毒性値は、上記の変化の1つが観察される、化合物の最低濃度である。スプレッドアッセイで試験された本発明の代表的な化合物(実施例8参照)は、細胞毒性について、0.5マイクロモルの濃度まで試験し、何らの細胞毒性も示さなかった。特に、実施例1ないし6に示した化合物は、0.5マイクロモルまでの濃度で、何らの細胞毒性も示さなかった。
実施例11
化合物4Aの調製
工程1:プロパルギル化反応
熱電対、窒素流、冷却浴、及びオーバーヘッドスタラーを具備した100L容器に、固体のt−BuOK(7.40kg、65.9mol)及びTHF(44L)を装入した。このスラリーを、全ての固体が溶解されるまで、周囲温度で攪拌した。アセトン/ドライアイス浴を用いて、溶液を約−20℃に冷却した。ソルケタル(9.58kg、72.5mol)を、内部温度を−10℃未満に維持しながら、徐々に添加した。反応混合物を、約−20℃で45分間熟成させた後、臭化プロパルギル(7.31L、トルエン中80%溶液)を、内部温度を−10℃未満に維持しながら、190分間にわたり徐々に添加した。臭化プロパルギルの添加後、反応混合物を約−25℃で1時間熟成させた。次に、アセトンを浴から排出させ、反応混合物を一晩で、徐々に周囲温度に温めた。反応は、TLC及びGCによって証明される場合、周囲温度での一晩の熟成後完了していた。この反応混合物に、水(24.5L)及び飽和NaHCO3水溶液(24.5L)を添加した。溶液を、170Lの抽出器に移し、酢酸エチル(2x24.5L)で抽出した。合わせた有機層を、追加の水(2x24.5L)及び食塩水(1x24.5L)で洗浄した;(注:水洗浄では相分離が遅かったため、各洗浄に追加の食塩水(8.0L)を使用して、相の分離のスピードアップに役立てた)。溶液を真空下で濃縮して、所望のプロパルギル化された生成物を、粗油として得た。この物質を、さらに精製することなく次の工程に使用した。
工程2:ソルケタル(solketal)の脱保護
熱電対、窒素流、及びオーバーヘッドスタラーを具備した100L容器に、工程1の粗プロパルギル化化合物(10.7kg)、MTBE(10.7L)、水(32.1L)、及び5.0N HCl(1.26L)を装入した。反応は、GC及びTLC(30% EtOAc/ヘキサン)によって証明される場合、周囲温度で6時間の熟成後に完了していた。反応完了後、追加のMTBE(16.1L)を添加して、全26.8Lとした。周囲温度で1時間の熟成後、溶液を100Lの抽出器に移し、層を分離した。有機層を、追加の水(1x32.1L)で抽出した。合わせた水層のpHを、固体のK3PO4(1.0kg)を用いて、pH=1.2からpH=6.9に調整した。所望のジオールの、GCによるアッセイ収率は、6.96kg(85%)であった。
工程3:アルデヒド生成
熱電対、窒素入口、冷却浴、及びオーバーヘッドスタラーを具備した100L容器に、工程2で調製されたジオール(3.42kg、26.3mol)の水溶液(pH約7)を装入した。溶液を約10℃に冷却し、この冷却された溶液に、NaIO4(8.43kg、39.4mol)を、4回に分けて添加した。NaIO4の添加後、反応混合物を徐々に周囲温度に温めた。反応は、TLC(30% EtOAc/ヘキサン)及びGC(出発ジオールの<1A%)によって証明される場合、周囲温度で2時間後に完了していた。濾過に先立ち、スラリーを約5℃に冷却し、1時間熟成させた。スラリーを濾過し、ケークを水(1x3.4L)ですすいだ。得られたアルデヒドの溶液を、直接次の工程に使用した。
工程4:シアノヒドリン生成
熱電対、窒素入口、冷却浴、2つの添加漏斗、及びオーバーヘッドスタラーを具備した100L容器に、工程3からのアルデヒド(2.25kg、22.94mol)の水溶液(約pH4)を装入し、溶液を約6℃に冷却した。冷却溶液に、酢酸(2.76L、48.2mol)と、KCN(2.99kg、45.9mol)の水溶液8.0Lとを、内部温度を15℃未満に保持しながら同時に添加した。酢酸及びKCN水溶液の添加後、反応混合物を周囲温度に温め、熟成させた。反応は、TLC(50% EtOAc/ヘキサン)及びGC(出発アルデヒドの1A%)によって証明される場合、周囲温度で1時間の熟成後に完了していた。反応混合物を、約10℃に冷却し、飽和NaHCO3(11.5L)で徐々にクエンチした。添加の後、バッチを周囲温度に温め、1時間熟成させた。溶液を、100Lの抽出器に移し、酢酸エチル(2x12L)で抽出した。合わせた有機層を、25% 食塩水(6x12L)で洗浄した。得られたシアノヒドリン溶液を、直接次の工程に使用した。
工程5:シリル化反応
熱電対、蒸気浴、及びオーバーヘッドスタラーを具備した100L容器内で、工程4のシアノヒドリンの酢酸エチル溶液(前工程で収率100%と仮定したときのシアノヒドリンの理論量、2.87kg)を、真空下で濃縮し、追加の酢酸エチル(54L)でフラッシュして、最終体積を30Lとした。濃縮後、蒸気浴を冷却浴に置き換え、窒素入口を取り付けた。溶液を約5℃に冷却し、この冷却溶液に、TBS−Cl(3.63kg、24.08mol)を一度に添加した。次いで、イミダゾールを2回に分けて添加した(約8℃の発熱が見られた)。バッチを、一晩で徐々に周囲温度に温めた。反応は、GC及びTLC(30% EtOAc/ヘキサン)によって証明される場合、周囲温度で一晩の熟成後に完了していた。反応を、水(6.0L)で徐々にクエンチし、100Lの抽出器に移した。全量を15.0Lとするための、追加の水(9.0L)を、続いて酢酸エチル(6.0L)を添加した。層を分離し、有機層を、飽和Na2CO3(1x15L)及び水(2x15L)で洗浄した。得られた所望のシリルオキシニトリルは、GCにより測定される場合、4.74kg(85.8%)のアッセイ収率で得られた。
第2のバッチは、シアノヒドリン 2.95kgを用いて行ない、所望のシリルオキシニトリルを、4.79kg(86.3%)のアッセイ収率で得た。
工程6:アミドキシム調製
100Lフラスコに、オーバーヘッドスタラー、熱電対、インラインフィルタを備えたインレットライン、及びバッチ濃縮機を装備した。シリル化ヒドロキシニトリルを、前工程からの酢酸エチル中の溶液(37.1mol;全体積59.7リットル)として装入した。濃縮の間に、メタノール(60L)を添加し、バッチを体積約9Lまで濃縮した(NMRによる酢酸エチル含有量約1.5%)。メタノール(17.8L)を添加した。バッチ濃縮機を除去し、凝縮器及び窒素入口で置き換えた。ヒドロキシルアミンの溶液(水中50%、2.96L、48.3mol、1.3当量)を、開始内部温度18℃で、1時間にわたり添加した。添加の完了時に、反応温度は39℃に上昇した。攪拌を30分間継続し、続いて50℃で90分間加熱した。反応混合物を、MTBE(71L)及び水(44L)を含有する、170Lの抽出器に移し入れた。分配に続き、有機層を水で2回(各44L)洗浄した。1回目の水相へのロス=0.29%(pH=8)、2回目の水相へのロス=0.07%(pH=7)、3回目の水相へのロス=0.08%(pH=6)。有機層中のアミドキシム生成物のアッセイ収率は、HPLCにより測定された場合、10.05kg(99%)であった。この溶液を、直接次の反応に使用した。
工程7:DMAD付加物形成
熱電対、蒸気浴、及びオーバーヘッドスタラーを具備した100L容器に、MTBE中のアミドキシム(9.86kg(アッセイ)、36.2mol)の溶液を装入し、真空下で濃縮し、追加のMTBE(54.0L)でフラッシュして、未希釈のアミドキシム生成物を液体として得た。濃縮後、蒸気浴を冷却浴で置き換え、窒素入口を取り付けた。未希釈のアミドキシムに、キシレン(29.6L)及びDABCO(41g、0.362mol、0.01当量)を添加し、アセトン/ドライアイス浴を用いて、溶液を約−20℃に冷却した。冷却された溶液に、DMAD(5.14kg)を、キシレン(19.7L)中の溶液として、バッチ温度を−10℃未満に維持しながら徐々に添加した。約−10℃で1時間の熟成後、出発アミドキシムの3.6A%が残留していたため、追加のDMAD(0.05当量=257g)を、未希釈で添加した(全5.40kgのDMAD、38.0mol、1.05当量)。反応は、HPLCによって証明される場合、約−10℃でさらに1時間の熟成後に完了していた。バッチを、約−5℃に温め、1% H3PO4(30L)で徐々にクエンチした。1時間の熟成後、バッチを100Lの抽出器に移し、層を分離し、有機層を水(2x40L)で洗浄した。得られた所望のDMAD付加物は、1:5.2の割合で、所望の異性体を優先して、15.0kg(100%)のアッセイ収率で得られた。HPLCは、水洗浄中に何ら検出可能な生成物のロスがないことを示した。
工程8:環化反応
熱電対、窒素流、加熱マントル、添加漏斗、蒸留装置、及びオーバーヘッドスタラーを具備した、100L容器に、o−キシレン(30L)を装入した。o−キシレンを、135℃に加熱した。熱o−キシレン溶液に、DMAD付加物を、キシレン中の溶液として(溶液30kg=付加物7.5kg、18.09mol)、内部温度を125℃より高温に維持しながら、添加漏斗により添加した。反応は、HPLCによって証明される場合、約137℃で2時間の熟成後に完了していた。加熱を止め、バッチを徐々に周囲温度に冷却させた。約80℃で、ダルコ(Darco)KB−Gチャコール(2.1kg、30wt%)を添加し、周囲温度まで一晩冷却を継続した。溶液を、ソルカフロック(Solka Floc)を通して濾過し、ケークをo−キシレン(1x15L)ですすいだ。溶液を170Lの抽出器に移し、この溶液に水(37.5L)、ヘプタン(37.5L)及びトリエチルアミン(7.6L、54.3mol、3.0当量)を添加した。層を分離し、有機層を水(1x22.5L)で逆抽出した。合わせた水層を、次にMTBE(1x22.5L)で洗浄した。水層(pH=10.2)を、MTBE(37.5L)で希釈し、85% リン酸(2.0L)でpH=3.9まで酸性化した。層を分離し、水層をMTBE(1x22.5L)で逆抽出した。水層には、何ら有意なロスはなかった(<1%)。有機溶液を、真空下で濃縮し、追加のMTBE(72.0L)でフラッシュして、最終体積を約22.0Lとした。溶液を約53℃に加熱して、全ての固体を溶解し、この熱溶液に、ヘプタン(60.0L)を徐々に添加した。ヘプタンの添加後、スラリーを一晩で徐々に周囲温度冷却した。濾過に先立ち、スラリーを、氷/水で約5℃に冷却し、かつ1時間熟成させた。スラリーを濾過し、ケークを、MTBE:ヘプタンの1:3混合物(1x16.0L)、及びヘプタン(1x16.0L)でスラリー洗浄した。ケークを、フィルターポット内で窒素スウィープ及び高真空下、周囲温度で、週末の間乾燥させた。結果として所望のピリミジノンを、3.80kg(54.9%)、95.6wt%及び97.3 LCAPで得た。HPLCは、約4.2%の生成物のロスを、母液及び洗浄液中に示した。第2のバッチは、7.5kg(30kg溶液)のDMAD付加物を用いて行ない、所望のピリミジノン4.06kg(58.7%)を、94.7wt%及び97.9LCAPで得た。
工程9:ヒドロアミノ化
触媒の調製:オーバーヘッドスタラーを備えた5Lの3口RBフラスコに、AuCl(63.9g、0.275mol)及びDCM(2.75L)を装入した。攪拌された懸濁液に、t−ブチル−Xphos(すなわち、2−ジ−tert−ブチルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル)(117g、0.275mol)を一度に添加した。混合物を、1時間激しく攪拌して、触媒溶液を生成した。
Ag塩溶液の調製:磁気攪拌子を入れた8Lのガラスボトルに、AgSbF6(118g、0.343mol)及びDCE(4.3L)を装入した。この混合物を、30分間攪拌した。
反応:熱電対、オーバーヘッドスタラー、蒸気浴、冷却水付き凝縮器、及び窒素スウィープを具備した100Lフラスコに、DCM(63L)及びピリミジノン(3.66kg、3.5kg(アッセイ)、9.15mol)を装入した。この溶液に、触媒溶液(2.75L、0.275mol)を、続いてAgSbF6溶液(4.3L、0.343mol)を、室温で添加した。反応混合物を、40℃に加熱し、40℃で5時間熟成した。反応を、HPLCによりモニターして、出発物質が完全に消費されたことを確認した。室温に冷却後、フラスコをバッチ濃縮機に取り付けた。混合物を、真空中(約11℃、22水銀柱インチ)で濃縮した。溶媒混合物約55Lの蒸留後、混合物をMeOHに溶媒切換えした(全24LのMeOHを使用、最終体積は約14L)。生成物のMeOH溶液(7員環対8員環の比 40:1)を、次の工程にそのまま使用した。
工程10:TBS脱保護
前反応からの、MeOH(約14L)中の出発物質(約3.5kg、約9.15mol)の溶液を、オーバーヘッドスタラー、熱電対、蒸気浴、及び冷却水付き凝縮器を具備した50LRBフラスコに入れた。混合物に、濃HCl(83mL、1.01mol)を室温で添加した。混合物を45℃に加熱し、45℃で6時間熟成した。反応の過程で、生成物が沈殿してスラリーを形成した。6時間後、加熱を停止した。混合物を、周囲温度で一晩攪拌した。反応を、HPLCによりモニターして、出発物質が消費されたこと(99%変換)を確認した。次いで混合物に、IPA(6L)を滴下添加した。混合物を、室温で3時間熟成した。固体を濾過し、MeOH−IPA(3:1、4L)ですすぎ、次にN2流で乾燥させて、生成物(2.29kg(正味)、2.20kg(アッセイ)、8.20mol、90%(2工程で単離された収率))を、オフホワイトの固体として得た。
工程11:アミド生成
オーバーヘッドスタラー、熱電対、及び冷却水付き凝縮器を備えた、30LRBジャケット付きシリンダー型容器に、出発物質エステル(2.12kg(アッセイ)、7.89mol)、MeOH(11L)、3−メチル−4−フルオロベンジルアミン(1.428kg、10.26mol)、及びTEA(1.198kg、11.84mol)を順次装入した。混合物を、55〜57℃で一晩(約21時間)加熱した。反応を、HPLCによりモニターして、出発物質が消費されたこと(98%変換)を確認した。次に混合物を、インラインフィルタ(孔サイズ 1μm)を通して熱時濾過し(約55℃)、沈殿を、オーバーヘッドスタラー、熱電対、及び蒸気浴を備えた50LRBフラスコに移し入れた。混合物を、38℃から45℃に再び加熱した。次に、酢酸(0.904L)を滴下添加した。混合物を室温に冷却し、この間に水(9L)を、1.5時間にわたり滴下添加して、生成物を結晶化させた。混合物をさらに室温に冷却した。固体を濾過し、MeOH−H2O(3:2、7L)ですすぎ、次にN2流で乾燥させて、アミド(2.88kg(正味)、2.79kg(アッセイ)、7.43mol、94%(単離された収率))を、オフホワイトの固体として得た。
工程12:ベンゼンスルホニル保護
50L4口フラスコに、オーバーヘッドスタラー、熱電対、添加漏斗、及び窒素入口を装備し、続いてアルコール基質(2.698kg、6.96mol)を装入した。DMF(8.1L)を添加した。得られた懸濁液を、21℃の内部温度で攪拌、固体リン酸カリウム(4.43kg、20.9mol、3当量)を、5分間にわたり、窒素テントを用いて添加して、リン酸塩を無水の固体として維持した。添加の間に、内部温度は27℃に上昇した。反応混合物を、ドライアイス/アセトン浴を用いて−10℃に冷却した。−10℃に達すれば、塩化ベンゼンスルホニル(897mL)を、添加全体を通じて−7℃の内部温度を維持しながら、1時間にわたり滴下添加した。添加完了後、反応を20分間攪拌した。HPLC分析は、生成物について92、出発物質について5、及びビススルホニル化された副産物について1のLCAPを示す。追加の塩化ベンゼンスルホニル(44mL、全7.30mol、1.05当量)の装入を行ない、攪拌を40分間継続した。HPLC分析により、反応が完了したことが判定された。反応を、1N H3PO4 48L及びジクロロメタン 10Lを含有する、100Lの抽出器に移し入れた。追加のジクロロメタン(14.3L)を用いて、反応容器からの移動を完了させた。分配の後、水相のpHは7であった。有機層を、水(3x48L)で洗浄した。50Lフラスコに、熱電対、0.45ミクロンのインラインフィルタを備えた入口、オーバーヘッドスタラー、及びバッチ濃縮機を装備した。ジクロロメタン溶液を、フィルタラインを通してフラスコ内へ入れ、約7Lが残るまでバッチ濃縮を実施した。メタノール(10.8L)を添加し、約10Lのメタノールが残るまでバッチ濃縮を継続した。溶液を攪拌しながら、接種を実施した。穏やかな発熱(最高温度=27℃)が起こり、結晶化が進行する間に、攪拌を90分間継続した。氷水浴を使用して、バッチを5℃に冷却した。バッチを12℃に温めながら、一晩(14時間)攪拌した。HPLC分析は、母液のロスについて、3.3%を示した。バッチを氷水浴で5℃に冷却し、バッチを濾過した。ケークを、冷(5℃)メタノール 3.5Lで洗浄した。母液及びケーク洗浄液を、ロスについて分析した(母液で2.1%、ケーク洗浄液で0.64%)。ケークを、窒素テント下で、真空を72時間適用して乾燥させた。3.60kg(94%)を、オフホワイトの固体として回収した。NMR分析は、メタノール溶媒和物が生成されていることを示す(約0.9当量のメタノールが存在する)。
1H−NMR(CDCl3,400MHz)1.05(1H;br s);2.27(s,3H);3.49(s,2.9メタノール溶媒和物);3.63−3.66(m,1H);3.98−4.06(m,2H);4.18(m,1H);4.24−4.27(d,1H);4.55(m,2H);4.87−4.92(m,1H);5.57(s,1H);5.93(s,1H);6.94−6.99(t,1HJ=8.8Hz);7.11−7.15(m,1H);7.18−7.20(d,1HJ=7.2);7.42(m,1H);7.55−7.59(t,2HJ=7.9Hz);7.68−7.72(t,1HJ=7.4Hz);8.07−8.09(d,2HJ=7.9Hz).
工程13:不斉水素化
O2<5ppmの、窒素でパージされたグローブボックス内で、ビス(ノルボルナジエン)ロジウム(I)テトラヒドロボラート(6.24g、16.68mmol)、(+)−1,2−ビス((2R,5R)−2,5−ジイソプロピルホスホラノ)−ベンゼン((R,R)−iPr−DuPhos)(7.33g、17.52mmol)、及びジクロロメタン(85mL)を、250mLの丸底フラスコに添加した。触媒混合物を、1時間攪拌し、カニューラで150mLのステンレススチール容器に移し、続いてジクロロメタン 15mLですすいだ。メタノール 100mLを、第2の150mLのステンレススチール容器に添加し、触媒装入装置を密閉し、グローブボックスから取り出した。
出発物質(1.72kg、3.34mol)の溶液を、ジクロロメタン 8.5L中に調製し、10ガロンの攪拌式オートクレーブ内に、真空によって引き込んだ。メタノール 8.5Lを、同じ方法でオートクレーブに装入し、触媒装入アセンブリを、フレキシブルチューブによって取り付けた。オートクレーブを、3回の窒素/真空パージによって不活性化し、部分真空下に置いた。触媒溶液をオートクレーブに引き込み、続いてメタノールですすいだ。オートクレーブを3回の水素パージに供し、25℃に自動調温し、水素ガスを100psigまで加圧した。反応混合物を、600rpmで18時間激しく攪拌した。HPLC分析により、所望の生成物への>99%の変換を、96%のee及び約1:1のdrと共に確認した。得られた生成物のスラリーを、直接次の工程に使用した。
ジアステレオマーの1:1混合物の1H−NMR(CDCl3,400MHz):8.02−8.09(m,4H),7.79(t,J=5.9Hz,1H),7.67−7.74(m,2H),7.53−7.62(m,4H),7.47(t,J=5.7Hz,1H),7.06−7.19(m,4H),6.94(td,J=9.2,4.3Hz,2H),5.32−5.40(m,1H),5.01−5.09(m,1H),4.92(dd,J=10.3,3.6Hz,1H),4.84(d,J=3.1Hz,1H),4.44−4.52(m,3H),4.37(dd,J=14.7,5.8Hz,1H),4.18(dt,J=12.5,3.8Hz,2H),4.13(dd,J=14.0,3.8Hz,1H),4.05(dd,J=13.8,3.6Hz,1H),3.65−3.73(m,2H),3.59(d,J=13.7Hz,1H),3.41(dd,J=12.1,8.9Hz,1H),3.15(br s,2H),2.26(s,6H),1.62(d,J=7.1Hz,3H),1.48(d,J=7.3Hz,3H).
工程14:メシル化
先行の水素化の工程からの2つのバッチを、ジクロロメタン約50Lと一緒に合わせた(全アッセイ 3.13kg、6.05mol)。得られた透明な溶液を、100Lの丸底フラスコ内で、2−メチルテトラヒドロフラン 115Lを用いて濃縮し、HNMRにより、出発物質に対し4mol%まで、MeOHのレベルを減少させた。濃縮された溶液の最終体積は、約20Lであった。この溶液を、氷浴中で+3℃に冷却した。薄い懸濁液を生成した。TEA(1.26L、9.07mol)を、約5分間にわたり添加した(+2ないし+4℃の発熱)。MsCl(0.566L、7.26mol)を、1時間にわたり+10℃で添加した。1時間後、反応は完了し、混合物を水 2Lでクエンチした(+5ないし+7℃の発熱)。1M H3PO4水溶液(9.4L)を添加した。混合物を、100Lの抽出器に移し入れ、Me−THF 15.5Lですすいだ。追加の水 22Lを添加し、相を分離した。有機層を、水 31Lで洗浄した。有機層は、3.57kg(アッセイ)(99%)の生成物を含有しており、次の工程に直接使用した。
ジアステレオマーの1:1混合物の1H−NMR(CDCl3,400MHz):8.49(t,J=6.2Hz,1H),7.99−8.08(m,4H),7.76(t,J=6.0Hz,1H),7.65−7.72(m,2H),7.50−7.58(m,4H),7.04−7.17(m,4H),6.89−6.96(m,2H),5.75(dd,J=10.0,3.1Hz,1H),5.64(d,J=3.3Hz,1H),5.37−5.47(m,1H),5.08−5.18(m,1H),4.32−4.49(m,5H),4.21(dd,J=12.1,3.1Hz,1H),4.13(dd,J=14.1,3.4Hz,1H),4.06(dd,J=13.9,3.7Hz,1H),3.16(s,3H),3.11(s,3H),2.24(s,6H),1.56(d,J=7.1Hz,3H),1.48(d,J=7.3Hz,3H).
工程15:メシラート置換
前工程からのメシラートの溶液(約1:1 dr、3.45kg、5.79mol)を、75L RBフラスコ内で、2−メチルテトラヒドロフラン 35Lで濃縮して、体積6.9Lとした。MeOH(24L)を添加した(H−NMRによる、MeOH/MeTHFは13:1のモル比)。得られたスラリーを、−15℃に冷却した。EtOH中33%のMeNH2溶液(7.2L、57.9mol)を、−15℃未満で1時間にわたり添加した。スラリーを、−10ないし−8℃で7時間、次に+14℃で15時間攪拌した。得られた透明な溶液を、MeOH 17.2Lで、約10Lの体積に濃縮し、氷水浴中で冷却し、水 3.5L及びMTBE 6.9Lで処理した。1M H3PO4水溶液(23.2L)を、+22℃未満で添加した。混合物を、100Lのシリンダー型容器に移し入れ、MTBE 24L及び水 4Lと合わせた。層を分離し、水相を、MTBE 31Lで再抽出した。水相を、ジクロロメタン 31Lと合わせ、5M KOH水溶液 4.3LでpH5−6に中和した(2.04kg(アッセイ)、又はジクロロメタン層中90%収率の遊離塩基、98:2 dr)。ジクロロメタン相を、75Lのフラスコ内で、MeOH 20Lで、約13.5Lの体積に濃縮した。得られた微細なスラリーを濾過して、ラセミ生成物 125gを除去し、ケークを、MeOH 2.3Lで洗浄した。濾液を、MeOH 2.3Lを用いて、75Lフラスコ内へ移し戻した。MeOH 3.4L中の0.638kgの(−)−ショウノウ酸(3.19mol)の溶液を、18ないし21℃で、1時間にわたり添加し、混合物を接種した。追加のMeOH 1.1Lを添加し、+20℃で攪拌を3時間継続した。懸濁液を濾過し、ケークを、1:1のMeOH/水 2x7.0Lで洗浄し、窒素下で乾燥させて、2.16kgの生成物(76%収率)をオフホワイトの粉末として得た(HNMRによれば2:1塩、HPLCによれば99.6:0.4 dr、APIのような誘導体化後のキラルHPLCによれば>99.8% ee)。
1H−NMR(CDCl3,400MHz):7.88(brt,J=5.2Hz,1H),7.12−7.21(m,2H),7.02(t,J=9.2Hz,1H),5.22−5.31(m,1H),4.63(dd,J=14.8,6.6Hz,1H),4.51(dd,J=14.8,5.9Hz,1H),4.13−4.22(m,2H),3.84(dd,J=3.4,1.2Hz,1H),3.63−3.73(m,2H),2.87(t,J=9.2Hz,0.5H),2.52−2.63(m,0.5H),2.38(s,3H),2.30(s,3H),2.14−2.26(m,0.5H),1.82−1.92(m,0.5H),1.69(d,J=7.2Hz,3H),1.52−1.60(m,0.5H),1.34(s,1.5H),1.38(s,1.5H),0.94(s,1.5H).
工程16:最終的なカップリング
視覚的に清浄な50Lのシリンダー型容器内に、最後から2番目の塩(1.95kg、3.98mol)、DCM(20L)、0.75M pH6.8のリン酸カリウム緩衝液(20L)を入れた。この混合物を、30分間攪拌して塩を破壊し、次に静置した。有機層を分離し、容器に戻し移し、ここに同じ緩衝液(20L)を入れた。混合物を10分間攪拌し、次に静置した。有機層を水層から分離し、オーバーヘッドスタラー及び熱電対を備えた、視覚的に清浄な4口の50LRBフラスコに移した。N,N−ジメチルオキサミン酸(0.745kg、6.36mol)を添加して、10分間攪拌した。EDC(1.143kg、5.96mol)を、混合物に(内部温度を約30℃未満に保持して)、10分間にわたり分割添加し、続いて残りの部分のEDC(0.20kg、1.29mol)を添加した。25分後、反応混合物をHPLCによってモニターして、出発物質が消費されたこと(>99%の変換)を確認した。混合物を、視覚的に清浄な50Lのシリンダー容器に移し入れ、ここでGMP−水(20L)を入れた。次に、フラスコをDCM(1L)及びGMP−水(1L)ですすいだ。混合物を室温で30分間攪拌し、次に静置した。有機層を分離し、容器に戻し移し、水(20L)で再度30分間洗浄し、ポリジャグ中に収集した。翌日、有機層を視覚的に清浄な、オーバーヘッドスタラー、バッチ濃縮機、熱電対、及び蒸気浴を具備した50LRBフラスコ内に濃縮のためインラインフィルタを介して吸引した。混合物を、真空中で濃縮/EtOHに溶媒切換えした(EtOHの最終体積、10L、全体で約12L)。種晶を、約45℃で混合物に添加した。混合物を室温に冷却し、室温で一晩熟成した。固体を濾過し、次いでEtOH(5L)で洗浄し、N2流で一晩乾燥させて、所望の生成物(1.796kg(正味)、99wt%、91%(単離された収率))を、オフホワイトの固体として得た。
1H NMR(500MHz,CDCl3,ppm):12.35(br s,1H),9.60(t,J=6.3Hz,1H),7.22(dd,J=7.4,1.9Hz,1H),7.20−7.16(m,1H),6.91(dd,J=9.5,8.6Hz1H),5.81(br s,1H),4.96−4.91(m,1H),4.51(d,J=6.5Hz,2H),4.46(t,J=11.1Hz),4.31(d,J=14.1Hz,1H),4.15(dd,J=11.8,2.5Hz,1H),4.04(dd,14.1,J=5.4Hz,1H),3.07(s,3H),3.02(s,3H),2.86(s,3H),2.24(d,J=1.9Hz,3H),1.61(d,J=6.9Hz,3H).
生成物を、IKAミルを用いてウェットミルし、レーザー回折技術を備えたマイクロトラック(Microtrac)粒子サイズ分析装置を用いて測定した場合、約18ミクロンの平均粒子サイズ、及び、約0.5ないし約100ミクロンの粒子サイズ範囲とした。粉砕された生成物は、生物学的研究、例えば、動物又はヒトにおける化合物の薬物動態の測定において用い得る。
実施例12
化合物5Aの調製
工程1:TBSエーテル生成
75Lの3口RBフラスコに、THF(27.5L)及びt−BuOK(95wt%、6.10kg、51.6mol)を、室温で装入して、濃稠であるが容易に攪拌される白色のスラリーを得た。Cis−2−ブテン−1,4−ジオール(4.55kg、51.6mol)を、未希釈の液体として、20℃未満の温度を維持しながら、0.5時間にわたり添加した。得られたゆるいスラリーを、室温で30分間熟成し、THF(3.5L)中に溶解されたTBS−Cl(7.00kg、46.5mol)を、+30℃未満の温度を保ちながら、0.5時間にわたり添加した。反応混合物を、室温で1−2時間熟成し、水(25L)及びMTBE(25L)を含有する抽出器内へ逆クエンチした。層を分離し、有機層を、5% NH4Cl(18L)及び5% 食塩水(2x18L)で洗浄した。MTBE層を濃縮乾燥し(油)、ヘプタン(20L)でフラッシュして、TBSエーテルを粗油(>10kg、GCにより測定された場合、約12A%(=面積パーセント)のビス−OTBSを含有)として得て、これをさらに精製することなく次の工程に使用した。
工程2:アクリロニトリル付加
50Lの3口RBフラスコに、モノ−TBSアルコール(9.187kg、45.4mol)、アクリロニトリル(68.1mol、4.46L)、及びDBU(0.684L、4.54mol)を、室温で装入し、反応混合物を+60℃で16時間加熱した。反応を室温に冷却し、MTBE(25L)で希釈し、100Lの抽出器に移し入れ、5% KH2PO4水溶液(20L)で洗浄した。層を分離し、有機物質を水(2x18L)で洗浄し、濃縮した。溶液を、MeOHに溶媒切換えして、結合したニトリル(10.5kg(アッセイによる))をMeOH中の溶液(全体積30L)として得て、これをそのまま次の工程に使用した。
工程3:アミドキシム生成
75Lの3口RBフラスコに、工程2の結合したニトリルの溶液(10.42kg、40.8mol(30LのMeOH中))を装入した。ヒドロキシルアミン(50%水溶液、2.75L、44.9mol)を、室温で一度に添加し、得られた溶液を、+60℃で6時間加熱した(約99.8A%の変換)。反応混合物を、室温に冷却し、MTBE(35L)及び水(35L)を含有する抽出器に移し入れた。層を分離し(pH約9)、有機相を、5%食塩水(2x18L)で洗浄した。水性部分を、MTBE(15L)で逆抽出した。合わせた有機層を、濃縮して油とし、メタノールに溶媒切り替えし(約3L/kg溶液)、アミドキシムの溶液を得て、これをそのまま次の工程に使用した。
工程4及び5:ピリミジノン生成
75Lの3口RBフラスコに、工程3のアミドキシム溶液(10.95kg、38mmol(27LのMeOH中))を装入した。反応混合物を、−20℃に冷却し、DMAD(4.67L、38mol)を、+5℃未満の温度を保ちながら、45分間で添加した。反応混合物を濃縮し、o−キシレンに溶媒切換えして、50wt%溶液を作成した。100Lの3口RBフラスコに、o−キシレン(55L)を装入して、143−145℃に加熱した(穏やかに還流)。キシレン中のDMAD付加物(7.4kg(アッセイ)、約50wt%のo−キシレン溶液)を、熱o−キシレン溶液に、2時間にわたり添加した。反応混合物を、添加の最後にさらに3時間熟成し、約+130℃にやや冷却させて、部分的な減圧下、o−キシレン(15L)で蒸留した(内部温度、約120−130℃)。反応混合物を、室温に冷却させて、結晶化したピリミジノンのスラリーを得た。このスラリーを、室温で一晩熟成した。ヘプタン(約45L)を2時間で添加し、次に2時間熟成した。スラリーを濾過し、ケークを、1/1のトルエン/ヘプタン(15L)で、次にヘプタン(10L)で洗浄した。ケークを、真空及び窒素流下、室温で3日間乾燥させ、TBS−ピリミジノンを得た(3.75kg、>97A%、85wt%、47%収率)。
工程6:ベシル化
工程4及び5に記載のように調製された、TBSピリミジノン(7.2kg、約85wt%)を、100LのRBフラスコに装入した。ピリジン(10.5kg)を、室温で添加し、塩化ベンゼンスルホニル(3.70kg)を、25−30℃の温度を維持しながら、30分間にわたり添加した。溶液を、25−30℃で2時間攪拌した。バッチを20℃に冷却し、メタノール(21L)を、続いて水(17.5L)を添加した。スラリーを、28−30℃で30分間攪拌した。水(17.5L)を、20−25℃で添加した。スラリーを、30分間熟成した。スラリーを濾過し、ケークをMeOH/水(3:5v/v、30L)で洗浄した。ケークを、フィルターポット上で、窒素流中で一晩乾燥させ、TBSベシラート(10.3kg、71wt%、88%収率)を得た。
工程7:脱TBS及びアセテート−ベシラート生成
工程6のTBSベシラート(9.9kg、71wt%)を50LのRBに装入し、アセトニトリル(18L)を添加した。濃HCl(95mL)を添加し、溶液を15−18℃で1時間攪拌した。混合物を、ヘプタン(2x9L)で洗浄した。アセトニトリル層を、72LのRBに装入し、ピリジン(190mL)を添加した。溶液を約15Lに濃縮し、アセトニトリル(18L)でフラッシュした。無水酢酸(4.5kg)を添加し、溶液を75℃で3時間温めた。IPA(30L)を添加し、バッチを減圧下(50℃)で濃縮して、溶媒 約20Lを除去した。IPAを添加して、50℃で55Lの最終体積を得た。溶液を、DARCO−G60(活性炭、900g)で処理し、50℃で1時間攪拌し、小型のソルカフロックのパッドを通して、100LのRB内へ温時濾過した。ケークを、50℃で、IPA(10L)で洗浄した。合わせた濾液を攪拌し、30℃に冷却し、生成物(1g)を接種した。スラリーを、1時間にわたり20℃に冷却し、次いで2℃に冷却し、1時間熟成させた。スラリーを濾過して、IPA(10L)及びヘプタン(10L)で洗浄した。ケークを乾燥させて、アセテート−ベシラート(5.2kg、>98wt%、86%収率)を得た。
工程8:分子内アリル化
DCM(20L)中の、工程7のアセテートベシラート(2.50kg)及び臭化テトラブチルアンモニウム(173g)の溶液を、窒素で脱気した。脱気したDCM(6.8L)を、Pd2dba3(37g)と、(R,R)−ナフチルトロスト(Trost)配位子(1R,2R)−(+)−1,2−ジアミノシクロヘキサン−N,N’ビス(2−ジフェニルホスフィノ−1−ナフトイル、CAS登録番号174810−09−4(134g)との混合物に添加した。10分間の攪拌後、触媒溶液を攪拌式反応容器に移した。反応混合物を、約8時間熟成し、定期的にサンプリングして反応の終わりを判定した。固体Pd(OAc)2(60g)を添加して、反応をクエンチした。得られたアリル化生成物の溶液を、次の工程に進めた。2つのバッチを同スケールで実施した。
工程9:水素化
5% Pd(S)/C(828g)を、工程8のアリル化生成物のDCM溶液(2.03kg、収率100%として)に添加した。このスラリーを、10ガロンの攪拌式オートクレーブに装入した。反応容器を水素で45psiまで加圧し、水素の取込みが完全な変換を示すまで、30℃で加熱した。これを、第2のバッチで繰り返した。
2つの水素化バッチを合わせ、MTBE(2.5L)を添加し、次に混合物を、MgSO4(0.8kg)及びK2HPO4(0.8kg)と共に、30分間攪拌した。混合物を、シリカ(6kg)を通して濾過した。シリカパッドを、9:1 DCM/MTBE(25L)で洗浄した。合わせた濾液を濃縮し、酢酸イソプロピル(約13L)に溶媒切換えした。混合物を、22℃で1時間にわたり冷却した。得られたスラリーを、シリカ(0.25kg)のパッド上で濾過し、ラセミ体のフィルターケークを、iPrOAc(4L)で洗浄して、乾燥によりラセミ体エチルオキセパノピリミジノン(0.17kg、10−20% ee)を得た。濾液を濃縮し、溶媒をIPA(13L)に切り替えた。混合物をダルコG60(0.3kg)で、80℃で1時間処理した。混合物を、ソルカフロックのパッドを通して熱時濾過し、熱IPA(4L)及びアセトン(1.3L)で洗浄した。合わせた濾液を、60−80℃でIPAに溶媒切換えし、3時間にわたり23℃に冷却した。スラリーを10℃で2時間にわたり冷却し、濾過した。ケークを、IPA(3L)で、10℃で洗浄した。窒素流下でケークを乾燥させて、エチルオキセパノピリミジノン(3.186kg、95wt%純度)を得た。
工程10:臭素化
工程10のエチルオキセパノピリミジノン(4.08kg、10mol)を、100Lの4口RBフラスコ内で、酢酸(30L)中に懸濁した。NBS(5.3kg、30mol)を、続いて濃硝酸(3L)を添加した。混合物を、75℃に30分間温め、得られた均一な橙色の混合物を、72−80℃に3時間維持した。反応の間に、少量の臭素の蒸気が発生した。混合物を真空下(50トール、50℃)に濃縮して、橙色の留出液 5Lを除去し、淡い黄色の残留溶液を残した。混合物を20℃に冷却し、DCM(15L)及び水(20L)を添加した。有機層を分離し、水相をDCM(5L)で逆抽出した。合わせた有機相を水(20L)及び1.67M K2HPO4水溶液(30L)で洗浄した。合わせたDCM抽出物を、MgSO4(100g)上で乾燥し、濾過し、濃縮した。残渣を、溶媒切換えして、約10LのTHF(ジ−ブロモ/モノ−ブロモ生成物の4:3混合物入り)とし、これを直接次の工程に使用した。
工程11:モノブロミド生成
前工程からの、ジ−ブロモ/モノ−ブロモオキセパノピリミジノンの約4:3混合物(4.8kg)に、MeOH(20L)、NMM(708g、7mol)、及び亜リン酸ジエチル(967g、7mol)を添加した。混合物を、25−40℃で1時間攪拌した。水(20L)を、2時間にわたり滴下添加し、この間に混合物を徐々に10℃に冷却した。得られたスラリーを、濾過し、フィルタ―ケークを1:1 MeOH/水(10L)で洗浄し、乾燥させて、syn/anti−モノブロミドのジアステレオマー混合物を得た。Synモノブロミド:1H NMR(CD3CN400MHz)7.94(m,2H),7.78(m,1H),7.63(m,2H),5.33(dd,1H,J=2.7,1.6),4.88(m,1H),4.25(dd,1H,J=14.3,3.4),4.14(dd,1H,J=14.3,2.9),4.07(dd,1H,J=14.3,1.6),3.73(s,3H),3.70(m,1H),2.39(m,1H),1.99(m,1H),0.87(t,2H,J=14.9);Antiモノブロミド 1H NMR(CD3CN400MHz)7.94(m,2H),7.78(m,1H),7.62(m,2H),5.47(dd,1H,J=10.0,2.8),5.03(m,1H),4.36(dd,1H,J=12.4,2.8),4.07(dd,1H,J=14.0,4.3),3.82(dd,1H,J=12.4,10.0),3.74(s,3H),3.72(m,1H),1.98(m,1H),1.86(m,1H),0.85(t,2H,J=14.9).
工程12:アミド化
DCM(10.5L)を、50L丸底フラスコに装入した。4−フルオロベンジルアミン(578g、4.62mol)を添加し、わずかに黄色の溶液を、N2で約60分間脱気した。Me3Al(ヘキサン中2M、2.3L、4.62mol)を、ベンジルアミン溶液に、60分間で徐々に添加した。この溶液を、室温で75分間熟成した。DCM(6L)中に溶解した、工程11のブロミド生成物(1.5kg、3.08mol)を、アミン−Al錯体溶液に、20分間にわたり添加した。わずかな発熱を、氷浴で制御した。反応混合物を、室温で60分間熟成した。反応が完了すれば、混合物を、1N HCl(15L)を含有する50Lのシリンダー型容器に、10℃でポンプ注入した。比較的大きい発熱及び迅速なガス発生を、混合物を徐々にHCl水溶液に添加することにより制御した。有機物質を、1N HCl(2x15L)、飽和NaHCO3(15L)、及び飽和食塩水(15L)で、室温で洗浄した。アミド生成物を含有する有機層(1.69kg、HPLCアッセイによる、95%)を、濃縮し、メタノールに溶媒切換えした。MeOH溶液の最終体積は、約25Lであり、このアミドの溶液をさらに精製することなく次の工程に使用した。
LCMS:(M+H)+=582.0.
2つのバッチを同じスケールで実施した。
工程13:メチルアミン置換
冷却ジャケット、オーバーヘッドスタラー、温度プローブを具備した100Lのシリンダー型容器に、メタノール中の出発物質溶液(2.80kg(HPLCで))を装入した。バッチ体積は、28Lであった。バッチを5℃に冷却した。エタノール中のメチルアミン溶液(33wt%、8M、3.15L)を、15分間にわたりで添加した。わずかな発熱が見られ、バッチ温度は11℃となった。30分間の熟成後、バッチを20℃に1時間にわたり温めた。別に、PTSAの1M溶液を、p−TSA一水化物(3.67kg)及び水16Lを混合することにより調製した。この溶液を、メチルアミン添加の4時間後に、バッチに装入した。バッチ温度は、発熱により28℃となった。バッチに接種した。3.5時間の攪拌後、濃稠なスラリーが形成された。水(45L)を、45分間にわたりバッチに添加した。バッチを20℃で一晩(9時間)熟成した。固体生成物を濾過により収集し、ウェットケークを、2/1 水/MeOH(3x5L)、及び水(10L)で洗浄した。ウェットケークを、フィルターポット上で、窒素流を用いて一晩、次に35−40℃の真空オーブン内で、窒素流を用いて3日間乾燥させた。粗生成物を、酢酸エチル(27L)中でスラリー化し、2時間攪拌して濾過した。ウェットケークを、酢酸エチル(13L)で洗浄し、次にフルターポット上で、窒素流及び真空吸引を用いて一晩乾燥させ、アミンp−TSA塩(2.15kg、79%)を得た。ジアステレオマー過剰は、置換反応で97:3であり、トシラートとしての単離後は、98.5/1.5であった。LC−MS M+1 391
NMRデータ:1H NMR(500.1MHz,CD3OD)δ7.63(d,J=8.2Hz,2H),7.37(m,2H),7.18(d,J=8.2Hz,2H),7.04(m,2H),4.97(t,J=5.1Hz,1H),4.60(m,1H),4.54(s,2H),4.13(d,J=5.1Hz,2H),4.06(dd,J=12.9,7.8Hz,1H),3.84(dd,J=12.8,3.0Hz,1H),2.85(s,3H),2.36(s,3H),2.19(m,1H),1.96(m,1H),1.07(t,J=7.4Hz,3H).
工程14:アシル化
50Lフラスコに、ジメチルオキサミン酸(0.64kg)、DCM(16L)、及びNMM(1.12kg)を装入した。混合物を、15℃に冷却した。塩化ピバロイル(0.62kg)を添加し、室温で2時間熟成した。工程13のアミンPTSA塩(2.01kg)を、一度に添加し、2時間熟成した。混合物を、水(12L)及び5M HCl(0.21L)でクエンチした。下の有機層を分離し、水(2x12L)で洗浄した。溶液を少量に濃縮し、IPA(8L)を添加した。この溶液を55−60℃に加熱し、接種し(化合物5A 24g、結晶II型)、溶媒切換えを、IPAを添加して体積を約10Lに維持することにより、55−60℃で継続した。スラリーを、55−60℃で4.5時間熟成し、室温に冷却し、濾過した。ケークを、IPA/ヘプタン(2x8L)、及びヘプタン(2x4.5L)で洗浄し、室温で、真空下で乾燥させて、標題化合物を白色の結晶性固体(1.6kg、>98wt%純度、91%収率)として得た。LCMS:(M+H)+490.1;
1H NMR(500MHz,CDCl3):δ12.32(br.s,1H);9.63(t,J=6.1Hz,1H);7.40(m,2H);6.98(m,2H);5.85(br s,1H);4.64(m,1H);4.56(d,J=6.5Hz,2H);4.45(t,J=10.4Hz,1H);4.22(d,J=3.1Hz,2H);4.15(dd,J=11.8,2.8Hz,1H);3.09(s,3H);3.04(s,3H);2.87(s,3H);2.08(m,1H);1.85(m,1H);1.16(t,J=7.3Hz,3H).
標題生成物を、ピンミルを用いてドライミルし、レーザー回折技術を備えたマイクロトラック(Microtrac)粒子サイズ分析装置を用いて測定した場合、約23ミクロンの平均粒子サイズ、及び、約0.9ないし約160ミクロンの粒子サイズ範囲とした。粉砕された生成物は、生物学的研究、例えば、動物又はヒトにおける化合物の薬物動態の測定において用い得る。
実施例13
化合物6Aの調製
工程1:ビニルアルコールの調製
400Lのハスタロイ容器に、THF中1Mの塩化ビニルマグネシウム(372kg)を装入した。塩化ビニルマグネシウムを、フィルタを通してガラス内張り容器に移した。試薬を−10℃に冷却し、次に塩化銅(I)(4.82kg)を、窒素雰囲気下で添加した。
(S)−(+)−ベンジルグリシダール(glycidal)エーテル(40kg)を、続いてTHF(177.8kg)をガラス内張り容器に装入し、溶液を0℃に冷却した。この溶液を、塩化ビニルマグネシウムに、反応温度を0℃未満に維持しながら、3時間にわたり添加した。混合物を、10分間熟成し、この時点でHPLCは、反応が完了したことを示した。次いで反応混合物を、温度を25℃未満に維持し、同時にエチレン排出を制御しながら、2時間にわたりメタノール(19.5kg)を添加することによりクエンチした。メタノールクエンチの後、2N HCl(412kg)を、45分間にわたり添加し、次にバッチを室温で一晩攪拌した。次いで水層及び有機層を分離し、水層をMTBE(148kg)で逆抽出し、合わせた有機物質を、1N HCl(98kg)、水(50kg)、Na2S2O3(水 100kg中10%)、及び水(200kg)で順次洗浄した。バッチを次に、体積80Lまで濃縮し、次にDMAC(83kg)を、続いてヘプタン(800L)を添加し、溶液を約170Lに蒸留して、アルコールの溶液を得た(全150L;44.86kg(アッセイ);96%収率)。
工程2:メチル化
工程1のアルコールプラスDMACリンス(50kg)のDMAC溶液を、ガラス内張り容器に装入し、溶液を0℃に冷却した。ナトリウムtert−ブトキシド(32.3kg)を、6回に分けて装入し、混合物を15分間熟成し、再び0℃に冷却した。次に硫酸ジメチル(40.9kg)を、内部温度を25℃未満に維持しながら、40分間にわたり添加した。反応混合物を次に、20℃で30分間熟成した。次いで反応混合物に、2N HCl(水145kg及び濃HCl 34.2kg)を、30分間にわたり、続いてMTBE(133.2kg)を添加した。下の水性の酸性層を除去し、有機性物質を、5wt% LiCl溶液で2回(200L,次に150L)、続いて水(150kg)で洗浄した。有機物質を、内部温度を35℃未満に維持しながら、50−60Lに濃縮した。次にヘプタン(200L)を装入して、内部温度を35℃未満に維持しながら、50−60Lに濃縮した。濃縮された溶液を、ヘプタン(140L)で希釈して、清浄な、プラスチック内張りスチールドラムに濾過した(全227L;47.02kg(アッセイ);96%アッセイ収率、及びKF 79ppm)。
工程3:第一級アルコールを得るためのヒドロホウ素化
工程2のメチルエーテル(23.5kg、ヘプタン中29.5wt%)を、ガラス内張りスチール容器に、インサートガス下で装入した。溶液を0℃に冷却し、次いでTHF中1M ボラン(51.2kg)を、20℃未満の温度を維持しながら、30分間にわたり装入した。混合物を15分間熟成し、その後、HPLCにより反応完了を確認した。反応を、2M NaOH(61.4kg)を、20℃未満の温度を維持しながら20分間にわたり注意深く添加することによってクエンチした。バッチを0℃に再び冷却し、反応器のヘッドスペースをパージして、残留するH2を全て除去した。
クエンチが完了すれば、H2O2(11.63kg)を、20℃未満の温度を維持しながら、50分間にわたって装入し、その後1時間熟成した。バッチを0℃に再冷却し、反応を、10% Na2S2O3(94kg)を、20℃未満の温度を維持しながら、1時間にわたり添加することによってクエンチした。ヘッドスペースを再度パージして、残留する極微量の酸素を全て除去した。
二相の混合物を静置し、下の有機相を除去した。水相を、MTBE(89.4kg)で2回逆抽出した。合わせた有機物質を、体積50Lに濃縮した。濃縮された有機物質に、ヘプタン(100kg)を添加し、バッチを50Lまで再度蒸留した。DCM(67.5kg)を添加し、バッチを、清浄なプラスチック内張りドラムに滴下した。容器をDCM(67.5kg)ですすいで、生成物の最終的なDCM:ヘプタン溶液(169.8kg、23.41kg生成物、91%)を得た。
工程4:アルデヒドへの酸化
NaHCO3(3.07kg)及びKBr(1.86kg)を、ガラス内張りスチール容器に装入した。容器をN2でパージした後、水(70kg)を添加した。工程3のDCM:ヘプタン中のアルコール(169.8kg、13.79wt%)を、フィルタを通して容器に装入し、混合物を0℃に冷却した。次にTEMPO(0.49kg)を添加し、続いて次亜塩素酸Na(95kg)を、20℃未満の温度を維持しながら、1時間にわたり添加した。HPLCは、10分間の熟成後に反応が完了していないことを示し、追加の次亜塩素酸Na(20kg)を添加して、反応を完了させた。反応を、10% Na2S2O3(51.5kg)水溶液の添加によりクエンチしたが、これは、20℃未満の温度を維持しながら、20分間にわたり添加した。生成物を含有する下の有機相を除去し、水層を、MTBE(58.4kg)で抽出した。合わせた有機ストリームを、清浄なプラスチック内張りスチールドラムに装入した(22.04kgの生成物、MTBE/DCM中の溶液として;9.87wt%、95%)。
工程5:亜硫酸水素塩付加物の調製
二亜硫酸ナトリウム(11.9kg)及び水(55.1kg)を、ガラス内張りスチール容器に装入し、次に工程4のアルデヒド(223.4kg、9,87wt%)を添加し、混合物を28℃に温めた。10分間の熟成後、HPLCにより、亜硫酸水素塩付加物の生成を確認した。二相の混合物を分離させ、生成物を含有する水層を除去した。有機層を、水(55.2kg)で洗浄し、次に2つの水相を合わせ、MTBE(55.1kg)で洗浄した。水層を、清浄なプラスチック内張りスチールドラムに入れた(水中31.2kgの亜硫酸水素塩付加物;21.75wt%)。
工程6:Boc−保護されたストレッカー(Strecker)付加物調製
エチルアミン・HCl(11.69kg)、及びNaCN(7.03kg)を、1% NaOCl及び1M NaOH(250L)を含有する、スクラバーを具備した400Lのガラス内張りスチール容器に装入した。容器を、真空/N2サイクルを用いて再度不活性化し、その後水(106.1kg)、次にメタノール(74.04kg)を添加した。溶液を5分間攪拌し、次に工程5の、水中の亜硫酸水素塩付加物の溶液(143.4kg、21.75wt%)を装入した。次に、TEA(29.22kg)を、30℃未満の温度を維持しながら、15分間にわたり装入した。次いで混合物を、全3時間にわたり熟成した。HPLCにより、不完全な反応が示され、それ故、追加のNaCN(0.703kg、0.15当量)及びエチルアミン.HCl(1.17kg、0.15当量)を、続いてTEA(2.9kg、0.3当量)を装入した。次にMTBE(69.4kg)を、反応混合物に添加した。シアニド残渣を含有する水相を切り離し、次に有機相を5% NaHCO3溶液(93.6kg)で洗浄した。
Boc無水物(22.95kg)を、30℃に予熱されたガラス内張りスチール容器に装入した。容器上での真空/N2サイクルの後、BOC無水物をMTBE(46.24kg)中に溶解し、得られた溶液を25℃に冷却し、冷却された溶液を、ストレッカー付加物溶液に、10分間にわたり添加した。次にバッチを、全48時間にわたり25℃で熟成した。HPLCは、不完全な反応を示し、それ故、さらなるBOC無水物(13.72kg、1.3当量)の装入を行い、混合物を25℃で16時間攪拌し、次にバッチを50℃に5時間温めた。次いで10% NaHCO3溶液(93.6kg)を添加した。水相を除去し、有機物質を体積63Lに濃縮した。メタノール(123.4kg)を添加し、バッチを63Lに濃縮した。メタノール(123.4kg)を添加し、溶液を、清浄なプラスチック内張りスチールドラムに入れた(メタノール中の溶液として生成された、30.6kgのBOCストレッカー付加物;27.8wt%、90%)。
工程7:アミドキシム生成
工程6のニトリルのメタノール溶液(30.6kg、27.7wt%で110kg)、MeOH(47kg)、及び水(30kg)を、ガラス内張り容器に装入し、混合物を25℃で攪拌した。反応混合物に、ヒドロキシルアミン(10.7kg)を、バッチ温度を40℃以下に維持しながら、30分間にわたり添加した。得られた攪拌溶液を、50℃に加熱し、この温度で14時間熟成した。次に反応混合物を、25℃に冷却し、MTBE(89kg)を添加した。AcOH水溶液(水 150kg中9.7kg)を添加し、反応混合物を15分間攪拌した。水層を、続いて有機物質を除去した。水層を、MTBE(57kg、次に77kg)で2回逆抽出した。合わせた有機抽出物を、残留するヒドロキシルアミン含有量について分析した。バッチを、部分真空を用いて、体積約200Lに濃縮した。アミドキシムのMTBE溶液を、その後の使用に向けて、プラスチック内張りスチールドラム中に、窒素下、5℃で貯蔵した。
工程8:DMAD付加物生成
工程7の、MTBE中のアミドキシムの溶液を、ガラス内張り容器に装入し、続いてMeOH(26kg)を添加した。得られた溶液を0℃に冷却し、次にDMAD(12.12kg)を、10℃以下の温度を維持しながら、15分間にわたり添加した。溶液を20℃に温め、この温度で16時間熟成した。NaHCO3水溶液(水 132kg中6.6kg)をバッチに添加し、15分間攪拌した。水層を除去し、有機層を水(60kg)で洗浄した。バッチを、部分真空を用いて、体積約80Lに濃縮した。トルエン(173kg)をバッチに添加し、部分真空を用いて、体積約190Lに濃縮した。これにより、DMAD付加物の24.3wt%溶液を得て(全159.4kg;38.74kg(アッセイ);2工程で87%収率)、これを、その後の使用に向けて、プラスチック内張りスチールドラム中に、窒素下、5℃で貯蔵した。
工程9:ピリミジノン生成
工程8からの、トルエン中のDMAD付加物の溶液(158.6kg、24.46wt%)を、約140℃で還流キシレン(137.6kg、160L)を含有するガラス内張りスチール容器に、2時間にわたり移した。トルエン及びMeOHを、付加物を移す間に留去させた。2回目のキシレン(86kg、100L)の装入は、容器に装入し、最終体積260Lに達するまで蒸留を継続した。バッチを、7時間にわたり25℃に冷却し、この後は、HPLCにより、反応完了が示された。反応ストリームを濾過し、キシレン(2x17.2kg)で洗浄して、ピリミジノンの15.67wt%溶液(全148.7kg、15.7WT.%;23.3kg(アッセイ);66%)を得て、これを、その後の使用に向けて、プラスチック内張りスチールドラム中に、窒素下、5℃で貯蔵した。
工程10:アミド生成
工程9の、ピリミジノンメチルエステルのキシレン溶液(23.3kg、キシレン中15.7wt%の溶液として;148.7kg)を、1N HCl(200L)を含有する、スクラバーを具備したガラス内張り容器に装入した。次に、キシレン溶液を、蒸留により濃縮して、最終体積50L(2.15体積)とした。次いで容器にメタノール(184.5kg)を、続いてTEA(9.08kg)及び4−フルオロベンジルアミン(7.5kg)を装入した。容器の内容物を、63℃に加熱し、その温度で16時間熟成した。バッチを40℃未満に冷却し、追加の4−フルオロベンジルアミン(4.88kg、0.5当量)を装入した。バッチを、62℃でさらに16時間放置し、次に周囲温度に冷却して、さらに48時間熟成した。次にバッチを、再度加熱して、さらに3時間穏やかに還流した。容器の内容物を、最終体積80Lに濃縮し、次いでMTBE(148kg)を添加した。有機ストリームを、5% NaHCO3溶液(100kg)、10% AcOH溶液(100kg)、1N HCl(50kg)、及び水(100kg)で順次洗浄した。有機物質を、最終体積50Lに濃縮した。エタノール(78.9kg)を添加し、有機ストリームを最終体積138Lに濃縮した。容器の内容物を、清浄なプラスチック内張りスチールドラムに移した(18wt%、23.23kgアミド、90%)。
工程11:脱ベンジル化
エタノール中の出発アミド溶液(15.5kg)(全93.4L;86.2kg+エタノールリンス(10L))を、20% Pd/C(3.10kg)を含有する反応容器に添加し、続いて1N HCl水溶液(3.1L)を添加した。容器を排気し、窒素でパージし、混合物を約20℃の温度に調整した。次に容器を排気し、水素圧を4.1Bargにセットした。反応混合物を、水素の取込みが止まるまで、攪拌しながら40℃まで温めた。反応混合物を、次にソルカフロックを通して濾過し、エタノール(40.4kg)で洗浄し、清浄なプラスチック内張りドラム内に収集した(全137L;12.56kg(アッセイ);95%アッセイ収率)。第二のランを実施した。
2つのランからの、エタノール中のアルコールのバッチを合わせ(182.8kg、10.28wt%)、ガラス内張り容器に装入し、溶液を最終体積50Lに濃縮した。MTBE(111.6kg、151L)を、続いてTEA(7.35kg、2当量)、及び水(150.7kg)を添加した。得られた混合物を、15分間攪拌した。生成物を含有する水層を、続いて有機物を除去した。水性物質を、MTBE(2x41.8kg)で洗浄した。合わせたMTBEカットを、水(56.5kg)中のTEA(0.73kg、0.2当量)の溶液で洗浄した。下の水相を取出し、先の水相と合わせた(双方とも生成物を含有する)。生成物を含有する水相に、MTBE(112kg)を、続いて1N HCl(98kg)を添加した。混合物を30分間攪拌し、次いで下の水層を除去した。生成物を含有する有機ストリームを、体積40Lに濃縮し、次にTHF(178kg)でフラッシュし、94Lに濃縮した。これにより、アルコールのTHF溶液(18.45kg(アッセイ);98%回収)を得て、これを、その後の使用に向けて、プラスチック内張りスチールドラム中に、窒素下、5℃で貯蔵した。
工程12:7員環のメシル化及び環化
工程11からの生成物のTHF溶液を、ガラス内張り容器に装入し、次に0℃に冷却し、その後TEA(19.6kg)を、10℃以下の温度を維持しながら、15分間にわたり添加した。MsCl(16kg)を、10℃以下の温度を維持しながら、35分間にわたり添加した。溶液を、10℃で10分間熟成した。次に水(53kg)を、続いて2N HCl水溶液(水 50kg中3.85kg)を添加した。MTBE(111kg、150L)を添加し、バッチを15分間攪拌した。水層を、続いて有機層を除去した。水性のカットを、MTBE(37kg)で逆抽出し、合わせた有機物質を、水(40kg)で洗浄した。バッチを、部分真空を用いて、体積約80Lに濃縮した。トルエン(87kg)をバッチに添加し、部分真空を用いて、体積約60Lに濃縮した(KF=1437ppm)。メシラート溶液を、次にDMSO(58kg)で希釈し、ガラス内張り容器に移した。
別のガラス内張り容器に、NaHCO3(20.7kg)を、次にDMSO(117kg)を装入し、溶液を35℃に加熱し、その後にメシラート溶液を1時間にわたりこれに移した。得られた混合物を、80℃に加熱した。反応混合物を、80℃で16時間加熱し、その時点で、HPLC分析は、反応が完了したことを示した。バッチを25℃に冷却した。このバッチに、EtOAc(89kg)を、続いて2N HCl水溶液(水 95kg中14kg)を添加した。水層を、続いて有機層を除去した。水性のカットを、EtOAc(82kg)で逆抽出し、合わせた有機物質を、水(90kg)で洗浄した。バッチを、部分真空を用いて、体積約54Lに濃縮し(KF=138ppm)、環化生成物の18.67wt%溶液(全83.7kg;15.63kg(アッセイ);2工程で88%収率)を得て、これを、その後の使用に向けて、プラスチック内張りスチールドラム中に、窒素下、5℃で貯蔵した。
工程13:ベシラート生成
工程12の、酢酸エチル中のフェノール(15.5kg;18.5wt%で83.6kg)を、ガラス内張りスチール容器に装入し、溶液を5℃に冷却した。次にTEA(6.84kg)を添加し、続いて塩化ベンゼンスルホニル(10.85kg)を、10℃未満のバッチ温度を維持しながら、10分間にわたり添加した。次いでバッチを、10℃未満の温度で1時間熟成し、次に20℃に温め、この温度でバッチを16時間攪拌した。EtOAc(13.9kg)を、続いて水(31kg)、及びTEA(300g、0.1当量)を添加した。混合物を50℃に温めて、2時間熟成し、次に25℃に冷却し、DCM(104.6kg)を添加した。1N HCl(38.6kg)を添加し、混合物を15分間攪拌した。有機相を除去し、水層をDCM(21kg)で抽出した。合わせた有機物質を、5% NaHCO3溶液(129kg)で洗浄し、これを次にDCM(21kg)で逆抽出した。合わせた有機物質を、部分真空下で濃縮して、体積120Lとした。酢酸エチル(50kg)を添加し、有機物質を最終体積170Lに濃縮して、直接次の工程に使用した。
工程14:Boc−脱保護
工程13の、EtOAc中のBoc−アミン溶液(170L、16.8kg)を、ガラス内張り容器に装入し、溶液を15℃に冷却した。メタンスルホン酸(7.51kg)を、30℃未満の温度を維持しながら、20分間にわたり添加した。混合物を注意深く加熱して、内部温度を60℃とし、3時間熟成した。混合物を次に10℃に冷却し、1M K2CO3溶液(水[78kg]中K2CO3[10.8kg])を、20℃未満の温度を維持しながら添加した。水層を、続いて有機層を除去した。水性カットを、EtOAc(30.2kg)で逆抽出した。合わせた有機物質を、水(56kg)で洗浄し、次に最終体積56Lに濃縮した。EtOAc(89kg)を添加して、溶液を140Lに希釈し、アミンの溶液(全140L;16.58kg(アッセイ);2工程で99%収率)を得て、これを、その後の使用に向けて、プラスチック内張りスチールドラム中に、窒素下、5℃で貯蔵した。
工程15:エナミンの生成
工程14の、アミンのEtOAc溶液(全140L;16.58kg(アッセイ))及びt−ブタノール(1.13kg)を、ガラス内張り容器に装入し、続いてt−ブタノール(1.13kg)を添加した。得られた溶液を、5℃に冷却し、次に酢酸(2.01kg)を、10℃以下の温度を維持しながら、10分間にわたり添加した。次亜塩素酸ナトリウム(40.9kg)を、10℃以下の温度を維持しながら、40分間にわたり添加した。溶液を、5℃で20分間熟成した。次亜塩素酸ナトリウム(11kg、0.3当量)のさらなる装入を行ない、バッチを10分間熟成した。バッチを20℃に温め、攪拌を停止した。水層を除去し、有機層を、5% NaCl水溶液(水 45kg中2.25kg)で洗浄した。バッチを5℃に冷却し、次にDBU(5.1kg)を、10℃以下の温度を維持しながら、20分間にわたり添加した。バッチを10℃で20分間熟成し、この時点で、HPLC分析は、反応が>98%エナミンに変換したことを示した。
バッチに水(85kg)を添加し、混合物を15分間攪拌した。水層を、続いて有機物質を除去した。水性のカットを、EtOAc(46kg)で逆抽出し、次に、合わせた有機物質を、亜硫酸ナトリウム(水 16kg中1.92kg)で、次いでNaCl水溶液(水 51kg中1kg)で洗浄した。バッチを、部分真空を用いて、体積約50Lに濃縮した。MTBE(89kg)を、20分間にわたりバッチに添加し、スラリーを15℃に冷却し、一晩熟成した。バッチを濾過し、ケークをMTBE(27kg)で洗浄し、次にフィルタ上で、窒素の陽圧を用いて乾燥させた(アッセイ収率74%)。
エナミン固体を、続いてACN(59kg)を、ガラス内張り容器に装入し、得られたスラリーを、全ての固体が溶解するまで50℃で加熱した。次に水(75kg)を、20分間にわたりバッチに添加した。バッチを1時間にわたり5℃に冷却し、濾過し、得られたウェットケークを、ACN(6kg)及び水(8kg)の1:1混合物で3回洗浄し、次に真空下のオーブン内で、50℃で一晩乾燥させて、エナミンを黄色の固体として得た(8.8kg、粗アミンから75%)。
1H NMR:(400MHz,d6−DMSO):δ9.15(1H,t,J=6.0Hz),7.94−7.91(2H,m),7.80(1H,t,J=7.6Hz),7.65(2H,t,J=7.6Hz),7.35−7.30(2H,m),7.18−7.11(2H,m),5.15(1H,t,J=5.4Hz),4.80(1H,t,J=8.0Hz),4.35(1H,dd,J=13.6,3.6Hz),4.31(2H,d,J=6.0Hz),3.92−3.86(1H,m),3.77(1H,dd,J=13.6Hz,4.0Hz),3.26(3H,s),2.93−2.86(2H,m),2.32−2.25(1H,m),1.90−1.82(1H,m),1.15(3H,t,J=7.0Hz).
工程16:不斉水素化
O2<5ppmの、窒素でパージされたグローブボックス内で、ビス(ノルボルナジエン)ロジウム(I)テトラフルオロボラート(345mg、0.922mmol)、(S)−1−[(R)−2−(ジ−2−フリルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ−tert−ブチルホスフィン(505mg、0.968mmol)、及びジクロロメタン(4.6mL)を、20mLのバイアルに添加した。触媒混合物を、30分間攪拌し、2,2,2−トリフルオロエタノール(TFE)10mLを利用して、25mLのステンレススチール容器に移した。TFE 10mLを、第2の25mL ステンレススチール容器に添加し、触媒装入装置を密閉して、グローブボックスから取り出した。
ジクロロ酢酸12.16mL(147mmol)の溶液を、TFE 350mL中に調製した。チタン(IV)イソプロポキシド 55mL(184mmol)を、激しく攪拌しながら徐々に添加し、混合物が均一になるまで攪拌した。出発エナミン(100g、184mmol)を、TFE 50mLを利用して添加し、攪拌して、暗赤−橙色の溶液を得た。この溶液を、1Lの攪拌式オートクレーブに、追加のTFE 80mLを利用して、真空によって引き込んだ。触媒装入アセンブリを、フレキシブルチューブによって取り付けた。オートクレーブを、3回の窒素/真空パージによって不活性化し、部分真空下に置いた。触媒溶液をオートクレーブに引き込み、続いてTFEですすいだ。オートクレーブを3回の水素パージに供し、25℃に自動調温し、水素ガスを100psigまで加圧した。反応混合物を、1000rpmで18時間攪拌した。LC−MS:(M+H)+=545.0
粗反応溶液を、IPAC 1.5Lで希釈し、次にグリコール酸カリウム(水中5M溶液を1L)を室温で添加して、混合物を2時間熟成した。次いで反応混合物を、5wt% NaHCO3水溶液で、次に5wt% NaCl水溶液で洗浄した。有機層をNa2SO4上で乾燥し、濾過し、0.5Lに濃縮し、濃縮された有機物質を、IPAc 0.9L中のPTSA一水和物(30.3g)(p−トルエンスルホン酸一水和物)と、2%種晶の存在下で、50−60℃で混合した。スラリーを、室温で12時間熟成し、濾過し、IPAC 0.1Lで、次にIPAC/n−ヘプタン(1:1混合物) 200mLで洗浄し、固体を真空中で、室温で乾燥させて、アミンPTSA塩(105.9g、92.2wt%、73%収率)を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl3):δ9.31(br s,1H),9.01(br s,1H),7.98−7.96(m,2H),7.68−7.65(m,1H),7.56−7.50(m,4H),7.20(dd,J=8.3,5.5Hz,2H),7.07(d,J=8.0Hz,2H),6.86(t,J=9.7Hz,2H),5.25(dd,J=15.0,5.7Hz,1H),4.51(dd,J=14.6,6.4Hz,1H),4.37(br s,1H),4.23(dd,J=14.6,5.8Hz,1H),3.55(br s,1H),3.37−3.26(m,2H),3.18(s,3H),3.14−3.09(m,1H),2.32(s,3H),2.28−2.20(m,1H),2.17−2.04(m,2H),1.90(br s,1H),1.83−1.70(m,1H),1.37(t,J=7.0Hz,3H).
アミンPTSA塩を、次に適当な量の塩基(例えば、NaOH又はメチルアミン)で処理してもよく、得られた遊離アミンを次に、実施例6−1、工程12に記載のものに類似した方法で、N,N−ジメチルオキサミン酸を用いてアシル化して、化合物6Aを得てもよく、これを、例えば実施例6−1の最後に記載した方法で、再結晶化してもよい。
実施例14
実施例13の工程15におけるエナミンの代替調製法
工程1:ケトンの生成
アルコール出発物質(4.1g、7.92mmol)を、オーバーヘッドスタラーを備えた150mLのRB中で、アセトニトリル(30mL)及び水(15mL)中に溶解した。三塩化ルテニウム三水和物(0.041g、0.158mmol)を添加し、続いて臭素酸ナトリウム(0.7g、4.64mmol)を、室温で一度に添加し、結果として18℃から25℃までの、穏やかで段階的な発熱を10分間にわたり生じた。反応混合物を室温で1時間熟成し、次に水(15mL)を添加し、スラリーを室温で30分間熟成した。次にスラリーを濾過し、60/40 水/アセトニトリル(25mL)ですすぎ、45℃の真空オーブンで、4時間乾燥して、所望のケトンを白色の結晶性固体として得た(3.3g、83%収率)。
工程2:エナミンの生成
エチルアミン(THF中2.0M、2.91mL)を、MeCN(6mL)中の、硫酸ナトリウム(331mg)及び酢酸(384mg)の混合物に添加し、得られたスラリーを、5分間熟成し、その後、MeCN(6mL)中の出発ケトン(600mg)を添加した。反応混合物を、次に35℃で3時間熟成し、室温に冷却し、濾過し、6mLに濃縮した。得られた混合物を、1M NaHCO3水溶液(40mL)に添加し、固体を濾過し、水で洗浄し、真空中で、35℃で12時間乾燥させて、黄色の固体を得た(530mg、82%収率)。1H NMR(500MHz,DMSO−d6):δ9.16(t,J=6.1Hz,1H),7.93−7.91(m,2H),7.80(t,J=7.4Hz,1H),7.65(t,J=7.5Hz,2H),7.34−7.31(dd,J=8.6,5.6Hz,2H),7.18−7.11(m,2H),5.15(br s,1H),4.79(t,J=7.7Hz,1H),4.36−4.33(m,1H),4.31(d,J=6.0Hz,2H),3.92−3.86(m,1H),3.77(dd,J=13.6Hz,4.0Hz,1H),3.26(s,3H),2.90(q,J=7.0Hz,2H),2.32−2.25(m,1H),1.89−1.84(m,1H),1.15(t,J=7.0Hz,3H).
上記の明細書は、例示を目的として提供された実施例と共に、本発明の原理を教示するものであり、本発明の実施は、以下の特許請求の範囲内にある通常の変更、応用、及び/又は修正の全てを包含する。
工程8:(6S,10S)及び(6S,10R)tert−ブチル((6,10)−2−{[(4−フルオロ−3−メチルベンジル)アミノ]カルボニル}−3−ヒドロキシ−6−メチル−4−オキソ−6,7,9,10−テトラヒドロ−4−ピリミド[1,2−d][1,4]オキサゼピン−10−イル)メチルカルバメート
工程9:(6S,10S)及び(6S,10R)−N−(4−フルオロ−3−メチルベンジル)−3−ヒドロキシ−6−メチル−10−(メチルアミノ)−4−オキソ−6,7,9,10−テトラヒドロ−4−ピリミド[1,2−d][1,4]オキサゼピン−2−カルボキサミド塩酸塩
前工程からのcis及びtransジアステレオマー混合物、(6S,10S)及び(6S,10R)tert−ブチル((6,10)−2−{[(4−フルオロ−3−メチルベンジル)アミノ]カルボニル}−3−ヒドロキシ−6−メチル−4−オキソ−6,7,9,10−テトラヒドロ−4−ピリミド[1,2−d][1,4]オキサゼピン−10−イル)メチルカルバメート(13.5g、27.5mmol)を、ジオキサン中の4M HCl(206mL)中に溶解した。30分後、沈殿した固体を濾過により収集し、真空下で乾燥させた。この固体の1H NMR分析は、標題化合物のtrans:cisジアステレオマーの3:2混合物を検出した。濾液は、主にtransジアステレオマーを含有することが判明した。ESMS:m/z=391.2(M+1)
工程10:N−((6S,10S)−2−{[(4−フルオロ−3−メチルベンジル)アミノ]カルボニル}−3−ヒドロキシ−6−メチル−4−オキソ−6,7,9,10−テトラヒドロ−4H−ピリミド[1,2−d][1,4]オキサゼピン−10−イル)−N,N’,N’−トリメチルエタンジアミド(化合物4A)、及びN−((6S,10R)−2−{[(4−フルオロ−3−メチルベンジル)アミノ]カルボニル}−3−ヒドロキシ−6−メチル−4−オキソ−6,7,9,10−テトラヒドロ−4H−ピリミド[1,2−d][1,4]オキサゼピン−10−イル)−N,N’,N’−トリメチルエタンジアミド(化合物4B)
無水ジクロロメタン(10mL)中の、前工程からのジアステレオマー混合物、(6S,10S)及び(6S,10R)−N−(4−フルオロ−3−メチルベンジル)−3−ヒドロキシ−6−メチル−10−(メチルアミノ)−4−オキソ−6,7,9,10−テトラヒドロ−4−ピリミド[1,2−d][1,4]オキサゼピン−2−カルボキサミド塩酸塩(3.5g、9.0mmol)、エチル−(ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(5.16g、26.9mmol)、1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール(3.66g、26.9mmol)、N,N−ジメチルオキサミン酸(1.58g、13.5mmol)、及びトリエチルアミン(2.56mL、44.8mmol)の溶液を、室温で18時間攪拌した。混合物を水(6X)で、そして食塩水(1X)で洗浄した。水性洗浄液を、クロロホルム(3X)で逆抽出し、合わせた有機層を、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。粗生成物を、まず、エクステラ(Xterra)(ウォーターズ(Waters))Prep MS C18 OBD 50X250mmカラム上での逆相分取HPLCにより、10−75% CH3CN/H2O(0.1% TFA)の45分間の勾配を用いて、85mL/分の流速で精製した。減圧下で濃縮して、trans:cisジアステレオマーの3:2混合物を、アモルファスな白色固体として得た。この物質を、OJ−Hカラム(キラルセル(Chiralcel))上での超臨界液体クロマトグラフィーを使用して、二酸化炭素中の15% エタノールを移動相として分離し、cis−(6S,10S)及びtrans−(6S,10R)標題ジアステレオマーを得た。最初に溶出するピークは、transジアステレオマーであり、2番目に溶出するピークは、cisジアステレオマーであった:
化合物4A−cisジアステレオマー(標題化合物、(6S,10S):1H NMR(400MHz,CDCl3):δ9.59(t,J=6.4Hz,1H);7.21(dd,J=7.5,2.1Hz,1H);7.20−7.13(m,1H);6.91(t,J=9.0Hz,1H);5.81(s,1H);4.99−4.90(m,1H);4.51(d,J=6.5Hz,2H);4.46(t,J=10.6Hz,1H);4.31(d,J=14.1Hz,1H);4.15(dd,J=11.8,2.5Hz,1H);4.05(dd,J=14.1,5.3Hz,1H);3.07(s,3H);3.02(s,3H);2.87−2.84(m,3H);2.28−2.21(m,3H);1.62(d,J=6.9Hz,3H).HRMS:ESI=490.2086(M+1);計算値490.2096(M+1).
化合物4B−transジアステレオマー(6S,10R):1H NMR(回転異性体の2:1混合物として出現)(400MHz,CDCl3):δ12.6−12.2(br m,1H);9.7−9.5(m,1H);7.2(m,2H);6.9(t,J=9.0Hz,1H);5.8−5.7(m,2H);4.5−4.1(m,5H);3.8−3.6(m,2H);3.1(s,3H);3.1(s,3H);3.0−2.8(m,3H);2.2(d,J=1.8Hz,3H);1.6−1.5(m,2H)
HRMS:ESI=490.2086(M+1);計算値490.2096(M+1).
工程2:前工程からのcis異性体、(6S,10S)tert−ブチル((6,10)−2−{[(4−フルオロ−3−メチルベンジル)アミノ]カルボニル}−3−ヒドロキシ−6−メチル−4−オキソ−6,7,9,10−テトラヒドロ−4−ピリミド[1,2−d][1,4]オキサゼピン−10−イル)メチルカルバメート(1.7g、3.5mmol)を、酢酸エチル(69mL)中に溶解し、氷浴中で攪拌しながら冷却し、この溶液を、無水HClガスで5分間にわたり飽和させた。混合物を氷浴中で1時間攪拌し、次に減圧下で濃縮した。残渣を、酢酸エチル中に溶解して酢酸エチルから濃縮することを、2回以上行ない、次いで真空下で乾燥させて、(6S,10S)−N−(4−フルオロ−3−メチルベンジル)−3−ヒドロキシ−6−メチル−10−(メチルアミノ)−4−オキソ−6,7,9,10−テトラヒドロ−4−ピリミド[1,2−d][1,4]オキサゼピン−2−カルボキサミド塩酸塩を、固体として得た。
1H NMR(399MHz,d6DMSO):δ12.45(s,1H);9.95(t,J=6.5Hz,1H);9.54(brd,J=24.7Hz,2H);7.21(m,2H);7.10(t,J=9.0Hz,1H);5.03(s,1H);4.75(td,J=6.8,2.7Hz,1H);4.47(d,J=6.4Hzm,2H);4.1(m,2H);3.88(m,2H);2.65(s,3H);2.21(d,J=1.6Hz,3H);1.53(d,J=6.8Hz,3H):ESMS:m/z=391.1(M+1).
工程3:無水N,N−ジメチルホルムアミド(32mL)中の、(6S,10S)−N−(4−フルオロ−3−メチルベンジル)−3−ヒドロキシ−6−メチル−10−(メチルアミノ)−4−オキソ−6,7,9,10−テトラヒドロ−4−ピリミド[1,2−d][1,4]オキサゼピン−2−カルボキサミド塩酸塩(1.38g、3.2mmol)、エチル−(ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(1.24g、6.5mmol)、1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール(0.44g、3.2mmol)、N,N−ジメチルオキサミン酸(0.57g、4.9mmol)、及びN−メチルモルホリン(1.42mL、12.9mmol)の溶液を、室温で18時間攪拌した。混合物を、酢酸エチル及び5%硫酸水素カリウムで希釈した。層を分離し、水層を、酢酸エチル(4X)で抽出した。合わせた有機抽出物を、食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。粗生成物を、エクステラ(ウォーターズ)Prep MS C18 OBD 50X250mmカラム上での逆相分取HPLCにより、10−75% CH3CN/H2O(0.1% TFA)の45分間の勾配を用いて、85mL/分の流速で精製した。生成物分画を合わせ、一晩凍結乾燥して、化合物4A(cis−(6S,10S)ジアステレオマー)を得た。
工程8:(6S,10S)及び(6S,10R)tert−ブチル((6,10)−6−エチル−2−{[(4−フルオロベンジル)アミノ]カルボニル}−3−ヒドロキシ−4−オキソ−6,7,9,10−テトラヒドロ−4−ピリミド[1,2−d][1,4]オキサゼピン−10−イル)メチルカルバメート
工程9:(6S,10S)−6−エチル−(4−フルオロベンジル)−3−ヒドロキシ−10−(メチルアミノ)−4−オキソ−6,7,9,10−テトラヒドロ−4−ピリミド[1,2−d][1,4]オキサゼピン−2−カルボキサミド塩酸塩
(6S,10S)tert−ブチル((6,10)−6−エチル−2−{[(4−フルオロベンジル)アミノ]カルボニル}−3−ヒドロキシ−4−オキソ−6,7,9,10−テトラヒドロ−4−ピリミド[1,2−d][1,4]オキサゼピン−10−イル)メチルカルバメート(1.8g、3.67mmol)を、HCl−ジオキサン(50mL、4M)中に溶解した。3時間後、溶媒を減圧下で濃縮し、次にメタノール及びトルエンで共沸脱水した。粗生成物を、高真空下で乾燥させ、精製することなく次の工程に使用した:
ESMS:m/z=391.2(M+1)
無水ジクロロメタン(5mL)中の、(6S,10S)6−エチル−(4−フルオロベンジル)−3−ヒドロキシ−10−(メチルアミノ)−4−オキソ−6,7,9,10−テトラヒドロ−4−ピリミド[1,2−d][1,4]オキサゼピン−2−カルボキサミド塩酸塩(200mg、0.46mmol)、EDC(99mg、0.51mmol)の攪拌溶液に、窒素下で、HOAT(70mg、0.51mmol)、N,N−ジメチルオキサミン酸(82mg、0.71mmol)、及びN−メチルモルホリン(155uL、1.4mmol)を添加した。反応を、室温で1時間攪拌し、次に1M HCl(5mL)でクエンチした。水層を、ジクロロメタン(3x20mL)で抽出した。有機層を合わせ、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。粗生成物を、逆相HPLC(C18、エクステラ)により、水:アセトニトリル(0.1% TFA含有)移動相勾配(20−70% アセトニトリル、30分間、50mL/分)を用いて精製した。濃縮により、所望の生成物をアモルファスな白色固体として得た:1H NMR(399MHz,CDCl3):δ11.90(br.s,1H);9.62(t,J=6.2Hz,1H);7.37(dd,J=8.4,5.5Hz,2H);6.98(d,J=8.6Hz,2H);5.83(m,1H);4.63(m,1H);4.54(d,J=6.4Hz,2H);4.43(t,J=10.4Hz,1H);4.21(d,J=3.3Hz,2H);4.13(dd,J=11.8,2.8Hz,1H);3.07(s,3H);3.02(s,3H);2.84(s,3H);2.07(m,1H);1.83(m,1H);1.14(t,J=7.3Hz,3H).HRMS:ESI=490.2119(M+1);計算値490.2096(M+1).
実施例5−1、工程9及び10に記載の方法に従い、実施例5−1、工程8からの(6S,10R)tert−ブチル((6,10)−6−エチル−2−{[(4−フルオロベンジル)アミノ]カルボニル}−3−ヒドロキシ−4−オキソ−6,7,9,10−テトラヒドロ−4−ピリミド[1,2−d][1,4]オキサゼピン−10−イル)メチルカルバメート異性体を用いて、N−((6S,10R)−6−エチル−2−{[(4−フルオロベンジル)アミノ]カルボニル}−3−ヒドロキシ−4−オキソ−6,7,9,10−テトラヒドロ−4H−ピリミド[1,2−d][1,4]オキサゼピン−10−イル)−N,N’,N’−トリメチルエタンジアミドを得た:
1H NMR(399MHz,CDCl3):δ11.90(br.s,1H);9.82−9.55(m,1H);7.38(dd,J=8.4,5.5Hz,2H);6.98(t,J=8.7Hz,2H);5.82−5.43(m,2H);4.62−4.20(m,4H);3.78−3.52(m,2H);3.06(s,3H);3.01(s,3H);2.87(m,3H);2.13−1.80(m,2H);0.99(t,J=7.5Hz,3H).HRMS:ESI=490.2119(M+1);計算値490.2096(M+1).