JP2012255487A - 一方向クラッチ内蔵型プーリ装置 - Google Patents

一方向クラッチ内蔵型プーリ装置 Download PDF

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Abstract

【課題】一方向クラッチ内蔵型プーリ装置1aの十分な耐久性を確保する。
【解決手段】スリーブ3aの凹孔9の開口部を、中空の本体部分17を有する、キャップ18で塞ぐ。このキャップ18の内部空間22にグリースを封入する。この内部空間22と、一方向クラッチ5を設置した円筒状空間16とを連通する様に、グリース供給路25を設ける。
【選択図】図1

Description

この発明は、例えば自動車の発電機であるオルタネータや、アイドリングストップ車用のスタータモータ等の自動車用補機の回転軸の先端部に組み付け、この回転軸と無端ベルトとの間で動力の伝達を行わせる為のプーリ装置として使用する、一方向クラッチ内蔵型プーリ装置の改良に関する。
オルタネータやスタータモータ等の自動車用補機のプーリ装置として、プーリの内径側に一方向クラッチを組み込んだ一方向クラッチ内蔵型プーリ装置が、例えば特許文献1〜6に記載されている様に従来から知られている。図2は、これら各特許文献に記載される等により従来から知られている、一方向クラッチ内蔵型プーリ装置のうち、一方向クラッチとして、ローラクラッチを採用した一方向クラッチ内蔵型プーリ装置の1例を示している。一方向クラッチ内蔵型プーリ装置1は、無端ベルトをその外周面に掛け渡す為のプーリ素子2と、オルタネータ等の回転駆動軸の先端部に固定する為のスリーブ3とを、互いに同心に配置している。
そして、このスリーブ3の外周面と前記プーリ素子2の内周面との間に、それぞれがサポート軸受である玉軸受4、4と、一方向クラッチ5とを設けている。これら両玉軸受4、4及び一方向クラッチ5を設ける為に、前記プーリ素子2の内周面は単なる円筒面とし、前記スリーブ3の外周面は、軸方向中間部の大径部6と両端部の小径部7、7とを段差部で連続させた段付の円筒面としている。
そして、前記スリーブ3の外周面とプーリ素子2の内周面との間に存在する環状空間の軸方向中間部に前記一方向クラッチ5を、同じくこの環状空間の軸方向両端寄り部分でこの一方向クラッチ5を軸方向両側から挟む位置に前記両玉軸受4、4を、それぞれ配置している。このうちの玉軸受4、4は、前記プーリ素子2と前記スリーブ3とを互いに同心に配置すると共に、これら両部材2、3の相対回転を可能とする役目を有する。尚、図示の例では、このスリーブ3の内周面のうち、一端寄り部分(図2の右側)を回転軸を内嵌固定する為のねじ孔8とし、同じく他端寄り部分(図2の左側)を前記一方向クラッチ内蔵型プーリ装置1を回転軸に取り付けるのに、工具を差し込む為の、六角孔等の、断面形状が非円形の凹孔9としている。
前記一方向クラッチ5は、外輪10と、内輪11と、カム面12と、円筒面13と、複数本のローラ14と、保持器15と、複数の板ばね(図示省略)とを備える。
前記外輪10及び前記内輪11は、軸受鋼、肌焼鋼等の硬質金属板により、全体を円筒状に構成している。このうちの外輪10は、軸方向両端部に内向鍔部を備え、前記プーリ素子2の内周面の軸方向中間部に、締り嵌めで内嵌固定している。又、前記内輪11は、前記スリーブ3の大径部6に締り嵌めで外嵌固定した状態で、前記外輪10の内径側に、この外輪10と同心に配置されている。
前記カム面12と前記円筒面13とは、前記外輪10の内周面と前記内輪11の外周面とに振り分けて形成している。このうちのカム面12は、円周方向に亙る凹凸面であって、図示の例では、前記内輪11の外周面に形成している。即ち、この内輪11の外周面にランプ部と呼ばれる軸方向の凹部を、円周方向に関して等間隔に形成している。一方、前記円筒面13は、前記外輪10の内周面に形成しており、全周に亙り内径が変化しない。尚、図示の例は、オルタネータ回転駆動用のプーリ装置に組み込むローラクラッチの如く、高速回転時にも繋がらせる事を考慮している為、前記カム面12を前記内輪11の外周面に、前記円筒面13を前記外輪10の内周面に、それぞれ形成している。これに対して、アイドリングストップ車用のスタータモータ等の自動車用補機のプーリ装置に組み込むローラクラッチの如く、高速回転時に繋がらせる必要がない、むしろ、高速回転時に各ローラ14、14の転動面と相手周面とを滑らせない方が好ましい場合には、前記カム面12を前記外輪10の内周面に、前記円筒面13を前記内輪11の外周面に、それぞれ形成する。又、特許文献7には、一方向クラッチとサポート軸受とを、径方向に関して重畳させて配置し、軸方向寸法の短縮を図った構造が記載されている。
何れの構造にしても、従来の一方向クラッチ内蔵型プーリ装置の場合、前記一方向クラッチ5の潤滑性を確保する為に、この一方向クラッチ5を設けた、前記カム面12と前記円筒面13との間の円筒状空間16にグリースを充填している。前記従来構造の場合、この円筒状空間16として、前記一方向クラッチ5を潤滑するのに十分な量のグリースを保持するのに、十分な容積を確保できない可能性がある。この為、例えばオルタネータ駆動軸用の一方向クラッチ内蔵型プーリ運転時、前記無端ベルトの走行速度が低下傾向になり、前記各ローラ14、14が前記円筒状空間16のうち、径方向寸法が広くなった部分に移動し、転動自在(オーバラン状態)となった場合に、前記各ローラ14、14の転動面と、これら各ローラ14、14がオーバラン時に滑り接触する部材(前記外輪10又は前記内輪11)との間に作用する摩擦力が大きくなり、この摩擦力に基づく発熱が著しくなる可能性がある。この様な場合には、元々少ないグリースが早期に熱劣化して、前記一方向クラッチ内蔵型プーリ装置1の耐久性が損なわれる原因になる。
特許文献5には、ローラクラッチの保持器を構成する1対のリム部の形状を工夫する事で、グリースを保持する為の空間を確保する構造が記載されている。但し、前記特許文献5に記載の構造の場合にも、各ローラの転動面と、これら各ローラがオーバラン時に滑り接触する部材との擦れ合い部に供給されるグリースは、一方向クラッチ内蔵型プーリ装置の組み立て時に、前記空間に封入された量だけである。
特公平7−72585号公報 特開平11−63170号公報 特開2002−130433号公報 特開2005−3059号公報 特開2006−266507号公報 特開2007−198582号公報 特開平10−184853号公報
本発明は、上述の様な事情に鑑みて、一方向クラッチ内蔵型プーリ装置の十分な耐久性の確保を図るべく発明したものである。
本発明の一方向クラッチ内蔵型プーリ装置は、前述した従来の一方向クラッチ内蔵型プーリ装置と同様に、スリーブと、プーリと、一方向クラッチと、サポート軸受とを備える。
このうちのスリーブは、オルタネータの回転駆動軸等の回転軸の端部周囲に外嵌固定される。
又、前記プーリは、このスリーブの周囲に、このスリーブと同心に配置される。
又、前記一方向クラッチは、これらスリーブの周面とプーリの周面との間に設けられており、このプーリが前記スリーブに対し所定方向に相対回転する傾向となる場合にのみ、これらプーリとスリーブとの間でトルクの伝達を可能としている。
又、前記サポート軸受は、前記スリーブの周面と前記プーリの周面との間に設けられ、これらスリーブとプーリとの相対回転を可能としている。
特に、本発明の一方向クラッチ内蔵型プーリ装置に於いては、前記スリーブ又は前記プーリのうち、前記回転軸の基端部が存在する軸方向一端寄り部分と反対側に位置する軸方向他端側の内部に、前記スリーブ又は前記プーリの他端側開口を塞ぐ状態で、その内部空間にグリースを充填した中空のキャップを設ける。そして、このキャップの外周壁と前記スリーブ又は前記プーリとの軸方向の一部に、前記内部空間と前記一方向クラッチを設置した空間とを連通する状態で、グリース供給路を少なくとも1個設ける。
上述の様に構成する本発明の一方向クラッチ内蔵型プーリ装置によれば、この一方向クラッチ内蔵型プーリ装置の十分な耐久性の確保を図る事ができる。即ち、キャップの内部空間に充填されたグリースが、スリーブ又はプーリの回転に基づく遠心力により、グリース供給路を介し、一方向クラッチを設置した空間に供給される事により、この一方向クラッチの潤滑性を確保できる。
本発明の実施の形態の1例を示す断面図。 従来の一方向クラッチ内蔵型プーリ装置の1例を示す断面図。
[実施の形態の1例]
図1は、本発明の実施の形態の1例を示している。尚、本発明の一方向クラッチ内蔵型プーリ装置1aの特徴は、この一方向クラッチ内蔵型プーリ装置1aの耐久性の確保の為に、一方向クラッチ5を設置した円筒状空間16に長期間に亙ってグリースを供給できる構造を実現する点にある。その他の部分の構造及び作用は、前述の図2に示した構造を含め、従来から知られている一方向クラッチ内蔵型プーリ装置と同様であるから、同等部分に関する図示並びに説明は、省略若しくは簡略にし、以下、本例の特徴部分を中心に説明する。
本例の場合、スリーブ3aのうち、オルタネータ等の回転駆動軸を内嵌固定する軸方向一端寄り部分(図1の右側)と反対側に位置する軸方向他端寄り部分(図1の左側)に形成された凹孔9の開口部を、キャップ18により塞いでいる。このキャップ18は、耐油性を有する合成樹脂、或いは銅系合金、アルミニウム系合金等の比較的軟質の金属製で、中空の本体部分17を有する。この本体部分17の外周面形状は、前記凹孔9の内周面形状に合わせて、非円形としている。又、前記本体部分17の軸方向他端部(図1の左端部)には、径方向外方に突出する鍔部19を設け、この鍔部19の一側面(図1の右側面)を、前記スリーブ3aの軸方向他端面(図1の左端面)に押し付けている。この状態で、前記本体部分17の外周面の軸方向中間部に、径方向外方に向けて突出し、周方向全周に亙って設けられた突条20と、前記スリーブ3aの内周面に、全周に亙って設けられた凹溝21とを係合させて、前記キャップ18の抜け止めを図ると共に、このキャップ18が、前記スリーブ3aと同期して回転する様にしている。
このキャップ18の本体部分17の内部空間22には、グリースを封入している。そして、この本体部分17の外周壁の一部と、前記スリーブ3aの一部とには、前記内部空間22と、前記一方向クラッチ5を設置した円筒状空間16とを連通する様に、それぞれ小通孔23、24を設け、グリース供給路25としている。
上述の様に構成する本例に記載の一方向クラッチ内蔵型プーリ装置1aの場合、前記スリーブ3aのねじ孔8に螺合固定された回転軸の回転によって、このスリーブ3aが回転するのに伴い、前記キャップ18が回転する。そして、回転に基づく遠心力が発生し、前記内部空間22内に封入されたグリースが、前記本体部分17の内周面に押し付けられる傾向となる。更に、前記回転に基づく遠心力によって、前記グリースのうち、前記小通孔23の周辺部に押し付けられたグリースが、前記グリース供給路25を通じて、前記円筒状空間16に供給される事により、この円筒状空間16に、前記一方向クラッチ5を潤滑するのに十分な量のグリースが確保される。
前記グリース供給路25を構成する小通孔23、24の断面積は、前記円筒状空間16に供給するグリースの量、前記回転軸の回転速度及び前記グリース供給路25の長さ寸法等に基づいて適切に規制する。長期間の使用により、前記内部空間22に封入されたグリースが枯渇或いは劣化した場合には、前記キャップ18を交換する事で、引き続き前記円筒状空間16にグリースを供給できる。又、上述の様なグリース供給路は、前記本体部分の外周壁及び前記スリーブの複数箇所に設けても良い。
本発明の一方向クラッチ内蔵型プーリ装置を構成する一方向クラッチは、前述した従来構造及び上述した本発明の実施の形態の1例に示した、ローラクラッチに限らない。即ち、前記一方向クラッチとして、スプラグクラッチやラチェット機構等を採用する事も可能である。更に、本発明を前述の特許文献7に記載された構造で実施する事も可能である。この場合に、中空のキャップを、プーリの端部に内嵌固定する事もできる。
1 一方向クラッチ内蔵型プーリ装置
2 プーリ素子
3、3a スリーブ
4 玉軸受
5 一方向クラッチ
6 大径部
7 小径部
8 ねじ孔
9 凹孔
10 外輪
11 内輪
12 カム面
13 円筒面
14 ローラ
15 保持器
16 円筒状空間
17 本体部分
18 キャップ
19 鍔部
20 突条
21 凹溝
22 内部空間
23 小通孔
24 小通孔
25 グリース供給路

Claims (1)

  1. 回転軸の端部周囲に固定可能なスリーブと、このスリーブの周囲にこのスリーブと同心に配置したプーリと、これらスリーブの周面とプーリの周面との間に設け、このプーリがこのスリーブに対し所定方向に相対回転する傾向となる場合にのみ、これらプーリとスリーブとの間でトルクの伝達を可能とする一方向クラッチと、このスリーブの周面と前記プーリの周面との間に設けて、これらスリーブとプーリとの相対回転を可能とするサポート軸受とを備えた一方向クラッチ内蔵型プーリ装置に於いて、前記スリーブ又は前記プーリのうち、前記回転軸の基端部が存在する軸方向一端寄り部分と反対側に位置する軸方向他端側の内部に、前記スリーブ又は前記プーリの他端側開口を塞ぐ状態で、その内部空間にグリースを充填した中空のキャップを設け、このキャップの外周壁と前記スリーブ又は前記プーリとの軸方向の一部に、前記内部空間と前記一方向クラッチを設置した空間とを連通するグリース供給路を、少なくとも1個設けた事を特徴とする一方向クラッチ内蔵型プーリ装置。
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