JP2012252229A - トナーの製造方法 - Google Patents
トナーの製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2012252229A JP2012252229A JP2011125761A JP2011125761A JP2012252229A JP 2012252229 A JP2012252229 A JP 2012252229A JP 2011125761 A JP2011125761 A JP 2011125761A JP 2011125761 A JP2011125761 A JP 2011125761A JP 2012252229 A JP2012252229 A JP 2012252229A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- toner
- particles
- resin
- wax
- mass
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Images
Abstract
【解決手段】結晶性ポリエステルを含有する結着樹脂、着色剤粒子、及びワックス粒子を有機溶剤中に溶解または分散させて樹脂組成物を調製する工程、得られた樹脂組成物を非水系媒体中に分散させて樹脂組成物の液状粒子の分散体を調製する工程、得られた液状粒子の分散体から有機溶剤を除去することによってトナー粒子を形成する工程を有するトナーの製造方法であって、該ワックス粒子はワックス成分を樹脂で被覆した粒子であり、該ワックス粒子を有機溶剤及び非水系媒体に分散させた後の該ワックス成分を被覆する該樹脂の固形分の残留率が、50質量%以上であることを特徴とするトナーの製造方法。
【選択図】図1
Description
トナーの低温定着性を改善するための一般的な方法としては、使用する結着樹脂のガラス転移温度(Tg)を低くする方法が挙げられる。しかしながら、単に結着樹脂のTgを低下させるだけでは、トナーの耐熱保存性が損なわれてしまい、低温定着性と耐熱保存性を両立させることは困難であるとされている。
そこで、トナーの低温定着性と耐熱保存性を両立させるため、シャープメルト性に優れた結晶性樹脂を結着樹脂に使用する方法が検討されている。
トナー用の結着樹脂として一般的に用いられる非晶性の樹脂は、示差走査熱量計(DSC)による測定において吸熱ピークを示さないが、結着樹脂中に結晶性樹脂を含有する場合には、DSC測定における吸熱ピークが現れる。この吸熱ピークのピーク温度は、結晶性樹脂の融点を意味している。
結晶性ポリエステル樹脂は、高分子鎖が規則的に配列した構造を有しており、融点未満の温度領域では軟化しにくく、融点を境に急激に溶融して粘度低下を起こす性質を有している。このような特性から、結晶性ポリエステル樹脂は近年特に注目されており、これを結着樹脂に用いたトナーの検討が盛んに行われている。
例えば、特許文献1では、結晶性ポリエステル樹脂を主成分とする微粒子を凝集させて形成した凝集粒子の表面に、無定形(非晶質)樹脂の微粒子を付着させ、さらにこれを融合させて得られるトナーが提案されている。しかしながら、この開示に基づいて本発明者らが検討を行ったところ、トナー中の結晶性ポリエステル樹脂のDSC測定における吸熱ピークは非常にブロードであり、この樹脂本来のシャープメルト性が有効に活用できていないことがわかった。その理由は、上記融合工程において、結晶性ポリエステル樹脂の融点以上の温度による加熱を経ることにより、結晶性が低下したためであると考えている。
また、特許文献2では、脂肪族ポリエステルを必須成分とする結晶部と非晶部から構成される樹脂の溶剤溶液を、液状または超臨界状態の二酸化炭素中に分散させて粒子を形成し、次いで前記二酸化炭素を除去することによって得られるトナーが提案されている。しかしながら、この開示に基づいて本発明者らが検討を行ったところ、樹脂の結晶部(すなわち結晶性ポリエステル)に由来するDSC測定における吸熱ピークもまたブロードであり、やはりこの樹脂本来のシャープメルト性は必ずしも有効に活用できていないことがわかった。その理由は、樹脂を有機溶剤に溶解させる工程で樹脂中の結晶部と非晶部とが互いに相溶し、結晶性ポリエステル成分の結晶性が損なわれたためであると考えている。
このように、結晶性ポリエステル樹脂を結着樹脂として用いても結晶性を保持したままトナー中に存在させることは容易ではなく、その結果、十分な低温定着効果が発揮されないばかりか、却って耐熱保存性が低下する場合もあることが明らかとなった。
このような結晶性ポリエステル樹脂を用いたトナーにおける結晶性低下の問題に対し、結晶性ポリエステル樹脂の融点を超えない温度で熱処理を施し、結晶構造を再構築しようとする試みが為されている。例えば、特許文献3には、結晶性ポリエステル樹脂と非晶性ポリエステル樹脂を含有するトナー組成物を、該組成物のDSC測定における最高吸熱ピ
ーク温度(Trm)よりも20℃以上低い温度(Tra)で加熱保持した後、(Tra)より10℃以上高く、(Trm)よりも低い温度で加熱保持する方法が提案されている。
この方法を本発明者らが特許文献2の開示に基づいて作製したトナーに応用してみたところ、樹脂の結晶性は比較的容易に向上させることができた。
ところが、こうして得られたトナーを長期間放置した後に改めて確認したところ、樹脂の結晶性に変化が生じているものが見つかった。この現象について詳細に検討を重ねたところ、放置中の環境変動の影響によってトナー中に内包させたワックスの低分子量成分が樹脂の結晶部に浸入し、結晶性ポリエステル成分の結晶構造を乱している可能性があることがわかってきた。
さらにこのトナーを耐久性の評価に供したところ、評価の進行とともに定着画像の濃度低下を引き起こす場合があることもわかった。この現象について詳細に検討を重ねたところ、問題となったトナーの場合、内包させたワックスの多くがトナー中の表面付近に分布する傾向が見られた。このことから、耐久評価によってトナー表面付近のワックスが染み出し、トナーによる部材汚染を引き起こしていたことが原因であると推察される。そして、このようなトナー中のワックスの偏在は、分散媒体である液状または超臨界状態の二酸化炭素が疎水性であるため、媒体との溶解性パラメータ(SP値)の差が小さいワックスが、粒子の形成過程で媒体側に拡散・移行しやすいことが原因と考えている。
以上説明した通り、結晶性ポリエステル樹脂本来の性能を十分に発揮させ、トナーの低温定着性と耐熱保存性を長期間安定に持続させるには未だ課題を有しており、さらに、液状または超臨界状態の二酸化炭素のような疎水性媒体中で造粒して得られるトナーにおいては、ワックスの分散性の点でも課題を有していた。
すなわち、本発明は、低温定着性と耐熱保存性を長期に渡って安定に持続させることができ、しかもワックスの表面偏在が少なく、耐久性にも優れたトナーの製造方法を提供することにある。
本発明は、結晶性ポリエステルを含有する結着樹脂、着色剤粒子、及びワックス粒子を有機溶剤中に溶解または分散させて樹脂組成物を調製する工程、得られた樹脂組成物を非水系媒体中に分散させて該樹脂組成物の液状粒子の分散体を調製する工程、得られた液状粒子の分散体から該有機溶剤を除去することによってトナー粒子を形成する工程を含むトナーの製造方法である。
本発明のトナーの製造方法(以下単に本発明の方法ともいう)において、上記トナー粒子の製造は、いわゆる「溶解懸濁法」によって行われる。
溶解懸濁法とは、上記のように樹脂等を有機溶剤中に溶解または分散させて樹脂組成物を調製し、得られた樹脂組成物を分散媒体中に分散して該樹脂組成物の液状粒子の分散体を形成した後、該液状粒子の分散体から有機溶剤を除去することによって樹脂粒子を得る方法である。
本発明において、上記結着樹脂は、結晶性ポリエステルを含有することを特徴とするが、上記溶解懸濁法を用い、結晶性ポリエステルの融点以上の加熱を行わないようにトナー粒子の製造を行うことで、トナー粒子に含有される結晶性ポリエステルの結晶性を崩すことなく、結晶性を維持した結晶性ポリエステルを含有するトナーを製造することが可能である。
本発明において、上記結着樹脂を溶解させるための有機溶剤としては、以下のものが挙げられる。アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジ−n−ブチルケトンの如きケトン系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、メトキシブチルアセテートの如きエステル系溶剤;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブの如きエーテル系溶剤;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドの如きアミド系溶剤;トルエン、キシレン、エチルベンゼンの如き芳香族炭化水素系溶剤。
本発明において、上記有機溶剤中に、上記結着樹脂を溶解させるとともに、着色剤粒子およびワックス粒子を分散させて樹脂組成物を調製する。このとき、該樹脂組成物には、必要に応じて荷電制御剤や他の添加剤を添加することができる。
そして、本発明では、上記樹脂組成物を分散媒体中に分散させて該樹脂組成物の液状粒子を調製する。分散媒体としては水系媒体を使用するのが一般的であるが、本発明においては、非水系媒体を用いて造粒を行う。
上記非水系媒体は、特に限定されないが、上記樹脂組成物の調製に用いる有機溶剤よりも高い沸点を有し、上記結着樹脂の溶解度が20質量%以下程度の貧溶媒である有機溶剤を用いることが好ましい。この場合、上記液状粒子の分散体から最初に樹脂組成物に用いた有機溶剤を除去した後、貧溶媒である有機溶剤を除去することで、トナー粒子を得ることができる。
本発明において、上記非水系媒体が、液体状態または超臨界状態の二酸化炭素を主成分とする媒体であることがより好ましい。上記「主成分とする」とは、非水系媒体中の二酸化炭素の比率が、70質量%以上であることを意味し、好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上である。
ここで、液体状態の二酸化炭素とは、二酸化炭素の相図上における三重点(温度=−57℃、圧力=0.5MPa)と臨界点(温度=31℃、圧力=7.4MPa)を通る気液境界線、臨界温度の等温線、および固液境界線に囲まれた部分の温度、圧力条件にある二酸化炭素を表す。また、超臨界状態の二酸化炭素とは、上記二酸化炭素の臨界点以上の温度、圧力条件にある二酸化炭素を表す。
本発明の方法において非水系媒体として二酸化炭素を用いた場合、上記樹脂組成物を二酸化炭素中に分散させて造粒を行った後、得られた液状粒子の分散体に有機溶剤を含まな
い二酸化炭素を導入し、液状粒子中に含まれる有機溶剤を二酸化炭素の相に抽出させながら除去を行う。有機溶剤の除去が完了した後は、圧力を開放して二酸化炭素を分離することでトナー粒子を得ることができる。この方法によれば、トナー粒子の回収を極めて簡便に行うことができ、また、使用した有機溶剤や二酸化炭素のリサイクルが可能であることから、特に好適である。
本発明において、上記ワックス成分を被覆する樹脂が固形分として一定量以上残留しているか否かは、上記ワックス粒子を有機溶剤および非水系媒体に分散させた後のワックス成分を被覆する樹脂の固形分の残留率を定量的に測定・算出することで判断する。具体的には以下のような手法を用いる。
先ず、分散処理後のワックス粒子を得るために、ワックス粒子を、実際のトナー粒子の製造に使用する有機溶剤および非水系媒体のそれぞれに分散し、所定の温度及び圧力で所定時間攪拌を行う。ここで、所定の温度、圧力および攪拌時間等の条件は、実際にトナー粒子を製造するときに有機溶剤または非水系媒体中に分散される際の温度、圧力および撹拌時間等の条件に従う。通常は、室温から40℃の温度範囲で、30分から2時間程度である。また、非水系媒体に上述した高圧状態の二酸化炭素を用いる場合の圧力は、1MPaから20MPaの範囲である。次に、有機溶剤または非水系媒体を分離して固形分として残留している残留物を回収する。回収した残留物中のワックス成分を被覆する樹脂の固形分の残留率は、後述する1H−NMRによる分析手法を用いて定量的に把握する。
また、ワックス粒子の材料となるワックス成分を被覆する樹脂を別途用意し、有機溶剤および非水系媒体中で同様の分散処理を行い、処理前後の重量変化から残留率を求めることも可能である。
本発明において、上記ワックス粒子を有機溶剤および非水系媒体に分散させた後のワックス成分を被覆する樹脂の固形分の残留率は、50質量%以上である。該残留率は、70質量%以上であることが好ましい。
このように、ワックス成分の表面を樹脂で被覆し、ワックス成分を被覆する樹脂の固形分の残留率を上記範囲に制御することにより、上記樹脂組成物による液状粒子中におけるワックス成分の分散性が向上し、非水系媒体中で造粒を行った場合においても、トナー粒子中のワックス成分の表面偏在を防止することができる。また、トナーを長期間放置した場合においても、環境変動による結着樹脂の結晶性の低下を抑制することができる。
本発明において、ワックス成分を樹脂で被覆する方法は特に限定されるものではなく、例えば、以下の方法を用いて行うことができる。
ビニル系樹脂で被覆する場合、水系媒体中に適当な分散剤の存在下でワックス成分の微粒子を分散させてエマルションを形成し、これにモノマーと重合開始剤を逐次添加し、該ワックス成分の微粒子をシードとする重合反応を進行させることによって調製することができる。
また、有機溶剤中に適当な分散剤の存在下でワックス成分の微粒子を分散させるとともに、該有機溶剤に対して難溶性の重合体を形成し得るモノマーを溶解させ、該モノマーを重合させつつワックス成分の微粒子表面に重合体を形成させることによって調製することができる。
ポリエステル、ポリウレタンの如き縮合系樹脂で被覆する場合、ワックス成分の微粒子を分散させたモノマー、オリゴマーまたはその溶剤溶液を、適当な分散剤の存在下で水性媒体に分散させ、加熱や硬化剤を添加して硬化させることにより、調製することができる
。
また、あらかじめ作製した上記樹脂を有機溶剤に溶解して樹脂溶液を調製し、この中にワックス成分の微粒子を混合した後、適当な乳化剤をさらに溶解させ、水を加えて転相乳化することにより、調製することができる。その他、あらかじめ作製した上記樹脂を有機溶剤に溶解して樹脂溶液を調製し、この中にワックス成分の微粒子を混合した後、霧状に噴霧することにより、調製することができる。
本発明において、上記ワックス成分を被覆する樹脂(以下単に被覆樹脂ともいう)は特に限定することなく通常のトナーに用いられる樹脂を用いることが可能である。ただし、上記有機溶剤および非水系媒体に対する溶解性を抑え、上記残留率に制御するために、当該被覆樹脂は架橋構造が導入されたものを用いることがより好ましい。被覆樹脂としてビニル系樹脂を選択する場合、重合時に二重結合を2つ以上有する多官能モノマーを添加することにより、架橋構造を導入することができる。また、被覆樹脂としてポリエステル樹脂を選択する場合、重合時にアルコール成分とカルボン酸成分のいずれか、あるいは両方に3官能以上の官能基を有するものを併用することにより架橋構造を導入することができる。
これらのワックスの中でも、定着時におけるトナーからの染み出し性、離型性の観点から、脂肪族炭化水素系ワックスおよびエステルワックスが特に好ましい。
前記エステルワックスとしては、1分子中にエステル結合を少なくとも1つ有しているものであればよく、天然エステルワックス、合成エステルワックスのいずれを用いてもよい。
合成エステルワックスとしては、例えば、長鎖直鎖飽和脂肪酸と長鎖直鎖飽和脂肪族アルコールから合成されるモノエステルワックスが挙げられる。長鎖直鎖飽和脂肪酸は一般式CnH2n+1COOHで表され、n=5以上、28以下のものが好ましく用いられる。また長鎖直鎖飽和脂肪族アルコールはCnH2n+1OHで表され、n=5以上、28以下のものが好ましく用いられる。また、天然エステルワックスとしては、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックスおよびその誘導体が挙げられる。
上記のうち、より好ましいワックスとしては、長鎖直鎖飽和脂肪酸と長鎖直鎖飽和脂肪族アルコールとによる合成エステルワックスもしくは、上記エステルを主成分とする天然ワックスである。さらに、上記した直鎖構造に加えてエステルがモノエステルであることがより好ましい。
上記ワックス成分は、本発明に好適に使用することのできる有機溶剤および非水系媒体に対して十分な安定性を有しており、該ワックス成分を上述の方法と同様にして有機溶剤および非水系媒体に分散させた後の固形分の残留率は、90質量%以上である。
また、上記ワックス成分は、示査走査熱量測定(DSC)によって求められる最大吸熱ピークにおいて、60℃以上、85℃以下の範囲にピーク温度を有するものであることが好ましい。ここで、上記ピーク温度は、ワックス成分の融点を示すものである。上記ピーク温度(すなわちワックス成分の融点)が60℃より低いと、ワックス成分の低分子量成分が染み出しやすく、トナーの長期放置による結着樹脂の結晶性低下に対する効果が十分に発現されないことがある。一方、85℃より高いと、定着時においてワックス成分を適
切に溶融させることが難しく、低温定着性や耐オフセット性が低下する傾向にある。より好ましくは、65℃以上、80℃以下である。
本発明において、上記ワックス成分を被覆する樹脂のガラス転移温度(Tg)は、50℃以上、80℃以下であることが好ましい。被覆樹脂のTgが50℃より低いと、ワックス成分の低分子量成分に対する被覆樹脂による遮蔽効果が低くなりやすく、トナーの長期放置による結着樹脂の結晶性低下に対する効果が十分に発現されないことがある。一方、被覆樹脂のTgが80℃より高いと、定着時においてワックス成分を適切に染み出させることが難しく、低温定着性や耐オフセット性が低下する傾向にある。より好ましくは、55℃以上、75℃以下である。
また、本発明において、ワックス粒子の体積平均粒径(Dv)は、0.10μm以上、1.00μm以下であることが好ましい。上述した通り、ワックス粒子の調製では、先ずワックス成分を微粒子化してからこれに被覆層を形成するが、このとき微粒子化を過剰に行うと均一な粒度分布を有する粒子が得られにくくなる。したがって、ワックス粒子のDvが0.10μmよりも小さい場合、樹脂による被覆効果が低下する傾向にある。一方、ワックス粒子のDvが1.00μmより大きいと、ワックス粒子の分散が不十分となりやすく、定着時においてワックス成分を適切に染み出させ難くなり、低温定着性や耐オフセット性が低下する傾向にある。より好ましくは0.20μm以上、0.60μm以下である。
さらに、本発明において、トナー粒子の形成におけるワックス粒子の添加量は、ワックス成分として、結着樹脂100.0質量部に対し、2.0質量部以上、10.0質量部以下であることが好ましい。ワックス粒子の添加量が2.0質量部より少ないと、トナーの離型性が低下する傾向にあり、定着用部材が低温になった場合に、転写紙の巻きつきが起こりやすくなる。また、10.0質量部より多い場合は、造粒性が低下して得られるトナー粒子の粒度分布はブロードなものとなりやすく、トナー粒子中のワックス粒子の内包量が低下する傾向がある。より好ましくは、結着樹脂100.0質量部に対し、3.0質量部以上、8.0質量部以下である。
さらに、上記結晶構造をとり得る部位とは、それ自体が多数集合することで高分子鎖が規則的に配列して結晶性を発現する部位であり、結晶性ポリマーを意味する。また、上記結晶構造をとり得ない部位とは、それ自体が集合しても規則的な配列は起こらずにランダムな構造をとる部位であり、非晶性ポリマーを意味する。
化学的に結合したコポリマーの例としては、ブロックポリマー、グラフトポリマー、スターポリマーが挙げられる。これらの中でも、特にブロックポリマーであることが好ましい。ブロックポリマーとは、一分子内でポリマー同士が共有結合によって結ばれたコポリマーである。すなわち、本発明に用いられる結着樹脂は、結晶構造をとり得る部位と結晶構造をとり得ない部位を結合したブロックポリマーを主成分として含有することが好ましい。
上記ブロックポリマーとしては、結晶性ポリマー(A)と非晶性ポリマー(B)とのAB型ジブロックポリマー、ABA型トリブロックポリマー、BAB型トリブロックポリマー、ABAB・・・・型マルチブロックポリマーの如き形態が挙げられる。結着樹脂にこのようなブロックポリマーを用いることで、結着樹脂中に上記結晶性ポリマー(A)の微
小なドメインを均一に形成させることができる。その結果、結晶性ポリマー(A)によるシャープメルト性がトナー全体に発現されることになり、低温定着効果を有効に発揮することができる。
以下、上記ブロックポリマーにおける、結晶性ポリマー(A)について述べる。本発明において、結晶性ポリマー(A)は、結晶性ポリエステルで構成されることが好ましい。ここで、結晶性ポリエステルとは、示査走査熱量測定(DSC)により示差熱を測定したときに明瞭な融点ピークを示すポリエステルを意味する。
本発明で用いられる結晶性ポリエステルは、アルコール成分として炭素数4以上、20以下の脂肪族ジオール、および酸成分として多価カルボン酸を原料として用いることが好ましい。脂肪族ジオールは直鎖型であることが好ましい。直鎖型であることで、より結晶性の高いポリエステルが得られる。
上記脂肪族ジオールとしては、以下の化合物が挙げられるが、これに限定されるものではない。場合によっては混合して用いることも可能である。
1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,20−エイコサンジオール。
これらの中でも、融点の観点から、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールがより好ましい。これらは単独で用いてもよく、2種類以上を混合して用いることも可能である。
また、二重結合を持つ脂肪族ジオールを用いることもできる。二重結合を持つ脂肪族ジオールとしては、以下の化合物を挙げることができる。2−ブテン−1,4−ジオール、3−ヘキセン−1,6−ジオール、4−オクテン−1,8−ジオール。
また、上記多価カルボン酸としては、芳香族ジカルボン酸および脂肪族ジカルボン酸が好ましく、中でも脂肪族ジカルボン酸がより好ましく、結晶性の観点から、特に直鎖型の脂肪族ジカルボン酸が好ましい。
脂肪族ジカルボン酸としては、以下の化合物を挙げることができるが、これに限定されるものではない。場合によっては混合して用いることも可能である。
蓚酸、マロン酸、琥珀酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,13−トリデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,16−ヘキサデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸、あるいはその低級アルキルエステルや酸無水物。
これらのうち、セバシン酸、アジピン酸、1,10−デカンジカルボン酸あるいはその低級アルキルエステルや酸無水物が好ましい。
芳香族ジカルボン酸としては、以下の化合物を挙げることができるが、これに限定されるものではない。場合によっては混合して用いることも可能である。
テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸。
これらの中でも、テレフタル酸が入手の容易性や低融点のポリマーを形成しやすいという点で好ましい。
また、二重結合を有するジカルボン酸を用いることもできる。二重結合を有するジカルボン酸は、その二重結合を利用して樹脂全体を架橋させ得る点で、定着時のホットオフセットを防ぐために好適に用いることができる。
このようなジカルボン酸としては、フマル酸、マレイン酸、3−ヘキセンジオイック酸、3−オクテンジオイック酸が挙げられる。また、これらの低級アルキルエステル、酸無水物も挙げられる。これらの中でも、コストの点で、フマル酸、マレイン酸がより好ましい。
結晶性ポリエステルの製造方法としては、特に制限はなく、酸成分とアルコール成分とを反応させる一般的なポリエステル樹脂の重合法によって製造することができる。例えば、直接重縮合法、エステル交換法を用い、モノマーの種類によって使い分けて製造することができる。
結晶性ポリエステルの製造は、重合温度180℃以上、230℃以下の間で行うのが好ましく、必要に応じて反応系内を減圧にし、縮合時に発生する水やアルコールを除去しながら反応させるのが好ましい。モノマーが、反応温度下で溶解または相溶しない場合は、高沸点の溶剤を溶解補助剤として加え溶解させるのがよい。重縮合反応においては、溶解補助溶剤を留去しながら行う。重合反応において相溶性の悪いモノマーが存在する場合は、あらかじめ相溶性の悪いモノマーとそのモノマーと重縮合予定の酸またはアルコールとを縮合させておいてから主成分とともに重縮合させるのが好ましい。
結晶性ポリエステルの製造時に使用可能な触媒としては、以下を挙げることができる。
チタンテトラエトキシド、チタンテトラプロポキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラブトキシドの如きチタン触媒。ジブチルスズジクロライド、ジブチルスズオキシド、ジフェニルスズオキシドの如きスズ触媒。
当該非晶性ポリマー(B)としては、非晶性であれば特に限定されるものではなく、トナー用樹脂として一般的に用いられる非晶性樹脂と同様のものを使用することができる。ただし、非晶性ポリマー(B)のガラス転移温度(Tg)は、50℃以上、130℃以下であることが好ましく、70℃以上、130℃以下であることがより好ましい。このような非晶性ポリマー(B)を含有することで、シャープメルトした後の定着領域におけるトナーの弾性が維持されやすくなる。
非晶性ポリマー(B)の具体例としては、ポリウレタン樹脂、非晶性ポリエステル樹脂、スチレンアクリル樹脂、ポリスチレン、スチレンブタジエン系樹脂が挙げられる。また、これら樹脂は、ウレタン、ウレア、エポキシによる変性が行われていてもよい。これらの中でも、弾性維持の観点から、非晶性ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂が好適に例示できる。 以下に、非晶性ポリマー(B)としての非晶性ポリエステル樹脂について述べる。非晶性ポリエステル樹脂の製造に使用可能なモノマーとしては、例えば、「高分子データハンドブック:基礎編」(高分子学会編:培風館)に記載されているような、従来公知の2価または3価以上のカルボン酸と、2価または3価以上のアルコールが挙げられる。これらモノマーの具体例としては、以下の通りである。
2価のカルボン酸としては、以下を挙げることができる。コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マロン酸、ドデセニルコハク酸の如き二塩基酸、およびこれらの無水物、これらの低級アルキルエステル、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸の如き脂肪族不飽和ジカルボン酸。
3価以上のカルボン酸としては、以下を挙げることができる。1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、およびこれらの無水物、これらの低級アルキルエステル。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
2価のアルコールとしては、以下を挙げることができる。ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ビスフェノールAのエチレンオキシドまたはプロピレンオキシド付加物、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール。
3価以上のアルコールとしては、以下を挙げることができる。グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
尚、酸価や水酸基価の調整の目的として、必要に応じて酢酸、安息香酸の1価の酸、シクロヘキサノール、ベンジルアルコールの1価のアルコールも使用することができる。
非晶性ポリエステル樹脂は、例えば、重縮合(化学同人)、高分子実験学(重縮合と重
付加:共立出版)、ポリエステル樹脂ハンドブック(日刊工業新聞社編)に記載の方法を用いて合成することができ、エステル交換法や直接重縮合法を単独で、または組み合わせて用いることができる。
次に、非晶性ポリマー(B)としてのポリウレタン樹脂について述べる。ポリウレタン樹脂は、ジオールとジイソシアネート基を含有する物質との反応物であり、ジオール、ジイソシアネートの調整により、各種機能性をもつ樹脂を得ることができる。
ジイソシネート成分としては、以下のものが挙げられる。炭素数(NCO基中の炭素を除く、以下同様)6以上、20以下の芳香族ジイソシアネート、炭素数2以上、18以下の脂肪族ジイソシアネート、炭素数4以上、15以下の脂環式ジイソシアネート、炭素数8以上、15以下の芳香族炭化水素ジイソシアネート、およびこれらジイソシアネートの変性物(ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基、オキサゾリドン基含有変性物。以下、変性ジイソシアネートともいう。)、並びに、これらの2種以上の混合物。
芳香族炭化水素ジイソシアネートとしては、以下のものが挙げられる。m−および/またはp−キシリレンジイソシアネート(XDI)、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート。
脂肪族ジイソシアネートとしては、以下のものが挙げられる。エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート。
脂環式ジイソシアネートとしては、以下のものが挙げられる。イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート。
これらの中でも好ましいものは、炭素数6以上、15以下の芳香族ジイソシアネート、炭素数4以上、12以下の脂肪族ジイソシアネート、および炭素数4以上、15以下の脂環式ジイソシアネート、炭素数8以上、15以下の芳香族炭化水素ジイソシアネートであり、特に好ましいものは、XDI、IPDIおよびHDIである。
また、ポリウレタン樹脂は、ジイソシアネート成分に加えて、3官能以上のイソシアネート化合物を用いることもできる。
一方、ポリウレタン樹脂に用いることのできるジオール成分としては、以下のものが挙げられる。
アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール);アルキレンエーテルグリコール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール);脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール);ビスフェノール類(ビスフェノールA);前記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド)付加物。
前記アルキレングリコール、アルキレンエーテルグリコールのアルキル部分は直鎖状であっても、分岐していてもよい。本発明においては分岐構造のアルキレングリコールも好ましく用いることができる。
尚、結着樹脂として、上記ブロックポリマーに加えて、他の非晶性樹脂を併用する場合には、上記非晶性ポリマー(B)と同様のものを使用することができる。
上記結晶性ポリマー(A)と非晶性ポリマー(B)を結合したブロックポリマーにおいて、これらを結ぶ結合形態としては、エステル結合、ウレア結合、ウレタン結合が挙げられる。これらの中でも、ウレタン結合で結合されたブロックポリマーは、シャープメルト後の定着温度領域においても適度な弾性が維持されやすく、高温オフセットを効果的に抑制することが可能となることから特に好ましい。
上記ブロックポリマーの調製方法としては、結晶性ポリマー(A)と非晶性ポリマー(B)とを別々に調製し、両者を結合する方法(二段階法)、結晶性ポリマー(A)および非晶性ポリマー(B)の原料を同時に仕込み、一度で調製する方法(一段階法)を用いることができる。
ブロックポリマーは、それぞれのポリマーの末端官能基の反応性を考慮して、種々の方
法の中から選択して合成することができる。以下に、結晶性ポリマー(A)として結晶性ポリエステルを用いた場合の、ブロックポリマーの具体的な調製例を示す。
結晶性ポリエステルと非晶性ポリエステルによるブロックポリマーの場合、各ユニットを別々に調製した後、結合剤を用いて結合することにより調製することができる。特に片方のポリエステルの酸価が高く、もう一方のポリエステルの水酸基価が高い場合は、結合剤を使う必要はなく、そのまま加熱減圧しつつ、縮合反応を進めることができる。このとき、反応温度は200℃付近で行うことが好ましい。
結合剤を使用する場合は、以下の結合剤が挙げられる。多価カルボン酸、多価アルコール、多価イソシアネート、多官能エポキシ、多酸無水物。これらの結合剤を用いて、脱水反応や付加反応によって合成することができる。
結晶性ポリエステルとポリウレタンによるブロックポリマーの場合は、各ユニットを別々に調製した後、結晶性ポリエステルのアルコール末端とポリウレタンのイソシアネート末端とをウレタン化反応させることにより調製することができる。また、アルコール末端を持つ結晶性ポリエステルおよびポリウレタンを構成するジオール、ジイソシアネートを混合し、加熱する方法でも合成が可能である。この場合、ジオールおよびジイソシアネートの濃度が高い反応初期はジオールとジイソシアネートが選択的に反応してポリウレタンとなり、ある程度分子量が大きくなった後にポリウレタンのイソシアネート末端と結晶性ポリエステルのアルコール末端とのウレタン化反応が起こり、ブロックポリマーとすることができる。
上記ブロックポリマーの効果を有効に発現するためには、結晶性ポリマーや非晶性ポリマーの単独重合体が、可能な限り結着樹脂中に存在しないことが好ましい。すなわち、ブロック化率が高いことが好ましい。
本発明の方法において、上記結着樹脂は、結晶構造を有する樹脂成分として、例えば上記結晶性ポリエステルを50質量%以上、85質量%以下含有することが好ましく、60質量%以上、80質量%以下含有することがより好ましい。結着樹脂がブロックポリマーから構成される場合は、ブロックポリマー中における結晶構造をとり得る部位、例えば上記結晶性ポリエステル部位を50質量%以上、85質量%以下含有することが好ましく、60質量%以上、80質量%以下含有することがより好ましい。結着樹脂がブロックポリマーに加えて他の非晶性樹脂を含有する場合は、ブロックポリマー中における結晶構造をとり得る部位、例えば上記結晶性ポリエステル部位を、結着樹脂の全量に対して50質量%以上、85質量%以下含有することが好ましく、60質量%以上、80質量%以下含有することがより好ましい。結着樹脂における結晶構造を有する樹脂成分の含有量が50質量%以上であることで、シャープメルト性が有効に発現されやすくなる。結着樹脂における結晶構造を有する樹脂成分の含有量が50質量%よりも少ないと、シャープメルト性が有効に発現されにくくなるとともに、上記ブロックポリマー中における結晶構造をとり得ない部位としての非晶性ポリマーや、別途添加する非晶性樹脂のガラス転移温度(Tg)の影響を受けやすくなる。
一方、上記結着樹脂は、非晶性樹脂成分を15質量%以上、50質量%以下含有することが好ましい。結着樹脂がブロックポリマーから構成される場合は、ブロックポリマー中における結晶構造をとり得ない部位としての非晶性ポリマーの含有量が15質量%以上、50質量%以下であることが好ましい。結着樹脂がブロックポリマーに加えて他の非晶性樹脂を含有する場合は、上記非晶性ポリマーと上記非晶性樹脂の含有量の合計が、結着樹脂の全量に対して15質量%以上、50質量%以下であることが好ましい。結着樹脂における非晶性樹脂成分の含有量が15質量%以上であることで、シャープメルト後の弾性の維持が良好になる。結着樹脂における上記非晶性樹脂成分の含有量が15質量%よりも少ないと、トナーがシャープメルトした後の弾性の維持が難しくなる傾向にあり、高温オフセットが発生する恐れがある。より好ましくは、20質量%以上、40質量%以下である。
本発明の方法に用いられるブロックポリマーの示査走査熱量測定(DSC)における最大吸熱ピークのピーク温度は、50℃以上、80℃以下であることが好ましい。ここで、
上記最大吸熱ピークは、結晶構造をとり得る部位、例えば上記結晶性ポリエステルに由来するものであり、ピーク温度は結晶構造をとり得る部位、例えば上記結晶性ポリエステルの融点を示している。
上記最大吸熱ピークのピーク温度が50℃よりも低いと、得られたトナーの低温定着性には有利となるが、トナーの耐熱保存性は低下する傾向にある。また、最大吸熱ピークのピーク温度が80℃よりも大きいと、優れた耐熱保存性を示すが、低温定着性は低下する傾向にある。すなわち、使用するブロックポリマーのDSC測定における最大吸熱ピークのピーク温度が50℃以上、80℃以下であることで、低温定着性と耐熱保存性を両立させることができる。より好ましくは、55℃以上、75℃以下である。
さらに、本発明の方法において、結着樹脂は、テトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定によって求められる数平均分子量(Mn)が、8,000以上、30,000以下、重量平均分子量(Mw)が、15,000以上、60,000以下であることが好ましい。
数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)が上記範囲にあることで、トナーに適度な粘弾性を付与することが可能である。Mnが8,000、Mwが15,000よりも小さいと、トナーが軟らかくなりすぎ、耐熱保存性が低下する傾向にある。また、定着画像からトナーが剥離しやすくなる。一方、Mnが30,000、Mwが60,000よりも大きいと、トナーが硬くなりすぎ、低温定着性が低下する傾向にある。上記Mnのより好ましい範囲は、10,000以上、20,000以下であり、Mwのより好ましい範囲は、20,000以上、50,000以下である。
さらに、前記MnとMwの比(Mw/Mn)は、6以下であることが好ましい。Mw/Mnの値が6を超える場合、結着樹脂に含有される結晶性ポリエステルの結晶性が低く、DSC測定における吸熱ピークはブロードなものとなる。Mw/Mnのより好ましい範囲は、3以下である。
イエロー用着色剤としては、以下のものが挙げられる。縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アンスラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合物。具体的には、C.I.ピグメントイエロー12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、109、110、111、128、129、147、168、180が好適に用いられる。
マゼンタ用着色剤としては、以下のものが挙げられる。縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アンスラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物。具体的には、C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、144、146、166、169、177、184、185、202、206、220、221、254が好適に用いられる。
シアン用着色剤としては、以下のものが挙げられる。銅フタロシアニン化合物およびその誘導体、アンスラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物。具体的には、C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、66が好適に用いられる。
これらの着色剤は単独または混合し、さらには固溶体の状態で用いることができる。また、使用する着色剤は、色相角、彩度、明度、耐光性、OHP透明性、トナー組成物中での分散性の点から選択される。
前記着色剤は、好ましくはトナー組成物中の結着樹脂100質量部に対し、1質量部以上、20質量部以下添加して用いられる。黒色用着色剤としてカーボンブラックを用いる場合も同様に、1質量部以上、20質量部以下添加して用いることが好ましい。
本発明で用いられる着色剤粒子は、上記着色剤を、上記結着樹脂を溶解させるための有機溶剤に公知の方法で分散させることにより調製することが可能である。
また、黒色用着色剤として磁性粉体を用いる場合、その添加量はトナー組成物中の結着樹脂100質量部に対し、40質量部以上、150質量部以下であることが好ましい。
荷電制御剤としては、公知のものが利用でき、特に帯電スピードが速く、かつ、一定の帯電量を安定して維持できる荷電制御剤が好ましい。
得られるトナーを負荷電性に制御する荷電制御剤としては、有機金属化合物、キレート化合物が有効であり、モノアゾ金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、芳香族オキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸、オキシカルボン酸およびダイカルボン酸系の金属化合物が挙げられる。これら荷電制御剤は単独で或いは2種類以上組み合わせて用いることができる。
荷電制御剤を使用する場合の好ましい配合量は、結着樹脂100.0質量部に対して0.01質量部以上、10.0質量部以下、より好ましくは0.5質量部以上、5.0質量部以下である。
まず、結晶性ポリエステルを含む結着樹脂、着色剤粒子、およびワックス粒子、並びに必要に応じて他の添加物を、結晶性ポリエステルを含む結着樹脂を溶解することのできる有機溶剤とともに、ホモジナイザー、ボールミル、コロイドミル、超音波分散機の如き分散機を用いて均一に溶解または分散させて樹脂組成物を調製する。次に、得られた樹脂組成物を、容器内に満たした液体状態または超臨界状態の二酸化炭素中に分散して、該樹脂組成物の液状粒子の分散体を調製する。
このとき、上記液体状態または超臨界状態の二酸化炭素中には、分散剤を分散させて造粒を行うことが好ましい。分散剤としては、無機あるいは有機の微粒子状物質が挙げられ、目的に応じて単独あるいは2種以上を併用して用いられる。すなわち、分散剤としては、無機微粒子分散剤、有機微粒子分散剤、又は、それらの混合物のいずれであってもよい。
上記無機微粒子分散剤としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化亜鉛、チタニア、酸化カルシウムの無機微粒子が挙げられる。
上記有機微粒子分散剤としては、例えば、ビニル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、エステル樹脂、ポリアミド、ポリイミド、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン系樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリカーボネート、セルロースの微粒子およびこれらの混合物が挙げられる。
分散剤として樹脂の微粒子を用いる場合、非晶性樹脂の微粒子を使用すると、液体状態または超臨界状態の二酸化炭素が前記樹脂中に溶解して可塑化させ、樹脂のガラス転移温度(Tg)を低下させるため、トナー粒子同士が凝集しやすくなる。したがって、上記樹脂の微粒子には結晶性を有する樹脂を使用することが好ましく、非晶性樹脂を用いる場合には、架橋構造を導入することが好ましい。また、非晶性樹脂微粒子を結晶性樹脂で被覆した微粒子であってもよい。
上記分散剤は、そのまま用いても良いが、上記樹脂組成物による液状粒子の表面への吸着性を持たせるため、各種処理によって表面改質されていてもよい。具体的には、例えばシラン系、チタネート系、アルミネート系のカップリング剤による表面処理や、各種界面活性剤による表面処理、ポリマーによるコーティング処理が挙げられる。
上記液状粒子の表面に吸着した分散剤は、トナー粒子形成後もそのまま残留するため、
分散剤として樹脂の微粒子を用いた場合には、樹脂の微粒子で表面が被覆されたトナー粒子を形成することができる。このとき、微粒子の粒径は、体積平均粒径(Dv)で0.03μm以上、0.30μm以下であることが好ましい。より好ましくは、0.05μm以上、0.10μm以下である。微粒子の粒径が小さ過ぎる場合、造粒時の液状粒子の安定性が低下する傾向にある。大き過ぎる場合は、液状粒子の粒径を所望の大きさに制御することが困難になる。
また、微粒子の配合量は、上記トナー粒子を構成する材料の溶解液中に含まれる固形分量に対して3.0質量部以上、15.0質量部以下であることが好ましく、液状粒子の安定性や所望する粒径に合わせて適宜調整することができる。
本発明の方法に使用するトナー粒子の製造において、上記分散剤を液体状態または超臨界状態の二酸化炭素中に分散させる方法は、如何なる方法を用いてもよい。具体例としては、上記分散剤と液体状態または超臨界状態の二酸化炭素を容器内に仕込み、撹拌や超音波照射により直接分散させる方法が挙げられる。また、液体状態または超臨界状態の二酸化炭素を仕込んだ容器に、上記分散剤を有機溶剤に分散させた分散液を、高圧ポンプを用いて導入する方法が挙げられる。
また、上記樹脂組成物を液体状態または超臨界状態の二酸化炭素からなる分散媒体中に分散させる方法は、いかなる方法を用いてもよい。具体例としては、上記分散剤を分散させた状態の液体状態または超臨界状態の二酸化炭素を入れた容器に、上記樹脂組成物を、高圧ポンプを用いて導入する方法が挙げられる。また、上記樹脂組成物を仕込んだ容器に、上記分散剤を分散させた状態の液体状態または超臨界状態の二酸化炭素を導入してもよい。
上記した液体状態または超臨界状態の二酸化炭素による分散媒体は、単一相であることが好ましい。上記樹脂組成物を液体状態または超臨界状態の二酸化炭素中に分散させて造粒を行う場合、液状粒子中の有機溶剤の一部は分散体中に移行する。このとき、二酸化炭素を含む相の他に、有機溶剤の相が分離した状態で存在することは、液状粒子の安定性が損なわれる原因となり好ましくない。したがって、上記分散媒体の温度や圧力、液体状態または超臨界状態の二酸化炭素に対する上記溶解液の量は、二酸化炭素と有機溶剤とが均一相を形成し得る範囲内に調整することが好ましい。
また、上記分散媒体の温度および圧力については、造粒性(液状粒子の形成のし易さ)や上記樹脂組成物中の構成成分の上記分散媒体への溶解性にも注意が必要である。例えば、上記樹脂組成物中の樹脂、ワックス成分及びワックス成分を被覆するための樹脂は、温度条件や圧力条件によっては、上記分散媒体に溶解することがある。通常、低温、低圧になるほど上記成分の分散媒体への溶解性は抑制されるが、形成した油滴が凝集・合一を起こし易くなり、造粒性は低下する。一方、高温、高圧になるほど造粒性は向上するものの、上記成分が上記分散媒体に溶解し易くなる傾向を示す。
さらに、上記分散媒体の温度については、結着樹脂に含まれる結晶性ポリエステルの結晶性が損なわれないよう、結晶性ポリエステルの融点よりも低い温度であることが好ましい。したがって、本発明のトナー粒子の製造において、上記分散媒体の温度は10℃以上、40℃以下の温度範囲であることが好ましい。
また、上記分散媒体を形成する容器内の圧力は、1MPa以上、20MPa以下であることが好ましく、2MPa以上、15MPa以下であることがより好ましい。尚、本発明における圧力とは、分散媒体中に二酸化炭素以外の成分が含まれる場合には、その全圧を示す。
本発明における分散媒体中の二酸化炭素の比率は、通常70質量%以上、好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上である。
こうして造粒が完了した後、液状粒子中に残留している有機溶剤を、液体状態または超臨界状態の二酸化炭素による分散媒体を介して除去する。具体的には、液状粒子が分散された上記分散媒体にさらに液体状態または超臨界状態の二酸化炭素を混合して、残留する有機溶剤を二酸化炭素の相に抽出し、この有機溶剤を含む二酸化炭素を、さらに液体状態または超臨界状態の二酸化炭素で置換することによって行う。
上記分散媒体と上記液体状態または超臨界状態の二酸化炭素の混合は、上記分散媒体に、これよりも高圧の液体状態または超臨界状態の二酸化炭素を加えてもよく、また、上記分散媒体を、これよりも低圧の液体状態または超臨界状態の二酸化炭素中に加えてもよい。
そして、有機溶剤を含む二酸化炭素をさらに液体状態または超臨界状態の二酸化炭素で置換する方法としては、容器内の圧力を一定に保ちつつ、液体状態または超臨界状態の二酸化炭素を流通させる方法が挙げられる。このとき、形成されるトナー粒子は、フィルターで補足しながら行う。
上記液体状態または超臨界状態の二酸化炭素による置換が十分でなく、分散媒体中に有機溶剤が残留した状態であると、得られたトナー粒子を回収するために容器を減圧する際、上記分散媒体中に溶解した有機溶剤が凝縮してトナー粒子が再溶解したり、トナー粒子同士が合一したりするといった不具合が生じる場合がある。したがって、上記液体状態または超臨界状態の二酸化炭素による置換は、有機溶剤が完全に除去されるまで行う必要がある。流通させる液体状態または超臨界状態の二酸化炭素の量は、上記分散媒体の体積に対して1倍以上、100倍以下が好ましく、さらに好ましくは1倍以上、50倍以下、最も好ましくは1倍以上、30倍以下である。
容器を減圧し、トナー粒子が分散した液体状態または超臨界状態の二酸化炭素を含む分散体からトナー粒子を取り出す際は、一気に常温、常圧まで減圧してもよいが、独立に圧力制御された容器を多段に設けることによって段階的に減圧してもよい。減圧速度は、トナー粒子が発泡しない範囲で設定することが好ましい。
さらに本発明においては、取り出したトナー粒子に対して、結晶性ポリエステルの融点よりも低い温度条件にて熱処理を施すことが好ましい。本発明では、以後この熱処理をアニール処理と称する。
一般に、結晶性樹脂は、アニール処理を施すことによって結晶性が高まることが知られている。その原理は以下のように考えられている。すなわち、結晶性材料にアニール処理を行うと、その熱によって高分子鎖の分子運動性がある程度高くなるために、高分子鎖がより安定な構造、すなわち規則的な結晶構造へと再配向することで、結晶化が起こるというものである。結晶性材料の融点以上の温度で処理した場合には、高分子鎖は再配向に必要なエネルギーよりも高いエネルギーを得ることになるため、再結晶化は起こらない。
したがって、本発明におけるアニール処理は、トナー中の結晶性ポリエステルの分子運動を可能な限り活発化させるため、結晶性ポリエステルの融点に対して、限られた温度範囲内で行うことが重要である。具体的には、得られたトナー粒子について昇温速度10.0℃/minの条件でDSC測定を行って結晶性ポリエステルに由来する吸熱ピーク温度を求め、このピーク温度から15℃差し引いた温度以上、5℃差し引いた温度以下でアニール処理を行うことが好ましい。より好ましくは、上記ピーク温度から10℃差し引いた温度以上、5℃差し引いた温度以下の温度範囲である。
また、アニール処理時間は、トナー中の結晶性ポリエステルの割合や種類、結晶状態によって適宜調整可能であるが、通常は1時間以上、50時間以下の範囲で行うことが好ましい。アニール時間が1時間に満たない場合は、再結晶化の効果は得られにくい。一方、50時間を超えるアニール処理を行っても、それ以上の効果は期待できない。より好ましくは、2時間以上、24時間以下の範囲である。
尚、本発明において、アニール処理は、トナー粒子の形成工程後であれば、どの段階で行ってもよい。
上記無機微粉体としては、シリカ微粉体、酸化チタン微粉体、アルミナ微粉体またはそれらの複合酸化物微粉体の如き微粉体が挙げられる。これらの無機微粉体の中でも、シリカ微粉体および酸化チタン微粉体が好ましい。
シリカ微粉体としては、ケイ素ハロゲン化物の蒸気相酸化により生成された乾式シリカまたはヒュームドシリカ、および水ガラスから製造される湿式シリカが挙げられる。無機微粉体としては、表面およびシリカ微粉体の内部にあるシラノール基が少なく、またNa2O、SO3 2−の少ない乾式シリカの方が好ましい。また乾式シリカは、製造工程において、塩化アルミニウム、塩化チタン他の如き金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによって製造された、シリカと他の金属酸化物の複合微粉体であっても良い。
また、無機微粉体としては、無機微粉体自体が疎水化処理されることによって、トナーの帯電量の調整、環境安定性の向上、高湿環境下での特性の向上を達成することができるので、疎水化処理された無機微粉体が用いられることがより好ましい。トナーに外添された無機微粉体が吸湿すると、トナーとしての帯電量が低下し、現像性や転写性の低下が生じ易くなる。
無機微粉体の疎水化処理の処理剤としては、未変性のシリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、未変性のシリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シラン化合物、シランカップリング剤、その他有機ケイ素化合物、有機チタン化合物が挙げられる。これらの処理剤は単独で或いは併用して用いられても良い。
その中でも、シリコーンオイルにより処理された無機微粉体が好ましい。より好ましくは、無機微粉体をカップリング剤で疎水化処理すると同時或いは処理した後に、シリコーンオイルにより処理したシリコーンオイル処理された疎水化処理無機微粉体が高湿環境下でもトナーの帯電量を高く維持し、選択現像性を低減する上でよい。
上記無機微粉体の添加量は、トナー粒子100質量部に対して、0.1質量部以上、4.0質量部以下であることが好ましく、より好ましくは0.2質量部以上、3.5質量部以下である。
本発明の方法を用いて製造されたトナーは、重量平均粒径(D4)が、3.0μm以上、8.0μm以下であることが好ましい。さらに好ましくは、5.0μm以上、7.0μm以下である。このような重量平均粒径(D4)のトナーを用いることは、トナーのハンドリング性を良好にしつつ、ドットの再現性を十分に満足する上で好ましい。
さらに、得られたトナーの重量平均粒径(D4)と個数平均粒径(D1)の比(D4/D1)は、1.25以下であることが好ましい。より好ましくは1.20以下である。
<トナーの重量平均粒径(D4)、及び個数平均粒径(D1)の測定方法>
本発明において、トナーの重量平均粒径(D4)および個数平均粒径(D1)は、以下のようにして算出する。
測定装置としては、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)を用いる。測定条件の設定および測定データの解析は、付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いる。尚、測定は実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで行う。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
尚、測定、解析を行う前に、以下のように前記専用ソフトの設定を行う。
前記専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更」画面において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。「閾値/ノイズレベルの測定ボタン」を押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、「測定後のアパーチャーチューブのフラッシュ」にチェックを入れる。
前記専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定」画面において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、専用ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispersion System Tetora150」(日科機バイオス社製)を準備する。超音波分散器の水槽内に約3.3lのイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンNを約2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の、液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてト尚分散した前記(5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)および個数平均粒径(D1)を算出する。尚、前記専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、「分析/体積統計値(算術平均)」画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)であり、前記専用ソフトでグラフ/個数%と設定したときの、「分析/個数統計値(算術平均)」画面の「平均径」が個数平均粒径(D1)である。
本発明において、トナー、結晶性ポリエステル、ブロックポリマーの最大吸熱ピークのピーク温度(Tp)は、示査走査熱量計DSC Q1000(TA Instruments社製)を使用して以下の条件にて測定を行う。
昇温速度 :10℃/min
測定開始温度:20℃
測定終了温度:180℃
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
具体的には、試料約5mgを精秤し、銀製のパンの中に入れ、一回測定を行う。リファレンスとしては銀製の空パンを用いる。そのときの最大吸熱ピークのピーク温度をTpとする。ここで、最大吸熱ピークとは、ピークが複数あった場合に、吸熱量が最大となるピークのことである。
本発明において、用いられるブロックポリマー等における結晶構造をとり得る部位(例えば、結晶性ポリエステル)の含有量(質量基準)は、1H−NMRにより、以下の条件
にて測定する。
測定装置 :FT NMR装置 JNM−EX400(日本電子社製)
測定周波数:400MHz
パルス条件:5.0μs
周波数範囲:10500Hz
積算回数 :64回
測定温度 :30℃
試料(ブロックポリマー)50mgを内径5mmのサンプルチューブに入れ、溶媒として重クロロホルム(CDCl3)を添加し、これを40℃の恒温槽内で溶解させて測定試料を調製する。当該測定試料を上記条件にて測定し、1H−NMRチャートを得る。得られた1H−NMRチャートより、結晶性ポリエステルの構成要素に帰属されるピークの中から、他の構成要素に帰属されるピークとは独立したピークを選択し、このピークの積分値S1を算出する。同様に、非晶性ポリマーの構成要素に帰属されるピークの中から、他の構成要素に帰属されるピークとは独立したピークを選択し、このピークの積分値S2を算出する。結晶性ポリエステルの含有量(モル%)は、上記積分値S1および積分値S2を用いて、以下のようにして求める。尚、n1、n2は、着眼したピークが帰属される構成要素に於ける水素の数である。
結晶性ポリエステルの含有量(モル%)={(S1/n1)/((S1/n1)+(S2/n2))}×100
こうして得られた含有量(モル%)の値は、各成分の分子量から「質量%」に換算される。
本発明において、用いられるワックス粒子を被覆する樹脂のガラス転移温度(Tg)は、示査走査熱量計DSC Q1000(TA Instruments社製)を用いて以下の条件にて測定する。
測定モード:モジュレーションモード
昇温速度:2℃/min
モジュレーション温度振幅:±0.6℃/min
周波数:1回/min
測定開始温度:20℃
測定終了温度:150℃
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
具体的には、試料約5mgを精秤し、銀製のパンの中に入れ、リファレンスとして空の銀製のパンを用い、測定する。測定は1回のみで、得られた昇温時のリバーシングヒートフロー曲線から、吸熱を示す曲線と前後のベースラインとの接線を描き、それぞれの接線の交点を結ぶ直線の中点を求めて、これをガラス転移温度とする。
本発明において、用いられるワックス粒子中のワックス成分の融点は、DSC Q1000(TA Instruments社製)を使用して以下の条件にて測定する。
昇温速度:10℃/min
測定開始温度:20℃
測定終了温度:180℃
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
具体的には、試料約2mgを精秤し、銀製のパンの中に入れ、リファレンスとして空の銀製のパンを用い、測定する。測定は、一度200℃まで昇温させ、続いて30℃まで降温し、その後に再度昇温を行う。この2度目の昇温過程で、温度30℃から200℃の範
囲におけるDSC曲線の最大の吸熱ピークを示す温度をワックスの融点とする。上記最大吸熱ピークとは、ピークが複数存在する場合には、最も吸熱量の大きいピークをいう。
本発明において、用いられるワックス粒子を有機溶剤および非水系媒体中に分散させた後のワックス成分を被覆する樹脂(以下、単に被覆樹脂という)の固形分の残留率は、1H−NMRにより、以下の条件にて測定する。
測定装置 :FT NMR装置 JNM−EX400(日本電子社製)
測定周波数:400MHz
パルス条件:5.0μs
周波数範囲:10500Hz
積算回数 :64回
測定温度 :30℃
試料として、分散処理前のワックス粒子50mgを内径5mmのサンプルチューブに入れ、溶媒として重クロロホルム(CDCl3)を添加し、これを40℃の恒温槽内で溶解させて測定試料を調製する。当該測定試料を上記条件にて測定し、1H−NMRチャートを得る。得られた1H−NMRチャートより、被覆樹脂に帰属されるピークの中からワックス成分に帰属されるピークの干渉を受けないピークを選択する。そして、選択した被覆樹脂に帰属されるピークの積分値SP1、およびCDCl3中に内部標準として添加されているテトラメチルシラン(TMS)のピークの積分値SR1を算出する。
次に、分散処理後のワックス粒子についても同様の測定を行う。このとき、試料の採取量は、分散処理による溶出分を考慮して、分散処理前後の重量変化から求めたワックス粒子全体の固形分の残留率を乗じた量とする。そして、得られた1H−NMRチャートから、同様にして被覆樹脂に帰属されるピークの積分値SP2、TMSのピークの積分値SR2を算出する。
被覆樹脂の固形分の残留率は、上記積分値SP1、SR1、SP2、およびSR2を用いて、以下のようにして求める。
被覆樹脂の固形分の残留率(質量%)={(SP2/SR2)/(SP1/SR1)}×100
本発明において、樹脂のテトラヒドロフラン(THF)可溶分の数平均分子量(Mn)、および重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、以下のようにして測定する。
(1)測定試料の作製
樹脂(試料)とTHFとを約0.5乃至5mg/ml(例えば約5mg/ml)の濃度で混合し、室温にて数時間(例えば5乃至6時間)放置した後、充分に振とうし、THFと試料を試料の合一体がなくなるまで良く混ぜた。さらに、室温にて12時間以上(例えば24時間)静置した。この時、試料とTHFの混合開始時点から、静置終了の時点までの時間が24時間以上となるようにした。
その後、サンプル処理フィルター(ポアサイズ0.45乃至0.5μm、マイショリディスクH−25−2[東ソー社製]、エキクロディスク25CR[ゲルマン サイエンスジャパン社製]が好ましく利用できる。)を通過させたものをGPCの試料とした。
(2)試料の測定
40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定化させ、この温度に於けるカラムに、溶媒としてTHFを毎分1mlの流速で流し、試料濃度を0.5乃至5mg/mlに調整した樹脂のTHF試料溶液を50乃至200μl注入して測定した。
試料の分子量測定にあたっては、試料の有する分子量分布を数種の単分散ポリスチレン標準試料により作製された検量線の対数値とカウント数との関係から算出した。
検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、Pressure Chemical
Co.製或いは東洋ソーダ工業社製の、分子量が6.0×102、2.1×103、4.0×103、1.75×104、5.1×104、1.1×105、3.9×105、8.6×105、2.0×106、4.48×106のものを用いた。また、検出器にはRI(屈折率)検出器を用いた。
尚、カラムとしては、1×103乃至2×106の分子量領域を適確に測定する為に、市販のポリスチレンゲルカラムを下記のように複数組み合わせて用いた。本発明における、GPCの測定条件は以下の通りである。
[GPC測定条件]
装置:LC−GPC 150C(ウォーターズ社製)
カラム:ショウデックスKF801、802、803、804、805、806、807(昭和電工株式会社製)の7連
カラム温度:40℃
移動相:THF(テトラヒドロフラン)
本発明において、ワックス粒子および樹脂微粒子の体積平均粒径(Dv)は、マイクロトラック粒度分布測定装置HRA(X−100)(日機装社製)を用い、0.001μm乃至10μmのレンジ設定で測定を行い、体積平均粒径(μm)として測定する。尚、希釈溶媒としては水を選択する。
<結晶性ポリエステル1の合成>
加熱乾燥した二口フラスコに、窒素を導入しながら以下の原料を仕込んだ。
・セバシン酸 136.2質量部
・1,4−ブタンジオール 63.8質量部
・酸化ジブチルスズ 0.1質量部
減圧操作により系内を窒素置換した後、180℃にて6時間攪拌を行った。その後、攪拌を続けながら減圧下にて230℃まで徐々に昇温し、さらに2時間保持した。粘稠な状態となったところで空冷し、反応を停止させることで、結晶性ポリエステル1を合成した。得られた結晶性ポリエステル1は、数平均分子量(Mn)が5,100、重量平均分子量(Mw)が11,500、最大吸熱ピークのピーク温度(Tp)が66℃であった。
<結晶性ポリエステル2の合成>
結晶性ポリエステル1の合成において、原料の仕込みを以下のように変えた以外はすべて同様にして、結晶性ポリエステル2を合成した。得られた結晶性ポリエステル2は、Mnが5,000、Mwが11,600、Tpが61℃であった。
・セバシン酸 111.7質量部
・アジピン酸 21.9質量部
・1,4−ブタンジオール 66.4質量部
・酸化ジブチルスズ 0.1質量部
<結晶性ポリエステル3の合成>
結晶性ポリエステル1の合成において、原料の仕込みを以下のように変えた以外はすべて同様にして、結晶性ポリエステル3を合成した。得られた結晶性ポリエステル3は、Mnが4,600、Mwが10,500、Tpが74℃であった。
・テトラデカン二酸 134.0質量部
・1,6−ヘキサンジオール 66.0質量部
・酸化ジブチルスズ 0.1質量部
<結晶性ポリエステル4の合成>
結晶性ポリエステル1の合成において、原料の仕込みを以下のように変えた以外はすべて同様にして、結晶性ポリエステル4を合成した。得られた結晶性ポリエステル4は、Mnが5,100、Mwが10,700、Tpが87℃であった。
・ドデカン二酸 116.5質量部
・1,10−デカンジオール 83.5質量部
・酸化ジブチルスズ 0.1質量部
・結晶性ポリエステル1 210.0質量部
・キシリレンジイソシアネート(XDI) 56.0質量部
・シクロヘキサンジメタノール(CHDM) 34.0質量部
・テトラヒドロフラン(THF) 300.0質量部
撹拌装置および温度計を備えた反応容器中に、窒素置換をしながら上記材料を仕込んだ。50℃まで加熱し、15時間かけてウレタン化反応を施した。その後、ターシャリーブチルアルコール3.0質量部を添加し、イソシアネート末端を修飾した。溶媒であるTHFを留去し、ブロックポリマー1を得た。得られたブロックポリマー1の物性を表2に示す。
<ブロックポリマー2乃至8の合成>
ブロックポリマー1の合成において、使用する材料、配合量を表1に示す条件に変えた以外はすべて同様にして、ブロックポリマー2乃至8を合成した。得られたブロックポリマー2乃至8の物性を表2に示す。
撹拌装置を備えたビーカーに、アセトン500.0質量部、ブロックポリマー1の500.0質量部を投入し、完全に溶解するまで撹拌を続け、固形分量50質量%のブロックポリマー樹脂溶液1を調製した。
<ブロックポリマー樹脂溶液2乃至8の調製>
ブロックポリマー樹脂溶液1の調製において、ブロックポリマー1をブロックポリマー2乃至8に変えた以外はすべて同様にして、ブロックポリマー樹脂溶液2乃至8を調製した。
撹拌装置および温度計を備えた反応容器に、パラフィンワックス1(HNP−11:融点67℃、日本精蝋製)200.0質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム20.0質量部を仕込み、80℃にて加熱溶融させた後、回転数200rpmで撹拌を加えながら、95乃至100℃の熱水250.0質量部を徐々に加えて乳化した。さらに、65乃至70℃の温湯197.0質量部を加えて希釈し、室温まで冷却して、体積平均粒径0.25μmのワックスのエマルション(固形分30.0質量%)を得た。
次いで、上記ワックスのエマルションの温度を60℃に昇温し、過硫酸アンモニウム1.0質量部を仕込んだ後、撹拌下(回転数:200rpm)でスチレン112.0質量部、アクリル酸ブチル21.0質量部、ジビニルベンゼン1.3質量部の混合液を4時間かけて滴下し、重合させた。さらに1.0%の過硫酸アンモニウム水溶液50.0質量部を加え、65℃で4時間熟成した後、室温まで冷却し、表面にビニル系樹脂による被覆層を有するワックス粒子1の水分散体を得た。
得られたワックス粒子1の体積平均粒径を測定したところ、0.30μmであった。次いで、上記水分散体からワックス粒子1の一部を取り出し、温度25℃のアセトン中で2時間の分散処理を行った後、1H−NMRにより被覆樹脂の固形分の残留率を求めたところ、88質量%であった。
さらに、上記ワックス粒子1を、撹拌翼を備えたオートクレーブに投入し、二酸化炭素を導入して温度25℃、圧力5MPaの条件で2時間の分散処理を行った後、同様に被覆
樹脂の固形分の残留率を求めたところ、92質量%であった。
残ったワックス粒子1の水分散体は、全量をろ過してワックス粒子1を分離した後、アセトン中に再分散させて固形分40.0質量%のワックス粒子分散液1を調製した。
<ワックス粒子分散液2乃至4の調製>
ワックス粒子分散液1の調製において、使用するワックスを表3に示すものに変えた以外はすべて同様にしてワックス粒子2乃至4の水分散体を調製し、同様にして固形分量40.0質量%のワックス粒子分散液2乃至4を調製した。得られたワックス粒子2乃至4の体積平均粒径、ワックス粒子2乃至4を温度25℃のアセトン中および温度25℃、圧力5MPaの二酸化炭素中で分散処理を行った後の被覆樹脂の固形分の残留率をそれぞれ表3に示す。
<ワックス粒子分散液5の調製>
ワックス粒子分散液1の調製において、ビニル系樹脂による被覆層の形成工程で使用するモノマー組成を以下のように変えた以外はすべて同様にしてワックス粒子5の水分散体を調製し、同様にして固形分量40.0質量%のワックス粒子分散液5を調製した。得られたワックス粒子5の体積平均粒径、ワックス粒子5を温度25℃のアセトン中および温度25℃、圧力5MPaの二酸化炭素中で分散処理を行った後の被覆樹脂の固形分の残留率を表3に示す。
・スチレン 105.0質量部
・アクリル酸ブチル 28.0質量部
・ジビニルベンゼン 1.3質量部
<ワックス粒子分散液6の調製>
ワックス粒子分散液1の調製において、ビニル系樹脂による被覆層の形成工程で使用するモノマー組成を以下のように変えた以外はすべて同様にしてワックス粒子6の水分散体を調製し、同様にして固形分量40.0質量%のワックス粒子分散液6を調製した。得られたワックス粒子6の体積平均粒径、ワックス粒子6を温度25℃のアセトン中および温度25℃、圧力5MPaの二酸化炭素中で分散処理を行った後の被覆樹脂の固形分の残留率を表3に示す。
・スチレン 121.0質量部
・アクリル酸ブチル 12.0質量部
・ジビニルベンゼン 1.3質量部
<ワックス粒子分散液7乃至10の調製>
ワックス粒子分散液1の調製において、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの仕込み量を、それぞれ5.0質量部、10.0質量部、30.0質量部、50.0質量部に変えるとともに、乳化時の回転数をそれぞれ1000rpm、500rpm、100rpm、50rpmに変更した以外はすべて同様にしてワックス粒子7乃至10の水分散体を調製し、同様にして固形分量40.0質量%のワックス粒子分散液7乃至10を調製した。得られたワックス粒子7乃至10の体積平均粒径、ワックス粒子7乃至10を温度25℃のアセトン中および温度25℃、圧力5MPaの二酸化炭素中で分散処理を行った後の被覆樹脂の固形分の残留率をそれぞれ表3に示す。
<ワックス粒子分散液11の調製>
・パラフィンワックス1(HNP−11:融点67℃、日本精蝋製) 16.0質量部
・ニトリル基含有スチレンアクリル樹脂(モノマー質量比:スチレン/n−ブチルアクリレート/アクリロニトリル=65.0/35.0/10.0、ピーク分子量8500)
8.0質量部
・アセトン 76.0質量部
上記材料を、撹拌翼を備えたガラスビーカー(IWAKIガラス製)に投入し、系内を70℃に加熱することでパラフィンワックスをアセトンに溶解させた。
次いで、系内を50rpmで緩やかに撹拌しながら徐々に冷却し、3時間かけて25℃にまで冷却させ乳白色の液体を得た。この溶液を1mmのガラスビーズ20.0質量部とともに耐熱性の容器に投入し、ペイントシェーカーにて3時間分散を行い、固形分量20
.0質量%のワックス粒子分散液11を調製した。得られたワックス粒子11の体積平均粒径を表3に示す。
<ワックス粒子分散液12および13の調製>
ワックス粒子分散液11の調製において、使用するワックスを表3に示すものに変えた以外はすべて同様にして、固形分量20.0質量%のワックス粒子分散液12および13をそれぞれ調製した。得られたワックス粒子12および13の体積平均粒径を表3に示す。
<ワックス粒子分散液14の調製>
ワックス粒子分散液1の調製において、ビニル系樹脂による被覆層の形成工程でジビニルベンゼンを使用しなかった以外はすべて同様にしてワックス粒子14の水分散体を調製し、同様にして固形分量40.0質量%のワックス粒子分散液14を調製した。得られたワックス粒子14の体積平均粒径、ワックス粒子14を温度25℃のアセトン中および温度25℃、圧力5MPaの二酸化炭素中で分散処理を行った後の被覆樹脂の固形分の残留率を表3に示す。
・C.I.Pigment Blue15:3 100.0質量部
・アセトン 150.0質量部
・ガラスビーズ(1mm) 300.0質量部
上記材料を耐熱性のガラス容器に投入し、ペイントシェーカー(東洋精機製)にて5時間分散を行い、ナイロンメッシュにてガラスビーズを取り除き、固形分量40.0質量%の着色剤粒子分散液1を得た。
滴下漏斗を備えた二口フラスコを加熱乾燥し、ノルマルヘキサン870.0質量部を仕込んだ。別のビーカーに、ノルマルヘキサン42.0質量部、ベヘニルアクリレート(炭素数22個の直鎖アルキル基を有するアルコールのアクリレート)52.0質量部、アゾビスメトキシジメチルバレロニトリル0.3質量部を仕込み、20℃にて攪拌、混合して単量体溶液を調製し、滴下漏斗に導入した。
反応容器を窒素置換した後、密閉下、40℃にて1時間かけて単量体溶液を滴下した。滴下終了から3時間攪拌を続け、アゾビスメトキシジメチルバレロニトリル0.3質量部およびノルマルヘキサン42.0質量部の混合物を再度滴下し、40℃にて3時間攪拌を行った。
その後、室温まで冷却し、体積平均粒径0.20μm、固形分量20.0質量%の樹脂微粒子分散液1を得た。
(トナー粒子(処理前)の製造)
図1の実験装置において、まず、バルブV1、V2、および圧力調整バルブV3を閉じ、トナー粒子を補足するためのフィルターと撹拌機構とを備えた耐圧の造粒タンクT1に樹脂微粒子分散液1を仕込み、内部温度を25℃に調整した。次に、バルブV1を開き、ボンベB1からポンプP1を用いて二酸化炭素(純度99.99%)を造粒タンクT1に導入し、内部圧力が4MPaに到達したところでバルブV1を閉じた。
一方、樹脂溶解液タンクT2にブロックポリマー樹脂溶液1、ワックス粒子分散液1、着色剤粒子分散液1、アセトンを仕込み、内部温度を25℃に調整した。
次に、バルブV2を開き、造粒タンクT1の内部を2000rpmで撹拌しながら、ポンプP2を用いて樹脂溶解液タンクT2の内容物を造粒タンクT1内に導入し、すべて導入を終えたところでバルブV2を閉じた。
導入後の、造粒タンクT1の内部圧力は5MPaとなった。
尚、各種材料の仕込み量(質量比)は、次の通りである。
・ブロックポリマー樹脂溶液1 200.0質量部
・ワックス粒子分散液1 20.8質量部
・着色剤粒子分散液1 12.5質量部
・アセトン 50.0質量部
・樹脂微粒子分散液1 37.5質量部
・二酸化炭素 480.0質量部
導入した二酸化炭素の質量は、二酸化炭素の温度(25℃)、および圧力(5MPa)から、二酸化炭素の密度を下記文献に記載の状態式より算出し、これに造粒タンクT1の体積を乗じることにより算出した。(Journal of Physical and
Chemical Refarence data、vol.25、P.1509−1596)
樹脂溶解液タンクT2の内容物の造粒タンクT1への導入を終えた後、さらに、2000rpmで10分間撹拌して造粒を行った。
次に、バルブV1を開き、ボンベB1からポンプP1を用いて二酸化炭素を造粒タンクT1内に導入した。この際、圧力調整バルブV3を10MPaに設定し、造粒タンクT1の内部圧力を10MPaに保持しながら、さらに二酸化炭素を流通させた。この操作により、造粒後の液滴中から抽出された有機溶剤(主にアセトン)を含む二酸化炭素を、溶剤回収タンクT3に排出し、有機溶剤と二酸化炭素を分離した。
造粒タンクT1内への二酸化炭素の導入は、最初に造粒タンクT1に導入した二酸化炭素質量の5倍量に到達した時点で停止した。この時点で、有機溶剤を含む二酸化炭素を、有機溶剤を含まない二酸化炭素で置換する操作は完了した。
さらに、圧力調整バルブV3を少しずつ開き、造粒タンクT1の内部圧力を大気圧まで減圧することで、フィルターに補足されているトナー粒子(処理前)1を得た。得られたトナー粒子(処理前)1のDSC測定を行い、最大吸熱ピークのピーク温度を求めたところ、58℃であった。
(アニール処理)
アニール処理は、恒温乾燥器(佐竹化学製41−S5)を用いて行った。まず、恒温乾燥器の内部温度を50℃に調整した。次いで、上記トナー粒子(処理前)1を、ステンレス製バットに均等になるように広げて入れ、これを前記恒温乾燥器に入れて2時間静置した後、取り出した。こうして、アニール処理されたトナー粒子(処理後)1を得た。
(トナーの調製)
上記トナー粒子(処理後)1の100.0質量部に対し、ヘキサメチルジシラザンで処理された疎水性シリカ微粉体1.8質量部(個数平均一次粒子径:7nm)、ルチル型酸化チタン微粉体0.15質量部(個数平均一次粒子径:30nm)をヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)にて5分間乾式混合して、本発明のトナー1を得た。
<実施例2>
(トナー粒子(処理前)の製造)
実施例1において、トナー粒子(処理前)の製造工程におけるブロックポリマー樹脂溶液1に変えてブロックポリマー樹脂溶液2を使用する以外は、実施例1とすべて同様にして、トナー粒子(処理前)2を得た。得られたトナー粒子(処理前)2のDSC測定を行い、最大吸熱ピークのピーク温度を求めたところ、53℃であった。
(アニール処理)
トナー粒子(処理前)2について、恒温乾燥器の内部温度を45℃に変えた以外は、実施例1とすべて同様にしてアニール処理を行い、本発明のトナー2を得た。
<実施例3>
(トナー粒子(処理前)の製造)
実施例1において、トナー粒子(処理前)の製造工程におけるブロックポリマー樹脂溶液1に変えてブロックポリマー樹脂溶液3を使用する以外は、実施例1とすべて同様にして、トナー粒子(処理前)3を得た。得られたトナー粒子(処理前)3のDSC測定を行い、最大吸熱ピークのピーク温度を求めたところ、66℃であった。
(アニール処理)
トナー粒子(処理前)3について、恒温乾燥器の内部温度を58℃に変えた以外は、実施例1とすべて同様にしてアニール処理を行い、本発明のトナー3を得た。
<実施例4>
(トナー粒子(処理前)の製造)
実施例1において、トナー粒子(処理前)の製造工程におけるブロックポリマー樹脂溶液1に変えてブロックポリマー樹脂溶液4を使用する以外は、実施例1とすべて同様にして、トナー粒子(処理前)4を得た。得られたトナー粒子(処理前)4のDSC測定を行い、最大吸熱ピークのピーク温度を求めたところ、78℃であった。
(アニール処理)
トナー粒子(処理前)4について、恒温乾燥器の内部温度を70℃に変えた以外は、実施例1とすべて同様にしてアニール処理を行い、本発明のトナー4を得た。
<実施例5乃至8>
(トナー粒子(処理前)の製造)
実施例1において、トナー粒子(処理前)の製造工程におけるブロックポリマー樹脂溶液1をブロックポリマー樹脂溶液5乃至8に変えた以外は、実施例1とすべて同様にして、トナー粒子(処理前)5乃至8を得た。得られたトナー粒子(処理前)5乃至8のDSC測定を行い、最大吸熱ピークのピーク温度を求めたところ、いずれも58℃であった。(アニール処理)
トナー粒子(処理前)5乃至8について、実施例1とすべて同様にしてアニール処理を行い、本発明のトナー5乃至8を得た。
<実施例9乃至17>
(トナー粒子(処理前)の製造)
実施例1において、トナー粒子(処理前)の製造工程におけるワックス粒子分散液1をワックス粒子分散液2乃至10に変えた以外は、実施例1とすべて同様にして、トナー粒子(処理前)9乃至17を得た。得られたトナー粒子(処理前)9乃至17のDSC測定を行い、最大吸熱ピークのピーク温度を求めたところ、いずれも58℃であった。
(アニール処理)
トナー粒子(処理前)9乃至17について、実施例1とすべて同様にしてアニール処理を行い、本発明のトナー9乃至17を得た。
<実施例18乃至21>
(トナー粒子(処理前)の製造)
実施例1において、トナー粒子(処理前)の製造工程におけるワックス粒子分散液1の仕込み量20.8質量部を、6.3質量部、12.5質量部、33.3質量部、50.0質量部にそれぞれ変えた以外は、実施例1とすべて同様にして、トナー粒子(処理前)18乃至21を得た。得られたトナー粒子(処理前)18乃至21のDSC測定を行い、最大吸熱ピークのピーク温度を求めたところ、いずれも58℃であった。
(アニール処理)
トナー粒子(処理前)18乃至21について、実施例1とすべて同様にしてアニール処理を行い、本発明のトナー18乃至21を得た。
(トナー粒子(処理前)の製造)
実施例1において、トナー粒子(処理前)の製造工程におけるワックス粒子分散液1をワックス粒子分散液11に変え、仕込み量を25.0質量部とした以外は、実施例1とすべて同様にして、トナー粒子(処理前)22を得た。得られたトナー粒子(処理前)22のDSC測定を行い、最大吸熱ピークのピーク温度を求めたところ、56℃であった。
(アニール処理)
トナー粒子(処理前)22について、恒温乾燥器の内部温度を48℃に変えた以外は、実施例1とすべて同様にしてアニール処理を行い、比較用のトナー22を得た。
<比較例2>
(トナー粒子(処理前)の製造)
比較例1において、トナー粒子(処理前)の製造工程におけるワックス粒子分散液11の仕込み量25.0質量部を、15.0質量部に変えた以外は、比較例1とすべて同様にして、トナー粒子(処理前)23を得た。得られたトナー粒子(処理前)23のDSC測定を行い、最大吸熱ピークのピーク温度を求めたところ、57℃であった。
(アニール処理)
トナー粒子(処理前)23について、恒温乾燥器の内部温度を49℃に変えた以外は、比較例1とすべて同様にしてアニール処理を行い、比較用のトナー23を得た。
<比較例3>
(トナー粒子(処理前)の製造)
比較例1において、トナー粒子(処理前)の製造工程におけるワックス粒子分散液11の仕込み量25.0質量部を、60.0質量部に変えた以外は、比較例1とすべて同様にして、トナー粒子(処理前)24を得た。得られたトナー粒子(処理前)24のDSC測定を行い、最大吸熱ピークのピーク温度を求めたところ、55℃であった。
(アニール処理)
トナー粒子(処理前)24について、恒温乾燥器の内部温度を47℃に変えた以外は、比較例1とすべて同様にしてアニール処理を行い、比較用のトナー24を得た。
<比較例4>
(トナー粒子(処理前)の製造)
比較例1において、トナー粒子(処理前)の製造工程におけるワックス粒子分散液11をワックス粒子分散液12に変えた以外は、比較例1とすべて同様にして、トナー粒子(処理前)25を得た。得られたトナー粒子(処理前)25のDSC測定を行い、最大吸熱ピークのピーク温度を求めたところ、55℃であった。
(アニール処理)
トナー粒子(処理前)25について、恒温乾燥器の内部温度を47℃に変えた以外は、比較例1とすべて同様にしてアニール処理を行い、比較用のトナー25を得た。
<比較例5>
(トナー粒子(処理前)の製造)
比較例1において、トナー粒子(処理前)の製造工程におけるワックス粒子分散液11をワックス粒子分散液13に変えた以外は、比較例1とすべて同様にして、トナー粒子(処理前)26を得た。得られたトナー粒子(処理前)26のDSC測定を行い、最大吸熱ピークのピーク温度を求めたところ、58℃であった。
(アニール処理)
トナー粒子(処理前)26について、実施例1とすべて同様にしてアニール処理を行い、比較用のトナー26を得た。
<比較例6>
(トナー粒子(処理前)の製造)
比較例1において、トナー粒子(処理前)の製造工程におけるワックス粒子分散液11をワックス粒子分散液14に変えた以外は、比較例1とすべて同様にして、トナー粒子(処理前)27を得た。得られたトナー粒子(処理前)27のDSC測定を行い、最大吸熱ピークのピーク温度を求めたところ、56℃であった。
(アニール処理)
トナー粒子(処理前)27について、恒温乾燥器の内部温度を48℃に変えた以外は、比較例1とすべて同様にしてアニール処理を行い、比較用のトナー27を得た。
(耐熱保存性)
常温常湿環境下(23℃、60%RH)に24時間放置した各トナー、および40℃、95%RHの苛酷環境下に60日間放置した各トナー約10gを100mlのポリカップに入れ、50℃に調整された恒温槽にて10日間放置した後、目視で評価した。
耐熱保存性の評価基準は以下のとおりである。尚、下記A、B、Cは問題なし。下記D、Eは実用上問題を生じる。
A:まったく凝集物は確認されず、初期とほぼ同様の状態である。
B:若干凝集気味であるが、ポリカップを軽く5回振る程度で崩れる状態である。
C:凝集気味であるが、指でほぐすと簡単にほぐれる状態である。
D:凝集が激しく、実使用上問題が生じるレベルである。
E:固形化しており、使用できない。
市販のキヤノン製プリンターLBP5300を使用し、低温定着性の評価を行った。
評価は、常温常湿環境下(23℃、60%RH)に24時間放置した各トナー、および40℃、95%RHの苛酷環境下に60日間放置した各トナーについて行った。
LBP5300は、一成分接触現像を採用しており、トナー規制部材によって現像担持体上のトナー量を規制している。評価用カートリッジは、市販のカートリッジ中に入っているトナーを抜き取り、エアーブローにて内部を清掃した後、上記トナーを充填したものを使用した。上記カートリッジを、シアンステーションに装着し、その他にはダミーカートリッジを装着した。次いで、厚紙A4用紙(「プローバーボンド紙」:105g/m2、フォックスリバー社製)上に未定着のトナー画像(単位面積あたりのトナー載り量0.6mg/cm2)を形成した。
市販のキヤノン製プリンターLBP5900の定着器を、手動による定着温度設定が可能となるように改造し、定着器の回転速度を245mm/sに、ニップ内圧力を98kPaに変更した。この改造定着器を用い、常温常湿環境下(23℃、60%RH)にて、80℃から180℃の範囲で5℃ずつ定着温度を上昇させながら、上記未定着画像の各温度における定着画像を得た。
得られた定着画像の画像領域に、柔和な薄紙(例えば、商品名「ダスパー」、小津産業社製)を被せ、前記薄紙の上から4.9kPaの荷重をかけつつ5往復摺擦した。
摺擦前後の画像濃度をそれぞれ測定して、下記式により画像濃度の低下率ΔD(%)を算出し、このΔD(%)が10%以下となる温度を定着開始温度とした。
画像濃度は、カラー反射濃度計(Color reflection densitometer X−Rite 404A:製造元 X−Rite社製)で測定した。
ΔD(%)=(摺擦前の画像濃度−摺擦後の画像濃度)/摺擦前の画像濃度×100
低温定着性の評価基準は以下のとおりである。尚、下記A、B、Cは問題なし。下記D、Eは実用上問題を生じる。
A:定着開始温度が100℃未満(低温定着性能が特に優れている)
B:定着開始温度が100℃以上110℃未満(低温定着性能が優れている)
C:定着開始温度が110℃以上120℃未満(低温定着性能が問題ないレベルである)
D:定着開始温度が120℃以上130℃未満(低温定着性能がやや劣る)
E:定着開始温度が130℃以上(低温定着性能が劣る)
市販のキヤノン製プリンターLBP5400を用い、本装置の現像器に各トナーを150g充填した。高温高湿環境下(30℃、80%RH)で、転写紙としてA4用紙(「GF−R300」:66g/m2、キヤノン製)を用い、印字比率1%のチャートを20000枚出力した。出力後、現像容器を分解しトナー担持体の表面を目視により観察した。
耐久性の評価基準は以下のとおりである。尚、下記A、B、Cは問題なし。下記D、Eは実用上問題を生じる。
A:トナー付着がなく、周方向スジの発生が全く無い
B:トナー付着は目立たないが、周方向スジが端部において1乃至2本発生
C:トナー付着は軽微であるが、周方向スジが端部において3乃至5本発生
D:フィルミングが見られ、周方向スジが前面に渡って6本以上発生
E:フィルミングが著しく、トナー担持体の端部削れによるトナー漏れが発生
Claims (8)
- 結晶性ポリエステルを含有する結着樹脂、着色剤粒子、及びワックス粒子を有機溶剤中に溶解または分散させて樹脂組成物を調製する工程、
得られた樹脂組成物を非水系媒体中に分散させて該樹脂組成物の液状粒子の分散体を調製する工程、
得られた液状粒子の分散体から該有機溶剤を除去することによってトナー粒子を形成する工程を有するトナーの製造方法であって、
該ワックス粒子はワックス成分を樹脂で被覆した粒子であり、
該ワックス粒子を該有機溶剤及び該非水系媒体に分散させた後の該ワックス成分を被覆する該樹脂の固形分の残留率が、50質量%以上であることを特徴とするトナーの製造方法。 - 前記非水系媒体が、液体状態または超臨界状態の二酸化炭素を主成分とする媒体であることを特徴とする請求項1に記載のトナーの製造方法。
- 前記ワックス成分の融点が、60℃以上、85℃以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のトナーの製造方法。
- 前記ワックス成分を被覆する樹脂のガラス転移温度(Tg)が、50℃以上、80℃以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のトナーの製造方法。
- 前記ワックス粒子の体積平均粒径(Dv)が、0.10μm以上、1.00μm以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のトナーの製造方法。
- 前記ワックス粒子の添加量が、ワックス成分として、結着樹脂100.0質量部に対し2.0質量部以上、10.0質量部以下であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のトナーの製造方法。
- 前記結着樹脂が、結晶構造をとり得る部位と結晶構造をとり得ない部位を結合したブロックポリマーを主成分として含有し、該結着樹脂が結晶構造をとり得る部位を50質量%以上、85質量%以下含有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載のトナーの製造方法。
- 前記ブロックポリマーの示査走査熱量測定(DSC)における最大吸熱ピークのピーク温度が、50℃以上、80℃以下であることを特徴とする請求項7に記載のトナーの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011125761A JP5773764B2 (ja) | 2011-06-03 | 2011-06-03 | トナーの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011125761A JP5773764B2 (ja) | 2011-06-03 | 2011-06-03 | トナーの製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2012252229A true JP2012252229A (ja) | 2012-12-20 |
JP5773764B2 JP5773764B2 (ja) | 2015-09-02 |
Family
ID=47525084
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2011125761A Active JP5773764B2 (ja) | 2011-06-03 | 2011-06-03 | トナーの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5773764B2 (ja) |
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015127808A (ja) * | 2013-11-29 | 2015-07-09 | キヤノン株式会社 | トナー |
JP2015127804A (ja) * | 2013-11-29 | 2015-07-09 | キヤノン株式会社 | トナー |
JP2015191198A (ja) * | 2014-03-28 | 2015-11-02 | キヤノン株式会社 | トナーの製造方法 |
JP2015210274A (ja) * | 2014-04-23 | 2015-11-24 | キヤノン株式会社 | トナーの製造方法 |
JP2015210275A (ja) * | 2014-04-23 | 2015-11-24 | キヤノン株式会社 | トナーの製造方法 |
JP2017025129A (ja) * | 2015-07-16 | 2017-02-02 | キヤノン株式会社 | 樹脂粒子の製造方法およびトナーの製造方法 |
Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006301361A (ja) * | 2005-04-21 | 2006-11-02 | Sharp Corp | 静電荷像現像用トナー、その製造方法、それを用いた静電荷像現像剤、それを用いた画像形成方法および形成画像 |
JP2011094136A (ja) * | 2009-09-30 | 2011-05-12 | Sanyo Chem Ind Ltd | 樹脂粒子の製造方法 |
-
2011
- 2011-06-03 JP JP2011125761A patent/JP5773764B2/ja active Active
Patent Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006301361A (ja) * | 2005-04-21 | 2006-11-02 | Sharp Corp | 静電荷像現像用トナー、その製造方法、それを用いた静電荷像現像剤、それを用いた画像形成方法および形成画像 |
JP2011094136A (ja) * | 2009-09-30 | 2011-05-12 | Sanyo Chem Ind Ltd | 樹脂粒子の製造方法 |
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015127808A (ja) * | 2013-11-29 | 2015-07-09 | キヤノン株式会社 | トナー |
JP2015127804A (ja) * | 2013-11-29 | 2015-07-09 | キヤノン株式会社 | トナー |
JP2015191198A (ja) * | 2014-03-28 | 2015-11-02 | キヤノン株式会社 | トナーの製造方法 |
JP2015210274A (ja) * | 2014-04-23 | 2015-11-24 | キヤノン株式会社 | トナーの製造方法 |
JP2015210275A (ja) * | 2014-04-23 | 2015-11-24 | キヤノン株式会社 | トナーの製造方法 |
JP2017025129A (ja) * | 2015-07-16 | 2017-02-02 | キヤノン株式会社 | 樹脂粒子の製造方法およびトナーの製造方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP5773764B2 (ja) | 2015-09-02 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5812737B2 (ja) | トナー | |
JP5541717B2 (ja) | トナーの製造方法 | |
JP4929411B2 (ja) | トナー | |
JP5558952B2 (ja) | トナー | |
JP5582956B2 (ja) | トナー | |
JP5289614B2 (ja) | トナー | |
JP5274692B2 (ja) | トナー | |
JP5734123B2 (ja) | トナー | |
JP5669544B2 (ja) | トナーの製造方法 | |
JP6508882B2 (ja) | トナーの製造方法 | |
TWI461864B (zh) | Toner | |
JP6053336B2 (ja) | トナー及びトナーの製造方法 | |
JP5836888B2 (ja) | トナー | |
JP2012042508A5 (ja) | ||
JP2012027212A5 (ja) | ||
JP5773764B2 (ja) | トナーの製造方法 | |
JPWO2010013838A1 (ja) | シアントナー | |
JP6033062B2 (ja) | トナー | |
JP6157200B2 (ja) | トナー | |
JP2018017786A (ja) | トナー及びトナーの製造方法 | |
JP2016191910A (ja) | トナーの製造方法、及び樹脂粒子の製造方法 | |
JP6272105B2 (ja) | トナーの製造方法 | |
JP5773765B2 (ja) | トナー | |
JP6316079B2 (ja) | トナーの製造方法 | |
JP2016090749A (ja) | トナーの製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20140530 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20150223 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20150303 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20150423 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20150602 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20150630 |
|
R151 | Written notification of patent or utility model registration |
Ref document number: 5773764 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151 |