本発明の実施例ついて以下に図面を参照して説明する。以下の説明は、本発明の好適な実施例を示すものであって、本発明の範囲が以下の実施例に限定されるものではない。以下の説明において、同一の符号が付されたものを実質的に同様の内容を示している。
発明の実施の形態1.
まず、本実施の形態にかかる可変シャッター装置を用いたビーム成形装置について図1を用いて説明する。ビーム成形装置200は、光路中に挿入され、光ビームのスポット形状を所望の形状に変化させる。すなわち、ビーム成形装置200を光ビームが通過することによって、光ビームの一部が遮光され、所望のスポット形状にすることができる。なお、図1は、ビーム成形装置200の構成を模式的に示す正面図である。すなわち、図1は、光ビームの進行方向から見たビーム成形装置200を示している。従って、ビーム成形装置200は紙面垂直方向に進行する光ビームのスポット形状を成形する。さらに、図1に示すように光ビームの進行方向と垂直な方向をX方向、及びY方向とする。100は可変シャッター装置、101は可変シャッター装置、103はリニアガイド、120はシャッター板、130はマグネット体、137はマグネット対、138はマグネット対、145はフレキシブル配線部、150は駆動部、160は位置検出部である。
ビーム成形装置200は、可変シャッター装置100と可変シャッター装置101とを備えている。可変シャッター装置100、101のそれぞれには複数のシャッター板120が設けられている。ここでは、第1の可変シャッター装置100には、4枚のシャッター板120が設けられていとして説明する。同様に、第2の可変シャッター装置101にも、4枚のシャッター板120が設けられている。それぞれシャッター板120の中央近傍には、所定の形状の開口部が形成されている。複数のシャッター板120は開口部近傍でそれぞれ重ね合わされている。すなわち、全てのシャッター板120の開口部の少なくとも一部が重ね合わせられている。光ビームは、全てのシャッター板120の開口部が重ね合わせられている部分を通過する。
可変シャッター装置100、101はそれぞれ、シャッター板120を独立して直進移動させる駆動部150を備えている。直線駆動装置として機能する駆動部150は、後述するマグネット体130と、配線基板を備えている。可変シャッター装置100、101は駆動部150を用いて、それぞれのシャッター板120を直線的に駆動する。具体的には、可変シャッター装置100はX方向にシャッター板120を駆動する。また、可変シャッター装置101は、X方向と垂直なY方向にシャッター板120を駆動する。それぞれのシャッター板120は、駆動方向を長手方向とする矩形状である。また、全てのシャッター板120は独立に駆動される。これにより、それぞれのシャッター板120に設けられている開口部の位置がずれる。従って、それぞれのシャッター板120で光ビームが遮光される箇所が異なる。これにより、光ビームのスポット形状を所望の形状に変化させることができる。すなわち、全てのシャッター板120を通過する光ビームは所望のスポット形状に成形される。ここで、複数のシャッター板120の開口部により形成される通過穴をビームアパーチャー201とする。なお、それぞれのシャッター板120に設けられている開口部の形状については後述する。
ここで、可変シャッター装置100、101の駆動方向における一端には、駆動部150が設けられ、他端には位置検出部160が設けられている。すなわち、可変シャッター装置100の+X側の端部には、駆動部150が設けられ、−X側の端部には位置検出部160が設けられている。ここで、可変シャッター装置100に設けられた駆動部150は、上述のように、4枚のシャッター板120を独立にX方向に移動させる。駆動部150は、所定の磁場を形成するためのマグネット体130を備えている。マグネット体130は、図1の点線で示されたマグネット対137、及びマグネット対138を備えている。さらにマグネット体130の外側には、駆動電流を供給するためのフレキシブル配線部145が設けられている。駆動部150の詳細な構成に付いては後述する。
位置検出部160では、各シャッター板120の位置を検出している。そして、位置検出部160での検出結果に基づいて、シャッター板120の移動量をフィードバック制御している。すなわち、検出された位置に応じて、各シャッター板120が駆動される。そして、設定するビームアパーチャー201の形状に対応する目標位置までシャッター板120が移動したら、駆動を停止する。これにより、ビームアパーチャー201が所望の形状となる。なお、位置検出部160の構成、及びフィードバック制御については、後述する。
なお、可変シャッター装置101の基本的構成は、可変シャッター装置100と同じである。すなわち、可変シャッター装置100と同じ構成のものを90°回転して取り付けることによって、可変シャッター装置101が構成される。可変シャッター装置100のシャッター板120と可変シャッター装置101のシャッター板120とは、互いに接するように重ね合わせて配置される。
さらに、シャッター板120の両側部には、ベアリングなどを有するリニアガイド103が設けられている。リニアガイド103は、可変シャッター装置100によるシャッター板120のX方向の移動をガイドする。同様に、リニアガイド103は、可変シャッター装置101によるシャッター板120のY方向の移動をガイドする。これにより、直進性を向上することができる。
次に、可変シャッター装置100の構成について図2乃至図6を用いて説明する。図2は、本実施の形態にかかる可変シャッター装置100の構成を模式的に示す斜視図である。図3は、可変シャッター装置100に用いられているマグネット体130の構成を示す断面図である。図4は、可変シャッター装置100に用いられる配線基板140の構成を示す正面図である。図5は、配線基板とシャッター板120の接続部を示す側面図である。図6は、それぞれのシャッター板120の構成を示す正面図である。
121は開口部、122は位置検出用透光部、123は透光部、131はヨーク、132はマグネット、133はマグネット、134はマグネット、135はマグネット、141はコイル配線、145はフレキシブル配線部、146は供給配線、147は端子、149は貫通孔、である。なお、各符号の後にa〜dの文字を付して、4枚のシャッター板120に対する構成要素を区別している。すなわち、1枚目のシャッター板120に対する構成要素にはaが、2枚目のシャッター板120に対する構成要素にはbが、3枚目のシャッター板120に対する構成要素にはcが、4枚目のシャッター板120に対する構成要素にはdが、付されている。従って、1枚目のシャッター板120はシャッター板120aとなり、1枚目のシャッター板120aに取り付けられている配線基板140は、配線基板140aとなる。なお、他の構成要素についても同様である。
まず、可変シャッター装置100の構成について、図2を中心に参照して説明する。シャッター板120の中心には、光ビームを成形するための開口部121が設けられている。なお、上述のように4枚のシャッター板120が重ね合わされている。4枚のシャッター板120は、同じ大きさであり、異なる形状の開口部121を有している。4枚のシャッター板120は、X方向を長手方向とした矩形状をしている。そして、X方向におけるシャッター板120の一端には、配線基板140が接続されている。配線基板140は例えば、リジッドなプリント配線基板である。また、シャッター板120の他端には、位置検出部160が設けられている。位置検出部160には、位置検出用透光部122が設けられている。位置検出部160に設けられている位置検出用透光部122の位置はそれぞれのシャッター板120で異なる。この位置検出部160の構成に付いては後述する。
配線基板140には、渦巻状のコイル配線141が形成されている。また、配線基板140を挟むようにマグネット体130が設けられている。駆動部150は、配線基板140とマグネット体130とを備えている。マグネット体130は、所定の磁場を生成する。すなわち、マグネット体130は、配線基板140を駆動するための界磁を構成する。駆動部150は、コイル配線141を流れる電流によって、シャッター板120を駆動する。具体的には、コイル配線141のうち、電流がY方向に流れている部分に、マグネット体130でZ方向の磁場を発生させる。フレミングの法則に応じてX方向に推進力が発生する。すなわち、ボイスコイルモータと同様の原理によって、配線基板140がスライドする。これにより、配線基板140と接続されたシャッター板120がX方向に駆動する。また、コイル配線141の電流を反転させることによって、反対方向に移動させることができる。
ここで、4枚のシャッター板120のそれぞれに配線基板140が設けられている。従って、配線基板140に設けられたコイル配線141に流れる電流を制御することによって、それぞれのシャッター板120が独立して直進移動する。配線基板140のそれぞれには、フレキシブル配線部145が設けられている。フレキシブル配線部145がマグネット体130の外側まで延設されている。このフレキシブル配線部145から、コイル配線141に電流が供給される。このようにフレキシブル配線部145を用いることによって、しなやかな配線部を構成することができる。よって、多数回のストロークでも断線しない。具体的には数百万回のストロークでも断線しない。さらに、重ねた配線基板が干渉しないため、直線性を向上することができる。
マグネット体130と、配線基板140の構成について、図2とともに、図3、及び図4を参照して説明する。マグネット体130には、Z方向の磁界を形成するため、ヨーク131と4つのマグネット132、133、134、135が設けられている。ここで、マグネット132とマグネット133とが図1で示したマグネット対137を構成する。また、マグネット134とマグネット135とが図1で示したマグネット対138を構成する。図3に示すように、マグネット対137を構成するマグネット132とマグネット133とはZ方向において離間して設けられている。マグネット132とマグネット133との間に4枚の配線基板140a〜140dが配置される。同様にマグネット対138を構成するマグネット134及びマグネット135もZ方向において離間して設けられている。マグネット134とマグネット135との間に4枚の配線基板140a〜140dが配置される。マグネット132、133、134、135は平板状に形成されている。
ここで、説明の明確化のため、Z方向を上下方向として説明する。そして、マグネット132、及びマグネット134が上側のマグネットとし、マグネット133及びマグネット135を下側のマグネットとする。すなわち、マグネット133の上側にマグネット132が配置され、マグネット134の下側にマグネット135が配置されている。マグネット132〜135は、略同じ形状をしている。そして、その配置が異なっている。マグネット132、133、134、135は、ヨーク131に対して固定されている。ヨーク131は図3に示すように断面コの字型に形成されている。そして、コの字の内部に4つのマグネット132〜135が配置されている。すなわち、ヨーク131の内部に4つのマグネット132〜135が挿入されている。
マグネット対137を構成するマグネット132及びマグネット133は、X方向及びY方向において同じ位置に配設されている。なお、マグネット対138を構成するマグネット134及びマグネット135も、同様に、X方向、及びY方向において同じ位置に配設されている。マグネット対137とマグネット対138とはX方向の位置が異なる。
ここで、図3に示すように、マグネット132の下面がN極132Nであり、マグネット133の上面がS極133Sである。従って、マグネット対137の間の磁力線は、下方向(−Z方向)に向かっている。そして、マグネット対137の異なる磁極の間に配線基板140が配置される。従って、マグネット対137では、−Z方向の磁力線が配線基板140を横切る。
一方、マグネット134及びマグネット135では磁極の向きが反対となっている。すなわち、上側のマグネット134の下面がS極となり、下側のマグネット135の上面がN極となる。従って、マグネット対138の間の磁力線は、上方向(+Z方向)に向かっている。マグネット対137では、+Z方向の磁力線が配線基板140を横切る。このように、マグネット対137とマグネット対138とでは磁力線の方向が反対となる。そして、マグネット対137の間、並びにマグネット対138の間には配線基板140a〜140dが配設される。配線基板140のそれぞれは、平板状をしている。そして、平板状の配線基板140a〜140dは重ね合わされて配置されている。このように、配線基板140を挟むように配置されたマグネット対のうち、配線基板140側の2面が互いに異なる磁極となる。
シャッター板120に取り付けられている配線基板140は、図4に示すように渦巻き状のコイル配線141が形成されている。なお、4枚の配線基板140に設けられたコイル配線141は、互いに重ね合わされている。また、渦巻状のコイル配線141の中心部において、配線基板140に貫通孔149が設けられている。さらに、コイル配線141は、配線基板140の表面及び裏面に積層構造で形成されている。これにより、コイルのターン数を増やすことができる。渦巻き状のコイル配線141に一定の電流を流した場合、電流が渦巻き状に流れる。この場合、電流経路の方向は、例えば、+X方向、−Y方向、−X方向、+Y方向の順番で繰り返し変化していく。コイル配線141は渦巻き状に形成されているため、コイル配線141にはY方向に沿って形成されている部分が存在する。そして、コイル配線141に一定の電流を流すと、コイル配線141の一部では、+Y方向に流れ、対向する部分では−Y方向に。さらに、コイル配線141には、Y方向の電流経路と、−Y方向の電流経路とが存在する。このように、渦巻き状のコイル配線141には、電流が流れる方向が反対となる部分が存在する。
図4において、マグネット対137、138を点線で図示している。マグネット対137、138はコイル配線141の電流が±Y方向に流れる部分に配置される。すなわち、コイル配線141の中のY方向の電流経路は、マグネット対137の間、又はマグネット対138の間に含まれる。さらに、X方向において、マグネット対137とマグネット対138はコイル配線141の大きさに応じた距離だけ離れている。このように、±Y方向の電流経路に対応して、マグネット対137、138が配置される。すなわち、マグネット対137の間、及びマグネット対138の間には、コイル配線141のうちのY方向の電流経路が配置される。従って、マグネット対137とマグネット対138とは、コイル配線141の電流の方向が反対となる部分に配置されている。すなわち、マグネット対137におけるコイル配線141の電流が+Y方向である場合、マグネット対138におけるコイル配線141の電流は−Y方向となる。このように、マグネット対137では、コイル配線141の電流がY方向において一方の方向(例えば、+Y方向)にのみ流れ、反対方向(例えば、−Y方向)に流れない。
上記のように、配線基板140には、マグネット体130によってZ方向の磁界が発生している。例えば、マグネット対137の間では、+Z方向の磁界が発生している。この部分では、コイル配線141がY方向に形成され、+Y方向、又は−Y方向に電流が流れる。従って、コイル配線141に電流を流すと、磁界の方向(Z方向)と電流の方向(Y方向)が直交する。これにより、配線基板140には、X方向に推力が発生する。この推力は、コイル配線141の電流に応じて変化する。具体的には、コイル配線141の電流の向きを反転させると、推力が反対になる。また、コイル配線141の電流の大きさに応じて、推力の大きさが変化する。
さらに、マグネット対138では、−Z方向の磁界が形成されている。そして、この部分では、コイル配線141がY方向に形成され、−Y方向、又は+Y方向に電流が流れる。ここで、マグネット対138の間の電流経路と、マグネット対137の間のコイル配線141の電流経路とでは、反対方向に電流が流れる。すなわち、マグネット対137とマグネット対138とでは、磁界の方向、及び電流の方向が反対になっている。従って、マグネット対138の磁界とコイル配線141の電流によって発生する推力は、マグネット対137の磁界とコイル配線141の電流によって発生する推力が同じ方向となる。このように、2つマグネット対137、138を設けているため、同じ電流であっても推力を2倍にすることができる。このように、コイル配線141の中で対向する反対方向の電流経路を挟むように2つのマグネット対137、138を配置されている。
ここで、マグネット対137、138に設けられているマグネット132〜135の形状は略直方体となっている。そして、マグネット対137、138はX方向に沿って設けられている。従って、マグネット対137の間、及びマグネット対138の間では、X方向に流れる電流の和は0となる。すなわち、+X方向に流れる電流の和と、−X方向に流れる電流の和が等しくなる。従って、Y方向に推力が発生するのを防ぐことができる。これにより、高い直進性で、シャッター板120をX方向に直進移動することができる。
このように、配線基板140に電流を流すことによって、X方向の推力が発生する。これにより、配線基板140に接続されたシャッター板120を駆動することができる。従って、コイル配線141に流れる電流を制御することによって、シャッター板120の移動量を制御することができる。そして、各コイル配線141の電流を独立して制御することによって、4枚のシャッター板120の位置がずれる。したがって、シャッター板120がそれぞれ異なる位置になるよう調整することができる。これにより、ビームアパーチャー201を所望の形状とすることができる。
さらに、配線基板140の端部からはフレキシブル配線部145が延設されている。フレキシブル配線部145は、配線基板140のシャッター板120が設けられている側と反対側の端部に設けられている。フレキシブル配線部145はX方向、すなわち駆動方向に沿って設けられている。フレキシブル配線部145には2本の供給配線146が形成されている。フレキシブル配線部145のコイル配線側と反対側の端部には、端子147が形成されている。端子147には外部配線が接続される。これにより、外部配線からの電流が、供給配線146を介してコイル配線141に供給される。2本の供給配線のうちの1本はスルーホールを介して、裏面側まで設けられている。そして、2本の供給配線146はコイル配線141と接続されている。ここで、フレキシブル配線部145は、可撓性を有している。従って、配線基板140がX方向に移動した場合でも、フレキシブル配線部145の形状が柔軟に変化する。これにより、配線基板140に加わる力を低減することができ、直線性を向上することができる。
フレキシブル配線部145は、図2に示すようにマグネット体130の外側まで延設されている。そして、マグネット体130の外側でU字状に折り曲げられている。これにより、X方向に移動した場合でも、配線基板140に加わる力を低減することができる。さらに、フレキシブル配線部145は互いに干渉しない配置されている。フレキシブル配線部145の配置について、図2、図3、及び図5を用いて説明する。なお、図3では、フレキシブル配線部145を点線で示している。
4つのフレキシブル配線部145のうちの半分は+Z方向(上方向)に折り曲げられ、もう半分は−Z方向(下方向)に折り曲げられている。具体的には、図5に示すように4つのフレキシブル配線部145のうち、2つのフレキシブル配線部145a、145bを上側に折り曲げ、残りの2つのフレキシブル配線部145c、145dを下側に折り曲げる。これにより、図2に示すように2つのフレキシブル配線部145a、145bの端子147がマグネット体130の+Z側まで延設される。また、残り2つのフレキシブル配線部145c、145dの端子147がマグネット体130の−Z側まで延設される。
ここで、上側(+Z側)に配置されて2つの配線基板140a、140bのフレキシブル配線部145a、145bについては、上側に折り曲げる。また、下側(−Z側)に配置されて2つの配線基板140c、140dのフレキシブル配線部145c、145dについては、下側に折り曲げる。フレキシブル配線部145は、重ね合わされた配線基板140の位置に対応する方向に折り曲げられている。すなわち、重ね合わされた複数の配線基板140の中の位置に基づいて、フレキシブル配線部145の折り曲げ方向を決定する。具体的には、重ね合わされた複数の配線基板140a〜140bのうち、上側に位置する配線基板140a、140bについては、フレキシブル配線部145a、145bを上側に折り曲げる。一方、重ね合わされた複数の配線基板140のうち、下側に位置する配線基板140c、140dについては、フレキシブル配線部145c、145dを上側に折り曲げる。これにより、フレキシブル配線部145が互いに干渉するのを防ぐことができ、配線基板140に力が加わるのを防ぐことができる。
さらに、上側に折り曲げられたフレキシブル配線部145a、145bはY方向においてずれて配置されている。すなわち、同じ方向に折り曲げられたフレキシブル配線部145は、駆動方向と直交する方向において、異なる位置に配置されている。例えば、図3に示すように、フレキシブル配線部145aは、配線基板140aの+Y側の端部から延設されている。一方、フレキシブル配線部145bは、配線基板140bの−Y側の端部から延設されている。すなわち、フレキシブル配線部145aとフレキシブル配線部145bとが、Y方向にずれて配置される。従って、配線基板140がX方向に駆動しても、フレキシブル配線部145同士が互いに接触するのを防ぐことができる。従って、配線基板140に力が加わるのを防ぐことができ、直進性を向上することができる。
ここで、シャッター板120に対する接続を所定の配置とすることで、4つのフレキシブル配線部145を全て同じ形状に統一することができる。この点について図5、及び図6を用いて説明する。なお、図6では配線基板140の一部の構成のみを示し、フレキシブル配線部145側の構成については省略している。ここで、図5に示すように、上からシャッター板120a、シャッター板120b、シャッター板120c、及びシャッター板120dの順番で配置されている。従って、上から配線基板140a、配線基板140b、配線基板140c、及び配線基板140dの順番で配置されている。配線基板140の配線形成面のうち、フレキシブル配線部145が延設されている面を表面142とし、反対側の面を裏面143とする。
配線基板140aは上側に裏面143aが配置され、配線基板140bは上側に表面142bが配置される。同様に、配線基板140cは上側に裏面143cが配置され、配線基板140dは上側に表面142dが配置される。ここで、図6は、それぞれのシャッター板120及び配線基板140を配線基板140の表面142側から見た図である。この場合、配線基板140a、140cがシャッター板120a、120cの手前側に位置する。一方、シャッター板120b、120dが、配線基板140b、120dの手前側に位置する。このように、隣接する2枚の配線基板140は、配線基板140における反対側の面でシャッター板120に接続される。すなわち、隣接する2枚のシャッター板120では、配線基板140の反対側の面が接続面となる。このように、配線基板140における同一面が、1枚おきに、接続面となっている。換言すると、配線基板140の裏面143及び表面142は、交互に接続面となっている。
この場合、隣接する2枚の配線基板140はX方向の中心線で反転された配置となる。よって、隣接する2枚の配線基板140において、フレキシブル配線部145が反対側に配置される。これにより、4枚のシャッター板120に対して、同じ形状の配線基板140を用いることができる。すなわち、配線基板140a、140bを同じ形状とした場合でも、フレキシブル配線部145の位置がY方向にずれる。従って、部品を共通化することができ、生産コストを低減することができる。
さらに、配線基板140及びシャッター板120は、互いに干渉しないよう、配置されている。この点について、図5を用いて説明する。配線基板140の端部とシャッター板120の端部とは互いに重なり合うように配置されている。ここで、配線基板140aはシャッター板120aの上面側に接続されている。一方、配線基板140bは、シャッター板120bの下面側に接続されている。さらに、配線基板140cはシャッター板120cの上面側に接続され、配線基板140dは、シャッター板120dの下面側に接続されている。すなわち、隣接する2枚のシャッター板120では、反対方向側の面が配線基板140との接続面となっている。換言すると、接続部において、隣接する配線基板140の間に配置されるシャッター板120の数は0か2になる。このように、隣接する配線基板140の間には、2枚のシャッター板120の端部が配置されるか、あるいは、シャッター板120の端部が1つも配置されない。
図5に示すように、最も上側及び下側の配線基板140を除いて、2枚のシャッター板120と2枚の配線基板140とがZ方向において交互に配置される。換言すると、隣接する2枚のシャッター板120では、互いに反対方向の面に配線基板140が取り付けされる。具体的には、シャッター板120aでは、上方向の面(+Z側の面)に配線基板140aが取り付けられ、シャッター板120bでは、下方向の面(−Z側の面)に配線基板140bが取り付けられる。シャッター板120cでは、上方向の面(+Z側の面)に配線基板140cが取り付けられ、シャッター板120dでは、下方向の面(−Z側の面)に配線基板140dが取り付けられる。これにより、配線基板140と、シャッター板120とが干渉するのを防ぐことができる。すなわち、X方向に移動させた場合でも、配線基板140の側端面と、シャッター板120の側端面が衝突するのを防ぐことができる。
なお、配線基板140とシャッター板120とは、例えば、接着剤などによって接続されている。あるいは、配線基板140とシャッター板120とを一体的に形成してもよい。また、配線基板140の表面には、絶縁性の保護膜を形成する。これにより、コイル配線141及び供給配線146の上に保護膜が形成され、端子147のみが露出する。
駆動部150は、上記のように、4枚のシャッター板120を独立して駆動する。従って、それぞれシャッター板120に設けられた開口部121が、異なる位置に変化する。ここで、4枚のシャッター板120には、図6に示すような開口部121が設けられている。具体的には、シャッター板120c、120dの開口部121c、121dは、正方形状に形成されている。そして、開口部121c、121dの各辺はX方向、又はY方向と平行に設けられている。開口部121cと開口部121dは同じ大きさである。
また、シャッター板120a、120bの開口部121a、121bは台形状に形成されている。台形状の開口部121a、121bのうちの2辺はX方向と平行に設けられている。そして、残りの2辺のうちの一方の辺はY方向に平行に設けられ、他方の辺はX方向から45°傾いて設けられている。ここで、開口部121a、121bにX方向から45°傾いて形成されている辺を斜辺とする。開口部121aの斜辺と、開口部121bの斜辺とは、直交するよう設けられている。開口部121aと開口部121bとは同じ大きさである。従って、開口部121bは、開口部121aをY方向の線で反転した形状となっている。
そして、4枚のシャッター板120は、上記のように独立して、X方向に駆動される。上記の4つの開口部121を組み合わせることによって、光ビームのスポット形状を変化させることができる。すなわち、開口部121の辺がビームの通過を制限する境界線となる。ここで、図1に示すようにビーム成形装置200は、2つの可変シャッター装置100、101を有している。そして、可変シャッター装置101は、可変シャッター装置100と同じ構成をいる。さらに、2つの可変シャッター装置100、101の駆動方向は90°異なっている。すなわち、可変シャッター装置101は、可変シャッター装置100から90°回転して設けられている。このように、可変シャッター装置100と可変シャッター装置101を交差させることによって、様々な形状のビームアパーチャー201を形成することができる。すなわち、2つの可変シャッター装置100、101を組み合わせることによって、ビームアパーチャー201を様々な形状に変化させることができる。
駆動方向がX方向の可変シャッター装置100は、ビームのスポット形状をY方向に制限する。また、駆動方向がY方向の可変シャッター装置101は、ビームのスポット形状をX方向に制限する。さらに、開口部121の一部には、2つの可変シャッター装置100、101の駆動方向から傾いた斜辺を設けている。これにより、ビームアパーチャー201を3角形、4角形、5角形、6角形、7角形、又は8角形にすることができる。
ここで、図7に、ビーム成形装置200によって形成することがビームアパーチャー201の例を示す。図7では、10個のビームアパーチャー201が示されている。図7に示すようにビームアパーチャー201の形状を、例えば、正方形、長方形、台形、直角二等辺三角形、平行四辺形、八角形などとすることができる。さらには、上記の形状を組み合わせたビームアパーチャー201を形成することもである。このように3〜8角形のビームアパーチャー201を形成することができる。もちろん、図示した形状に限られない。ここで、ビームアパーチャー201の辺は、X方向と平行方向、X方向と直角方向、又はX方向から45°傾いた方向になっている。このように、X方向に変位する4枚のシャッター板120とY方向に変位する4枚のシャッター板120とを組み合わせることによって、様々な形状にビームを成形することができる。さらに、ビームアパーチャー201を上記の形状の相似形にすることもできる。すなわち、ビームアパーチャー201のサイズ変更も可能である。
複数のシャッター板120のうちの少なくとも一部には、移動方向と平行な辺を有する直角四辺形(長方形、正方形)の開口部を形成する。そして、複数のシャッター板120のうち、直角四辺形の開口部121が形成されたシャッター板120と異なるシャッター板120には、直角四辺形の辺から傾いた角度の斜辺を有する開口部121を形成する。斜辺を有する開口部121は、台形状とすることが好ましい。さらに、少なくとも2枚のシャッター板に対して、斜辺を有する開口部121を形成する。そして、2枚のシャッター板にそれぞれ設けられた斜辺を異なる角度とする。さらには、2つの斜辺を直交させてもよい。このような開口部を用いることによって、様々な形状のビームアパーチャー201を形成することができる。
上記のように、開口部121が設けられている複数のシャッター板120を独立して直進移動させる。これにより、シャッター板120の相対位置が変わり、開口部121が変位する。従って、ビームアパーチャー201の開口形状が変化する。このとき、複数のシャッター板の少なくとも一つに移動方向と平行な辺、及び垂直な辺を有する開口部を形成する。さらに、他のシャッター板120には、移動方向と平行な辺及び垂直な辺から傾いた斜辺を形成する。そして、2つのシャッター板120にそれぞれ設けられた開口部121の斜辺を異なる角度とする。さらに、2つの斜辺を直交するよう傾けることが好ましい。
次に位置検出部160の構成について、図8を用いて説明する。この位置検出部160でそれぞれのシャッター板120の位置を検出することによって、正確に移動させることができる。図8(a)は、位置検出部160の構成を模式的に示す側面図である。図8(b)は、位置検出部160の構成を模式的に示す上面図である。161は、LED(Light Emitting Diode)アレイ、162はLED、163は導光ブロック、164は導光ブロック163の入射面、165は導光ブロック163の出射面、166は検出器である。
位置検出部160は、LED162がアレイ状に配置されたLEDアレイ161を有している。LEDアレイ161は、マトリクス状に配置された4×4個のLED162を有している。すなわち、LEDアレイ161には、Y方向に4個のLED162が配列され、Z方向に4個のLED162が配置されている。ここで、LED162は+X方向に白色光を出射する。LEDアレイ161から出射された光は、導光ブロック163の入射面164に出射する。導光ブロック163は、屈折率の高いアクリル樹脂等から構成されている。従って、導光ブロック163内に入射した光は、導光ブロック163の中で全反射して、導光ブロック163の出射面165から出射する。
ここで、導光ブロック163の入射面164はYZ平面に平行で、出射面165は、XY平面に平行である。そして、導光ブロック163内の光は、入射面164及び出射面165から傾いた面で全反射して、出射面165から出射する。このように、複数のLED162からの光を導光ブロック163内に導いた後、出射面165から出射させることによって、空間的に均一な光を出射することができる。なお、導光ブロック163の入射面164、又は出射面165以外の面に金属などを蒸着してもよい。これにより、光漏れを防ぐことができる。
従って、LEDアレイ161からの光は、導光ブロック163の出射面165からシャッター板120方向に出射される。ここで、導光ブロック163の出射面165と対向する位置には、シャッター板120に透光部123、及び位置検出用透光部122が設けられている。さらに、位置検出用透光部122、及び透光部123に対応する位置には光検出器166が配置される。そして、この透光部123、及び位置検出用透光部を介してLEDアレイ161からの光が、光検出器166に入射される。ここで、光検出器166は、位置検出素子(PSD:Position Sensitive Detector)であり、光の入射位置に応じた検出信号を出力する。具体的には、光検出器166として、浜松ホトニクス社製の1次元PSDを用いることができる。従って、光検出器166の受光面は、帯状になる。すなわち、光検出器166はX方向に延びた受光面を持つ。光検出器166のX方向における光の入射位置を検出する。従って、光検出器166の受光面における光の入射位置に応じた信号を出力する。また、光検出器166の長さは、導光ブロック163のX方向の長さに対応している。従って、4枚のシャッター板120がない場合、光検出器166の受光面全体に導光ブロック163からの光が入射する。
このように、光検出器166と導光ブロック163の間に、シャッター板120が配置される。そして、シャッター板120には、透光部123、及び位置検出用透光部122が設けられている。従って、LEDアレイ161から出射した光は、透光部123、及び位置検出用透光部122を通過して、光検出器166に入射する。シャッター板120の背面側には、4枚のシャッター板120のそれぞれの位置を検出するため、4つの光検出器166が設けられている。4つの光検出器166のそれぞれは、X方向(駆動方向)に延びた帯状の受光面を持つ。また、4つの光検出器166a〜166dは、Y方向に配列されている。ここで、4枚のシャッター板120は、導光ブロック163の出射面165と光検出器166の受光面との間に配置される。従って、LEDアレイ161からの光は、透光部123、及び位置検出用透光部122を介して、光検出器166に入射する。
ここで、位置検出用透光部122、及び透光部123の構成について、図8とともに、図6を参照して説明する。透光部123は、X方向に延びた帯状に形成されている。位置検出用透光部122は、例えば、透光部123に比べて十分小さくなっている。従って、透光部123を通過した光は、位置検出用透光部122によって遮光される。反対に、位置検出用透光部122を通過した光は、透光部123によって遮光されない。すなわち、透光部123は、位置検出用透光部122を通過する光、及び通過した光を遮らない。透光部123は、例えば、X方向に25mm、Y方向に2mmの矩形状に設けられている。位置検出用透光部122は、例えば、X方向に1mm、Y方向に2mmの長方形状に設けられている。このように、位置検出用透光部122は、X方向において、透光部123よりも十分短くなっている。
それぞれのシャッター板120には、3つの透光部123と1つの位置検出用透光部122が形成されている。3つの透光部123と、1つの位置検出用透光部122はY方向に並んで配置されている。ここで、4枚のシャッター板120では、位置検出用透光部122の位置が異なっている。例えば、図6に示すようにシャッター板120aでは、左側から、位置検出用透光部122a、透光部123a、透光部123a、透光部123aの順番で配置される。また、シャッター板120bでは、左側から、透光部123b、位置検出用透光部122b、透光部123b、透光部123bの順番で配置される。さらに、シャッター板120cでは、左側から、透光部123c、透光部123c、位置検出用透光部122c、透光部123cの順番で配置され、シャッター板120dでは、左側から、透光部123d、透光部123d、透光部123d、位置検出用透光部122dの順番で配置される。ここで、図8に示すように、シャッター板120aの位置検出用透光部122aには、シャッター板120b、120c、120dの透光部123b、123c、123dが重ね合わされる。シャッター板120b、120c、120dに設けられた位置検出用透光部122も同様に、他の3枚に設けられている透光部123と重ね合わされる。すなわち、XY平面において、1つのシャッター板120の位置検出用透光部122の位置には、3つのシャッター板120の透光部123が配置される。
従って、図8(a)に示すように、位置検出部160では、位置検出用透光部122のみ光が透過して、それ以外では遮光される。すなわち、LEDアレイ161からの光は、3枚のシャッター板120の透光部123と、1枚のシャッター板120の位置検出用透光部122を通過して、光検出器166に入射する。ここで、透光部123は、X方向において所定の長さを有しており、光検出器166の受光面よりも長くなっている。そして、透光部123は、シャッター板120の可動範囲よりも十分長く設けられている。従って、シャッター板120がどの位置にある場合でも、透光部123は、導光ブロック163の出射面165に対応する位置にある。すなわち、シャッター板120がX方向に移動しても、導光ブロック163の出射面165には透光部123が対向配置される。このように、導光ブロック163から出射した光は、透光部123の周辺ではほとんど遮光されない。
さらに、X方向における位置検出用透光部122の長さは、透光部123よりも十分短くなっている。X方向における位置検出用透光部122の長さは、光検出器166よりも十分短くなっている。位置検出用透光部122の長さは、光検出器の性能などに応じて設定することができる。従って、シャッター板120がX方向に移動すると、出射光が異なる位置で位置検出用透光部122を通過する。従って、光検出器166の受光面上における光の入射位置が、シャッター板120の位置に応じてX方向に変化する。受光面におけるX方向の入射位置に基づいて、位置検出用透光部122に対応するシャッター板120の位置が測定される。すなわち、通過した位置検出用透光部122が設けられているシャッター板120の位置が測定される。
ここで、図8(b)に示すように、LEDアレイ161のうち、Z方向に並んだLED162の1列は、1つの導光ブロック163に対応している。すなわち、Z方向に並んだ4つのLED162からの光が1つの導光ブロック163に入射する。また、1つの導光ブロック163は、1つの光検出器166に対応している。すなわち、1つの導光ブロック163から出射した光が、1つの光検出器166に入射している。このように、LED162の列と、導光ブロック163と、光検出器166はそれぞれ対応している。
例えば、図8(b)に示した構成のうち、最も−Y側に配置された構成を考えると、LED162aから出射した光は、導光ブロック163aに入射する。そして、導光ブロック163aから出射された光は、光検出器166aに入射する。ここで、最も−Y側には配置された導光ブロック163aと光検出器166aとの間には、図6で示したように、1つの位置検出用透光部122aと3つの透光部123b、123c、123dが配置される。導光ブロック163は、X方向に所定の長さを有する光を出射する。
従って、シャッター板120aがX方向に移動すると、光検出器166aの受光面上において、位置検出用透光部122aを通過する光の入射位置が変化する。従って、位置検出用透光部122aに基づいて、シャッター板120の位置を検出することができる。すなわち、光検出器166からの検出信号によって、シャッター板120の位置を検出することができる。ここで、シャッター板120b、120c、120cがX方向に移動しても、光検出器166aの受光面上における光の入射位置は変化しない。すなわち、透光部123は、シャッター板120を移動した場合でも、光検出器166の受光面全体に光を入射させることができるよう、X方向に所定の長さを有している。導光ブロック163からの光は、位置検出用透光部122が設けられているシャッター板120aによって制限される。このように、位置検出用透光部122aに対応するシャッター板120aによって、光検出器166aに入射する光が遮光される。すなわち、シャッター板120aの位置のみによって、光検出器166における入射位置が変化する。
このように、シャッター板120aを駆動して、位置検出用透光部122aを変位させると、光検出器166aの受光面上での光の入射位置がX方向に変化する。従って、光検出器166aからの出力が変化する。このように、光検出器166aから出力される検出信号によって、シャッター板120aの位置を検出することができる。さらに、それぞれのシャッター板120a〜120dの位置を検出するため、4つの光検出器166が設けられている。そして、4つの光検出器166に対応して、導光ブロック163、及びLEDアレイ161を設ける。すなわち、1つの光検出器166、1つの導光ブロック、及び1列のLED162を1組とすると、4組の構成をY方向に並べる。ここでは、光検出器166aによってシャッター板120aの位置を測定し、光検出器166bによってシャッター板120bの位置を測定し、光検出器166cによってシャッター板120cの位置を測定し、光検出器166dによってシャッター板120dの位置を測定する。このとき、それぞれの組で、シャッター板120に設けられた透光部123、及び位置検出用透光部122の位置を変える。すなわち、位置検出用透光部122をY方向にずらして配置する。そして、1のシャッター板120の位置検出用透光部122と、他のシャッター板120の透光部123とを重ね合わせて配置する。これにより、3枚以上重ね合わされた全てのシャッター板120の位置を検出することができる。
なお、複数の位置検出用透光部122は、平行な配置に限られるものではない。すなわち、複数の位置検出用透光部122が、ずれて配置されていればよい。もちろん、光検出器166についても、位置検出用透光部122に対応して、ずれて配置する。このとき、複数の光検出器166を駆動方向と垂直なY方向に配列することが好ましい。そして、複数の位置検出用透光部122についても、Y方向において、異なる位置に配置する。これにより、シャッター板120のサイズの増大を防ぐことができる。なお、導光ブロック163の長さは、光検出器166の受光面の長さに対応するものであればよい。また、導光ブロック163の出射面165、及び光検出器166の受光面は、可動範囲よりも長くする。
さらに、透光部123は、導光ブロック163の長さ、とシャッター板120の可動距離との和よりも長くすることが好ましい。これにより、位置検出用透光部122の位置によらず、一定の強度の光を光検出器166に入射させることができる。よって、検出精度を向上することができる。透光部123の形状を、例えば、X方向に25mm、Y方向に2mmの矩形状とする。これは、1枚のシャッター板120の可動距離を12mmとする場合、X方向における透光部123の長さは、(12+1+12)mmで25mmとなるからである。これにより、導光ブロック163の出射面165には、シャッター板120の位置によらず、透光部123が対向配置される。
位置検出用透光部122、及び透光部123はシャッター板120に貫通孔を設けることによって形成される。もちろん、位置検出用透光部122、及び透光部123は、貫通孔に限られるものではなく、光を透過するものであればよい。例えば、透明フィルムなどにより、透光部123、及び位置検出用透光部122を形成してもよい。すなわち、透光部123、及び位置検出用透光部122は、光を透過することができるものであればよい。さらに、シャッター板120の一部を切り欠いて、透光部123を形成してもよい。すなわち、シャッター板120の端部に対してX方向に凹凸を形成して、透光部123を形成することが可能である。例えば、シャッター板120の端部の形状を櫛形とする。そして、櫛形の窪んだ箇所を透光部123としてもよい。さらには、シャッター板120の端部をX方向に突出させて、位置検出用透光部122を形成してもよい。
なお、LEDアレイ161のLED162の列数、導光ブロック163の数、及び光検出器166の数は、シャッター板120の枚数に応じて決定すればよい。これにより、複数のシャッター板120を重ねた場合であっても、それぞれの位置を検出することができる。なお、位置検出部160の光源はLEDアレイ161に限られるものではない。一定の幅を有する光を出射する光源であればよい。さらに、均一な光を出射する光源を用いた場合、導光ブロック163を不要とすることができる。さらに、LED162からの出射光の変動に応じて、測定結果を補正してもよい。具体的には、LEDアレイ161の各列に流れる電流に応じて、測定結果を補正する。
上記のように、シャッター板120のそれぞれに対して異なる位置に、位置検出用透光部122を形成する。この時、シャッター板120には、他のシャッター板120の位置検出用透光部122を塞がないように、透光部123を形成する。透光部123はX方向に所定の長さを有しているため、シャッター板120が変位した場合でも、位置検出用透光部122を塞がない。各シャッター板120には、1つの位置検出用透光部122が形成される。そして、1枚のシャッター板120に形成される位置検出用透光部122と透光部123との数の和が、シャッター板120の枚数と等しくなる。複数の透光部123を一体的に形成しても良い。
このように、位置検出部160でそれぞれのシャッター板120の位置を検出する。そして、それぞれのシャッター板120の位置に応じて、配線基板140のコイル配線141に供給する電流を制御する。これにより、シャッター板120の位置を正確に制御することができる。さらに、シャッター板120の位置に応じて、駆動電流をフィードバック制御する。例えば、可変シャッター装置100では、駆動電流をPID制御している。これにより、所定の位置まで、短時間でシャッター板120を移動させることができる。シャッター板120の位置制御については後述する。
上記の構成を有する位置検出部160は、駆動部150とは異なる方式で駆動する可変シャッター装置やビーム成形装置に対しても利用することができる。すなわち、開口部が形成されたシャッター板120を複数重ね合わせた状態で、シャッター板120によって独立して移動させる可変シャッター装置に上記の位置検出部160を設ける。さらに、複数のシャッター板のそれぞれに対して異なる位置に設けられ、シャッター板120の移動に応じて移動する位置検出用透光部122と、位置検出用透光部122と重なるように配置され、シャッター板120の移動方向に所定の長さを有する透光部123をシャッター板120に形成する。そして、光源から透光部及び位置検出用透光部に光を出射する。この光源からの光を位置検出用透光部及び透光部を介して検出する光検出器を設ける。そして、光検出器での検出結果に基づいて、シャッター板を制御する。これにより、それぞれのシャッター板を正確に移動させることができる。このようにして、開口形状を変化させることができる。ここで、様々なタイプの駆動機構を用いることができる。なお、位置検出用透光部122と透光部123とは、シャッター板120以外に形成することができる。すなわち、シャッター板120に取り付けられた別体に、位置検出用透光部122と透光部123を形成してもよい。
以下に、可変シャッター装置100の具体的の構成の一例について説明する。シャッター板120としては、例えば、厚さ0.1mmのチタン板を用いることができる。軽量、高剛性のチタン板をシャッター板120として用いることによって、高速化を実現することができるそして、シャッター板120に表面処理を施して、耐摩耗性を向上させている。ここでは、シャッター板120の表面にドライルーブ処理を施している。これにより、シャッター板120を重ね合わせた状態で移動させても、駆動による磨耗を低減することができる。なお、ドライルーブ処理は、シャッター板の片面のみに施してもよい。
シャッター板120のサイズはX方向に80mmで、Y方向に38mmである。すなわち、シャッター板120は、80mm×38mmの矩形状である。さらに、図6で示し下正方形状の開口部121c、121dは、1辺12mmの正方形である。開口部121a、121bのうちの1辺はY方向に沿って設けられ、2辺はX方向に沿って設けられている。台形状の開口部121a、121bの残りの1辺は45°の斜辺である。従って、開口部121a、121bのX方向の2辺のうちの一方は開口部121cの一辺と同じ長さであり、他方は2倍の長さである。
配線基板140上に、例えば、1mmの幅のパターンの配線を10回転の渦巻状に形成して、コイル配線141としている。ここでは、コイル配線141に最大2Aの電流を流すことができる。さらに、推力を増加させるため、配線基板140の両面にコイル配線を形成している。さらに、表面、及び裏面のコイル配線141を積層している。ここでは、表面の配線、及び裏面においてコイル配線のそれぞれを2層にしている。従って、合計4層となり、40ターンのコイル配線が形成される。もちろん、各層の配線の間には絶縁膜が形成されている。なお、コイル配線141には瞬間的に電流が流れるため、コイル配線141の加熱は実用上問題とならない。
さらに、マグネット132〜135はネオジウム磁石である。ここで、マグネット対137の間の表面磁場は、約1.3Tである。マグネット対138の表面磁場を同様である。このマグネット対137、138と、ヨークとを組み合わせ界磁としている。これにより、2Aの駆動電流で、最大400gfの推力で加速することができる。ここで、1枚のシャッター板120と1枚の配線基板140との合計質量は約4gである。従って、100Gの大きな加速度を得ることができる。これにより、短時間で目標位置まで移動させることができる。
ビーム成形装置200は、上記の可変シャッター装置100と、可変シャッター装置100と同じ構成の可変シャッター装置101とを備えている。そして、可変シャッター装置100と可変シャッター装置101とは直交している。すなわち、4枚のシャッター板120と4枚のシャッター板120が直交する方向に配置される。これにより、図7に示すように、様々な形状のビームアパーチャー201を形成することができる。そして、ビーム成形装置200は、レーザ光を照射するビーム照射装置に好適である。具体的には、ビーム成形装置200は、カラーフィルタなどのパターン基板上の欠陥を修正する欠陥修正装置に好適である。すなわち、ビーム成形装置200を欠陥修正装置などのレーザ加工装置に適用してもよい。これにより、加工形状の制御を正確に行うことができる。
上記の可変シャッター装置100を用いることによって、シャッター板120を12mmのストロークで駆動させることができる。さらに、高い加速度を得ることができるため、12mmの移動時間を5msec以下にすることができ、例えば、移動時間を3msecとすることも可能である。よって、アパーチャーの形状を変えるために必要な時間を短縮することができる。上記の可変シャッター装置100、101を用いたビーム成形装置200は、±2.5μm以下の位置精度を有している。従って、ビーム照射装置の対物レンズが20倍の場合、物体上では、±0.1μm程度の位置精度でレーザ光を照射できる。従って、ビーム成形装置200は、高精度が要求されるパターン基板の修正に好適である。さらに、短時間で開口形状を変化させることができるため、修正時間を短縮することができる。従って、高精度の修正を短時間で行うことができる。これにより、生産性を大幅に向上することができる。
レーザ加工装置などのレーザ照射装置にビーム成形装置200を用いた場合、マグネット体130をレーザ照射装置の光学系に固定する。そして、レーザ光の光路中に、シャッター板120の開口部121を配置する。コイル配線141に対する駆動電流を制御すると、シャッター板120aが移動する。これにより、ビームアパーチャー201の形状を変化させることができる。なお、シャッター板120を駆動すると、マグネット体130に対して反力が発生する。しかしながら、マグネット体130をレーザ照射装置に対して固定しているため、実用上問題とならない。また、リニアガイド103もレーザ照射装置に固定される。
複数のシャッター板120の界磁を共通に使用した場合、電機子反作用によってある程度の界磁乱れが発生するが、制御上問題となるレベルにはならない。特に、1つの界磁内の4枚のシャッター板120を逆方向に移動する場合、電機子反作用の出る方向が互いに逆となる。例えば、ビームアパーチャー201のサイズを変更する場合、シャッター板120a、120cを+X方向に、シャッター板120b、120cを−X方向に移動させる。この動作を行なうとき、電機子反作用が隣接するシャッター板120によって、強め合う。これにより、移動時間をさらに短縮することができる。
さらに、シャッター板120の加速度による機械的な反作用をキャンセルするため、ダミーの板を配置してもよい。例えば、8角形のビームアパーチャー201が不要で、四角形までで良い場合、4枚のシャッター板120のうち、2枚をダミー板としてもよい。ここで、ダミー板には、開口部121よりも十分に大きな開口部を形成する。これによって、反作用によって生じる振動をキャンセルすることができる。
なお、上記の説明では、シャッター板120を4枚としたが、これに限るものではない。すなわち、可変シャッター装置100には、複数のシャッター板120が設けられていればよい。また、可変シャッター装置100、101は、簡易な構成であるため、2つの可変シャッター装置100、101を交差させて配置した場合でも、駆動部150同士が干渉しない。従って、ビーム成形装置200をコンパクトにすることができる。
次に、上記のビーム成形装置200を用いた欠陥修正装置について説明する。ここでは、液晶表示パネルの欠陥を修正する欠陥修正装置について、図9を用いて説明する。図9は、ビーム成形装置200を用いた欠陥修正装置の光学系の構成を模式的に示す図である。欠陥修正装置は、レーザ光を基板6に照射する光学系41を備えている。すなわち、欠陥修正装置は、ビーム成形装置を介してレーザ光を欠陥箇所に照射して、欠陥を修正する。さらに、この欠陥修正装置は、例えば、特許3580550号に示すように、マスクとなるマスクフィルム5を基板6上に配置して欠陥を修正している。
光学系41は、ハーフミラー3、レーザ光源1、ビーム成形機構2、対物レンズ4、ランプ光源9、フィルタ10、ハーフミラー11及びCCDカメラ12を備えている。光学系41は、さらに基板6の欠陥箇所に転写された転写層に対してUV光を照射するUV光源13を備えている。この光学系41は基板6の上に配置されたリペアヘッドに設けられている。さらに、基板6の下方には、光源ヘッド37が設けられている。光源ヘッド37は照明光源51とUV光源52とを有している。光学系41のランプ光源9、ハーフミラー3、ハーフミラー11、フィルタ10及びCCDカメラ12ならびに光源ヘッド37の照明光源51は欠陥の検出あるいは、欠陥の修正が正常に行われたか否かを確認するために用いられる。すなわち、基板6の反射像あるいは透過像を観察して、欠陥の検出等が行なわれる。
基板6の反射像を観察するための構成について説明する。反射観察用光源として光学系41に設けられたランプ光源9を用いている。ランプ光源9は基板6の表面を照明するための白色光を出射する。ランプ光源9から出射した反射観察用の光はフィルタ10を通過して、ハーフミラー11に入射する。フィルタ10は波長可変フィルタであり、所定の波長のみを遮光することができる。ここで、フィルタ10は欠陥検出に好適な波長の光を出射させることができる。ハーフミラー11に入射した光は基板6の方向に反射する。この光はハーフミラー3を透過して、対物レンズ4に入射する。対物レンズ4と基板6の間にはマスクフィルム5が基板6と対向して設けられている。そして、対物レンズ4で集光された光はマスクフィルム5を透過して基板6の表面に入射する。これにより、基板6の上面から基板6の一部を照明することができる。基板6で反射された光はマスクフィルム5、対物レンズ4、ハーフミラー3及びハーフミラー11を透過してCCDカメラ12に入射する。CCDカメラ12は基板6の表面での反射光に基づいて反射画像を検出する。これによって、基板6の反射像を観察することができる。
次に、透過像を観察するための構成について説明する。本発明では、基板6の透過像を観察するため、光源ヘッド37に照明光源51を用いている。照明光源51は、対物レンズ4の光軸上に設けられている。すなわち、照明光源51の光軸は上記の反射像の観察用光学系の光軸と一致している。照明光源51はステージ7を介して基板6の裏面側から基板6に透過照明光を入射させる。基板6を透過した透過光は、マスクフィルム5、対物レンズ4、ハーフミラー3及びハーフミラー11を透過してCCDカメラ12に入射する。照明光源51には、反射像の観察と同様にランプ光源を用いることができる。また、照明光源51に対してレンズや波長可変フィルタなどのフィルタ等を設けても良い。欠陥検出時は、リペアヘッドと光源ヘッドを同期して移動させる。これにより、透過照明光と反射照明光とが同じ光軸で基板に入射するため、ランプ光源9及び照明光源51のON/OFFを独立して制御することにより、透過像又は反射像のいずれを撮像するかを容易に切り替えることができる。
なお、上記の説明では、マスクフィルム5を介して基板6の観察を行なったが、これに限るものではない。例えば、マスクフィルム5を基板6と光学系41の間から外して観察を行なうこともできる。すなわち、マスクフィルム5を光軸からずらした状態で観察を行ってもよい。
CCDカメラ12はパーソナルコンピューター(PC)等の情報処理装置に接続されており、検出された画像に基づいて基板6の欠陥の有無を判断する。例えば、検出したリファレンスダイと比較するダイツーダイ方式(Die−to−Die)を用いることができる。検出した画像がリファレンスダイと異なる場合は、欠陥部分であると判断する。この欠陥検出機構では、不透明な黒欠陥及び透明な白欠陥を区別して検出することができる。
上記の光学系41はリペアヘッド(図示せず)に設けられている。このリペアヘッドが基板6の上を移動可能に設けられている。さらに、リペアヘッドには、基板6に転写される転写層を有する転写フィルムが設けられている。すなわち、転写フィルムは、基板6に設けられているパターンに応じた転写層を有している。例えば、修正対象が液晶表示装置のカラーフィルタ基板に設けられた着色層である場合、転写フィルムには、R、G又はBに着色された転写層が形成される。この転写フィルムの転写層を基板に付着して、欠陥が修正される。このような転写フィルムを有するリペアヘッドが基板6の上を移動可能に設けられている。
情報処理装置はリペアヘッドのXY駆動機構と接続され、欠陥検出時のリペアヘッドの位置から検出箇所が特定され、基板上における欠陥画素の座標が検出される。もちろん、欠陥検出機構は図示した構成に限らず、これ以外の構成を備える欠陥検出機構を用いてもよい。この欠陥検出機構については従来の欠陥検出装置と同様の構成を用いることができる。リペアヘッドを移動させることにより、基板6とランプ光源9からの光の相対位置を変化させて、基板6の全面の欠陥検出を行う。情報処理装置は、基板6の欠陥箇所の座標を、欠陥の種類(R、G、B、遮光層)や欠陥の大きさと対応付けて記憶する。
上述の欠陥検出機構により検出された欠陥は欠陥修正機構により、修正が行われる。欠陥修正機構について以下に説明する。レーザ光源1はQスイッチYAGレーザーであり、10nsec以下の短パルス光を出射することができる。さらに、レーザ光源1は、例えば、20〜100Hz以上のパルスレーザ光を出射することができる。レーザ光源1から出射した短パルスレーザ光はビーム成形機構2に入射する。ビーム成形機構2は上記のビーム成形装置200を備えており、短パルス光のスポットを適当な形状に成形することが可能である。例えば、基板上での短パルス光のビームスポットをカラーフィルタの画素と略同じ形状に成形する。あるいは欠陥の形状と略同じ形状に成形するようにしてもよい。ハーフミラー3は短パルス光を基板6の方向に反射する。ここでレーザ光源1とランプ光源9からの光が同軸になるようにそれぞれの光学部品が配置されている。ハーフミラー3で反射した短パルスレーザ光はマスクフィルム5に照射される。このとき、マスクフィルム5はマスクフィルム固定治具によって固定されている。すなわち、基板6に対してマスクフィルム5が固定された状態で、マスクフィルム5にフィルム開口部が形成される。ここで、基板6上には、ビーム成形機構2のビームアパーチャーの像が結像されている。従って、ビームアパーチャーの形状に応じた領域に、レーザ光が照射される。これにより、基板6の欠陥を高い位置精度で修正することができる。
さらにハーフミラー3にはレーザ光源1からのレーザ光を効率よく反射させるミラー等を用いることも可能である。例えば、レーザ光の波長に対して反射率の高いダイクロイックミラーや反射ミラーを用いてもよい。これにより、レーザ光1を効率よくマスクフィルム5に照射することができるため、レーザ光源1の出力を低減することができる。この場合、欠陥検出時や欠陥観察時には、ハーフミラー3を光路上から外してもよい。すなわち、欠陥検出時や欠陥観察時には、欠陥の検出や欠陥の観察に好適な波長の光によって基板6を照明するため、ハーフミラー3をランプ光源9の光路上から外すことが好ましい。このとき、ハーフミラー3を機械的に移動させることによって、光路上から取り除くようにする。欠陥検出時及び観察時には、ハーフミラー3をランプ光源9の光路上から除去し、開口部の形成時にはハーフミラー3をランプ光源9の光路上に配置する。
このマスクフィルム5と基板6との構成について図10を用いて説明する。図10は修正箇所の構成を示す拡大断面図である。図10(a)は短パルス光を照射中のマスクフィルム5と基板の構成を示している。図10(b)は欠陥画素の着色層が除去された基板の構成を示している。61は赤色(R)の着色層、62は緑色(G)の着色層、63は青色(B)の着色層、64はブラックマトリックス(BM)であり、これらは基板6の上面側、すなわち、リペアヘッド35側に設けられている。まず、カラーフィルタ基板の一般的な製造方法について説明する。カラーフィルタ用の基板6には透明なガラス基板等に遮光膜となる黒色の樹脂膜等を形成して、露光、現像工程によりパターニングする。これにより、樹脂膜はマトリクス状に形成されたBM64となる。この上から、着色層の色に対応した顔料を分散した感光性樹脂を塗布して、露光、現像工程によりパターンニングする。この工程を繰り返すことにより、Rの着色層61、Gの着色層62及びBの着色層63をBM64の間に順番に設ける。もちろん、インクジェット方式によって着色層、及びBMを形成してもよい。ここでは図10(a)に示すようにRの着色層61に白抜け部分が設けられているとする。すなわち、Rの着色層61となる画素の一部に、Rの着色層61が付着していない箇所があるとする。このような白抜け部分が設けられている画素は、欠陥検出機構により光を透過する欠陥画素として検出される。マスクフィルム5は基板6と略接触している。
この画素に、レーザ光源1からの10nsec以下の短パルス光を照射する。対物レンズ4によって集光された短パルス光は基板6と近接するマスクフィルム5に入射する。この短パルス光はレーザアブレーションによりマスクフィルム5を部分的に開口するようにパワーが調整されている。本実施例では、ポリイミドフィルムを用いているため、YAG短パルスレーザ光源1の3倍高調波の355nm又は4倍高調波の266nmを使用すれば、短パルス光を吸収するので容易にマスクフィルム5にフィルム開口部を設けることができる。また、ポリイミドフィルムは可視光領域で吸収がなく略透明であるので観察が容易であり、ランプ光源9を用いて欠陥を検出することができる。なお、マスクフィルム5はポリイミドに限らず、光の照射によって、化学分解、熱的な分解、昇華又はアブレーション等によって開口する材質を用いることが出来る。レーザ光はビーム成形機構2によって、欠陥の形状又は画素の形状になるように成形されているので、マスクフィルム5のフィルム開口部の形状は欠陥形状又はRの画素の形状と略同じ形状にすることができる。すなわち、ビームアパーチャー201の形状を画素形状に対応させている。レーザアブレーションによってRの着色層61とマスクフィルムの一部を略同時に除去することができる。
除去されたRの着色層61はマスクフィルム5の開口部を通って、基板から離脱する。これにより、白欠陥画素のRの着色層61の略全てを除去することができ、図10(b)に示すように白欠陥66となる。すなわち、ピンホール欠陥がある着色層61を除去した画素が白欠陥66となる。このとき、基板6から除去された着色層61はマスクフィルム5の上に付着する。修正部周辺はフィルムでカバーされているため、Rの着色層61が修正部周辺に付着して新たな欠陥を作ることがない。このように、レーザアブレーションによりフィルムと欠陥を略同時に除去することができる。なお、除去されたRの着色層61は1片となっているが多数のデブリとなって、マスクフィルム上に着地する場合もある。レーザ光源1のパワーは徐々にマスクフィルム5に穴を開けるように調整してもよいし、マスクフィルム5の穴あけと着色層等の除去を同時に行なうように調整してもよい。
なお、上記の説明では、白抜きの画素において着色層61を除去したが、異物が付着している画素にも適用することができる。この場合、画素に付着した異物がマスクフィルム5によって再度基板6に付着するのを防ぐことができる。異物が透明な場合、異物に短パルス光を照射しても、光の吸収がないのでレーザアブレーションが生じない。これに対し、マスクフィルム5としてポリイミドなどの光を吸収するフィルムを用いて、吸収フィルムを異物の上部に略接触させた状態で短パルスレーザ光を照射すると、マスクフィルムがレーザアブレーションで開口するのと同時に前方にとんだガスやデブリによって異物が基板に一瞬押し付けられ、その後の反跳によって基板から離脱することができる。上述の処理により基板上の異物とともに着色層61が除去されるため、黒欠陥は光を透過する白欠陥66となる。
転写フィルム18は熱転写によって転写する転写層を有する転写フィルムであり、例えば、富士写真フイルム社製トランサー(登録商標)を用いることができる。このフィルムにより、転写層の密着性を向上することができる。この転写フィルムを熱転写ロッドによって押圧することによって、欠陥を修正する。この転写工程について、図11を用いて説明する。図11は修正箇所の構成を示す拡大断面図である。なお、図11は、図10で示した白抜け箇所の構成を示している。
マスクフィルム5の上には熱転写ロッド43が配置されている。熱転写ロッドはリペアヘッドに設けられている。熱転写ロッド43は上下に移動可能に設けられており、転写フィルム18の転写層18bを付着させる時には下に移動して転写フィルム18を基板6に押圧する。ここで転写フィルム18には、酸素遮断層、ベース層及び帯電防止層等が設けられているが、これらについては省略して図示してある。熱転写ロッド43により転写フィルム18を押圧すると図11(a)に示す構成となる。
熱転写ロッド43を押しつけることにより、基板6と転写フィルム18に開口部を有するマスクフィルム5が挟まれた状態となる。従って、転写層18bがマスクフィルム5の開口部を介して基板6の欠陥位置に押し当てられる。開口部はレーザアブレーションにより着色層61を除去した箇所と同じ大きさ及び同じ位置に設けられているため修正が必要な箇所と一致している。マスクフィルム5を介して転写層18bを転写することにより開口部では基板6に転写層18bが付着する。一方、開口部以外の領域では転写層18bはマスクフィルム5の上面に付着される。
このように、マスクフィルム5の開口部を介して着色層となる転写層18bを転写することにより、欠陥箇所以外の領域に転写層18bが付着されることを防止できる。これにより、簡易な構成で欠陥箇所にのみ転写層18bを転写することができ、正確に欠陥を修正することが可能になる。また、余分な箇所に転写層18bが付着されないため、後の工程で余分な箇所の転写層18bを除去する必要がなくなり、生産性を向上することができる。
さらに本実施例では、熱可塑性樹脂層18dを介して転写層18bを押下している。熱可塑性樹脂層18dは弾力性を有し、転写フィルム18を基板6に押圧する際にはクッション層として機能する。これにより、着色層62、BM64及びマスクフィルム5により生じる基板上の段差が吸収されるため、正確に転写層18bを転写することができる。熱可塑性樹脂層18dは厚さが20μmであるため、例えば、着色層が2μm、BMが2μm、マスクフィルム5が8μmの厚さであっても、これらにより生じる段差を吸収して正確に転写することができる。
ここで、熱転写ロッド43を押下して転写層18bを熱転写している間、図9に示した光源ヘッド37のUV光源52によって基板6の裏面側からUV光を照射する。これにより、転写層18bの基板6に対する密着性を向上することができる。裏面側からのUV光の照射量は、例えば、約50mJとする。
熱転写ロッド43を上げて基板6と離した後、転写フィルム18を保持する。フィルムホルダを上昇する。これにより基板6から転写フィルム18が離れる。同時にマスクフィルム固定治具を上昇して、基板6からマスクフィルム5を離す。これにより、上面に転写層18bが付着したマスクフィルム5が基板から剥離される。これにより、図11(b)に示す構成となる。このように、ドライプロセスにより転写層18bを熱転写することができる。さらに、マスクフィルム固定治具を上げた後、マスクフィルムリール8を回転させる。基板6側に熱可塑性樹脂層18d等が付着してしまう場合は、後の洗浄工程において、弱アルカリ水溶液でシャワー噴霧処理を行い熱可塑性樹脂層18dを除去する。もちろん、あるいは、熱可塑性樹脂層18dを研磨テープで削り取る又は布テープで拭き取る等の方法により除去する。これにより、図11(b)に示すように白欠陥の位置に着色層となる転写層18bが転写される。
このようにマスクフィルム5を用いることにより、着色層として転写される層の厚さ、色、透過率などの特性を容易に制御することができる。すなわち、転写フィルム18の転写層18bを所望の特性で形成することにより、修正された着色層が正常な着色層と略同じ状態となるように修正することができる。これにより、正確な欠陥修正を行うことができる。また、マスクフィルム5を用いて転写することにより、転写層の密着性を向上することができる。上述の熱転写工程では、転写速度を上げるため。基板6を予備加熱するようにしてもよい。
マスクフィルム5を基板6から剥がした後、転写箇所の上にUV光源13が配置されるようリペアヘッドを移動する。そして、基板6の表面側に設けられたUV光源13からUV光を照射する。これにより、転写層18bの両面からUV光が照射されることになる。よって、転写層18bに対して均一にUV光を照射することができ、感光性樹脂からなる転写層18bが均一に硬化される。なお、光学系41にはUV光源13に対するレンズやフィルタ等を設けても良い。さらに、熱転写ロッド43よりも高温のヒータロッドをリペアヘッドに設けても良い。そして、このヒータロッドを基板6に押圧することによって、転写された転写層18bを加熱してもよい。
ここで、マスクフィルム5のフィルム開口部の形状は、本実施の形態にかかるビーム成形装置200を用いたビーム成形機構2によって決定される。すなわち、ビーム成形装置200のビームアパーチャー201の形状に応じた形状のフィルム開口部が形成される。このフィルム開口部を介して欠陥を修正することによって、欠陥となる画素以外に転写層が転写されるのを防ぐことができる。よって、欠陥を精度よく修正することができ、生産性を向上することができる。
なお、上記の修正工程以外で修正を行ってもよい。例えば、マスクフィルムを用いない欠陥修正装置に対しても利用することができる。この場合、レーザ光を欠陥箇所に照射して、欠陥となる着色層を除去する。すなわち、パターンに直接、パルスレーザ光を照射して欠陥を修正しても良い。また、着色層のパターンを除去して修正パターンを形成することも可能である。
ここで、液晶表示装置などの表示装置を修正する場合、画素毎に欠陥を修正することがある。例えば、欠陥となる画素全体の着色層をレーザで除去した後、マスクフィルムのフィルム開口部を介して転写を行なう。この場合、表示装置の画素に応じた形状でカラーフィルタを除去する必要がある。すなわち、図10で示したBM64を除去せず、着色層61のみを除去する必要がある。この場合、ビーム成形装置200の位置精度が重要となる。
次に、位置検出部160における検出結果に基づいてフィードバック制御を行うための構成について図12を用いて説明する。図12は、本実施の形態にかかる可変シャッター装置100において、フォードバックを行なうための情報処理装置の構成を示すブロック図である。この情報処理装置170は、フィードバック位置制御に加えて、上述の欠陥検出、欠陥修正のための制御を行っている。これについては、従来の同様の制御を用いることができるため、説明を省略する。情報処理装置170は上述のように、PCなどである。この情報処理装置170によって、駆動電流がフィードバック制御される。具体的には、情報処理装置170は、位置検出の結果に応じて駆動電流をPID制御する。すなわち、現在の検出位置及び目標位置に応じて、駆動電流を決定する。
情報処理装置170には、補正テーブル171が設けられている。補正テーブル171はメモリ等の記憶装置を備えており、光検出器166の直線性を補正するためのテーブルデータを記憶している。例えば、PSDを光検出器166として用いた場合、その直線性は1%であり、十分でない場合がある。この場合、実際のサンプルであるカラーフィルターの着色層にレーザ光を照射して、位置補正用のテーブルデータを作成する。すなわち、補正テーブル171では、PSDである光検出器166によって検出された位置と、実際のシャッター板120の位置とが対応付けられて記憶されている。補正テーブル171に記憶されたテーブルデータに応じて、シャッター板120の位置が補正される。この補正テーブルは、全てのシャッター板120に対して作成される。従って、ここでは、8種類のテーブルデータを作成している。
補正テーブル171を作成するため、1枚ずつシャッター板120を駆動する。具体的には、他の7枚のシャッター板120は全視野オープンの位置に固定しておいて、1枚のシャッター板120を徐々に開けていく。そして、シャッター板120の位置を変える毎に、基板6の着色層にパルスレーザ光を照射する。ここでは、損傷してもよい箇所の着色層にレーザ光を照射する。もちろん、補正テーブル作成用のダミー基板を用いてもよい。そして、レーザ光の入射位置をCCDカメラ12で確認する。CCDカメラ上の位置と、光検出器166での検出位置とを比較して、テーブルデータを決定する。そして、可動範囲全体を移動させて、補正テーブル171を作成する。これにより、光検出器で検出された位置が補正される。
上記の処理を全てのシャッター板120に対して行う。これにより、0°、90°のみならず、45°の補正も行うことができる。すなわち、開口部121a、121bの斜辺の位置を正確に検出することができる。さらに、補正テーブル171に対して、予め測定したレンズの歪み関数を与える。これにより、ビームアパーチャー201を投影する対物レンズの歪みによる影響を取り除くことができる。従って、視野全体において、歪みの無い加工を行うことができる。
シャッター板120の位置制御には、上記の補正テーブル171が参照される。具体的には、それぞれのシャッター板120の目標位置を位置設定部173に設定する。すなわち、位置設定部173には修正する画素に応じて目標位置が設定される。まず、この目標位置に移動するよう駆動電流を供給する。そして、シャッター板120の移動中に、光検出器166によって位置検出用透光部122を通過した光を検出する。そして、この検出結果を補正テーブル171によって補正する。これにより、シャッター板120の現在の位置を検出することができる。さらに制御部172は、シャッター板120の現在位置と、位置設定部173に設定された目標位置とに基づいて、駆動電流を決定する。そして、決定された駆動電流をそれぞれのコイル配線141に供給する。これを繰り返して、フィードバック制御する。
なお、シャッター板120を移動させるときは、一定の加速度で加速する。そして、所定の速度となったら、電流を停止して、シャッター板120を等速度移動させる。そして、目標位置に近づいたら、電流を反転させてシャッター板120を減速する。このとき、検出された位置によって、目標位置に近づいたと判定される。これにより、短時間で移動させることができる。また、一定の時間だけ電流を流すことによって、コイル配線141が加熱されるのを防ぐことができる。
さらに、シャッター板120が目標位置まで移動したことを示す信号をレーザ光源1のトリガーとしてもよい。すなわち、全てのシャッター板120が目標位置に到達したことを示す移動完了信号を情報処理装置170からレーザ光源1に入力する。レーザ光源1は移動完了信号をトリガー信号として、パルスレーザ光を出射する。すなわち、レーザ光源1には、シャッター板が目標位置まで移動したことを示す移動完了信号が入力される。そして、レーザ光源1のドライバは移動完了信号に基づいて、パルスレーザ光を出射する。これにより、目標となる形状のビームアパーチャー201を介して、ビームを照射することができる。従って、照射位置を正確に制御することができる。
通常、YAGレーザは、1秒に20〜200ショットほどパルスレーザ光を出射することができる。さらに、可変シャッター装置100、101の位置決め時間は5msec以下である。そのため、ビームアパーチャー201を1ショット毎に異なる形状とすることができる。すなわち、パルス毎にレーザ光を異なる位置に照射することができる。もちろん、複数のパルスレーザ光で重複する領域を照射しても良い。すなわち、同じ位置に同じ形状で2以上のパルスを照射してもよい。このように、パルスレーザ光のパルスに応じてビームアパーチャー201の位置や開口形状を変化させることができる。
なお、4枚のシャッター板120の合計の厚みは、0.4mmである。従って、シャッター板120の合計の厚みは、焦点深度に比べて十分薄い。よって、ビームアパーチャー201の像がぼけることがなく、高い位置精度で制御することができる。これにより、確実に欠陥を修正することができる。
液晶表示装置の欠陥修正装置の場合、欠陥が画素形状に応じてビームを成形することがある。すなわち、欠陥と判定された画素については、その画素の着色層全体をレーザ光で除去する必要がある。さらに、アクティブマトリクス型の液晶表示装置では、着色層のパターン形状が複雑な形状となることがある。例えば、画素のTFT部分にはBMが形成されるため、画素の着色層パターンが図13のように複雑な形状となってしまうことがある。
図13に示すような画素パターン209を照射領域とする場合、シャッター板120を駆動して、上下に長い八角形のビームアパーチャーを形成する。そして、ビームアパーチャーを介してパルスレーザ光を照射する。これにより、領域210aのパターンが除去される。さらに、X方向、及びY方向にビームアパーチャーを狭くする。これにより、横幅が細く、かつ縦方向に短い八角形のビームアパーチャーが形成される。そして、ビームアパーチャーを介してパルスレーザ光を照射する。これにより、領域210bのパターンが除去される。最後に、三角形のビームアパーチャーを形成する。ビームアパーチャーを介してパルスレーザ光を照射する。これにより、領域210cのパターンが除去される。このように、複雑な形状に対しても欠陥を修正することができる。なお、各領域の一部は互いに重複している。
さらに、図14に示すように、くの字型の画素211を修正することもある。ここで、画素211の角度は45°からずれている。すなわち、開口部121a、121bの斜辺と平行ではない。この場合、ショット数を増やすことによって、欠陥を修正することができる。具体的には平行四辺形のビームアパーチャーを形成する。そして、ビームアパーチャーを介してパルスレーザ光を照射する。これにより、領域210aのパターンが除去される。次に、平行四辺形のビームアパーチャーを平行移動して、パルスレーザ光を照射する。これにより、領域210bのパターンが除去される。このとき、ビームアパーチャーの位置のみが変化して、開口形状は変化しない。
くの字型の画素211の上半分にパルスレーザ光を照射したら、ビームアパーチャーを逆向きの平行四辺形とする。すなわち、斜辺の角度が90°反転する。そして、逆向きの平行四辺形のビームアパーチャーを介してパルスレーザ光を照射すると、領域210eのパターンが除去される。このとき、平行四辺形の大きさは変化していない。そして、逆向きの平行四辺形を平行移動して、領域210hまでパルスレーザ光を順番に照射していく。これにより、くの字型のパターンを有する着色層が除去される。ここで、ショット数を多くすると、修正時間は長くなるが、画素の形状と、照射領域との誤差を小さくすることができる。このように、パルスレーザ光を照射することによって、欠陥パターンを除去して、欠陥修正を行う。これによって、図10(b)に示したように、正確に欠陥を除去することができる。もちろん、くの字型に限らず、V字型の画素や、複雑に屈曲した画素でも修正を行うことができる。すなわち、画素の形状に応じて、ビームアパーチャー201の形状を設定して、複数のショットで欠陥を除去すればよい。
さらに、図11で示したように、パターンを除去した部分にそのパターンに応じた転写層を転写することも可能である。すなわち、転写層を有する転写フィルムを用いることによって、パターンに応じた修正が可能となる。この場合、上記のマスクフィルム5を介して転写することが好ましい。マスクフィルム5を用いることによって、除去部分以外に転写層が転写されるのを防ぐことができる。よって、正確な欠陥修正が可能となる。さらに、パターンに応じた修正は、転写フィルムを用いるものに限られるものではない。例えばフィルム開口部を介して、除去部分に樹脂溶液を塗布することによって、修正してもよい。
ここで、ビームアパーチャー201を徐々に開けながら、又は閉めながら、パルスレーザ光を照射する。これにより、マスクフィルム5又は、着色層のパターンにスロープ加工を施すことができる。例えば、ビームアパーチャー201を同じ位置で徐々に狭くすると、図15に示すように、マスクフィルム5に階段状のフィルム開口部を形成することができる。すなわち、フィルム開口部のエッジをテーパ形状に加工することができる。なお、図15は欠陥箇所の構成を模式的に示す側面断面図である。図15では4パルスでマスクフィルム5を貫通させている。これにより、急峻な斜面のないフィルム開口部を形成することができる。
これにより、確実に欠陥修正をすることができる。例えば、転写フィルムとして上記のトランサーを用いた場合、エッジ箇所で確実に修正できない場合がある。すなわち、欠陥箇所の周辺に急峻なエッジがあると、エッジ部分に転写されにくくなってしまう。また、マスクフィルムのフィルム開口部に急峻なエッジがあると、マスクフィルム5を剥離するときに、転写層が基板6から剥がれたりすることがある。この問題を解決するため、着色層のパターンやフィルム開口部を階段状に形成することが好ましい。これにより、階段状のスロープが形成され、確実に修正することができる。
図15に示す例では、4ショットで着色層61を階段状に加工している。ここで、各ショットにおけるビームアパーチャー201の形状を徐々に小さくする。すなわち、ビームアパーチャー201を閉じながら、4パルス分のレーザ光を照射する。これにより、階段状のエッジを作成することができる。さらに、階段の段差は、パルスレーザ光の1ショットあたりのパワーや、ショット数を調整することによって、小さくすることができる。
さらには、マスクフィルム5を用いずに欠陥を除去、修正することも可能である。例えば、レーザ光の照射を直接照射して欠陥箇所のパターンを除去する。そして、パターンが除去された箇所に、パターンに応じた修正パターンを形成する。修正パターンは、例えば、インクジェット方式によって形成することができる。すなわち、除去部分にのみ樹脂溶液を塗布することによって、修正パターンが形成される。そして、ビームアパーチャー201の形状をパルスに応じて変化させ、欠陥箇所に残存するパターンのエッジを階段状に加工できる。
なお、カラーフィルタの着色層を修正する欠陥修正装置について説明したが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、修正対象は、表示装置のTFTアレイ基板や、半導体基板等のパターン基板とすることができる。本実施の形態にかかるビーム成形装置200は、パターン基板の微細な加工を行う欠陥修正装置に好適である。さらには、ビーム成形装置200を露光装置に適用してもよい。このように、ビーム成形装置を有する欠陥修正装置で欠陥部分を除去することによって、正確な欠陥修正を短時間で行うことができる。よって、生産性を向上することができる。また、これらの欠陥を修正する工程をパターン基板の製造工程に加えることにより、欠陥の無いパターン基板を製造することができる。すなわち、フォトリソグラフィー法などによって基板上に所定のパターンを形成した後、欠陥修正装置に設けられた欠陥検出機構で欠陥を検出する。そして、この欠陥に対して上記の工程で欠陥修正を行う。これにより、パターン基板の生産性を向上するとができる。ステージ移動とスリット移動とを同期させた上で、露光用光源を組み合わせことにより、マスクパターンなしで、複雑な形状の任意パターンを高速で簡便に露光できる。また、パターン内での露光量の制御も簡便にできる。
なお、上記の説明では光ビームを成形するための構成に付いて説明したが、ビーム成形装置200は他のビームに対しても利用可能である。例えば、電子ビームやイオンビームなどの荷電粒子ビームを成形しても良い。すなわち、ビームの経路中に、ビーム成形装置200を配置すればよい。この場合、シャッター板120の材質や、厚さは、ビームの種類やエネルギーに応じて決定すればよい。さらに、上記の可変シャッター装置100を、ビームの成形以外について利用しても良い。例えば、可変シャッター装置100を気体や流体やエネルギーの流れの一部を遮る用途に利用することも可能である。
なお、上述したマグネット体130と、配線基板140からなる駆動部150を直線駆動装置として利用しても良い。この場合、移動対象となる物体を配線基板140に取り付ける。これにより、複数の対象物体を独立してX方向に直進移動させることができる。この場合、直線駆動装置は、複数の対象物体に対応して設けられた複数の配線基板と、複数の配線基板に渦巻状に形成されたコイル配線とを備える。さらに、コイル配線のY方向の電流経路を挟むように設けられたマグネットによって、コイル配線141のうち、Y方向の電流経路部分を横切る方向の磁界が生成される。このように、コイル配線141の一部を挟むように配置されたマグネット対によって、その一部のコイル配線を横切る方向に磁場が生成される。これにより、マグネット体130と、配線基板140とがリニアモーターとして機能する。簡易な構成で複数の対象物体を独立して移動させることができる。この場合、マグネット体130を架台などに固定する。対象物体は板状の物体とすることが好ましい。
さらに、直線駆動装置に位置検出部160を設けても良い。この場合、対象物体に貫通孔を設けて、位置検出用透光部122と透光部123を形成してもよい。また、対象物体に貫通孔を形成するのが困難な場合、対象物体や配線基板140に対して位置検出用透光部122と透光部123とを有する基板を取り付けてもよい。さらに、位置検出部160を、配線基板140の一部に設けても良い。例えば、十分大きい配線基板140に所定の数の貫通孔を設けて、位置検出用透光部122と、透光部123とを形成することができる。さらに、配線基板140に対して位置検出用透光部122、と透光部123とを有する基板を取り付けてもよい。このように、位置検出用透光部122が、配線基板140の移動に応じて移動する箇所に設ける。これにより、対象物体の位置を正確に制御することができる。
このように、本実施の形態にかかる直線駆動装置、可変シャッター装置100、ビーム成形装置200は、簡易な構造で高速に移動させることができる。よって、処理時間を短縮することができる。上記の可変シャッター装置100には4枚のシャッター板120を設けることが好適である。これにより、開口形状を様々な形状にすることができる。さらに、位置検出部160を設けることによって、位置精度を向上することができる。このようなビーム成形装置は、欠陥修正装置などのビーム照射装置に好適である。さらに、ビーム成形装置200でビームを成形することによって、欠陥修正のアプリケーションを広くすることができる。例えば、テーパ形状の加工を容易に行うことができ、生産性を向上することができる。