JP2012247617A - 光量調節装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】光量調節を高速且つ正確に行えるようにする。
【解決手段】軟磁性部32はロータリプレート3のプレート部31の外縁部に配置される。バックヨーク7とコイル6とはカムプレート4において光軸C1に垂直な平面上に配設され、コイル6の光軸C1方向の中心位置と軟磁性部32の重心位置とが略一致する。バックヨーク7はコイル6とカムプレート4との間に挟まれるように配置される。モータ1によりプレート3が回転運動すると、絞り羽根5はダボ部51を中心に光軸C1に垂直な平面内を案内駆動される。コイル6に通電されると、発生する磁界によりプレート3にはバックヨーク7の方向に磁気吸引力が作用し、絞り羽根5がカムプレート4とプレート3とにより光軸C1の方向に挟み込まれ、絞り羽根5同士、絞り羽根5とカムプレート4との間、絞り羽根5とプレート3との間の各摩擦負荷が増大する。
【選択図】図3

Description

本発明は、撮像装置等に搭載される光量調節装置に関する。
従来、デジタルカメラやデジタル一眼レフカメラ等の撮像装置には、機械的な光量調節装置が搭載されるものがある。光量調節装置としては、所定の露光時間だけ露光動作を行うよう駆動されるシャッタ装置や、所定の絞り値に絞り込み動作を行うよう駆動される絞り装置等が挙げられる。
シャッタ装置の場合には、近年の撮像素子の高感度化に伴い明るい条件下での高感度撮影でも露出オーバーしないようにするために、シャッタ装置がより高速に駆動されることが要求される。絞り装置の場合には、レリーズタイムラグ(撮影者がレリーズボタンを押してから実際に撮像するまでの時間)の短縮のためには、絞り装置が高速かつ正確に駆動されることが要求される。
特許文献1の撮像装置では、光量調節装置のひとつであるガルバノ式絞りを採用している。ガルバノ式においては一般に、絞り部材がフロート構造である。そのため、開口の変化速度によっては、絞り部材が所定の開口径を一旦通りすぎてしまうオーバーシュート現象が起きることがあり、撮影に時間を要することになる。そこで特許文献1では、絞り部材をプランジャで押圧することで停止させている。
特許第4247024号公報
しかしながら、上記特許文献1に開示された従来技術では、絞り部材を直接押圧するので、押圧される部分に傷や打痕が生じることも考えられる。遮光部材等のように薄い部材が押圧される場合には、円滑な動作に支障が生じ、正確な光量調節が維持できなくなるおそれがある。また、プランジャで絞り部材を停止させることで開口径制御を行うため、光軸方向にプランジャを配設するための容積が必要となる。
本発明は上記従来技術の問題を解決するためになされたものであり、その目的は、光量調節を高速且つ正確に行えるようにすることにある。
上記目的を達成するために本発明は、駆動源と、撮影光が通過する開口が形成されるベース部材と、少なくとも一部が軟磁性を示す軟磁性部を有し、前記駆動源により駆動される被駆動部材と、前記ベース部材と前記被駆動部材との間に配置され、前記被駆動部材により駆動される遮光部材と、前記ベース部材に配設され、通電することで前記軟磁性部を前記ベース部材に吸引する磁気吸引力を作用させるコイルとを有することを特徴とする。
本発明によれば、光量調節を高速且つ正確に行えるようにすることができる。
本発明の第1の実施の形態に係る光量調節装置の構成を示す分解斜視図である。 光量調節装置におけるロータリプレートの構成を示す分解斜視図である。 組み付け状態の光量調節装置の光軸に沿う模式的な断面図である。 光量調節装置の駆動パターンの説明図である。 光量調節装置の姿勢と重力方向との関係を示す図である。 モータの回転位相とトルク及び回転速度との関係を示す図である。 本発明の第4の実施の形態に係る光量調節装置の構成を示す分解斜視図である。 組み付け状態の光量調節装置の光軸に沿う模式的な断面図である。 シャッタ羽根の閉じ動作を示す図である。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る光量調節装置100の構成を示す分解斜視図である。図2は、光量調節装置におけるロータリプレートの構成を示す分解斜視図である。第1の実施の形態における光量調節装置100は、例えば、デジタル一眼レフカメラ等に取り付けられる交換式レンズに配設され、撮像時の露光量を調節するのに用いられる絞り装置である。
図1に示すように、各種の構成部品が光軸C1に沿って組み付けられる。駆動源であるモータ1は、一例としてステッピングモータであり、カバープレート2に固定される。カバープレート2と、カムプレート4とが固定部となる。ここで、カムプレート4は撮影光が通過する開口が形成されるベース部材となる。被駆動部材であるロータリプレート3は、カバープレート2の開口に径嵌合される。
図2に示すように、ロータリプレート3は、いずれも環状のプレート部31及び軟磁性部32により構成される。プレート部31には、嵌合穴311(311a〜311f)が形成されている。また、プレート部31の外縁部の一部にはギア部が形成されている。
図1に示すように、遮光部材である絞り羽根5(5a〜5f)は各々、ロータリプレート3側に、嵌合穴311に対応してダボ部51を有している。カバープレート2とカムプレート4との間に、コイル6及びバックヨーク7が配設される。
図3(a)は、組み付け状態の光量調節装置100の光軸C1に沿う模式的な断面図である。図3(b)は、光量調節装置100の断面の部分拡大図であり、特にコイル6及びバックヨーク7の付近を示している。
絞り羽根5は開閉動作し、光軸C1中心の開口量を調節できるが、図3(a)は、絞り羽根5の全閉状態を示している。また、図3(a)では絞り羽根5については2枚しか描かれていないが、他の絞り羽根5についても構成は同様である。
図3(a)に示すように、カムプレート4とロータリプレート3とにより絞り羽根5を光軸C1の方向に挟む形となっている。絞り羽根5の各々にはカムプレート4側にダボ部52が設けられている。カムプレート4には、ダボ部52に対応してカム溝41が形成されている(図1も参照)。各絞り羽根5のダボ部51は、プレート部31の対応する嵌合穴311に嵌合されている。カバープレート2は、カムプレート4とにより、ロータリプレート3及び絞り羽根5を光軸C1の方向に挟み込む形でカムプレート4と係合される。その際、各絞り羽根5のダボ部52がカムプレート4の対応するカム溝41に嵌合状態とされる。
軟磁性部32は、プレート部31の外縁部におけるカムプレート4の側に配置される。バックヨーク部材であるバックヨーク7とコイル6とは、カムプレート4において光軸C1に垂直な平面上に配設される。コイル6は、光軸C1を中心とする径方向における軟磁性部32の外側に配置され、コイル6の光軸C1方向(すなわち、図3(b)における高さ方向)の中心位置と、軟磁性部32の重心位置とが略一致するように配置されている。バックヨーク7はコイル6とカムプレート4との間に挟まれるように配置されている。
図3(b)に示すように、バックヨーク7の内径7aはコイル6の内径6aよりもわずかに小さい。そのため、光軸C1の方向から見てバックヨーク7は軟磁性部32に対してオーバーラップした領域を持っている。すなわち、バックヨーク7の内径側の一部の領域は、軟磁性部32に対して光軸C1の方向に、コイル6の非通電状態において所定距離だけ離れて対面している。
モータ1の駆動力は、ピニオンギア11(図3(a))を介してロータリプレート3のギア部に伝達される。モータ1の駆動力により、ロータリプレート3が駆動され、光軸C1を中心に回転運動を行う。ロータリプレート3の回転運動に伴い、絞り羽根5のダボ部51も光軸C1を中心として回転する。その際、ダボ部52はカムプレート4のカム溝41に案内され、絞り羽根5はそれぞれのダボ部51を中心として回転する。これにより、絞り羽根5は、光軸C1に垂直な平面内をロータリプレート3によって案内駆動されることになり、光軸C1中心の開口量を調節可能となっている。
なお、コイル6の非通電状態では、絞り羽根5は、回転運動をするときロータリプレート3とカムプレート4との間を水平方向に変位するが、ロータリプレート3とカムプレート4とに軽く接触することもある。
次に、図3(a)、(b)を用いて動作原理について説明する。制御部であるマイクロコンピュータ(以下「マイコン」と称する)8が、コイル6への通電を行う。コイル6に図3(a)に示す方向の通電(正通電)を行うことにより、コイル6の近傍に磁界が発生する。図3(b)に図示される実線矢印が、この磁界を示している。バックヨーク7がコイル6よりも内径側に張り出し、光軸C1の方向に軟磁性部32と対面しているため、上記の磁界は特に、バックヨーク7のうち軟磁性部32と対面している部分と軟磁性部32との間で強い磁界が発生する(図3(b)の点線矢印)。
光軸C1中心に回転する軟磁性部32には、上記の磁界の影響により、バックヨーク7の方向(図3(b)の下方向)に磁気吸引力が作用する。特に軟磁性部32はバックヨーク7に直接対面しているので、磁気吸引力が効率よく生じる。すると、絞り羽根5が、カムプレート4とロータリプレート3とにより光軸C1の方向に挟み込まれる。そのため、絞り羽根5同士の摩擦負荷、絞り羽根5とカムプレート4との間の摩擦負荷、絞り羽根5とロータリプレート3との間の摩擦負荷が増大する。その結果、コイル6の非通電時に比べ、光量調節装置100における絞り羽根5の回転駆動について駆動摩擦(駆動抵抗)が増大する。
マイコン8がコイル6への通電を行い、結果として光量調節装置100の駆動摩擦を増大させることは、光量調節装置100の駆動における制動力となるため、光量調節装置100の高速駆動時の減速時間の短縮あるいは整定時間の削減に有効である。このことを図4を用いて説明する。
図4は、光量調節装置100の駆動パターンの説明図である。
図4において、縦軸はモータ1の回転速度であり、横軸は時間を示す。第1の実施の形態におけるモータ1の駆動テーブル(実線)は、従来の駆動テーブル(点線)とは加速度及び最高速度が同等である。しかし、モータ1の駆動テーブルは、従来に比べて減速動作を開始する時刻が遅くなっている。このように駆動することで、最高速度となっている時間を長く確保すると共に減速時間を短くでき、ロータリプレート3や絞り羽根5等の被駆動物が目標地点に速く到達することが可能となる。すなわち、光量調節を高速化できる。
しかしながら、上記のように単純に減速動作開始を遅くして減速時間を短くしようとしたのでは、急減速となるため、被駆動物の慣性モーメントを吸収しきれず、制御パルスとモータ1の回転との同期を失う、いわゆる脱調を起こすことが問題となる。
そこで、本実施の形態では、減速開始と同時に、マイコン8によって前述のようなコイル6への通電を行うことで駆動負荷を発生させ、急減速に起因する脱調を防ぐ。このマイコン8の制御により、脱調を防止しつつ、従来の減速時間T0から、コイル6への通電時間である減速時間T1に減速時間を短縮することが可能となる(T0>T1)。
特に、開口径の大きな光量調節装置においては、ロータリプレート3がもつ慣性モーメントも大きくなるために、急減速による脱調が発生しやすく、マイコン8による前述の減速動作は効果的である。しかも、従来のように絞り部材をプランジャで直接押圧する構成に比べ、薄い部材である絞り羽根5に傷や打痕が生じにくく、円滑な動作が確保され、正確な光量調節が長期に亘り維持できる。また、コイル6による引き込みで制動する機構はプランジャの動作機構に比べて要する配設スペースが小さくて済む。
本実施の形態によれば、光量調節を高速且つ正確に行えるようにすることができる。
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態では、第1の実施の形態で示した光量調節装置100の構成において、光量調節装置100の姿勢に応じたマイコン8によるコイル6への通電制御を追加する。
マイコン8がコイル6への通電を行い、駆動摩擦を可変制御することは、姿勢差による駆動摩擦負荷の変動を低減できるため、絞り羽根5の停止精度の向上に利用可能である。
図5(a)〜(c)は、光量調節装置100の姿勢と重力方向との関係を示す図である。光量調節装置100は撮像装置1000に内蔵され、撮像における光量調節を行う。図5(a)、(b)、(c)はそれぞれ、撮像装置1000が正位置、斜め下向き、斜め上向きの撮影姿勢となっている様子を示す。矢印が重力方向F0を示す。
撮影者は、撮影したい被写体をとらえようと、撮像装置1000の光軸を自在に操るため、光量調節装置100に掛かる重力方向F0は一定とならない。そのため、内蔵されている光量調節装置100が行う絞り羽根5の駆動においては、重力方向F0の変化の影響によって駆動摩擦の変化が発生する。
具体的には、正位置(図5(a))の状態では、ロータリプレート3の荷重が絞り羽根5に掛からないため、駆動摩擦が低い状態である。これに対して下向き(図5(b))の場合には、ロータリプレート3がカバープレート2側に寄りかかるために、絞り羽根5とロータリプレート3との間の摩擦負荷が小さくなる。そのため光量調節装置100の駆動摩擦は、正位置状態に比べさらに低くなる。また、上向き(図5c)の場合には、ロータリプレート3が絞り羽根5を挟んでカムプレート4側に寄りかかる。そのため駆動摩擦が正位置状態に比べて高くなる。
このように、撮影姿勢に応じて光量調節装置100の駆動摩擦が変化するため、光量調節の精度に影響する恐れがある。撮像装置1000は、撮像装置1000に内蔵された姿勢センサである加速度センサ1001の出力により、初期状態(図5(a))における重力方向F0が把握可能である。この情報を元に、マイコン8は対応する電流量をコイル6に通電し、光量調節装置100の姿勢によらず駆動摩擦が一定となるよう制御する。
まず、正位置状態(図5(a))での駆動摩擦を維持するよう制御する場合について説明する。正位置においても所定の駆動摩擦が発生するように、光量調節装置100の駆動中はマイコン8によりコイル6に一定電流の通電を行う。下向き(図5(b))の場合には、マイコン8はコイル6に正位置状態よりも大きな電流を流すことにより、ロータリプレート3をカムプレート4側に吸引する磁気吸引力を増大させる。一方、上向き(図5(c))の場合には、マイコン8はコイル6に正位置状態よりも小さな電流を流すことにより、ロータリプレート3をカムプレート4側に吸引する磁気吸引力を減少させる。このマイコン8の制御により、姿勢差による駆動摩擦の変動を低減できるため、絞り羽根5の停止精度が向上する。
第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態の効果に加えて、光量調節装置100の姿勢によらず、正確で高速な光量調節を安定して行うことができる。
なお、姿勢差による通電制御は、上記のような3段階に限られず、4段階以上でもよく、あるいは加速度センサ1001の出力に応じて演算やテーブルを用いて無段階で調節してもよい。
なお、第2の実施の形態において、加速度センサ1001は一例であり、光量調節装置100の姿勢を検出できるセンサであればよい。また、加速度センサ1001等の姿勢センサは、撮像装置1000に配設されているが、光量調節装置100が有していてもよい。あるいは、マイコン8は、外部の姿勢センサの出力を取り入れ、それに応じてコイル6への通電制御を行っても良い。
ところで、ロータリプレート3は軟磁性部32を有する構成としたが、制動機能を確保する上では、ロータリプレート3は、その少なくとも一部が軟磁性を示す軟磁性部であればよく、ロータリプレート3そのものが軟磁性体で形成されていてもよい。あるいは、軟磁性部32が1個でなく複数個に分かれてプレート部31に配置されていてもよい。
(第3の実施の形態)
本発明の第3の実施の形態では、第1の実施の形態で示した光量調節装置100の構成において、ステッピングモータであるモータ1の駆動トルク変動をキャンセルするようなマイコン8によるコイル6への通電制御を追加する。マイコン8がコイル6へ通電して駆動摩擦を可変制御することは、駆動源がステッピングモータである場合にその駆動時に常に発生する駆動トルク変動をキャンセルできるため、特に低速駆動における速度の安定化に寄与する。
図6を用いて、ステッピングモータの駆動トルク変動をキャンセルする光量調節装置100の駆動制御について説明する。図6は、モータ1の回転位相とトルク及び回転速度との関係を示す図である。
モータ1には2相励磁方式を採用する。図6において、横軸はモータ1の回転位相(電気角)を示し、縦軸はトルク及び回転速度を示す。また、細破線は、モータ1が「A+B+」、「A+B−」、「A−B−」、「A−B+」と2相励磁を最も効率よく切り替えていった際の駆動トルクを示している。「A+B+」通電後、モータ1内のロータが90°回転した位置で、「A+B−」通電に切り替えることで駆動トルクは取りうる最大の値を維持し、さらに90°回転を行う。
以下同様に90°ごとに通電を切り替えることでモータ1は回転を行うが、その際、曲線LAで示すようなトルク変動が常に伴う(コギングトルク)。特に低速にてこの通電切り替えを行う場合には、このトルク変動によって、ロータリプレート3の回転速度にムラが生じ曲線LBで示すような速度変動となり、動画撮影時等の光量変化がスムーズでなくなって、動画品質を損なう恐れがある。
そこで、マイコン8は、低速駆動を行うモータ1の回転位相に応じて、光量調節装置100の駆動摩擦が駆動トルク変動によって速度変動を生じないように、すなわち駆動摩擦が曲線LCで示すようなトルクとなるよう、コイル6を通電制御する。これにより、駆動トルク変動は見かけ上「0」となり、駆動トルク変動による速度ムラが解消され(曲線LD)、駆動における速度の安定化を実現可能である。
第3の実施の形態によれば、マイコン8は、ステッピングモータのステップ駆動時のトルク変動により発生するロータリプレート3の速度変動を相殺する(打ち消す)ような駆動摩擦が固定部とロータリプレート3との間に生じるよう通電制御を行う。これにより、第1の実施の形態の効果に加えて、ロータリプレート3、ひいては絞り羽根5の駆動速度の安定化を実現することができる。
第1〜第3の実施の形態において、コイル6はバックヨーク7を介してカムプレート4に配設されたが、コイル6の配設位置はこれに限るものではない。コイル6が発生させる磁界によって絞り羽根5の制動機能を確保する上では、コイル6は、固定部であるカバープレート2またはカムプレート4において、ロータリプレート3との電磁気的関係を利用できる範囲に配設可能である。
(第4の実施の形態)
図7は、本発明の第4の実施の形態に係る光量調節装置200の構成を示す分解斜視図である。この光量調節装置200は、例えば、コンパクトデジタルカメラ等に配設され、撮像時の露光時間を調節するのに用いられるシャッタ装置である。図8(a)は、組み付け状態の光量調節装置200の光軸C1に沿う模式的な断面図である。図8(b)は、光量調節装置200の断面の部分拡大図であり、特にコイル25及びバックヨーク26の付近を示している。
図7に示すように、ベース部材としてのシャッタ地板22には、光軸C1を中心とした開口223が形成されると共に、アーム用開口221が円弧状に開けられている。シャッタ地板22のうち、遮光部材であるシャッタ羽根24(24a、24b)が配置される側の面には、ガイド軸222(222a、222b)、突部29が突接される。さらには、シャッタ羽根24の変位時のガイド機能を有する羽根レール27が適所に形成されている。各シャッタ羽根24は軟磁性体で形成されている。
駆動源であるモータ21は、固定部であり且つ地板部であるシャッタ地板22に固定される。被駆動部材であるシャッタアーム23は、その軸部231がモータ21の回転軸と同軸に配置され、アーム部232がシャッタ地板22のアーム用開口221を、光軸C1の方向に貫通して配置される。アーム部232は軸部231を中心に回転可能となっている。アーム用開口221を貫通したアーム部232の部分は、シャッタ羽根24a、24bに設けられた長穴241(241a、241b)に嵌合される。シャッタ羽根24a、24bに設けられた穴部242a、242bに、シャッタ地板22のガイド軸222a、222bがそれぞれ挿入嵌合される。
モータ21の回転駆動により、シャッタアーム23のアーム部232がアーム用開口221の範囲で円弧往復運動を行う。これにより、シャッタ羽根24a、24bは、それぞれガイド軸222a、222bを中心として回転運動し、羽根レール27上を摺動しながら移動する。すなわち、シャッタ羽根24は、対応するガイド軸222を中心に回転し、光軸C1に垂直な平面内を案内駆動される。これにより、シャッタ地板22の開口223を開閉可能な構成となっている。
また、コイル25が突部29を中心に巻回され、バックヨーク部材であるバックヨーク26を介して光軸C1に垂直な平面を有するシャッタ地板22上に配設される。コイル25は、シャッタ地板22上において、シャッタ羽根24の回転中心(ガイド軸222a、222b)から遠い位置に配置され、コイル25とシャッタ地板22とによりバックヨーク26が挟まれる形となっている(図8(a)、(b)も参照)。
コンパクトデジタルカメラにおいて、露光時間の短い高速なシャッタスピードである場合には、開口223を高速に閉じる必要があるので、シャッタ羽根24を高速に駆動したい。しかし、シャッタ羽根24は、その大きい慣性力のために跳ね返りを起こし、一度閉じた開口223が再度開いてしまう(バウンドが発生する)ことがあることから、従来と同じ構成のままでは高速駆動に限界がある。
次に図8(a)、(b)を用いて動作原理について説明する。
シャッタ羽根24は開閉動作し、開口223の開口量を調節できるが、図8(a)は、シャッタ羽根24の全閉状態を示している。なお、図8(a)、(b)では、構成を模式的に示しているので、各構成要素の形状、サイズ、位置関係は図7のものと一致しないものもある。図8では特に、シャッタ羽根24の先端部、コイル25及びバックヨーク26の位置関係に着目する。
コイル25は、シャッタ地板22において光軸C1に垂直な平面上に配設され、シャッタ羽根24の可動範囲内の少なくとも一部においてシャッタ羽根24に対して光軸方向(光軸C1方向)において所定の隙間を持って対向する。第4の実施の形態では、シャッタ羽根24が全閉状態またはそれに近いときにコイル25とシャッタ羽根24とが対向する。ただし、制動機能を有する上では、シャッタ羽根24の可動行程のうち少なくとも一部の領域で両者が対向すればよい。
また、図8(b)に示すように、バックヨーク26の内径26aはコイル25の内径25aよりもわずかに小さい。そのため、光軸C1の方向から見て、バックヨーク26は、コイル25の内径範囲においてシャッタ羽根24に対してオーバーラップした領域を持っている。すなわち、バックヨーク26は、シャッタ羽根24の可動範囲内の少なくとも一部において、シャッタ羽根24に対して光軸C1方向に所定距離だけ離れて対面している。第4の実施の形態では、シャッタ羽根24が全閉状態またはそれに近いときにバックヨーク26とシャッタ羽根24とが対面する。
制御部であるマイコン28によりコイル25に通電がなされると、コイル25の近傍に磁界が発生する。図8(b)に図示される実線矢印が、この磁界を示している。バックヨーク26がコイル25よりも内径がわずかに小さいことから、特に、バックヨーク26のうちコイル25の内径25aの内側でシャッタ羽根24と対面している部分とシャッタ羽根24との間で強い磁界が発生する(図8(b)の点線矢印)。
ガイド軸222a、222bを中心に回転運動するシャッタ羽根24a、24bには、コイル25により発生する磁界の影響により、シャッタ地板22の側(図8(b)の下方向)に磁気吸引力が作用する。その際、シャッタ羽根24同士、及びシャッタ羽根24と羽根レール27との間の接触圧が増大するので、シャッタ羽根24の摺動摩擦が増大する。
マイコン28がコイル25への通電を行い、シャッタ羽根24の駆動摩擦を増大させることは、光量調節装置200の駆動における制動力となるため、光量調節装置200を高速に駆動した際に発生し得るバウンドを抑制可能である。
図9を用いて、光量調節装置200におけるシャッタ羽根24の閉じ動作時の露光時間について説明する。図9は、シャッタ羽根24の閉じ動作を示す図である。横軸は時間、縦軸はシャッタ羽根24の開から閉までの可動範囲における位置を示す。曲線R10が従来の光量調節装置の閉じ動作を示す。曲線R11は第4の実施の形態における光量調節装置200の閉じ動作を示している。
従来の光量調節装置において、仮に第4の実施の形態と同じような高速駆動を行った場合、一度全閉の状態になった後に再度露光する、いわゆるバウンドが生じることが知られている(曲線R12)。そのため従来はバウンドの発生しない低い駆動速度領域を使用していた。
第4の実施の形態における光量調節装置200においては高速に駆動を行い、シャッタ羽根24が全閉状態になった時点でマイコン28がコイル25への通電を所定時間行う。これにより、シャッタ羽根24を光軸C1方向において引き寄せて羽根レール27に摺接させ、駆動摩擦を増大させることで、バウンドの発生が回避可能になる。
このように、従来よりも高速な駆動が可能なモータ21を用いて高速かつ正確に露光を行うことが可能となる。従来の露光時間T10を、第4の実施の形態では露光時間T11に短縮可能である(T10>T11)。
第4の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様に、光量調節を高速且つ正確に行えるようにすることができる。
なお、また、シャッタ羽根24a、24bが共に軟磁性部材で形成されているが、どちらか一方が磁性部材で形成されている場合や、一部が磁性部材で形成されている場合でも実現可能である。例えば、シャッタ羽根24は全体が軟磁性としたが、少なくとも、可動範囲内でバックヨーク26やコイル25に対向し得る部分が軟磁性部となっていればよい。
また、コイル25は、その一部がシャッタ羽根24に対向する構成であったが、全面で対向するよう配設してもよい。
ところで、光量調節装置の姿勢に応じた通電制御(第2の実施の形態)、ステッピングモータの駆動トルク変動をキャンセルするような通電制御(第3の実施の形態)については、第4の実施の形態にも適用可能である。
なお、上記各実施の形態において、効果は減少するものの、コイル6やコイル25が発生させる磁界によって絞り羽根5やシャッタ羽根24の制動機能を確保する上では、バックヨーク7やバックヨーク26は必須ではない。
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。上述の実施形態の一部を適宜組み合わせてもよい。
1、21 モータ
2 カバープレート
3 ロータリプレート
4 カムプレート
5 絞り羽根
6、25 コイル
7、26 バックヨーク
8、28 マイコン
32 軟磁性部

Claims (8)

  1. 駆動源と、
    撮影光が通過する開口が形成されるベース部材と、
    少なくとも一部が軟磁性を示す軟磁性部を有し、前記駆動源により駆動される被駆動部材と、
    前記ベース部材と前記被駆動部材との間に配置され、前記被駆動部材により駆動される遮光部材と、
    前記ベース部材に配設され、通電することで前記軟磁性部を前記ベース部材に吸引する磁気吸引力を作用させるコイルとを有することを特徴とする光量調節装置。
  2. 前記コイルと前記ベース部材との間に配設される軟磁性のバックヨーク部材を有し、前記バックヨーク部材は、その少なくとも一部が前記軟磁性部に対して光軸方向において所定距離だけ離れて対面するように配置されることを特徴とする請求項1記載の光量調節装置。
  3. 駆動源と、
    撮影光が通過する開口が形成されるベース部材と、
    前記駆動源により駆動される被駆動部材と、
    少なくとも一部が軟磁性を示す軟磁性部を有し、前記被駆動部材により駆動される遮光部材と、
    前記ベース部材に配設され、通電することで前記遮光部材の可動範囲内の少なくとも一部で前記軟磁性部を前記ベース部材に吸引する磁気吸引力を作用させるコイルとを有することを特徴とする光量調節装置。
  4. 前記コイルと前記ベース部材との間に配設される軟磁性のバックヨーク部材を有し、前記バックヨーク部材は、その少なくとも一部が前記遮光部材の可動範囲内の少なくとも一部において前記軟磁性部に対して光軸方向において所定距離だけ離れて対面するように配置されることを特徴とする請求項3記載の光量調節装置。
  5. 前記駆動源はステッピングモータであり、前記コイルへの通電制御を行う制御部を更に有し、前記制御部は、前記ステッピングモータのステップ駆動時のトルク変動により発生する前記被駆動部材の速度変動を相殺するような駆動摩擦が前記ベース部材と前記被駆動部材との間に生じるよう通電制御を行うことを特徴とする請求項1または2記載の光量調節装置。
  6. 前記駆動源はステッピングモータであり、前記コイルへの通電制御を行う制御部を更に有し、前記制御部は、前記ステッピングモータのステップ駆動時のトルク変動により発生する前記遮光部材の速度変動を相殺するような駆動摩擦が前記ベース部材と前記遮光部材との間に生じるよう通電制御を行うことを特徴とする請求項3または4記載の光量調節装置。
  7. 当該光量調節装置の姿勢を検出する姿勢センサの出力に応じて前記コイルへの通電制御を行う制御部を更に有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光量調節装置。
  8. 前記姿勢センサは、加速度センサであることを特徴とする請求項7記載の光量調節装置。
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