JP2012246518A - 導電性凹凸層 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】先端が鋭角をなす無数の針状又は錐状突起1aが配列されて成る導電性凹凸層1を導電性部材2の導電性多孔質部材3との接触面に形成する。
【選択図】図1
Description
このような燃料電池は、単独のセルだけでは発電量が小さいため、実用的な電力を取り出すためには、多数のセルを積層した燃料電池スタックとして稼働させる必要がある。
なお、上記空気極及び燃料極は、それぞれガス拡散層と触媒層を備えた2層構造を有し、両触媒層がそれぞれ固体高分子電解質膜に接触している。
こうして組み立てられた燃料電池スタックにおいて、上記セパレータは単セル間を電気的に接続する機能を有することから、このようなセパレータには、電気伝導性に優れると共に、隣接するセパレータやガス拡散層等の構成材料との接触抵抗が低いことが要求されることになる。
また、本発明の導電性接続構造は、上記のような導電性凹凸層が導電性多孔質部材と接触する導電性部材の接触面に形成されていることを特徴とする。
そして、本発明の導電性接続構造は、このような導電性凹凸層を導電性部材間に適用したものであって、導電性多孔質部材と接触する導電性部材の接触面に本発明の上記導電性凹凸層を形成した構造のものである。
そして、図1(b)に、矢印で示すように圧縮荷重を付与し、若干の接触面圧を加えることによって、上記突起1aが導電性多孔質部材3に食い込むことによって、部材3との接点を大幅に増加させ、より低荷重で接点数や接触面積を増加させることができる。
これによって、単位面積当たりの突起(一次突起)数が少ない場合であっても、相手部材との接点数、接触面積を増すことができ、接触抵抗を減らすことができる。
なお、機械加工などによって針状の凹凸をつけることも可能であるが、高さがサブミクロンレベルの構造を複数形成する場合は、コストをも鑑みるとメッキ処理が最適であると考えられる。また、本メッキでは集中的に過度の電流を供給することでその形状を形成することができる。したがって、電解メッキが好ましく、無電解では十分な形状が得られない。
例えば、通常の平滑な表面メッキを施す場合に比べて十分大きな電流を流すことで針状又は錐状の構造が形成され、その処理時間によって、高さを増やすことができる。さらに、電流供給を継続することで針状の壁面から2次突起を延出させた樹枝状の構造を形成することができる。突起の高さの限界はメッキ初期の条件によっても変化し、樹枝状構造の形成要因は必ずしも明らかではないが、時間と電流によってコントロールできることが確認されている。
一方、被覆率が100%でない場合、基材が表層に露出する。被覆率は、例えば基材自体の燃料電池作動環境下における耐食性によっても決定され得る。すなわち、耐食性に乏しい基材金属では、極力基材露出を抑制する必要がある。
すなわち、突起の高さは、断面観察による計測や、下地層と同一の組成で、表面処理条件を変えることで突起を形成する場合は、あらかじめ、条件を変える前で処理を中止し、基材+下地の厚さを計測することで、最終的に突起層が形成された状態における見かけ厚さを複数点計測することにより、平均値として算出することができる。
このような中間層は、基材金属が燃料電池作動環境下において十分な耐食性を有していない際に、基材の防錆を行う場合や、基材と機能性膜(凹凸層)との熱膨張率などが大きく異なり、燃料電池の起動停止時の熱変動によって剥離してしまう場合に、両材料の中間的な材料を使用することで、剥離を抑える役割としても果たす。
ステンレス鋼のような耐食性の高い材料を用いない場合、例えば炭素鋼などの場合には、中間層としてNiやCrなどを用いることも可能である。
このとき、これら部材の接触相手となる導電性多孔質部材としては、ガス拡散層やマイクロポーラス層、触媒層ということになり、これら部材間の接触抵抗を大幅に少なくすることができ、電池重量当たりの発電出力を大幅に向上させることができる。
〔めっき処理〕
基材金属として、厚さ0.1mm、1辺100mmの正方形をなすオーステナイト系ステンレス鋼SUS316Lを用い、電気化学的に表層の酸化皮膜を除去した後、めっき処理を施すことによって、上記基材金属の両面に、Ni−Fe合金から成り、それぞれ高さの異なる錐状突起を備えた導電性凹凸層を形成した。
めっき浴組成としては、公知の組成比として、FeSO4・7H2O=35、NiSO4・6H2O=240、NiCl2・6H2O=45、H3BO3=25、サッカリン=1.5(いずれもg/L)を準備し、pHを3に設定した。
なお、錐状突起を備えためっき層は、処理面の各部に電流を集中させることによって得られる。メッキの種類によっては非直流電流によるパルスメッキにより、錐状突起成長の基点を形成することも可能である。この際も、パルス電流密度を大きく取ることが有効である。
なお、上記導電性凹凸層はNi−Fe合金から成るものであって、耐食性が十分ではないため、得られた導電性凹凸層の表面に金めっきを0.02μmの厚さに施したのち、以下の接触抵抗の測定に供した。
上記によって、両面にそれぞれ高さの異なる導電性凹凸層を形成したそれぞれの試料を厚さ200μmの2枚のカーボンペーパーの間に挟み、さらにその両側を20mm径の銅電極間に挟持し、ここでは1MPaで加圧することによって、試料とカーボンペーパーの間に接触面圧を付与した。この状態で銅電極間に1Aの直流電流を流し、このときの電圧降下から接触抵抗を算出した。
なお、導電性凹凸層を備えたそれぞれの発明例試料と比較するため、上記ステンレス鋼基材の表面をRzで0.05μmの粗さに仕上げたのち、上記同様の金めっきを施した試料(比較例1)を用意し、これを用いて接触抵抗を上記同様に測定した。これらの結果を図3に示す。
一方、突起の先端角度については、上部から確認すると、各突起は正確な角錐や円錐ではないため、突起の側面からの観察方向によっては先端角度が異なることになる。
なお、上記のカーボンペーパーは、同面圧において1mΩcm2程度の電気抵抗を有していることから、実際の接触抵抗は、図3に示した数値から1mΩcm2を差し引いた値となり、例えば高さ1000nmの発明例3の試料における一方のカーボンペーパーとの接触抵抗は、0.5mΩcm2程度ということになる。なお、基材金属や銅板の抵抗値は極めて小さいので、無視することができる。
上記実施例1で得られた発明例3(錐状突起高さ:1000nm)と、比較例1(凹凸層なし)の試料を用いて、接触抵抗に及ぼす面圧の影響を調査した。その結果を表1及び図6に示す。
本発明によれば、低面圧の領域から接触抵抗の低減傾向が認められる。また、接触抵抗は、面圧が高くなるにしたがって減少し、同一接触面圧下では、発明例3の試料における接触抵抗は、導電性凹凸層が形成されていない比較例1の場合の概ね半分程度に低減することが判明した。
上記発明例3と同様の条件で、上記ステンレス鋼基材の両面に1000nmの高さの錐状突起を形成した後、さらに電流を付与し続けて、上記突起の側面から、さらに2次突起を成長させた樹枝状突起を有する導電性凹凸層を備えた試料(発明例8)を得た。そして、その表面に同様の方法によって金めっきを施した。
当該試料における導電性凹凸層表面の電子顕微鏡画像を図7に示す。
この結果、錐状突起の側面から延出する2次突起が形成されることによって、カーボンペーパーとの接点がさらに増加することから、発明例3の試料と較べて、接触抵抗のさらなる低減が確認された。
上記したステンレス鋼基材の両面をサンドペーパーによって粗らし、Rzで0.5μmの粗さとしたのち、上記同様に厚さ0.02μmの金めっきを施した試料(比較例2)を作製した。
これを用いて、接触面圧0.2MPaと1MPaにおける接触抵抗を上記同様に測定し、Rzで0.5μmの表面粗さに相当する0.5μmの高さの錐状突起を有する導電性凹凸層を備えた発明例2の試料における接触抵抗と比較した。その結果を図9に示す。なお、図9における接触抵抗値は、カーボンペーパーと金属基材の固有抵抗値を控除した値で示した。
上記各実施例においては、カーボンペーパーとの間の接触抵抗を測定したが、ここでは、固体高分子形燃料電池に用いられるマイクロポーラス層(MPL)との間の接触抵抗を発明例3(錐状突起高さ:1000nm)の試料について測定し、凹凸層のない比較例1の試料と比較した。
すなわち、10%のフッ素樹脂と90%のカーボン粉から成り、厚さ30μm、気孔率80%のフィルムをMPLとして使用した。
その結果、図に示すように、接触相手がMPLであっても、カーボンペーパーの場合と同様に、本発明の導電性接触構造によって、接触抵抗が減少することが確認された。
1a 錐状突起
2 導電性部材
3 カーボンペーパー(導電性多孔質部材)
Claims (9)
- 先端が鋭角をなす無数の針状又は錐状突起が配列されて成ることを特徴とする導電性凹凸層。
- 上記突起の少なくとも一部が当該突起の側面から延出した2次突起を備えた樹枝状をなしていることを特徴とする請求項1に記載の導電性凹凸層。
- 上記突起は、該突起と同一組成の下地層の上に配置されており、上記下地層は少なくとも1つの島状に分布しており、当該島状領域内に突起が配列されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の導電性凹凸層。
- 上記突起の表面が当該突起の材料よりも導電性及び/又は耐食性に優れた機能性膜によって覆われていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つの項に記載の導電性凹凸層。
- 導電性多孔質部材と接触する導電性部材の接触面に請求項1〜4のいずれか1つの項に記載の導電性凹凸層が形成されていることを特徴とする導電性接触構造。
- 導電性凹凸層を構成する突起の高さが0.1μm以上、かつ上記導電性多孔質部材の厚み以下であることを特徴とする請求項5に記載の導電性接触構造。
- 上記導電性凹凸層が導電性部材の導電性多孔質部材との接触面に中間層を介して形成されていることを特徴とする請求項5又は6に記載の導電性接触構造。
- 請求項5〜7のいずれか1つの項に記載の導電性接触構造を備えた燃料電池であって、上記導電性部材が集電部材、セパレータ及び開口構造を有する金属部材の少なくとも1つであることを特徴とする燃料電池。
- 請求項5〜7のいずれか1つの項に記載の導電性接触構造を備えた燃料電池であって、上記導電性多孔質部材がガス拡散層、マイクロポーラス層、触媒層のいずれかであることを特徴とする燃料電池。
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