JP2012242624A - 光ケーブル - Google Patents

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Takashi Okunishi
隆 奥西
Kimihiko Fujita
公彦 藤田
Katsuyuki Aihara
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Abstract

【課題】作業現場で刃物等の工具を用いることなく、上巻テープ切断のための切裂き始端となる切れ目を作業員が見つけやすい形態で設けることができ、安全で簡単かつ容易に上巻テープの剥ぎ取りを行うことが可能な光ケーブルを提供する。
【解決手段】光ケーブル11は、複数本の光ファイバテープ心線13を収納するスロット14を備えたスペーサ12の周囲に上巻テープ15を巻き付け、その外側をシース16で被覆したものであり、上巻テープ15の側縁に、切裂き始端となる切れ目17が複数設けられている。ここではスペーサ12に巻き付けた上巻きテープ15の一部が起立可能な間隔で、2つの隣接する切れ目17が近接して配置されている。そして近接して配置された2つの切れ目17を一組の切れ目とするとき、切れ目の組が、上巻きテープ15の長さ方向に間欠的に設けられている。
【選択図】図1

Description

本発明は、複数本の光ファイバ心線を収納したスロットを有するスペーサを上巻テープで覆い、その外側をシースで被覆した光ケーブルに関する。
近年の映像配信、IP電話、データ通信等のブロードバンドサービスの拡大により、光ファイバによる家庭向けのデータ通信サービス(FTTH:Fiber To The Home)の加入者が増加している。このFTTHでは、架空の幹線光ケーブルから1〜数本の光ファイバ心線がドロップ光ケーブルを用いて加入者宅等に引き落とされている。加入者宅への光ファイバ心線の引き落しを行う場合、例えば、市街の電柱等に布設された幹線光ケーブルを、通常、クロージャと称されている接続函で分岐し、分岐した光ファイバ心線にドロップ光ケーブルを融着接続又は光コネクタを用いて接続している。
幹線光ケーブルは、図5(A)に示すように、例えば、SZ状に形成されて複数条のスロット4を有する樹脂製のロッドからなるスペーサ2(スロットロッドとも言う)が用いられる。前記のスロット4には、多心の光ファイバテープ心線3を収納し、スペーサ2の外周に上巻テープ5(押え巻とも言う)を巻付けて光ファイバテープ心線3を覆っている。また、多心の光ファイバテープ心線3に代えて複数本の単心光ファイバ心線を収納したものであってもよい。そして、上巻テープ5の外側を、押出し成形で形成されたシース6(外被とも言う)で被覆した形状のものが一般的である。
上述のような幹線光ケーブルの途中部分から、光ファイバを加入者宅等に引き落とすには、光ケーブル1に収納されている複数本の光ファイバ心線の内から、1本〜数本の光ファイバ心線を引出す分岐作業が行われる。この分岐(中間後分岐とも言われている)作業では、例えば、光ケーブルの分岐部分のシース6を一定の長さ(50cm程度)除去する。このシース6が除去された部分では、上巻テープ5が露出されるが、この上巻テープ5をニッパ7等より切裂き開始端を形成してから切断する。次いで、上巻テープ5を巻ほぐして剥ぎ取り、内部の光ファイバ心線を取り出している。
スペーサ2に巻付けられた上巻テープ5は、光ファイバテープ心線3がスロット4から飛び出さないように保持し、また、シース6を成形する際の熱が、光ファイバテープ心線3に影響するのを抑制する熱絶縁用として、さらには、光ケーブル内への止水のための吸水用として機能させることができる。上巻テープ5と光ファイバテープ心線3との間には、特に保護層のようなものが存在しないため、この上巻テープ5に、ニッパ等の切裂き工具を差し込んでテープ切断の切裂き始端を得ようとすると、光ファイバテープ心線3を傷つける恐れがある。また、光ファイバ心線の分岐作業は、電柱上やバケット車上というような作業環境の悪い状況で行うことが多く、できるだけ簡単で短時間に行えることが要望されている。
ニッパ等の切裂き工具を不要とするために、例えば、特許文献1には、上巻テープ5に間欠的に切れ目を入れた構成を採用した光ケーブルが開示されている。この光ケーブルは、上巻テープに切れ目を入れることにより、その切れ目の部分を切裂き始端として、切裂き工具を使用することなく作業員の手作業によって上巻テープを切り裂くことができるようにしている。
特開平2008−225016号公報
上記の特許文献1に開示の光ケーブルのように、上巻テープに切れ目を入れた構成の場合、単に上巻テープに切れ目を入れてスペーサに巻き付けるようにしただけでは、巻き付けた状態の上巻テープの切れ目が目立ち難く、中間後分岐作業時に上巻テープを切裂いて光ファイバ心線を取り出すときの作業性が悪い、という課題があった。また、上巻きテープは、張力が付与された状態でスペーサに巻き付けられているため、切り裂き始端として掴むときに、張力によりスペーサに密着して掴みにくい、という課題があった。
また、切れ目の部分を目立つようにして見つけやすくするために、切れ目の部分に着色することも考えられるが、この場合、上巻テープに間欠的に設けた切れ目部分のみに着色することが難しい、という問題が生じる。
本発明は、上述した実情に鑑みてなされたもので、作業現場で刃物等の工具を用いることなく、上巻テープ切断のための切裂き始端となる切れ目を作業員が見つけやすく掴みやすい形態で設けることができ、安全で簡単かつ容易に上巻テープの剥ぎ取りを行うことが可能な光ケーブルの提供を目的とする。
本発明による光ケーブルは、複数本の光ファイバ心線を収納するスロットを備えたスペーサの周囲を上巻テープを巻き付け、上巻きテープで覆ったスペーサの外側をシースで被覆する光ケーブルであって、上巻テープは、上巻きテープの側縁に、上巻テープを幅方向に切断する切裂き始端となる上巻テープ両面を貫通する切れ目が複数設けられている。そしてこの光ケーブルは、スペーサに巻き付けた上巻きテープの一部が起立可能な間隔で、2つの隣接する切れ目が近接して配置され、さらに、近接して配置された2つの切れ目を一組の切れ目とするとき、この切れ目の組が、上巻きテープの長さ方向に間欠的に設けられていることを特徴とする。
また、2つの切れ目の組の間隔は、上巻きテープの長手方向に3mm以上で、光スペーサを覆った状態で、前記スペーサの外周の1/4以下とすることが好ましい。
本発明によれば、作業現場で刃物等の工具を用いることなく、上巻テープ切断のための切裂き始端となる切れ目を作業員が見つけやすく掴みやすい形態で設けることができ、安全で簡単かつ容易に上巻テープの剥ぎ取りを行うことができるようになる。
本発明による光ケーブルの概略を説明する図である。 本発明による光ケーブルにおいて、近接して配置された2つの切れ目間における上巻きテープの起立状態を模式的に示す図である。 上巻きテープを重ね巻きした場合の構成例を示す図である。 本発明における光ケーブルに用いる上巻テープに切れ目を設ける工程を説明する図である。 従来の光ケーブルの構成例を説明する図である。
図により本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明による光ケーブルの概略を説明する図である。図中、11は光ケーブル、12はスペーサ、13は光ファイバテープ心線、14はスロット、15は上巻テープ、16はシース、17は切れ目、18は近接切れ目部(一組の切れ目)を示す。
本発明による光ケーブル11は、例えば、図1(A)及び図1(B)に示すように、図5(A)で説明したのと同様な光ケーブルを対象とすることができ、SZ状に形成された複数条のスロット14を有する樹脂製のロッドからなるスペーサ12を用いて構成される。スペーサ12のスロット14には、複数本の単心光ファイバ心線あるいは多心の光ファイバテープ心線13が収納され、スペーサ12の外周に上巻テープ15が巻付けられて、光ファイバテープ心線13が覆われる。そして、上巻テープ15の外側は、押出し成形によるシース16で被覆される。
なお、スペーサ12の外周で、かつ上巻テープ15の内側に、ナイロン糸、プラスチックテープ等の粗巻きが施されることもある。この粗巻きは製造途中にスロットから光ファイバ心線あるいは光ファイバテープ心線13が飛び出すのを防ぐ目的で施されるが、一般的に間隔をあけて巻かれるものであり、光ファイバ心線あるいは光ファイバテープ心線13を刃物から保護する効果は持たない。
上巻テープ15には、例えば、テープ幅が10mm〜25mm程度のものが用いられ、開き巻き又は重ね巻きで巻付けられる。この上巻テープ15には、例えば、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン等の繊維からなる種々のものが用いられ、シース16には、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂が用いられる。シース16は、スペーサ12の外周に上巻テープ15が巻付けられてから一旦ドラム等に巻き取られた後に、押出機に通して成形されるが、上巻テープ15の巻付けに引続いて連続的に成形されるようにしてもよい。
本発明においては、上記の上巻テープ15の側縁に複数の切れ目17を入れて、スペーサ12上に巻付ける。そして、スペーサ12に巻き付けた上巻きテープ15の一部が切れ目17間で起立可能な間隔で、2つの隣接する切れ目17が近接して配置される。これら近接して配置された2つの切れ目17を近接切れ目部18とする。近接切れ目部18を構成する2つの切れ目17は、本発明の一組の切れ目に相当する。この近接切れ目部18は、上巻テープ15の長さ方向に間欠的に設けられている。
間欠的に設けられる近接切れ目部18の間隔は特に限定されず、また、一定の間隔で設けなくてもよいが、少なくとも、中間後分岐作業を行うために、光ケーブル11からシース16を剥ぎ取る長さ(例えば50cm)の間には、近接切れ目部18が一カ所以上存在する必要がある。
切れ目17は、中間後分岐作業時等における上巻テープ15の切断の始端となるが、上記のように従来では、この切れ目17の位置を見つけにくいという問題があった。これに対して本発明に係る実施形態では、隣接する2つの切れ目17が近接して設けられているため、その切れ目17間において、上巻きテープ15の一部が折れ曲がって起立可能であり、これにより作業者が切れ目17の位置を容易に見つけることができ、また起立した部分を掴んで上巻きテープを剥離することができる。
図2は、近接して配置された2つの切れ目間における上巻きテープの起立状態を模式的に示す図である。
例えば中間後分岐作業時に、作業者は光ケーブル11からシース16を剥ぎ取って上巻テープ15を露出させる。近接切れ目部18における2つの切れ目17の間では、上巻テープ15の巻回時に付与されたテンションが切れ目17によって緩和され、スペーサ12への巻き付け面から浮き上がりやすくなっている。そして、手などによって上巻テープ15の表面を擦ると、近接切れ目部18における2つの切れ目17の間で上巻テープ15が折れ曲がり、もしくは浮き上がって起立片19が形成される。作業者はこれにより容易に切れ目17の部分を見つけることができ、この部分を切裂きの始端として上巻テープ15を切り裂くことができる。なお、図2の起立片19は、その起立状態を模式的に示したものであるが、実際には切れ目17の間で上巻テープ15がめくれ上がり、その少なくとも一部が起立状態となればよく、これにより切れ目17の部分を見つけやすくし、切裂き始端とする、という目的を達成することができる。
近接切れ目部18を構成する2つの切れ目17の間隔Lは、上巻テープ15の長手方向に3mm以上で、かつ、スペーサ12の外周の1/4以下であることが好ましい。このような間隔Lにすることで、近接切れ目部18にて起立片19を有効に形成することができる。間隔Lが3mmより小さいと、2つの切れ目17が繋がって上巻テープ15が千切れてしまう等により、起立片19をうまく形成させることができず、また、間隔Lがスペーサ12の外周の1/4より大きいと、近接切れ目部18の切れ目17間を擦ったりしても、上巻テープ15が起立し難くなることがある。
中間分岐作業等において、作業員は、形成された起立片19を手で摘むか、または、ペンチ等の把持工具で掴んで、切れ目17の切り込み方向に切裂くように引っ張る。これにより、スペーサ12に連続的に巻きついている上巻テープ15を切断することができる。また、起立片19を手あるいは把持工具等で引っ張り上げ、光ファイバから離れた位置で、刃物等の工具で切断することも可能となる。次いで、切断されたテープ端をもとに上巻テープ15を巻きほぐすことにより、上巻きテープ15をスペーサ12から剥ぎ取ることができる。
近接切れ目部18の2つの切れ目17間に形成される起立片19は、手で掴むか、または、ペンチ等の把持工具で挟んで切裂くこととなるが、切れ目17の切り込み深さDがあまり小さいと掴みにくく、また、掴めたとしてもテープ切断のため切裂力で滑ってしまう。したがって、切れ目17の切り込み深さDは、例えば、手(爪部分)で掴める範囲の2mm以上であることが望ましい。また、以下の理由により、ケーブル構成によっては切り込み深さDは、上巻きテープの重なり幅よりも小さくすることが必要となる。
図3は、上巻きテープを重ね巻きした場合の構成例を示す図である。
上巻テープ15をシース16の成形時の熱絶縁用、あるいは、光ケーブル内への止水のための吸水用として機能させる場合や、その他ケーブルの必要特性、ケーブル構造、製造条件等によっては、上巻テープ15を重ね巻きして、スロット14内に収納された光ファイバテープ心線13とシース16とを完全に遮断することが必要になることがある。重ね巻きした上巻テープ15の重なり幅をRとするとき、切れ目17の切り込み深さDを重なり幅Rよりも小さくすると、切れ目17があっても光ファイバテープ心線13とシース16とを完全に遮断することが可能となる。
例えば、上巻テープ15の幅が15mmであるとすると、重なり幅Rは、おおよそ上巻テープ15の1/5〜1/4ラップ程度で形成され、3.5mm程度となる。従って切れ目17の切り込み深さDは、3.5mmより短くするのが望ましい。なお、本発明は、必要特性やケーブル構造、その他製造条件によっては、開き巻きでも実施可能であり、この場合は、上記のような制限は生じない。ただし、切り込み深さDが深すぎると、シース被覆等の製造工程中にローラ等への引掛かりが生じやすくなるため、例えば切り込み深さDは、5mm程度以下とすることが好ましい。
図4は、本発明における光ケーブルに用いる上巻テープに切れ目を設ける工程を説明する図である。
上述した上巻テープ15は、スペーサ12のスロット14内に光ファイバ心線またはテープ心線を収納すると同時に、スロット14からこれらが脱落しないようにスペーサ12の外周に螺旋状に巻付けられる。上巻テープ15は、通常、ロール状に巻かれたものをサプライ軸に支持させてスペーサ12上に繰り出されるが、上述した上巻テープ15の切れ目17は、図4に示すように、ロール状に巻かれた状態で形成することにより、所定の間隔で効率よく製造することができる。
図4(A)は、巻取り芯20の外周に上巻テープ15がロール巻きされた状態(例えば、15mm幅のテープで、ロール外径500mmφ)を示すもので、ロール側面に放射状に近接切れ目部18を設ける。各近接切れ目部18は、近接した2つの切れ目17(深さ3mm程度)からなっている。巻取り芯20にロール巻きされた上巻テープ15を繰り出したときに、所定の間隔で近接切れ目部18が形成されたものとなる。また、各近接切れ目部18における2つの切れ目17の間隔は、予め定めた間隔に設定しておく。
図4(A)の例では、ロール巻きされた状態で上巻テープ15に放射状に近接切れ目部18を設ける。これにより、ロール巻きされた状態の内径側と外径側では、近接切れ目部18の間隔が多少異なることになるが、比較的規則性のある間隔で近接切れ目部18を形成することができ、各切れ目17の深さDの制御も容易に行うことが可能となる。
図4(B)は、巻取り芯20の外周に上巻テープ15がロール状に巻かれた状態で、ロール側面に放射状に近接切れ目部18を設けるが、一部の近接切れ目部18は、ロール巻きされた状態の径方向外側に部分的に設ける。そして、径方向全体に設けた近接切れ目部18と、径方向外側の一部に設けた近接切れ目部18とを周方向に互い違いに設ける。
ロール状に上巻テープ15が巻かれた状態では、内径側に向かうに従って、近接切れ目部18の間隔が狭まることから、内側の近接切れ目部18を間引くようにすることで、その間隔をバランスさせるようにしている。
図4(C)は、図4(B)と同様の構成を持つが、図4(B)よりも近接切れ目部18の間隔が短くなっている。この場合にも、ロール巻きされた状態の内径側で近接切れ目部18を間引くようにすることで、上巻テープ15の全長における近接切れ目部18の間隔のバランスをとるようにしている。
図4(D)は、巻取り芯20の外周に上巻テープ15がロール状に巻かれた状態で、ロール側面に格子状に近接切れ目部18を設ける例である。上巻テープ15がロール状に巻かれた状態で格子状に近接切れ目部18を設けることにより、近接切れ目部18の間隔は多少不規則になるが、ロール巻の内径側と外径側で、近接切れ目部18の間隔の差を少なくすることができる。
1…光ケーブル、2…スペーサ、3…光ファイバテープ心線、4…スロット、5…上巻テープ、6…シース、7…ニッパ、11…光ケーブル、12…スペーサ、13…光ファイバテープ心線、14…スロット、15…上巻テープ、16…シース、17…切れ目、18…近接切れ目部、19…起立片、20…芯。

Claims (2)

  1. 複数本の光ファイバ心線を収納するスロットを備えたスペーサの周囲に上巻テープを巻き付け、前記上巻きテープで覆ったスペーサの外側をシースで被覆した光ケーブルであって、
    前記上巻テープは、前記上巻きテープの側縁に、前記上巻テープを幅方向に切断する切裂き始端となる上巻テープ両面を貫通する切れ目が複数設けられ、
    前記スペーサに巻き付けた上巻きテープの一部が起立可能な間隔で、2つの隣接する前記切れ目が近接して配置され、
    前記近接して配置された2つの切れ目を一組の切れ目とするとき、前記切れ目の組が、前記上巻きテープの長さ方向に間欠的に設けられていることを特徴とする光ケーブル。
  2. 前記近接して配置された2つの切れ目の間隔は、前記上巻きテープの長手方向に3mm以上で、かつ、前記スペーサの外周の1/4以下であることを特徴とする請求項1に記載の光ケーブル。
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