JP2012240895A - 単結晶成長方法および装置 - Google Patents

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公寿 金子
Nanae Matsuoka
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Abstract

【課題】垂直ブリッジマン法による単結晶の成長装置で、簡便な方法で結晶に欠陥のない高品質な単結晶を安定して得ることができる構造の結晶製造装置を提供する。
【解決手段】単結晶3を成長させるルツボ1の下部を、支持して引き下げを行うための支持構造20が、ルツボの底面の外周部分に接する円筒状の支持管21と、支持管がルツボを設置する設置部の反対側の端部に底部を有し、底部に結合して支持管とルツボを支持して引き下げを行う支持部材と、支持管内部を遮蔽する遮蔽部材23とを有する構造とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、垂直ブリッジマン法による、単結晶の成長装置および製造方法に関する。
結晶を育成する製造法である垂直ブリッジマン法は、結晶形状がルツボの形状に依存するので、形状制御が容易であるが、ルツボに直に触れた状態で結晶が成長するために、ルツボの中心部と外周部との間では温度勾配が生じ、結晶成長に欠陥を生じさせることになる。
従来の垂直ブリッジマン法からなる結晶成長装置構造を図4及び図5に示す。図4の従来装置構造では、ルツボ1の底部に種結晶を位置させておき、その上に原料溶融液2を投入して、ルツボ1で結晶3を成長させ、結晶の成長では、結晶の固液界面4が存在する。
そして、ルツボ1を支持する凹断面である支持体5と、ルツボ1の周囲を覆うように炉心管6を設け、その周囲に上下方向の温度を任意に設定できる側面ヒーター7を配置し、これらは、筐体8内に配置されて、筐体8の内側は、断熱材9により熱が外部に逃げることを防いでいる。(特許文献1)
支持体5は、円筒形状が好ましく、板をコの字に折り曲げた形状でも、箱曲げ形状であっても良い。そして、支持体5は、支持棒10が結合されていて、結晶成長に合わせて、支持棒10を下に引き下げ、ルツボ1を移動させる。
すなわち、垂直ブリッジマン法では、種結晶の上に育成用原料である原料溶融液2を充填した、ヒーター7で加熱溶融する。ルツボ1の温度勾配は、結晶材料の凝固温度から、ルツボ1内の所定の位置が凝固温度になるようにし、ルツボ1上部を凝固温度以上にして、ルツボ1下部では凝固温度以下になるように、ヒーター7で温度を制御する。そして、ルツボ1を低温側である下方へ移動させることで、融液状態になっている材料を結晶育成させる。
また、特許文献1には、別の形態として、図5に記載のように、ルツボ1の底面の中心部を、支持棒10により支持し、ルツボ1の底部中心部からの熱の逃げが大きくなることを防ぐために、支持棒10を優先的に加熱するヒーター11を有する構成が記載されている。
特開平10‐101484号公報
結晶の固液界面4の形状については、下に凸形状になると、ルツボ1の内壁で発生する欠陥が結晶中に取り込まれて単結晶化を困難にすることや、下に凸部中心の結晶中央部には異物が集まりやすくなり、結晶の中央部に欠陥が生じるという問題があった。このため、結晶の固液界面4を上に凸形状にすることが望ましい。
結晶の固液界面4が上に凸になるか、下に凸になるかは、ルツボ1に接触している原料溶融液の周辺部分の温度が、原料溶融液中央の温度と比較して高くなるか、低くなるかである。
図4の従来装置では、ルツボ1は、周囲のヒーター7で加熱され、その内側には、結晶材料が入っているため、ルツボ1中央よりも、内壁側温度が高くなる。このように、結晶融液のルツボ1壁近傍と中心部とでは、ルツボ1壁近傍の温度が低く、中心部の温度が高くなるような温度差が生じので、このような温度特性では、結晶の固液界面4では、下に凸形状の結晶となる。この原因として、ルツボ1を支える支持体5からの熱の逃げも影響をしている。
また、ルツボ1の壁近傍と中心部の温度差が増加すると、熱応力による割れが生じ、歩留まりが低下することにもなる。
そこで、従来では、半径方向の温度差を低減する方法として、ルツボ1を上下駆動させるための支持棒10に対して、ルツボ1の熱が支持棒10を通して流出するのを防止するため、ルツボ1の支持について、熱伝導率の低い材料による凹形断面をもつ円筒構造の採用(図4)や、支持棒10にヒーター11を挿入した温度制御(図5)を行なうことができる構造がある。
しかし、図4のように、支持棒10とルツボ1の間に熱伝導率異方性を有する円柱型の部材(支持体5)を用いると、円柱型の部材である支持体5は、側面からの熱の流入が少ないため、熱が全体に伝わりにくい。そして、支持体5が、凹断面を持つ円筒構造では、その構造の円筒内部空間が大きい場合に、自然対流が生じ、内部の気体が、温度の低い底面から高温側であるルツボ1底面へ移動し、この対流によって温度差が生じる。また、温度が低い凹断面構造の支持体5底面と、温度が高いルツボ1の底面間での輻射の影響によって、ルツボ1の底面の温度は、凹断面構造の支持体5の底面温度の影響を大きく受ける。
また、図5のように、ルツボ1を支持棒10で支持する場合もあり、この従来例では、支持棒10をヒーター11で加熱し、原料溶融液の温度分布がほぼ均一になるように伝熱量の制御を行うという方法もある(例えば特許文献1)。
しかし、図5のような構成では、ルツボの底部が側面よりもヒーター11による熱の影響を大きく受けることになるので、温度特性は、中心の温度が高くなる。したがって、図5に示す結晶界面4のように、中心にくぼみができてしまう。また、このように、支持棒10にヒーター11を用いる場合は、炉の構成要素が増加し、ヒーター11による制御対象となっているルツボ1の底の温度との距離が離れており、伝熱経路途中で形状が変化しているため、温度制御も困難である。
上述のように、側面部分と中央部分には温度差が生じやすく、その温度差や温度勾配により高品質な単結晶が得にくい。
そこで、本発明では、簡便な方法で、高品質な単結晶を安定して得ることができる構造の結晶製造装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明では、結晶性物質の原料溶融液を保持するルツボと、ルツボの周囲に配置された側面ヒーターとを有し、ルツボを引き下げて単結晶を成長させる結晶の成長装置で、ルツボの底面の外周部分が接してルツボを設置する設置部の反対側の端部に底部を有する円筒状の支持管と、支持管の底部に結合し、支持管とルツボを支持して引き下げを行う支持部材と、支持管内部を遮蔽する遮蔽部材とを有することにする。
この構成によれば、ルツボを支持する支持体を、ルツボの底面温度の高い外周に接触するようにして、ルツボを支持する構成とし、支持体のルツボとの接触面積を小さくして、熱の移動を少なくできる。
また、遮蔽部材は、ルツボの底面と間隙を有して配置することができる。この間隙は、ルツボの底面の輻射熱による空間気体の自然対流が起こり難い間隔とする。
即ち、ルツボ底面の熱を、輻射熱として、支持体の空間を介して支持体に熱流出することを抑制するために、ルツボ底面と凹断面の支持体からなる空間の容積を小さくする遮蔽部材を設けて、自然対流を抑制することで、ルツボ底面から離れた支持体の低温部への輻射熱の流出も抑えるようにできる。
また、ルツボ底面と凹断面の支持体からなる空間を無くし、断熱をするように構成してもよく、この場合は、蔽部材が断熱材であり、ルツボの底面に接して配置する。
そして、遮蔽部材は、間隙を有して、複数の積層体であるようにすることもできる。この構成により、ルツボ底部の断熱効果をより高くすることが可能となる。
以上のような構成により、ルツボ底面の半径方向の、結晶温度差を少なくすることが可能となる。
垂直ブリッジマン法による単結晶の成長装置では、ルツボを外周から加熱するために、ルツボ1は中央よりも内壁側温度が高くなる。このため、本発明によれば、ルツボを支持する支持体を、ルツボ温度の高い底面外周に接触するようにしてルツボを支持する構成とし、ルツボ底面と凹断面の支持体からなる空間の容積を小さくする遮蔽部材を設けたので、ルツボ底面の半径方向の、結晶温度差を少なくして、結晶中央部に異物が集まることでの結晶の中央部に欠陥や、熱応力による割れを抑制して、歩留まりを向上できるので、高品質な単結晶を安定して得ることができる。
( a ) は本発明の第一実施形態における単結晶の成長装置断面図( b )は 本発明の第一実施形態の要部構造 ( a ) は本発明の第二実施形態における単結晶の成長装置断面図( b )は 本発明の別の第二実施形態の要部構造 ( a ) は本発明の第三実施の形態における単結晶の成長装置断面図( b )は 本発明の第三実施の形態の要部構造 従来技術に用いられる単結晶の成長装置断面図 別の従来技術に用いられる単結晶の成長装置断面図
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
図1は、垂直ブリッジマン法による単結晶の成長装置で、本発明を適用した実施例である。
従来の図4との相違点は、ルツボ1の下部の支持体を、筒と底部から構成する支持管21とし、支持管21の底部には、支持棒22が結合されていて、さらに、支持管21の内部空間の上部に、遮蔽部材23を設けた点である。
図1(a)は、本発明の第一実施形態の単結晶の成長装置断面図の全体構成を示し、支持管21と、支持棒22と、遮蔽部材23とで構成する、本願発明の要部を、ルツボ支持構造20として、斜視図を図1(b)に示した。
遮蔽部材23は、断熱材であるか、薄い金属板が好ましい。断熱材の場合は、ルツボ1の底部が1000℃以上のため、高珪酸ガラス繊維などの超高温断熱材とすることが必要である。
また、図1においては、ルツボ1の底部と遮蔽部材23の間の空間は、気体(空気)断熱をしているが、ルツボ1の底部からの輻射熱による気体の自然対流が起こり難い程度の間隔であればよく、遮蔽部材23が断熱材の場合には、ルツボ1の底部に接触していても良い。
遮蔽部材23が薄い金属板の場合には、熱抵抗の大きな材料を使うことが好ましく、1000℃以上の温度での損傷が無く、遮蔽部材23から支持管21に熱の流出が抑えられる熱抵抗となる厚さであることが好ましい。
支持管21の底部は、支持棒22が結合されていれば、隙間を有すメッシュや放射状の形状であっても良い。
このような構成により、ルツボ1の底部における熱の対流による移動を抑止することができ、さらに遮蔽部材23により、ルツボ1底部の下部での低温側からの輻射熱の影響を受けないため、ルツボ1の中心と壁面の温度勾配を、より均一にすることが可能となる。
次に、本発明の第二実施形態の構成を図2により説明する。
図2において、本発明の第一実施形態の図1との相違箇所は、遮蔽部材23の下部に補強板24を積層した点である。
図2(a)は、本発明の第二実施形態の単結晶の成長装置断面図の全体構成を示し、図2(b)は、ルツボ支持構造20aの斜視図である。
遮蔽部材23として、超高温断熱材などを使用した場合、機械的強度が強く無いことが多い。そのため、遮蔽部材23により熱の遮断を行い、設置強度は、熱伝導があっても剛性の高い金属板などで行なうようにして、装置の性能安定性を高める。
図3の本発明の第三実施形態において、本発明の第一実施形態の図1との相違箇所は、遮蔽部材23を積層した点である。
図3(a)は、本発明の第三実施形態の単結晶の成長装置断面図の全体構成を示し、図3(b)は、ルツボ支持構造20bの斜視図である。
遮蔽部材23a、23b、23cの3段構成とした。遮蔽部材23a、23b、23cの構成材質は、図1で説明をしたものと同じでよいが、遮蔽部材を複数段とすることで、ルツボ1の底部の断熱効果をより高くすることができる。
1 ルツボ
2 原料溶融液
3 結晶
4 固液界面
5 支持体
6 炉心管
7 側面ヒーター
8 筐体
9 断熱材
20、20a、20b ルツボ支持構造
21 支持管
22 支持棒
23、23a、23b、23c 遮蔽部材
24 補強板

Claims (4)

  1. 結晶性物質の原料溶融液を保持するルツボと、前記ルツボの周囲に配置された側面ヒーターとを有し、前記ルツボを引き下げて単結晶を成長させる結晶の成長装置において、
    前記ルツボの底面の外周部分が接して前記ルツボを設置する設置部の反対側の端部に底部を有する円筒状の支持管と、
    前記支持管の底部に結合し、前記支持管と前記ルツボを支持して引き下げを行う支持部材と、
    前記支持管内部を遮蔽する遮蔽部材とを有することを特徴とする結晶の成長装置。
  2. 前記遮蔽部材は、前記ルツボの底面と間隙を有して配置することを特徴とする請求項1に記載の結晶の成長装置。
  3. 前記遮蔽部材は、間隙を有して、複数の積層体であることを特徴とする請求項2に記載の結晶の成長装置。
  4. 前記遮蔽部材は、断熱材であり、前記ルツボの底面に接して配置されていることを特徴とする請求項1に記載の結晶の成長装置。


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