JP2005035824A - フッ化物結晶育成装置 - Google Patents

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Kazuo Kimura
和生 木村
Shuichi Takano
修一 高野
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Abstract

【課題】結晶欠陥やサブグレインバウンダリーのない高品質な単結晶を安定して製造することが可能なフッ化物結晶製造装置を提供する。
【解決手段】上部が円筒形で下部が円錐形のルツボを加熱してルツボ内の原料を熔融し、ルツボの下部から上部に向けて徐々に結晶化させることで、フッ化物単結晶を製造するためのフッ化物結晶育成装置において、ルツボ下部の円錐形部分を囲んで、円筒形支持部材を配置し、ルツボの円筒形部分の下部を円筒形支持部材で支持する構成とする。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光リソグラフィー用投影露光装置、CVD装置、核融合装置等のレンズ、窓材等の光学素子に用いられるフッ化物結晶を製造するための製造装置に関するものであり、特に、紫外光および真空紫外光用の大口径フッ化物単結晶を製造するための製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ウエハ上に集積回路パターンを描画するリソグラフィー技術が急速に発展している。集積回路の高集積化の要求は年々高まっており、その実現のためには投影露光装置の投影光学系の解像力を上げる必要がある。投影光学系の解像力は、使用する光の波長と投影光学系のNA(開口数)により決定される。即ち、使用する光の波長をより短く、また、投影光学系のNAがより大きいほど解像力を上げることができる。
【0003】
まず、光の短波長化については、投影露光装置に使用する光源の波長は、すでにg線(波長436nm)、i線(波長365nm)、KrFエキシマレーザー光(波長248nm)と変遷してきている。そして今後、更に波長の短いArFエキシマレーザー光(波長193nm)やF2レーザー光(波長157nm)等を用いるには、投影光学系等の結像光学系のレンズ材料として、一般の多成分系の光学ガラスを使用することは、透過率低下が大きくなるため不可能である。このため、エキシマレーザー投影露光装置の光学系には、石英ガラスまたはフッ化物結晶、例えばフッ化カルシウム単結晶を光学部材として使用することが一般的である。
【0004】
次に、NAを大きくすることについて述べる。NAを大きくするには光学部材の直径を大きくする必要がある。投影露光装置の高性能化に伴って、最近は直径φ120 mm〜φ350mm程度の大きなサイズのフッ化カルシウム単結晶が要求されるようになってきた。このようなフッ化カルシウム単結晶は、一般の光学ガラスや石英ガラスに比べて屈折率が小さく分散(屈折率の波長依存性)も小さい。そのため、石英ガラス等の材料からなる光学部材と併用することで色収差を補正できるというメリットもある。また、最近では、フッ化カルシウム単結晶以外のフッ化物単結晶であるフッ化バリウムやフッ化ストロンチウムの単結晶も同じ立方晶系に属していて性質が類似しているという点で、次世代の光学材料として注目されている。
【0005】
フッ化物単結晶の製造方法としては、ブリッジマン法(ストックバーガー法または引き下げ法ともいう)やタンマン法といった融液法などの単結晶育成方法が知られている。以下、ブリッジマン法によるフッ化カルシウム単結晶の製造方法の一例を示す。図4は、ブリッジマン法によるフッ化カルシウム単結晶の育成装置の概念図である。
【0006】
紫外ないし真空紫外域で用いるためのフッ化カルシウム単結晶の製造には、その原料として化学的に合成された高純度なフッ化カルシウム原料を用いる。粉末状の原料から直接単結晶を育成すると、原料の熔融に伴う体積減少が大きいため大きな単結晶を得に難いので、まず、粉末原料から半熔融品やその粉砕品を作り、これらを再び熔融して単結晶を育成するのが一般的である。
【0007】
具体的には次のような工程でフッ化カルシウム単結晶を育成する。即ち、結晶育成装置の中に半熔融品、あるいは、その粉砕品を充填したルツボをセットして、育成装置内を10−3〜10−4Paの真空雰囲気に維持する。次に、育成装置内の高温側ヒーターにより加熱し、ルツボ内の温度をフッ化カルシウムの融点以上(1370℃〜1450℃)まで上げて半熔融品、あるいは、その粉砕品を熔融する。次に、0.1 〜5mm/h 程度の速度でルツボを低温側ヒーターの領域に向けて引き下げることにより、ルツボの下部から徐々に結晶を成長させ、融液の最上部まで結晶化したところで結晶育成は終了する。育成が終わった結晶(インゴット)は割れないように室温近傍まで徐冷し、その後、育成装置内を大気開放してインゴットを取り出す。
【0008】
ルツボの材料としては黒鉛を使用するのが一般的である。ルツボは上部が円筒形で下部は円錐形の、いわゆるペンシル型になっている。ルツボ下端の円錐形の先端部には引き下げ棒が取り付けられるようになっていて、結晶育成段階では引き下げ棒によりルツボを引き下げる。従って、ルツボ下端の円錐形の先端から結晶の成長が開始して徐々に結晶化が進み最終的にペンシル型のインゴットが得られる。
【0009】
インゴットの結晶面方位を制御する目的で先端部分に種結晶を入れることもある。しかし、大きなフッ化物結晶をブリッジマン法により育成する場合、結晶成長方位には法則性がなく、結晶育成を行なう毎にインゴットの結晶方向はランダムになると考えられている。特に、直径がφ120mmを越えるような比較的大きな単結晶インゴットでは結晶面方位の制御は極めて難しい。
【0010】
結晶育成後、ルツボから取り出したインゴットには大きな残留応力が存在するため、インゴット形状のままで簡単な熱処理を行ない、残留応力を低減する。
このようにして得られたフッ化カルシウム単結晶のインゴットは、目的の製品に応じて適当な大きさに切断加工される。
【0011】
結晶面方位が問題とされない光学素子を製造する場合には、より効率よく素材をインゴットから切り出すために、インゴットは水平に平行平板状に切断(輪切り)される。切断された素材は、所望の結像性能(屈折率の均質性と複屈折)を得るために熱処理が施される。
【0012】
結晶面方位を考慮しなければならない光学素子を製造する場合、例えば、光軸を{111}結晶面に垂直とする場合には、フッ化物単結晶インゴットの{111}結晶面を測定により決定し、{111}面が平行二平面となるように素材を切り出した後、更に熱処理を行なう。
【0013】
ところで、ブリッジマン法による結晶の育成においては、ルツボ内で一旦熔融させた材料をルツボの底の部分からゆっくり固化させることにより単結晶として育成する。そこで、結晶化が起こっている部分には温度勾配を持たせる必要がある。そのため、結晶育成装置のヒーターは高温側ヒーターと低温側ヒーターの二つのゾーンに分けて、それぞれ別個に温度制御するようになっているが、更に、高温側ヒーターと低温側ヒーターの間に熱遮断板を設置したり、また、ルツボ下部の円錐形部分全面を熱伝導のよい支持部材(水冷することもある)により支持することで、温度勾配をより大きくする方法が提案されている。この構成を図5に示す。
【0014】
融液(液体)と結晶(固体)の境界のことを固液界面と呼んでいる。結晶は固液界面に対して垂直に成長する。そこで、固液界面が凹面形状となっている場合には、結晶中に構造が歪んだ部分(以下、転位という)が発生すると、結晶の成長と共に転位は中央に向って伝播し、インゴット中央部に集中する。転位が集中した部分では、結晶面が微妙に凸凹になる(以下、サブグレインバウンダリーと呼ぶ)が形成される。サブグレインバウンダリーの発生した結晶を加工してレンズやプリズム等の光学素子を製造し、それを投影露光装置等の光学機器の光学系に用いた場合、その解像力が劣化するという問題がある。特に、紫外光や真空紫外光を用いた光リソグラフィー用投影露光装置の場合には、極めて高い光学性能が要求されるため、わずかなサブバウンダリーの存在による解像力劣化が、高集積度の回路パターンの高精度な結像に深刻な影響を与えるという問題がある。
【0015】
これに対して、固液界面が凸面形状になっている場合には、転位は結晶の成長と共に外周部に向って伝播するため、インゴットの中央に集中することはなく、サブグレインバウンダリーは発生し難いと考えられていた。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、固液界面が凸面形状となるように温度勾配を制御しても、サブグレインバウンダリーが発生する確率は相当高いという問題がある。
【0017】
本発明は、かかる問題点を解決し、サブグレインバウンダリーのない高品質な単結晶を安定して製造することが可能なフッ化物結晶製造装置を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意研究の結果、ルツボ下端の円錐形部分の熱的条件が、結晶の品質に大きく影響することを解明した。その理由として考えられることを以下に記す。
【0019】
融液が結晶化する際には結晶化熱が発生する。結晶成長がルツボの下端から開始し、円錐形部分の結晶化が進行している段階(即ち、結晶育成の初期段階)では、結晶の水平断面積は時間と共に増加するので、単位時間あたりの結晶化量は時間と共に増加する。従って、この段階では、結晶化熱は時間と共に増加する。これとは別に、固液界面は時間と共に冷却棒先端部分から離れていくので、冷却棒からの放熱量も時間と共に変化する。これらの理由により、固液界面の温度分布に変動が起こる。既に記載した通り、固液界面の温度分布はルツボの中央部が周辺部に比べてゆるやかに高くなるような上凸形状に調整されているが、上記のような固液界面の温度分布に変動が起こると、上凸形状に微小な乱れが発生する。そのために、このような部分では転位が発生し易くなり、サブバウンダリーの発生に繋がることがわかった。
【0020】
この問題を解決するために、本発明では、ルツボ下部円錐形部分の熱的条件の変化を抑えるための円筒状部材をルツボ下部の円錐形部分の近傍、または、それに接して配置することを特徴とする。
【0021】
従って、本発明は第1に、上部が円筒形で下部が円錐形のルツボを加熱してルツボ内の原料を熔融し、ルツボの下部から上部に向けて徐々に結晶化させることで、フッ化物単結晶を製造するためのフッ化物結晶育成装置において、ルツボ下部の円錐形部分を囲んで、円筒形支持部材を配置し、ルツボの円筒形部分の下部を円筒形支持部材で支持することを特徴とする。
【0022】
また、本発明は第2に、請求項1に記載のフッ化物結晶育成装置において、円筒形支持部材の直径は、ルツボの円筒形部分の直径とほぼ等しく、円筒形支持部材とルツボの円筒形部分は面で接触することを特徴とする。
【0023】
また、本発明は第3に、請求項1及び2に記載のフッ化物結晶育成装置において、円筒形支持部材の材質は、ルツボと同じ材料であることを特徴とする。
また、本発明は第4に、請求項3に記載のフッ化物結晶育成装置において、円筒形支持部材の材質は黒鉛であることを特徴とする。
【0024】
また、本発明は第5に、請求項1に記載のフッ化物結晶育成装置において、円筒形支持部材の内側には、少なくとも1個以上の円板状部材が水平に配置され、円板状部材は中心部に円形の開口部があり、開口部はルツボ下部の円錐形部に接するかまたは接近し、かつ、円板状部材の外周は円筒形支持部材の内周に接するかまたは接近して配置されることを特徴とする。
【0025】
また、本発明は第6に、請求項5に記載のフッ化物結晶育成装置において、円板状部材の外周部はリング状部材により支持されることを特徴とする。
また、本発明は第7に、請求項5に記載のフッ化物結晶育成装置において、円板状部材の材質は黒鉛であることを特徴とする。
【0026】
また、本発明は第8に、請求項6に記載のフッ化物結晶育成装置において、リング状部材の材質は黒鉛であることを特徴とする。
また、本発明は第9に、請求項1に記載のフッ化物結晶育成装置において、円筒形支持部材の材質は、金属、セラミックス、セラミックス複合体のうちのいずれかであることを特徴とする。
【0027】
また、本発明は第10に、請求項5に記載のフッ化物結晶育成装置において、円板状部材の材質は、金属、セラミックス、セラミックス複合体、繊維系断熱材のうちのいずれかであることを特徴とする。
【0028】
また、本発明は第11に、請求項6に記載のフッ化物結晶育成装置において、リング状部材の材質は、金属、セラミックス、セラミックス複合体、繊維系断熱材のうちのいずれかであることを特徴とする。
【0029】
また、本発明は第12に、請求項9〜11に記載の結晶育成装置において、金属は、モリブデン、白金のうちのいずれか1種であることを特徴とする。
また、本発明は第13に、請求項9〜11に記載の結晶育成装置において、セラミックスは、SiC、Siのうちのいずれか1種であることを特徴とする。
【0030】
また、本発明は第14に、請求項9〜11に記載の結晶育成装置において、セラミックス複合体は、BN、SiC、Siのうちのいずれか2種類または3種類の焼結体であることを特徴とする。
【0031】
また、本発明は第15に、請求項10〜11に記載の結晶育成装置において、繊維系断熱材は炭素繊維系断熱材であることを特徴とする。
なお、円筒状支持部材の内側に配置する部材としては、円板状部材でなくとも同様の効果が得られる。例えば、1個以上の筒状の部材を円筒状支持部材と同心となるように円筒状支持部材の底部に固定し、その際、筒状の部材の上端部は、ルツボ下部の円錐形部に接するかまたは接近させて配置する構造でも構わない。また、複数の柱状の部材を円筒状支持部材の底部に固定し、その際、筒状の部材の上端部は、ルツボ下部の円錐形部に接するかまたは接近させて配置する構造でも構わない。
【0032】
【発明の実施の形態】
【0033】
【実施例1】
本発明における結晶育成にはブリッジマン法を用いる。以下、ブリッジマン法によるフッ化カルシウム単結晶の育成方法について説明する。図6は、フッ化カルシウム単結晶の育成過程を示した概念図である。
【0034】
原料は化学合成により製造された高純度フッ化カルシウム粉末を使用する。まず、以下の手順により粉末原料から半熔融品を得る。
熔融装置の中に上記高純度粉末原料を充填した黒鉛製のルツボを積み重ねて配置する。粉末原料には粉末状のフッ素化剤を予め添加してある。フッ素化剤としてはフッ化鉛を用いるが、四フッ化エチレン樹脂等のフッ素系高分子材料を用いると、より純度の高い半熔融品が得られ、それにより、最終的により不純物の少ない単結晶が得られることが期待できる。
【0035】
次に、熔融装置内を10−3〜10−4Paの真空雰囲気とし、その状態を維持しながら熔融装置内の温度を原料の融点以上(1370℃〜1450℃)まで昇温させて粉末原料を熔融させた後、室温付近まで降温する。この際、熔融装置内の温度制御はPID制御により正確に行なうことが望ましい。次に、黒鉛製ルツボから半熔融品を取り出す。
【0036】
このようにして得られた半熔融品を、先端部が円錐形をした直径φ300mmのペンシル型の結晶育成用黒鉛製ルツボに入れて結晶育成炉内の高温側領域(結晶育成炉の上部)にセットする。結晶育成用ルツボ下部の円錐形部分は、ルツボと同じ材質(即ち、黒鉛製)で、ルツボの円筒部とほぼ等しい直径の円筒形支持部材によって支持されている。この様子を図1に示す。図1で、101はルツボ、102は円筒形支持部材、103は引き下げ棒である。
【0037】
次に、結晶育成炉内の高温側の温度を原料の融点以上(1370℃〜1450℃)まで昇温させ、ルツボ内の半熔融品を熔融させる。熔融状態で温度が安定した後、更に6〜24時間程度維持する。その際、結晶育成炉内の低温側は原料の融点より低い温度となるように制御しておく。
【0038】
次に、0.1 〜5mm/h 程度の速度でルツボを引き下げて、結晶育成炉内の下部の低温側に降下させる。ルツボの引き下げに応じて、ルツボ先端部から起った結晶化がゆっくりとルツボ上方に伝播する。結晶化が融液の最上部まで終了したところで結晶育成は完了する。
【0039】
ルツボが所定の位置まで降下した時点で、結晶育成炉内が800〜1100℃程度になるようにヒータを制御し、その温度で12〜120時間程度維持して、インゴットをアニールし応力を緩和する。その後、結晶育成炉内における温度降下速度が50℃/h以内となるようにヒータを制御して室温付近まで温度を降下させた後、育成したフッ化カルシウム単結晶を取り出す。
【0040】
次に、インゴットが単結晶かどうかを評価する評価方法について説明する。インゴット先端の円錐形部分(コーン部と称する)と、その反対側の端面部分(トップ部と称する)を30mm程度の厚さに切断して、結晶面方位測定用のテストピースとする。これらのテストピースの結晶面方位測定をラウエ法にて行ない、インゴットの結晶面方位を特定する。
【0041】
結晶面方位の評価方法には、X線による方法、機械的方法、光学的方法等がある。これらの中でX線による方法は、短時間で高精度に、しかも非破壊で測定することができる。X線による方法の中でも、特にラウエ法は本発明に適している。
【0042】
コーン部とトップ部において、それぞれの全面において結晶面方位が一様であること、及びこれらの両者の結晶面方位が一致していることで、インゴットが単結晶であるかどうかを判断できる。
【0043】
上記方法により複数のインゴットを製造し評価を行ない、単結晶が得られた確率を求めた。その結果は、表1に示した通り92%であり、高い確率で高品質な単結晶が得られることがわかった。
【0044】
【表1】
Figure 2005035824
【0045】
なお、円筒形支持部材の材質を、モリブデン、白金をはじめとする種々の金属材料に変更してインゴットを製造し、同様の評価を行なったが単結晶の得られる確率はほぼ同等であった。
【0046】
また、円筒形支持部材の材質を、SiC、Siをはじめとする種々のセラミックス材料に変更してインゴットを製造し、同様の評価を行なったが単結晶の得られる確率はほぼ同等であった。上記セラミックス材料から作製した円筒形支持部材の表面に、BNにより被覆を行ったものを用いてインゴットを製造し、同様の評価を行なったが単結晶の得られる確率はほぼ同等であった。
【0047】
また、円筒形支持部材の材質を、BN、SiC、Siのうちのいずれか2種類または3種類の焼結体としたものを順番に順次変更してインゴットを製造し、同様の評価を行なったが単結晶の得られる確率はほぼ同等であった。
【0048】
【実施例2】
実施例1で用いた円筒形支持部材に加えて、中心部に円形の開口部のある黒鉛製の円板状部材3個を準備した。それぞれの円板状部材は、その中心部に開口部を有し、それぞれの開口部はルツボ下部の円錐形部分に接するような大きさに作製されている。また、外周は円筒形支持部材の内周に接するよう、互いに平行に水平に設置されている。この様子を図2に示す。図2で、104は円板状部材である。
【0049】
結晶育成の条件、及びインゴットの評価方法に関しては、実施例1と同様に行なう。
上記方法により複数のインゴットを製造し評価を行ない、単結晶が得られた確率を求めた。その結果は、表1に示した通り95%であり、更に高い確率で高品質な単結晶が得られることがわかった。
【0050】
なお、本実施例では、円板状部材の個数は3個としたが、1〜5個程度で適宜選択すればよく、それより多数でも構わない。
また、円板状部材の材質を、モリブデン、白金をはじめとする種々の金属材料に変更し、実施例1に示した種々の材質の円筒形支持部材と組み合わせてインゴットを製造し、同様の評価を行なったが単結晶の得られる確率はほぼ同等であった。上記セラミックス材料から作製した円板状部材の表面に、BNにより被覆を行ったものを用いてインゴットを製造し、同様の評価を行なったが単結晶の得られる確率はほぼ同等であった。
【0051】
また、円板状部材の材質を、SiC、Siをはじめとする種々のセラミックス材料に変更し、実施例1に示した種々の材質の円筒形支持部材と組み合わせてインゴットを製造し、同様の評価を行なったが単結晶の得られる確率はほぼ同等であった。
【0052】
また、円板状部材の材質を、BN、SiC、Siのうちのいずれか2種類または3種類の焼結体としたものを順番に順次変更してインゴットを製造し、同様の評価を行なったが単結晶の得られる確率はほぼ同等であった。
【0053】
更に、図3に示したように、円板状部材の外周部をリング状部材により支持すること構造とすることで、円板状部材をより容易にセットできる。図3にこの構造を示す。図3で、105は円板状部材である。円板状部材の材質については、黒鉛が望ましく、金属、セラミックス、セラミックス複合材も可能である。また、セラミックス表面にはBNで被覆したものも可能である。
【0054】
【比較例1】
円筒状部材でルツボを支持せずに、ルツボ下部の円錐形部分全面を支持した以外は、実施例1と同様の結晶育成の条件、及び評価方法でフッ化カルシウムインゴットを製造し評価を行なった。その結果、単結晶の得られる確率は表1に示した通り8%であり、高品質な単結晶が得られる確率は極めて低いことがわかった。
【0055】
【比較例2】
ルツボを直接引き下げ棒により引き下げる構成とし、実施例1と同様の結晶育成の条件、及び評価方法でインゴットを製造し評価を行なった。その結果、単結晶の得られる確率は表1に示した通り5%であり、高品質な単結晶が得られる確率は更に低いことがわかった。
【0056】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明によれば、結晶欠陥やサブグレインバウンダリーのない高品質な単結晶を安定して製造することが可能なフッ化物結晶製造装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のフッ化物結晶製造装置の態様を示す概略図である。
【図2】本発明のフッ化物結晶製造装置の別の態様を示す概略図である。
【図3】本発明のフッ化物結晶製造装置の更に別の態様を示す概略図である。
【図4】ブリッジマン法によるフッ化カルシウム単結晶の育成装置の概念図である。
【図5】温度勾配をより大きくする方法を説明する概念図である。
【図6】フッ化カルシウム単結晶の育成過程を示した概念図である。
【符号の説明】
101・・・ルツボ
102・・・円筒形支持部材
103・・・引き下げ棒
104・・・円板状部材
105・・・リング状部材

Claims (15)

  1. 上部が円筒形で下部が円錐形のルツボを加熱して前記ルツボ内の原料を熔融し、前記ルツボの下部から上部に向けて徐々に結晶化させることで、フッ化物単結晶を製造するためのフッ化物結晶育成装置において、
    前記ルツボ下部の円錐形部分を囲んで、円筒形支持部材を配置し、前記ルツボの円筒形部分の下部を前記円筒形支持部材で支持することを特徴とするフッ化物結晶育成装置。
  2. 請求項1に記載のフッ化物結晶育成装置において、
    前記円筒形支持部材の直径は、前記ルツボの円筒形部分の直径とほぼ等しく、前記円筒形支持部材と前記ルツボの円筒形部分は面で接触することを特徴とするフッ化物結晶育成装置。
  3. 請求項1及び2に記載のフッ化物結晶育成装置において、
    前記円筒形支持部材の材質は、前記ルツボと同じ材料であることを特徴とするフッ化物結晶育成装置。
  4. 請求項3に記載のフッ化物結晶育成装置において、
    前記円筒形支持部材の材質は黒鉛であることを特徴とするフッ化物結晶育成装置。
  5. 請求項1に記載のフッ化物結晶育成装置において、
    前記円筒形支持部材の内側には、少なくとも1個以上の円板状部材が水平に配置され、前記円板状部材は中心部に円形の開口部があり、前記開口部は前記ルツボ下部の円錐形部に接するかまたは接近し、かつ、前記円板状部材の外周は前記円筒形支持部材の内周に接するかまたは接近して配置されることを特徴とするフッ化物結晶育成装置。
  6. 請求項5に記載のフッ化物結晶育成装置において、
    前記円板状部材の外周部はリング状部材により支持されることを特徴とするフッ化物結晶育成装置。
  7. 請求項5に記載のフッ化物結晶育成装置において、
    前記円板状部材の材質は黒鉛であることを特徴とするフッ化物結晶育成装置。
  8. 請求項6に記載のフッ化物結晶育成装置において、
    前記リング状部材の材質は黒鉛であることを特徴とするフッ化物結晶育成装置。
  9. 請求項1に記載のフッ化物結晶育成装置において、
    前記円筒形支持部材の材質は、金属、セラミックス、セラミックス複合体のうちのいずれかであることを特徴とするフッ化物結晶育成装置。
  10. 請求項5に記載のフッ化物結晶育成装置において、
    前記円板状部材の材質は、金属、セラミックス、セラミックス複合体、繊維系断熱材のうちのいずれかであることを特徴とするフッ化物結晶育成装置。
  11. 請求項6に記載のフッ化物結晶育成装置において、
    前記リング状部材の材質は、金属、セラミックス、セラミックス複合体、繊維系断熱材のうちのいずれかであることを特徴とするフッ化物結晶育成装置。
  12. 請求項9〜11に記載の結晶育成装置において、
    前記金属は、モリブデン、白金のうちのいずれか1種であることを特徴とする結晶育成装置。
  13. 請求項9〜11に記載の結晶育成装置において、
    前記セラミックスは、SiC、Siのうちのいずれか1種であることを特徴とする結晶育成装置。
  14. 請求項9〜11に記載の結晶育成装置において、
    前記セラミックス複合体は、BN、SiC、Siのうちのいずれか2種類または3種類の焼結体であることを特徴とする結晶育成装置。
  15. 請求項10〜11に記載の結晶育成装置において、
    前記繊維系断熱材は炭素繊維系断熱材であることを特徴とする結晶育成装置。
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