JP2004067452A - 単結晶の引き上げ条件の設計方法 - Google Patents

単結晶の引き上げ条件の設計方法 Download PDF

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森 達生
Izumi Fusegawa
布施川 泉
Ryoji Hoshi
星 亮二
Susumu Sonokawa
園川 将
Tomohiko Ota
太田 友彦
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Abstract

【課題】チョクラルスキー法で単結晶を製造する際に、単結晶引き上げ中に育成単結晶の成長界面以外で発生する固化が発生しにくい引き上げ条件を、効率的かつ確実に設計する方法を提供する。
【解決手段】チョクラルスキー法によって原料融液を収容したルツボより単結晶を育成する際の、単結晶の引き上げ条件の設計方法であって、総合伝熱解析により得られた、育成する単結晶の外周面からルツボ内壁までの融液内の温度差ΔT(K)を、育成する単結晶の外周面からルツボ内壁までの融液表面での水平方向の距離L(cm)で割った、平均融液内温度勾配G(K/cm)を求め、該平均融液内温度勾配Gと、単結晶引き上げ中に育成単結晶の成長界面以外で発生する固化の発生率との関係から、引き上げ条件を設定することを特徴とする単結晶の引き上げ条件の設計方法。
【選択図】    なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、チョクラルスキー法により原料融液を収容したルツボより単結晶を育成する際の、単結晶の引き上げ条件の設計方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
チョクラルスキー法(CZ法)により単結晶を製造する際には、例えば図4に示すような単結晶製造装置を用いて、製造される。この単結晶製造装置は、例えばシリコンのような原料多結晶を溶融するための部材や、単結晶化したシリコンを引き上げる機構などを有しており、これらは、メインチャンバー1内に収容されている。メインチャンバー1の天井部からは上に伸びる引き上げチャンバー10が連接されており、この上部に単結晶2を引上げる機構(不図示)が設けられている。
【0003】
メインチャンバー1内には、溶融された原料融液3を収容する石英ルツボ4とその石英ルツボ4を支持する黒鉛ルツボ5が設けられ、これらのルツボ4、5は駆動機構(不図示)によって回転昇降自在に支持されている。このルツボ4、5の駆動機構は、単結晶2の引き上げに伴う融液3の液面低下を補償すべく、ルツボ4、5を液面低下分だけ上昇させるようにしている。
【0004】
そして、ルツボ4、5を取り囲むように、原料を溶融させる加熱ヒーター6が配置されている。この加熱ヒーター6の外側には、加熱ヒーター6からの熱がメインチャンバー1に直接輻射されるのを防止するために、断熱部材7がその周囲を取り囲むように設けられている。
【0005】
また、メインチャンバー1の内部には、引き上げチャンバー(不図示)の上部に設けられたガス導入口からアルゴンガス等の不活性ガスが導入される。導入された不活性ガスは、引き上げ中の単結晶2と整流筒8との間を通過し、整流筒8の下部と融液面9との間を通過し、メインチャンバー下部に設けられたガス流出口から排出される。
【0006】
上記のような単結晶製造装置を用いて単結晶を製造する際に、引き上げ中の結晶が、スリップ等の発生によって有転位化することがある。この有転位化が多発し、単結晶成長の成功する確率が低くなった場合、操業時間が長びき、生産性が低下する問題がある。このような生産性の低下を招く有転位化発生の原因の一つとして、過冷却原料融液中に発生した育成単結晶の成長界面以外の固化物が結晶成長界面へ付着することが挙げられる。また、シリコン酸化物やカーボン等の固体粒子が結晶成長界面に付着することも有転位化発生の原因として挙げられる。
【0007】
単結晶の引き上げ中に発生する育成単結晶の成長界面以外の固化は、上記のように育成単結晶の成長界面に付着し結晶中に転位を誘発するのみならず、融液中で、主としてルツボ内壁から固化領域が拡大してゆき、ついには育成単結晶とルツボを連結してしまうなどして、正常な引き上げを阻害する原因となる。この育成単結晶とルツボの連結により、単結晶が落下し、引き上げ装置を損傷するおそれもある。
【0008】
特に近年では、育成する単結晶が大口径化しており、そのため、単結晶の引き上げ炉が大型化し、単結晶引き上げ中に発生する育成単結晶の成長界面以外の固化の発生が、従来の小型炉に比べて顕著になってきている。
【0009】
従来は、このような固化問題に対して、単結晶の引き上げ速度や炉内構造などの引き上げ条件を実験で試行錯誤的に調節して、固化の発生しにくい引き上げ条件を設定し、その引き上げ条件で操業を行うことにより解決を図ってきた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、固化が発生しにくい最適な引き上げ条件を設計するために、従来のように引き上げ条件を試行錯誤的に調節して、最終的に最適な引き上げ条件を設定することは、多くの試行実験を行う必要があるため、高いコスト及び長い時間を必要とする問題がある。さらに、このような試行実験には、多大なコスト及び時間が消費されるため、その実験回数には制限があり、また実験により見出した引上げ条件が、最適なものになるとは限らない。
【0011】
特に、最近では育成する単結晶の大口径化が求められており、それに伴い単位実験あたりのコストが飛躍的に上昇している事から、試行実験回数の増加はコスト低減などの観点から、好ましくない。
【0012】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたもので、チョクラルスキー法で単結晶を製造する際に、単結晶引き上げ中に育成単結晶の成長界面以外で発生する固化が発生しにくい引き上げ条件を、効率的かつ確実に設計する方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、チョクラルスキー法によって原料融液を収容したルツボより単結晶を育成する際の、単結晶の引き上げ条件の設計方法であって、総合伝熱解析により得られた、育成する単結晶の外周面からルツボ内壁までの融液内の温度差ΔT(K)を、育成する単結晶の外周面からルツボ内壁までの融液表面での水平方向の距離L(cm)で割った、平均融液内温度勾配G(K/cm)を求め、該平均融液内温度勾配Gと、単結晶引き上げ中に育成単結晶の成長界面以外で発生する固化の発生率との関係から、引き上げ条件を設定することを特徴とする単結晶の引き上げ条件の設計方法である(請求項1)。
【0014】
このように、総合伝熱解析により得られた、育成する単結晶の外周面からルツボ内壁までの融液内の温度差ΔT(K)を、育成する単結晶の外周面からルツボ内壁までの融液表面での水平方向の距離L(cm)で割った、平均融液内温度勾配G(K/cm)を求め、該平均融液内温度勾配Gと、単結晶引き上げ中に育成単結晶の成長界面以外で発生する固化の発生率との関係から、引き上げ条件を設定することで、先ず、総合伝熱解析により平均融液内温度勾配Gを求めるために、従来は予想の域を出なかった平均融液内温度勾配Gの値が定量的で信頼できるものとなり、次に、その平均融液内温度勾配Gを指標として、固化の発生しない最適な単結晶の引き上げ条件を設定するため、単結晶の引き上げ条件の設計を、従来に比べて効率良く、かつ確実に固化の発生しない条件とすることができる。その結果、最適な単結晶の引き上げ条件を探索するための開発期間が大幅に短縮され、開発にかかるコストが低減される。
【0015】
この場合、前記平均融液内温度勾配G(K/cm)を、2.1≦Gの範囲となるように引き上げ条件を設定するのが好ましい(請求項2)。
【0016】
このように、平均融液内温度勾配G(K/cm)を、2.1≦Gの範囲となるように引き上げ条件を設定することで、単結晶引き上げ中に育成単結晶の成長界面以外で発生する固化の発生率を10%以下にすることができる。
【0017】
この場合、前記設計する引き上げ条件を、引き上げ速度SE(mm/min)及び/又は炉内構造とするのが好ましい(請求項3)。
【0018】
このように、設計する引き上げ条件を、引き上げ速度SE(mm/min)及び/又は炉内構造とすることで、平均融液内温度勾配Gを、簡単かつ確実に所望の範囲に調節することができる。
【0019】
この場合、引き上げ速度をSE(mm/min)とし、固液界面における結晶成長軸方向の結晶側温度勾配をg(K/mm)とした時に、さらにSE/g(mm/K・min)が所定範囲内となるように引き上げ条件を設定するのが好ましい(請求項4)。
【0020】
このように、さらにSE/g(mm/K・min)が所定範囲内となるように引き上げ条件を設定することで、単結晶引き上げ中に育成単結晶の成長界面以外で発生する固化の発生率を制御するとともに、育成単結晶の品質を所望品質に制御できる引き上げ条件を確実に設計することができる。
【0021】
そして、本発明の設計方法は、近年ますます大直径化が進み、用いるルツボの口径も大幅に大きくなっているために、固化が一層発生し易く問題となっているシリコン単結晶の引き上げ条件を設計するのに有効である(請求項5)。
【0022】
さらに本発明によれば、前記方法で設計された引き上げ条件で単結晶の引き上げを行う単結晶の製造方法が提供される(請求項6)。
【0023】
このように本発明により、例えば育成単結晶の成長界面以外で発生する固化の発生率が低くなるように引き上げ条件を設計して単結晶を製造することで、固化が多発した時に問題となる、固化物が育成単結晶に付着し結晶中に転位を誘発することを防ぐことができる他、固化により育成単結晶とルツボが連結して正常な引き上げを阻害されるというようなことを防ぐことができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
CZ法で例えばシリコンのような単結晶を製造する際に、単結晶引き上げ中に育成単結晶の成長界面以外で発生する固化を抑制するためには、引き上げ条件を調整して、原料融液の温度を充分に高温に保持し、融液内の過冷却度の大きい領域を縮小させればよい。そこで本発明では、このような固化の発生を抑制するのに最適な引き上げ条件を探索する定量的な指標として、総合伝熱解析によって得られる平均融液内温度勾配Gに着目した。
【0025】
この平均融液内温度勾配Gは、実験条件をとり込んだ総合伝熱解析によって得られた、育成する単結晶の外周面からルツボ内壁までの融液内の温度差ΔTを、育成する単結晶の外周面からルツボ内壁までの結晶表面での水平方向の距離Lで割る事によって得ることができる(G=ΔT/L)(図5参照)。
【0026】
このようにして求めた平均融液内温度勾配Gと固化発生率との相関を調べてみると図1のようになる。ここで「固化発生率」とは、単結晶の引き上げ実験回数のうち、育成する単結晶の成長界面以外で固化が発生した実験回数の割合を示す。図1から明らかなように、固化発生率は、平均融液内温度勾配Gの増大に連れて減少し、G=2.1[K/cm]で約10%となることがわかる。すなわち、固化発生率を10%程度以下に抑えるためには、G≧2.1[K/cm]の範囲とすることが有効である。一方、ルツボの最高使用温度を、純粋なシリカガラスの融点1726℃とし、シリコンの融点を1412℃とすると、平均融液内温度勾配Gの最大値は(1726―1412)/Lで表される。すなわち、G<314/L[K/cm]の範囲となる。
【0027】
この平均融液内温度勾配Gは、炉内構造、引き上げ速度SEといった引き上げ条件を調整することで調節できる。
先ず、平均融液内温度勾配Gの調節は、熱遮蔽物、整流筒等の形状又は配置など、炉内構造を変えることにより行う。例えば、図4の単結晶製造装置を用いた場合、整流筒8の下端と融液面9との距離L2を調整することで、平均融液内温度勾配Gを調節することができる。この場合、整流筒8を融液面9に近づけると、融液面の温度を高温に保つことができ、従って平均融液内温度勾配Gを大きいものとすることができる。整流筒を融液面より遠ざけると逆の結果となる。このように炉内構造を変え、繰り返し総合伝熱解析を行うことで、平均融液内温度勾配Gの大きな炉内構造を絞り込む。ところで、平均融液内温度勾配Gの下限値は、原料融液をシリコンとした場合、添加するドーパント、例えばボロンの量を調整することにより変化し、メルト中のボロン濃度を高濃度とすることで、上昇する傾向がある。
【0028】
その後、このように絞り込んだ炉内構造等で、引き上げ速度SEを変えて実験を行ない、最も操業性に優れた引き上げ条件へと微調整を行なう。尚、製造する単結晶の生産性を向上させるためには、引き上げ速度SEの高速化が有効である。しかし、一般に高速な引き上げ速度SEにおいては、原料融液の温度が急激に下がり、従って平均融液内温度勾配Gが小さくなり、育成単結晶の成長界面以外での固化が発生しやすい条件となる。そこで、固化が発生しにくい最大引き上げ速度を、操業上許容できる範囲である固化発生率が約10%以下となるG=2.1[K/cm]である時の引き上げ速度SEとして予測した。
【0029】
さらに、上記のようにG≧2.1[K/cm]の範囲にすることに加えて、SE/g(mm/K・min,g:固液界面における結晶成長軸方向の結晶側温度勾配)が所定範囲内となるように引き上げ条件を設定することで、単結晶引き上げ中に育成単結晶の成長界面以外で固化が発生するのを抑制し、かつ育成単結晶中の欠陥を制御して単結晶を製造することができる。例えば、SE/g(mm/K・min)>0.23mm/K・minの範囲として単結晶を引き上げた場合、空孔欠陥が優勢である品質の単結晶を製造することができる。
【0030】
本発明では原料融液内の温度測定を総合伝熱解析で代用している。これにより、実験では測定が困難な製造中の炉内の温度が、総合伝熱解析では容易に把握できる。その結果、従来は予想の域を出なかった平均融液内温度勾配Gなどの値が定量的になり、また、信頼できるものとなった。
【0031】
また従来は、固化発生率の低い引き上げ条件を実験で探索する際に、定量的な指標がなかったため、探索する単結晶の引き上げ条件の範囲が広く、そのため実験の回数が多くなってしまっていた。それに対し、本発明では、定量的な指標として平均融液内温度勾配Gを採用し、引き上げ条件をある程度絞り込んだ後で実験により微調整することとすれば、実験の回数を減少させることができる。したがって、引き上げ条件の開発期間を大幅に短縮させ、実験コストを低減させることができる。尚、最近では育成する単結晶の大口径化が求められており、それに伴い単位実験あたりのコストが飛躍的に上昇している事から、実験回数を減少させることができる本発明は、特に有効である。
【0032】
さらに、CZ法により単結晶を製造する際に、上記のように設計された、育成単結晶の成長界面以外で固化が発生しにくい引き上げ条件で単結晶を製造することで、固化物が育成単結晶に付着し結晶中に転位を誘発することを防ぐことができ生産性を向上できる他、固化領域の拡大により育成単結晶とルツボが連結して正常な引き上げを阻害したりすることを防ぐことができる。
【0033】
【実施例】
以下、実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
CZ法によりシリコン単結晶を製造する際の、単結晶引き上げ中に単結晶の成長界面以外で固化の発生を充分に抑制するのに必要な平均融液内温度勾配Gの下限値(2.1K/cm)をもとに、結晶直径が300mmである大口径のシリコン単結晶を製造する際の引き上げ条件の設定を試みた。
【0034】
(総合伝熱解析)
図4に示した単結晶製造装置のホットゾーン(HZ)について、総合伝熱解析ソフト「ITCM」(例えば、D.E.Bornside, T.A.Kinney, R.A.Brown and G.Kim, International Journal for Numerical Methods in Engineering, vol.30, pp133, 1990参照)を用いてシリコン単結晶を引き上げる場合につきシミュレーションを行い、育成単結晶の外周面からルツボ内壁までの融液内の温度差ΔT(K)を求め、これを育成単結晶の外周面からルツボ内壁までの距離Lで割って、平均融液内温度勾配Gを算出した。
【0035】
上記総合伝熱解析で求められる計算結果は、計算で使用する物性値に大きく依存する。本発明の実施例において、育成する単結晶の外周面からルツボ内壁までの融液内の温度差ΔT(K)を求めるために用いた物性値を下記表1に示す。ここで、融液の対流による伝熱効果は融液の有効熱伝導率の値に考慮して計算している。
【0036】
【表1】
Figure 2004067452
【0037】
(炉内構造の設計)
図4に示した単結晶製造装置を用いて整流筒下端と融液面との距離L2を、70mm(HZ1)と30mm(HZ2)に調整して、同じ速度で結晶を育成した時に平均融液内温度勾配Gが異なる2つの炉内構造を設定した。
【0038】
(実施例1)
上記設計した炉内構造HZ1で、引き上げ速度SEの設定を変えて上記総合伝熱解析を実施し、平均融液内温度勾配Gを算出したところ、図2に示すようなプロットを得た。図2のプロットより、平均融液内温度勾配G=2.1とするには、引上げ速度SEを0.60mm/minとすればよいことが判明した。そこで、引き上げ速度を、0.60mm/minに設定して、引き上げ実験を行ったところ固化発生率を約10%とすることが出来た。さらに、引き上げ速度SE=0.65mm/minとして引き上げ実験を行ったところ、固化発生率が高くなったが、SE=0.55mm/minとすると固化がほとんど発生しないことが確認された。
【0039】
さらに、同じ炉内構造HZ1で育成する単結晶を、充分に空孔欠陥優勢にするために、引き上げ条件をSE/g>0.23mm/K・minの範囲に設定することとした。そのために、引き上げ速度SEの設定を変えて総合伝熱解析を実施し、平均融液内温度勾配Gと固液界面における結晶成長軸方向の結晶側温度勾配gとを算出して、図3に示すようなプロットを得た。固化抑制の条件G≧2.1[K/cm]と、育成する単結晶を充分に空孔欠陥優勢にするための条件SE/g>0.23[mm/K・min]のいずれの条件も満たす引き上げ条件は、図3より1点存在する事がわかった。この引き上げ条件を満足する引き上げ速度SEは、0.6mm/minとなる。この引き上げ速度SEで引き上げ実験を行ったところ、固化発生率を10%にすることができた上に、所望の空孔欠陥が優勢である単結晶を得ることができた。
【0040】
(実施例2)
上記設計した炉内構造HZ2で、引き上げ速度SEの設定を変えて上記総合伝熱解析を実施し、平均融液内温度勾配Gを算出したところ、図2に示すようなプロットを得た。図2のプロットより、平均融液内温度勾配G=2.1とするには、引上げ速度SEを1.00mm/minとすればよいことが判明した。そこで、引き上げ速度を、1.00mm/minに設定して、引き上げ実験を行ったところ固化発生率を約10%とすることが出来た。さらに、引き上げ速度SE=1.05mm/minとして引き上げ実験を行ったところ、固化発生率が高くなったが、SE=0.95mm/minとすると固化がほとんど発生しないことが確認された。
【0041】
さらに、同じ炉内構造HZ2で育成する単結晶を、充分に空孔欠陥優勢にするために、引き上げ条件をSE/g>0.23mm/K・minの範囲に設定することとした。そのために、引き上げ速度SEの設定を変えて総合伝熱解析を実施し、平均融液内温度勾配Gと固液界面における結晶成長軸方向の結晶側温度勾配gを算出して、図3に示すようなプロットを得た。固化抑制の条件G≧2.1[K/cm]と、育成する単結晶を充分に空孔欠陥優勢にするための条件SE/g>0.23[mm/K・min]のいずれの条件も満たす引き上げ条件は、図3より3点存在する事がわかった。この引き上げ条件を満足する引き上げ速度SEは、0.8≦SE≦1.0mm/minの範囲となる。この範囲の引き上げ速度SEで引き上げ実験を行ったところ、固化発生率を10%以下にすることができた上に、所望の空孔欠陥が優勢である単結晶を得ることができた。
【0042】
尚、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0043】
例えば、本発明の実施例では総合伝熱解析ソフトとしてITCMを用いているが、総合伝熱解析ソフト「FEMAG」(例えば、F.Dupret,P.Nicodeme,Y.Ryckmans,P.Wouters,and M.J.Crochet,Int.J.Heat Mass Transfer,33,1849(1990)を参照)を用いて計算することもできる。
【0044】
また、本発明の実施例中の総合伝熱解析においては、融液内の対流伝熱の効果を融液の有効熱伝導率の値に考慮して計算したが、融液の対流を直接計算して平均融液内温度勾配を算出しても良い。この場合、融液内対流の計算には注意を要する。例えば、融液内対流の計算に乱流モデルを用いる場合においては適用する乱流モデルによって算出される平均融液内温度勾配に大きな差が生じることがある。融液内対流を計算する場合、このような問題を回避するため本発明の実施には常に同じ融液内対流の乱流モデルを用いることが好ましい。
一方、本発明の実施例で使用した融液内対流を直接に計算しない総合伝熱解析は上記のような不確定性の問題がほとんどなく、また計算時間も短い利点を有する。
【0045】
また、上記では平均融液内温度勾配Gを2.1K/cm以上とすることを目処としたが、固化発生より結晶品質の方が優先される場合等の事情により、Gの設定値は変更して設計できることは言うまでもない。
【0046】
さらに、設計する引き上げ条件も、引き上げ速度、炉内構造に限られるものではない。平均融液内温度勾配Gに影響を及ぼす因子であれば、いずれの条件であっても設定することができる。例えば、ルツボ回転数、結晶回転数、炉内ガス流量等が挙げられる。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、CZ法で単結晶を製造する際の、単結晶引き上げ中に固化の発生しにくい最適な引き上げ条件の設計を、総合伝熱解析により算出された平均融液内温度勾配Gを指標にして行うことで、効率的かつ確実に引き上げ条件を設計することができる。特に近年、製造する単結晶の結晶径が拡大してきていることにより、引き上げ炉が大型化し、その結果、頻発している育成単結晶の成長界面以外での固化の発生を有効に防止することができる引き上げ条件を簡単かつ確実に設計することができ、装置コストの低減に資することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】平均融液内温度勾配Gと固化発生率との相関を示したグラフである。
【図2】HZ1とHZ2での、平均融液内温度勾配Gと引き上げ速度SEの関係を示したグラフである。
【図3】HZ1とHZ2での、平均融液内温度勾配GとSE/gとの関係を示したグラフである。
【図4】単結晶の製造装置を示した概略図である。
【図5】原料融液内温度勾配Gを算出するための、ルツボと単結晶の距離Lを示した図である。
【符号の説明】
1…メインチャンバー、 2…単結晶、 3…原料融液、 4…石英ルツボ、5…黒鉛ルツボ、 6…加熱ヒーター、 7…断熱部材、 8…整流筒、 9…融液面、 10…引き上げチャンバー、 L2…整流筒の下端部とシリコン融液面との距離。

Claims (6)

  1. チョクラルスキー法によって原料融液を収容したルツボより単結晶を育成する際の、単結晶の引き上げ条件の設計方法であって、総合伝熱解析により得られた、育成する単結晶の外周面からルツボ内壁までの融液内の温度差ΔT(K)を、育成する単結晶の外周面からルツボ内壁までの融液表面での水平方向の距離L(cm)で割った、平均融液内温度勾配G(K/cm)を求め、該平均融液内温度勾配Gと、単結晶引き上げ中に育成単結晶の成長界面以外で発生する固化の発生率との関係から、引き上げ条件を設定することを特徴とする単結晶の引き上げ条件の設計方法。
  2. 前記平均融液内温度勾配G(K/cm)を、2.1≦Gの範囲となるように引き上げ条件を設定することを特徴とする請求項1に記載の単結晶の引き上げ条件の設計方法。
  3. 前記設計する引き上げ条件を、引き上げ速度SE(mm/min)及び/又は炉内構造とすることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の単結晶の引き上げ条件の設計方法。
  4. 引き上げ速度をSE(mm/min)とし、固液界面における結晶成長軸方向の結晶側温度勾配をg(K/mm)とした時に、さらにSE/g(mm/K・min)が所定範囲内となるように引き上げ条件を設定することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の単結晶の引き上げ条件の設計方法。
  5. 前記育成する単結晶をシリコンとすることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の単結晶の引き上げ条件の設計方法。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の方法で設計された引き上げ条件で、単結晶の引き上げを行うことを特徴とする単結晶の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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