JP6759020B2 - シリコン単結晶の製造方法及び改質処理後のシリコン単結晶製造用石英ルツボ - Google Patents

シリコン単結晶の製造方法及び改質処理後のシリコン単結晶製造用石英ルツボ Download PDF

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Description

本発明は、石英ルツボを改質して、単結晶化率の高いシリコン単結晶を製造する方法に関する。
チョクラルスキー法によるシリコン単結晶の育成においては、単結晶育成中に、原料であるシリコン融液を保持するために、石英ガラス製のルツボが用いられる。この方法では、黒鉛ルツボに内挿した石英ルツボに多結晶シリコン原料を充填し、ルツボをゆっくり回転させながら黒鉛ヒーターで黒鉛ルツボを加熱することで多結晶シリコン原料を溶融する。次に、多結晶シリコン原料を溶融した後、シリコン融液の表面温度をシリコンの融点である1420℃まで降温調整し、ワイヤーで吊り下げた種結晶をシリコン融液に浸漬し、馴染ませてから引き上げ、シリコン単結晶の育成を開始する。
近年、マルチプーリングによって、Φ300mm以上の大口径シリコン単結晶を製造する操業が主流になっている。このようないわゆるリチャージマルチ引き操業は、石英製のリチャージ管に、固形状多結晶シリコン原料を充填し、該多結晶シリコン原料をシリコン融液の固化面に投入することでリチャージを行いながら、1バッチで複数本のシリコン単結晶を引き上げる方法である。しかしながら、このリチャージマルチ引き操業では、従来のリチャージを行わない操業の操業日数が3日程度であったのに対し、1バッチの操業日数が10日を超えることもあり、操業時間がこれまでの2〜3倍にもなる。このように操業時間が長くなると、シリコン融液を保持する石英ルツボ内に存在する気泡や不純物が拡散して融液中に取り込まれ、単結晶中に偏析し、単結晶の品質に影響することがある。一方、操業の比較的早い段階、すなわち、1本目から2本目の引き上げ段階では、シリコン単結晶の直胴後半部に有転位化が頻繁に見られることが問題になっていた。シリコン単結晶に有転位化が起こると、転位が発生した部分を製品にできないため、シリコン単結晶を再溶融しなければならず、再溶融するにも時間がかかり、時間的なロスが大きく、予定する本数のシリコン単結晶が引き上げられないなど、操業性の悪化に繋がる。このため、リチャージマルチ引きによる操業性を高めるには、シリコン単結晶の有転位化をいかに抑えるかが課題となっている。
このようなシリコン単結晶の有転位化を防止するために、シリコン単結晶の引き上げに先立って、石英ルツボに改質処理を施すことが行われている。
例えば、特許文献1では、石英ルツボに多結晶シリコン原料を充填し、単結晶製造装置内においてヒーターにより、石英ルツボ融液面の位置より下方、具体的にはR部以下を、石英ルツボの仮想温度以上シリコンの融点未満の温度で3時間以上加熱して、劣化の激しい石英ルツボの円筒部内表面を改質した後、シリコン原料を溶融させ、シリコン単結晶を引き上げる、シリコン単結晶の製造方法が記載されている。
特許文献2では、シリコン単結晶の無転位化率を向上させるため、使用前の石英ルツボに対して、チョクラルスキー法による単結晶製造装置を用いて、不活性ガス雰囲気中で、石英ルツボの仮想温度以上1450℃以下の温度で3時間以上10時間以下、熱処理を行う、石英ルツボの改質方法が記載されている。
特許文献1及び2の方法では、石英ルツボ全体の内表面を改質することにより、シリコン単結晶の無転位化率を向上させている。ただし、特許文献1では、石英ルツボの改質温度が1350〜1415℃、特許文献2では、石英ルツボの改質温度が1450℃以下と低いので、石英ルツボの内表面を十分にかつ効率的に改質することができず、シリコン単結晶の無転位化の効果が弱いという問題がある。
特許文献3では、使用前の石英ルツボの底部や、内表面全体を1600〜2400℃で熱処理して、石英ルツボ底部の赤外線透過率を30%未満とする石英ルツボの改質処理方法が記載されている。特許文献3では、新品の石英ルツボを使用したときに起きるシリコン単結晶の有転位化を防止するため、使用前にルツボ内面のアモルファス結晶構造を均一化し、操業中にその結晶構造の不均一に起因して起こるクリストバライト化を防止している。しかしながら、特許文献3では、炉内で底部を高温で熱処理すると、石英ルツボの他の部位がさらに高温になり、温度コントロールが難しいことから、おそらく炉外で石英ルツボ底部を熱処理しているものと考えられる。炉外での熱処理は、炉内での熱処理に比べて作業工程数が増える。また、段落[0026]に、熱処理としては、酸水素炎又はア−ク放電が好ましいとあるが、これは局所加熱であるため、シリコン単結晶の直胴後半部で起こる有転位化を十分に防止することはできない。
石英ルツボの改質処理については、上記した文献の他にも種々の報告がされているが、いずれも改善の余地があり、石英ルツボを改質し、シリコン単結晶の有転位化を抑制する方法が求められている。
特開2015−113245号公報 特開2015−117155号公報 特許第3596435号公報
本発明は、シリコン単結晶の有転位化を抑制する方法であって、石英ルツボの改質により、このようなシリコン単結晶を製造する方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、多結晶シリコン原料を石英ルツボ内に装入した後、該石英ルツボに対して、特定の条件下に改質熱処理を施すことで、シリコン単結晶直胴後半部での有転位化を効果的に減少できることを見出した。
本発明は以下の事項からなる。
本発明のシリコン単結晶の製造方法は、内層が透明層であり、外層が不透明層である石英ルツボ内でシリコン原料を溶融した後、シリコン単結晶を引き上げる前に、石英ルツボの改質熱処理を行う方法であって、前記改質熱処理が、前記石英ルツボのR部を1600〜1800℃で8〜20時間加熱し、シリコン溶融液面温度を1420〜1650℃に加熱保持する処理であることを特徴とする。
前記改質熱処理において、前記石英ルツボの炉内圧を5〜50torrとすることが好ましい。
前記石英ルツボのR部は、シリコン単結晶の結晶軸方向において、最も温度の高いヒーター熱中心位置にあることが好ましい。
本発明の改質熱処理後のシリコン単結晶製造用石英ルツボは、石英ルツボR部の不透明層の赤外線透過率が8〜20%であり、かつ、該石英ルツボR部の不透明層における、気泡サイズが100〜500μmの気泡数密度が80〜180個/mmであることを特徴とする。
本発明の改質熱処理後のシリコン単結晶製造用石英ルツボは、石英ルツボR部の不透明層の赤外線透過率が8〜20%であり、かつ、該石英ルツボR部の不透明層における、気泡サイズが100〜500μmの気泡含有率が40〜70vol%であることを特徴とする。
本発明によれば、石英ルツボ内でシリコン原料を溶融した後、シリコン単結晶を引き上げる前に、石英ルツボのR部及びシリコン融液の表面を、特定の温度及び時間、熱処理を施すことにより、シリコン単結晶直胴後半部の有転位化を効果的に抑制することができ、単結晶化率を向上させることができる。
図1は、本発明に係る石英ルツボを表す概略図である。 図2は、黒鉛ルツボに内挿された石英ルツボの改質熱処理又はシリコン単結晶引き上げ中の石英ルツボの変形を表す概略図である。 図3は、シリコン単結晶引き上げ後の石英ルツボR部の不透明層の気泡の状態を表す写真である。
以下、本発明について図面を参照しながら詳細に説明する。
本発明のシリコン単結晶の製造方法は、内層が透明層2であり、外層が不透明層3である石英ルツボ1内にシリコン原料を投入し、該シリコン原料を溶融し、該溶融液からチョクラルスキー法によりシリコン単結晶を引き上げる方法であって、前記石英ルツボ1内でシリコン原料を溶融した後、シリコン単結晶を引き上げる前に、石英ルツボ1の改質熱処理を行うことを特徴とする。
上記石英ルツボ1には、内側に透明層2、外側に不透明層3を有するものであれば、市販品を含めて種々のものが用いられる。石英ルツボ1は、シリコン融液と接する気泡の少ない透明層2と、熱分散を促進して均一加熱を行うために気泡が分散された不透明層3とからなり、筒状部の側壁部4と、大Rからなる底部6と、側壁部4及び底部6を繋ぐ小RからなるR部5とから構成されている。なお、炉内にシリコン単結晶を引き上げるためのホットゾーン(Hot Zone)が設置されている場合、石英ルツボ1は炉内中央部に配置される。
石英ルツボ1の透明層2は、通常、高純度な合成石英ガラスでできており、不透明層3は、通常、天然石英ガラスでできている。
ここで、使用前の石英ルツボ1の性状について説明する。使用前の石英ルツボ1は、気泡の少ない透明層2と、気泡の多い不透明層3とからなるものの、全体的に二酸化珪素(SiO2)のアモルファス結晶構造を有する。前記アモルファス結晶構造は、ルツボ製造工程において、成形体の内側からのアーク炎による加熱溶融により生じる不均一な構造である。アモルファス結晶構造の不均一は、シリコン単結晶の育成中において、クリストバライト化と呼ばれる結晶化を局所的に促進する。結晶化が進んだ部分は、剥がれやすく、その部分から剥がれ落ちた粉状物や塊状物が、融液対流によって育成途中の単結晶の固液界面に到達すると、そのシリコン単結晶に有転位化が生じる。また、使用前の石英ルツボ1には、気泡が不均一に含まれており、これも融液対流によって、育成途中のシリコン単結晶の固液界面に到達すると有転位化が生じる。このため、シリコン単結晶の引き上げ前に、石英ルツボ1に対して改質熱処理を行い、前記アモルファス結晶構造を均一化する必要がある。
使用前の石英ルツボ1に含まれる気泡のサイズは、通常60〜120μmであり、気泡サイズが100〜500μmである気泡数密度は、通常200〜500個/mm3である。
また、使用前の石英ルツボ1の厚み、すなわち、透明層2及び不透明層3を合計した厚みは、通常10〜30mmである。
次にまず、通常のシリコン単結晶の引き上げ方法について説明する。石英ルツボ1内にシリコン原料を、石英ルツボ1の側壁部4に達するまで充填し、石英ルツボ1及び該石英ルツボ1を支持する黒鉛ルツボをゆっくり回転させながら、黒鉛ヒーター(図示せず)で黒鉛ルツボを加熱し、シリコン原料を溶融する。溶融が完了したら、シリコン融液の表面温度を融点である1420℃まで降温調整し、ワイヤーで吊り下げた種結晶をシリコン融液に浸漬し、馴染ませてからシリコン単結晶の引き上げを開始する。シリコン単結晶の引き上げでは、シリコン単結晶の回転方向と、ルツボの回転方向を逆にして、シリコン単結晶をゆっくり育成する。また、シリコン単結晶を育成するにつれて、シリコン融液が減少し、シリコン融液の表面が下がるため、石英ルツボ1を上昇させて融液面の高さを一定に保つか、或いは、リチャージマルチ引き操業の場合は、リチャージ管から固形状シリコン原料を補充することで、シリコン融液表面の位置を設定位置まで一気に戻す。
本発明では、シリコン原料を溶融した後、シリコン単結晶を引き上げる前に、石英ルツボ1に対して改質熱処理を行う。
上記改質熱処理では、黒鉛ヒーターを用いて、シリコン融液を充填した石英ルツボ1のR部を1600〜1800℃で8〜20時間加熱する。加熱温度が1600℃未満であると、十分に石英ルツボの改質効果が得られなかったり、操業上問題になることがある。その理由は、R部不透明層の気泡が十分に膨れるのに時間を要したり、R部の温度が1600℃を下回ることで、シリコン融液の表面温度が融点より下がって、固化が発生したりするためである。また、R部の加熱温度が1800℃を超えると、シリコン融液の沸騰による表面振動が発生しやすくなり、操業上問題になることがある。このとき、シリコン融液の表面温度は1420〜1650℃である。加熱時間が8時間より短いと、十分に石英ルツボの改質効果が得られなくなる。一方、加熱時間が20時間より長いと、石英ルツボ改質効果の増加分が少なくなり、操業時間ロスが大きくなり、生産性低下の影響が大きくなる。また、石英ルツボの改質熱処理中は、石英ルツボ1のR部は、シリコン単結晶の結晶軸方向において、最も温度の高いヒーター熱中心位置にあることが好ましい。これは、石英ルツボ1を上昇させながらシリコン単結晶を育成する場合、シリコン単結晶の直胴後半部での石英ルツボ1の位置は、石英ルツボ1のR部がヒーター熱中心位置にあり、このとき、シリコン融液の量は直胴部前半に比べ少なくなっているため、ヒーターからの熱の影響を受けやすく、石英ルツボ1の改質熱処理を行っていない場合、シリコン単結晶が有転位化し易くなる。しかし、石英ルツボの改質熱処理中に、石英ルツボ1のR部を、ヒーター熱中心位置にすることで、R部の不透明層の赤外線透過率と気泡のサイズと密度を好適に制御することができ、より確実にシリコン単結晶の直胴後半部での有転位化を抑制することができる。また、溶融液面温度を1420〜1650℃にコントロール可能となる。
改質熱処理及び単結晶の引き上げ中の炉内圧については、減圧下で行うことが好ましく、具体的には5〜50torrで行うことが好ましい。炉内圧が5torrより低い場合は、石英ルツボ表面の面荒れが強くなり、単結晶化率が低下する。一方、炉内圧が50torrより高い場合は、炉内のヒーターから発生するCOガスを排除する能力が弱くなるので、シリコン単結晶中の炭素濃度が高くなり、デバイス工程において不具合を生じる可能性がある。また、炉内の雰囲気としては、不活性ガスのアルゴンを使用する。
このような条件下に改質熱処理を行うことによって、石英ルツボR部の不透明層3では、加熱により気泡が成長して膨らみ(図3参照)、赤外線透過率が低下する。具体的には、改質熱処理前のR部の不透明層3の赤外線透過率が75〜80%であるのに対して、130kWの熱容量で10時間加熱した後の赤外線透過率は15%未満である。赤外線透過率が低下すると、黒鉛ヒーターからの過剰な輻射熱が抑制され、シリコン融液の温度上昇を抑制することができる。シリコン融液の温度上昇が抑制されれば、シリコン単結晶の有転位化を抑制できる。
そして、このとき、気泡がR部の不透明層3の全体に渡って均一に分散されていると、黒鉛ヒーターの輻射熱は効果的に熱分散され、結果として、シリコン単結晶の局所的な加熱を回避することができる。
ここで、図3は、シリコン単結晶引き上げ後の石英ルツボR部の不透明層の気泡の状態を表す写真である。石英ルツボに改質熱処理を行うと、単結晶引き上げ後R部の不透明層における、気泡サイズ100〜500μmの気泡数密度は100個/mm3である。
一方、R部の透明層2では、改質熱処理の前後で赤外線透過率がほとんど変化せず、例えば、170kWの熱容量で5時間加熱しても、赤外線透過率は93%以上を維持する。
石英ルツボ1内にシリコン融液が十分に充填されていない状態で改質熱処理を行うと、石英ルツボ1が軟化して自重で曲がり、変形や膨らみが発生しやすくなる。図2は、シリコン融液が十分に充填されていない状態で、改質熱処理後、シリコン単結晶を引き上げた場合の石英ルツボ1の変形を説明する図である。一方、石英ルツボ1内にシリコン融液が十分に充填されている場合は、溶融液による静水圧が石英ルツボ1の壁にかかり、少なくともシリコン融液が存在する部位には変形や膨らみは全く発生しない。さらに、側壁部4上部など、シリコン融液に接触していない部位は、黒鉛ヒーターから離れているほうがよい。石英ルツボ1のシリコン融液に接触していない部位を黒鉛ヒーターから離すことによって、該部位が加熱により変形しにくく、石英ルツボR部の温度を高温で保持しても、石英ルツボ1の変形や膨らみが発生し難くなる。つまり、石英ルツボ1の変形等の抑制には、炉内における石英ルツボ1の温度分布のバランスが重要である。
なお、φ300mm以上の大口径シリコン単結晶を得るには、黒鉛ヒーターのパワーを増大させる必要があるが、高純度なシリコン単結晶を製造するには、石英ルツボ1に含まれる気泡が熱容量を制御しうるのであるから、気泡を均一にすることが、熱容量の制御という課題の解決手段であるといえる。
熱処理後の石英ルツボ1のR部の不透明層3における赤外線透過率は8〜20%が好ましく、9〜15%がより好ましい。また、R部の不透明層3における、気泡サイズが100〜500μmの気泡数密度は80〜180個/mmが好ましく、90〜130個/mm3がより好ましい。
一方、改質熱処理後の石英ルツボ1のR部透明層2における赤外線透過率は85〜95%程度であり、気泡サイズが100〜500μmの気泡数密度は0〜5個/mm3程度である。
さらに、改質熱処理後の石英ルツボ1のR部の不透明層3について、赤外線透過率が8〜20%であるとき、気泡サイズが100〜500μmの気泡含有率は40〜70vol%が好ましく、50〜60vol%がより好ましい。
改質熱処理後の石英ルツボ1において、赤外線透過率や気泡の状態が上記した範囲内にあると、良好な熱分散効果が発揮され、シリコン単結晶の局所的な加熱を回避することができる。
以上のとおり、改質熱処理により、石英ルツボ1の不透明層3における気泡は成長し、この気泡の成長でヒーターからの輻射熱が抑制されるので、シリコン融液の温度上昇が抑えられ、シリコン単結晶直胴後半部に頻繁に見られていた有転位化を大幅に低減できる。このとき気泡が均一に分散されていると、さらにより有転位化を抑制できる。このように、シリコン単結晶の有転位化は、改質熱処理を行うことで、より効果的に抑制され、単結晶化率を向上させることができる。
以下、実施例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[試験例1]
シリコン原料を溶融後、石英ルツボR部の温度を1700℃、シリコン融液の表面温度を1500℃、及び、炉内圧を30torrとして、熱処理時間を2〜30時間まで変化させて、石英ルツボの改質熱処理を行った。その後、石英ルツボをヒーターの下方に配置し、石英ルツボの底部から5〜80%の高さの範囲を1700℃以上の温度で加熱しながら、1時間毎に20mmずつ上昇させ、シリコン単結晶を引き上げた。
シリコン単結晶引き上げ後の石英ルツボR部の不透明層の赤外線透過率と、気泡サイズが100〜500μmの気泡数密度とを測定し、シリコン単結晶の直胴後半部の単結晶化率を測定した。具体的には、石英ルツボを厚さ1mmに切断し、表面を磨いたサンプルを準備した。赤外線透過率はFT−IR(フーリエ変換赤外分光光度計)により、波長900〜1600nmまでの赤外線の透過率を測定した。気泡のサイズと密度はマイクロスコープで観察した画像を画像処理して計算した。
結果を表1に示す。
なお、表1中、改質熱処理が「有り」の試験例は、本発明の実施形態を表し、「無し」の試験例は、本発明の比較例を表す。
表1から、熱処理時間を8〜20時間にすると、直胴後半部の単結晶化率が100%となり、特に良好な結果が得られることがわかる。また、このとき、赤外線透過率は10〜20%であり、気泡数密度は100〜180個/mm3であった。
なお、表1から、気泡数密度が高いと、赤外線透過率は低い傾向にあり、両者は相関関係があることがわかる。
[試験例2]
試験例1で、熱処理時間を14時間にしたとき良好な結果が得られたことから、熱処理時間を14時間、炉内圧を30torrとして、R部温度を1550〜1900℃、シリコン融液の表面温度を1410〜1750℃まで変化させて、石英ルツボの改質熱処理を行った。その後、試験例1と同様に、シリコン単結晶を引き上げ、石英ルツボR部の不透明層の赤外線透過率と気泡サイズが100〜500μmの気泡数密度とを測定し、シリコン単結晶の直胴後半部の単結晶化率を測定した
結果を表2に示す。
なお、表2の試験例はいずれも、本発明の実施形態を示す。
表2から、単結晶化率が良好になるのは、R部温度が1600〜1800℃でシリコン融液の表面温度が1420〜1650℃の場合であることがわかる。また、このとき、赤外線透過率は10〜20%であり、気泡数密度は100〜180個/mm3であった。
なお、R部温度を1550℃、シリコン融液の表面温度を1410℃とした場合、単結晶化率の低下がみられた。この理由として、シリコン融液の表面温度が1410℃であると、シリコン融液に表面固化が発生し、それが石英ルツボに接触して、シリコン単結晶育成に影響するためであると考えられる。
[試験例3]
試験例1で、熱処理時間を14時間にしたとき良好な結果が得られたことから、熱処理時間を14時間、R部温度を1700℃、シリコン融液の表面温度を1500℃として、炉内圧2〜80torrまで変化させて、石英ルツボの改質熱処理を行った。その後、試験例1と同様に、シリコン単結晶を引き上げ、R部の不透明層の赤外線透過率と気泡サイズが100〜500μmの気泡数密度とを観測し、単結晶直胴後半部の単結晶化率を測定した。
結果を表3に示す。
なお、表3の試験例はいずれも、本発明の実施形態を示す。
表3から、炉内圧が5〜50torrであるとき、赤外線透過率は8〜20%で、気泡数密度が80〜180個/mm3であった。
炉内圧が2torrである場合、シリコン単結晶の直胴後半部の単結晶化率は80%と、低かった。この理由としては、炉内圧が低いと、沸騰が促進されて石英ルツボ表面が荒れ、また、シリコン融液表面振動も大きくなるためである。一方、炉内圧が80torrである場合、直胴後半部の単結晶化率が95%であった。この理由は、シリコン融液から発生するオキサイドガスの排出が十分ではなく、炉内部材に付着したオキサイド堆積物がシリコン単結晶育成中に融液に落下する確率が高くなるためである。
[試験例4]
シリコン原料を溶融後、石英ルツボR部の温度を1700℃、シリコン融液の表面温度を1500℃、及び、炉内圧を30torrとして、熱処理時間をそれぞれ10時間、2時間、0.5時間として、石英ルツボの改質熱処理を行った。その後、試験例1と同様に、シリコン単結晶を引き上げた後、石英ルツボR部の不透明層の赤外線透過率と、シリコン単結晶直胴後半部の単結晶化率とをそれぞれ測定した。
シリコン単結晶引き上げ後の石英ルツボR部の不透明層の赤外線透過率と、単結晶化率との関係を表4に示す。
表4より、石英ルツボの赤外線透過率が低い方が、シリコン単結晶の単結晶化率が高い傾向にあることがわかる。
石英ルツボ加熱処理の有無及び熱処理時間と、単結晶化率との関係を表5に示す。
表5より、改質熱処理を行った方が、シリコン単結晶の単結晶化率が高く、また、改質熱処理の時間が長い方が、単結晶化率が高い傾向にあることがわかる。
1 石英ルツボ
2 透明層
3 不透明層
4 側壁部
5 R部
6 底部
7 シリコン融液表面
8 黒鉛ルツボ

Claims (5)

  1. 内層が透明層であり、外層が不透明層である石英ルツボ内でシリコン原料を溶融した後、シリコン単結晶を引き上げる前に、石英ルツボの改質熱処理を行うシリコン単結晶の製造方法であって、
    前記改質熱処理が、前記石英ルツボのR部を1600〜1800℃で8〜20時間加熱し、シリコン溶融表面温度を1420〜1650℃に加熱保持する処理であることを特徴とするシリコン単結晶の製造方法。
  2. 前記改質熱処理において、前記石英ルツボの炉内圧を5〜50torrとすることを特徴とする請求項1に記載のシリコン単結晶の製造方法。
  3. 前記石英ルツボのR部が、シリコン単結晶の結晶軸方向において、最も温度の高いヒーター熱中心位置にあることを特徴とする請求項1又は2に記載のシリコン単結晶の製造方法。
  4. 石英ルツボR部の不透明層の赤外線透過率が8〜20%であり、かつ、
    該石英ルツボR部の不透明層における、気泡サイズが100〜500μmの気泡数密度が80〜180個/mmであることを特徴とする、改質処理後のシリコン単結晶製造用石英ルツボ。
  5. 石英ルツボR部の不透明層の赤外線透過率が8〜20%であり、かつ、
    該石英ルツボR部の不透明層における、気泡サイズが100〜500μmの気泡含有率が40〜70vol%であることを特徴とする、改質処理後のシリコン単結晶製造用石英ルツボ。
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