JP2012236915A - パーフルオロエラストマー組成物およびその成形体 - Google Patents

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Abstract

【課題】フッ素の分解物に対して優れた耐性を示すパーフルオロエラストマー組成物、その成形体及び封止用シール材を提供すること。
【解決手段】パーフルオロエラストマー成分と、窒素吸着比表面積が50m/g以上、1300m/g以下のカーボンブラックを含有するパーフルオロエラストマー組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、熱拡散工程やプラズマCVD工程等で使用される装置の封止用シール材として好適なパーフルオロエラストマー組成物及びその成形体に関する。
パーフルオロエラストマー成形体は、その優れた化学安定性から半導体製造装置等に多く使用されている。パーフルオロエラストマー成形体は、耐熱性が求められる熱拡散炉やプラズマCVD装置、プラズマエッチング装置に好適に使用されている。
一般に、パーフルオロエラストマー成形体は、ポリマー主鎖の主要な部分を構成する共重合されたパーフルオロ化モノマーユニットの安定性および不活性により、優れた耐化学薬品性、耐熱性を発現しており、パーフルオロエラストマー組成物を主に過酸化物および共架橋剤を用いたパーオキサイド架橋により得ることができる。また、パーフルオロエラストマー成形体には、カーボンブラックをフィラーとして配合することで、機械的特性の向上を図っている。
国際公開番号WO2000/000054号公報 特開2011−32465号公報
しかしながら、熱拡散工程やプラズマCVD工程ではフッ素の分解物が発生し、これらの分解物が熱拡散炉等の装置およびその装置に接続されている周辺装置、例えば排気装置に使用されるシール材に影響を及ぼしシール材の劣化等を招来するという問題がある。
なお、国際公開番号WO2000/042093号公報には、灰化分析法による不純物金属含有量が300ppm以下で平均粒径が700μm以下のカーボンブラックフィラーと架橋性エラストマー成分とを含む架橋性エラストマー組成物を架橋成形して得られる成形品であって、該成形品の灰化分析法による不純物金属含有量が100ppm以下で、かつ酸素プラズマ照射によるパーティクル増加率が500%以下であるエラストマー成形品が開示されている。また、架橋性エラストマー組成物に配合されるカーボンブラックフィラーは、加工性の点から比表面積が3m/g以上でDBP吸油量が15ml/100g以上のものが好適であることが記載されている。しかし、WO2000/042093号公報記載のエラストマー成形品は、半導体製造工程におけるプラズマエッチングなどのドライ工程における、エラストマー成形品からのパーティクル(不純物微粒子)の発生を抑制するものであるか、あるいは洗浄などのウェットプロセスで使用するエラストマー成形品の金属溶出の問題を解決したものであり、フッ素分解物に対する耐性を解決するものではない。
また、特開2011−32465号公報には、ビニリデンフロライド−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン系共重合ゴム100質量部当たり、5〜60質量部のカーボンブラックを配合したゴム組成物を架橋形成してなるゴム部材が開示されている。このカーボンブラックは、混合加工性及び成形性の点から、窒素比表面積が5〜80m/g、DBP吸油量が150ml/100g以下が好ましいと記載されている。しかし、特開2011−32465号公報のゴム部材は、ゴム部材から発塵した摩耗粉の搬送物への粘着の低減やリン酸、塩酸及び硝酸などに対する耐性に優れたものであり、フッ素分解物に対する耐性を解決するものではない。
従って、本発明の目的は、フッ素の分解物に対して優れた耐性を示すパーフルオロエラストマー組成物およびその成形体を提供することにある。
かかる実情において、本発明者は鋭意検討を行った結果、特定のカーボンブラックを配合したパーフルオロエラストマー組成物を架橋成形したエラストマー成形品であれば、熱拡散工程やプラズマCVD工程で発生したフッ素の分解物に対して優れた耐性を示すことを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、パーフルオロエラストマー成分と、窒素吸着比表面積が50m/g以上、1300m/g以下のカーボンブラックを含有するパーフルオロエラストマー組成物を提供するものである。
また、本発明は、前記パーフルオロエラストマー組成物を架橋成形して得られるエラストマー成形体を提供するものである。
本発明のエラストマー成形品は、フッ素の分解物に対して優れた耐性を示す。このため、本発明のエラストマー成形品を熱拡散工程やプラズマCVD工程で使用される装置の封止用シール材として使用した場合、長期間に亘り安定したシール性を発揮することができる。
フッ素ガス暴露試験に供した試験体の形状を示す図であり、(A)は斜視図、(B)は正面図、(C)は側面図である。 比較例1におけるフッ素ガス暴露試験後の試験体の形状を示す図であり、(A)は正面図、(B)は図2(A)のX−X線に沿って見た図である。 実施例2における断面角部の半径を求めるための処理画像である。 実施例3における断面角部の半径を求めるための処理画像である。 実施例4における断面角部の半径を求めるための処理画像である。 実施例5における断面角部の半径を求めるための処理画像である。 実施例6における断面角部の半径を求めるための処理画像である。 比較例1における断面角部の半径を求めるための処理画像である。 比較例2における断面角部の半径を求めるための処理画像である。
本発明のパーフルオロエラストマー組成物(以下、単に、「エラストマー組成物」とも言う。)は、パーフルオロエラストマー成分を含有する。パーフルオロエラストマー成分は、(a)テトラフルオロエチレン、(b)パーフルオロ(C−Cアルキルビニルエーテル)および/またはパーフルオロ(C−C11アルコキシアルキルビニルエーテル)、(c)硬化部位モノマーからなる共重合体である。
(b)成分のパーフルオロ(C−Cアルキルビニルエーテル)は、アルキル基の炭素数が1〜5であるパーフルオロアルキルビニルエーテルであって、具体的には、パーフルオロメチルビニルエーテル、パーフルオロエチルビニルエーテル、パーフルオロプロピルビニルエーテル等が挙げられ、より好ましくはパーフルオロメチルビニルエーテルである。
また、(b)成分のパーフルオロ(C−C11アルコキシアルキルビニルエーテル)は、側鎖の全炭素数が3〜11のパーフルオロアルコキシアルキルビニルエーテル、すなわちアルコキシル基およびアルキル基の炭素数の合計が3〜11のパーフルオロアルコキシアルキルビニルエーテルであって、具体的には、CF=CFOCFCF(CF)OC2n+1(n:1〜5)、CF=CFO(CFOC2n+1 (n:1〜5)、CF=CFOCFCF(CF)O(CFO)2n+1(n:1〜5、m:1〜3)CF=CFO(CFOC2n+1(n:1〜5)等が挙げられる。これらの(b)成分は、単独または2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
(c)硬化部位モノマーとしては、ヨウ素や臭素を含む硬化部位モノマーやシアノ基を含む硬化部位モノマーが挙げられる。ヨウ素や臭素を含む硬化部位モノマーとしては、CF=CF(CFI、CF=CF(CFBr、I(CFI等が挙げられる。またシアノ基を含む硬化部位モノマーの例としては、シアノ基含有パーフルオロビニルエーテルが挙げられ、例えば、CF=CFO(CFOCF(CF)CN(n:2〜4)、CF=CFO(CFCN (n:2〜12)、CF=CFO[CFCF(CF)O](CFCN(n:2、m:1〜5)、CF=CFO[CFCF(CF)O](CFCN(n:1〜4、m:1〜2)、CF=CFO[CFCF(CF)O]CFCF(CF)CN(n:0〜4)等が挙げられる。中でも、パーフルオロ(8−シアノ−5−メチル−3,6−ジオキサ−1−オクテン)が好ましい。
また、配合比は、(a)テトラフルオロエチレンが50〜75モル%、好ましくは60〜75モル%、(b)パーフルオロ(C1−Cアルキルビニルエーテル)および/またはパーフルオロ(C−C11アルコキシアルキルビニルエーテル)が49.8〜25モル%、好ましくは39.8〜25モル%、(c)硬化部位モノマーが0.2〜5モル%、好ましくは0.5〜3モル%である。
エラストマー組成物に配合されるカーボンブラックは、窒素吸着比表面積が50m/g以上、1300m/g以下、好ましくは60m/g以上、1000m/g以下、特に65m/g以上、200m/g以下である。カーボンブラックの窒素比表面積が50m/g未満では、エラストマー成形体が、高温に加熱したフッ素ガスに曝されると、表面が溶解し易くなる。なお、窒素吸着比表面積とは、窒素吸着量から S−BET式で求めた比表面積(JISK 6217)のことである。
エラストマー組成物に配合されるカーボンブラックは、DBP吸油量が好ましくは90cm/100g以上、600cm/100g以下、特に好ましくは95cm/100g以上、400cm/100g以下、更に好ましくは95cm/100g以上、200cm/100g以下である。カーボンブラックのDBP吸油量が、90cm/100g未満では、エラストマー成形体が、高温に加熱したフッ素ガスに曝されると、表面が溶解し易くなる。DBP吸油量とは、カーボンブラック100g が吸収する DBP(ジブチルフタレート)量(JIS K6221)のことである。
このようなカーボンブラックとしては、例えば、SAFカーボンブラック、ISAFカーボンブラック、HAFカーボンブラック、FEFカーボンブラック等のファーネスブラックやアセチレンブラックが挙げられる。この中、アセチレンブラックが、耐フッ素ガス性に優れる点で好ましい。
カーボンブラックは、パーフルオロエラストマー成分100重量部に対して、5重量部以上、好ましくは10重量部以上、30重量部以下、特に好ましくは12重量部以上、25重量部以下、更に好ましくは14重量部以上、20重量部以下配合する。カーボンブラックの配合量が、パーフルオロエラストマー成分100重量部に対して、5重量部未満であると、エラストマー成形体が高温に加熱したフッ素ガスに曝されると、表面が溶解し易くなる。
本発明のエラストマー組成物には、任意成分として、適用箇所の要求に対応する各種添加剤を配合することができる。このような、各種添加剤としては、例えば安定剤、可塑剤、潤滑剤および加工助剤等が挙げられる。また、各種添加剤の配合量は、本発明の効果を損なわない範囲で適宜決定することができる。
本発明のエラストマー組成物は、架橋剤を含有する。本発明のエラストマー組成物に配合する架橋剤は、エラストマーの架橋性基の種類によって適宜選定すればよい。架橋反応としては、例えばパーオキサイド架橋系、ポリオール架橋系、ポリアミン架橋系、トリアジン架橋系、オキサゾール架橋系、イミダゾール架橋系、チアゾール架橋系、放射線架橋系など公知の架橋系が挙げられる。
架橋剤の配合量は、パーフルオロエラストマー成分100重量部に対し、通常0.05〜10重量部、好ましくは1〜5重量部である。架橋剤の配合量が0.05重量部未満であると、エラストマーが充分架橋されず、10重量部を超えると、架橋物の物性を悪化させる。
本発明のエラストマー組成物は、各種成形体の成形材料として有用である。また、本発明のエラストマー組成物は、特に、半導体ウェハーの熱拡散炉の封止用成形体に使用される。本発明のエラストマー組成物は、パーフルオロエラストマー成分、上記カーボンブラック、及び架橋剤などの上記の各成分を、通常のエラストマー用混練機械、たとえば、オープンロール、バンバリーミキサー、ニーダー等を用いて混合することにより調製することができる。
本発明のエラストマー成形体は、エラストマー組成物を架橋成形して得られる。すなわち、得られた混練物を所定形状、例えばOリング等に成形し、加熱して架橋させることで本発明のパーフルオロエラストマー成形体が得られる。架橋条件は、公知の方法に準拠すればよく、例えば金型に入れ、加圧下120〜220℃で1〜60分間保持することによってプレス架橋を行ない、次いで120〜260℃の炉中で0.5〜50時間保持することによってオーブン架橋を行なう方法等が挙げられる。
本発明のエラストマー成形体は、半導体ウェハーの熱拡散炉の封止用シール材、例えば、Oリングとして使用すると、本発明の効果が顕著に表れる。半導体ウェハーの熱拡散炉は、半導体ウエハー製造過程におけるウエハーへの不純物の熱拡散を行うものであり、例えば特開平6−45294号公報の不純物拡散装置であってもよい。また、半導体ウェハーの熱拡散炉は、熱拡散炉周辺の例えば排気装置等を含むものである。本発明のエラストマー成形体を、例えばOリングとして、これら熱拡散炉のシール材として使用すると、熱拡散炉で発生する高温のフッ素ガスに曝されても、Oリング表面が溶解等損傷しないため、長期間に亘り、安定したシール機能を発現することができる。
(実施例)
次に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、これは単に例示であって、本発明を制限するものではない。
(エラストマーの製造)
容量500mlのステンレスオートクレーブ内に、蒸留水200ml、パーフルオロオクタン酸アンモニウム2.5g及びNaHPO・12HO4.4gを仕込んだ後、内部を窒素ガス置換して、次いで減圧した。このオートクレーブを50℃まで冷却した後、テトラフルオロエチレン32g、パーフルオロメチルビニルエーテル68g、パーフルオロ−8−シアノ−5−メチル3,6−ジオキサ−1−オクテン6.4gを仕込み、80℃に昇温させた後、亜硫酸ナトリウム0.75g及び過硫酸アンモニウム3.75gをそれぞれ25mlの水溶液として仕込み重合を開始した。20時間重合を継続した後、未反応ガスをパージし、そこに形成された水性ラテックスを取り出し、10%塩化ナトリウム水溶液で塩析した後、乾燥させクラムラバー状の3元系共重合体を44g得た。この3元系共重合体は、赤外線吸収分析の結果から、テトラフルオロエチレン62モル%、パーフルオロメチルビニルエーテル37モル%及びパーフルオロ−8−シアノ−5−メチル3,6−ジオキサ−1−オクテン(シアノ基の特性吸収2268cm−1)1.0モル%の共重合組成を有していた。
(Oリングの製造)
上記製造方法で得られたエラストマー100重量部、架橋剤2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン1重量部、下記「カーボンブラックA」5重量部をオープンロールで混練した後、190℃の温度で30分間加熱処理して1次架橋し、次いで240℃で48時間熱処理をして2次架橋を行い成形した。成形体の形状はOリング(AS568B−214)とした。なお、カーボンブラックは、JIS K 6217(1997)に準じ、窒素吸着比表面積およびDBP吸油量を算出したものであり、その値はメーカーカタログ値である。得られたOリングは下記のフッ素ガス暴露試験を実施し、高温のフッ素ガスに対する耐性について評価した。その結果を表1に示す。
「カーボンブラックA」;
「デンカブラック」(電気化学工業社製;アセチレンブラック)
窒素吸着比表面積69m/g、DBP吸油量190cm/100g
(フッ素ガス暴露試験)
AS568B−214サイズ(直径Dが3.53mm)のOリングを切断して一本の円形断面の線状体とし、そこから長さLが10mmの線分を切り出した試験片を得た(図1参照)。そして、試験片をチャンバー内にセットし、20%濃度のフッ素ガス(80%窒素)を圧力が500torrになるように導入後、チャンバー内を250℃に加温して2時間保持した。
(評価方法)
フッ素ガス暴露試験後のOリングの表面及び端面を観察する。高温フッ素ガスによる溶解が進行するOリングの場合、溶解は図2(B)に示すようにOリングの端面の角部において生じ、溶解の進行が進むと端面が球面に近づいていく。このため、Oリングの端面の角部の半径Rを測定することで、高温フッ素ガスに対する耐性を評価した。この角部の半径Rは、試験後のOリングを図2(A)のX−X線に沿った切断面を写真撮影し、画像処理により求めた。従って、この半径(mm)が大であるほど、高温のフッ素ガスに対する耐性が劣ることになり、小であるほど、高温のフッ素ガスに対する耐性が優れることになる。
「カーボンブラックA」に代えて、下記「カーボンブラックB」を使用した以外は、実施例1と同様の方法により、Oリングを作成した。なお、カーボンブラックは、JIS K 6217(1997)に準じ、窒素吸着比表面積およびDBP吸油量を算出したものであり、その値はメーカーカタログ値である。得られたOリングは同様に耐フッ素ガス性を評価した。その結果を表1に示す。また、フッ素ガス暴露試験後の試験体の端面角部の半径を求めるための画像を図3に示す。図3中、黒色部分が試験体であり、白色部分が、角部の半径を有する画像処理で付記された円形である。
「カーボンブラックB」;
「シヨウブラックIP1500」(SAFカーボンブラック)(キャボット社製)
窒素吸着比表面積180m/g、DBP吸油量123cm/100g
「カーボンブラックA」に代えて、下記「カーボンブラックC」を使用した以外は、実施例1と同様の方法により、Oリングを作成した。なお、カーボンブラックは、JIS K 6217(1997)に準じ、窒素吸着比表面積およびDBP吸油量を算出したものであり、その値はメーカーカタログ値である。得られたOリングは同様に耐フッ素ガス性を評価した。その結果を表1に示す。また、フッ素ガス暴露試験後の試験体の端面角部の半径を求めるための画像を図4に示す。図4中、黒色部分が試験体であり、白色部分が、角部の半径を有する画像処理で付記された円形である。
「カーボンブラックC」;
「旭#70」(HAFカーボンブラック)(旭カーボン社製)
窒素吸着比表面積77m/g、DBP吸油量101cm/100g
「カーボンブラックA」5重量部に代えて、「カーボンブラックA」15重量部を使用した以外は、実施例1と同様の方法により、Oリングを作成した。得られたOリングは同様に耐フッ素ガス性を評価した。その結果を表1に示す。また、フッ素ガス暴露試験後の試験体の端面角部の半径を求めるための画像を図5に示す。
「カーボンブラックB」5重量部に代えて、「カーボンブラックB」15重量部を使用した以外は、実施例2と同様の方法により、Oリングを作成した。得られたOリングは同様に耐フッ素ガス性を評価した。その結果を表1に示す。また、フッ素ガス暴露試験後の試験体の端面角部の半径を求めるための画像を図6に示す。
「カーボンブラックC」5重量部に代えて、「カーボンブラックC」15重量部を使用した以外は、実施例3と同様の方法により、Oリングを作成した。得られたOリングは同様に耐フッ素ガス性を評価した。その結果を表1に示す。また、フッ素ガス暴露試験後の試験体の端面角部の半径を求めるための画像を図7に示す。図7中、黒色部分が試験体であり、白色部分が、角部の半径を有する画像処理で付記された円形である。
比較例1
「カーボンブラックA」に代えて、下記「カーボンブラックD」を使用した以外は、実施例1と同様の方法により、Oリングを作成した。なお、カーボンブラックは、JIS K 6217(1997)に準じ、窒素吸着比表面積およびDBP吸油量を算出したものであり、その値はメーカーカタログ値である。得られたOリングは同様に耐フッ素ガス性を評価した。その結果を表1に示す。また、フッ素ガス暴露試験後の試験体の端面角部の半径を求めるための画像を図8に示す。図8中、2つの円形は角部の半径を有する画像処理で付記されたものである。
「カーボンブラックD」;
「旭#50」(SRF−HS−HMカーボンブラック)(旭カーボン社製)
窒素吸着比表面積23m/g、DBP吸油量63cm/100g
比較例2
「カーボンブラックA」5重量部に代えて、下記「カーボンブラックE」15重量部とした以外は、実施例1と同様の方法により、Oリングを作成した。なお、カーボンブラックは、JIS K 6217(1997)に準じ、窒素吸着比表面積およびDBP吸油量を算出したものであり、その値はメーカーカタログ値である。得られたOリングは同様に耐フッ素ガス性を評価した。その結果を表1に示す。また、フッ素ガス暴露試験後の試験体の端面角部の半径を求めるための画像を図9に示す。図9中、2つの円形は角部の半径を有する画像処理で付記されたものである。
「カーボンブラックE」;
「サーマックスMT N990」(MTカーボンブラック)(cancarb社製)
窒素吸着比表面積10m/g、DBP吸油量43cm/100g
Figure 2012236915
表1及び図5〜図7から明らかなように、窒素吸着比表面積が50m/g以上のカーボンブラックを、エラストマー成分100重量部に対して15重量部含有するパーフルオロエラストマー組成物から得られる実施例4〜6の成形体は、高温のフッ素ガス雰囲気に所定時間曝されても、溶解現象はほとんど観察されなかった。これは、窒素吸着比表面積が50m/g以上のカーボンブラックは微細粒子の集合体であるため、パーフルオロエラストマーとの相互作用が強く、高温のフッ素ガスに曝されても、エラストマーの溶融を塞き止めているものと思われる。また、表1及び図3、図4から明らかなように、窒素吸着比表面積が50m/g以上のカーボンブラックを、エラストマー成分100重量部に対して5重量部含有するパーフルオロエラストマー組成物から得られる実施例1〜3の成形体は、高温のフッ素ガス雰囲気に所定時間曝されても大きな溶解現象は観察されなかった。これに対して、窒素吸着比表面積が10m/gや23m/gのカーボンブラックを含有パーフルオロエラストマー組成物から得られる比較例1及び2の成形体は、図8及び図9から明らかなように、大きな溶解現象が観察された。
本発明のエラストマー成形品は、フッ素の分解物に対して優れた耐性を示すため、フッ素分解物が発生する半導体ウェハーの熱拡散炉の封止用シール材として好適に使用できる。
D 試験体の直径
L 試験体の長さ
R 溶解を受けた角部の半径

Claims (5)

  1. パーフルオロエラストマー成分と、窒素吸着比表面積が50m/g以上、1300m/g以下のカーボンブラックを含有するパーフルオロエラストマー組成物。
  2. 前記カーボンブラックは、DBP吸油量(A法)が90cm/100g以上、600cm/100g以下であることを特徴とする請求項1記載のパーフルオロエラストマー組成物。
  3. 前記カーボンブラックは、アセチレンブラックであることを特徴とする請求項1又は2記載のパーフルオロエラストマー組成物。
  4. 前記カーボンブラックを、パーフルオロエラストマー成分100重量部に対して、5重量部以上、30重量部以下配合することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のパーフルオロエラストマー組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のパーフルオロエラストマー組成物を架橋成形して得られるエラストマー成形体。
JP2011106962A 2011-05-12 2011-05-12 エラストマー成形体 Active JP5780825B2 (ja)

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