JP2012233280A - 踵付き靴下の編成方法、および踵付き靴下 - Google Patents

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Abstract

【課題】着用者の足の形状に沿った踵付き靴下で、かつその長さ方向に十分な伸縮性を有する踵付き靴下の編成方法を提供する。
【解決手段】甲側編地部1と踵側編地部2との境界部分である踵付き靴下10の一方の靴下側端部3を編成する(工程α)。靴下側端部3を始端にして、踵付き靴下10のつま先部分12となる側で折り返される折り返し編成を行なって、甲側編地部1と踵側編地部2を順次編成する(工程β)。工程βで編成した甲側編地部1と踵側編地部2とを踵付き靴下10の他方の靴下側端部4で接合する。工程βの甲側編地部1の編成では踵付き靴下10の幅方向の中心までは減らしを行い、中心から後では増やしを行なう。工程βの踵側編地部2では踵付き靴下の中心までは増やしを行い、中心から後では減らしを行なう。また、甲側編地部2のうち踵相当部分13は、その他の部分より編成コース数を多くする。
【選択図】図1

Description

本発明は、踵付き靴下の側方から編成を開始する踵付き靴下の編成方法、およびその編成方法により得られた踵付き靴下に関する。
従来から、横編機を用いて無縫製に靴下を編成することが行なわれている。例えば、特許文献1には、靴下の履き口部分から筒状に編成を開始し、着用者の足首近傍に相当する靴下の甲側編地部では一旦編成を休止し、着用者の踵近傍に相当する靴下の踵側編地部では編成コース数を増すことを行なっている。そうすることで、着用者の足首に相当する部分で甲側にくびれ、踵に相当する部分で膨らんだ、着用者の足の形状に沿った靴下を編成できる。
特許第3333384号公報
しかし、特許文献1の編成では、弾性糸などを用いて靴下の筒径方向への伸縮性を靴下に持たせることができるものの、靴下の長さ方向への十分な伸縮性を靴下に持たせることが難しかった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、着用者の足の形状に沿った踵付き靴下で、かつ踵付き靴下の長さ方向に十分な伸縮性を有する踵付き靴下の編成方法、およびその編成方法により編成された踵付き靴下を提供することにある。
本発明踵付き靴下の編成方法は、少なくとも前後一対の針床を有し、当該針床の編針に係止される編目を別の編針に目移しが可能な横編機を用いて、甲側編地部と踵側編地部とを有する踵付き靴下を無縫製に編成するための踵付き靴下の編成方法であって、下記工程α〜γを備える。(工程α)…前後の針床に編目を形成することで、前記甲側編地部と踵側編地部との境界部分にあたる二つの靴下側端部のうち、一方の靴下側端部となる編出し部を編成する。(工程β)…前記編出し部を始端にして、前記踵付き靴下のつま先部分となる側で折り返される折り返し編成を行なって、前記甲側編地部と踵側編地部を順次編成する。(工程γ)…前記工程βで編成した甲側編地部と踵側編地部とを接合して、前記踵付き靴下の他方の靴下側端部で踵付き靴下を編終える。そして、本発明踵付き靴下の編成方法は、前記工程βにおいて前記一方の靴下側端部から踵付き靴下の幅方向の中心に至る部分を編成する際、前記甲側編地部については、針床に係止される編目列のうち、着用者の足首近傍に相当する位置で二分される一方の編目列を他方の編目列側に移動させることによって重ね目を形成する減らしを行い、前記踵側編地部については、針床に係止される編目列のうち、着用者の踵近傍に相当する位置で二分される一方の編目列を他方の編目列から離れる側に移動させ、その移動によってできた空針に編目を形成する増やしを行なうと共に、増やしを行なった部分でその他の部分よりも編目数が多くなるように往復する折り返し編成を行なう。また、本発明踵付き靴下の編成方法は、前記工程βにおいて前記中心から前記他方の靴下側端部に至る部分を編成する際、前記甲側編地部については、針床に係止される編目列のうち、着用者の足首近傍に相当する位置で二分される一方の編目列を他方の編目列から離れる側に移動させ、その移動によってできた空針に編目を形成する増やしを行い、前記踵側編地部については、針床に係止される編目列のうち、着用者の踵近傍に相当する位置で二分される一方の編目列を他方の編目列側に移動させることによって重ね目を形成する減らしを行なうと共に、その減らしを行なった部分の一部でその他の部分よりも編目数が多くなるように往復する折り返し編成を行なう。
本発明踵付き靴下は、甲側編地部と踵側編地部とを有する踵付き靴下であり、少なくとも前後一対の針床を有し、当該針床の編針に係止される編目を別の編針に目移しが可能な横編機を用いて無縫製で編成された踵付き靴下である。本発明踵付き靴下は、前記甲側編地部と踵側編地部との境界部分にあたる二つの靴下側端部のうち、一方の靴下側端部から編出され、前記踵付き靴下のつま先部分を折り返し端とする折り返し編成され、かつ、他方の側端側で接合されることで形成されている。また、前記甲側編地部のうち、前記踵付き靴下の幅方向の中心線から前記一方の靴下側端部までを甲側第一編地部、残りを甲側第二編地部とし、前記踵側編地部のうち、前記中心線から前記一方の靴下側端部までを踵側第一編地部、残りを踵側第二編地部としたとき、前記甲側第一編地部における着用者の足首近傍に相当する位置には重ね目が、前記甲側第二編地部における着用者の足首近傍に相当する位置には増し目が、前記踵側第一編地部における着用者の踵近傍に相当する位置には増し目が、前記踵側第二編地部における着用者の踵近傍に相当する位置には重ね目が、形成されている。そして、前記踵側編地部における着用者の踵近傍に対応する部分の編成コース数は、その他の部分の編成コース数よりも多いことを特徴とする。
本発明踵付き靴下の編成方法によれば、着用者の足の形状に沿った踵付き靴下であって、かつ踵付き靴下の長さ方向に十分な伸縮を有する本発明踵付き靴下を編成することができる。
実施形態に示す踵付き靴下の概略図である。 (A)は実施形態に示す踵付き靴下の甲側編地部の概略平面図、(B)は実施形態に示す踵付き靴下の踵側編地部の概略平面図である。 実施形態に示す踵付き靴下の編成工程の一部を示す編成工程図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。実施形態に記載の編成は、左右方向に延び、かつ前後方向に互いに対向する前後一対の針床と、前後の針床間で編目の目移しが可能な2枚ベッド横編機を用いた場合を説明する。もちろん、使用する横編機は4枚ベッド横編機であっても良い。
図1は、実施形態に示す踵付き靴下の概略図である。本実施形態の踵付き靴下10は、履き口部分11で開口し、つま先部分12で閉口した筒状編地である。この踵付き靴下10は、甲側編地部1と踵側編地部2とからなり、着用者の足首近傍の甲側に相当する足首相当部分14で甲側にくびれ、かつ踵に相当する踵相当部分13が膨らんだ立体的な形状を有する。図2(A)は実施形態に示す踵付き靴下の甲側編地部の概略平面図であり、(B)は実施形態に示す踵付き靴下の踵側編地部の概略平面図である。(A)はFB側からBB側を見た図であり、(B)はBB側からFB側を見た図である。
この踵付き靴下10は、図1および図2に示すように、甲側編地部1と踵側編地部2との境界部分である一方の靴下側端部3から編出される(工程α)。そして、この編出し部を始端にして、踵付き靴下10のつま先部分12を折り返し端とする折り返し編成を行なうことで、甲側編地部1と踵側編地部2とが順次編成される(工程β)。そして、工程βで編成した甲側編地部1と踵側編地部2とを踵付き靴下10の他方の靴下側端部4で接合する(工程γ)。
ここで、工程βでは、甲側編地部1のうち、踵付き靴下10の中心線C−C(図1,2の一点鎖線)から一方の靴下側端部3までを甲側第一編地部1A、残りを甲側第二編地部1Bとし、踵側編地部2のうち、踵付き靴下10の中心線C−Cから一方の靴下側端部3までを踵側第一編地部2A、残りを踵側第二編地部2Bとして、これら四つの部位について異なる編成を行なう。
次に、図2のX−Xの位置で甲側第一編地部1Aと踵側第一編地部2Aをどのように編成するかを図3の編成工程図を参照しながら説明する。図3における左欄の「S+数字」は工程番号を示す。また、図中の中欄のA〜Zは前針床(以下、FB)および後針床(以下、BB)の編針の位置を、○は旧編目を、●は各工程で編成される新たな編目を、V字は掛け目もしくはタック目を示し、各編成工程で実際に編成動作を行った部分は太線で示す。さらに、図中の右欄における左右方向の矢印+『K』は、矢印の方向に給糸口を移動させる間に編成を行うことを、上下方向の矢印は、矢印の方向に目移しを行うことを示し、紙面左側にある操作が先に行われる。なお、説明を分かり易くするため、編針の数を実際の編成で使用する数より少なくして説明し、目移しの際のラッキングは省略する。特に履き口部分11側の編目は、省略している。
S0では、図2のX−Xを編成する直前における編目の係止状態が示されている。この状態からS1では、S0においてBBの編針C,E,G,I,Kに係止される編目列を、BBの編針A,C,E,G,Iに目移しする。この目移しによって、踵側第一編地部2Aの編目列のうち、踵相当部分13の位置で二分される一方の編目列が、他方の編目列から離れ、両編目列の間に空針が形成される。その目移しの後、給糸口を紙面右方向に移動させる間に、BBの編針A,C,E,G,Iに編目を形成し、当該目移しによって空針となったBBの編針Kに掛け目を形成する増やしを行った後、BBの編針M,O,Q,S,U,W,Yに編目を形成する。なお、捻じられた掛け目とすることで、孔が目立ち難くなる。
S2では、S0においてFBの編針B,D,F,Hに係止される編目列を、FBの編針D,F,H,Jに目移しする。この目移しによって、甲側第一編地部1Aの編目列のうち、足首相当部14で二分される一方の編目列が他方の編目列側に移動され、FBの編針Jで両編目列の編目同士が重なった重ね目が形成される。この目移しの後、給糸口を紙面左方向に移動させる間に向け、FBの編針Z,X,V,T,R,P,N,L,J,H,F,Dに編目を形成する。このS2の編成により減らしが行なわれる。
上述したS1とS2とにより、踵側第一編地部2Aと甲側第一編地部1Aが1コースずつ編成される。この編成を繰り返し行なえば、編目の増減により靴下10の形が整えられ、踵の膨らみにフィットし、甲の足首近傍のだぶりもない、足の形状に沿った靴下10となる。また、S2で編成したFBの編針Zの編目と、S1で編成したBBの編針Yの編目と、を繋ぐ部分が踵付き靴下10のつま先部分12になる。
S3では、給糸口を紙面右方向に移動させる間に向け、S2において編成した編目のウエール方向に続く新たな編目を形成する。このS3により、さらに踵付き靴下10の甲側第一編地部1Aが1コース分編成される。
S4では、給糸口を紙面左方向に移動させる間に向け、BBの編針Y,W,U,S,Q,O,M,K,Iに編目を形成する。S5では、給糸口を紙面右方向に移動させる間に向け、BBの編針Iにタック目を形成すると共に、BBの編針K,Mに編目を形成する。S6では、給糸口を紙面左方向に移動させる間に向け、BBの編針Mにタック目を形成すると共に、BBの編針K,I,G,E,C,Aに編目を形成する。これらS4〜S6に示すように、踵相当部分13の位置で往復する折り返し編成を行なうことより、踵側第一編地部1Aのうち、踵付き靴下10の踵相当部分13の編成コース数が、それ以外の他の部分よりも多く編成され、踵相当部分13に膨らみができる。なお、本実施形態では、1往復(2コース分の差)の折り返し編成を行なったが、2往復(4コース分の差)でも良く、また、1目置きの編成で2往復(1コース分の差)としても良い。
以降は、図2に示す中心線C−Cの位置まで、図3と同様の編成を行なえば良い。その際、踵付き靴下10のつま先部分12で減らしや増やしを行なって折り返し位置を変えることで、つま先部分12に丸みを持たせることができる。なお、図2(B)に示すように、中心線C−Cの手前の数コースにおいて、単なる往復編成で踵側第一編地部2Aの編成コースを繰り返しても増していっても良い。
次に、甲側第二編地部1Bと踵側第二編地部2Bの編成を簡単に説明する。甲側第二編地部1Bでは今度は増やしを行なう。増やしは、図3のS1で説明した踵側第一編地部2Aと同様に移動する方向を変えて行なえば良い。
一方、踵側第二編地部2Bでは減らしを行なうと共に、踵相当部分13における編成コース数をそれ以外の部分における編成コース数よりも多くする。減らしは、図3のS2で説明した甲側第一編地部1Aと同様に移動する方向を変えて行なえば良いし、踵相当部分13における編成コース数の追加は、図3のS4〜S6と同様に行なえば良い。
以上説明した編成を経て、甲側編地部1と踵側編地部2とを完成させれば、それら編地部1,2を例えば公知の伏目処理により接合することで、図1に示す本発明踵付き靴下10を完成させることができる。踵部を備えたこの踵付き靴下10は、足甲側と踵側に増やしと減らしによる成型編みを行い、着用者の足の形状に沿った立体的な形状であるため、フィット性に優れる。また、この踵付き靴下10は、編目の編幅方向が、踵付き靴下10の長さ方向に一致しているため、編地がコース方向によく伸び当該長さ方向に優れた伸縮性を有する。また、本実施形態での踵付き靴下10は、足首近傍の甲側で編目を減らしているため、編地がだぶつかない。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるわけではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更して実施することができる。例えば、甲側第一編地部1A(甲側第二編地部1B)の編成の際、編幅方向の離れた二箇所の位置で減らし(増やし)を行なっても良い。
10 踵付き靴下
1 甲側編地部 1A 甲側第一編地部 1B 甲側第二編地部
2 踵側編地部 2A 踵側第一編地部 2B 踵側第二編地部
3,4 靴下側端部
11 履き口部分 12 つま先部分 13 踵相当部分 14 足首相当部分

Claims (2)

  1. 少なくとも前後一対の針床を有し、目移しが可能な横編機を用いて、甲側編地部と踵側編地部とを有する踵付き靴下を無縫製に編成するための踵付き靴下の編成方法であって、
    前後の針床に編目を形成することで、前記甲側編地部と踵側編地部との境界部分にあたる二つの靴下側端部のうち、一方の靴下側端部となる編出し部を編成する工程αと、
    前記編出し部を始端にして、前記踵付き靴下のつま先部分となる側で折り返される折り返し編成を行なって、前記甲側編地部と踵側編地部を順次編成する工程βと、
    前記工程βで編成した甲側編地部と踵側編地部とを接合して、前記踵付き靴下の他方の靴下側端部で踵付き靴下を編終える工程γと、を備え、
    前記工程βにおいて前記一方の靴下側端部から踵付き靴下の幅方向の中心に至る部分を編成する際、
    前記甲側編地部については、針床に係止される編目列のうち、着用者の足首近傍に相当する位置で二分される一方の編目列を他方の編目列側に移動させることによって重ね目を形成する減らしを行い、
    前記踵側編地部については、針床に係止される編目列のうち、着用者の踵近傍に相当する位置で二分される一方の編目列を他方の編目列から離れる側に移動させ、その移動によってできた空針に編目を形成する増やしを行なうと共に、増やしを行なった部分でその他の部分よりも編目数が多くなるように往復する折り返し編成を行い、
    前記工程βにおいて前記中心から前記他方の靴下側端部に至る部分を編成する際、
    前記甲側編地部については、針床に係止される編目列のうち、着用者の足首近傍に相当する位置で二分される一方の編目列を他方の編目列から離れる側に移動させ、その移動によってできた空針に編目を形成する増やしを行い、
    前記踵側編地部については、針床に係止される編目列のうち、着用者の踵近傍に相当する位置で二分される一方の編目列を他方の編目列側に移動させることによって重ね目を形成する減らしを行なうと共に、その減らしを行なった部分でその他の部分よりも編目数が多くなるように往復する折り返し編成を行なうことを特徴とする踵付き靴下の編成方法。
  2. 甲側編地部と踵側編地部とを有する踵付き靴下であり、少なくとも前後一対の針床を有し、目移しが可能な横編機を用いて無縫製で編成された踵付き靴下であって、
    前記甲側編地部と踵側編地部との境界部分にあたる二つの靴下側端部のうち、一方の靴下側端部から編出され、前記踵付き靴下のつま先部分を折り返し端とする折り返し編成され、かつ、他方の側端側で接合されることで形成されており、
    前記甲側編地部のうち、前記踵付き靴下の幅方向の中心線から前記一方の靴下側端部までを甲側第一編地部、残りを甲側第二編地部とし、
    前記踵側編地部のうち、前記中心線から前記一方の靴下側端部までを踵側第一編地部、残りを踵側第二編地部としたとき、
    前記甲側第一編地部における着用者の足首近傍に相当する位置には重ね目が、
    前記甲側第二編地部における着用者の足首近傍に相当する位置には増し目が、
    前記踵側第一編地部における着用者の踵近傍に相当する位置には増し目が、
    前記踵側第二編地部における着用者の踵近傍に相当する位置には重ね目が、形成されており、
    かつ、前記踵側編地部における着用者の踵近傍に対応する部分の編成コース数は、その他の部分の編成コース数よりも多いことを特徴とする踵付き靴下。
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