JP2012233074A - ポリマー改質アスファルト組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】粘度を低くすることなく、従来よりも低い温度において混合物の製造と施工を行うことが可能で、重交通用舗装として十分な強度を発現させることができるポリマー改質アスファルト組成物を提供する
【解決手段】ベースアスファルトと、スチレン含有量が30〜50重量%の範囲にあり、かつ、25%トルエン溶液粘度が150〜2,000mPa・sの範囲にあるスチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SBS):2〜8重量%と、石油樹脂:1〜10重量%とを含有するが、このとき更に剥離防止剤:0.05〜5.0重量%含有していてもよい。
【選択図】なし

Description

本発明は、従来よりも低い温度で骨材と混合ができ施工が可能なポリマー改質アスファルト組成物に関する。
従来より、アスファルトは道路舗装及び防水等の幅広い分野で使用されている。重交通道路の舗装には、一般的には補強剤としてスチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SBS)を使用したポリマー改質アスファルト(以下、PMBという。)が利用されている。このPMBを骨材と混合する場合、PMBの粘度が高いと骨材と十分混合できず、ひいては、PMBと混合した骨材を舗装箇所において十分に締固めることができない。従って、PMBについては、骨材が十分に混合可能な粘度とするため、一般的にはPMBを170〜180℃程度まで加熱して低粘度化する。そして、かかる温度下でPMBと骨材を混合し、その混合物を道路に敷き均した後、150〜160℃程度で締め固める。
しかしながら、PMBを170〜180℃程度の高温までに加熱する必要があるため、加熱に使用する燃料等から排出される二酸化炭素(温室効果ガス)の量が多く、地球温暖化の観点から望ましい状態とは言えない。一般にこの温室効果ガスの排出量を低下させるためには、混合温度を従来より30℃程度下げた温度で混合する必要があるが、かかる温度では却ってPMBの粘度が高くなって混合処理が困難となる。従って、混合温度を約30℃程度低くしても、問題無く施工できるPMBが従来より望まれていた。
以上のような問題点を解決するために、従来、アスファルト組成物の粘度を下げて、アスファルト組成物と骨材との混合作業や、製造された混合物を道路に敷きならす上での、作業性を向上する方法として、例えば特許文献1乃至4に開示された技術が提案されている。
特許文献1の開示技術では、90〜160℃という中温域で骨材と混合して製造することができるように、アスファルト組成物と、ポリウレタンポリイソシアネートプレポリマーと、石油系配合油及び/又は潤滑油とを主成分としたアスファルト組成物が開示されている。
しかしながら、特許文献1に開示された技術は、バインダに潤滑油等を加えることにより粘度を下げることができる反面、アスファルト組成物が軟化し、強度が出なくなってしまうという問題がある。
また特許文献2及び特許文献3の各開示技術では、いずれもバインダの低粘度化手法としてワックスを使用する技術が開示されているが、かかる方法によれば、このワックスの軟化点以上の温度においては低粘度化させることができるものの、軟化点以下の温度域においては、著しく粘度が上昇してしまい、施工時の温度管理が非常に難しくなる。また、ワックス含有量が増加するため、アスファルト組成物中の熱可塑性エラストマーの相溶性が悪化し、貯蔵安定性が悪くなるという問題もある。
さらに特許文献4では、製造時の混合の際に水蒸気成分を発生させる成分を添加することによって、バインダ中に微細な気泡を発生させ、バインダ中の微細気泡によるベアリング効果によってより低い温度での製造・舗設が可能となる技術が開示されているが、製造時の添加剤の混入方法等、従来と比較して製造方法が煩雑化する問題点がある。
特開2001−072862号公報 特表2002−538231号公報 特開2002−302905号公報 特開2001−064065号公報
本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、PMBの粘度を低くすることなく、従来よりも低い温度において骨材と混合することによるアスファルト混合物の製造と施工を行なうことができ、重交通用舗装として十分な強度を発現させることができるポリマー改質アスファルト組成物を提供することにある。
上述した課題を解決するために、本発明者らは、鋭意検討の結果、特定のスチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SBS)と石油樹脂をベースアスファルトに添加したPMBを使用することにより、従来の170〜180℃よりも30℃低い温度で骨材と混合し、締固めることが可能であることを見出した。
請求項1記載のポリマー改質アスファルト組成物は、ベースアスファルトと、スチレン含有量が30〜50質量%の範囲にあり、かつ、25%トルエン溶液粘度が150〜2,000mPa・sの範囲にあるスチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SBS):2〜8質量%と、石油樹脂:1〜10質量%とを含有することを特徴とする。
請求項2記載のポリマー改質アスファルト組成物は、剥離防止剤:0.05〜5.0質量%含有することを特徴とする。
本発明のポリマー改質アスファルトは、重交通舗装に求められる強度、すなわち、耐轍掘れ性(DS値)を保ちながら、かつ、従来の170〜180℃で骨材と混合する重交通用ポリマー改質アスファルトと比較して30℃以上低い温度条件でも製造・舗設が容易となり、さらに、相溶性に優れた貯蔵安定性の高いポリマー改質アスファルト組成物を提供することが可能となった。
本発明を適用したポリマー改質アスファルト組成物は、ベースアスファルトと、スチレン含有量が30〜50質量%の範囲にあり、かつ、25%トルエン溶液粘度が150〜2000mPa・sの範囲にあるスチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体と、石油樹脂とを含有するものであり、必要に応じて剥離防止剤が添加される。
上記スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体は、アスファルト組成物全体に対して2〜8質量%含有し、石油樹脂は1〜10質量%含有し、剥離防止剤は0.05〜5.0質量%含有している。
以下、本発明を実施するための形態として、ポリマー改質アスファルト組成物について、詳細に説明する。
スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SBS)
スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SBS)は、ベースアスファルトへの補強材として添加される熱可塑性エラストマーである。SBSは、スチレン含有量が30〜50質量%の範囲にあり、かつ、25%トルエン溶液粘度が150〜2000mPa・sの範囲にある。ここでいうスチレン含有量とは、SBS中に含まれているスチレンの質量%である。また25%トルエン溶液粘度とは溶媒にトルエンを使用し、所定の試料を溶液の25質量%溶かしたものを、25℃にてブルックフィールド(BL)型粘度計により測定する値である。SBSの添加量は2〜8質量%であり、好ましくは4〜7質量%である。SBSの添加量が2質量%未満の場合は、アスファルトの強度を発現することができなくDS値が小さくなる。またSBSの添加量が8質量%超では、貯蔵安定性が悪くなると共に、ジャイレトリーの旋回回数が大きくなる。
スチレン含有量が30〜50質量%の範囲にあり、かつ、25%トルエン溶液粘度が150〜2000mPa・sの範囲にあるSBSを使用することによって、貯蔵安定性、ジャイレトリー旋回回数及びDS値の目標値を満足することができる。スチレン含有量が30質量%未満と、25%トルエン溶液粘度が150mPa・s未満の場合には、アスファルトの強度が発現せず、その結果DS値は小さくなる。
石油樹脂
C5系石油樹脂等の脂肪族系石油樹脂(以下、C5系石油樹脂という)、C9系石油樹脂等の芳香族系石油樹脂(以下、C9系石油樹脂という)、ジシクロペンタジエン系石油樹脂等の脂環族系石油樹脂(以下、DCPDという)、C5/C9共重合系石油樹脂などの石油樹脂(以下、C5/C9系石油樹脂という)、並びにこれら石油樹脂を水添して得られる水添石油樹脂が使用できる。これら石油樹脂の添加によって、アスファルト混合物の施工温度でのアスファルトの粘弾性特性は、より粘性体となりジャイレトリーによる締め固めが改善される。石油樹脂の添加量は1〜10質量%であり、好ましくは2〜6質量%である。この石油樹脂の添加量が1%未満の場合は、アスファルト混合物の施工温度におけるアスファルトの粘弾性特性を改善することができず、10質量%を超える場合は、所定量のSBSを添加することができなくなり、その結果DS値が低下する。
ベースアスファルト
ベースアスファルトは、原油を減圧蒸留した残油として得られるストレートアスファルト、原油の減圧蒸留残油をプロパン等により脱れきして得られたプロパン脱れきアスファルト、或いは原油の減圧蒸留残油をプロパン等により脱れきして得られた溶剤脱れき油を溶剤抽出して得られたエキストラクト等で構成される。このエキストラクトの代わりに、アロマ系オイルで構成するようにしてもよい。このアロマ系オイルは、JISK6200に規定されているものであり、芳香族炭化水素を、少なくとも35質量%含む炭化水素系プロセスオイルである。
アスファルトは、上述した減圧蒸留法、ブローイング(空気吹き込み法)、調合法(ブレンド法)の何れかの方法により製造される。即ち、このアスファルトは、プロパン脱れきアスファルト、ストレートアスファルト、エキストラクトのうち何れか1種以上が含まれるものである。
プロパン脱れきアスファルトは、減圧蒸留残油に対して、プロパン、又はプロパンとブタンの混合物を溶剤として使用し、脱れき処理して得られた、いわゆる溶剤脱れきアスファルトである。またこのプロパン脱れきアスファルト以外には、例えばストレートアスファルトや、ブローンアスファルト等のいかなるアスファルトを使用するようにしてもよい。
このプロパン脱れきアスファルトは、例えばJISK2207の下で25℃における針入度が8(1/10mm)、軟化点が66.5℃、15℃における密度が1028kg/m3であるのものを使用するようにしてもよい。
また、ストレートアスファルトとしては、例えば、25℃における針入度が65(1/10mm)、軟化点が48.5℃、15℃における密度が1034kg/m3であるのものを使用するようにしてもよい。
エキストラクトは、原油の減圧蒸留残油をプロパン等により脱れきして得られた溶剤脱れき油を更に極性溶剤を用いて溶剤抽出することにより、重質潤滑油を精製油として得る際の抽出油である。エキストラクトは、100℃における動粘度が61.2mm2/s、40℃における動粘度が3970mm2/s、15℃における密度が976.4kg/m3であるのものを使用するようにしてもよい。ちなみに、このエキストラクトの含有量は、本発明アスファルト組成物全体の重量に対して、10質量%以下含まれていることが望ましい。その理由として、このエキストラクトの含有量が10質量%を超えてしまうと、得られる本発明アスファルト組成物の強度を、アスファルトとしての適用を考える上で十分な程度まで向上させることができないためである。
剥離防止剤
本発明では、石英粗面岩などの接着性の悪い骨材を使用した場合に、アスファルト組成物と骨材の剥離を防止するために、剥離防止剤を添加することが好ましい。
剥離防止剤としては、アミン類、アミド類、第4アンモニム塩、高級アルコール類、有機リン化合物、トール油、トール油誘導体、カルボキシル基を有する炭素数20の多環式ジテルペン等を使用することができるが、これらに限定されるものではない。
剥離防止剤の添加量は0.05〜5.0質量%であり、好ましくは0.1〜3.0質量%である。0.05%よりも少ない添加量では、添加の効果が発揮しない。剥離防止剤の添加量が5.0質量%を超える量としても、その効果は変わらずコスト高を招くことになる。
上述した構成からなる本発明では、以下の実施例において詳述するように、140℃程度の温度域において、混合物の製造と施工を当該温度域で行うことができ、温室効果ガスの排出量をも抑えることができる。また、これに加えて、重交通用舗装として十分な強度を発現させることができる
以下に、本発明で使用した試験方法、実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、以下の例において単に%のみ記載されている場合は、質量%を示すものとする。
表1の実施例1〜9、並びに比較例1〜9に示す配合比率からなる、ストレートアスファルト、プロパン脱れきアスファルト、エキストラクト、SBS、石油樹脂、剥離防止剤等を混合した試料を準備した。
Figure 2012233074
SBSについては、SBS1〜SBS5を試料として準備している。ここでいうSBS1は、スチレン含有量31質量%でトルエン25%溶融粘度4000mPa・sであり、SBS2は、スチレン含有量30質量%でトルエン25%溶融粘度1700mPa・sであり、SBS3は、スチレン含有量40質量%でトルエン25%溶融粘度650mPa・sであり、SBS4は、スチレン含有量45質量%でトルエン25%溶融粘度170mPa・sであり、SBS5は、スチレン含有量52質量%でトルエン25%溶融粘度820mPa・sである。このうち、上述した本発明において規定したスチレン含有量並びにトルエン25%溶融粘度を満たすのはSBS2〜4であり、SBS1、SBS5はともに比較用の試料である。
石油樹脂は、C9系石油樹脂1及びC9系石油樹脂2及びC5/C9系石油樹脂3を試料として準備している。このC9系石油樹脂1は、軟化点が135℃であり、分子量が1000であり、C9系石油樹脂2は、軟化点が98℃であり、分子量が700であり、C5/C9系石油樹脂3は、軟化点が97℃であり、分子量が1000である。ちなみに、このC9系石油樹脂1は東ソー株式会社製の「ペトコール140」を、C9系石油樹脂2は、東ソー株式会社製の「ペトコールLV」を、C5/C9系石油樹脂3は、東ソー株式会社製の「ペトロタック100」を使用している。
剥離防止剤1は、酸価156(mgKOH/g:JIS K 0070)、軟化点77.0℃(JIS K 2207)の不均化ロジンであり、剥離防止剤2は、酸化191.5(mgKOH/g:JIS K 0070)、ケン価化199(mgKOH/g:JIS K 0070)のトール油脂肪酸である。
比較例1は、通常の混合温度170℃及び締め固め温度150℃での市販品評価試験である。なお、この市販品は日本改質アスファルト協会規格のポリマー改質アスファルトII型に合格している製品である。
比較例2〜4は、SBS1の添加量を変化させるとともに、比較例2においては石油樹脂を添加せず、比較例3〜4においてはC9系石油樹脂1を4%添加している。
比較例5〜6と実施例1はSBS2を使用し、SBS2の添加量を変化させるとともに、比較例5〜6においては石油樹脂を添加せず、実施例1においてはC9系石油樹脂1を4%添加している。
実施例2は、SBS3を使用して石油樹脂を4%としている。
比較例7と実施例3〜9は、SBS4を使用し、SBS4の添加量を変化させるとともに、石油樹脂の種類と添加量を変化させている。特に、実施例7〜9では他の実施例や比較例とは異なる種類のC5系石油樹脂2又はC5/C9系石油樹脂3を使用している。
比較例8、9は、SBS5を使用し、SBS5及びC9系石油樹脂1の添加量を変化させている。
いずれの比較例1〜9及び実施例1〜9の針入度は、40〜50になるようストレートアスファルト、プロパン脱れきアスファルト及びエキストラクトで調製している。また、いずれの比較例1〜9及び実施例1〜9においても、剥離防止剤1又は剥離防止剤2を表中に示す含有量で添加している。
次に、上述した構成からなる各試料の調製方法について説明をする。
ストレートアスファルト、プロパン脱れきアスファルト、エキストラクト、石油樹脂、剥離防止剤を、表1の実施例1〜9、比較例1〜9のそれぞれの配合比率となるようにホモミキサーで混合して195℃程度に維持した後、SBSを添加した。撹拌は、ホモミキサーの回転数を3500回転/分として3時間行った。その際の製造量は1.8kgとした。次に、調製したアスファルトと骨材を140℃で混合し、所定の供試体を作製し、試験に供した。
次に本発明に使用した試験法について説明する。
針入度(25℃)は、JIS K 2207「石油アスファルト−針入度試験方法」で測定した。この値は40(0.1mm)以上が好ましい。
軟化点は、JIS K 2207「石油アスファルト−軟化点試験方法」で測定した。この値は56.0(℃)以上が好ましい。
粘度(140℃)は、JPI−5S−54−99「アスファルト−回転粘度計による粘度試験方法」の条件の下、測定温度140℃、使用スピンドルSC4−21、スピンドル回転数20回転/分で測定した。
貯蔵安定性試験(140℃)は、内径が5.2cm、高さが13cmのアルミニウム製円筒缶に、深さ12cmの位置まで本発明アスファルト組成物(約250g)を注入して密封し、140℃で72時間加熱した。その後、アルミニウム製円筒缶に注入されているアスファルト組成物の上部4cm、下部4cmにおける軟化点を測定することにより確認できる。軟化点の測定は、JIS K 2207に示す方法に基づいて行う。この上部の軟化点と下部の軟化点の差の差分絶対値を介して安定性の判断を行う。この軟化点差としての差分絶対値が3.0℃以下のときに貯蔵安定性が良好であるものとした。
DS値(動的安定度)は、(社)日本道路協会「舗装調査・試験法便覧」に規定されているホイールトラッキング試験方法に準拠して行った。日本の道路は、夏場には60℃程度の温度になることが実験的に確認されている。この状態で、その上を車が通過すると、流動変形して轍掘れ等が発生する。ホイールトラッキング試験は、この轍掘れの発生の程度を実験的に確認するために考案された試験であり、舗装材における耐流動性の指標である動的安定度を評価するために実施される試験である。具体的には、60℃に保持された恒温槽の中で、アスファルト混合物(試験体)上に所定の荷重をかけたタイヤを1時間往復走行させ、その変形量を測定した。
DS値(回/mm)は、試験開始後45分から60分までの15分間の変形量(mm)と、試験開始後45分から60分までの15分間のタイヤ走行回数(回)を用いて以下の数式(A)を用いて求める。
DS値(回/mm)=(45分〜60分までの間のタイヤ走行回数(回))/(45分〜60分までの間の変形量(mm))・・・・・・・・・(A)
このDS値が高いほど、アスファルトの強度が高く、轍掘れに強い舗装材料を提供できることを意味している。前記の舗装調査・試験法便覧にはDS値が6000回/mm以上となった場合は、DS値が6000回/mm以上と報告することになっているが、本発明では実際に得られたDS値を用いた。望ましいDS値は5000回/mm以上とした。
ジャイレトリー試験は、(社)日本道路協会「舗装調査・試験法便覧」に記載されている「ジャイレトリー試験機によるアスファルトの締固め試験法」に準拠して行った。ジャイレトリーの試験条件は、旋回角度1.25°、締め固め圧力600kPa、モールド直径10cm、旋回回転速度30rpmである。表中のジャイレトリー旋回回数は、アスファルト混合物が基準密度となるまでの回転数を示す。この旋回回数が少ないほどアスファルト混合物の締め固めが容易であることを示す。
以下、本発明を適用したポリマー改質アスファルト組成物において、効果を検証するため、改質材としての各種SBSと各種石油樹脂を使用した実施例と比較例について、詳細に説明をする。
比較例1は市販品を通常の170℃で混合し、150℃で締め固めた。その結果、ジャイレトリー旋回回数は80となり、DS値は目標値をクリアした。実際の施工では、この市販品と同程度の物性が求められる。このため、以下の実施例1〜9、比較例2〜9においては、混合温度を140℃とし、締固め温度を120℃と、この比較例1よりも30℃程度低減させているが、そのときのジャイレトリー旋回回数の合格基準は80以下としている。
比較例2においては、ジャイレトリー旋回回数が100より大きくなり、通常よりも低い温度での施工ができないことを示している。比較例3では石油樹脂を添加することによってジャイレトリーの旋回回数は低減することを示すが、市販品の80以下には至っていない。比較例4で、SBS1を5%として改善を試みた結果、ジャイレトリー旋回回数は改善されるが、DS値の低下が確認される。これらの結果から、25%トルエン溶液粘度が2000mPa・sを超えるSBS1を使用した場合には、貯蔵安定性は目標値を達成することができるものの、DS値やジャイレトリーにおいては目標値を達成することができないことが示されている。
比較例5と6並びに、実施例1は、本発明おいて規定した物性の範囲内にあるSBS2を使用した配合である。比較例5、6は、共にジャイレトリーが目標値を達成することができず、特に比較例6においては、貯蔵安定性についても目標値を達成することができなかった。これに対して、C9系石油樹脂1を添加した実施例1の配合においては、ジャイレトリ旋回回数、並びに強度面の双方において目標値をクリアしている。これにより、トルエン25%溶液粘度を2000mPa・s以下とすることによりSBSの分子量を小さくすると共に、石油樹脂を添加することによって目標値はクリアできることが示されている。
実施例2は、SBS3を使用して石油樹脂を添加した配合であり、140℃粘度の粘度を低減することなく、ジャイレトリー旋回数とDS値の目標値をクリアしている。
比較例7並びに実施例3〜9はSBS4を使用した配合であるが、石油樹脂を添加しない比較例7はジャイレトリーの目標値をクリアしない。これに対して実施例3〜9においては、石油樹脂の添加量を2〜6質量%の範囲内において変化させているが、何れもジャイレトリー旋回数とDS値の目標値をクリアしている。
比較例8、9は、スチレン含有量が50%を超えているSBS5を使用した配合であるが、ここではC9系石油樹脂1を添加しても目標値をクリアすることができない。特に、貯蔵安定性が悪く、ジャイレトリーの旋回回数も大きいことからアスファルト中におけるSBSの分散に問題が生じているものと思われる。また、一般的に、SBSの分子量が小さくなるに従ってDS値は低減する傾向が認められることから、SBS5の場合は、トルエン25%溶液粘度を著しく低減してもDS値がクリアできないことは容易に推測される。

Claims (2)

  1. ベースアスファルトと、
    スチレン含有量が30〜50質量%の範囲にあり、かつ、25%トルエン溶液粘度が150〜2,000mPa・sの範囲にあるスチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SBS):2〜8質量%と、石油樹脂:1〜10質量%とを含有すること
    を特徴とするポリマー改質アスファルト組成物。
  2. 剥離防止剤:0.05〜5.0質量%含有することを特徴とする請求項1記載のポリマー改質アスファルト組成物。
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