JP2012232557A - 画像形成装置、及び、画像形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】下層画像の硬化不良を抑制すること。
【解決手段】第1の光硬化型インクを吐出する第1のノズル群と、第2の光硬化型インクを吐出し、第1のノズル群よりも所定方向の一方側にずれて配置された第2のノズル群と、第1のノズル群の所定方向の他方側の端部から第2のノズル群の所定方向の一方側の端部までに亘って少なくとも所定方向に延びた光照射部と、第1のノズル群と第2のノズル群との所定方向の間にインクが吐出されない非吐出領域が設けられた状態で、ノズル群と光照射部を所定方向と交差する方向に移動させながらノズルから光硬化型インクを吐出させる吐出動作と媒体の搬送動作を繰り返し、第1の光硬化型インクによる主画像と第2の光硬化型インクによる背景画像とを重ねて形成させる制御部と、を有する画像形成装置。
【選択図】図5

Description

本発明は、画像形成装置、及び、画像形成方法に関する。
画像形成装置であるプリンターの中には、紫外線を照射すると硬化するインク(UVインク)を使用するものがある。ヘッドが移動しながらUVインクを吐出するプリンターの中には、ヘッドの移動方向における両端部に紫外線の照射光源が設けられたものがある(例えば、特許文献1を参照)。このようなプリンターでは、媒体上に着弾したUVインクを直ぐに硬化させることが出来る。
特開2005−254560号公報
ただし、ヘッドの1回の移動動作(パス)で媒体上のUVインクに照射可能な紫外線の照射量は少なく、1回のパスでは媒体上のUVインクを十分に硬化出来ない虞がある。そのため、主画像と背景画像を重ねて印刷する場合に、下層画像を印刷したパスの直後のパスで上層画像が重ねて印刷されてしまうと、下層画像の硬化が不十分な状態で上層画像が重ねられてしまう。
そこで、本発明では、下層画像の硬化不良を抑制することを目的とする。
前記課題を解決する為の主たる発明は、(A)第1の光硬化型インクを吐出するノズルが所定方向に並ぶ第1のノズル群と、(B)第2の光硬化型インクを吐出するノズルが前記所定方向に並び、前記第1のノズル群よりも前記所定方向の一方側にずれて配置された第2のノズル群と、(C)前記光硬化型インクに光を照射して前記光硬化型インクを硬化させる光照射部であって、前記第1のノズル群の前記所定方向の他方側の端部から前記第2のノズル群の前記所定方向の前記一方側の端部までに亘って少なくとも前記所定方向に延びて配置された光照射部と、(D)前記ノズル群及び前記光照射部と媒体とを前記所定方向と交差する移動方向に相対移動させながら前記ノズルから前記光硬化型インクを吐出させる吐出動作と、前記ノズル群及び前記光照射部と前記媒体とを前記所定方向に相対移動させる搬送動作とを、繰り返し実行させる制御部であって、前記第1のノズル群と前記第2のノズル群との前記所定方向の間にインクが吐出されない非吐出領域が設けられた状態で、前記第1の光硬化型インクによる主画像と前記第2の光硬化型インクによる背景画像とを重ねて形成させる制御部と、(E)を有することを特徴とする画像形成装置である。
本発明の他の特徴は、本明細書、及び添付図面の記載により、明らかにする。
プリンターの全体構成ブロック図である。 図2Aはプリンターの概略斜視図であり、図2Bはキャリッジの周辺を説明する図である。 プリンターが有する印刷モードを説明する図である。 図4Aは比較例の印刷方法で使用するノズルを説明する図であり、図4Bは比較例の印刷方法を説明する図である。 図5Aは実施例1の印刷方法で使用するノズルを説明する図であり、図5Bは実施例1の印刷方法を説明する図である。 実施例2の印刷方法を説明する図である。 実施例2の印刷方法を説明する図である。 実施例2の印刷方法を説明する図である。 照射用ノズル群の搬送方向の長さを決定するフローの一例である。
===開示の概要===
本明細書の記載、及び添付図面の記載により、少なくとも次のことが明らかとなる。
即ち、(A)第1の光硬化型インクを吐出するノズルが所定方向に並ぶ第1のノズル群と、(B)第2の光硬化型インクを吐出するノズルが前記所定方向に並び、前記第1のノズル群よりも前記所定方向の一方側にずれて配置された第2のノズル群と、(C)前記光硬化型インクに光を照射して前記光硬化型インクを硬化させる光照射部であって、前記第1のノズル群の前記所定方向の他方側の端部から前記第2のノズル群の前記所定方向の前記一方側の端部までに亘って少なくとも前記所定方向に延びて配置された光照射部と、(D)前記ノズル群及び前記光照射部と媒体とを前記所定方向と交差する移動方向に相対移動させながら前記ノズルから前記光硬化型インクを吐出させる吐出動作と、前記ノズル群及び前記光照射部と前記媒体とを前記所定方向に相対移動させる搬送動作とを、繰り返し実行させる制御部であって、前記第1のノズル群と前記第2のノズル群との前記所定方向の間にインクが吐出されない非吐出領域が設けられた状態で、前記第1の光硬化型インクによる主画像と前記第2の光硬化型インクによる背景画像とを重ねて形成させる制御部と、(E)を有することを特徴とする画像形成装置である。
このような画像形成装置によれば、下層画像の硬化不良を抑制することができ、下層画像が十分に硬化した状態で上層画像を重ねることができるので、画像の品質劣化を抑制することができる。
かかる画像形成装置であって、前記主画像を構成する前記移動方向に沿うドット列を、間に前記搬送動作を含む複数回の前記吐出動作によって形成し、前記背景画像を構成する前記移動方向に沿うドット列を、間に前記搬送動作を含む複数回の前記吐出動作によって形成すること。
このような画像形成装置によれば、先の吐出動作で形成された下層画像の部位と後の吐出動作で形成された下層画像の部位との硬化度合いの違いによる画像の色むらを抑制することができる。
かかる画像形成装置であって、前記第1のノズル群の前記所定方向の長さに対する前記非吐出領域の前記所定方向の長さの比率、及び、前記第2のノズル群の前記所定方向の長さに対する前記非吐出領域の前記所定方向の長さの比率が、可変であること。
このような画像形成装置によれば、下層画像の硬化不良を抑制しつつ、画像形成時間を短縮することができる。
かかる画像形成装置であって、前記比率が第1の値である場合に比べて、前記比率が前記第1の値よりも小さい第2の値である場合の方が、前記光照射部からの光の照射強度が強いこと。
このような画像形成装置によれば、下層画像の硬化不良を抑制しつつ、画像形成時間を短縮することができる。
かかる画像形成装置であって、前記第1のノズル群の前記所定方向の長さ、前記第2のノズル群の前記所定方向の長さ、及び、前記非吐出領域の前記所定方向の長さが、前記搬送動作における前記ノズル群及び前記光照射部と前記媒体との前記所定方向の相対移動量の整数倍の長さであること。
このような画像形成装置によれば、各画像を構成するドット列を形成するノズル数を一定にすることができ、また、下層画像の形成後に下層画像に光を照射する時間を一定にすることができる。
また、(A)第1の光硬化型インクを吐出するノズルが所定方向に並ぶ第1のノズル群と、(B)第2の光硬化型インクを吐出するノズルが前記所定方向に並び、前記第1のノズル群よりも前記所定方向の一方側にずれて配置された第2のノズル群と、(C)前記光硬化型インクに光を照射して前記光硬化型インクを硬化させる光照射部であって、前記第1のノズル群の前記所定方向の他方側の端部から前記第2のノズル群の前記所定方向の前記一方側の端部までに亘って少なくとも前記所定方向に延びて配置された光照射部と、(D)前記ノズル群及び前記光照射部と媒体とを前記所定方向と交差する移動方向に相対移動させながら前記ノズルから前記光硬化型インクを吐出させる吐出動作と、前記ノズル群及び前記光照射部と前記媒体とを前記所定方向に相対移動させる搬送動作とを、繰り返し実行させる制御部であって、前記第1のノズル群と前記第2のノズル群との前記所定方向の間にインクが吐出されない非吐出領域が設けられた状態で、前記第1の光硬化型インクによる主画像と前記第2の光硬化型インクによる背景画像とを重ねて形成させる制御部と、(E)を有する画像形成装置を用いて前記媒体に画像を形成することを特徴とする画像形成方法である。
このような画像形成方法によれば、下層画像の硬化不良を抑制することができ、下層画像が十分に硬化した状態で上層画像を重ねることができるので、画像の品質劣化を抑制することができる。
===印刷システム===
画像形成装置をインクジェットプリンター(以下、プリンター)とし、プリンターとコンピューターが接続された印刷システムを例に挙げて、実施形態を説明する。
図1は、プリンター1の全体構成ブロック図であり、図2Aは、プリンター1の概略斜視図であり、図2Bは、キャリッジ31の周辺を説明する図である。なお、図2Bでは、ヘッド41の上方から見たノズルの配列を仮想的に示す。
本実施形態のプリンター1は、紫外線の照射によって硬化する紫外線硬化型インクを吐出することにより、媒体S(例:用紙、布、フィルム)に画像を印刷する。なお、紫外線硬化型インク(以下、UVインク)は、紫外線硬化樹脂を含むインクであり、紫外線の照射を受けると紫外線硬化樹脂において光重合反応が起こることにより硬化する。
コンピューター70は、プリンター1と通信可能に接続されており、プリンター1に画像を印刷させるための印刷データをプリンター1に出力する。
コントローラー10は、プリンター1の制御を行うための制御ユニットである。インターフェース部11はコンピューター70とプリンター1との間でデータの送受信を行うためのものである。CPU12はプリンター1全体の制御を行うための演算処理装置である。メモリー13はCPU12のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものである。CPU12はユニット制御回路14により各ユニットを制御する。なお、プリンター1内の状況を検出器群60が監視し、その検出結果に基づいて、コントローラー10は各ユニットを制御する。
搬送ユニット20は、媒体Sを印刷可能な位置に送り込み、印刷時には搬送方向に所定の搬送量で媒体Sを搬送するためのものである。
キャリッジユニット30は、キャリッジ31に搭載されたヘッド41等を、搬送方向と交差する移動方向に移動するためのものである。
ヘッドユニット40は、媒体Sにインクを吐出するためのものであり、ヘッド41を有する。ヘッド41の下面には、図2Bに示すように、インクを吐出するノズルが搬送方向に所定の間隔(ノズルピッチD)おきに並んだノズル列が複数形成されている。説明のため、ノズル列に属するノズルのうち、搬送方向下流側のノズルから順に小さい番号を付す(#1、#2…)。
本実施形態のプリンター1は5色のインク(YMCK・W)を吐出可能とし、ヘッド41には、イエローインクを吐出するイエローノズル列Yと、マゼンタインクを吐出するマゼンタノズル列Mと、シアンインクを吐出するシアンノズル列Cと、ブラックインクを吐出するブラックノズル列Kと、白インクを吐出するホワイトノズル列Wが、形成されている。
なお、ノズルはインクが充填されたインク室に連通し、ノズルからのインク吐出方式は、駆動素子(ピエゾ素子)に電圧をかけてインク室を膨張・収縮させることによりノズルからインクを吐出させるピエゾ方式でもよいし、発熱素子を用いてノズル内に気泡を発生させ、その気泡によってノズルからインクを吐出させるサーマル方式でもよい。
このようなプリンター1では、ヘッド41が移動方向に移動しながらノズルからインクを吐出する吐出動作と、媒体Sが搬送方向に搬送される搬送動作と、が繰り返される。その結果、先の吐出動作により形成されたドットの位置とは異なる媒体S上の位置に、後の吐出動作にてドットが形成されるため、媒体S上に2次元の画像を印刷することができる。以下、ヘッド41による1回の吐出動作を「パス」とも呼ぶ。
照射ユニット50は、媒体Sに着弾したUVインクに紫外線を照射して、UVインクを硬化させるためのものであり、仮照射部51と本照射部52を有する。なお、紫外線照射の光源として、例えば、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)や、メタルハライドランプ、水銀ランプなどが挙げられる。また、照射部による単位面積あたりの紫外線の照射量(照射エネルギー(mJ/cm))は、紫外線の照射強度(mW/cm)と照射時間(s)の積で定められる。
仮照射部51a,51bは、図2Bに示すように、キャリッジ31の移動方向における両端部に設けられ、キャリッジ31の移動に伴ってヘッド41と共に移動方向に移動する。なお、仮照射部51a,51bとノズル列の搬送方向の位置は等しく、仮照射部51a,51bの搬送方向の長さはノズル列の搬送方向の長さ以上である。よって、移動方向への移動中にヘッド41から吐出されたUVインクは、媒体Sに着弾すると直ぐに、仮照射部51a,51bにより紫外線が照射される。
キャリッジ31が移動方向の左側に移動する往路時には、ヘッド41から吐出されたUVインクは、移動方向の右側に位置する第1仮照射部51aにより紫外線が照射される。逆に、キャリッジ31が移動方向の右側に移動する復路時には、ヘッド41から吐出されたUVインクは、移動方向の左側に位置する第2仮照射部51bにより紫外線が照射される。
本照射部52は、キャリッジ31よりも搬送方向の下流側に固定して設けられている。本照射部52の移動方向の長さは媒体Sの移動方向の長さ以上であり、本照射部52の下を通過する媒体S上のUVインクに紫外線が照射される。よって、本照射部52により、媒体S上のUVインクは完全に硬化され、UVインクによる画像が完成する。
===印刷モード===
図3は、プリンター1が有する印刷モードを説明する図である。4色のインク(YMCK)を使用して印刷する主画像(カラー画像やモノクロ画像)に、白インク(W)を使用して印刷する背景画像を重ねて印刷する場合がある。そうすることで、例えば、媒体が白色でない場合に主画像の発色性を良くしたり、媒体が透明である場合に主画像の反対側が透けてしまうことを防止したりすることが出来る。
主画像と背景画像を重ねて印刷する場合、プリンター1は、「表刷りモード」と「裏刷りモード」の何れか一方のモードにて印刷を行う。表刷りモードは、主画像を印刷面側から視認するように印刷するモードであり、媒体の所定領域に対して背景画像が先に印刷され、背景画像上に主画像が印刷される。裏刷りモードは、媒体を介して主画像を視認するように印刷するモードであり、媒体の所定領域に対して主画像が先に印刷され、主画像上に背景画像が印刷される。
===比較例の印刷方法===
図4Aは、比較例の印刷方法で使用するノズルを説明する図であり、図4Bは、比較例の印刷方法を説明する図である。以下、主画像と背景画像を重ねて印刷する比較例の印刷方法について、背景画像上に主画像を重ねる「表刷りモード」を例に挙げて説明する。図では、1ノズル列に属するノズル数を減らし(#1〜#8)、4色のインク(YMCK)を各々吐出するノズル列をまとめて「カラーノズル列Co」として示す。
また、説明の容易のために、キャリッジ31が移動方向の左側に移動する時(往路時)にだけヘッド41がインクを吐出する印刷方法(所謂、単方向印刷)を例に挙げる。そして、ヘッド41が移動する側の反対側(右側)に設けられた第1仮照射部51aだけが紫外線を照射し、ヘッド41が移動する側(左側)に設けられた第2仮照射部51b(不図示)は紫外線を照射しないとする。
比較例の表刷りモードでは、ホワイトノズル列Wに属するノズル(#1〜#8)のうち、搬送方向下流側の半分のノズル群(#1〜#4)を不使用ノズル群とし、搬送方向上流側の半分のノズル群(#5〜#8)を、背景画像を印刷するために使用するノズル群(背景画像用ノズル群)とする。一方、カラーノズル列Coに属するノズル(#1〜#8)のうち、搬送方向下流側の半分のノズル群(#1〜#4)を、主画像を印刷するために使用するノズル群(主画像用ノズル群)とし、搬送方向上流側の半分のノズル群(#5〜#8)を不使用ノズル群とする。
ここでは、主画像と背景画像が、それぞれ4回のパスで異なるノズルにより印刷されるとする。即ち、各画像を構成する移動方向に沿うドット列(以下、ラスターライン)が4回のパスで異なるノズルにより完成されるとする。また、1回のパスで、移動方向に並ぶ画素領域(印刷解像度に応じて媒体上に規定される単位領域)のうちの1/4の画素領域にドットが形成され、4回のパスで移動方向に並ぶ全画素領域にドットが形成されるとする。
そのために、図4Bに示すように、1回の媒体搬送量をノズルピッチDとする。つまり、プリンター1は、主画像用ノズル群と背景画像用ノズル群による吐出動作と、媒体を搬送方向下流側に搬送量Dで搬送する搬送動作とを、交互に繰り返す。なお、図4Bでは、主画像用ノズル群(●)と背景画像用ノズル群(○)を1つのノズル列で示す。また、実際にはヘッド41に対して媒体が搬送方向下流側に搬送されるが、図4Bでは、各パスのヘッド41の相対位置関係を示すために、ヘッド41を搬送方向上流側にずらして示す。
その結果、パス1にて、媒体上の搬送方向における位置Aは背景画像用ノズル群(Wの#8)と対向し、位置Aには白インクが吐出され、第1仮照射部51aが位置Aに着弾した白インクに紫外線を照射する。その後のパス2〜パス4でも、位置Aは背景画像用ノズル群(Wの#5〜#7)と対向し、位置Aには白インクが吐出され、その白インクに紫外線が照射される。即ち、媒体上の位置Aには、パス1〜パス4で、背景画像の一部(背景画像を構成するラスターライン)が印刷される。
その後、背景画像の印刷が完了したパス4の次のパス5にて、媒体上の位置Aは主画像用ノズル群(Coの#4)と対向し、位置Aの背景画像上に4色インク(YMCK)が吐出され、その4色インクに紫外線が照射される。その後のパス6〜パス8でも、位置Aは主画像用ノズル群(Coの#1〜#3)と対向し、位置Aには4色インクが吐出され、その4色インクに紫外線が照射される。即ち、媒体上の位置Aに既に印刷されている背景画像の一部の上に、パス5〜パス8で主画像の一部(主画像を構成するラスターライン)が印刷され、表刷りモードに応じた順に画像が重ねて印刷される。
なお、裏刷りモード(不図示)では、逆に、ホワイトノズル列Wの搬送方向下流側の半分のノズル群(#1〜#4)を背景画像用ノズル群とし、カラーノズル列Coの搬送方向上流側の半分のノズル群(#5〜#8)を主画像用ノズル群とする。
このように、主画像と背景画像を重ねて印刷する場合に、先に印刷する画像(下層画像)用のノズル群を、後に印刷する画像(上層画像)用のノズル群よりも、搬送方向の上流側にずれて配置されたノズル群とする。そうすることで、媒体の所定領域は上層画像用ノズル群よりも先に下層画像用ノズル群と対向するので、異なるパスで下層画像上に上層画像を重ねて印刷することが出来る。
ただし、比較例の印刷方法では、下層画像用ノズル群(図4Aの背景画像用ノズル群・Wの#5〜#8)の直ぐ下流側のノズル群を、上層画像用ノズル群(図4Aの主画像用ノズル群・Coの#1〜#4)としている。即ち、下層画像用ノズル群と上層画像用ノズル群との搬送方向の間隔を、ノズルピッチD、及び、媒体の搬送量Dと等しくしている。そのため、媒体の所定領域に対する下層画像の印刷が完了するパスの次のパスで、下層画像上に上層画像が重ねて印刷されてしまう。
つまり、比較例の印刷方法では、媒体の所定領域に対して下層画像の印刷が完了するパスと上層画像の印刷を開始するパスとの間に他のパスが含まれることは無く、下層画像と上層画像を印刷する時間間隔が短い。
ところで、キャリッジ31に設けられた仮照射部51aは、移動方向に移動しながら、媒体上のUVインクに紫外線を照射する。そのため、仮照射部51aが1回のパスで媒体上のUVインクに紫外線を照射する時間は短く、仮照射部51aが1回のパスで媒体上のUVインクに照射可能な紫外線の照射量(照射エネルギー)は小さい。よって、1回のパスで仮照射部51aから照射される紫外線の照射量では、媒体上のUVインクは十分に硬化しない。
そのため、比較例の印刷方法のように、下層画像の印刷が完了した次のパスで上層画像を重ねて印刷する印刷方法では、下層画像の硬化が不十分な状態で、上層画像が重ねて印刷されてしまう虞がある。特に、媒体の所定領域の下層画像を複数回のパスで印刷する場合、最後のパスで印刷された下層画像の部位は、最後の1回のパスだけでしか仮照射部51aにより紫外線が照射されていない状態で、上層画像が重ねられてしまう。
例えば、図4Bに示す印刷方法において、媒体上の位置Aにパス1で印刷された背景画像の部位は、パス1〜パス4の4回に亘って仮照射部51aにより紫外線が照射されるが、媒体上の位置Aにパス4で印刷された背景画像の部位は、パス4の1回だけしか仮照射部51aにより紫外線が照射されない。そのため、パス4で印刷された背景画像の部位は、特に、硬化度合いが低い状態で、上層画像が重ねられてしまう。
下層画像の硬化が不十分な状態で上層画像が重ねて印刷されてしまうと、例えば、画像が剥がれたり、インクの凝集・滲みなどの問題が生じたり、下層画像に上層画像が埋もれて2つの画像を重ねて印刷することが出来なかったりしてしまう。また、下層画像を複数回のパスで印刷する場合、先のパスで印刷された下層画像の部位と後のパスで印刷された下層画像の部位とで、仮照射部51aにより紫外線が照射されるパス数が異なり、硬化度合いが異なってしまう。その結果、画像に色むらが生じてしまう。つまり、比較例の印刷方法のように、下層画像の硬化が不十分な状態で上層画像を重ねて印刷してしまうと、画像の品質が低下してしまう。
===本実施形態の印刷方法:実施例1===
図5Aは、本実施形態(実施例1)の印刷方法で使用するノズルを説明する図であり、図5Bは、本実施形態(実施例1)の印刷方法を説明する図である。以下、主画像と背景画像を重ねて印刷する本実施形態の印刷方法を、表刷りモードを例に挙げて説明する。
説明の容易のために、比較例の印刷方法と同様に、往路時にだけヘッド41がインクを吐出し、第1仮照射部51aだけが紫外線を照射することとする。また、主画像と背景画像をそれぞれ構成するラスターラインは4回のパスで異なるノズルにより印刷され、各パスで移動方向に並ぶ画素領域の1/4にドットが形成されるとし、1回の搬送動作における媒体の搬送量をノズルピッチDとする。
そして、図5Aに示すように、本実施形態の印刷方法では、表刷りモードの場合、ホワイトノズル列Wに属するノズル(#1〜#12)のうち、搬送方向下流側の1/3のノズル群(#1〜#4)を不使用ノズル群とし、搬送方向上流側の1/3のノズル群(#9〜#12)を背景画像用ノズル群とし、搬送方向中央の1/3のノズル群(#5〜#8)を「照射用ノズル群」とする。一方、カラーノズル列Coに属するノズル(#1〜#12)のうち、搬送方向下流側の1/3のノズル群(#1〜#4)を主画像用ノズル群とし、搬送方向上流側の1/3のノズル群(#9〜#12)を不使用ノズル群とし、搬送方向中央の1/3のノズル群(#5〜#8)を「照射用ノズル群」とする。
「照射用ノズル群」は、不使用ノズル群と同様に、媒体にインクを吐出しないノズル群である。ただし、不使用ノズル群は画像を印刷するノズル群(主画像用ノズル群や背景画像用ノズル群)と移動方向に並ぶので、あるパスで不使用ノズル群と対向する媒体の部位にはインクが吐出される。一方、ホワイトノズル列Wとカラーノズル列Coの各照射用ノズル群の搬送方向の位置は等しく、照射用ノズル群同士が移動方向に並ぶ。よって、あるパスで照射用ノズル群と対向する媒体の部位には、インクが吐出されず、仮照射部51a,51bにより紫外線が照射されるだけである。つまり、照射用ノズル群は、対向する媒体の部位に既に着弾しているUVインクに仮照射部51a,51bが紫外線を照射する照射専用のパスを設けるためのノズル群である。
このようなノズル設定において、プリンター1は、主画像用ノズル群と背景画像用ノズル群による吐出動作と、媒体を搬送方向下流側に搬送量Dで搬送する搬送動作とを、交互に繰り返す。その結果、図5Bに示すように印刷が行われる。
媒体上の搬送方向における位置Aは、まず、パス1〜パス4で、背景画像用ノズル群(Wの#9〜#12)と対向し、位置Aには白インクが吐出され、第1仮照射部51aが位置Aに着弾した白インクに紫外線を照射する。即ち、位置Aには、パス1〜パス4で、背景画像の一部(背景画像を構成するラスターライン)が印刷される。
その後、媒体上の位置Aはパス5〜パス8で照射用ノズル群(W,Coの#5〜#8)と対向するので、位置Aにはインクが吐出されず、第1仮照射部51aが位置Aに着弾している白インクに紫外線を照射するだけとなる。よって、パス1〜パス4で位置Aに印刷された背景画像の一部は、直ぐ次のパス5で主画像を重ねられてしまうことはなく、パス5〜パス8で第1仮照射部51aが照射する紫外線により十分に硬化する。
その後、媒体上の位置Aはパス9〜パス12で主画像用ノズル群(Coの#1〜#4)と対向し、位置Aの背景画像上に4色インクが吐出され、第1仮照射部51aが位置Aに着弾している4色インクに紫外線を照射する。即ち、パス5〜パス8で十分に硬化した位置Aの背景画像の一部の上に、パス9〜パス12で、主画像の一部(主画像を構成するラスターライン)が重ねて印刷される。
なお、裏刷りモード(不図示)では、逆に、ホワイトノズル列Wの搬送方向下流側の1/3のノズル群(#1〜#4)を背景画像用ノズル群とし、カラーノズル列Coの搬送方向上流側の1/3のノズル群(#9〜#12)を主画像用ノズル群とし、各ノズル列W,Coの搬送方向中央の1/3のノズル群(#5〜#8)を照射用ノズル群とする。この場合、媒体の所定領域に主画像が印刷された後、媒体の所定領域は照射用ノズル群と対向するため、主画像が仮照射部51aにより十分に硬化された状態で、主画像上に背景画像を印刷することができる。
このように主画像と背景画像を重ねて印刷する場合に、本実施形態では、プリンター1のコントローラー10(制御部)が、4色インク(第1の光硬化型インク)を吐出するノズルが搬送方向(所定方向)に並ぶカラーノズル列Coの一部を「主画像用ノズル群(第1のノズル群)」に設定し、白インク(第2の光硬化型インク)を吐出するノズルが搬送方向に並ぶホワイトノズル列Wの一部であり、主画像用ノズル群よりも搬送方向の一方側にずれて配置されたノズル群を「背景画像用ノズル群(第2のノズル群)」に設定する。この時、コントローラー10は、主画像と背景画像のうち、媒体の所定領域に対して先に形成する画像用のノズル群を、後に形成する画像用のノズル群よりも、搬送方向の上流側にずれて配置されたノズル群とする。
更に、コントローラー10は、各ノズル列W,Coについて、主画像用ノズル群と背景画像用ノズル群との搬送方向の間に、インクを吐出しない「照射用ノズル群」を設ける。つまり、コントローラー10は、主画像用ノズル群と背景画像用ノズル群との搬送方向の間にインクが吐出されない「非吐出領域(照射用ノズル群が位置する領域)」を設けた状態で、ノズル列W,Coと仮照射部51a,51bを移動方向に移動させながらノズルからインクを吐出させる吐出動作と媒体の搬送動作とを繰り返し実行させて、主画像と背景画像を重ねて印刷させる。
なお、背景画像用ノズル群が主画像用ノズル群よりも搬送方向の一方側にずれている場合、仮照射部51a,51b(光照射部)は、主画像ノズル群の搬送方向における他方側の端部から背景画像用ノズル群の搬送方向における一方側の端部までに亘って少なくとも搬送方向に延びているようにする。即ち、照射用ノズル群の搬送方向の位置と等しい位置に仮照射部51a,51bが存在するようにする。
そうすることで、印刷モードに応じた順に主画像と背景画像を異なるパスで重ねて印刷することができ、また、媒体の所定領域に対する下層画像の印刷が完了した後に、媒体の所定領域と上層画像を印刷するノズル群とを対向させるのではなく、媒体の所定領域(下層画像)と照射用ノズル群(非吐出領域)とを対向させることができる。即ち、媒体の所定領域に対する下層画像の印刷が完了してから上層画像が重ねて印刷されるまでの間に、インクが吐出されずに、仮照射部51a,51bが紫外線を照射するだけのパスを設けることができる。
つまり、本実施形態の印刷方法(図5)は比較例の印刷方法(図4)に比べて、上層画像を重ねる前に下層画像に紫外線を照射する時間を長くすることができ(仮照射部51a,51bが紫外線を照射するだけのパスを設けることができ)、下層画像を十分に硬化した状態で上層画像を重ねて印刷することができる。その結果、本実施形態では、画像の剥がれや、インクの凝集・滲みや、上層画像が下層画像に埋もれてしまう問題を、防止することができ、画像の品質低下を防止することができる。
また、本実施形態では、主画像を構成するラスターラインと背景画像を構成するラスターラインを、それぞれ、間に搬送動作を含む複数回のパス(吐出動作)によって形成する。この場合、先のパスで印刷された下層画像の部位と後のパスで印刷された下層画像の部位とで紫外線が照射されるパス数が異なるので、硬化度合いの違いによる画像の色むらが生じ易い。しかし、本実施形態の印刷方法では、下層画像の印刷後に媒体が照射用ノズル群と対向するため、後のパスで印刷された下層画像の部位も仮照射部51a,51bにより十分に硬化される。そのため、先のパスで印刷される下層画像の部位と後のパスで印刷される下層画像の部位との硬化度合いの違いによる色むらを抑制することができる。
ゆえに、各画像を構成するラスターラインを複数回のパスで印刷する場合、本実施形態の印刷方法のように主画像用ノズル群と背景画像用ノズル群との間に照射用ノズル群を設けて印刷することが、より有効である。また、各画像を構成するラスターラインを複数の異なるノズルで印刷することができ、不良ノズルによる画像の画質劣化を抑制することができる。
また、図5では、主画像用ノズル群及び背景画像用ノズル群の各搬送方向の長さ(4D)と照射用ノズル群の搬送方向の長さ(4D)とを等しくしている。また、主画像用ノズル群及び背景画像用ノズル群の搬送方向の長さ(4D)と、照射用ノズル群の搬送方向の長さ(4D)とが、1回の搬送動作における媒体搬送量(D)の整数倍(4倍)の長さとなっている。
仮に、主画像用ノズル群、背景画像用ノズル群、及び、照射用ノズル群の各搬送方向の長さ(4D)が媒体搬送量(D)の整数倍でなく、例えば、媒体搬送量が3Dであったとする。この場合、媒体の搬送方向の位置によって、媒体と対向する各ノズル群のノズル数が変動してしまう。その結果、例えば、2つの主画像用ノズルにより印刷されたラスターラインと1つの主画像用ノズルにより印刷されたラスターラインとが主画像内に存在することになり、主画像に色むらが生じ、印刷制御も複雑になってしまう。また、2つの照射用ノズルに対向する媒体領域と1つの照射用ノズルに対向する媒体領域とが存在することになり、下層画像に紫外線を照射する時間にばらつきが生じてしまう。そうすると、下層画像の硬化が不十分な領域が生じたり、下層画像の硬化度合いの違いによる色むらが生じたりしてしまう。
そこで、本実施形態(図5)のように、主画像用ノズル群の搬送方向の長さ、背景画像用ノズル群の搬送方向の長さ、及び、照射用ノズル群(非吐出領域)の搬送方向の長さ(4D)を、1回の搬送動作における媒体搬送量(D)の整数倍の長さにする。なお、非吐出領域の搬送方向の長さとは、下層画像を印刷するノズル群の搬送方向における下流側端部から上層画像を印刷するノズル群の搬送方向における上流側端部までの搬送方向の長さである。
そうすることで、主画像を構成するラスターライン、及び、背景画像を構成するラスターラインをそれぞれ印刷するノズル数(パス数)を一定にすることができ、画像の色むらを抑制することができ、印刷制御を容易にできる。
また、搬送方向の位置によらずに媒体が照射用ノズル群と対向するパス数を一定にすることができ、下層画像の印刷が完了してから上層画像を重ねて印刷するまでの間に、下層画像に紫外線を照射する時間を一定にすることができる。よって、下層画像を全域に亘って十分に硬化することができ、画像の色むらを抑制することができる。
なお、ここまで、説明の容易のために、単方向印刷を例に挙げたが、これに限らない。ヘッド41が移動方向の左側に移動する時にも右側に移動する時にもヘッド41からインクを吐出する印刷方法(所謂、双方向印刷)を実施してもよい。
また、ヘッド41が移動する方向に関係なく、常に、2つの仮照射部51a,51bが紫外線を照射するようにしてもよい。そうすることで、あるパスでヘッド41から吐出されたUVインクは、そのパスで、ヘッド41が移動する側の反対側に設けられた仮照射部51により紫外線が照射されるだけでなく、次のパスでヘッド41が新たにUVインクを吐出する前に、ヘッド41が移動する側に設けられた仮照射部51により紫外線が照射される。そのため、下層画像に照射する紫外線の照射量を増やすことができ、下層画像をより硬化させた状態で上層画像を重ねて印刷することができる。逆に言えば、2つの仮照射部51a,51bが紫外線を照射するようにすることで、照射用ノズル群に属するノズル数を減らし、仮照射部51a,51bが下層画像に紫外線を照射するためだけのパス数を減らすことができる。
また、図5Aでは、仮照射部51aとノズル列W,Coの搬送方向の長さ及び搬送方向の位置を等しくしているが、これに限らない。例えば、仮照射部51a,51bをノズル列W,Coよりも搬送方向の下流側に延ばしてもよい。この場合、上層画像の所定の部位の印刷が完了した後に、その上層画像の部位は搬送方向下流側に延びた仮照射部51と対向し、その上層画像の部位に紫外線が照射されるので、その上層画像の部位を十分に硬化することができる。ただし、本実施形態のプリンター1(図2B)では、キャリッジ31の搬送方向下流側に本照射部52が設けられているため、仮照射部51a,51bを搬送方向の下流側に延ばさなくても、上層画像を十分に硬化することができる。また、本照射部52の無いプリンター1でもよい。
また、ここまで、1回のパスで、移動方向に並ぶ画素領域の1/4にドットを形成し、4回のパスで移動方向に並ぶ全画素領域にドットを形成するとしているが、これに限らない。例えば、1つの画素領域に同色のドットを重ねて印刷するようにしてもよい。即ち、各パスで移動方向に並ぶ全画素領域にドットを形成し、4回のパスで1つの画素領域に同色のドットが4個重ねて形成されるようにしてもよい。そうすることで、UVインクによる媒体の埋まりを良くすることができ、画像の濃度を高めることができる。
===本実施形態の印刷方法:実施例2===
図6Aから図6Cは、実施例2の印刷方法を説明する図である。図では、表刷りモードを例に挙げて説明する。前述の実施例1(図5)では、照射用ノズル群の搬送方向の長さが、主画像用ノズル群の搬送方向の長さ、及び、背景画像用ノズル群の搬送方向の長さと等しい場合だけを示し、照射用ノズル群の搬送方向の長さを固定している。
しかし、UVインクの特性や、所望する画像の画質や、上層画像を重ねる前に必要な下層画像の硬化度合い等に応じて、媒体の所定領域に対する下層画像の印刷完了後から上層画像の印刷開始までの間に下層画像に照射すべき紫外線の照射量が異なる。
そこで、実施例2では、種々の条件に応じて、媒体の所定領域に対する下層画像の印刷完了後から上層画像を重ねて印刷するまでの間に下層画像に照射する紫外線の照射量を可変とする。即ち、下層画像の印刷後に、媒体の所定領域(下層画像)が照射用ノズル群と対向するパス数を可変とする。
そのために、実施例2では、主画像用ノズル群(第1のノズル群)の搬送方向の長さに対する照射用ノズル群(非吐出領域)の搬送方向の長さの比率、及び、背景画像用ノズル群(第2のノズル群)の搬送方向の長さに対する照射用ノズル群の搬送方向の長さの比率を、可変とする。言い換えると、主画像用ノズル群に属するノズル数、及び、背景画像用ノズル群に属するノズル数に対する照射用ノズル群に属するノズル数の比率を可変とする。
例えば、上層画像を重ねて印刷する前に下層画像に照射しなければならない紫外線の照射量が多い場合には、前述の実施例1の図5に示すように、主画像用ノズル群及び背景画像用ノズル群の各搬送方向の長さ(4D)に対する照射用ノズル群の搬送方向の長さ(4D)の比率を1(=4D/4D)にする。そうすることで、媒体の所定領域は、下層画像の印刷後に、各画像を印刷するパス数と同じパス数に亘って照射用ノズル群と対向することができ、上層画像を重ねて印刷する前に下層画像に多量の紫外線を照射することができる。
一方、上層画像を重ねて印刷する前に下層画像に照射しなければならない紫外線の照射量が少ない場合には、図6Aに示すように、主画像用ノズル群及び背景画像用ノズル群の各搬送方向の長さ(4D)に対する照射用ノズル群の搬送方向の長さ(3D)の比率3/4(=3D/4D)を1よりも小さくするとよい。
この場合、媒体上の搬送方向における位置Aには、パス1〜パス4で背景画像が印刷され、その後のパス5〜パス7で仮照射部51aにより背景画像に紫外線が照射され、その後のパス8〜パス11で背景画像上に主画像が印刷される。即ち、この図6Aでは、前述の図5に比べて、下層画像の印刷後に媒体の所定領域が照射用ノズル群と対向するパス数が4パスから3パスに減り、上層画像を重ねて印刷する前に下層画像に照射される紫外線の照射量が少なくなる。
また、上層画像を重ねて印刷する前に下層画像に照射する紫外線の照射量を更に少なくする場合には、図6Bに示すように、主画像用ノズル群及び背景画像用ノズル群の各搬送方向の長さ(4D)に対する照射用ノズル群の搬送方向の長さ(2D)の比率1/2(=2D/4D)を、図6Aの比率(3/4)よりも更に小さくするとよい。この場合、下層画像の印刷後に媒体の所定領域が照射用ノズル群と対向するパス数が2パスとなり、上層画像を重ねて印刷する前に下層画像に照射される紫外線の照射量が更に少なくなる。
このように、上層画像を重ねて印刷する前に下層画像に照射する紫外線の照射量を多くする必要がある場合には、主画像用ノズル群及び背景画像用ノズル群の各搬送方向の長さに対する照射用ノズル群の搬送方向の長さの比率を大きくし、下層画像に照射する紫外線の照射量が少なくて良い場合には、前記比率を小さくする。
照射用ノズル群の搬送方向の長さが長いほど、インクが吐出されないパス数が増え、画像を印刷するノズル群の搬送方向の長さが短くなるので、印刷時間が長くなってしまう。そのため、この実施例2のように、上層画像を重ねて印刷する前に下層画像の硬化に必要な紫外線の照射量に応じて照射用ノズル群の搬送方向の長さを短くすることで、印刷画像の品質劣化を抑制しつつ、印刷時間を短縮することができる。また、画像を印刷するノズル群の搬送方向の長さを所定の長さにするために、ノズル列の搬送方向の長さを長くする必要がなくなる。
ただし、前述のように、主画像用ノズル群の搬送方向の長さ、背景画像用ノズル群の搬送方向の長さ、及び、照射用ノズル群(非吐出領域)の搬送方向の長さを、1回の搬送動作における媒体搬送量の整数倍の長さにする。そうすることで、各画像を印刷するパス数、及び、媒体の所定領域が照射用ノズル群と対向するパス数を一定にすることができる。
また、ここまで、主画像用ノズル群、及び、背景画像用ノズル群の搬送方向の長さを4Dとし、媒体搬送量をDとしているが、これに限らない。例えば、図6Cに示すように、主画像用ノズル群、及び、背景画像用ノズル群の搬送方向の長さを6Dとし、照射用ノズル群の搬送方向の長さを3Dとし、媒体搬送量を3Dとしてもよい。この場合、媒体の所定領域における主画像および背景画像は各々2パスで印刷され、上層画像が重なる前に仮照射部51a,51bが下層画像に紫外線を照射するパスは1パスとなる。
===本実施形態の印刷方法:実施例3===
照射用ノズル群の搬送方向の長さが長いほど(照射用ノズル群に属するノズル数が多いほど)、下層画像の印刷後に媒体の所定領域が照射用ノズル群と対向するパス数が増え、上層画像が重なる前に下層画像に照射される紫外線の照射量を多くすることができる。しかし、印刷時間が長くなってしまう。
そこで、実施例3では、照射用ノズル群の搬送方向の長さを短くした場合(照射用ノズル群に属するノズル数を少なくした場合)、下層画像の印刷後に媒体の所定領域が仮照射部51a,51bと対向するパス数が少なくなる代わりに、仮照射部51a,51bからの紫外線の照射強度(mW/cm)を強くする。
つまり、主画像用ノズル群の搬送方向の長さに対する照射用ノズル群の搬送方向の長さの比率、及び、背景画像用ノズル群の搬送方向の長さに対する照射用ノズル群の搬送方向の長さの比率が或る値(第1の値)である場合に比べて、比率がその値よりも小さい値(第2の値)である場合の方が、仮照射部51a,51bからの紫外線の照射強度を強くする。
そうすることで、照射用ノズル群の搬送方向の長さを短くしたとしても、上層画像を重ねて印刷する前に下層画像に照射する紫外線の照射量(紫外線の照射強度×照射時間)を多くすることができる。よって、下層画像が十分に硬化した状態で上層画像を重ねて印刷することができ、また、印刷時間を短縮することができる。
なお、仮照射部51a,51bからの紫外線の照射強度を強くする場合には、例えば、仮照射部51a,51bへの印加電流を大きくするとよい。また、仮照射部51a,51bの全域の照射強度を強くしてもよいし、照射用ノズル群と移動方向に並ぶ仮照射部51a,51bの部位だけ照射強度を強くしてもよい。
図7は、照射用ノズル群の搬送方向の長さを決定するフローの一例である。照射用ノズル群の搬送方向の長さを短くした代わりに、仮照射部51a,51bからの紫外線の照射強度を強くしたとしても、照射用ノズル群の搬送方向の長さが長い場合の方が、上層画像が重なる前に下層画像を確実に硬化させることができる。
そこで、ユーザーにより「きれいモード」が設定されている場合(S01→Y)、例えば、プリンター1のコントローラー10は、照射用ノズル群の搬送方向の長さが画像印刷用ノズル群(主画像用ノズル群・背景画像用ノズル群)の搬送方向の長さと等しい印刷方法(図5)を実行するように設定する(S02)。一方、ユーザーにより「はやいモード」が設定されている場合(S01→N)、コントローラー10は、照射用ノズル群の搬送方向の長さが画像印刷用ノズル群の搬送方向の長さよりも短い印刷方法(図6A〜図6C)を実行するように設定する(S04)。
そして、コントローラー10は、きれいモードの場合には、はやいモードの場合に比べて、仮照射部51a,51bからの紫外線の照射強度を弱くし(S03)、逆に、はやいモードの場合には、きれいモードの場合に比べて、仮照射部51a,51bからの紫外線の照射強度を強くする(S05)。
そうすることで、きれいモードの場合には、上層画像を重ねて印刷する前に下層画像が照射用ノズル群と対向するパス数を増やすことができ、下層画像が確実に硬化した状態で上層画像を重ねることができ、印刷画像の画質劣化を抑制することができる。一方、はやいモードの場合には、印刷時間を短縮することができ、また、仮照射部51a,51bからの紫外線の照射強度を強くするため、下層画像の硬化が不十分な状態で上層画像が重ねられてしまうことを防止できる。
また、印刷モードに応じて照射用ノズル群の搬送方向の長さを決定するに限らない。比較的に低い照射強度で長時間かけて紫外線を照射する方が画像に光沢感が出易いので、例えば、画像に光沢感を出したい場合には照射用ノズル群の搬送方向の長さを長くし、画像に光沢感を出したくない場合には照射用ノズル群の搬送方向の長さを短くしてもよい。つまり、所望する画像の画質に応じて、照射用ノズル群の搬送方向の長さを決定してもよい。
===変形例===
<変形例1>
前述の実施例では、主画像及び背景画像を構成する各ラスターラインを、それぞれ、間に搬送動作を含む複数回のパスで印刷する印刷方法(図5・図6)を例に挙げているが、これに限らない。例えば、主画像及び背景画像を構成する各ラスターラインをそれぞれ1回のパスで印刷する印刷方法、即ち、1回のパスで印刷される画像が搬送方向に並び、あるパスで印刷されたラスターライン間に他のパスのラスターラインが印刷されない印刷方法(所謂、バンド印刷)であってもよい。
バンド印刷において、仮に、図4に示すように、ホワイトノズル列Wの搬送方向上流側の半分のノズル(#5〜#8)を背景画像用ノズル群とし、カラーノズル列Coの搬送方向下流側の半分のノズル(#1〜#4)を主画像用ノズル群とし、媒体搬送量をノズル列の半分の長さ(4D)としたとする。そうすると、あるパスで媒体の所定領域に背景画像が印刷された後、その次のパスで媒体の所定領域の背景画像上に主画像が印刷され、背景画像の硬化が不十分な状態で主画像が重ねて印刷されてしまう。
そこで、バンド印刷時も、主画像用ノズル群と背景画像用ノズル群との間に照射用ノズル群(非吐出領域)を設けるようにするとよい。そうすることで、下層画像の硬化が十分な状態で上層画像を重ねて印刷することができる。
<変形例2>
前述の実施例では、ホワイトノズル列W,カラーノズル列Coにおいて、ノズルが搬送方向に所定の間隔Dおきに並んでいる。即ち、主画像用ノズル群と背景画像用ノズル群との間に位置するノズル(照射用ノズル群)からインクを吐出させないようにすることで、下層画像の印刷後に媒体の所定領域に対して仮照射部51a,51bが紫外線を照射するためだけのパスを設けるようにしているが、これに限らない。
例えば、主画像用ノズル群と背景画像用ノズル群との搬送方向の間にノズルが存在しない領域(非吐出領域)を設けてもよい。この場合、媒体の所定領域は下層画像の印刷後に非吐出領域(ノズルが存在しない領域)と対向するため、下層画像の印刷後に媒体の所定領域に対して仮照射部51a,51bが紫外線を照射するためだけのパスを設けることができる。よって、下層画像の硬化が十分な状態で上層画像を重ねて印刷することができる。
<変形例3>
前述の実施例では、背景画像を白インクのみで印刷しているが、これに限らない。白インクの種類によって白色の色味が若干異なるため、白インクのみで印刷すると、その白インクの色そのものの色が背景画像の色となってしまう。また、単純な白色ではなく、若干の有彩色を有する背景画像が所望されることもある。そこで、白インクと共に少量の4色インク(YMCK)を適宜使用して、所望の白色の背景画像(調整された白色の背景画像)を印刷するようにしてもよい。また、逆に、白インクに4色インクを混ぜることで、白インクが有する若干の色彩を打ち消すようにしてもよい。
また、背景画像を白色とするに限らず、白インク以外の色インク(例えば、メタリック系のインク)によって背景画像を印刷してもよい。また、4色インク(YMCK)だけで主画像を印刷するに限らず、4色インクに白インクを混ぜて主画像を印刷してもよい。
<変形例4>
前述の実施例では、主画像用ノズル群の搬送方向の長さと背景画像用ノズル群の搬送方向の長さを等しくしているが、これに限らない。例えば、背景画像は主画像ほどに高画質に印刷する必要がないため(印刷解像度を高くする必要がないため)、背景画像用ノズル群の搬送方向の長さを主画像用ノズル群の搬送方向の長さよりも短くしてもよい(即ち、背景画像用ノズル群に属するノズル数を減らしてもよい)。その代わり、白インクによる媒体の埋まりが良くなるように、例えば、背景画像用ノズル群から1回に吐出されるインク量を、主画像用ノズル群から1回に吐出されるインク量よりも多くするとよい。
<変形例5>
前述の実施例では、表刷りモードと裏刷りモードの両方を実行しているが、これに限らず、何れか一方のモードだけを実行するようにしてもよい。
また、前述の実施例では、主画像と背景画像の2種類の画像を重ねているが、これに限らず、例えば、3種類の画像(主画像と背景画像とコーティング画像)を重ねるようにしてもよい。この場合、ノズル列を5分割して、下層画像を印刷するノズル群と中央の画像を印刷するノズル群との間に照射用ノズル群を設け、中央の画像を印刷するノズル群と上層画像を印刷するノズル群との間に照射用ノズル群を設けるようにするとよい。
===その他の実施の形態===
上記の実施形態は、主として画像形成装置について記載されているが、画像形成方法等の開示が含まれている。また、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
<インクについて>
前述の実施形態では、ヘッドから吐出する光硬化型インクとして、紫外線硬化型インクを例に挙げているが、これに限らない。例えば、可視光を照射すると硬化するインクでもよく、この場合、光照射部は可視光を照射するようにする。
<プリンターについて>
前述の実施形態では、移動方向に移動するヘッドからインクを吐出する吐出動作と、媒体を搬送方向に搬送する搬送動作と、が繰り返されるプリンターを例に挙げているが、これに限らない。例えば、印刷領域に搬送された連続用紙に対して、ヘッドを媒体搬送方向に移動しながら画像を形成する動作と、ヘッドを紙幅方向に移動する動作と、を繰り返して画像を形成し、その後、未だ印刷されていない媒体部分を印刷領域に搬送するプリンターであってもよい。
<白色について>
本明細書において「白色」とは、可視光線のすべての波長を100%反射する物体の表面色である厳密な意味での白色に限らず、いわゆる「白っぽい色」のように、社会通念上、白色と呼ばれる色を含むものとする。「白色」とは、例えば、(1)x-rite社製の測色機eye-one Proを用いて測色モード:スポット測色、光源:D50、バッキング:Black、印刷媒体:透明フィルムで測色した場合に、Lab系での標記がa**平面上で半径20の円周及びその内側にあり、かつL*が70以上で表される色相範囲内の色か、(2)ミノルタ製の測色計CM2022を用いて測定モードD502°視野、SCFモード、白地バックで測色した場合に、Lab系での標記がa**平面上で半径20の円周及びその内側にあり、かつL*が70以上で表される色相範囲内の色か、(3)特開2004−306591号公報に記載されているように画像の背景として用いられるインクの色をいい、背景として用いられるのであれば純粋な白に限られない。
1 プリンター、10 コントローラー、11 インターフェース部、
12 CPU、13 メモリー、14 ユニット制御回路、
20 搬送ユニット、30 キャリッジユニット、31 キャリッジ、
40 ヘッドユニット、41 ヘッド、
50 照射ユニット、51a 第1仮照射部、51b 第2仮照射部、
52 本照射部、60 検出器群、70 コンピューター

Claims (6)

  1. (A)第1の光硬化型インクを吐出するノズルが所定方向に並ぶ第1のノズル群と、
    (B)第2の光硬化型インクを吐出するノズルが前記所定方向に並び、前記第1のノズル群よりも前記所定方向の一方側にずれて配置された第2のノズル群と、
    (C)前記光硬化型インクに光を照射して前記光硬化型インクを硬化させる光照射部であって、前記第1のノズル群の前記所定方向の他方側の端部から前記第2のノズル群の前記所定方向の前記一方側の端部までに亘って少なくとも前記所定方向に延びて配置された光照射部と、
    (D)前記ノズル群及び前記光照射部と媒体とを前記所定方向と交差する移動方向に相対移動させながら前記ノズルから前記光硬化型インクを吐出させる吐出動作と、前記ノズル群及び前記光照射部と前記媒体とを前記所定方向に相対移動させる搬送動作とを、繰り返し実行させる制御部であって、
    前記第1のノズル群と前記第2のノズル群との前記所定方向の間にインクが吐出されない非吐出領域が設けられた状態で、前記第1の光硬化型インクによる主画像と前記第2の光硬化型インクによる背景画像とを重ねて形成させる制御部と、
    (E)を有することを特徴とする画像形成装置。
  2. 請求項1に記載の画像形成装置であって、
    前記主画像を構成する前記移動方向に沿うドット列を、間に前記搬送動作を含む複数回の前記吐出動作によって形成し、
    前記背景画像を構成する前記移動方向に沿うドット列を、間に前記搬送動作を含む複数回の前記吐出動作によって形成する、
    画像形成装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の画像形成装置であって、
    前記第1のノズル群の前記所定方向の長さに対する前記非吐出領域の前記所定方向の長さの比率、及び、前記第2のノズル群の前記所定方向の長さに対する前記非吐出領域の前記所定方向の長さの比率が、可変である、
    画像形成装置。
  4. 請求項3に記載の画像形成装置であって、
    前記比率が第1の値である場合に比べて、前記比率が前記第1の値よりも小さい第2の値である場合の方が、前記光照射部からの光の照射強度が強い、
    画像形成装置。
  5. 請求項1から請求項4の何れか1項に記載の画像形成装置であって、
    前記第1のノズル群の前記所定方向の長さ、前記第2のノズル群の前記所定方向の長さ、及び、前記非吐出領域の前記所定方向の長さが、前記搬送動作における前記ノズル群及び前記光照射部と前記媒体との前記所定方向の相対移動量の整数倍の長さである、
    画像形成装置。
  6. (A)第1の光硬化型インクを吐出するノズルが所定方向に並ぶ第1のノズル群と、
    (B)第2の光硬化型インクを吐出するノズルが前記所定方向に並び、前記第1のノズル群よりも前記所定方向の一方側にずれて配置された第2のノズル群と、
    (C)前記光硬化型インクに光を照射して前記光硬化型インクを硬化させる光照射部であって、前記第1のノズル群の前記所定方向の他方側の端部から前記第2のノズル群の前記所定方向の前記一方側の端部までに亘って少なくとも前記所定方向に延びて配置された光照射部と、
    (D)前記ノズル群及び前記光照射部と媒体とを前記所定方向と交差する移動方向に相対移動させながら前記ノズルから前記光硬化型インクを吐出させる吐出動作と、前記ノズル群及び前記光照射部と前記媒体とを前記所定方向に相対移動させる搬送動作とを、繰り返し実行させる制御部であって、
    前記第1のノズル群と前記第2のノズル群との前記所定方向の間にインクが吐出されない非吐出領域が設けられた状態で、前記第1の光硬化型インクによる主画像と前記第2の光硬化型インクによる背景画像とを重ねて形成させる制御部と、
    (E)を有する画像形成装置を用いて前記媒体に画像を形成することを特徴とする画像形成方法。
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