===開示の概要===
本明細書の記載、及び添付図面の記載により、少なくとも次のことが明らかとなる。
即ち、(1)電磁波を照射すると硬化する電磁波硬化型インクを媒体に対して吐出する複数のヘッドと、(2)前記媒体と前記複数のヘッドとを所定方向に相対移動させる移動機構と、(3)少なくとも異なる色の前記電磁波硬化型インクを吐出する前記ヘッドごとに前記所定方向の下流側に設けられ、前記ヘッドから吐出された前記電磁波硬化型インクに電磁波を照射する複数の照射器と、(4)前記媒体上に定めた或る単位領域に対して或る色の前記電磁波硬化型インクを吐出するまでに、前記或る単位領域に対して前記電磁波硬化型インクが吐出される場合には、前記或る単位領域に対して前記或る色の前記電磁波硬化型インクを吐出する直前に吐出される前記電磁波硬化型インクが、前記或る単位領域に対して前記或る色の前記電磁波硬化型インクを吐出するまでに、電磁波を照射される照射回数に基づいて、前記或る単位領域に対する前記或る色の前記電磁波硬化型インクの吐出量を決定する制御部と、(5)を有することを特徴とする印刷装置である。
このような印刷装置によれば、ドット径が既定の長さよりも短くなることを防止でき、画質劣化を抑制することができる。
かかる印刷装置であって、前記制御部は、前記媒体上に背景画像を形成するか否かを判断し、前記背景画像を形成する場合には、前記照射回数に基づいて前記或る単位領域に対する前記或る色の前記電磁波硬化型インクの吐出量を補正し、前記背景画像を形成しない場合には、前記照射回数に基づいて前記或る単位領域に対する前記或る色の前記電磁波硬化型インクの吐出量を補正しないこと。
このような印刷装置によれば、画質劣化を抑制しつつ、制御処理を容易にすることができる。
かかる印刷装置であって、前記制御部は、前記所定方向における或る位置よりも下流側に位置する前記ヘッドから前記或る単位領域に対して吐出する前記電磁波硬化型インクの量を前記照射回数に基づいて補正すること。
このような印刷装置によれば、画質劣化を抑制しつつ、制御処理を容易にすることができる。
また、(1)電磁波を照射すると硬化する電磁波硬化型インクを媒体に対して吐出する複数のヘッドと、前記媒体と前記複数のヘッドとを所定方向に相対移動させる移動機構と、少なくとも異なる色の前記電磁波硬化型インクを吐出する前記ヘッドごとに前記所定方向の下流側に設けられ、前記ヘッドから吐出された前記電磁波硬化型インクに電磁波を照射する複数の照射器と、を備える印刷装置の調整方法であって、(2)前記媒体に対して前記ヘッドから前記電磁波硬化型インクを吐出することによって、複数の背景画像を形成することと、(3)前記照射器によって各前記背景画像に電磁波を所定の回数だけ照射することと、(4)前記照射器によって電磁波が照射された各前記背景画像上に前記ヘッドから前記電磁波硬化型インクを吐出することによってパターンを形成する際に、前記背景画像上に定めた単位領域に対する前記電磁波硬化型インクの吐出量を、前記背景画像ごとに変化させることと、(5)複数の前記背景画像上にそれぞれ形成された前記パターンに基づいて、前記媒体上の或る単位領域に対して或る色の前記電磁波硬化型インクを吐出する直前に吐出される前記電磁波硬化型インクが、前記或る単位領域に対して前記或る色の前記電磁波硬化型インクを吐出するまでに、電磁波を照射される回数が、前記所定の回数である時の、前記或る単位領域に対する前記或る色の前記電磁波硬化型インクの吐出量を決定することと、(6)を有することを特徴とする調整方法である。
このような調整方法によれば、画質劣化を抑制するインク吐出量を決定することができる。
===インクジェットプリンターの概要===
印刷装置の一例としてインクジェットプリンター(以下、プリンター1と呼ぶ)を例に挙げ、プリンター1とコンピューター60が接続された印刷システムにて実施形態を説明する。
図1は、本実施形態のプリンター1の全体構成ブロック図である。図2は、プリンター1の概略断面図である。外部装置であるコンピューター60から印刷指令(印刷データ)を受信したプリンター1は、コントローラー10により、各ユニット(搬送ユニット20、ヘッドユニット30、紫外線照射ユニット40)を制御し、媒体Sに画像を形成する。また、プリンター1内の状況を検出器群50が監視し、その検出結果に基づいて、コントローラー10は各ユニットを制御する。
コントローラー10は、プリンター1の制御を行うための制御ユニットである。インターフェース部11は、外部装置であるコンピューター60とプリンター1との間でデータの送受信を行うためのものである。CPU12は、プリンター1全体の制御を行うための演算処理装置である。メモリー13は、CPU12のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものである。CPU12は、メモリー13に格納されているプログラムに従ったユニット制御回路14により各ユニットを制御する。
搬送ユニット20(移動機構に相当)は、媒体を搬送するためのものである。搬送ローラー21A,21Bと、搬送ベルト22を有し、媒体Sを印刷可能な位置に送り込み、印刷時には搬送方向(所定方向に相当)に所定の搬送速度で媒体Sを搬送させる。輪状の搬送ベルト22が搬送ローラー21A,21Bにより回転することで、搬送ベルト22上の媒体Sは搬送される。なお、媒体Sを下側から吸引し、媒体Sを搬送ベルト22にバキューム吸着させるとよい。そうすることで、印刷中(搬送中)における媒体Sの位置ズレを防止することができる。
ヘッドユニット30は、媒体にインクを吐出するためのヘッド31を有する。図2に示すプリンター1では、搬送方向に沿って複数のヘッド31が並んでいる。各ヘッド31の下面にはインク吐出部であるノズルが複数設けられる。各ノズルには、インクが入った圧力室(不図示)と、圧力室の容量を変化させてインクを吐出させるための駆動素子(例えばピエゾ素子)が設けられている。駆動素子に駆動信号が印加されることにより、駆動素子は変形し、その変形に伴って圧力室が膨張・収縮することによりインクが吐出される。また、各ヘッド31が異なる色のインクを吐出する。図2に示すプリンター1では、5色の有色インク(白インクW,イエローインクY,マゼンタインクM,シアンインクC,ブラックインクK)と、無色透明のクリアインクCLを、吐出可能とする。
なお、本実施形態では、インクとして、紫外線が照射されることによって硬化する「紫外線硬化型インク(電磁波硬化型インクに相当)」を用いる。ここで、紫外線硬化型インク(以下、単にインクとも呼ぶ)は、ビヒクル、光重合開始剤及び顔料の混合物に、消泡剤、重合禁止剤等の補助剤を添加して調合される。なお、ビヒクルは、光重合硬化性を有するオリゴマー、モノマー等を、反応性希釈剤により粘度調整して調合される。また、インクとしては、水性インクと油性インクの両方を含むものとする。
紫外線照射ユニット40は、ヘッド31から媒体上に吐出された紫外線硬化型インクに紫外線を照射して硬化するための照射器(仮照射器41・本照射器42)を有する。各照射器41,42は、紫外線硬化型インクに紫外線を照射して硬化するランプ(例えばメタルハライドランプやLEDなど)を有する。照射器41,42による紫外線の照射量(照射強度(mJ/cm2)や照射回数など)を調整することによって、紫外線硬化型インクを完全に硬化させたり完全には硬化させなかったりすることができる。
本実施形態のプリンター1では、異なる有色インクを吐出するヘッド31の間(例えば白インク用のヘッド31(W)とイエローインク用のヘッド31(Y)の間)に、仮照射器41を設けている。そして、搬送方向の最も下流側(クリアインク用のヘッド31(CL)の下流側)に本照射器42を設けている。仮照射器41は本照射器42に比べて照射強度の弱い紫外線を照射する。そのため、ヘッド31から媒体Sに吐出された紫外線硬化型インクは、仮照射器41により照射される紫外線では完全には硬化しないが、本照射器42により照射される紫外線によって完全に硬化する。以下、媒体上の紫外線硬化型インクを仮照射器41により完全に硬化しない程度に紫外線を照射することを、「仮照射する」という。なお、本実施形態のプリンター1では、仮照射器41の照射強度と本照射器42の照射強度をそれぞれ一定に設定する。
このように、本実施形態のプリンター1では、異なる有色インクを吐出するヘッド31の間に仮照射器41を設け、あるヘッド31から吐出された紫外線硬化型インクを、そのヘッド31の搬送方向の直ぐ下流側に位置する仮照射器41によって仮照射する。そうすることで、カラー印刷の際に、異なる色のインクを重ねたり隣接させたりしても、異なる色インクの混色や画像の滲みを防止できる。また、紫外線硬化型インクは媒体に着弾してから紫外線が照射されるまでの間に媒体表面を流れ広がる(濡れ広がる)。そのため、各ヘッド31から吐出された紫外線硬化型インクを仮照射器41によって仮照射することで、紫外線硬化型インクが媒体表面上を広がり過ぎて、ドット径が大きくなってしまうことを防止できる。また、印刷の途中では、仮照射器41によってインクを完全に硬化しないことで、その上に吐出するインクとの繋がりを強くすることができる。
なお、本実施形態のプリンター1では、図2に示すように、クリアインク用のヘッド31(CL)の搬送方向の直ぐ下流側に本照射器42を設けている。そのため、クリアインク用のヘッド31(CL)の搬送方向下流側には仮照射器41を設けない。
このようなプリンター1において、コントローラー10は、印刷データを受信すると、媒体S(用紙など)を搬送ベルト22上に給紙する。媒体は、搬送ベルト22上を一定の速度で停まることなく搬送され、ヘッド31及び照射器41,42と対向する。その際に、各ヘッド31から媒体に紫外線硬化型インクが吐出され、その紫外線硬化型インクは照射器41,42によって硬化される。その結果、媒体上に画像が印刷される。
===紫外線硬化型インク(電磁波硬化型インク)の性質について===
図3は、紫外線硬化型インクの性質を説明する図である。図は、媒体S(例えばフィルム等)の上に白インクによって背景画像(下地画像)を形成し、その上に他の有色インク(例えばYMCK)を吐出した様子を示している。図3の上図では背景画像を形成する白インクが完全には硬化していない「半硬化状態」である。一方、図3の下図では背景画像を形成する白インクが完全に硬化した「完全硬化状態」である。
紫外線硬化型インクには、紫外線の照射によって硬化度が高まるほど(完全硬化状態であると)、その上に吐出されるインク滴をはじき易くなる性質を有する。そのため、図示するように、半硬化状態である背景画像(白インク)の上に吐出されたインク滴は、背景画像の表面を流れ広がる(濡れ広がる)。これに対して、完全硬化状態である背景画像の上に吐出されたインク滴は、背景画像の表面を流れ広がることなく、丸い粒状となる。この状態で照射器41,42により紫外線が照射されると、半硬化状態の背景画像上に吐出されたインク滴のドット径「d1」に比べて、完全硬化状態の背景画像上に吐出されたインク滴のドット径「d2」の方が小さくなってしまう。
つまり、下地の紫外線硬化型インク(例えば、背景画像を形成する白インク)に強い強度の紫外線を照射して完全に硬化してしまうと、その上に吐出する紫外線硬化型インクのドット径が既定の長さよりも短くなってしまう。そうすると、巨視的に見た際に、後に吐出された紫外線硬化型インクの濃度が淡くなってしまったり、罫線の幅が狭くなったりしてしまう。ただし、ヘッド31から吐出された紫外線硬化型インクに全く紫外線を照射しないと、前述のように、重ねて吐出されるインクや近傍に吐出されるインク同士において混色や滲みが発生したり、媒体着弾後の紫外線硬化型インクが媒体表面を流れ広がり、ドット径が既定の長さよりも大きくなってしまったりする。そのため、仮照射器41によって、先に吐出する紫外線硬化型インクを完全に硬化することなく半硬化状態にする。そうすることで、その上に吐出される紫外線硬化型インクのドット径が小さくなり過ぎてしまうことを防止でき、所定の濃度や所定の罫線幅を確保できる。
===比較例の印刷方法===
図4Aは、比較例における印刷データの作成処理フローを示す図であり、図4Bは、比較例の印刷方法にて形成されるドットを示す図である。本実施形態の印刷方法を説明する前に比較例の印刷方法を説明する。ここでは、媒体S上に白インクによって背景画像を印刷し、その上に有色インク(YMCK)を吐出する印刷を例に挙げて説明する。また、本実施形態では、図1に示すように、プリンター1に接続されたコンピューター60にインストールされたプリンタードライバーによって、印刷データが作成される。そして、コンピューター60から(プリンタードライバーから)の印刷データをプリンター1が受信すると、プリンター1は、その印刷データに基づいて印刷を実行する。
まず、プリンタードライバーによる印刷データの作成処理について説明する。図4Aに示すように、プリンタードライバーは、各種アプリケーションプログラムから画像データを受信すると(S001)、解像度変換処理を行う(S002)。解像度変換処理とは、各種アプリケーションプログラムから受信した画像データを媒体Sに印刷する際の解像度に変換する処理である。解像度変換処理後の画像データはRGB色空間により表される256階調のRGBデータである。そのため、プリンタードライバーは、次に、色変換処理にて、RGBデータをプリンター1のインクに対応したWYMCKデータに変換する(S003)。
その後、プリンタードライバーは、ハーフトーン処理にて、高い階調数のデータを、プリンター1が形成可能な低い階調数のデータに変換する(S004)。プリンター1は3種類のドット(大ドット・中ドット・小ドット)を形成可能とするため、256階調のデータを4階調のデータに変換する。最後に、プリンタードライバーは、ラスタライズ処理にて、マトリクス状の画像データをプリンター1に転送すべき順に並べ替える(S005)。これらの処理を経たデータは、印刷方式に応じたコマンドデータ(搬送量など)と共に印刷データとして、プリンタードライバーによりプリンター1に送信される(S006)。そして、プリンター1は、受信した印刷データに基づいて印刷を実施する。
図4Aに示すフローにて印刷データを作成する比較例の印刷方法では、各種アプリケーションソフトから受信した画像濃度(256階調値)に基づいてドットサイズが決定され、各ドットサイズに対応した設計上のインク量が吐出される。即ち、比較例の印刷方法では、各ドットサイズに対応した設計上のインク量が補正されることなく吐出され、画像が印刷される。
図4Bを用いて比較例の印刷方法を具体的に説明する。図中の画素に対して、印刷データは全て同じサイズのドットを形成するように示しており、各ヘッド31からは、そのサイズに応じた設計上のインク量(以下、所定量)が吐出される。まず、画素1から画素5に向けて白インクを吐出して背景画像を形成し、白インク用の仮照射器41(W)によって白インク(背景画像)に紫外線を仮照射する。次に、画素1と画素2にイエローインクを所定量ずつ背景画像上に吐出する。このとき、背景画像は白インク用の仮照射器41(W)によって1回だけしか紫外線が仮照射されていないため、背景画像の硬化度は低い。そのため、背景画像上のイエローインクは、背景画像にはじかれることなく、既定の長さのドット径まで流れ広がり、その状態でイエローインク用の仮照射器41(Y)によって紫外線が仮照射される。
以下の説明において、或る色のインクを或る単位領域に吐出する直前に、或る単位領域に吐出されたインクのことを「下地(のインク)」と呼ぶ。即ち、下地となるインクとその上に吐出されるインクが接触して重なる。例えば、イエローインクを画素1と画素2に吐出する際の下地は、背景画像(白インク)である。
次に、画素1のイエローインクのドット上と画素3の背景画像上に向けてマゼンタインクを所定量ずつ吐出する。画素1のイエローインクのドット(下地)は、マゼンタインクが吐出されるまでに、イエローインク用の仮照射器41(Y)によって1回だけ仮照射されている。そのため、イエローインクのドットの硬化度は低く、イエローインクのドット上のマゼンタインク滴は、はじかれることなく、既定の長さのドット径に流れ広がる。
一方、画素3の背景画像(下地)は、マゼンタインクが吐出されるまでに、白インク用の仮照射器41(W)とイエローインク用の仮照射器41(Y)によって2回仮照射される。ゆえに、1回だけ仮照射されたイエローインクのドットに比べて、2回仮照射された背景画像は、硬化度が進んでいる。前述のように、紫外線硬化型インクでは、下地となる紫外線硬化型インクの硬化度が高いほど、その上に吐出されるインク滴ははじかれ易く、ドット径が小さくなる。そのため、下地の照射回数が2回である画素3のマゼンタインクは、下地の照射回数が1回である画素1のマゼンタインクに比べて流れ広がり難く、ドット径の長さが短いドットとなる。
その後、画素2のイエローインクのドット上と画素4の背景画像上に向けてシアンインクを所定量ずつ吐出する。画素2のイエローインクのドット(下地)は、シアンインクが吐出されるまでに、イエローインクの仮照射器41(Y)とマゼンタインクの仮照射器41(M)によって2回仮照射されている。そのため、画素2のイエローインクのドット上のシアンインクは、画素3のマゼンタインクのドット径の長さと同程度に流れ広がる。一方、画素4の背景画像(下地)は、シアンインクが吐出されるまでに、3個の仮照射器41(W),41(Y),41(M)によって3回仮照射されている。ゆえに、画素2のイエローインクのドットよりも画素4の背景画像の方が更に硬化度が進んでいる。そのため、下地の照射回数が3回である画素4のシアンインクは、下地の照射回数が2回である画素2のシアンインクに比べて流れ広がり難く、更にドット径の長さが短いドットとなる。
最後に、画素5の背景画像上に向けて所定量のブラックインクを吐出する。画素5の背景画像(下地)は、ブラックインクが吐出されるまでに、4個の仮照射器41(W),41(Y),41(M),41(C)によって4回仮照射されている。ゆえに、ブラックインクを吐出する時の画素5の背景画像は、シアンインクを吐出する時の画素4の背景画像よりも更に硬化度が進んでいる。そのため、下地の照射回数が4回である画素5のブラックインクは、下地の照射回数が4回である画素4のシアンインクに比べて流れ広がり難く、更にドット径の長さが短いドットとなる。
このように、紫外線硬化型インクを用いる印刷では、下地の照射回数が増えるに従って、下地となるインクの硬化度が高まり、下地の上に吐出されるインクが下地の表面上を流れ広がり難くなり(はじかれ易くなり)、下地の上に形成されるドットのドット径が短くなってしまう。しかし、比較例の印刷方法では、下地の照射回数に関係なく、所定のドットサイズを形成するためのインク吐出量を一定にしている。そのため、比較例の印刷方法によって形成される画像では、図4Bに示すように、ドット径にばらつきが生じたり、また、特に搬送方向下流側のヘッド31から吐出されるインク(例えばブラックインク)のドット径が小さくなり過ぎてしまったりする。その結果、画像濃度が淡くなったり、罫線幅が狭くなったりして、画質が劣化してしまう。
そこで、本実施形態では、或る画素(単位領域)に対して或る色のインクを吐出する際に、下地の照射回数(或る画素に対して或る色のインクを吐出する直前に或る画素に吐出されたインクの照射回数)に関係なく、ドット径が既定の長さであるドットを形成し、画質劣化を抑制することを目的とする。図2に示すプリンターでは、説明の容易のために、プリンター1が吐出可能なインク数を6種類としている。しかし、色再現性の高い高画質な画像を得るために、インクの色数を増やしたプリンターの需要が高まっている。インクの色数を増やすことによって、先に吐出されたインク(背景画像)に対する仮照射の回数が増え、その上に吐出されるインク滴のドット径が小さくなってしまう。そのため、吐出可能なインクの色数が多いプリンターでは、本発明がより有効となる。
===本実施形態の印刷方法===
図5Aは、本実施形態の印刷方法を説明するための図であり、図5Bは、下地の照射回数とインク吐出量を対応させたテーブルを示す図である。図6は、本実施形態における印刷データの作成処理フローである。前述のように、電磁波硬化型インクでは、照射回数が増えて硬化度が高まると、その上に吐出されるインクをはじく性質を有する。そのため、比較例の印刷方法(図4B)のように、下地の照射回数に関係なくインク吐出量を一定にすると、ドット径が既定の長さよりも短いドットが形成されて、画質が劣化してしまう。
そこで、本実施形態では、下地の照射回数が多いほど(下地の硬化度が高いほど)、その上に吐出するインク量が多くなるように、インク吐出量を補正する。例えば、印刷データが、ドット径の長さが「d1」である或るサイズのドットを形成するように示していたとする。このとき、図5Aの左図に示すように、下地(背景画像)が半硬化状態であれば、或るサイズのドットに対応する設計上のインク吐出量「X1ng」を吐出するとよい。そうすることで、半硬化状態である背景画像上に着弾したインク滴は、はじかれることなく(粒状になることなく)、背景画像の表面上を既定のドット径d1になるまで流れ広がる。そして、ドット径の長さがd1となったタイミングで仮照射器41によって紫外線を仮照射することで、ドット径の長さがd1であるドットを形成することができる。
一方、図5Aの右図に示すように、下地(背景画像)の硬化度が高い場合には(完全硬化状態である場合には)、或るサイズのドットに対応する設計上のインク吐出量(X1ng)よりも多いインク量「X2ng」を吐出する。そうすることで、硬化度の高い背景画像上に着弾したインク滴がはじかれたとしても、ドット径がd1である大きな粒状となる。即ち、ドット径の長さがd1であるドットを形成することができる。
このように、下地の照射回数が増えるに従って(下地の硬化度が進むにつれて)、インク滴が下地表面を流れ広がらないとしても(はじかれたとしても)、インク吐出量を増やすことで大きな粒が形成される。その結果、所望のドット径であるドットを形成することができる。なお、各仮照射器41の照射強度は一定とする。
また、下地の硬化度が進むにつれて(照射回数が増えるに従って)、インク滴と下地との接触面積が小さくなる。そのため、下地の硬化度が進むにつれてドット径も短くなるので、下地の硬化度が進むにつれて、よりインク吐出量を増やし、より大きなインクの粒を形成する。そうすることで、所望のドット径であるドットを形成することができる。
つまり、本実施形態では、媒体上の或る単位領域(例:画素に対応する領域)に対して、或る色のインクを吐出する直前に吐出されたインクが、或る色のインクが或る単位領域に吐出するまでに電磁波を照射された回数(照射回数)に基づいて、或る単位領域に対する或る色のインク吐出量を決定する。
また、本実施形態のプリンター1では、図5Bに示すように、3種類のドット(大ドット・中ドット・小ドット)を形成可能とする。各ドットに対応する設計上のインク吐出量は、小ドットでは「5ng」であり、中ドットでは「10ng」であり、大ドットでは「15ng」であるとする。
ここでは、下地が媒体である場合(媒体上に直接インク滴を吐出する場合)と、下地のインクの照射回数が1回である場合には、図5Bに示すように、インク吐出量を設計上のインク吐出量に対して増加させないとする(補正しないとする)。媒体は、紫外線硬化型インクとは異なり、仮照射器41によって何度も紫外線が仮照射されたとしても、その上に吐出されるインク滴のはじき易さは変わらない。即ち、紫外線が何度も仮照射された媒体上に吐出されるインク滴は、媒体表面を流れ広がる。また、紫外線硬化型インクの仮照射の回数が少なく1回であれば、紫外線硬化型インクの硬化度は低く、その紫外線硬化型インク上のインク滴は流れ広がる。つまり、下地が媒体である場合(媒体上に直接インク滴を吐出する場合)と、下地のインクの照射回数が1回である場合には、設計上のインク吐出量を吐出すれば、既定のドット径であるドットを形成することができるので、インク吐出量を補正しない。
そして、下地が紫外線硬化型インクであり、下地の照射回数が多いほど、その下地に吐出するインク量を多くする。図5Bでは、下地の照射回数が2回である場合には、インク吐出量を5ngずつ増やし、下地の照射回数が3回である場合には、インク吐出量を10ngずつ増やし、下地の照射回数が4回以上である場合には、インク吐出量を15ngずつ増やす。なお、インク吐出量を補正するためには、ノズルからインクを吐出するための駆動素子(ピエゾ素子)を駆動するための駆動波形の形状を補正したり、駆動波形の組み合わせを変更したりするとよい。
また、本実施形態では、下地の照射回数に応じてインク吐出量を補正するために、プリンタードライバーは、図6に示す処理フローに従って、印刷データを作成する。比較例の時と同様に、まず、プリンタードライバーは、画像データを受信すると(S101)、解像度変換処理をし(S102)、色変換処理をし(S103)、ハーフトーン処理を行う(S104)。そして、プリンタードライバーは、下地の照射回数に応じて、インク吐出量の補正処理を行う(S105・詳細は後述)。その後、プリンタードライバーは、インク吐出量を補正したデータをラスタライズ処理し(S106)、プリンター1に送信する(S107)。プリンター1のコントローラー10は、その印刷データに基づいて、各ユニットを制御し、印刷を実施する。
なお、本実施形態では、プリンタードライバーが下地の照射回数に応じてインク吐出量を補正(決定)するため、プリンタードライバーがインストールされたコンピューター1と、プリンター1が接続された印刷システムが「印刷装置」に相当し、コンピューター1とプリンター1のコントローラー10が「制御部」に相当する。ただし、これに限らず、プリンター1のコントローラー10が、照射回数に応じてインク吐出量を補正してもよい。この場合、プリンター1単体が「印刷装置」に相当し、プリンター1のコントローラー10が「制御部」に相当する。
<印刷例1>
図7は、印刷例1において、下地とその上に吐出するインクに応じた照射回数を示す表であり、図8は、印刷例1におけるインク吐出量の補正処理フローを示す。印刷例1では、比較例の印刷方法と同様に、白インクの背景画像上に4色のインク(YMCK)による画像が形成される印刷物(以下、印刷物Aと呼ぶ)を印刷する場合を例に挙げて説明する。印刷物Aを印刷するためには、全てのインク(WYMCK)が使用されるとする。また、ここでは、イエロー・マゼンタ・シアンの3色のインクは同時に重ねて印刷されないとする(コンポジットブラックではなくブラックインクを使用する)。そして、ブラックインクは、カラーインク(イエロー・マゼンタ・シアン)とは重ねて印刷されないとする。
上記印刷物Aを印刷するには、まず、媒体上に白インクによって背景画像を印刷する。そのため、図7に示すように、媒体上に吐出されるインクは白インクのみである。また、図2に示すように、白インクが最初に吐出されるため、白インクを吐出する際の媒体(下地)の照射回数は「0回」となる。そのため、白インクの吐出量、即ち、白インクの画素(データ)は、補正する必要がない。
白インクの背景画像に対して紫外線が仮照射された後は、イエローインクが吐出される。そのため、イエローインクは、必ず、白インクの背景画像上に吐出される。そして、白インクの背景画像は、イエローインクが吐出されるまでに、白インク用の仮照射器41(W)によって1回だけ仮照射される。そのため、イエローインクは、必ず、照射回数が1回である背景画像上に吐出されるため、イエローインクの吐出量(画素)は補正する必要がない。
イエローインクに対して紫外線が仮照射された後は、マゼンタインクが吐出される。マゼンタインクは、背景画像上か、それとも、イエローインクの画像上(ドット上)に吐出される。マゼンタインクを吐出するまでに、背景画像は2個の仮照射器41(W),41(Y)によって紫外線が仮照射され、イエローインクは1個の仮照射器41(Y)によって紫外線が仮照射される。そのため、図7に示すように、マゼンタインクを背景画像上に吐出するということは下地の照射回数が2回ということであり、マゼンタインクをイエローインク上に吐出するということは下地の照射回数が1回ということである。そのため、マゼンタインクを背景画像上に吐出する場合には、マゼンタインクの吐出量を補正する必要があり、マゼンタインクをイエローインク上に吐出する場合には、イエローインクの吐出量を補正する必要がない。
同様に、マゼンタインクに対して紫外線が仮照射された後は、シアンインクが吐出される。シアンインクは、背景画像上か、イエローインクの画像上か、マゼンタインクの画像上に吐出される。シアンインクを吐出するまでに、背景画像は3個の仮照射器41(W),41(Y),41(M)によって紫外線が仮照射され、イエローインクは2個の仮照射器41(W),41(Y)によって紫外線が仮照射され、マゼンタインクは1個の仮照射器41(M)によって紫外線が仮照射される。そのため、図7に示すように、シアンインクを背景画像上に吐出するということは下地の照射回数が3回ということであり、シアンインクをイエローインク上に吐出するということは下地の照射回数が2回ということであり、シアンインクをマゼンタインク上に吐出するということは下地の照射回数が1回ということである。そのため、シアンインクを背景画像上およびイエローインク上に吐出する場合には、シアンインクの吐出量を補正する必要があり、シアンタインクをマゼンタインク上に吐出する場合には、シアンインクの吐出量を補正する必要がない。
最後に、シアンインクに対して紫外線が仮照射された後に、ブラックインクが吐出される。ブラックインクは、イエロー・マゼンタ・シアンインクとは重ねて吐出されないとしている。そのため、ブラックインクは、必ず、背景画像上に吐出される。ブラックインクを吐出するまでに、背景画像は4個の仮照射器41(W),41(Y),41(M),41(C)によって紫外線が仮照射される。図7に示すように、ブラックインクを吐出する時の下地の照射回数は4回となるので、ブラックインクの吐出量は補正する必要がある。
これらのことをプリンタードライバーが判断し、ハーフトーン処理後のデータ(インク吐出量)を、画素ごとに、下地の照射回数に応じて補正する(図6のS105)。なお、画像を印刷するための画像データは、多数の画素から構成され、印刷に使用するインク(WYMCK)の色ごとの画素から構成される。また、画素に対応する媒体上の領域ごとに、吐出されるインクの種類(色)が異なる。そこで、印刷例1では、プリンタードライバーが画素ごとに(色ごとに)インク吐出量を補正する。
図8のフローに示すように、プリンタードライバーは、まず、ある画素iがドットを形成する画素であるか否かを判断する(S201)。画素iがドットを形成しない画素であれば(S202→N)、下地の照射回数が何回であろうとも、インク吐出量は0ngのままである(S204)。そのため、画素iがドットを形成しない場合には、プリンタードライバーは、次の画素i+1に対するインク吐出量の補正処理を実施する(S201)。
一方、プリンタードライバーは、ある画素iがドットを形成する画素であると判断した場合(S202→Y)、次に画素iが白インクまたはイエローインクに関する画素であるか否かを判断する(S203)。図7に示すように、白インクまたはイエローインクを吐出する場合、下地が媒体または下地のインクの照射回数が1回である。そのため、プリンタードライバーは、画素iが白インクまたはイエローインクに関する画素であると判断した場合(S203→Y)、画素iのインク吐出量を補正せず(S204)、次の画素i+1に対する補正処理を実施する。
そして、プリンタードライバーは、画素iが白インクまたはイエローインクに関する画素でないと判断した場合(S203→N)、次に画素iがブラックインクに関する画素であるか否かを判断する(S205)。プリンタードライバーは、画素iがブラックインクに関する画素であると判断した場合(S205→Y)、図7に示すようにブラックインクは照射回数が4回である下地の上に吐出される為、画素iのインク吐出量を15ng増加する(S206)。そして、プリンタードライバーは、次の画素i+1に対する補正処理を実施する(S201)。
プリンタードライバーは、画素iがブラックインクに関する画素でないと判断した場合(S205→N)、画素iはマゼンタインクまたはシアンインクに関するデータとなる。図7に示すように、マゼンタインクまたはシアンインクを吐出する場合には、下地のインクの色によって下地の照射回数が変わってくる。そのため、プリンタードライバーは、画素iが対応する媒体上の領域と同じ領域に対応する画素(即ち、2次元の画像データ上において同じ位置である画素)のインクの吐出の有無を判断し、画素iの下地の照射回数を決定する。
例えば、画素iがシアンインクのデータであり、画素iに対応する媒体上の領域には、背景画像の白インクしか吐出されないとする。この場合、プリンタードライバーは、画素iの下地の照射回数が3回であると判断し(S207→Y)、画素iのインク吐出量を10ng増加する。また、画素iがシアンインクのデータであり、画素iに対応する媒体上の領域には、白インクとイエローインクが吐出されるとする。この場合、プリンタードライバーは、画素iの下地の照射回数が2回であると判断し(S209→Y)、画素iのインク吐出量を5ng増加する(S201)。また、画素iがシアンインクのデータであり、画素iに対応する媒体上の領域には、白インクとマゼンタインクが吐出されるとする。この場合、プリンタードライバーは、画素iの下地の照射回数が1回であると判断し(S209→N)、画素iのインク吐出量を補正しない(S211)。
このような処理を全ての画素iに対して実施するまで繰り返す(S212→N)。そして、全ての画素iに対してインク吐出量の補正処理が終了したら、プリンタードライバーは次にラスタライズ処理(図6のS106)を実施する。
以上をまとめると、印刷例1では、画素ごとに、その画素に基づいてインクが吐出される際の下地の照射回数に応じて、その画素のインク吐出量を補正する。そうすることで、下地の照射回数が多く(硬化度が高く)、インクが流れ広がり難い場合であっても、多くのインク量が吐出されるため、既定のドット径であるドットを形成することができる。その結果、画質劣化を抑制することができる。
また、印刷例1では、白インクの背景画像上に4色のインク(YMCK)を全て使用した画像が形成される印刷物Aを印刷し、ブラックインクを3色のカラーインクYMCと重ねて印刷しないとしている。そのため、図7に示すように、一部のインク(白・イエロー・ブラック)では、プリンタードライバーが下地の照射回数を算出することなく、インク吐出量の補正量が決定する。そのため、図8に示すフローでは、プリンタードライバーは、シアンインクとマゼンタインクに関する画素iに対してのみ下地の照射回数を算出し、他の色に関する画素は、色に応じて補正量を決定することができている。そのため、プリンタードライバーは、全ての色の画素に関して、下地の照射回数を算出しなくてもよく、補正処理が容易となる。そこで、同じ印刷が繰り返し行われる場合であって(例えば印刷物Aが繰り返し印刷される場合であって)、色に応じて画素の補正量が決定する場合には、図8に示すようなフローをコンピューター(又はプリンター1)のメモリーに記憶させ、プリンタードライバーにインク吐出量の補正処理を実施させるとよい。
<印刷例2>
図9は、プリンター1における用紙Sの搬送経路の別の例を示す図である。ここまで、図2に示すように、プリンター1が印刷可能なインクの色数が6色(W・Y・M・C・K・CL)である場合を例に挙げている。色再現性を高め、より高画質な画像を印刷するためには、プリンター1が吐出可能なインクの色数を増やすとよい。印刷例2では、図9に示すプリンター1のように、吐出可能なインクの色数が多い場合の印刷例について説明する。図9に示すプリンター1では、9色の有色インクと無色透明のクリアインクを吐出可能とする。ただし、各色のインクを吐出する10個のヘッド31および照射器41,42を搬送方向に沿って水平に並べると、装置が大型化してしまう。そこで、図9に示すプリンター1では、ドラム23の外周側にヘッド31と照射器41,42を設ける。そして、搬送ローラー21が回転することによってドラム23の周囲の搬送ベルト22が図示する搬送方向に移動する。媒体Sは搬送ベルト22の移動に伴って搬送ベルト22上を搬送され、その間に媒体Sはヘッド31及び照射器41,42と対向することになる。
図10は、印刷例2における照射回数に応じたインク吐出量の補正処理フローを示す。前述の印刷例1では、背景画像を印刷する場合を例に挙げている。これに対して、印刷例2の図10のフローでは、背景画像を印刷する場合にも、背景画像を印刷しない場合にも、インク吐出量の補正処理を実施することができる。また、印刷例2では印刷例1と同様に、ハーフトーン処理後のデータ(インク吐出量)を、画素ごとに(色ごとに)、下地の照射回数に応じて補正する。
まず、プリンタードライバーは、ある画素iがドットを形成する否かを判断する(S302)。ドットを形成しない場合には(S302→N)、下地の照射回数に関係なく、インク吐出量は0ngのままであり、補正を行わない(S305)。そして、プリンタードライバーは次の画素i+1に対する補正処理を実施する(S301)。一方、プリンタードライバーは、画素iはドットを形成する画素であると判断すると(S302→Y)、画素iによりインクを吐出するまでに、画素iに対応する媒体上の領域にインクが吐出されるか否かを判断する。即ち、プリンタードライバーは、画素iにより吐出するインクが、媒体上に着弾するのか、それとも紫外線硬化型インク上に着弾するのか(下地が媒体か否か)を判断する(S303)。もし、下地が媒体であれば、媒体が紫外線を照射された回数に関係なく、インク滴は媒体表面を流れ広がるため、インク吐出量を補正する必要がない。そのため、プリンタードライバーは、画素iによるインクは媒体に吐出されると判断した場合(S303→Y)、インク吐出量を補正せず(S305)、次の画素i+1の補正処理を実施する。なお、背景画像を印刷する場合には、最初に吐出されるインク(例えば背景画像を構成する白インク)以外は、インク上に吐出されることになる。また、背景画像を印刷しない場合には、重ねて吐出されないインク(例えばブラックインク)は媒体上に吐出され、重ねて吐出される上層のインクはインク上に吐出されることになる。
そして、プリンタードライバーは、画素iによるインクが、媒体上ではなく、インク上に吐出されると判断した場合には(S303→N)、画素iによるインクの下地の照射回数を判断する。換言すると、プリンタードライバーは、画素iに対応する媒体上の領域に、画素iによりインクが吐出される直前に吐出されたインクが、画素iによりインクが吐出されるまでに、紫外線を仮照射された回数(下地の照射回数)を判断する。プリンタードライバーは、下地の照射回数が1回以下であれば(S304→Y)、画素iのインク吐出量の補正を行わず(S305)、下地の照射回数が2回であれば(S306→Y)、画素iのインク吐出量を5ng増加し(S307)、下地の照射回数が3回であれば(S308→Y)、画素iのインク吐出量を10ng増加し(S309)、下地の照射回数が4回以上であれば(S308→N)、画素iのインク吐出量を15ng増加する(S310)。プリンタードライバーは、このような処理を全ての画素iに対して実施するまで繰り返す。
その結果、下地の照射回数が多く(硬化度が高く)、インクが流れ広がり難い場合には、多くのインク量が吐出されるため、既定のドット径であるドットを形成することができ、画質劣化を抑制することができる。また、印刷例2に示すフローでは(図10)では、背景画像の印刷の有無に関係なく、インク吐出量の補正処理を実施することができる。印刷例2のプリンター1のように(図9)、吐出可能なインクの色数が増えると、印刷例1のように(図8)インクの色によって下地の照射回数を決定することが難しい。そのため、インクの色数の多いプリンターでは、印刷例2のフロー(図10)のように、インクの色に関係なく、下地の照射回数によってインク吐出量の補正を実施するとよい。
<印刷例3>
図11は、印刷例3における照射回数に応じたインク吐出量の補正処理のフローである。図9に示すプリンター1のように吐出可能なインクの色数が増えると、インク吐出量の補正対象となる画素数が多くなる。その結果、プリンタードライバーの補正処理が複雑となる。また、搬送方向上流側のヘッド31から吐出されるインクは、搬送方向下流側のヘッド31から吐出されるインクに比べて、下地のインク(例えば背景画像)の照射回数が小さく、硬化度が進んでいない為、ドット径が既定の長さよりも短くなる虞が少ない。
そこで、印刷例3では、搬送方向下流側のヘッド31から吐出するインク量は照射回数に応じて補正し、搬送方向上流側のヘッド31から吐出するインク量は補正しないとする。つまり、搬送方向における或る位置よりも下流側に位置するヘッド31から吐出するインク量(n番目以降のヘッド31から吐出するインク量)は照射回数に応じて補正し、搬送方向における或る位置よりも上流側に位置するヘッド31から吐出するインク量(n−1番目までのヘッド31から吐出するインク量)は補正しない。
そのために、図11のフローに示すように、プリンタードライバーは、或る画素iがn番目以降のヘッド31からインクを吐出するためのデータであるか否かを判断する(S402)。そして、プリンタードライバーは、画素iがn番目以降のヘッド31からインクを吐出するためのデータでないと判断した場合(S402→N)、下地の照射回数を判断することなく、画素iのインク吐出量の補正を行わない(S406)。
一方、プリンタードライバーは、画素iがn番目以降のヘッド31からインクを吐出するためのデータであると判断した場合(S402→Y)、画素iがドットを形成するデータであるか否か(S403)、また、画素iによるインクを媒体上に吐出するのか否か(S404)を判断する。そして、プリンタードライバーは、画素iがインクを吐出するデータであり(S403→Y)、画素iによるインクを媒体ではなくインク上吐出する(S404→N)と判断した場合に、画素iに対する下地の照射回数を判断し、画素iのインク吐出量を補正する(または補正しない)。
この結果、搬送方向上流側のヘッド31(n−1番目までのヘッド31)から吐出するインク量に対しては補正処理を実施しないため、プリンタードライバーの補正処理が容易となる。また、搬送方向上流側のヘッド31からのインクは、下地のインクに対する照射回数が比較的に少なく(下地の硬化度が低く)、ドット径が小さくなり過ぎてしまう虞が少ない。特に、背景画像を印刷しない場合には、搬送方向上流側のヘッド31からのインクが、インク上に吐出されるよりも、媒体上に吐出される確率の方が高いので、インク吐出量を補正しなくとも、ドット径が小さくなり過ぎてしまう虞が少ない。一方、搬送方向下流側のヘッド31からのインクは、下地のインクに対する照射回数が比較的に多くなるため(特に背景画像の照射回数は多くなるため)、下地の照射回数に応じてインク吐出量を補正することで、確実に既定のドット径であるドットを形成することができる。つまり、印刷例3によれば、画質劣化を抑制しつつ、インク吐出量の補正処理を容易にすることができる。
<その他の印刷例>
前述の印刷例1では、白インクの背景画像上に、4色の有色インクYMCKを吐出して印刷する印刷物を例に挙げているが、これに限らない。例えば、白インクの背景画像上に、4色の有色インク(YMCK)により画像を形成し、最後に画像全面に無色透明のクリアインクを吐出する場合もある。この場合、クリアインクの吐出量も下地の照射回数に応じて補正するとよい。ただし、クリアインクは無色透明であり、画像全面に吐出されるため、下地の照射回数が多く(下地の硬化度が高く)、ドット径が既定の長さよりも短くなったとしても、大きく画質に影響することはない。そのため、クリアインクは下地の照射回数に関係なく、設計上のインク量を吐出するようにしてもよい(即ち、クリアインクの吐出量は補正しなくてもよい)。
また、前述の実施例では、背景画像となる白インクを媒体に最初に吐出する印刷物を例に挙げているが、これに限らない。例えば、透明フィルムなどの媒体に最初にクリアインクを吐出し、クリアインクCLにて前面画像を印刷し、その上に有色インクYMCKを吐出して画像を形成し、その上に画像全面に白インクを吐出する印刷物もある。即ち、透明フィルム側から画像を見る印刷物である。この場合においても、下地の照射回数に応じてインク吐出量を補正するとよい。なお、このような印刷物を印刷する場合には、搬送方向の最上流側のヘッド31(図2)に充填するインクを白インクからクリアインクに交換するとよい。
また、前述の実施例では、背景画像を印刷しない場合であっても、下地の照射回数に応じてインク吐出量を補正している(例えば図10のS303)。しかし、これに限らず、背景画像を印刷しない場合には、下地の照射回数に応じたインク吐出量の補正処理を行わなくてもよい。例えば、図6に示すフローにおいて、プリンタードライバーは、ハーフトーン処理(S104)後に、その印刷データでは背景画像を印刷するか否かを判断し(不図示)、背景画像を印刷する場合には照射回数に応じたインク吐出量の補正処理(S105)を実施し、背景画像を印刷しない場合には直ぐにラスタライズ処理(S106)を実施してもよい。
その理由を以下に説明する。まず、背景画像を印刷しない場合、搬送方向の最上流側のヘッド31から吐出されるインク(図2のプリンターではイエローインク)は、必ず媒体上に吐出される。また、ブラックインクなどは、他の有色インクと重ねて吐出されることが少ない。そのため、背景画像を印刷しない場合には、媒体に直接吐出されるインクが増える。一方、カラーインクは重ねて吐出される場合がある。ただし、背景画像は必ず媒体に最初に吐出されるのに対して、重ねて吐出されるインクのうちの下地のインクは、その下地のインクが吐出される搬送方向の位置によって照射回数が変わる。即ち、ある色のインク滴を背景画像上に吐出するまでに背景画像が仮照射された回数よりも、ある色のインク滴を別の色インク上に吐出するまでに別の色インク滴が仮照射された回数の方が少なくなる。そのため、別の色インクは背景画像に比べて硬化度が低く、ある色のドットが既定のドット径よりも小さくなってしまう虞が少ない。
そこで、背景画像を印刷する場合には下地の照射回数に応じてインク吐出量を補正し、背景画像を印刷しない場合には下地の照射回数に応じてインク吐出量を補正しないとしてもよい。そうすることで、背景画像を印刷しない場合には、プリンタードライバーの印刷データの作成処理が容易となる。ただし、背景画像を印刷しない場合であっても、画素ごとに下地の照射回数を判断してインク吐出量を補正する方が、より画質劣化を抑制できる。
また、本実施形態では、図5Bに示すように、下地の照射回数が2回の場合にはインク吐出量を5ng増加し、下地の照射回数が3回の場合にはインク吐出量を10ng増加し、というように、照射回数に応じてインク吐出量の増加量を異ならせているがこれに限らない。例えば、下地の照射回数が閾値を超えた場合に(例:3回以上の場合に)、インク吐出量を一律に増加してもよい(例:10ngを増加する)。そうすることで、プリンタードライバーの補正処理が容易となる。ただし、下地の照射回数が増えるに従って、その上に形成されるインク滴がよりはじかれて、ドット径が小さくなるため、下地の各照射回数に応じてインク吐出量を補正(増加)する方が、既定のドット径であるドットを確実に形成することができる。
また、前述の実施形態では、プリンタードライバーが、画像データを構成する最小単位である画素ごとに、照射回数を算出してインク吐出量を補正しているが、これに限らない。例えば、複数の画素から構成される単位領域(例:16画素×16画素)ごとに、単位領域のうちの代表画素の照射回数に基づいて、単位領域に属する画素のインク吐出量を補正してもよい。
===インク吐出量の調整方法===
本実施形態では、下地の照射回数(下地の硬化度)に応じてインク吐出量を補正し(増加し)、既定のドット径であるドットを形成する。そのために、本実施形態では、下地の照射回数に応じたインク吐出量(補正量)を、プリンター1の設計・製造工程やメンテナンス時などにおいて、以下に示す調整方法により決定する。なお、同じ照射回数であっても、インクの特性などによって硬化の度合いが異なってくる。ゆえに、プリンター1にて使用するインクの種類を変更した時などは、以下の調整方法を実施し、照射回数に応じたインク吐出量を再決定することが好ましい。
<調整方法1>
図12は、調整方法1にて印刷するテストパターンを説明する図である。図示するテストパターンは、白インクにより印刷された複数の背景画像から構成される。各背景画像上には、有色インクを吐出するヘッド31のうちの最下流側のヘッド31(図2のプリンター1ではブラックインクK)により複数の罫線(図中は3本)を印刷する。なお、背景画像は所定数の仮照射器41によって所定の回数だけ紫外線を照射される。図12には、背景画像の照射回数が2回と3回であるテストパターンを例に挙げる。また、背景画像は、照射回数に応じたインク吐出量(補正量)の候補数分だけ印刷する。図12では、照射回数が2回及び3回である時の小ドットのインク吐出量(補正量)の候補数を5個とする。具体的な候補のインク吐出量を、設計上のインク吐出量5ngと、それよりも吐出量の多い8ng・10ng・12ng・15ngとする。
図12の左側のテストパターンは、照射回数が2回の時のインク吐出量を決定する為のテストパターンである。そのため、まず、白インク用のヘッド31(W)によって5個の背景画像を形成し、2個の仮照射器41(W),41(Y)によって背景画像に紫外線を仮照射する。そして、ブラックインク用のヘッド31(K)によって、背景画像ごとに3本の罫線を形成し、ブラックインク用の仮照射器41(K)によって罫線に対して紫外線を仮照射する。このとき、背景画像ごとに罫線(を構成するドット)を形成するためのインク吐出量を異ならせる。言い換えると、背景画像ごとに、背景画像上の単位領域(例:画素)に吐出するインク量を変化させる。例えば、1個目の背景画像上に形成する罫線は5ngの小ドットにより形成し、2個目の背景画像上に形成する罫線は8ngの小ドットにより形成し、3個目の背景画像上に形成する罫線は10ngの小ドットにより形成し、4個目の背景画像上に形成する罫線は12ngの小ドットにより形成し、5個目の背景画像上に形成する罫線は15ngの小ドットにより形成する。そして、最後に、本照射器42によってテストパターンに対して紫外線を本照射する。
同様に、背景画像に対する仮照射の回数を異ならせて、テストパターンを形成する。図12の右側のテストパターンは、照射回数が3回の時のインク吐出量を決定する為のテストパターンである。そのため、白インク用のヘッド31(W)によって5個の背景画像を形成した後に、3個の仮照射器41(W),41(Y),41(M)によって背景画像に紫外線を仮照射する。そして、背景画像ごとに、インク吐出量の異なるドットから構成される罫線を形成する。
つまり、調整方法1では、テストパターンとして、所定の照射回数で仮照射された背景画像上に、背景画像ごとにインク吐出量の異なるドットから構成される罫線を印刷する。その後、テストパターンの罫線幅を計測する。なお、背景画像ごとに3つの罫線を印刷するので、3つの罫線幅の計測結果の平均値を算出する。そうすることで、罫線を印刷する時の誤差や罫線幅を計測する時の誤差が緩和された計測結果が得られる。
最後に、背景画像に対する照射回数が所定回であるテストパターンにおいて、複数の背景画像のうち、所望の罫線幅が形成された背景画像を決定する。そして、所望の幅である罫線を構成するインク吐出量を、下地の照射回数が所定回である時のインク吐出量に決定する。背景画像に対する仮照射回数は同じであるため、背景画像上におけるインクのはじかれ易さ(濡れ広がり難さ)は同じである。しかし、最初の背景画像ほどインク吐出量が少ないため罫線幅が細くなり、最後の背景画像ほどインク吐出量が多くなるため罫線幅が太くなる。例えば、照射回数が2回のテストパターンにおいて、3個目の背景画像上の罫線が所望の幅である罫線であり、1個目と2個目の背景画像上の罫線幅は所望の幅よりも細く、4個目と5個目の背景画像上の罫線幅は所望の幅よりも太かったとする。この場合、下地の照射回数が2回である時の小ドットを形成するためのインク吐出量を「10ng(補正量は5ng)」に決定するとよい。同様に、照射回数が3回のテストパターンでは、1個目から4個目の背景画像上の罫線幅は所望の幅よりも細く、5個目の背景画像上の罫線幅が所望の幅であったとする。この場合、下地の照射回数が3回である時の小ドットを形成するためのインク吐出量を「15ng(補正量は10ng)」に決定するとよい。
このように、背景画像の照射回数が所定回であるテストパターンの中から所望の幅である罫線が形成された背景画像(罫線)を決定し、その罫線を形成した時のインク吐出量を、下地の照射回数が所定回である時のインク吐出量(補正量)に決定する。そうすることで、下地の照射回数が多くとも(下地の硬化度が高くとも)、その上に吐出されるインク滴のドット径が既定の長さよりも短くなってしまうことを防止でき、画質劣化を抑制できる。
<調整方法2>
図13は、調整方法2にて印刷するテストパターンを説明する図である。調整方法1では、所定の照射回数である背景画像上に、背景画像ごとにインク吐出量の異なるドットによって構成される罫線を印刷しているが、これに限らない。例えば、この調整方法2のように、所定の照射回数である背景画像上に、背景画像ごとにインク吐出量の異なるドットによって構成される均一濃度の画像(以下、ベタ塗り画像ともいう)を印刷してもよい。
図13に示すように、所定の照射回数(X回)で照射された背景画像上に、背景画像ごとにインク吐出量の異なるドットによって、ベタ塗り画像を印刷する。例えば、1個目の背景画像上にはインク吐出量が5ngであるドットから構成されるベタ塗り画像を印刷し、2個目の背景画像上にはインク吐出量が8ngであるドットから構成されるベタ塗り画像を印刷し、3個目の背景画像上にはインク吐出量が10ngであるドットから構成されるベタ塗り画像を印刷し、4個目の背景画像上にはインク吐出量が12ngであるドットから構成されるベタ塗り画像を印刷し、5個目の背景画像上にはインク吐出量が15ngであるドットから構成されるベタ塗り画像を印刷する。
背景画像に対する仮照射回数は同じであるため、背景画像上におけるインクのはじかれ易さ(濡れ広がり難さ)は同じであるが、1個目のベタ塗り画像はインク吐出量が少ないため、図示するようにドット径が小さくなる。そのため、1個目の背景画像上のベタ塗り画像を巨視的に見ると濃度が淡い。一方、5個目のベタ塗り画像はインク吐出量が多いため、背景画像上にてインクがはじかれたとしても、図示するようにドット径が大きくなる。そのため、5個目の背景画像上のベタ塗り画像を巨視的に見ると濃度が濃い。即ち、ベタ塗り画像を構成するドットのインク吐出量が増えるほど、ベタ塗り画像の濃度が濃くなる。
そして、背景画像に対する照射回数が所定回であるテストパターンにおいて、複数の背景画像のうち、所望の濃度であるベタ塗り画像を決定する。決定したベタ塗り画像を構成するドットのインク吐出量を、下地の照射回数が所定回である時のインク吐出量に決定する。例えば、照射回数がX回のテストパターンの結果では、3個目の背景画像上のベタ塗り画像が所望の濃度であり、1個目と2個目の背景画像上のベタ塗り画像は所望の濃度よりも淡く、4個目と5個目の背景画像上のベタ塗り画像は所望の濃度よりも濃かったとする。この場合、下地の照射回数がX回である時の小ドットを形成するためのインク吐出量を「10ng」に決定するとよい。
そうすることで、下地の照射回数が多くとも(下地の硬化度が高くとも)、その上に吐出されるインク滴のドット径が既定の長さよりも短くなってしまうことを防止でき、画質劣化を抑制できる。なお、ベタ塗り画像の濃淡は、目視で判断してもよいし、スキャナーで読み取るなどしてもよい。
===その他の実施の形態===
上記の実施の形態は、主としてプリンターについて記載されているが、電磁波硬化型インクの吐出量の補正方法などについての開示も含まれている。また、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
<調整方法について>
前述の実施形態では、図12・13に示すテストパターンを印刷する調整方法によって、下地の照射回数に応じたインク吐出量を決定しているが、これに限らない。別の調整方法にてインク吐出量を決定してもよいし、理論計算によりインク吐出量を決定してもよい。
<印刷装置について>
ノズルからのインクの吐出方式は、駆動素子(ピエゾ素子)に電圧をかけて、インク室を膨張・収縮させることにより流体を噴射するピエゾ方式に限らず、発熱素子を用いてノズル内に気泡を発生させ、その気泡によって液体を噴射させるサーマル方式でもよい。
また、前述の実施形態では、ヘッドおよび照射器の下を用紙が搬送方向に停まることなく搬送されるプリンター(図2)を例に挙げているがこれに限らない。例えば、ヘッドと照射器を移動方向に移動させる動作と、移動方向と交差する方向に用紙を搬送する動作と、を交互に繰り返すプリンターでもよい。
<インクについて>
前述の実施形態では、電磁波硬化型インクとして「紫外線硬化型インク」を例に挙げているがこれに限らない。例えば、電子線、X線、可視光線、赤外線等の電磁波で硬化するインクであってもよいとする。