JP2012231680A - コンバインの刈取前処理装置 - Google Patents

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清 飯泉
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善正 松田
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Abstract

【課題】収穫作業の中断を低減し、ヘッドロスを低減する汎用コンバインの刈取前処理装置を提供する。
【解決手段】掻込みリール(61)を支持するリール支持アーム(63)の前部に縦刈刃装置(80)の上下方向の中間部を支持することにより解決される。
【選択図】図3

Description

本発明は、コンバインの刈取前処理装置に係るものである。
従来、掻込み装置の前方の底板に後上がり傾斜した縦刈刃を設置したコンバイン、掻込み装置によって穀桿の刈取りを行なう刈取作用区域の側外方に後下がり傾斜した縦刈刃を設置したコンバインが知られていた(特許文献1,2参照)。
中国実用新案公告第201216066号公報 中国特許公開第101669422号公報
しかし、従来のコンバインの縦刈刃は、刈取作用区域を構成する低板、側壁等に固定され掻込み装置と同期して昇降することはできないものであり、特に、油菜、菜の花等の丈の高い穀桿の収穫作業にあっては、刈取作用区域の内方に移送される穀桿と刈取作用区域の外方の穀桿の絡みを縦刈刃で切断できない虞があり、収穫作業を中断する問題があった。
又、縦刈刃が掻込み装置の前方に設置されている場合、縦刈刃で切断された穀桿が掻込み装置によって掻き込まれず脱落する虞があり、縦刈刃が刈取作用区域の側外方に設置されている場合、縦刈刃による穀桿の切断時に多くの穀粒が刈取作用区域の側外方に脱落する虞があり、収穫効率が低くなる問題があった。
そこで、本発明の主たる課題は、かかる問題点を解消することにある。
上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
請求項1に係る発明は、脱穀装置(4)の前方に設けられたコンバインの刈取前処理装置(5)であって、前記刈取前処理装置(5)は、相互に絡みあった穀桿を切断する縦刈刃装置(80)と、穀桿を掻き込む掻込みリール(61)と、穀桿の株元を切断する横刈刃装置(50)と、刈り取った穀桿を送込口(32)に集送するオーガ装置(30)と、前記送込口(32)と脱穀装置(4)を連通するフィーダハウス(20)を備え、前記掻込みリール(61)を支持するリール支持アーム(63)の前部に前記縦刈刃装置(80)の上下方向の中間部を支持したことを特徴とするコンバインの刈取前処理装置である。
請求項2に係る発明は、前記縦刈刃装置(80)を、オーガ装置(30)による集送作用域(31e)の内側に配置したことを特徴とする請求項1記載のコンバインの刈取前処理装置である。
請求項3に係る発明は、前記縦刈刃装置(80)を、機体側面視において、前記リール支持アーム(63)の中心線(L1)に略直交する仮想線(L2)に対して平行に配置したことを特徴とする請求項1又は2記載のコンバインの刈取前処理装置である。
請求項4に係る発明は、前記縦刈刃装置(80)は、機体側面視において、前記リール支持アーム(63)の中心線(L1)に略直交する仮想線(L2)に対して傾斜させて配置したことを特徴とする請求項1又は2記載のコンバインの刈取前処理装置である。
請求項5に係る発明は、前記縦刈刃装置(80)の上端部を、機体側面視において、前記仮想線(L2)よりも前方に配置し、該縦刈刃装置(80)の下端部は、機体側面視において、前記仮想線(L2)よりも後方に配置したことを特徴とする請求項4記載のコンバインの刈取前処理装置である。
請求項6に係る発明は、前記縦刈刃装置(80)の上端部を、機体側面視において、前記仮想線(L2)よりも後方に配置し、該縦刈刃装置(80)の下端部は、機体側面視において、前記仮想線(L2)よりも前方に配置したことを特徴とする請求項4記載のコンバインの刈取前処理装置である。
請求項7に係る発明は、前記縦刈刃装置(80)は、機体側面視において、前記リール支持アーム(63)の中心線(L1)に略直交する仮想線(L2)に対する傾斜角度(θ)を変更自在な構成としたことを特徴とする請求項1又は2記載のコンバインの刈取前処理装置である。
請求項8に係る発明は、前記リール支持アーム(63)の前部に設置されたリール中心軸(62)の回転を揺動駆動機構(87)に伝達し、該揺動駆動機構(87)を介して前記縦刈刃装置(80)の可動刃(81)を上下方向に往復摺動する構成としたことを特徴とする請求項1又は2記載のコンバインの刈取前処理装置である。
請求項9に係る発明は、前記リール支持アーム(63)の後部に設置されたリール中心軸(62)よりも伝動上手側の第一中心軸(68)の回転を揺動駆動機構(87)に伝達し、該揺動駆動機構(87)を介して前記縦刈刃装置(80)の可動刃(81)を上下方向に往復摺動する構成としたことを特徴とする請求項1又は2記載のコンバインの刈取前処理装置である。
請求項1記載の発明によれば、掻込みリール(61)を支持するリール支持アーム(63)の前部に縦刈刃装置(80)の上下方向の中間部を支持しているので、掻込みリール(61)の昇降と共に縦刈刃装置(80)が昇降し、相互に絡み合った丈の高い油菜等の穀桿を効率良く切断でき、収穫作業の能率向上およびロスの低減を図ることができる。
請求項2記載の発明によれば、上記請求項1記載の発明の効果を奏するうえに、縦刈刃装置(80)をオーガ装置(30)の集送作用域(31e)の内側に配置しているので、油菜等の穀桿の切断時における集送作用域(31e)の外側への穀粒の脱落の低減を図ることができる。
請求項3記載の発明によれば、上記請求項1又は2記載の発明の効果を奏するうえに、縦刈刃装置(80)をリール支持アーム(63)の中心線(L1)に直交する仮想線(L2)に平行に配置しているので、収穫作業時における掻込み装置(60)への穀桿の巻き付きの低減を図ることができる。
請求項4記載の発明によれば、上記請求項1又は2記載の発明の効果を奏するうえに、縦刈刃装置(80)をリール支持アーム(63)の中心線(L1)に直交する仮想線(L2)に対して傾斜させて配置しているので、収穫作業時における縦刈刃装置(80)の振動の低減を図ることができる。
請求項5記載の発明によれば、上記請求項4記載の発明の効果を奏するうえに、縦刈刃装置(80)の上端部を仮想線(L2)よりも前方に配置しているので、掻込みリール(61)の前方に位置する縦刈刃装置(80)の上部で丈の高い油菜等の穀桿を切断した後、掻込みリール(61)によって切断された穀桿を掻き込むことができ、穀稈をオーガ装置(30)に効率良く供給することができる。
請求項6記載の発明によれば、上記請求項4記載の発明の効果を奏するうえに、縦刈刃装置(80)の上端部が仮想線(L2)よりも後方に配置され、縦刈刃装置(80)の下端部が仮想線(L2)よりも前方に配置されることで、この縦刈刃装置(80)が圃場面に対して略垂直に起立しているので、掻込みリール(61)を上昇させることなく縦刈刃装置(80)の上部で丈の高い油菜等の穀桿を容易に切断することができ、又、集送作用域(31e)の前方側への穀粒の脱落の低減を図ることができる。
請求項7記載の発明によれば、上記請求項1又は2記載の発明の効果を奏するうえに、縦刈刃装置(80)の傾斜角度(θ)を仮想線(L2)に対して自在に変更できるので、縦刈刃装置(80)を脱着することなく、縦刈刃装置(80)を最適な取付姿勢に容易に変更することができ、収穫作業の能率向上を図ることができる。
請求項8記載の発明によれば、上記請求項1又は2記載の発明の効果を奏するうえに、リール支持アーム(63)の前部に設置されたリール中心軸(62)の回転を揺動駆動機構(87)に伝達し、該揺動駆動機構(87)を介して縦刈刃装置(80)の可動刃(81)を上下方向に往復摺動させることで、縦刈刃装置(80)の可動刃(81)の駆動を簡易な構成で行なうことができる。
請求項9記載の発明によれば、上記請求項1又は2記載の発明の効果を奏するうえに、リール支持アーム(63)の後部に設置されたリール中心軸(62)よりも伝動上手側の第一中心軸(68)の回転を動駆動機構(87)に伝達し、該揺動駆動機構(87)を介して縦刈刃装置(80)の可動刃(81)を上下方向に往復摺動させることで、縦刈刃装置(80)の可動刃(81)の駆動を簡易な構成で行なうことができ、又、リール支持アーム(63)の前側部の重量の軽量化を図ることができる。
汎用コンバインの左側面図である。 汎用コンバインの平面図である。 第1実施形態の刈取前処理装置の拡大左側面図である。 (a)は要部拡大左側面図であり、(b)は要部拡大正面図である。 要部拡大説明図である。 他の伝達方法の拡大左側面図である。 縦刈刃装置の第2取付姿勢の拡大左側面図である。 縦刈刃装置の第3取付姿勢の拡大左側面図である。 要部動力伝達図である。 第2実施形態の刈取前処理装置の拡大左側面図である。 (a)は要部拡大正面図であり、(b)は要部拡大左側面図である。 第3実施形態の刈取前処理装置の拡大左側面図である。 要部拡大説明図である。
以下、本発明の汎用コンバインの実施形態について添付図面を参照しつつ説明する。
図1、図2は、汎用コンバイン1を示している。汎用コンバイン1の車台2の下方には土壌面を走行する為の左右一対のクローラからなる走行装置3が設けられ、車台2の上方左側には脱穀・選別を行なう脱穀装置4が設けられ、脱穀装置4の前方には圃場の穀桿を収穫する刈取前処理装置5が設けられている。脱穀装置4で脱穀・選別された穀粒は脱穀装置4の右側に設けられたグレンタンク6に貯留され、貯留された穀粒は穀粒排出筒7により外部へ排出される。又、車台2の上方右側には操作者が搭乗する操作席を備えたキャビン8が設けられている。
次に、本発明の刈取前処理装置5の第1実施形態について説明する。
図1〜図3に示すように、脱穀装置4の前方に設けられた第1実施形態の刈取前処理装置5は、フィーダハウス20と、オーガ装置30と、横刈刃装置50と、掻込み装置60、及び縦刈刃装置80から構成されている。なお、刈取前処理装置5は本実施形態に限定されることはなく、用途に合わせ搬送装置等の他の装置を組込むこともできる。
(フィーダハウス)
フィーダハウス20は、前方のオーガ装置30と後方の脱穀装置4との間に設けられ、掻込みオーガ33の回動により送込口32の前方に寄せ集められた稲、麦、大豆、そば等の穀桿を脱穀装置4に搬送する装置である。
フィーダハウス20の前部には、枠体21に支持された伝動軸27に左右一対のスプロケット27A,27Bが軸支され、フィーダハウス20の後部には、枠体21に支持された駆動軸26に左右一対のスプロケット26B,26Cが軸支され、スプロケット27A,27Bとスプロケット26B,26Cにはフィーダチェン12A,12Bが巻き掛けられている。
又、フィーダハウス20の前部には、枠体21に支持された伝動軸22に刈取伝動プーリ23、リール伝動スプロケット24及びオーガ伝動スプロケット28Bが軸支されている。
(オーガ装置)
オーガ装置30は、フィーダハウス20の前方に汎用コンバイン1の約全幅に亘って設けられている。オーガ装置30は、掻込み装置60で掻込まれた穀桿を後板31bの左側下部に形成された送込口32の前方に寄せ集め、穀桿をフィーダハウス20に移送する装置である。
オーガ装置30のオーガフレーム31は、左右一対の側壁31a,31aと、側壁31a,31aの後部を連結する後板31bと、側壁31a,31aの後部と後板31bの下部を連結するテーブル31cによって構成され、側壁31a,31a、後板31b、及びテーブル31cで穀桿の集送作用域31eを形成する。又、側壁31a,31aの前端部には圃場の穀桿を分ける分草体39,39が設けられており、テーブル31cの前端部には後述する横刈刃装置50が設けられている。
側壁31aは、側面視において略多角形状に形成されており、側壁31aの上端部は前部から後部に後上がり傾斜し、側壁31aの下端部は前部から中間部に亘り略水平に形成され、中間部から後部に亘り下方に円弧状に突出して形成されている。
後板31bは、正面視において略長方形に形成され、テーブル31cは側面視において前部は略水平に形成され、後部は下方に円弧状に突出して形成されている。
なお、オーガフレーム31は、鋼材からなる側壁31a,31aと後板31bとテーブル31cを溶接により一体形成することもでき、又、一枚の鋼材を切断・折曲げにより一体形成することもできる。更に、側壁31a等の形状は、上述の形状に限定されることはなく用途に合わせ任意の形状に形成することができる。
掻込みオーガ33は、左右の一対の側壁31a,31aに支持された駆動軸34に軸支されている。又、掻込みオーガ33の外周には、移送されてきた穀桿を送込口32の前方に寄せ集める為に右側に向かって傾斜した搬送螺旋が設けられ、送込口32の前方での穀桿の滞留を防止する為に送込口32の前方に位置する掻込みオーガ33の外周には掻込みフィンガー36が設けられている。
なお、掻込みフィンガー36は、駆動軸34に軸支されたアーム37の前部に回転自在に設けられており掻込みオーガ33の外周に設けられたフィンガー孔に挿通されている。
(横刈刃装置)
横刈刃装置50は、掻込み装置60で掻込まれた穀桿、縦刈刃装置80で切断された油菜、菜の花等の丈の高い穀桿等の株元を切断する装置であり、オーガ装置30のテーブル31cの前端部に設けられ、側面視において前部から後上がり傾斜している。
横刈刃装置50は、固定状態の水平下刃52と、水平下刃52を支持する水平刈刃プレート53と、水平下刃52と水平刈刃プレート53によって形成された隙間を左右方向に往復摺動する水平上刃51から構成されている。水平上刃51の基部の左側上端部には凹部が形成され、凹部には第一揺動腕56の先端部が嵌入されている。刈取伝動スプロケット24の回動はベルト55によって水平刈刃伝動ボックス54に伝動され、第一揺動腕56は水平刈刃伝動ボックス54によって前後方向に往復揺動し、第一揺動腕56の往復揺動に伴って水平上刃51が左右方向に移動し、水平上刃51が水平下刃52と水平刈刃プレート53の間を往復摺動する。なお、横刈刃装置50は、本実施形態に限定されることはなく、藁屑の堆積を防止する為に、左側に位置する水平上刃と右側に位置する水平上刃を夫々別体に形成し、左側の水平上刃と右側の水平上刃を互いに反対方向に往復摺動させる構成とすることもできる。
(掻込み装置)
掻込み装置60は、倒伏した穀桿、大豆、そば等の丈の低い穀桿、及び油菜、菜の花等の丈の高い穀桿をオーガ装置30に掻込む装置であり、オーガ装置30の約全幅に亘ってオーガ装置30の上側前方に設けられている。
掻込み装置60は、リール支持アーム63と、リール支持アーム63の前部の回転自在に支持された第二中心軸(リール中心軸)62に軸支された側面視において略六角形状に形成された掻込みリール61とから構成されている。
掻込みリール61は、六箇所の各隅部に横方向に所定間隔で複数のリールタイン64が吊下げられたタイン支持杆65を有し、リール支持アーム63の基部は、オーガ装置30の後板31bに設けられた支持部材66に回転自在に支持され、リール支持アーム63の中間部には、リール支持アーム63を上下方向に昇降させる油圧シリンダ等の昇降装置67が設けられている。なお、昇降装置67の後部は、オーガ装置30の側壁31aに回転自在に支持されている。
リール支持アーム63の後部に回転自在に支持された第一中心軸68には、第一従動スプロケット69、第一駆動スプロケット70が軸支されており、リール支持アーム63の前部に回転自在に支持された第二中心軸62には、第二従動スプロケット74、第二駆動スプロケット75が軸支されている。又、後述する縦刈刃装置80の下ブラケット97に支持された回転軸85には、回転クランク(揺動駆動機構)87、第三従動スプロケット88が軸支されている。
フィーダハウス20の伝動軸22に軸支されたリール伝動スプロケット24と第一従動スプロケット69には第一リール駆動チェン72が巻き掛けられ、第一駆動スプロケット70と第二従動スプロケット74には第二リール駆動チェン73が巻き掛けられており、リール伝動スプロケット24の回動は第二従動スプロケット74に伝動される。
第二駆動スプロケット75と第三従動スプロケット88には第一縦刈刃駆動チェン89が巻き掛けられており、第二従動スプロケット74の回動は第三従動スプロケット88に伝動される。
第三従動スプロケット88の回動は回転クランク87に伝動され、後述する縦刈刃装置80の縦可動刃81を縦固定刃82の上面を上下方向に摺動する。なお、第一縦刈刃駆動チェン89の張力は、下方にバネ等が付設されている張力調整スプロケット99により調整されている。
図6に示すように、縦刈刃装置80の伝動を簡易化する為に、リール支持アーム63の後部に支持された第一中心軸68に第一従動スプロケット69、第一駆動スプロケット70、及び第三駆動スプロケット71を軸支し、リール支持アーム63の前部に支持された第二中心軸62に第二従動スプロケット74を軸支する構成とすることもできる。
この場合、第一従動スプロケット69の回動は第一中心軸68を介し第三駆動スプロケット71に伝動され、第三駆動スプロケット71と第三従動スプロケット88に巻き掛けた第二駆動縦刈刃駆動チェン90によって、第三駆動スプロケット71の回動は第三従動スプロケット88に伝動され、回転軸85に軸支された回転クランク87を回動させ、後述する縦刈刃装置80の縦可動刃(可動刃)81を縦固定刃82の上面を上下方向に摺動する。なお、第二縦刈刃駆動チェン90の張力は、下方にバネ等が付設されている張力調整スプロケット99により調整される。
(縦刈刃装置)
縦刈刃装置80は、オーガフレーム31の左側の側壁31aの上方で絡合った集送作用域31eの内側に移送される穀桿と集送作用域31eの外側の穀桿を切断する装置であり、図4に示すように、縦刈刃装置80は、上下方向の略中心部に設けられた第一、二支持プレート92A,92Bを介して掻込み装置60のリール支持アーム63の前端部に取付けられている。
縦刈刃装置80は、固定状態の縦固定刃82と、縦固定刃82を支持する縦刈刃プレート83と、縦固定刃82と縦刈刃プレート83によって形成された隙間を上下方向に往復摺動する縦可動刃81から構成されている。
縦刈刃プレート83の右側上部には後側に向かって突出する上ブラケット91が設けられ、縦刈刃プレート83の上下方向の右側中心部には後側に向かって延在する第一支持プレート92Aが設けられている。又、縦刈刃プレート83の後方には縦刈刃プレート83と平行にL型鋼材からなるフレーム93が設けられている。
フレーム93の上部は上ブラケット91にボルト等の連結手段によって装着されており、フレーム93の下端部には後側に向かって延在する第二支持プレート92Bが設けられており、第二支持プレート92Bは第一プレート92Aと対向している。
第一、二支持プレート92A,92Bには、図5に示すように、ボルト等の第一締結手段94Aを締結する孔94Cの前側に第二締結手段94Bを締結する円弧孔95,96が形成されている。円弧孔95,96は、使用状態に応じて縦刈刃装置80の取付姿勢を変更する為に、第一締結手段94Aから一定の距離を隔てて上孔95A,96Aと、中心孔95B,96B、及び下孔95C,96Cが形成され、上孔95A,96Aと中心孔95B,96B、及び中心孔95B,96Bと下孔95C,96Cとは連通孔により連結されている。なお、連通孔の前後方向の幅は上孔95A,96A等の孔径よりも狭く形成されている。
リール支持アーム63の前端部には、図示を省略しているが、第一、二支持プレート92A,92Bの孔94C,94D、円弧孔95,96に対向する部位にそれぞれ貫通孔が形成されている。
縦刈刃装置80をリール支持アーム63の前部に装着する場合、縦刈刃装置80の第一、二支持プレート92A,92Bの孔94C,94Dとリール支持アーム63の貫通孔に第一締結手段94Aを嵌挿して連結し、第一、二支持プレート92A,92Bの円弧孔95,96とリール支持アーム63の貫通孔に第二締結手段94Bを嵌挿して連結する。
又、縦刈刃装置80の取付姿勢を変更する場合、縦刈刃装置80の第一、二支持プレート92A,92Bの孔94C,94Dとリール支持アーム63の貫通孔に第一締結手段94Aを嵌挿して連結した状態で、第一、二支持プレート92A,92Bの円弧孔95,96とリール支持アーム63の貫通孔から第二締結手段94Bを取外し、縦刈刃装置80を第一締結手段94Aを中心に上下方向に回動させた後、再び第一、二支持プレート92A,92Bの円弧孔95,96とリール支持アーム63の貫通孔に第二締結手段94Bを嵌挿して連結する。なお、第一締結手段94A、第二締結手段94Bはボルトに限定されることはなく、キー、ピン等を使用することができる。
第一プレート92Aの下部には、後側に向かって延在する下ブラケット97が設けられている。下ブラケット97に回転自在に支持された回転軸85には、回転クランク87と第三従動スプロケット88が軸支されており、第二駆動スプロケット75と第三従動スプロケット88に巻き掛けた第一縦刈刃駆動チェン89によって、第二駆動スプロケット75の回動を第三従動スプロケット88に伝動し、回転クランク87を回動させる。なお、伝動方法は本実施形態に限定されることはなく、図6に示すように、第三駆動スプロケット71と第三従動スプロケット88に巻き掛けされた第二縦刈刃駆動チェン90によって、第一中心軸68に軸支された第三駆動スプロケット71の回動を第三従動スプロケット88に伝動し、回転クランク87を回動させることもできる。
縦可動刃81の基部には、後側に向かって延在するプレート98が設けられ、プレート98の後端部には回転クランク87のクランクアームの先端部に軸支されたカムローラ86が嵌入される凹部84が形成されている。回転クランク87が回動した場合、回転クランク87のカムローラ86は回転軸85を中心に凹部96を円弧状に移動し、プレート96を上下方向に移動させ、縦可動刃81を上下方向に往復摺動させる。
<縦刈刃装置の第1取付姿勢>
図3には縦刈刃装置の第1取付姿勢を示している。縦刈刃装置80の第一、二支持プレート92A,92Bと掻込み装置60のリール支持アーム63の前端部は、リール支持アーム63の中心軸L1上に位置する第一、二支持プレート92A,92Bの孔94C,94Dとリール支持アーム63の貫通孔に嵌挿された第一締結手段94Aと、リール支持アーム63の中心軸L1上に位置する第一、二支持プレート92A,92Bの円弧孔95,96の中心孔95B,96Bとリール支持アーム63の貫通孔に嵌挿された第二締結手段94Bによって連結されている。
側面視において、縦刈刃装置80は上部から後下がり傾斜し、リール支持アーム63の中心線L1に直交する仮想線L2と平行に取付けられ、作業時における穀桿の掻込みリール61への巻き付きを防止している。
リール支持アーム63の中心線L1とは、リール支持アーム63の上下幅員の中心を示す線であり、仮想線L2に平行とは、図7、図8等に示した傾斜角度θが±5度以下である掻込み装置60の取付姿勢を含むものとする。又、仮想線L2は、縦刈刃装置80の前後方向の中心から中心線L1と直交する線である。
<縦刈刃装置の第2取付姿勢>
図7には縦刈刃装置の第2取付姿勢を示している。なお、第1取付姿勢と同一部材には同一符号を付し重複した説明は省略する。
縦刈刃装置80の第一、二支持プレート92A,92Bと掻込み装置60のリール支持アーム63の前端部は、リール支持アーム63の中心軸L1上に位置する第一、二支持プレート92A,92Bの孔94C,94Dとリール支持アーム63の貫通孔に嵌挿された第一締結手段94Aと、リール支持アーム63の中心軸L1の下方に位置する第一、二支持プレート92A,92Bの円弧孔95,96の下孔95C,96Cとリール支持アーム63の貫通孔に嵌挿された第二締結手段94Bによって連結されている。
側面視において、縦刈刃装置80を上部から大きく後下がり傾斜し、縦刈刃装置80の上部は仮想線L2の前方に位置し、縦刈刃装置80の下部は仮想線L2の後方に位置し、オーガ装置30の分草体39の後方に臨み、穀桿の掻込みリール61への巻き付きを防止し、縦刈刃装置80に発生する振動を抑制している。なお、縦刈刃装置80は、仮想線L2に対して傾斜角度θは約15度で前方に傾斜している。
<縦刈刃装置の第3取付姿勢>
図8には縦刈刃装置の第3取付姿勢を示している。なお、第1取付姿勢と同一部材には同一符号を付し重複した説明は省略する。
縦刈刃装置80の第一、二支持プレート92A,92Bと掻込み装置60のリール支持アーム63の前端部は、リール支持アーム63の中心軸L1上に位置する第一、二支持プレート92A,92Bの孔94C,94Dとリール支持アーム63の貫通孔に嵌挿された第一締結手段94Aと、リール支持アーム63の中心軸L1の上方に位置する第一、二支持プレート92A,92Bの円弧孔95,96の上孔95A,96Aとリール支持アーム63の貫通孔に嵌挿された第二締結手段94Bによって連結されている。
側面視において、縦刈刃装置80を略垂直に起立して取付け、縦刈刃装置80の上部は仮想線L2の後方に位置し、縦刈刃装置80の下部は仮想線L2の前方に位置し、穀桿の掻込みリール61への巻き付きを防止し、第一ブラケット93、第三リールブラケット78等からなる取付部の剛性を高めることができる。なお、縦刈刃装置80は、仮想線L2に対して傾斜角度θは約10度で後方に傾斜している。
(動力伝達)
図9に示すように、エンジンの回動は走向用油圧式無段変速装置10に伝動され、走向用油圧式無段変速装置10の回動は走向用油圧式無段変速装置10に軸支されたスプロケット10Aとフィーダハウス20の後部に支持された駆動軸26に軸支されたスプロケット26Aに巻き掛けられたチェン11を介してスプロケット26Aに伝動される。
スプロケット26Aに伝動された回動は駆動軸26を介してスプロケット26B〜26Dに伝動され、スプロケット26B,26Cに伝動された回動はスプロケット26B,26Cとフィーダハウス20の前部に支持された従動軸27に軸支されたスプロケット27A,27Bに巻き掛けられたフィーダチェン12A,12Bを介してスプロケット27A,27Bに伝動され、図3等に示すフィーダハウス20のスプロケット27A,27Bを反時計方向に回動させる。
スプロケット26Dに伝動された回動はスプロケット26Dとフィーダハウス20の前部に支持された伝動軸22に軸支されたスプロケット28Aに巻き掛けられたチェン13Aを介してスプロケット28Aに伝動され、スプロケット28Aに伝動された回動は伝動軸22を介して刈取伝動プーリ23、リール伝動スプロケット24、オーガ伝動スプロケット28Bに伝動され、伝動軸22には刈取伝動プーリ23とリール伝動スプロケット24に伝動を切換えるクラッチ装置25が設けられている。オーガ伝動スプロケット28Bに伝動された回動はオーガ伝動スプロケット28Bと掻込みオーガ33の駆動軸34に軸支されたスプロケット34Aに巻き掛けられたチェン13Bを介してスプロケット34Aに伝動され、図3等に示す掻込みオーガ33を反時計方向に回動させる。
リール伝動スプロケット24に伝動された回動はリール伝動スプロケット24と掻込み装置60の後部の第一中心軸68に軸支された第一従動スプロケット69に巻き掛けられた第一リール駆動チェン72を介して第一従動スプロケット69に伝動され、第一従動スプロケット69に伝動された回動は第一中心軸68を介して第一駆動スプロケット70に伝動される。第一駆動スプロケット70に伝動された回動は第一駆動スプロケット70と掻込み装置60の前部の第二中心軸62に軸支された第二従動スプロケット74に巻き掛けられた第二リール駆動チェン73を介して第二従動スプロケット74に伝動され、図3等に示す掻込みリール61を反時計方向に回動させる。
第二従動スプロケット74に伝動された回動は第二中心軸62を介して第二駆動スプロケット75に伝動され、第二駆動スプロケット75に伝動された回動は第二駆動スプロケット75と回転軸85に軸支された第三スプロケット88に巻き掛けられた第一縦刈刃駆動チェン89を介して第三スプロケット88に伝動され、第三スプロケット88に伝動された回動は回転クランク87を介して縦刈刃装置80に伝動され、図3等に示す縦刈刃装置80の縦可動刃81を上下方向に往復摺動させる。
刈取伝動プーリ23に伝動された回動は刈取伝動プーリ23と水平刈刃伝動ボックス54のプーリ54Aに巻き掛けられたベルト55を介してプーリ54Aに伝動され、プーリ54Aに伝動された回動は水平刈刃伝動ボックス54を介して横刈刃装置50に伝動され、図2等に示す横刈刃装置50の水平上刃51を左右方向に往復摺動させる。
次に、本発明の刈取前処理装置5の第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同一部材には同一符号を付し重複した説明は省略する。
図10に示すように、掻込み装置60の掻込みリール61の第2中心軸62は、リールブラケット79の上部ブラケット79Aに支持され、掻込み装置60のリール支持アーム63の前部は、リールブラケット79の下部ブラケット79Bに形成された貫通孔に摺動可能に嵌挿されている。図11に示すように、リールブラケット79は、角型鋼管からなる上部ブラケット79Aと、上部ブラケット79Aと一体に設けられた角型鋼管からなる下部ブラケット79Bと、下部ブラケット79Bから下方に延伸して設けられた鋼材からなる脚部79C、及び上部ブラケット79Aの前方に延伸して設けられた鋼材からなる腕部79Dから構成され、上部ブラケット79Aには、掻込み装置60の第2中心軸62を嵌挿する孔79Eが設けられている。
又、脚部79Cの前側下部は縦刈刃装置80の縦刈刃プレート83から後側に向かって設けられた鋼板材からなる下ブラケット97Aに支持された回転軸85に上下方向に摺動可能に当接し、腕部79Dの前部は縦刈刃装置80の下ブラケット97Aの右側側部にボルト等の締結手段によって固定されている。
第2実施形態にあっては、昇降装置67によって掻込み装置60が上昇した場合、掻込み装置60のリール支持アーム63は下部ブラケット79Bの貫通孔を後方に向かってに摺動し、昇降装置67によって掻込み装置60が下降した場合、掻込み装置60のリール支持アーム63は下部ブラケット79Bの貫通孔を前方に向かってに摺動する。
第2実施形態にあっては、リール支持アーム63がリールブラケット79の下部ブラケット79Bの貫通孔を前後に摺動する構成の為、リール支持アーム63の昇降時に掻込みリール61と縦刈刃装置80は前後に移動する。又、前後移動時に、縦刈刃装置80は仮想線L2に対して常に一定の傾斜角θを維持する。なお、縦刈刃装置80は、仮想線L2に対して傾斜角度θは約25度で前方に傾斜している。
次に、本発明の刈取前処理装置5の第3実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同一部材には同一符号を付し重複した説明は省略する。
縦刈刃装置80の下部をオーガ装置30の左側側壁31aの取付軸31dに支持し、図12に示すように、側面視において、縦刈刃装置80を下部から後上がり傾斜させている。図13に示すように、縦刈刃装置80の縦可動刃81の基部の下部は第三揺動腕59のブラケット59Aに支持され、第三揺動腕59の下部は第二揺動腕58の前部の軸58Aに回転自在に軸支されている。第二揺動腕58は軸58Bに回転自在に軸支され、第二揺動腕58の後部はロッド57の上部に支持されている。ロッド57の下部は水平刈刃伝動ボックス54の前部に軸支された第一揺動腕56の一端部に回転自在に軸支されている。
刈取伝動スプロケット24の回動はベルト55によって水平刈刃伝動ボックス54に伝動され、水平刈刃伝動ボックス54の回動によって第一揺動腕56が揺動する。第一揺動腕56の揺動によって第三揺動腕59が上下方向に揺動し、縦刈刃装置80の縦刈刃プレート83に支持された縦可動刃81が上下方向に往復摺動する。又、水平刈刃伝動ボックス54の回動によって第一揺動腕56が揺動し、第一揺動腕56の揺動によって横刈刃装置50の水平刈刃プレート53に支持された水平上刃51が左右方向に往復摺動する。
第3実施形態にあっては、縦刈刃装置80の縦可動刃81を水平刈刃伝動ボックス54によって往復摺動させる構成の為、縦刈刃装置80のプレート94、張力調整スプロケット99等を設ける必要はなく、縦刈刃装置80の構成を簡易にすることができる。
本発明は、汎用コンバインの刈取前処理装置に利用できるものである。
1 汎用コンバイン
4 脱穀装置
5 刈取前処理装置
20 フィーダハウス
30 オーガ装置
31 オーガフレーム
31e 集送作用域
32 送込口
33 掻込みオーガ
50 横刈刃装置
60 掻込み装置
61 掻込みリール
62 第二中心軸(リール中心軸)
63 リール支持アーム
67 昇降装置
68 第一中心軸
79 リールブラケット
79A 上部ブラケット
79B 下部ブラケット
79C 脚部
79D 腕部
79E 孔
80 縦刈刃装置
81 縦可動刃(可動刃)
82 縦固定刃
87 回転クランク(揺動駆動機構)
91 上ブラケット
92A 第一支持プレート
92B 第二支持プレート
93 フレーム
94A 第一締結手段
94B 第二締結手段
95 円弧孔
96 円弧孔
97 下ブラケット
98 プレート
L1 中心線
L2 仮想線
θ 傾斜角度

Claims (9)

  1. 脱穀装置(4)の前方に設けられたコンバインの刈取前処理装置(5)であって、
    前記刈取前処理装置(5)は、相互に絡みあった穀桿を切断する縦刈刃装置(80)と、穀桿を掻き込む掻込みリール(61)と、穀桿の株元を切断する横刈刃装置(50)と、刈り取った穀桿を送込口(32)に集送するオーガ装置(30)と、前記送込口(32)と脱穀装置(4)を連通するフィーダハウス(20)を備え、
    前記掻込みリール(61)を支持するリール支持アーム(63)の前部に前記縦刈刃装置(80)の上下方向の中間部を支持したことを特徴とするコンバインの刈取前処理装置。
  2. 前記縦刈刃装置(80)を、オーガ装置(30)による集送作用域(31e)の内側に配置したことを特徴とする請求項1記載のコンバインの刈取前処理装置。
  3. 前記縦刈刃装置(80)を、機体側面視において、前記リール支持アーム(63)の中心線(L1)に略直交する仮想線(L2)に対して平行に配置したことを特徴とする請求項1又は2記載のコンバインの刈取前処理装置。
  4. 前記縦刈刃装置(80)は、機体側面視において、前記リール支持アーム(63)の中心線(L1)に略直交する仮想線(L2)に対して傾斜させて配置したことを特徴とする請求項1又は2記載のコンバインの刈取前処理装置。
  5. 前記縦刈刃装置(80)の上端部を、機体側面視において、前記仮想線(L2)よりも前方に配置し、該縦刈刃装置(80)の下端部は、機体側面視において、前記仮想線(L2)よりも後方に配置したことを特徴とする請求項4記載のコンバインの刈取前処理装置。
  6. 前記縦刈刃装置(80)の上端部を、機体側面視において、前記仮想線(L2)よりも後方に配置し、該縦刈刃装置(80)の下端部は、機体側面視において、前記仮想線(L2)よりも前方に配置したことを特徴とする請求項4記載のコンバインの刈取前処理装置。
  7. 前記縦刈刃装置(80)は、機体側面視において、前記リール支持アーム(63)の中心線(L1)に略直交する仮想線(L2)に対する傾斜角度(θ)を変更自在な構成としたことを特徴とする請求項1又は2記載のコンバインの刈取前処理装置。
  8. 前記リール支持アーム(63)の前部に設置されたリール中心軸(62)の回転を揺動駆動機構(87)に伝達し、該揺動駆動機構(87)を介して前記縦刈刃装置(80)の可動刃(81)を上下方向に往復摺動する構成としたことを特徴とする請求項1又は2記載のコンバインの刈取前処理装置。
  9. 前記リール支持アーム(63)の後部に設置されたリール中心軸(62)よりも伝動上手側の第一中心軸(68)の回転を揺動駆動機構(87)に伝達し、該揺動駆動機構(87)を介して前記縦刈刃装置(80)の可動刃(81)を上下方向に往復摺動する構成としたことを特徴とする請求項1又は2記載のコンバインの刈取前処理装置。
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