JP2012227190A - ナノインプリント用硬化性樹脂組成物 - Google Patents

ナノインプリント用硬化性樹脂組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】 離型性に優れ、さらには、低ソリ性、低反射率、優れた耐傷性を有する硬化性樹脂組成物、その硬化物、このような硬化性樹脂組成物の硬化物を有してなる微細凹凸構造物品、および反射防止板を提供する。
【解決手段】
下記式(1):
【化1】
Figure 2012227190

(式中、Rは炭素数2〜8のアルキレン基、Rは水素原子またはメチル基、mは正の整数である)で示される繰り返し単位を有するビニル系重合体を含有するナノインプリント用硬化性樹脂組成物である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ナノインプリントによって基材の表面に微細凹凸構造を形成した、微細凹凸構造物品や反射防止板などに用いられる、ナノインプリント用硬化性樹脂組成物に関するものである。
各種ディスプレイに用いられる光学部品やレンズなどにおいて空気と接触する界面での太陽光や照明等の反射は視認性の低下を引き起こすためしばしば問題となっている。このような光学部材表面における反射を抑制する工夫としてAG(Anti-Glare;紡眩)処理やAR(Anti-Refrection;反射防止)処理などが一般によく知られている。
AG処理とは微粒子等のコーティングによって光学部材表面に凹凸を形成し、光の散乱により反射像を散らして輪郭をぼやかせる処理である。また、AR処理とは基材表面に基材とは屈折率が異なる膜を光の波長程度の厚みで塗布することによって光の干渉を生じさせ反射率を低減するものである。
また、これらとは別の新しい反射防止手法としてモスアイ(Mothe Eye;蛾の目)構造の付与がある。これは光学部材表面に可視光の波長よりも小さな山型の突起を形成するというもので、これにより基材部と空気層との間の領域の屈折率が、突起を形成する材料の屈折率と空気の屈折率の中間的なものとなる。この中間的な領域の屈折率は突起部分と空気の占有割合が高さによって変化するため可視光の波長よりも短い距離内で連続的に変化する。その結果空気と基材間の界面を屈折率の異なる界面として認識しなくなり、界面で生じる可視光の反射を抑制することができる。(非特許文献1)
このようなモスアイ構造の付与方法としては成形型に刻み込んだナノメートルサイズの凹凸を基材に転写する技術、いわゆるナノインプリント技術が挙げられる。ナノインプリント技術には熱可塑性基材を加熱により軟質化させ、そこに成形型を押し当てて賦型した後、冷却して脱型する方法と、基材上に塗布した硬化性樹脂に型を押し当てて活性エネルギー線または加熱によって硬化性樹脂を硬化させる方法がある。後者のナノインプリント技術において硬化性樹脂を硬化させる方法として活性エネルギー線を用いるUVナノインプリント技術は、透明基板上に紫外線硬化性樹脂の薄膜を成膜し、該薄膜上に成形型を押し付けて、その後に紫外線を照射することにより、透明基板上に金型の反転形状のモスアイ(微細凹凸)構造を有する薄膜を形成するものであり、熱を用いた成形よりも成形時間の短縮という点では好ましい。このような方法によって透明基材にモスアイ構造を付与し反射防止物品を作成する方法が開示されている。(特許文献1)
特開2008−209540
OPTICA ACTA,1982,Vol.29,No.7,993−1009
しかしながら、例えば紫外線硬化性樹脂の薄膜を成膜し、該薄膜上に成形型を押し付けて、その後に紫外線を照射することにより、透明基板上に成形型の反転形状の微細凹凸構造を形成させる場合、生産性や製造コストに大きく影響するとされる、形状欠陥なく微細凹凸構造を形成できる成形回数性能を示す離型性は重要な課題である。また、硬化時の発熱や硬化性材料の収縮等により発生するフィルムのソリ、さらには、耐傷性に劣るという課題もあった。
本発明は、以上のような事情を鑑みてなされたものであり、前記課題を同時に解決するため方法は、
下記式(1):
Figure 2012227190
[式中、Rは炭素数2〜8のアルキレン基、Rは水素原子またはメチル基、mは正の整数である]で示される繰り返し単位を有するビニル系重合体を含有する硬化性樹脂組成物(以下、樹脂組成物、または、組成物と称する場合がある)を用いることである。これにより、離型性に極めて優れ、反射率が小さく、ソリが小さく、耐傷性に優れたナノインプリント(微細凹凸構造を有する)光学部品を得ることができる。
また、本発明は、該樹脂組成物を硬化して得られる硬化物、さらには当該硬化物を有してなる微細凹凸構造物品も包有する。
また、本発明は、微細凹凸構造が当該硬化物を有してなる反射防止板、さらには、当該反射防止板として耐熱アクリル系樹脂を用いた場合も包有する。
本発明のナノインプリント用硬化性樹脂組成物は、離型性に優れ、さらには、低ソリ性、低反射率、優れた耐傷性を有する。そのため、微細凹凸構造を有する物品や反射防止板に用いられる硬化性樹脂組成物として好適である。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、これらの内容に特定されるものではない。
<ナノインプリント用硬化性樹脂組成物>
本発明のナノインプリント用硬化性樹脂組成物(以下、樹脂組成物、または、組成物と称する場合がある)は、下記式(1):
Figure 2012227190

[式中、Rは炭素数2〜8のアルキレン基、Rは水素原子またはメチル基、mは正の整数である]で示される繰り返し単位を有するビニル系重合体を含有するものである。
〔ビニル系重合体〕
本発明の樹脂組成物において、上記式(1)で示されるビニル系重合体の配合量は、組成物の合計量に対して、好ましくは10〜100質量%、より好ましくは20〜100質量%、さらに好ましくは30〜100質量%である。ビニル系重合体の配合量が10質量%未満であると、離型性の低下や、耐傷性に劣ることがある。
上記ビニル系重合体は、低分子量成分が増加すると、離型性、耐傷性が低下することがある。ビニル系重合体の数平均分子量(Mn)は、好ましくは3,000以上、より好ましくは5,000〜50,000、さらに好ましくは8,000〜30,000の範囲内である。数平均分子量(Mn)が3,000未満であると、離型性の低下や耐傷性に劣ることがある。また50,000を超えると基材との濡れ性が低下、成形型へ充填性が悪くなり、微細凹凸構造の形状欠陥が発生することがある。
上記式(1)において、Rで表される炭素数2〜8のアルキレン基としては、例えば、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、シクロヘキシレン基、1,4−ジメチルシクロヘキサン−α,α’−ジイル基、1,3−ジメチルシクロヘキサン−α,α’−ジイル基、1,2−ジメチルシクロヘキサン−α,α’−ジイル基、1,4−ジメチルフェニル−α,α’−ジイル基、1,3−ジメチルフェニル−α,α’−ジイル基、1,2−ジメチルフェニル−α,α’−ジイル基などが挙げられる。Rで表される置換基は、上記式(1)中にm個存在するが、同一であっても異なっていてもよい。
上記式(1)において、mは正の整数、好ましくは1〜20の整数、より好ましくは1〜10の整数、さらに好ましくは1〜5の整数であり、nは正の整数、好ましくは50〜400の整数、より好ましくは100〜300の整数、さらに好ましくは150〜250の整数である。
上記ビニル系重合体は、下記(2)式:
Figure 2012227190

[式中、R、Rおよびmは上記式(1)と同意義である]
で示される異種重合性単量体を、従来から知られているカチオン重合により調整することが可能であり、または、特開2006−241189号明細書に記載されたリビングカチオン重合、さらには、特開2008−163328号明細書、第4418850公報に記載されたカチオン重合により、容易に調製することもできる。このとき、上記式(2)で示される異種重合性単量体は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。後者の場合、得られる共重合体は、ランダム共重合体、交互共重合体、周期的共重合体、ブロック共重合体またはその組合せのいずれであってもよい。また、グラフト共重合体であってもよい。
上記式(2)で示される異種重合性単量体としては、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1−メチル−2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ビニロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−{2−(2−ビニロキシエトキシ)エトキシ}エチルが好適である。
上記式(1)で示されるビニル系重合体がカチオン重合可能な単量体に由来する構造単位を有する共重合体である場合、かかる共重合体は、上記式(2)で示される異種重合性単量体と、カチオン重合可能な単量体とを、カチオン重合あるいはリビングカチオン重合することにより、容易に調製することができる。このとき、上記式(2)で示される異種重合性単量体は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。得られる共重合体は、ランダム共重合体、交互共重合体、周期的共重合体、ブロック共重合体またはその組合せのいずれであってもよい。また、グラフト共重合体であってもよい。
カチオン重合可能な単量体としては、イソブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテルなどのビニルエーテル化合物や2,3−ジヒドロフランが好適である。
本発明の組成物の必須成分である上記式(1)で示されるビニル系重合体が、他の反応性オリゴマー類に比べて離型性が優れる理由は定かではないが、該重合体の構造、特性から推測するに、極めて速硬化性に優れていること、低収縮性であること、低極性であること、適当なガラス転移点温度(Tg)を有していることなど、前記の各種特性をバランスよく同時に発揮できることが関係していると考えられる。
〔ビニル系重合体以外の成分〕
本発明の組成物は、前記ビニル系重合体に加えて、好ましくは、重合性単量体、反応性オリゴマー類、重合開始剤等を含む。重合性単量体や反応性オリゴマー類を含む場合には、組成物を硬化させて得られる硬化物の物性を調節することができるという効果を奏する。また、重合開始剤を含む場合には、組成物を熱や紫外線で硬化させることができるという効果を奏する。
前記重合性単量体としては、(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリルアミド類、N−ビニル化合物類、ビニルエーテル類、α,β−不飽和化合物類、エポキシ化合物類、オキセタン化合物類等を用いることができるが、特にこれらに限定されるわけではない。
具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル等の単官能(メタ)アクリル酸エステル類;N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等の単官能(メタ)アクリルアミド類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、メトキシポリエチレングリコールビニルエーテル等の単官能ビニルエーテル類;N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド等の単官能N−ビニル化合物類;スチレン、α−メチルスチレン、酢酸ビニル等の単官能ビニル化合物類;無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、フマル酸、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、無水イタコン酸、イタコン酸、イタコン酸ジメチル、メチレンマロン酸、メチレンマロン酸ジメチル、桂皮酸、桂皮酸メチル、クロトン酸、クロトン酸メチル等の単官能α,β−不飽和化合物類;メチルグリシジルエーテル、エチルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、シクロヘキシルグリシジルエーテル、メトキシエチルグリシジルエーテル等の単官能エポキシ化合物類;3−メチル−3−フェノキシメチルオキセタン、3−エチル−3−フェノキシメチルオキセタン、3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン等の単官能オキセタン化合物類;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリル酸エステル類;トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、グリセリントリビニルエーテル等の多官能ビニルエーテル類;ジビニルベンゼン等の多官能α,β−不飽和化合物類;エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ブチレングリコールジグリシジルエーテル、ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAアルキレンオキサイドジグリシジルエーテル、ビスフェノールFアルキレンオキサイドジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル等の多官能エポキシ化合物類;ジ[1−メチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル、ジ[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル、1,4−ビス{[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼン、ビス{4−[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンジルエーテル等の多官能オキセタン化合物類などが使用可能である。
また、上記式(2)で示される1分子中に(メタ)アクリロイル基とビニルエーテル基を有する化合物や、1分子中に(メタ)アクリロイル基とエポキシ基を有する化合物、1分子中に(メタ)アクリロイル基とオキセタン基を有する化合物のような異種重合性モノマーを使用することもできる。
1分子中に(メタ)アクリロイル基とビニルエーテル基を有する化合物としては、上述の(メタ)アクリル酸2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1−メチル−2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ビニロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−{2−(2−ビニロキシエトキシ)エトキシ}エチルが好適である。
1分子中に(メタ)アクリロイル基とエポキシ基を有する化合物としては、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレートなどが使用可能であり、1分子中に(メタ)アクリロイル基とオキセタン基を有する化合物としては、3−エチル−3−メタクリロキシオキセタンなどが使用可能である。
前記重合性単量体としては、(メタ)アクリル酸エステル類、異種重合性モノマーがより好ましい。(メタ)アクリル酸エステル類としては多官能(メタ)アクリル酸エステル類がさらに好ましく、異種重合性モノマーとしては(メタ)アクリル酸2−ビニロキシエチルがさらに好ましい。これらを用いることにより、離型性が低下することなく、速硬化性、粘度、耐傷性の調整が可能となる。
重合性単量体の配合量は、組成物の合計量に対して、好ましくは0〜80質量%、より好ましくは10〜70質量%であり、さらに好ましくは20〜60質量%、最も好ましくは30〜60質量%である。重合性単量体の配合量が80質量%を超えると、硬化収縮が大きくなり、硬化物のソリが大きくなることがある。
前記反応性オリゴマー類としては、ウレタン(メタ)アクリレート類、エポキシ(メタ)アクリレート類、ポリエステル(メタ)アクリレート類、シリコン(メタ)アクリレート類等を用いることができるが、特にこれらに限定されるわけではない。
前記ウレタン(メタ)アクリレート類としては、分子中にウレタン結合を有する(メタ)アクリレート化合物であれば特に限定はなく、例えば、ウレタン結合の位置や個数、(メタ)アクリル基の位置や個数は特に限定はない。
ウレタン(メタ)アクリレート類の好ましい化学構造としては、分子中に(好ましくは複数個の)イソシアネート基を有する化合物に対して、分子中に水酸基と(好ましくは複数個の)(メタ)アクリル基を有する化合物を反応させて得られるような構造をもつもの、複数個の水酸基を有する化合物にジイソシアネート化合物やトリイソシアネート化合物を反応させ、得られた化合物の未反応イソシアネート基に、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のように分子中に水酸基と(メタ)アクリル基を有する化合物を反応させて得られるような構造をもつものが挙げられる。
前記エポキシ(メタ)アクリレート類としては、エポキシ基に(メタ)アクリル酸が反応して得られる構造を有する(メタ)アクリレート化合物であれば特に限定はなく、例えば、(メタ)アクリル基の位置や個数は特に限定はない。
エポキシ(メタ)アクリレート類の好ましい化学構造としては、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル等のポリオキシアルキレングリコ−ルのジグリシジルエーテル類;グリセリンジグリシジルエーテル等のグリセリングリシジルエーテル類;ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールAのアルキレンオキシド変性物のジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリジルエーテル等のビスフェノール系化合物のジグリシジルエーテル類等に、(メタ)アクリル酸を付加させた構造を有するもの等が挙げられる。
前記ポリエステル(メタ)アクリレート類としては、分子中に複数個のエステル結合を有する(メタ)アクリレート化合物であれば特に限定はない。
ポリエステル(メタ)アクリレート類の好ましい化学構造としては、多価アルコールと多価カルボン酸の縮合から得られるポリエステルポリオールと(メタ)アクリル酸のエステル化反応物などが挙げられる。
前記シリコン(メタ)アクリレート類としては、分子中に複数個のシロキサン結合を有する(メタ)アクリレート化合物であれば特に限定はない。
シリコン(メタ)アクリレート類の好ましい化学構造としては、例えば(メタ)アクリロイル基を有するシロキサン化合物を、テトラアルコキシシラン化合物、トリアルコキシシラン化合物、ジアルコキシシラン化合物、モノテトラアルコキシシラン化合物などと縮合させることによって得られるものである。
反応性オリゴマー類の配合量は、組成物の合計量に対して、好ましくは0〜50質量%、より好ましくは0〜40質量%であり、さらに好ましくは0〜30質量%である。反応性オリゴマー類の配合量が50質量%を超えると、離型性、耐傷性が低下することがある。
前記重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤、熱ラジカル重合開始剤、光カチオン重合開始剤、熱カチオン重合開始剤等を用いることができるが、中でも、光ラジカル重合開始剤を用いることが好ましい。
前記光ラジカル重合開始剤としては、下記の化合物が好適である。例えば、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノンオリゴマー等のアセトフェノン類;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン類;ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4′−メチル−ジフェニルサルファイド、3,3′,4,4′−テトラ(t−ブチルパーオキシルカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−N,N−ジメチル−N−[2−(1−オキソ−2−プロペニルオキシ)エチル]ベンゼンメタナミニウムブロミド、(4−ベンゾイルベンジル)トリメチルアンモニウムクロリド等のベンゾフェノン類;2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、2−(3−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシ)−3,4−ジメチル−9H−チオキサントン−9−オンメソクロリド等のチオキサントン類。これらの中でも、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、アシルフォスフィンオキサイド類が好適である。特に、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1オンが好適である。
前記熱ラジカル重合開始剤としては、下記の化合物が好適である。例えば、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、アセチルアセテートパーオキサイド、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ヘキシルハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、スクシン酸パーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、α,α′−ビス(ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、クミルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシマレート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ビス(t−ブチルパーオキシ)イソフタレート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(m−トルイルパーオキシ)ヘキサン、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、t−ブチルトリメチルシリルパーオキサイド、3,3′,4,4′−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン等の有機過酸化物系開始剤;2,2′−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2、4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド、2,2′−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2′−アゾビス[2−(4,5、6,7−テトラヒドロ−1H−1,3−ジアゼピン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2′−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2′−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオンアミド)、2,2′−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2,2′−アゾビス(2−メチルプロパン)、ジメチル2,2−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、4,4′−アゾビス(4−シアノペンタン酸)、2,2′−アゾビス[2−(ヒドロキシメチル)プロピオニトリル]等のアゾ系開始剤。
これらの中でも、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ベンゾイルパーオキサイド等の金属石鹸及び/又はアミン化合物等の触媒作用により効率的にラジカルを発生させることができる化合物や2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2、4−ジメチルバレロニトリル)が好適である。
前記光カチオン重合開始剤としては、下記の化合物が好適である。例えば、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート等のアリールスルフォニウム塩;ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、(トリルクミル)ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等のアリールヨウドニウム塩;フェニルジアゾニウムテトラフルオロボレート等のアリールジアゾニウム塩。
これらの中でも、アリールスルフォニウム塩、ジアゾニウム塩が好適である。特に、(トリルクミル)ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートが好適である。
前記熱カチオン重合開始剤としては、下記の化合物が好適である。例えば、ルイス酸(例えば、三フッ化ホウ素、塩化第一チタン、塩化第一鉄、塩化第二鉄、塩化亜鉛、塩化第一スズ、塩化第二スズ、二塩化ジブチル第二スズ、テトラブチルスズ、トリエチルアルミニウム、塩化ジエチルアルミニウム等)と電子供与性化合物(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ヘキサメチルリン酸トリアミド、ジメチルスルホキシド、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル等)との錯体;プロトン酸(例えば、ハロゲノカルボン酸類、スルホン酸類、硫酸モノエステル類、リン酸モノエステル類、リン酸ジエステル類、ポリリン酸エステル類、ホウ酸モノエステル類、ホウ酸ジエステル類等)を塩基(例えば、アンモニア、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピペリジン、アニリン、モルホリン、シクロヘキシルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ブチルアミン等)により中和した化合物。
これらの中でも、各種プロトン酸のアミン錯体が、良好なポットライフが確保できるので好適である。
組成物全体に対する重合開始剤の添加量総量としては、下限が、0.05質量%以上が好ましく、また、上限が20質量%以下が好ましい。0.05質量%未満であると、充分な硬化が得られないことがあり、20質量%を超えても硬化物物性の更なる改善は認められず、むしろ悪影響を及ぼすおそれがあるうえ、経済性を損なうこともある。下限は、0.1質量%以上がより好ましく、0.2質量%以上が更に好ましく、上限は、15質量%以下がより好ましく、10質量%以下が更に好ましい。
本発明の組成物は更に、必要に応じて重合禁止剤、硬化促進剤、光増感剤、離型剤、帯電防止剤、防汚性付与剤、屈折率調整剤、粘度調整剤、バインダーポリマー、微粒子、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、消泡剤、潤滑剤、レベリング剤、溶剤等を配合することもできる。これらは、従来公知のものの中から適宜選択して用いることができる。
〔組成物の調整〕
本発明の組成物は、以上のような成分を混合することにより調整でき、通常、粘性液体の性状をしている。具体的には、粘度が1mPa・s以上であることが好ましく、3mPa・s以上であることが更に好ましく、5mPa・s以上であることが最も好ましい。また、10,000mPa・s以下であることが好ましく、5000mPa・s以下であることが更に好ましく、2000mPa・s以下であることが最も好ましい。粘度が1mPa・sより小さいと組成物の揮発性が増加して成形中に気泡を発生する可能性がある。また粘度が10,000mPa・sより大きいとナノメートルサイズの凹凸に組成物がは入り込んで行かなくなり、型形状の転写性が低下する可能性がある。
本発明の組成物は、硬化収縮率が11%以下、より好ましくは10%以下、さらに好ましくは9%以下、最も好ましくは8%以下であることが好適である。硬化収縮率を11%以下に設定することで、離型性の低下を防ぐことができる。なお、硬化収縮率は、後述の実施例に記載する比重測定により得た値を採用する。
本発明の組成物は、無溶剤であることが好ましい。希釈溶剤は、注入後、揮発させる必要があり、残存溶媒は、光重合スピード低下の原因となり、また得られる硬化物の光学的特性、耐久性の低下の原因となり得るからである。従って、組成物が溶剤を含んだ状態で得られる場合には、減圧、蒸留等により、溶剤を除去しておくことが好ましい。
本発明の組成物における、上記(1)式で示されるビニル重合体とそれ以外の成分の割合は、99.9〜10/0.1〜90質量%が好ましく、99.5〜20/0.5〜80質量%がより好ましく、89.5〜30/10.5〜70質量%が更に好ましく、79.5〜40/20.5〜60質量%が最も好ましい。このような成分の割合にすることで離型性、速硬化性、低ソリ性、耐傷性などがバランスよく調整が可能である。
本発明の組成物における最も好ましい形態としては、例えば、上記(1)式で示されるビニル重合体、重合性単量体、反応性オリゴマー類、重合開始剤の成分の割合は、30〜95/4.9〜65/0〜25/0.1〜20質量%が好ましく、40〜95/4.5〜60/0〜25/0.5〜15質量%がより好ましく、45〜95/4.5〜55/0〜25/0.5〜10質量%が更に好ましく、50〜90/9.5〜50/0〜20/1〜10質量%が最も好ましい。このような成分の割合にすることで、離型性、速硬化性、低ソリ性、耐傷性などが最もバランスよく調整が可能である。
本発明の組成物は、例えば、半導体集積回路や液晶表示装置用部材(特に、液晶ディスプレィの薄膜トランジタ、液晶カラーフィルタの保護膜、スペーサー、その他の液晶表示装置用部材の微細加工用途等)に好適に適用でき、その他の用途、例えば、プラズマディスプレイパネル用隔壁材、フラットスクリーン、マイクロ電気機械システム(MEMS)、センサ素子、光ディスク、高密度メモリーデイスク等の磁気記録媒体、回折格子ヤレリーフホログラム等の光学部品、ナノデバイス、光学デバイス、反射防止板(シート状、フィルム状を含む)、プリズムシート、偏光子保護フィルムなどの光学フィルム、有機トランジスタ、カラーフィルタ、オーバーコート層、柱材、液晶配向用リブ材、マイクロレンズアレイ、免疫分析チップ、DNA分離チップ、マイクロリアクター、ナノバイオデバイス、光導波路、光学フィルター、フォトニック液晶等の作製にも幅広く適用することができる。
<硬化物>
本発明の組成物は、例えば、熱または紫外線照射により硬化させることができる。ここでいう硬化とは、流動性のない状態にすることを意味する。
使用する紫外線の波長は、150〜450nmの範囲内であればよい。このような波長を発する光源としては、例えば、太陽光線、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライド灯、ガリウム灯、キセノン灯、フラッシュ型キセノン灯、カーボンアーク灯等が挙げられる。照射積算光量は、好ましくは0.1〜20J/cm、より好ましくは0.5〜10J/cm、更に好ましくは1〜10J/cmの範囲内である。
本発明の硬化物は、紫外線照射による硬化と共に加熱による硬化を併用して得てもよい。この場合は、上述した光源と共に、赤外線、遠赤外線、熱風、高周波加熱等を用いればよい。加熱温度は、熱硬化触媒の分解温度や使用する基材の種類等に応じて適宜調節すればよく、特に限定されるものではないが、好ましくは50〜150℃、より好ましくは50〜100℃、更に好ましくは60〜90℃の範囲内である。加熱時間は、熱硬化触媒の分解温度や塗布厚み等に応じて適宜調節すればよく、特に限定されるものではないが、好ましくは1分間〜12時間、より好ましくは10分間〜6時間、更に好ましくは10分間〜3時間の範囲内である。
本発明の硬化物は、紫外線照射による硬化と共に電子線照射による硬化を併用して得てもよい。この場合、加速電圧は、好ましくは0〜500kV、より好ましくは20〜300kV、更に好ましくは30〜200kVの範囲内である電子線を用いればよい。また、照射量は、好ましくは2〜500kGy、より好ましくは3〜300kGy、更に好ましくは4〜200kGyの範囲内である。
本発明の硬化物は、ガラス転移点温度(Tg)が20℃以上であることが好ましく、30℃以上であることが更に好ましく、40℃以上であることが最も好ましい。また、150℃以下であることが好ましく、130℃以下であることが更に好ましく、110℃以下であることが最も好ましい。Tgが20℃以上であることにより耐傷性が向上させることができ、また、150℃以下にすることで低ソリ性にすることができる。なお、Tg、後述の実施例に記載する方法により得た値を採用する。
本発明の硬化物は、屈折率が1.40〜1.70の範囲であることが好ましい。また、基材を用いる場合には、該基材との屈折率差を0.3以内、より好ましくは0.2以内、更に好ましくは0.1以内になるように調整することが好ましい。基材との屈折率差を小さくすることで、微細凹凸構造物品や反射防止板などにおいて空気と接触する界面での太陽光や照明等の反射率を小さくすることができる。なお、屈折率は、後述の実施例に記載する方法により得た値を採用する。
本発明の硬化物は、例えば、本発明の組成物と同様な用途に用いることができる。
<微細凹凸構造物品>
本発明の微細凹凸構造物品は、本発明の硬化物を有してなるものであれば限定されないが、基材と基材上に微細凹凸構造を有する本発明の硬化物を有してなることがより好ましい。該微細凹凸構造の形状としては、平均高さ100nm以上1000nm以下の凸部又は平均深さ100nm以上1000nm以下の凹部を有していることが好ましい。また、平均高さまたは平均深さは、150nm以上であることがより好ましく、200nm以上であることがさらに好ましい。また、600nm以下であることがより好ましく、500nm以下であることがさらに好ましい。平均高さまたは平均深さが、小さすぎると、良好な光学特性が発現されない場合があり、大きすぎると製造が困難になる等の場合がある。
凸部と凹部が連結して波打った構造を有している場合では、最高部(凸部の上)と最深部(凹部の下)の平均長さは、100nm以上1000nm以下であることが同様の理由から好ましい。ここで凸部とは、基準となる面より出っ張った部分をいい、凹部とは、基準となる面より凹んだ部分をいう。
該微細凹凸構造は、少なくとも基材の面に対する水平方向に対する凸部又は凹部の平均周期(凸部又は凹部の配置場所に規則性がある場合は「周期」)が、可視光の波長以下、具体的には、100nm以上400nm以下となるように配置されていることが好ましい。その上限は120nm以上がより好ましく、150nm以上がさらに好ましい。また、その下限は250nm以下がより好ましく、200nm以下がさらに好ましい。凸部又は凹部の平均周期が、100nm以上400nm以下とすることにより、例えば反射防止性能の高い物品の提供が可能となる。平均周期が短すぎても長すぎても、反射防止効果が充分に得られない場合がある。
該微細凹凸構造の形状は、円錐型、三角錐型、釣り鐘型等の形状によって、空気界面から基材までの平均屈折率が連続的に変化する構造とすることが好ましい。また、高さまたは深さを平均周期で割った値であるアスペクト比は特に限定はないが、下限は1以上が光学特性の点で好ましく、1.5以上がより好ましく、2以上がさらに好ましい。また、上限は5以下が製造プロセス上好ましく、3以下がより好ましい。
本発明の微細凹凸構造物品の成形方法は、特に限定されないが、例えば基材上に塗布した本発明の組成物に表面に微細凹凸構造を有する成形型を押し当てて活性エネルギー線または加熱によって硬化させる方法も好ましい形態のひとつである。
該表面に微細凹凸構造を有する成形型は、少なくともその一つの表面に、平均高さ100nm以上1000nm以下の凸部又は平均深さ100nm以上1000nm以下の凹部を有していることが好ましい。ここで凸部とは、基準となる面より出っ張った部分をいい、凹部とは、基準となる面より凹んだ部分をいう。本発明で用いる成形型は、その表面に凸部を有していても、凹部を有していてもよい。また、凸部と凹部の両方を有していてもよく、更に、それらが連結して凹凸構造を有していてもよい。尚、成形品の表面に凸形状を賦型する場合は凹形状の成形型を、成形品の表面に凹形状を賦型する場合は凸形状の成形型を用いればよい。該成形型の凸部、凹部ともに、基準となる面からのその平均高さまたは深さが、100nm以上1000nm以下であることが好ましい。高さまたは深さ一定でなくてもよく、その平均値が該範囲に入っていればよいが、実質的に一定の高さ又は一定の深さを有していることが好ましい。
該成形型は、凸部の場合でも、凹部の場合でも、その平均高さまたは平均深さは、150nm以上であることがより好ましく、200nm以上であることがさらに好ましい。また、600nm以下であることがより好ましく、500nm以下であることがさらに好ましい。平均高さまたは平均深さが、小さすぎると、良好な光学特性が発現されない場合があり、大きすぎると、製造が困難になる等の場合がある。凸部と凹部が連結して波打った構造を有している場合では、最高部(凸部の上)と最深部(凹部の下)の平均長さは、100nm以上1000nm以下であることが同様の理由から好ましい。
該成形型は、その表面に該凸部又は凹部が、少なくとも基材の面に対する水平方向の平均周期(凸部又は凹部の配置場所に規則性がある場合は「周期」)が可視光の波長以下、具体的には、波長としては、100nm以上400nm以下となるように配置されていることが好ましい。その上限は120nm以上がより好ましく、150nm以上がさらに好ましい。また、その下限は250nm以下がより好ましく、200nm以下がさらに好ましい。平均周期が短すぎても長すぎても、反射防止効果が充分に得られない場合がある。凸部又は凹部は、ランダムに配置されていてもよいし、規則性を持って配置されていてもよい。また、何れの場合でも、該凸部又は凹部は、基材の表面全体に実質的に均一に配置されていることが反射防止性や透過改良性の点で好ましい。また、少なくとも、ある一つの方向について、平均周期が、100nm以上400nm以下となるように配置されていればよく、全ての方向に、その平均周期が100nm以上400nm以下となっている必要はない。
該成形型の凸部又は凹部が、規則性を持って配置されている場合、基材の面に対する水平方向の平均周期が、100nm以上400nm以下となるように配置されていればよいが、最も周期が短い方向への周期が、100nm以上400nm以下となるように配置されていることが好ましい。すなわち、ある一の方向として、最も周期が短い方向をとったときに、周期が該範囲内になっていることが好ましい。更にその際、最も周期が短い方向に垂直な方向についても、その周期が100nm以上400nm以下となるように配置されていることが特に好ましい。
該成形型の表面形状加工方法としては、半導体デバイスやフォトマスクの製造プロセスを用いることができる。ナノインプリント成形型の表面形状加工には非常に高い精度が要求され、この精度を実現するための方法として、シリコンや石英基板の表面にフォトリソグラフィや電子線リソグラフィで形成したレジストパターンをマスクとしてドライエッチングする方法がある。この手法を用いることで、数十nmといった微細な幅のパターンを、任意の形状で形成することができる。また、上述のような方法で作成した微細なシリコン、石英などのパターンをマスターとして用い、メッキにより凹凸反転した複製品を製造する電鋳工程を用いることもできる。これにより1つのマスター型でニッケル等の金型を多数複製することができ、経済的に非常に有利である。
本発明の微細凹凸構造物品に用いられる基材としては、透明基材であれば限定はされないが、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)を主成分とする基材、メチルメタクリレートとスチレンとの共重合体(MS)を主成分とする基材、ポリエチレンテレフタレート(PET)を主成分とする基材、ポリカーボネート(PC)を主成分とする基材、トリアセチルセルロース(TAC)を主成分とする基材、シクロオレフィン系樹脂を主成分とする基材、後述の耐熱アクリル系樹脂を主成分とする基材等が好ましい。中でも、後述の耐熱アクリル系樹脂を用いることがより好ましい。基材の厚みは特に限定はされず、50mm〜10μmが好ましく用いられ、用途により、板状、シート状、フィルム状などが使用可能である。
本発明の微細凹凸構造物品に用いられる基材は、波長589nmにおける面内位相差値(Re)が10nm以下であることが好ましく、5nm以下であることがより好ましく、3nm以下であることが更に好ましい。また、厚さ方向位相差値の絶対値(|Rth|)が10nm以下であることが好ましく、5nm以下であることがより好ましく、3nm以下であることが更に好ましい。「位相差値」はレターデーション値、あるいは、単に「位相差」や「レターデーション」ともいう。
ここでいう面内位相差値(Re)は、
Re=(nx−ny)×d
で、厚さ方向位相差値(Rth)は、
Rth=[(nx+ny)/2−nz]×d
で、定義される。なお、nxはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率、nyはフィルム面内でnxと垂直方向の屈折率、nzはフィルム厚み方向の屈折率、dはフィルムの厚さ(nm)を表す。遅相軸方向は、フィルム面内の屈折率が最大となる方向とする。
本発明の微細凹凸構造物品に用いられる基材は、紫外線吸収能を有することが好ましく、例えば、波長380nmの光の透過率が30%未満、場合によっては20%未満、さらには10%未満であることが好ましい。この透過率は、JIS K7361:1997の規定に基づいて測定すればよい。
本発明の微細凹凸構造物品に用いる基材は、可視光透過率を有することが好ましい。例えば、波長500nmの光の透過率が80%以上、場合によっては85%以上、さらには90%以上であることが好ましい。透過率は、波長380nmの光の透過率と同様に測定できる。
本発明の微細凹凸構造物品に用いられる基材は、着色が少なく、250μm厚みあたりのb値が好ましくは0.5以下であり、より好ましくは0.3以下である。
本発明の微細凹凸構造物品に用いる基材は、外観欠点が少ないことが好ましい。外観欠点は、樹脂などの原料由来や製造工程で混入する異物、成形時の気泡や成形時のダイやロ−ル部分でのダイラインやキズなどに起因し、ポリマ−フィルタなどによる原料のろ過、製造工程のクリ−ン化、成形条件の最適化などによる対策が考えられる。前記フィルム中の欠点の数は、具体的には、粒子径が20μm以上の欠点が1000個/m2以下であることが好ましく、500個/m2以下であることがより好ましく、200個/m2以下であることがさらに好ましく、理想的には0個/m2である。
本発明の微細凹凸構造物品に用いられる基材の製造方法は特に限定されず、公知の製法が可能であり、熱可塑性樹脂や微粒子、その他の添加剤を含む熱可塑性樹脂(組成物)をフィルム成形することによって得られる。フィルム成形の方法としては、溶融押出法、溶液キャスト法(溶液流延法)、カレンダー法、圧縮成形法など、公知のフィルム成形方法が挙げられる。これらの中でも、溶融押出法、溶液キャスト法(溶液流延法)が好ましい。
本発明の微細凹凸構造物品は、例えば、本発明の組成物と同様な用途に用いることができる。
<反射防止板>
本発明の反射防止板は、シート状、フィルム状であってもよく、基材と基材上に形成された微細凹凸構造を有しており、該微細凹凸構造は、本発明の硬化物を有してなるものである。
本発明の反射防止板の反射率は低いほど好ましく、具体的には450〜650nmの波長領域での鏡面平均反射率は2%以下が好ましく、1%以下がより好ましく、0.5%以下が更に好ましい。ここで、前記450〜650nmの波長領域での鏡面平均反射率は、後述の実施例に記載する方法により得た値を採用する。
本発明の反射防止板の微細凹凸構造は、本発明の硬化物からなるものであれば限定はされないが、上述の微細構造物品と同様な構造、形状を有することが好ましく、また、該微細凹凸構造を作成する方法としても、上述の微細構造物品と同様な方法で行なうことが好ましい。
本発明の反射防止板に用いられる基材としては、上述の微細構造物品と同様なものが用いられる。
〔耐熱アクリル系樹脂〕
本発明の反射防止板は、基材として、耐熱アクリル系樹脂を用いることがより好ましい。
耐熱アクリル系樹脂は耐熱アクリル系重合体を含む。耐熱アクリル系樹脂における耐熱アクリル系重合体の含有率は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、特に好ましくは90質量%以上、最も好ましくは95質量%以上である。
なお、本明細書において耐熱アクリル系重合体とは、主鎖に環構造と(メタ)アクリル酸エステル由来の構成単位を含み、環構造と(メタ)アクリル酸エステル由来の構成単位の合計が全構成単位の50質量%以上である重合体を指すものとする。
また、本明細書における「樹脂」は「重合体」よりも広い概念である。樹脂は、例えば1種または2種以上の重合体からなってもよいし、必要に応じて、重合体以外の材料、例えば紫外線吸収剤、酸化防止剤、フィラーなどの添加剤、相溶化剤、安定化剤などを含んでいてもよい。
前記耐熱アクリル系重合体の主鎖の環構造としては、シクロヘキシルマレイミド、メチルマレイミド、フェニルマレイミド、ベンジルマレイミドなどのN−置換マレイミド、または、無水マレイン酸を共重合してN−置換マレイミド由来の環構造や無水酸無水物由来の環構造を導入してもよいし、重合後の環化反応により、主鎖にラクトン環構造、グルタル酸無水物構造、グルタルイミド構造、N−置換マレイミド由来の環構造などを導入してもよい。耐熱性からは、ラクトン環構造、環状イミド構造(N−アルキル置換マレイミド由来の環構造やグルタルイミド環など)および環状酸無水物構造(無水マレイン酸由来の環構造やグルタル酸無水物など)を有するものが好ましい。樹脂に正の固有複屈折を付与し、結果として、得られる光学フィルムに正の位相差を付与できることから、ラクトン環構造、グルタルイミド環構造およびグルタル酸無水物構造が好ましい。この中では、波長依存性などの光学特性から、主鎖にラクトン環構造を持つものが特に好ましい。
主鎖のラクトン環構造に関しては、4〜8員環でもよいが、構造の安定性から5〜6員環の方がより好ましく、6員環が更に好ましい。また、主鎖のラクトン環構造が6員環である場合、主鎖にラクトン環構造を導入する前の重合体を合成する上において重合収率が高い点や、ラクトン環構造の含有割合の高い重合体を得易い点、更にメタクリル酸メチルなどの(メタ)アクリル酸エステルとの共重合性が良い点で、下記一般式(3)で表される構造であることが好ましい。
Figure 2012227190

(式中、R、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜20の有機残基を表す。なお、有機残基は酸素原子を含んでいても良い。有機残基は、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基などの炭素数が1〜20の範囲のアルキル基;エテニル基、プロペニル基などの炭素数が1〜20の範囲の不飽和脂肪族炭化水素基;フェニル基、ナフチル基などの炭素数が1〜20の範囲の芳香族炭化水素基;前記アルキル基、前記不飽和脂肪族炭化水素基および前記芳香族炭化水素基において、水素原子の一つ以上が水酸基、カルボキシル基、エーテル基およびエステル基から選ばれる少なくとも1種の基により置換された基;である。)
環構造の含有率は特に限定されないが、通常、5〜90質量%であり、10〜70質量%が好ましく、10〜60質量%がより好ましく、10〜50質量%がさらに好ましい。前記含有率が過度に小さくなると、樹脂を成形して得た樹脂成形品の耐熱性が低下したり、耐溶剤性および表面硬度が不十分となることがある。一方、前記含有率が過度に大きくなると、樹脂の成形性、ハンドリング性が低下する。
主鎖にラクトン環構造を有するアクリル系樹脂としては、特開2000−230016号公報、特開2001−151814号公報、特開2002−120326号公報、特開2002−254544号公報、特開2005−146084号公報などに記載の、ラクトン環構造を有するアクリル系樹脂が挙げられる。
主鎖にグルタルイミド構造を有するアクリル系樹脂としては、特開2006−309033号公報、特開2006−317560号公報、特開2006−328329号公報、特開2006−328334号公報、特開2006−337491号公報、特開2006−337492号公報、特開2006−337493号公報、特開2006−337569号公報、特開2007−009182号公報などに記載の、グルタルイミド構造を有するアクリル系樹脂が挙げられる。
主鎖にグルタル酸無水物構造を有するアクリル系樹脂としては、特開2006−283013号公報、特開2006−335902号公報、特開2006−274118号公報などに記載の、グルタル酸無水物構造を有するアクリル系樹脂が挙げられる。
前記耐熱アクリル系重合体としては、公知の(メタ)アクリル酸エステルを使用できる。耐熱アクリル系重合体の(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位の含有率の合計は、10質量%以上が好ましく、より好ましくは30質量%以上、さらに特に好ましくは50質量%以上、さらに特に好ましくは70質量%以上である。
(メタ)アクリル酸エステルは、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸クロロメチル、(メタ)アクリル酸2−クロロエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸2,3,4,5−テトラヒドロキシペンチル、などの各単量体に由来する構成単位である。耐熱アクリル系重合体は、(メタ)アクリル酸メチル単位を有することが特に好ましく、この場合、成形品の光学特性と熱安定性が向上する。耐熱アクリル系重合体は、(メタ)アクリル酸エステル単位として、これらの構成単位を2種以上有していてもよい。
前記耐熱アクリル系重合体は、(メタ)アクリル酸エステル単位以外の構成単位を有していてもよい。このような構成単位は、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、α−ヒドロキシメチルスチレン、α−ヒドロキシエチルスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エチレン、プロピレン、4−メチル−1−ペンテン、酢酸ビニル、2−ヒドロキシメチル−1−ブテン、メチルビニルケトン、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾールなどの単量体に由来する構成単位である。アクリル系重合体は、これらの構成単位を2種以上有していてもよい。
環化反応により主鎖に環構造を導入する場合、耐熱アクリル系重合体は重合時に水酸基やカルボン酸基を有する単量体を共重合することが好ましい。具体的には、水酸基を有する単量体として、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸エチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸イソプロピル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸ブチル、2−(ヒドロキシエチル)アクリル酸メチル、メタリルアルコール、アリルアルコール、また、カルボン酸基を有する単量体として(メタ)アクリル酸単位は、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸、2−(ヒドロキシエチル)アクリル酸などの単量体に由来する構成単位が挙げられる。これらの単量体を2種類以上共重合有していてもよい。水酸基やカルボン酸基を有する単量体は環化反応により環構造へと変化するが、主鎖に環構造を有するアクリル系重合体に未反応の水酸基やカルボン酸基を有する単量体由来の構成単位が含まれていてもよい。
前記耐熱アクリル系重合体の重量平均分子量は、好ましくは10,000〜500,000、より好ましくは50,000〜300,000である。
前記耐熱アクリル系樹脂は熱可塑性を有することが好ましい。耐熱アクリル系樹脂のTg(ガラス転移温度)は、好ましくは100℃以上、より好ましくは110℃以上、さらに好ましくは115℃以上、特に好ましくは120℃以上である。また、前記熱可塑性樹脂のTgの上限値は特に限定されないが、成形性等の観点から、好ましくは170℃以下である。
前記耐熱アクリル系樹脂は、添加剤を含有していてもよい。添加剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系、リン系、イオウ系等の酸化防止剤;耐光安定剤、耐候安定剤、熱安定剤等の安定剤;ガラス繊維、炭素繊維等の補強材;フェニルサリチレート、(2,2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−ヒドロキシベンゾフェノン等の紫外線吸収剤;近赤外線吸収剤;トリス(ジブロモプロピル)ホスフェート、トリアリルホスフェート、酸化アンチモン等の難燃剤;アニオン系、カチオン系、ノニオン系の界面活性剤等の帯電防止剤;無機顔料、有機顔料、染料等の着色剤;有機フィラーや無機フィラー;アンチブロッキング剤;樹脂改質剤;有機充填剤や無機充填剤;可塑剤;滑剤;帯電防止剤;難燃剤;位相差低減剤等が挙げられる。
耐熱アクリル系樹脂における添加剤の含有割合は、特に限定されないが、好ましくは0〜5質量%、より好ましくは0〜2質量%、さらに好ましくは0〜0.5質量%である。
前記紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系化合物、サリシケート系化合物、ベンゾエート系化合物、トリアゾール系化合物およびトリアジン系化合物等が挙げられる。その中でも、非晶性の熱可塑性樹脂、特にアクリル系樹脂と相溶性が高く吸収特性が優れている点から、トリアジン系紫外線吸収剤およびトリアゾール系紫外線吸収剤が好ましい。
これらは単独で、または2種類以上の組み合わせて使用することができる。前記紫外線吸収剤の配合量は特に限定されないが、熱可塑性樹脂を主成分とする層中に0.01〜25質量%であることが好ましく、さらに好ましくは0.05〜10質量%である。添加量が少なすぎると耐候性向上の寄与が低く、また多すぎると機械強度の低下や黄変を引き起こす場合がある。
耐熱アクリル系樹脂は、前記耐熱アクリル系重合体以外に、その他の熱可塑性樹脂を含有していてもよい。その他の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)等のオレフィン系重合体;塩化ビニル、塩化ビニリデン、塩素化ビニル樹脂等のハロゲン化ビニル系重合体;ポリメタクリル酸メチル等のアクリル系重合体;ポリスチレン、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンブロック共重合体等のスチレン系重合体;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610等のポリアミド;ポリアセタール;ポリカーボネート;ポリフェニレンオキシド;ポリフェニレンスルフィド;ポリエーテルエーテルケトン;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;ポリオキシベンジレン;ポリアミドイミド;ポリブタジエン系ゴム、アクリル系ゴムを配合したABS樹脂やASA樹脂等のゴム質重合体等が挙げられる。スチレン系重合体を含有する場合には、主鎖に環構造を有するアクリル系重合体の正の位相差を、スチレン系重合体の負の位相差で打ち消すことで、低位相差のフィルムが得られる。スチレン系重合体では、アクリル系重合体との相溶性から、特にスチレン−アクリロニトリル共重合体が好ましい。また、光学フィルムに負の位相差(または低位相差)と可とう性の両方を付与できるため、ABS樹脂やASA樹脂も好ましい。
耐熱アクリル系樹脂における他の熱可塑性樹脂の含有割合は、好ましくは0〜50質量%、より好ましくは0〜40質量%、さらに好ましくは0〜30質量%、特に好ましくは0〜20質量%である。
前記耐熱アクリル系樹脂を製造するには、例えば、オムニミキサー等、任意の適切な混合機で重合体や添加剤をプレブレンドした後、得られた混合物を押出混練する。この場合、押出混練に用いられる混合機は、特に限定されるものではなく、例えば、単軸押出機、二軸押出機等の押出機や加圧ニーダー等、任意の適切な混合機を用いることができる。
本発明における耐熱アクリル系樹脂からなる基材の厚みは、特に制限はないが、特にフラットパネルディスプレイの光学フィルムとして用いる場合、フィルム強度を維持しながらパネル自体の軽量化や薄肉化が望まれており、10〜200μmであることが好ましく、より好ましくは15〜150μmであり、さらに好ましくは20〜100μmである。
本発明における耐熱アクリル系フィルムのTg(ガラス転移温度)は、好ましくは105℃以上、より好ましくは110℃以上、さらに好ましくは115℃以上、特に好ましくは120℃以上である。また、上限値は特に限定されないが、好ましくは200℃以下、より好ましくは180℃以下、さらに好ましくは160℃以下である。Tgが100℃より低いと成形後にソリや歪を生じる可能性があり、200℃を超えると成形性に劣る場合がある。
以下、実施例により、本発明をより詳細に説明する。本発明は、以下に示す実施例に限定されない。
[粘度]
得られた組成物を、温度25℃の条件下で、B型粘度計(型式「RB80L」、東機産業社製)を用いて測定した。
[硬化収縮率(%)]
25℃における組成物の比重および組成物を硬化して得られた硬化物の比重を測定し、以下の計算より求めた。硬化物は、厚さ1mmのスペーサーを有する2枚のガラス板で組成物を挟み込み、空気を遮断した状態で高圧水銀ランプにて2J/cmのエネルギーを照射して硬化させて得た。
硬化収縮率(%)=(硬化物比重−組成物比重)/硬化物比重×100
[屈折率]
フィルムの屈折率については、多波長アッベ屈折計(DR−M4、アタゴ社製)を用い、D線(587.6nm)、20℃での屈折率を測定した。組成物を硬化して得られた硬化物の屈折率は、厚さ1mmのものを用いて測定した。硬化物は、厚さ1mmのスペーサーを有する2枚のガラス板で組成物を挟み込み、空気を遮断した状態で高圧水銀ランプにて2J/cmのエネルギーを照射して硬化させて得た。
[Tg]
得られた組成物の硬化物のガラス転移温度(Tg)は、JIS K7121の規定に準拠して求めた。具体的は、示差走査熱量計(リガク社製、DSC−8230)を用い、窒素ガス雰囲気下、約10mgのサンプルを常温から200℃まで昇温(昇温速度20℃/分)して得られたDSC曲線から、始点法により評価した。リファレンスには、α−アルミナを用いた。なお、製造例で作製したフィルムに対するTgの評価も同様に行った。
[ソリ]
得られたフィルムを平坦なガラス板上に乗せ、そのソリの度合いを目視で観察した。
極小:ソリが極めて小さい
小:ソリが小さい
大:ソリが大きい
[離型性]
得られたフィルムの微細凹凸構造を、原子間力顕微鏡(AFM)にて観察し、以下の2水準で評価した。
離型性1:成形連続数5回
離型性2:成形連続数100回
良:形状欠陥が発生していない
不良:形状欠陥が発生している
[反射率(%)]
得られたフィルムの裏面に黒テープを貼り付け、分光光度計(UV−3100、島津製作所製)にて、入射角5°、波長400〜780nmの範囲で分光反射率を測定し、450〜650nmでの鏡面反射率を算出した。
[耐傷性]
得られたフィルムの表面に、スチールウール#0000番を荷重500g/cmの条件で10往復させた時に発生する傷の程度を、目視により評価した。
良:傷なし
不良:傷あり
[光線透過率]
得られたフィルムの光線透過率は、分光光度計(島津製作所社製、UV−3100)を用いて、波長380nmおよび500nmの光に対する当該フィルムの透過率を測定することで評価した。
[ヘイズ]
得られたフィルムのヘイズは、濁度計(日本電色工業社製、NDH 5000)を用いて測定した。
[数平均分子量、重量平均分子量]
数平均分子量、重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により以下の条件で求めた。
システム:東ソー製
展開溶媒:クロロホルム(和光純薬工業製、特級)、流量0.6ml/min
標準試料:TSK標準ポリスチレン(東ソー製、PS−オリゴマーキット12タイプ)
カラム構成(測定側):ガードカラム(TSKGuardcolumn SuperH−H)、分離カラム(TSKgel SuperHM−M)2本直列接続
カラム構成(リファレンス側):リファレンスカラム(TSKgel SuperH−RC)
[フィルムの厚さ]
フィルムの厚さは、デジマチックマイクロメーター((株)ミツトヨ製)を用いて測定した。
[屈折率異方性]
フィルムの屈折率異方性については、面内位相差値(Re)と厚さ方向位相差値(Rth)を測定波長589nmで王子計測器社製KOBRA−WRを用いて測定した。厚さ方向位相差値(Rth)は遅相軸を傾斜軸として、40°傾斜させて測定した。
(ビニル系重合体P−VEEA−1の合成)
攪拌棒、温度計、滴下ライン、窒素/空気混合ガス導入管を取り付けた4つ口フラスコに酢酸エチル80gを加え、10℃に温度調整した。昇温後、アクリル酸2−ビニロキシエトキシエチル(VEEA)196gと2,3―ジヒドロフラン(DHF)4gの混合物、酢酸エチル13gとリンタングステン酸13mgの混合溶解物をそれぞれ2時間かけて滴下し重合を行った。重合終了後はトリエチルアミンを加えて反応を終了した。次いで、エバポレーターで濃縮した後、ビニル系重合体(P―VEEA−1)を得た。単量体の反応率は、反応停止後の混合液をガスクロマトグラフィー(GC)で分析することにより、99.0%であることが判明した。また、得られた重合体の数平均分子量(Mn)は9,900、分子量分布(Mw/Mn)は1.80であった。
(ビニル系重合体P−VEEA−2の合成)
攪拌棒、温度計、滴下ライン、窒素/空気混合ガス導入管を取り付けた4つ口フラスコに酢酸エチル80gを加え、10℃に温度調整した。昇温後、VEEA141gとシクロヘキシルビニルエーテル(CHVE)49gとDHF10gの混合物、酢酸エチル13gとリンタングステン酸13mgの混合溶解物をそれぞれ2時間かけて滴下し重合を行った。重合終了後はトリエチルアミンを加えて反応を終了した。次いで、エバポレーターで濃縮した後、ビニル系重合体(P―VEEA−2)を得た。単量体の反応率は、反応停止後の混合液をガスクロマトグラフィー(GC)で分析することにより、99.1%であることが判明した。また、得られた重合体の数平均分子量(Mn)は9,960、分子量分布(Mw/Mn)は1.56であった。
(基材の製造例1)
攪拌装置、温度センサー、冷却管および窒素導入管を備えた内容積1000Lの反応釜に、40部のメタクリル酸メチル(MMA)、10部の2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル(MHMA)、重合溶媒として50部のトルエン、および0.025部の酸化防止剤(旭電化工業製、アデカスタブ2112)を仕込み、これに窒素を通じつつ、105℃まで昇温させた。昇温に伴う還流が始まったところで、重合開始剤として0.05部のt−アミルパーオキシイソノナノエート(アルケマ吉富製、商品名:ルペロックス570)を添加するとともに、0.10部のt−アミルパーオキシイソノナノエートを3時間かけて滴下しながら、約105〜110℃の還流下で溶液重合を進行させ、さらに4時間の熟成を行った。
次に、得られた重合溶液に、環化縮合反応の触媒(環化触媒)として0.05部のリン酸2−エチルヘキシル(堺化学工業製、Phoslex A−8)を加え、約90〜110℃の還流下において2時間、環化縮合反応を進行させた後、240℃のオートクレーブにより重合溶液を30分間加熱し、ラクトン環への環化縮合反応をさらに進行させた。
次に、得られた重合溶液を、バレル温度240℃、回転速度100rpm、減圧度13.3〜400hPa(10〜300mmHg)、リアベント数1個およびフォアベント数4個(上流側から第1、第2、第3、第4ベントと称する)、第3ベントと第4ベントとの間にサイドフィーダが設けられており、先端部にリーフディスク型のポリマーフィルタ(濾過精度5μ、濾過面積1.5m)が配置されたベントタイプスクリュー二軸押出機(Φ=50.0mm、L/D=30)に、樹脂量換算で45kg/時の処理速度で導入し、脱揮を行った。その際、別途準備しておいた酸化防止剤/環化触媒失活剤の混合溶液を0.68kg/時の投入速度で第1ベントの後ろから、別途準備しておいたUVA溶液を1.25kg/時の投入速度で第2ベントの後ろから、イオン交換水を0.22kg/時の投入速度で第3ベントの後ろから、それぞれ投入した。また、上記サイドフィーダから、スチレン−アクリロニトリル(AS)樹脂ペレット(旭化成ケミカルズ製、スタイラックAS783)を投入速度5kg/時で投入した。
なお、酸化防止剤/環化触媒失活剤の混合溶液には、50部の酸化防止剤(住友化学製スミライザーGS)と、失活剤として35部のオクチル酸亜鉛(日本化学産業製、ニッカオクチクス亜鉛3.6%)とを、トルエン200部に溶解させた溶液を用いた。UVA溶液には、2,4,6−トリス(ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリアジン骨格を有する化合物を含む紫外線吸収剤であるチヌビン477(BASF製、有効成分80%)37.5部をトルエン12.5部に溶解させた溶液を用いた。
次に、脱揮完了後、押出機内に残された熱溶融状態にある樹脂を押出機の先端からポリマーフィルタにより濾過しながら排出し、ペレタイザーによりペレット化して、主鎖に環構造を有するアクリル重合体を含むアクリル樹脂(A−1)のペレットを得た。樹脂(A−1)の重量平均分子量は145000、Tgは126℃であった。
得られた樹脂(A−1)をバリアフライト型スクリューを有するベント付き単軸押出機に30kg/時の処理速度で導入し、ベント口から圧力10mmHgで吸引を行いながら溶融混練した。その後、ギアポンプにより、濾過精度5μm、濾過面積0.75mのリーフディスク型ポリマーフィルタを通して濾過し、濾過後の組成物をTダイ(幅700mm)から温度90℃の冷却ロール上に吐出して、厚さ160μmの押出フィルム(B−1)とした。このとき、シリンダー、ギアポンプ、ポリマーフィルタおよびTダイの温度は265℃とした。
得られた押出フィルムを97mm×97mmに切り出した後、逐次2軸延伸機(東洋精機製作所製、X−6S)を用いて、ガラス転移温度より15℃高い温度で、800mm/分の速度で縦・横方向(MD・TD方向)の順にそれぞれ2倍になるように逐次2軸延伸を行い、フィルム(C−1)を得た。フィルム(C−1)の厚さは40μm、ヘイズ(濁度)は0.2%、ガラス転移温度は126℃、Reは0.7nm、Rthは0.8nm、380nmの光に対する透過率は6.0%、500nmの光に対する透過率は92.1%であった。また、このフィルムのD線、20℃での屈折率は1.51であった。
(基材の製造例2)
主鎖にグルタルイミド環構造を有するアクリル樹脂(ダイセル・エボニック製プレキシイミド8813、ガラス転移温度132℃、重量平均分子量95000)をホッパーに仕込み、2カ所のベントを有する二軸押出機(Φ30mm、L/D=42)にて、バレル温度260℃、回転速度100rpm、減圧度13hPa、処理速度7.8kg/時の条件で溶融させた。次に、この溶融樹脂に、紫外線吸収剤として19重量部のCGL777MPAD(チバスペシャリティケミカルズ社製、有効成分80重量%)と11重量部のトルエンとを混合した溶液を、ベント手前の注入口より0.30kg/時の速度で加圧注入し、また、サイドフィーダから、スチレン−アクリロニトリル(AS)樹脂ペレット(旭化成ケミカルズ製、スタイラックAS783)を2.2kg/時の条件で投入して、アクリル樹脂(B−1)のペレットを得た。このアクリル樹脂(B−1)において、主鎖にグルタルイミド環構造を有するアクリル樹脂とAS樹脂と紫外線吸収剤の比は78重量部/22重量部/1.5重量部とした。このアクリル樹脂(B−1)のガラス転移温度は127℃、重量平均分子量は129000であった。
アクリル樹脂(B−1)を用いた以外は製造例1と同様にして、押出フィルム(B−2)および逐次2軸延伸したフィルム(C−2)を得た。フィルム(C−2)の厚さは40μm、ヘイズ(濁度)は0.5%、ガラス転移温度は127℃、Reは3.1nm、Rthは5.2nm、380nmの光に対する透過率は6.4%、500nmの光に対する透過率は91.5%であった。また、このフィルムのD線、20℃での屈折率は1.52であった。
(実施例1)
ビニル系重合体P−VEEA−1、アクリル酸2−ビニロキシエトキシエチル(VEEA、日本触媒製)、ペンタエリスリトールトリアクリレート(SR―444、サートマージャパン製)、光重合開始剤としての2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(ダロキュア1173、BASFジャパン製)をそれぞれ表1に示す配合で混合し、遮光下で1時間攪拌した後、孔径20nmのフィルターにてろ過して組成物1を得た。この組成物の粘度、硬化収縮率、硬化物の屈折率、Tgを表1に示す。
次に、直径1インチのガラス円盤上に製造例で作成した基材フィルムC−1を貼付し、その上に上記の組成物をディスペンサーを用いて滴下した。その上に表面に直径200nm、深さ400nm、周期220nmの円錐形の凹部を配列した石英製の成形型を押し当て、5kNの圧を基板面全体で均等になるように制御しながら印加した。次に、高圧水銀ランプ(350W、主波長365nm)にて成形型側から500mJ/cmのエネルギーのUVを照射した後、ガラス基板および基材を成形型から離型して反射防止フィルムを得た。得られた反射防止フィルムのソリ、反射率、耐傷性の評価結果を表2に示す。また、同様な成形工程を5回繰り返して得られた反射防止フィルムの表面(微細凹凸構造)を原子間力顕微鏡(AFM)にて観察し、離型性1として評価した。同様に、成形工程100回繰り返した場合を離型性2として評価した。結果を表2に示す。

(実施例2〜8、比較例1〜5)
実施例1と同様にして各成分を表1に示した配合で混合・攪拌して、組成物2〜10を得た。その後、実施例1と同様にして各種の評価を行った。実施例2〜8については表2に、比較例1〜5については表3に。それぞれ結果を示す。
Figure 2012227190



表1中の略称は、以下のとおりである。
UV−7610B:ウレタンアクリレート、日本合成製
CN104:エポキシアクリレート、サートマージャパン製
DPHA:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
CN2302:ポリエステルアクリレート、サートマージャパン製
D1173:光重合開始剤ダロキュア1173、BASFジャパン製

Figure 2012227190

表2中の略称は、以下のとおりである。
PMMA:ポリメタクリル酸メチルフィルム、厚み40μm
TAC:トリアセチルセルロースフィルム、厚み40μm
Figure 2012227190
上述した実施例及び比較例の結果から、本発明の脂組成物は、
下記式(1):
Figure 2012227190

[式中、Rは炭素数2〜8のアルキレン基、Rは水素原子またはメチル基、mは正の整数である]で示される繰り返し単位を有するビニル系重合体を含有するという形態とすることにより、該脂組成物を硬化して得られる硬化物、微細凹凸構造物品、および反射防止フィルムが、優れた離型性、低ソリ性、低反射率、優れた耐傷性を有する等の、各種特性をバランスよく同時に発揮できるという点において有利な効果を発揮し、それが顕著であることが確認された。



本発明のナノインプリント用硬化性樹脂組成物は、離型性に優れ、さらには、低ソリ性、低反射率、優れた耐傷性を有する。そのため、微細凹凸構造を有する物品や反射防止板に用いられる硬化性樹脂組成物として好適である。

Claims (5)

  1. 下記式(1):
    Figure 2012227190

    (式中、Rは炭素数2〜8のアルキレン基、Rは水素原子またはメチル基、mは正の整数である)
    で示される繰り返し単位を有するビニル系重合体を含有するナノインプリント用硬化性樹脂組成物。
  2. 請求項1に記載のナノインプリント用硬化性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物。
  3. 請求項2に記載の硬化物を有してなる微細凹凸構造物品。
  4. 基材と基材上に形成された微細凹凸構造を有する反射防止板であって、該微細凹凸構造が請求項2に記載の硬化物を有してなる反射防止板。
  5. 該反射防止板の基材として耐熱アクリル系樹脂を含む請求項4に記載の反射防止板。
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