JP2012217616A - 口腔内ケアユニット - Google Patents
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Abstract
【解決手段】口腔内製剤と、該口腔内製剤を口腔内に塗布する塗布具1とを備える口腔内ケアユニットにおいて、前記口腔内製剤は、その有効成分としてカチオン性殺菌剤を含有し、前記塗布具1は、把持体4と、該把持体4に設けられた導電性の塗布体2と、電源と、該電源の負極に接続され前記把持体4に露出して形成された負極端子5と、前記電源の正極及び前記塗布体2に接続されると共に前記負極端子5と離間した正極端子3とを備えることよりなる。
【選択図】図1
Description
また、歯周病の予防、改善には、殺菌等の有効成分を含有した口腔内製剤を歯間部や歯頸部に塗布し、原因となる病原性細菌を死滅させることが有効であるとされている。一般に、殺菌剤としては、第4級アンモニウム塩等のカチオン性殺菌剤が用いられている。
変形可能な弾性材で成形した把手空洞内に薬液類を収容すると共に、ブラシ取付基部付近に前記空洞と外部空間とを連通する小孔を穿設した歯間清掃具が提案されている(例えば、特許文献1)。特許文献1の発明によれば、ブラシで歯間部を清掃しつつ、把手空洞内の薬液を歯間部に塗布することが図られている。
また、中空糸を用いた歯間部用小ブラシが提案されている(例えば、特許文献2)。特許文献2の発明によれば、中空糸に歯磨剤の成分を予め挿入しておくことで、歯間部の歯垢を効率的に取り除くことが図られている。
あるいは、樹脂フィラメントに無機粉体を練和し、この樹脂フィラメントの表面に露出した無機粉体に有効成分を吸着せしめた歯間ブラシが提案されている(例えば、特許文献3)。特許文献3の発明によれば、歯間部を清掃しつつ、樹脂フィラメントに吸着せしめた有効成分を罹患部に塗布することが図られている。
特許文献4〜5の発明では、歯垢の除去を促進するものの、歯周病の予防、改善の点で未だ満足できるものではなかった。
加えて、単に罹患部にカチオン性殺菌剤等の薬剤を塗布しても、薬剤の効果が十分に発揮されないという問題があった。
そこで、本発明は、薬剤の効果を十分に発揮できる、口腔内ケアユニットを目的とする。
本発明者は、鋭意検討した結果、口腔内のバイオフィルムがアニオン性であるため、単にカチオン性殺菌剤を罹患部に塗布しても、カチオン性殺菌剤が有効な状態で細菌に作用できないとの知見を得た。
本発明者は、上記の知見に基づき、さらに検討を進めた結果、正電荷を口腔内に導入することで、カチオン性殺菌剤をバイオフィルムに効率的に浸透させ、有効に作用させられることを見出し、本発明に至った。
前記塗布体は、導電性高分子で構成されていることが好ましく、前記有効成分は、第4級アンモニウム塩であることが好ましい。
なお、「口腔内ケア」は、口腔内の清掃、歯茎のマッサージ、歯周病又はむし歯の治療、改善もしくは予防等、口腔内の衛生を維持する行為である。
本発明の口腔内製剤は、カチオン性殺菌剤を含有するものである。
口腔内製剤の剤形は、特に限定されず、例えば、水溶液又は水分散液等の液体、ゾル状、ゲル状、粉粒状等、従来の口腔内製剤と同様の剤形を採用できる。
カチオン性殺菌剤としては、従来、口腔内製剤に用いられている成分であれば特に限定されず、例えば、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、ミリスチルトリメチルアンモニウムクロリド、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド等の第4級アンモニウム塩、塩酸クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン、塩酸アレキシジン、グルコン酸アレキシジン等のビグアナイド系殺菌剤が挙げられる。カチオン性殺菌剤の中でも、殺菌力に優れる第4級アンモニウム塩が好ましく、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウムがより好ましく、塩化セチルピリジニウムがさらに好ましい。これらのカチオン性殺菌剤は、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
本発明の口腔内製剤には、本発明の効果を損なわない範囲で、カチオン性殺菌剤以外の薬剤(任意薬剤)、研磨剤、粘稠剤、粘結剤、カチオン性殺菌剤を除く界面活性剤(任意界面活性剤)、甘味剤、色素、香料、pH調整剤、緩衝剤等を配合してもよい。
任意薬剤としては、トラネキサム酸、イプシロンカプロン酸、β-グリチルリチン酸、グリチルリチン酸ジカリウム等の抗炎症剤、アスコルビン酸、リン酸アスコルビルマグネシウム等のアスコルビン酸誘導体等の抗酸化剤、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化第1錫、フッ化ストロンチウム、モノフルオロリン酸ナトリウム等のフッ化物、正リン酸のカリウム塩、ナトリウム塩等の水溶性リン酸化合物、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム、ヒノキチオール、塩化ナトリウム、酢酸dl−トコフェロール、ジヒドロコレステロール、α−ビサボロール、トリクロサン、イソプロピルメチルフェノール、アズレン、グリチルレチン、グリチルレチン酸、銅クロロフィリンナトリウム、クロロフィル、グリセロホスフェート等のキレート性リン酸化合物、グルコン酸銅等の銅化合物、乳酸アルミニウム、塩化ストロンチウム、硝酸カリウム、ベルベリン、ヒドロキサム酸又はその誘導体、ゼオライト、メトキシエチレン、無水マレイン酸共重合体、ポリビニルピロリドン、エピジヒドロコレステリン、トリクロロカルバニリド、クエン酸亜鉛、トウキ軟エキス、オウバクエキス、カミツレ、チョウジ、ローズマリー、オウゴン、ベニバナ等の植物抽出物等が挙げられる。これらの任意薬剤は、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
なお、口腔内組成物中の任意薬剤の添加量は、本発明の効果を妨げない範囲で有効量とすることができる。
本発明の一実施形態にかかる塗布具について、以下に図面を参照して説明する。
図1〜2に示す塗布具1は、塗布体2と、把持体4と、正極端子3と、負極端子5とを備える、いわゆるイオン歯間ブラシである。
負極導電部50は、把持体4に露出して設けられた負極端子5と接続されている。
正極導電部30は、把持体4の先端から突出する導線である正極端子3と接続され、正極端子3には、正極端子3の先端32を覆うように塗布体2が設けられている。
把持体4の材質は、絶縁性の材質であれば特に限定されず、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリスチレン等の樹脂が挙げられる。
塗布体2の材質は、導電性を有するものであれば特に限定されないが、体積抵抗率1×102Ω・cm以下が好ましく、体積抵抗率60Ω・cm以下がより好ましい。上記上限値超であると、塗布体2の部位によって流れる電流量にムラが生じる恐れがある。
塗布体2の硬さは、特に限定されないが、歯牙や歯茎への物理的な刺激を緩和するため、柔軟なものが好ましく、硬さ(デュロメータAでの測定値)80以下がより好ましい。
塗布体100の材質は、塗布体2の材質と同様である。
塗布体110の材質は、塗布体2の材質と同様である。
塗布体120の材質は、塗布体2の材質と同様である。
塗布体130の材質は、塗布体2の材質と同様である。
刷毛部144は、基端から先端に向かうに従い縮径する形状とされている。
支持部142の材質は、塗布体2の材質と同様である。
導電性フィラメントは、体積抵抗率1×102Ω・cm以下が好ましく、体積抵抗率60Ω・cm以下がより好ましい。
導電性フィラメントの太さは、特に限定されず、例えば、φ0.05〜0.3mmとされる。
刷毛部154を形成する導電性フィラメントは、刷毛部144を形成する導電性フィラメントと同様である。
正極導電部30の材質は、正極端子3と同様である。
次に、塗布具1を用いた口腔内ケアの方法について、歯周病バイオフィルム殺菌を例にして説明する。
まず、塗布体2に口腔内製剤を付着させ、負極端子5に手を当接し把持体4を把持する。塗布体2を口腔内、例えば、歯間部に挿入する。塗布体2は、歯間部に挿入されると、口腔内製剤、唾液又は口腔内の水分によって濡れ、口腔内組織と塗布体2とが電気的に導通する。そして、電流は、電池6の負極62、負極導電部50、負極端子5、使用者の手、体、口腔内、塗布体2、正極端子3、正極導電部30、正極64の順で流れる。この時、塗布体2から口腔内組織に向けて正電荷の対流が生じ、この対流により反発された正電荷のカチオン性殺菌剤がバイオフィルムに浸透する。この結果、カチオン性殺菌剤は、バイオフィルム内の病原性細菌に作用し、これらの病原性細菌を死滅させる。加えて、人体内に1〜100μAの電流が流れるため、電流が、歯茎の血行を促進し、歯茎組織を活性化する。
加えて、塗布体が軟質な導電性高分子で構成されているため、歯牙や歯茎への物理的な刺激を緩和できる。
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。
上述の実施形態では、塗布具が、イオン歯間ブラシとされているが、塗布具は、正極端子に塗布体が設けられていればよく、例えば、把持体に延設されたヘッド部を備え、前記把持体に負極端子を設け、前記ヘッド部に正極端子とこれを覆う導電性のフィラメントを植設した、いわゆるイオン歯ブラシであってもよい。このイオン歯ブラシに用いられるフィラメントは、先端に向かい漸次縮径する形状のいわゆるテーパー毛であることが好ましい。テーパー毛は、撓みやすいために、罹患部に痛みを与えにくく、かつ細かい隙間に浸入して、カチオン性殺菌剤をバイオフィルム内に浸透させることができる。
pH7.0リン酸緩衝生理食塩水(PBS溶液)に、塩化セチルピリジニウム(CPC)を溶解し、0.1質量%CPC溶液を調製し、口腔内製剤とした。
導電性シリコン(導電性物質:カーボン、体積抵抗率20Ω・cm)を基端部の直径3mm、長さ10mmの円錐形に成形した塗布体(硬さ(デュロメータAでの測定値)=50)を用い、図1の塗布具1と同様の塗布具を作製した。この塗布具には、把持体としてポリプロピレンの成形体、正極端子としてφ0.25mmのSUS304製のワイヤー、負極端子として酸化チタン製の平板をそれぞれ用いた。電源には、9Vの電池を用いた。
得られた塗布具を用い、以下に示す方法で、殺菌効果及び使用感を評価し、その結果を表1に示す。
<殺菌効果>
図4に示す実験系200を用いたモデル殺菌試験により、殺菌効果を評価した。
実験系200は、外容器230と、外容器230内に設けられた内容器220と、塗布具1と、導電性の負極延長体52とを備えるものである。
)の4種混合培養にて形成した。塗布具1の塗布体2を口腔内製剤222に浸漬し、負極端子5に負極延長体52を接続した。負極延長体52の先端をPBS溶液212内に位置された負極板54に接続した。
9Vの直流電流で10分間通電した後、モデルバイオフィルム224の生菌数を測定した。
実験終了時にメンブレンフィルター上のバイオフィルムをサンプリングし、これを超音波で分散後、寒天平板上で培養し、寒天平板上のP.ジンジバリスのコロニー数をカウントして生細菌数(CFU/disk)を求め、常用対数logCFUで表した。
(CFU:colony forming unitの略)
10人のモニターが、塗布体を歯間部に挿入した時、及び歯間部から塗布体を引き出した時の歯茎への刺激の有無を下記評価基準に従って評価した。10人の評価点の平均が2.5点以上を「○」、2点以上2.5点未満を「△」、2点未満を「×」と評価した。
3点:歯茎への刺激を殆ど感じない。
2点:歯茎への刺激をやや感じる。
1点:歯茎への刺激を強く感じる。
塗布体の硬さを80とした以外は、実施例1と同様にして塗布具を得、得られた塗布具について使用感を評価した。評価結果を表1に示す。なお、本実施例においては、塗布体の硬さによる使用感の差異のみを確認したため、殺菌効果の評価を行わなかった。
塗布体の硬さを90とした以外は、実施例1と同様にして塗布具を得、得られた塗布具について使用感を評価した。評価結果を表1に示す。なお、本実施例においては、塗布体の硬さによる使用感の差異のみを確認したため、殺菌効果の評価を行わなかった。
内容器220内の口腔内製剤222に換えてPBS溶液を用い、通電せずに塗布体2をPBS溶液に10分間浸漬した後、バイオフィルムの生菌数を測定し、その結果を表1に示す。加えて、使用感を評価し、その結果を表1に示す。
PBS溶液に換えて口腔内製剤を用いた以外は、比較例1と同様にしてバイオフィルムの生菌数を測定し、その結果を表1に示す。加えて、使用感を評価し、その結果を表1に示す。
内容器220内の口腔内製剤222に換えてPBS溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして10分間通電処理した。通電処理後、バイオフィルムの生菌数を測定し、その結果を表1に示す。加えて、使用感を評価し、その結果を表1に示す。
内容器220内の口腔内製剤222に換えて、0.1質量%イソプロピルメチルフェノール(IPMP)水溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして10分間通電処理した。通電処理後、バイオフィルムの生菌数を測定し、その結果を表1に示す。加えて、使用感を評価し、その結果を表1に示す。
表面をポリエチレンで被覆した絶縁性のワイヤ(φ0.25mm、SUS製)を捻り合わせ、このワイヤの間にナイロン製フィラメント(φ0.05mm)300本を挟持させ、基端部の直径3mm、先端部の直径2mm、長さ10mmの塗布体とした。この塗布体について、実施例1と同様にして殺菌効果及び使用感を評価し、その結果を表1に示す。
これらの結果から、カチオン性殺菌剤を含有する口腔内製剤と、塗布体に正極端子を接続した塗布具とを備える口腔内ケアユニットを用いることで、カチオン性殺菌剤をバイオフィルム内に有効に浸透できることが判った。
2、100、110、120、13、140、150 塗布体
3 正極端子
4 把持体
5 負極端子
6 電池
Claims (3)
- 口腔内製剤と、該口腔内製剤を口腔内に塗布する塗布具とを備える口腔内ケアユニットにおいて、
前記口腔内製剤は、その有効成分としてカチオン性殺菌剤を含有し、
前記塗布具は、把持体と、該把持体に設けられた導電性の塗布体と、電源と、該電源の負極に接続され前記把持体に露出して形成された負極端子と、前記電源の正極及び前記塗布体に接続されると共に前記負極端子と離間した正極端子とを備えることを特徴とする口腔内ケアユニット。 - 前記塗布体は、導電性高分子で構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の口腔内ケアユニット。
- 前記有効成分は、第4級アンモニウム塩であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の口腔内ケアユニット。
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