以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。図1は、本発明が適用された機器連携システム100の概略的な構成を示すブロック図である。図1に示す機器連携システム100は、スマートフォン1、車載器2(ナビゲーション装置2aおよび車載オーディオ2b)、および屋内用機器3(ホームオーディオ3a、ホームシアター3b、およびPC3c)を含んでいる。車載器2や屋内用機器3を以下では外部機器と呼ぶ。
機器連携システム100は、スマートフォン1と外部機器とを連携制御させるシステムである。ここで言う連携とは、スマートフォン1で更新された情報が外部機器に反映され、外部機器で更新された情報がスマートフォン1に反映されることを示している。例えば、スマートフォン1でアプリケーションプログラム(以下、アプリケーション)を実行することで再生されるコンテンツを外部機器でも同様に再生させるとともに、外部機器側でアプリケーションの利用時の設定条件やコンテンツの再生についてユーザから操作を受け付けた場合に、当該操作内容がスマートフォン1側で実行され、外部機器で再生中のコンテンツにも反映されることを示している。なお、アプリケーションの利用時の設定条件が所謂コンフィギュレーションである。また、アプリケーションが請求項の機能に相当する。
スマートフォン1は、タッチパネルを用いて操作入力を行う所謂タッチパネル式携帯電話機(つまり、操作部分を画面に集約したタッチパネルを搭載した多機能携帯電話機)であって、一般的な多機能携帯電話機と同様に、外部機器との通信機能、メール機能、インターネット接続機能(Web接続機能)、音楽プレーヤー機能、ピクチャビューア機能、動画像再生機能、ナビゲーション機能など様々な機能を有しているものである。スマートフォン1は、請求項の携帯端末に相当する。
本実施形態では、請求項の携帯端末としてタッチパネル式携帯電話機を用いる場合を例に挙げて説明を行うが、必ずしもこれに限らない。請求項の携帯端末としては、外部機器との通信機能を有するとともにアプリケーションソフトを保持しているものであれば他のものを用いる構成としてもよい。例えば、タッチパネルを用いない多機能携帯電話機を用いる構成としてもよいし、PDA(Personal Digital Assistants)やタブレット型コンピュータ等を用いる構成としてもよい。
ここで、図2を用いてスマートフォン1の概略的な構成について説明を行う。なお、便宜上、一般的なタッチパネル式携帯電話機が有している機能に関する構成のうち、本発明の説明に不要なものについては説明を省略する。図2は、スマートフォン1の概略的な構成を示すブロック図である。図2に示すようにスマートフォン1は、外部機器通信部11、I/F部11a、表示部12と操作検出部13とからなるタッチパネル部14、音声出力部15、無線回路部16、送受信アンテナ16a、主制御部17、内蔵バッテリ18、および電源制御部19を備えている。
外部機器通信部11は、I/F部11aを介して外部機器との間で例えばBluetooth(登録商標)に従った通信(以下BT通信)を行う。スマートフォン1と外部機器との間での通信は、例えばBluetoothに従って行う他にも、ZigBee(登録商標)等の近距離無線通信規格やIEEE802.11等の無線LAN規格などに従って行う構成としてもよい。また、スマートフォン1と外部機器との間の通信は、必ずしも無線通信で行う構成に限らず、USB接続等による有線通信によって行う構成としてもよい。
表示部12は、スマートフォン1の各種アプリケーションプログラム(以下、アプリケーション)に応じた画面等を表示するものであって、例えばフルカラー表示が可能なものであり、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ等を用いて構成することができる。
操作検出部13は、表示部12と一体になったタッチスイッチが用いられ、タッチ位置に対応するスイッチが操作されたことを検出し、その位置情報を主制御部17に入力する。言い換えると、操作検出部13は、表示部12に表示した画面上のどの位置に対して操作がされたかを検出して、その位置情報を主制御部17に入力する。ここで言うところの位置情報とは、例えば表示部12の画面上の座標であるものとする。
なお、タッチスイッチは、静電容量方式によるものであってもよいし、抵抗膜方式によるものであってもよいし、他の方式によるものであってもよい。また、位置情報は、画面を所定数の領域に分割して扱う場合には、例えば各領域を特定するID等の識別子であってもよい。
タッチパネル部14は、表示部12と操作検出部13とが一体化したものであって、主制御部17の指示に従って表示部12に例えばボタン表示を含む画面を表示させる。また、タッチパネル部14は、そのボタン表示に対する操作が行われた場合には、操作が行われたボタン表示の位置を操作検出部13で検出し、その位置情報を主制御部17に入力する。音声出力部15は、スピーカ等を用いて構成され、主制御部17の指示に従って音声を出力する。無線回路部16は、送受信アンテナ16aを備え、携帯電話網やインターネット等の通信網を介してサーバと通信を行う。
主制御部17は、通常のコンピュータとして構成されており、内部には例えば周知のCPU、ROM、EEPROM、RAM、I/O及びこれらの構成を接続するバスライン(いずれも図示せず)等が備えられている。主制御部17は、外部機器通信部11、タッチパネル部14、無線回路部16から入力された各種情報に基づき、各種処理を実行する。主制御部17は、例えば電源制御部19にて内蔵バッテリ18から電源が供給されて動作する。
本実施形態では、主制御部17は、不揮発性メモリ17a、揮発性メモリ17b、ROM17c、およびCPU17dを含むものとして説明を行う。不揮発性メモリ17aは例えばEEPROMであり、揮発性メモリ17bは例えばRAMである。ROM17は、各種の制御プログラムやアプリケーションが記憶されているものとする。また、CPU17dは、例えばROM17cに記憶されている制御プログラムやアプリケーションを実行するものであって、不揮発性メモリ17a、揮発性メモリ17b、外部機器通信部11、操作検出部13から入力される情報に基づき各種処理を実行する。
揮発性メモリ17bは、電源制御部19にて内蔵バッテリ18から電源が供給されている間のみ記憶内容を保持し、電源の供給が断たれると記憶内容が失われる。一方、不揮発性メモリ17a、及びROM17cは、電源を供給しなくても記憶内容が保持される。
例えば、主制御部17は、アプリケーションを実行し、アプリケーションに従った画面をタッチパネル部14に表示させるための画像データを生成し、その画像データに従った画面をタッチパネル部14に表示させる。アプリケーションについては、ROM17cに予め記憶されている構成としてもよいし、無線回路部16によって通信網を介してサーバからダウンロードする構成としてもよい。
また、主制御部17は、タッチパネル部14から入力される位置情報をもとに、タッチパネル部14に表示中の画面上のどのボタン表示に対して操作が行われたかを判断し、操作が行われたボタン表示に応じた操作コマンドを選択し、その操作コマンドに応じた処理を実行する。
一例としては、楽曲を再生するアプリケーションが実行されており、音量調整、音楽再生、一時停止、曲送り、曲戻し、曲目選択、プレイリスト作成等の操作に対応するボタン表示が画面上に行われていた場合には、操作が行われたボタン表示に応じて、音量調整、音楽再生、一時停止、曲送り、曲戻し、曲目選択、プレイリスト作成等の処理を実行する。
他にも、動画像を再生するアプリケーションが実行されており、画像コンテンツの表示とともに、動画再生、一時停止、先送り、巻き戻し、プレイリスト作成等の操作に対応するボタン表示が画面上に行われていた場合には、操作が行われたボタン表示に応じて、動画再生、一時停止、先送り、巻き戻し、プレイリスト作成等の処理を実行する。
また、所謂ピクチャビューアといった静止画を閲覧するアプリケーションが実行されており、先送り、後戻し、画像サイズの変更、スライドショー実行等の操作に対応するボタン表示が画面上に行われていた場合には、操作が行われたボタン表示に応じて、先送り、後戻し、画像サイズの変更、スライドショー実行等の処理を実行する。
他にも、ナビゲーションを行うアプリケーションが実行されており、ナビゲーション画面の表示とともに、目的地設定、再探索、地図拡大、地図縮小、案内音声の音量調整等の操作に対応するボタン表示が画面上に行われていた場合には、操作が行われたボタン表示に応じて、目的地設定、再探索、地図拡大、地図縮小、案内音声の音量調整等の処理を実行する。
なお、本実施形態では、タッチパネル部14で入力を受け付ける構成を示しているが、必ずしもこれに限らず、タッチパネル部14を用いず、メカニカルなスイッチで入力を受け付ける構成としてもよい。この場合には、メカニカルなスイッチに対して操作コマンドが割り付けられており、入力が行われたスイッチに応じた操作コマンドが主制御部17で選択され、操作コマンドに応じた処理が実行される構成とすればよい。
さらに、主制御部17は、外部機器と外部機器通信部11を介してBT通信を行うことができるように、ペアリング処理を行う。そして、BT通信が確立することによってスマートフォン1と外部機器とが接続され、スマートフォン1のアプリケーションを外部機器でも利用する(つまり、外部機器でスマートフォン1をエミュレートする)エミュレートモードが使用されることになった場合には、スマートフォン1のアプリケーションを実行することで得られるデータ(以下、アプリ関連データ)を外部機器通信部11から車載器2へ送信させる。
ここで言うところのアプリ関連データには、例えばアプリケーションの実行に従ってタッチパネル部14に表示させるために生成した画像データ、アプリケーションの実行に従って音声出力部15から音声出力させるために生成した音声データといったアプリケーションに従って再生させるコンテンツのデータがある。他には、アプリケーションの利用時の設定条件のデータ(以下、コンフィギュレーションデータ)がある。画像データは、例えば画素毎の色情報であるものとする。また、コンフィギュレーションデータは、例えば楽曲や音声案内の音量、画像の拡大縮小の倍率等である。
主制御部17は、画像データを送信する場合には、表示領域情報も送信する構成としてもよい。表示領域情報は、例えばスマートフォン1の画面サイズ=幅(Wピクセル)×高さ(Hピクセル)や解像度などであるものとする。また、音声データとして楽曲のデータを送信する場合には、その楽曲のメタデータも送信する構成とすればよい。メタデータは、例えば曲目、アーティスト名、アルバム・シングルのタイトル、ジャンル名、演奏時間、発売年、トラック番号等のデータである。
エミュレートモードは、例えばタッチパネル部14へのユーザからの操作入力によって使用の可否を選択可能な構成となっていてもよいし、スマートフォン1と外部機器とのBT通信が確立してスマートフォン1と外部機器とが接続された場合に自動的に使用される構成となっていてもよい。
後に詳述するが、前述のエミュレートモードが選択中の場合には、主制御部17は、外部機器通信部11を介して外部機器から入力される操作情報をもとに、タッチパネル部14に表示中の画面上のどのボタン表示に対して操作が行われたかを判断し、操作が行われたボタン表示に応じた処理を実行する。
また、主制御部17は、スマートフォン1と外部機器とが接続された場合に、識別子取得処理を実行する。識別子取得処理では、主制御部17が、外部機器通信部11を介して接続中の外部機器から当該外部機器を特定する識別情報(例えば機器IDとする)を取得する。よって、主制御部17は請求項の識別情報取得手段に相当する。
ここで、図6を用いて、識別子取得処理についての詳細な説明を行う。図6は、識別子取得処理の一例を示すシーケンス図である。ここでは、スマートフォン1と接続可能な複数の外部機器として、外部機器Aと外部機器Bとの2つの外部機器が存在する場合を例に挙げて説明を行う。
まず、スマートフォン1から外部機器Aに、リンクの確立を要求する信号を送信することで、リンク確立要求を行う(t1)。リンク確立要求を受けた外部機器Aでは、リンク確立要求に対する応答をスマートフォン1に返す(t2)。これにより、スマートフォン1と外部機器Aとのリンクが確立する。なお、接続された外部機器を、電圧等をもとにハードウエア的に識別することができる場合には、ハードウエア的に外部機器との接続を確認する構成としてもよい。なお、以降についても同様であるものとする。
スマートフォン1と外部機器Aとのリンクが確立した後は、スマートフォン1から外部機器Aに、機器IDを要求する信号を送信する(t3)。スマートフォン1から機器IDを要求する信号を受信した外部機器Aでは、スマートフォン1に自機器の機器IDを送信する応答を行う(t4)。そして、スマートフォン1では、外部機器Aから送信されてくる機器IDを受信することで外部機器Aの機器IDを取得する(t5)。
続いて、スマートフォン1から外部機器Bに、リンク確立要求を行う(t6)。リンク確立要求を受けた外部機器Bでは、リンク確立要求に対する応答をスマートフォン1に返す(t7)。これにより、スマートフォン1と外部機器Bとのリンクが確立する。
スマートフォン1と外部機器Bとのリンクが確立した後は、スマートフォン1から外部機器Bに、機器IDを要求する信号を送信する(t8)。スマートフォン1から機器IDを要求する信号を受信した外部機器Bでは、スマートフォン1に自機器の機器IDを送信する応答を行う(t9)。そして、スマートフォン1では、外部機器Bから送信されてくる機器IDを受信することで外部機器Bの機器IDを取得する(t10)。
なお、識別情報としては、機器ID等の識別子以外にも、外部機器側に設けた抵抗値を固有のIDと見立てて用いる構成としてもよい。この場合には、外部機器側に設けた抵抗値を読み取ることで接続中の外部機器を特定することになる。
機器IDは、スマートフォン1と外部機器との接続時に外部機器から送信されてくるものを外部機器通信部11で受信して主制御部17に入力することによって、主制御部17が取得する構成であってもよい。また、主制御部17が外部機器通信部11から外部機器に機器IDの要求信号を送信し、その要求信号に応答して送信されてくる機器IDを外部機器通信部11で受信して主制御部17に入力することによって、主制御部17が機器IDを取得する構成であってもよい。
主制御部17は、スマートフォン1が過去に接続したことのない外部機器と接続された場合に、識別子取得処理で取得した当該外部機器の機器IDに対応付けた管理ファイルを作成して例えば不揮発性メモリ17aに記憶する。スマートフォン1が過去に接続したことのない外部機器と接続されたか否かは、当該外部機器の機器IDが対応付けられた管理ファイルが不揮発性メモリ17aに記憶されているか否かに応じて判断するものとする。
管理ファイルは、当該外部機器とスマートフォン1との接続の解除を判断した時点で利用中だったアプリケーションの状態からアプリケーションを再開するのに必要なレジューム情報を格納するためのファイルである。管理ファイルに格納されるレジューム情報については後に詳述する。
管理ファイルのデータ構造としては、図7に示すように、例えば機器IDが格納される領域(図中のC)、ヘッダ情報が格納される領域(図中のD)、アプリケーション種別が格納される領域(図中のE)、コンテンツ種別が格納される領域(図中のF)、プレイリストが格納される領域(図中のG)、制御情報が格納される領域(図中のH)等からなっている。制御情報には、例えばトラックナンバー、コンテンツの再生中断時のタイムスタンプ、音量設定、表示領域等のコンフィギュレーションデータがある。なお、図7は、管理ファイルのデータ構造の一例を示す模式図である。
なお、ここでは、音楽プレーヤー機能を有する外部機器と接続した場合に作成される管理ファイルの一例を示したが、外部機器が有する機能の種別に応じて、異なるデータ構造の管理ファイルを作成する構成としてもよい。例えば動画再生機能を有する外部機器と接続した場合には、上述のプレイリストが格納される領域を持たないデータ構造とするなどすればよい。外部機器が有する機能の種別は、例えば機器IDとその機器IDが示す外部機器が有する機能の種別とを対応付けたテーブル等を予め不揮発性メモリ17aやROM17cに記憶しておき、取得した機器IDをもとにこのテーブルを参照することで判別する構成とすればよい。
また、主制御部17は、スマートフォン1と外部機器との接続が解除された場合に、接続の解除を判断した時点で利用中だったアプリケーションの状態からアプリケーションを再開するのに必要なレジューム情報を格納するレジューム情報格納処理を実行する。
レジューム情報は、例えばスマートフォン1と外部機器との接続の解除を主制御部17で判断した時点で利用中だったアプリケーションの最終状態の情報、および当該アプリケーションを特定するための情報を少なくとも含むものとする。例えばアプリケーションの最終状態の情報としては、実行中のアプリケーション名、アプリケーションの実行により再生中だったコンテンツの情報、設定中のプレイリストのデータ、設定中のコンフィギュレーションデータ(つまり、アプリケーションの利用時の設定条件の情報)などである。実行中のアプリケーション名は、アプリケーションを特定するための情報として用いてもよい。
例えば、実行中のアプリケーション名は、管理ファイルのアプリケーション種別が格納される領域に格納され、アプリケーションの実行により再生中だったコンテンツの情報は、管理ファイルのコンテンツ種別が格納される領域に格納される。また、設定中のプレイリストのデータは、管理ファイルのプレイリストが格納される領域に格納され、設定中のコンフィギュレーションデータは、管理ファイルの制御情報が格納される領域に格納される。また、レジューム情報の情報群のサイズやデータ内容のインデックス等は、ヘッダ情報が格納される領域に格納される。
なお、アプリケーションの実行により再生中だったコンテンツの情報は、例えばピクチャビューア機能の実行中であれば、再生中の画像名、再生中の画像データ、その画像データの閲覧順のデータなどが該当し、動画像再生機能の実行中であれば、再生中の動画名、再生中の画像データ、動画中でのその画像データの再生時刻を示すデータなどが該当する。また、音楽プレーヤー機能の実行中であれば、再生中の楽曲名、再生中の楽曲の音声データ、その楽曲のメタデータ、その楽曲の演奏時間のどの時点まで演奏が行われたかを示すデータなどが該当する。さらに、ナビゲーション機能の実行中であれば、表示中だったナビゲート画面の画像データ、検出済みだった直近の現在位置情報、探索済みだった直近の案内経路などがある。
ここで、図8を用いて、レジューム情報格納処理についての詳細な説明を行う。図8は、スマートフォン1と外部機器とのリンク切断が行われてからレジューム情報格納処理までの処理の一例を示すシーケンス図である。
まず、スマートフォン1と外部機器とのリンクが切断されると(t31)、スマートフォン1から外部機器Aに、リンクの確立を要求する信号を送信することで、リンク確立要求を行う(t32)。また、スマートフォン1は、一定のアイドルタイム(無通信時間)をおきながら、外部機器Aに対してリンク確立要求を繰り返す(t33、t34)ポーリングを行う。そして、一定数のリンク確立要求に対して外部機器から応答がなかった場合に、外部機器とのリンク切断が確定する(t35)。
リンク切断が確定した後は、接続の解除を判断した時点で利用中だったアプリケーションの状態からアプリケーションを再開するのに必要なレジューム情報を、それまで接続されていた外部機器の機器IDが対応付けられている管理ファイルに格納する(t36)。なお、既に管理ファイルに古いレジューム情報が格納されている場合には、新しいレジューム情報に更新する。また、レジューム情報の管理ファイルへの格納を行った後は、実行中のタスクの終了処理を行うことで、アプリケーションの実行中のタスクを終了させ(t37)、レジューム情報格納処理を終了する。
さらに、主制御部17は、スマートフォン1が過去に接続したことのある外部機器と接続された場合には、前回の接続時に利用中だったアプリケーションの状態からアプリケーションを再開するレジューム処理を実行する。なお、レジューム処理の詳細については後に詳述する。
図1に戻って、車載器2は、自動車等の車両に固定、或いは、持ち運び可能に搭載されるものであって、テキストや画像を表示するものである。車載器2としては、例えばナビゲーション装置2aやディスプレイオーディオ(DA)2bなどがある。DA2bは、表示機能やオーディオ再生機能、スマートフォン1との通信機能といった基礎的な機能のみを実装し、スマートフォン1と連携することで多機能化する機器である。なお、本実施形態では、車載器2として、このDA2bを例に挙げて説明を行うが、車載ナビゲーション装置2aを用いる場合も同様であるものとする。また、車載器2としては、他にもカーエアコンやカーオーディオ、メータ、電動調整式の座席などがある。
ここで、図4を用いて車載器2の概略的な構成について説明を行う。なお、便宜上、車載器2が有している機能に関する構成のうち、本発明の説明に不要なものについては説明を省略する。図4は、車載器2の概略的な構成を示すブロック図である。図4に示すように車載器2は、携帯通信部21、I/F部21a、表示部22、操作入力部23、音声出力部24、制御装置25、および映像出力部26を備えている。
携帯通信部21は、I/F部21aを介してスマートフォン1との間で例えばBT通信を行う。なお、車載器2とスマートフォン1との間での通信は、前述したようにBT通信以外の無線通信によるものであってもよいし、有線通信によるものであってもよい。携帯通信部21は、スマートフォン1から送信されたアプリ関連データを受信して制御装置25に入力する。また、携帯通信部21は、制御装置25からの指示に従って、制御装置25から出力される操作情報をスマートフォン1に送信する。
表示部22は、制御装置25の指示に従ったインジケータ表示や操作画面表示を行うものであって、例えばLEDランプや液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ等のディスプレイを用いて構成することができる。映像出力部26は、制御装置25の指示に従って静止画像や動画像の出力を行うものであって、例えば液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ等のディスプレイを用いて構成することができる。なお、表示部22と映像出力部26とが一体となっている構成としてもよい。
操作入力部23は、例えば表示部22と一体になったタッチスイッチもしくはメカニカルなスイッチ或いは、遠隔スイッチ等が用いられ、スイッチ操作により制御装置25へ各種機能の操作指示を行う。操作入力部23は、一部が表示部22と一体になったタッチスイッチからなり、他の一部がメカニカルなスイッチからなるといった構成としてもよい。
本実施形態では、操作入力部23の少なくとも一部が表示部22と一体になったタッチスイッチ(つまり、車載タッチパネル)からなるものとして以降の説明を続ける。操作入力部23のうちタッチスイッチとして機能するものは、前述の操作検出部13と同様にして、表示部22に表示した画面上のどの位置に対して操作がされたかを検出して、その位置情報を制御装置25に入力するものとする。音声出力部24は、スピーカ等を用いて構成され、制御装置25の指示に従って音声を出力する。
制御装置25は、通常のコンピュータとして構成されており、内部には例えば周知のCPU、ROM、EEPROM、RAM、I/O及びこれらの構成を接続するバスライン(いずれも図示せず)等が備えられている。制御装置25は、携帯通信部21、操作入力部23から入力された各種情報に基づき、各種処理を実行する。
制御装置25は、例えばROM等の不揮発性メモリに自機器を特定するための識別子(例えば機器ID)を記憶しており、車載器2がスマートフォン1と接続された場合に、この機器IDを携帯通信部21からスマートフォン1に送信させる。機器IDのスマートフォン1への送信は、前述したようスマートフォン1からの要求に応じて送信する構成としてもよいし、スマートフォン1との接続をトリガにして車載器2側から送信する構成としてもよい。
制御装置25は、携帯通信部21を介してスマートフォン1から送信されたアプリ関連データの入力を受け付けた場合に、そのアプリ関連データに従った処理を実行する。例えば、画像データ(以下、携帯由来画像データ)の入力を受け付けた場合に、その携帯由来画像データに従った画像(以下、車載側生成画像)を生成して映像出力部26に出力し、その携帯由来画像データが示す静止画像や動画像を映像出力部26に出力させる。制御装置25は、例えばスマートフォン1から表示領域情報も送信されていた場合には、携帯由来画像データのサイズや解像度を、映像出力部26の画面のサイズや解像度に変換した車載側生成画像を生成する構成としてもよい。
なお、本実施形態では、スマートフォン1から送信された表示領域情報をもとに、携帯由来画像データのサイズや解像度を、映像出力部26の画面のサイズや解像度に変換する構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、携帯由来画像データのサイズや解像度の変換の比率を固定値として予め制御装置25のROM等の不揮発性メモリで保持しておき、この固定値に従って変換を行う構成としてもよい。この場合には、スマートフォン1から表示領域情報を送信する構成としなくてもよい。
また、制御装置25は、音声データ(以下、携帯由来音声データ)の入力を受け付けた場合に、その携帯由来音声データに従った音声信号を生成して音声出力部24に出力し、その携帯由来音声データが示す音声を音声出力部24から出力させる。携帯由来音声データが楽曲のデータであった場合には、楽曲が再生されることになる。
さらに、制御装置25は、コンフィギュレーションデータの入力を受け付けた場合には、そのコンフィギュレーションデータが示す設定条件でコンテンツの再生等を行わせる。例えば、画像データとともに画像の拡大縮小の倍率の設定条件の入力も受け付けた場合には、その倍率に従った拡大や縮小を行った画像を画面上に表示させる。他にも、音声データとともに音量の設定条件の入力も受け付けた場合には、その音量に従った音量で音声を出力させる。
また、制御装置25は、車載タッチパネルからの入力が有効である場合には、表示部22に表示した画面上のどの位置に対して操作がされたかの位置情報の入力を操作入力部23から受け、その位置情報に対応するスマートフォン1のタッチパネル部14(詳しくは表示部12)の画面上の座標を操作対象領域として特定する。当該位置情報に対応する操作対象領域の特定方法としては、携帯由来画像データのサイズを変換して車載側生成画像を生成したときの変換と逆の変換を行うことで特定する構成とすればよい。
そして、操作対象領域として特定した座標を示す信号を操作情報として携帯通信部21からスマートフォン1に送信することによって、スマートフォン1のタッチパネル部14の画面上の当該操作対象領域のボタン表示が操作された場合と同様の処理をスマートフォン1で行わせる。
他にも、制御装置25は、操作入力部23のメカニカルなスイッチの操作が行われた場合に、このメカニカルなスイッチからの信号に対応した操作コマンドを操作情報として携帯通信部21からスマートフォン1に送信し、スマートフォン1の主制御部17でその操作コマンドに応じた処理を実行する構成としてもよい。この場合、車載器2側の操作コマンドとスマートフォン1側の操作コマンドとを共通化することで実現してもよいし、車載器2側の操作コマンドとスマートフォン1側の操作コマンドとの対応関係の情報をもとに、車載器2側の操作コマンドと同じ内容の操作についてのスマートフォン1側の操作コマンドに変換して用いる構成としてもよい。上記対応関係を保持して上記変換を行うのは、車載器2の制御装置25であってもよいし、スマートフォン1の主制御部17であってもよい。
次に、図5を用いて、屋内用機器3の概略的な構成について説明を行う。屋内用機器3は、屋内で用いられて、テキストや画像を表示したり、音声を出力したりする機器である。屋内用機器3としては、例えばホームオーディオ3a、ホームシアターシステム(以下、単にホームシアター)3b、およびパーソナルコンピュータ(PC)3cなどがある。ホームオーディオ3aは、家庭用のオーディオ装置であって、例えば記憶媒体に記憶された楽曲のデータの再生を行う装置である。
本実施形態では、屋内用機器3として、このホームオーディオ3aを例に挙げて説明を行うが、ホームシアター3bやPC3cを用いる場合も同様であるものとする。なお、便宜上、屋内用機器3が有している機能に関する構成のうち、本発明の説明に不要なものについては説明を省略する。図5は、屋内用機器3の概略的な構成を示すブロック図である。図5に示すように屋内用機器3は、携帯通信部31、I/F部31a、表示部32、操作入力部33、音声出力部34、および制御装置35を備えている。
携帯通信部31は、I/F部31aを介してスマートフォン1との間で例えばBT通信を行う。なお、屋内用機器3とスマートフォン1との間での通信は、前述したようにBT通信以外の無線通信によるものであってもよいし、有線通信によるものであってもよい。携帯通信部31は、スマートフォン1から送信されたアプリ関連データを受信して制御装置35に入力する。また、携帯通信部31は、制御装置35からの指示に従って、制御装置35から出力される操作情報をスマートフォン1に送信する。
表示部32は、制御装置35の指示に従ったインジケータ表示や操作画面表示を行うものであって、例えばLEDランプや液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ等のディスプレイを用いて構成することができる。映像出力部36は、制御装置35の指示に従って静止画像や動画像の出力を行うものであって、例えば液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ等のディスプレイを用いて構成することができる。なお、表示部32と映像出力部36とが一体となっている構成としてもよい。
操作入力部33は、例えばメカニカルなスイッチ等が用いられ、スイッチ操作により制御装置35へ各種機能の操作指示を行う。音声出力部34は、スピーカ等を用いて構成され、制御装置35の指示に従って音声を出力する。
制御装置35は、通常のコンピュータとして構成されており、内部には例えば周知のCPU、ROM、EEPROM、RAM、I/O及びこれらの構成を接続するバスライン(いずれも図示せず)等が備えられている。制御装置25は、携帯通信部21、操作入力部23から入力された各種情報に基づき、各種処理を実行する。
制御装置35は、例えばROM等の不揮発性メモリに自機器を特定するための識別子(例えば機器ID)を記憶しており、屋内用機器3がスマートフォン1と接続された場合に、この機器IDを携帯通信部31からスマートフォン1に送信させる。機器IDのスマートフォン1への送信は、前述したようスマートフォン1からの要求に応じて送信する構成としてもよいし、スマートフォン1との接続をトリガにして屋内用機器3側から送信する構成としてもよい。
制御装置35は、携帯通信部31を介してスマートフォン1から送信されたアプリ関連データの入力を受け付けた場合に、そのアプリ関連データに従った処理を実行する。例えば、楽曲のデータとしての音声データ(つまり、携帯由来音声データ)の入力を受け付けた場合に、その携帯由来音声データに従った音声信号を生成して音声出力部34に出力し、その携帯由来音声データが示す音声を音声出力部34から出力させる。
また、制御装置35は、コンフィギュレーションデータの入力を受け付けた場合には、そのコンフィギュレーションデータが示す設定条件でコンテンツの再生等を行わせる。例えば、音声データとともに音量の設定条件の入力も受け付けた場合には、その音量に従った音量で音声を出力させる。
さらに、制御装置35は、携帯通信部31を介してスマートフォン1から送信されたメタデータの入力を受け付け、そのメタデータに従った表示を表示部32に行わせる。例えば、メタデータに含まれる曲目、アーティスト名、アルバム・シングルのタイトル、ジャンル名、演奏時間、発売年、トラック番号等を表示部32に表示させる。
他にも、制御装置35は、操作入力部33のメカニカルなスイッチの操作が行われた場合に、車載器2の制御装置25と同様に、このメカニカルなスイッチからの信号に対応した操作コマンドを操作情報として携帯通信部31からスマートフォン1に送信し、スマートフォン1の主制御部17でその操作コマンドに応じた処理を実行する構成としてもよい。
例えば、音量を調節するスイッチの操作が行われた場合に、調節された設定値に音量を設定させる操作コマンドを操作情報として携帯通信部31からスマートフォン1に送信し、スマートフォン1側でも、その設定値に音量を設定させる構成とすればよい。他にも、曲送りや曲戻しを指示するスイッチの操作が行われた場合に、曲送りや曲戻しを指示する操作コマンドを操作情報として携帯通信部31からスマートフォン1に送信し、スマートフォン1側でも、曲送りや曲戻しを行わせる構成とすればよい。
なお、本実施形態では、外部機器側からもスマートフォン1のアプリケーションの操作を行うことが可能な構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、外部機器側でスマートフォン1のアプリケーションのコンテンツの再生等を行うが、スマートフォン1のアプリケーションの操作を行うことはできない構成であってもよい。
また、前述の実施形態では、外部機器の例としてDA2bやホームオーディオ3aを挙げたが、必ずしもこれに限らない。例えば、外部機器として、ナビゲーション装置2a、テレビやテレビを含むホームシアター3b、PC3c等を用い、スマートフォン1のピクチャビューア機能、動画像再生機能を利用する構成としてもよい。
次に、図9を用いて、スマートフォン1と外部機器との接続の解除時に利用中だったアプリケーションの状態からアプリケーションを再開するレジューム動作に関連するスマートフォン1の主制御部17での処理についての説明を行う。図9は、レジューム動作に関連するスマートフォン1の主制御部17での処理のフローを示すフローチャートである。本フローは、例えばスマートフォン1と外部機器との接続が行われたときに開始される。
まず、ステップS1では、前述の識別子取得処理を実行して接続先の外部機器から機器IDを取得し、ステップS2に移る。ステップS2では、複数接続判定処理を実行する。複数接続判定処理では、スマートフォン1が複数の外部機器と接続されているか否かを判定する。詳しくは、識別子取得処理で複数種類の機器IDを取得していた場合に、スマートフォン1が複数の外部機器と接続されていると判定し、識別子取得処理で1種類の機器IDのみを取得していた場合に、スマートフォン1が1つの外部機器とだけ接続されていると判定する構成とすればよい。
そして、複数接続判定処理では、スマートフォン1が複数の外部機器と接続されていると判定した場合(ステップS2でYES)には、ステップS3に移る。また、スマートフォン1が1つの外部機器とだけ接続されていると判定した場合(ステップS2でNO)には、ステップS4に移る。
ステップS3では、複数接続時処理を実行して、ステップS4に移る。複数接続時処理では、例えば、最も先にリンク接続が確立していた外部機器を優先して、対象の外部機器と決定する。そして、対象の外部機器と決定した外部機器について、ステップS4以降の処理を行う。
ステップS4では、過去接続判定処理を実行してステップS5に移る。過去接続判定処理では、ステップS1の識別子取得処理で取得した機器IDをもとに、当該機器IDが対応付けられた管理ファイルが不揮発性メモリ17aに記憶されている場合には、スマートフォン1が過去に接続したことのある外部機器と接続されたと判定する。一方、記憶されていなかった場合には、スマートフォン1が過去に接続したことのない外部機器と接続されたと判定する。
ステップS5では、スマートフォン1が過去に接続したことのある外部機器と接続された(つまり、過去に接続あり)と判定された場合(ステップS5でYES)には、ステップS7に移る。また、スマートフォン1が過去に接続したことのない外部機器と接続された(つまり、過去に接続なし)と判定された場合(ステップS5でNO)には、ステップS6に移る。ステップS6では、管理ファイル作成処理を実行し、ステップS9に移る。管理ファイル作成処理では、ステップS1の識別子取得処理で取得した機器IDに対応付けた管理ファイルを作成する。
また、管理ファイル作成処理で作成された管理ファイルは、不揮発性メモリ17aに記憶される。よって、スマートフォン1が異なる種類の外部機器と接続するごとに、新たな外部機器についての管理ファイルが不揮発性メモリ17aに記憶されることになる。従って、スマートフォン1の不揮発性メモリ17aには、図3に示すように、スマートフォン1と接続したことのある複数の外部機器の個々についての管理ファイルが記憶されることになる。不揮発性メモリ17aに記憶された各管理ファイルには、後述するレジューム情報格納処理によって、各外部機器についての後述の接続解除判断処理で接続の解除を判断した時点のレジューム情報が格納される。つまり、スマートフォン1の不揮発性メモリ17aには、複数の外部機器の個々について、前回接続時に利用中だったアプリケーションの設定条件が格納された管理ファイルがそれぞれ記憶されることになる。
ステップS7では、参照処理を実行してステップS8に移る。参照処理では、ステップS1の識別子取得処理で取得した機器IDをもとに、不揮発性メモリ17aに記憶されている管理ファイルを参照し、当該機器IDに対応付けられた管理ファイルに格納されているレジューム情報を得る。詳しくは、当該機器IDと同じ機器IDが、機器IDが格納される領域に記憶されている管理ファイルを、不揮発性メモリ17aから読み出し、揮発性メモリ17bに展開する(図3参照)。また、揮発性メモリ17bに展開した管理ファイルからレジューム情報(アプリケーション名、コンテンツの情報、プレイリストのデータ、コンフィギュレーションデータなど)を読み出す。よって、主制御部17が請求項の参照手段に相当する。
ここで言うところのレジューム情報とは、スマートフォン1と外部機器との接続の解除を主制御部17で判断した時点で利用中だったアプリケーションの状態からアプリケーションを再開するのに必要な情報であって、レジューム情報格納処理において管理ファイルに格納されるものである。
ステップS8では、レジューム処理を実行してステップS9に移る。レジューム処理では、ステップS7の参照処理で得たレジューム情報に従って、再接続した外部機器との前回の接続において当該接続の解除を判断した時点まで利用中だったアプリケーションの状態からアプリケーションを再開する。例えば、アプリケーションを特定するための情報をもとに前回接続時に実行中であったアプリケーションを起動し、アプリケーションの最終状態の情報をもとに、前回接続時に利用中だったアプリケーションの最終状態からアプリケーションを再開する。
また、前回接続時に利用中だったアプリケーションの最終状態からスマートフォン1でアプリケーションを再開した場合には、当該最終状態のコンテンツのデータやコンフィギュレーションデータが外部機器に送信される。そして、外部機器でもそれらのデータをもとに、前回接続時の設定条件に従って、当該最終状態からコンテンツの再生等が再開されることになる。
ここで、図10のフローチャートを用いて、レジューム処理の概略について説明を行う。図10は、レジューム処理のフローの一例を示すフローチャートである。
まず、ステップS81では、アプリ判定処理を実行して、ステップS82に移る。アプリ判定処理では、参照処理で読み出したレジューム情報のうちのアプリケーション名をもとに、対象とする外部機器との前回接続時に利用中だったアプリケーションが、スマートフォン1で実行中のアプリケーションと同一であるか否かを判定する。
ステップS82では、実行中のアプリケーションと同一と判定した場合(ステップS82でYES)には、ステップS85に移る。また、実行中のアプリケーションと同一でないと判定した場合(ステップS82でNO)には、ステップS83に移る。
ステップS83では、スマートフォン1で実行中のアプリケーションを中断して、ステップS84に移る。ステップS84では、参照処理で読み出したレジューム情報のうちのアプリケーション名をもとに、対象とする外部機器との前回接続時に利用中だったアプリケーションを起動し、ステップS85に移る。
ステップS85では、参照処理で読み出したレジューム情報のうちのコンフィギュレーションデータをもとに、アプリケーションの利用時の設定条件の変更を行って、ステップS86に移る。詳しくは、対象とする外部機器との前回接続時に利用中だったアプリケーションの設定条件と同じ設定条件に変更する。ステップS86では、参照処理で読み出したレジューム情報のうちのコンテンツの情報をもとに、アプリケーションの実行により再生するコンテンツの変更を行って、ステップS9に移る。詳しくは、対象とする外部機器との前回接続時に再生中だったコンテンツの再生を行う。
なお、本実施形態では、スマートフォン1が複数の外部機器と接続されていると判定した場合に、最も先にリンク接続が確立していた外部機器(以下、先接続機器)のみを対象としてレジューム処理を行う構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、後にリンク接続が確立した外部機器(以下、後接続機器)についてもレジューム処理の対象とする構成としてもよい。
この場合には、後接続機器からも機器IDを取得し、過去接続判定処理を行う。そして、取得した機器IDが対応付けられた管理ファイルが不揮発性メモリ17aに記憶されている場合には、当該機器IDに対応付けられた管理ファイルに格納されているレジューム情報を読み出す。後接続機器についてのレジューム情報が示すアプリケーションが先接続機器についてのレジューム情報が示すアプリケーションと競合しない場合には、後接続機器についてもレジューム処理を実行し、後接続機器との前回接続時に利用中だったアプリケーションの最終状態からアプリケーションを再開する。例えば、Web接続機能と音楽プレーヤー機能とのように、所謂マルチタスクで同時にアプリケーションを実行できる場合は競合しないものとし、マルチタスクで同時にアプリケーションを実行できない場合は競合するものとすればよい。
一方、競合する場合には、読み出したレジューム情報をもとに、後接続機器との前回接続時に利用中だったアプリケーションの最終状態からアプリケーションをバックグラウンドで実行する。そして、バックグラウンドで実行した最終状態のコンテンツのデータやコンフィギュレーションデータを外部(つまり、上記後接続機器)に出力しない構成とすればよい。
ステップS9では、接続解除判断処理を実行してステップS10に移る。接続解除判断処理では、スマートフォン1と外部機器との通信接続が解除されたか否かを判断する。よって、主制御部17は請求項の接続解除判断手段にも相当する。スマートフォン1と外部機器との通信接続が解除されたことは、例えば外部機器からの信号の一定時間以上の途絶等を検知したことをもとに判断するなどすればよい。また、スマートフォン1と外部機器とを有線通信(例えばUSB接続とする)によって接続する構成とした場合には、外部機器から供給されるUSBバスパワーが途絶したことをもとに判断する構成とすればよい。
ステップS10では、スマートフォン1と外部機器との接続が解除されたと判断した場合(ステップS10でYES)には、エミュレートモードを終了してスタンドアローンモードに復帰し、ステップS11に移る。また、解除されたと判断しなかった場合(ステップS10でNO)には、ステップS10のフローを繰り返す。
ステップS11では、レジューム情報格納処理を実行してフローを終了する。レジューム情報格納処理では、ステップS1の識別子取得処理で取得した機器IDに対応付けられている管理ファイルに、接続解除判断処理で接続の解除を判断した時点のレジューム情報を格納する。よって、主制御部17が請求項の記憶手段に相当する。例えば、レジューム情報は、揮発性メモリ17bに展開されている管理ファイルに格納する構成とすればよい。
なお、機器IDを保持していない外部機器とスマートフォン1とが接続された場合には、スマートフォン1を未知の外部機器と接続された場合の初期動作として予めデフォルトで設定された初期動作で起動させた後、未知ID用の管理ファイルを作成する構成とすればよい。そして、この未知の外部機器との接続の解除を判断した場合には、レジューム情報を未知ID用の管理ファイルに格納し、次回の接続時にはこの未知ID用の管理ファイルからレジューム情報を得てアプリケーションを再開する構成とすればよい。
また、レジューム情報のバックアップについて、図11を用いて説明を行う。図11は、レジューム情報のバックアップの処理のフローの一例を示すフローチャートである。図11のフローは、例えば前述のレジューム情報格納処理が行われたときに開始するものとする。
まず、ステップS101では、スマートフォン1の電源をオフするタイミングか否かを主制御部17が判定する。例えば図示しないスマートフォン1の電源ボタンのオフの操作が行われたことを検知した場合に、スマートフォン1の電源をオフするタイミングであると判定する。他にも、タッチパネル部14を介してスマートフォン1の電源のオフを指示する操作を受け付けたことを検知した場合や電源をオフする時刻に設定されている時刻に達したことを検知した場合などに、スマートフォン1の電源をオフするタイミングであると判定する構成とすればよい。
そして、スマートフォン1の電源をオフするタイミングと判定した場合(ステップS101でYES)には、ステップS102に移る。また、スマートフォン1の電源をオフするタイミングでないと判定した場合(ステップS101でNO)には、ステップS101のフローを繰り返す。
ステップS102では、主制御部17において、揮発性メモリ17bに展開されている管理ファイルを不揮発性メモリ17aに退避(図3参照)させて、ステップS103に移る。つまり、レジューム情報格納処理で管理ファイルに格納されたレジューム情報を、不揮発性メモリ17aに退避させることでバックアップをとる。ステップS103では、主制御部17がスマートフォン1の本体の電源オフ処理を行って、ステップS104に移る。ステップS104では、スマートフォン1がシャットダウンされ、フローを終了する。
以上の構成によれば、スマートフォン1側でレジューム情報を記憶しているので、外部機器から機器IDを取得しさえすれば、当該外部機器との接続の解除を判断した時点で利用中だったアプリケーションの状態からアプリケーションを再開することができる。機器IDは通常は数桁の数字や記号からなるものであって、レジューム情報に比べて一般的に情報量が非常に少ないので、スマートフォン1と外部機器との通信時のオーバーヘッドを抑えることができ、再接続時におけるアプリケーションの利用の再開にかかる時間を短縮することが可能になる。
さらに、過去に接続した外部機器と再接続する場合には、前回の接続時に利用中だったアプリケーションの状態からアプリケーションを再開するので、外部機器と再接続するたびにユーザが設定条件等を設定し直す必要がなく、利便性が向上する。他にも、接続先の外部機器を車載器2から屋内用機器3に変更したり、屋内用機器3から車載器2へ変更したりなどする場合、スマートフォン1側のアプリケーションをユーザが手動で切り替えなくても、過去に接続した外部機器であれば接続先の外部機器に応じたアプリケーションに自動的に切り替わることになるので、利便性が向上する。
また、接続先の車載器2の種類を変更したり、接続先の屋内用機器3の種類を変更したりなどする場合にも、スマートフォン1側のアプリケーションをユーザが手動で切り替えなくても、過去に接続した外部機器であれば接続先の外部機器に応じたアプリケーションに自動的に切り替わることになるので、利便性が向上する。
その結果、スマートフォン1と外部機器とを接続してスマートフォン1だけでなく外部機器側でも同じアプリケーションを利用可能とする場合に、再接続時におけるアプリケーションの利用の再開にかかる時間を短縮するとともに、利便性を向上させることが可能になる。
また、外部機器が車載器2である場合には更なる利点が生じる。以下ではこの利点について説明を行う。従来のように、車載器側でレジューム情報を記憶させる構成とした場合には、以下の問題点がある。レジューム情報を車載器側で記憶させる場合には、車両バッテリから常時給電され続ける電源(以下、+B電源)により作動するバックアップ回路が必要となるため、車載器ごとにバックアップ回路を設けるコストがかかる。レジューム情報を不揮発性メモリに記憶させる場合にも、データ退避実行時間中の電源の確保のためにバックアップ回路が必要となるので、同様の問題点が残る。さらに、バックアップ回路を利用してレジューム情報を記憶する場合には、電源変動(例えばクランキング電圧変動)によるバックアップの不具合が問題となる。
これに対して、以上の構成によれば、レジューム情報をスマートフォン1側で記憶するので、車載器ごとにバックアップ回路や不揮発性メモリを設けるコストを抑えることができる。また、電源変動によるバックアップの不具合も生じない。他にも、+B電源を廃止することが可能になるので、+B電源による暗電流をカットすることができるとともに、車載器ごとに+B電源とを繋ぐ配線作業が必要なくなり、配線作業の簡素化が可能になる。例えばシガレットライターからの電源取得のみを考慮すればよくなるので、ポータブル型車載器を機器連携システム100に用い易くなる。
また、車載器2や屋内用機器3でしか通常は把握できない設定値、つまり車載器2や屋内用機器3が独自に変更して設定する設定値(以下、独自設定値)については、車載器2や屋内用機器3側の記憶手段(例えば不揮発性メモリ17aや制御装置35の不揮発性メモリ)に記憶させてもよい。独自設定値はコンフィギュレーションデータのようにスマートフォン1と車載器2や屋内用機器3との両方で共通に設定されるものではなく、車載器2や屋内用機器3側でのみ設定されるものである。
詳しくは、車載器2や屋内用機器3側でスマートフォン1との接続の解除を判断した場合に、スマートフォン1を特定する識別情報(例えば機器IDとする)と接続時に設定されていた独自設定値とを対応付けて車載器2や屋内用機器3側で記憶する。例えば車載器2では、主制御部17の接続解除判断処理と同様にして、制御装置25で接続の解除を判断し、制御装置25の不揮発性メモリに機器IDと独自設定値とを対応付けて記憶する。また、屋内用機器3でも、主制御部17の接続解除判断処理と同様にして、制御装置35で接続の解除を判断し、制御装置35の不揮発性メモリに機器IDと独自設定値とを対応付けて記憶する。
そして、レジューム情報に従って車載器2や屋内用機器3との前回接続時の状態からスマートフォン1側のアプリケーションを再開し、スマートフォン1側で再開されたアプリケーションの利用を連携制御によって車載器2や屋内用機器3側でも再開する場合に、車載器2や屋内用機器3側では、記憶しておいた独自設定値を、再開したアプリケーションに反映させる。詳しくは、スマートフォン1と再接続されたときに、そのスマートフォン1の機器IDをもとに、車載器2や屋内用機器3側では、この機器IDと対応付けられた独自設定値を不揮発性メモリから読み出す。そして、スマートフォン1との前回接続時に利用中だったアプリケーションの再開時に、この独自設定値を車載器2や屋内用機器3側で設定し、再開したアプリケーションに反映させる。
これによれば、レジューム情報に従って車載器2や屋内用機器3との前回接続時の状態からスマートフォン1側のアプリケーションを再開し、車載器2や屋内用機器3側でもこのアプリケーションの利用を再開する場合に、スマートフォン1の機器IDをもとにして、前回接続時に設定した独自設定値を車載器2や屋内用機器3側で復元することが可能になる。従って、車載器2や屋内用機器3側でも前回接続時の状態からアプリケーションを再開させることが可能となり、利便性を向上させることが可能になる。
なお、車載器2や屋内用機器3が独自に変更して設定する独自設定値については種々の態様が考えられる。例えば、車載器2や屋内用機器3において、スマートフォン1側の表示部12に表示される画像のデータを受信し、受信した画像のデータを分析することにより、画像中の文字や図形といった特徴を抽出し、その特徴と音声コマンドとを組み合わせた音声認識タグを独自設定値として記憶する態様が考えられる。
また、他にも、スマートフォン1側のハードウェアキー(メカニカルスイッチ)に対応したボタン表示を、スマートフォン1側の表示部12に表示される画像と合わせて車載器2の表示部22や屋内用機器3の表示部32に表示することが可能な場合に、当該ボタン表示を行うか行わないか(非表示とするか)を独自設定値として記憶する態様が考えられる。
さらに、スマートフォン1側の表示部12に表示される画像を車載器2の表示部22や屋内用機器3の表示部32に表示する場合であって、特に着信時や音楽再生時に、スマートフォン1側の表示部12に表示される画像に変えて、車載器2や屋内用機器3側で独自に作成した専用画面を表示することが可能な場合には以下のような態様が考えられる。例えば、上記専用画面を車載器2や屋内用機器3側で表示することが可能な場合に、当該専用画面を表示するか否かを独自設定値として記憶する態様が考えられる。
なお、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。