JP2012214757A - シーリング材 - Google Patents

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Abstract

【課題】銀配線を有する電子機器、特にLEDランプを収納するランプユニットの銀配線の腐食を効果的に抑制し得るシーリング材を提供する。
【解決手段】高周波誘導結合プラズマ発光分析法で測定される硫黄分含有量が3,000質量ppm以下であることを特徴とするゴム系樹脂架橋発泡体からなるシーリング材である。
【選択図】なし

Description

本発明は、銀配線を有する電子機器、特にLEDランプを収納するランプユニットの銀配線の腐食を効果的に抑制し得るシーリング材に関する。
LED(発光ダイオード)は、光源として従来から使用されている白熱灯よりも電力の使用効率が良く、フィラメントを使わないため衝撃に強く、寿命が長い等の多くのメリットがあり、近年、自動車の様々なランプに使用されるようになってきた。
自動車用LEDには通常、銀配線が使用される。自動車用LEDランプは、一般にLEDの光を透過する透明な部材A(ガラスやアクリル系樹脂等)と、ランプを固定する部材Bとを有し、前記部材Aと部材Bとの隙間をシーリング材によりシールし、LEDランプ内に水が浸入すること等を防止しており、そして銀配線が通常設置されている。
従来のゴム発泡体においては、例えば、特許文献1に示されるように、架橋処理を硫黄や硫黄化合物、有機過酸化物、電離放射線等を用いて行い、さらに発泡剤により発泡処理がなされている。
国際公開第2007/072885号パンフレット
自動車用LEDランプのシーリング材として、従来のゴム発泡体を用いたシーリング材を用いた場合に、銀配線が腐食しやすいことが分かってきた。本発明は、このような状況下になされたものであり、銀配線を有する電子機器、特にLEDランプを収納するランプユニットの銀配線の腐食を効果的に抑制し得るシーリング材を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、高周波誘導結合プラズマ(ICP)発光分析法で測定される硫黄分含有量が特定の値以下であるゴム系樹脂架橋発泡体からなるシーリング材が、その目的に適合し得ることを見出した。
本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、次の[1]〜[10]を提供するものである。
[1]高周波誘導結合プラズマ発光分析法で測定される硫黄分含有量が3,000質量ppm以下であることを特徴とするゴム系樹脂架橋発泡体からなるシーリング材。
[2]硫黄分含有量が1,000質量ppm以下である、上記[1]のシーリング材。
[3]ゴム系樹脂架橋発泡体が、ゴム系樹脂組成物の電子線架橋物からなる発泡体である、上記[1]又は[2]のシーリング材。
[4]ゴム系樹脂組成物が、ゴム系樹脂を主成分とする発泡性原料組成物である、上記[3]のシーリング材。
[5]ゴム系樹脂が、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、ブチルゴム及びクロロプレンゴムから選ばれる少なくとも一種である、上記[4]のシーリング材。
[6]発泡性原料組成物が、化学発泡剤を含む、上記[4]又は[5]のシーリング材。
[7]発泡体のJIS K 7222に準拠して測定される見掛け密度が、30〜100kg/m3である、上記[1]〜[6]のいずれかのシーリング材。
[8]発泡体が独立気泡発泡体である、上記[1]〜[7]のいずれかのシーリング材。
[9]銀配線を有する電子機器に使用される、上記[1]〜[8]のいずれかのシーリング材。
[10]銀配線を有する電子機器が、LEDランプを収納する透明部材を含むランプユニットである、上記[9]のシーリング材。
本発明によれば、銀配線を有する電子機器、特にLEDランプを収納するランプユニットの銀配線の腐食を効果的に抑制し得るシーリング材を提供することができる。
[シーリング材]
本発明のシーリング材は、高周波誘導結合プラズマ(ICP)発光分析法で測定される硫黄分含有量が3,000質量ppm以下であるゴム系樹脂架橋発泡体からなることを特徴とする。
ここで、ICP発光分析法とは、高周波誘導結合プラズマ(ICP)を励起源とする発光分光分析(ICP−AES)法であり、アルゴンガスによって生成される誘導結合プラズマで、サンプルを数1000−10000℃まで加熱して原子化・熱励起し、これが基底状態に戻る際の発光スペクトル線の波長と強度から元素の同定・定量を行う方法である。
なお、シーリング材中の硫黄分含有量は実施例記載の方法で測定される。
そのようにして測定されたシーリング材中の硫黄分含有量が3,000質量ppm以下であれば、銀線の腐食を充分に抑制することができる。該硫黄分含有量は、好ましくは1,000質量ppm以下、より好ましくは800質量ppm以下である。
本発明のシーリング材は、ゴム系樹脂架橋発泡体からなり、ゴム系樹脂組成物の電子線架橋物からなる発泡体で構成されているものが好ましい。
電子線架橋を施すゴム系樹脂組成物としては、ゴム系樹脂を主成分とする発泡性原料組成物を用いることができる。
発泡性原料組成物には、主成分としてゴム系樹脂が用いられる。
<ゴム系樹脂>
ゴム系樹脂としては、室温でゴム弾性を有するものであれば、特に限定されないが、硫黄分含有量が3,000質量ppm以下、より好ましくは1,000質量ppm以下のものが好ましい。ゴム系樹脂の具体例としては、クロロプレンゴム(CR)、イソプレンゴム(IR)、ブチルゴム(IIR)、ニトリルゴム(アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム)(NBR)、天然ゴム、スチレン−ブタジエン共重合ゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、ウレタンゴム、フッ素ゴム、アクリルゴム、及びシリコーンゴム等から選ばれる少なくとも1種のゴムが挙げられる。
これらの中でも、耐久性等の観点から、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)、スチレン−ブタジエン共重合ゴム(SBR)、ブチルゴム(IIR)、及びクロロプレンゴム(CR)から選ばれる少なくとも1種のゴムであることが好ましい。
発泡性原料組成物中に含まれるゴム系樹脂は、後述する発泡剤成分を除いて、60〜99質量%であることが好ましく、75〜99質量%であることがより好ましい。ゴム系樹脂の含有量が60質量%以上であれば、室温でのゴム弾性を得ることが可能となる。
<結晶性樹脂、高軟化点樹脂>
前記発泡性原料組成物には、得られる発泡体の寸法安定性等を向上させるために、硫黄分含有量が3,000質量ppm以下、好ましくは1,000質量ppm以下の結晶性樹脂又は高軟化点樹脂を含有させることができる。前記結晶性樹脂の融点は70℃以上が好ましく、100℃以上がより好ましい。該融点が70℃以上であれば寸法安定性を得ることが可能となる。
高軟化点樹脂の軟化点は60℃以上が好ましく、70℃以上がより好ましい。該軟化点が60℃以上であれば寸法安定性を得ることが可能となる。
結晶性樹脂の融点又は高軟化点樹脂の軟化点の上限に特に制限はないが、成形性の観点から200℃以下を例示することができる。
なお、結晶性樹脂の融点は、JIS K 7121に準拠して測定された値であり、高軟化点樹脂の軟化点は、JIS K 2207に準拠して測定された値である。
結晶性樹脂としては、ポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、エチレン−塩化ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンから選ばれる少なくとも1種の樹脂であることが好ましい。
ポリエチレン系樹脂は特に限定されず、例えば、エチレン−α−オレフィン共重合体、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、直鎖状中密度ポリエチレン、直鎖状高密度ポリエチレン等が挙げられる。
なお、エチレンと共重合できるα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン等が挙げられる。
また、ポリプロピレン系樹脂も特に限定されず、例えば、プロピレン単独重合体、プロピレン−α−オレフィン共重合体等が挙げられる。プロピレン−α−オレフィン共重合体は、ブロック共重合体、ランダム共重合体、ランダムブロック共重合体のいずれであってもよい。
なお、プロピレンと共重合できるα−オレフィンとしては、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン等のα−オレフィン等が挙げられる。
さらに、高軟化点樹脂としては、クマロン系樹脂、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂等の石油樹脂等が挙げられる。これらの中では、シール性の観点からクマロン系樹脂が好ましく、発泡性原料組成物の発泡性の観点からテルペン系樹脂、クマロン系樹脂が好ましい。なお、これらの高軟化点樹脂は、後述のシール性付与剤としても機能する。
ポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂等の結晶性樹脂、高軟化点樹脂は、単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
発泡性原料組成物中における結晶性樹脂又は高軟化点樹脂の含有量は、少ないと、発泡体の収縮を防止することができない場合がある一方、多いと、得られた発泡体の柔軟性が不充分となることがあるので、ゴム系樹脂100質量部に対して1〜50質量部が好ましく、5〜30質量部がより好ましく、10〜25質量部が更に好ましい。
<電子線架橋>
発泡性原料組成物は、得られる発泡体中の硫黄分含有量を3,000質量ppm以下、好ましくは1,000質量ppm以下にするために、電子線の照射による物理架橋処理を行うのが好ましい。必要に応じ、分子内に硫黄を有しない化学架橋剤を用いる化学架橋処理を併用することができる。
このような化学架橋剤としては、分子内に硫黄を有しない有機過酸化物が挙げられる。
(有機過酸化物)
有機過酸化物としては、例えば、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーベンゾエート、クミルハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルヘキサン、n−ブチル−4,4−ジ(t−ブチルパーオキシ)バレレート、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、t−ブチルパーオキシクメン等が挙げられる。これらの有機過酸化物は、単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
上記電子線照射による物理架橋と、上記架橋剤による化学架橋とを併用した場合、具体的には、ゴム系樹脂、架橋剤及び熱分解型発泡剤、必要に応じて添加される充填剤、安定剤等からなる発泡性原料組成物を混練り機で混練した後、押出機等により連続的に混練して発泡性シートを製造し、この未架橋の発泡性シートに電子線を照射して架橋し、発泡性シートを加熱して発泡させた後に更に前記架橋剤によって架橋させることによって独立気泡発泡体シートを製造することができる。
ここで、熱分解型発泡剤の分解温度よりも高い1分間半減期温度を有する架橋剤を用いることが好ましい。それは、上記条件の熱分解型発泡剤及び架橋剤を用いることで、発泡成型後に架橋を施すことができ、寸法安定性の高い発泡体を得ることができ、かつ、高倍率・高架橋度の発泡体を得ることができる。
なお、熱分解型発泡剤の分解温度とは、熱分解型発泡剤が急激に分解し始める温度をいい、具体的には、熱重量分析(TG)によって昇温速度1℃/分の条件下にて測定した時、質量が50質量%減少する時の温度をいう。
発泡性原料組成物の架橋処理を、架橋剤と電子線の照射との併用で行う場合において、架橋剤の1分間半減期温度が、熱分解型発泡剤の分解温度よりも低いときは、発泡性原料組成物中における架橋剤の含有量は、少ないと、発泡性原料組成物のゲル分率(架橋度)が発泡に適したものとならずに破泡してしまい、独立気泡発泡体を得ることできないことがある。一方、架橋剤の含有量が多いと、発泡性原料組成物のゲル分率(架橋度)が上がりすぎて、発泡性原料組成物が発泡しないことがある。これらの観点から、架橋剤の含有量は、ゴム系樹脂100質量部に対して0.05〜5質量部が好ましい。
<化学発泡剤>
前記の発泡性原料組成物には、熱分解型発泡剤を含有させることができる。
熱分解型発泡剤は特に限定されず、例えば、アゾジカルボンアミド、ベンゼンスルホニルヒドラジド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、トルエンスルホニルヒドラジド、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)等が挙げられる。これらの熱分解型発泡剤は、単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
発泡性原料組成物中における熱分解型発泡剤の含有量は、前述したゴム系樹脂100質量部に対して3〜30重量部が好ましい。
なお、上記例示の熱分解型発泡剤の中で、分子内に硫黄を有しないアゾジカルボンアミドは、分解温度が190〜205℃であり、かつガス発生量が多く、発泡体に汚染、臭気、毒性を付与しないことから、特に好適である。
発泡性原料組成物中における熱分解型発泡剤の含有量は、少ないと、得られる発泡体の発泡倍率が上がらずに見掛け密度が高くなってしまい、該発泡体の反発力が高くなることがある一方、多いと、発泡体の見掛け密度が低くなり、圧縮永久歪みが大きくなり、発泡体の形状回復性が低下して、シーリング材として当該発泡体を用いた場合に長期間に亘ってシール性を維持することができないことがある。これらの観点から、熱分解型発泡剤の含有量は、ゴム系樹脂100質量部に対して3〜20質量部が好ましく、5〜15質量部がより好ましい。
<任意添加成分>
発泡性原料組成物には、本発明の目的が損なわれない範囲で、必要に応じ各種の添加成分を含有させることができる。
各種添加成分としては、シール性付与剤、軟化剤、充填剤、難燃剤、難燃助剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等が挙げられる。これらの添加成分は、いずれも分子内に硫黄を有しない化合物、又は硫黄を混入していない化合物であるものが好ましい。
前記シール性付与剤としては、クマロン・インデン樹脂等のクマロン系樹脂、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、テルペンフェノール樹脂、C5系合成石油樹脂、C9系合成石油樹脂、フェノール樹脂系化合物、キシレン樹脂系化合物等が挙げられる。
軟化剤は、発泡体の成形性や寸法安定性を向上させるために用いられるものであり、ゴム系樹脂と相溶するものが好ましい。その含有量は、ゴム系樹脂100質量部に対して、好ましくは1〜50質量部程度であり、発泡性の確保と収縮力の低減の観点から、15〜30質量部がより好ましい。
軟化剤としては、塩素化パラフィン、流動パラフィン等のパラフィン類やワックス類、アマニ油等の動植物油類、石油樹脂、プロセス油、潤滑油、石油アスファルト、ワセリン等の石油系軟化剤、コールタール、コールタールピッチ等のコールタール系軟化剤、ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、ヤシ油等の脂肪油系軟化剤、トール油、サブ油、蜜ロウ、カルナウバロウ、ラノリン等のロウ類、リシノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸等の脂肪酸、フタル酸エステル等のエステル類、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ラノリン酸亜鉛等の脂肪酸塩、リン酸エステル類、アルキルスルホン酸エステル類等が挙げられる。
充填剤としては、タルク、炭酸カルシウム、ベントナイト、カーボンブラック、フュームドシリカ、アルミニウムシリケート、アセチレンブラック、アルミニウム粉等が挙げられる。
難燃剤としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物の他に、デカブロモジフェニルエーテル等の臭素系難燃剤、ポリリン酸アンモニウム等のリン系難燃剤等が挙げられる。
難燃助剤としては、三酸化アンチモン、四酸化アンチモン、五酸化アンチモン、ピロアンチモン酸ナトリウム、三塩化アンチモン、三硫化アンチモン、オキシ塩化アンチモン、二塩化アンチモンパークロロペンタン、アンチモン酸カリウム等のアンチモン化合物、メタホウ酸亜鉛、四ホウ酸亜鉛、ホウ酸亜鉛、塩基性ホウ酸亜鉛等のホウ素化合物、ジルコニウム酸化物、スズ酸化物、モリブデン酸化物等が挙げられる。
酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系やリン系酸化防止剤が好ましく挙げられる。紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系のもの等が挙げられ、光安定剤としては、ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)等が挙げられる。
(発泡体の性状)
本発明のシーリング材を構成する発泡体は、以下に示す性状を有するものが好ましい。
(1)当該発泡体は、シール性の観点から、独立気泡発泡体であることが好ましい。独立気泡率は高い方が望ましく、好ましくは80〜100%であり、より好ましくは85〜100%である。発泡体の独立気泡率は実施例記載の方法で測定される。
(2)当該発泡体は、JIS K 7222に準拠する方法で測定した見掛け密度が30〜100kg/m3であると、当該発泡体は、強度を保持することができ、シーリング材として用いた際には、長期間に亘ってシール性を維持することができる。一方、当該発泡体の見掛け密度が100kg/m3以下であると、当該発泡体は圧縮柔軟性を保持し、圧縮時の反発力が大きくなって作業性が悪くなることはなく、シーリング材として用いた際に被シーリング部材が変形したり、被シーリング部材の変形により被シール部分の隙間が拡大したりすることがない。
(3)当該発泡体のゲル分率は、40〜95質量%が好ましく、50〜90質量%がより好ましく、60〜85質量%が更に好ましい。ゲル分率が低いと、圧縮永久歪みが大きくなり、一方、高すぎると、圧縮柔軟性が低下してしまう。
なお、当該発泡体のゲル分率は、実施例記載の方法で測定される。
(4)当該発泡体のJIS K 6262に準拠する方法で70℃、24時間の条件下にて測定した圧縮永久歪み(Cs)は60%以下であることが好ましい。前記圧縮永久歪みが60%以下であると、発泡体は、形状回復性が良好なものとなり、シーリング材として用いた際には、長期間に亘ってシール性を維持することができる。独立気泡発泡体の圧縮永久歪みは、小さいほど好ましいが、特に55%以下のものが形状回復性に優れるため好ましく、5〜55%がより好ましく、5〜45%が更に好ましい。
<発泡体の製造方法>
本発明に用いられる発泡体は、ゴム系樹脂を主成分とする発泡性原料組成物に架橋処理及び発泡処理を施すことにより得ることができる。その製造方法としては、特に限定されるものでなく、公知の方法、例えば下記(a)〜(c)の方法を採用することができる。
〔(a)法〕
ゴム系樹脂、熱分解型発泡剤、及び必要に応じて充填剤等が添加されてなる発泡性原料組成物を、バンバリーミキサーや加圧ニーダ等の混練り機で混練した後、カレンダー、押出機、コンベアベルトキャスティング等により連続的に混練して発泡性シートを製造し、この未架橋の発泡性シートに電子線を照射して架橋した後に、加熱発泡させて、当該発泡体を製造する方法である。
〔(b)法〕
ゴム系樹脂、熱分解型発泡剤、及び必要に応じて充填剤等が添加されてなる発泡性原料組成物を、バンバリーミキサーや加圧ニーダ等の混練り機で混練した後、カレンダー、押出機、コンベアベルトキャスティング等により連続的に混練して発泡性シートを製造し、この発泡性シートを加熱して発泡させて発泡成型品を製造した後、この発泡成型品に電子線を照射して架橋させ、当該発泡体を製造する方法である。
〔(c)法〕
ゴム系樹脂、有機過酸化物等の分子内に硫黄を有しない架橋剤、熱分解型発泡剤及び必要に応じて充填剤等が添加されてなる発泡性原料組成物を、バンバリーミキサーや加圧ニーダ等の混練り機で混練した後、カレンダー、押出機、コンベアベルトキャスティング等により連続的に混練して発泡性シートを製造し、この発泡性シートに電子線を照射して発泡性シートを架橋し、さらに発泡性シートを加熱して発泡させた後に前記架橋剤によって架橋させ、当該発泡体を製造する方法である。
なお、ゴム系樹脂は、発泡性原料組成物中に50質量%以上含有されておればよい。
また、電子線源としては、特に制限はなく、例えばコックロフトワルトン型、ハンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器を用いることができる。
電子線の照射量としては、ゴム系樹脂の特性や、得られる発泡体の用途によって適宜、調整すればよく、0.5〜10Mradが好ましく、0.7〜5.0Mradがより好ましい。
このようにして得られた発泡体を構成材料とする本発明のシーリング材は、シール性に優れる上、硫黄分含有量が3,000質量ppm以下、好ましくは1,000質量ppm以下であって、銀線の腐食を効果的に抑制することができる。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、各実施例、比較例で得られた発泡体シートについて、下記の評価を行った。
(1)硫黄分含有量の測定
発泡体シート1.0gを1mm角以下に細かく裁断し、純水50mlが入ったフラスコに入れ、ステンレス金網で押さえ、50℃で24時間保持したのちフラスコ中の水1mlを、エスアイアイナノテクノロジー株式会社製、ICP発光分析装置「SPS7800」にかけて硫黄分含有量を測定した。
(2)発泡体シートの見掛け密度(kg/m3
JIS K 7222に準拠して測定した。
(3)発泡体シートのゲル分率
発泡体シート100mgを70℃のエチルメチルケトン25ミリリットル中に7〜22時間に亘って浸漬して不溶解分を200メッシュの金網で濾過し、金網上の残渣を真空乾燥して乾燥残渣の質量A(mg)を測定し、下記式により算出した。
ゲル分率(質量%)=100×A/100
(4)発泡体シートの独立気泡率
先ず、独立気泡発泡体シートから一辺が5cmの平面正方形状で且つ一定厚みの試験片を切り出す。そして、試験片の厚みを測定して試験片の見掛け体積V1を算出すると共に、試験片の質量W1を測定する。
次に、気泡の占める見掛け体積V2を下記式に基づいて算出する。なお、試験片を構成している樹脂の密度は1g/cm3とする。
気泡の占める見掛け体積V2=V1−W1
続いて、試験片を23℃の蒸留水中に水面から100mmの深さに沈めて、試験片に15kPaの圧力を3分間に亘って加える。しかる後、試験片を水中から取り出して試験片の表面に付着した水分を除去して試験片の重量W2を測定し、下記式に基づいて連続気泡率F1及び独立気泡率F2を算出する。
連続気泡率F1(%)=100×(W2−W1)/V2
独立気泡率F2(%)=100−F1
(5)腐食評価
<A法>
恒温恒湿室(23℃、湿度65%RH)内で、容積500cm3のフッ素樹脂製の密封容器に、直径0.3mm、長さ10mmの銀線を5本と発泡体を投入した。比較対象として同様の容器に銀線のみを投入した。サンプルが入った容器は窒素封入し、その容器をギヤオーブンに入れ、23℃18時間、50℃6時間の繰り返しサイクルで7日間放置した。発泡体は厚さ約4mm×幅1cm×長さ8cmの形状に切り出し、4本入れた。
目視観察にて、比較対象と銀線の色の変化が全く見られないものを○、若干色の変化があるが実用上問題のない程度のものを○、黒色に変化したものを×とした。
<B法>
恒温恒湿室(23℃、湿度65%RH)内で、容積500cm3のフッ素樹脂製の密封容器に、直径0.3mm、長さ10mmの銀線を5本と発泡体を投入した。比較対象として同様の容器に銀線のみを投入した。サンプルが入った容器は窒素封入し、その容器をギヤオーブンに入れ、23℃18時間、60℃6時間の繰り返しサイクルで7日間放置した。発泡体は厚さ約4mm×幅1cm×長さ8cmの形状に切り出し、4本入れた。
目視観察にて、比較対象と銀線の色の変化が見られないものを○、黒色に変化したものを×とした。
(6)止水性試験(漏水時間)
発泡体シートから幅10mmのU字型に切り抜いた試験片を作製し、この試験片を、U字型を維持するようにして2枚のアクリル樹脂板間に挟み、2枚のアクリル樹脂板の隙間を試験片の圧縮率が50%となるように狭めた。次に、U字型に切り抜いた試験片のU字開口部が上になるように立て、U字型の内側に高さ100mmまで水を入れ、目視により水漏れが確認されるまでの時間を計測した。
同様にして、アクリル樹脂板の隙間を試験片の圧縮率が20%となるように狭めた場合の試験を行った。
実施例1
アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR:密度0.96g/cm3)100質量部、加工安定剤(住友化学株式会社製、商品名「スミライザー(登録商標)GM」)0.5質量部を加圧ニーダを用いて10分間混練した後、アゾジカルボンアミド(大塚化学株式会社製「SO−L」、分解温度:197℃)16質量部を加え、更に8分間混練し、発泡性原料組成物を得た。
前記発泡性原料組成物15gを、内寸が10cm×10cm×1mmの型枠に入れ、120℃に加熱したプレス機で加熱加圧し、型枠を取り出し、冷却し、10cm×10cm×約1mmの発泡性シートを得た。
得られた発泡性シートに線量2.5Mrad、加速電圧520keVの電子線を照射することにより、架橋され且つ未発泡の発泡性架橋シートを得た。この発泡性架橋シートを250℃のオーブン中に入れ発泡させ、見掛け密度33kg/m3、厚さ2.6mmの独立気泡発泡体シートを得た。得られた独立気泡発泡体シートのゲル分率は83質量%、独立気泡率F2は84%であった。
この独立気泡発泡体シートの硫黄分含有量及び腐食評価結果等を第1表に示す。
実施例2〜5及び比較例1〜3
得られる独立気泡発泡体シートの硫黄分含有量は硫黄(和光純薬工業株式会社製)を所定量となるように添加することにより、第1表の示す値になるように変動させた以外は、実施例1と同様な操作を行い、独立気泡発泡体シートを作製し、腐食評価を行った。その結果を第1表に示す。
Figure 2012214757
第1表から、硫黄分含有量が3,000質量ppm以下の実施例1〜5は、A法ではいずれも銀線の腐食が全くない(腐食評価:◎)か、若干色の変化があるが実用上問題のない程度のもの(腐食評価:○)であるのに対し、硫黄分含有量が3,000質量ppmを超える比較例1〜3は、いずれも銀線が腐食された(腐食評価:×)ことが分かる。
また、硫黄分含有量が1,000質量ppm以下の実施例1〜3は、A法よりも厳しい条件のB法においても、いずれも銀線の腐食がない(腐食評価:○)のに対し、硫黄分含有量が1,000質量ppmを超える実施例4〜5及び比較例1〜3は、いずれも銀線が腐食された(腐食評価:×)ことが分かる。
本発明のシーリング材は独立気泡発泡体を構成材料とし、シール性に優れる上、硫黄分含有量が3,000質量ppm以下であって、銀線の腐食を効果的に抑制し得ることから、銀配線を有する電子機器、特に自動車用のLEDランプを収納する透明部材(ガラスやアクリル系樹脂等)を含むランプユニットのシーリング材として好適に用いられる。

Claims (10)

  1. 高周波誘導結合プラズマ発光分析法で測定される硫黄分含有量が3,000質量ppm以下であることを特徴とするゴム系樹脂架橋発泡体からなるシーリング材。
  2. 硫黄分含有量が1,000質量ppm以下である、請求項1に記載のシーリング材。
  3. ゴム系樹脂架橋発泡体が、ゴム系樹脂組成物の電子線架橋物からなる発泡体である、請求項1又は2に記載のシーリング材。
  4. ゴム系樹脂組成物が、ゴム系樹脂を主成分とする発泡性原料組成物である、請求項3に記載のシーリング材。
  5. ゴム系樹脂が、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、ブチルゴム及びクロロプレンゴムから選ばれる少なくとも一種である、請求項4に記載のシーリング材。
  6. 発泡性原料組成物が、化学発泡剤を含む、請求項4又は5に記載のシーリング材。
  7. 発泡体のJIS K 7222に準拠して測定される見掛け密度が、30〜100kg/m3である、請求項1〜6のいずれかに記載のシーリング材。
  8. 発泡体が独立気泡発泡体である、請求項1〜7のいずれかに記載のシーリング材。
  9. 銀配線を有する電子機器に使用される、請求項1〜8のいずれかに記載のシーリング材。
  10. 銀配線を有する電子機器が、LEDランプを収納する透明部材を含むランプユニットである、請求項9に記載のシーリング材。
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