JP2012214750A - 発泡性ポリスチレン系樹脂粒子とその製造方法、ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子、ポリスチレン系樹脂発泡成形体 - Google Patents

発泡性ポリスチレン系樹脂粒子とその製造方法、ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子、ポリスチレン系樹脂発泡成形体 Download PDF

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賢治 平井
Ryosuke Chiumi
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Abstract

【課題】曲げ強度、圧縮強度などの機械強度及び断熱性に優れた発泡成形体を製造し得る発泡性ポリスチレン系樹脂粒子とその製造方法の提供。
【解決手段】樹脂供給装置内で溶融されたポリスチレン系樹脂に発泡剤を圧入・混練し、発泡剤含有の溶融樹脂を樹脂供給装置先端に付設されたダイの小孔から直接冷却用液体中に押し出し、押し出すと同時に押出物を高速回転刃で切断するとともに、押出物を液体との接触により冷却固化して発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得る溶融押出法により得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子において、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子全体(但し、内部気泡は除く)にオルガノシロキサンが均一に含有されたことを特徴とする発泡性ポリスチレン系樹脂粒子。
【選択図】図1

Description

本発明は、曲げ強度、圧縮強度、耐衝撃性などの機械強度及び断熱性に優れたポリスチレン系樹脂発泡成形体が得られる発泡性ポリスチレン系樹脂粒子に関する。
発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を発泡成形して得られるポリスチレン系樹脂発泡成形体は、耐圧縮性、軽量性、断熱性、経済性などに優れており、断熱材、緩衝材などとして広く用いられている。ポリスチレン系樹脂発泡成形体の機械的強度(曲げ強度や圧縮強度)は、同じ発泡倍数、例えば発泡倍数50倍程度の発泡成形体で比較したとき、発泡成形体の気泡径が均一であり、且つ平均気泡径が所定範囲内であれば、機械的強度が特に優れた発泡成形体が得られることが知られている。
発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法の一つとして、押出機内で溶融されたポリスチレン系樹脂に発泡剤を圧入・混練し、発泡剤含有の溶融樹脂を押出機先端に付設されたダイの小孔から直接冷却用液体中に押し出し、押し出すと同時に押出物を高速回転刃で切断するとともに、押出物を液体との接触により冷却固化して発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得る、所謂、溶融押出法が知られている。一般に、溶融押出法で製造された発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、加熱発泡させて得られる発泡粒子中の気泡が粗くなり、気泡径が不均一になる傾向が見られるために、発泡粒子中の気泡の微細化及び均一化のための研究が種々行われている。
従来、溶融押出法に関して、発泡成形体の平均気泡径が適度な大きさとなるような発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を提供するための製造方法として、例えば、特許文献1に開示された技術が提案されている。
特許文献1には、(a)発泡剤配合重合体をダイヘッド部を通じ、該発泡性重合体のTg値以上の高温に保持する水浴又は流体浴中に押し出す工程 (b)該発泡性重合体のTg値以上の高温に保持する水浴又は流体浴中において、ダイヘッド部出口で重合体を即時切断し、顆粒とする工程 (c)該顆粒を該発泡性重合体のTg値以下の温度に冷却する工程の連続工程において、顆粒の冷却を、少なくとも(Tg+5)℃から(Tg−5)℃まで毎分3℃より少ない割合で徐冷し、また重合体の顆粒への切断および顆粒の冷却は2bar以上の圧力下で行うことを特徴とする無配向性及び無応力性の熱可塑性スチレン重合体の発泡性顆粒の押出式製造方法が開示されている。
この特許文献1の製造方法によれば、加熱発泡させた後の発泡粒子の平均気泡径が80〜200μm程度となる発泡性ポリスチレン系樹脂粒子が得られることが記載されている。しかし、この特許文献1の製造方法は、溶融押出法によって得られる発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の残留応力を緩和するために大型の圧力容器が必要となり、大掛かりな設備が必要なことから、設備コストが嵩み、設置面積が多大に必要になるという問題がある。
また、発泡後の平均気泡径が所定範囲内になるとともに、成形サイクルを短縮することができる発泡性ポリスチレン系樹脂粒子として、例えば、特許文献2に開示された技術が提案されている。
特許文献2には、発泡剤を含有するスチレン系樹脂からなり、嵩発泡倍数60倍に発泡させたときの発泡粒子表層部の平均気泡径Dが、40μm≦D≦150μmの関係を満たす発泡性スチレン系樹脂粒子本体100質量部に対して、25℃での屈折率が1.45以上であるメチルフェニルシリコーンオイル0.01〜0.2質量部と、高級脂肪酸の金属塩0.05〜0.2質量部とが粒子表面に被覆され、かつ、分子中に水酸基を有しない高級脂肪酸トリグリセライドの被覆量が0.05質量部未満であることを特徴とする発泡性スチレン系樹脂粒子が開示されている。
しかし、特許文献2の実施例に記載された発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、溶融押出法ではなく、従来周知の懸濁重合法又はシード重合法によってポリスチレン系樹脂粒子を製造し、その後発泡剤を含浸させる所謂重合含浸法によって製造された発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を対象としており、溶融押出法で製造された発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表面に前記被覆を施した場合に同様の効果が得られることについては実証されていない。本発明者らが実証した結果、溶融押出法で製造された発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表面に前記被覆を施した場合には、発泡粒子の気泡の微細化や均一化の効果が得られないという結果が得られた。
溶融押出法とは異なり、前記重合含浸法によって製造された発泡性ポリスチレン系樹脂粒子については、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を製造後、所定の時間保管しておくと、発泡粒子の気泡が微細化される「熟成」と称される現象が生じ、これによって気泡が微細な発泡粒子を製造可能な発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得ることができる。重合含浸法によって製造された発泡性ポリスチレン系樹脂粒子に起こる「熟成」に関して、例えば、特許文献3の段落[0007]には、「一般に、発泡性粒子は、発泡剤を含ませて発泡性粒子としたあとで、数日ないし数拾日間低温下に貯蔵したのちでなければ、これを発泡に供し得ないとされた。なぜならば、発泡剤を含ませた直後のポリスチレン粒子を加熱して予備発泡させると、得られた発泡性粒子は、不均一に発泡したり、気泡が粗大になったり、高倍率に発泡させることができなかったりしたからである。ところが、上記のように低温下に貯蔵したのち予備発泡させると、微細な気泡を持って均一によく発泡するに至ったからである。発泡性粒子を製造した後の上述の貯蔵は、一般に熟成と呼ばれ、発泡性粒子の製造においては欠くべからざる工程だとされて来た。」と記載されている。
また、前記重合含浸法によって製造された発泡性ポリスチレン系樹脂粒子において、前記熟成の完了を促進させて発泡性樹脂粒子の製造効率を向上させる技術が、例えば特許文献4に開示されている。
特許文献4には、スチレン系単量体を懸濁重合して得られる平均粒子径が0.05〜2.0mmであって、易揮発性発泡剤を3〜10重量%含有してなる発泡性スチレン系樹脂粒子において、その内部にポリエーテル変性シリコーン化合物が含浸された発泡性スチレン系樹脂粒子組成物が開示されている。
しかし、この特許文献4においては、懸濁重合により樹脂粒子を製造し、これに発泡剤を含浸させる重合含浸法により得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子、すなわち熟成が生じる樹脂粒子に対し、その熟成の完了を促進させることを意図しており、別異の製造方法である溶融押出法で製造された発泡性ポリスチレン系樹脂粒子については全く記載が無く、示唆すらされていない。また特許文献4の段落[0024]には、懸濁重合法にって樹脂粒子を製造後に、シクロヘキサンに溶解したポリエーテル変性シリコーンと発泡剤(ブタン)とを添加して樹脂粒子に含浸させて発泡性樹脂粒子を製造することが記載されており、添加したポリエーテル変性シリコーンは発泡性樹脂粒子の表面に含浸されるのみであって、発泡性樹脂粒子の内部全体に均一に含有されているものとは認められない。
特開平6−32932号公報 特開2007−246705号公報 特許第2736721号公報 特開平11−172035号公報
溶融押出法によって製造した発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、加熱発泡させて得られる発泡粒子中の気泡が粗くなり、気泡径が不均一になる傾向が見られ、さらに、発泡性樹脂粒子を製造後に長期間保管しても前記「熟成」現象を生じることが殆ど無く、実質的に気泡の微細化が生じないという特徴がある。
溶融押出法によって製造した発泡性ポリスチレン系樹脂粒子について気泡の微細化、均一化を図るには、前述した特許文献1に開示されているように押出した溶融樹脂の切断及び冷却を加圧下で行う方法が提案されているが、該方法では大型の圧力容器が必要となり、大掛かりな設備が必要なことから、設備コストが嵩み、設置面積が多大に必要になるという問題がある。そして当該技術分野では、大掛かりな設備を必要とせず、簡易な方法によって発泡粒子の気泡を微細化、均一化が求められていたが、現在までその実現には至っていない。
本発明は、前記事情に鑑みてなされ、大型設備を用いることなく、気泡が微細且つ均一であり、機械的強度に優れたポリスチレン系樹脂発泡成形体を製造し得る発泡性ポリスチレン系樹脂粒子とその製造方法の提供を課題とする。
前記課題を達成するため、本発明は、ポリスチレン系樹脂粒子中に発泡剤を含む発泡性ポリスチレン系樹脂粒子において、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子全体(但し、内部気泡は除く)にオルガノシロキサンが均一に含有されたことを特徴とする発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を提供する。
また本発明は、樹脂供給装置内で溶融されたポリスチレン系樹脂に発泡剤を圧入・混練し、発泡剤含有の溶融樹脂を樹脂供給装置先端に付設されたダイの小孔から直接冷却用液体中に押し出し、押し出すと同時に押出物を高速回転刃で切断するとともに、押出物を液体との接触により冷却固化して発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得る溶融押出法により得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子において、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子全体(但し、内部気泡は除く)にオルガノシロキサンが均一に含有されたことを特徴とする発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を提供する。
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子において、オルガノシロキサンが樹脂分中0.01〜3質量%の範囲で含有されていることが好ましい。
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、熟成完了後に加熱して嵩発泡倍数X倍に発泡させたときの発泡粒子の平均気泡径D’を、次式(1)
(式中、Dは嵩発泡倍数50倍に換算した発泡粒子の平均気泡径(μm)を表し、D’は嵩発泡倍数X倍に発泡させたときの発泡粒子の平均気泡径(μm)を表す)を用いて嵩発泡倍数50倍に換算した発泡粒子の平均気泡径Dが、50μm≦D≦250μmの関係を満たすことが好ましい。
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子において、前記オルガノシロキサンは、構造内にアルキル基、フェニル基、エーテル基からなる群から選択される1種又は2種以上を有するものであることが好ましい。
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子において、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子全体に、高級脂肪酸金属塩、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸ビスアミド、無機気泡核剤から選択される1種又は2種以上が均一に含有されたことが好ましい。
また本発明は、樹脂供給装置内で溶融されたポリスチレン系樹脂に発泡剤を圧入・混練し、発泡剤含有の溶融樹脂を樹脂供給装置先端に付設されたダイの小孔から直接冷却用液体中に押し出し、押し出すと同時に押出物を高速回転刃で切断するとともに、押出物を液体との接触により冷却固化して発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得る溶融押出法による発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法において、前記ポリスチレン樹脂にオルガノシロキサンを添加し、樹脂粒子全体(但し、内部気泡は除く)にオルガノシロキサンが均一に含有された発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得ることを特徴とする発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法を提供する。
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法において、オルガノシロキサンを樹脂分中0.01〜3質量%の範囲で添加することが好ましい。
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法において、溶融押出法によって得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を、40℃以下の雰囲気下で1時間以上貯蔵する熟成工程を行って発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得ることが好ましい。
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法において、前記オルガノシロキサンは、構造内にアルキル基、フェニル基、エーテル基からなる群から選択される1種又は2種以上を有するものであることが好ましい。
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法において、前記ポリスチレン系樹脂に、高級脂肪酸金属塩、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸ビスアミド、無機気泡核剤から選択される1種又は2種以上を添加し、樹脂粒子全体(但し、内部気泡は除く)に均一に含有させることが好ましい。
また本発明は、前記発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を熟成後、加熱し予備発泡して得られたポリスチレン系樹脂予備発泡粒子を提供する。
また本発明は、前記ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子を成形型のキャビティ内に充填し、成形型を蒸気加熱し、型内発泡成形して得られたポリスチレン系樹脂発泡成形体を提供する。
本発明のポリスチレン系樹脂発泡成形体において、発泡倍数X倍に発泡成形させたときの状態で、この発泡成形体中の融着し合った発泡粒子の平均気泡径D’を、次式(2)
(式中、Dは発泡倍数50倍に換算した発泡成形体中の発泡粒子の平均気泡径(μm)を表し、D’は発泡倍数X倍に発泡させたときの発泡成形体中の発泡粒子の平均気泡径(μm)を表す)を用いて発泡倍数50倍に換算した発泡成形体中の発泡粒子の平均気泡径Dが、50μm≦D≦250μmの関係を満たすことが好ましい。
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子全体(但し、内部気泡は除く)にオルガノシロキサンが均一に含有された構成としたことで、溶融押出法によって該樹脂粒子を製造した場合に、製造後に該樹脂粒子を貯蔵しておくことで、該樹脂粒子を加熱発泡して得られる発泡粒子は、製造直後に発泡させた発泡粒子と比べ気泡が微細化する熟成現象が生じるものとなる。従って、本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、大型設備を用いることなく、溶融押出法によって製造した場合でも、気泡が微細且つ均一であり、機械的強度に優れたポリスチレン系樹脂発泡成形体を製造し得る発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を提供することができる。
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法は、樹脂供給装置内で溶融されたポリスチレン系樹脂に発泡剤を圧入・混練し、発泡剤含有の溶融樹脂を樹脂供給装置先端に付設されたダイの小孔から直接冷却用液体中に押し出し、押し出すと同時に押出物を高速回転刃で切断するとともに、押出物を液体との接触により冷却固化して発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得る溶融押出法による発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法において、前記ポリスチレン樹脂にオルガノシロキサンを添加し、樹脂粒子全体(但し、内部気泡は除く)にオルガノシロキサンが均一に含有された発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得る構成としたことによって、製造後に該樹脂粒子を貯蔵しておくことで、該樹脂粒子を加熱発泡して得られる発泡粒子は、製造直後に発泡させた発泡粒子と比べ気泡が微細化する熟成現象が生じるものが得られる。従って、本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法は、大型設備を用いることなく、製造後に熟成させることによって、気泡が微細且つ均一であり、機械的強度に優れたポリスチレン系樹脂発泡成形体を製造し得る発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を容易に製造することができる。
本発明のポリスチレン系樹脂発泡成形体は、前記発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を加熱し予備発泡して得られたポリスチレン系樹脂予備発泡粒子を、成形型のキャビティ内に充填し、成形型を蒸気加熱し、型内発泡成形して得られたものなので、気泡が微細且つ均一であり、機械的強度に優れたものとなる。
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法に用いられる製造装置の一例を示す構成図である。 実施例1で作製した予備発泡粒子の断面の拡大画像であり、(a)は製造直後の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を予備発泡した予備発泡粒子、(b)は熟成後の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を予備発泡した予備発泡粒子、(c)は熟成中の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を予備発泡した予備発泡粒子である。 実施例2で作製した予備発泡粒子の断面の拡大画像であり、(a)は製造直後の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を予備発泡した予備発泡粒子、(b)は熟成後の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を予備発泡した予備発泡粒子である。 実施例3で作製した予備発泡粒子の断面の拡大画像であり、(a)は製造直後の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を予備発泡した予備発泡粒子、(b)は熟成後の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を予備発泡した予備発泡粒子、(c)は熟成中の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を予備発泡した予備発泡粒子である。 実施例5で作製した予備発泡粒子の断面の拡大画像であり、(a)は製造直後の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を予備発泡した予備発泡粒子、(b)は熟成後の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を予備発泡した予備発泡粒子である。 実施例8で作製した予備発泡粒子の断面の拡大画像であり、(a)は製造直後の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を予備発泡した予備発泡粒子、(b)は熟成後の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を予備発泡した予備発泡粒子、(c)は熟成中の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を予備発泡した予備発泡粒子である。
(発泡性ポリスチレン系樹脂粒子)
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、ポリスチレン系樹脂粒子中に発泡剤を含む発泡性ポリスチレン系樹脂粒子において、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子全体(但し、内部気泡は除く。以下「樹脂粒子全体」の語句については同様とする。)にオルガノシロキサンが均一に含有されたことを特徴とする。
本発明の好ましい実施形態において、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、樹脂供給装置内で溶融されたポリスチレン系樹脂に発泡剤を圧入・混練し、発泡剤含有の溶融樹脂を樹脂供給装置先端に付設されたダイの小孔から直接冷却用液体中に押し出し、押し出すと同時に押出物を高速回転刃で切断するとともに、押出物を液体との接触により冷却固化して発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得る溶融押出法により得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子において、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子全体にオルガノシロキサンが均一に含有されたものであることが好ましい。この溶融押出法によれば、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子全体にオルガノシロキサンが均一に含有された本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を簡単に得ることができる。
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子において、ポリスチレン系樹脂としては、特に限定されず、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン、エチルスチレン、i−プロピルスチレン、ジメチルスチレン、ブロモスチレン等のスチレン系モノマーの単独重合体又はこれらの共重合体等が挙げられ、スチレンを50質量%以上含有するポリスチレン系樹脂が好ましく、なかでもポリスチレンがより好ましい。ポリスチレンの質量平均分子量は、12〜40万の範囲が好ましく、15〜40万の範囲がより好ましい。
また、前記ポリスチレン系樹脂としては、前記スチレンモノマーを主成分とする、前記スチレン系モノマーとこのスチレン系モノマーと共重合可能なビニルモノマーとの共重合体であってもよく、このようなビニルモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、ジメチルマレエート、ジメチルフマレート、ジエチルフマレート、エチルフマレートの他、ジビニルベンゼン、アルキレングリコールジメタクリレートなどの二官能性モノマーなどが挙げられる。
また、ポリスチレン系樹脂が主成分であれば、他の樹脂を添加してもよく、添加する樹脂としては、例えば、発泡成形体の耐衝撃性を向上させるために、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−プロピレン−非共役ジエン三次元共重合体などのジエン系のゴム状重合体を添加したゴム変性ポリスチレン系樹脂、いわゆるハイインパクトポリスチレンが挙げられる。あるいは、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、アクリル系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体などが挙げられる。
原料となるポリスチレン系樹脂としては、市販されている通常のポリスチレン系樹脂、懸濁重合法などの方法で新たに作製したポリスチレン系樹脂などの、リサイクル原料でないポリスチレン系樹脂(バージンポリスチレン)を使用できる他、使用済みのポリスチレン系樹脂発泡成形体を再生処理して得られたリサイクル原料を使用することができる。このリサイクル原料としては、使用済みのポリスチレン系樹脂発泡成形体、例えば、魚箱、家電緩衝材、食品包装用トレーなどを回収し、リモネン溶解方式や加熱減容方式によって再生したリサイクル原料の中から、質量平均分子量Mwが12万〜40万の範囲となる原料を適宜選択し、又は質量平均分子量Mwが異なる複数のリサイクル原料を適宜組み合わせて用いることができる。
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子に用いられる発泡剤は、特に限定されないが、例えばプロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、シクロペンタン等の脂肪族炭化水素、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル等のエーテル類、メタノール、エタノール等の各種アルコール類、炭酸ガス、窒素、水等が使用可能である。この内、脂肪族炭化水素が好適であり、更には、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン単独もしくはこれらの混合物がより好適である。また、炭素数5の炭化水素であるノルマルペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、シクロペンタン、シクロペンタジエン単独もしくはこれらの混合物が特に好適である。その中でもイソペンタンとノルマルペンタンとの一方又は両方の混合物であることが好ましい。また、前記炭素数5の炭化水素を主体とし、沸点が20℃以上であり、炭素数5の炭化水素以外の発泡剤(例えばノルマルブタン、イソブタン、プロパン、炭酸ガス等)を含んでいてもよい。
この発泡剤の添加量は、ポリスチレン系樹脂100質量部に対し2〜10質量部の範囲が好ましく、3〜8質量部の範囲がより好ましく、4〜7質量部の範囲が特に好ましい。
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子に添加されるオルガノシロキサンは、シロキサン結合(Si−O結合)による主骨格を有し、側鎖や主鎖末端に有機鎖を有する化合物のことであり、例えばポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、カルボシキル基変性シリコーン、カルビノール変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、アクリロニトリル変性シリコーン、アリル変性シリコーン、ビニル変性シリコーン、フッ素変性シリコーンなどが挙げられ、これらの内の1種を単独で、或いは2種以上を併用して添加される。
このオルガノシロキサンの添加量は、樹脂分中に0.01〜3質量%の範囲が好ましく、0.05〜2.5質量%の範囲がより好ましく、0.1〜2.0質量%の範囲がさらに好ましい。オルガノシロキサンの添加量が前記範囲未満であると、溶融押出法によって製造した発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を貯蔵することで熟成現象を生じさせ、この熟成を行うことによって気泡が微細且つ均一であり、機械的強度に優れた発泡成形体が得られるという本発明の効果が十分に得られなくなる。オルガノシロキサンの添加量が前記範囲を超えると、前記本発明の効果が頭打ちになり、却ってコスト増加、得られる発泡成形体の機械的強度の低下などを招いてしまう。
ポリスチレン系樹脂にオルガノシロキサンを添加する方法としては、押出機に直接投入する方法、予めマスターバッチを作製しておいて押出機に投入する方法などがある。この内、予めオルガノシロキサンを高濃度で含むポリスチレン樹脂からなるマスターバッチを作製しておき、このオルガノシロキサン含有マスターバッチとポリスチレン系樹脂とを前記樹脂供給装置に投入して発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を製造することが好ましい。このようなオルガノシロキサン含有マスターバッチを用いることで、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子全体にわたりオルガノシロキサンが均一に含有された発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を製造することができる。
この発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、前記発泡剤及び前記オルガノシロキサンの他に、高級脂肪酸金属塩、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸ビスアミド、無機気泡核剤から選択される1種又は2種以上を含有していてもよい。前記高級脂肪酸金属塩としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウムなどが挙げられる。また、前記高級脂肪酸エステルとしては、12−ヒドロキシステアリン酸トリグリセリド、ステアリン酸グリセリドなどが挙げられる。また、前記高級脂肪酸アミドとしては、ステアリン酸アミド、12−ヒドロキシステアリン酸アミドなどが挙げられる。また、前記高級脂肪酸ビスアミドとしては、エチレンビスステアリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミドなどが挙げられる。また、前記無機気泡核剤としては、タルク、珪酸カルシウム、合成あるいは天然に産出される二酸化ケイ素などが挙げられる。これらの添加量は、ポリスチレン系樹脂中に0.01〜3質量%の範囲が好ましい。
ポリスチレン系樹脂に、気泡核剤として高級脂肪酸金属塩、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸ビスアミド、無機気泡核剤から選択される1種または2種以上を、オルガノシロキサンと併用した場合、加熱発泡して得られる発泡粒子の平均気泡径はオルガノシロキサン単独使用時と比べより微細な気泡を得ることができる。
高級脂肪酸金属塩、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸ビスアミド、無機気泡核剤などの気泡核剤を添加する場合、該気泡核剤をベース樹脂、好ましくはポリスチレン系樹脂中に均一に分散させたマスターバッチ型気泡核剤を用いることが好ましい。このマスターバッチ型気泡核剤を用いることによって、樹脂供給装置内でポリスチレン系樹脂と気泡核剤とを混合する際に、気泡核剤をポリスチレン系樹脂全体にわたり均一に含有させることができる。
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子には、その他に、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子及び発泡成形体の物性を損なわない範囲内において、結合防止剤、気泡調整剤、架橋剤、充填剤、難燃剤、難燃助剤、滑剤、着色剤等の添加剤を添加してもよい。
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、熟成完了後に加熱して嵩発泡倍数X倍に発泡させたときの発泡粒子の平均気泡径D’を、前記式(1)を用いて嵩発泡倍数50倍に換算した発泡粒子の平均気泡径Dが、35μm≦D≦300μmの関係を満たすことが好ましく、50μm≦D≦250μmの関係を満たすことがより好ましい。前記平均気泡径Dが前記範囲未満であると、連続気泡率が増加して独立気泡率が減少し、曲げ強度、圧縮強度、耐衝撃性などの機械的強度の低下や成形性が悪化してしまう。前記平均気泡径Dが前記範囲を超えると、得られる発泡成形体の機械的強度(曲げ強さや圧縮強度)が低下してしまう。
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子全体にオルガノシロキサンが均一に含有された構成としたことで、溶融押出法によって該樹脂粒子を製造した場合に、製造後に該樹脂粒子を貯蔵しておくことで、該樹脂粒子を加熱発泡して得られる発泡粒子は、製造直後に発泡させた発泡粒子と比べ気泡が微細化する熟成現象が生じるものとなる。従って、本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、大型設備を用いることなく、溶融押出法によって製造した場合でも、気泡が微細且つ均一であり、機械的強度に優れたポリスチレン系樹脂発泡成形体を製造し得る発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を提供することができる。
(発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法)
次に、図面を参照して本発明に係る発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法の実施形態を説明する。
本発明に係る発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法は、樹脂供給装置内で溶融されたポリスチレン系樹脂に発泡剤を圧入・混練し、発泡剤含有の溶融樹脂を樹脂供給装置先端に付設されたダイの小孔から直接冷却用液体中に押し出し、押し出すと同時に押出物を高速回転刃で切断するとともに、押出物を液体との接触により冷却固化して発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得る溶融押出法による発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法において、前記ポリスチレン樹脂にオルガノシロキサンを添加し、樹脂粒子全体にオルガノシロキサンが均一に含有された発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得ることを特徴とする。
図1は、前記造粒工程で発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を製造するために用いられる製造装置の一例を示す構成図である。
本例の製造装置は、樹脂供給装置としての押出機1と、押出機1の先端に取り付けられた多数の小孔を有するダイ2と、押出機1内に樹脂原料等を投入する原料供給ホッパー3と、押出機1内の溶融樹脂に発泡剤供給口5を通して発泡剤を圧入する高圧ポンプ4と、ダイ2の小孔が穿設された樹脂吐出面に冷却水を接触させるように設けられ、室内に冷却水が循環供給されるカッティング室7と、ダイ2の小孔から押し出された樹脂を切断できるようにカッティング室7内に回転可能に設けられたカッター6と、カッティング室7から冷却水の流れに同伴して運ばれる発泡性樹脂粒子を冷却水と分離すると共に脱水乾燥して発泡性樹脂粒子を得る固液分離機能付き脱水乾燥機10と、固液分離機能付き脱水乾燥機10にて分離された冷却水を溜める水槽8と、この水槽8内の冷却水をカッティング室7に送る高圧ポンプ9と、固液分離機能付き脱水乾燥機10にて脱水乾燥された発泡性樹脂粒子を貯留する貯留容器11とを備えて構成されている。
なお、押出機1としては、スクリュを用いる押出機またはスクリュを用いない押出機のいずれも用いることができる。スクリュを用いる押出機としては、例えば、単軸式押出機、多軸式押出機、ベント式押出機、タンデム式押出機などが挙げられる。スクリュを用いない押出機としては、例えば、プランジャ式押出機、ギアポンプ式押出機などが挙げられる。また、いずれの押出機もスタティックミキサーを用いることができる。これらの押出機のうち、生産性の面からスクリュを用いた押出機が好ましい。また、カッター6を収容したカッティング室7も、樹脂の溶融押出による造粒方法において用いられている従来周知のものを用いることができる。
(造粒工程)
図1に示す製造装置を用い、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を製造するには、まず、原料のポリスチレン系樹脂、オルガノシロキサン、必要に応じて添加される気泡核剤などの所望の添加剤を秤量し、原料供給ホッパー3から押出機1内に投入する。原料のポリスチレン系樹脂は、ペレット状や顆粒状にして事前に良く混合してから1つの原料供給ホッパーから投入してもよいし、あるいは例えば複数のロットを用いる場合は各ロットごとに供給量を調整した複数の原料供給ホッパーから投入し、押出機内でそれらを混合してもよい。また、複数のロットのリサイクル原料を組み合わせて使用する場合には、複数のロットの原料を事前に良く混合し、磁気選別や篩分け、比重選別、送風選別などの適当な選別手段により異物を除去しておくことが好ましい。さらに、オルガノシロキサン等の添加成分は、予めポリスチレン樹脂に高濃度で添加したマスターバッチを加えることが好ましい。
押出機1内にポリスチレン系樹脂、オルガノシロキサン、その他の任意の添加剤を供給後、樹脂を加熱溶融し、その溶融樹脂をダイ2側に移送しながら、発泡剤供給口5から高圧ポンプ4によって発泡剤を圧入して溶融樹脂に発泡剤を混合し、押出機1内に必要に応じて設けられる異物除去用のスクリーンを通して、溶融物をさらに混練しながら先端側に移動させ、発泡剤を添加した溶融物を押出機1の先端に付設したダイ2の小孔から押し出す。
ダイ2の小孔が穿設された樹脂吐出面は、室内に冷却水が循環供給されるカッティング室7内に配置され、且つカッティング室7内には、ダイ2の小孔から押し出された樹脂を切断できるようにカッター6が回転可能に設けられている。発泡剤添加済みの溶融物を押出機1の先端に付設したダイ2の小孔から押し出すと、溶融物は粒状に切断され、同時に冷却水と接触して急冷され、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子が得られる。
得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、カッティング室7から冷却水の流れに同伴して固液分離機能付き脱水乾燥機10に運ばれ、ここで発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を冷却水と分離すると共に脱水乾燥する。乾燥された発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、貯留容器11に貯留される。
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法において、前記冷却水の温度は、20〜60℃の範囲とすることが好ましい。冷却水の温度が高すぎると発泡性ポリスチレン系樹脂粒子同士が融着し易くなり、多数個の粒子同士が結合して塊状になった不良品の発生率が高くなる。冷却水の温度が低すぎると、得られる発泡性ポリスチレン系樹脂粒子が球状化せず、また割れが生じる場合がある。
また、前記冷却水は0.5MPa以上に加圧してもよい。冷却水を加圧するには、前記冷却水の循環流路のうち、高圧ポンプ9の吐出側からカッティング室7を通り、固液分離機能付き脱水乾燥機10の入口側に到る部分を加圧領域とし、高圧ポンプ9の吐出圧力を高めることにより実行し得る。前記冷却水を加圧する場合、その圧力は0.6〜2.0MPaの範囲とすることが好ましく、0.8〜1.5MPaの範囲がより好ましい。前記圧力範囲の上限程度の圧力であれば、大型耐圧容器や専用の加圧装置などの設備を用いることなく実施可能である。
(熟成工程)
前記造粒工程で得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、熟成工程を行うことによって、発泡粒子の微細化、均一化が可能となる。
熟成とは、樹脂に発泡剤を含ませて発泡性樹脂粒子としたあとで、数日ないし数拾日間低温下に貯蔵し、経日を置くことによって、表面部から気泡が微細化していき、微細化が中心部に達し、熟成を完了させることによって微細な気泡を均一に良く発泡する発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得ることを指す。この熟成は、重合含浸法で製造した発泡性ポリスチレン系樹脂粒子では一般的なことである。しかし、溶融押出法にて製造された発泡性ポリスチレン系樹脂粒子については、この現象を観測することができなかった。本発明では溶融押出法にて発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を製造する際に、オルガノシロキサンを樹脂中に均一に含有させて発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得ることによって、重合含浸法で製造した場合と同様に熟成現象を生じさせることができる。
この熟成工程は、40℃以下の温度の雰囲気中で行うことが好ましく、10〜40℃の範囲がより好ましい。
この熟成工程における貯蔵時間は、1時間以上が好ましく、6時間以上がより好ましく、12時間〜60日間程度がさらに好ましく、12時間〜7日間程度が最も好ましい。
なお、前記熟成工程の前或いは後に、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表面に、従来の発泡スチレン系樹脂粒子に対して通常行われているように、脂肪酸金属塩、脂肪酸エステル、帯電防止剤などの表面処理剤をコーティングすることができる。表面処理剤のコーティングを行うことで、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の流動性、予備発泡特性などを改善することもできる。前記表面処理剤の総添加量は、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子100質量部に対して0.01〜2.0質量部程度の量が好ましい。
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法は、樹脂供給装置内で溶融されたポリスチレン系樹脂に発泡剤を圧入・混練し、発泡剤含有の溶融樹脂を樹脂供給装置先端に付設されたダイの小孔から直接冷却用液体中に押し出し、押し出すと同時に押出物を高速回転刃で切断するとともに、押出物を液体との接触により冷却固化して発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得る溶融押出法による発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法において、前記ポリスチレン樹脂にオルガノシロキサンを添加し、樹脂粒子全体にオルガノシロキサンが均一に含有された発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得る構成としたことによって、製造後に該樹脂粒子を貯蔵しておくことで、該樹脂粒子を加熱発泡して得られる発泡粒子は、製造直後に発泡させた発泡粒子と比べ気泡が微細化する熟成現象が生じるものが得られる。従って、本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法は、大型設備を用いることなく、製造後に熟成させることによって、気泡が微細且つ均一であり、機械的強度に優れたポリスチレン系樹脂発泡成形体を製造し得る発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を容易に製造することができる。
(ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子及びポリスチレン系樹脂発泡成形体)
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、発泡樹脂成形体の製造分野において周知の装置及び手法を用い、水蒸気加熱等により加熱して予備発泡し、ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子(以下、予備発泡粒子と記す)とする。この予備発泡粒子は、製造するべきポリスチレン系樹脂発泡成形体(以下、発泡成形体と記す)の密度と同等の嵩密度となるように予備発泡される。本発明において、その嵩密度及び嵩発泡倍数は限定されないが、通常は0.010〜0.10g/cmの範囲内(嵩発泡倍数として10〜100倍の範囲内)とし、0.015〜0.050g/cmの範囲内とするのが好ましい。
なお、本発明において予備発泡粒子の嵩密度及び嵩発泡倍数とは、JIS K6911:1995年「熱硬化性プラスチック一般試験方法」に準拠して測定されたものをいう。
<予備発泡粒子の嵩密度>
メスシリンダに予備発泡粒子を500cmの目盛りまで充填する。但し、メスシリンダを水平方向から目視し、予備発泡粒子が一粒でも500cmの目盛りに達していれば、充填を終了する。次に、メスシリンダ内に充填した予備発泡粒子の質量を小数点以下2位の有効数字で秤量し、その質量をW(g)とする。次式により予備発泡粒子の嵩密度を算出する。
嵩密度(g/cm)=W/500
<予備発泡粒子の嵩発泡倍数>
また、予備発泡粒子の嵩発泡倍数は、次式により算出される数値である。
嵩発泡倍数=1/嵩密度(g/cm
前記予備発泡粒子は、発泡樹脂成形体の製造分野において周知の装置及び手法を用い、該予備発泡粒子を成形型のキャビティ内に充填し、水蒸気加熱等により加熱して型内発泡成形し、発泡成形体を製造する。本発明において、発泡成形体の密度及び発泡倍数は限定されないが、通常は0.010〜0.10g/cmの範囲内(発泡倍数として10〜100倍の範囲内)とし、0.015〜0.050g/cmの範囲内とするのが好ましい。
本発明の発泡成形体は、発泡倍数X倍に発泡成形させたときの状態で、この発泡成形体中の融着し合った発泡粒子の平均気泡径D’は、前記式(2)を用いて発泡倍数50倍に換算し、その発泡成形体中の発泡粒子の平均気泡径Dが、35μm≦D≦300μmの関係を満たすことが好ましく、50μm≦D≦250μmの関係を満たすことがより好ましい。前記平均気泡径Dが前記範囲未満であると、型内発泡成形して得られる0発泡成形体は連続気泡率が増加して独立気泡が減少し、曲げ強度、圧縮強度、耐衝撃性などの機械強度が低下したり、成形性が悪化してしまう。前記平均気泡径Dが前記範囲を超えると、曲げ強度、圧縮強度、耐衝撃性などの機械強度が低下してしまう。
なお、本発明において発泡成形体の密度とは、JIS K7122:1999「発泡プラスチック及びゴム−見掛け密度の測定」記載の方法で測定した発泡成形体密度のことである。
<発泡成形体の密度>
50cm以上(半硬質および軟質材料の場合は100cm以上)の試験片を材料の元のセル構造を変えない様に切断し、その質量を測定し、次式により算出した。
密度(g/cm)=試験片質量(g)/試験片体積(cm
試験片状態調節、測定用試験片は、成形後72時間以上経過した試料から切り取り、23℃±2℃×50%±5%または27℃±2℃×65%±5%の雰囲気条件に16時間以上貯蔵したものである。
<発泡成形体の発泡倍数>
また、発泡成形体の発泡倍数は次式により算出される数値である。
発泡倍数=1/密度(g/cm
本発明の発泡成形体は、前記発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を熟成後に加熱し予備発泡して得られた予備発泡粒子を、成形型のキャビティ内に充填し、成形型を蒸気加熱し、型内発泡成形して得られたものなので、気泡が微細且つ均一であり、機械的強度に優れたものとなる。
[実施例1]
(マスターバッチの製造)
基材樹脂としてポリスチレン樹脂(PSジャパン社製、商品名「G9305」)を使用し、オルガノシロキサンとしてポリメチルフェニルシロキサン(GE東芝シリコーン社製、商品名「TSF4300」)の含有量が5質量%となるよう添加してマスターバッチを作製した。
(発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造)
基材樹脂としてポリスチレン樹脂(PSジャパン社製、商品名「G9305」)に対し、前記マスターバッチを、樹脂分中ポリメチルフェニルシロキサン含有量が0.5質量%となるように添加、混合したものを時間当たり160kg/hrの割合で口径90mmの単軸押出機内へ供給し、樹脂を加熱溶融させた後、発泡剤として樹脂100質量部に対して7質量部のイソペンタンを押出機途中より圧入した。そして、押出機内で樹脂と発泡剤を混練しつつ、押出機先端部での樹脂温度が170℃となるように冷却しながら、押出機に連接しヒーターにより290℃に保持した、直径0.6mm、ランド長さ3.0mmのノズルを200個有する造粒用ダイスを通して、温度50℃、水圧1.5MPaの冷却水が循環する水中カット室内に押し出すと同時に、円周方向に10枚の刃を有する高速回転カッターをダイスに密着させて、毎分3000回転で切断し、脱水乾燥して球形の発泡性ポリスチレン樹脂粒子を得た。得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は変形、ヒゲ等の発生もなく、平均粒径1.1mmであった。
(発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の熟成)
得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を、直ちに15℃の雰囲気下に置き熟成を行った。
(発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表面被覆)
前記の通り得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子100質量部に対して、ポリエチレングリコール0.03質量部、ステアリン酸亜鉛0.05質量部、ステアリン酸モノグリセライド0.05質量部、ヒドロキシステアリン酸トリグリセライド0.05質量部を発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表面全面に均一に被覆した。
(発泡成形体の製造)
続いて、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子(以下、ビーズと記す場合がある)を円筒型バッチ式予備発泡機に供給して、吹き込み圧0.05MPaの水蒸気により加熱し、予備発泡粒子を得た。得られた予備発泡粒子は、嵩密度0.020g/cm(嵩発泡倍数50倍)であった。
続いて、得られた予備発泡粒子を室温雰囲気下、24時間に亘って放置した後、長さ400mm×幅300mm×高さ25mmの長方形状のキャビティを有する成形型内に予備発泡粒子を充填し、成形スチーム圧0.08MPa(ゲージ圧力)、金型加熱3秒、一方加熱10秒、逆一方加熱3秒、両面加熱10秒、水冷5秒、設定取出面圧0.02MPaの条件で成形を行った。得られた発泡性形体は密度0.020g/cm(発泡倍数50倍)であった。
また、前記ビーズ、予備発泡粒子及び発泡成形体について、以下の測定法に従って、平均気泡径、表層部平均気泡径/中心部平均気泡径、熟成期間、曲げ強度、圧縮強度及び強度評価の各試験項目について測定・評価した。その結果を表1に記す。
<予備発泡粒子の平均気泡径の測定>
予備発泡粒子の平均気泡径は、ASTM D3576−77の試験方法に準拠して測定されたものをいう。具体的には、予備発泡粒子の中心近傍を通る平面で剃刀歯で切断し、切断面を走査型電子顕微鏡(JOEL社製 商品名「JSM−6360LV」)を用いて30倍に拡大して撮影する。
次に、撮影した画像をA4用紙上に印刷し、予備発泡粒子の表層に内接する第1の円(内接円)を描く。この第1の円の内側の任意の箇所に長さ60mmの直線を一本描き、この直線上に存在する気泡数から気泡の平均弦長(t)を下記式により算出する。
平均弦長t=60/(気泡数×写真の倍率)
なお、直線を描くにあたっては、できるだけ直線が気泡に点接触することなく貫通した状態となるようにする。又、一部の気泡が直線に点接触してしまう場合には、この気泡も気泡数に含め、更に、直線の両端部が気泡を貫通することなく、気泡内に位置した状態となる場合には、直線の両端部が位置している気泡も気泡数に含める。
そして、算出された平均弦長tに基づいて次式により平均気泡径を算出することができる。
平均気泡径(mm)D=t/0.616
更に、撮影した画像の任意の5箇所において上述と同様の要領で平均気泡径を算出し、これらの平均気泡径の相加平均値を予備発泡粒子の平均気泡径とする。
<発泡成形体中の融着し合った発泡粒子の平均気泡径の測定>
発泡成形体中の融着し合った発泡粒子の平均気泡径は、前記予備発泡粒子の平均気泡径の測定方法に準拠して測定されたものをいう。
但し、前記予備発泡粒子の測定では、予備発泡粒子の表層に内接する第1の円(内接円)を描くこととしたが、発泡成形体中の融着し合った発泡粒子の測定では、融着層に内接する第1の円(内接円)を描くこととした。
<熟成期間>
熟成中の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を発泡させて得られた発泡粒子は表層部から気泡が微細化し、熟成が進むと共に気泡の微細化が中心部に達し、発泡粒子全体が微細な均一気泡になる。表層部の平均気泡径と中心部の平均気泡径の比(表層部平均気泡径/中心部平均気泡径)が0.80以上となったときに熟成完了とし、その際に要した期間を熟成期間とした。また、熟成開始から60日を経過しても表層部からの気泡の微細化が開始しないものは熟成しないものとした。
<表層部平均気泡径、内部平均気泡径>
また、表層部平均気泡径、内部平均気泡径とは、撮影した画像をA4用紙上に印刷し、予備発泡粒子の表層に内接する第1の円(内接円)を描き、この第1の円の直径の1/4の半径を有する第2の同心円を描き、表層から第2の円の間を表層部、第2の円の内部を中心部とし、前記予備発泡粒子の平均気泡径の測定方法に準拠して測定されたものをいう。
本実施例では、製造直後の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を予備発泡した予備発泡粒子(図2(a))は、平均気泡径が550μmと大きな気泡径を有していた。熟成3時間後の発泡性粒子を予備発泡した予備発泡粒子(図2(c))は、表層部は気泡が微細化していたが中心部は微細化しておらず、表層部平均気泡径/中心部平均気泡径が0.66であり、熟成中の状態であった。熟成1日後の発泡性粒子を予備発泡した予備発泡粒子(図2(b))は、中心部まで気泡が微細化しており平均気泡径が150μm、表層部平均気泡径/中心部平均気泡径が1.06であり、熟成が完了していた。熟成期間は1日であった。
<曲げ強度>
発泡成形体から、縦300mm×横75mm×厚さ25mmの試験片を切り出し、この試験片の曲げ試験をJIS−A9511に準拠して行い、曲げ強度[MPa]を算出した。
<圧縮強度>
発泡成形体から、縦50mm×横50mm×厚さ25mmの試験片を切り出し、この試験片の圧縮試験をJIS−A9511に準拠して行い、圧縮強度[MPa]を算出した。
<強度評価>
前記曲げ強度及び圧縮強度の結果から、以下の基準により強度評価した。
極めて良好(◎):曲げ強度0.31MPa以上、かつ圧縮強度0.12MPa以上を満たすもの。
良好(○):曲げ強度0.28MPa以上、0.31MPa未満、かつ圧縮強度0.11MPa以上、0.12MPa未満を満たすもの。
不良(×):曲げ強度と圧縮強度の少なくとも一方が前記基準を下回るもの。
[実施例2]
実施例1に記載のマスターバッチを、樹脂分中ポリメチルフェニルシロキサンが0.2質量%となるよう使用したこと以外は、実施例1と同様の方法で発泡成形体を製造し、同様の測定を行った。その結果を表1に記す。本実施例の熟成期間は1日であった。
[実施例3]
実施例1のマスターバッチの製造時にポリメチルフェニルシロキサンに代えて、ポリジメチルシロキサン(東レダウコーニング社製、商品名「SH200−100CS」)を使用し、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造時に該マスターバッチを、樹脂分中ポリジメチルシロキサンが0.2質量%となるよう使用したこと以外は、実施例1と同様の方法で発泡成形体を製造し、同様の測定を行った。その結果を表1に記す。本実施例の熟成期間は50日であった。また、熟成10日後(熟成中)の気泡状態を図4(c)に示す。
[実施例4]
実施例1のマスターバッチの製造時にポリメチルフェニルシロキサンに代えてポリエーテル変性シリコーン(信越化学社製、商品名「KF945A」)を使用し、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造時に該マスターバッチを、樹脂分中ポリエーテル変性シリコーンが0.2質量%となるよう使用したこと以外は、実施例1と同様の方法で発泡成形体を製造し、同様の測定を行った。その結果を表1に記す。本実施例の熟成期間は30日であった。
[実施例5]
実施例1に記載のマスターバッチを、樹脂分中にポリメチルフェニルシロキサンが4質量%となるよう使用したこと以外は、実施例1と同様の方法で発泡成形体を製造し、同様の測定を行った。その結果を表1に記す。本実施例の熟成期間は1日であった。
[実施例6]
実施例1に記載のマスターバッチを、樹脂分中ポリメチルフェニルシロキサンが0.05質量%となるよう使用したこと以外は、実施例1と同様の方法で発泡成形体を製造し、同様の測定を行った。その結果を表1に記す。本実施例の熟成期間は2日であった。
[実施例7]
実施例1に記載のマスターバッチを、樹脂分中ポリメチルフェニルシロキサンが0.01質量%となるよう使用したこと以外は、実施例1と同様の方法で発泡成形体を製造し、同様の測定を行った。その結果を表1に記す。本実施例の熟成期間は2日であった。
[実施例8]
実施例1のマスターバッチの製造時にポリメチルフェニルシロキサンとステアリン酸マグネシウムのマスターバッチをそれぞれ作製し、樹脂分中ポリメチルフェニルシロキサン含有量が0.2質量%、ステアリン酸マグネシウムが0.05質量%となるように使用した以外は、実施例1と同様の方法で発泡成形体を製造し、同様の測定を行った。その結果を表1に記す。本実施例の熟成期間は1日であった。また、熟成3時間後(熟成中)の気泡状態を図6(c)に示す。
[実施例9]
発泡剤として樹脂100質量部に対して6質量部のブタン(イソブタン:ノルマルブタン=30:70(質量比))を使用したこと以外は、実施例2と同様の方法で発泡成形体を製造し、同様の測定を行った。その結果を表1に記す。
[実施例10]
(マスターバッチの製造)
基材樹脂としてポリスチレン樹脂(PSジャパン社製、商品名「G9305」)を使用し、可塑剤としてアジピン酸ジイソブチル(沸点:293℃、田岡化学工業製、商品名「DI4A」)が10質量%となるようマスターバッチを作製した。
発泡剤として樹脂100質量部に対して6質量部のブタン(イソブタン:ノルマルブタン=30:70(質量比))を添加し、マスターバッチを、樹脂100質量部に対しアジピン酸ジイソブチルが2.5質量部となるように使用した。それ以外は実施例2と同様の方法で発泡成形体を製造し、同様の測定を行った。その結果を表1に記す。
[比較例1]
実施例1でポリメチルフェニルシロキサン及びそのマスターバッチを使用しなかったこと以外は、実施例1と同様の方法で発泡成形体を製造し、同様の測定を行った。その結果を表1に記す。本比較例は熟成しなかった。
[比較例2]
実施例1でポリメチルフェニルシロキサン及びそのマスターバッチの代わりに、タルクマスターバッチ(ポリスチレン樹脂40質量%、タルク60質量%)を使用し、樹脂分中タルク0.33質量%となるよう使用したこと以外は、実施例1と同様の方法で発泡成形体を製造し、同様の測定を行った。その結果を表1に記す。本比較例は熟成しなかった。
[比較例3]
実施例1のマスターバッチの製造および発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造時にポリメチルフェニルシロキサン及びそのマスターバッチを使用せず、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の被覆時に、ポリメチルフェニルシロキサンを樹脂粒子100質量部に対して0.1質量部被覆させたこと以外は、実施例1と同様の方法で発泡成形体を製造し、同様の測定を行った。その結果を表1に記す。本比較例は熟成しなかった。
[比較例4]
実施例1でポリメチルフェニルシロキサン及びそのマスターバッチの代わりに、ステアリン酸マグネシウムマスターバッチを使用し、樹脂分中ステアリン酸マグネシウム0.05質量%となるよう使用したこと以外は、実施例1と同様の方法で発泡成形体を製造し、同様の測定を行った。その結果を表1に記す。本比較例は熟成しなかった。
表1の結果から、本発明に係る実施例1〜10で製造した発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、製造直後の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を予備発泡させた状態(熟成開始前)では、予備発泡粒子中の平均気泡径が400μm以上あったが、該樹脂粒子を熟成することによって、熟成後に作製した予備発泡粒子の平均気泡径が熟成前と比べて半分以下に微細化した。これによって本発明に係る実施例1〜10で製造した発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、溶融押出法で製造した場合でも、熟成処理することによって発泡粒子の気泡を微細化できることが実証された。
また、実施例1〜10で得られた発泡成形体の曲げ強度及び圧縮強度は良好であり、その中でも実施例1、4、8、9及び10については極めて良好であった。
一方、オルガノシロキサンを添加しなかった比較例1、2及び4では、熟成の前と後で作製した予備発泡粒子の平均気泡径が全く変化せず、熟成による気泡の微細化効果が得られなかった。
また、オルガノシロキサンを造粒時に添加せず、溶融押出法で造粒した後の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表面にオルガノシロキサンを被覆した比較例3についても、熟成の前と後で作製した予備発泡粒子の平均気泡径が全く変化せず、熟成による気泡の微細化効果が得られなかった。
図2は、実施例1で作製した予備発泡粒子の断面の拡大画像であり、(a)は製造直後の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を予備発泡した予備発泡粒子、(b)は熟成後の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を予備発泡した予備発泡粒子、(c)は熟成中の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を予備発泡した予備発泡粒子である。
図3は、実施例2で作製した予備発泡粒子の断面の拡大画像であり、(a)は製造直後の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を予備発泡した予備発泡粒子、(b)は熟成後の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を予備発泡した予備発泡粒子である。
図4は、実施例3で作製した予備発泡粒子の断面の拡大画像であり、(a)は製造直後の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を予備発泡した予備発泡粒子、(b)は熟成後の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を予備発泡した予備発泡粒子、(c)は熟成中の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を予備発泡した予備発泡粒子である。
図5は、実施例5で作製した予備発泡粒子の断面の拡大画像であり、(a)は製造直後の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を予備発泡した予備発泡粒子、(b)は熟成後の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を予備発泡した予備発泡粒子である。
図6は、実施例8で作製した予備発泡粒子の断面の拡大画像であり、(a)は製造直後の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を予備発泡した予備発泡粒子、(b)は熟成後の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を予備発泡した予備発泡粒子、(c)は熟成中の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を予備発泡した予備発泡粒子である。
これらの図2〜図6から、本発明に係る実施例1〜10で製造した発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、溶融押出法で製造した場合でも、熟成処理することによって発泡粒子の気泡を微細化できることがわかる。
本発明は、曲げ強度、圧縮強度などの機械強度に優れたポリスチレン系樹脂発泡成形体が得られる発泡性ポリスチレン系樹脂粒子に関する。本発明のポリスチレン系樹脂発泡成形体は、断熱材や緩衝材などの各種用途に使用できる。
1…押出機(樹脂供給装置)、2…ダイ、3…原料供給ホッパー、4…高圧ポンプ、5…発泡剤供給口、6…カッター、7…カッティング室、8…水槽、9…高圧ポンプ、10…固液分離機能付き脱水乾燥機、11…貯留容器。

Claims (14)

  1. ポリスチレン系樹脂粒子中に発泡剤を含む発泡性ポリスチレン系樹脂粒子において、
    発泡性ポリスチレン系樹脂粒子全体(但し、内部気泡は除く)にオルガノシロキサンが均一に含有されたことを特徴とする発泡性ポリスチレン系樹脂粒子。
  2. 樹脂供給装置内で溶融されたポリスチレン系樹脂に発泡剤を圧入・混練し、発泡剤含有の溶融樹脂を樹脂供給装置先端に付設されたダイの小孔から直接冷却用液体中に押し出し、押し出すと同時に押出物を高速回転刃で切断するとともに、押出物を液体との接触により冷却固化して発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得る溶融押出法により得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子において、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子全体(但し、内部気泡は除く)にオルガノシロキサンが均一に含有されたことを特徴とする発泡性ポリスチレン系樹脂粒子。
  3. 樹脂分中にオルガノシロキサンが0.01〜3質量%の範囲で含有されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子。
  4. 熟成完了後に加熱して嵩発泡倍数X倍に発泡させたときの発泡粒子の平均気泡径D’を、次式(1)
    (式中、Dは嵩発泡倍数50倍に換算した発泡粒子の平均気泡径(μm)を表し、D’は嵩発泡倍数X倍に発泡させたときの発泡粒子の平均気泡径(μm)を表す)を用いて嵩発泡倍数50倍に換算した発泡粒子の平均気泡径Dが、50μm≦D≦250μmの関係を満たすことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子。
  5. 前記オルガノシロキサンは、構造内にアルキル基、フェニル基、エーテル基からなる群から選択される1種又は2種以上を有するものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子。
  6. 発泡性ポリスチレン系樹脂粒子全体(但し、内部気泡は除く)に、高級脂肪酸金属塩、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸ビスアミド、無機気泡核剤から選択される1種又は2種以上が均一に含有されたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子。
  7. 樹脂供給装置内で溶融されたポリスチレン系樹脂に発泡剤を圧入・混練し、発泡剤含有の溶融樹脂を樹脂供給装置先端に付設されたダイの小孔から直接冷却用液体中に押し出し、押し出すと同時に押出物を高速回転刃で切断するとともに、押出物を液体との接触により冷却固化して発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得る溶融押出法による発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法において、
    前記ポリスチレン系樹脂にオルガノシロキサンを添加し、樹脂粒子全体(但し、内部気泡は除く)にオルガノシロキサンが均一に含有された発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得ることを特徴とする発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法。
  8. 樹脂分中にオルガノシロキサンを0.01〜3質量部の範囲で添加することを特徴とする請求項7に記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法。
  9. 溶融押出法によって得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を、40℃以下の雰囲気下で貯蔵する熟成工程を行って発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得ることを特徴とする請求項7又は8に記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法。
  10. 前記オルガノシロキサンは、構造内にアルキル基、フェニル基、エーテル基からなる群から選択される1種又は2種以上を有するものであることを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法。
  11. 前記ポリスチレン系樹脂に、高級脂肪酸金属塩、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸ビスアミド、無機気泡核剤から選択される1種又は2種以上を添加し、樹脂粒子全体(但し、内部気泡は除く)に均一に含有させることを特徴とする請求項7〜10のいずれか1項に記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法。
  12. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を熟成後、加熱し予備発泡して得られたポリスチレン系樹脂予備発泡粒子。
  13. 請求項12に記載のポリスチレン系樹脂予備発泡粒子を成形型のキャビティ内に充填し、成形型を蒸気加熱し、型内発泡成形して得られたポリスチレン系樹脂発泡成形体。
  14. 発泡倍数X倍に発泡成形させたときの状態で、この発泡成形体中の融着し合った発泡粒子の平均気泡径D’を、次式(2)
    (式中、Dは発泡倍数50倍に換算した発泡成形体中の発泡粒子の平均気泡径(μm)を表し、D’は発泡倍数X倍に発泡させたときの発泡成形体中の発泡粒子の平均気泡径(μm)を表す)を用いて発泡倍数50倍に換算した発泡成形体中の発泡粒子の平均気泡径Dが、50μm≦D≦250μmの関係を満たすことを特徴とする請求項13に記載のポリスチレン系樹脂発泡成形体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016183255A (ja) * 2015-03-26 2016-10-20 株式会社カネカ 発泡性ポリスチレン系樹脂粒子、ポリスチレン系予備発泡粒子及び発泡成形体

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