JP2012214378A - フェライト焼結体およびそれを用いたフェライトコアならびにフェライトコイル - Google Patents

フェライト焼結体およびそれを用いたフェライトコアならびにフェライトコイル Download PDF

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Abstract

【課題】 電気的抵抗が高く、コア損失が低いフェライト焼結体を提供する。
【解決手段】 金属元素として少なくともFe、Zn、NiおよびMnを含有する酸化物からなるフェライト焼結体であって、FeをFe換算で42〜50mol%、ZnをZnO換算で15〜35mol%、NiをNiO換算で10〜30mol%、MnをMnO換算で0.01〜0.5mol%含有し、焼結体の内部のZn濃度を1としたとき、表面近傍のZn濃度が0.8〜1.2であるフェライト焼結体とする。
【選択図】 図1

Description

本発明はフェライト焼結体に関し、特に、表面抵抗が高く、コア損失が低いフェライト焼結体に関する。また、同時に高い透磁率(μ)、高い飽和磁束密度(Bs)を有するフェライト焼結体、また、これらのフェライト焼結体を用いたフェライトコアおよびフェライトコイルに関する。
フェライト焼結体は、電源周りに使用されるインダクターに搭載されるフェライトコアなどに用いられ、高透磁率、高飽和磁束密度、高電気抵抗、低コア損失であることが求められている。
特許文献1には、高飽和磁束密度フェライト材料においては、主成分としてFeを54〜75mol%、ZnOを10〜30mol%、NiOを10〜25mol%、CuOを3〜10mol%含有し、さらにこの主成分100重量部に対してBiを0.1〜5重量部、MoOを0.1〜5重量部含有するフェライト焼結体が開示されている。
また、特許文献2には、Feを48〜50mol%、CuOを1〜5mol%、MnOを0.1〜1mol%を含有し、残部をなすZnO/NiOのmol比が1〜1.6である主成分100重量部に対し、さらに副成分としてMgOを0.01〜0.2重量部、SiOを0.05〜0.5重量部、Alを0.05〜0.5重量部、Crを0.01〜0.2重量部含有するフェライト焼結体が開示されている。
また、特許文献3には、Feを主成分とし、Zn、NiまたはCuのうち少なくとも1種以上を含むスピネル構造の酸化物を主体とし、Zn、NiまたはCuのうち少なくとも1種を主成分とする酸化物の含有量を0.01体積%未満としたフェライト焼結体が開示されている。
このようなフェライト焼結体を得るため、特許文献1のフェライト焼結体は950〜1250℃、特許文献2、3のフェライト焼結体は950〜1400℃で各々焼成し作製されている。
また、特許文献1〜3には焼成温度以外の焼成条件は開示されていないものの、フェライト焼結体は、一般に成形体を板状の焼成治具上に載置し、成形体の周囲の空気の流れを遮蔽する遮蔽材を成形体の周囲に配置せずに、焼成炉内に空気を流しながら焼成されている。
特開平10−45415号公報 特開2001−151564号公報 特開2002−187769号公報
特許文献1のフェライト焼結体は、飽和磁束密度が高いものの、表面抵抗値が低く、コ
ア損失が高いという問題があった。特許文献2によれば、飽和磁束密度Bs≧400mT、透磁率μ≧500、体積固有抵抗値≧100MΩ・cmの特性を達成している。しかし、特許文献2のフェライト焼結体は、焼結体表面近傍に存在するZnの濃度を制御していないので表面抵抗が低く、コア損失が高いという問題があった。
特許文献3のフェライト焼結体は、飽和磁束密度と透磁率が高いものの、表面抵抗が低く、コア損失が高いという問題があった。
このような特許文献1〜3のフェライト焼結体における問題は、焼結体表面近傍のZnの濃度が内部に比べて低すぎたり、高すぎたりするため起こっていた。
これら特許文献1〜3のフェライト焼結体は、焼成の効率を向上させるため、焼成炉内に体積1m当たり1m/分を超える空気を大気圧下で焼成炉内に流しており、空気の流速が大きくなる。このため成形体の表面から焼成中に多量のZnが蒸発し、得られたフェライト焼結体の表面部のZn濃度が内部よりも非常に低くなり、焼結体内部のZn濃度を1としたとき、表面近傍のZn濃度が0.5以下となり、内部と表面とでZn濃度に大きな差が生じていた。
また、この表面におけるZn濃度の低下を回避するためには、成形体をZnを多く含む粉の中に埋設しながら焼成することが必要であった。しかし、Znを多く含む粉に埋設しながら焼成すると、得られるフェライト焼結体表面のZn濃度が内部よりも非常に高くなり、焼結体内部のZn濃度を1としたとき、表面近傍のZn濃度が1.5以上となり、内部と表面とでZn濃度に大きな差が生じていた。
そこで本発明は、フェライト焼結体のZn濃度を制御することによって、電気的抵抗が高く、コア損失が低いフェライト焼結体を提供することを目的とする。さらに、高い透磁率、高い飽和磁束密度を有するフェライト焼結体を提供することを目的とする。また、本発明のフェライト焼結体を用いたフェライトコアを提供することを目的とする。
本発明のフェライト焼結体は、金属元素として少なくともFe、Zn、NiおよびMnを含有する酸化物からなるフェライト焼結体であって、FeをFe換算で42〜50mol%、ZnをZnO換算で15〜35mol%、NiをNiO換算で10〜30mol%、MnをMnO換算で0.01〜0.5mol%含有し、焼結体の内部のZn濃度を1としたとき、表面近傍のZn濃度が0.8〜1.2であることを特徴とする。
また、好ましくは、CuをCuO換算で8mol%以下(0を含まず)含有することを特徴とする。
さらに、好ましくは、ZrをZrO換算で0.1質量部以下(0を含まず)含有することを特徴とする。
さらにまた、好ましくは、YをY換算で0.1質量部以下(0を含まず)含有することを特徴とする。
またさらに、好ましくは、平均結晶粒径が1〜30μm、焼結密度が5.0g/cm以上であることを特徴とする。
また、好ましくは、表面抵抗が10Ω以上であることを特徴とする。
さらに、好ましくは、体積固有抵抗が10Ω・cm以上であることを特徴とする。
さらに、本発明のフェライトコアは、上記フェライト焼結体を所定形状に形成してなることを特徴とする。
またさらに、本発明のフェライトコイルは、上記フェライトコアに導線を巻回したことを特徴とする。
本発明のフェライト焼結体は、金属元素として少なくともFe、Zn、NiおよびMnを含有する酸化物からなるフェライト焼結体であって、FeをFe換算で42〜50mol%、ZnをZnO換算で15〜35mol%、NiをNiO換算で10〜30mol%、MnをMnO換算で0.01〜0.5mol%含有し、焼結体の内部のZn濃度を1としたとき、表面近傍のZn濃度が0.8〜1.2であることから、フェライト焼結体の表面抵抗値を高くし、且つコア損失を低くすることができる。
また、CuをCuO換算で8mol%以下含有することから、フェライト焼結体内部のZn濃度を1としたとき、上記表面近傍のZn濃度を0.85〜1.15に制御することができる。また、フェライト焼結体の表面抵抗値をばらつき高く保持し、120℃以上でのコア損失を低く保持したまま、透磁率と飽和磁束密度をさらに向上させることができる。
さらに、ZrをZrO換算で0.1重量部以下含有することから、表面抵抗値を高く保持したまま、透磁率と飽和磁束密度を特に向上させることができる。
またさらに、YをY換算で0.1質量部以下含有することから、透磁率と飽和磁束密度を特に向上させることができる。
さらにまた、平均結晶粒径が1〜30μm、焼結密度が5.0g/cm以上であることから、表面抵抗値と体積固有抵抗値を高く保持したまま、透磁率、飽和磁束密度を向上させることができる。
また、表面抵抗が10Ω以上であることから、フェライト焼結体を用いたフェライトコアに導線を巻回してトランスコイル、チョークコイル、チップインダクター、RFID用コイルとした場合、導線とフェライトコア間で電流のショートが生じにくいため、コイルの電気的安定性に優れたものとなる。
さらに、体積固有抵抗が10Ω・cm以上であることから、フェライト焼結体を用いたフェライトコアに導線を巻回してトランスコイル、チョークコイル、チップインダクター、RFID用コイルとした場合、コア損失が低いため、高い電気的効率、低発熱性を有するものとなる。
さらに、本発明のフェライトコアおよびフェライトコイルによれば、トランスコイル、チョークコイル、チップインダクター、RFID用コイル等に充分適用することができる。
(a)は本発明のフェライト焼結体の製造方法の一例を示す斜視図、(b)は図1(a)のA−A’線における断面図である。 (a)は本発明のフェライト焼結体の製造方法の一例を示す斜視図、(b)は図2(a)のB−B’線における断面図である。 (a)、(b)は本発明のフェライトコアを示す図である。 本発明のフェライトコアの特性を測定する方法を示す図である。
次いで、本発明の実施形態を詳細に説明する。
本発明のフェライト焼結体は、金属元素として少なくともFeおよびZnと、NiおよびMnを含有する酸化物からなるフェライト焼結体であって、FeをFe換算で42〜50mol%、ZnをZnO換算で15〜35mol%、NiをNiO換算で10〜30mol%、MnをMnO換算で0.01〜0.5mol%含有し、該焼結体内部のZn濃度を1としたとき、表面近傍のZn濃度が0.8〜1.2であるものである。
これにより、フェライト焼結体の表面抵抗値を高くし、且つ120℃のコア損失を低くすることができる。この理由は次のように考えられる。
上記FeをFe換算で42〜50mol%、ZnをZnO換算で15〜35mol%含有するのは、これ以外の範囲では、焼結体内部のZn濃度を1としたとき、上記表面近傍のZn濃度が0.8〜1.2の範囲外となるおそれがあるからである。また、Feの含有量がFe換算で42mol%未満の場合はコア損失が大きくなり、透磁率、飽和磁束密度が低下し、50mol%を超えると焼結体表面近傍でFe2+が多く生成して体積固有抵抗などの電気的抵抗が低下する。さらに、FeはFe換算で47〜50mol%含有することがより好ましい。
また、Znの含有量がZnO換算で15mol%未満の場合はコア損失が大きくなり、透磁率が低下し、35mol%を超えるとコア損失が大きくなり、飽和磁束密度が低下する。
上記表面近傍のZn濃度の下限を0.8とする理由について説明する。
上記表面近傍のZn濃度が0.8未満であると、焼結体表面近傍のFe3+の多くがFe2+に変化し同時に多量のホールが生成し、その結果、このホールがキャリアとなって上記表面抵抗値が低下するからである。焼結体表面近傍のFe3+の多くがFe2+に変化するのは、上記フェライト焼結体を焼成する過程における焼成雰囲気中のZn濃度が低いと、焼結体表面近傍のZn成分が昇華して表面近傍のZn含有割合が低下し、これによってFeの焼結体表面近傍での含有割合が内部よりも多くなり、表面近傍に存在するFe3+と結合している酸素の一部が解離するためである。
次に、焼結体表面のZn濃度の上限を1.2とする理由について説明する。上記表面近傍のZn濃度が1.2よりも大きいと、焼結体内部のFe3+の多くがFe2+に変化し同時に多量のホールが生成し、その結果、このホールがキャリアとなって焼結体表面を含む焼結体全体の電気抵抗が低下するからである。焼結体内部のFe3+の多くがFe2+に変化するのは、上記フェライト焼結体を焼成する過程における焼成雰囲気中のZn濃度が高いと、焼結体内部のZnが表面近傍へ移動して表面近傍のZn濃度が増加し、これによってFeの焼結体内部での含有割合が表面よりも多くなり、焼結体内部に存在するFe3+と結合している酸素の一部が解離するためである。焼結体の電気抵抗が低下すると、焼結体の磁気損失が増加するので、この焼結体を用いたフェライトコアのコア損失が大きくなる。
また、さらに表面抵抗値を高くし、コア損失を低くするためには、焼結体内部のZn濃
度を1としたとき、上記表面近傍のZn濃度を0.85〜1.15とすることがより好ましい。
なお、本発明のフェライト焼結体の内部と表面近傍のZn濃度は以下の通り測定する。例えば、フェライト焼結体を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察しながら、波長分散型X線マイクロアナライザー(WDS)により焼結体内部と焼結体表面近傍のZn元素分布を測定する。
この時の測定条件は、加速電圧15kV程度、プローブ電流2×10−7A程度、分析エリア10μm〜10μm程度とする。また、あらかじめZn濃度の異なる分析用試料を用いて検量線を作成しておき、測定結果と検量線から算出する検量線法を用いて焼結体表面と内部のZn濃度を算出する。さらに、その他の方法としては、透過型電子顕微鏡(TEM)で観察しながら、エネルギー分散型X線マイクロアナライザー(EDS)
により測定する方法や、原子間力顕微鏡を用いた測定方法によりZn濃度を測定することができる。また、焼結体表面近傍とは、焼結体表面から内部方向への深さが0.1mmまでの範囲を指し、焼結体内部とは表面から深さ0.1mmを越えた内部の範囲であり、また、焼結体および内部のZn濃度の測定は、内部および表面の各々について少なくとも5箇所以上のZn濃度を測定し、得られたZn濃度を平均して求める。
また、上述のように焼結体の内部と表面近傍でのZn濃度を近似させるためには、後述するように焼成工程における雰囲気を調整することで得ることができる。
また、上記フェライト焼結体は、NiおよびMnをそれぞれNiO換算で10〜30mol%、MnO換算で0.01〜0.5mol%含有する。
これにより、フェライト焼結体内部のZn濃度を1としたとき、表面近傍のZn濃度を0.85〜1.15に制御することができる。この理由は、Fe、Zn、Ni、Mnをこれらの範囲とすることによって焼成中に結晶構造の規則化が促進され、上記表面のZn濃度のばらつきを抑制することができるからである。
詳細には、NiをNiO換算で10〜30mol%含有することによって透磁率と飽和磁束密度を著しく向上させることができる。NiがNiO換算で10mol%未満の場合は飽和磁束密度を著しく向上させることができず、30mol%を超えると透磁率を著しく向上させることができない。MnをMnO換算で0.01〜0.5mol%含有すると、透磁率を高く保持したままは、さらに飽和磁束密度を高くすることができる。Mn含有量がMnO換算で0.01%未満または、0.5mol%を超える場合は、透磁率と飽和磁束密度を著しく向上させることができない。
また、NiをNiO換算で13〜25mol%、MnをMnO換算で0.1〜0.3mol%含有することがより好ましい。これによって、内部のZn濃度に対する表面のZn濃度を0.9〜1.1とすることができる。
さらに、Fe、Zn、Ni、MnをそれぞれFe換算で49〜50mol%、ZnO換算で20〜30mol%、NiO換算で20〜30mol%、MnO換算0.01〜0.2mol%とすることにより、表面抵抗を高くし、コア損失を低くすることができる。
また、CuをCuO換算で8mol%以下含有すると透磁率と飽和磁束密度を著しく向上させることができる。透磁率と飽和磁束密度を著しく向上させるためには、Cuの含有量の下限値をCuO換算で0.1mol%とすることが好ましい。Cuの含有量がCuO
換算で8mol%を超えると透磁率と飽和磁束密度を著しく向上させることができない。また、CuをCuO換算で2〜6mol%とすることが好ましい。これによって、内部のZn濃度に対する表面のZn濃度を0.9〜1.1とすることができる。さらに、CuをCuO換算で5mol%以下(0を含まず)とすることが好ましい。これにより、表面抵抗を高くし、コア損失を低くすることができる。
また、ZrをZrO換算で0.1質量部以下(0を含まず)含有させることによって、高い透磁率を保持したまま、飽和磁束密度を特に向上させることができる。Zrの含有量がZrO換算で0.1質量部を超えると、高い透磁率を維持したまま飽和磁束密度を著しく向上させることができない。
さらに、高い飽和磁束密度を実現するためには、Zrの含有量がZrO換算で0.001〜0.01質量部とすることがより好ましい。
また、YをY換算で0.1質量部以下(0を含まず)含有させることによって、高い透磁率を保持したまま、さらに飽和磁束密度を特に向上させることができる。Yの含有量がY換算で0.1質量部を超えると、高い透磁率を維持したまま飽和磁束密度を著しく向上させることができない。
さらに、高い飽和磁束密度を実現するには、Yの含有量をY換算で0.001〜0.01質量部とすることがより好ましい。
なお、本発明のフェライト焼結体は、さらにAl、SiO、CaO、MgO、KO、Cr、P、WO、PbOの少なくとも1種を0.05質量部未満含んでもよい。
また、本発明のフェライト焼結体は、平均結晶粒径が1〜30μm、焼結密度が5.0g/cm以上とすることが好ましく、透磁率、飽和磁束密度を向上させることができる。平均結晶粒径が1μm未満の場合は透磁率を特に向上させることができず、30μmよりも大きいと透磁率と飽和磁束密度を著しく向上させることができない。さらに、より高い透磁率と高い飽和磁束密度を実現するためには、平均結晶粒径を3〜10μm、焼結密度を5.2g/cm以上とすることがより好ましい。
なお、上記平均結晶粒径は種々の方法で表面をエッチング加工した焼結体のSEM写真を撮り、各結晶に接する内接円と外接円の直径の平均値により求める。また、焼結密度はアルキメデス法により測定する。
また、表面抵抗が10Ω以上であることが好ましく、このフェライト焼結体を所定形状に成してフェライトコアとすることによって、このフェライトコアに導線を巻回してトランスコイル、チョークコイル、チップインダクター、RFID用コイルとした場合、導線とフェライト焼結体間で電流のショートが生じにくいため、フェライトコイルの電気的安定性に優れたものとなる。
さらに、体積固有抵抗が10Ω・cm以上であることが好ましく、このフェライト焼結体を所定形状に成形してフェライトコアとすることによって、このフェライトコアに導線を巻回してトランスコイル、チョークコイル、チップインダクター、RFID用コイルとした場合、コア損失が低いため、高い電気的効率、低発熱性を有するものとなる。
また、炭素含有量を100ppmとすることにより、表面抵抗および体積固有抵抗をさらに大きくできるので好ましい。さらに、上記フェライト焼結体の気孔率を1%以下とす
ることで、表面抵抗および体積固有抵抗を特に大きくすることができる。
ここで、上述のようなフェライト焼結体の製造方法について説明する。
先ず、1次粉砕粉末工程として、Feの化合物およびZnの化合物からなる粉末と、NiおよびMnの金属元素の化合物からなる出発原料粉末とを混合、粉砕して1次粉砕粉末を得る。ここで、出発原料粉末にCuの金属元素の化合物を含ませてもよい。
上記1次粉砕工程としては、例えば、Fe、ZnO、NiOおよびCuOの粉体の比表面積が2m/gを超える原料粉体を所定量調合し、振動ミル、ボールミル、ビーズミル、ジェットミル等で混合粉砕を行うことで1次粉砕粉末を得る。この時、混合粉砕後の粉体の比表面積は2m/gを超える粉体とする。
ここで、上記出発原料粉末の組成は、FeおよびZnをそれぞれFe換算で42〜50mol%、ZnO換算で15〜35mol%含有し、さらにNiおよびMnならびにCuを含有する酸化物からなる粉末とする。そして、得られるフェライト焼結体がFeをFe換算で42〜50mol%、ZnをZnO換算で15〜35mol%含有する組成とする。
また、Ni、Mn、Cuの含有量が所定の範囲となるようNiO、MnO、CuOの各粉末を上記出発原料粉末として用いる。
次いで、得られた1次粉砕粉末を仮焼して仮焼粉を得る仮焼工程、得られた仮焼粉を粉砕して2次粉砕粉末を得る2次粉砕工程を経る。
上記仮焼工程としては、例えば、得られた1次粉砕粉末を昇温速度2000℃/時間以下で昇温し、750〜950℃で0.1〜5時間で保持、降温速度2000℃/時間以下で降温する。
そして、2次粉砕工程として得られた仮焼粉にZrO、Yを加え、振動ミル、ボールミル、ビーズミル、ジェットミル等で粉砕、造粒する。
また、ZrをZrO換算で0.1質量部以下(0を含まず)含有するフェライト焼結体とするためには、上記出発原料粉末としてZrをZrO換算で0.1質量部以下(0を含まず)となるようZrO粉末を用いるか、または仮焼工程の前にZrO粉末を添加する。なお、フェライト焼結体中に不純物としてZrが混入することもあるが、最終的に得られるフェライト焼結体中のZr量がZrO換算で0.1質量部以下であればよい。
また、YをY換算で0.1質量部以下(0を含まず)含有するフェライト焼結体とするためには、上記出発原料粉末としてYをY換算で0.1質量部以下(0を含まず)となるようY粉末を用いるか、または仮焼工程の前にY粉末を添加する。なお、フェライト焼結体中に不純物としてYが混入することもあるが、最終的に得られるフェライト焼結体中のY量がY換算で0.1質量部以下であればよい。
そして、得られた2次粉砕粉末をプレス成形等によって所定の形状に成形して成形体を得る成形工程を経る。
しかる後、成形体を焼成炉中で焼成して焼結体を得る焼成工程とからなり、例えば、焼成温度950〜1400℃で0.1時間〜5時間保持することで焼結体を得る。
なお、ZrO、Yは仮焼後に加えることに拘束されるのではなく、仮焼前に添加しても本発明のフェライト焼結体の特性に何ら影響しない。
ここで、本発明のフェライト焼結体を得るためには、上記焼成工程が下記の第1、第2の何れかの焼成方法を含むことが重要である。これによって得られるフェライト焼結体の内部と表面近傍でのZn濃度比を0.8〜1.2とすることができ、表面抵抗値が高く、コア損失の小さいフェライト焼結体を製造することができる。
第1に、焼成雰囲気を酸素分圧0.01MPa以上とし、焼成炉内の体積1m当たり1m/分以下の気体を流して焼成する方法とする。
焼成雰囲気中の酸素分圧を0.01MPa以上とすることで、成形体の表面からのZnの蒸発を抑制し、焼結体内部と表面とのZn濃度の差を小さく制御できるからである。さらに、焼成炉内の体積1m当たり1m/分以下(0を含まない)の気体、例えば酸素のみからなるガス、空気等の酸素と窒素の混合ガス、酸素とアルゴンの混合ガスのいずれかを流すことで、焼結体表面近傍のZn濃度が平衡状態となり、焼結体内部のZnの濃度に対する表面のZn濃度を0.8〜1.2に制御できる。
これは、焼成炉内の体積1m当たり1m/分を超える気流量中で成形体を焼成すると雰囲気中のZn濃度が低くなり、成形体表面近傍のZn成分の蒸発が促進され、焼結体内部のZn濃度に対する焼結体表面近傍のZn濃度が0.8未満となって、得られる焼結体の表面抵抗値が低下するおそれがある。
また、より高い表面抵抗値と低いコア損失を同時に実現するためには、焼成炉内を流れる気体の流量を体積1m当たり10−5〜10−1/分とすることがより好ましい。また、製造コストを低くするためには焼成雰囲気を非加圧雰囲気(略大気圧)とすることが好ましい。
なお、上記焼成炉内を流れる気体の流量は、熱式流量計、超音波流量計等により測定する。
第2に、上記成形体の周囲に、融点が1600℃以上の金属元素酸化物からなり、成形体の周囲に流れる気体を遮蔽する遮蔽材を配置して焼成する方法とする。
この遮蔽材としては、図1(a)に斜視図、図1(b)に図1(a)のA−A’線における断面図を示すように、例えば、平板状の第1焼成用治具12の主面上に複数の成形体11を載置し、2枚の第1焼成用治具12の2枚の主面同士を成形体11の厚さ以上の間隔を空けて対向させ、さらにこの2枚の第1焼成用治具12の間の周縁部の面積の少なくとも30%以上を第2焼成用治具13で覆うことにより、成形体11周囲を流れる気体の流れを抑制する作用を有する第1および第2焼成用治具12、13を第1の遮蔽材14とすることができる。
また、上記第1の遮蔽材14は、アルミナ等の融点が1600℃以上の金属元素酸化物からなり、フェライト焼結体の焼成温度よりも融点が充分高いため、得られるフェライト焼結体の焼結を阻害するガスが第1の遮蔽材14から焼成雰囲気中に放出されない。このため、これらのガスが発生した場合に起こる、焼結体表面からのZn濃度の蒸発、および焼結体内部からのZnの多量の拡散を抑制することができる。
さらに、この第1の遮蔽材14を成形体の周囲に配置することにより、焼成炉内を流れ
る気体の流量の値に関係なく、成形体11の周囲の雰囲気中のZnを含む気体の濃度を略一定に保つことができるので、焼結体内部のZn濃度に対する焼結体表面近傍のZn濃度を0.8〜1.2に制御することができる。その結果、表面抵抗が高く、コア損失が低いフェライト焼結体を製造することができる。
また、上記第1の遮蔽材14の他の例として、図2(a)に斜視図、図2(b)に図1(a)のB−B’線における断面図を示すように、上記1次粉砕粉末に含有するいずれかの金属元素からなる酸化物を主成分とし、ZnをZnO換算で5〜50mol%含有する粉末(P)からなる第2の遮蔽材15の両方を成形体11の周囲に配置することによって、得られるフェライト焼結体内部のZn濃度に対する焼結体表面近傍のZn濃度の比を0.85〜1.15の範囲で制御することが可能となり、その結果、特に表面抵抗が高く、コア損失が低いフェライト焼結体を製造することができる。この理由は、焼成中に第2の遮蔽材15からZnを含む気体が蒸発して、焼成雰囲気中に存在するZnを含む気体の濃度が変動しにくくなるからと考えられる。
ただし、上記第2の粉末(P)中のZn含有量が50mol%を超えると、粉末(P)から多量のZnが焼結体へ拡散、浸透して、得られる焼結体表面のZn濃度が高くなりすぎ、内部のZn濃度に対する表面のZn濃度が1.2を超え、表面抵抗が低下したり、コア損失が大きくなったりする。
また、上記粉末Pを成形体11へ接触させる配置とすることによって、焼結体内部のZn濃度に対する表面の濃度を1〜1.2に制御することもできる。この理由は、焼結体表面からのZnの蒸発が抑制されるためと考えられる。
また、フェライト焼結体のZn濃度に対する表面のZn濃度を焼結体表面全体にわたってばらつきなくするためには、成形体11全体を上記粉末Pからなる第2の遮蔽材15に埋設することが好ましい。これによって、表面抵抗が特に大きなフェライト焼結体を得ることができる。
なお、フェライト焼結体の平均結晶粒径を1〜30μm、焼結密度を5.0g/cm以上とするには、上記1次粉砕粉末の比表面積を2m/gよりも大きくし、2次粉砕粉末の平均粒径を0.4〜1.5μmとする製造方法とする。この製造方法によって、得られるフェライト焼結体の緻密化が促進されると共に、平均結晶粒径を上記範囲とすることができる。また、表面抵抗を10Ω以上とするためには、上記仮焼工程における温度を800℃以上とする。この範囲とする理由は、仮焼温度を800℃以上とすることによって、仮焼工程での合成が充分行われるため、焼成中のZnの蒸発をさらに抑制することができるからである。
さらに、体積固有抵抗を10Ω・cm以上とするには、上記成形体の相対密度を少なくとも40%以上とし、仮焼温度を850℃以上とする製造方法とする。この製造方法によって、上記仮焼工程での合成が充分行われるため、焼成中のZnの蒸発を特に抑制できるからである。
このようにして得られたフェライト焼結体は、フェライトコアおよびフェライトコアに導線を巻回してなるフェライトコイルとして好適に用いることができる。
図3(a)に示すようなリング状のトロイダルコア1、図3(b)に示すようなボビン状コア2等の所定形状に形成することでフェライトコアを得ることができ、それぞれ巻き線部1a、2aに導線を巻回すことによってフェライトコイルとすることができる。このフェライトコアに導線を巻回してトランスコイル、チョークコイル、チップインダクター
、RFID用コイル等のフェライトコイルとした場合、導線とフェライトコア間で電流のショートが生じにくいため、フェライトコイルの電気的安定性に優れたものとなる。
本発明のフェライトコアは、透磁率が高く、飽和磁束密度が高く、表面抵抗が高く、120℃でのコア損失が低い。また、表面実装が可能となり、高効率で大電流が使用でき、インダクタンスを高くすることが可能となる。従って、このフェライトコアを高効率で大電流用途のインダクターとして用いることにより、さらに各種電子機器の小型化に貢献することができる。
そして、このフェライトコアに導線を巻き回したフェライトコイルは、導線とフェライトコア間で電流がショートせず、巻線数を少なくでき、高電流を流せ、しかも発熱しにくいため、電源周りに使用されるインダクター全般、特に500mA以上の高電流が流れる回路を使用するインダクターに好適に用いることができる。
ここで本発明のフェライト焼結体の実施例について説明する。
Feを49.0mol%、ZnOを24mol%、NiOを24mol%、CuOを2.7mol%、MnOを0.3mol%となるよう秤量し、振動ミルで混合粉砕を行って1次粉砕粉末を得た。
得られた1次粉砕粉末を昇温速度2000℃/時間で昇温、750〜950℃で0.1〜5時間保持、降温速度2000℃/時間で降温して仮焼した。
次いで、仮焼粉をボールミル等で粉砕、造粒し2次粉砕粉末を得た。
そして、この2次粉砕粉末を金型を用いて圧縮成形して図3に示すようトロイダルコア1の形状に成形した。
しかる後、得られた成形体を、表1に示す気体および酸素分圧下で、炉内の体積1m当たりに炉内へ流す気体の流量を調整しながら、以下のような焼成方法により焼成した。
(第1の遮蔽材を用いた焼成方法):図1に示すように、成形体11を載置可能な板状のアルミナ製第1焼成用治具12の2枚の主面同士を成形体11の厚さ以上の間隔を空けて対向させ、さらにこの2枚の第1焼成用治具12の間の周縁部の面積の50%をアルミナからなるブロック製第2焼成用治具13で覆った。
(第2の遮蔽材を用いた焼成方法):図2に示すように、成形体11の周囲にZnをZnO換算で20mol%(試料No.1)または30mol%(試料No.2)を含むNiO−ZnO混合粉末(第2の遮蔽材15)を成形体11の周囲に載置した。
(埋設焼成方法):成形体11をZnOとNiOの混合粉末中に埋設して焼成した。
そして、得られたフェライト焼結体の表面および内部のZn濃度を次のように測定した。
各フェライト焼結体を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察しながら、波長分散型X線マイクロアナライザー(WDS)により焼結体内部と焼結体表面近傍のZn元素分布を測定する。この時の測定条件は、加速電圧15kV程度、プローブ電流2×10−7A程度、分析エリア10〜10μm程度とした。また、あらかじめZn濃度の異なる分析用
試料を用いて検量線を作成しておき、測定結果と検量線から算出する検量線法を用いて焼結体表面と内部のZn濃度を算出した。
また、得られたフェライト焼結体をトロイダルコア1とし、トロイダルコア1に、図4に示すように線径0.2mmの被膜銅線を用いて一次側巻き線3を10ターン、二次側巻き線4を10ターン巻き付けて、一次側巻き線3に電源5を、二次側巻き線4に磁束計6をそれぞれ接続し、50kHz、150mTの条件でコア損失を測定した。また、表面抵抗値はJIS C2141の規格に準拠して測定した。
結果を表1に示す。
表1に示すように、フェライト焼結体内部に対する表面近傍のZn濃度比が0.8〜1.2である本発明の試料(No.1〜8)は、表面抵抗値が10Ω以上、かつ120℃でのコア損失が300kW/m以下と優れた特性が得られた。なお、本発明の試料の平均結晶粒径は0.5μm以上、焼結密度は4.5g/cm以上であった。
また、Zn濃度比が0.8〜1.2のフェライト焼結体は、焼成工程が酸素分圧0.01MPa以上の雰囲気下で焼成炉内の体積1m当たり1m/分以下の気体を焼成炉内に流して焼成する方法、成形体の周囲に融点が1600℃以上の金属元素酸化物からなり、成形体の周囲に流れる気体を遮蔽する遮蔽材を配置して焼成する方法によってその濃度比を0.8〜1.2にできることが判った。
これに対し、フェライト焼結体の内部に対する表面近傍のZn濃度比が0.8未満または、1.2を超えていた試料(No.9〜11)は、10Ω以上の表面抵抗値と300kW/m以下の120℃でのコア損失300kW/m以下を両立するものは無かった。
なお、表1には示さないが、Fe、ZnO、NiOおよびCuOを47.0mol%のFe、26mol%のZnOmol%、24mol%のNiO、2.7mol%のCuOおよび0.3mol%のMnOの比率とし、表1の条件で作製した本発明の
範囲内の試料においても、表面抵抗値が10Ω以上、かつ120℃でのコア損失が300kW/m以下と優れた特性が得られた。また、試料(No.1〜8)の炭素量を分析したところ、全ての試料の炭素量が60ppm以下であった。さらに、試料(No.9〜11)の気孔率は、全ての試料において0.5%以下であった。
Fe、ZnO、NiOおよびCuOの原料粉体を用い、表2に示す様に幾通りも組成を変え、実施例1と同様に試料を作製した。
焼結体内部に対して表面近傍のZn濃度比は、表2に示した値に調整した。得られた焼結体の体積固有抵抗値をJIS C2141の規格に準拠して測定した。
また、得られた焼結体の表面抵抗値と120℃のコア損失値を実施例1と同様にして測定した。その結果、何れも表面抵抗は10Ω以上、120℃でのコア損失は300kW/m以下であった。
次に、得られた焼結体をトロイダルコア1とし、これに線径0.2mmの被膜銅線を7ターン巻き付けて100kHzの条件でLCRメータを用い、透磁率を測定した。
また、トロイダルコア1に、図4に示すように線径0.2mmの被膜銅線を用いて一次側巻き線3を100ターン、二次側巻き線4を30ターン巻き付けて、一次側巻き線3に電源5を、二次側巻き線4に磁束計6をそれぞれ接続し、100Hz、100エルステッドの条件で飽和磁束密度を測定した。
結果を表2に示す。
表2のように、Feを42〜50mol%、ZnOを5〜35mol%、NiO
を10〜30mol%、CuOを8mol%以下、MnOを0.01〜0.5mol%含有する試料(No.12〜30)は、透磁率400以上、飽和磁束密度400T以上と体積固有抵抗10Ω・cm以上と特に優れた特性が得られた。
これに対し、Fe、Znの含有量が本発明の範囲外の試料(No.31〜34)は、コア損失が大きくなったり、体積固有抵抗が小さくなったりした。
なお、本発明の範囲内の試料の平均結晶粒径は、0.5μm以上で焼結密度は、4.5g/cm以上であった。
Feを48.5mol%、ZnOを25mol%、NiOを25mol%、CuOを1.2mol%、MnOを0.3mol%含有する組成とし、表3に示すようにZrO2とY添加量を幾通りも変化させ、実施例1の試料No.3の焼成条件で焼成してフェライト焼結体を作製した。
次に、実施例2と同様にして表面抵抗値、120℃でのコア損失値、透磁率、飽和磁束密度、体積固有抵抗値を測定した。
結果を表3に示す。
表3のように、ZrOを0.1質量部以下、またはYを0.1質量部以下で含有する試料(No.35〜37、39〜41、43〜45)は、透磁率500以上、飽和磁束密度440T以上と体積固有抵抗1000MΩ・cm以上とさらに優れた特性が得られた。また、この試料は、平均結晶粒径が0.5μm以上、焼結密度が4.5g/cm以上であり、表面抵抗10Ω以上、120℃のコア損失300kW/m以下であった。
これに対し、ZrOまたはYを0.1質量部を超えて含有する試料(No.38、42)は、透磁率500未満または、飽和磁束密度440T未満または、体積固有抵抗10Ω・cm未満であった。
Feを49mol%、ZnOを24mol%、NiOを24mol%、CuOを
2.7mol%、MnOを0.3mol%含有し、さらにZrをZrO換算で0.01質量部、YをY換算で0.01質量部含有させ、表4に示すように、1次粉砕後の粉体の比表面積、仮焼温度、2次粉砕後の粉体の平均粒径、焼成温度を変更することによって、結晶粒径の大きさと焼結密度を幾通りも変化させたフェライト焼結体を作製した。
得られたフェライト焼結体の平均結晶粒径は、種々の方法で表面をエッチング加工した焼結体のSEM写真を撮り、各結晶に接する内接円と外接円の直径の平均値により求めた。また、焼結密度はアルキメデス法により測定した。
次に、実施例2と同様に表面抵抗値、120℃のコア損失値、透磁率、飽和磁束密度、体積固有抵抗値を測定した。
結果を表4に示す。
表4のように、平均結晶粒径が1〜30μm、焼結体密度が5.0g/cm以上である試料(No.48〜51、53〜55)は、透磁率550以上、飽和磁束密度450T以上と体積固有抵抗10Ω・cm以上となり、さらに優れた特性が得られた。何れの試料も表面抵抗は10Ω以上、120℃のコア損失は300kW/m以下であった。
これに対し、フェライト焼結体の平均結晶粒径が1μm未満または30μmを超え、焼結体密度が5.0g/cm未満または超える試料(No.46、47、52)は、透磁率550未満、飽和磁束密度450T未満、体積固有抵抗10Ω・cm未満であった。
1:トロイダルコア
1a:巻線部
2:ボビンコア
2a:巻線部
3:一次側巻線
4:二次側巻線
5:電源
6:磁束計
11:成形体
12:第1焼成用治具
13:第2焼成用治具
14:第1の遮蔽材
15:第2の遮蔽材

Claims (9)

  1. 金属元素として少なくともFe、Zn、NiおよびMnを含有する酸化物からなるフェライト焼結体であって、FeをFe換算で42〜50mol%、ZnをZnO換算で15〜35mol%、NiをNiO換算で10〜30mol%、MnをMnO換算で0.01〜0.5mol%含有し、焼結体の内部のZn濃度を1としたとき、表面近傍のZn濃度が0.8〜1.2であることを特徴とするフェライト焼結体。
  2. CuをCuO換算で8mol%以下(0を含まず)含有することを特徴とする請求項1に記載のフェライト焼結体。
  3. ZrをZrO換算で0.1質量部以下(0を含まず)含有することを特徴とする請求項1または2に記載のフェライト焼結体。
  4. YをY換算で0.1質量部以下(0を含まず)含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のフェライト焼結体。
  5. 平均結晶粒径が1〜30μm、焼結密度が5.0g/cm以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のフェライト焼結体。
  6. 表面抵抗が10Ω以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のフェライト焼結体。
  7. 体積固有抵抗が10Ω・cm以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のフェライト焼結体。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載のフェライト焼結体を所定形状に形成してなることを特徴とするフェライトコア。
  9. 請求項8に記載のフェライトコアに導線を巻回したことを特徴とするフェライトコイル。
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